JP2015047957A - 電動倍力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転−直動変換機構を有する電動倍力装置において、制動開始時に直動部材と回り止めとの接触による打音の発生を抑制する。【解決手段】ブレーキペダルの操作による入力ロッド34の進退に応じて電動モータ40の回転を制御し、ボールネジ機構41を介してプライマリイストン10を推進してマスタシリンダ2でブレーキ液圧を発生させる。このとき、ブレーキ液圧を入力ピストン32及び入力ロッド34を介してブレーキペダルにフィードバックする。ボールネジ機構41のネジ軸41の戻しバネ49の巻方向をボールネジ機構41のネジ軸47の前進時のナット部材46の回転方向と一致させる。電動モータ40の非通電時に、戻しバネ49からネジ軸47に作用するトルクにより、ネジ軸41と回り止め39との隙間が解消されるので、制動開始時に、ネジ軸47と回り止め39との接触による打音を抑制することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両のブレーキ装置に組込まれて電動モータを利用してマスタシリンダでブレーキ液圧を発生させる電動倍力装置に関するものである。
ブレーキ装置に組込まれる倍力装置として、例えば特許文献1に記載されているように、電動モータを倍力源とする電動倍力装置が知られている。特許文献1に記載された電動倍力装置は、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力ピストンと、入力ピストンに相対移動可能に配置されたブースタピストンと、ブースタピストンを進退移動させる回転−直動変換機構と、回転−直動変換機構に回転力を付与する電動モータとを備えている。そして、ブレーキペダルから入力ロッドを介して入力ピストンに付与される入力推力と、電動モータからブースタピストンに付与されるブースタ推力とにより、マスタシリンダの圧力室内でブレーキ液圧を発生させる。
この電動倍力装置では、ブースタピストン(回転−直動変換機構の直動部)に戻しばね(コイルばね)を設けて、電動モータの非通電時には、戻しばねのばね力により、ブースタピストンが初期位置に戻るようにしている。
特開2010−23594号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものでは、ボール−ネジ機構の直動部材の移動に伴い、戻しばねが伸縮する際、コイルばねの巻方向に応じて、直動部材に軸回りのトルクが作用する。直動部材は、戻しばねによって初期位置に戻されたとき、戻しばねからのトルクにより、回り止めとの間に隙間を生じることがある。この状態で、ボール−ネジ機構が初期位置から作動を開始すると、直動部材が回転部材と共に回転し、回り止めに接触することにより打音を発生する。
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、制動開始時の打音の発生を抑制するようにした電動倍力装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、電動モータと、該電動モータの駆動による回転部材の回転運動を直動部材の直線運動に変換する回転−直動変換機構と、前記直動部材の軸回りの回転を規制する回り止めと、前記直動部材を後退方向に付勢する圧縮コイルばねである戻しばねとを備え、前記直動部材によってピストンを推進してマスタシリンダでブレーキ液圧を発生させる電動倍力装置において、前記戻しばねの巻方向を、前記回転部材の前記直動部材の前進時の回転方向と一致させたことを特徴とする。
本発明に係る電動倍力装置によれば、制動開始時の打音の発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る電動倍力装置の縦断面図である。 図1に示す電動倍力装置の分解斜視図である。 図1に示す電動倍力装置の戻しバネの斜視図である。 図1に示す電動倍力装置のボールネジ機構のネジ軸の案内溝と回り止めとの隙間の状態を示す図である。 図1に示す電動倍力装置のボールネジ機構のネジ軸のストロークと、ネジ軸に作用するトルクとの関係を示すグラフ図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る電動倍力装置1は、電動モータを駆動源とする倍力装置であって、倍力手段であるアクチュエータ3を内装するハウジング4の前部(図1の左方)にタンデム型のマスタシリンダ2を連結して、マスタシリンダ2の上部にリザーバ5(図1に一部のみ図示する)を配設した構造を有している。