JP2015043682A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置全体の小型化と製品コストの低減とを共に実現する。【解決手段】本発明は、交流回転電機PMとインバータ40とケース2とを備える駆動装置1に関する。インバータ40はケース2に固定され、ケース2及びインバータ40は駆動力源室Qに配置されている。インバータ40は、各相用スイッチング素子ユニットに流れる電流を検出するシャント抵抗を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、回転電機と、この回転電機と直流電源との間に接続されるインバータとを備える駆動装置に関する。
上記のような駆動装置として、特開2011−67093号公報(特許文献1)に記載された装置が知られている。特許文献1の装置は、回転電機〔モータジェネレータ192,194、補機用モータ195〕と、これらを制御するインバータ〔インバータ装置140,142、補機用インバータ装置43〕とを備えている。インバータは、専用のインバータケース〔上部ケース10、筐体12、下部ケース16〕の中に収容されている。そして、そのインバータケースが、回転電機を収容する駆動装置ケースに固定されている。このため、そのような専用のインバータケースを準備する必要があり、部品点数が増加するとともに装置全体が大型化してしまう。
また、回転電機〔モータジェネレータ192,194、補機用のモータ195〕の駆動制御を行うためには、各相のステータコイルに流れる電流を検出するための電流センサを搭載する必要がある。従来、駆動装置に用いられる電流センサとしては、ホール素子を用いたセンサが一般的であった。ホール素子を用いたセンサは、比較的安定した温度特性を有するとともに、高精度に電流を検出することができるので、高温環境となりがちな駆動装置においても回転電機の高精度な駆動制御を可能とするために頻用されている。しかし、ホール素子を用いたセンサは一般に高価であるため、コストアップの要因となる。
この点に関して、例えば空調機等の電化製品においては、回転電機の各相のステータコイルに流れる電流を、インバータ回路に設けられたシャント抵抗を利用して検出する技術も知られている(特許文献2〜4)。シャント抵抗は安価であるため、ホール素子を用いたセンサで電流検出を行うように構成する場合に比べて、製品コストを低減することができる。しかし、このようなシャント抵抗を、駆動装置における回転電機の電流検出に適用した例は、未だ知られていない。
特開2011−67093号公報 特開2011−125130号公報 特開2005−151790号公報 特開2005−192358号公報
上記に鑑み、回転電機とインバータとを備える駆動装置において、装置全体の小型化と製品コストの低減とを共に実現することが望まれる。
本発明に係る、複数相の電流が流れる交流回転電機と、複数相のそれぞれに対応する各相用スイッチング素子ユニットを有し、直流電源と前記交流回転電機との間に接続されて直流と交流との間の変換を行うインバータと、少なくとも前記交流回転電機を収容するケースと、を備える駆動装置の特徴構成は、
前記インバータは、前記ケースに固定され、
前記ケース及び前記インバータは、車輪の駆動力源を収容する駆動力源室に配置され、
前記インバータは、前記直流電源と前記各相用スイッチング素子ユニットとの間で、複数の前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれに流れる電流を検出するシャント抵抗を備える点にある。
本願において、「交流回転電機」は、交流電力によって駆動される回転電機を表す。ここで、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
この特徴構成によれば、インバータが、専用のインバータケースを介することなく交流回転電機を収容するケースに直接的に固定されて、ケースと共に駆動力源室に配置されるので、部品点数を低減するとともに装置全体を小型化することができる。また、インバータに備えられる各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれに流れる電流をシャント抵抗で検出するので、ホール素子を用いたセンサで電流検出を行う場合に比べて、製品コストを低減することができる。このとき、ケースに固定されたインバータがシャント抵抗を備えるので、例えば駆動力源室の外にシャント抵抗を配置する構成に比べて、各相用スイッチング素子ユニットとシャント抵抗との間の配線長を短く抑えることができる。よって、それらの間の配線抵抗を小さく抑えることができ、シャント抵抗を用いた電流検出精度を向上させることもできる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。
1つの態様として、前記インバータは、前記ケースの外周に沿って形成されたインバータ収容室に配置されていると好適である。
この構成によれば、インバータ装置を含めた駆動装置の全体をコンパクトに構成できる。よって、装置全体を有効に小型化することができる。
1つの態様として、前記ケース内に収容された、変速装置と、前記変速装置のサーボ機構に供給される油圧を発生させる電動ポンプと、をさらに備え、前記交流回転電機が、前記電動ポンプのロータに駆動連結されていると好適である。
本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を意味する。この概念には、2つの回転要素が一体回転するように連結された状態や、1つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態が含まれる。このような伝動部材には、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(軸、歯車機構、ベルト等)が含まれ、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等)が含まれても良い。
この構成によれば、電動ポンプにより吐出される油を変速装置のサーボ機構に供給して、変速装置における駆動力の伝達状態を適切に制御することができる。交流回転電機に駆動連結された電動ポンプのロータを、交流回転電機に流れる電流をシャント抵抗で検出しながら駆動制御することで、変速装置のサーボ機構に供給される油圧を比較的高精度に制御することができる。電動ポンプのロータ駆動用の交流回転電機を対象として、これをインバータで制御することで変速装置における駆動力の伝達状態の比較的高精度な制御を可能としつつ、安価なシャント抵抗を用いて電流検出を行うように構成して製品コストを抑えることができる。
1つの態様として、前記ケース内に収容された、前記車輪に駆動連結される車輪駆動用回転電機と、前記車輪から独立して設けられた電動ポンプと、をさらに備え、前記交流回転電機が、前記電動ポンプのロータに駆動連結されていると好適である。
本願において、「車輪から独立」とは、駆動力の伝達経路が車輪から独立しており、車輪の回転駆動力が伝達されないことを意味する。
この構成によれば、交流回転電機に駆動連結された電動ポンプのロータを、交流回転電機に流れる電流をシャント抵抗で検出しながら駆動制御することで、電動ポンプから供給される油圧を比較的高精度に制御することができる。電動ポンプのロータ駆動用の交流回転電機を対象として、これをインバータで制御することで電動ポンプから供給される油圧の比較的高精度な制御を可能としつつ、安価なシャント抵抗を用いて電流検出を行うように構成して製品コストを抑えることができる。なお、交流回転電機は、車輪の駆動用の車輪駆動用回転電機に比べて、求められる制御精度はそれほど高くない場合が多い。よって、総合的に見て、車輪駆動用回転電機及び交流回転電機の制御精度に与える影響を小さく抑えつつ、製品コストを抑えることができる。
1つの態様として、前記交流回転電機は、N(Nは2以上の自然数)相の電流が流れるように構成され、前記直流電源の正極と前記各相用スイッチング素子ユニットとは、N個の前記各相用スイッチング素子ユニットに共通の共通正極ラインと、前記共通正極ラインから分岐して前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれにつながるN本の分岐正極ラインとを介して接続され、前記直流電源の負極と前記各相用スイッチング素子ユニットとは、N個の前記各相用スイッチング素子ユニットに共通の共通負極ラインと、前記共通負極ラインから分岐して前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれにつながるN本の分岐負極ラインとを介して接続され、N本又は(N−1)本の前記分岐負極ラインのそれぞれに、前記シャント抵抗が設けられていると好適である。
この構成によれば、通常、直流電源の負極側がグランドに接続されることを利用して、グランド電位を基準電位として利用することができる。よって、例えば分岐正極ラインにシャント抵抗が設けられる構成とは異なり、基準電位の生成のための回路の設置を省略することができ、装置の小型化を図ることができる。また、N個のシャント抵抗を用いて、或いは、(N−1)個のシャント抵抗を用いつつ各相の電流の瞬時値の和がゼロとなることを利用して、交流回転電機の各相に流れる電流を適切に検出することができる。
ところで、交流回転電機の各相に流れる電流を、シャント抵抗を用いて検出する場合には、ゼロ点のオフセット補正を行う必要がある。このようなオフセット補正は、使用環境の温度変化が比較的小さい例えば電化製品等では、通常、装置の起動時にのみ行われていた。しかし、駆動装置への適用を考えた場合、環境温度の変動が大きいため、装置起動時にオフセット補正を行うだけでは、電流検出精度が低下する可能性がある。
この点に鑑み、1つの態様として、前記インバータを駆動制御するインバータ制御装置をさらに備え、前記各相用スイッチング素子ユニットは、前記交流回転電機との接続部よりも前記直流電源の正極側に設けられる上段スイッチング素子と、前記接続部よりも前記直流電源の負極側に設けられる下段スイッチング素子と、を備え、前記シャント抵抗は、前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれの前記下段スイッチング素子に流れる電流を検出するように設けられ、前記インバータ制御装置は、前記各相用スイッチング素子ユニットの前記上段スイッチング素子と前記下段スイッチング素子とを個別にスイッチング制御することで前記交流回転電機をPWM制御し、複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオン状態となる下段フルオン期間の前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記交流回転電機を流れる各相の電流を検出する電流検出処理を行い、複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオフ状態となる下段フルオフ期間の前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記電流検出処理におけるゼロ点のオフセット補正量を決定すると好適である。
