JP2015055141A - ネット構造物及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】対象岩塊の滑動等に起因する負荷重を分担するアンカー数を増やし、安全性をさらに向上させることができるネット構造物及びその施工方法を提供する。
【解決手段】ネット構造物は、傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材3、及び、第1主線材3を設置面に固定する複数の第1固定具4、5を含む第1格子状構造体1と、設置面に格子状に配設される複数の第2主線材6、及び、第2主線材6を設置面に固定する複数の第2固定具7、8を含む第2格子状構造体2とを有する。第2主線材6は、第1主線材3と異なる位置に配設され、かつ第1主線材3との交差部分において該第1主線材3上に接触した状態で載置され、前記第1格子状構造体1の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの前記第2固定具7、8が配設される。
【選択図】図1

Description

本発明は、斜面における落石の発生源対策として用いられる落石予防工に係り、より具体的には、落石の負荷重を受け持つ格子ブロックを有するネット構造物及びその施工方法に関するものである。
落石予防工としては、斜面に広く点在し、設計上許容できる大小の浮石や転石を対象とし、その浮石や転石が滑動や転落しないよう、その初期始動を止めるためのロープネット工が知られている(特許文献1、2)。
ロープネット工は、斜面に沿って、格子状に配設された主ロープと、その主ロープの交差部分を斜面に固定するアンカーとからなる複数の格子ブロックを形成する工法である。
ロープネット工によるネット構造物は、例えば、以下のようにして施工される。
先ず、主ロープ及び補助ロープとして、同種のワイヤロープを準備し、端部アンカーや中間部アンカーとして、土中用アンカーや岩部用アンカーを準備し、接続金具として、十字アンカーグリップやクロスクリップを準備する。
その後、複数の主ロープを縦横に斜面に沿わせて格子状に配設し、各主ロープの端部を端部アンカーで斜面に固定しかつ張設する。また、主ロープの交差部分に対応する斜面に中間部アンカーを打設し、主ロープの交差部分と中間部アンカーを十字アンカーグリップで接続することによって、主ロープを斜面に固定しかつ張設する。これにより、上述した複数の格子ブロックを形成する。
また、主ロープ間の位置に補助ロープを配設し、この補助ロープと主ロープの交差部分をクロスクリップで接続する。
このようにロープネット工によって施工されるネット構造物では、図5に示すように、一つの格子ブロック内に大きな浮石や転石(以下、対象岩塊という)がある場合、その対象岩塊Rの滑動等に起因する荷重(以下、負荷重という)が当該格子ブロックに働くと、当該負荷重を、その格子ブロックを構成する主ロープを介して、その格子ブロックを構成する中間部アンカー(この場合、4本)に分担させる。これによって、各中間部アンカーへの負荷が軽減される。
また、対象岩塊Rに中間部アンカーを打設した場合には、負荷重が当該中間部アンカーに働くと、当該負荷重を、当該中間部アンカーを含む周囲の四つの格子ブロックを構成する主ロープを介して、当該四つの格子ブロックを構成する中間部アンカー(この場合、8本)に分担させる。これによって、1本の中間部アンカーへの負荷重を他の8本の中間部アンカーが分担するから、当該1本の中間部アンカーへの負荷が軽減される。
なお、図5においては、中間部アンカーを長円形の表示で示し、特に、対象岩塊による負荷重を受け持つ中間部アンカーを黒い長円形の表示で示す。
ところで、ロープネット工の標準仕様では、主ロープの径が12mmとされ、主ロープは2m間隔とされ、一つの格子ブロックの大きさは2m×2m=4mとされ、補助ロープ間隔は0.5mとされる。また、端部アンカーや中間部アンカーとして用いられる土中用アンカーの埋め込み長さは1.3mとされる。
ロープネット工の設計段階において、主ロープ間の中の落石に対する標準仕様の格子ブロック(2m×2m=4m)当りの落石荷重の許容重量(以下、許容荷重という)が斜面の勾配ごとに算出される。この許容荷重は、施工されるネット構造物の各格子ブロックが受け持つことが許容される負荷重を示す指標である。
許容荷重は、勾配70度では6kNと算出され、50度では10.2kNと算出され、30度では69.5kNと算出される。つまり、許容荷重は、緩勾配であれば、高い数値として算出され、対象岩塊が大きくなる。逆に、急勾配であれば、低い数値として算出され、対象岩塊が小さくなる。また、同一の勾配で比較したときに、高い数値の許容荷重が算出されたネット構造物は、低い数値の許容荷重が算出されたネット構造物よりも、各格子ブロックが受け持つ負荷重が大きく、より安全性が高いと評価されることになる。
このため、許容荷重を高める対策が採られている。
例えば、主ロープを太径化する対策がある。
この対策は、主ロープ径を標準の12mmから14mmへ変更し、かつ、その主ロープの太径化に伴って金具やアンカー等の耐力を上げるというものである。
この対策によれば、許容荷重を、勾配70度で、標準仕様の6kNから8.5kNへと高くすることができ、50度で、標準仕様の10.2kNから14.7kNへと高くすることができ、30度で、標準仕様の69.5kNから99.2kNへと高くすることができる。
また、例えば、アンカー数は、許容荷重の算定に連動するので、許容荷重を高めるためにアンカー数を増やす対策が考えられる。
標準仕様のロープネット工では、主ロープの交差部分にアンカーを設けている一方で、主ロープと補助ロープとの交差部分にはアンカーを設けていない。そこで、主ロープと補助ロープとの交差部分にアンカーを新たに設けることで、アンカー数を増やせる可能性はある。
しかし、この対策は、以下の問題点がある。
(1)標準仕様では、補助ロープを主ロープ間の中間位置に配設するので、主ロープと補助ロープとの交差部分にアンカーを新たに設けると、アンカー間隔は最短で1mとなる。これは、実質的に、主ロープ間隔を1mとする対策のことである。
しかし、この場合の許容荷重は、標準仕様の場合と異なり、格子ブロック(1m×1m=1m)当りで算出されることになる。例えば、勾配70度で24kNとなり、直径1.2mの対象岩塊の負荷重を許容することを意味する。
つまり、この対策は、1mの大きさの格子ブロック内に収まり切れない大きさの岩塊を対象とすることである。また、上述したように、勾配が緩やかになると、許容荷重の数値が高くなり、更に大きな岩塊を対象とすることになる。このため、直径1.2m以上の岩塊を対象とする場合に、主ロープ間隔を1mとすることに意味がなく、現実的な対策とはいえない。
(2)また、標準仕様では、上述したように、交差部分に用いる中間部アンカー(土中用アンカー)の埋め込み長さは1.3mである。このため、標準の埋め込み長さよりも狭いアンカー間隔(1m)で、アンカーが隣り合うことになるため、アンカー同士が近過ぎて、アンカーの配置バランスが悪く、現実的ではなく、有効な対策とはいえない。
また、例えば、負荷重を分担するアンカー数(以下、分担アンカー数という)を増やすことによって、許容荷重の数値を高めることは可能である。
しかし、上述したように、ロープネット工では、主ロープの交差部分にアンカーを設けるため、負荷重を分担するのに有効な配設箇所がなく、これ以上、分担アンカー数を増やすことは容易ではない。
