JP2015056211A - 電気光学装置および電子機器 - Google Patents

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【課題】迷光による表示品質の低下を抑え、接着剤のはみ出しを抑止して額縁領域をより小さく抑えることができる電気光学装置および電子機器を提供する。【解決手段】有機EL装置1は、素子基板10と、素子基板10上に設けられた有機EL素子27と、素子基板10に対向して配置された対向基板40と、素子基板10と対向基板40との間に設けられ素子基板10と対向基板40とを貼り合せる樹脂層44と、を備え、有機EL素子27が発する光は対向基板40側に射出され、対向基板40は、素子基板10に対向する対向面40aに、平面視で有機EL素子27が設けられた発光領域Eを囲むように配置された複数の凸条部42を有し、複数の凸条部42は、対向面40aに対して傾斜して有機EL素子27の方向を向くように配置された斜面42aを有し、樹脂層44の外周端部は、平面視で複数の凸条部42のうちの少なくとも一つと重なるように配置されている。【選択図】図3

Description

本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
発光素子が配置された素子基板と、素子基板の発光素子が配置された面に対向配置される対向基板とを樹脂からなる接着剤(接着層)で貼り合せた電気光学装置(有機EL装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の有機EL装置では、素子基板と対向基板とを貼り合せる際に接着剤が発光領域に流れ込むことを抑止するため、対向基板における発光領域の周囲の領域に防護壁が設けられている。
特開2007−200743号公報
しかしながら、特許文献1に記載の有機EL装置では、発光素子から発せられ素子基板や対向基板の内面(基板と空気との界面)で反射された光が横方向(基板面に沿った方向)に伝播して迷光となり、接着層の外周端部から外へ漏れて視認されるという課題がある。このような迷光が視認されると、有機EL装置の表示品質が低下してしまう。また、多重構造の防護壁の最外周部に接着層を配置するため、接着層が基板よりも外側へはみ出してしまうおそれがある。接着層のはみ出しを防止するため防護壁の最外周部を基板の端部に対してより内側に設けようとすると、発光領域よりも外側の領域(いわゆる、額縁領域)が大きくなってしまうという課題がある。さらに、接着剤のはみ出しを抑止する構成についても開示されていない。したがって、迷光が接着層の外周端部から外へ漏れて視認されることを抑え、かつ、接着剤のはみ出しを抑止して額縁領域をより小さく抑えることができる電気光学装置が要望されている。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る電気光学装置は、第1の基板と、前記第1の基板上に設けられた発光素子と、前記第1の基板の前記発光素子が設けられた側に対向して配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に前記発光素子を覆うように設けられ、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合せる樹脂層と、を備え、前記発光素子が発する光は前記第2の基板側に射出され、前記第2の基板は、前記第1の基板に対向する対向面に、平面視で前記発光素子が設けられた領域を囲むように配置された複数の凸条部を有し、前記複数の凸条部は、前記対向面に対して傾斜して前記発光素子の方向を向くように配置された斜面を有し、前記樹脂層の外周端部は、平面視で前記複数の凸条部のうちの少なくとも一つと重なるように配置されていることを特徴とする。
本適用例の構成によれば、光が射出される側に位置する第2の基板に、平面視で発光素子が設けられた領域(発光領域)を囲むように配置された複数の凸条部が設けられている。複数の凸条部は、第1の基板に対向する対向面に対して傾斜して発光素子の方向を向くように配置された斜面を有しており、樹脂層の外周端部が平面視で複数の凸条部のうちの少なくとも一つと重なるように配置されている。そのため、発光素子から発せられ第1の基板の内面や第2の基板の対向面で反射されて横方向(対向面に沿った方向)に伝播し樹脂層の外周端部から漏れた光は、一旦外(空気中)へ出た後または直接複数の凸条部の斜面に入射する。
ここで、第2の基板に凸条部が設けられていない場合は、一旦外へ出た光が第2の基板に入射する際に、空気と第2の基板との界面で屈折されて入射角よりも屈折角が小さくなるため、光は第2の基板の正面(法線方向)側へ射出され易くなる。これに対して、本適用例の構成では、一旦外へ出た光が凸条部の斜面に入射するため、空気と凸条部との界面で、第2の基板の表面の法線方向に対する角度が大きくなる方向に屈折される。したがって、凸条部に入射して第2の基板から射出される光の法線方向に対する角度が、凸条部に入射する前よりも大きくなるので、凸条部が設けられていない場合と比べて、光は第2の基板の正面に対してより外側へ向けて射出される。また、凸条部に入射する光の法線方向に対する角度が大きくなることで、第2の基板と空気との界面に入射する光の入射角が臨界角以上になると、光は第2の基板と空気との界面で全反射されて第1の基板側へ射出される。これにより、迷光が樹脂層の外周端部から外へ漏れても、第2の基板の正面側から視認されにくくすることや、第2の基板の表面側へ射出されることを抑止することができる。
そして、複数の凸条部が設けられていることにより、第1の基板と第2の基板とを樹脂層で貼り合せる際に、樹脂層の濡れ広がりが凸条部で抑えられるので、樹脂層の外周端部の位置を制御し易くなる。これにより、より容易に樹脂層の外周端部を所定の範囲に位置させることができるので、樹脂層が第2の基板の外周端部よりも外側へはみ出すことを抑止できる。これらの結果、迷光が接着層の外周端部から外へ漏れて視認されることを抑え、かつ、接着剤のはみ出しを抑止して発光領域の外側の額縁領域をより小さく抑えることができる電気光学装置を提供できる。
[適用例2]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記複数の凸条部は、三角形の断面形状を有する凸条部を含むことが好ましい。
本適用例の構成によれば、凸条部の断面形状が三角形であるので、断面形状が四角形以上の多角形である場合と比べて、凸条部における斜面の面積をより大きくすることができる。これにより、より多くの迷光を凸条部の斜面に入射させて、正面から視認されにくくすることができる。
[適用例3]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記三角形の断面形状を有する凸条部の断面形状は、直角三角形であることが好ましい。
本適用例の構成によれば、凸条部の断面形状が直角三角形であるので、凸条部における斜面とは反対側の面、すなわち、平面視で発光領域とは反対側の面は、第2の基板の対向面に対して垂直な面となる。そのため、樹脂層の外周端部から漏れた光は、凸条部の斜面に入射し、斜面とは反対側の垂直な面には入射しない。これにより、さらに多くの迷光を凸条部の斜面に入射させて、正面から視認されにくくすることができる。
[適用例4]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記発光素子が設けられた領域は、第1の方向に沿った第1の辺および第2の辺と、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿った第3の辺および第4の辺と、で構成される矩形状であり、前記複数の凸条部は、前記第1の辺および前記第2の辺に沿って延在する第1の凸条部と、前記第3の辺および前記第4の辺に沿って延在する第2の凸条部と、を含むことが好ましい。
本適用例の構成によれば、矩形状の発光領域を囲むように、発光領域の4つの辺に沿って第1の部分と第2の部分とが配置されている。そのため、発光素子から発せられ4つの辺のそれぞれから横方向に伝播する迷光を、各辺に沿って延在する第1の凸条部および第2の凸条部の斜面に入射させることができる。これにより、電気光学装置の4つの辺のそれぞれにおいて、迷光が接着層の外周端部から外へ漏れて視認されることを抑え、かつ、樹脂層のはみ出しを抑止することができる。
[適用例5]上記適用例に係る電気光学装置であって、隣り合う前記第1の凸条部同士および隣り合う前記第2の凸条部同士が互いに接していることが好ましい。
