JP2015042432A - 平均放電遅れ時間算出手段を備えたワイヤ放電加工機 - Google Patents

平均放電遅れ時間算出手段を備えたワイヤ放電加工機 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術に比べて高精度で安定した加工が可能なワイヤ放電加工機を提供する。【解決手段】電圧印加回数計数回路12は、所定の測定期間における、ワイヤ電極4とワーク1間に電圧が印加される回数を計数する回路である。放電遅れ積算時間測定回路13は、所定の測定期間における、電圧の印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する回路である。数値制御装置14は、電圧印加回数及び放電遅れ積算時間から所定の測定期間における電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する。算出した平均放電遅れ時間に基づいて、サーボモータ2,3の移動指令をサーボ制御装置15に出力する。サーボ制御装置15は、移動指令に基づいて、サーボモータ2,3を駆動して、ワイヤ電極4とワーク1の間隙を一定に保持するサーボ送り制御を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、平均放電遅れ時間算出手段を備えたワイヤ放電加工機に関する。
ワイヤ放電加工機は、測定した極間平均電圧が目標値と一致するようにワイヤ電極とワーク間を制御することで、一定の放電ギャップを得るように制御する、極間平均電圧一定サーボ送り制御が一般的である。この時、極間平均電圧の測定方法としては、極間電圧を全波整流回路により全波整流した後、ローパスフィルタ回路によって直流に近い電圧波形に変換して、極間平均電圧を求めるのが一般的である。この方式の場合、全く同じ極間電圧波形であっても、アナログ回路が持つ測定誤差により、機械によって測定値に誤差が生じるため、正確に加工を再現することが困難になる場合があった。特に放電が発生した際に極間に現われる電圧波形は、およそ数十kHz〜数十MHzまで、幅広い周波数成分を持つため、アナログ回路を構成する部品の周波数特性の誤差や、部品の仕様の固体差により、測定回路から得られる極間平均電圧は、機械によって誤差を生じてしまうという問題があった。
この問題を解決するため、特許文献1では、極間に電圧を印加してから放電が発生するまでの無負荷時間(以下、「放電遅れ時間」という)を検出し、放電遅れ時間が所定の時間に一致するようにサーボ送りをするようにしている。放電加工においては、ワイヤ電極とワーク間に印加した電圧が一定の場合、電圧を印加してから放電が発生するまでの放電遅れ時間と、ワイヤ電極とワーク間の間隙量に相関があることが知られている。
しかしながら、実際の加工においては、全ての放電が毎回全く同じ放電遅れ時間で発生するわけではなく、相関関係から得られる値を中心として、電圧印加毎に大きく変動する。特に、荒加工や2回加工など、極間に多量の大きな導電性スラッジが浮遊する状況では、スラッジを介して、電圧印加直後に放電する場合もあるため、その場合の放電遅れ時間は、実際の極間の間隙に応じた値よりもずっと小さな値となる。その結果、サーボへの送り速度指令は、電圧印加毎に大きく変動することとなり、制御が不安定となり、加工の結果、一定の加工溝幅を得るのが非常に困難となる。
これを解決するため、特許文献2では、電圧印加から放電が発生するまで放電遅れ時間を、所定の期間の間積算し、これを予め定めた上限しきい値及び下限しきい値と比較し、その結果に応じて、ワイヤ電極とワーク間の相対距離を制御するようにしている。更に、特許文献3では、電圧印加から放電が発生するまでの放電遅れ時間を、所定のサンプリング周期毎に合計し、更に、これに所定遮断周波数のローパスフィルタを施すことで、突発的な変化を除去し、フィルタ処理された値が所定値に一致するようにワイヤ電極とワーク間の相対距離を制御するようにしている。
どちらも、所定の期間の放電遅れ時間を積算し、それが所定値に一致するようにサーボ送りをすることで、放電遅れ時間のバラツキやスラッジを介した放電による、急激な放電遅れ時間の変化には応答しにくくなるため、ある程度、制御性が安定すると言える。
また、特許文献4では、所定期間毎に放電回数を検出し、この期間を検出した放電回数で除算することで、放電1回当たりの総時間を求め、この総時間から、予め定められた通電時間と休止時間を減算することで、平均放電遅れ時間算出するものである。
一方、放電遅れ時間ではなく、放電遅れ時間に応じた極間電圧を求め、送り制御を行う従来技術もある。特許文献5には、従来技術による休止時間を含んだ極間平均電圧を測定し、この極間平均電圧値と設定した休止時間から、休止時間を除いた補正後の極間平均電圧を求めるための補正値を、予めテーブルとして用意しておき、このテーブルから求まる補正後の極間平均電圧を用いて、休止時間を含まない極間平均電圧を求める方法が記載されている。