また、仮に、上述したように、主ロープと補助ロープとの交差部分にアンカーを設けたとしても、分担アンカー数を増やすことはできず、むしろ、負荷重を分担するアンカー間隔が狭くなり、標準仕様の場合よりも狭い格子ブロック(1m×1m=1m)内での負荷重だけを分担することになるため、現実的な対策とはいえない。
特許第2679966号公報 特許第3390987号公報
しかしながら、従来のロープネット工では、上述したように、主ロープの交差部分にアンカーを設けるので、負荷重を分担するのに有効な配設箇所がなく、これ以上、分担アンカー数を増やすことは容易ではないという問題点がある。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、対象岩塊の滑動等に起因する負荷重を分担するアンカー数を増やし、安全性をさらに向上させることができるネット構造物及びその施工方法を提供することを目的とする。
本発明に係るネット構造物は、傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材、及び、該各第1主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第1主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第1固定具を含む第1格子状構造体と、
前記設置面に格子状に配設される複数の第2主線材、及び、該各第2主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第2主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第2固定具を含む第2格子状構造体と、を有し、
前記第2主線材は、前記第1主線材と異なる位置に配設され、かつ前記第1主線材との交差部分において該第1主線材上に接触した状態で載置され、前記第1格子状構造体の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの前記第2固定具が配設されてなることを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物は、前記第2固定具は、前記第1格子状構造体の前記少なくとも一つの格子の対角線に沿う方向にシフトした位置に配設されることを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物は、前記第2固定具のシフト距離は前記対角線の長さの半分であることを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物は、前記第1固定具及び前記第2固定具のうち少なくとも一つが、引き抜き方向及びせん断方向に耐力を有する土砂部用アンカー装置であることを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物は、前記第1主線材同士の間及び前記第2主線材同士の間のうち少なくとも一方の間には、補助線材が配設されることを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物は、前記第1格子状構造体及び前記第2格子状構造体のうち少なくとも一方には、金網が取り付けられていることを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物の施工方法は、傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材、及び、該各第1主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第1主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第1固定具を含む第1格子状構造体と、
前記設置面に格子状に配設される複数の第2主線材、及び、該各第2主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第2主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第2固定具を含む第2格子状構造体と、を有するネット構造物を前記設置面に施工する方法であって、
前記第1主線材を配設し、前記第2主線材を、前記第1主線材と異なる位置に配設し、かつ前記第1主線材との交差部分において該第1主線材上に接触した状態で載置し、前記第1格子状構造体の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの前記第2固定具を配設することを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物の施工方法は、前記第1固定具及び前記第2固定具を配設し、前記第1固定具と前記第1主線材を接続して該第1主線材を前記設置面に固定しかつ張設し、前記第2固定具と前記第2主線材を接続して該第2主線材を前記設置面に固定しかつ張設することを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物の施工方法は、前記第1主線材及び前記第2主線材を配設した後において、前記第1固定具及び前記第2固定具を前記設置面に打設して、それによって、前記第1主線材及び前記第2主線材を前記設置面に固定しかつ張設することを特徴とするものである。
本発明に係るネット構造物によれば、傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材、及び、該各第1主線材の両端部分を設置面に固定し、第1主線材同士の交差部分を設置面に固定する複数の第1固定具を含む第1格子状構造体と、設置面に格子状に配設される複数の第2主線材、及び、該各第2主線材の両端部分を設置面に固定し、第2主線材同士の交差部分を設置面に固定する複数の第2固定具を含む第2格子状構造体とを有している。その際に、第2主線材は、第1主線材と異なる位置に配設され、かつ第1主線材との交差部分において該第1主線材上に接触した状態で載置され、第1格子状構造体の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの第2固定具が配設されている。このため、次のような作用効果を奏することができる。
すなわち、第1主線材は、第2主線材との交差部分において、当該第2主線材から設置面に向く押圧力を受ける。この押圧力が働く第1主線材と第2主線材との交差部分は、第1主線材側と第2主線材側との間で力学的作用を伝達する。すなわち、当該交差部分を介して、第1固定具と第2固定具は、負荷重を互いに分担し合う関係になっている。また、同一の格子を構成する第1固定具同士や第2固定具同士は、それぞれ、他の第1固定具や第2固定具が受けた負荷重を互いに分担し合う関係にある。したがって、負荷重を分担する固定具の数を増やすことができるので、一つの対象岩塊をより多くの固定具によって押さえることができ、落石予防工によるネット構造物の安全性をさらに向上させることができる。