この構成によれば、各相用の下段スイッチング素子が全てオン状態となる下段フルオン期間に、各相の電流がそれぞれの相の下段スイッチング素子を流れることを利用して、各相の電流を同時に検出することができる。一方、各相用の下段スイッチング素子が全てオフ状態となる下段フルオフ期間には、各相の電流はそれぞれの相の上段スイッチング素子を流れ、理論的には下段スイッチング素子を流れない。このため、本来的には電流値がゼロとなるはずの下段フルオフ期間に各シャント抵抗により検出される電流を利用することで、電流検出処理におけるゼロ点のオフセット補正量を適切に決定することができる。そして、交流回転電機の駆動制御中に繰り返し現れる下段フルオフ期間でオフセット補正量を決定することで、繰り返しオフセット補正を行うことができ、環境温度の変動に対応することができる。よって、電流検出処理における検出精度を高めることができる。
1つの態様として、前記インバータ制御装置は、前記シャント抵抗のそれぞれについて、前記交流回転電機の電気角1周期を分割して規定される複数の分割期間毎に、個別に前記オフセット補正量を決定すると好適である。
本発明者らの検討によれば、下段フルオフ期間に各シャント抵抗により検出される電流の大きさは一律ではなく、交流回転電機を流れる各相の電流の大きさに相関があることが判明した。この構成によれば、複数の分割期間毎に個別にオフセット補正量を決定するので、交流回転電機を流れる各相の電流の大きさに応じて適切なオフセット補正量を決定することができる。よって、電流検出処理における検出精度をさらに高めることができる。
上述したように下段フルオン期間に各相の電流を同時に検出する構成を採用する場合には、電流検出処理の正確性を担保するためには、所定時間以上の下段フルオン期間が確保されていることが好ましい。そのためには、例えばPWM制御におけるキャリア周波数を、所定時間以上の下段フルオン期間を確保可能な周波数に予め設定することも考えられる。しかし、キャリア周波数を一律に低下させると、交流回転電機の制御性が低下する可能性があり、可聴域との関係で場合によっては騒音が生じる可能性もある。このため、これらの問題の発生を抑制しつつ、所定時間以上の下段フルオン期間を確保できるように構成されていることが好ましい。
この点に鑑み、1つの態様として、前記インバータを駆動制御するインバータ制御装置をさらに備え、前記各相用スイッチング素子ユニットは、前記交流回転電機との接続部よりも前記直流電源の正極側に設けられる上段スイッチング素子と、前記接続部よりも前記直流電源の負極側に設けられる下段スイッチング素子と、を備え、前記シャント抵抗は、前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれの前記下段スイッチング素子に流れる電流を検出するように設けられ、前記インバータ制御装置は、前記各相用スイッチング素子ユニットの前記上段スイッチング素子と前記下段スイッチング素子とを個別にスイッチング制御することで前記交流回転電機をPWM制御し、複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオン状態となる下段フルオン期間に前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記交流回転電機を流れる各相の電流を検出する電流検出処理を行い、前記下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合に、前記PWM制御におけるキャリア周波数を低下させると好適である。
この構成によれば、各相用の下段スイッチング素子が全てオン状態となる下段フルオン期間に、各相の電流がそれぞれの相の下段スイッチング素子を流れることを利用して、各相の電流を同時に検出することができる。このとき、下段フルオン期間が所定時間よりも短い場合には、電流検出処理の正確性が損なわれる可能性がある。そこで、PWM制御におけるキャリア周波数を動的に変更可能として、下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合には、キャリア周波数を低下させる。これにより、デューティ比を一定に保ったまま、各相の下段スイッチング素子のオン状態の継続時間を長くすることができる。結果的に、下段フルオン期間を長くすることができ、電流検出処理の正確性を担保することが容易となる。
1つの態様として、前記インバータ制御装置は、連続的又は段階的に前記キャリア周波数を変更可能に構成され、前記下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合に、変更可能な前記キャリア周波数のうち、前記下段フルオン期間が前記基準時間以上となる最大の周波数に前記キャリア周波数を低下させると好適である。
この構成によれば、下段フルオン期間を基準時間以上とすることができ、電流検出処理の正確性を担保することができる。また、この構成では、キャリア周波数の低下幅を極力小さく抑えることができるので、交流回転電機の制御性の低下や騒音の発生等を抑制することができる。
また、1つの態様として、前記インバータを駆動制御するインバータ制御装置をさらに備え、前記各相用スイッチング素子ユニットは、前記交流回転電機との接続部よりも前記直流電源の正極側に設けられる上段スイッチング素子と、前記接続部よりも前記直流電源の負極側に設けられる下段スイッチング素子と、を備え、前記シャント抵抗は、前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれの前記下段スイッチング素子に流れる電流を検出するように設けられ、前記インバータ制御装置は、複数相の交流電圧の指令である交流電圧指令に基づき、前記各相用スイッチング素子ユニットの前記上段スイッチング素子と前記下段スイッチング素子とを個別にスイッチング制御することで前記交流回転電機をPWM制御し、複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオン状態となる下段フルオン期間の前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記交流回転電機を流れる各相の電流を検出する電流検出処理を行い、前記下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合に、前記インバータの直流側の電圧に対する前記交流電圧指令の実効値の比率を表す変調率を低下させると好適である。
この構成によれば、各相用の下段スイッチング素子が全てオン状態となる下段フルオン期間に、各相の電流がそれぞれの相の下段スイッチング素子を流れることを利用して、各相の電流を同時に検出することができる。このとき、下段フルオン期間が所定時間よりも短い場合には、電流検出処理の正確性が損なわれる可能性がある。そこで、下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合には、インバータの直流側の電圧又は交流電圧指令を変化させて、変調率を低下させる。これにより、各相の下段スイッチング素子のオン状態の継続時間を長くすることができる。結果的に、下段フルオン期間を長くすることができ、電流検出処理の正確性を担保することが容易となる。
1つの態様として、前記インバータ制御装置は、前記交流回転電機を電流ベクトル制御により制御するように構成され、前記交流回転電機のステータコイルにより生成する磁界が、ロータの界磁磁束を弱める方向に変化するように前記交流電圧指令を調整する弱め界磁制御を行うことにより、前記変調率を低下させると好適である。
この構成によれば、弱め界磁制御を行って、交流回転電機に必要なトルクを発生させるための交流電圧指令及びその実効値を小さく抑えることで、変調率を有効に低下させることができる。また、変調率を低下させて下段フルオン期間を長くしつつ、交流回転電機に必要な出力トルクを確保することができる。
駆動装置の概略構成を示す模式図 駆動装置の分解斜視図 インバータ装置の回路図 インバータ制御装置のブロック図 制御信号の一例を示す模式図 アクティブベクトル期間における電流の流れの一例を示す模式図 下段フルオン期間における電流の流れを示す模式図 下段フルオフ期間における電流の流れを示す模式図 ステータコイルに流れる実電流の検出方法を示す波形図 キャリア周波数に応じた下段フルオン期間の調整方法を示す模式図 弱め界磁制御による電流指令値の変化を示す図 トルクと回転数との関係に応じた制御マップの切り替えの概念図
本発明に係る駆動装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る駆動装置1は、車輪Wの駆動力源として内燃機関E及び回転電機MGの双方を備えた車両(ハイブリッド車両)を駆動するための車両用駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)である。具体的には、駆動装置1は、1モータパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。
1.駆動装置の概略構成
図1に示すように、駆動装置1は、内燃機関Eに駆動連結される入力部材としての入力軸Iと、車輪Wに駆動連結される出力部材としての出力軸Oと、回転電機MGと、変速装置TMとを備えている。また、本実施形態では、駆動装置1は、係合装置CLと、ギヤ機構Gと、差動歯車装置DFとを備えている。係合装置CL、回転電機MG、変速装置TM、ギヤ機構G、及び差動歯車装置DFは、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路に設けられている。これらは、入力軸Iの側から記載の順に設けられている。また、これらは、ケース(駆動装置ケース)2内に収容されている。また、本実施形態では、内燃機関Eと駆動装置1とが、車両に設けられた駆動力源室(本例では、エンジンルーム)Qに配置されている。
