JP2015048391A - 熱可塑性樹脂発泡シート - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性などの優れた性質を有し、かつ抗菌性、鮮度保持性があり、断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝材になどに広く使用できる熱可塑性樹脂発泡シート、さらにはこれらからなる抗菌性、鮮度保持性に優れたパッキンを提供する。
【解決手段】パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプレートのいずれか1以上からなる特定化合物が、その両面の少なくとも一方の面に、0.002〜0.05(g/m)の割合で存在することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、十分な断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性などの優れた性質を有し、かつ抗菌性、鮮度保持性があり、断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝になどに広く使用できる熱可塑性樹脂発泡シート、さらには、それからなるパッキンを提供するものである。
発泡シートは、断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性などの優れた性質を有しており、シート状に加工して、断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝材などに広く使用されている。
また近年モモ、りんご、イチゴ、バナナ、マンゴー、スイカ、トマト、ニガウリ、ピーマン等の傷みやすい果実、野菜の運搬、冷凍魚、冷凍肉の搬送用容器や仕切り板にも発泡シートを加工し利用されている。
従来、ポリオレフィンの発泡シートの製造方法としては、Tダイまたはサーキュラーダイを付けた押出機を用いて加熱された、発泡剤を含む膨張可能な樹脂をダイから大気中に連続的に押し出し、シート状に成形すると同時に所定密度や所定厚みに発泡させる、いわゆる押出発泡方法が知られている。
また、他の製造方法として、特殊な金型を用いた異形押出方法や加熱された発泡可能な樹脂を細狭間隙から直ちに大気中に自由発泡させるのではなく、ある加圧条件下で発泡させ、これを順次冷却しながら、所定の厚さ、幅に成形して、連続して大気中に押出して発泡シートとする方法が知られている。
一方、鮮度保持フィルムはスーパーマーケット、コンビニエンスストアー、青果店、精肉店、鮮魚店、花屋の店舗で販売される野菜、果物といった青果物や、精肉及び鮮魚などの動物性食材からなる生鮮食品及び花卉などは個包装にも使用されている。
特許文献1にはラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミンを0.1〜1.2%含有する抗菌フィルムが開示されている。しかしラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミンは分子量が小さく、溶融成形時に発煙したり、成形後に包装材等に用いる際に内容物に移行し、味覚を損なったりするおそれがある。
特許文献2には、原料樹脂に抗菌防カビ剤を混入して成形したソリッドシートまたは発泡シートからなる抗菌防カビパッキングが開示されている。
特許4022298号 特開2005−75403号公報
本発明の目的は、十分な断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性などの優れた性質を有しており、かつ抗菌性、鮮度保持性があり、断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝材になどに広く使用できる熱可塑性樹脂発泡シート、及びそれからなるパッキンを提供することにある。
本発明は、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプレートのいずれか1以上からなる特定化合物が、その両面の少なくとも一方の面に、0.002×0.05(g/m)の割合で存在することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡シートに関する。
本発明によれば、十分な断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性等を有し、かつ抗菌性、鮮度保持性があり、断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝材になどに広く使用できる熱可塑性樹脂発泡シート、及びそれからなるパッキンが得られる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、その両面のうちの少なくとも一方の表面に、特定化合物が0.002〜0.05(g/m)の割合で存在することを特徴としている。
特定化合物を熱可塑性樹脂発泡シートの表面に存在させる方法としてコート法があり、特定化合物を直接噴霧したり、その溶液、懸濁液などを塗布する方法、噴霧する方法を例示することができる。また、他の好適な方法として、熱可塑性樹脂発泡シートに特定化合物を配合する方法がある。これらの中では、経済的には、特定化合物を0.01〜3(質量%)の割合で含有する発泡シートを用いることが望ましい。