ハウジング4は、略有底円筒状のフロントハウジング4Aの開口部側にリアカバー4Bを嵌合して、複数のボルト4Cによってフロントハウジング4Aに結合し、その内部にアクチュエータ3を収容している。ハウジング4のリアカバー4Bには、平坦な取付座面7が形成され、この取付座面7の中央部から、マスタシリンダ2と同心で、かつ、後方(図1の右方)、すなわち、マスタシリンダ2から離れる方向に突出する円筒部8が設けられている。そして、電動倍力装置1は、円筒部8を車両のエンジンルームと車室との隔壁であるダッシュパネル(図示せず)に貫通させて車室内に延ばした状態で、エンジンルーム内に配置され、取付座面7をダッシュパネルに当接させて、取付座面7に固定された複数のスタッドボルト7A(図2にのみ示す)によってダッシュパネルに固定される。
マスタシリンダ2は、略有底円筒状のシリンダ本体2Aを含み、シリンダ本体2Aの開口部側をフロントハウジング4Aの底部の開口部に挿通した状態でフロントハウジング4Aのスタッドボルト6A及びナット6Bによってフロントハウジング4Aに結合されている。
マスタシリンダ2のシリンダ本体2Aには、有底のシリンダボア12が形成されている。このシリンダボア12の開口側には、アクチュエータ3によって駆動されるピストンとして、前端部がカップ状に形成された略円筒状のプライマリピストン10が挿入されている。また、シリンダボア12の底部側には、カップ状のセカンダリピストン11が挿入されている。プライマリピストン10の後端部は、マスタシリンダ2の開口部からハウジング4内に突出して、リアカバー4Bの円筒部8内まで延びるように形成されている。シリンダ本体2A内には、シリンダボア12、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11によって、これらの間にプライマリ室16が形成され、シリンダボア12の底部とセカンダリピストン11との間にセカンダリ室17が形成されている。これらプライマリ室16及びセカンダリ室17は、それぞれ、シリンダ本体2Aに形成された液圧ポート(図示せず)を介して、各車輪のブレーキキャリパに液圧を供給するための2系統の液圧回路(図示せず)に接続されている。
また、シリンダ本体2Aには、プライマリ室16及びセカンダリ室17をそれぞれリザーバ5に接続するためのリザーバポート20、21が形成されている。シリンダ本体2Aのシリンダボア12の内周面には、所定の軸方向間隔をもって環状のシール溝22a、22b及び23a、23bが形成されている。これら環状のシール溝22a、22b及び23a、23bには、それぞれシール部材22A、22B及び23A、23Bが配置されており、これらシール部材22A、22B及び23A、23Bは、シリンダボア12と、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11との間を、それぞれ、シールしている。2つのシール部材22A、22Bは、軸方向に沿ってリザーバポート20を挟んで配置されている。プライマリピストン10が図1に示す非制動位置にあるとき、プライマリ室16は、プライマリピストン10の側壁に設けられたポート24を介してリザーバポート20に連通している。そして、プライマリピストン10が非制動位置から前進したとき、プライマリ室16は、シール部材22Aによってリザーバポート20から遮断されるようになっている。また、2つのシール部材23A、23Bは、軸方向に沿ってリザーバポート21を挟んで配置されている。セカンダリピストン11が図1に示す非制動位置にあるとき、セカンダリ室17は、セカンダリピストン11の側壁に設けられたポート25を介してリザーバポート21に連通している。そして、セカンダリピストン11が非制動位置から前進したとき、セカンダリ室17は、シール部材23Aによってリザーバポート21から遮断されるようになっている。
プライマリ室16内のプライマリピストン10とセカンダリピストン11との間には、バネアセンブリ26が介装され、セカンダリ室17内のマスタシリンダ2の底部とセカンダリピストン11との間には、圧縮コイルばねである戻しバネ27が介装されている。バネアセンブリ26は、圧縮コイルばね28が伸縮可能なリテーナ29によって所定の圧縮状態で保持され、そのばね力に抗して圧縮可能になっている。プライマリピストン10内で、リテーナ29とプライマリピストン10の中間壁30との間には、円筒状のスペーサ51が介装されている。