入力軸I、回転電機MG、及び変速装置TMは、同軸状に配置されている。本実施形態では、これらに共通の回転軸心に平行な方向を「軸方向」と定義する。入力軸I、回転電機MG、及び変速装置TMは、軸方向に沿って内燃機関Eの側から記載の順に配置されている。ギヤ機構G及び差動歯車装置DFは、それぞれ軸方向に平行でかつ入力軸I等の回転軸心とは異なる軸を回転軸心として配置されている。このような複軸構成(本例では三軸構成)の駆動装置1は、例えばFF(Front Engine Front Drive)車両に搭載される場合の構成として適している。
図1に示すように、入力軸(駆動装置入力軸)Iは内燃機関Eに駆動連結される。内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)である。本実施形態では、内燃機関Eの出力軸(クランクシャフト等)に、入力軸Iが駆動連結される。
係合装置CLは、入力軸Iと回転電機MGとを結ぶ動力伝達経路に設けられている。係合装置CLは、入力軸I(内燃機関E)と回転電機MGとを選択的に駆動連結する。この係合装置CLは、車輪Wから内燃機関Eを切り離す内燃機関切離用係合装置として機能する。係合装置CLは、油圧駆動式の摩擦係合装置として構成されている。
回転電機MGは、ケース2に固定されたステータStと、当該ステータStの径方向内側に回転自在に支持されたロータRoとを有している。回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能である。回転電機MGは、第一インバータ30を介して蓄電装置B(バッテリやキャパシタ等)に電気的に接続されている。回転電機MGは、蓄電装置Bから電力の供給を受けて力行し、又は、内燃機関Eのトルクや車両の慣性力により発電した電力を蓄電装置Bに供給して蓄電させる。回転電機MGは、車輪Wに伝達される駆動力を出力する「車輪駆動用回転電機」として機能する。回転電機MGのロータRoは、中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。中間軸Mは、変速装置TMの入力軸(変速入力軸)となっている。
本実施形態では、変速装置TMは、複数の歯車機構と複数の変速用係合装置とを備え、変速比の異なる複数の変速段を切替可能な自動有段変速装置である。なお、変速装置TMとして、変速比を無段階に変更可能な自動無段変速装置や、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に備えた手動式有段変速装置、固定変速比の単一変速段を備えた定変速装置等を用いても良い。変速装置TMは、中間軸Mに入力される回転及びトルクを、各時点における変速比に応じて変速するとともにトルク変換して、当該変速装置TMの変速出力ギヤGoに伝達する。
変速出力ギヤGoは、ギヤ機構(カウンタギヤ機構)Cに駆動連結されている。ギヤ機構Gは、共通の軸部材にそれぞれ形成された第一ギヤG1と第二ギヤG2とを有する。第一ギヤG1は、変速装置TMの変速出力ギヤGoに噛み合っている。第二ギヤG2は、差動歯車装置DFの差動入力ギヤGiに噛み合っている。
差動歯車装置(出力用差動歯車装置)DFは、出力軸Oを介して車輪Wに駆動連結されている。差動歯車装置DFは、差動入力ギヤGiと、当該差動入力ギヤGiに連結された差動本体部(差動歯車装置DFの本体部)とを有する。差動歯車装置DFは、差動入力ギヤGiに入力される回転及びトルクを、差動本体部にて左右2つの出力軸O(すなわち、左右2つの車輪W)に分配して伝達する。これにより、駆動装置1は、内燃機関E及び回転電機MGの少なくとも一方のトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させることができる。
駆動装置1は、中間軸Mに駆動連結された機械式ポンプ(図示せず)を備えている。機械式ポンプは、駆動力源としての内燃機関E及び回転電機MGの少なくとも一方が回転している状態で、これらのトルクによって油を吐出する。また、本実施形態では、駆動装置1は、車輪Wから独立して設けられたポンプ用モータPMにより駆動される電動ポンプEPを備えている。すなわち、ポンプ用モータPMは、車輪Wから独立して設けられた電動ポンプEPのロータに駆動連結されている。本実施形態では、ポンプ用モータPMが本発明における「交流回転電機」に相当する。ポンプ用モータPMは、第二インバータ40を介して蓄電装置Bに電気的に接続されている。
本実施形態では、第一インバータ30によって制御される回転電機MGと、第二インバータ40によって制御されるポンプ用モータPMとが、共通の蓄電装置Bを電力源として駆動される。なお、蓄電装置Bは、車両に設けられる例えばエアコンディショナーのコンプレッサやオーディオ機器等の補機類の電力源としての補機用バッテリ(例えば、12〜24[V])に比べて高電圧のもの(例えば、100〜400[V])が使用される。
電動ポンプEPは、ポンプ用モータPMが回転している状態で、そのトルクによって油を吐出する。機械式ポンプ及び電動ポンプEPの少なくとも一方から吐出された油は、変速装置TMの油圧サーボ機構(図示せず)に供給される油圧を発生させ、変速装置TMに備えられる変速用係合装置の係合の状態の制御のために供される。変速装置TMは、油圧の供給を受けて動作し、駆動力源としての内燃機関E及び回転電機MGの少なくとも一方から車輪Wへの駆動力の伝達状態を制御する。
また、機械式ポンプ及び電動ポンプEPの少なくとも一方から吐出された油は、回転電機MGの冷却や各部位の潤滑等のためにも供される。なお、本実施形態では、電動ポンプEPを備えていることで、内燃機関Eの停止状態でも、変速用係合装置に油を供給してその係合状態を形成することができ、適切に車両を発進させることができる。本実施形態に係る駆動装置1は、アイドルストップ機能を有するハイブリッド車両用の駆動装置に好適に適用することができる。
図2に示すように、ケース2は、変速装置TM、ギヤ機構G、及び差動歯車装置DFの外形に沿って異形筒状に形成された外周壁21と、この外周壁21から外側に向かって突出するように対向配置された一対の突出壁22とを有する。外周壁21と一対の突出壁22とによって区画された空間はインバータ収容室Pとなっている。このインバータ収容室Pに、インバータ装置3を構成する第一インバータ30及び第二インバータ40が収容されている。このように、第一インバータ30及び第二インバータ40は、ケース2(外周壁21)に一体的に固定されている。
すなわち、第一インバータ30及び第二インバータ40は、それらを収容するインバータケースを介することなく、直接的にケース2に固定されて一体化されている。つまり、本実施形態に係る駆動装置1では、インバータケースレス構造が採用されている。このようなインバータケースレス構造では、専用のインバータケースを準備する必要がないことはもちろんのこと、当該インバータケースをケース2に固定するための固定座を準備する必要もない。よって、部品点数の低減により低コスト化を図ることができる。また、装置全体の小型化を図ることもできる。
なお、図2に示すように、本実施形態では、ケース2は、一対の突出壁22どうしをつなぐ柱状又は板状の梁部23を有する。また、ケース2は、外周壁21から梁部23に向かって延びる厚板状の隔離壁(図示せず)を有する。インバータ収容室Pは、隔離壁によって第一収容部P1と第二収容部P2とに分かれている。第一収容部P1には、第一インバータ30及び第二インバータ40が収容されている。第二収容部P2には、インバータ装置3を構成するコンデンサCが収容されている。その状態で、第一収容部P1は第一カバー26で覆われ、第二収容部P2は第二カバー27で覆われている。第一インバータ30及び第二インバータ40は、駆動装置1のケース2と共に、駆動力源室Q(図1を参照)に配置されている。
2.インバータ装置の概略構成
インバータ装置3は、直流電力と交流電力との変換を行う。インバータ装置3は、蓄電装置Bと回転電機MGとの間に接続されて直流と交流との間の電力変換を行う第一インバータ30と、蓄電装置Bとポンプ用モータPMとの間に接続されて直流と交流との間の電力変換を行う第二インバータ40とを備えている。本実施形態では、第一インバータ30と第二インバータ40とで、蓄電装置Bが共用されるとともに、直流電力の平滑化(直流電力の変動の抑制)のためのコンデンサCも共用されている。また、回転電機MG及びポンプ用モータPMは、いずれも多相交流駆動式(本例では3相交流駆動式)の回転電機として構成されており、それぞれ3相(U相,V相,W相)の電流が流れるように構成されている。
図3に示すように、直流電源としての蓄電装置Bの正極Bp側と負極Bn側(例えばグランド側)との間に、一対の共通正極ラインLp0及び共通負極ラインLn0を介してコンデンサCが接続されている。また、共通正極ラインLp0と共通負極ラインLn0との間に、第一インバータ30を構成する各相用のスイッチング素子ユニット31が互いに並列に接続されている。すなわち、共通正極ラインLp0から分岐する3本の分岐正極ラインLp1〜Lp3と、共通負極ラインLn0から分岐する3本の分岐負極ラインLn1〜Ln3との間に、スイッチング素子ユニット31がそれぞれ接続されている。各スイッチング素子ユニット31は、回転電機MG(ステータSt)のステータコイルの3相(U相,V相,W相)のそれぞれに対応している。
各スイッチング素子ユニット31は、回転電機MGとの接続部よりも蓄電装置Bの正極Bp側に設けられる上段側のスイッチング素子32と、上記接続部よりも蓄電装置Bの負極Bn側に設けられる下段側のスイッチング素子32とを有する。すなわち、第一インバータ30は、共通正極ラインLp0にそれぞれ接続される上段スイッチング素子32a〜32cと、共通負極ラインLn0にそれぞれ接続される下段スイッチング素子32d〜32fとを有する。なお、図3の例における各スイッチング素子32に代えて、並列接続された2つ一組のスイッチング素子32を用いても良い。また、本例では、スイッチング素子32としてはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いているが、MO
SFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等を用いても良い。
各相の上段スイッチング素子32a,32b,32cのコレクタは、共通正極ラインLp0を介して蓄電装置Bの正極Bp側に接続されている。各相の上段スイッチング素子32a,32b,32cのエミッタは、それぞれ下段スイッチング素子32d,32e,32fのコレクタに接続されている。各相の下段スイッチング素子32d,32e,32fのエミッタは、共通負極ラインLn0を介して蓄電装置Bの負極Bn側に接続されている。各スイッチング素子32のエミッタ−コレクタ間には、整流素子33が並列接続されている。整流素子33としてはダイオード(Diode)が用いられている。なお、各スイッチ