特許文献6には、所定期間における放電パルスの放電遅れ時間の和TBを、測定時間TAで除して時間比率を求め、これに基準電圧Eを乗じて平均電圧をV=(TB/TA)×Eにより求める方法が記載されている。また、特許文献7には、極間電圧をE、放電時の休止時間をToff、放電時の通電時間をTon、測定時間Ta、測定時間内で測定された放電回数Nから、平均電圧をV={(Ta−N×(Ton+Toff))/Ta}×Eにより求める方法が記載されている。
特開昭50−1499号公報 特開昭55−101333号公報 特開平2−109633号公報 特開平7−246519号公報 特開2003−165030号公報 特開平2−298426号公報 特開2004−136410号公報 特開2010−280046号公報 特開2002−254250号公報 特開2004−283968号公報
特許文献1や特許文献2では、所定のサンプリング周波数毎に放電遅れ時間を積算しているが、「所定の期間」や「所定のサンプリング周波数」というように、放電遅れ時間の測定期間が固定されている上、電圧印加回数が加味されていない。
ワイヤ放電加工では、放電を誘起するための補助電源を極間に接続し、補助電源による放電を検出したら主電源を極間に接続して加工電流を印加するが、その後、断線防止のために、電圧を印加しない休止時間を挿入するのが一般的である。加工が安定していれば、放電はほぼ一定の割合で発生し、休止時間も、ほぼ一定の割合で入る。ところが、ワークの段差部で加工液の流れが変化し、スラッジの排出が悪くなったり、コーナー部でワイヤとワークの対抗面積が急激に変化するなどして、放電頻度が変化すると、固定された測定期間における放電回数が変化し、所定の測定期間にて休止時間が占める割合が大きく変化してしまうので、測定期間に含まれる印加回数も大きく増減することになる。
加工が安定していて極間の間隙量が一定であれば、放電遅れ時間も一定になる。安定加工の状態で、所定の測定期間での印加回数が多ければ、放電遅れ時間の積算値は大きくなるべきだし、印加回数が少なければ、積算値は小さくなるべきである。このように、放電頻度が変化した結果、所定の測定期間での印加回数が変化したにも関わらず、放電遅れ時間の積算値を一定に制御しようとすると、極間の間隙量を一定に制御することは出来ない。
また、加工液の流れの変化等により、ワイヤの撓みの量や方向が変化して、極間平均電圧が急激に低下し、極間状態が短絡に近い状態になったと判断した場合には、休止時間を急激に伸ばすことがある。また、コーナー部や切込み開始部にて、加工量が急激に変化した場合、放電頻度を減らして加工を安定化させるため、休止時間を大きく伸ばすことがある。
このような場合に挿入される休止時間は、数百マイクロ秒〜数ミリ秒程度の長い時間が必要になる場合がある。特許文献2や特許文献3では、先の説明の通り、放電遅れ時間の測定期間が固定されている上、測定期間中の印加回数が全く考慮されていないため、測定された放電遅れ時間の積算値は、ワークとワイヤ電極間の間隙量とは、全く相関の無い値となってしまう。
また、このように長い休止時間が挿入されると、休止時間の中に、測定期間が完全に含まれてしまう場合がある。この場合、放電遅れ時間の積算はゼロになるため、実際の極間状態を全く反映しないものになってしまう。更に、放電遅れ時間の積算がゼロの状態で、放電遅れ時間一定制御をした場合、放電遅れ時間が長くなるよう、ワイヤ電極とワーク間の相対速度が非常に遅くなるように制御されてしまうため、加工の結果、一定の加工溝を得ることは出来ない。
また、一般的なワイヤ放電加工方法である、全波整流回路やローパスフィルタ回路で平均化処理された極間平均電圧が一定となるように制御する、極間平均電圧一定サーボ送り制御による加工方法の場合、放電頻度を減らして加工量を減らす為に大きな休止時間を挿入すると、平均電圧が低下し、加工速度が遅くなる。例えば、外コーナー部を仕上げ加工する場合、必要な加工量が減少するため、加工量を減らす目的で必ず長い休止時間を入れるように制御した場合、多くのコーナーを持つ形状を加工すると、コーナー毎に加工速度が非常に遅くなってしまうので、加工時間が非常に長くなってしまう、といった問題があった。
また、極間電圧を求める特許文献6と特許文献7は、どちらも、所定の測定期間中における、放電遅れ時間の割合を求め、これに基準電圧を乗じて、平均電圧を求めている。つまり、所定の測定時間に対する放電遅れ時間の積算値の割合を計測することで、従来のアナログ回路にて求めていた極間平均電圧を、近似的に求めるものであるから、根本的に、本発明で求めようとしている、正確な平均放電遅れ時間に基づく極間電圧とは異なるものである。例えば、休止時間が延びると、当然ながら所定の測定期間に対する放電遅れ時間の積算値の割合が短くなり、求まる平均電圧も小さくなる。このように、求まる平均電圧は休止時間の影響を大きく受けるし、電圧印加回数が考慮されていないことから、極間の間隙量に相関のある正確な平均放電遅れ時間とは、なんら相関の無いものにしかならない。
