JP2015043285A - アルカリ蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極の端部に保護テープを設けなくても、正極の端部の活物質脱落が抑制され、内部短絡の発生割合い(不良率)が小さく、高品質かつ生産性が高いアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】アルカリ蓄電池としてのニッケル水素蓄電池10は、多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が充填されている正極11と、負極12と、セパレータ13を巻回してなる電極群14と、を有し、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、水酸化ニッケルを主体とする正極活物質の密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下であり、正極11の厚みは0.33mm以上0.36mm以下であり、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面はイットリウム化合物が被覆されている。
【選択図】図1
【解決手段】アルカリ蓄電池としてのニッケル水素蓄電池10は、多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が充填されている正極11と、負極12と、セパレータ13を巻回してなる電極群14と、を有し、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、水酸化ニッケルを主体とする正極活物質の密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下であり、正極11の厚みは0.33mm以上0.36mm以下であり、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面はイットリウム化合物が被覆されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカリ蓄電池に関する。
ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle、PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、アイドリングストップ自動車などの車両用途の蓄電池は、高品質、高性能であると共に、多数の蓄電池が使用されるために低コスト化も強く求められており、材料削減や工数削減が検討されている。中でも、アルカリ蓄電池は、低コスト化のために品質や性能が犠牲にされることがある。そのため、これらの低コスト化と品質と性能とが両立したアルカリ蓄電池の開発が必要とされている。
内部短絡抑制を目的とした従来のアルカリ蓄電池では、下記特許文献1に開示されているように、正極の長軸方向における端部切断面に保護テープを貼り付け、端部切断面からの正極活物質の脱落を抑制したものが知られている。
上記特許文献1に開示されているアルカリ蓄電池において、低コスト化を目的として正極の端部切断面の保護テープを廃止した場合、正極と負極とをセパレータを挟んで巻回する際に、正極の端部切断面から正極活物質が脱落して内部短絡が発生する可能性がある。また、このような構成の正極を大量生産するためには、保護テープを貼付するための自動化された加工装置が必要であるとともに、工数が増えることによる生産性低下が課題となる。
そのため、アルカリ蓄電池の低コスト化を目的とし、別途特別な工数を要せず、かつ、品質や性能を犠牲にせず、正極の端部切断面からの正極活物質の脱落を抑制することができるアルカリ蓄電池が要求されている。
本発明の一態様のアルカリ蓄電池は、
ニッケルメッキ鋼板を導電性芯体とする多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が充填されている正極と、負極と、セパレータとを巻回してなる電極群と、
アルカリ電解液と、
を外装缶内に備え、
前記多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、
前記多孔質ニッケル焼結基板に充填されている前記水酸化ニッケルを主体とする正極活物質の密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下であり、
前記正極の厚みは0.33mm以上0.36mm以下であり、
前記多孔質ニッケル焼結基板及び前記正極活物質の表面はイットリウム化合物が被覆されている。
ニッケルメッキ鋼板を導電性芯体とする多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が充填されている正極と、負極と、セパレータとを巻回してなる電極群と、
アルカリ電解液と、
を外装缶内に備え、
