図1は、本発明の一実施の形態を示すシステム概略図である。図1に示す貨幣処理システム300は、互いに通信可能に構成された出納機100と貨幣管理装置200(現金バスとも呼ばれる)とを備えている。出納機100が、貨幣処理本体機として機能し、貨幣管理装置200が、貨幣処理端末機として機能するようになっている。出納機100及び貨幣管理装置200は、それぞれ、上位の貨幣処理装置及び下位の貨幣処理装置、として理解されてもよい。すなわち、例えば、両者が同一仕様の貨幣処理装置によって構成されていてもよい。また、1台の出納機100に対して、複数台の貨幣管理装置200が通信可能に設けられてもよい。
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。図3は、出納機100の機能ブロック図である。
図2に示すように、出納機100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部P1及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。図2中、21は束紙幣を出金する束紙幣出金口、22はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、23は包装硬貨を出金する包装硬貨出金口、24はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口、である。
また、この出納機100は、現金以外の有価証券類を投入する現金外ボックス14、出納機100全体を制御する制御部15、制御部15に各種の指示を与えるキーボード式操作部16、制御部15による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ18、を備えている。外部プリンタ18が、レシート発行装置として機能するようになっている。本実施の形態では、許可者に対して操作情報を提供するために、操作情報に対応する4桁の数字が表示されたレシートが発行されるようになっている。
制御部15は、その一部として、営業員及び管理者とのインターフェースとしての表示部15aと、営業員及び管理者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ15bと、を備えている。本実施の形態においてはIDカードリーダが用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、使用者本人を認証するものであれば何を用いても構わない。
また、図3に示すように、この制御部15は、各種プログラム及びデータを格納したROM15d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM15e、フレキシブルディスクに対してデータを読み書きするフレキシブルディスクドライブ15f、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ15g、ROM15dやハードディスクドライブ15g内に格納されたプログラムを実行等して出納機100全体を制御する制御本体部15c、を備えている。
また、図3に示すように、出納機100は、貨幣管理装置200との間でデータ通信を行う通信インターフェース(通信IF)19を備えている。これにより、出納機100(貨幣処理本体機)と貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)とは、互いに通信可能となっている。
図4は、貨幣管理装置200の外観を示す斜視図である。図4に示すように、貨幣管理装置200は、1万円紙幣を収納保管する第1紙幣収納ドロア211と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア212と、100円と10円と1円の硬貨を収納保管する第1硬貨収納ドロア213と、500円と50円と5円の硬貨を収納保管する第2硬貨収納ドロア214と、現金以外の有価証券類も投入することができる予備収納ドロア215と、を有している。
また、この貨幣管理装置200は、貨幣管理装置200の全体を制御する制御装置225(制御手段)と、制御装置225に各種の指示を与えるキーボード式操作部226と、使用者(営業員及び管理者)とのインターフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
IDカードの内容、すなわち、IDカードに記憶されたID情報が、使用者情報の一態様であり、IDカードリーダ228が、使用者情報取得手段の一態様である。図4の例では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
図5は、貨幣管理装置200の第2紙幣収納ドロア212の斜視図である。図5に示すように、第2紙幣収納ドロア212には、3種類の金種の紙幣の束が、規則正しく収納保管されるようになっている。図5の例では、第2紙幣収納ドロア212の内部に、4つの紙幣保管容器221〜224が配置されており、各容器毎に、収納保管される紙幣の金種が決められている。
図6は、貨幣管理装置200の第2硬貨収納ドロア214の斜視図である。図6に示すように、第2硬貨収納ドロア214には、500円と50円と5円との3種類の金種の棒金状態の包装硬貨が、シュリンクパックされた状態のまま、規則正しく収納保管されるようになっている。すなわち、図6の例では、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの金種別のシュリンクパック包装硬貨保管容器241〜243が配置されている。
シュリンクパック包装硬貨保管容器241は、500円硬貨用の保管容器である。500円の包装硬貨は、横一列に5本並べられた状態で、シュリンクパックされて流通されている。本実施の形態のシュリンクパック包装硬貨保管容器241は、そのようなシュリンクパックされた状態の500円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図6の左側領域において、図6の前後方向に7個が並列に収容可能となっており、図6の中央領域において、図6の左右方向に3個が千鳥状に収容可能となっている。