プライマリピストン10は、全体が略円筒状に形成され、軸方向中央内部に中間壁30を備えている。中間壁30には、案内ボア31が軸方向に貫通するように形成されている。案内ボア31には、段部32Aを有する段付形状の入力ピストン32の小径の前端部が摺動可能かつ液密的に挿通されている。入力ピストン32と案内ボア31と間は、シール55によってシールされている。
フロントハウジング4A内に延びるプライマリピストン10の中間部は、フロントハウジング4Aの底部の開口部に嵌合する円筒状のバネ受部材70に挿入することで、このバネ受部材70により軸方向に沿って摺動可能に案内されている。バネ受部材70は、一端部に形成した外側フランジ部71をフロントハウジング4Aの底部の開口部に嵌合することでフロントハウジング4A及びマスタシリンダ2に固定されて、マスタシリンダ2のシリンダボア12に連接している。バネ受部材70は、その後端内周部に取付けたシール部材72によってプライマリピストン10との間をシールしている。マスタシリンダ2のシール溝22b及びシール部材22Bを設けたシリンダボア12の開口部12Aを径方向内側に突出させ、また、バネ受部材70を設けて、プライマリピストン10の支持部の軸方向長さを長くすることにより、プライマリピストン10のシリンダボア12に対する傾きを抑制している。
リアカバー4Bの円筒部8及びプライマリピストン10の後部に入力ロッド34が挿入されている。プライマリピストン10の後部に挿入された入力ロッド34の前端部は、入力ピストン32の後端部に連結されている。入力ロッド34とプライマリピストン10との連結部は、ボールジョイントを形成して入力ロッド34のプラマリピストン10に対する傾きをある程度許容できるようになっている。入力ロッド34の後端側は、円筒部8から外部に延出しており、外部に延出した入力ロッド34の後端部に、クレビス56を介してブレーキペダル(図示せず)が連結されている。入力ロッド34の円筒部8内に挿入された中間部には、鍔状のストッパ部90が形成されている。
リアカバー4Cの円筒部8の後端部には、円筒部8内に挿入された入力ロッド34に向かって径方向内側に延びる回り止め39が形成されている。回り止め39は、後述するボールネジ機構41のネジ軸47の円筒状の後端部に軸方向に沿って形成された案内溝47Bに挿入されている。そして、入力ロッド34のストッパ部90が回り止め39に当接することにより、入力ロッド34の後退位置を規定するようになっている。
プライマリピストン10の後端部に、環状のバネ受35が取付けられている。プライマリピストン10は、バネ受部材70の後端部とバネ受35との間に介装された圧縮コイルばねである戻しバネ36によって後退方向に付勢されている。入力ピストン32は、プライマリピストン10の中間壁30との間、及び、バネ受35との間にそれぞれ介装された圧縮コイルばねであるバネ37、38によって、図1に示すバネ37とバネ38とのばね力がバランスする中立位置に弾性的に保持されている。
ハウジング4内に収容されたアクチュエータ3は、電動モータ40及び電動モータ40の回転を直線運動に変換してプライマリピストン10に推力を付与する回転−直動変換機構であるボールネジ機構41とから構成されている。電動モータ40は、永久磁石埋め込み型同期モータであって、フロントハウジング4Aの底部の後側の段部に固定した複数のコイルを有するステータ42と、該ステータ42の内周面に対向して配置した円筒状のロータ45と、ロータ45の内部に挿入され、円周方向に沿って配置した複数の永久磁石45Aとを含んでいる。ロータ45を、ボールネジ機構41の回転部材であるナット部材46の外周部に固定している。ナット部材46は、フロントハウジング4Aの底部付近からリアカバー4B付近にわたって軸方向に沿って延ばされ、その両端部がベアリング43、44によってフロントハウジング4A及びリアカバー4Bに回転可能に支持されている。なお、電動モータ40は、ロータ45の表面又は内部に永久磁石を配置した同期モータ、あるいは、誘導モータ等の他の形式のモータとしてもよい。