また、本発明の他の好ましい態様は、熱可塑性樹脂発泡シートを構成する発泡シートの両面のうちの少なくとも一方の面にフィルムが積層された積層発泡シートからなり、その積層発泡シートの両面のうちの少なくとも一方の面に、特定化合物が、0.002〜0.05(g/m)の割合で存在することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡シートである。
この場合、熱可塑性樹脂発泡シートの両面のうち、一方の面のみにフィルムが積層された場合と両方の面にフィルムが積層された場合がある。このような積層発泡シートの態様において、積層に用いられるフィルムは、その表面に特定化合物が0.002〜0.05(g/m)の割合で存在するフィルムが望ましい。
また、そのフィルムの表面に特定化合物を存在させる態様においては、上記のコート法を利用することもできるが、特定化合物を0.01〜3(質量%)の割合で含有するフィルムを用いることが望ましい。
さらに、フィルムはプロピレン系重合体またはエチレン系重合体からなることが望ましい。
これらの熱可塑性樹脂発泡シートとしては、その表面の少なくとも一方の面のJISZ2801に準じた抗菌試験であって、大腸菌(Escherichia coli)を用いて行う試験において、その表面の状態を保つためにアルコールに拭き取りを行わない条件下において、24時間後の生菌数が1/100倍以下となる表面を有する抗菌性、鮮度保持性に優れた熱可塑性樹脂発泡シートも得ることができる。
特定化合物
本発明に用いられる特定化合物は、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプレートのいずれか1以上からなる化合物である。
なお、パルミチルジエタノールアミンは炭素数16の長鎖アルキル基であるパルミチル基を有するアルキルジエタノールアミンである。
ステアリルジエタノールは炭素数18のステアリル基を有するアルキルジエタノールアミンであり、グリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とグリセリンとのモノエステルであり、グリセリンモノカプレートは、カプリン酸(炭素数10)とグリセリンとのモノエステルである。
ステアリルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミンは、ミスチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミンに比べて融点が比較的高く、熱可塑性樹脂発泡シートを溶融成形する際に比較的揮発しにくい。さらに、抗菌性、鮮度保持性に優れ、パッキン等に用いた場合にそれに接触する物への移行が比較的遅く安全性に優れており、その性能を持続することが可能である。
長鎖アルキル基の部分の炭素数 融点
ステアリルジエタノールアミン 18個 51℃
パルミチルジエタノールアミン 16個 28℃
ミリスチルジエタノールアミン 14個 22〜23℃
ラウリルジエタノールアミン 12個 常温で液体
これらの特定化合物は、少なくとも1種以上が用いられる。一般にこれらの特定化合物は個々に、類似化合物を含有しているものでもよく、例えば、パルミチルジエタノールアミン(炭素数16)は、少量のミリスチルジエタノールアミン(炭素数14)や、ステアリルジエタノールアミン(炭素数18)等の炭素12〜20のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンを含むものでもよい。
また、同様にステアリルジエタノールアミン(炭素数18)は、炭素数16〜炭素数20のアルキル基を有するアルキルジエタノール等を少量含んでいてもよい。また、これらアミン化合物のアミンの一部が脂肪族カルボン酸とのエステルである類似化合物を少量含んでいてもよい。
さらに、グリセリンモノラウレートは、炭素数が10、14等である高級直鎖脂肪族カルボン酸とグリセリンとのモノエステル等を少量含んでいてもよく、グリセリンモノカプレート(C10)は、炭素数が8、12等である高級脂肪族カルボン酸とグリセリンとのモノエステル等を少量含んでいてもよい。
また、上記のグリセリンモノエステルには、類似化合物である少量のグリセリンジエステル、グリセリントリエステルなど、さらにはグリセリン部分がジグリセリン、トリグリセリンである類似化合が含まれていてもよい。
これらの類似化合物は、一般に特定化合物の合成、分離などの工程において同時に合成されたり、分離が困難な化合物が多い。
これらの類似化合物は、用いられる特定化合物100質量部に対して通常50質量部以下の割合で含むが、一般に少ないことが望ましい。
さらに、本発明では特定化合物と共に、必要に応じて、従来公知の帯電防止剤、防曇剤、滑材などの有機系の他の配合剤を併用することも行われる。これら有機系の他の配合剤と上記の類似化合物との合計は、用いられる特定化合物100質量部に対して、50質量部以下の割合で含むことが望ましく、一般的に更に少ないことが望ましい。
表面量の定量方法
なお、熱可塑性樹脂発泡シートの表面におけるパルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミンなどの存在量は、コート法による場合はコート量から算出することができる。また、発泡シート、又はフィルムの表面をジクロロメタンを用いて洗浄し、洗浄液を回収し、濃縮して定容した後、シリル化し、その後、GC/MSを用いて対応する成分を定量することにより、存在量を求めることができる。
なお、他の特定化合物についてもこれらと同様にして求めることができる。
熱可塑性樹脂