シュリンクパック包装硬貨保管容器242は、50円硬貨用の保管容器である。50円の包装硬貨は、横一列に10本並べられた状態で、シュリンクパックされて流通されている。本実施の形態のシュリンクパック包装硬貨保管容器242は、そのようなシュリンクパックされた状態の50円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図6の左側領域から中央領域において、図6の前後方向に8個が並列に収容可能となっている。
シュリンクパック包装硬貨保管容器243は、5円硬貨用の保管容器である。5円の包装硬貨も、横一列に10本並べられた状態で、シュリンクパックされて流通されている。本実施の形態のシュリンクパック包装硬貨保管容器243は、そのようなシュリンクパックされた状態の5円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図6の左側領域から中央領域において、図6の前後方向に8個が並列に収容可能となっている。
また、本実施の形態の各シュリンクパック包装硬貨保管容器241〜243には、図6の右側領域において、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部も設けられている。これにより、各シュリンクパック硬貨保管容器241〜243の内部に、シュリンクパックされた包装硬貨と、バラの包装硬貨と、を併せて収納することができるようになっている。
また、本実施の形態の各シュリンクパック包装硬貨保管容器241〜243は、第2硬貨収納ドロア214に対して着脱自在となっている。これにより、各シュリンクパック硬貨保管容器241〜243を互いに適宜に交換することによって、当該収納ドロア214における包装硬貨の収納レイアウトの変更が容易である。これにより、流通量の多い金種を多く収納できるようにしたり、必要でない金種を無くしたり、装置利用者の多様なニーズに対して、きめ細かく対応することができるようになっている。各シュリンクパック硬貨保管容器241〜243は、後述するような別のデザインを採用したシュリンクパック硬貨保管容器と交換されてもよい。
詳細は図示されていないが、第2硬貨収納ドロア214と略同様に、第1硬貨収納ドロア213には、100円と10円と1円との3種類の金種の棒金状態の包装硬貨が、シュリンクパックされた状態のまま、規則正しく収納保管されるようになっている。すなわち、第1硬貨収納ドロア213の内部においても、3つの金種別のシュリンクパック包装硬貨保管容器が配置されている。
100円と10円と1円との3種類の金種用のシュリンクパック包装硬貨保管容器は、50円用と5円用のシュリンクパック包装硬貨保管容器242、243と略同様の形態を有している。すなわち、左側領域から中央領域において、前後方向に8個が並列に収容可能となっており、右側領域において、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部が設けられている。
100円と10円と1円との3種類の金種用のシュリンクパック包装硬貨保管容器も、第1硬貨収納ドロア213に対して着脱自在となっている。これにより、第1硬貨収納ドロア213と第2硬貨収納ドロア214とにおいて、6個のシュリンクパック硬貨保管容器を互いに適宜に交換することも可能である。また、硬貨の利用頻度に応じて、例えば5円用のシュリンクパック包装硬貨保管容器243等を取り外して、他の利用頻度の高い硬貨用のシュリンクパック包装硬貨保管容器をダブルに(あるいはトリプルに)設置してもよい。
ここで、500円硬貨用のシュリンクパック包装硬貨保管容器241を除いて、他の硬貨用の各シュリンクパック包装硬貨保管容器242、243については、シュリンクパック包装硬貨の長手方向端面を保持するための断面円弧状の壁面を複数有するガイド部材がスライド移動可能となっていて、複数種類の硬貨に対応できるようになっていることが好ましい。これについて、図7及び図8を用いて説明する。
図7及び図8に示すシュリンクパック包装硬貨保管容器243は、シュリンクパック包装硬貨の長手方向端面を保持するための断面円弧状の壁面を複数有するガイド部材243sがスライド移動可能となっていて、1円、5円、10円、50円、100円の各シュリンクパック包装硬貨のサイズに対応できるようになっている。
具体的には、図7(a)は、断面円弧状の壁面を複数有するガイド部材243sの位置が1円用に調整されたシュリンクパック包装硬貨保管容器243の斜視図であり、図7(b)はその底面図である。一方、図8(a)は、円弧状ガイド部材243sの位置が10円用に調整されたシュリンクパック包装硬貨保管容器243の斜視図であり、図8(b)はその底面図である。
図7(a)及び図8(a)に示すように、断面円弧状の壁面を複数有するガイド部材243sは、シュリンクパック包装硬貨保管容器243の側面に当該シュリンクパック包装硬貨保管容器243の長手方向に設けられた溝孔243gから突出するアーム部243aと一体に形成されている。これにより、当該アーム部243aが溝孔243g内を移動することによって、ガイド部材243sの全体がシュリンクパック包装硬貨保管容器243の長手方向に移動するようになっている。
また、図7(b)及び図8(b)に示すように、断面円弧状の壁面を複数有するガイド部材243sは、その底面に1対の突出脚部243pを有している。一方、当該1対の突出脚部243pを、ガイド部材243sの移動に伴って異なる4箇所に位置決めできるように、シュリンクパック包装硬貨保管容器243の底面には4対の突出脚部収容孔243hが設けられている。図7(b)に示すように、1円用に調整された位置では、突出脚部243pが最も左側の突出脚部収容孔243hに嵌合され、図8(b)に示すように、10円用に調整された位置では、突出脚部243pが最も右側の突出脚部収容孔243hに嵌合されている。このように、突出脚部243pと突出脚部収容孔243hとの嵌合を利用することで、ガイド部材243sを所望の位置に固定(ロック)させておくことができる。
図7及び図8に示すシュリンクパック包装硬貨保管容器243では、突出脚部243pが左から2つ目の突出脚部収容孔243hに嵌合された状態において50円硬貨に対応することができ、突出脚部243pが左から3つ目の突出脚部収容孔243hに嵌合された状態において5円硬貨及び100円硬貨に対応することができる。