前記多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、
前記多孔質ニッケル焼結基板に充填されている前記水酸化ニッケルを主体とする正極活物質の密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下であり、
前記正極の厚みは0.33mm以上0.36mm以下であり、
前記多孔質ニッケル焼結基板及び前記正極活物質の表面はイットリウム化合物が被覆されている。
本発明の一態様のアルカリ蓄電池においては、イットリウム化合物が接着剤としての機能を奏するため、正極の端部に保護テープを設けなくても、正極の端部切断面からの活物質脱落が抑制される。これにより、本発明の一態様のアルカリ蓄電池によれば、内部短絡の発生割合い(不良率)が小さく、HEV、PHEV、アイドリングストップ自動車などに好適な、高品質かつ生産性が高いアルカリ蓄電池が得られる。
以下、本発明の一実施形態にかかるアルカリ蓄電池としてのニッケル水素蓄電池について、各種実験例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す各種実験例は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこれらの実験例に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
[水素吸蔵合金負極の作製]
実験例1〜34の電池の負極活物質として共通して使用する水素吸蔵合金粉末は、次のようにして作製した。ランタン(La)、ネオジム(Nd)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)を所定のモル比の割合となるように混合し、この混合物を高周波誘導炉で溶解し、これを溶融急冷して、組成がLa0.4Nd0.5Mg0.1Ni3.5Al0.2で表される水素吸蔵合金のインゴットを作製した。この水素吸蔵合金は、一般式をLaxNdyMg1−x−yNin−aAlaで表すと、x=0.4、y=0.5、n=3.7、a=0.2の場合に対応する。次いで、得られた水素吸蔵合金の融点よりも30℃だけ低い温度で10時間の熱処理を行った。
実験例1〜34の電池の負極活物質として共通して使用する水素吸蔵合金粉末は、次のようにして作製した。ランタン(La)、ネオジム(Nd)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)を所定のモル比の割合となるように混合し、この混合物を高周波誘導炉で溶解し、これを溶融急冷して、組成がLa0.4Nd0.5Mg0.1Ni3.5Al0.2で表される水素吸蔵合金のインゴットを作製した。この水素吸蔵合金は、一般式をLaxNdyMg1−x−yNin−aAlaで表すと、x=0.4、y=0.5、n=3.7、a=0.2の場合に対応する。次いで、得られた水素吸蔵合金の融点よりも30℃だけ低い温度で10時間の熱処理を行った。
この後、得られた水素吸蔵合金の塊をそれぞれ粗粉砕した後、不活性雰囲気中で機械的に粉砕し、篩分けにより400メッシュ〜200メッシュの間に残る水素吸蔵合金粉末を選別した。なお、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により粒度分布を測定すると、質量積分50%に該当する平均粒径は25μmであった。これを実験例1〜34の電池で共通して使用する水素吸蔵合金粉末とした。
この後、得られた水素吸蔵合金粉末100質量部に対し、非水溶性高分子結着剤としてのSBR(スチレンブタジエンゴム)を0.5質量部と、増粘剤としてCMC(カルボキシメチルセルロース)を0.03質量部とに適量の純水を加えて混練し、水素吸蔵合金スラリーを調製した。得られた水素吸蔵合金スラリーをニッケルメッキ鋼板製のパンチングメタルからなる負極芯体の両面に塗着した後、100℃で乾燥し、所定の充填密度になるように圧延した後、所定の寸法に裁断し、実験例1〜34の電池で使用する負極を作製した。
[正極の作製]
実験例1〜34の電池で使用する正極は、次のようにして作製した。ニッケル粉末に、増粘剤となるメチルセルロース(MC)と、例えば孔径が60μmの高分子中空微小球体と、水とを混合・混練してニッケルスラリーを調製した。次いで、ニッケルメッキ鋼板からなるパンチングメタルの両面にニッケルスラリーを塗着した後、還元性雰囲気中で1000℃で加熱して、増粘剤や高分子中空微小球体を消失させるとともにニッケル粉末同士を焼結し、多孔質ニッケル焼結基板を得た。
実験例1〜34の電池で使用する正極は、次のようにして作製した。ニッケル粉末に、増粘剤となるメチルセルロース(MC)と、例えば孔径が60μmの高分子中空微小球体と、水とを混合・混練してニッケルスラリーを調製した。次いで、ニッケルメッキ鋼板からなるパンチングメタルの両面にニッケルスラリーを塗着した後、還元性雰囲気中で1000℃で加熱して、増粘剤や高分子中空微小球体を消失させるとともにニッケル粉末同士を焼結し、多孔質ニッケル焼結基板を得た。