ボールネジ機構41は、ナット部材46と、ナット部材46及びハウジング4の円筒部8内に挿入されて軸方向に沿って移動可能で、かつ、軸回りに回転しないように支持された直動部材である中空のネジ軸47とを有している。これらの対向面となるナット部材46の内周面とネジ軸47の外周面とは、それぞれ螺旋溝46A、47Aを形成している。これら螺旋溝46A、47A間に、複数のボール48がグリスと共に装填されている。ネジ軸47は、円筒部8から後方に突出する後端部に軸方向に沿って形成された案内溝47Bに、リアハウジング4Bの円筒部8に形成された回り止め39を係合させて、軸方向に移動可能、かつ、軸回りに回転しないように支持されている。このような構成により、ボールネジ機構41は、ナット部材46の回転に伴って螺旋溝46A、47Aに沿ってボール48が転動することにより、ネジ軸47が軸方向に移動するようになっている。ボールネジ機構41は、ナット部材46とネジ軸47との間で、回転及び直線運動を相互に変換可能、すなわち、上述のようにナット部材46の回転をネジ軸47の直動運動に、また、ネジ軸47の直動運動をナット部材46の回転に変換可能となっている。リアハウジング4Bの円筒部8の後端部に、ネジ軸47の外周を覆う円筒状のカバー部材76が取付けられている。
なお、上述の例では、電動モータ40のロータ45の回転運動をボールネジ機構41のナット部材46に直接伝達するようにしているが、電動モータ40とボールネジ機構41との間に、遊星歯車機構、差動減速機構等の公知の減速機構を介装して、電動モータ40の回転を減速してボールネジ機構41に伝達するようにしてもよい。また、電動モータ40のロータ45とボールネジ機構41との中心軸を同軸のものとしているが、これに限らず、電動モータの中心軸とボールネジ機構41の中心軸とが平行となるように両者を配置してもよく、この場合には、電動モータのロータとボールネジ機構とをベルトや複数のギヤ等の伝達部材により回転力を伝達するように構成する。また、電動モータの中心軸とボールネジ機構41の中心軸とが垂直となるように両者を配置してもよく、この場合には、ウォームギヤや傘歯歯車等で電動モータのロータとボールネジ機構とを伝達するように構成する。
ボールネジ機構41のネジ軸47は、バネ受部材70の外側フランジ部71との間に介装された圧縮テーパコイルばねである戻しバネ49のばね力によって後退方向に付勢されている。そして、ネジ軸47は、後端部がリアカバー4Bの円筒部8に設けられた回り止め39に当接することよって後退位置が規定されている。ネジ軸47内に、プライマリピストン10の後端部が挿入され、ネジ軸47の内周部に形成された環状の段部50に、バネ受35の外周部に形成されたフランジ状の当接部80がシム81を介して当接して、プライマリピストン10のネジ軸47に対する後退位置を規定している。これにより、プライマリピストン10は、ネジ軸47の前進により、段部50に押されてネジ軸47と共に前進し、また、段部50から離間して単独で前進することができる。そして、図1に示すように、回り止め39に当接したネジ軸47の段部50によってプライマリピストン10の非制動位置を規定して、非制動位置にあるプライマリピストン10及びバネアセンブリ26の最大長によって、セカンダリピストン11の後退位置、すなわち、非制動位置を規定している。
ハウジング4内に、電動モータ40のロータ45の回転位置を検出する回転位置センサであるレゾルバ60が設けられている。レゾルバ60は、ナット部材46の後部側の外周部に固定したレゾルバロータ60Aと、レゾルバロータ60Aに対向してリアカバー4Bに取付けたレゾルバステータ60Bとを備え、これらの相対変位に基づきロータ45の回転位置を検出する。
ネジ軸47の後端部には、可動バネ受83が案内溝47Bに沿って軸方向に移動可能に設けられている。可動バネ受83は、カバー部材76によって後退位置(図1参照)が規定されている。回り止め39と可動バネ受83との間に、圧縮コイルばねである反力バネ84が介装されている。そして、入力ロッド34がカバー部材76、すなわち、円筒部8(ハウジング4)に対して、所定の距離だけ前進したとき、クレビス56が可動バネ受83に当接し、入力ロッド34が更に前進すると、反力バネ84が圧縮されて、そのばね力が入力ロッド34の前進に対して反力として付与される。
電動倍力装置1には、マイクロプロセッサベースの電子制御装置であるコントローラCが設けられている。コントローラCには、ブレーキペダルの変位、すなわち、入力ピストン32及び入力ロッド34の変位を検出するストロークセンサ(図示せず)、電動モータ40に供給する電流を検出する電流センサ(図示せず)、プライマリ室16及びセカンダリ室17の液圧を検出する液圧センサ(図示せず)等の各種センサや、車載コントローラ(図示せず)が接続されている。電動倍力装置1は、これらのコントローラにより、前述の各種センサからの検出信号に基づき、電動モータ40の回転を制御することによって作動する。
次に、ボールネジ機構41の作動方向と、戻しバネ49の巻線方向との関係について説明する。