もっとも、突出脚部収容孔243hを8個設けず、例えば図7(b)及び図8(b)の左側の4個だけの突出脚部収容孔243hを設けておいて、1円硬貨用と50円硬貨用とのみを選択的に調整可能としたシュリンクパック包装硬貨保管容器を採用することもできる。同様に、図7(b)及び図8(b)の右側の4個だけの突出脚部収容孔243hを設けておいて、5円硬貨及び100円硬貨用と10円硬貨用とのみを選択的に調整可能としたシュリンクパック包装硬貨保管容器を採用することもできる。
なお、ガイド部材243sと一体の突出脚部243pを突出脚部収容孔243hに対して入出させるために、ガイド部材243sと一体のアーム部243aは溝孔243g内で上下方向にも移動できるようになっている。すなわち、溝孔243gの上下方向のサイズは、アーム部243aの上下方向のサイズよりも大きくなっている。
複数の硬貨種類に対応するガイド部材243sの断面円弧状の形状は、対応する硬貨種類のうちの最大径に合わせて設計される。もっとも、10円硬貨(最大径の硬貨)に合わせた設計では、1円硬貨(最小径の硬貨)を十分に固定することが困難である場合がある。そのような場合には、例えば、10円硬貨/5円硬貨/100円硬貨に対応するガイド部材と、50円硬貨/1円硬貨に対応するガイド部材とを、分けて設計した方がよい。更には、単一の硬貨種類のみに対応するようにガイド部材243sが設計されて、各硬貨種類毎にシュリンクパック包装硬貨保管容器を用意しておく態様も、当然に採用され得る。この場合には、ガイド部材243sがシュリンクパック包装硬貨保管容器に対して摺動移動する必要がない。
次に、図9は、図6の硬貨保管容器241の側面概略図である。図9に示すように、硬貨保管容器241の底面には、硬貨保管容器241内に収納保管される硬貨の重量を測定するための測定手段として、ロードセル261が設けられている。ロードセルの構成の詳細については十分に知られていると思われるので、ここでの説明は省略する。他の硬貨保管容器242、243、並びに、紙幣保管容器221〜224についても、同様にロードセルが設けられている。このような構成によって、各金種毎に、収納保管されている貨幣の重量が測定されるようになっている。
なお、シュリンクパックのフィルムの重量は極めて小さいので、シュリンクパックされた状態のままでロードセルによって硬貨の重量が測定されても、測定誤差を生じさせることは無い。
その他、図10は、予備収納庫(予備ドロア)215の斜視図である。図10に示すように、予備収納庫215には、硬貨予備収納部251及び紙幣予備収納部252の他に、現金以外の有価証券類を投入することができる空スペース253が設けられている。
続いて、図11は、貨幣管理装置200の制御装置225の機能ブロック図である。制御装置225は、各種プログラム及びデータを格納したROM225d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM225e、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ225g、ROM225dやハードディスクドライブ225g内に格納されたプログラムを実行等して貨幣管理装置200全体を制御する演算制御部225c、を備えている。
演算制御部225c(演算手段)は、各金種毎に対応して設けられたロードセル(重量測定手段)に接続されており、ロードセルの出力値に基づいて、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の金額を算出できるようになっている。そして、ハードディスクドライブ225gが、演算制御部225c(記憶手段)によって算出された貨幣の金額を記憶するようになっている。
本実施の形態では、ここで、IDカードリーダ228が読み取るID情報(使用者情報)も、算出された貨幣の金額(入出操作後の収納保管金額)と対応させた態様で、ハードディスクドライブ225gに記憶されるようになっている。
本実施の形態では、更に、キーボード式操作部226(入力手段)において、収納庫に対して入出される貨幣の金額が入力されるようになっており、演算制御部225cが、精査手段として、ロードセルの出力値から算出された金額と、キーボード式操作部226で入力された金額と、を精査できるようになっている。
また、図11に示すように、貨幣管理装置200は、出納機100との間でデータ通信を行う通信インターフェース(通信IF)229を備えている。これにより、貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)と出納機100(貨幣処理本体機)とは、互いに通信可能となっている。
また、本実施の形態の制御装置225は、ロック制御手段として、各ドロア211〜215に設けられた開閉電磁ロック211m〜215mに接続されていて、各ドロア211〜215を、貨幣の入出が可能な開状態と貨幣の入出が不可能なロック状態との間で切替えることができるようになっている。
この切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合が採用されている。具体的には、例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報(使用者情報)が、ハードディスクドライブ225gに記憶されていて、IDカードリーダ228(使用者情報取得手段)が読み取ったID情報が、使用者識別手段としての演算制御部225cによって、許可者のID情報に対して照合されるようになっている。照合の結果がYESである、すなわち、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出が可能な開状態とすることができる。
別の切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合に加えて、操作情報の照合も採用され得る。操作情報とは、例えば入出金操作毎に設定される操作情報であり、通常は入出金の金種及び金額のデータであるが、入出操作の手順に関するデータを含むこともあり得る。操作情報の照合の具体的態様としては、例えば、予め許可操作として設定された操作の操作情報が、出納機100から通信機能を利用して例えばRAM225eに転送記憶され、一方、使用者によって、操作情報に対応する4桁の操作番号が、キーボード式操作部226(操作情報取得手段)で入力され得る。そして、入力された4桁の操作番号の情報が、操作識別手段としての演算制御部225cによって、転送記憶された操作情報に対して照合され得る。この場合、照合の結果がYESである、すなわち、入力された4桁の操作番号が、転送記憶された許可操作の操作情報に合致する場合にのみ、制御装置225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出が可能な開状態とすることができる。この態様においては、好適なことに、入出操作の具体的内容に即して、開閉電磁ロック211m〜215mを個別に制御することが可能である。具体的には、入出対象である金種を収納するドロアのみを、開状態に切り替えることができる。更には、複数のドロアが同時には開状態にならないように、各ドロアを順に開状態に切り換えるという制御態様を採用することも可能である。