そこで、本発明の目的は、極間の間隙量に相関のある正確な平均放電遅れ時間を測定する平均放電遅れ時間算出手段を提供し、より安定した加工が可能なワイヤ放電加工機を提供することである。
本願の請求項1に係る発明は、ワイヤ電極に対するテーブルの相対位置を移動させながら、前記ワイヤ電極と前記テーブル上に配置されたワークとの間である極間に電圧を印加して放電を発生させ、前記ワークを加工するワイヤ放電加工機において、電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間について、所定の測定期間における、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する測定手段と、前記所定の測定期間における、電圧印加回数を計数する計数手段と、前記測定手段と計数手段から求められた放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、前記所定の測定期間の電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する平均放電遅れ時間算出手段、とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工機である。
請求項2に係る発明は、前記測定手段と前記計数手段により、前記所定の測定期間における放電遅れ積算時間と電圧印加回数を、極間電圧が正の場合と負の場合とで各々両方、若しくは片方の極性のみについて求め、前記平均放電遅れ時間算出手段により、前記所定の測定期間毎に、極性に対する平均放電遅れ時間を求めることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項3に係る発明は、前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の基準電圧値以上である時間の積算値であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項4に係る発明は、前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の第一基準電圧値以上となる時点から、所定の第二基準電圧値以下になる時点までの時間の積算値であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項5に係る発明は、前記平均放電遅れ時間が、目標値に一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項6に係る発明は、前記平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項7に係る発明は、前記平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項8に係る発明は、電圧印加開始から、放電が発生しない場合に電圧印加を打ち切るまでの時間、又は、電圧印加開始から、次の電圧印加を開始するまでの時間を、極間電圧残留時間とし、前記平均放電遅れ時間算出手段から出力される、前記所定の測定期間毎の平均放電遅れ時間から、前記極間電圧残留時間に対する平均放電遅れ時間の割合を求め、これに基準電圧を乗ずることにより、休止時間の増大の影響を受けず、極間の間隙量と相関のある極間電圧値を求めることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項9に係る発明は、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、目標値に一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御することを特徴とする、請求項8に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項10に係る発明は、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項8〜9の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項11に係る発明は、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項8〜10の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項12に係る発明は、前記極間の電圧波形を全波整流して平均化すること、又は極性毎に半波整流した電圧波形を平均化して極性毎の平均電圧を求めそれらを合算すること、のいずれかにより、極間平均電圧を求める極間平均電圧測定手段を備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