ング素子32のゲートは、後述するインバータ制御装置5の第一制御部51により、それぞれ個別にスイッチング制御される。
各スイッチング素子ユニット31は、各相用の第一配線部材Lw1を介して回転電機MGに接続されている。各相用の一対のスイッチング素子32は、それらの中間点(上段側のエミッタ−下段側のコレクタ間)において、各相用の第一配線部材Lw1を介して回転電機MGの各相のステータコイルに接続されている。第一配線部材Lw1の所定箇所には、回転電機MGの各相用のステータコイルに流れる電流を検出するための電流センサ35が設けられている。このような電流センサ35として、本実施形態ではホール素子を用いたセンサが用いられている。電流センサ35は、第一配線部材Lw1の周囲を囲む環状のコアと、このコアの切欠部に配置されたホール素子とを有する。各相用の第一配線部材Lw1に電流が流れると、その電流量に応じた磁界がコアに発生し、ホール素子は磁束量に応じた起電力を発生する。よって、その大きさに基づいて、回転電機MGの各相用のステータコイルに流れる電流を検出することができる。
図3に示すように、本実施形態では、共通正極ラインLp0と共通負極ラインLn0との間に、第二インバータ40を構成する各相用のスイッチング素子ユニット41が互いに並列に接続されている。すなわち、共通正極ラインLp0から分岐する3本の分岐正極ラインLp4〜Lp6と、共通負極ラインLn0から分岐する3本の分岐負極ラインLn4〜Ln6との間に、スイッチング素子ユニット41がそれぞれ接続されている。本実施形態では、第二インバータ40のスイッチング素子ユニット41が本発明における「スイッチング素子ユニット」に相当する。各スイッチング素子ユニット41は、ポンプ用モータPMのステータコイルの3相(U相,V相,W相)のそれぞれに対応している。
各スイッチング素子ユニット41は、ポンプ用モータPMとの接続部よりも蓄電装置Bの正極Bp側に設けられる上段側のスイッチング素子42と、上記接続部よりも蓄電装置Bの負極Bn側に設けられる下段側のスイッチング素子42とを有する。すなわち、第二インバータ40は、共通正極ラインLp0にそれぞれ接続される上段スイッチング素子42a〜42cと、共通負極ラインLn0にそれぞれ接続される下段スイッチング素子42d〜42fとを有する。
各相の上段スイッチング素子42a,42b,42cのコレクタは、共通正極ラインLp0を介して蓄電装置Bの正極Bp側に接続されている。各相の上段スイッチング素子42a,42b,42cのエミッタは、それぞれ下段スイッチング素子42d,42e,42fのコレクタに接続されている。各相の下段スイッチング素子42d,42e,42fのエミッタは、共通負極ラインLn0を介して蓄電装置Bの負極Bn側に接続されている。各スイッチング素子42のエミッタ−コレクタ間には、整流素子43が並列接続されている。なお、各スイッチング素子42のゲートは、後述するインバータ制御装置5の第二制御部52により、それぞれ個別にスイッチング制御される。
各スイッチング素子ユニット41は、各相用の第二配線部材Lw2を介してポンプ用モータPMに接続されている。各相用の一対のスイッチング素子42は、それらの中間点(上段側のエミッタ−下段側のコレクタ間)において、各相用の第二配線部材Lw2を介してポンプ用モータPMの各相のステータコイルに接続されている。本実施形態では、第一インバータ30とは異なり、第二配線部材Lw2には、ホール素子を含む電流センサは設けられていない。
ホール素子を含む電流センサに代替するものとして、蓄電装置Bと各相用のスイッチング素子ユニット41との間には、シャント抵抗45が設けられている。本実施形態では、3本の分岐負極ラインLn4〜Ln6のそれぞれにシャント抵抗45が設けられ、計3つのシャント抵抗45が設けられている。本実施形態では、シャント抵抗45は、第二インバータ40の制御基板に実装されている。シャント抵抗45は、各相用のスイッチング素子ユニット41(ここでは、下段スイッチング素子42d〜42f)のそれぞれに流れる電流を検出するために設けられている。下段スイッチング素子42d〜42fに電流が流れると、その電流量に応じてシャント抵抗45の両端間に電位差が生じるので、その大きさと既知のシャント抵抗45の抵抗値とに基づいて、ポンプ用モータPMの各相用のステータコイルに流れる電流を検出することができる。シャント抵抗45を用いた電流検出方法の詳細に関しては、後述する。
このように、本実施形態では、回転電機MGの各相用のステータコイルに流れる電流を、ホール素子を用いた電流センサ35で検出し、一方、ポンプ用モータPMの各相用のステータコイルに流れる電流を、シャント抵抗45で検出する。ホール素子を用いた電流センサ35は、高価ではあるが、常時、高精度な電流検出が可能である。これに対して、シャント抵抗45は、安価ではあるが、後述するように第二インバータ40の制御周期の中で電流検出可能な時期が制限される。つまり、第一インバータ30の制御周期に対する電流センサ35の電流検出可能期間の割合は、第二インバータ40の制御周期に対するシャント抵抗45の電流検出可能期間の割合よりも高い。さらに、高価なホール素子を用いた電流センサ35は比較的安定した温度特性を有するのに対して、安価なシャント抵抗45は環境温度の影響を受けやすい。
また、回転電機MGは車輪Wに伝達される駆動力を出力するため、この回転電機MGに対しては高い制御精度が求められる。これに対して、ポンプ用モータPMは、車輪Wから独立して設けられた電動ポンプEPのロータの駆動用であるので、回転電機MGに比べて、求められる制御精度はそれほど高くない。これらの点を総合的に考慮して、回転電機MG用の電流検出を、ホール素子を含む電流センサ35を用いて行い、ポンプ用モータPM用の電流検出を、シャント抵抗45を用いて行う。これにより、回転電機MGの制御精度を高く維持することができるとともに、許容範囲内でポンプ用モータPM用の制御精度をある程度犠牲にしつつ製品コストを低減することができる。
なお、“ポンプ用モータPM用の制御精度をある程度犠牲にする”とは、回転電機MGと同様にホール素子を含む電流センサを用いて電流検出を行う場合との比較を念頭に置いた表現である。電動ポンプEPのロータ駆動用のポンプ用モータPMを対象として、これを第二インバータ40で制御する構成を採用することで、例えば定トルク又は定回転でポンプ用モータPMを駆動する場合に比べて、変速装置TMの状態の比較的高精度な制御が可能である。本実施形態の構成では、ポンプ用モータPMのインバータ制御によって変速装置TMの状態の比較的高精度な制御を可能としつつ、安価なシャント抵抗45で電流検出を行うように構成して製品コストを抑えることができる。また、総合的に見て、回転電機MG及びポンプ用モータPMの制御精度に与える影響を小さく抑えることができる。さらに、シャント抵抗45を第二インバータ40の制御基板に実装して備えることで、第二インバータ40、ひいては装置全体を有効に小型化することができる。
特に、第二インバータ40に組み込まれたシャント抵抗45が駆動力源室Qに配置された構成では、車両走行中に車輪Wの駆動力源としての内燃機関Eや回転電機MGが発熱し、シャント抵抗45の設置環境が高温となる状況が生じやすい。環境温度の変動幅が大きくなると、シャント抵抗45による電流検出精度が低下し、その結果、ポンプ用モータPMの制御精度も悪化しやすい。この場合であっても、制御精度の悪化を、ポンプ用モータPMの制御に対する要求精度の許容範囲で吸収することができる。つまり、シャント抵抗45が駆動力源室Qに配置され、高温環境下に置かれる場合であっても、総合的に見て、回転電機MG及びポンプ用モータPMの制御精度に与える影響を小さく抑えることができる。
3.インバータ制御装置の構成
図3に示すように、インバータ制御装置5は、第一制御部51と第二制御部52とを備えている。第一制御部51は、第一インバータ30の各スイッチング素子32を個別にスイッチング制御して、回転電機MGを駆動制御する。第二制御部52は、第二インバータ40の各スイッチング素子42を個別にスイッチング制御して、ポンプ用モータPMを駆動制御する。本実施形態では、第一制御部51及び第二制御部52は、いずれも電流ベクトル制御法に基づいて、回転電機MG及びポンプ用モータPMをそれぞれ駆動制御する。
図4に示すように、第一制御部51は、回転速度導出部61、三相二相変換部62、d軸電流指令値導出部63、q軸電流指令値導出部64、電流制御部65、変調率導出部66、d軸電流調整指令値導出部67、二相三相変換部68、及び制御信号生成部69を備えている。第一制御部51には、電流センサ35(図3を参照)によって検出されたU相電流Iur、V相電流Ivr、及びW相電流Iwrと、回転電機MGのロータRoの磁極位置θと、第一インバータ30の直流側の電圧である直流電圧Vdcが入力される。また、第一制御部51には、目標トルクTRも入力される。
回転速度導出部61は、磁極位置θに基づいて回転電機MGの回転速度ωを導出する。導出された回転速度ωは、電流制御部65及び二相三相変換部68に提供される。三相二相変換部62は、U相電流Iur、V相電流Ivr、及びW相電流Iwrと磁極位置θとに基づいて、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrを導出する。導出されたd軸電流Idr及びq軸電流Iqrは、電流制御部65に提供される。
d軸電流指令値導出部63は、目標トルクTRに基づいて基本d軸電流指令値Idbを導出する。基本d軸電流指令値Idbは、最大トルク制御を行う場合におけるd軸電流の指令値に相当する。最大トルク制御とは、同一電流に対して回転電機MGの出力トルクが最大となるように電流位相を調節する制御である。本実施形態では、d軸電流指令値導出部63は、所定のマップを用いて、目標トルクTRの値に応じた基本d軸電流指令値Idbを導出する。基本d軸電流指令値Idbから後述するd軸電流調整指令値導出部67によって導出されるd軸電流調整指令値ΔIdが減算され、これがd軸電流指令値Idとして電流制御部65に提供される。
q軸電流指令値導出部64は、目標トルクTRに基づいてq軸電流指令値Iqを導出する。本実施形態では、q軸電流指令値導出部64は、所定のマップを用いて、目標トルクTRの値に応じたq軸電流指令値Iqを導出する。後述するd軸電流調整指令値導出部67によってd軸電流調整指令値ΔIdが導出されている場合には、q軸電流指令値導出部64は、目標トルクTR及びd軸電流調整指令値ΔIdの値に応じたq軸電流指令値Iqを導出する。導出されたq軸電流指令値Iqは、電流制御部65に提供される。
