JP2015056003A - 共振形インバータと多段倍電圧整流回路を用いた太陽電池部分影補償装置 - Google Patents

共振形インバータと多段倍電圧整流回路を用いた太陽電池部分影補償装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の太陽電池モジュールの直列接続により構成されるストリング(太陽電池モジュール鎖)において、部分影が発生した場合にもストリング全体としての出力電流を維持して影モジュールを最大動作点付近で動作させるための、システム及び方法を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール鎖の出力電圧をインバータに入力して交流電圧に変換し、多段倍電圧整流回路を介して当該交流電圧を太陽電池モジュール鎖に印加することにより、影モジュールに補償電流を優先的に供給する。補償電流によって太陽電池モジュール鎖全体の出力電流を維持すると同時に、補償電流の経路上で発生するインピーダンスにより影モジュールの動作電圧を降下させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、複数の太陽電池モジュールの直列接続により構成されるストリング(太陽電池モジュール鎖)において、部分影が発生した場合に各太陽電池モジュールの電気特性を擬似的に均等化する部分影補償装置に関する。
太陽電池は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電力に変換する電池であり、典型的には、p型半導体とn型半導体とを接合して電極等を取り付けてなる構造を有している。太陽電池は日照条件や温度に応じてその動作特性が変化するのであり、太陽電池に印加される電圧と太陽電池を流れる電流、及び太陽電池から発生する電力の関係は、一般的には図1に示すような動作特性曲線により表すことができる。図1の動作特性曲線が示すとおり、太陽電池は或る動作電圧にて最大電力を発生することができるのであり、太陽電池を用いた太陽光発電システムにおいて太陽光エネルギーを最大限に活用するためには、パワーコンディショナ等を用いて太陽電池モジュールを最大電力点(MPP:Maximum Power Point)で動作させる必要がある。
複数枚の太陽電池モジュールを直列に接続し、ストリングを構成して使用する場合、一部の太陽電池モジュールに影がかかる(このような影を、以下「部分影」と呼ぶ。)ために各太陽電池モジュール特性にばらつきが生じ、影のかかった太陽電池モジュール(以下、「影モジュール」と呼ぶ。)が逆バイアスされてしまう可能性がある。逆バイアスを防止するべく、一般的には、ストリングを構成する各太陽電池モジュールと並列にバイパスダイオードを接続した上でストリングを使用することが多いが、部分影発生時においては影モジュールに接続されたバイパスダイオードが導通することにより影モジュールが電力を発生できない状態となってしまうため、利用可能な電力が大幅に低下してしまうことが知られている。また、部分影の発生状況に応じて、ストリング全体の動作特性曲線上に複数のMPPが発生するため(図2中のB点とC点)、パワーコンディショナがストリングを真のMPP(図2中のB点)とは異なる非最適点(図2中のC点)で動作させてしまう可能性がある。
特開2012−028435号公報 特開2004−047585号公報 特開2013−105318号公報 特開2011−228598号公報
T. Shimizu, O, Hashimoto, and G. Kimura, "A novel high-performance utility-interactive photovoltaic inverter system," IEEE Trans. Power Electron., Vol. 18, No. 2, pp.704-711, Mar. 2003. T. Shimizu, M. Hirakata, T. Kamezawa, and H. Watanabe, "Generation control circuit for photovoltaic modules," IEEE Trans. Power Electron., Vol. 16, No. 3, pp.293-300, May 2001. S. Qin and R. C. N. Pilawa-Podgurski, "Sub-module differential power processing for photovoltaic applications," IEEE Applied Power Electron. Conf. Expo., pp.101-108, 2013. J. T. Stauth, M. D. Seeman, and K. Kesarwani, "Resonant switched-capacitor converters for sub-module distributed photovoltaic power management," IEEE Trans. Power Electron., Vol. 28, No. 3, pp.1189-1198, Mar. 2013. 鵜野、久木田、「多段倍電圧整流回路を用いた二石式直列共振形セル電圧バランス回路」、電気学会論文誌D、社団法人電気学会、平成25年4月、Vol.133 No.4 pp.475-483
部分影によるこれらの悪影響を低減する手段として、マイクロコンバータ/インバータによる太陽電池モジュール毎の個別制御、動作点走査を用いた真のMPP探索アルゴリズムを付加した制御の開発等が行われている。しかし、マイクロコンバータ/インバータ方式では太陽電池モジュール毎に電力変換器が必要となるため高コスト化する傾向にあり、一方、動作点走査を用いたMPP探索アルゴリズムは制御の複雑化や応答性低下、電力抽出率の低下など、依然として大きな課題を有している。その他多数の解決手法も提案されているが、膨大なデータ量に基づく演算や情報検出システムが必要となるためコストの増加が予想される。
部分影による特性劣化を防止する各種の部分影補償装置が提案されている。部分影補償装置は影のかかっていない太陽電池モジュール(以下、「日照モジュール」と呼ぶ。)から影モジュールへと電力伝送を行うことで擬似的に全ての太陽電池モジュールの電気的特性を均等化できるため、部分影発生時においてもマイクロインバータやMPP探索アルゴリズム等を用いることなく、通常のパワーコンディショナによって各太陽電池モジュールをMPPで動作させることができる。部分影補償装置としては図3a,図3bに示す双方向昇降圧コンバータを用いた方式や図4に示すスイッチトキャパシタコンバータを用いた方式等が提案されている。これらの部分影補償装置の回路構成は基本的には直列接続された蓄電セル用の電圧均等化回路と同様であるが、後述のとおり、部分影補償装置の特性は蓄電セル用均等化回路の特性とは若干異なることが好ましい。これらの部分影補償装置の方式では、複数個のスイッチが必要なため太陽電池モジュールの直列接続数の増加に伴い回路構成が飛躍的に複雑化する傾向にあり、且つ、電力伝送が隣接する太陽電池モジュール間に限られているため、太陽電池モジュールの直列数が多い場合には複数の太陽電池モジュールを経由して電力伝送が行われる過程で損失が大きくなるという問題も生じる。
太陽光発電システムには、十年以上に亘る長期運転が求められることが多いため、信頼性確保が重要である。また、太陽電池モジュールに電流リプルが重畳している場合、一般的には太陽電池モジュールの動作点が周期的にMPPから逸脱してしまう。信頼性向上のためには回路の簡素化が有効であり、リプル電流の低減はMPP動作の安定化のために必要不可欠である。以上の背景に鑑みれば、部分影補償装置としては、簡素な回路構成を備え、且つリプル電流出力が低い方式が望ましい。
図5に日照モジュールならびに影モジュールの電気的特性の代表例を示す。一般的に、太陽電池モジュールのMPPにおける電圧は太陽光の照射強度に依存し、強度が弱まるにつれてMPPの電圧VMPも低下する。部分影が発生している場合においては、図5に示すように、発生していない場合と比較してVMPも幾分低くなる。よって、部分影が発生している場合において全ての太陽電池モジュールの発電可能な電力を最大限に利用するためには、図5中の破線Aで示すように影モジュールを日照モジュールよりも低い電圧で動作させることが望ましい。しかしながら、直列接続された蓄電セル用の従来の電圧均等化回路は全ての蓄電セルの電圧が均一になるよう動作するため、これを部分影補償装置としてそのまま用いた場合は、図5中の破線Bで示すように各太陽電池モジュールの電圧が均等となる。このため、各太陽電池モジュールの電力を最大限に活用できなくなる可能性がある。各太陽電池モジュールの電圧が均等な状態においては、日照モジュールは最大電力点で動作可能な一方、影モジュールは最大電力点から離れた点で動作しているため、影モジュールの電力を有効に活用することができない。
以上の課題に鑑み、本発明は、直列接続された第1から第n(nは2以上の整数)のキャパシタの各々に対して、2つの直列接続されたダイオードが並列に接続され、更に、2つの直列接続されたダイオードの各々における中間点に中間キャパシタが接続された、多段倍電圧整流回路と、第k(k=1,2,…n)のキャパシタに対して並列接続された第kの太陽電池モジュールとして与えられる第1から第nの太陽電池モジュールを直列接続してなる、太陽電池モジュール鎖と、第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、入力された合計電圧を交流電圧に変換し、交流電圧を多段倍電圧整流回路に出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えたインバータとを備えた、太陽電池調整システムを提供する(本件第1発明)。
上記太陽電池調整システムによれば、ストリングを構成する太陽電池モジュールのうち影モジュールに補償電流を供給しつつ、影モジュールを日照モジュールよりも低い動作電圧で動作させることが可能となる。具体的には、後述の実施例で詳しく説明するとおり、インバータに含まれる容量性素子と誘導性素子、多段倍電圧整流回路に含まれる中間キャパシタ、及び各電流経路に生じる抵抗に起因して発生するインピーダンスにより、多段倍電圧整流回路から電流が優先的に流れ込む影モジュールに電圧降下が発生する。後述のとおり、この電圧降下は等価出力抵抗Routを用いて表すことができる。既に述べたとおり、影モジュールのMPPにおける電圧VMPは、(温度等、日照以外の動作環境、及び太陽電池モジュールの構造が同一であると仮定すれば)日照モジュールのMPPにおける電圧VMPよりも低い。したがって、パワーコンディショナやDC−DCコンバータ、負荷等を用いてストリング内の日照モジュールがMPP付近で動作するよう調整しつつ、本発明の太陽電池調整システムを動作させれば、影モジュールの動作電圧もMPPの電圧VMPに向かって調整されることになる。
