JP2015052678A - 位相差フィルムの製造方法、該製造方法により作製される位相差フィルム、該位相差フィルムを用いる円偏光板ならびに有機elディスプレイ - Google Patents

位相差フィルムの製造方法、該製造方法により作製される位相差フィルム、該位相差フィルムを用いる円偏光板ならびに有機elディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して斜め延伸を行う位相差フィルムの製造方法において、表示品位の劣化しにくいディスプレイを作製できる位相差フィルムを提供すること。【解決手段】製膜後に巻き取られたフィルム原反を斜め延伸する工程を有し、該工程において、延伸前後の内部ヘイズ変化が膜厚40μmあたり0.07%以下であり、位相差フィルムの遅相軸が10〜80?であり、面内位相差Ro550が100〜160nmであり、Ro550に対するRo450の比率が0.8以上1.0未満となるように延伸する、位相差フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルムの製造方法、該製造方法により作製される位相差フィルム、該位相差フィルムを用いる円偏光板ならびに有機ELディスプレイに関する。
近年、表示装置(ディスプレイ)の多様化が進み、ディスプレイを構成する光学フィルムに対する要求も多様化している。光学フィルムは、たとえば、3Dディスプレイ、タッチパネル、フレキシブルディスプレイ、有機ELディスプレイに使用される場合には、より薄く、耐久性を備えることが求められる。
ディスプレイの視認性の向上させる光学フィルムとして、λ/4位相差フィルムが注目されている。λ/4位相差フィルムは、可視光域の広い波長域においてフィルムの位相差が波長(λ)の4分の1になること、すなわち逆波長分散特性を備える。このようなλ/4位相差フィルムは、偏光板化されることにより、たとえば有機ELディスプレイにおける外光反射を防ぎ、明所コントラストや黒色再現性を向上させることができる。
特許文献1には、位相差発現性と広帯域における逆波長分散特性とを両立させるために、フィルムを積層して作製したλ/4位相差板が開示されている。しかし、このようなλ/4位相差板は、厚膜であり、また、軸調整が難しいという問題がある。そこで、近年、添加剤を使用することにより、単層で波長分散特性を逆波長分散にしたλ/4位相差フィルムが提案されている(特許文献2)。
特開平10−68816号公報 特開2012−103651号公報
特許文献2に記載の添加剤を含むλ/4位相差フィルムは、たとえばフレキシブルディスプレイに使用する場合に、長期の使用により色の再現性に関する表示品位が劣化することがわかった。
ところで、単層かつ薄膜のλ/4位相差フィルムを作成するためには、製膜後のフィルム原反を斜め方向に延伸する必要がある。斜め延伸は、高温高倍率延伸であり、通常は、製膜された後に一旦巻き取られ、乾燥されたフィルム原反を用いて行われる。そのため、延伸時にフィルムにかかる負荷は、たとえば製膜後に巻き取られることなく有機溶媒が高残溶したフィルム原反をそのまま延伸する場合と比較して大きくなる。このような延伸時に負荷が加えられて作製された位相差フィルムは、上記のような長期使用時の表示品位の劣化が起こりやすいことがわかった。また、このような長期使用時の表示品位の劣化は、製造後の位相差フィルムの光学特性を観察しても、その良否にかかわらず発生することがわかった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して斜め延伸を行う位相差フィルムの製造方法において、表示品位の劣化しにくいディスプレイを作製できる位相差フィルムの製造方法を提供すること、該位相差フィルムを用いた円偏光板を提供すること、ならびに、これら位相差フィルムや円偏光板を使用して、耐屈曲性、黒色再現性および反射性能のよい有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して斜め延伸を行って位相差フィルムを製造する際に、延伸前後の内部ヘイズの変化量を制御することにより、結果として上記の表示品位の劣化が抑制できる点に着目し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一局面による位相差フィルムの製造方法は、製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して、斜め方向に延伸する工程を有し、前記斜め方向に延伸する工程において、延伸前後の内部ヘイズの変化が膜厚40μmあたり0.07%以下であり、得られる位相差フィルムの長尺方向に対する遅相軸が10°以上80°以下であり、波長550nmにおける面内位相差Ro550が100nm以上160nm以下であり、Ro550に対する波長450nmにおける面内位相差Ro450の比率(Ro450/Ro550)が0.8以上1.0未満となるように、前記フィルム原反を延伸することを特徴とする。
本発明の位相差フィルムの製造方法によれば、得られる位相差フィルムを用いて作製されたディスプレイにおいて、表示品位の劣化が抑制される。また、本発明の位相差フィルムの製造方法によれば、得られる位相差フィルムは、逆波長分散特性が優れ、広帯域において実質的にλ/4の位相差を示すため、たとえば有機ELディスプレイに用いられる円偏光板に好適に用いることができる。
上記構成において、前記位相差フィルムは、負の固有複屈折を有する化合物を含むことにより、逆波長分散特性が良好に付与される。
上記構成において、前記位相差フィルムは、以下の一般式(1)で表される化合物を含むことにより、位相差の湿度変動を抑制できるという利点がある。
Figure 2015052678

(一般式(1)において、AおよびAは、各々アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、L、L、LおよびLは、各々単結合または2価の連結基を表し、WおよびWは、各々芳香族複素環または脂肪族複素環を表し、Bは、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、芳香族複素環または脂肪族複素環を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、複数のL、LおよびWは同じであっても異なっていてもよい)
上記構成において、前記位相差フィルムは、セルロースエステル樹脂組成物を含むことにより、良好な位相差発現性を示しやすい。
上記構成において、前記位相差フィルムは、セルロースエーテル樹脂組成物を含むことにより、良好な位相差発現性を示しやすい。
上記構成において、前記斜め方向に延伸する工程において、以下の条件A〜Cのうち、少なくともいずれか2つの条件を満たす工程を有することが好ましい。
条件A:斜め延伸時にフィルムの両端を把持する把持具の走行速度が0.1〜2m/分である
条件B:延伸温度が、前記位相差フィルムのTgよりも30℃から60℃高い温度である
条件C:延伸後の冷却温度が前記位相差フィルムのTg〜Tg−30℃である
これにより、上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムが得られやすい。そのため、得られる位相差フィルムを用いて作製されたディスプレイにおいて、表示品位の劣化が良好に抑制される。
また、本発明の一局面による位相差フィルムは、上記位相差フィルムの製造方法により作製され、逆波長分散特性が優れ、広帯域において実質的にλ/4の位相差を示す。そのため、このような位相差フィルムは、たとえば有機ELディスプレイに用いられる円偏光板に好適に用いることができる。また、このような位相差フィルムを用いて作製されたディスプレイにおいて、表示品位の劣化が抑制される。
また、本発明の一局面による円偏光板は、上記位相差フィルムと偏光子とを有するため、表示品位の劣化が抑制され、耐屈曲性、黒色再現性および反射性能が優れた有機ELディスプレイに使用することができる。
さらに、本発明の一局面による有機ELディスプレイは、上記位相差フィルム、または、上記円偏光板を用いるため、表示品位の劣化が抑制され、耐屈曲性、黒色再現性および反射性能が優れる。
本発明によれば、製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して斜め延伸を行う位相差フィルムの製造方法において、表示品位の劣化しにくいディスプレイを作製できる位相差フィルムの製造方法を提供すること、該位相差フィルムを用いた円偏光板を提供すること、ならびに、これら位相差フィルムや円偏光板を使用して、耐屈曲性、黒色再現性および反射性能のよい有機ELディスプレイを提供することができる。
図1は、斜め延伸における収縮倍率を説明するための模式図である。 図2は、本発明の一実施形態の位相差フィルムの製造に適用可能な斜め延伸装置の一例を示す模式図である。 図3は、本発明の一実施形態の位相差フィルムの製造に適用可能な斜め延伸装置の一例を示す模式図である。 図4は、本発明の一実施形態の有機ELディスプレイの構成の概略的な説明図である。 図5は、本発明の一実施形態の有機ELディスプレイの構成の模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<位相差フィルムの製造方法>
本実施形態の位相差フィルムの製造方法は、製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して、斜め方向に延伸する工程(斜め延伸工程)を有する。すなわち、本実施形態では、斜め延伸工程は、フィルムを製膜する工程(製膜工程)と連続的に行われるものではなく、製膜工程後に延伸されることなく一旦巻き取られるか、製膜工程後にたとえば0.5〜50%程度延伸され、その後一旦巻き取られたフィルム原反が、再び巻き出されて斜め延伸工程に供される。また、斜め延伸は、通常の横延伸や縦延伸の場合と比較して、高温高倍率で延伸されることがある。そのため、このような延伸を行う場合、製膜後に巻き取られることなく有機溶媒が高残溶したフィルム原反をそのまま延伸する場合と比較して、延伸時にフィルムにかかる負荷が大きくなりやすい。本実施形態の位相差フィルムの製造方法は、このような斜め延伸を行う場合であっても、表示品位の劣化しにくいディスプレイを作製できる位相差フィルムを提供するものである。以下、本実施形態の位相差フィルムの製造方法のうち、特徴部分である斜め延伸工程について特に詳細に説明する。
なお、本明細書において「位相差フィルム」とは、透過する光に対して位相差を付与する特定の光学的機能を有する光学フィルムを意味しており、所定の光の波長に対して、実質的に波長の1/4の面内位相差を与え、直線偏光を円偏光に変換したり、または、円偏光を直線偏光に変換する機能を有するフィルムを特に、「λ/4位相差フィルム」という。λ/4位相差フィルムは、可視光の波長の広い範囲において直線偏光をほぼ完全な円偏光に変換するために、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4の位相差を有する広帯域λ/4位相差フィルムであることが好ましい。なお、本明細書において、「可視光の波長の範囲において概ね1/4の位相差」とは、波長400nm以上700nm以下の領域において、長波長ほど位相差値が大きい逆波長分散特性を備えることをいう。
(斜め延伸工程)
斜め延伸工程は、製膜されたフィルム(フィルム原反)を、幅手方向に対して斜めの方向に延伸する工程である。本実施形態の位相差フィルムの製造方法では、延伸前後のフィルム原反の内部ヘイズの変化が膜厚40μmあたり0.07%以下、好ましくは0.03%以下となるようにフィルム原反を斜め延伸する。これは、表示品位に直接関係すると考えられる製造後の光学フィルムの光学特性を一定の値に制御しても、上記長期使用時の表示品位の劣化は充分に改善されず、従来着目されていなかった延伸工程における内部ヘイズの変化を制御することによってはじめて、結果として上記表示品位の劣化が改善されるとの本発明者らの新たな知見に基づく。
なお、本明細書において「膜厚40μmあたり」とは、単位膜厚として40μmを採用することを意味する。すなわち、たとえば、延伸前のフィルム原反の膜厚が80μmであった場合には、このフィルム原反の40μmあたりの内部ヘイズ値には、実測値に0.5を乗じた値が採用される。
内部ヘイズは、たとえば、特開2009−286931号公報に記載の方法で測定することができる。この際、フィルム1枚で、測定機器は日本電色工業(株)製のNDH2000を用い、JIS−K7136に準拠して測定することができる。
また、本実施形態の位相差フィルムの製造方法では、得られる位相差フィルムの長尺方向に対する遅相軸が10°以上80°以下であり、波長550nmにおける面内位相差Ro550が100nm以上160nm以下であり、Ro550に対する波長450nmにおける面内位相差Ro450の比率(Ro450/Ro550)が0.8以上1.0未満となるようにフィルム原反を斜め延伸する。
なお、本明細書において、フィルムの幅手方向に対する角度とは、フィルム面内における角度である。フィルム面内の遅相軸は、通常、延伸方向または延伸方向に直角な方向に発現する。そのため、本実施形態の位相差フィルムの製造方法では、フィルムの延伸方向に対して10°以上80°以下の角度で延伸を行うことにより、このような遅相軸を有する位相差フィルムを製造する。
また、位相差フィルムの面内位相差Roλは、下記式(i)で表される。なお、位相差の値は、たとえばAxometrics社製のAxoscanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率を測定することにより算出することができる。
Roλ=(nxλ−nyλ)×d ・・・ (i)
(式中、λは測定波長を表し、nx、nyは、それぞれ23℃、55%RHの環境下で測定され、nxはフィルムの面内の最大の屈折率(遅相軸方向の屈折率)であり、nyはフィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である)
Ro550は100nm以上160nm以下であればよく、好ましくは120nm以上150nm以下である。Ro550が100nm以上160nm以下の範囲を超える場合、波長550nmにおける位相差が概ね1/4波長とならず、このようなフィルムを用いて円偏光板を作製してたとえば有機ELディスプレイに適用した場合に、室内照明の映り込みなどが大きくなり、明所では黒色が表現できなくなる場合がある。
Ro550に対するRo450の比率(Ro450/Ro550)は、0.8以上1.0未満であればよく、好ましくは0.81以上0.92以下である。Ro450/Ro550が0.8以上1.0未満の範囲を超える場合、得られる位相差フィルムが適度な逆波長分散特性を示さず、たとえば円偏光板を作製した場合に色相変化や湿度環境による色相変動を起こす傾向がある。