電流制御部65は、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iq、d軸電流Idr及びq軸電流Iqr、及び回転速度ωに基づいて、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを決定する。電流制御部65は、d軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqに対する電流フィードバック制御を行い、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを決定する。決定された電圧指令値Vd、Vqは、変調率導出部66及び二相三相変換部68に提供される。
変調率導出部66は、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqと直流電圧Vdcとに基づいて、変調率Mfを導出する。変調率導出部66は、下記の式(1)
Mf=√(Vd+Vq)/Vdc・・・(1)
に従って変調率Mfを導出する。変調率Mfは、直流電圧Vdcに対する第一インバータ30の出力電圧波形の基本波成分の実効値の比率を表す指標となる。導出された変調率Mfは、d軸電流調整指令値導出部67に提供される。
d軸電流調整指令値導出部67は、変調率Mfと予め定められた基準変調率(例えば「0.78」)とに基づいて、d軸電流調整指令値ΔIdを導出する。d軸電流調整指令値導出部67は、例えば変調率Mfが基準変調率を超えている場合に、変調率Mfと基準変調率との偏差に基づいてd軸電流調整指令値ΔId(ΔId>0)を導出する。
d軸電流調整指令値ΔIdは、弱め界磁電流を与える指令値であり、弱め界磁電流は回転電機MGのロータRoの界磁磁束を弱めるように作用する。つまり、d軸電流調整指令値ΔIdが導出されることにより、回転電機MGのステータコイルに生じる磁界が、ロータRoの界磁磁束を弱める方向に変化するように交流電圧指令の位相を調整する弱め界磁制御が行われる。d軸電流調整指令値ΔIdは、q軸電流指令値導出部64に提供される。また、d軸電流調整指令値ΔIdが、d軸電流指令値導出部63によって導出された基本d軸電流指令値Idbから減算され、これがd軸電流指令値Idとして電流制御部65に提供される。
二相三相変換部68は、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqと磁極位置θとに基づいて、交流電圧指令としてのU相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、及びW相電圧指令値Vwを導出する。導出された3相の交流電圧指令値Vu,Vv,Vwは、制御信号生成部69に提供される。
制御信号生成部69は、U相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、及びW相電圧指令値Vwに基づいて、第一インバータ30の各スイッチング素子32a〜32fを個別にスイッチング制御するための制御信号(スイッチング制御信号)S11〜S16を生成する。制御信号生成部69は、少なくともPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)制御用の制御信号S11〜S16を生成する。制御信号生成部69は、三角波やのこぎり波等からなるキャリア(搬送波)と交流電圧指令値Vu,Vv,Vwとの大小比較に基づいて、PWM制御用の制御信号S11〜S16を生成する。なお、制御信号生成部69は、変調率Mfの大きさ等に応じて、公知の過変調PWM制御や矩形波制御用の制御信号S11〜S16を生成するように構成されても良い。
制御対象は回転電機MGとポンプ用モータPMとで異なるものの、第二制御部52も、基本的には第一制御部51と同様の構成を備えている。但し、第二制御部52におけるd軸電流調整指令値導出部67は、変調率Mfが基準変調率以下の場合であっても、“特定条件”下でd軸電流調整指令値ΔIdを導出する。これにより、第二制御部52は、変調率Mfの大きさによらずに、“特定条件”の成立時にも弱め界磁制御を行うことができるように構成されている。この点に関しては、後述する。また、第二制御部52における制御信号生成部69は、専らPWM制御用の制御信号S21〜S26を生成するように構成されている。それ以外の点に関しては、第一制御部51と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
4.シャント抵抗を用いた電流検出方法
上述したように、第二制御部52はPWM制御用の制御信号S21〜S26を生成し、これに基づいてスイッチング素子42が個別にスイッチング制御されることで、ポンプ用モータPMはPWM制御される。なお、本実施形態では、PWM制御とは、正弦波PWMや空間ベクトルPWM等の連続パルス幅変調(CPWM;continuous PWM)を意味する。良く知られているように、PWM制御では、交流電圧指令値Vu,Vv,Vwはそれぞれ離散的なパルス信号に変調される。図5には、所定期間における制御信号S21〜S26の波形を、キャリアと共に拡大して模式的に示している。
図5に示すように、制御信号S21は、U相電圧指令値Vuがキャリア以上の場合にハイレベル(H)となり、U相電圧指令値Vuがキャリア未満の場合にローレベル(L)となる。U相用の上段スイッチング素子42aは、制御信号S21がハイレベル(H)の場合にオン状態となり、ローレベル(L)の場合にオフ状態となる。制御信号S22,S23も、電圧指令値Vv,Vwとキャリアとの比較に基づいて生成され、V相用の上段スイッチング素子42b及びW相用の上段スイッチング素子42cも、同様にオン状態とオフ状態とが切り替わる。
なお、各時点における制御信号S24〜S26のレベルは、それぞれ制御信号S21〜S23のレベルと反対となる。制御信号S21がハイレベル(H)の期間は制御信号S24がローレベル(L)となり、制御信号S21がローレベル(L)の期間は制御信号S24がハイレベル(H)となる。制御信号S22と制御信号S25との関係、及び制御信号S23と制御信号S26との関係も同様である。これにより、各相の上段スイッチング素子42a〜42cと、対応する相の下段スイッチング素子42d〜42fとは、それぞれ相補的にスイッチングする。実際には、各スイッチング素子ユニット41に含まれる上下2つのスイッチング素子42が共にオフ状態となるデッドタイムが存在するが、ここでは簡略化のために省略して記載している。
ところで、3相の制御信号S21〜S23(又は制御信号S24〜S26)の相互の関係に注目すると、3相の制御信号のレベルにハイ(H)/ロー(L)が混在する期間と、3相の制御信号のレベルが全て同一となる期間とが存在することが分かる。ここでは、前者を“アクティブベクトル期間”と称し、後者を“ゼロベクトル期間”と称する。図5では、ゼロベクトル期間を、斜線を付した状態で示している。
アクティブベクトル期間の一例として、例えば図5において(A)で示される時点では、U相の上段スイッチング素子42aがオン状態となり、V相及びW相の上段スイッチング素子42b,42cはオフ状態となる。このとき、第二インバータ40を介して蓄電装置B(コンデンサC)とポンプ用モータPMとが通電し、これらの間で電流が流れる状態となる(図6を参照)。具体的には、蓄電装置B(コンデンサC)の正極Bp側→U相の上段スイッチング素子42a→ポンプ用モータPM→V相及びW相の下段スイッチング素子42e,42f→蓄電装置B(コンデンサC)の負極Bn側、の経路を経て電流が流れる。
この場合、V相及びW相の電流は分岐負極ラインLn5,Ln6に設けられた2つのシャント抵抗45に流れるので、V相及びW相のステータコイルに流れる電流を検出することは可能である。一方、U相の電流は分岐正極ラインLp4を流れ、分岐負極ラインLn4に設けられたシャント抵抗45には流れない。従って、U相のステータコイルに流れる電流を検出することはできない。他のアクティブベクトル期間においても、電流が流れる経路のパターンに応じて、同様に、1相又は2相のステータコイルに流れる電流を検出することは可能である。
ゼロベクトル期間には、3相の上段スイッチング素子42a〜42cが全てオン状態となる期間と、全てオフ状態となる期間とが存在する。言い換えれば、3相の下段スイッチング素子42d〜42fが全てオフ状態となる期間と、全てオン状態となる期間とが存在する。ここでは、前者を“下段フルオフ期間Tf”と称し、後者を“下段フルオン期間Tn”と称する。下段フルオフ期間Tfは、シャント抵抗45が設けられた側の段のスイッチング素子42全てオフ状態となる期間であり、“対象フルオフ期間”と称することもできる。同様の趣旨で、下段フルオン期間Tnは、“対象フルオン期間”と称することもできる。ゼロベクトル期間では、蓄電装置Bとポンプ用モータPMとの間では、電流は流れない。但し、ゼロベクトル期間では、第二インバータ40とポンプ用モータPMとの間で電流が還流する状態となる。電流の還流パターンは、下段フルオン期間Tnと下段フルオフ期間Tfとで異なる。
例えば図5において(B)で示される、下段フルオン期間Tn中の時点では、3相の下段スイッチング素子42d〜42fが全てオン状態となる。このとき、3相の下段スイッチング素子42d〜42f(又は、対応する整流素子43)を通って、電流が還流する(図7を参照)。具体的には、ポンプ用モータPM→V相及びW相の下段スイッチング素子42e,42f→U相の下段スイッチング素子42dに並列接続された整流素子43→ポンプ用モータPM、の閉回路を電流が還流する。
この場合、分岐負極ラインLn4〜Ln6に設けられた3つのシャント抵抗45の全てに電流が流れる。この現象を利用して、インバータ制御装置5(第二制御部52)は、下段フルオン期間Tnに、シャント抵抗45を用いた電流検出処理を行う。つまり、インバータ制御装置5は、下段フルオン期間Tnにおいて、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルを流れる電流を、同時に検出する。上述したように、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルに流れる電流は、各シャント抵抗45の両端間の電位差に基づいて検出される。