項13に係る発明は、前記極間平均電圧測定手段により求まる極間平均電圧を用いて極間平均電圧一定サーボ送り制御を行いつつ、前記平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項12に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項14に係る発明は、前記極間平均電圧測定手段により求まる極間平均電圧を用いて極間平均電圧一定サーボ送り制御を行いつつ、前記平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項12に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項15に係る発明は、前記極間に印加された電圧波形を、開放・放電・短絡のうちいずれか1つの状態に判別して状態信号を出力する状態信号出力手段を備え、前記平均放電遅れ時間の測定期間において、極間への電圧印加毎に前記状態信号出力手段より出力される状態信号を計数して、前記測定期間中の開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも2つ以上を計数する状態計数手段を備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項16に係る発明は、前記状態計数手段により求まる開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも1つ以上を用いてサーボ送り速度を求めてサーボ送り制御を行いつつ、前記放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項15に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項17に係る発明は、前記状態計数手段により求まる開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも1つ以上を用いてサーボ送り速度を求めてサーボ送り制御を行いつつ、前記放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項15に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項18に係る発明は、前記極間への個々の電圧印加の間に、少なくとも印加時間以上の休止時間を設けて電圧を印加することで、電圧波形が台形波状であることを特徴とする、請求項1〜17の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機である。
本発明により、極間状態を反映した放電遅れ時間を正確に測定する平均放電遅れ時間算出手段を提供し、従来技術に比べて高精度で安定した加工が可能なワイヤ放電加工機を提供できる。さらに、ワークとワイヤ電極間の相対位置制御を公知技術で行いながら、正確に測定された平均放電遅れ時間により極間の間隙量を正確に推定して、極間への電圧印加の停止や、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対する減速・停止・後退などを行うことで、加工中の加工状態や加工精度に影響することなく、加工の安定性を大幅に高めることが出来る。
本発明に係るワイヤ放電加工機を説明するブロック図である。 荒加工時の極間電圧波形を全波整流した波形の例である(通電時間が10μs、休止時間が50μs)。 荒加工時の極間電圧波形を全波整流した波形の例である(通電時間が10μs、休止時間が50μs)。 正極性と逆極性で、極間印加電圧が異なる極間波形を全波整流した波形の例である。 正極性と逆極性で、極間印加電圧が異なる極間波形の、正極性側のみを半波整流した波形の例である。 正極性と逆極性で、極間印加電圧が異なる極間波形の、逆極性側のみを半波整流した波形である。 内部クロックの立ち上がりエッジをトリガーとし、その時点における極間電圧と基準電圧を比較した比較器の出力結果を積算する測定例を説明する図である。 電圧印加開始をトリガーとして動作するタイマーを設けて、タイマー終了後に比較器の結果を積算する測定例を説明する図である。 極間波形の全波整流波形と2つの基準電圧とを比較した結果から放電遅れ時間を測定する例を説明する図である。 荒加工時の極間電圧波形の例である。 極間の浮遊容量やケーブルに容量に充電されたエネルギーのみで加工を行う、仕上げ加工時の極間波形の例である。 極間の浮遊容量やケーブルに容量に充電されたエネルギーのみで加工を行う、仕上げ加工時の極間波形の例である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本発明に係る加工制御は、所定の測定期間である放電遅れ時間測定期間にて、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間と、前記放電遅れ時間測定期間の電圧印加回数を測定する。前記放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、放電遅れ時間測定期間毎の平均放電遅れ時間を求めるようにしたものである。