本発明に係るネット構造物の施工方法によれば、傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材、及び、該各第1主線材の両端部分を設置面に固定し、第1主線材同士の交差部分を設置面に固定する複数の第1固定具を含む第1格子状構造体と、設置面に格子状に配設される複数の第2主線材、及び、該各第2主線材の両端部分を設置面に固定し、第2主線材同士の交差部分を設置面に固定する複数の第2固定具を含む第2格子状構造体とを有するネット構造物を設置面に施工する。その際に、第1主線材を配設し、前記第2主線材を、前記第1主線材と異なる位置に配設し、かつ前記第1主線材との交差部分において該第1主線材上に接触した状態で載置し、前記第1格子状構造体の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの前記第2固定具を配設する。このため、上述したように、負荷重を分担する固定具の数を増やすことができるので、落石予防工によるネット構造物の安全性をさらに向上させたネット構造物を施工することができる。
本発明の実施の形態1によるネット構造物を示す平面図である。 図1に示したネット構造物の第1格子状構造体の第2固定具に働く対象岩塊による負荷重を第1固定具が分担する場合を示す拡大平面図である。 図1に示したネット構造物の第2格子状構造体の第1固定具に働く対象岩塊による負荷重を第2固定具が分担する場合を示す拡大平面図である。 本発明の実施の形態2によるネット構造物を示す平面図である。 ロープネット工によるネット構造物を示す平面図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるネット構造物を示す平面図であり、図2は図1に示したネット構造物の第1格子状構造体の第2固定具に働く対象岩塊による負荷重を第1固定具が分担する場合を示す拡大平面図であり、図3は図1に示したネット構造物の第2格子状構造体の第1固定具に働く対象岩塊による負荷重を第2固定具が分担する場合を示す拡大平面図である。
なお、図1乃至図3において、第1主線材同士及び第2主線材同士の交差部分を固定しかつ張設する第1固定具及び第2固定具を長円形の表示で示し、特に、図2及び図3では、対象岩塊による負荷重を受け持つ第1固定具及び第2固定具を他と区別するために、薄黒い長円形の表示で示している。
この実施の形態1によるネット構造物は、斜面(傾斜した設置面)Gに設置される第1格子状構造体1と第2格子状構造体2を有するものである。
第1格子状構造体1は、斜面Gに沿って格子状に配設される複数の第1主ロープ(第1主線材)3と、これらの各第1主ロープ3の両端部分を斜面Gに固定しかつ張設する複数の第1端部アンカー(第1固定具)4と、第1主ロープ3同士の交差部分を斜面Gに固定しかつ張設する複数の第1中間部アンカー(第1固定具)5とから構成されている。
第2格子状構造体2は、斜面Gに沿って格子状に配設される複数の第2主ロープ(第2主線材)6と、これらの各第2主ロープ6の両端部分を斜面Gに固定しかつ張設する複数の第2端部アンカー(第2固定具)7と、第2主ロープ6同士の交差部分を斜面Gに固定しかつ張設する複数の第2中間部アンカー(第2固定具)8とから構成されている。
さらに、この実施の形態1によるネット構造物では、以下のような構成を有する。
第2主ロープ6は、第1主ロープ3とは異なる位置として、第1主ロープ3同士の間に配設されている。その配設位置は、第1主ロープ3同士の間の中間位置である。このため、第1主ロープ3同士の間隔と第2主ロープ6同士の間隔は等しく、例えば、2m又は3mであるが、これらに限定されるものではない。2m間隔であれば、第1中間部アンカー5と第2中間部アンカー8との距離が最短で1.414mとなるので、ロープネット工の標準仕様の2m間隔の場合よりも短くすることができる。また、埋め込み長さが1.3mの標準の土中用アンカーを用いても、アンカー同士が近過ぎることがなくアンカー耐力を発揮できるバランスの良いアンカー配置とすることができる。
また、第2主ロープ6は、第1主ロープ3との交差部分において、第1主ロープ3上に接触した状態で載置されている。このため、その交差部分における第1主ロープ3は、その載置された第2主ロープ6から、斜面Gに向く押圧力を受ける。この押圧力は、第2主ロープ6に対する第2端部アンカー7及び第2中間部アンカー8による固定及び張設によって発生する。
また、第2中間部アンカー8は、第1格子状構造体1の複数の格子のうち、最小単位の格子内に配設されている。その配設位置は、その格子の対角線に沿う方向にシフトした位置である。第2中間部アンカー8のシフト距離は、その格子の対角線の半分である。
また、上述したように、第1主ロープ3同士の間隔と第2主ロープ6同士の間隔が等しいので、ほとんどの第1中間部アンカー5は、第2格子状構造体2の複数の格子のうち、最小単位の格子内であって、その格子の二つの対角線の交点上に配設されている。また、第1主ロープ3間に第2主ロープ6が配設されているので、縦方向に延在する第1主ロープ3のうち、最も外側の第1主ロープ3上に配設された一部の第1中間部アンカー5は、第2格子状構造体2の格子の外に配設されている。
このような構成のネット構造物においては、第1主ロープ3が、第2主ロープ6との交差部分において、当該第2主ロープ6から斜面Gに向く押圧力を受ける。この押圧力が働く第1主ロープ3と第2主ロープ6との交差部分は、第1主ロープ3側と第2主ロープ6側との間で力学的作用を伝達する。すなわち、当該交差部分を介して、第1中間部アンカー5と第2中間部アンカー8は、負荷重を互いに分担し合う関係になっている。また、同一の格子を構成する第1中間部アンカー5同士や第2中間部アンカー8同士は、それぞれ、他の第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8が受けた負荷重を互いに分担し合う関係にある。
ここで、第2中間部アンカー8に働く対象岩塊による負荷重を第1中間部アンカー5が分担する場合について説明する。
図2に示すように、第1格子状構造体1の格子内に対象岩塊Rがある場合、当該対象岩塊Rによる負荷重が当該格子内に配設された第2中間部アンカー8に働く。この第2中間部アンカー8に働く負荷重を、当該第2中間部アンカー8を含む格子を構成する他の第2中間部アンカー8が分担する。また、当該負荷重は、第1主ロープ3と第2主ロープ6との交差部分を介して、当該負荷重を受けた第2中間部アンカー8を内部に持つ第1格子状構造体1の格子を構成する第1中間部アンカー5に伝達されるため、当該第1中間部アンカー5が当該負荷重を分担する。したがって、この場合の負荷重分担アンカー数は8本である。これは、図5に示したロープネット工によるネット構造物の場合よりも4本多い。
また、第1中間部アンカー5に働く対象岩塊による負荷重を第2中間部アンカー8が分担する場合について説明する。
図3に示すように、第1格子状構造体1の第1中間部アンカー5の下に対象岩塊Rがある場合、その対象岩塊Rによる負荷重が当該第1中間部アンカー5に働く。この第1中間部アンカー5に働く負荷重を、当該第1中間部アンカー5を含む格子を構成する他の第1中間部アンカー5が分担する。また、当該負荷重は、第1主ロープ3と第2主ロープ6との交差部分を介して、当該負荷重を受けた第1中間部アンカー5を内部に持つ第2格子状構造体2の格子を構成する第2中間部アンカー8が当該負荷重を分担する。したがって、この場合の負荷重分担アンカー数は13本である。これは、図5に示したロープネット工によるネット構造物の場合よりも4本多い。
次に、第1格子状構造体1及び第2格子状構造体2の各構成要素を具体的に説明する。