一方、例えば図5において(C)で示される、下段フルオフ期間Tf中の時点では、3相の下段スイッチング素子42d〜42fが全てオフ状態(3相の上段スイッチング素子42a〜42cが全てオン状態)となる。このとき、3相の上段スイッチング素子42a〜42c(又は、対応する整流素子43)を通って、電流が還流する(図8を参照)。具体的には、ポンプ用モータPM→V相及びW相の上段スイッチング素子42b,42cにそれぞれ並列接続された整流素子43→U相の上段スイッチング素子42a→ポンプ用モータPM、の閉回路を電流が還流する。
この場合、分岐負極ラインLn4〜Ln6に設けられた3つのシャント抵抗45には、理論的には、いずれも電流は流れない。しかし実際には、下段フルオフ期間Tf中にも、3つのシャント抵抗45は微小電流を検出する。この微小電流は、下段フルオン期間Tnに実行される電流検出処理のゼロ点(原点)の誤差の原因となる。そこで、インバータ制御装置5は、下段フルオフ期間Tfにも、シャント抵抗45を用いて、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルを流れる微小電流を検出する。つまり、インバータ制御装置5は、下段フルオフ期間Tfにおいて、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルを流れる微小電流を、同時に検出する。このようにして下段フルオフ期間Tfに検出される各相の微小電流を用いて、上述した電流検出処理におけるゼロ点のオフセット補正量ΔOcを算出する。
本発明者らの検討によれば、下段フルオフ期間Tfに各シャント抵抗45により検出される電流の大きさは、一律ではなく、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルを流れる電流の大きさに相関があることが判明した。この点を考慮して、本実施形態では、インバータ制御装置5は、ポンプ用モータPMの電気角1周期Tcを複数の分割期間Tdに分割し、当該複数の分割期間Td毎に個別にオフセット補正量ΔOcを決定する。より具体的には、インバータ制御装置5は、分割期間Td毎に、過去に決定された個々のオフセット補正値を記憶(蓄積)する。そして、蓄積された複数のオフセット補正値に基づき、それらを統計的処理(例えば、特定期間の平均値/加重平均値/最頻値/中央値等を算出)した値として、オフセット補正量ΔOcを決定する。なお、分割期間Td毎のオフセット補正量ΔOcの決定は、シャント抵抗45のそれぞれについて行われる。分割期間Tdの数は、適宜設定しても良いが、好ましくは2(Kは10以下の自然数を表す)である。
インバータ制御装置5は、このようなオフセット補正量ΔOcを用いて、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルに流れる実電流を検出する。インバータ制御装置5は、各相毎に、下段フルオン期間Tnに実行される電流検出処理で得られた電流検出値(図9に示される「Idet」)をオフセット補正量ΔOcで補正することで、ステータコイルに流れる実電流(図9に示される「Ir」)を検出する。つまり、インバータ制御装置5は、各相毎に、実際に得られた電流検出値(Idet)から、その分割期間Tdに割り当てられたオフセット補正量ΔOcを減算することで、ステータコイルに流れる実電流(Ir)を検出する。検出された各相の実電流値は、U相電流Iur、V相電流Ivr、及びW相電流Iwr(図4を参照)として、第二制御部52による電流フィードバック制御に提供される。
上述したように、本実施形態では第二インバータ40に組み込まれたシャント抵抗45が駆動力源室Qに配置されているので、シャント抵抗45の周辺は高温となりやすく、また、温度の変動幅も大きくなりやすい。環境温度の変動幅が大きくなると、シャント抵抗45による電流検出精度が低下し、その結果、ポンプ用モータPMの制御精度も悪化しやすい。装置の起動時にゼロ点のオフセット補正を行うことも知られてはいるが、それだけでは環境温度の大きな変動には対応できないという課題がある。この点、本実施形態では、ポンプ用モータPMの駆動制御中に繰り返し現れる下段フルオフ期間Tfでオフセット補正量ΔOcを決定するので、繰り返しオフセット補正を行うことができ、環境温度の変動にも対応することができる。よって、電流検出処理における検出精度を高めることができる。
ところで、本実施形態では、電流検出処理における実際の電位差サンプリングは、下段フルオン期間Tnの中央(中間時点)で行われる。一方、シャント抵抗45の両端間の電位差は非常に小さいため、そのサンプリングに際してはオペアンプ(演算増幅器;図示せず)によって出力信号が増幅される。すなわち、第二制御部52には、シャント抵抗45からの出力信号を増幅させる増幅回路が備えられる。ところが、汎用のオペアンプには、一般に比較的小さい値に設定されたスルーレート(Slew Rate)が存在し、最大応答速度が制限されている。すなわち、シャント抵抗45からの出力値の時間変化率が、オペアンプに予め設定されたスルーレート(変化率制限値)によって上限リミットされている。
図10には、下段フルオン期間Tnにオペアンプを通して取得されるシャント抵抗45からの出力信号の変化態様の一例を模式的に示している。図10の上段からも理解できるように、例えばポンプ用モータPMの出力トルクを増大させる等の状況で、下段フルオン期間Tnがかなり短くなった場合には、シャント抵抗45の出力信号の増幅が完了しないまま電位差サンプリングが行われる可能性がある。そのような場合には、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルに流れる電流が誤検出される(実際とは異なる値として検出される)ことになるため、ポンプ用モータPMの制御精度が悪化する。例えば、実電流に比べて小さい値が電流検出値として電流フィードバック制御に提供されると、実際よりも大きく算出される電流偏差を打ち消そうとしてより大きな作用力が働くことになる。その結果、ステータコイルに流れる電流が必要以上に増加する可能性がある。
そこで、本実施形態では、インバータ制御装置5は、下段フルオン期間Tnが予め定められた基準時間Trよりも短い場合に、下段フルオン期間Tnを長くするようにポンプ用モータPMの電流フィードバック制御に関するパラメータを調整する調整処理を行う。なお、基準時間Trは、シャント抵抗45からの出力値の時間変化率の上限値としてオペアンプに予め設定された変化率制限値(スルーレート)に基づいて設定されている。基準時間Trは、シャント抵抗45からの出力値として想定される最大値に基づき、当該最大値を変化率制限値で除算して得られる時間の2倍以上の時間として設定されていると好適である。調整対象のパラメータとしては、PWM制御におけるキャリア周波数と、電流ベクトル制御における変調率Mfとが挙げられる。これらは、択一的に調整されても良いし、複合的に調整されても良い。
本実施形態では、PWM制御におけるキャリア周波数が、連続的に変更可能に構成されている。そして、インバータ制御装置5は、調整処理の一態様として、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短い場合に、PWM制御におけるキャリア周波数を低下させる(図10の下段を参照)。制御信号S21〜S26は、キャリアと交流電圧指令値Vu,Vv,Vwとの大小比較に基づいて生成されるので、キャリア周波数を低下させる(キャリア周期を長くする)ことで、各相の下段スイッチング素子42d〜42fのオン状態の継続時間が長くなる。しかも、デューティ比を一定に保ったまま、各相の下段スイッチング素子42d〜42fのオン状態の継続時間を長くすることができる。結果的に、下段フルオン期間Tnを長くすることができる。
本実施形態では、インバータ制御装置5は、下段フルオン期間Tnが基準時間Trに等しくなる周波数に、キャリア周波数を低下させる。これにより、下段フルオン期間Tnとして基準時間Trを確保することができ、オペアンプのスルーレートによって増幅しきっていないシャント抵抗45の出力信号をサンプリングすることを抑制できる。よって、電流検出処理の正確性を担保することができる。また、その場合において、キャリア周波数の低下幅を必要最小限に抑えることができる。よって、ポンプ用モータPMの制御性の低下や騒音の発生等を有効に抑制することができる。
また、インバータ制御装置5は、調整処理の他の一態様として、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短い場合に、電流ベクトル制御における変調率Mfを低下させる。インバータ制御装置5は、弱め界磁制御を行うことにより変調率Mfを低下させる。本実施形態では、“下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短いこと”が、弱め界磁制御の開始条件の1つとして上記で言及した“特定条件”となる。弱め界磁制御が実行されてd軸電流調整指令値ΔIdが導出されると、図4から明らかなようにd軸電流指令値Idは小さくなる(負方向に変化する)。また、所定のマップに基づいて導出されるq軸電流指令値Iqも、一般には図11に示すように等トルク線に沿って小さくなる。その結果、電流フィードバック制御における電流偏差が小さくなり、電流制御部65によって導出される電圧指令値Vd,Vqも小さくなる。このため、上述した式(1)からも明らかなように、弱め界磁制御の実行によって変調率Mfが低下する。
変調率Mfは、直流電圧Vdcに対する第二インバータ40の出力電圧波形の基本波成分の実効値の比率を表す指標であるので、これを小さくすることでデューティ比が低下する。デューティ比が低下すると、各相の上段スイッチング素子42a〜42cのオン状態の継続時間が短くなり、その分、各相の下段スイッチング素子42d〜42fのオン状態の継続時間が長くなる。結果的に、下段フルオン期間Tnを長くすることができる。