なお、一般に面内位相差(たとえばRo550)は、フィルムの膜厚dを大きくすることにより高くすることが可能である。しかしながら、フィルムの膜厚を大きくする場合、有機ELディスプレイ等の画像表示装置の厚みが増大したり、透過率が低下して光取出し効率が低下するという問題がある。しかしながら、本実施形態の位相差フィルムの製造方法によれば、樹脂組成物および添加剤を適宜調整することにより膜厚を後述するように薄くした場合であっても、優れた位相差発現性を備える位相差フィルムが作製される。
上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムは、たとえば、所定の延伸条件に基づいて、所定の構成成分(樹脂組成物および添加剤)を含むフィルム原反を斜め延伸することにより得られる。以下、上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムを得るための延伸条件および構成成分について説明する。
[延伸条件について]
上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムは、たとえば、斜め延伸装置を用いてフィルム原反を斜め延伸する場合において、斜め延伸時の温度(延伸温度)、トータル延伸倍率、フィルム原反の両端部を把持して搬送する把持具の走行速度および延伸後のフィルムの冷却条件等の延伸条件を調整することにより作製することができる。本実施形態の製造方法では、中でも、以下の条件A〜Cのうち、少なくともいずれか2つの条件を満たす工程を有することが好ましい。条件A〜Cのうち少なくとも2つの条件を満たすことにより、上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムが得られやすい。
条件A:斜め延伸時にフィルムの両端を把持する把持具の走行速度が0.1〜2m/分である
条件B:延伸温度が、前記位相差フィルムのTgよりも30℃から60℃高い温度である
条件C:延伸後の冷却温度が前記位相差フィルムのTg〜Tg−30℃である
(条件A:把持具の走行速度について)
把持具の走行速度は、0.1m/分以上2.0m/分以下とすることが好ましく、0.1m/分以上1m/分以下とすることがより好ましい。把持具の走行速度をこのような範囲にすることにより、延伸前のフィルム原反は、上記延伸温度に加熱されやすく、また、上記トータル延伸倍率となるように延伸された場合であっても、フィルムを構成する樹脂組成物の結晶化が防止され、延伸前後におけるフィルムの内部ヘイズの変化が抑制されやすい。
(条件B:延伸温度について)
延伸温度は、斜め延伸装置に、搬送されるフィルム原反を加熱する加熱装置(図示せず)を設けることにより調整することができる。この加熱装置により、巻き出されたフィルム原反は、斜め延伸可能な程度に加熱される。この際、フィルム原反は、位相差フィルムのTg(実質的にはフィルム原反を構成する樹脂組成物のTg)よりも30℃から60℃高い温度範囲に加熱されることが好ましく、位相差フィルムのTgよりも35℃から55℃高い温度範囲に加熱されることがより好ましい。
(条件C:延伸後のフィルムの冷却条件について)
斜め延伸装置の搬送方向の下流側には、熱固定ゾーン(冷却ゾーンを含む)を設けることができる。この熱固定ゾーンにより、斜め延伸された位相差フィルムを、延伸直後に冷却することができる。冷却温度としては特に限定されず、たとえば位相差フィルムのTg〜Tg−30℃、好ましくはTg−5℃〜Tg−30℃、より好ましくはTg−10℃〜Tg−25℃とすることができる。
(トータル延伸倍率について)
本実施形態において、トータル延伸倍率は、以下のように定義される。すなわち、本実施形態における位相差フィルムは、フィルム原反を製膜し、巻き取られた後、再度巻きだして斜め延伸を含む延伸処理により製造される。その際に、延伸前のフィルム原反の幅手方向における任意の単位長さをAとする。その単位長さがフィルム原反の製膜工程および位相差フィルムの製膜工程における延伸処理により、斜め延伸工程後の位相差フィルムにおける遅相軸の方向において、A×αの長さに延伸されている場合、トータル延伸倍率はα倍として表される。たとえば、延伸前のフィルム原反の幅手方向における単位長さを10cmとした場合、フィルム原反の製膜工程および位相差フィルムの製膜工程における延伸処理により、斜め延伸フィルムの遅相軸方向において、15cmまで延伸されていた場合、トータル延伸倍率は1.5倍となる。フィルム原反の製造工程において、延伸処理が行われない場合は、トータル延伸倍率は、巻きだし後のフィルム原反の幅手方向に対する、位相差フィルムの遅相軸方向の延伸倍率と等しくなる。本実施形態の製造方法では、トータル延伸倍率が1.5倍以上3.0倍以下となるように延伸することが好ましく、1.7倍以上2.5倍以下となるように延伸することがより好ましい。
本実施形態の位相差フィルムの製造方法は、以上の延伸条件を採用することにより、上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムを製造することができる。延伸後の位相差フィルムは、冷却後、巻き芯に巻き取られる。
なお、本実施形態の位相差フィルムの製造方法における斜め延伸工程のその他の条件や、他の工程(たとえば製膜工程)は特に限定されない。以下、斜め延伸工程のその他の条件や、その他の工程である製膜工程について説明する。
(斜め延伸工程のその他の条件)
本実施形態では、後述する製膜工程を経て巻き取られたフィルム原反が巻き出され、斜め延伸工程に供される。斜め延伸工程における延伸方法は特に限定されず、たとえば、複数のローラに周速差をつけ、その間でローラ周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法を単独または組み合わせて採用することができる。すなわち、製膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸してもよく、さらに両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であってもよい。なお、いわゆるテンター方式の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
次に、位相差フィルムの具体的な製造方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の例では、樹脂組成物としてセルロースエステル樹脂組成物を含む場合を例に説明する。
位相差フィルムは、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05以上0.70以下、好ましくは0.10以上0.30以下の範囲内となる条件で延伸することにより製造することができる。
収縮倍率/延伸倍率を0.05以上0.70以下の範囲とすることにより、後述する樹脂組成物を用いて、所望の位相差値を発現させ、可視光領域の波長分散の傾きを急峻にし、かつ軸方向を10°から80°にすることができる。
延伸工程においては、全延伸工程の30〜70%の範囲内で延伸した後に、収縮を開始する方法が好ましい。
延伸工程としては、通常、幅手方向(TD方向)に延伸し、搬送方向(MD方向)に収縮する場合が多いが、収縮させる際、斜め方向に搬送させると主鎖方向を合わせ易くなるため、位相差発現効果はさらに大きい。収縮率は搬送させる角度によって決めることができる。
図1は、斜め延伸における収縮倍率を説明する模式図である。図1において、フィルムFを参照符号A2の方向に斜め延伸する際に、フィルムFは、斜め屈曲されることでMに収縮する。すなわち、フィルムFを把持した把持具が屈曲角度θで屈曲せずにそのまま進行する場合、所定の時間で長さM’だけ進行することになる。しかしながら、実際には、屈曲角度θで屈曲し、M(ただし、M=M’)だけ進行する。このとき、フィルムの入り方向(延伸方向(TD方向)A1と直交する方向)には、把持具はMだけ進行しているため、フィルムFは、長さM(ただし、M=M−M)だけ収縮したこととなる。
このとき、収縮率(%)は、
収縮率(%)=((M−M)/M)×100
で表され、
=M×sin(π−θ)
となり、収縮率は、
収縮率(%)=(1−sin(π−θ))×100
で表される。
図1において、参照符号A3は搬送方向(MD方向)であり、参照符号A4は遅相軸を示している。
円偏光板の生産性を考慮すると、本実施形態の位相差フィルムは、搬送方向に対する配向角が45°±2°であることが、偏光フィルムとのロール・トゥ・ロールでの貼合が可能となり好ましい。
(斜め延伸装置による延伸)
次いで、45°の方向に延伸する斜め延伸方法について、さらに説明する。本実施形態の位相差フィルムの製造方法において、延伸する原反フィルムに斜め方向の配向を付与する方法として、斜め延伸装置を用いることが好ましい。
本実施形態に適用可能な斜め延伸装置としては、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、フィルムの配向軸をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚さやリタデーションを制御できるフィルム延伸装置であることが好ましい。
図2は、本実施形態の位相差フィルムの製造に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致している斜め延伸装置の一例を示す模式図である。なお、ここに示す図は一例であって、本実施形態で適用可能な延伸装置はこれに限定されるものではない。なお、図2(a)および図2(b)において、参照符号12−2は(テンター出口側の)ガイドロール、参照符号13はフィルムの延伸方向、参照符号14−1はフィルムの送り方向、参照符号14−2はフィルムの延伸方向、参照符号15は左右把持具同士の搬送速度が異なる部分を示している。
図2(a)に示されるように、延伸装置入口部においてフィルムの両端を把持した左右一対の把持具は、延伸装置内の初期において左右のレール間の距離が一定のゾーンでは左右のレール上を等速で走行し、その後左右のレール間距離が拡幅するゾーンにおいては左右のレール上を異なる速度で走行し、その後再び左右のレール間距離が等しくなるゾーンにおいて左右のレール上を等速で走行する。
たとえば、図2(a)に示されるように、左側のレールを走行する把持具が右側のレールを走行する把持具よりも速い場合を説明する。
延伸装置入口側のガイドロール12−1によって方向を制御されたフィルム原反4は、外側のフィルム把持開始点8−1、内側のフィルム把持開始点8−2の位置で把持具によって把持される。その後左右のレール間隔が等しい領域においては左右一対の把持具はレール上を等速で走行する。その後左右のレールが拡幅を始める点10−1および10−2において、左側の把持具(以下、高速側の把持具ともいう)の走行速度が右側の把持具(以下、低速側の把持具ともいう)の走行速度よりも速く走行しはじめ、左右のレールが拡幅を終えて左右のレールの拡幅が終了する点11−3において、高速側の把持具は再度低速側の把持具と等しい走行速度まで減速し、左右一対の把持具は再び同じ速度で走行を始める。その後、低速側の把持具が、左右レールの拡幅が終了する点11−1まで到達した際に、左右一対の把持具の片方は11−2に到達する。
この後、左右一対のクリップは等速に左右レール上を走行し、左側把持終了点9−2において左側の把持具がフィルムを解放し、次いで右側把持終了点9−1において右側の把持具がフィルムを解放し、斜め延伸が終了する。
図2(b)は、本実施形態に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致した方式の斜め延伸装置の模式図である。
延伸装置入口部においてフィルムの両端を把持した左右一対の把持具は、延伸装置内初期において左右のレール間の距離が一定のゾーンでは左右のレール上を異なる速度で走行する。
図2(b)に示されるように、延伸装置は、左右のレール間距離が拡幅する箇所を有する。延伸装置入口部8−1、8−2において左右一対の把持具がフィルムを把持し、左右の把持具はそれぞれ異なる速度で左右のレール上を走行する。左右一対の把持具のうち高速側の把持具が延伸装置出口部の把持終了点9−2に到達した際に、対となる低速側の把持具は11−1に位置することになるため、左右一対の把持具によって把持されたフィルムは斜め延伸されることになる。
なお、図2(b)に示される延伸装置は、左右のレール間距離が拡幅する箇所を有するが、必ずしも左右のレール間距離が拡幅する箇所を有していなくてもよい。また、本明細書において左右一対の把持具がそれぞれ異なる速度で走行するとは、実質的に、左右一対の把持具の走行速度の差として、走行速度の1%を超えることをいう。すなわち、左右一対の把持具の走行速度の差は、走行速度の通常1%以下であり、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具の速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。
左右一対の把持具の走行速度の差としては、走行速度の1%を超えて50%以下が好ましく、走行速度の1%を超えて30%以下がより好ましく、走行速度の1%を超えて10%以下がさらに好ましい。なお、一般的な延伸装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生じるが、これらは本実施形態でいう速度差には該当しない。
また、図2(a)および図2(b)に示される延伸装置においては、途中にて把持具の走行速度が変わる機構を有していれば公知のものを用いることができる。
本実施形態の位相差フィルムの製造方法の一つの態様としては、延伸工程におけるフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とを斜交させ、該フィルムの引取り方向に対して10°以上80°以下の角度範囲内に遅相軸を設ける条件で製造する。
図3は、本実施形態に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交している斜め延伸装置の一例を示す模式図である。
図3に示されるように、延伸装置入口側のガイドロール12−1によって方向を制御されたフィルム原反4は、外側のフィルム保持開始点8−1、内側のフィルム保持開始点8−2の位置で把持具によって把持される。
左右一対の把持具は互いに等速度で、斜め延伸装置6にて外側のフィルム把持具の軌跡7−1、内側のフィルム把持具の軌跡7−2で示される斜め方向に搬送、延伸され、外側のフィルム把持終了点9−1、内側のフィルム把持終了点9−2によって把持を解放され、延伸装置出口側のガイドロール12−2によって搬送が制御され、斜め延伸フィルム5が形成される。延伸時のフィルムの加熱温度、把持具の走行速度およびトータル延伸倍率は、上記した範囲と同じ範囲を採用することができる。図中、フィルム原反は、フィルムの送り方向14−1に対して、フィルムの延伸方向14−2の角度14(繰出し角度θi)で斜め延伸される。なお、図3において、参照符号5は、長尺延伸フィルム、参照符号Wは斜め延伸後のフィルム幅手長さ、参照符号Woは斜め延伸前のフィルム幅手長さを示している。