その他、本実施の形態では、貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)と出納機100(貨幣処理本体機)とが互いに通信可能であることを利用して、更に以下のような構成が採用されている。
出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15は、通信機能を利用して貨幣管理装置200(貨幣処理端末機)の在高データを確認及び/または精査するための在高データ遠隔確認部として機能できるように構成されている。具体的には、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、通信インターフェース(通信IF)19及び通信インターフェース(通信IF)229を介して、精査手段である演算制御部225cを制御できるようになっている。
また、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15は、通信インターフェース(通信IF)19及び通信インターフェース(通信IF)229を介して、開閉電磁ロック211m〜215mをも制御できるようになっている。
具体的には、通信インターフェース(通信IF)229が、開閉電磁ロック211m〜215m(ロック装置)を制御して開状態とするためのロック解除信号を受信するロック解除信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、所定の条件下で、ロック解除信号を通信インターフェース(通信IF)19を介して通信インターフェース(通信IF)229に対して送信するように構成されている。
このように、開閉電磁ロック211m〜215mの制御が出納機100の側で行われる場合には、出納機100の側で制御の具体的条件を設定ないし調整することができるため、各ドロアの開閉操作の管理、ひいては貨幣の入出操作の管理を、より集中的に行うことが可能となる。
この場合、開閉電磁ロック211m〜215mは、それが開状態とされてから各ドロアの開閉操作が行われた後、自動的にロック状態となるように構成されることが好ましい。あるいは、開閉電磁ロック211m〜215mは、それが開状態とされてから所定時間が経過した後、自動的にロック状態となるように構成されることが好ましい。
更に好ましくは、通信インターフェース(通信IF)229が、開閉電磁ロック211m〜215m(ロック装置)を制御してロック状態とするためのロック信号を受信するロック信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機100(貨幣処理本体機)の制御部15が、所定の条件下で、ロック信号を通信インターフェース(通信IF)19を介して通信インターフェース(通信IF)229に対して送信するように構成され得る。
この場合、貨幣管理装置200は、各ドロア211〜215の開状態から閉状態への変化を検知する閉動作検知装置211c〜215cを更に備えて、当該閉動作検知装置による検知信号が出納機100に送信され、出納機100が当該検知信号を受信した際に前記ロック信号を送信するようになっていることが好ましい。この場合、各ドロアのロック制御の管理を、出納機100側でより集中的に行うことが可能となる。
あるいは、開閉電磁ロック211m〜215mは、開状態とされてから所定時間が経過しても依然として開状態である場合に、自動的にロック状態となるように構成されていることが好ましい。また、貨幣管理装置200は、各ドロア211〜215の閉状態から開状態への変化を検知する開動作検知装置211o〜215oを更に備えることが好ましい。
その他、各ドロア211〜215の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置(アラーム装置)280が更に設けられている。
また、図11における鍵検知部290とは、貨幣管理装置200の電源off時にドロアの開閉が行われる際に、そのことを検知するセンサ装置である。これは、少なくとも当該技術分野においては新しい技術であるが、本発明の概念とは直接には関連しないので、ここでの説明は省略する。
次に、以上に説明した貨幣処理システムの動作例について、フローチャートを参照しながら説明する。
図12は、出納機100の側での入出操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ15bによって、出納機100の操作者のID情報が読み取られる(STEP11)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、出納機100の操作許可者であるか否かが識別される(STEP12)。
操作許可者であれば、出納機100の操作メニューが表示部15aに表示される(STEP13)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて操作内容を入力する(STEP14)。ここで、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP15)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて、入出操作の詳細を入力する(STEP16)。具体的には、入出対象の金種や金額(束数あるいは本数でもよい)のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP17)。出納機100は、入力された入出操作の詳細に対して、操作情報としての操作番号(連動番号と呼ぶこともある)を特定(発行)し、当該操作番号と実際の入出操作の詳細な内容との対応付けをハードディスク15gに記憶する(STEP18)。また、レシート発行装置18から、当該操作番号が表示されたレシートを発行する(STEP19)。