インバータ制御装置5は、下段フルオン期間Tnが基準時間Tr以上となるように、変調率Mfを低下させる。このようにするには、例えば、下段フルオン期間Tnが基準時間Tr以上となるような第2の基準変調率を実験的に求めておくと良い。d軸電流調整指令値導出部67は、経験値として得られる第2の基準変調率(例えば、「0.6」〜「0.7」程度の値)と変調率Mfとに基づいて、d軸電流調整指令値ΔIdを導出するように構成されると好適である。このようにしても、下段フルオン期間Tnとして基準時間Trを確保することができ、オペアンプのスルーレートによって増幅しきっていないシャント抵抗45の出力信号をサンプリングすることを抑制できる。よって、電流検出処理の正確性を担保することができる。また、その場合において、ポンプ用モータPMの出力トルクを一定に保つことができる。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係る駆動装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、3本の分岐負極ラインLn4〜Ln6のそれぞれにシャント抵抗45が設けられた構成(3シャント構成)を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、3本の分岐負極ラインLn4〜Ln6のうちの任意の2本のそれぞれに、シャント抵抗45が設けられた構成(2シャント構成)であっても良い。各相の電流の瞬時値の和はゼロとなるので、このような構成によっても、ポンプ用モータPMの各相のステータコイルに流れる電流をそれぞれ適切に検出することができる。或いは、共通負極ラインLn0に1つのシャント抵抗45が設けられた構成(1シャント構成)であっても良い。
(2)上記の実施形態では、シャント抵抗45が、各相用の下段スイッチング素子42d〜42fのそれぞれに流れる電流を検出するために分岐負極ラインLn4〜Ln6に設けられた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、各相用の上段スイッチング素子42a〜42cのそれぞれに流れる電流を検出するために、シャント抵抗45が分岐正極ラインLp4〜Lp6又は共通正極ラインLp0に設けられても良い。但し、この場合、基準電位の生成のための回路を別途設置する必要がある。
(3)上記の実施形態では、回転電機MGの各相用のステータコイルに流れる電流を検出するための電流センサ35として、コアとホール素子とを有するセンサを用いる例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。第一インバータ30の制御周期に対する電流検出可能期間の割合が、第二インバータ40の制御周期に対するシャント抵抗45の電流検出可能期間の割合よりも高いものであれば、他の電流センサを用いても良い。例えば、コアレス型のホール素子電流センサ、磁気コイル式電流センサ、及びコアレスコイル式電流センサ等を用いても良い。
(4)上記の実施形態では、第二インバータ40が、車輪Wから独立して設けられた油吐出用の電動ポンプEPのロータに駆動連結されたポンプ用モータPMを制御する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第二インバータ40が、電動ポンプEPのロータ以外の回転体に駆動連結された交流回転電機を制御するように構成されても良い。このような回転体としては、例えば冷却水吐出用の駆動モータ、エアコンディショナーのコンプレッサ用の駆動モータ、電動パワーステアリング用の駆動モータ、及び冷却ファン用の駆動モータ等のロータが例示される。
(5)上記の実施形態では、車輪Wから独立して設けられたポンプ用モータPMのステータコイルに流れる電流の検出用にシャント抵抗45を用いる例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、車輪Wの駆動用の回転電機MGのステータコイルに流れる電流の検出用にもシャント抵抗45を用いて良い。この場合、上記の実施形態とは異なり、車輪Wの駆動用の回転電機MGも本発明における「交流回転電機」に相当する。
(6)上記の実施形態では、インバータ制御装置5が、ポンプ用モータPMの電気角1周期Tcを分割して規定される複数の分割期間Td毎に個別にオフセット補正量ΔOcを決定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、分割期間Tdが設定されることなく、インバータ制御装置5が、ポンプ用モータPMの電気角1周期Tc全体について一律のオフセット補正量ΔOcを決定しても良い。
(7)上記の実施形態では、PWM制御におけるキャリア周波数が連続的に変更可能な構成を例として説明した。また、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短い場合に、インバータ制御装置5が、下段フルオン期間Tnが基準時間Trに等しくなる周波数にキャリア周波数を低下させる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、PWM制御におけるキャリア周波数が段階的に変更可能に構成されても良い。この場合、インバータ制御装置5は、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短い場合に、段階的に変更可能なキャリア周波数のうち、下段フルオン期間Tnが基準時間Tr以上となる最大の周波数にキャリア周波数を低下させると好適である。また、キャリア周波数が連続的又は段階的に変更可能な両構成において、インバータ制御装置5が、下段フルオン期間Tnが基準時間Tr以上となるいずれかの周波数にキャリア周波数を低下させる構成であっても良い。
(8)上記の実施形態では、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短くなった場合に、インバータ制御装置5が、フィードバック的に弱め界磁制御を行うことにより変調率Mfを低下させる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短くなると予測される状況で、インバータ制御装置5が、弱め界磁制御と同等の制御をフィードフォワード的に行うことにより変調率Mfを低下させても良い。この場合、例えば図12に示すように、ポンプ用モータPMのトルクと回転数とによって定まる動作点に応じて、異なる制御マップ(Map1,Map2)に従ってポンプ用モータPMの制御が実行されても良い。図示の例では、ポンプ用モータPMのトルクと回転数とに応じて2つの制御領域(A1,A2)が設定されている。原点0側に設定される第一領域A1で用いられる制御マップ(Map1)には、d軸電流指令値Idとq軸電流指令値Iqとの関係として、太実線で示された最大トルク制御線(図11も参照)が規定されている。最大トルク制御線は、上述した最大トルク制御を行う場合のd軸電流指令値Id及びq軸電流指令値Iqを規定した線である。また、第一領域A1よりも高回転高トルク側に設定される第二領域A2で用いられる制御マップ(Map2)には、d軸電流指令値Idとq軸電流指令値Iqとの関係として、破線で示された最大トルク制御線よりも左側(Id軸の負側)を通る、補正された制御線(太実線で表示)が規定されている。インバータ制御装置5は、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短くなると予測される高回転高トルク領域(第二領域A2)で、対応する制御マップ(Map2)に従ってポンプ用モータPMの制御を実行することで、弱め界磁制御と同等の制御をフィードフォワード的に行う。これにより、上記の実施形態と同様に、結果的に電流検出処理の正確性を担保することができる。もちろん、3つ以上の制御領域(A1,A2,A3,・・・)が設定され、それぞれに対応する制御マップ(Map1,Map2,Map3,・・・)が規定されても良い。
なお、図12に示すように、第一領域A1と第二領域A2との境界線は、直流電圧Vdcに応じて異なり得る。境界線は、直流電圧Vdcが相対的に高い場合には、相対的に低い場合に比べて高回転高トルク側に位置する。この場合、第二領域A2に対応する制御マップ(Map2)は、直流電圧Vdcの大きさに応じてそれぞれ異なるものであっても良い。このように、インバータ制御装置5は、ポンプ用モータPMのトルクと回転数とによって定まる動作点と、直流電圧Vdcに応じた制御マップとに基づいて、ポンプ用モータPMの制御を行っても良い。ここで、ポンプ用モータPMの「トルク」及び「回転数」は、それぞれ指令値であっても良いし、実検出値であっても良い。本例のようにフィードフォワード的な制御を実行する場合には、指令値を基準として、ポンプ用モータPMのトルク指令値及び回転数指令値に応じて制御マップを切り替えることが好ましい。このようにすれば、制御の安定性を向上させることができる。そのような構成は、磁極位置センサの非存在下で演算によって磁極位置を推定しながらポンプ用モータPMの駆動制御を行う、磁極位置センサレス制御に適用する場合に、特に適している。
(9)上記の実施形態では、下段フルオン期間Tnが基準時間Trよりも短い場合に、インバータ制御装置5が、弱め界磁制御を行うことにより変調率Mfを低下させる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、蓄電装置BとコンデンサCとの間に昇圧回路が備えられる構成では、インバータ制御装置5は、当該昇圧回路を制御して直流電圧Vdcを昇圧させることによって変調率Mfを低下させても良い。
(10)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
(11)さらに、本発明に係る駆動装置とは別に、シャント抵抗を用いて交流回転電機の各相のステータコイルに流れる電流を精度良く検出する機能を有するインバータ制御装置自体も、大きな特徴を有する。すなわち、
直流電源としての蓄電装置BとN(Nは2以上の自然数)相交流駆動式の交流回転電機とに接続されて直流/交流変換を行うインバータを駆動制御するインバータ制御装置5は、
蓄電装置Bの電極ラインLp,Lnとインバータに備えられる各相のスイッチング素子との間に、交流回転電機に流れる電流を検出するシャント抵抗45を、N個又は(N−1)個備え、
各相の上段スイッチング素子及び下段スイッチング素子を個別にスイッチング制御することで交流回転電機をPWM制御し、
各相のシャント抵抗45が設けられる設置側段のスイッチング素子が全てオンとなる対象フルオン期間に、交流回転電機の各相のステータコイルを流れる電流を検出する電流検出処理を行うことを第一の特徴とする。
このような構成において、インバータ制御装置5は、以下の(a)〜(c)のいずれか1つ以上を単独で又は組み合わせて備えることを第二の特徴とする。
(a)各相の設置側段のスイッチング素子が全てオフとなる対象フルオフ期間に、電流検出処理におけるゼロ点のオフセット補正量ΔOcを決定する。
(b)対象フルオン期間が予め定められた基準時間Trよりも短い場合に、PWM制御におけるキャリア周波数を低下させる。
(c)対象フルオン期間が予め定められた基準時間Trよりも短い場合に、インバータの直流電圧Vdcに対する交流電圧指令Vu,Vv,Vwの実効値の比率を表す変調率Mfを低下させる。