本実施形態で使用する斜め延伸装置では、特に、図3に示すように延伸装置内部において把持具の軌跡を規制するレールに、しばしば大きな屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が円弧を描くようにすることが好ましい。
図3で示される斜め延伸装置においては、フィルム原反の延伸装置入口での進行方向14−1は、延伸後のフィルムの延伸装置出口側での進行方向14−2と異なっている。繰出し角度θiは、延伸装置入口での進行方向14−1と延伸後のフィルムの延伸装置出口側での進行方向14−2とのなす角度である。
より詳細には、本実施形態の製造方法では、図3に示す斜め延伸装置を用いて斜め延伸を行うことが、特に好ましい。この延伸装置は、フィルム原反を、延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸することができる。この延伸装置は、加熱ゾーンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、延伸装置の出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。また、この斜め延伸装置は、搬送方向の下流側に、図示しない熱固定ゾーン(冷却ゾーンを含む)が設けられている。延伸装置の入口部に順次供給されるフィルム原反は、まず両端が把持具で把持され、加熱ゾーン内に導かれ、延伸ゾーンにて延伸された後、延伸装置の出口部で把持具から開放される。把持具から開放された位相差フィルムは、熱固定ゾーンを通過することにより、延伸直後に冷却される。なお、冷却時の温度は、上記した範囲と同じ範囲を採用することができる。
なお、延伸装置のレールパターンは左右で非対称な形状となっており、製造すべき長尺延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、そのレールパターンは手動または自動で調整できる。本実施形態の製造方法で用いられる斜め延伸装置では、各レール部およびレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい(図3中の○部は連結部の一例である)。
本実施形態において、延伸装置の把持具は、前後の把持具と一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。
延伸後の位相差フィルムは、冷却後、巻き芯に巻き取られる。位相差フィルムは、巻き取られる前に、製品となる幅に端部がスリットして裁ち落とされ、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)が両端に施されてもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
(製膜工程)
次に、本実施形態の位相差フィルムの製造方法に採用され得る公知の製膜方法のうち、代表的な溶液流延法および溶融流延法について説明する。
(溶液流延法)
本実施形態のフィルム原反は、溶液流延法によって製造することができる。以下の説明では、一例として、セルロースエステル樹脂組成物を主成分として含むフィルム原反の製膜方法を説明する。溶液流延法では、セルロースエステル樹脂組成物(以下、単にセルロースエステルともいう)および添加剤等(負の固有複屈折を有する化合物を含む)を有機溶媒に加熱溶解させてドープを調製する工程、調製したドープをベルト状またはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、剥離したウェブを延伸または収縮する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程等が含まれる。
(ドープ調製工程)
ドープ調整工程において、ドープ中のセルロースエステルは、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷は低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増大し、濾過精度が悪くなる。そのため、これらを両立する濃度としては、10質量%以上35質量%以下の範囲内であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
(流延工程)
流延(キャスト)工程において、使用する金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、ステンレススティールベルト、または鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1m以上4m以下の範囲とすることが好ましい。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃以上であって、溶剤が沸騰して発泡しない温度の範囲で適宜設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度を速くすることができるが、過度に高すぎるとウェブが発泡し、平面性が劣化する場合がある。好ましい金属支持体の表面温度は、0℃以上100℃以下であり、より好ましくは5℃以上30℃以下である。また、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することできる。金属支持体の温度を制御する方法は特に限定されず、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法を採用することができる。温水を用いる方法は、熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる方法では、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡を防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度および乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10質量%以上150質量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上40質量%以下または60質量%以上130質量%以下の範囲内であり、さらに好ましくは、20質量%以上30質量%以下または70質量%以上120質量%以下の範囲内である。
なお、本明細書において残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(式中、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、Nはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料を115℃で1時間の加熱した後の質量である)
(乾燥工程)
乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離してさらに乾燥し、残留溶媒量を1.0質量%以下にすることが好ましく、0.01質量%以下にすることがより好ましい。
乾燥工程では、一般にローラ乾燥方式、たとえば、上下に配置した多数のローラにウェブを交互に通し乾燥させる方式や、テンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採用される。
乾燥工程を経て得られたフィルム原反は、延伸されることなく一旦巻き取られるか、0.5〜50%程度延伸され、その後一旦巻き取られる。巻き取り時の条件としては特に限定されず、たとえば、引取り張力200(N/m)で巻き取ることができる。また、0.5〜50%程度延伸する場合には、たとえば、従来公知の延伸装置にて、フィルム剥離後、乾燥ののち連続して延伸を行うことができる。
(溶融製膜法)
上記したフィルム原反は、溶融製膜法によって製膜してもよい。溶融製膜法は、樹脂および可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を呈する温度まで加熱溶融し、その後、溶融物を流延する成形方法である。
加熱溶融する成形法は、たとえば、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類することができる。これらの成形法の中では、機械的強度および表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。
溶融押出し法に用いる複数の原材料は、通常、予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。ペレット化は、公知の方法で行うことができ、たとえば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し、1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押し出し、水冷または空冷し、カッティングすることで得ることができる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよく、あるいはそれぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。なお、微粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
ペレット化に用いる押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないように、ペレット化可能でなるべく低温で加工する方式が好ましい。たとえば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーに投入して押出し機に供給し、加熱溶融した後、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸タイプや2軸タイプの押出し機を用いて、押し出す際の溶融温度を200℃以上300℃以下の範囲内とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過して異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ローラと弾性タッチローラとでフィルムをニップし、冷却ローラ上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下で行って、酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体が複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量とにより密度を変え、濾過精度を調整することができる。
可塑剤や微粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するためには、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ローラと弾性タッチローラとでフィルムをニップする際のタッチローラ側のフィルム温度は、フィルムのTg以上、(Tg+110℃)以下の範囲内とすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有する弾性タッチローラとしては、公知の弾性タッチローラを使用することができる。弾性タッチローラは、挟圧回転体ともいい、市販されているものを用いることもできる。
冷却ローラからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
上記のようにして得られたフィルム原反は、冷却ローラに接する工程を通過した後、延伸されることなく一旦巻き取られるか、0.5〜50%程度延伸され、その後一旦巻き取られる。巻き取り時の条件や、0.5〜50%程度延伸する場合の条件としては、溶液流延法の説明において上記した条件を採用することができる。
[構成成分の選択について]
上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムは、たとえば、樹脂組成物としてセルロースエステル樹脂組成物またはセルロースエーテル樹脂組成物を選択し、添加剤として負の固有複屈折を有する化合物や電子供与性をもつ可塑剤を配合することによっても作製することができる。
(樹脂組成物)
フィルム原反は、主たる成分として樹脂組成物を含む。樹脂組成物としては特に限定されないが、正の固有複屈折を有し、位相差発現性が優れ、逆波長分散性を悪化させず、斜め延伸により薄膜化しやすいフィルム原反が得られるため、セルロースエステル樹脂組成物、セルロースエーテル樹脂組成物が好ましい。
(セルロースエステル樹脂組成物)
本実施形態に適用可能なセルロースエステル樹脂組成物(以下、単にセルロースエステルともいう)としては特に限定されず、たとえば、炭素数が2〜22程度のカルボン酸エステル、芳香族カルボン酸のエステルであり、特に炭素数が6以下の低級脂肪酸エステルを採用することができる。これらの中でより具体的には、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等のセルロースアシレートを挙げることができる。セルロースアシレートは、1種のアシル基によってアシル化されたものであっても、2種類以上のアシル基によってアシル化されたものであってもよい。これらの中でも、高い位相差発現性を備え、斜め延伸により薄膜化しやすい観点や、延伸時に破断等の故障を回避しやすい観点から、セルロースの混合脂肪酸エステルが好ましい。
セルロースアシレートのアシル置換度としては、1.50〜2.95が好ましく、1.70〜2.90がより好ましく、2.00〜2.90がさらに好ましい。セルロースアシレートのアシル置換度が1.50未満の場合には、位相差発現性は高くなるが、位相差の波長分散特性はフラットに近くなる傾向がある。また、後述するフィルム製造時において、ドープ粘度が上昇してフィルム面品質が劣化したり、延伸張力の上昇により内部ヘイズが上昇する傾向がある。一方、アシル置換度が2.95を超える場合には、位相差発現性は低くなるが、位相差の波長分散特性はより逆分散となる(逆波長分散特性を示す)傾向がある。なお、本明細書において「アシル置換度」とは、平均アシル置換度をいい、平均アシル置換度は、セルロースを構成する各無水グルコースが有する3個のヒドロキシ基(水酸基)のうち、エステル化されているヒドロキシ基の数の平均値で示され、0〜3.0の値をとる。