第1主ロープ3及び第2主ロープ6としては、柔軟性に富み強度の高いワイヤロープが用いられる。ワイヤロープとしては、例えば、表面にめっき処理が施された7本の鋼鉄製素線からなるストランドを3本撚り合わせてなるタイプが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、ワイヤロープは、その表面めっき層上に、斜面Gの周辺環境を考慮して、耐剥離性、耐外傷性、密着性、防錆特性をさらに高めるための表面塗装が施されたものであることが好ましい。このような表面塗装が施されると、ネット構造物の耐用年数をさらに長くすることができる。また、このワイヤロープとして、12mm径のものが好適に用いられるが、これに限られるものではない。例えば、14mm径、16mm径、18mm径のものを用いることができる。
第1端部アンカー4及び第2端部アンカー7としては、岩部用アンカーであるセメントアンカーや樹脂アンカー、及び、土砂部用アンカーである打込アンカーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。セメントアンカーは、岩部や土砂部に対しアンカーを打設する際に用いられるものであり、穿孔内にセメントを打設し、その養生後のセメントの周面摩擦抵抗力によってアンカーを固定するものである。このセメントアンカーは、引き抜き方向(斜面Gの表面に対して縦方向)及びせん断方向(斜面Gの面方向)に強い耐力を有するため、そのセメントアンカーに対して引き抜き方向の大きな荷重が働いた場合でも、そのセメントアンカーが引き抜かれにくいため、実施の形態1によるネット構造物の安全性をさらに一層、向上させることができる点で、斜面Gの岩部や土砂部に対して打設される固定具として、好適に用いることができる。樹脂アンカーは、定着剤として樹脂を用いるものであり、セメントの周面摩擦抵抗力が得られにくい寒冷地では、上述したセメントアンカーに替えて、好適に用いることができる。この樹脂アンカーも、セメントアンカーと同様に、引き抜き方向(斜面Gの表面に対して縦方向)及びせん断方向(斜面Gの面方向)に強い耐力を有するものである。なお、樹脂としては、寒冷地において、アンカーの固定に必要な周面摩擦抵抗力が得られるものであれば、いかなる樹脂も用いることができ、寒冷地の環境に応じて、周知の樹脂を適宜選択して用いることができる。
また、打込アンカーは、土砂部にアンカーを打設する際に用いられるものである。
打込アンカーとしては、例えば、土砂部用アンカー装置やスウィングアンカーが挙げられる。
斜面Gの土砂部の凹凸部(特に凹部)に第1端部アンカー4や第2端部アンカー7を打設する場合、上述のセメントアンカーと同様に、引き抜き方向及びせん断方向に強い耐力を有する土砂部用アンカー装置を用いることが好ましい。
土砂部用アンカー装置としては、例えば、両端が開口した中空のアンカーパイプと、このアンカーパイプの内部を通過でき、且つアンカーパイプの下端部に係合可能な頭部を有するアンカーロッドと、アンカーパイプの地中からの引抜きを阻止する引抜き防止機構を備えたものがある。アンカーパイプは、その上端部を斜面Gの表面上に突出させた状態で斜面Gの土中に配設される。このアンカーパイプの上端部には、その上端部に取り付けられるピンボルトと斜面Gの表面との間に第1主ロープ3や第2主ロープ6等のワイヤロープが止められるようになっている。アンカーロッドは、その頭部を上にした状態でアンカーパイプ内に挿入され、そのアンカーロッドの頭部がアンカーパイプの下端部に係合され、アンカーパイプの下側の位置に配設される。この状態で、アンカーロッドは、凝固剤によって周囲が覆われて斜面Gの地中に定着される。引抜き防止機構は、アンカーパイプの下端部と、これに係合するアンカーロッドの頭部とから構成される。このようにして設置される土砂部用アンカー装置では、斜面Gに想定外の崩落が発生したとしても、アンカーパイプが、地中深くに定着されたアンカーロッドや引抜き防止機構によって、引抜きが阻止されるため、実施の形態1によるネット構造物の安全性をさらに一層、向上させることができる。このような土砂部用アンカー装置は、第1端部アンカー4及び第2端部アンカー7のうち少なくとも一つのアンカーとして用いられることが好ましい。
なお、上述の土砂部用アンカー装置については、アンカーパイプとアンカーロッドと引抜き防止機構を備えたものを例示して説明したが、これに限定されるものではなく、上述のようなアンカーパイプを引抜き阻止方向に固定する構造を有するものであれば、どのようなものであってもよい。
また、斜面Gの平坦な土砂部に第1端部アンカー4や第2端部アンカー7を打設する場合、上述のスウィングアンカーを用いることができる。平坦な土砂部では、アンカーに対して引き抜き方向の荷重が働きにくいため、上述の土砂部用アンカー装置を用いずとも、スウィングアンカーを用いることで、必要なせん断力を得ることができる。勿論、斜面Gの平坦な土砂部に上述の土砂部用アンカー装置を用いてもよい。施工時に平坦であっても、施工後に、想定外の集中豪雨等の天災による地盤沈下によって凹む場合がある。この場合、引き抜き方向にも強い耐力を有する上述の土砂部用アンカー装置を施工しておくことによって、その土砂部用アンカー装置に対して引き抜き方向の大きな荷重が働いた場合でも、その土砂部用アンカー装置が引き抜かれにくいため、実施の形態1によるネット構造物の安全性を担保することができる。
なお、第1端部アンカー4や第2端部アンカー7に求められる必要な強度(引き抜き強度やせん断強度など)を得るために、そのアンカーを打設すべき斜面Gが岩部又は土砂部であるか、あるいは、斜面Gの土砂部の表面形状が凹凸又は平坦であるか等の諸条件を考慮して、アンカーの種類、組み合わせや打込み深さなどを適宜選択することが好ましい。
第1端部アンカー4や第2端部アンカー7と第1主ロープ3や第2主ロープ6の端部を接続する金具としては、例えば、巻付グリップが挙げられる。巻付グリップは、先端にリング部を有するグリップ部材を第1主ロープ3や第2主ロープ6の端部に取り付け、リング部をアンカーボルトに嵌め、これを二枚の鋼鉄板で挟み、ボルト締めして接続するものである。
第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8としては、上述の第1端部アンカー4や第2端部アンカー7と同種のものが好適に用いられる。第1格子状構造体1の格子内斜面Gの対象岩塊に第2中間部アンカー8を打設する場合、あるいは、第2格子状構造体2の格子内の斜面Gの対象岩塊に第1中間部アンカー5を打設する場合、上述のセメントアンカーを用いることが好ましい。また、第1格子状構造体1の格子内斜面Gの土砂部の凹凸部(特に凹部)に第2中間部アンカー8を打設する場合、あるいは、第2格子状構造体2の格子内の斜面Gの土砂部の凹凸部(特に凹部)に第1中間部アンカー5を打設する場合、上述の土砂部用アンカー装置を用いることが好ましい。せん断方向の耐力のみならず、引き抜き方向の耐力に優れた土砂部用アンカー装置を用いることで、その土砂部用アンカー装置に対して引き抜き方向の大きな荷重が働いた場合でも、その土砂部用アンカー装置が引き抜かれにくいため、実施の形態1によるネット構造物の安全性をさらに一層、向上させることができる。このような土砂部用アンカー装置は、第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8のうち少なくとも一つのアンカーとして用いられることが好ましい。