得られた多孔質ニッケル焼結基板をニッケル塩及び亜鉛塩を含む含浸液に浸漬し、多孔質ニッケル焼結基板の細孔内に含浸液を含浸した後、乾燥し、次いで、アルカリ処理液に浸漬してアルカリ処理を行った。なお、含浸液としては硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)と硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)を所定のモル比となるように調製した混合水溶液を用い、アルカリ処理液としては比重が1.3の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を用いた。
これにより、ニッケル塩及び亜鉛塩を水酸化ニッケル(Ni(OH)2)及び水酸化亜鉛(Zn(OH)2)に転換した。この後、充分に水洗してアルカリ溶液を除去した後、乾燥した。このような、含浸液の含浸、乾燥、アルカリ処理液への浸漬、水洗及び乾燥という一連の正極活物質の充填操作を6回繰り返すことにより、所定量の正極活物質を多孔質ニッケル焼結基板に充填した。
所定量の正極活物質が充填された多孔質ニッケル焼結基板へのイットリウム化合物の被覆は以下のようにして行った。まず、硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)と硝酸イットリウム(Y(NO3)3)とをモル比で1:1となるように混合した25〜45℃のイットリウム含浸液(比重1.23)を調製した。このイットリウム含浸液に上述のようにして作製した所定量の正極活物質が充填された多孔質ニッケル焼結基板を浸漬し、多孔質ニッケル焼結基の細孔内にイットリウム含浸液を含浸するとともに、多孔質ニッケル焼結基板の表面にイットリウム含浸液を被覆した。その後、イットリウム含浸液が含浸及び被覆された多孔質ニッケル焼結基板を濃度が8mol/Lで温度が80℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、イットリウム含浸液中の硝酸ニッケルと硝酸イットリウムとをそれぞれ水酸化物に転換する活物質化処理を行った。
その後、活物質化処理を行った多孔質ニッケル焼結基板を水槽に浸漬して多孔質ニッケル焼結基板中に含まれるアルカリ量を調整し、100〜130℃の雰囲気温度で60分間加熱処理した。加熱処理した多孔質ニッケル焼結基板を水槽に60分間浸漬することにより、多孔質ニッケル焼結基板中に含まれるアルカリ残留分を消失させた後、80℃で60分間乾燥することにより、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面にイットリウム化合物が被覆された正極を得た。その際、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度、正極の厚み、正極活物質密度、イットリウム化合物の被覆量を種々変更することにより、実験例1〜34で使用する正極を作製した。なお、以下に示すイットリウム化合物の被覆量は、全て正極の単位面積当たりにおいて、イットリウム金属元素換算で求めた値である。
実験例1〜34で使用する正極におけるニッケル焼結基板のニッケル密度、正極の厚み、正極活物質密度、イットリウム化合物の被覆量を、実験例1〜24のものについては表1に、実験例25〜27のものについては実験例7のものとともに表2に、実験例28〜30のものについては実験例14のものとともに表3に、実験例31〜34のものについては実験例14のものとともに表4に、それぞれまとめて示した。
なお、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度及び正極活物質密度は、
正極の体積=正極の長さ×コーティング幅×(正極の厚さ−正極芯体厚さ)
として、以下の式で算出した。
ニッケル密度 =正極当たりのニッケル質量÷正極の体積
正極活物質密度 =正極当たりの正極活物質質量÷正極の体積
正極の体積=正極の長さ×コーティング幅×(正極の厚さ−正極芯体厚さ)
として、以下の式で算出した。
ニッケル密度 =正極当たりのニッケル質量÷正極の体積
正極活物質密度 =正極当たりの正極活物質質量÷正極の体積
[電解液の調製]
アルカリ電解液は、30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に、水酸化ナトリウム(NaOH)及び水酸化リチウム(LiOH)を所定のモル比となるよう調製した混合水溶液に対し、タングステン酸ナトリウムをタングステン換算で正極活物質の質量に対して0.5質量%となるように添加したものを用いた。
アルカリ電解液は、30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液に、水酸化ナトリウム(NaOH)及び水酸化リチウム(LiOH)を所定のモル比となるよう調製した混合水溶液に対し、タングステン酸ナトリウムをタングステン換算で正極活物質の質量に対して0.5質量%となるように添加したものを用いた。