アシル基は、脂肪族基でも芳香族基でもよく特に限定されない。たとえば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。
具体的なセルロースアシレートとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートまたはセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基またはフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが挙げられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
セルロースアシレートは、セルロースアシレートの疎水性を向上させ、波長分散湿度変動の改良効果を高めることができる観点から、セルロースアシレートに含まれる全アシル基のうち炭素数3以上のアシル基の平均置換度が0.5〜2.5であることが好ましい。
炭素数3以上のアシル基としては、特に限定されず、たとえば、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基およびシンナモイル基等が挙げられる。
なお、セルロースアシレートのうち、上記アシル基で置換されていない部分は、通常はヒドロキシ基として存在する。このようなセルロースアシレートは、公知の方法で合成することができる。また、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96(セルロースアシレート等の試験方法)の規定に従って求めることができる。
セルロースアシレートの数平均分子量(Mn)は、得られるλ/4位相差フィルムの機械的強度が強くなる観点から30,000〜300,000であることが好ましく、50,000〜200,000であることがより好ましい。セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値は、1.4〜3.0であることが好ましい。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。具体的な測定条件の一例を、以下に示す。
(測定条件)
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製のカラムを3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000((株)日立製作所製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)でMwが500〜1000000の範囲にある13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースとしては特に限定されず、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを用いることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合して使用することができる。
本実施形態のセルロースアシレートは、公知の方法により製造することができる。一般的には、原料のセルロースと所定の有機酸(酢酸など)と酸無水物(無水酢酸など)、触媒(硫酸など)と混合して、セルロースをエステル化(アセチル化)し、セルロースのトリエステル(アセチル化)ができるまで反応を進める。トリエステル(アセチル化)においてはグルコース単位の3個のヒドロキシ基(水酸基)は、有機酸のアセチル基で置換されている。次いで、セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアセチル基置換度を有するセルロースアシレートを合成する。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥などの工程を経て、セルロースアシレートを得ることができる。具体的には、たとえば特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
(セルロースエーテル樹脂組成物)
本実施形態で使用されるセルロースエーテル樹脂組成物(以下、単にセルロースエーテルともいう)は、セルロースの水酸基が炭素数4以下のアルコキシ基で置換されたものであることが好ましい。具体的には、セルロースの水酸基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のいずれかまたは複数のアルコキシ基によって置換されている。特に、セルロースの水酸基が、メトキシ基とエトキシ基の単独あるいは複数のアルコキシ基によって置換されたものが好ましく、エチルセルロースを好適に用いることができる。
なお、本明細書において、DSetはセルロース分子中の2,3,6位に存在する3個の水酸基が平均してどれだけエトキシ化されているかを表し、置換度が3のときはすべての水酸基がエトキシ化されていることを示す。それぞれの位置の置換度は均等でもよく、いずれかの位置に偏っていてもよい。エーテル置換度はASTM D4794−94に記載の方法にて定量することができる。
置換度が2.0を下回ると単独で溶解する溶剤の種類が限定される上に、フィルムの吸水率が大きくなり、寸法安定性が低下する傾向がある。また、置換度が2.9を超えても溶解する溶剤の種類が限定されるばかりでなく、樹脂自体が高価になる傾向にある。そのため、DSetの好ましい範囲は2.0以上、2.8以下であり、さらに好ましくは2.2以上、2.6以下である。
セルロースエーテルは、それ自体既知の方法で製造することがでる。たとえばセルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これをメチルクロリドやエチルクロリドと反応させることによってエーテル化することによって製造することができる。
セルロースエーテルの重量平均分子量は、好ましくは5万から100万であり、より好ましくは10万から80万であり、さらに好ましくは20万から70万である。分子量が100万よりも大きい場合、溶剤に対する溶解度が低下するだけでなく、得られる溶液の粘度が高くなりすぎて、溶剤キャスト法に適さず、熱成形を困難にし、フィルムの透明性が低下する等の問題を生じる傾向がある。一方、分子量が5万よりも小さい場合、得られるフィルムの機械的強度が低下する傾向がある。
(添加剤)
フィルム原反には、添加剤が含有されてもよい。添加剤としては特に限定されないが、得られる位相差フィルムの位相差を適切に調整しつつ、逆波長分散特性をさらに付与する観点から、負の固有複屈折を有する化合物を添加することが好ましい。また、位相差の湿度変動を抑制する観点から、下記一般式(1)で表される化合物を添加することが好ましい。ほかにも、延伸前後の内部ヘイズの上昇を防ぐ観点から、電子供与性をもつ可塑剤を添加することが好ましい。なお、本明細書において「負の固有複屈折を有する化合物」とは、フィルムに添加された場合において、添加されない場合と比較した場合に、延伸方向と垂直な方向に屈折率が大きくなるような位相差を発現し得る性質、または、延伸方向の位相差の発現性を弱める性質を有する化合物をいう。また、本明細書において、「電子供与性をもつ可塑剤」とは、電子密度を増加させる性質を有する可塑剤をいう。
(一般式(1)で表される化合物)
Figure 2015052678
上記一般式(1)において、AおよびAは、各々アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。L、L、LおよびLは、各々単結合または2価の連結基を表す。WおよびWは、各々芳香族複素環または脂肪族複素環を表す。Bは、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、芳香族複素環または脂肪族複素環を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、複数のL、LおよびWは同じであっても異なっていてもよい。
およびAで表されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。AおよびAで表されるシクロアルキル基としては、たとえば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。AおよびAで表される芳香族炭化水素環としては、たとえば、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。AおよびAで表される芳香族複素環としては、たとえば、フフラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリミジン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環等が挙げられる。
およびAで表されるアルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環、芳香族複素環は、それぞれ任意の置換基で置換されていてもよい。
置換基の具体例としては、特に制限は無く、たとえば、ハロゲン原子(たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、アルケニル基(たとえば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(たとえば、エチニル基、プロパルギル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(たとえば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アシルオキシ基(たとえば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(たとえば、フェノキシカルボニル基等)、アミノ基(たとえば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アシルアミノ基(たとえば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(たとえば、アメチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(たとえば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、スルファモイル基(たとえば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(たとえば、アセチル基等)、カルバモイル基(たとえば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)、アリール基(たとえば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(たとえば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ピリジル基等)等が挙げられる。
、L、LおよびLで表される連結基の具体例としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−(C=O)−、−(C=O)−O−、−NR′−、−S−、−(O=S=O)−および−(C=O)−NR′−、(R′は水素原子または置換基)からなる群より選ばれる2価の連結基またはそれらの組合せ等が挙げられる。
およびWで表される芳香族複素環としては、たとえば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリミジン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環等が挙げられる。WおよびWで表される脂肪族複素環としては、たとえば、ピラゾール環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルホリン、チオモルホリン、プロリン等が挙げられる。
およびWで表される芳香族複素環または脂肪族複素環は、任意の置換基で置換されていてもよい。WおよびWが有することができる置換基としては、AおよびAが有することができる置換基と同様の基を挙げることができる。
およびWは、好ましくは、芳香族複素環であり、より好ましくは、含窒素芳香族複素環であり、さらに好ましくは、含窒素5員芳香族複素環である。特に好ましくは、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環である。
Bで表される芳香族炭化水素環としては、たとえば、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。Bで表される脂肪族炭化水素環としては、たとえば、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等が挙げられる。Bで表される芳香族複素環としては、たとえば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリミジン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環等が挙げられる。Bで表される脂肪族複素環としては、たとえば、ピラゾール環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルホリン、チオモルホリン、プロリン等が挙げられる。
Bで表される芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、芳香族複素環、脂肪族複素環は、それぞれ、任意の置換基で置換されていてもよい。Bが有することができる置換基としては、AおよびAが有することができる置換基と同様の基を挙げることができる。
Bとして、好ましくは、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環であり、さらに好ましくは、芳香族炭化水素環である。
一般式(1)で表される化合物は、長軸方向に複素環を含む複数の環構造を有する構造であることが好ましい。
〈一般式(1)で表される化合物例〉
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例として、例示化合物1−1〜1−30を示すが、本実施形態で用いることができる化合物は、これら例示する化合物によって何ら限定されない。
Figure 2015052678
Figure 2015052678
Figure 2015052678
Figure 2015052678
〈一般式(1)で表される化合物の合成例〉
一般式(1)で表される化合物は、公知の方法で合成することができる。合成方法の一例として、たとえば、上記例示化合物1−1は、Tetrahedoron Letters、2005年、46号、3429−3432ページを参照して、以下に示す合成方法に従って合成することができる。