本適用例の構成によれば、隣り合う第1の凸条部同士および隣り合う第2の凸条部同士が互いに接しているので、接着層の外周端部から外へ漏れる光は隣り合う第1の凸条部同士および隣り合う第2の凸条部同士の間で第2の基板に入射することはない。これにより、より多くの迷光を凸条部の斜面に入射させて、正面から視認されにくくすることができる。
[適用例6]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記第1の凸条部の端部と前記第2の凸条部の端部とが、前記発光素子が設けられた領域の角部において互いに接していることが好ましい。
本適用例の構成によれば、第1の凸条部の端部と第2の凸条部の端部とが発光領域の角部において互いに接しているので、発光領域の角部から横方向に伝播する迷光をいずれかの凸条部に入射させることができる。また、第1の基板と第2の基板とを樹脂層で貼り合せる際の角部における樹脂層の濡れ広がりを抑えることができる。
[適用例7]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記複数の凸条部は、前記第2の基板の屈折率以上の屈折率を有することが好ましい。
本適用例の構成によれば、複数の凸条部の屈折率は第2の基板の屈折率以上である。凸条部の屈折率が第2の基板の屈折率よりも大きいと、光が凸条部から入射して第2の基板との界面で屈折される際の屈折角が入射角よりも大きくなるので、屈折した光の第2の基板の法線方向に対する傾き(角度)が大きくなる。また、入射角が臨界角以上になれば、入射光は凸条部と第2の基板との界面で全反射される。そして、第2の基板の屈折率は空気の屈折率よりも大きいので、第2の基板から射出される光の法線方向に対する傾き(角度)はさらに大きくなる。これにより、迷光が接着層の外周端部から外へ漏れても、第2の基板の正面側(法線方向)から視認されにくくすることや、第2の基板の内面で第1の基板側へ全反射させ易くすることができる。
[適用例8]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記複数の凸条部は、前記対向面上に設けられていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、ナノインプリント法などを用いて、第2の基板の対向面上に複数の凸条部を形成することができる。
[適用例9]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記複数の凸条部は、前記対向面に溝部が形成されることで設けられていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、第2の基板の対向面をエッチングすることなどにより、第2の基板の対向面に溝部を形成することで複数の凸条部を設けることができる。
[適用例10]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記複数の凸条部は、断面形状または断面積が異なる凸条部を含むことが好ましい。
本適用例の構成によれば、複数の凸条部が断面形状または断面積が異なる凸条部を含んでいるので、複数の凸条部の内の一部の凸条部に、例えば、緩やかな斜面や段差部を有する構成とすることや、断面積が大きな凸条部を配置することで、樹脂層の濡れ広がりを効果的に抑えることができる。
[適用例11]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記第1の基板は、前記第2の基板に対向する面に、平面視で前記複数の凸条部と重なる光吸収層を備えていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、第1の基板は第2の基板に対向する面に、平面視で複数の凸条部と重なる光吸収層を備えている。そのため、迷光が第1の基板における平面視で複数の凸条部と重なる領域に入射しても、光吸収層で吸収されて第2の基板側へ反射されないので、正面側へ漏れる迷光をより少なくすることができる。
[適用例12]上記適用例に係る電気光学装置であって、前記発光素子は、第1の電極と、前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された有機発光層と、を含み、前記第1の基板は、前記発光素子を覆うように設けられた封止層を備え、前記樹脂層は、前記封止層を覆うように配置されていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、発光素子は有機発光層を有する有機EL素子であり、有機EL素子を覆う封止層を備えているので、酸素や水分から有機EL素子を保護できる。また、封止層を覆うように樹脂層が配置されているので、封止層に対する外部からの応力や衝撃を緩和できる。これにより、表示品質に優れ信頼性が高い有機EL装置を提供できる。
[適用例13]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、迷光の漏れを抑え額縁領域が小さい電気光学装置を備えた電子機器を提供できる。
第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の構成を示す模式平面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図。 第1の実施形態に係る凸条構造を説明する概略図。 図3のD部をさらに拡大して示す概略断面図。 第2の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図。 第2の実施形態に係る凸条構造を説明する概略図。 第2の実施形態に係る凸条構造を説明する概略図。 第3の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図。 第4の実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイの構成を示す概略図。 変形例1に係る有機EL装置の構造を示す概略断面図。 変形例2に係る有機EL装置の構造を示す概略断面図。 比較例に係る有機EL装置の構成を示す概略断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大又は縮小して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、又は基板の上に他の構成物を介して配置される場合、又は基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
(第1の実施形態)
<電気光学装置>
まず、第1の実施形態に係る電気光学装置としての有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図2は、第1の実施形態に係る有機EL装置の構成を示す模式平面図である。
図1に示すように、有機EL装置1は、スイッチング素子としてトランジスターを用いたアクティブマトリックス型の有機EL装置である。トランジスターは、例えば、薄膜半導体層を用いた薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、以下、TFTという)である。
有機EL装置1は、第1の基板としての素子基板10(図2参照)と、素子基板10上に設けられた走査線12と、走査線12に対して交差する方向に延びる信号線13と、信号線13に並列に延びる電源線14とを備えている。信号線13には、シフトレジスター、レベルシフター、ビデオライン、およびアナログスイッチを備えた信号線駆動回路15が接続されている。また、走査線12には、シフトレジスター及びレベルシフターを備えた走査線駆動回路16が接続されている。
走査線12と信号線13とによりサブ画素34(図2参照)の領域が区画されている。サブ画素34は、有機EL装置1の表示の最小単位であり、例えば、走査線12の延在方向と信号線13の延在方向とに沿ってマトリックス状に配列されている。各サブ画素34には、スイッチング用トランジスター21と、駆動用トランジスター23と、保持容量22と、第1の電極としての陽極24と、第2の電極としての陰極25と、有機発光層を含む発光機能層26とが設けられている。
陽極24と、陰極25と、有機発光層を含む発光機能層26とによって、発光素子としての有機EL素子27が構成される。有機EL素子27では、陽極24側から注入される正孔と、陰極25側から注入される電子とが発光機能層26の発光層で再結合することにより発光が得られる。