また、斜面Gの平坦な土砂部に第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8を打設する場合、上述の第1端部アンカー4や第2端部アンカー7の場合と同様に、必要なせん断力が得られる上述のスウィングアンカーを用いることができる。勿論、第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8の場合においても、斜面Gの平坦な土砂部に上述の土砂部用アンカー装置を用いてもよい。
なお、第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8に求められる必要な強度(引き抜き強度やせん断強度など)を得るために、そのアンカーを打設すべき斜面Gが岩部又は土砂部であるか、あるいは、斜面Gの土砂部の表面形状が凹凸又は平坦であるか等の諸条件を考慮して、アンカーの種類、組み合わせや打込み深さなどを適宜選択することが好ましい。
第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8と第1主ロープ3を接続する金具としては、例えば、十字アンカーグリップが挙げられる。十字アンカーグリップは、第1主ロープ3や第2主ロープ6の交差部分を、これを斜めに横切る二枚の板状金具で挟み、これらをボルト締めして、当該交差部分をアンカーに接続するものである。
また、この実施の形態1によるネット構造物には、図1に示すように、第1主ロープ3同士の間及び第2主ロープ6同士の間に、それぞれ、補助ロープ9が等間隔で配設されている。補助ロープ9の間隔は、例えば、0.5mであるが、これに限定されるものではない。
補助ロープ9としては、第1主ロープ3や第2主ロープ6に用いられるワイヤロープと同種のワイヤロープが用いられる。
また、補助ロープ9同士の交差部分、第1主ロープ3や第2主ロープ6との交差部分を接続する金具としては、例えば、十字グリップ、クロスクリップ、Vクリップが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、十字グリップは、当該交差部分を、これを斜めに横切る二枚の板状金具で挟み、これらをボルト締めして接続するものである。
なお、第1格子状構造体1及び第2格子状構造体2のうち少なくとも一方には、必要に応じて、金網(図示せず)が取り付けられてもよい。この金網としては、例えば、網目がひし形等の形状のものや、厚ネット等の金網類が挙げられる。このような金網は、斜面Gに小さな浮石が既にある場合や、施工段階において、大きな石が砕けて小さな浮石や転石の発生が予測される場合など、比較的小さな浮石や転石の落下を防止するのに有効であり、また、大きな浮石を安定させる場合にも有効である。
また、金網は、補助ロープ9の間に取り付けられてもよい。この場合、例えば、第1主ロープ3及び第2主ロープ6の各間隔を3mとした場合、補助ロープ9を0.75m〜1m間隔に広げ、その補助ロープ9の間に金網を取り付けてもよい。
また、補助ロープ9に替えて、第1主ロープ3間又は第2主ロープ6間に金網を取り付けてもよい。
次に、この実施の形態1によるネット構造物の施工方法を説明する。
先ず、図1に示すように、斜面G上の所定の位置に、第1端部アンカー4、第2端部アンカー7、第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8を打設する。
次に、第1主ロープ3を格子状に配設し、この第1主ロープ3の端部に第1端部アンカー4を接続し、第1主ロープ3同士の交差部分に第1中間部アンカー5を接続することによって、第1主ロープ3を斜面Gに固定しかつ張設する。これによって、第1格子状構造体1を施工する。
その後、第2主ロープ6を、第1主ロープ3同士の間の中間位置に配設する。その際に、第2主ロープ6を、第1主ロープ3との交差部分において、その第1主ロープ3上に接触した状態で載置する。その後、第2主ロープ6の端部に第2端部アンカー7を接続し、第2主ロープ6同士の交差部分に第2中間部アンカー8を接続することによって、第2主ロープ6を斜面Gに固定しかつ張設する。これによって、第2格子状構造体2を施工し、第1格子状構造体1と第2格子状構造体2とから構成されるネット構造物を得る。
補助ロープ9は、例えば、第1格子状構造体1及び第2格子状構造体2の施工後に行うことができるが、第1主ロープ3や第2主ロープ6の配設時に、斜面Gの所定位置に仮置きしておいてもよい。
この実施の形態1によるネット構造物によれば、第2主ロープ6が、第1主ロープ3と異なる位置として第1主ロープ3同士の間の中間位置に配設され、かつ第1主ロープ3との交差部分において第1主ロープ3上に接触した状態で載置され、第1格子状構造体1の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの第2中間部アンカー8が配設されている。このため、第1主ロープ3が、第2主ロープ6との交差部分において、当該第2主ロープ6から斜面Gに向く押圧力を受ける。この押圧力が働く第1主ロープ3と第2主ロープ6との交差部分は、第1主ロープ3側と第2主ロープ6側との間で力学的作用を伝達する。すなわち、当該交差部分を介して、第1中間部アンカー5と第2中間部アンカー8は、負荷重を互いに分担し合う関係になっている。また、同一の格子を構成する第1中間部アンカー5同士や第2中間部アンカー8同士は、それぞれ、他の第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8が受けた負荷重を互いに分担し合う関係にある。したがって、負荷重を分担する第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8の数を増やすことができるので、一つの対象岩塊をより多くの第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8によって押さえることができ、落石予防工によるネット構造物の安全性をさらに向上させることができる。
さらに、第1端部アンカー4、第1中間部アンカー5、第2端部アンカー7及び第2中間部アンカー8のいずれかに、引き抜き方向及びせん断方向に耐力を有する上述のセメントアンカーや土砂部用アンカー装置を用いる場合、そのセメントアンカーや土砂部用アンカー装置に対して引き抜き方向の大きな荷重が働いた場合でも、そのセメントアンカーや土砂部用アンカー装置が引き抜かれにくいため、上述の負荷重を確実に分担することができることから、ネット構造物の安全性をさらに一層、向上させることができる。
なお、この実施の形態1では、最初に、斜面G上の所定の位置に、第1端部アンカー4、第2端部アンカー7、第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8を打設した後に、第1主ロープ3及び第2主ロープ6を配設した場合のネット構造物の施工方法について本発明を適用したが、最初に、斜面G上の所定の位置に、第1主ロープ3及び第2主ロープ6を仮置きした後に、第1端部アンカー4、第2端部アンカー7、第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8を斜面Gに打設し、それによって、第1主ロープ3及び第2主ロープ6を斜面Gに固定しかつ張設するようにしてもよい。