Figure 2015052678
すなわち、1Lの4頭フラスコを窒素置換した後に、イソフタロニトリル10.0g、ベンゾイルヒドラジン31.9g、n−ブタノール150mLを添加する。室温で30分間撹拌した後に、炭酸カリウム18.9gを加え、130℃で3時間加熱、還流させる。放冷後、反応溶液を水200mLに注入し、固体を濾別する。
得られた固体を1モル/Lの塩酸100mLと酢酸エチル100mLに溶解し、有機層を飽和食塩水50mLで3回洗浄する。有機層を合わせ、減圧蒸留により溶媒を留去し、粗生成物31gを得る。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=1/3)により精製し、メタノールより再結晶を行い、例示化合物1−1−が白色結晶として20.7g得られる(収率73%)。
(負の固有複屈折を有する化合物)
負の固有複屈折を有する化合物としては特に限定されず、ポリエステル系ポリマー、スチレン系ポリマーおよびアクリル系ポリマーおよびこれら等の共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、位相差発現性の劣化を抑制しながら、良好な逆波長分散特性を付与し得る観点から、脂肪族ポリエステル系ポリマー、スチレンマレイン酸系ポリマー、アクリル系ポリマーが好ましく、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
負の固有複屈折を有する化合物の数平均分子量(Mn)は、700〜8000であることが好ましく、700〜5000であることがより好ましく、1000〜5000であることがさらに好ましい。
λ/4位相差フィルムにおける負の固有複屈折を有する化合物の含有量としては、0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%の範囲内であり、さらに好ましくは1〜10質量%の範囲内である。負の固有複屈折を有する化合物の含有量を0.01〜30質量%とすることにより、内部ヘイズが低くて透明性が高いλ/4位相差フィルムが得られ得る。また、上記したセルロースエステルやセルロースエーテル等の樹脂組成物と併用することにより、得られる位相差フィルムの位相差発現性を調整しつつ、逆波長分散特性を充分に付与し得る。
(ポリエステル系ポリマー)
ポリエステル系ポリマーとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2〜20の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールから選ばれる少なくとも1種以上のジオールとの反応によって得られるものであり、かつ反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸類やモノアルコール類またはフェノール類を反応させて、いわゆる末端の封止を実施したものが挙げられる。この末端封止により、フリーなカルボン酸類が含有されないため、保存性等が向上し得る。ポリエステル系ポリマーに使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸残基であることが好ましい。
炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸がより好ましい。
炭素数2〜20の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールおよび脂環式ジオール類を挙げることができ、たとえば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられ、これらは、1種または2種以上の混合物として使用され得る。これらの中でも、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。
炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールとしては、たとえば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコールおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらアルキルエーテウジオールの平均重合度としては特に限定されないが、たとえば2〜20であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜5であり、さらに好ましくは2〜4である。このようなアルキルエーテルジオールとしては、たとえば、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluronics)レジンおよびニアックス(Niax)レジンなどが挙げられる。
ポリエステル系ポリマーは、末端を疎水性官能基で保護することにより、高温高湿での経時劣化に対して有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる観点から、末端がアルキル基または芳香族基で封止されることが好ましい。また、ポリエステル添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
好ましく使用され得る末端封止用アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコールであり、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、シクロヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ベンジルアルコールである。
また、モノカルボン酸残基で封止する場合には、使用されるモノカルボン酸としては、炭素数1〜30の置換、無置換のモノカルボン酸が好ましい。これらは、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族環含有カルボン酸でもよい。好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族環含有モノカルボン酸としては、たとえば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−tert−アミル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等が挙げられ、これらは1種または2種以上を併用することができる。
ポリエステル系ポリマーの合成は、常法によりジカルボン酸とジオールおよび/または末端封止用のモノカルボン酸またはモノアルコール、とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得る。これらのポリエステル系添加剤については、村井孝一編者「添加剤 その理論と応用」((株)幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)を参照し得る。また、特開平05−155809号公報、特開平05−155810号公報、特開平5−197073号公報、特開2006−259494号公報、特開平07−330670号公報、特開2006−342227号公報、特開2007−003679号公報などに記載されている素材を利用することができる。
(スチレン系ポリマー)
スチレン系ポリマーとしては、好ましくは、一般式で表される芳香族ビニル系単量体から得られる構造単位を備えるポリマーが挙げられる。
Figure 2015052678

(式中、R101〜R104は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基または極性基を表し、R104は全て同一の原子または基であっても、それぞれ異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよく、他の環が縮合した多環構造であってもよい)を形成してもよい)
芳香族ビニル系単量体としては特に限定されず、たとえば、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられ、これらは2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
(アクリル系ポリマー)
アクリル系ポリマーとしては特に限定されず、たとえば、下記一般式で表されるアクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位を備えるものが挙げられる。
Figure 2015052678

(式中、R105〜R108は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す)
このようなアクリル酸エステル系単量体としては特に限定されず、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができ、これらは、2種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。
共重合体は、上記芳香族ビニル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位を少なくとも1種含むものが好ましい。
また、共重合体を構成する上記以外の構造としては特に限定されないが、前記単量体と共重合性に優れたものであることが好ましく、たとえば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類を挙げることができる。これらの中では、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。
(電子供与性をもつ可塑剤)
電子供与性をもつ可塑剤として特に限定されず、添加することにより流動性や柔軟性を向上させることができる可塑剤であればよい。このような可塑剤としては、たとえば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等が挙げられる。用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。これら電子供与性をもつ可塑剤を含有させることにより、原反フィルムは、たとえば斜め延伸工程において延伸倍率の大きな領域で大きな負荷が加えられても、フィルム原反を構成する樹脂組成物が結晶化しにくい。また、電子供与性をもつ可塑剤は、仮に樹脂組成物が結晶化して樹脂組成物間の空間が狭くなった場合であっても、樹脂組成物と可塑剤との分子間相互作用を持つため樹脂組成物間から押し出されにくい。そのため、内部ヘイズの上昇が抑制される。その結果、このような電子供与性をもつ可塑剤を含むフィルム原反を用いて得られた位相差フィルムを含むディスプレイ(たとえばフレキシブルディスプレイ)は、耐屈曲性が優れ、表示品位が劣化しにくい。
以上の好ましい樹脂組成物および添加剤を採用することにより、上記内部ヘイズの変化、遅相軸、Ro550およびRo450/Ro550の範囲を満たす位相差フィルムを製造することができる。
なお、フィルム原反は、以上の樹脂組成物や添加剤のほか、他の樹脂組成物や添加剤を含んでもよい。以下、他の樹脂組成物や、他の添加剤について説明する。
(その他の樹脂組成物)
フィルム原反は、上記したセルロースエステル樹脂組成物およびセルロースエーテル樹脂組成物のほか、たとえば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等を含んでもよい。また、強度や壊れにくさが特に要求される場合には、たとえば、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。さらに、高い熱変形温度と長期使用できる耐久性が要求される場合には、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。これらは用途によって種類や分子量を組み合わせて用いることが可能である。
(その他の添加剤)
フィルム原反は、上記した樹脂組成物および添加剤以外に、その他の添加剤としてたとえば以下に挙げられる各種添加剤を含有することができる。
(有機溶媒)
本実施形態では、上記した樹脂組成物を溶解して樹脂溶液、あるいはドープを調製するために有機溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、主に、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒を使用することができる。
塩素系有機溶媒としては、メチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができる。また、非塩素系有機溶媒としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。昨今の環境問題の観点から、非塩素系有機溶媒が好ましく使用される。
これらの有機溶媒を、たとえばセルロースアシレートに対して使用する場合には、常温での溶解方法、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の公知の溶解方法により、不溶解物を少なくすることが好ましい。セルロースアシレートに対しては、メチレンクロライドを用いることもできるが、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを用いることが好ましく、その中でも、特に酢酸メチルが好ましい。
本明細書において、上記セルロースアシレートに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で多量に使用する有機溶媒を、主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
本実施形態のフィルム原反の製膜に用いられるドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の範囲内で、炭素数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらのアルコールは、ドープを金属支持体上に流延した後、有機溶媒の蒸発が開始され、アルコール成分の相対比率が高くなると、ドープ膜(ウェブ)がゲル化し、ウェブを丈夫にし、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として作用させることができ、これらのアルコールの割合が低い時には、非塩素系有機溶媒のセルロースアシレートの溶解を促進する役割もある。
炭素数が1〜4の範囲内にあるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等の観点から、エタノールを用いることが好ましい。これらのアルコール類は、単独ではセルロースアシレートに対して溶解性を有していないので、貧溶媒として分類される。