上記インバータは、交流電圧の周波数を変更する手段を備えることが好ましい。後述の実施例で詳しく説明するとおり、上記インピーダンスはインバータから出力される交流電圧の周波数に依存するので、これを変更することができれば影モジュールの動作電圧も変更できることになる。これにより影モジュールの動作点をMPPに更に近づけることが可能となる。交流電圧の周波数を変更する手段としては、スイッチが考えられるが、これに限らず任意の手段を用いてよい。
上記インバータを、(1)第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、スイッチの切り替え状態に応じた電圧を出力する、スイッチを備えた入力回路と、(2)入力回路から出力された電圧を交流電圧に変換し、多段倍電圧整流回路に対して交流電圧を出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えた共振回路とを備えるよう構成することができる。交流電圧の周波数を変更する手段としてスイッチを用いる、本発明のシステムの一例である。このようなインバータを用いて本発明のシステムを構成すれば、入力回路でスイッチング周波数に応じた矩形波状の電圧を発生させ、これを共振回路で更に変換することにより正弦波状の交流電圧を出力する、等の態様でインバータから交流電圧を出力することが可能となる。
上記共振回路がトランスにより交流電圧を変圧した上で多段倍電圧整流回路に出力するよう、上記インバータを構成することができる。上述のインピーダンスによる影モジュールの電圧降下は当該影モジュールに流れ込む電流の大きさに依存すると考えられるため、トランスにより交流電圧を変圧してから多段倍電圧整流回路に出力することで当該電流の大きさを変更することができれば、影モジュールにおける電圧降下も変更できる。
(1)上記入力回路を、直列接続された第1及び第2のスイッチの各々にフライホイールダイオードを並列接続することにより構成し、第1及び第2のスイッチのうちオンとするスイッチを経時的に切り替えることによって、第1及び第2のスイッチの両端間に直流電圧が入力されたときに、第1及び第2のスイッチの中間点にある第1の端子と、第2のスイッチの両端のうち第1の端子とは異なる側にある、第2の端子と、の間に矩形波状の電圧を出力するよう構成し、(2)上記共振回路を、第1の端子と第3の端子との間で直列接続されたインダクタと共振回路内キャパシタとを備え、入力回路から矩形波状の電圧の入力を受けたときに、第3の端子と、第2の端子に接続された第4の端子と、の間に交流電圧を出力し、更に交流電圧をトランスにより変圧した上で多段倍電圧整流回路に出力するよう構成することができる。図8に示される、本発明の典型的な一態様に対応する構成である。
また本発明は、第1から第n(nは2以上の整数)の太陽電池モジュールを直列接続してなる、太陽電池モジュール鎖と、第k(k=1,2,…n)の太陽電池モジュールに対して並列接続された第kのキャパシタとして与えられる、第1から第nのキャパシタと、2つの直列接続されたダイオードからなり、第k(k=1,2,…n)のキャパシタに対して並列接続された第kのダイオードペアとして与えられる、第1から第nのダイオードペアと、第1から第nのダイオードペア各々における2つの直列接続されたダイオードの中間点に接続された、第1から第nの中間キャパシタと、を備えた第1の多段倍電圧整流回路と、第k(k=1,2,…n)の前記太陽電池モジュールに対して並列接続された第n+kのキャパシタとして与えられる、第n+1から第2nのキャパシタと、2つの直列接続されたダイオードからなり、第n+kのキャパシタに対して並列接続された第n+kのダイオードペアとして与えられる、第n+1から第2nのダイオードペアと、第n+1から第2nのダイオードペア各々における2つの直列接続されたダイオードの中間点に接続された、第n+1から第2nの中間キャパシタと、を備えた第2の多段倍電圧整流回路と、第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、入力された合計電圧を交流電圧に変換し、交流電圧をトランスにより変圧した上で出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えたインバータとを備え、トランスの二次巻線の一端が第1の多段倍電圧整流回路に接続され、二次巻線の他端が第2の多段倍電圧整流回路に接続された、太陽電池調整システムを提供する(本件第2発明)。
このような太陽電池調整システムによっても、ストリングを構成する太陽電池モジュールのうち影モジュールに補償電流を供給しつつ、影モジュールを日照モジュールよりも低い動作電圧で動作させることが可能である。さらに、本件第2発明の太陽電池調整システムの一例として、図26に示されるとおり上記システムを構成すれば、後述の実施例において詳しく説明するとおり、太陽電池モジュールに流れるリプル電流を低減させることが可能となる。
本件第2発明においても、上記インバータは交流電圧の周波数を変更する手段を備えることが好ましい。周波数を変更することができれば、影モジュールの電圧降下を引き起こすインピーダンスの大きさを変更し、当該影モジュールの動作電圧も変更できる。交流電圧の周波数を変更する手段としては、スイッチが考えられるが、これに限らず任意の手段を用いてよい。
本件第2発明において、上記インバータを、(1)第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、スイッチの切り替え状態に応じた電圧を出力する、スイッチを備えた入力回路と、(2)入力回路から出力された電圧を交流電圧に変換し、交流電圧をトランスにより変圧した上で出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えた共振回路とを備えるよう構成することができる。交流電圧の周波数を変更する手段としてスイッチを用いる、本件第2発明のシステムの一例である。
本件第2発明においても、(1)上記入力回路を、直列接続された第1及び第2のスイッチの各々にフライホイールダイオードを並列接続することにより構成し、第1及び第2のスイッチのうちオンとするスイッチを経時的に切り替えることによって、第1及び第2のスイッチの両端間に直流電圧が入力されたときに、第1及び第2のスイッチの中間点にある第1の端子と、第2のスイッチの両端のうち第1の端子とは異なる側にある、第2の端子と、の間に矩形波状の電圧を出力するよう構成し、(2)上記共振回路を、第1の端子と第3の端子との間で直列接続されたインダクタと共振回路内キャパシタとを備え、入力回路から矩形波状の電圧の入力を受けたときに、第3の端子と、第2の端子に接続された第4の端子と、の間に交流電圧を出力し、更に交流電圧をトランスにより変圧した上で出力するよう構成することができる。
また本発明は、本件第1発明及び第2発明の太陽電池調整システムのうち、交流電圧の周波数を変更する手段を備えたいずれかのシステムを用いて、太陽電池モジュール鎖の動作状態を制御する方法であって、太陽電池モジュール鎖の出力電力を計測する段階と、インバータにより出力される交流電圧の周波数を変更する段階と、周波数を変更した後に、太陽電池モジュール鎖の出力電力を計測する段階と、周波数を変更した後に計測された出力電力が、変更する前に計測された出力電力よりも高い場合に、変更が周波数の上昇であったならば周波数を再び上昇させ、変更が周波数の下降であったならば周波数を再び下降させる段階と、周波数を変更した後に計測された出力電力が、変更する前に計測された出力電力よりも低い場合に、変更が周波数の上昇であったならば周波数を下降させ、変更が周波数の下降であったならば周波数を上昇させる段階とを備え、太陽電池モジュール鎖の出力電力の計測と、インバータにより出力される交流電圧の周波数の変更と、を繰り返すことにより太陽電池モジュール鎖の動作状態を制御する方法を提供する(本件第3発明)。この方法により太陽電池モジュール鎖の動作状態を制御すれば、パワーコンディショナやDC−DCコンバータ、負荷等を用いてストリング内の日照モジュールがMPP付近で動作するよう調整しつつ、インバータが出力する交流電圧の周波数を調整することにより影モジュールがMPP付近で動作するよう調整することが可能となる。すなわち、日照モジュールと影モジュールとを、互いに異なるMPPの電圧VMPに向かって調整することが可能となる。
本発明の太陽電池調整システムを用いれば、部分影発生時に影モジュールの動作電圧を日照モジュールの電圧と比べて相対的に下げることができるため、部分影発生時の太陽電池の電気特性を加味し、等価出力抵抗Routを適切に設定することにより、部分影発生時においても日照モジュールと影モジュールの両方をMPP近傍で動作させることが可能となる。すなわち、本発明の太陽電池調整システムは部分影補償装置として機能する。また、部分影の発生状況に応じて部分影補償装置の周波数を制御し、等価出力抵抗Routを調整することでも同様の目的(部分影発生時においても各モジュールをMPP近傍で動作させる)を達成することが可能である。典型的な一態様において、部分影補償装置の主回路は、2つのスイッチを用いる二石式の構成であり、その他は受動部品のみで構成可能なため、各種従来の部分影補償装置と比較して回路構成を大幅に簡素化することが可能である。また、本部分影補償装置を構成する多段倍電圧整流回路を対称型構成とすることで、太陽電池モジュールに流れるリプル電流を低減することが可能である。