また、この実施の形態1では、第1主ロープ3及び第2主ロープ6の固定時に、接続作業を要するアンカーを用いた場合について本発明を適用したが、接続作業を要しないアンカーを用いてもよい。例えば、アンカーの打設時に同時に第1主ロープ3及び第2主ロープ6を斜面Gに固定しかつ張設できる打込みアンカーを用いると、施工作業の効率を向上させることができ、時間及びコストの削減を図ることができる。
また、この実施の形態1では、第2主ロープ6を第1主ロープ3と異なる位置として第1主ロープ3同士の間の中間位置に配設した場合について本発明を適用したが、本発明は、これに限られるものではない。
また、この実施の形態1では、第2主ロープ6を第1主ロープ3同士の間に配設した場合について本発明を適用したが、第1格子状構造体1の縁部を構成する第1主ロープ3の外側に第2主ロープ6を配設してもよい。この場合、当該第1主ロープ3を固定しかつ張設する第1中間部アンカー5への負荷重を、当該第1主ロープ3の外側に配設された第2主ロープ6を固定しかつ張設する第2中間部アンカー8に分担させることができる。
また、この実施の形態1では、第2格子状構造体2を第1格子状構造体1の最小単位の格子の対角線に沿う方向にシフトした位置に配設した場合について本発明を適用したが、最小単位の格子を複数並べて形成する、より大きな格子の対角線に沿う方向にシフトした位置に配設してもよい。また、第2格子状構造体2を第1格子状構造体1の最小単位の格子の対角線に沿う方向にシフトした場合におけるシフト距離を、当該最小単位の格子の対角線の半分としたが、本発明は、これに限られるものではない。
また、この実施の形態1では、第2格子状構造体2の最小単位の全格子内にそれぞれ、1本の第1中間部アンカー5を配設し、第1格子状構造体1の最小単位の全格子内にそれぞれ、1本の第2中間部アンカー8を配設した場合について本発明を適用したが、第2格子状構造体2の少なくとも一つの格子内に複数本の第1中間部アンカー5を配設してもよく、第1格子状構造体1の少なくとも一つの格子内に複数本の第2中間部アンカー8を配設してもよい。
また、この実施の形態1では、補助ロープ9を第1主ロープ3同士の間及び第2主ロープ6同士の間に配設した場合について本発明を適用したが、第1主ロープ3同士の間及び第2主ロープ6同士の間のうち少なくとも一方の間に補助ロープ9を配設してもよい。例えば、適切な箇所に限定して、補助ロープ9を配設することによって、部分的に機械的強度をさらに向上させることができる。
また、この実施の形態1では、補助ロープ9を第1主ロープ3と第2主ロープ6との間の中間位置に配設した場合について本発明を適用したが、例えば、第1主ロープ3同士や第2主ロープ6同士の間隔を3mとし、補助ロープ9の間隔が0.5mであれば、第1主ロープ3と第2主ロープ6との間を三等分した位置に配設してもよい。
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2によるネット構造物を示す平面図であり、図1と同一の構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
実施の形態2によるネット構造物では、全てのアンカーを、引き抜き方向及びせん断方向に耐力を有する上述の土砂部用アンカー装置及びセメントアンカーで賄う点で、実施の形態1と異なる。
図4に示すネット構造物は、その外縁部分が、第1主ロープ3及び第2主ロープ6からなる正方形状の大きな格子から構成されており、その格子の外側には、実施の形態1において第1主ロープ3の両端部を斜面Gに固定する第1端部アンカー4と、第2主ロープ6の両端部を斜面Gに固定する第2端部アンカー7が設けられておらず、その大きな格子の外側に張り出されていない。
このネット構造物では、上述のセメントアンカーが、第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8として、斜面Gの岩部に打設され、また、上述の土砂部用アンカー装置が、第1中間部アンカー5や第2中間部アンカー8として、斜面Gの土砂部に打設されるように構成されている。
次に、この実施の形態2によるネット構造物の施工方法を説明する。
先ず、図4に示すように、斜面G上の所定の位置に、第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8を打設する。
次に、第1主ロープ3を格子状に配設し、第1主ロープ3の端部及び第1主ロープ3同士の交差部分に第1中間部アンカー5を接続することによって、第1主ロープ3を斜面Gに固定しかつ張設する。これによって、第1格子状構造体1を施工する。
その後、第2主ロープ6を、第1主ロープ3同士の間の中間位置に配設する。その際に、第2主ロープ6を第1主ロープ3との交差部分において、その第1主ロープ3上に接触した状態で載置する。その後、第2主ロープ6の端部及び第2主ロープ6同士の交差部分に第2中間部アンカー8を接続することによって、第2主ロープ6を斜面Gに固定しかつ張設する。これによって、第2格子状構造体2を施工し、第1格子状構造体1と第2格子状構造体2とから構成され、且つ正方形状の大きな格子からなる外縁部分を有するネット構造物を得る。
補助ロープ9は、実施の形態1と同様に、例えば、第1格子状構造体1及び第2格子状構造体2の施工後に行うことができるが、第1主ロープ3や第2主ロープ6の配設時に、斜面Gの所定位置に仮置きしておいてもよい。
この実施の形態2によるネット構造物によれば、全てのアンカーを、上述の土砂部用アンカー装置及びセメントアンカーのみで賄うこととしたので、いずれのアンカーに対して引き抜き方向の大きな荷重が働いた場合でも、そのアンカーは引き抜かれにくい。このため、いずれのアンカーも、分担すべき負荷重を確実に負うことができるので、ネット構造物の安全性をより一層、向上させることができる。
また、全てのアンカーに、上述の土砂部用アンカー装置及びセメントアンカーを用いることで、実施の形態2によるネット構造物の安全性を十分に確保できるので、ネット構造物の大きな格子の外側に張り出した状態で、第1端部アンカー4及び第2端部アンカー7を用いる必要がない。このため、ネット構造物の外側に張り出した状態で、第1端部アンカー4及び第2端部アンカー7を用いる実施の形態1の場合と比べて、アンカー数を減らすことができるとともに、斜面Gのうち、端部アンカー張出設置用地を不要とすることができる。端部アンカー張出設置用地が不要となるので、その分、第1主ロープ3及び第2主ロープ6の長さを短くすることができる。また、実施の形態2による正方形状のネット構造物を端部アンカー張出設置用地にまで拡大して設置する場合、端部アンカー張出設置用地を含めた斜面G全体における落石予防対策とすることができる。
なお、この実施の形態2では、ネット構造物の外縁部分に第1端部アンカー4及び第2端部アンカー7を設けずに、第1主ロープ3の端部の固定に第1中間部アンカー5を用い、且つ第2主ロープ6の端部の固定に第2中間部アンカー8を用いる場合について説明したが、ネット構造物の外縁部分から外側にアンカーを張り出させない構成であれば、その外縁部分に第1端部アンカー4及び第2端部アンカー7を設け、これらを用いて、第1主ロープ3の端部の固定及び第2主ロープ6の端部の固定を行ってもよい。いずれの場合においても、全てのアンカーを、上述の土砂部用アンカー装置及びセメントアンカーで賄うことで、ネット構造物の安全性をより一層、向上させることができることに変わりはない。
実施例1.
