JP2015044915A - 繊維強化プラスチック成形体用シート及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
このような問題に対しては、熱硬化性樹脂に替えて熱可塑性樹脂を用いて繊維強化プラスチック成形体用シートを形成することが考えられる。熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック成形体用シートは、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有するからである。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]前記強化繊維シートは、前記カップリング剤を含むことを特徴とする[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[3]前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[4]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、かつ前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は前記強化繊維の繊維径の5倍以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[5]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維又はポリカーボネート繊維から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[6]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維がポリエーテルイミド(PEI)繊維であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[7]JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度が250秒以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[8]前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[9]前記シラン系カップリング剤が、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基及びイソシアネート基から選ばれる基を官能基として含有するものであることを特徴とする[8]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[10]前記バインダー成分は、前記繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[11]前記バインダー成分は前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維と加熱溶融状態で相溶することを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[12]前記バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも一方を含む共重合体を含有することを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[13]前記バインダー成分は、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維を含有することを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[14]前記バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする[13]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[15]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維及び前記バインダー繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする[13]又は[14]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[16]前記不織布シートは表層領域と前記表層領域に挟まれた中間領域を有し、前記表層領域に含有されているバインダー成分は、前記中間領域に含有されているバインダー成分より多いことを特徴とする[1]〜[15]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
[17]熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維とバインダー成分とを用いて、乾式不織布法又は湿式不織布法によって不織布シートを形成する工程と、強化繊維とカップリング剤とを含む強化繊維シートと、前記不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合する工程とを含む繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法において、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[18]前記不織布シートを形成する工程は、前記バインダー成分を含む溶液又は前記バインダー成分を含むエマルジョンを前記不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする[17]に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
[19][1]〜[16]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
[20][1]〜[16]のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
本発明は、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートに関する。ここで、不織布シートは、限界酸素指数が24以上である熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分を含み、強化繊維シートは強化繊維を含む。さらに、強化繊維シート及び不織布シートの少なくとも一方は、カップリング剤を含む。
このように、本発明では、限界酸素指数が24以上の熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を用いて不織布シートを形成し、さらに、カップリング剤を含有する繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることにより、優れた強度及び難燃性を有する繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートを成形することにより得られる繊維強化プラスチック成形体の強度及び難燃性は、従来の熱可塑性樹脂を用いた場合よりも優れている。
強化繊維シートを複数枚重ね合わせ、その上下面に不織布シートを配することもできるが、強化繊維シートの層は薄いほうが加熱加圧成形の際に熱可塑性樹脂を短時間で強化繊維シート内に溶融浸透させることができる。このため、強化繊維シートを複数枚積層する場合は、不織布シートと交互に積層することが好ましい。なお、強化繊維シートと不織布シートの積層枚数は特に限定されない。
強化繊維と熱可塑性スーパーエンプラ繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
強化繊維シートは、強化繊維を含み、さらにカップリング剤を含むことが好ましい。本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートに使用される強化繊維シートとしては、一般的な繊維強化プラスチックに使用される連続繊維を一方向に引き揃えたシート、或いはクロス状に織った織布を使用することができる。強化繊維シートの繊維の配向方向に沿って、繊維の強度は強くなる傾向があるため、強化繊維の配向方向を調節することによって、繊維強化プラスチック層の強度を調節することができる。なお、クロス状の繊維を織った強化繊維シートでは、クロス模様の縦横方向に強度を高めることができる。
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
また、強化繊維として、アラミド繊維等の高耐熱性・高強度の有機繊維を使用した場合は、高度な平滑性の要求される精密な研磨用の機器に適する繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。アラミド等の有機繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される繊維強化プラスチック成形体は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される成形体よりも耐摩耗性に優れる。また擦過等によって繊維強化プラスチック成形体の一部が削り取られたとしても、その削り粕が無機繊維よりも柔らかいので、被研磨物を傷つけるおそれが少ない。