ドープ粘度は100〜500Pa・sの範囲内に調整することが、優れたフィルム面品質を得る観点から好ましい。
ドープ中に添加することのできる添加剤としては、たとえば、可塑剤、紫外線吸収剤、リン系難燃剤、マット剤、酸化防止剤、帯電防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等が挙げられる。本実施形態において、微粒子以外の添加剤については、セルロースアシレート溶液の調製時に添加してもよいし、微粒子分散液の調製時に添加してもよい。ディスプレイに使用する偏光板には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。
(糖エステル化合物)
フィルム原反は、相溶剤として糖エステル化合物を含有することが好ましい。糖エステル化合物としては、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個有し、その構造のヒドロキシ基のすべてまたは一部がエステル化された、セルロースエステルを除くエステル化合物糖エステル化合物を挙げることができる。
糖エステル化合物としては特に限定されず、ピラノース構造またはフラノース構造を有する化合物(糖類)としては、たとえば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、ケストースなどが挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなどが挙げられる。これらの中で、特に、ピラノース構造とフラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。具体的には、たとえば、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、特にスクロースが好ましい。
上述したピラノース構造またはフラノース構造を有する化合物(糖)のヒドロキシ基のすべてまたは一部をエステル化するために用いられるモノカルボン酸としては特に限定されず、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が1種または2種以上を混合して用いられ得る。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸としては、たとえば、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸としては、たとえば、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体が挙げられ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸が挙げられる。これらの中でも特に安息香酸が好ましい。
本実施形態では、位相差値の変動を抑制して表示品位を安定化する観点から、上記した糖エステル化合物は、フィルム原反100質量%に対して、1〜30質量%の範囲内で含まれることが好ましく、5〜30質量%の範囲内で含まれることがより好ましい。1〜30質量%の範囲内であれば、上記の優れた効果を呈するとともに、ブリードアウトなども抑制され得る。
(リン系難燃剤)
フィルム原反には、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いてもよい。リン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。具体的には、たとえば、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
(マット剤)
また、フィルム原反には、取扱性を向上させるため、たとえば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましく用いられる。
微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、5〜16nmがより好ましく、5〜12nmがさらに好ましい。
(その他)
さらに、フィルム原反には、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、得られる位相差フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
<位相差フィルム>
上記した位相差フィルムの製造方法により得られる位相差フィルムは、延伸前後の内部ヘイズの変化が膜厚40μmあたり0.07%以下であり、長尺方向に対する遅相軸が10°以上80°以下であり、波長550nmにおける面内位相差Ro550が100nm以上160nm以下であり、Ro550に対する波長450nmにおける面内位相差Ro450の比率(Ro450/Ro550)が0.8以上1.0未満である位相差フィルムである。このような物理特性を備える位相差フィルムは、逆波長分散特性が優れ、広帯域において実質的にλ/4の位相差を示す。そのため、たとえば有機ELディスプレイに用いられる円偏光板に好適に用いることができる。また、このような位相差フィルムを用いて作製されたディスプレイにおいて、表示品位の劣化が抑制される。
以下、位相差フィルムのその他の物理特性について説明する。なお、以下の物理特性は例示であり、本実施形態の位相差フィルムは、以下の物理特性を備えるフィルムに限定されない。
(膜厚および幅)
位相差フィルムの膜厚としては特に限定されず、たとえば10μm以上250μm以下の範囲内とすることができる。上記のとおり、位相差フィルムは、セルロースエステル樹脂組成物やセルロースエーテル樹脂組成物等の樹脂組成物と添加剤とを含有することにより、膜厚を従来のように大きくしなくても、位相差発現性を高くすることができる。たとえばフィルムの膜厚を20μm以上100μm以下としてもよく、より薄く20μm以上80μm以下としてもよく、さらに薄く20μm以上65μm以下としても充分に優れた位相差発現性、逆波長分散特性を示す。
位相差フィルムの幅としては特に限定されず、1m以上4m以下の範囲内とすることができ、好ましくは1.4m以上4m以下の範囲内とすることができ、より好ましくは1.6m以上3m以下とすることができる。位相差フィルムの幅を4m以下とすることにより、搬送安定性を確保することができる。
(表面粗さ)
位相差フィルム表面の算術平均粗さとしては特に限定されず、約2.0nm以上4.0nm以下とすることができ、好ましくは約2.5nm以上3.5nm以下とすることができる。
(寸法変化率)
位相差フィルムの寸法変化率(%)としては特に限定されないが、たとえば有機ELディスプレイに適用した場合に、使用する環境雰囲気(たとえば、高湿環境)下での吸湿による寸法変化により、ムラや位相差値の変化およびコントラストの低下や色ムラといった問題を発生させないために、0.5%未満であることが好ましく、0.3%未満であることがより好ましい。
(故障耐性)
位相差フィルムは、フィルム中の故障(以下、欠点ともいう)が少ないことが好ましい。具体的には、フィルム面内に、直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましく、0.5個/10cm四方以下であることがより好ましく、0.1個/10cm四方以下であることがさらに好ましい。なお、本明細書において「欠点」とは、後述する溶液流延法による製膜において、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)をいう。また、上記欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさで測定する。また、欠点が、ローラ傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化を伴う場合には、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。欠点頻度にて表される品位が優れたフィルムを生産性よく得るためには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多い場合、たとえば、後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を起点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたときに輝点を生じる場合がある。
(破断伸度)
本実施形態の位相差フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向(幅手方向(TD方向)または搬送方向(MD方向))の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。破断伸度の上限は特に限定されず、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには、異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
(ガラス転移温度 Tg)
Tgは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めることができる。本実施形態の位相差フィルムのTgは、70℃以上250℃以下であることが好ましい。
<円偏光板>
上記した位相差フィルムは、遅相軸と、後述する偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように積層することにより、円偏光板とすることができる。なお、本明細書により、「実質的に45°」とは、40〜50°の範囲内であることをいう。
上記した位相差フィルムの面内の遅相軸と偏光子の透過軸との角度とは、41〜49°の範囲内であることが好ましく、42〜48°の範囲内であることがより好ましく、43〜47°の範囲内であることがさらに好ましく、44〜46°の範囲内であることが特に好ましい。
本実施形態の円偏光板は、上記した位相差フィルムを用いて作製されるため、後述する有機ELディスプレイ等に適用することにより、可視光の全波長において、有機EL素子の金属電極の鏡面反射を遮蔽する効果を発現し得る。その結果、観察時の映り込みを防止することができるとともに、黒色表現を向上させることができる。
また、円偏光板は、紫外線吸収機能を備えていることが好ましい。視認側の保護フィルムが紫外線吸収機能を備えていると、偏光子と有機EL素子の両方を紫外線に対する保護効果を発現できる観点から好ましい。さらに発光体側の位相差フィルムも紫外線吸収機能を備えていると、後述する有機ELディスプレイに用いた場合に、より有機EL素子の劣化を抑制し得る。
また、本実施形態の円偏光板は、遅相軸の角度(すなわち配向角θ)を長手方向に対して「実質的に45°」となるように調整した上記位相差フィルムを用いることにより、一貫した製造ラインにより接着剤層の形成および偏光膜と位相差フィルム板との貼り合わせが可能でとなる。具体的には、偏光膜を延伸して作製する工程を終えた後、続いて行われる乾燥工程中または乾燥工程後に、偏光膜と位相差フィルムを貼合する工程を組み込むことでき、それぞれを連続的に供給することができ、かつ、貼合後もロール状態で巻き取ることにより、次工程に一貫した製造ラインでつなげることができる。なお、偏光膜と位相差フィルムを貼合する際に、同時に保護膜もロール状態で供給し、連続的に貼合することもできる。性能および生産効率の観点からは、偏光膜に位相差フィルムと保護膜とを同時に貼合する方が好ましい。すなわち、偏光膜を延伸して作製する工程を終えた後、続いて行われる乾燥工程中または乾燥工程後に、両側の面にそれぞれ保護膜と位相差フィルムを接着剤により貼合し、ロール状態の円偏光板を得ることも可能である。
本実施形態の円偏光板は、偏光子を上記した位相差フィルムと保護フィルムによって挟持されることが好ましく、該保護フィルムの視認側に硬化層が積層されることが好ましい。
偏光子の厚みとしては特に限定されずたとえば3μm以上35μm以下、好ましくは5μm以上25μm以下とすることができる。このような厚みの偏光子を用いることにより、得られる円偏光板を薄膜化することができる。
<有機ELディスプレイ>
本実施形態の有機ELディスプレイは、上記円偏光板を用いて作製される。より詳細には、本実施形態の有機ELディスプレイは、上記位相差フィルムを用いた円偏光板と、有機EL素子とを備える。有機ELディスプレイの画面サイズは特に限定されず、20インチ以上とすることができる。
図4は、本実施形態の有機ELディスプレイの構成の概略図である。なお、図4に示される有機ELディスプレイの構成は一例であり、本実施形態の有機ELディスプレイの構成は、何ら限定されるものではない。
図4に示されるように、ガラスやポリイミド等を用いた透明基板101上に順に金属電極102、TFT(薄膜トランジスタ)103、有機発光層104、透明電極(ITO(酸化インジウムスズ)等)105、絶縁層106、封止層107およびフィルム108(省略可)を有する有機EL素子B上に、偏光子110を上記した位相差フィルム109と保護フィルム111とによって挟持した上記した円偏光板Cを設けて、有機ELディスプレイAを構成する。保護フィルム111には硬化層112が積層されていることが好ましい。硬化層112は、有機ELディスプレイの表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。さらに、硬化層上には、反射防止層113を有していてもよい。上記有機EL素子自体の厚さは1μm程度である。
一般に、有機ELディスプレイは、透明基板上に金属電極と有機発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、たとえばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機ELディスプレイは、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。再結合のメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、電流と発光強度とは印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機ELディスプレイにおいては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要であり、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極が陽極として好ましく用いられる。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常はMg−Ag、Al−Liなどの金属電極が陰極として用いられる。