ボールネジ機構41は、ナット部材46が左(電動倍力装置の後方から見て左、以下、同じ)に回転したとき、ネジ軸47が前進するように、螺旋溝46A、47Bが形成されている。また、コイルばねである戻しバネ49の巻方向は、左巻となっている。一般的にコイルばねは、伸縮する際、端部が軸回りに僅かに回転し、その回転方向はコイルばねの巻方向に依存する。左巻の戻しバネ49は、ボールネジ機構41のナット部材46の左回転によるネジ軸47の前進により、圧縮された後、ナット部材46の右回転によるネジ軸47の後退により、伸長する際、ネジ軸47に当接する端部が左に回転して、ネジ軸47を左に回転させようとする。
以上のように構成した本実施形態の作用について説明する。
ブレーキペダルを操作して入力ロッド34を介して入力ピストン32を前進させると、入力ピストン32の変位をストロークセンサによって検出し、コントローラによって入力ピストン32の変位に基づいて電動モータ40の作動を制御し、ボールネジ機構41のネジ軸47の段部50により、シム81及びバネ受35を介してプライマリピストン10を押圧し、プライマリピストン10を前進させて入力ピストン32の変位に追従させる。これにより、プライマリ室16に液圧が発生し、また、この液圧がセカンダリピストン11を介してセカンダリ室17に伝達される。このようにして、マスタシリンダ2で発生したブレーキ液圧は、液圧ポートを介して各車輪のブレーキキャリパに供給され、制動力を発生させる。ブレーキペダルの操作を解除すると、入力ピストン32、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11が後退してマスタシリンダ2のブレーキ液圧が減圧されて制動力が解除される。
液圧発生時に、プライマリ室16の液圧の一部を入力ピストン32によって受圧し、その反力を、入力ロッド34を介してブレーキペダルにフィードバックする。これにより、所定の倍力比をもって所望の制動力を発生させることができる。そして、入力ピストン32と、これに追従するプライマリピストン10との相対位置を調整して、バネ37、38のばね力を入力ピストン32に作用させて、入力ロッド34に対する反力を加減することにより、倍力比を調整することができる。このとき、入力ピストン32に対して、プライマリピストン10の位置を前方に調整することにより倍力比が大きくなり、後方に調整することにより倍力比が小さくなる。そして、コントローラにより、各種センサの検出信号に基づき、車両の状態に応じて電動モータ40の回転を制御することにより、倍力制御、ブレーキアシスト制御、車間車両安定性制御、車間制御、回生協調制御等のブレーキ制御を実行することができる。
電動モータ40の出力が最大に達してプライマリピストン10の前進が停止する全負荷状態に達すると、クレビス56が可動バネ受83に当接する。この全負荷状態から更にブレーキペダルを踏込むと、反力バネ84が圧縮され、そのばね力が反力としてブレーキペダルに付与される。これにより、プライマリピストン10の停止によるペダル反力の減少分を補うことができ、運転者への違和感が軽減される。
ブレーキペダルの操作を解除し、ボールネジ機構41のネジ軸47が後退する際、左巻の戻しバネ49は、その伸長に伴い、ネジ軸47に当接する端部が僅かに左に回転してネジ軸47を左に回転させようとする。これにより、ボールネジ機構41のナット部材46に電動モータ40の駆動力が作用しない非通電時には、図4(A)に示すように、ネジ軸47は、戻しバネ49からのトルクにより、左に回転して回り止め39の一側に当接した状態で停止する。その後、電動モータ40に通電して、ボールネジ機構41のナット部材46を駆動して左回転させたとき、ネジ軸47は、ナット部材46の回転に伴い左回転しようとするが、戻しバネ49により、左回転方向で回り止め39の一側に当接しているので(図4(A)参照)、回り止め39との接触による打音が発生しない。そして、ナット部材46の左回転により、ネジ軸47が戻しバネ49がを圧縮しながら前進して、プラマリピストン10を推進してマスタシリンダ2でブレーキ液圧を発生させる。このようして、制動開始時の打音の発生を防止することができる。
ここで、仮に戻しバネ49が右巻であるとした場合、ブレーキペダルの操作を解除したとき、戻しバネ49からのトルクは、ネジ軸47を右回転させようとする。これにより、ボールネジ機構41のナット部材46に電動モータ40の駆動力が作用しない非通電時には、図4(B)に示すように、ネジ軸47は、戻しバネ49からのトルクにより、右に回転して回り止め39の他側に当接した状態で停止し、回り止め39の一側との間に隙間Cが形成される。その後、電動モータ40に通電して、ボールネジ機構41のナット部材46を駆動して左回転させたとき、ネジ軸47は、ナット部材46の回転に伴い左回転しようとする。そして、ナット部材46からネジ軸47に作用するトルクが戻しバネ49からネジ軸47に作用するトルクを上回ったとき、ネジ軸47は、隙間Cの分だけ左に回転して回り止め39の他側に接触して(図4(A)参照)、打音を発生する。