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独若しくは共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはそのケン化物などのエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル・1−ペンテンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミドなどのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、更にはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性樹脂、或いはこれらの混合物などを挙げることができる。なお、熱可塑性樹脂には、いわゆる樹脂状の重合体のみならず、用いられる用途に応じてエラストマー状、ゴム状の重合体も含まれ、好適な態様としていわゆる樹脂状の重合体と共に、エラストマー状の重合体、ゴム状の重合体からなる組成物も含まれる。
これらのうちでは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどが、透明性に優れるので好ましく、特にポリプロピレンなどのプロピレン系重合体、ポリエチレンなどのエチレン系重合体に代表されるポリオレフィンが軽量でフィルム加工性に優れ好ましい。中でも、柔軟性、透明性から特にポリプロピレン等のプロピレンを主成分とするプロピレン系重合体、または、ポリエチレン等のエチレンを主成分とするエチレン系重合体が好適である。
プロピレン系重合体
プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主要モノマーとし、それとエチレン及び炭素数4から10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類以上との共重合体がある。
これらプロピレン系重合体として、さらに具体的には、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体などのプロピレンを主要モノマーとし、これとエチレン、炭素数4から10のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体がある。
なお、プロピレン系重合体としては、一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されているプロピレンの単独重合体(ホモPPとも呼ばれている)、プロピレンを主要成分とし、これとエチレン、炭素数4〜10のα−オレフィンから選ばれる1種類以上のコモノマーとのランダム共重合体(ランダムPPとも呼ばれている)などの他、非晶性のプロピレンとエチレン等からなるランダム共重合体、プロピレン単独重合体と低結晶性、あるいは非晶性のプロピレンとエチレン等からなるランダム共重合体等の組成物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主用成分とする結晶性の重合体が好適である。その他、プロピレンと共に、エチレン及び1−ブテン等を共重合体して得られるエラストマーなども挙げることができる。
これらプロピレン系重合体は、1種類あるいは2種類以上の組成物、例えば分子量の異なるプロピレンの単独重合体の組成物、プロピレンの単独重合体とプロピレンとエチレン、あるいは炭素数4から10のα−オレフィンとのランダム共重合体との組成物であってもよい。
本発明においてプロピレン系重合体は、通常、密度が0.89〜0.93g/cm、メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238 荷重2160g、温度230℃)が通常0.5〜15g/10分、中でも0.5〜10g/10分が好適である。MFRが低すぎると、発泡成形(例えば、発泡押出成形)の際に過剰な発熱が起こり、発泡倍率を高めにくい。メルトフローレートが高すぎると、発泡ガスが発泡体に保持しにくくなり発泡倍率を高めにくい。そのため、発泡体の靭性を高めにくくなる。
また、プロピレン系重合体は、その分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜4、中でも1.5〜3.5であることが好適で、抗菌性、鮮度保持性の性能を確実に発揮させることができる。分子量分布(Mw/Mn)がこのような範囲にある重合体は一般にメタロセン系の触媒を用いて製造することができる。
エチレン系重合体
エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びそのケン化物及びアイオノマーがある。
そのような重合体として、さらに具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体がある。これらの共重合体中のα―オレフィンの割合は通常1〜15モル%である。
エチレン系重合体としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体である線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマーが好適である。
エチレン系重合体の密度は、0.89〜0.96g/cm、その中でも0.9〜0.94g/cmが好適である。