これらの各特徴構成を備えるインバータ制御装置も、上記の実施形態で説明した駆動装置に係る各種の作用効果を得ることができる。また、この場合、インバータ制御装置に、上記の実施形態で説明した駆動装置の好適な構成の例として挙げたいくつかの付加的技術を組み込むことも可能である。付加的技術を組み込んだ場合には、それぞれに対応する作用効果を得ることができる。このようなインバータ制御装置は、もちろん、車両用の駆動装置に限らず、多相交流駆動式の交流回転電機を制御するインバータを備えた各種の装置(電化製品や産業用大型設備等)に適用することもできる。
本発明は、例えばハイブリッド車両用の駆動装置に利用することができる。
1 :駆動装置
2 :ケース
5 :インバータ制御装置
30 :第一インバータ
31 :スイッチング素子ユニット
35 :電流センサ
40 :第二インバータ
41 :スイッチング素子ユニット
42a :上段スイッチング素子
42b :上段スイッチング素子
42c :上段スイッチング素子
42d :下段スイッチング素子
42e :下段スイッチング素子
42f :下段スイッチング素子
45 :シャント抵抗
E :内燃機関(駆動力源)
MG :回転電機(車輪駆動用回転電機、駆動力源)
TM :変速装置
W :車輪
EP :電動ポンプ
PM :ポンプ用電動機(交流回転電機)
P :インバータ収容室
Q :駆動力源室
B :蓄電装置(直流電源)
Bp :直流電源の正極
Bn :直流電源の負極
Lp0 :共通正極ライン
Lp4 :分岐正極ライン
Lp5 :分岐正極ライン
Lp6 :分岐正極ライン
Ln0 :共通負極ライン
Ln4 :分岐負極ライン
Ln5 :分岐負極ライン
Ln6 :分岐負極ライン
Lw1 :第一配線部材
Vdc :直流電圧(インバータの直流側の電圧)
Vu :U相電圧指令値(交流電圧指令)
Vv :V相電圧指令値(交流電圧指令)
Vw :W相電圧指令値(交流電圧指令)
Mf :変調率
Tc :第二インバータの制御周期
Td :分割期間
Tn :下段フルオン期間
Tf :下段フルオフ期間
Tr :基準時間
ΔOc :オフセット補正量
1つの態様として、前記インバータ制御装置は、連続的又は段階的に前記キャリア周波数を変更可能に構成され、前記下段フルオン期間が前記基準時間よりも短い場合に、変更可能な前記キャリア周波数のうち、前記下段フルオン期間が前記基準時間以上となる最大の周波数に前記キャリア周波数を低下させると好適である。

Claims (11)

  1. 複数相の電流が流れる交流回転電機と、複数相のそれぞれに対応する各相用スイッチング素子ユニットを有し、直流電源と前記交流回転電機との間に接続されて直流と交流との間の変換を行うインバータと、少なくとも前記交流回転電機を収容するケースと、を備える駆動装置であって、
    前記インバータは、前記ケースに固定され、
    前記ケース及び前記インバータは、車輪の駆動力源を収容する駆動力源室に配置され、
    前記インバータは、前記直流電源と前記各相用スイッチング素子ユニットとの間で、複数の前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれに流れる電流を検出するシャント抵抗を備える駆動装置。
  2. 前記インバータは、前記ケースの外周に沿って形成されたインバータ収容室に配置されている請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記ケース内に収容された、変速装置と、前記変速装置のサーボ機構に供給される油圧を発生させる電動ポンプと、をさらに備え、
    前記交流回転電機が、前記電動ポンプのロータに駆動連結されている請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 前記ケース内に収容された、前記車輪に駆動連結される車輪駆動用回転電機と、前記車輪から独立して設けられた電動ポンプと、をさらに備え、
    前記交流回転電機が、前記電動ポンプのロータに駆動連結されている請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
  5. 前記交流回転電機は、N(Nは2以上の自然数)相の電流が流れるように構成され、
    前記直流電源の正極と前記各相用スイッチング素子ユニットとは、N個の前記各相用スイッチング素子ユニットに共通の共通正極ラインと、前記共通正極ラインから分岐して前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれにつながるN本の分岐正極ラインとを介して接続され、前記直流電源の負極と前記各相用スイッチング素子ユニットとは、N個の前記各相用スイッチング素子ユニットに共通の共通負極ラインと、前記共通負極ラインから分岐して前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれにつながるN本の分岐負極ラインとを介して接続され、
    N本又は(N−1)本の前記分岐負極ラインのそれぞれに、前記シャント抵抗が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置。
  6. 前記インバータを駆動制御するインバータ制御装置をさらに備え、
    前記各相用スイッチング素子ユニットは、前記交流回転電機との接続部よりも前記直流電源の正極側に設けられる上段スイッチング素子と、前記接続部よりも前記直流電源の負極側に設けられる下段スイッチング素子と、を備え、
    前記シャント抵抗は、前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれの前記下段スイッチング素子に流れる電流を検出するように設けられ、
    前記インバータ制御装置は、
    前記各相用スイッチング素子ユニットの前記上段スイッチング素子と前記下段スイッチング素子とを個別にスイッチング制御することで前記交流回転電機をPWM制御し、
    複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオン状態となる下段フルオン期間の前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記交流回転電機を流れる各相の電流を検出する電流検出処理を行い、
    複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオフ状態となる下段フルオフ期間の前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記電流検出処理におけるゼロ点のオフセット補正量を決定する請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動装置。
  7. 前記インバータ制御装置は、前記シャント抵抗のそれぞれについて、前記交流回転電機の電気角1周期を分割して規定される複数の分割期間毎に、個別に前記オフセット補正量を決定する請求項6に記載の駆動装置。
  8. 前記インバータを駆動制御するインバータ制御装置をさらに備え、
    前記各相用スイッチング素子ユニットは、前記交流回転電機との接続部よりも前記直流電源の正極側に設けられる上段スイッチング素子と、前記接続部よりも前記直流電源の負極側に設けられる下段スイッチング素子と、を備え、
    前記シャント抵抗は、前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれの前記下段スイッチング素子に流れる電流を検出するように設けられ、
    前記インバータ制御装置は、
    前記各相用スイッチング素子ユニットの前記上段スイッチング素子と前記下段スイッチング素子とを個別にスイッチング制御することで前記交流回転電機をPWM制御し、
    複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオン状態となる下段フルオン期間に前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記交流回転電機を流れる各相の電流を検出する電流検出処理を行い、
    前記下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合に、前記PWM制御におけるキャリア周波数を低下させる請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
  9. 前記インバータ制御装置は、連続的又は段階的に前記キャリア周波数を変更可能に構成され、前記下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合に、変更可能な前記キャリア周波数のうち、前記下段フルオン期間が前記基準時間以上となる最大の周波数に前記キャリア周波数を低下させる請求項8に記載の駆動装置。
  10. 前記インバータを駆動制御するインバータ制御装置をさらに備え、
    前記各相用スイッチング素子ユニットは、前記交流回転電機との接続部よりも前記直流電源の正極側に設けられる上段スイッチング素子と、前記接続部よりも前記直流電源の負極側に設けられる下段スイッチング素子と、を備え、
    前記シャント抵抗は、前記各相用スイッチング素子ユニットのそれぞれの前記下段スイッチング素子に流れる電流を検出するように設けられ、
    前記インバータ制御装置は、
    複数相の交流電圧の指令である交流電圧指令に基づき、前記各相用スイッチング素子ユニットの前記上段スイッチング素子と前記下段スイッチング素子とを個別にスイッチング制御することで前記交流回転電機をPWM制御し、
    複数の前記各相用スイッチング素子ユニットの全ての前記下段スイッチング素子がオン状態となる下段フルオン期間の前記シャント抵抗の両端の電位差に基づいて前記交流回転電機を流れる各相の電流を検出する電流検出処理を行い、
    前記下段フルオン期間が予め定められた基準時間よりも短い場合に、前記インバータの直流側の電圧に対する前記交流電圧指令の実効値の比率を表す変調率を低下させる請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動装置。
  11. 前記インバータ制御装置は、前記交流回転電機を電流ベクトル制御により制御するように構成され、前記交流回転電機のステータコイルにより生成する磁界が、ロータの界磁磁束を弱める方向に変化するように前記交流電圧指令を調整する弱め界磁制御を行うことにより、前記変調率を低下させる請求項10に記載の駆動装置。
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