本発明では、強化繊維シートに、カップリング剤を添加することが好ましい。カップリング剤は、強化繊維と不織布シートの熱可塑性スーパーエンプラ繊維間で強固な結合を形成することができる。このようなカップリング剤を用いることにより、優れた強度を有する繊維強化プラスチック成形体を形成し得る繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。また、カップリング剤を用いることにより、強化繊維が繊維強化プラスチック成形体用シートから脱落することを抑制することもできる。
また、分子内にアミノ基を有するシラン系カップリング剤の具体的な例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などを挙げることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートに使用される不織布シートは、限界酸素指数が24以上である熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維とバインダー成分とを含む。熱可塑性スーパーエンプラ繊維は熱成形により溶融してマトリックス樹脂となる。
マトリックス樹脂繊維は、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含む。熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、スーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)と称される熱可塑性樹脂の繊維であり、耐熱性で難燃性の熱可塑性樹脂を繊維化したものである。熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用シートは、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
尚、通常熱可塑性スーパーエンプラ繊維には分類されないが、ポリカーボネート(PC)も難燃性に優れているため、本発明には含むものとする。本発明の熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、2種類以上用いることもできる。また、本発明の効果を損ねない範囲で、また、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エポキシ樹脂等の熱可塑性スーパーエンプラ繊維以外も添加することができる。
また、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のASTM E−662に記載の方法で測定した20分燃焼時の発煙量は30ds前後であることが好ましく、非常に発煙量が少ない繊維強化プラスチック成形体用シートを得ることができる。尚、上記ポリカーボネートの限界酸素指数は24〜26である。
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用シートを巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
繊維強化プラスチック成形体用シートの不織布シートには、さらにバインダー成分が含まれる。含有されるバインダーとしては、一般的に不織布製造に使用されるフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、或いは熱水溶融するPVA樹脂等が使用できる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、上記芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
共重合体は繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜4質量%となるように含有され、バインダー繊維は繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して1.5〜6質量%となるように含有されることが好ましい。
共重合体とバインダー繊維の含有率を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用シートの表面強度及び層間強度を高めることができる。なお、上記の範囲においては、共重合体を成分とするバインダー(液状バインダー)の配合量は、ポリエステル樹脂又は変性ポリエステル樹脂よりも少ないほうが、臭気の関係から好ましい結果が得られる。ポリエステル系バインダーはマトリックス樹脂と相溶するため、比較的添加量が多くとも臭気を発生しにくく、また、液状バインダーは繊維交点に集中して偏在しやすいため、かかる結果が得られているものと推定している。
ここで、繊維強化プラスチック成形体用シートの表層領域は、繊維強化プラスチック成形体用シートシートを厚さ方向(Z軸方向)に略3分割した際に、外側に位置する2つの領域である。なお、中間領域はこれらの2つの領域に挟まれた間の領域をいう。表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分より多いことが好ましく、表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分の1.1〜1.5倍であることがより好ましい。
このような方法を採用する場合、湿式不織布法でウエットウエブを形成後、バインダーの水溶液、若しくはエマルジョンをウエブにディッピング若しくはスプレー等の方法で付与し、乾燥する方法が好ましい。この場合、ウエブ水分はバインダーの水溶液、若しくはエマルジョンのバインダー液濃度や、湿式不織布製造工程におけるウエットサクション、ドライサクションによる水分の吸引力の調整で行うことが可能である。
一方、あまりに強度縦横比が強いと横強度が弱くなり、ハンドリング性に劣る。この点を考慮すると、好ましい強度縦横比は15以下、より好ましくは10以下である。
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。このように、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー繊維のチョップドストランドを含有する不織布シートとする場合、不織布シート中で熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー繊維のチョップドストランドが均一に混合している状態であることが望ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートは、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体用シートは、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することができる。このように、一般的なスタンパブルシートの加熱加圧成形方法を用いて加工することにより、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体とすることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造工程は、熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維とバインダー成分とを用いて、乾式不織布法または湿式不織布法によって不織布シートを形成する工程と、強化繊維を含む強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合する工程とを含む。なお、この製造工程に用いる熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であり、強化繊維シート及び不織布シートの少なくとも一方は、カップリング剤を含む。
本発明では、強化繊維シートがカップリング剤を含むことが好ましく、強化繊維とカップリング剤とを含む強化繊維シートと、不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合し、加熱加圧する工程とを含むことが好ましい。
また、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は強化繊維の繊維径の5倍以下であることが好ましい。
表1に示した繊維径のPPS繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)を、水中に投入した。投入した水の量は、PPS繊維に対し200倍となるようにした(繊維スラリー濃度として0.5%)。 このスラリーに、分散剤として商品名「エマノーン3199」(花王社製)をPPS繊維100質量部に対し1質量部となるよう添加して攪拌し、繊維を水中に均一に分散させた繊維スラリーを調製した。
次に、粒状ポリビニルアルコール(PVA)(ユニチカ社製、商品名「OV−N」)を、濃度が10%となるように水に添加し、攪拌してバインダースラリーを調製した。