エチレン系重合体の中では、エチレンの単独重合体、エチレンと1〜15モル%の炭素数3から8のα―オレフィンとの共重合体が好適であり、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好適である。これらエチレン系重合体のメルトフローレート(MFR)(190℃、2.16Kg)が0.1〜15g/10分程度である。
また、エチレン系重合体は、その分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜4、中でも1.5〜3.5であることが好適で、抗菌性、鮮度保持性の性能を確実に発揮させることができる。分子量分布(Mw/Mn)がこのような範囲にある重合体は一般にメタロセン系の触媒を用いて製造することができる。
抗菌性、鮮度保持性などの機能付与
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、その表面に特定化合物を表面に、0.002〜0.05(g/m)、好ましくは、0.002〜0.04(g/m)の割合で存在させることで得られる。
この範囲内であれば、抗菌性、鮮度保持性が確実に持続性よく発揮される。
これらの特定化合物を表面に存在させる方法としては、前記したように、特定化合物の噴霧、溶液、懸濁液などにより塗布、噴霧などのコート法の他、熱可塑性樹脂発泡シートの少なくとも表面側に特定化合物を配合する方法がある。中でも、経済的には、特定化合物を0.01〜3(質量%)、好ましくは、0.1〜2(質量%)の割合で含有する発泡シートを用いることが望ましい。
これにより、表面に存在させる特定化合物の量を確保することができる。
この場合、特定化合物は、原料の熱可塑性樹脂に配合して混練する方法がある。また、特定化合物及び他の配合物等を高割合に含む熱可塑性樹脂の組成物を予め溶融混練して得られるマスターバッチと共に、熱可塑性樹脂を原料に用いて発泡シートを成形する方法がある。
また、本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの他の好ましい態様は、熱可塑性樹脂発泡シートを構成する発泡シートの両面の少なくとも一方の面にフィルムが積層された積層発泡シートであって、その積層発泡シートの両面の少なくとも一方の面に、特定化合物が、0.002〜0.05(g/m)、好ましくは、0.002〜0.04(g/m)の割合で存在することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡シートである。
この場合、熱可塑性樹脂発泡シートの両面のうち、一方の面のみにフィルムが積層された場合と両方の面にフィルムが積層された場合がある。このような積層発泡シートの態様において、積層に利用されるフィルムは、その表面に特定化合物を0.002〜0.05(g/m)、好ましくは、0.002〜0.04(g/m)の割合で存在するフィルムが望ましい。
また、そのフィルムの表面に特定化合物を存在させる態様においては、上記のコート法を利用することもできるが、特定化合物を0.01〜3(質量%)、好ましくは、0.1〜2(質量%)の割合で含有するフィルムを用いることが望ましい。
熱可塑性樹脂発泡シートにおいて、発泡シートの厚みは、用途にもよるが一般に0.01〜20mmであり、中でも0.5〜20mm、その中でも0.02〜5mmが好適であり、また、その見掛密度は0.12〜1.0g/cm、その中でも0.2〜0.8g/cmが好適である。さらに、熱可塑性樹脂発泡シートはパッキンとして好適に利用することができる。
また、熱可塑性樹脂発泡シートが、少なくとも一方の面にフィルムが積層一体化されている場合において、発泡シートにフィルムを積層する方法としては、発泡シートの溶融発泡成形とフィルムの溶融成形を同時に行い、最終段階で積層一体化する方法がある。また、予め成形された発泡シートに、フィルムを押出ラミネート、ドライラミネート、熱ラミネート等の種々の方法で積層一体化する方法がある。ドライラミネート、熱ラミネート等においては、発泡シートとフィルムの間の密着性を向上させるため、必要に応じて、両層の間に接着剤をコートしたり、熱融着性、熱接着性に優れる熱可塑性樹脂の中間層を設けることも行われる。このような中間層に用いられる好適な重合体としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)がある。用いられるLLDPEはその分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜4、中でも1.5〜3.5であるものが好適であり、密着性、成形性に優れている。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、ポリオレフィンの発泡シートにポリオレフィンのフィルムが積層された積層発泡シートが成形性、経済性の点から好適である。その中でもプロピレン系重合体、あるいはエチレン系重合体からなる発泡シート、フィルムからなる積層発泡シートが好適である。
以下に、積層発泡シートのフィルムに好適なプロピレン系重合体からなるフィルム、エチレン系重合体からなるフィルムについて説明する。
プロピレン系重合体からなるフィルム
積層発泡シートの表面に用いられるプロピレン系重合体からなるフィルムには、単層フィルムの他、2層以上からなる多層フィルムがある。また、包装フィルムにも好適に用いることができる延伸フィルムを用いることも利用することができる。プロピレン系重合体としては、発泡シートの原料として前記したプロピレン系重合体を用いることができる。