上記した位相差フィルムを有する円偏光板は、画面サイズが20インチ以上、すなわち対角線距離が50.8cm以上の大型画面からなる有機ELディスプレイに適用することができる。
このような構成の有機ELディスプレイにおいて、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。そのため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機ELディスプレイの表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機EL素子を含む有機ELディスプレイにおいて、透明電極の表面側(視認側)に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差フィルムおよび偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差フィルムを1/4位相差フィルムで構成し、かつ偏光板と位相差フィルムとの偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機ELディスプレイに入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過し、この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差フィルムがλ/4位相差フィルムでしかも偏光板と位相差フィルムとの偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差フィルムにおいて再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。したがって、本実施形態の有機ELディスプレイによれば、外光反射が抑制され、明所コントラストや黒色再現性が優れる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表すものとする。
(実施例1)
<位相差フィルム原反の作製>
(微粒子分散液の調製)
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液を調製した。
(微粒子添加液の調製)
溶解タンクにメチレンクロライドを50質量部入れ、メチレンクロライドを充分に攪拌しながら上記調製した微粒子分散液の50質量部をゆっくりと添加した。さらに、二次粒子の粒径が、0.01〜1.0μm程度になるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液を調製した。
(ドープの調製)
まず、加圧溶解タンクに以下に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、アセチル基置換度が1.5、プロピオニル基置換度が0.9のセルロースアシレート樹脂組成物Aを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。次いで、以下に示される添加剤a、添加剤bおよび上記調製した微粒子添加液を以下の比率で、主溶解釜に投入し、密閉した後、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート樹脂組成物A 100質量部
添加剤a 6質量部
添加剤b 3質量部
微粒子添加液 2質量部
(添加剤a)
Figure 2015052678
(添加剤b)
Figure 2015052678
(製膜)
上記のとおり調製したドープを、ステンレスベルト支持体上で、流延し、フィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上からフィルム原反を剥離した。剥離したフィルム原反を、引取り張力200(N/m)でロール状に一旦巻き上げた。
(斜め延伸工程)
次いで、フィルム原反を巻き出し、フィルム原反の両端部を把持具で把持し、フィルム原反のTg(163℃)よりも50℃高い温度に加熱しながら、図2(a)に記載の延伸装置を用いて、遅相軸がフィルム長手方向と45°をなすように、延伸倍率が2.0倍となるように斜め方向に延伸を行い、その後、フィルム原反のTgよりも10℃高い温度で5分間乾燥(冷却)し、長尺方向に対して45°の方向に遅相軸を有する位相差フィルムを作製した。斜め延伸時における把持具の走行速度は0.1m/分とした。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.0倍であった。
(実施例2)
斜め延伸工程において、走行速度0.1m/分の把持具を使用し、フィルム原反のTgよりも50℃高い温度に加熱し斜め延伸し、その後、フィルム原反のTgよりも10℃低い温度で5分間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.0倍であった。
(実施例3)
以下に示される位相差フィルム原反(Tg:120℃)を使用し、斜め延伸工程において、走行速度3m/分の把持具を使用し、フィルム原反のTgよりも50℃高い温度に加熱し斜め延伸し、その後、フィルム原反のTgよりも10℃低い温度で5分間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.0倍であった。
<位相差フィルム原反の作製>
実施例1と同様に微粒子添加液を調製した。
(ドープの調製)
はじめに、加圧溶解タンクに以下に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、ベンゾイル基置換度が0.6、エチル基置換度が2.3のセルロースエーテル樹脂組成物Bを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。次いで、添加剤a、以下に示される添加剤cおよび上記調製した微粒子添加液を以下の比率で、主溶解釜に投入し、密閉した後、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート樹脂組成物B 100質量部
添加剤a 6質量部
添加剤c 3質量部
微粒子添加液 1質量部
(添加剤c)一般式(1)で表される化合物1−1
Figure 2015052678
(製膜)
調製したドープを、ステンレスベルト支持体上で、流延し、フィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上からフィルム原反を剥離した。剥離したフィルム原反を、引取り張力200(N/m)でロール状に一旦巻き上げた。
(実施例4)
実施例3で作製したフィルム原反を使用した以外は、実施例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(実施例5)
以下に示される位相差フィルム原反(Tg:135℃)を使用し、斜め延伸工程において、走行速度0.1m/分の把持具を使用し、フィルム原反のTgよりも50℃高い温度に加熱し斜め延伸し、その後、フィルム原反のTgよりも10℃高い温度で5分間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.0倍であった。
<位相差フィルム原反の作製>
実施例1と同様に微粒子添加液を調製した。
(ドープの調製)
はじめに、加圧溶解タンクに以下に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、エチル基置換度が2.3のセルロースエーテル樹脂組成物Cを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。次いで、添加剤d(負の固有複屈折を有する化合物 メタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体、数平均分子量Mn:4000)、以下に示される添加剤eおよび上記調製した微粒子添加液を以下の比率で、主溶解釜に投入し、密閉した後、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート樹脂組成物C 100質量部
添加剤d 15質量部
添加剤e 3質量部
微粒子添加液 2質量部
(添加剤e)
Figure 2015052678
(製膜)
調製したドープを、ステンレスベルト支持体上で、流延し、フィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上からフィルム原反を剥離した。剥離したフィルム原反を、引取り張力200(N/m)でロール状に一旦巻き上げた。
(実施例6)
実施例5で作製したフィルム原反を使用した以外は、実施例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(実施例7)
以下に示される位相差フィルム原反(Tg:170℃)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
<位相差フィルム原反の作製>
実施例1と同様に微粒子添加液を調製した。
(ドープの調製)
はじめに、加圧溶解タンクに以下に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、アセチル基置換度が2.89のセルロースアシレート樹脂組成物Dを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。次いで、添加剤a、添加剤cおよび上記調製した微粒子添加液を以下の比率で、主溶解釜に投入し、密閉した後、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート樹脂組成物B 100質量部
添加剤a 6質量部
添加剤c 1質量部
微粒子添加液 2質量部
(製膜)
調製したドープを、ステンレスベルト支持体上で、流延し、フィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上からフィルム原反を剥離した。剥離したフィルム原反を、引取り張力200(N/m)でロール状に一旦巻き上げた。
(実施例8)
実施例7で作製したフィルム原反を使用した以外は、実施例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法によりフィルム原反を剥離したのち、フィルム原反のTgよりも15℃高い延伸温度で、TD方向に1.25倍延伸し、引取り張力200(N/m)にてフィルム原反をロール状に巻きあげた。次いで、斜め延伸工程において、走行速度3m/分の把持具を使用し、フィルム原反のTgよりも20℃高い温度に加熱して延伸倍率が1.7倍となるよう斜め延伸し、その後、フィルム原反のTgよりも10℃高い温度で5分間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.12倍であった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法によりフィルム原反を作製した。作製したフィルム原反を、斜め延伸工程において、走行速度0.1m/分の把持具を使用し、フィルム原反のTgよりも20℃高い温度に加熱して延伸倍率が2.0倍となるよう斜め延伸し、その後、フィルム原反のTgよりも10℃高い温度で5分間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.0倍であった。
(比較例3)
実施例3で作製したフィルム原反を使用した以外は、比較例1と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(比較例4)
実施例3で作製したフィルム原反を使用し斜め延伸工程において、走行速度3m/分の把持具を使用し、フィルム原反のTgよりも50℃高い温度に加熱して延伸倍率が2.0倍となるよう斜め延伸し、その後、フィルム原反のTgよりも10℃高い温度で5分間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。この延伸条件において、トータル延伸倍率は、2.0倍であった。
(比較例5)
実施例5で作製したフィルム原反を使用した以外は、比較例1と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(比較例6)
実施例5で作製したフィルム原反を使用した以外は、比較例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(比較例7)
実施例7で作製したフィルム原反を使用した以外は、比較例1と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
(比較例8)
実施例7で作製したフィルム原反を使用した以外は、比較例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。
<フィルムの各特性値の測定>
(遅相軸、Ro550、Ro450/Ro550
上記実施例1〜8および比較例1〜8で作製した位相差フィルムについて、23℃、55%RH環境下で、Axometrics社製のAxoscanを用いて、450nm、550nmの波長での面内方向のリタデーションRo450、Ro550を測定し、Ro450/Ro550算出した。遅相軸についても、Axometrics社製のAxoscanを用いて測定した。結果を表1に示す。
(ガラス転移温度 Tg)
Tgは、TAインスツルメント社製 示差走査型熱量計(DSC)Q2000を用いて昇温速度5℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めた。
<円偏光板の作製>
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、以下の工程1〜5に従って、偏光子と、実施例1〜8または比較例1〜8で作製したそれぞれの位相差フィルムと、裏面側には後述する保護フィルムとを、長手方向を合わせるようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて円偏光板をそれぞれ作製した。
工程1:位相差フィルムを60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した位相差フィルムの上にのせて配置した。その際、たるみが生じないように位相差フィルムと偏光子に50N/mの張力を掛けた。
工程4:工程3で積層した位相差フィルムと偏光子と保護フィルムを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と位相差フィルムと保護フィルムとを貼り合わせた試料を2分間乾燥した。
<保護フィルムの作製>
(エステル化合物の調製)
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物を得た。酸価0.10mgKOH/g、数平均分子量450であった。