[ニッケル水素蓄電池の作製]
上述のようにして作製された負極と正極とを用い、これらの間に、目付量が60g/m2のポリオレフィン製不織布からなるセパレータを介在させて渦巻状に巻回して電極群を作製した。このようにして作製された電極群の下部は負極芯体露出部が露出しており、その上部には正極芯体露出部が露出している。このとき、正極巻き終わり部の外周に位置し、負極に対向しているセパレータの厚みを、巻取り圧力を調節して適宜に変更した。
上述のようにして作製された負極と正極とを用い、これらの間に、目付量が60g/m2のポリオレフィン製不織布からなるセパレータを介在させて渦巻状に巻回して電極群を作製した。このようにして作製された電極群の下部は負極芯体露出部が露出しており、その上部には正極芯体露出部が露出している。このとき、正極巻き終わり部の外周に位置し、負極に対向しているセパレータの厚みを、巻取り圧力を調節して適宜に変更した。
セパレータの厚さは、実験例1〜30のものでは0.10mm、実験例31のものでは0.04mm、実験例32のものでは0.06mm、実験例33のものでは0.07mm、実験例34のものでは0.15mmとなるようにした。表1〜表4には、実験例1〜34のそれぞれのセパレータの厚さもそれぞれ示してある。
得られた電極群の下端面に露出する負極芯体露出部に負極集電体を溶接するとともに、電極群の上端面に露出する正極芯体露出部の上に正極集電体を溶接して、電極体とした。
得られた電極体をニッケルメッキを施した鉄製の有底筒状の外装缶(底面の外面は負極外部端子となる)内に収納した後、負極集電体を外装缶の底面の内側に溶接した。正極集電体より延出する集電リード部を正極端子を兼ねるとともに外周部に絶縁ガスケットが装着された封口体の底部に溶接した。なお、封口体には正極キャップが設けられており、この正極キャップ内に所定の圧力になると変形する弁体とスプリングよりなる圧力弁が配置されている。
次いで、外装缶の上部外周部に環状溝部を形成した後、アルカリ電解液を正極面積(極板幅×極板長)に対する電解液量が350g/m2となるように注入し、外装缶の上部に形成された環状溝部の上に封口体の外周部に装着された絶縁ガスケットを載置した。この後、外装缶の開口端縁をかしめ、実験例1〜34のそれぞれに対応するニッケル水素蓄電池をそれぞれ200個ずつ作製した。なお、アルカリ電解液量は、正極面積に対する電解液量が330g/m2以上370g/m2以下となるように注入すればよい。
このようにして作製されたニッケル水素蓄電池10の具体的構成を図1を用いて説明する。ニッケル水素蓄電池10は、上述のようにして作製された正極11と、負極12とがセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回された電極群14を有している。正極11は、ニッケルメッキ鋼板製のパンチングメタルからなる正極芯体15の両面に形成された多孔質ニッケル焼結体内に、水酸化ニッケルを主成分とし、水酸化亜鉛等が添加された正極活物質16が充填された構成を有している。負極12は、ニッケルメッキした軟鋼材製のパンチングメタルからなる負極芯体18の両面に負極活物質としての水素吸蔵合金粉末を有する負極合剤層19が形成されている。
電極群14の下部には負極芯体18に負極集電体20が抵抗溶接されており、電極群14の上部には正極芯体15に正極集電体21が抵抗溶接されている。電極群14は、ニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒形の外装缶22内に挿入されており、負極集電体20と外装缶22の底部との間はスポット溶接されている。
外装缶22の開放端側には、ニッケルメッキを施した鉄製の封口体23が、ガスケット24を介して外装缶22とは電気的に絶縁された状態で、カシメ固定されている。正極集電体21は、封口体23に溶接されて電気的に接続されている。正極集電体21の中央部には開口25が設けられており、この開口25には弁体26が開口25を塞ぐように配置されている。
封口体23の上面には、開口25の周囲を覆い、かつ、弁体26とは一定距離だけ隔てた状態となるように、正極キャップ27が設けられている。正極キャップ27には、適宜ガス抜き孔(図示省略)が設けられている。正極キャップ27の内面と弁体26との間にはバネ28が設けられており、弁体26はバネ28によって封口体23の開口25を塞ぐように押圧されている。この弁体26は外装缶22の内部の圧力が高くなった際に、内部の圧力を逃がす安全弁としての機能を有している。
[電池の活性化]
実験例1〜34のそれぞれの電池において、25℃の温度雰囲気で、1Itの充電電流でSOC(State of Charge:充電深度)が120%となるまで充電し、1時間休止させた。次いで、60℃の温度雰囲気で24時間放置した後、30℃の温度雰囲気で、1Itの放電電流で電池電圧が0.9Vになるまで放電させるサイクルを2サイクル繰り返して、電池を活性化した。