プロピレン系重合体からなるフィルムは、前記したように、その表面の少なくとも一方に、特定化合物が、0.002〜0.05(g/m)、その中でも0.002〜0.04(g/m)の割合で存在するものが望ましい。また、フィルムは、少なくとも熱可塑性樹脂発泡シートの表面となる側に特定化合物が0.01〜3(質量%)、その中でも特に0.1〜2(質量%)の割合で含有しているフィルムが好適である。
プロピレン系重合体からなるフィルムは、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれでもよいが、強度の点で延伸フィルムが好適に用いられる。延伸フィルムの延伸倍率は一般に2から15倍程度である。中でも、二軸延伸フィルムは透明性に優れており好適である。二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸いずれでもよく、延伸倍率は、縦横それぞれ2から15倍程度である。また、二軸延伸の条件として好適には、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に15〜50ミクロン(μm)、中でも20〜40ミクロン(μm)とする方法、あるいは、縦方向及び横方向に夫々5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸する方法がある。
二軸延伸多層フィルム
積層発泡シートの表面に用いられるプロピレン系重合体のフィルムとしては、二軸延伸多層フィルムが好適である。この二軸延伸多層フィルムとしては、表面層/中間層/裏面層の少なくとも3層からなる多層フィルムが好適である。この場合、表面層に特定化合物をコートする方法、配合する方法がある。また、他の好ましい態様として、中間層に特定化合物を配合する方法がある。その場合中間層への特定化合物を0.01〜3(質量%)配合することが好ましい。
また、その配合量は、その中でも0.03〜2(質量%)が好適であり、さらにその中でも0.04〜0.9(質量%)が好適であり、さらにその中でも0.04〜0.6(質量%)とすることが好適である。
この態様において、多層フィルムの全体に対する特定化合物の配合量も、0.01〜3(質量%)が好ましい。
また、その配合量は、その中でも0.03〜2(質量%)が好適であり、さらにその中でも0.04〜0.9(質量%)が好適であり、さらにその中でも0.04〜0.6(質量%)とすることが好適である。
また、このような二軸延伸多層フィルムの全厚は通常15〜50ミクロン(μm)、望ましくは20〜40ミクロン(μm)である。
フィルムの全厚が15ミクロン(μm)未満では、強度が不足し、取り扱いにくくなることがある。さらに、突き刺し強度も弱くなることがある。一方、全厚が50ミクロン(μm)を越えると、強度は十分であるが、過剰な物性となり生産性、コストの点で望ましくないことがある。
また、多層フィルムの厚みの比率は、好ましくは表面層/中間層/裏面層=3/94/3〜10/80/10であり、より望ましくは4/92/4〜8/84/4の範囲である。
表面層或いは裏面層が最も厚くなるのは、厚みの比率が10/80/10の場合であり、全厚みが50ミクロン(μm)の場合は、表面層、裏面層が5.0ミクロン(μm)となり、これ以上厚くなると、中間層の特定化合物を、フィルム表面の方向へ移行させて、フィルムの表面の特定化合物の存在量を、適正な範囲に維持することができる。
なお、この態様によれば、特定化合物を表面層あるいは裏面層に積極的に配合しない場合であっても、経時的に中間層から表面側への移行により、フィルム表面の存在量を0.002〜0.5(g/m)にすることができ、そのような態様が好適である。
従って、この態様における二軸延伸の条件は、通常上記した範囲であるが、中でも、縦延伸(温度:90〜140℃、倍率:4〜6倍)、横延伸(温度:140〜200℃、倍率:8〜12倍)が好適である。なお、延伸処理の後に、フィルムをヒートセットすることが望ましい。ヒートセットは、160℃以上で5秒以上が望ましく、さらに温度160〜220℃、5〜15秒、中でも170〜210℃、5〜10秒が望ましい。このヒートセットにより、抗菌性、鮮度保持性の性能を確実に発揮され、持続性にも優れている。
プロピレン系重合体からなる多層フィルムの態様において、その中間層のプロピレン系重合体の融点(Tm)は155〜170℃の範囲が好適である。また、その表面層及び裏面層のプロピレン系重合体の融点(Tm)は、125℃以上であることが望ましく、また155℃未満であることが望ましい。中でも融点(Tm)は130〜145℃の範囲にあることが望ましい。このようなプロピレン系重合体の中でも、特にプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が、ヒートシール性に優れる多層フィルムが得られるので好ましい。これにより、ヒートシール性及び耐熱性のバランスが優れた多層フィルムが得られる。
また、二軸延伸多層フィルムの態様において、その中間層に特定化合物を所望の量で配合する態様においては、予め配合しても良いが、特定化合物、あるいはさらに他の添加剤を多量に含む組成物(マスターバッチ)を準備して、最終的に特定化合物の配合量が所望の範囲になるように、マスターバッチとプロピレン系重合体を混合して、中間層を形成する押出機に投入することも行われる。
エチレン系重合体からなるフィルム
積層発泡シートの表面に用いられる好適なフィルムとして、前記したエチレン系重合体を用いた単層フィルム、また、2層以上の多層フィルムの態様があり、公知の成形方法で成形することができる。エチレン系重合体としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)或いは高密度ポリエチレン(HDPE)好適である。