図13は、現金管理装置200における入出操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ228によって、現金管理装置200の操作者のID情報が読み取られる(STEP21)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、現金管理装置200の操作許可者であるか否かが識別される(STEP22)。
操作許可者であれば、現金管理装置200の操作メニューが表示部227に表示される(STEP23)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて操作内容を入力する(STEP24)。
まず、出納機100との連動処理が選択される場合について先に説明する。
連動処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP25)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて、出納機100にて発行された操作番号(連動番号)を入力する(STEP26)。これにより、現金管理装置200は、通信機能を利用して、出納機100のハードディスク15gに記憶された対応付け情報に基づいて、当該操作番号に対応する入出操作の詳細情報(処理キューと呼ばれる:入出操作対象である金種ないし金額のデータの他、ドロアの開閉手順のデータが含まれ得る)をピックアップし(STEP27)、その一部の情報(全部でもよい)を操作者の確認のために表示する(STEP28)。確認の後、操作者による入力完了キーの操作によって、入出準備完了が検知される(STEP29)。
次に、出納機100との非連動処理が選択される場合について説明する。この場合のプロセスは、従来の現金管理装置のプロセスと略同様である。
非連動処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(STEP125)。
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226を用いて、入出操作の詳細を入力する(STEP126)。具体的には、入出対象の金種や金額(束数あるいは本数でもよい)のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(STEP127)。
続いて、図14は、現金管理装置200におけるドロア開閉プロセスの一例のフローチャートである。ここでは、入出操作の詳細情報(処理キュー)に基づいて、開状態にされるドロアの順序が決定されているものとする。
まず、最初に開状態になるドロアに対応する電磁開閉ロックのロックが解除される(STEP31)。ロック解除制御は、現金管理装置200内の制御部225によって行われてもよいし、通信機能を介して出納機100の制御部15によって行われてもよい。
ロックが解除されたドロアは、操作者によって開放され、貨幣の入出操作が行われる。ここで、本実施の形態によれば、第1硬貨収納ドロア213及び第2硬貨収納ドロア214において、各硬貨の金種毎にシュリンクパック包装硬貨保管容器が設けられているため、シュリンクパックされた状態の包装硬貨を、フィルムを剥がしてバラの包装硬貨とすることなく、そのまま対応する保管容器内に収納することができる。これにより、シュリンクパックのフィルムを剥がす等の作業から解放される他、各シュリンクパック包装硬貨保管容器内に収容されたそれらの包装硬貨を再び出金する際にも非常に便利である。
また、本実施の形態の各シュリンクパック包装硬貨保管容器には、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部も設けられているため、シュリンクパックされた包装硬貨と、バラの包装硬貨と、を併せて入出金することができる。
なお、本実施の形態では、ロックが解除されてから所定時間が経過してもドロアが開放されない場合には、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP32)。また、ドロアが開けられてから所定時間が経過しても閉じられない場合にも、報知装置280がアラームをならすようになっている(STEP33)。
貨幣の入出操作が順調に終了して、操作者がドロアを閉じると、当該ドロアに対応する電磁開閉ロックがロック状態にされる(STEP34)。このロック制御も、現金管理装置200内の制御部225によって行われてもよいし、通信機能を介して出納機100の制御部15によって行われてもよい。
そして、他のドロア(金種)に対する入出処理が残って入れば、次に開状態になるドロアに対して処理が繰り返され、他のドロア(金種)に対する入出処理が無ければ、入出処理は終了して精査プロセスに行く。
図15は、現金管理装置200における精査プロセスの一例のフローチャートである。
この精査プロセスは、出納機100との連動処理においては操作番号の入力を介して得られた入出操作の詳細情報に基づいて、非連動処理においてはキーボード式操作部226での入力を介して得られた入出操作の詳細情報に基づいて、実際に入出された貨幣の金額がそれら情報に合致しているか否かを判別するプロセスである。実際に入出された貨幣の金額については、ロードセルを用いた貨幣重量の測定結果から算出される(STEP41)。
ここで、シュリンクパックのフィルムの重量は極めて小さいので、シュリンクパックされた状態のままでロードセルによって硬貨の重量が測定されても、測定誤差が生じることは無い。
精査の結果、金額が合致する場合には、その取引内容(操作内容と操作者との双方の情報を含む)がハードディスク225gに記憶される(STEP42)。必要な場合には、不図示のプリンタから、処理結果が印字されてもよい(STEP43)。
精査の結果、金額が合致しない場合には、合致しない金種(の全て)に対して、図14に示したドロア開閉プロセスが再実行される(STEP44)。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、現金管理装置200を使用可能(入出操作可能)状態にするための条件として、使用者のID情報の照合のみならず、操作情報の照合をも採用していることにより、使用者の誤操作を効果的に防止することができる一方、操作記録を管理することも極めて容易である。