有機EL装置1では、走査線12が駆動されてスイッチング用トランジスター21がオン状態になると、信号線13を介して供給される画像信号が保持容量22に保持され、保持容量22の状態に応じて駆動用トランジスター23のソースとドレインとの間の導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスター23を介して陽極24が電源線14に電気的に接続したとき、電源線14から陽極24に電流が流れ、さらに発光機能層26を通じて陰極25に電流が流れる。
この電流は、駆動用トランジスター23のソースとドレインとの間の導通状態に応じたレベルとなる。このとき、駆動用トランジスター23のソースとドレインとの間の導通状態、すなわち、駆動用トランジスター23のチャネルの導通状態は、駆動用トランジスター23のゲートの電位により制御される。そして、発光機能層26の発光層は、陽極24と陰極25との間に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
換言すれば、有機EL素子27の発光状態を駆動用トランジスター23により制御するとき、駆動用トランジスター23のソース及びドレインのいずれか一方が電源線14に電気的に接続され、駆動用トランジスター23のソース及びドレインのいずれか他方が有機EL素子27に電気的に接続される。
図2に示すように、素子基板10は、略矩形の平面形状を有している。素子基板10と平面視で重なるように、略矩形の平面形状を有する第2の基板としての対向基板40が配置されている。素子基板10と対向基板40とは、樹脂層44を介して貼り合わされている。
本明細書では、走査線12(図1参照)と平行な方向を第1の方向としてのX方向とし、X方向と交差する方向であって信号線13(図1参照)と平行な方向を第2の方向としてのY方向とする。また、X方向およびY方向と交差する素子基板10および対向基板40の厚さ方向をZ方向とする。なお、図2に示すように、有機EL装置1を対向基板40の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。また、対向基板40を法線方向から平面視する側を「正面側」という。
有機EL装置1は、素子基板10上に、略矩形の平面形状を有する発光領域Eと、発光領域Eの周囲を囲む第2の領域としての額縁領域Fとを有している。発光領域Eは、有機EL装置1において、実質的に発光に寄与する領域である。額縁領域Fは、有機EL装置1において、実質的に発光に寄与しない領域である。有機EL装置1は、額縁領域Fに有機EL素子27が配置されたダミー領域を備えていてもよい。
なお、携帯機器等の電子機器では、機器の外形を小型化するため、電子機器の外形に対して表示部をできるだけ大きく(広く)することが求められる。したがって、有機EL装置1が携帯機器等の小型の電子機器の表示部に用いられる場合、素子基板10の外形に対して、発光領域Eは極力大きく(広く)、額縁領域Fは極力小さい(狭い)ことが望ましい。
発光領域Eには、サブ画素34(有機EL素子27)が、例えばマトリックス状に配列されている。サブ画素34は、例えば略矩形の平面形状を有している。サブ画素34の矩形形状の4つの角は丸く形成されていてもよい。この場合、サブ画素34の平面形状は、4つの辺と4隅に対応する湾曲部から構成されてもよい。
本実施形態に係る有機EL装置1は、赤色(R)を発光するサブ画素34Rと、緑色(G)を発光するサブ画素34Gと、青色(B)を発光するサブ画素34Bと、を有している。サブ画素34R,34G,34Bに対応して、赤色有機EL素子27R、緑色有機EL素子27G、青色有機EL素子27Bが設けられている。以下では、対応する色を区別しない場合には、それぞれ単にサブ画素34、有機EL素子27と記す。
有機EL装置1では、サブ画素34R,34G,34Bにより、画像を形成する際の一つの単位である画素35が構成される。有機EL装置1は、それぞれの画素35においてサブ画素34R,34G,34Bのそれぞれの輝度を適宜変えることで、種々の色の光を射出することができる。これにより、有機EL装置1は、フルカラー表示又はフルカラー発光が可能である。
対向基板40は、額縁領域Fに配置された凸条構造41を有している。凸条構造41は、図2に間隔の狭い右下斜線で示すように、対向基板40の外周端部に沿って平面視で発光領域Eの周囲を囲むように配置されている。凸条構造41は、複数設けられた第1の凸条部としての凸条部43と、複数設けられた第2の凸条部としての凸条部42とで構成される。
略矩形の発光領域Eの外周の4辺のうち、X方向に沿った第1の辺をE1とし、第1の辺と対向する第2の辺をE2とする。また、Y方向に沿った第3の辺をE3とし、第3の辺と対向する第4の辺をE4とする。凸条部43は、発光領域Eの第1の辺E1および第2の辺E2に沿って延在するように配置されている。凸条部42は、発光領域Eの第3の辺E3および第4の辺E4に沿って延在するように配置されている。樹脂層44は、図2に間隔の広い左下斜線で示すように、平面視で発光領域Eを覆うとともに凸条構造41(凸条部43および凸条部42)の一部と重なるように配置されている。
発光領域Eの周囲には、2つの走査線駆動回路16(図1参照)と検査回路(図示省略)とが配置されている。検査回路は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路である。素子基板10の外周縁部には、陰極用配線(図示省略)が配置されている。また、素子基板10の一つの辺側には、端子部37が設けられている。有機EL装置1は、端子部37において、例えば、駆動用ICを備えたフレキシブル基板等に接続される。
続いて、第1の実施形態に係る有機EL装置1の構造について図3〜図6を参照して説明する。図3および図4は、第1の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図である。詳しくは、図3(a)は図2のA−A’線に沿った概略断面図であり、図3(b)は図3(a)のC部を拡大して示す概略断面図である。図4は、図3(a)のD部を拡大して示す概略断面図である。図5は、第1の実施形態に係る凸条構造を説明する概略図である。詳しくは、図5(a)は図2のB部を拡大して示す概略平面図であり、図5(b)は凸条構造を示す斜視図である。図6は、図3のD部をさらに拡大して示す概略断面図である。
本明細書では、図3(a),(b)における有機EL装置1の対向基板40側(+Z方向)を「上方」といい、素子基板10側(−Z方向)を「下方」という。また、図3(a),(b)における対向基板40の外周端部側から見て発光領域E側を「内側」といい、発光領域E側から見て対向基板40の外周端部側を「外側」という。
図3(a)に示すように、有機EL装置1は、素子基板10と、素子基板10上に設けられた有機EL素子27と、有機EL素子27を覆う封止層30と、素子基板10の有機EL素子27が設けられた側に対向して配置された対向基板40と、素子基板10と対向基板40との間に配置された樹脂層44と、を備えている。対向基板40は、素子基板10に対向する対向面40aに凸条構造41を有している。
素子基板10および対向基板40は、例えば、ガラス、石英、樹脂、セラミック等からなる。素子基板10の材料は、シリコン(Si)であってもよい。有機EL装置1は、有機EL素子27が発した光が、上方の対向基板40側に射出されるトップエミッション型である。したがって、対向基板40には透光性材料が用いられる。
凸条構造41は、対向基板40の外周端部側に配置されている。詳細は後述するが、凸条構造41は、樹脂層44の外周端部や対向基板40の外周端部から漏れた迷光を正面側(対向基板40の表面の法線方向)から視認されにくくする機能と、樹脂層44の対向基板40の外周端部からのはみ出しを抑止する機能とを有している。凸条構造41を構成する凸条部42および凸条部43(図5(a)参照)は、対向基板40の対向面40aから素子基板10側へ突出するように設けられている。
凸条部42および凸条部43は、光透過性を有し、対向基板40の屈折率と等しいか、それよりも大きい屈折率を有している。凸条部42および凸条部43は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などで構成され、ナノインプリント法などを用いて形成することができる。