また、特定化合物を配合する態様ではその配合量は0.01〜3(質量%)、好ましくは0.01〜2(質量%)である。また、特定化合物をフィルムの表面にコートして、フィルムの表面に特定化合物を0.002〜0.5(g/m)存在させることによっても製造することができる。
エチレン系重合体を用いたフィルムは、単層フィルムのみならず、2層、3層以上の多層フィルムなどを種々の公知の方法により成形することができる。例えば、多層フィルムの場合は、多層押出機による共押出により表面層/中間層/裏面層からなる3層フィルムをキャスト成形することができる。この3層フィルムの場合は、表面層にのみに特定化合物を配合することができ、大部分を占める中間層にはそのような化合物を配合する必要がないので、生産効率及び経済的の観点から好ましい。
エチレン系重合体からなるフィルムとして、好ましくは3層フィルムであり、その厚みの比率として、好ましくは表面層/中間層/裏面層=5/90/5〜15/70/15であり、より望ましくは7/86/7〜12/76/12の範囲である。
このような多層フィルムは、通常、全厚が25〜120ミクロン(μm)、望ましくは30〜80ミクロン(μm)の範囲にあり、表面層、中間層並びに裏面層の層比が上記範囲にあると、ヒートシール性及び耐熱性のバランスに優れるフィルムとすることができる。
ここで多層フィルムの全厚が25ミクロン(μm)未満では、強度が不足し、また突き刺し強度も弱くなることがある。一方、全厚が120ミクロン(μm)を越えると、強度とも十分であるが、過剰物性となり生産性、コストの点で望ましくないこともある。また、エチレン系重合体からなる多層フィルムは、好ましい全厚は30〜80ミクロン(μm)であり、実用上の望ましい範囲として30〜50ミクロン(μm)である。
エチレン系重合体からなる多層フィルムのうち、一部の層に、特定化合物を配合する態様において、エチレン系重合体は予め配合してもよいが、特定化合物、あるいは他の添加材を多量に含む組成物(マスターバッチ)を準備しておき、最終的に特定化合物の配合量が所望の範囲になるように、マスターバッチとエチレン系重合体を混合して、その一部の層を形成する押出機に投入するのが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、十分な断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性を有し、かつ抗菌性、鮮度保持性があり、断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝材になどに広く使用できる。
パッキン
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートからなるパッキンは、安全で必要な抗菌性を有する他に、(イ)弾力性に富んでいることはもとより、(ロ)耐熱性があること(温水殺菌等で変形しないこと)、(ハ)食品衛生上問題のないこと、(ニ)内容物を変色、変質させたり、香りに影響を与えないこと、(ホ)内容物により溶解、膨張、変質を生じないこと等の性能を有する。
このようなパッキンに適した熱可塑性樹脂として、エチレン、プロピレン等の炭素数2から10のα―オレフィンを主成分とするポリオレフィンが好適であり、その中でもエラストマー状、ゴム状のポリオレフィンが好適である。このポリオレフィンは、ポリエチレンの単独重合体であってもよいが、ポリエチレンと共に、ポリプロピレン、ブテン−1,ヘキセン−1から選ばれるコモノマーとの共重合体からなるエチレン系重合体が好ましい。エチレン系重合体におけるコモノマーの含有量は、エチレン系重合体の融点や結晶化度に影響を与える。結晶化度は、エチレン系重合体の硬度に影響を与える。したがって、エチレン系重合体におけるコモノマーの含有量は、パッキンの用途に応じて適宜変えることにより、好適なエチレン系重合体の融点やショア硬度とすることができる。
パッキンに用いられるポリオレフィンのショア硬度は60〜95であることが好ましい。ショア硬度は、JIS K7215に準じて測定されるショアA硬度を意味する。ショア硬度が高すぎるとパッキンの封止性が十分に得られず、ショア硬度が低すぎるとパッキンの気密性が低下することがある。また、発泡シートの見掛密度は0.12〜0.80g/cm3であることが好ましい。
パッキンの厚みは0.5〜5mmであることが好ましく、0.7〜3.0mmであることがより好ましい。パッキンの厚みが薄すぎると、密閉性が十分に得られない。
実施例
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。以下の記載において「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
なお、評価は以下により行った。
<試験方法>
(1)抗菌試験
JISZ2801に準じて抗菌試験を大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った。
但し、フィルムの表面の状態を保つためにアルコールによるふき取りは行わなかった。
1/500普通ブイヨン培地に大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ菌(Salmonella)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)を規定数量(JIS試験で0.4cc用いたブイヨン)入れて4cm角の発泡シート、又はフィルム表面に滴下して発泡シート、又はフィルムと挟み込み、35℃、24時間経過した後に発泡シート、又はフィルム表面を洗浄し、その普通ブイヨン培地を含む洗浄液を回収し、それを普通寒天培地を用いて培養してコロニーの数をカウントした。