特に、操作情報として、入出金操作毎に設定(発行)される4桁(3桁以上が好ましい)の操作番号(連動番号)を採用しているため、取り扱いが容易である一方で、当該操作番号から操作内容が知られる畏れもない。
また、操作番号に対応する入出金データが出納機100から現金管理装置200に転送されることにより、入出金データ自体を使用者が手入力等する必要がなく、従って、使用者による誤操作が効果的に防止される。
また、本実施の形態によれば、貨幣の入出操作の度に精査プロセスを実施することによって、入出操作に誤りがないか入出操作毎に精査することができる。これにより、使用者の誤操作を効果的に防止することができる一方、操作記録(入出記録)を入出操作毎に管理することも極めて容易である。更に、本実施の形態によれば、入出操作に対応付けて使用者情報をも容易に管理することができる。
また、本実施の形態によれば、貨幣の入出操作において、シュリンクパックされた状態の包装硬貨を、そのまま入出金することができる。これにより、シュリンクパックのフィルムを剥がす等の作業から解放されることに加えて、シュリンクパックされた状態の包装硬貨を再び出金する際の便宜に優れる。
また、本実施の形態によれば、出納機100の側でロック解除信号及び/またはロック信号の送信条件を設定ないし調整することができる。この場合、貨幣の入出操作の管理を集約的に行うことが可能である。これは特に、複数台の現金管理装置200を含むシステムにおいて有効である。
なお、前述の説明では、使用者のID情報の照合と操作情報の照合とが現金管理装置200の側で行われているが、データが実際に照合される場所は特に限定されない。すなわち、これらの照合は、現金管理装置200の側で行われてもよいし、出納機100の側で行われてもよいし、それらに接続された他のハードウェアを利用して行われてもよい。また、照合のための各データの転送のタイミングについても、公知の種々の態様から適宜に選択されて採用される。
その他、精査プロセスのために用いられる収納貨幣量の測定手段としては、ロードセルのような重量センサの他、収納保管された貨幣の空間占有状態を測定するセンサが用いられてもよい。収納保管された貨幣は、その量に応じて、保管容器の内部における占有体積が当然に異なるため、貨幣の空間占有状態(例えば保管容器のどの部位まで貨幣によって占有されているか、あるいは、保管されている束紙幣の束数ないし包装硬貨の本数(どれだけ入っているか))を検出することによって、保管容器内に収納されている収納貨幣の量を得ることができる。そのようなセンサとしては、例えばLEDからなるラインセンサが用いられる。
次に、図16を用いて、第2硬貨収納ドロアの他の例について説明する。図16は、第2硬貨収納ドロアの他の例を示す斜視図である。
図16に示す例でも、第2硬貨収納ドロア214には、500円と50円と5円との3種類の金種の棒金状態の包装硬貨が、シュリンクパックされた状態のまま、規則正しく収納保管されるようになっている。すなわち、図16の例でも、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの金種別のシュリンクパック包装硬貨保管容器が配置されている。但し、図16の各シュリンクパック包装硬貨保管容器341〜343の硬貨保管用の空間設計が、図6の各シュリンクパック包装硬貨保管容器241〜243のそれと異なっている。
図16において、シュリンクパック包装硬貨保管容器341は、500円硬貨用の保管容器である。500円の包装硬貨は、横一列に5本並べられた状態で、シュリンクパックされて流通されている。図16のシュリンクパック包装硬貨保管容器341は、そのようなシュリンクパックされた状態の500円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図16の左側領域において、寝かせた状態で三段に図16の前後方向に2個が並列に収容可能となっており(3×2=6)、図16の中央領域において、4個が立った状態で収容可能となっている。
シュリンクパック包装硬貨保管容器342は、50円硬貨用の保管容器である。50円の包装硬貨は、横一列に10本並べられた状態で、シュリンクパックされて流通されている。図16のシュリンクパック包装硬貨保管容器342は、そのようなシュリンクパックされた状態の50円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図16の左側領域から中央領域において、寝かせた状態で四段に図16の前後方向に2個が並列に収容可能となっている(4×2=8)。
シュリンクパック包装硬貨保管容器343は、5円硬貨用の保管容器である。5円の包装硬貨も、横一列に10本並べられた状態で、シュリンクパックされて流通されている。図16のシュリンクパック包装硬貨保管容器343は、そのようなシュリンクパックされた状態の5円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図16の左側領域から中央領域において、寝かせた状態で四段に図16の前後方向に2個が並列に収容可能となっている(4×2=8)。
また、図16の各シュリンクパック包装硬貨保管容器341〜343には、図16の右側領域において、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部も設けられている。これにより、各シュリンクパック硬貨保管容器341〜343の内部に、シュリンクパックされた包装硬貨と、バラの包装硬貨と、を併せて収納することができるようになっている。
また、図16の各シュリンクパック包装硬貨保管容器341〜343も、第2硬貨収納ドロア214に対して着脱自在となっている。これにより、各シュリンクパック硬貨保管容器341〜343を互いに適宜に交換することによって、当該収納ドロア214における包装硬貨の収納レイアウトの変更が容易である。これにより、装置利用者の多様なニーズに対して、きめ細かく対応することができるようになっている。更に、各シュリンクパック硬貨保管容器341〜343は、図6の各シュリンクパック硬貨保管容器241〜243や、後述する別のデザインを採用したシュリンクパック硬貨保管容器と交換されてもよい。