一般的な太陽電池の動作特性を表すグラフ。 部分影が発生している場合、していない場合のそれぞれにおける、ストリング全体に印加される電圧VString、ストリング全体を流れる電流IString、及びストリング全体の出力電力Powerの関係を表すグラフ。 昇降圧コンバータを用いた従来方式の部分影補償装置の回路図。 マルチステージ昇降圧コンバータを用いた従来方式の部分影補償装置の回路図。 スイッチトキャパシタコンバータを用いた従来の部分影補償装置の回路図。 日照モジュールと影モジュールの、それぞれの動作特性を表すグラフ。 本発明の太陽電池調整システムの概念図。 本発明の太陽電池調整システムとDC−DCコンバータとを併用した構成の回路図。 本発明の一実施形態である太陽電池調整システムの回路図。 図8の太陽電池調整システムを動作させたときの、各素子を流れる電流、及び各素子に印加される電圧の時間変化を表わす波形図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード2の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード3の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード4の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード1の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態での、図8の太陽電池調整システム内の各部における矩形波状電圧波形と、これらの一次高調波近似から得られる正弦波状波形を示す図。 図8の太陽電池調整システムのうち、図11に示された回路部分の交流等価回路図。 日照量変動時における太陽電池モジュールの特性例を表すグラフ。 太陽電池モジュールPV1のみに影がかかっている状態を擬似的に表す、実験に用いた回路構成図。 太陽電池アレイ・シミュレータを用いて行った、太陽電池調整システムの動作実験の結果を示すグラフ(スイッチング周波数を変化させたときの、影モジュールPV1の出力特性)。 太陽電池アレイ・シミュレータを用いて行った、太陽電池調整システムの動作実験の結果を示すグラフ(各モジュールの動作特性)。 太陽電池アレイ・シミュレータを用いて行った、太陽電池モジュール鎖全体の動作実験の結果を示すグラフ(太陽電池調整システムを用いたとき、用いないときの動作特性の比較)。 動作実験で、太陽電池調整システムを用いないときに各太陽電池モジュールに接続されたバイパスダイオードの接続態様を示す図。 本発明の太陽電池調整システムを用いて太陽電池モジュール鎖の動作状態を制御するためのシステム構成例。 本発明による、太陽電池モジュール鎖の動作状態制御方法の一例を示すフローチャート。 本発明による、太陽電池モジュール鎖の動作状態制御方法の一例を示すフローチャート。 スイッチング周波数を変動させた際(即ちRoutを変動させた際)における影モジュールの動作点の変化の様子の一例を示す図。 太陽電池モジュールPV3に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード2の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV3に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード3の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV3に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード4の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV3に影がかかっている状態で図8の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード1の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV3に影がかかっている状態での、図8の太陽電池調整システム内の各部における矩形波状電圧波形と、これらの一次高調波近似から得られる正弦波状波形を示す図。 図8の太陽電池調整システムのうち、図24に示された回路部分の交流等価回路図。 本発明の一実施形態である太陽電池調整システムの回路図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図26の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード2の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図26の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード3の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図26の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード4の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図26の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード1の期間中において流れる電流の経路を示す図。 本発明の一実施形態である太陽電池調整システムの回路図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図28の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード2の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図28の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード3の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図28の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード4の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図28の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード1の期間中において流れる電流の経路を示す図。 本発明の一実施形態である太陽電池調整システムの回路図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図30の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード2の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図30の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード3の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図30の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード4の期間中において流れる電流の経路を示す図。 太陽電池モジュールPV1に影がかかっている状態で図30の太陽電池調整システムを動作させたとき、モード1の期間中において流れる電流の経路を示す図。 ハーフブリッジ型セルの回路図。 フルブリッジ型セルの回路図。 直列共振回路の回路図。 並列共振回路の回路図。 直並列共振回路の回路図。 LLC回路の回路図。
これより図面を用いて、本発明に係る太陽電池調整システム、及び太陽電池モジュール鎖の動作状態制御方法を説明する。但し、本発明に係る太陽電池調整システム、及び太陽電池モジュール鎖の動作状態制御方法の構成は、各図面にて示される特定の具体的構成へと限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、以下において各キャパシタは主に単独の蓄電素子であるとして説明するが、これらは充放電可能な任意の素子、複数の素子からなるモジュール、あるいはそれらモジュールを用いて構成される任意の装置であってもよい。各蓄電素子の容量も、それぞれ異なっていてよい。また以下の実施例では4つの太陽電池モジュールにより太陽電池モジュール鎖(ストリング)が構成されるが、4に限らず任意の直列数で太陽電池モジュール鎖を構成できる。各スイッチについても、以下においてはMOSFETなどの半導体スイッチであるとして説明するが、任意の電子スイッチ、あるいは機械式スイッチを用いることも可能である。
太陽電池調整システムの概念
4直列の太陽電池モジュールPV1〜PV4を用いて構成される、本発明による太陽電池調整システムの概念図を図6に示す。図6中、VPV1〜VPV4,IPV1〜IPV4は、それぞれ太陽電池モジュールPV1〜PV4に印加される電圧、及びそれらから出力される電流を表し、Ieq1〜Ieq4は、それぞれ太陽電池モジュールPV1〜PV4に対してPV疑似均等化器から供給される電流を表す。Istringは、太陽電池モジュールPV1〜PV4から構成される太陽電池モジュール鎖全体に流れる電流を表し、この電流が、太陽電池モジュール鎖に対して接続される負荷(不図示)へと出力される負荷電流ILoadと、PV擬似均等化器への入力電流Ieq-inとに寄与する。VStringは太陽電池モジュール鎖の両端に印加される電圧である。
PV擬似均等化器にはVPV1〜VPV4の合計電圧であるVStringが入力電圧として印加され、また太陽電池モジュールPV1〜PV4からの入力電流Ieq-inが供給される。各太陽電池モジュールは直列に接続されているため、全ての太陽電池モジュールPV1〜PV4が同一の大きさの電流IStringを流そうと動作する。しかし、図5で示したように、影モジュールの供給可能な電流は日照モジュールのそれと比較して小さいため、多くの場合において影モジュールはIStringの電流を供給できなくなってしまう。
太陽電池調整システムの利用態様の例としては、図7に示すとおり、DC−DCコンバータを介して太陽電池モジュール鎖に負荷を接続する構成が挙げられる。図7に示すDC−DCコンバータは昇圧形コンバータであり、スイッチQDC-DCの時比率(スイッチング周期全体に対するオン期間の割合)をDとすれば、太陽電池モジュール鎖の出力電圧VStringと負荷電圧VLoadの間には、
Figure 2015056003
(1)
の関係が成り立つ。例えば定電圧負荷を用いる場合VLoadは一定となるため、検出回路によって太陽電池モジュール鎖、あるいは各太陽電池モジュールの発生する電力を検出しつつ、DC−DCコンバータ制御回路によって時比率Dを制御することにより、最大電力が得られるよう各太陽電池モジュールの電圧を制御することができる。日照モジュールから最大電力を得るためには図5の破線Bで示される電圧を印加するべきであるが、このとき日照モジュールに流れる電流は影モジュールが流しうる最大電流を超えている。したがって、日照モジュールの最大電力に対応する電流は影モジュールを流れることができず、一切の電流補償手段がないならば影モジュールから最大電力を得ることは不可能となる。
本発明の太陽電池調整システムは、PV擬似均等化器を用いることにより、影モジュールも擬似的にIStringの電流を供給可能となるよう影モジュールに対して補償電流Ieqを供給する。例えば太陽電池モジュールPV1に影がかかっており、日照モジュールPV2〜PV4が流そうとする電流を供給することができない場合、影モジュールPV1にはPV擬似均等化器から補償電流Ieq1が供給される。したがって、影モジュールPV1からは自己が供給する電流IPV1と補償電流Ieq1とが流れるため、
Figure 2015056003
(2)
で表される電流IStringを、太陽電池モジュール鎖が流しうることとなる。
太陽電池調整システムの構成
4直列の太陽電池モジュールPV1〜PV4に対する本発明の太陽電池調整システムの第1の実施形態を図8に示す。図8の回路構成は、図6,図7のPV擬似均等化器が直列共振形インバータと多段倍電圧整流回路により構成される例である。
直列共振形インバータ