実験例1〜34のそれぞれの電池において、25℃の温度雰囲気で、1Itの充電電流でSOC(State of Charge:充電深度)が120%となるまで充電し、1時間休止させた。次いで、60℃の温度雰囲気で24時間放置した後、30℃の温度雰囲気で、1Itの放電電流で電池電圧が0.9Vになるまで放電させるサイクルを2サイクル繰り返して、電池を活性化した。
[電池の不良発生率の測定]
活性化終了後の実験例1〜34の各電池を1ヵ月間常温で保存し、開路電圧が母集団平均から10mV以上低下したものを不良品と判定し、不良品発生率を求め、さらに、不良品発生率が2%以下のものについては「◎」で表し、2%を超え5%以下のものについては「○」で表し、5%を超えたものについては「×」で表した。結果を、実験例1〜24のものについては表1に、実験例25〜27のものについては実験例7のものとともに表2に、実験例28〜30のものについては実験例14のものとともに表3に、実験例31〜34のものについては実験例14のものとともに表4に、それぞれまとめて示した。
活性化終了後の実験例1〜34の各電池を1ヵ月間常温で保存し、開路電圧が母集団平均から10mV以上低下したものを不良品と判定し、不良品発生率を求め、さらに、不良品発生率が2%以下のものについては「◎」で表し、2%を超え5%以下のものについては「○」で表し、5%を超えたものについては「×」で表した。結果を、実験例1〜24のものについては表1に、実験例25〜27のものについては実験例7のものとともに表2に、実験例28〜30のものについては実験例14のものとともに表3に、実験例31〜34のものについては実験例14のものとともに表4に、それぞれまとめて示した。
表1は、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量が50mg/cm2であり、セパレータの厚さが0.10mmの場合の測定結果を示している。この表1に示した結果から、以下のことが分かる。すなわち、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が0.90g/cm3(実験例1〜4)及び1.70g/cm3(実験例21〜24)の場合には、不良率が全て5%を超えており、判定結果は全て「×」となっている。それに対し、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下(実験例5〜20)の場合には、不良率が2%以下、すなわち判定結果が「◎」になる場合が存在する。したがって、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量が50mg/cm2であり、セパレータの厚さが0.10mmの場合、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下が好ましいことが分かる。
また、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下の場合においては、正極の厚みが0.32mm(実験例5、9、13及び17)の場合及び0.38mm(実験例8、12、16及び20)の場合には、不良率が全て5%を超えており、判定結果は全て「×」となっている。それに対し、正極の厚みが0.33mm(実験例6、10、14及び18)の場合及び0.36mm(実験例7、11、15及び19)の場合には、不良率が全て2%以下、すなわち判定結果が全て「◎」となっている。したがって、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量が50mg/cm2であり、セパレータの厚さが0.10mmであり、かつ、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下の場合においては、正極の厚みは0.33mm以上0.36mm以下が好ましいことが分かる。
さらに、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、正極の厚みが0.33mm以上0.36mm以下の場合においては、正極活物質密度が1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下の場合(実験例6、7、10、11、14、15、18及び19)には、不良率が全て2%以下、すなわち判定結果が全て「◎」となっている。したがって、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量が50mg/cm2であり、セパレータの厚さが0.10mmであり、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、かつ、正極の厚みが0.33mm以上0.36mm以下の場合においては、正極活物質密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下が好ましいことが分かる。