即ち、顕微鏡下で菌の個数をカウントすることは困難なため、コロニーの数を、目視によりカウントし、その1グラム(g)あたりのコロニーの数を生菌数CFU(colony forming unit)(単位[個/g])とした。
また2枚の発泡シート、又はポリエチレン(PE)フィルムの間に何も挟み込んでいないサンプルをコントロール(Control)として、比較の基準とした。表に示した結果はn=3の平均値である。
(2)ステアリルジエタノールアミンの表面量(g/m
ステアリルジエタノールアミンが、発泡シート、又はフィルムの表面に塗布されたサンプルは塗布量から表面量を求めた。
一方、熱可塑性樹脂中に配合される場合は室温23℃の環境下でサンプルの発泡シート、又はフィルムの表面をジクロロメタンで洗浄し、その洗浄液を回収し、濃縮定容し、シリル化した後にAglient Technologies社製のGC/MSを用いてステアリルジエタノールアミンを定量して、フィルムの表面に存在量を求める。
なお、発泡シートへ塗布された際には、発泡シートの表面積は、その矩形サンプルのタテの長さa(m)、ヨコ長さb(m)から、a×b(m)とした。
なお、他の特定化合物についてもこれらと同様にして求めることができる。
実施例1
多層フィルムの成形
以下に示す原料を用い以下に示す方法により、プロピレン系重合体からなる3層の多層フィルム(表面層/中間層/裏面層)フィルムを成形した。
中間層の原料として、プロピレン単独重合体(融点(Tm)=160℃、MFR=3g/10分、株式会社プライムポリマー社製)を用いて、これに予め下記を配合して準備した。
なお、下記の化合物は理研ビタミン株式会社製のリケマールシリーズの試薬を用いた。
ステアリルジエタノールアミン 1900ppm
ステアリルジエタノールアミンモノステアレート 6000ppm
グリセリンモノステアレート: 2000ppm
表面層及び裏面層の原料には、プロピレン・エチレンランダム共重合体(融点(Tm)=138℃、MFR=7g/10分、株式会社プライムポリマー社製)を準備した。
これらの中間層用の原料と、表面層及び裏面層用の原料を用いて、2種3層の溶融押出成形を行い、引き続き二軸延伸機を用いて、表面層/中間層/裏面層の3層からなる二軸延伸フィルムを以下の条件により成形し、その両面をコロナ処理した。
延伸温度 縦延伸 : 100℃
横延伸 : 180℃
ヒートセット温度 : 180℃
セット時間 : 10秒
3層からなる二軸延伸フィルム(表面層/中間層/裏面層)は、厚み30ミクロン(μm)であり、その表面層/中間層/裏面層の層比が0.5/9.0/0.5であった。
ラミネート加工による積層発泡シートの作製
市販されているポリプロピレン系発泡シート(厚さ5.0mm、発泡倍率=2、密度=0.5g/cm)の一方の表面に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(密度=0.920g/cm、MFR=4.0g/10分、融点=117.3 ℃、三井化学株式会社製 商品名エボリュー)を樹脂温度250℃で溶融押出し、それを介して、その上に上記のポリプロピレン系の二軸延伸フィルムを、ラミネート加工により積層一体化して、積層発泡シートを作製した。
得られた積層発泡シートの表面の二軸延伸フィルム側の濡れ張力は、38dyn以上であった。濡れ張力は、和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液NO.38.0を用いて、確認した。
実施例2
下記のポリエチレン系重合体の発泡シートに下記のポリエチレン系重合体のフィルムが積層一体化された積層発泡シートを成形した。
まず、ポリエチレン系重合体からなる3層の多層フィルム(表面層/中間層/裏面層)を以下の方法により成形した。
すなわち、中間層の原料として、エチレン・1−ヘキセン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(三井化学株式会社製 商品名エボリュー)を用いた。その密度等は、以下の通りである。
密度=0.920g/cm
MFR=4.0g/10分
融点=117.3℃
分子量分布(Mw/Mn)=2.5
また、表面層の原料として、上記の中間層と同様のLLDPEを用い、それに予め下記のシリカを0.1質量%(1000ppm)、及びエルカ酸アミドを0.1質量%(1000ppm)配合したものを用いた。
シリカ
富士シリシア化学社製、商品名サイリシア730(平均粒径3ミクロン(μm))
エルカ酸アミドチバスペシャリティケミカルズ社製、商品名ATMERSA1753
また、裏面層の原料として、上記の表面層に用いるLLDPEを用い、上記と同量のシリカ、エルカ酸アミドに加えて、更に、ステアリルジエタノールアミンを0.5質量%(5000ppm)配合したものを用いた。
上記の各原料を用いて、表面層/中間層/裏面層の3層の多層フィルムをキャスト法により溶融成形し、ラミネート面側の濡れ張力が38dyn以上となるようにコロナ処理した。
濡れ張力は、和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液NO.38.0を用いて確認した。
多層フィルムの厚さの比率は表面/中間層/裏面層=1/3/1であり、総厚みは40ミクロン(μm))であった。