この粒状PVAのスラリーを上記繊維スラリーに投入して湿式抄紙法でウエットウエブを形成し、180℃で加熱乾燥することにより表1に示すバインダー量で目付けが120g/m2である不織布を作製した。
次に、目付けが200g/m2である炭素繊維クロス(NEWS−COMPANY社製 炭素繊維クロス(3K 平織り コーティング無し))の表裏に表1に示すカップリング剤量となるようにスプレー法でアミノシランカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加した。尚、表裏の添加量は同一になるようにした。
更に、上記不織布を、上記カップリング剤が添加された炭素繊維クロス(NEWS−COMPANY社製 炭素繊維クロス(3K 平織り コーティング無し))の上下にそれぞれ1枚ずつ配し、220℃の熱プレスにて加熱処理することで、表1に記載の透気度となる、目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例1における熱プレス時間より短い時間で加熱処理した以外は、実施例1と同様にして、表1に記載の透気度となる、目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
バインダーの添加量を12質量%とした以外は、実施例1と同様にして、表1に記載の透気度となる、目付け464g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例1における熱プレス時間より長時間加熱処理した以外は、実施例1と同様にして、表1に記載の透気度となる、目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
PPS繊維を、表1に示した繊維径のPPS繊維(KBセーレン社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)に変更した以外は、実施例1と同様にして、目付458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
繊維径のPPS繊維(Fiber Innovation Technology社製、限界酸素指数41)を、表2に示した繊維径のポリエーテルイミド(PEI)繊維(Fiber Innovation Technology社製、ガラス転移温度220℃、繊維長13mm、限界酸素指数47)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表2に記載の透気度となる、目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
実施例6における熱プレス時間より短い時間で加熱加圧処理した以外は、実施例6と同様にして、表2に記載の透気度となる、目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例6における粒状PVA(ユニチカ社製、商品名「OV−N」)を、PET/coPET変性芯鞘バインダー繊維(ユニチカ社製、商品名「メルティ4080」)に変更した以外は、実施例6と同様にして、表2に記載の透気度となる、目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
バインダーの添加量を12質量%とした以外は、実施例1と同様にして、表2に記載の透気度となる、目付け464g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例1における繊維径27μmのPPS繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)を、繊維径16μmのPPS繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)に代えた以外は、実施例1と同様にしてPPS繊維のウエットウエブを形成し、そのウエットウエブの片面に表3に示す種類のバインダー含有液を、表3に示す添加量となるようにスプレー法で添加し、加熱乾燥させて形成した目付け120g/m2のPPS繊維不織布を不織布として使用した以外は、実施例1と同様に、表3に実施例10〜実施例15として記載されている目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。尚、220℃熱プレスの条件は表3に記載の透気度が得られるよう適宜調整した。
実施例1における繊維径27μmのPPS繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)を繊維径15μmのPEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数47)に代えた以外は、実施例1と同様にしてPEI繊維のウエットウエブを形成し、そのウエットウエブの片面に表4に示す種類のバインダー含有液を、表4に示す添加量となるようにスプレー法で添加し、加熱乾燥させて形成した目付け120g/m2のPEI繊維不織布を不織布として使用した以外は、実施例1と同様にして、表4に実施例16〜実施例21として記載されている目付け458g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。尚、220℃熱プレスの条件は表4に記載の透気度が得られるよう適宜調整した。
実施例16における繊維径15μmのPEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数47)の代わりにポリカーボネート繊維(繊維長15mm、繊維径30μm、限界酸素指数25)以外は、実施例16と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
ポリカーボネート繊維(繊維長15mm、繊維径30μm、限界酸素指数25)及び繊維径15μmのPEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数47)を50/50の質量比で混合して使用した以外は、実施例16と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例1のPPS繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、限界酸素指数41)の代わりに、表5に示した、繊維径が9μmであり、繊維長が18mmのガラス繊維と、ポリエーテルイミド(PEI)繊維(Fiber Innovation Technology社製、ガラス転移温度220℃、繊維長13mm、限界酸素指数47)を、質量比がガラス繊維25に対して繊維径26μmのポリエーテルイミド(PEI)繊維75となるように計量して使用した以外は実施例1と同様にして目付けが140g/m2である不織布を得た。
220℃の熱プレスによる加熱加圧処理の時間を、実施例24の場合よりも短縮して行って繊維強化プラスチック成形体用シートの密度を低くした以外は、実施例24と同様にして、目付けが499g/m2となる、実施例25の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
粒状ポリビニルアルコール(PVA)(ユニチカ社製、商品名「OV−N」)を、PET/coPET変性芯鞘バインダー繊維(ユニチカ社製、商品名「メルティ4080」)に変更した以外は、実施例24と同様にして、目付けが499g/m2となる、実施例26の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例24におけるガラス繊維を、繊維径が6μmであり、繊維長が18mmのガラス繊維に変更した以外は、実施例24と同様にして、目付けが499g/m2となる、実施例27の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例16において使用したものと同一配合の、幅280mmのPEI繊維シートの巻取りを2本準備し、また、幅250mmの炭素繊維クロスの巻取りを1本準備し、上からPEI繊維シート、炭素繊維クロス、PEI繊維シートの順に重ねて280℃の熱カレンダーにて加熱加圧処理し、得られた繊維強化プラスチック成形体用シートを3インチ紙管に巻き取った。尚、積層直前に炭素繊維クロスの表裏にスプレー法でアミノシランカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加した。尚、表裏の添加量は全く同じになるようにした。
PEI繊維不織布に、鞘部に変性PET(融点110℃)、芯部にPET繊維を使用した芯鞘バインダー繊維(クラレ社製商品名「N-720」)を表6に記載の添加量となるよう添加し、そのウエットウエブの片面にスチレン−アクリル樹脂エマルジョン液を、表6に示す添加量となるようにそれぞれスプレー法で添加し、加熱乾燥させて形成した目付け120g/m2のPEI繊維不織布を不織布として使用した以外は、実施例28と同様にして、実施例29〜33の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