直列共振形インバータは、直列接続されたスイッチQa,Qbの各々にフライホイールダイオードDa,Dbを並列接続することにより構成されるハーフブリッジ型セルに、キャパシタCrとインダクタLrとを直列接続し、更に多段倍電圧整流回路との間にトランスを設けることにより構成される。ここで、図8中、iSa,iSbはスイッチQa,Qbにそれぞれ流れる電流を表し、VDSa,VDSbはスイッチQa,Qbそれぞれに印加される電圧を表し、iLrはインダクタLrに流れる電流を表し、VTP,VTSは、それぞれトランスの一次電圧、二次電圧を表す。なお、図8中、直列共振形インバータ内の1〜4の数字は、便宜上付けられた端子番号に対応する。
多段倍電圧整流回路
多段倍電圧整流回路は、直列接続されたキャパシタCout1〜Cout4と、各々のキャパシタに対して2つの直列接続されたダイオードを並列に接続してなる、ダイオードD1〜D8と、2つの直列接続されたダイオードの各々における中間点にキャパシタを接続してなる、中間キャパシタC1〜C4とから構成される。ここで、図8中、iC1〜iC4は、中間キャパシタC1〜C4にそれぞれ流れる電流を表す。なお、キャパシタの直列接続数は、4に限らず2以上の任意の数であってよい。
太陽電池調整システムの動作
直列共振形インバータは直列接続された太陽電池モジュールPV1〜PV4により駆動され、多段倍電圧整流回路に対してトランス二次巻線の部位において正弦波状の交流電流を供給する。一方、多段倍電圧整流回路はその正弦波状の交流電流により駆動され、動作時においては直列接続された太陽電池モジュールの中で電圧の最も低いモジュールに対して優先的に電力を分配するよう動作する。図7に示すとおり負荷を接続する等して、直列接続された太陽電池モジュールを使用する場合、一般的に影モジュールの電圧はその他の日照モジュールの電圧よりも低くなる。したがって、本部分影補償装置を用いることで全モジュール(影モジュールも含む)から影モジュールへと電力を分配し、影モジュールにおける電力不足分を補償することができる。以下、詳細な動作原理について説明を行う。
太陽電池調整システムの動作
図7に示すとおり、DC−DCコンバータを介して負荷を接続する等して、太陽電池モジュール鎖全体に電圧が印加されており、太陽電池モジュールPV1にのみ影がかかっているとする。従来の一般的な共振形インバータと同様に、キャパシタCrとインダクタLrからなる直列回路の共振周波数よりも高いスイッチング周波数で、スイッチQaのみがオンの状態とスイッチQbのみがオンの状態とを、両スイッチについて50%以下の時比率で交互に切り替える。このようにして本発明の太陽電池調整システムを動作させたときに各素子を流れる電流、及び各素子に印加される電圧の波形を図9に示し、動作中に実現される4つのモード期間中にシステム内を流れる電流の経路を図10a〜図10bに示す(キャパシタCout1〜Cout4は平滑キャパシタとして機能するため、これらに流れる電流は無視する)。なお、図9のグラフ中、VGSa,VGSbは、スイッチQa,Qbのゲート電圧をそれぞれ表し、iD1,iD2はダイオードD1,D2に流れる電流をそれぞれ表す。
便宜上、まずモード2の動作を説明する(図10a)。モード2の期間中においては、図9中、VGSのグラフが示すとおり、スイッチQaがオンとされ、スイッチQbがオフとされており、キャパシタCr及びインダクタLrを含む共振回路に対して、正電圧(図8中、VDSbを示す矢印の向きに上昇する電圧。図9中、VDSbのグラフ参照。)が出力される。これによりキャパシタCr及びインダクタLrに正の電流(図8中、iLrを示す矢印の向きに流れる電流。太陽電池モジュールPV1〜PV4から、オン状態のスイッチQaを通ってキャパシタCr及びインダクタLrへと流れ込む。)が流れる。キャパシタCrとインダクタLrの共振現象により、iLrは正弦波状に変化する(図9中、iLrのグラフ参照。)。トランスの一次巻線には交流電圧が印加され、これが変圧されて二次電圧として多段倍電圧整流回路に出力される(図9中、VTSのグラフ参照。)。二次電圧による補償電流は影モジュールPV1に(及び、本実施例においては経路上にある日照モジュールPV2に)優先的に流れ込む。
スイッチQaをオフとすることにより、モード2においてスイッチQaを流れていた電流がフライホイールダイオードDbへと転流し、動作はモード3へと移行する(図10b)。このとき、共振回路に入力される電圧VDSbはゼロとなるが(図9中、VDSbのグラフ参照。)、共振現象により、インダクタLrを流れる電流iLrは引き続き正弦波状に変化する(図9中、iLrのグラフ参照。)。共振周波数よりも高い周波数でスイッチングを行っているため、モード3への移行時において、インダクタLrを流れる電流iLrは依然として正である。インダクタLrが誘導性素子であるため、電流iLrはモード3への移行時において連続である一方、モード2においてiLrと等しかった電流iSaは、モード3への移行と同時にゼロとなる(図9中、iSaのグラフ参照。)。これに対応して、モード2においてゼロであった電流iSbが、モード3への移行と同時にiLrと等しい大きさを有することとなる(図8に示すとおり電流iSbの極性を定義しているため、電流iSbと電流iLrの正負は逆となる。図9中、電流iSb,iLrのグラフ参照。)。多段倍電圧整流回路から太陽電池モジュール鎖へと流れる電流の経路は、モード2の期間中における経路と同様である。
モード3の期間中に、スイッチQbがオンとされる。インダクタLrの電流iLrが負に切り替わるタイミングで、動作はモード4へと移行する(図10c)。
モード4の期間中においては、モード3の期間中と同様に、共振回路に入力される電圧VDsbはゼロであるが(図9中、VDSbのグラフ参照。)、共振現象により、インダクタLrを流れる電流iLrは引き続き正弦波状に変化する(図9中、iLrのグラフ参照。)。モード4においてはiLrの極性がモード2,3と逆であり、多段倍電圧整流回路に対して入力される交流電圧の極性も逆となる(図9中、VTSのグラフ参照。)。これに伴い、多段倍電圧整流回路及び太陽電池モジュール鎖を流れる電流の経路も、図10cに示すとおり変化する。中間キャパシタC1がダイオードD2を介して放電しており、この放電電流は、モード2,3とは逆向きに日照モジュールPV2を流れる。
スイッチQbをオフとすることにより、モード4においてスイッチQbを流れていた電流がフライホイールダイオードDaへと転流し、動作はモード1へと移行する(図10d)。このとき、インダクタLrを含む共振回路に対して、ほぼ一定の正電圧vDSbが出力される(図9中、vDSbのグラフ参照。)。共振周波数よりも高い周波数でスイッチングを行っているため、モード1への移行時においてインダクタLrを流れる電流iLrは負であるが、上記正電圧vDSb、及び共振現象により経時的に上昇する。インダクタLrが誘導性素子であるため、電流iLrはモード1への移行時において連続である一方、モード4においてiLrと大きさが等しかった電流iSbは、モード1への移行と同時にゼロとなる(図9中、iSbのグラフ参照。)。これに対応して、モード4においてゼロであった電流iSaが、モード1への移行と同時にiLrと等しくなる(図9中、電流iSa,iLrのグラフ参照。)。多段倍電圧整流回路から太陽電池モジュール鎖へと流れる電流の経路は、モード4の期間中における経路と同様である。
モード1の期間中に、スイッチQaがオンとされる。インダクタLrの電流iLrが正に切り替わるタイミングで、動作はモード2へと移行する。以降、同様に各モードが経時的に実現される。
図10a〜図10dに示したように、太陽電池モジュールPV1に影がかかった状態で、多段倍電圧整流回路内において電流が流れる素子は中間キャパシタC1、ダイオードD1,D2であり、これらは太陽電池モジュールPV1と対になる素子である。影モジュールと対になる素子のみに電流が流れる点は、他の太陽電池モジュールに影がかかった場合も基本的に同様である。図10a〜図10dから明らかなように、影モジュールに対応する素子が導通することで影モジュールに対して補償電流が供給される。
一方、図10a〜図10dに示す電流経路によれば、多段倍電圧整流回路からは日照モジュールPV2に対しても電流が流れていることが分かる(後述のとおり、例えば太陽電池モジュールPV3が影モジュールとなる場合、このような電流は生じない。)。ただし、多段倍電圧整流回路から日照モジュールPV2へと供給される電流は、モード1〜4全体について平均をとればゼロである(図9中、iC1のグラフ参照。)。すなわち日照モジュールPV2に対して正味の補償電流は流れない。しかし、この電流は日照モジュールPV2に対してリプル電流として重畳するため、日照モジュールPV2の動作電圧がリプル電流により変動し不安定化する恐れがある。リプル電流を低減しうる回路構成については、後述の実施例2にて説明を行う。
太陽電池調整システムの動作の、理論的考察
直列共振形インバータと多段倍電圧整流回路を組み合わせたシステムは、本発明者による、先の出願(特願2012−046569)に係る発明でも用いられていた(非特許文献5も参照。)。先の出願においては、多段倍電圧整流回路に接続された蓄電セル鎖のセル電圧にばらつきがある場合に、当該蓄電セル鎖の合計セル電圧を直列共振形インバータに入力し、インバータが発生した交流電圧を、多段倍電圧整流回路を介して当該蓄電セル鎖に入力することによって、電圧の低い蓄電セルを充電してセル電圧を均等化していた。
これに対し、本発明においては、多段倍電圧整流回路に太陽電池モジュール鎖が接続される。部分影の存在により太陽電池モジュール電圧間にばらつきがある場合であっても、当該太陽電池モジュール電圧の合計電圧をインバータに入力し、インバータが発生した交流電圧を、多段倍電圧整流回路を介して当該太陽電池モジュール鎖に入力することによって、電圧の低い影モジュールに優先的に補償電流を流す。影モジュールから自己の出力電流と補償電流が放出されることにより、太陽電池モジュール鎖全体としての高い出力電流を維持することができる。
すなわち、影モジュールに供給される補償電流は太陽電池モジュール鎖の出力電流として放出されるため、この補償電流により影モジュールが「充電されて」太陽電池モジュールの電圧が均等化されることにはならない。これにより、電圧の低い影モジュールには優先的に補償電流が流れ続ける。このとき、インバータ及び多段倍電圧整流回路内に存在するキャパシタやインダクタ、及び抵抗に起因して、補償電流の経路上にインピーダンスが発生することにより、影モジュールに電圧降下が生じる。以上のメカニズムによって影モジュールは電圧を日照モジュールの電圧と比べて相対的に低い状態に維持される。また、インピーダンスの値を制御することにより、上記電圧降下の大きさを調整して影モジュールをMPP近傍に導くことも可能となる。以下、この点について詳しく説明する。
図11に、上記動作に関連する各部の電圧波形と、一次高調波近似により得られる、それらの正弦波状近似波形を示す。ただし、図11中のPV−m,PV−nは、本実施例における影モジュールPV1と日照モジュールPV2に相当する。またRr,rm,rnは、それぞれの電流経路に生じる抵抗成分を表す。なお、図11ではキャパシタCout1,Cout2を省いた。