図1に示した実施の形態1によるネット構造物を施工した。
(1)準備段階
第1主ロープ3、第2主ロープ6及び補助ロープ9として、ロープネット工の標準仕様の12mm径のワイヤロープを用いた。第1主ロープ3間に第2主ロープ6を配設するため、第1主ロープ3を縦横各11本準備し、第2主ロープ6を縦横各10本準備し、補助ロープ9を縦横各20本準備した。
また、第1端部アンカー4、第1中間部アンカー5、第2端部アンカー7及び第2中間部アンカー8として、埋め込み長さが1.3mの土砂部用スウィングアンカー25(東京製綱株式会社製)、岩部用TSKセメントアンカー(東京製綱株式会社製)及び土砂部用アンカー装置であるTSKプルストップアンカーシステム(東京製綱株式会社製)を準備し、斜面Gの設置部の状況に応じて使い分けることとした。
また、接続金具として、十字アンカーグリップ、十字グリップ、巻付グリップ、クロスクリップ及びVクリップを準備した。
(2)施工段階
先ず、斜面G上の所定位置に、第1端部アンカー4、第2端部アンカー7、第1中間部アンカー5及び第2中間部アンカー8を打設した。これらのアンカーとして、斜面G上の凹部の所定位置には、上述の土砂部用アンカー装置を打設した。
その後、斜面G上の所定位置に、第1主ロープ3、第2主ロープ6及び補助ロープ9を配設した。その際に、第1主ロープ3及び第2主ロープ6の間隔をそれぞれ2mとし、第1主ロープ3同士の間の中間位置に第2主ロープ6を配設し、さらに、補助ロープ9を第1主ロープ3と第2主ロープ6の間に50cm間隔で配設した。
また、十字アンカーグリップ又は巻付グリップを用いて、第1主ロープ3の端部を第1端部アンカー4に接続し、第2主ロープ6の端部を第2端部アンカー7に接続した。また、十字アンカーグリップを用いて、第1主ロープ3同士の交差部分を第1中間部アンカー5に接続し、第2主ロープ6同士の交差部分を第2中間部アンカー8に接続した。その際に、所定の張力を得られるように調整しながら、第1主ロープ3及び第2主ロープ6を斜面Gに固定しかつ張設した。
また、十字グリップ、クロスクリップ又はVクリップを用いて、補助ロープ9同士の交差部分、補助ロープ9と第1主ロープ3及び第2主ロープ6との交差部分を接続した。
このような工程を経て、縦横20m×20mサイズのネット構造物を施工した。
この実施例の第1格子状構造体1及び第2格子状構造体2の最小単位の格子は、ロープネット工の標準仕様の2m×2mサイズである。また、第1格子状構造体1の最小単位の格子は100個であり、第2格子状構造体2の最小単位の格子は81個である。
(3)許容荷重の算出
上述のように施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で12kN、勾配60度で15kN、勾配50度で20.7kN、勾配40度で35.7kN、勾配35度で56.7kN、勾配30度で139kNであった。
比較例1.
図5に示したロープネット工によるネット構造物を施工した。
(1)準備段階
主ロープ及び補助ロープとして、ロープネット工の標準仕様の12mm径のワイヤロープを用いた。主ロープを縦横各11本準備し、補助ロープを縦横各90本準備した。
また、端部アンカー及び中間部アンカーとして、埋め込み長さが1.3mの土砂部用スウィングアンカー25(東京製綱株式会社製)、岩部用TSKセメントアンカー(東京製綱株式会社製)及び土砂部用アンカー装置であるTSKプルストップアンカーシステム(東京製綱株式会社製)を準備し、斜面Gの設置部の状況に応じて使い分けることとした。
また、接続金具として、十字アンカーグリップ、十字グリップ、巻付グリップ、クロスクリップ及びVクリップを準備した。
(2)施工段階
先ず、斜面G上の所定位置に、端部アンカー及び中間部アンカーを打設した。これらのアンカーとして、斜面G上の凹部の所定位置には、上述の土砂部用アンカー装置を打設した。
その後、斜面G上の所定位置に、主ロープ及び補助ロープを配設した。その際に、主ロープの間隔を2mとし、補助ロープを主ロープ間に50cm間隔で配設した。
また、十字アンカーグリップ又は巻付グリップを用いて、主ロープの端部を端部アンカーに接続した。また、十字アンカーグリップを用いて、主ロープ同士の交差部分を中間部アンカーに接続した。その際に、所定の張力を得られるように調整しながら、主ロープを斜面Gに固定しかつ張設した。
また、十字グリップ、クロスクリップ又はVクリップを用いて、補助ロープと主ロープとの交差部分を接続した。
このような工程を経て、縦横20m×20mサイズのネット構造物を施工した。
このネット構造物の最小単位の格子は、ロープネット工の標準仕様の2m×2mサイズである。また、最小単位の格子は100個である。
(3)許容荷重の算出
この実施例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で6kN、勾配60度で7.5kN、勾配50度で10.2kN、勾配40度で17.5kN、勾配35度で28.2kN、勾配30度で69.5kNであった。
ここで、上述した実施例1と比較例1について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例1は、比較例1の場合よりも、約2倍、許容荷重が高いことが分かる。これは、実施例1のネット構造物において、一つの対象岩塊による負荷重を分担するアンカー数が増加したことに起因するものと考えられる。
なお、実施例1の許容荷重の算出値は、ロープネット工によるネット構造物において主ロープ間隔を1.414mとした場合(約2mの格子ブロック)の許容荷重の算出値に相当する。
実施例2.
第1主ロープ3、第2主ロープ6及び補助ロープ9として、14mm径のワイヤロープを用いた以外は、実施例1と同様に施工し、ネット構造物を施工した。
この実施例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で17kN、勾配60度で21.5kN、勾配50度で29.7kN、勾配40度で51kN、勾配35度で81kN、勾配30度で198.7kNであった。
比較例2.
主ロープ及び補助ロープとして、14mm径のワイヤロープを用いた以外は、比較例1と同様に施工し、ネット構造物を施工した。
この比較例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で8.5kN、勾配60度で10.7kN、勾配50度で14.7kN、勾配40度で25.5kN、勾配35度で40.5kN、勾配30度で99.2kNであった。
ここで、上述した実施例2と比較例2について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例2は、比較例2の場合よりも、許容荷重が高いことが分かる。また、各勾配の許容荷重の算出値において、実施例2と比較例2の差は、実施例1と比較例1の差以上に大きくなっている。これは、分担アンカー数の増加とワイヤロープの太径化との相乗効果を示している。
比較例3.
主ロープ及び補助ロープとして、16mm径のワイヤロープを用いた以外は、比較例1と同様に施工し、ネット構造物を施工した。
この比較例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で10.2kN、勾配60度で12.7kN、勾配50度で17.7kN、勾配40度で30.5kN、勾配35度で48.7kN、勾配30度で119.2kNであった。
ここで、上述した実施例1と比較例3について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例1は、比較例3の場合よりも、許容荷重が高いことが分かる。これは、分担アンカー数の増加による効果が、ロープネット工における12mm径から16mm径へのワイヤロープの太径化による効果以上であることを示している。
比較例4.
主ロープ及び補助ロープとして、18mm径のワイヤロープを用いた以外は、比較例1と同様に施工し、ネット構造物を施工した。
この比較例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で13.7kN、勾配60度で17.2kN、勾配50度で23.7kN、勾配40度で40.7kN、勾配35度で64.7kN、勾配30度で159kNであった。
ここで、上述した実施例1と比較例4について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例1は、比較例4の場合よりも、許容荷重が若干低いことが分かる。また、上述した実施例2と比較例4について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例2は、比較例4の場合よりも、許容荷重が高いことが分かる。これは、分担アンカー数の増加及び12mm径から14mm径へのワイヤロープの太径化による効果が、ロープネット工における12mm径から18mm径へのワイヤロープの太径化による効果以上であることを示している。
実施例3.