樹脂層44は、素子基板10と対向基板40との間に、有機EL素子27と封止層30とを覆うように配置されている。樹脂層44は、素子基板10と対向基板40とを貼り合せる機能を有している。また、樹脂層44により封止層30および有機EL素子27に対する外部からの応力や衝撃を緩和できる。樹脂層44の外周端部は、対向基板40の外周端部よりも内側に配置されている。樹脂層44は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の透光性を有する樹脂材料を用いることができる。
なお、封止層30(後述する緩衝層31およびガスバリア層32)のうちガスバリア層32が素子基板10の全面を覆うように形成されている場合は、樹脂層44がガスバリア層32の外周端部よりも内側に配置されていてもよい。このような場合でも、樹脂層44は緩衝層31を覆っていることが好ましい。
図4に示すように、有機EL装置1は、素子基板10上に設けられた回路素子層19と陽極24と隔壁(バンク)38と発光機能層26(26R,26G,26B)と陰極(共通電極)25と、封止層30とを備えている。以下では、対応する色を区別しない場合には、単に発光機能層26という。
回路素子層19は、駆動用トランジスター23と、第1層間絶縁膜17と、第2層間絶縁膜18とを備えている。回路素子層19の下層に、素子基板10を覆って形成された下地保護膜を備えていてもよい。
駆動用トランジスター23は、素子基板10上に、サブ画素34(34R,34G,34B)毎に設けられている。詳細な図示を省略するが、駆動用トランジスター23は、半導体膜とゲート絶縁膜とゲート電極とドレイン電極とソース電極とを有している。
第1層間絶縁膜17は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)、チタン酸化膜(TiO2)等からなり、ゲート絶縁膜とゲート電極とを覆って設けられている。第1層間絶縁膜17上には、ソース電極とドレイン電極とが形成されている。
ソース電極は、第1層間絶縁膜17に設けられたコンタクトホールを介して、半導体膜のソース領域に電気的に接続されている。ドレイン電極は、第1層間絶縁膜17に設けられたコンタクトホールを介して、半導体膜のドレイン領域に導電接続されている。
第2層間絶縁膜18は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)、チタン酸化膜(TiO2)等からなり、第1層間絶縁膜17とソース電極とドレイン電極とを覆って設けられている。第2層間絶縁膜18は、アクリル樹脂等で構成されていてもよい。
陽極24は、第2層間絶縁膜18上に、サブ画素34(34R,34G,34B)毎に設けられている。陽極24は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等の金属酸化物や合金等で構成される。陽極24は、例えば、平面視で略矩形状に形成されている。陽極24は、第2層間絶縁膜18に設けられたコンタクトホールを介して、駆動用トランジスター23のドレイン電極に電気的に接続されている。
第2層間絶縁膜18上には、隔壁38が、平面視で略格子状に設けられている。隔壁38は、例えば、断面形状が傾斜面を有する台形状であり、隣り合う陽極24間の絶縁性を確保するとともに、サブ画素34の形状を所望の形状(例えば、トラック形状)にするために、陽極24の周縁部に所定幅で乗り上げるように形成されている。換言すれば、隔壁38の開口部が、サブ画素34の領域となる。隔壁38は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する有機材料からなる。なお、第2層間絶縁膜18と隔壁38との間に、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)等の無機材料からなる絶縁層が設けられていてもよい。
発光機能層26は、隔壁38に区画された領域における陽極24上に設けられている。発光機能層26は、サブ画素34(34R,34G,34B)毎、すなわち、有機EL素子27(27R,27G,27B)毎に異なる。サブ画素34R(有機EL素子27R)には赤色発光する発光機能層26Rが配置され、サブ画素34G(有機EL素子27G)には緑色発光する発光機能層26Gが配置され、サブ画素34B(有機EL素子27B)には青色発光する発光機能層26Bが配置されている。
発光機能層26は、有機材料で構成された発光層(エレクトロルミネッセンス層)を有する。発光機能層26は、発光層の他に、正孔輸送層、正孔注入層、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、電子阻止層等の他の層を備える構成であってもよい。有機EL装置1がトップエミッション型の場合、発光機能層26(26R,26G,26B)から発せられた各色光は、図4に示すように上方へ射出される。
発光機能層26上には、隔壁38及び発光機能層26を覆うように陰極25が設けられている。陰極25は、例えば、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)等の金属又はこれらの金属化合物で構成される。陰極25と封止層30との間に、陰極25を覆う陰極保護層が設けられていてもよい。
封止層30は、陰極25を覆うように設けられている。封止層30は、緩衝層31と、ガスバリア層32とで構成される。緩衝層31は、隔壁38に起因する有機EL素子27の表面の凹凸を緩和する機能を有し、その上面は略平坦に形成されている。緩衝層31は、素子基板10側から発生する反りや応力を緩和し、隔壁38からの陰極25の剥離を防止する機能も有している。緩衝層31は、親油性を有する高分子材料(有機樹脂材料)、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等の材料からなる。
ガスバリア層32は、緩衝層31を覆うように設けられている。ガスバリア層32は、その内側に酸素や水分が浸入するのを防止する機能を有する。これにより、陰極25や発光機能層26への酸素や水分の浸入が抑えられるので、陰極25や発光機能層26の劣化等を抑えることができる。ガスバリア層32は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)やシリコン酸窒化膜(SiON)等の無機化合物からなる。ガスバリア層32は、例えば、高密度プラズマ成膜法等によって硬い緻密な膜に形成される。
緩衝層31の上面が略平坦に形成されているので、緩衝層31上に硬い被膜で形成されるガスバリア層32の膜厚が略均一となる。これにより、ガスバリア層32における特定の部位への応力の集中が抑えられるので、ガスバリア層32におけるクラックの発生防止を図ることができる。ガスバリア層32は、素子基板10の全面を覆うように形成されていてもよい。
なお、ここでは、有機EL装置1において、発光機能層26が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光を発光する構成を一例として説明したが、有機EL装置1は、発光機能層26が白色光を発光し、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光を透過するカラーフィルターを備えた構成であってもよい。また、有機EL装置1は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各波長帯域の光を共振させる光共振構造を有していてもよい。
<凸状構造>
続いて、凸条構造41が有する凸条部42および凸条部43の構成を詳しく説明する。図3(b)および図5(b)に示すように、凸条部42は、三角形の断面形状を有する三角柱状に形成されている。各凸条部42は、Y方向に沿って延在しており、隣り合う凸条部42同士は互いに接している。各凸条部42は、対向面40aに対して傾斜した斜面42aと斜面42bとを有している。斜面42aは、内側、すなわち有機EL素子27の方向を向くように配置されている。斜面42bは、外側、すなわち有機EL素子27とは反対側を向くように配置されている。
図3(b)および図5(b)には図示されていないが、凸条部43も、凸条部42と同様に三角形の断面形状を有する三角柱状に形成されている。図5(a)に示すように、各凸条部43は、X方向に沿って延在しており、隣り合う凸条部43同士は互いに接している。各凸条部43は、対向面40a(図3(b)参照)に対して傾斜した斜面43aと斜面43bとを有している。斜面43aは内側の有機EL素子27の方向を向くように配置されており、斜面43bは有機EL素子27とは反対側を向くように配置されている。