キャパシタCrとインダクタLrよりなる直列共振回路に対する入力電圧VDSbは振幅Vin=VPV1+VPV2+VPV3+VPV4の矩形波状電圧であるため、一次高調波近似により正弦波状電圧に近似することができる。ここでは、入力電圧VDSbを、
Figure 2015056003
(3)
で表される振幅Vm-inの正弦波状電圧で近似する。
また、図8中、ダイオードD1,D2の中間点、及びダイオードD3,D4の中間点のグラウンドに対する電位VA及びVB(図11参照)は、偶数番号のダイオードが導通するときにはそれぞれVPV-m+VD,VPV-n+VPV-m+VDであり(太陽電池モジュールPV−m,PV−nの電圧をそれぞれVPV-m,VPV-nとし、ダイオードの順方向電圧降下をVDとした。)、奇数番号のダイオードが導通するときにはそれぞれ−VD,VPV-m−VDである。すなわち電位VA及びVBは、上記動作においては、それぞれ振幅がVPV-m+2VDとVPV-n+2VDの矩形波状電圧である。入力電圧VDSbと同様に、これらの電圧も一次高調波近似により正弦波状電圧で近似する。ここでは、上記電位VA及びVBを、それぞれ振幅が
Figure 2015056003
(4)
Figure 2015056003
(5)
で表される正弦波状電圧で近似する。
上記のとおり一次高調波近似により得られる振幅Vm-in,Vm-A,Vm-Bの正弦波状電圧を発生させる、仮想的な交流電源を用いて、本発明の太陽電池調整システムを図12の等価回路で置き換えることができる。図12中のVm-in,Vm-A,Vm-Bは、それぞれの交流電源が発生させる交流電圧の振幅に対応する。また、図12中のZr,Zm,Znは、それぞれ図11中の抵抗Rr、キャパシタCr、及びインダクタLrによるインピーダンス、抵抗rm及びキャパシタCmによるインピーダンス、抵抗rn及びキャパシタCnによるインピーダンスであり、それぞれ次式で表される。
Figure 2015056003
(6)
Figure 2015056003
(7)
Figure 2015056003
(8)
ただしjは虚数単位を表し、Rr,rm,rnはそれぞれ同符号で表される抵抗の大きさを表し、Cr,Cm,Cnはそれぞれ同符号で表されるキャパシタの容量を表し、Lrは同符号で表されるインダクタのインダクタンスを表し、ωはスイッチQa,Qbのスイッチングの角周波数を表す。
太陽電池調整システムが動作する(図10a〜図10dに示す電流が0A以上で流れる)ためには、図12に示される各部のインピーダンスがゼロの場合を想定し、次式を満足する必要がある。
Figure 2015056003
(9)
Figure 2015056003
(10)
ただしNはトランスの巻き数比である(一次巻線の巻き数:二次巻線の巻き数=N:1)。
上記(3)〜(5)式と(9),(10)式より、
Figure 2015056003
(11)
Figure 2015056003
(12)
が得られる。
(3)〜(5)式が示すとおり、Vm-in,Vm-A,Vm-Bはそれぞれ入力電圧Vin、影モジュールPV−mの電圧VPV-m、日照モジュールPV−nの電圧VPV-nを反映していることから、図12の等価回路においては、入力電圧Vinによって供給された電力が、抵抗Rr、キャパシタCr、インダクタLrからなる直列回路(図12中Zrで表される。)を介してトランスに伝達され、更にトランス二次側(多段倍電圧整流回路側)で、キャパシタCmと抵抗rmからなる直列回路(図12中Zmで表される。)と、キャパシタCnと抵抗rnからなる直列回路(図12中Znで表される。)をそれぞれ介して、影モジュールPV−mと日照モジュールPV−nへとそれぞれ電力が分配されると理解できる。
ここにおいて、振幅Vm-Aの仮想交流電源と振幅Vm-Bの仮想交流電源は、それぞれZmとZnで表される直列回路を介して、トランス二次巻線に対し共通に接続されている。したがって、仮に振幅Vm-A,Vm-Bが同じ大きさであり、それらに対応する仮想交流電源の位相が等しく、且つ、インピーダンスZm,Znが等しければ、振幅Vm-Aの仮想交流電源と振幅Vm-Bの仮想交流電源には等しい電流が流れることが分かる。また、振幅Vm-A,Vm-Bは(4),(5)で示したように各太陽電池モジュールの電圧VPV-m,VPV-nを反映しているため、太陽電池モジュール間に電圧差が発生している場合には電圧の低い太陽電池モジュールに対して優先的に電流が流れることが分かる。本実施例においては太陽電池モジュールPV−mが影モジュールであり、一般的に、直列接続した太陽電池モジュール鎖においては影モジュールの動作電圧がその他の日照モジュールの動作電圧よりも低くなる。したがって、本太陽電池調整システムを用いることにより、直列接続した全太陽電池モジュールから影モジュール(すなわち、直列接続された太陽電池モジュールのうち電圧の低い太陽電池モジュール)に対して電力を再分配することにより、影モジュールにおける電力不足分を補償することが可能となる。
また、式(6)〜(8)に示したように、各部のインピーダンスはスイッチQa,Qbのスイッチング周波数に依存する。本発明の太陽電池調整システムを固定周波数にて動作させた場合、影モジュールPV−mに流れ込む補償電流Ieqmの増加に伴い、インピーダンスZmに起因して電圧降下が起こり、影モジュールPV−mの電圧VPV-mは低下すると考えられる。言い換えれば、本発明の太陽電池調整システムによって影モジュールに補償電流を供給するとき、回路内には影モジュールの電圧降下を引き起こす抵抗(以下、「等価出力抵抗Rout」と呼ぶ。)が発生するとみなせる。等価出力抵抗Routを利用すれば、影モジュールの電圧を日照モジュールと比べて相対的に低下させることができ、すなわち日照モジュールの電圧を相対的に高く保ちつつ、部分影が発生したときのMPP近傍へと影モジュールの動作状態を導くことができる。
一般的に、太陽電池モジュールのVMPは日射量に大きく依存し、典型的には図13に示すように、日照量に応じて動作特性が変化する。日射量の比較的高い領域においては、VMPの軌跡は図13中の破線が示すとおり直線で近似できる。この直線の傾きを次のように定義する。
Figure 2015056003
(13)
ただし、VMP,IMPは、日照モジュールにおけるMPPでの電圧と電流であり、VMP-shaded,IMP-shadedは、上記日照量よりも小さい、ある日照量におけるMPPでの電圧と電流である。
図6を用いて説明したように、本発明の太陽電池調整システムを用いた際には、疑似的に全てのモジュールが同一の電流IStringを出力可能となるよう、影モジュールに補償電流Ieqが供給される。すなわち、日照モジュールと影モジュールがそれぞれVMPとVMP-shadedの電圧で動作しておりIMPとIMP-shadedの電流を発生する場合、補償電流Ieqは(13)式のΔIMPに相当することになる。
例として、本実施例のように4直列の太陽電池モジュールのうち1つの太陽電池モジュールに影がかかった場合を考える。このとき影モジュールには補償電流Ieqが供給されるが、Ieqの増加に伴う出力電圧低下分をIeq×Routの形式で表せると仮定すると、上記(11),(12)式から次式が得られる。
Figure 2015056003
(14)
上記(14)式は、補償電流が全く流れていない時点(Ieq=0)や、補償電流が小さく補償が不十分な時点でも成り立つ式である。十分な補償電流が流れている状態では、電圧のつり合いにより以下の(15)式が成り立つ。
Figure 2015056003
(15)
上記(15)式中でIeq=ΔIMPとすると、(13)式を用いて、
Figure 2015056003
(16)
が得られる。太陽電池調整システムの等価出力抵抗Routが(16)式を満たす場合、日照モジュールのみならず、影モジュールもその時の最大電力点電圧近傍で動作させることが可能になる。
太陽電池調整システムの動作に関する実験
図8の回路構成を備えた本発明の太陽電池調整システムについて、以下のとおり実験を行った。
(等価出力抵抗Routの測定)
まず、図8の回路構成を備えた太陽電池調整システムを構築した。なお、中間キャパシタC1〜C4の容量は33μFであり、平滑キャパシタCout1〜Cout4の容量は66μFであり、ダイオードD1〜D8は順方向電圧降下VD=0.43Vのショットキーダイオードであり、キャパシタCrの容量は220nFであり、インダクタLrのインダクタンスは18.6μHであり、トランスの一次巻線の巻き数は23、二次巻線の巻き数は6であった(巻き数比N=23/6)。
次に、太陽電池モジュールPV1〜PV4を取り除き、直列共振形インバータの入力部(スイッチ群Qa,Qbの両端)に外部直流電源を接続し、更にキャパシタCout1に対してのみ可変抵抗器Rout1を接続することで、太陽電池モジュールPV1のみに影がかかっている状態を擬似的に構成した(図14)。
スイッチQaのみがオンの状態とスイッチQbのみがオンの状態とを固定周波数で交互に切り替えて、図14のシステムを動作させた。可変抵抗器の抵抗値を変化させつつシステムを動作させ、可変抵抗器を流れる電流を補償電流として電流値を測定し、併せてキャパシタCout1の電圧(VPV1を擬似的に表す。)を測定し、それらの相関を直線で近似した。当該電流値の変化と当該電圧値の変化の比(近似曲線の傾き)として特定周波数に対する等価出力抵抗Routを算出した。
さまざまな固定周波数(85kHz,93.5kHz,102kHz,110.5kHz)について、上記方法により等価出力抵抗Routを算出するとともに、擬似的なVPV1に応じて変化する出力電力(可変抵抗器Rout1に対する電力)と電力変換効率(外部直流電源から入力される電力と可変抵抗器Rout1で消費される電力の比)を測定した。測定結果を図15のグラフに表す。いずれのスイッチング周波数においても出力電流−出力電圧の関係は概ね直線で近似可能であり、近似直線から図15中に書き込まれているとおり等価出力抵抗Routを算出した。上述のとおり、太陽電池調整システム内の各部のインピーダンスには周波数依存性があるため、等価出力抵抗Routも周波数とともに変化した。
(太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュール鎖の動作特性の測定)
次に、太陽電池モジュールPV1〜PV4として太陽電池アレイ・シミュレータ(Agilent Technologies社製、E4350B)を図8と同じ回路構成のシステムに接続し、部分影が発生している状態を擬似的に実現した。具体的には、4つの(擬似)太陽電池モジュールPV1〜PV4により構成される太陽電池モジュール鎖の中で太陽電池モジュールPV1にのみ影がかかった場合を想定し、太陽電池モジュールPV2〜PV4のVMPとIMPはそれぞれ12V,4.0Aにシミュレータで設定し、太陽電池モジュールPV1のVMP-shadedとIMP-shadedはそれぞれ9.0V,2.0Aと設定した。このような条件の下、スイッチQa,Qbのスイッチング周波数を85kHzとして(Rout=595mΩ)、太陽電池モジュール鎖に印加する電圧を変えつつ太陽電池調整システムを動作させた。