表1に示した結果は、イットリウム化合物は接着剤としての機能を有しており、少なくとも多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面にイットリウム化合物が被覆されている場合、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度を1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下とし、正極の厚みを0.33mm以上0.36mm以下とし、かつ、正極活物質密度を1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下とすることにより、不良発生率が低く、高品質で生産性に優れたアルカリ蓄電池を提供できることを示すものである。この不良発生率が低いということは、正極活物質の骨格強度と柔軟性を適切に制御でき、正極活物質の脱落が起こり難くなるため、内部短絡が生じ難くなって電圧不良の発生を抑制できるということを示している。
表2は、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度を1.10g/cm3とし、正極の厚みを0.36mmとし、正極活物質密度を1.76g/cm3とし、セパレータの厚さを0.10mmとし、かつ、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量を40mg/cm2(実験例25)、45mg/cm2(実験例26)、50mg/cm2(実験例7)及び60mg/cm2(実験例27)に変化させた場合の結果を示している。また、表3は、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度を1.30g/cm3とし、正極の厚みを0.33mmとし、正極活物質密度を1.97g/cm3とし、かつ、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量を40mg/cm2(実験例28)、45mg/cm2(実験例29)、50mg/cm2(実験例14)及び60mg/cm2(実験例30)に変化させた場合の結果を示している。
表2及び表3に示した結果は、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.10〜1.30g/cm3、正極の厚みが0.33〜0.36mm、正極活物質密度が1.76〜1.97g/cm3の場合であれば、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量が40〜60mg/cm2であっても、不良率の発生が少なく、高品質で生産性に優れたアルカリ蓄電池を提供できることを示すものである。この場合、特に多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量を45〜60mg/cm2とすると、より良好な結果が得られることが分かる。
表4は、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度を1.30g/cm3とし、正極の厚みを0.33mmとし、正極活物質密度を1.97g/cm3とし、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量を50mg/cm2とし、セパレータの厚さを0.04mm(実験例31)、0.06mm(実験例32)、0.07mm(実験例33)、0.10mm(実験例14)及び0.15mm(実験例34)と変化させた場合の結果を示している。
表4に示した結果は、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度が1.30g/cm3、正極の厚みが0.33mm、正極活物質密度が1.97g/cm3、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量が50mg/cm2の範囲の場合、セパレータの厚さが0.04〜0.15mmの範囲であれば、高品質で生産性に優れたアルカリ蓄電池を提供できることを示すものである。この場合、特にセパレータの厚さを0.07〜0.15mmとすると、より良好な結果が得られることが分かる。
以上の表1〜表4の結果を総合的に勘案すると、多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、正極に充填されている正極活物質の密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下であり、正極の厚みは0.33mm以上0.36mm以下であり、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面はイットリウム化合物が被覆されていることが好ましいことがわかる。