また、凸条部42および凸条部43は、発光領域Eの角部(対向基板40の角部)まで延在しており、凸条部42の端部と凸条部43の端部とは、発光領域Eの角部で互いに接している。凸条部42と凸条部43とは、延在する方向が異なる以外は同様の構成を有しているので、以降の説明では、凸条部42および凸条部43のうち凸条部42について説明する。
図3(b)に示すように、樹脂層44の外周端部は、平面視で凸条構造41の一部と重なるように配置されている。対向基板40の外周端部から樹脂層44の外周端部までの距離をW1とする。W1は、例えば、200μm〜800μm程度である。各凸条部42のX方向における幅(三角形の断面の底辺の長さ)をW2とする。凸条構造41全体のX方向における幅、すなわち、対向基板40の外周端部から凸条構造41の内側端部まで距離をW3とする。樹脂層44の外周端部は、複数の凸条部42のうち最も内側の凸条部42と重なり、かつ、その隣の凸条部42の一部と重なるように配置されていることが好ましい。したがって、W1+W2<W3<W1+2×W2であることが好ましい。
素子基板10と対向基板40とのギャップ、すなわち、樹脂層の厚さをT1とすると、T1は、例えば、10μm〜200μm程度である。凸条部42の高さ(厚さ)をT2とすると、2μm<T2<T1/2であることが好ましい。T2が2μm以下であると、凸条構造41による光の干渉が生じる場合がある。対向面40aに対する斜面42aの角度aは特に限定されない。なお、これらの幅、厚さ、および大小関係は、凸条部43についても同様である。
ここで、本実施形態に係る有機EL装置1が備える凸条構造41の機能と、その機能を果たすために好ましい構成とを、従来の有機EL装置と比較して説明する。図14は、比較例に係る有機EL装置の構成を示す概略断面図である。図14(a)に示す有機EL装置8は、本実施形態に係る有機EL装置1に対して、凸条構造41を備えていない点以外はほぼ同様の構成を有している。
上述したように、有機EL素子27から発せられた光は上方へ射出されるが、例えば、対向基板40の法線方向を中心として上方へ向かって放射状に広がるように射出される。そのため、図14(a)に示すように、有機EL素子27から発せられる光の中には、素子基板10や対向基板40の内面(素子基板10や対向基板40と空気との界面)で全反射され対向面40aに沿った横方向に伝播して、いわゆる迷光となる光L1,L2が存在する。
例えば、光L1は対向基板40の内面と素子基板10の内面とで全反射されて、樹脂層44の外周端部から外(空気中)へ射出される。このとき、空気の屈折率よりも樹脂層44の屈折率の方が大きいため、光L1は樹脂層44と空気との界面で屈折され、樹脂層44の外周端部の法線方向に対する屈折角は入射角よりも大きくなる。樹脂層44の外周端部の法線方向は、対向面40aの法線方向と略直交する方向である。その結果、空気中に射出された光L1の対向面40aの法線方向に対する角度は樹脂層44内における角度よりも小さくなる。
光L1が空気中から対向基板40に入射すると、空気の屈折率よりも対向基板40の屈折率の方が大きいので、光L1は空気と対向基板40との界面で屈折され、対向面40aの法線方向に対する屈折角は入射角よりも小さくなる。したがって、対向基板40に入射した光L1の対向面40aの法線方向に対する角度は空気中における角度よりもさらに小さくなる。そして、光L1は、対向基板40と空気との界面で屈折されて上方へ射出され、対向面40aの法線方向に対する角度は入射角よりも大きくなるものの、対向基板40の正面側から視認されてしまう。
また、光L2は、対向基板40の内面と素子基板10の内面とで全反射された後、樹脂層44の外周端部から外へ出ることなく再び対向基板40の内面と対向面40aとで全反射されて、対向基板40の外周端部から外(空気中)へ射出される。このとき、空気の屈折率よりも対向基板40の屈折率の方が大きいため、光L2は対向基板40の外周端部と空気との界面で屈折されて上方へ射出されるので、対向基板40の正面側から視認されてしまう。このような迷光L1,L2が有機EL装置6の正面側へ射出されると、有機EL装置8の表示品質を低下させてしまうという課題がある。
そこで、上述の課題を解決する方法の一つとして、図14(b)に示す有機EL装置9のように、遮光性を有するフレーム60で対向基板40の外周端部側を覆うことにより、迷光L1,L2が有機EL装置9の正面側へ射出されないようにする構成が用いられる。しかしながら、フレーム60を用いる場合、フレーム60と有機EL装置9との確実な固定や、フレーム60と有機EL装置9とのクリアランス確保などのため、結果として、額縁領域F(図3(a)参照)が大きくなり、有機EL装置9を小型化することが困難となるという課題がある。
本実施形態に係る有機EL装置1では、図3(a)に示すように、光L1は、対向基板40の内面と素子基板10の内面とで全反射されて樹脂層44の外周端部から外(空気中)へ射出された後、凸条部42(凸条構造41)の斜面42a(図6(a)参照)に入射する。図6(a)には、樹脂層44(図3(a)参照)の外周端部から射出された光L1が、凸条部42の斜面42aに入射し、対向基板40から射出されるまでの軌跡が示されている。
図6(a)において、斜面42aの対向面40aに対する傾斜角度をaとし、斜面42aに入射する光L1の対向面40aの法線方向に対する角度をbとすると、斜面42aに対する光L1の入射角は(a−b)となる。凸条部42の屈折率は空気の屈折率よりも大きいので、空気と凸条部42との界面で屈折された光L1の屈折角cは、入射角(a−b)よりも小さくなる。したがって、凸条部42に入射した光L1の対向面40aの法線方向に対する角度(a−c)は、光L1が斜面42aに入射した角度bよりも大きくなる。
光L1は、入射角(a−c)で対向基板40に入射するが、凸条部42の屈折率が対向基板40の屈折率と同じ場合は、光L1はそのまま直進するので、光L1の屈折角dは入射角(a−c)と同じとなる。凸条部42の屈折率が対向基板40の屈折率よりも大きい場合は、凸条部42と対向基板40との界面で屈折された光L1の屈折角dは、入射角(a−c)よりも大きくなる。そして、光L1が対向基板40から射出され、対向基板40と空気との界面で屈折されると、屈折角eは入射角dよりも大きくなる。したがって、凸条部42に入射して屈折を繰り返すことで、対向面40aの法線方向に対する光L1の傾斜角度(屈折角e)は、斜面42aに入射した際の角度bに対して大きくなり、対向基板40の正面側から視認されにくくなる。
斜面42aに入射する光L1の角度bが大きくなると、入射角(a−b)が小さくなるので、屈折角cはより小さくなり対向基板40への入射角(a−c)はより大きくなる。そうすると、凸条部42の屈折率が対向基板40の屈折率よりも大きい場合、対向基板40に入射する光L1の屈折角dがより大きくなるので、対向基板40から射出される光L1の傾斜角度(屈折角e)はより大きくなる。斜面42aに入射する光L1の角度bが斜面42aの傾斜角度aよりも大きい場合(b>a)は、角度bが傾斜角度aよりも小さい場合(b<a)と比べて、対向基板40から射出される光L1の傾斜角度(屈折角e)はより大きくなる。
さらに、光L1の対向基板40と空気との界面への入射角dが臨界角以上に大きくなると、図3(a)に示すように、光L1は対向基板40と空気との界面で全反射されて、対向基板40の外周端部から下方側に向けて射出されるので、正面側からは視認されなくなる。
また、図3(a)に示すように、光L2は、対向基板40の内面と素子基板10の内面とで全反射された後、凸条部42を通過し再び対向基板40の内面で全反射されて対向面40aと凸条部42との界面に向かう。ここで、従来のように凸条部42がない構成では対向面40aと空気との界面で全反射が起こり得るが、凸条部42の屈折率が対向基板40の屈折率以上であるので、対向面40aと凸条部42との界面では全反射は起こらない。そして、隣り合う凸条部42同士が互いに接しているので、光L1は対向基板40から凸条部42に入射する。この結果、光L2は、凸条部42の斜面42a(図6(a)参照)から下方側に向けて射出されるので、正面側からは視認されなくなる。
なお、凸条部42の屈折率が対向基板40の屈折率よりも大きい場合は、図6(b)に示すように、凸条部42から対向基板40へ入射する光L1の入射角(a−c)が臨界角以上になると、凸条部42と対向基板40との界面で全反射が起こる。光L1が凸条部42と対向基板40との界面で全反射されると、光L1は凸条部42の斜面42aから下方側へ射出されるので、正面側からは視認されなくなる。