図16に、この実験で得られた日照モジュールPV2〜PV4と影モジュールPV1それぞれの動作特性曲線を示す。PV1(w/ Eq)は、補償電流を電流値に含めた、影モジュールPV1の擬似的な動作特性を表し、PV1(w/o Eq)は影モジュールPV1の真の動作特性を表す。IString=4.0Aで太陽電池モジュール鎖を動作させたとき、太陽電池モジュールPV2〜PV4の動作点は図16中のA点となる。一方、太陽電池調整システムは影モジュールPV1の発生電流と補償電流Ieq1の合計が4.0Aとなるよう動作する。よって、太陽電池調整システムにより補償された影モジュールPV1の擬似的動作点はIString=4.0Aの直線上に存在することになる。(16)式より、影モジュールPV1の擬似的動作点(補償電流と影モジュールPV1の出力電流との合計電流で電流を規定し、影モジュールPV1の電圧で電圧を規定した時の動作点)ならびに実動作点は図16中のB点ならびにC点となる。図16中の斜め破線はIString=4.0A時におけるRout=595mΩの特性を表したものであり、影モジュールPV1の動作点がこの直線上に存在することを意味している。
図17は、上記太陽電池アレイ・シミュレータを負荷に接続して測定した、太陽電池調整システムを用いた場合と用いない場合における、太陽電池モジュール鎖全体としての特性の測定結果である。太陽電池調整システムを用いない場合(図18に示すとおりバイパスダイオードを用いた場合)は、部分影の影響により2つの最大電力点(VString=35Vと50V近傍)が存在したのに対して、太陽電池調整システムを用いた場合は1つの最大電力点(VString=45V近傍)のみであった。得られる最大電力も太陽電池調整システムを用いた場合は158W程度であり、用いない場合の140W程度と比べて向上している。
これらの実験により、日照モジュールのVMPと影モジュールのVMP-shadedが大きく異なる条件の下でも、太陽電池調整システムの等価出力抵抗Routを活用することでいずれのモジュールも最大電力点近傍で動作可能であることが示された。
太陽電池モジュール鎖の動作状態制御方法
以上では、固定のスイッチング周波数における等価出力抵抗Routを利用して影モジュールに補償電流を供給し、且つインピーダンスの効果により影モジュールの電圧を日照モジュールの電圧と比べて相対的に降下させるという動作について説明を行った。しかしながら、太陽電池の特性は日射量のみならず温度にも大きく影響を受け、更に長期の使用においては特性が劣化する。これらの特性変化・劣化に伴い、図13で示したRPVの値も変化する。(16)式で示したように、本発明の太陽電池調整システムにおいて影モジュールの電力を最大限に活用するためにはRPVの値を考慮してRoutを適切に設定する必要がある。しかし、固定のスイッチング周波数ではRoutを動的に調整できないため、特性変化・劣化に伴うRPVの変化に対応することができない。
この問題には、太陽電池モジュールの特性変化・劣化に伴うRPVの変動に応じて直列共振インバータのスイッチング周波数を変化させ、等価出力抵抗Routを随時調節することで対処できる。スイッチング周波数を変化させることにより等価出力抵抗Routを調節しつつ太陽電池調整システムを動作させるためのシステム構成、及びフローチャートを図19,図20に示す。
図19に示すとおり、太陽電池調整システムには、太陽電池モジュールPV1〜PV4の合計電力(太陽電池モジュール鎖の電力)を測定するための出力電力検出回路が接続される。出力電力検出回路で検出された合計電力は出力電力比較回路に送信され、少なくとも所定期間は当該比較回路に記憶される。出力電力比較回路は、記憶された出力電力のうち、異なる測定タイミングで測定された2つの出力電力値の比較を行うよう構成されている。比較結果(先に測定された出力電力と後に測定された出力電力のどちらが大きいか)を示す信号は、スイッチ制御回路に送信される。
スイッチ制御回路は、スイッチQa,Qbのいずれか一方のみがオンとなった状態と他方のみがオンとなった状態とを(任意で両スイッチがオフのデッドタイムを設けつつ)特定の周波数で切り替えるよう、スイッチQa,Qbを制御する回路であり、特に周波数を上昇及び下降させる機能を有している。上昇幅、下降幅は、あらかじめ固定値としてスイッチ制御回路に入力されていてもよいし、任意のタイミングで外部回路(不図示)から入力可能であってもよい。さらにスイッチ制御回路は、少なくとも所定期間は、最後に行った周波数の変更が上昇であったか下降であったかを記憶する。スイッチ制御回路は、出力電力比較回路から比較結果を受信し、先に測定された出力電力よりも後に測定された出力電力の方が大きかった場合には、次回の周波数変更を前回の周波数変更と同様の変更とし、後に測定された出力電力よりも先に測定された出力電力の方が大きかった場合には、次回の周波数変更を前回の周波数変更と逆の変更とするよう構成される(両出力電力が同じであった場合は、次回の周波数変更を前回と同じにしても、逆にしてもよい。どちらにするかは、あらかじめ設定により決められているとする。)。
次に、図19のシステムを用いた太陽電池モジュール鎖の動作状態制御方法を図20のフローチャートに従い説明する。なお、各ステップの実行タイミングは、任意のクロック回路(不図示)等を用いて制御されているものとする。
まず、太陽電池モジュール鎖の出力電力(IString×VString、もしくは負荷電流ILoad×VString)の初期値P0を出力電力検出回路が測定する(ステップ2001)。次にスイッチ制御回路が、スイッチング周波数を上昇(すなわちRoutを増大)させる(ステップ2002)。その後、出力電力検出回路が再び太陽電池モジュール鎖の出力電力P1を測定する(ステップ2003)。出力電力比較回路は測定された電力P0,P1を検出回路から受信して記憶しており、両電力値の大きさを比較する。P1>P0であれば再びフローチャートの最初のステップ2001に戻り、スイッチ制御回路はスイッチング周波数を更に上昇させ、同じ動作を繰り返す。P1<P0であれば、スイッチ制御回路は逆にスイッチング周波数を減少させRoutが低下する方向へと動作させる(ステップ2005)。その際においても周波数の変動前後における太陽電池ストリングの電力P2とP3を出力電力検出回路が計測し(ステップ2004,2006)、出力電力比較回路がP2,P3の大小関係を判断する。スイッチ制御回路は、比較結果に基づいてフローチャートに示されているとおり周波数を上昇又は下降させる。
なお、図20のフローチャートにおいては電力P0,P1の比較、及び電力P2,P3の比較の後に出力電力が再び測定されることとなっているが、この測定は省いてもよい。すなわち、図20のフローチャートを図21のように修正してもよい。図21のフローチャートに従うとき、例えばステップ2002でスイッチング周波数を上げてステップ2003で電力P1を測定した後、P1>P0だった場合に、出力電力比較回路が当該P1をP0のメモリ領域に記憶し、P1のメモリ領域に記憶された測定値を消去してから、スイッチ制御回路がステップ2002を行う。同様に、ステップ2005でスイッチング周波数を下げてステップ2006で電力P3を測定した後、P3>P2だった場合に、出力電力比較回路が当該P3をP2のメモリ領域に記憶し、P3のメモリ領域に記憶された測定値を消去してから、スイッチ制御回路がステップ2005を行う。同様に、ステップ2005でスイッチング周波数を下げてステップ2006で電力P3を測定した後、P3>P2でなかった場合に、出力電力比較回路が当該P3をP0のメモリ領域に記憶し、P3のメモリ領域に記憶された測定値を消去してから、スイッチ制御回路がステップ2002を行う。なお、ステップ2003,2006の次に行われる電力値の比較で両電力が等しかった場合には、最大電力点に到達したとして処理を終了してもよいし、動作特性の変化に備えてスタートまで戻り処理を再開してもよい。また、ステップ2002とステップ2005を入れ替えてもよい。
スイッチング周波数を変動させた際(即ちRoutを変動させた際)における影モジュールの動作点の変化の様子の一例を図22に示す。ここでは便宜上、影モジュールの特性のみを描いている。影モジュールの初期の動作点がaであった場合に、図20又は図21のフローチャートに基づきスイッチング周波数を増大させRoutを増大させたとする。その結果、影モジュールの動作点がbに移行し、結果として太陽電池ストリングの出力電力は増加するため、フローチャートに基づきスイッチング周波数を更に増大させ、Routを更に増大させる。その結果、影モジュールの動作点はcに移動するため、結果として太陽電池ストリングの出力電力は低下する。よって、フローチャートに基づき、今度はスイッチング周波数を下げてRoutを低減させる。その結果、影モジュールの動作点は再びb点に戻り、太陽電池ストリングの出力電力は上昇するため、フローチャートに基づきスイッチング周波数を更に下げてRoutを更に低減させる。その結果、動作点はaに移動するため太陽電池ストリングの電力は低下する。以上のように、周波数の変動(Routの変動)に伴い影モジュールの動作点はa〜cで変動する。影モジュールの動作点は変動するものの、図20又は図21のフローチャートに基づき制御を行うことで太陽電池モジュールに特性変化・劣化があった場合においても影モジュールを最大電力点近傍で動作させることが可能となる。
太陽電池モジュールPV1以外に影がかかっている場合
以上においては、図8の回路中で主に太陽電池モジュールPV1に影がかかっている場合について説明したが、他のモジュールに影がかかっている場合であっても、本発明の太陽電池調整システムは同様の原理で動作可能である。
一例として、太陽電池モジュールPV3に影がかかっている場合に、図9のVGSのグラフに従ってスイッチQa,Qbのオンオフを切り替えたときに回路内を流れる、各モードでの電流の経路を図23a〜図23dに示す。
まずモード2の期間中(図23a)においては、図9中、VGSのグラフが示すとおり、スイッチQaがオンとされ、スイッチQbがオフとされており、キャパシタCr及びインダクタLrを含む共振回路に対して、正電圧(図8中、VDSbを示す矢印の向きに上昇する電圧)が出力される。これによりキャパシタCr及びインダクタLrに正の電流(図8中、iLrを示す矢印の向きに流れる電流。太陽電池モジュールPV1〜PV4から、オン状態のスイッチQaを通ってキャパシタCr及びインダクタLrへと流れ込む。)が流れる。キャパシタCrとインダクタLrの共振現象により、iLrは正弦波状に変化する。トランスの一次巻線には交流電圧が印加され、これが変圧されて二次電圧として多段倍電圧整流回路に出力される。この二次電圧により、キャパシタC3が充電される。