第1硬貨収納ドロア213における、100円と10円と1円との3種類の金種用のシュリンクパック包装硬貨保管容器についても、図16の50円用と5円用のシュリンクパック包装硬貨保管容器342、343と略同様の形態を採用することができる。すなわち、左側領域から中央領域において、寝かせた状態で四段に図16の前後方向に2個が並列に収容可能となっていて(4×2=8)、右側領域において、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部が設けられていてよい。この場合に、第1硬貨収納ドロア213と第2硬貨収納ドロア214とにおいて、6個のシュリンクパック硬貨保管容器を互いに適宜に交換することも可能である。また、硬貨の利用頻度に応じて、例えば5円用のシュリンクパック包装硬貨保管容器342等を取り外して、他の利用頻度の高い硬貨用のシュリンクパック包装硬貨保管容器をダブルに(あるいはトリプルに)設置してもよい。
次に、図17を用いて、第2硬貨収納ドロアの更に他の例について説明する。図17は、第2硬貨収納ドロアの更に他の例を示す斜視図である。
図17に示す例でも、第2硬貨収納ドロア214には、500円と50円と5円との3種類の金種の棒金状態の包装硬貨が、シュリンクパックされた状態のまま、規則正しく収納保管されるようになっている。すなわち、図17の例でも、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの金種別のシュリンクパック包装硬貨保管容器が配置されている。図17において、500円硬貨用のシュリンクパック包装硬貨保管容器241は、図6のシュリンクパック包装硬貨保管容器241と同様の構成を有している。一方、図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器442、443の硬貨保管用の空間設計は、図6のシュリンクパック包装硬貨保管容器242、243のそれと異なっている。
図17において、シュリンクパック包装硬貨保管容器442は、50円硬貨用の保管容器である。図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器442は、シュリンクパックされた状態の50円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図17の左側領域から中央領域において、図17の前後方向に8個が略並列に収容可能となっている。
ここで、図6のシュリンクパック包装硬貨保管容器242と異なり、図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器442においては、図18に示すように、8個のシュリンクパックのための並列パターンが、奇数列と偶数列との間で、左右方向にオフセットが設けられていると共に、上下方向にもオフセットが設けられている。これらのオフセットにより、シュリンクパックされた状態の包装硬貨の取り出しが、極めて容易となっている。左右方向のオフセットは、12mm程度、上下方向のオフセットは、20mm程度であることが好ましい。
同様に、図17において、シュリンクパック包装硬貨保管容器443は、5円硬貨用の保管容器である。図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器443は、シュリンクパックされた状態の5円の包装硬貨を、そのまま収容できるようになっている。具体的には、図17の左側領域から中央領域において、図17の前後方向に8個が略並列に収容可能となっている。
ここで、図6のシュリンクパック包装硬貨保管容器243と異なり、図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器443においても、図18に示すように、8個のシュリンクパックのための並列パターンが、奇数列と偶数列との間で、左右方向にオフセットが設けられていると共に、上下方向にもオフセットが設けられている。これらのオフセットにより、シュリンクパックされた状態の包装硬貨の取り出しが、極めて容易となっている。左右方向のオフセットは、12mm程度、上下方向のオフセットは、20mm程度であることが好ましい。
また、図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器442、443においても、図17の右側領域において、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部が設けられている。これにより、各シュリンクパック硬貨保管容器241、442、443の内部に、シュリンクパックされた包装硬貨と、バラの包装硬貨と、を併せて収納することができるようになっている。
また、図17のシュリンクパック包装硬貨保管容器442、443も、第2硬貨収納ドロア214に対して着脱自在となっている。これにより、各シュリンクパック硬貨保管容器241、442、443を互いに適宜に交換することによって、当該収納ドロア214における包装硬貨の収納レイアウトの変更が容易である。これにより、装置利用者の多様なニーズに対して、きめ細かく対応することができるようになっている。更に、各シュリンクパック硬貨保管容器241、442、443は、図6ないし図16の各シュリンクパック硬貨保管容器や、更に他のデザインを採用したシュリンクパック硬貨保管容器と交換されてもよい。
第1硬貨収納ドロア213における、100円と10円と1円との3種類の金種用のシュリンクパック包装硬貨保管容器についても、図16の50円用と5円用のシュリンクパック包装硬貨保管容器442、443と略同様の形態を採用することができる。すなわち、左側領域から中央領域において、前後方向に8個が略並列に収容可能となっていて、右側領域において、バラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨保管部が設けられていてよい。この場合に、第1硬貨収納ドロア213と第2硬貨収納ドロア214とにおいて、6個のシュリンクパック硬貨保管容器を互いに適宜に交換することも可能である。また、硬貨の利用頻度に応じて、例えば5円用のシュリンクパック包装硬貨保管容器342等を取り外して、他の利用頻度の高い硬貨用のシュリンクパック包装硬貨保管容器をダブルに(あるいはトリプルに)設置してもよい。