なお、図6(a)において、凸条部42に入射する位置やその角度によって、凸条部42に入射した光L1が凸条部42から一旦外(空気中)へ射出された後、隣り合う凸条部42に入射する場合がある。このような場合でも、隣り合う凸条部42から対向基板40へ入射することで、対向基板40から射出される光L1の傾斜角度(屈折角e)は、最初に斜面42aに入射した際の角度bに対して大きくなる。また、隣り合う凸条部42同士が互いに接しているので、樹脂層44の外周端部から射出された光L1が隣り合う凸条部42同士の間で直接対向基板40に入射することはない。
有機EL装置1を、光学レンズで拡大しその表示を見るヘッドマウントディスプレイや電子ビューファインダーなどの電子機器に用いる場合、光L1が対向基板40から射出される角度eが光学レンズの臨界角度を超えれば、光L1は光学レンズで反射してしまうこととなる。したがって、光学レンズの臨界角度が、例えば30°である場合、光L1が対向基板40から射出される角度eが30°を超えれば、光L1はほぼ視認されなくなる。また有機EL装置1を直視型ディスプレイとして用いる場合、光L1が対向基板40から射出される角度eが例えば75°を超えれば、光L1は対向基板40の正面側からほぼ視認されなくなる。
ここで、空気の屈折率が1.0であり、対向基板40の屈折率が1.5であるとする。凸条部42の屈折率をnとすると、斜面42aの対向面40aに対する傾斜角度aと、斜面42aに入射する光L1の対向面40aの法線方向に対する角度bとから、光L1が対向基板40から射出される角度eを次の関係式で表すことができる。
e=asin(n×sin(a−asin((sin(a−b))/n)))
例えば、凸条部42の屈折率n=1.5で、斜面42aの角度a>51°である場合は、光L1が対向基板40から射出される角度e>30°となる。この場合、凸条部42の屈折率nが対向基板40の屈折率と同じであるので、凸条部42から対向基板40へ入射する際、光L1は凸条部42と対向基板40との界面で屈折されることなく直進する。すなわち、対向基板40へ入射する際の入射角(a−c)と屈折角dとは等しくなる。
凸条部42の屈折率nが対向基板40の屈折率よりも大きければ、屈折角dが入射角(a−c)よりも大きくなるので、光L1が対向基板40から射出される角度eはさらに大きくなる。したがって、有機EL装置1を光学レンズで拡大してみる電子機器に用いる場合に、このような条件を満足するように凸条部42および凸条部43を構成すれば、迷光である光L1,L2の漏れによるコントラスト低下などの表示品質の低下を抑止できる。
また、例えば、屈折率n=1.8で、斜面42aの角度a>62°であると角度e>75°となる。したがって、有機EL装置1を直視型ディスプレイとして用いる場合に、このような条件を満足するように凸条部42および凸条部43を構成すれば、迷光である光L1,L2の漏れによる表示品質の低下を抑止できる。
なお、上述したように、凸条部42および凸条部43は、発光領域Eの角部(対向基板40の角部)まで延在しており、凸条部42の端部と凸条部43の端部とは、互いに接している(図5(a)参照)。したがって、有機EL素子27から発せられ横方向に伝播して平面視で対向基板40の角部に向かう光L1,L2も、凸条部42および凸条部43のいずれかに入射する。これにより、対向基板40の角部から漏れる迷光も低減することができる。
続いて、上述の説明で、図3(b)においてW1+W2<W3<W1+2×W2であることが好ましいとした理由を説明する。図3(b)に示すように、樹脂層44の外周端部が凸条部42と重なるように配置することで、樹脂層44の外周端部から外側へ漏れる光が凸条部42の斜面42aに入射し易くなる。
樹脂層44の外周端部が最も内側の凸条部42よりも内側にある場合、樹脂層44の外周端部から外側へ漏れる光が対向基板40の対向面40aに直接入射してしまう。一方、樹脂層44の外周端部が対向基板40の外周端部に近くなるほど、樹脂層44の外周端部から外側へ漏れる光が凸条部42に入射することなくそのまま有機EL装置1の外へ射出されてしまうリスクが大きくなる。したがって、樹脂層44の外周端部は、複数の凸条部42(凸条部43)のうち最も内側の凸条部42(凸条部43)と重なり、かつ、その隣の凸条部42(凸条部43)の一部と重なるように配置されていることが好ましい。
また、凸条構造41により、素子基板10と対向基板40とを貼り合せる際の樹脂層44の濡れ広がりを抑えることができるので、対向基板40の外周端部からの樹脂層44のはみ出しを抑止できる。ここで、凸条部42および凸条部43は、発光領域Eの角部(対向基板40の角部)まで延在しており、凸条部42の端部と凸条部43の端部とは、互いに接している。したがって、X方向に延在する凸条部43とY方向に延在する凸条部42とで枠状に樹脂層44の濡れ広がりを抑えられる。その結果、樹脂層44の外周端部の位置が制御し易くなるので、額縁領域Fを小さく設定することが可能となる。
有機EL装置1は、公知の技術を用いて製造できる。有機EL装置1は、例えば、有機EL装置1(素子基板10)を複数枚取りできる大型のマザー基板の状態で加工が行われる。すなわち、素子基板10のマザー基板上に有機EL素子27を形成し、凸条構造41を形成した対向基板40のマザー基板と、樹脂層44で貼り合せた後、最終的にそのマザー基板を分断して個片化することにより、複数の有機EL装置1が得られる。
なお、マザー基板を分断する際に分断位置がばらついてしまう場合がある。対向基板40のマザー基板における分断位置がばらつくと、対向基板40の外周端部の位置が本来の位置よりも内側に寄ってしまう場合がある。このような場合でも、図3(b)においてW1+W2<W3<W1+2×W2とすることで、樹脂層44の外周端部から外側へ漏れる光L1を抑えるとともに、対向基板40の外周端部からの樹脂層44のはみ出しを抑えることができる。
(第2の実施形態)
<電気光学装置>
次に、第2の実施形態に係る電気光学装置としての有機EL装置について、図7〜図9を参照して説明する。図7は、第2の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図である。詳しくは、図7は、図2のA−A’線に沿った概略断面図に相当する。図8および図9は、第2の実施形態に係る凸条構造を説明する概略図である。詳しくは、図8(a)は図2のB部を拡大して示す概略平面図に相当し、図8(b)は凸条構造を示す斜視図である。図9(a)は図7のD部を拡大して示す概略断面図であり、図9(b)は第1の実施形態に係る凸条構造を比較して示す概略断面図である。
第2の実施形態に係る有機EL装置2は、凸条構造45の構成が異なる点以外は、第1の実施形態とほぼ同様の構成を有している。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
<凸条構造>
図7に示すように、第2の実施形態に係る有機EL装置2では、対向基板40は、素子基板10に対向する対向面40aに凸条構造45を有している。第2の実施形態に係る凸条構造45は、複数設けられた凸条部46と凸条部47(図8(a)参照)とで構成される。
図8(a)に示すように、各凸条部46はY方向に沿って設けられており、隣り合う凸条部46同士は互いに接している。各凸条部47はX方向に沿って設けられており、隣り合う凸条部47同士は互いに接している。凸条部46および凸条部47は、発光領域Eの角部(対向基板40の角部)まで延在しており、凸条部46の端部と凸条部47の端部とは、互いに接している。樹脂層44は、平面視で発光領域Eを覆うとともに凸条構造45(凸条部46および凸条部47)の一部と重なるように配置されている。
図7および図8(b)に示すように、凸条部46は、直角三角形の断面形状を有する直角三角柱状に形成されている。各凸条部46は、対向面40aに対して傾斜した斜面46aと、対向面40aに対して略垂直な垂直面46bとを有している。斜面46aは内側の有機EL素子27の方向を向くように配置されており、垂直面46bは有機EL素子27とは反対側を向くように配置されている。
図7および図8(b)には図示されていないが、凸条部47も、凸条部46と同様に直角三角形の断面形状を有する直角三角柱状に形成されている。図8(a)に示すように、各凸条部47は、対向面40a(図7参照)に対して傾斜した斜面47aと、対向面40aに対して略垂直な垂直面47bとを有している。斜面47aは内側の有機EL素子27の方向を向くように配置されており、垂直面47bは有機EL素子27とは反対側を向くように配置されている。