スイッチQaをオフとすることにより、モード2においてスイッチQaを流れていた電流がフライホイールダイオードDbへと転流し、動作はモード3へと移行する(図23b)。このとき、共振回路に入力される電圧VDSbはゼロとなるが、共振現象により、インダクタLrを流れる電流iLrは引き続き正弦波状に変化する。共振周波数よりも高い周波数でスイッチングを行っているため、モード3への移行時において、インダクタLrを流れる電流iLrは依然として正である。インダクタLrが誘導性素子であるため、電流iLrはモード3への移行時において連続である一方、モード2においてiLrと等しかった電流iSaは、モード3への移行と同時にゼロとなる。これに対応して、モード2においてゼロであった電流iSbが、モード3への移行と同時にiLrと等しい大きさを有することとなる。多段倍電圧整流回路から太陽電池モジュール鎖へと流れる電流の経路は、モード2の期間中における経路と同様である。
モード3の期間中に、スイッチQbがオンとされる。インダクタLrの電流iLrが負に切り替わるタイミングで、動作はモード4へと移行する(図23c)。
モード4の期間中においては、モード3の期間中と同様に、共振回路に入力される電圧VDSbはゼロであるが、共振現象により、インダクタLrを流れる電流iLrは引き続き正弦波状に変化する。モード4においてはiLrの極性がモード2,3と逆であり、多段倍電圧整流回路に対して入力される交流電圧の極性も逆となる。これに伴い、多段倍電圧整流回路及び太陽電池モジュール鎖を流れる電流の経路も、図23cに示すとおり変化する。キャパシタC3がダイオードD6を介して放電しており、この放電電流は、補償電流として影モジュールPV3に供給される。
スイッチQbをオフとすることにより、モード4においてスイッチQbを流れていた電流がフライホイールダイオードDaへと転流し、動作はモード1へと移行する(図23d)。このとき、インダクタLrを含む共振回路に対して、ほぼ一定の正電圧vDSbが出力される。共振周波数よりも高い周波数でスイッチングを行っているため、モード1への移行時においてインダクタLrを流れる電流iLrは負であるが、上記正電圧vDSb、及び共振現象により経時的に上昇する。インダクタLrが誘導性素子であるため、電流iLrはモード1への移行時において連続である一方、モード4においてiLrと大きさが等しかった電流iSbは、モード1への移行と同時にゼロとなる。これに対応して、モード4においてゼロであった電流iSaが、モード1への移行と同時にiLrと等しくなる。多段倍電圧整流回路から太陽電池モジュール鎖へと流れる電流の経路は、モード4の期間中における経路と同様である。
モード1の期間中に、スイッチQaがオンとされる。インダクタLrの電流iLrが正に切り替わるタイミングで、動作はモード2へと移行する。以降、同様に各モードが経時的に実現される。
このように、太陽電池モジュールPV3に影がかかっている場合も、当該太陽電池モジュール電圧の合計電圧をインバータに入力し、インバータが発生した交流電圧を、多段倍電圧整流回路を介して当該太陽電池モジュール鎖に入力することによって、電圧の低い影モジュールPV3に優先的に補償電流を流すことができる。また補償電流の経路上に発生するインピーダンスにより、影モジュールPV3に電圧降下が生じるため、このインピーダンスの値を制御することにより影モジュールPV3をMPP近傍に導くことも可能となる。
図11と同様に、太陽電池モジュールPV3に影がかかっているときの、上記動作に関連する各部の電圧波形と、一次高調波近似により得られる、それらの正弦波状近似波形を図24に示す。ただし、図24中のPV−mは、本実施例における影モジュールPV3に相当する。またRr,rmは、それぞれの電流経路に生じる抵抗成分を表す。なお、図24でも、図11と同様にキャパシタCout3を省いた。
この場合も、一次高調波近似により、入力電圧VDSbと図24中のVAで示される電圧を、それぞれ振幅が上記式(3)と(4)で表される正弦波状電圧で近似することができる。これら正弦波状電圧を発生させる仮想的な交流電源を用いて、本発明の太陽電池調整システムを図25の等価回路で置き換えることができる。図25中のVm-in,Vm-Aは、それぞれの交流電源が発生させる交流電圧の振幅に対応する。また、図25中のZr,Zmは、それぞれ図24中の抵抗Rr、キャパシタCr、及びインダクタLrによるインピーダンス、抵抗rm及びキャパシタCmによるインピーダンスであり、それぞれ上記(6),(7)式で表される。上記式(9)〜(16)を用いて既に説明した理由から、今の場合においても太陽電池調整システムの等価出力抵抗Routが(16)式を満たす場合に、日照モジュールのみならず、影モジュールも最大電力点電圧近傍で動作させることが可能になる。等価出力抵抗Routの調整は、例えば図20,図21のフローチャートに従って行うことができる。
本発明の太陽電池調整システムの、第2の実施形態を図26に示す。図8で示した第1の実施形態に更に第2の多段倍電圧整流回路を用いて対称型の回路構成をとることで各モジュールに流れるリプル電流を低減可能とした回路構成である。
図26に示す本発明の太陽電池調整システムにおいて、太陽電池モジュールPV1に影がかかっている場合に、図9のVGSのグラフに従ってスイッチQa,Qbのオンオフを切り替えたときに回路内を流れる、各モード2〜4,1での電流の経路を図27a〜図27dに示す。ただし、キャパシタCout1a〜Cout4a,Cout1b〜Cout4bは省略する。モード2,3においては、トランス二次巻線を経由した中間キャパシタC1bの放電電流がダイオードD2bを介して影モジュールPV1に補償電流として流れ込み、またこの電流がダイオードD1aを経由して中間キャパシタC1aを充電する(図27a,図27b)。モード4,1においては、トランス二次巻線を経由した中間キャパシタC1aの放電電流がダイオードD2aを経由して影モジュールPV1に補償電流として流れ込み、またこの電流がダイオードD1bを経由して中間キャパシタC1bを充電する(図27c,図27d)。なお、各素子を流れる電流や各素子に印加される電圧の基本的な動作波形は図9に示したものと同一である。
図10a〜図10dで示した、第1の実施形態における電流経路では、多段倍電圧整流回路から影モジュールPV1に補償電流を供給する際に日照モジュールPV2にも電流が流れていた(トランス二次巻線を経由して供給される電流)。多段倍電圧整流回路から日照モジュールPV2に供給される平均電流は0であるため日照モジュールPV2には実質的に補償電流は供給されないが、リプル電流は図示のとおり流れる。このリプル電流成分が大きいと、日照モジュールPV2の動作点がVMP近傍で変動し、動作が不安定になる恐れがある。
対照的に、図27a〜図27bに示す電流経路において、トランス二次巻線を経由した補償電流は影モジュールPV1のみを流れる。太陽電池モジュールPV3に影がかかっている場合も、モード2,3においては、トランス二次巻線を経由した中間キャパシタC3bの放電電流がダイオードD6bを介して影モジュールPV3に補償電流として流れ込み、またこの電流がダイオードD5aを経由して中間キャパシタC3aを充電し、またモード4,1においては、トランス二次巻線を経由した中間キャパシタC3aの放電電流がダイオードD6aを経由して影モジュールPV3に補償電流として流れ込み、またこの電流がダイオードD5bを経由してキャパシタ中間C3bを充電するため、同様に補償電流は影モジュールPV3のみを流れる。
このように、第2の実施形態では影モジュールに対してのみトランス二次巻線から電流が供給され、その他の日照モジュールに対してはトランス二次巻線からの電流が流れないため、第1の実施形態と比較して日照モジュールにおけるリプル電流を低減することが可能となる。
また、図8に示したシステムと同様に、図26の太陽電池調整システムにおいても、インバータ及び多段倍電圧整流回路内に存在するキャパシタやインダクタ、及び抵抗に起因して、補償電流の経路上にインピーダンスが発生することにより、影モジュールに電圧降下が生じる。したがって影モジュールは日照モジュールの電圧と比べて相対的に電圧の低い状態に維持されるし、またインピーダンスの値を、例えば図20,図21のフローチャートに基づいた周波数制御によって制御することにより、上記電圧降下の大きさを調整して影モジュールをMPP近傍に導くことも可能となる。なお、図26には記載されていないが、通常太陽電池モジュール鎖には別途DC−DCコンバータ等を介して負荷を接続する(図7)。典型的な使用態様としては、DC−DCコンバータの制御により太陽電池モジュール鎖全体に印加される電圧を調整しつつ、図26中のスイッチQa,Qbの周波数調整により影モジュールの電圧降下を調整して、全ての太陽電池モジュールをモジュールごとに異なるMPPへと近づける。
(具体的回路構成のバリエーション)
本発明の太陽電池調整システムの具体的回路構成は、図8や図27に示した構成に限らず、本発明の範囲内で適宜変更可能である。
例えば、インバータと多段倍電圧整流回路との接続点は任意に選択可能である。一例として、図8の回路構成において上記接続点を変更してなる、本発明の太陽電池調整システムの回路構成を図28に示す。このような回路構成のシステムも、上述の実施形態と同様の原理で動作可能である。
図28に示す本発明の太陽電池調整システムにおいて、太陽電池モジュールPV1に影がかかっている場合に、図9のVGSのグラフに従ってスイッチQa,Qbのオンオフを切り替えたときに回路内を流れる、各モード2〜4,1での電流の経路を図29a〜図29dに示す。モード2,3においては、トランス二次巻線を経由したキャパシタC1の放電電流がダイオードD2を介して影モジュールPV1に補償電流として流れ込む(図29a,図29b)。モード4,1においては、トランス二次巻線を経由した電流がダイオードD1を経由して中間キャパシタC1を充電する(図29c,図29d)。各素子を流れる電流や各素子に印加される電圧の基本的な動作波形は図9に示したものと同一である。
その他の変更例として、トランスを用いずに本発明の太陽電池調整システムを構成することも可能である。図30に、そのようなシステムの回路構成の一例を示す。
図30に示す本発明の太陽電池調整システムにおいて、太陽電池モジュールPV1に影がかかっている場合に、図9のVGSのグラフに従ってスイッチQa,Qbのオンオフを切り替えたときに回路内を流れる、各モード2〜4,1での電流の経路を図31a〜図31dに示す。影モジュールPV1に対しては、モード3(図31b),モード1(図31d)で補償電流が流れ込む一方で、日照モジュールへと供給される補償電流はモード1〜4全体の平均をとればゼロである。
図8に示したシステムと同様に、図28,図30の太陽電池調整システムにおいても、インバータ及び多段倍電圧整流回路内に存在するキャパシタやインダクタ、及び抵抗に起因して、補償電流の経路上にインピーダンスが発生することにより、影モジュールに電圧降下が生じる。したがって影モジュールは電圧の低い状態に維持されるし、またインピーダンスの値を、例えば図20,図21のフローチャートに基づいた周波数制御によって制御することにより、上記電圧降下の大きさを調整して影モジュールをMPP近傍に導くことも可能となる。典型的な使用態様として、図7に示すとおりDC−DCコンバータ等を介して負荷を接続し、DC−DCコンバータの制御により太陽電池モジュール鎖全体に印加される電圧を調整しつつ、Qa,Qbの周波数調整により影モジュールの電圧降下を調整して、全ての太陽電池モジュールをモジュールごとに異なるMPPへと近づけることも可能である。