実施例31における繊維強化プラスチック成形体用シートにおいて、PET−変性PET芯鞘バインダー繊維を、クラレ社製商品名「N-710」(鞘部融点 130℃)に変更した以外は、実施例29と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、エポキシシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−303」)に代える以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、スチリルシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−403」)に代える以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、メタクリロキシシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−503」)に代える以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を、アクリロキシシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−5103」)に代える以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)の添加量を2.0%とした以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)の添加量を8.0%とした以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)の10%水溶液を作製して、含浸法にて炭素繊維クロスに添加した以外は、実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用シートを作製した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを製造した。
実施例1において、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂繊維(Fiber Innovation Technology社製、ガラス転移温度220℃、繊維長13mm、限界酸素指数47)の代わりにポリアミド6樹脂(東レ社製、商品名「アミランCM1021」、融点210℃、限界酸素指数20、繊維径20μm)に変更した以外は、実施例6と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを製造した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加しなかった以外は、実施例6と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを製造した。
アミノシランタイプのカップリング剤(信越シリコーン社製、商品名「KBM−603」)を添加しなかった以外は、実施例10と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シートを製造した。
(外観)
得られた繊維強化プラスチック成形体の外観、JIS K7074に準拠した方法で測定した曲げ強度を表1〜8に示した。なお、外観は、下記の基準で評価を行った。
◎:ボイド等がなく良好
○:わずかにボイドが確認できる
△:ボイドの発生があるが実用上差し支えのない
×:ボイドに起因して明らかに外観が悪く、製品として使用できない
曲げ強度については、得られた繊維強化プラスチック成形体について、JIS K7074に準拠した方法で炭素繊維クロスの繊維方向と、繊維と45度の角度をなす方向で曲げ強度を測定した。
限界酸素指数(LOI値)については、JIS K7201法に基づいて、難燃性試験を行い算出した。
また、実施例28〜34の繊維強化プラスチック成形体用シートにつき、加熱加圧操作の際の表面繊維の脱落・飛散及び取り扱いやすさ(ハンドリング性)を、下記の基準で評価を行った。
A:非常に良好。
B:良好であり実用上問題なく取り扱える。
C:実用上やや問題を生じるが、製造は可能である。
D:表面繊維の脱落が非常に多く量産では明らかに問題を発生する。
E:シートが破れやすくハンドリング性に劣る。
A:層間剥離が発生しなかった。
B:若干層間強度が弱くなったが実用上差し支えがなくハンドリングできる。
C:層間剥離が一部に発生し実用上やや問題を生じるが、取り扱いは可能である。
D:層間剥離が全面に発生し、ハンドリングに問題を生じる。
Claims (20)
- 強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートであって、
前記不織布シートは、限界酸素指数が24以上である熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維と、バインダー成分とを含み、
前記強化繊維シートは強化繊維を含み、
前記強化繊維シート及び前記不織布シートの少なくとも一方は、カップリング剤を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シート。 - 前記強化繊維シートは、前記カップリング剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、かつ前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は前記強化繊維の繊維径の5倍以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維又はポリカーボネート繊維から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維がポリエーテルイミド(PEI)繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度が250秒以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記シラン系カップリング剤が、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基及びイソシアネート基から選ばれる基を官能基として含有するものであることを特徴とする請求項8に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記バインダー成分は、前記繊維強化プラスチック成形体用シートの全質量に対して0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記バインダー成分は前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維と加熱溶融状態で相溶することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも一方を含む共重合体を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記バインダー成分は、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項13に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維及び前記バインダー繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする請求項13又は14に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。
- 前記不織布シートは表層領域と前記表層領域に挟まれた中間領域を有し、
前記表層領域に含有されているバインダー成分は、前記中間領域に含有されているバインダー成分より多いことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シート。 - 熱可塑性スーパーエンプラ繊維を含むマトリックス樹脂繊維とバインダー成分とを用いて、乾式不織布法又は湿式不織布法によって不織布シートを形成する工程と、
強化繊維とカップリング剤とを含む強化繊維シートと、前記不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合する工程とを含む繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法において、
前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。 - 前記不織布シートを形成する工程は、前記バインダー成分を含む溶液又は前記バインダー成分を含むエマルジョンを前記不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートの製造方法。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用シートを、150〜600℃の温度で加熱加圧成形することにより形成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体。
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