凸条部46と凸条部47とは、延在する方向が異なる以外は同様の構成を有しているので、以降の説明では、凸条部46および凸条部47のうち凸条部46のみを記載する。
図9(a)に示すように、第2の実施形態に係る凸条構造45では、凸条部46が斜面46aと垂直面46bとを有しており、垂直面46bは有機EL素子27とは反対側に配置されている。そのため、有機EL素子27(図7参照)で発せられて横方向に伝播し樹脂層44(図7参照)の外周端部から射出された光L1は、斜面46aに入射し、垂直面46bには入射しない。
したがって、樹脂層44から射出される位置や角度にかかわらず、光L1は斜面46aのみに入射するので、対向基板40から射出される光L1の傾斜角度が大きくなり、正面側からは視認されにくくすることができる。また、光L1が凸条部46から対向基板40に入射する際、および、光L1が対向基板40から外へ射出される際の入射角が臨界角以上であれば、光L1は下方側へ全反射されるので、正面側からは視認されない。
一方、図9(b)に示すように、第1の実施形態に係る凸条構造41では、凸条部42が斜面42aと斜面42bとを有している。そのため、樹脂層44から射出される位置や角度によっては、光L1が斜面42aではなく斜面42bに入射する場合がある。光L1が斜面42bに入射した場合、対向面40aの法線方向に対する光L1の角度が同じであっても、光L1が斜面42aに入射した場合とは、斜面42bの法線方向に対する入射方向や入射角が異なる。その結果、光L1が、斜面42aに入射したときとは異なる方向に屈折されて、対向基板40の正面側へ射出されてしまう場合がある。
なお、図9(a),(b)では、凸条部42,46の屈折率が対向基板40の屈折率よりも大きく、光L1が凸条部42,46と対向基板40との界面で屈折する場合を示している。
第2の実施形態に係る凸条構造45では、第1の実施形態に係る凸条構造41と同様の効果が得られることに加えて、凸条部46における斜面46aとは反対側の垂直面46bには光L1が入射しないため、光L1が対向基板40の正面側へ射出されてしまうリスクを低減できる。これにより、第2の実施形態に係る凸条構造45では、第1の実施形態に係る凸条構造41と比べて、迷光である光L1,L2の漏れによる表示品質の低下をより効果的に抑止できる。
(第3の実施形態)
<電気光学装置>
次に、第3の実施形態に係る電気光学装置としての有機EL装置について、図10を参照して説明する。図10は、第3の実施形態に係る有機EL装置の概略断面図である。詳しくは、図10は、図2のA−A’線に沿った概略断面図に相当する。
第3の実施形態に係る有機EL装置3は、凸条構造51の構成が異なる点以外は、第2の実施形態とほぼ同様の構成を有している。第2の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図10に示すように、第3の実施形態に係る有機EL装置3は、素子基板10と、素子基板10上に設けられた有機EL素子27と、有機EL素子27を覆う封止層30と、素子基板10の有機EL素子27が設けられた側に対向して配置された対向基板50と、素子基板10と対向基板50との間に配置された樹脂層44と、を備えている。
対向基板50は、素子基板10に対向する対向面50aに凸条構造51を有している。凸条構造51は、Y方向に沿って複数設けられた凸条部52を有している。なお、第3の実施形態に係る凸条構造51も、上記実施形態と同様に、X方向に沿って複数設けられた凸条部を有しているが、延在方向が異なる点以外は凸条部52と同じ構成を有しているため、ここでは、凸条部52についてのみ説明する。
<凸条構造>
凸条部52は、直角三角形の断面形状を有する直角三角柱状に形成されている。各凸条部52は、対向面50aに対して傾斜した斜面52aと、対向面50aに対して略垂直な垂直面52bとを有している。斜面52aは内側の有機EL素子27の方向を向くように配置されており、垂直面52bは有機EL素子27とは反対側を向くように配置されている。凸条部52は、対向基板50の外周端部において、対向面50aにV字状の溝部が形成されることで設けられている。したがって、凸条部52は、対向基板50の一部であり、対向基板50と一体で設けられている。
このような凸条部52は、例えば、対向基板50を対向面50aからエッチングすることなどにより形成できる。例えば、対向基板50の対向面50a上に感光性のレジスト層を配置し、グレースケールマスクを用いた露光や多段階露光などにより、レジスト層に斜面52aと垂直面52bとを有する凸条部52の形状を形成する。そして、レジスト層と対向基板50とに異方性エッチングを施すことで、レジスト層に形成した形状が対向基板50に転写される。
第3の実施形態に係る凸条構造51の構成によれば、凸条部52が第2の実施形態に係る凸条部46と同様の断面形状を有しているので、第2の実施形態に係る凸条構造45と同様の効果が得られる。ただし、凸条構造51(凸条部52)が対向基板50と一体で設けられているため、凸条部52に入射した光は屈折することなく対向基板50と外(空気)との界面に向かうので、第2の実施形態において凸条部46の屈折率nが対向基板40の屈折率と同じ場合と同様となる。
また、第3の実施形態に係る凸条構造51の構成によれば、対向基板50の対向面50aにV字状の溝部が形成されることで凸条部52が設けられているので、溝部の底部では対向基板50の厚さが薄くなっている。そのため、マザー基板における分断位置にこのような溝部を配置すれば、万が一分断位置が所定の位置からずれてしまった場合でも、対向面50aの溝部で分断され易くなるので、マザー基板を分断して個片化する際の分断位置のばらつきが抑えられる。これにより、個片化された有機EL装置3における対向基板50の外形精度が向上するので、額縁領域Fをより小さく抑えることが可能となる。
(第4の実施形態)
<電子機器>
次に、第4の実施形態に係る電子機器について図11を参照して説明する。図11は、第4の実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイの構成を示す概略図である。
図11に示すように、第4の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD)100は、左右の目に対応して設けられた2つの表示部101と、表示部101の表示を拡大する光学レンズ(図示しない)とを備えている。観察者Mはヘッドマウントディスプレイ100を眼鏡のように頭部に装着することにより、表示部101に表示された文字や画像などを光学レンズで拡大して見ることができる。例えば、左右の表示部101に視差を考慮した画像を表示すれば、立体的な映像を見て楽しむこともできる。
表示部101には、上記実施形態に係る有機EL装置1,2,3のいずれかが搭載されている。したがって、コントラストが良好で優れた表示品質を有するとともに、小型で軽量のヘッドマウントディスプレイ100を提供することができる。
ヘッドマウントディスプレイ100は、2つの表示部101を有する構成に限定されず、左右のいずれかに対応させた1つの表示部101を備える構成としてもよい。
なお、上記実施形態に係る有機EL装置1,2,3が搭載される電子機器は、ヘッドマウントディスプレイ100に限定されない。有機EL装置1が搭載される電子機器としては、例えば、パーソナルコンピューターや携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワー、ヘッドアップディスプレイ、電子ビューファインダーなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態に係る有機EL装置1,2,3は、凸条構造として断面形状および断面積が同一の凸条部を複数有する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。凸条構造は異なる断面形状または断面積を有する凸条部を有していてもよい。図12は、変形例1に係る有機EL装置の構造を示す概略断面図である。詳しくは、図12(a)、(b)、(c)は、3つの異なる凸条構造の構成例を示す図であり、図3(a)のD部を拡大して示す概略断面図に相当する。