なお、以上の実施の形態において、貨幣管理装置200は、1万円紙幣を収納保管する第1紙幣収納ドロア211と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア212と、3種類の硬貨(例えば100円と10円と1円の硬貨)を収納保管する第1硬貨収納ドロア213と、その他の3種類の硬貨(例えば500円と50円と5円の硬貨)を収納保管する第2硬貨収納ドロア214と、現金以外の有価証券類も投入することができる予備収納ドロア215と、を有していたが、本発明はこの態様に限定されることは無い。ユーザのニーズに合わせて、例えば、紙幣収納ドロアを1段だけにして、硬貨収納ドロアを3段とすることも可能である。更には、紙幣収納ドロアを無くして、硬貨収納ドロアを4段とすることも可能である。
なお、図18に示す形態では、前述の通り、8個のシュリンクパックのための並列パターンが、奇数列と偶数列との間で、左右方向にオフセットが設けられていると共に、上下方向にもオフセットが設けられていた。この上下方向のオフセットの代わりに、図19に示すように、奇数列と偶数列との間で互い違いに、シュリンクパック毎に支持面を長手方向で傾斜させた形態でも、シュリンクパック包装硬貨の取り出しが極めて容易となる。
あるいは、図20に示すように、シュリンクパック包装硬貨保管容器の、シュリンクパック包装硬貨の長手方向端面を保持するための断面円弧状の壁面を複数有するガイド部材243sに、シュリンクパック包装硬貨を長手方向にずらすことを許容するための凹部243rを形成しておくことでも、シュリンクパック包装硬貨の取り出しが極めて容易となる。長手方向にずらされたシュリンクパック包装硬貨は、残りのシュリンクパック包装硬貨に対して、把持して取り出すことが容易となるからである。シュリンクパック包装硬貨を1本取出せば、残りのシュリンクパック包装硬貨は、容易に取出せる。
図20に示す形態例の場合、中央領域の2つのシュリンクパック包装硬貨のために、ガイド部材243sの中央領域に2つの凹部243rが形成されている。
2つの凹部243rは一つに纏められていてもよく、そのような形態を図21に示す。図21に示す形態例の場合、中央領域の2つのシュリンクパック包装硬貨のために、ガイド部材243sの中央領域に1つの凹部243rが形成されている。
図20及び図21に示すように、ガイド部材243sに凹部243rを設けると、凹部243rの反対側に凸部が現れる。ガイド部材243sは、各金種に対応するような形状を有し、図7及び図8のように、金種に応じてスライドしてその位置が変わるが、ガイド部材243Sをバラの包装硬貨を収納するバラ包装硬貨収納部243b側へ移動する際のために、凸部の逃がしを形成しておく必要がある。この逃がしを、シュリンクパック包装硬貨保管容器の強度を維持する上で好ましい位置である、2つのバラ包装硬貨収納部243bの間の肉厚部分に設けるために、この肉厚部分に対応するガイド部材243Sの中央領域に凹部243rが設けられている。図21で、逃がしは、カバー243cで覆われている。
もっとも、凹部243rの数は、3つ以上でも構わないし、凹部243rの位置についても、必ずしも中央領域である必要はない。
あるいは、図22及び図23に示すように、シュリンクパック包装硬貨の取出のための傾斜機構を設けることでも、シュリンクパック包装硬貨Sの取り出しが極めて容易となる。傾斜されたシュリンクパック包装硬貨Sは、ハウジング部293hに対して一部が上方に突出するため、把持することが容易となるからである。
図22及び図23に示す形態例では、シュリンクパック包装硬貨保管容器が、ハウジング部293hと、当該ハウジング部293h内でシーソーのように軸部材293s回りに回動してシュリンクパック包装硬貨Sの長手方向に傾斜するシュリンクパック包装硬貨ケース293cと、を有している。軸部材293sは、ハウジング部293hに支持されている。
通常時には、シュリンクパック包装硬貨Sの重量によって、シュリンクパック包装硬貨ケース293cは水平姿勢を維持している。そして、シュリンクパック包装硬貨Sを取り出す場合、操作者が図23の矢印に示す方向に取り出したい包装硬貨Sを収納しているシュリンクパック包装硬貨ケース293cまたはシュリンクパック包装硬貨Sに押圧力を加えることによって、シュリンクパック包装硬貨ケース293c及びシュリンクパック包装硬貨Sが回動して、シュリンクパック包装硬貨Sの長手方向に傾斜し、容易に掴んで取り出すことができる。
全てのシュリンクパック包装硬貨を同時に傾斜させる傾斜機構に限られず、一部のシュリンクパック包装硬貨だけを傾斜させる傾斜機構が採用されてもよい。このような形態の例を図24に示す。図24の形態例では、中央領域の1つのシュリンクパック包装硬貨Sの底面を支持する支持板部293bのみが、他のシュリンクパック包装硬貨を支持するハウジング部293hに対してシーソーのように軸部材293s回りに回動して、当該支持板部293bが支持するシュリンクパック包装硬貨Sを長手方向に傾斜させるようになっている。このような傾斜機構によっても、支持板部293bが支持するシュリンクパック包装硬貨Sの取り出しが極めて容易となる。1つのシュリンクパック包装硬貨Sを取り出してしまえば、残りのシュリンクパック包装硬貨を容易に取り出せることは勿論である。この場合も、回動する支持板部293bは、中央領域に限られず、どこでもよい。
あるいは、一部のシュリンクパック包装硬貨だけを他のシュリンクパック包装硬貨からポップアップさせるポップアップ機構が採用されてもよい。このような形態の例を図25及び図26に示す。図25及び図26の形態例では、各シュリンクパック包装硬貨Sの底面を支持する各支持板部393bとハウジング部393hとの間に、ポップアップ用バネ393sが介在されていて、常時各支持板部393bを上側に付勢している一方、各ストッパ393pが各バネ393aの付勢力によって、図26(a)のように各支持板部393bの上端に当接して各シュリンクパック包装硬貨Sのポップアップを抑制している。操作者が、ストッパ393pをバネ393aの付勢力に抗って図26(a)の矢印方向に操作すると、ストッパ393pによるシュリンクパック包装硬貨Sのポップアップ抑制効果が解除されて、当該シュリンクパック包装硬貨Sがポップアップする。これにより、当該シュリンクパック包装硬貨Sの取り出しが極めて容易となる。
ストッパ393p及び圧縮バネ393aを設ける代わりに、ノック式ボールペンのバネ機構、すなわち、一度押すと突出し再度押すと元に戻るバネ機構、を採用してもよい。
この場合は、図24と同様に、どこか1つのシュリンクパック包装硬貨Sの底面を支持する支持板部393bだけにこの機構を採用すれば充分である。