発泡シートの成形
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)(融点(Tm)=106℃、MFR=7g/10分(株式会社プライムポリマー社製)を原料とし、発泡剤としては炭酸ガスをLDPE樹脂1kgに対して1.6g使用し、押出機(シリンダー径:40mm、L/D:28)のシリンダー先端にサーキュラーダイスを取付け、樹脂温度=155℃、樹脂圧力=8MPaの条件で押出を実施し、発泡倍率=2倍、厚さ=1mmの発泡シートを成形した。
ラミネート加工による積層発泡シートの作製
上記のLDPEの発泡シートの一方の表面に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(密度=0.920g/cm、MFR=4.0g/10分、融点=117.3 ℃、三井化学株式会社製 商品名エボリュー)を樹脂温度250℃で溶融押出し、それを介して、その上に上記の多層フィルムを、ラミネート加工により積層一体化して、積層発泡シートを作製した。
表1に、実施例1、実施例2で得られた積層発泡シートからなる熱可塑性樹脂発泡シートの表面の鮮度保持性及び抗菌性の評価結果を示す。
表1に示されているように、実施例1、実施例2の積層発泡シートが優れた抗菌性、鮮度保持性を示すことが明らかである。
実施例3
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)(融点(Tm)=106℃、MFR=7g/10分、株式会社プライムポリマー社製)と実施例1のマスターバッチを用いて、下記の化合物を下記のように配合した原料を準備した。
なお、下記の化合物は理研ビタミン株式会社製のリケマールシリーズの試薬を用いた。
ステアリルジエタノールアミン 5000ppm
これを原料とし、発泡剤として炭酸ガスをLDPE1kgに対して1.6g使用し、押出機(シリンダー径:40mm、L/D:28)のシリンダー先端にサーキュラーダイスを取付け、樹脂温度=155℃、樹脂圧力=8MPaの条件で押出を実施し、発泡倍率=2倍、厚さ=1mmの発泡シートを得た。
同様にして、発泡シートの評価結果を表1に示す。
表1に示されているように、実施例3の発泡シートが優れた抗菌性、鮮度保持性を示すことが明らかである。
Figure 2015048391
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、十分な断熱性、吸音性、衝撃吸収性、耐久性などを有し、かつ鮮度保性、抗菌性があり、モモ、りんご、イチゴ、バナナ、マンゴー、スイカ、トマト、ニガウリ、ピーマン等の傷みやすい果実、野菜の運搬、冷凍魚、冷凍肉の運搬の断熱材、結露防止材、通函用途、緩衝材、及び飲料の腐敗を防ぐ搬送用容器や仕切り材などに広く使用できる。
また上記の熱可塑性樹脂発泡シートからなる本発明のパッキンは、ボトル容器を代表とした様々な容器での雑菌の増殖を防ぐことができる。

Claims (9)

  1. パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプレートのいずれか1以上からなる特定化合物が、その両面の少なくとも一方の面に0.002〜0.05(g/m)の割合で存在することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡シート。
  2. 特定化合物を0.001〜3(質量%)の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  3. 熱可塑性樹脂発泡シートが、それを構成する発泡シートの両面のうちの少なくとも一方の面にフィルムが積層された積層発泡シートからなり、その積層発泡シートの両面のうちの少なくとも一方の面に、特定化合物が0.002〜0.05(g/m)の割合で存在することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  4. 前記のフィルムの表面に特定化合物が0.002〜0.05(g/m)の割合で存在することを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  5. 前記のフィルムが特定化合物を0.01〜3(質量%)の割合で含有することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  6. 前記のフィルムがプロピレン系重合体またはエチレン系重合体からなることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  7. 熱可塑性樹脂発泡シートの両面の少なくとも一方の面のJISZ2801に準じた抗菌試験であって、大腸菌(Escherichia coli)を用いて行う試験において、その表面の状態を保つためにアルコールによる拭き取りを行わない条件下において、24時間後の生菌数が1/100倍以下となる表面を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  8. 熱可塑性樹脂発泡シートを構成する発泡シートの厚みが0.5〜20mmであり、かつ見掛密度が0.12〜1.0g/cm3であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シートからなることを特徴とするパッキン。
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