縦横各8本の第1主ロープ3を用い、縦横各7本の第2主ロープ6を用い、縦横各28本の補助ロープ9を用い、第1主ロープ3及び第2主ロープ6の間隔を3mとし、補助ロープ9の間隔を1.5mとした以外は、実施例1と同様に施工し、縦横21m×21mサイズのネット構造物を施工した。
この実施例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で5.3kN、勾配60度で6.6kN、勾配50度で9.2kN、勾配40度で15.8kN、勾配35度で25.2kN、勾配30度で61.7kNであった。
ここで、実施例3と上述した比較例1について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例3は、比較例1の場合とほぼ同等の許容荷重を得ることが分かる。これは、主ロープの間隔を広くしても、分担アンカー数の増加による効果によって許容荷重を高めることができることを示している。
実施例4.
第1主ロープ3、第2主ロープ6及び補助ロープ9として、14mm径のワイヤロープを用いた以外は、実施例3と同様に施工し、縦横21m×21mサイズのネット構造物を施工した。
この実施例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で7.5kN、勾配60度で9.5kN、勾配50度で13.2kN、勾配40度で22.6kN、勾配35度で36kN、勾配30度で88.3kNであった。
ここで、上述した実施例4と比較例1について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例4は、比較例1の場合よりも、許容荷重が同等若しくはそれ以上であることが分かる。これは、主ロープの間隔を広くしても、分担アンカー数の増加による効果によって許容荷重を高めることができることを示している。
実施例5.
図4に示した実施の形態2によるネット構造物を施工した。
(1)準備段階
実施例1と同様に、主ロープ及び補助ロープとして、ロープネット工の標準仕様の12mm径のワイヤロープを用いた。また、第1主ロープ3を縦横各6本準備し、第2主ロープ6を縦横各5本準備し、補助ロープ9を縦横各10本準備した。
また、中間部アンカーとして、岩部用TSKセメントアンカー(東京製綱株式会社製)及び土砂部用アンカー装置であるTSKプルストップアンカーシステム(東京製綱株式会社製)を準備した。
また、接続金具として、十字アンカーグリップ、十字グリップ、巻付グリップ、クロスクリップ及びVクリップを準備した。
(2)施工段階
先ず、斜面G上の岩部の所定位置に上述のセメントアンカーを打設し、土砂部の所定の位置に上述の土砂部用アンカー装置を打設した。
その後、斜面G上の所定位置に、主ロープ及び補助ロープを配設した。その際に、主ロープの間隔を2mとし、補助ロープを主ロープ3間に50cm間隔で配設した。
また、十字アンカーグリップ又は巻付グリップを用いて、主ロープの端部及び主ロープ同士の交差部分を上述のセメントアンカーや土砂部用アンカー装置に接続した。その際に、所定の張力を得られるように調整しながら、主ロープを斜面Gに固定しかつ張設した。
また、十字グリップ、クロスクリップ又はVクリップを用いて、補助ロープと主ロープとの交差部分を接続した。
このような工程を経て、縦横10m×10mサイズの正方形状のネット構造物を施工した。
このネット構造物の最小単位の格子は、ロープネット工の標準仕様と同様、2m×2mサイズである。また、第1格子状構造体1の最小単位の格子は25個であり、第2格子状構造体2の最小単位の格子は16個である。
(3)許容荷重の算出
この実施例で施工したネット構造物について、種々の勾配ごとに許容荷重を算出したところ、勾配70度で12kN、勾配60度で15kN、勾配50度で20.7kN、勾配40度で35.7kN、勾配35度で56.7kN、勾配30度で139kNであった。
ここで、上述した実施例5と比較例1について、許容荷重の算出値で比較すると、実施例5は、比較例1の場合よりも、約2倍、許容荷重が高いことが分かる。これは、実施例5のネット構造物において、一つの対象岩塊による負荷重を分担するアンカー数が増加したことに加え、全てのアンカーに、引き抜き方向及びせん断方向に耐力を有する上述の土砂部用アンカー装置及びセメントアンカーを用いたことに起因するものと考えられる。
1 第1格子状構造体
2 第2格子状構造体
3 第1主ロープ(第1主線材)
4 第1端部アンカー(第1固定具)
5 第1中間部アンカー(第1固定具)
6 第2主ロープ(第2主線材)
7 第2端部アンカー(第2固定具)
8 第2中間部アンカー(第2固定具)
9 補助ロープ
G 斜面
R 対象岩塊

Claims (9)

  1. 傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材、及び、該各第1主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第1主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第1固定具を含む第1格子状構造体と、
    前記設置面に格子状に配設される複数の第2主線材、及び、該各第2主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第2主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第2固定具を含む第2格子状構造体と、を有し、
    前記第2主線材は、前記第1主線材と異なる位置に配設され、かつ前記第1主線材との交差部分において該第1主線材上に接触した状態で載置され、前記第1格子状構造体の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの前記第2固定具が配設されてなることを特徴とするネット構造物。
  2. 前記第2固定具は、前記第1格子状構造体の前記少なくとも一つの格子の対角線に沿う方向にシフトした位置に配設されることを特徴とする請求項1に記載のネット構造物。
  3. 前記第2固定具のシフト距離は前記対角線の長さの半分であることを特徴とする請求項2に記載のネット構造物。
  4. 前記第1固定具及び前記第2固定具のうち少なくとも一つは、引き抜き方向及びせん断方向に耐力を有する土砂部用アンカー装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のネット構造。
  5. 前記第1主線材同士の間及び前記第2主線材同士の間のうち少なくとも一方の間には、補助線材が配設されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のネット構造物。
  6. 前記第1格子状構造体及び前記第2格子状構造体のうち少なくとも一方には、金網が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載のネット構造物。
  7. 傾斜した設置面に格子状に配設される複数の第1主線材、及び、該各第1主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第1主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第1固定具を含む第1格子状構造体と、
    前記設置面に格子状に配設される複数の第2主線材、及び、該各第2主線材の両端部分を前記設置面に固定し、前記第2主線材同士の交差部分を前記設置面に固定する複数の第2固定具を含む第2格子状構造体と、を有するネット構造物を前記設置面に施工する方法であって、
    前記第1主線材を配設し、前記第2主線材を、前記第1主線材と異なる位置に配設し、かつ前記第1主線材との交差部分において該第1主線材上に接触した状態で載置し、前記第1格子状構造体の少なくとも一つの格子内に少なくとも一つの前記第2固定具を配設することを特徴とするネット構造物の施工方法。
  8. 前記第1固定具及び前記第2固定具を配設し、前記第1固定具と前記第1主線材を接続して該第1主線材を前記設置面に固定しかつ張設し、前記第2固定具と前記第2主線材を接続して該第2主線材を前記設置面に固定しかつ張設することを特徴とする請求項7に記載のネット構造物の施工方法。
  9. 前記第1主線材及び前記第2主線材を配設した後において、前記第1固定具及び前記第2固定具を前記設置面に打設して、それによって、前記第1主線材及び前記第2主線材を前記設置面に固定しかつ張設することを特徴とする請求項7に記載のネット構造物の施工方法。
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