例えば、図12(a)に示す有機EL装置4のように、対向基板40に凸条構造45Aを備えていいてもよい。凸条構造45Aは、複数の凸条部46と、凸条部46よりも内側に凸条部46とは断面形状が異なる凸条部48とを有している。凸条部48は、凸条部42と同じ高さ(厚さ)T2を有しているが、凸条部48の幅W4は凸条部46の幅W2よりも大きい。したがって、凸条部48は、凸条部46の斜面46aよりも緩やかな斜面48aを有している。このようにすれば、凸条構造45Aの最も内側で樹脂層44との接触面積が大きくなるので、樹脂層44が濡れ広がり易い場合などに、樹脂層44の濡れ広がりを効果的に抑えることができる。
また、図12(b)に示す有機EL装置5のように、対向基板40に凸条構造45Bを備えていてもよい。凸条構造45Bは、複数の凸条部46と、凸条部46よりも内側に凸条部46とは断面形状が異なる凸条部49とを有している。凸条部48は、凸条部46の斜面46aに断面が矩形状の段差部49aが付加された断面形状を有している。このようにすれば、凸条構造45Bの最も内側で段差部49aが樹脂層44に対して壁となることで、樹脂層44が濡れ広がり易い場合などに、樹脂層44の濡れ広がりを効果的に抑えることができる。なお、この場合、例えば、凸条部49の幅W5を凸条部46の幅W2以上、段差部49aの高さT3を凸条部49の高さ(凸条部46の高さ)の1/2以下とすることができる。
また、図12(c)に示す有機EL装置6のように、対向基板40に凸条構造45Cを備えていてもよい。凸条構造45Cは、複数の凸条部46と、凸条部46よりも外側に凸条部46よりも断面積が大きい凸条部46Aとを有している。凸条部46Aの断面形状は凸条部46の断面形状と相似形の直角三角形であるが、凸条部46Aの断面積は凸条部46の断面積よりも大きい。このようにすれば、樹脂層44が濡れ広がる際に断面積が大きい凸条部46Aを乗り越えにくくなるので、樹脂層44が濡れ広がり易い場合などに、樹脂層44の濡れ広がりを効果的に抑えることができる。なお、この場合、例えば、凸条部46Aの高さを凸条部46の高さの3/2以下とすることができる。
(変形例2)
上記実施形態に係る有機EL装置1,2,3は、凸条構造として断面形状が三角形の凸条部を有する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。凸条部の断面形状は、有機EL素子27の方向を向くように配置された斜面を有していれば、四角形(台形)など三角形以外の形状であってもよい。
(変形例3)
上記実施形態に係る有機EL装置1,2,3において、素子基板10の対向基板40に対向する面に、光吸収層を備えた構成としてもよい。図13は、変形例2に係る有機EL装置の構造を示す概略断面図である。図13は、図2のA−A’線に沿った概略断面図に相当する。
図13に示す有機EL装置7は、第2の実施形態に係る有機EL装置2において、素子基板10上の平面視で凸条構造45と重なる領域に光吸収層としての遮光層11を備えた構成を有している。遮光層11は、例えば、黒色の色材を含んだ樹脂材料や、積層された色が異なる複数の着色層などで構成される。
素子基板10上に光を吸収する遮光層11を備えることで、有機EL素子27から発せられ対向基板40の内面で下方側に向けて全反射された光L1,L2は、遮光層11で吸収される。したがって、光L1は素子基板10の内面で上方に向けて反射されないので、横方向に伝播する光L1,L2のうち、凸条構造45に入射する光L1,L2の量を少なくすることができる。これにより、迷光である光L1,L2の漏れによる表示品質の低下をより一層効果的に抑止できる。
(変形例4)
上記実施形態、変形例1、および変形例2では、電気光学装置として、有機EL素子を発光素子として備えた有機EL装置を例にとり説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。本発明は、発光素子として無機EL素子を備えた無機EL装置や、発光素子として発光ダイオード(LED)を備えた電気光学装置にも適用することができる。
1,2,3,4,5,6,7,8,9…有機EL装置(電気光学装置)、10…素子基板(第1の基板)、11…遮光層(光吸収層)、24…陽極(第1の電極)、25…陰極(第2の電極)、26…発光機能層、27…有機EL素子(発光素子)、30…封止層、40…対向基板(第2の基板)、40a…対向面、43,47…凸条部(第1の凸条部)、42,46,46A,48,49,52…凸条部(第2の凸条部)、42a,42b,43a,43b,46a,47a,48a,52a…斜面、100…ヘッドマウントディスプレイ(電子機器)。

Claims (13)

  1. 第1の基板と、
    前記第1の基板上に設けられた発光素子と、
    前記第1の基板の前記発光素子が設けられた側に対向して配置された第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に前記発光素子を覆うように設けられ、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合せる樹脂層と、を備え、
    前記発光素子が発する光は前記第2の基板側に射出され、
    前記第2の基板は、前記第1の基板に対向する対向面に、平面視で前記発光素子が設けられた領域を囲むように配置された複数の凸条部を有し、
    前記複数の凸条部は、前記対向面に対して傾斜して前記発光素子の方向を向くように配置された斜面を有し、
    前記樹脂層の外周端部は、平面視で前記複数の凸条部のうちの少なくとも一つと重なるように配置されていることを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記複数の凸条部は、三角形の断面形状を有する凸条部を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記三角形の断面形状を有する凸条部の断面形状は、直角三角形であることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
  4. 前記発光素子が設けられた領域は、第1の方向に沿った第1の辺および第2の辺と、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿った第3の辺および第4の辺と、で構成される矩形状であり、
    前記複数の凸条部は、前記第1の辺および前記第2の辺に沿って延在する第1の凸条部と、前記第3の辺および前記第4の辺に沿って延在する第2の凸条部と、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  5. 隣り合う前記第1の凸条部同士および隣り合う前記第2の凸条部同士が互いに接していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
  6. 前記第1の凸条部の端部と前記第2の凸条部の端部とが、前記発光素子が設けられた領域の角部において互いに接していることを特徴とする請求項4または5に記載の電気光学装置。
  7. 前記複数の凸条部は、前記第2の基板の屈折率以上の屈折率を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  8. 前記複数の凸条部は、前記対向面上に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  9. 前記複数の凸条部は、前記対向面に溝部が形成されることで設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  10. 前記複数の凸条部は、断面形状または断面積が異なる凸条部を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  11. 前記第1の基板は、前記第2の基板に対向する面に、平面視で前記複数の凸条部と重なる光吸収層を備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  12. 前記発光素子は、第1の電極と、前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された有機発光層と、を含み、
    前記第1の基板は、前記発光素子を覆うように設けられた封止層を備え、
    前記樹脂層は、前記封止層を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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