(ドープの調製)
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.88、重量平均分子量:約18万)
90質量部
エステル化合物 10質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製) 2.5質量部
微粒子添加液 4質量部
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
(製膜)
次に、ベルト流延装置を用い、ステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブを35℃で溶剤を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、160℃の熱をかけながら延伸装置でTD方向(フィルムの幅手方向)に30%、MD方向の延伸倍率は1%延伸した。延伸を始めたときの残留溶剤量は20%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のローラで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.49m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、保護フィルムを得た。保護フィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は40μm、巻数は3900mであった。保護フィルムの配向角θは、王子計測器(株)製KOBRA−21ADHを用いて測定した結果、フィルム長手方向に対して90°±1°の範囲にあった。
<有機EL素子の作製>
3mm厚の50インチ(127cm)用無アルカリガラスを用いて、以下の方法に従って有機EL素子を作製した。図5は、本実施形態の有機ELディスプレイの構成の模式図である。
図5に示されるように、ガラスの透明基板1a上にクロムからなる反射電極、反射電極上に金属電極2a(陽極)としてITOを成膜し、陽極上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法により厚さ80nmとなるよう形成し、次いで正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、図5に示されるようにRGBそれぞれの発光層3aR、3aG、3aBを100nmの膜厚で形成した。赤色発光層3aRとしては、ホストとして以下に示されるトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層3aGとしては、ホストとしてAlqと、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層3aBとしては、ホストとして以下に示されるBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
Figure 2015052678
さらに、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により厚みが4nmとなるよう成膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを厚みが2nmとなるように形成した。なお、第2の陰極として用いたアルミニウムは、その上に形成される透明電極4aをスパッタリング法により成膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。以上により有機発光層を形成した。次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜を厚みが80nmとなるよう成膜した。透明導電膜としてはITOを用いた。さらに、透明導電膜上にCVD法によって窒化珪素を厚みが200nmとなるよう成膜することにより絶縁膜5aとし、有機EL素子11aを作製した。なお、図5において、参照符号6aは接着層、参照符号7aは偏光板保護フィルム(位相差フィルム)、参照符号8aは偏光子、参照符号9aは偏光板保護フィルム、参照符号10aは偏光板を示す。
<有機ELディスプレイの作製>
上記のとおり作製したそれぞれの円偏光板の位相差フィルムの表面に接着剤を塗工した後、有機EL素子の視認側に貼合することでそれぞれの有機ELディスプレイを作製した。
<位相差フィルムおよび有機ELディスプレイの評価>
上記のとおり作製したそれぞれの位相差フィルムおよび有機ELディスプレイについて、以下の評価を行った。
(内部ヘイズ)
上記各位相差フィルムの作製に際して、下記の方法に従って、斜め延伸前後のフィルム原反の内部ヘイズを測定した。
まず、延伸前のフィルム原反以外の測定器具のブランクヘイズ1(外部ヘイズ値)を測定した。きれいに洗浄したスライドガラス上に、気泡が入らないように注意しながら、グリセリンを一滴(0.05ml)滴下した。その上にカバーガラスを乗せて、カバーガラス全面にグリセリンを広げた。以下に示すヘイズメーターにセットし、ブランクヘイズ1(外部ヘイズ値)を測定した。次いで以下の手順で、延伸前のフィルム原反を含めたヘイズ2(全ヘイズ値)を測定した。スライドガラス上にグリセリン0.05mlを滴下した。その上に測定する延伸前のフィルム原反を、気泡が入らないように乗せた。延伸前のフィルム原反上にグリセリン0.05mlを滴下した。その上にカバーガラスを乗せた。以上のように作製した積層体(上から、カバーガラス/グリセリン/延伸前のフィルム原反/グリセリン/スライドガラス)を、ヘイズメーターにセットしてヘイズ2を測定した。下式より内部ヘイズ値を求めた。内部ヘイズは、23℃、55%RHの環境下で5時間以上調湿した位相差フィルムを用い、23℃、55%RHの環境下で測定した。
(ヘイズ2)−(ヘイズ1)=(延伸前のフィルム原反の内部ヘイズ値)
上記測定に使用したヘイズメーター、ガラス、グリセリンを以下に示す。
ヘイズメーター:ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)、光源は5V9Wハロゲン球、受光部はシリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)、測定はJIS K−7136に準じて測定した。
スライドガラス:MICRO SLIDE GLASS S9213 MATSUNAMI カバーガラス:マツナミカバーグラス 24×50mm(KN3321827)
グリセリン:関東化学(株)製 鹿特級(純度>99.0%)、屈折率1.47
同様の方法により、斜め延伸後のフィルム原反(位相差フィルム)の内部ヘイズを測定した。得られた延伸前後の内部ヘイズの実測値を、膜厚40μmあたりに換算し、差を算出した。結果を表1に示す。
(耐屈曲性)
サンプルサイズ100mm×50mmの位相差フィルムを23℃、50%RHの環境下で48時間放置した後、JIS K 5600−5−1:1999 円筒形マンドレル法による耐屈曲性の試験(タイプ1の試験装置でマンドレルの直径10mm、折り曲げ時間2秒、23℃50%環境下で試験、)を、試験片の長手方向で行い、かかる試験においても割れないものを○、割れたものを×とした。結果を表1に示す。
(黒の色味)
まず、上記作製した有機ELディスプレイを、50℃85%RHで48時間保管した。その後、23℃55%で48時間保管した。このサイクルを3回繰り返した。その後、23℃、55%RHの常湿環境下で、各有機ELディスプレイの最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなる条件下で、有機ELディスプレイに黒画像を表示した。次いで、各有機ELディスプレイの正面位置(面法線に対し0°)と、面法線に対し40°の斜め角度からの黒画像の色味を一般モニター10人により観察評価を行い、以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。なお、△以上であれば、黒の色味としては実用上可と判断した。
(評価基準)
◎:9人以上のモニターが、表示された画像が黒であると判定した。
○:7人〜8人のモニターが、表示された画像が黒であると判定した。
△:5〜6人のモニターが、表示された画像が黒であると判定した。
×:表示された画像が黒であると判定したモニターが、4人以下であった。
(反射性)
上記有機EL表示装置の作製において、有機ELセルを作製した段階で、視認側表面にマジックインキで赤、青、緑の線を付与した以外は同様にして、評価用の有機EL表示装置を作製した。作製した赤、青、緑の線を有する有機EL表示について、23℃、55%RHの常湿環境下で、各有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなる条件下で、有機EL表示装置に付したマジックインキの線の視認性(反射性能)を、一般モニター10人により以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。なお、△以上であれば、反射性能としては実用上可と判断した。ここでいう反射性能とは、円偏光板の表面の反射でなく、円偏光板の内部に入った有機ELセルにおける反射をいう。
(評価基準)
◎:9人以上のモニターが、マジックインキの線はいずれの色も見えないと判定した。
○:7〜8人のモニターが、マジックインキの線はいずれの色も見えないと判定した。
△:5〜6人のモニターが、マジックインキの線が2本は見えないと判定した。
×:マジックインキの線が2本は見えない判定したモニターが、4人以下であった。
Figure 2015052678
表1に示されるように、本発明の位相差フィルムは内部ヘイズの変化が小さく、得られる位相差フィルムを用いて作製した円偏光板を用いた有機ELディスプレイは、耐屈曲性に優れ、かつ、色味や黒表示特性などの視認性に優れていることが判った。
本発明によれば、製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して斜め延伸行う位相差フィルムの製造方法において、表示品位の劣化しにくいディスプレイを作製できる位相差フィルムが得られる。そのため、本発明は、たとえば、フレキシブルディスプレイのような耐屈曲性や表示品位が要求されるディスプレイの分野において好適に利用することができる。
101 透明基板
102 金属電極
103 TFT
104 有機発光層
105 透明電極
106 絶縁層
107 封止層
108 フィルム
109 λ/4位相差フィルム
110 偏光子
111 保護フィルム
112 硬化層
113 反射防止層
1a 透明基板
2a 金属電極
3a、3aR、3aG、3aB 発光層
4 フィルム原反
4a 透明電極
5 長尺延伸フィルム
5a 絶縁膜
6 斜め延伸装置
6a 接着層
7a 偏光板保護フィルム(λ/4位相差フィルム)
7−1、7−2 軌跡
8a 偏光子
8−1、8−2 把持開始点
9a 偏光板保護フィルム
9−1、9−2 把持終了点
10a 偏光板
10−1、10−2 拡幅を始める点
11a 有機EL素子
11−1、11−3 拡幅が終了する点
11−2 左右一対の把持具の片方が到達する点
12−1 ガイドロール
12−2 (テンター出口側の)ガイドロール
13 フィルムの延伸方向
14 フィルムの送り方向に対するフィルムの延伸方向の角度(θi)
14−1 フィルムの送り方向
14−2 フィルムの延伸方向
15 左右把持具同士の搬送速度が異なる部分
A 有機ELディスプレイ
A1、A2 延伸方向
A3 搬送方向
A4 遅相軸
B 有機EL素子
C 円偏光板
Wo 延伸前のフィルムの幅
W 延伸後のフィルムの幅
θi 繰出し角度

Claims (9)

  1. 製膜後に巻き取られたフィルム原反を巻き出して、斜め方向に延伸する工程を有し、
    前記斜め方向に延伸する工程において、
    延伸前後の内部ヘイズの変化が膜厚40μmあたり0.07%以下であり、
    得られる位相差フィルムの長尺方向に対する遅相軸が10°以上80°以下であり、波長550nmにおける面内位相差Ro550が100nm以上160nm以下であり、Ro550に対する波長450nmにおける面内位相差Ro450の比率(Ro450/Ro550)が0.8以上1.0未満となるように、前記フィルム原反を延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記位相差フィルムは、負の固有複屈折を有する化合物を含む、請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記位相差フィルムは、以下の一般式(1)で表される化合物を含む、請求項1または2記載の位相差フィルムの製造方法。
    Figure 2015052678

    (一般式(1)において、AおよびAは、各々アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、L、L、LおよびLは、各々単結合または2価の連結基を表し、WおよびWは、各々芳香族複素環または脂肪族複素環を表し、Bは、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、芳香族複素環または脂肪族複素環を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、複数のL、LおよびWは同じであっても異なっていてもよい)
  4. 前記位相差フィルムは、セルロースエステル樹脂組成物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  5. 前記位相差フィルムは、セルロースエーテル樹脂組成物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  6. 前記斜め方向に延伸する工程において、以下の条件A〜Cのうち、少なくともいずれか2つの条件を満たす工程を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
    条件A:斜め延伸時にフィルムの両端を把持する把持具の走行速度が0.1〜2m/分である
    条件B:延伸温度が、前記位相差フィルムのTgよりも30℃から60℃高い温度である
    条件C:延伸後の冷却温度が前記位相差フィルムのTg〜Tg−30℃である
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法により作製される位相差フィルム。
  8. 請求項7記載の位相差フィルムと偏光子とを有する円偏光板。
  9. 請求項7記載の位相差フィルム、または、請求項8記載の円偏光板を用いた有機ELディスプレイ。
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