その他、上述の各実施例においては、ハーフブリッジ型セル、及び、キャパシタCrとインダクタLrとを直列接続してなる共振回路を接続することによりインバータを構成していたが、本発明の太陽電池調整システムに用いられるインバータはこれに限らない。太陽電池モジュール鎖の電圧を交流電圧へと変換し、多段倍電圧整流回路に当該交流電圧を入力することができるインバータであれば、同様の原理で本発明のシステムを動作させることができる。
例えば、ハーフブリッジ型セル(図32)の代わりにフルブリッジ型セル(図33)を用いてもよい。フルブリッジセル型は、スイッチQa,Qbを直列接続してなるスイッチ組と、スイッチQc,Qdを直列接続してなるスイッチ組と、を並列接続し、さらに各々のスイッチにフライホイールダイオードDa〜Ddを並列接続することにより構成される。スイッチQa,Qbの両端間(スイッチQc,Qdの両端間)に電圧Vinが入力された状態で、スイッチQa及びQdをオンとする状態と、スイッチQb及びQcをオンとする状態と、の間で接続状態を経時的に切り替えることによって、端子1,2の間には、ピーク電圧Vin、ボトム電圧−Vinの矩形状の電圧が出力される。なお、入力回路としてフルブリッジ型セルを用いる場合、後段にはトランスを備えた共振回路を用いる等して、フルブリッジ回路と多段倍電圧整流回路との電圧レベルを独立させる必要がある。
また、キャパシタCrとインダクタLrとを直列接続してなる共振回路(図34)の代わりには、並列共振回路(図35)、直並列共振回路(図36)、LLC回路(図37)等を用いても、入力された直流電圧を交流電圧に変換して本発明の太陽電池調整システムを動作させることが可能である。いずれの共振回路を用いる場合も、図中の端子3,4の間に導線を設け、これをコアに対して巻回し、更に二次巻線をコアに対して巻回することによりトランスを形成すれば、端子3,4の間に印加される交流電圧を変圧した上で、二次巻線の両端に接続される多段倍電圧整流回路へと出力することが可能となる。
なお、以上の実施例においてはスイッチング周波数を変更することにより等価出力抵抗Routを制御する例について説明したが、周波数制御が不可能であったとしても、上述のとおり補償電流の経路上に発生するインピーダンスによる電圧降下や影モジュールが「充電」されないことに起因して、影モジュールの電圧を少なくとも日照モジュールの電圧より低くすることが可能であるので、従来よりも影モジュールをMPPに近い動作点に導くことは可能である。
本発明は、太陽電池モジュールを直列に接続して太陽電池ストリングを構成する電源に広く適用できる。
PV1〜PV4 太陽電池モジュール
Q1〜Q8,QDC-DC,Qa〜Qd スイッチ
L1〜L3,Lr,Lr1,Lr2,LDC-DC インダクタ
D1〜D8,D1a〜D8a,D1b〜D8b,Da〜Dd,DDC-DC
ダイオード
C1〜C4,C1a〜C4a,C1b〜C4b,Cr,Cr1,Cr2,Cm,Cn,CDC-DC キャパシタ
Cout1〜Cout4,Cout1a〜Cout4a,Cout1b〜Cout4b
平滑キャパシタ
Rr,rm,rn,Rout1 抵抗成分

Claims (10)

  1. 直列接続された第1から第n(nは2以上の整数)のキャパシタの各々に対して、2つの直列接続されたダイオードが並列に接続され、更に、該2つの直列接続されたダイオードの各々における中間点に中間キャパシタが接続された、多段倍電圧整流回路と、
    第k(k=1,2,…n)の前記キャパシタに対して並列接続された第kの太陽電池モジュールとして与えられる第1から第nの太陽電池モジュールを直列接続してなる、太陽電池モジュール鎖と、
    前記第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、該入力された合計電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧を前記多段倍電圧整流回路に出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えたインバータと
    を備えた、太陽電池調整システム。
  2. 前記インバータが前記交流電圧の周波数を変更する手段を備えた、請求項1に記載の太陽電池調整システム。
  3. 前記インバータが、
    前記第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、スイッチの切り替え状態に応じた電圧を出力する、スイッチを備えた入力回路と、
    前記入力回路から出力された電圧を交流電圧に変換し、前記多段倍電圧整流回路に対して該交流電圧を出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えた共振回路と
    を備えた、請求項2に記載の太陽電池調整システム。
  4. 前記共振回路が、トランスにより前記交流電圧を変圧した上で前記多段倍電圧整流回路に出力するよう構成された、請求項3に記載の太陽電池調整システム。
  5. 前記入力回路は、直列接続された第1及び第2のスイッチの各々にフライホイールダイオードを並列接続してなり、
    前記第1及び第2のスイッチのうちオンとするスイッチを経時的に切り替えることによって、該第1及び第2のスイッチの両端間に直流電圧が入力されたときに、該第1及び第2のスイッチの中間点にある第1の端子と、該第2のスイッチの両端のうち該第1の端子とは異なる側にある、第2の端子と、の間に矩形波状の電圧を出力するよう構成され、
    前記共振回路は、前記第1の端子と第3の端子との間で直列接続されたインダクタと共振回路内キャパシタとを備え、前記入力回路から矩形波状の電圧の入力を受けたときに、前記第3の端子と、前記第2の端子に接続された第4の端子と、の間に交流電圧を出力し、更に該交流電圧をトランスにより変圧した上で前記多段倍電圧整流回路に出力するよう構成された、請求項4に記載の太陽電池調整システム。
  6. 第1から第n(nは2以上の整数)の太陽電池モジュールを直列接続してなる、太陽電池モジュール鎖と、
    第k(k=1,2,…n)の前記太陽電池モジュールに対して並列接続された第kのキャパシタとして与えられる、第1から第nのキャパシタと、2つの直列接続されたダイオードからなり、第k(k=1,2,…n)の前記キャパシタに対して並列接続された第kのダイオードペアとして与えられる、第1から第nのダイオードペアと、該第1から第nのダイオードペア各々における2つの直列接続されたダイオードの中間点に接続された、第1から第nの中間キャパシタと、を備えた第1の多段倍電圧整流回路と、
    第k(k=1,2,…n)の前記太陽電池モジュールに対して並列接続された第n+kのキャパシタとして与えられる、第n+1から第2nのキャパシタと、2つの直列接続されたダイオードからなり、第n+kの前記キャパシタに対して並列接続された第n+kのダイオードペアとして与えられる、第n+1から第2nのダイオードペアと、該第n+1から第2nのダイオードペア各々における2つの直列接続されたダイオードの中間点に接続された、第n+1から第2nの中間キャパシタと、を備えた第2の多段倍電圧整流回路と、
    前記第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、該入力された合計電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧をトランスにより変圧した上で出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えたインバータと
    を備え、
    前記トランスの二次巻線の一端が前記第1の多段倍電圧整流回路に接続され、該二次巻線の他端が前記第2の多段倍電圧整流回路に接続された、太陽電池調整システム。
  7. 前記インバータが前記交流電圧の周波数を変更する手段を備えた、請求項6に記載の太陽電池調整システム。
  8. 前記インバータが、
    前記第1から第nの太陽電池モジュールそれぞれに印加された電圧の合計電圧の入力を受けて、スイッチの切り替え状態に応じた電圧を出力する、スイッチを備えた入力回路と、
    前記入力回路から出力された電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧をトランスにより変圧した上で出力する、容量性素子と誘導性素子とを備えた共振回路と
    を備えた、請求項7に記載の太陽電池調整システム。
  9. 前記入力回路は、直列接続された第1及び第2のスイッチの各々にフライホイールダイオードを並列接続してなり、
    前記第1及び第2のスイッチのうちオンとするスイッチを経時的に切り替えることによって、該第1及び第2のスイッチの両端間に直流電圧が入力されたときに、該第1及び第2のスイッチの中間点にある第1の端子と、該第2のスイッチの両端のうち該第1の端子とは異なる側にある、第2の端子と、の間に矩形波状の電圧を出力するよう構成され、
    前記共振回路は、前記第1の端子と第3の端子との間で直列接続されたインダクタと共振回路内キャパシタとを備え、前記入力回路から矩形波状の電圧の入力を受けたときに、前記第3の端子と、前記第2の端子に接続された第4の端子と、の間に交流電圧を出力し、更に該交流電圧をトランスにより変圧した上で出力するよう構成された、請求項8に記載の太陽電池調整システム。
  10. 請求項2乃至5、及び7乃至9のいずれか一項に記載の太陽電池調整システムを用いて、前記太陽電池モジュール鎖の動作状態を制御する方法であって、
    前記太陽電池モジュール鎖の出力電力を計測する段階と、
    前記インバータにより出力される交流電圧の周波数を変更する段階と、
    前記周波数を変更した後に、前記太陽電池モジュール鎖の出力電力を計測する段階と、
    前記周波数を変更した後に計測された出力電力が、変更する前に計測された出力電力よりも高い場合に、該変更が該周波数の上昇であったならば該周波数を再び上昇させ、該変更が該周波数の下降であったならば該周波数を再び下降させる段階と、
    前記周波数を変更した後に計測された出力電力が、変更する前に計測された出力電力よりも低い場合に、該変更が該周波数の上昇であったならば該周波数を下降させ、該変更が該周波数の下降であったならば該周波数を上昇させる段階と
    を備え、前記太陽電池モジュール鎖の出力電力の計測と、前記インバータにより出力される交流電圧の周波数の変更と、を繰り返すことにより該太陽電池モジュール鎖の動作状態を制御する方法。
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