この場合、多孔質ニッケル焼結基板及び正極活物質の表面におけるイットリウム化合物の被覆量は、40mg/cm2以上60mg/cm2以下であることが好ましく、45mg/cm2以上60mg/cm2以下であることがより好ましい。また、電極群の正極の端部と対面する部分のセパレータの厚みは、0.04mm以上0.15mm以下であることが好ましく、0.07mm以上0.15mm以下であることがより好ましい。
上記各実験例においては、負極活物質としてLa0.4Nd0.5Mg0.1Ni3.5Al0.2で表される水素吸蔵合金を用いた例を示したが、これ以外の組成の水素吸蔵合金も用いることができる。例えば、HEV、PHEV、EV、アイドリングストップ自動車などに好適な高温における各種電池特性が良好なアルカリ蓄電池用としては、一般式がLaxReyMg1−x−yNin−aMa(ReはLa以外の希土類元素及びYからから選択される少なくとも1種の元素であり、MはAl、Co、Mn、Znから選択される少なくとも1種の元素)で表され、x/yが0.4以上のA5B19型構造の結晶構造を有している水素吸蔵合金を用いることができる。なお、A5B19型の安定な結晶構造を得るためには、上記水素吸蔵合金の一般式のうち、nは3.6以上3.9以下であって、aは0以上0.2以下が好ましい。
10…ニッケル水素蓄電池 11…正極 12…負極
13…セパレータ 14…電極群 15…正極芯体
16…正極活物質 18…負極芯体 19…負極合剤層
20…負極集電体 21…正極集電体 22…外装缶
23…封口体 24…ガスケット 25…開口
26…弁体 27…正極キャップ 28…バネ
13…セパレータ 14…電極群 15…正極芯体
16…正極活物質 18…負極芯体 19…負極合剤層
20…負極集電体 21…正極集電体 22…外装缶
23…封口体 24…ガスケット 25…開口
26…弁体 27…正極キャップ 28…バネ
Claims (5)
- ニッケルメッキ鋼板を導電性芯体とする多孔質ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする正極活物質が充填されている正極と、負極と、セパレータと、を巻回してなる電極群と、
アルカリ電解液と、
を外装缶内に備え、
前記多孔質ニッケル焼結基板のニッケル密度は1.10g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、
前記多孔質ニッケル焼結基板に充填されている前記水酸化ニッケルを主体とする正極活物質の密度は1.76g/cm3以上1.97g/cm3以下であり、
前記正極の厚みは0.33mm以上0.36mm以下であり、
前記多孔質ニッケル焼結基板及び前記正極活物質の表面はイットリウム化合物が被覆されている、
アルカリ蓄電池。 - 前記イットリウム化合物の被覆量はイットリウム金元素換算で前記正極の単位面積あたり40mg/cm2以上60mg/cm2以下である、請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
- 前記イットリウム化合物の被覆量はイットリウム金属元素換算で前記正極の単位面積あたり45mg/cm2以上60mg/cm2以下である、請求項2に記載のアルカリ蓄電池。
- 前記電極群の前記正極の端部と対面する部分のセパレータの厚みは0.04mm以上0.15mm以下である、請求項請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池。
- 前記電極群の前記正極の端部と対面する部分のセパレータの厚みは0.07mm以上0.15mm以下である、請求項請求項4に記載のアルカリ蓄電池。
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JP2013174539A JP2015043285A (ja) | 2013-08-26 | 2013-08-26 | アルカリ蓄電池 |
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CN112018456A (zh) * | 2019-05-31 | 2020-12-01 | 朴力美电动车辆活力株式会社 | 二次电池的制造方法和镍氢二次电池 |
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2013
- 2013-08-26 JP JP2013174539A patent/JP2015043285A/ja active Pending
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CN112018456A (zh) * | 2019-05-31 | 2020-12-01 | 朴力美电动车辆活力株式会社 | 二次电池的制造方法和镍氢二次电池 |
JP2020198187A (ja) * | 2019-05-31 | 2020-12-10 | プライムアースEvエナジー株式会社 | 二次電池の製造方法及びニッケル水素二次電池 |
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