電動倍力装置1の制動開始時のボールネジ機構41のネジ軸47のストロークと、ネジ軸47に作用するトルクとの関係について、図5を参照して説明する。図5では、左回転のトルクを正とし、本実施形態の電動倍力装置1(戻しばね49は、左巻)において、戻しバネ49からネジ軸47に作用するトルクを実線(1)、このトルクにナット部材46からネジ軸47に作用するトルクを加えた和を実線(2)で示し、戻しバネ49が右巻の場合おいて、戻しバネ49からネジ軸47に作用するトルクを実線(3)、このトルクにナット部材46からネジ軸に作用するトルクを加えた和を実線(4)で示している。
実線(1)及び(2)を参照して、本実施形態の電動倍力装置1では、ストロークが0のとき、ネジ軸47には、戻しバネ49からの左回転(正)のトルクのみが作用する。この状態では、ネジ軸47は、戻しバネ49からのトルクにより、左回転して図4(A)に示すように、ネジ軸47の案内溝47Bが回り止め39の一側に当接している。ストロークが大きくなると、電動モータ40の駆動によるナット部材46の回転により、ナット部材46からネジ軸47に作用する左回転(正)のトルクが増大すると共に、戻しバネ49の圧縮により、戻しバネ49からネジ軸47に作用する左回転(正)のトルクも増大する。ストロークS1において、プライマリピストン10の前進により、マスタシリンダ2で液圧が発生し、その反力により、ナット部材46からのトルクが急激に増大する。この場合、ネジ軸47に作用するトルクは、常に左回転(正)であり、ネジ軸47の案内溝47Bは、常時、回り止め39の一側に当接しているので、案内溝47Bと回り止め39との接触による打音が発生することはない。
一方、戻しバネ49が右巻である場合、実線(3)及び(4)を参照して、ストロークが0のとき、ネジ軸47には、戻しバネ49からの右回転(負)のトルクのみが作用する。この状態では、ネジ軸47は、戻しバネ49からのトルクにより、右に回転して図4(B)に示すように、案内溝47Bが回り止め39の他側に当接している。ストロークが大きくなると、電動モータ40の駆動によるナット部材46の回転により、ナット部材46からネジ軸47に作用する左回り(正)のトルクが増大すると共に、戻しバネ49の圧縮により、戻しバネ49からネジ軸に作用する右回り(負)のトルクも増大する。ストロークS1において、プライマリピストン10の前進により、マスタシリンダ2で液圧が発生し、その反力により、ナット部材46からのトルクが急激に増大する。ストロークS2で、ナット部材46からの左回転(正)のトルクが戻しバネ49からの右回転(負)のトルクを上回り、ネジ軸47がナット部材46と共に左に回転し始め、ストロークS3で、ネジ軸47の案内溝47Bが回り止め39の一側に当接して打音を発生する。
なお、上記実施形態において、ボールネジ機構41のネジ軸47の前進時のナット部材46の回転方向が右回りの場合、戻しバネ49の巻方向を右巻とすることにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。戻しバネ49の巻方向は、ネジ軸47の前進時の回転方向と一致させればよい。
1…電動倍力装置、2…マスタシリンダ、10…プライマリピストン(ピストン)、39…回り止め、40…電動モータ、39…回り止め、41…ボールネジ機構(回転−直動変換機構)、46…ナット部材(開転部材)、47…ネジ軸(直動部材)、49…戻しバネ(戻しばね)

Claims (1)

  1. 電動モータと、
    該電動モータの駆動による回転部材の回転運動を直動部材の直線運動に変換する回転−直動変換機構と、
    前記直動部材の軸回りの回転を規制する回り止めと、
    前記直動部材を後退方向に付勢する圧縮コイルばねである戻しばねとを備え、
    前記直動部材によってピストンを推進してマスタシリンダでブレーキ液圧を発生させる電動倍力装置において、
    前記戻しばねの巻方向を、前記回転部材の前記直動部材の前進時の回転方向と一致させたことを特徴とする電動倍力装置。
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