図1は、本発明に係るワイヤ放電加工機を説明するブロック図である。ワーク1は図示しないテーブルに取り付けられ、該テーブルを直交するX,Y軸方向に駆動するサーボモータ2,3によってXY平面上を移動可能とされている。又、該XY平面に直交する方向にワイヤ電極4が張設され、かつ該方向に走行するように構成されている。
ワイヤ電極4とワーク1間に電圧を印加する補助電源9と主電源10が設けられている。補助電源9は、ワイヤ電極4とワーク1の間に放電を誘起させるための電源である。主電源10は、放電が誘起された後、加工電流(放電電流)を投入する電源である。補助電源9,主電源10は、一方の端子をワーク1に接続され、他方の端子にはスイッチング素子(トランジスタ)7,8を介して通電子5,6によってワイヤ電極4に接続されている。
スイッチング素子7,8は、電圧印加制御回路11によってオン/オフ制御される。まず、スイッチング素子7をオンとし、補助電源9よりワイヤ電極4とワーク1との間に放電誘起用の電圧を印加する。図示しない放電検出回路で放電が検出されると、スイッチング素子8をオンとし、主電源10より加工電流をワイヤ電極4とワーク1間に投入し、スイッチング素子7をオフとして、補助電源の電力供給をオフする。
電圧印加回数計数回路12は、所定の測定期間における、ワイヤ電極4とワーク1間に電圧が印加される回数を計数する回路である。放電遅れ積算時間測定回路13は、所定の測定期間における、電圧の印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する回路である。
数値制御装置14は、電圧印加回数計数回路12と放電遅れ積算時間測定回路13の計数値を読み取り、電圧印加回数及び放電遅れ積算時間から、所定の測定期間における電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する。数値制御装置14は、算出した平均放電遅れ時間に基づいて、サーボモータ2,3の移動指令をサーボ制御装置15に出力する。
サーボ制御装置15は、数値制御装置14から出力されたサーボモータ2,3の移動指令に基づいて、サーボモータ2,3を駆動してワイヤ電極4とワーク1の相対移動を制御し、該ワイヤ電極4とワーク1の間隙を一定に保持するサーボ送り制御を行う。
次に、上述したワイヤ放電加工機により実行される本発明に係る加工制御の各実施形態を説明する。
<請求項1に対応する実施形態>
請求項1に対応する実施形態を説明する。
本実施形態のワイヤ放電加工機は、電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間について、所定の測定期間における、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する測定手段と、前記所定の測定期間における、電圧印加回数を計数する計数手段と、前記測定手段と計数手段から求められた放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、前記所定の測定期間の電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する平均放電遅れ算出手段、とを備えている。
図2、図3は、荒加工時の極間電圧波形を、全波整流した波形の例である。電圧印加1回目と3回目は、放電していないため、次回印加開始前に休止時間が挿入されていない。電圧印加2回目と4回目と5回目は、放電が発生し、加工電流を流す通電時間と、ワイヤの冷却・スラッジ除去のための休止時間が、挿入されている。図2の通電時間は10μs、休止時間は50μsである。図3は、図2の休止時間を25μsとしたものであり、休止時間が短くなった結果、電圧印加6回目が測定期間に入っているが、電圧印加1〜5回については、休止時間以外の電圧波形は図2と全く同じである。
図2,図3に示される波形を例に、本発明の有効性について、考察を行う。まず、特許文献1のように、放電遅れ時間を測定し、これを一定に制御しようとした場合について考察する。放電遅れ時間を測定するための所定の測定期間(放電遅れ時間測定期間)は、図2,図3では、350μsである。
図2に示されるように、放電は電圧印加毎に毎回発生するわけではない。このため、放電遅れ時間は、電圧印加毎に大きく変化している。図2に示される例では、電圧印加(1回目)の放電遅れ時間TD(1)=50μs、電圧印加(5回目)の放電遅れ時間TD(5)のように、10μsから50μsまで変化している。
このような波形にて、例えば、放電遅れ時間が30μsになるように制御しようとすると、放電遅れ時間が50μsの場合は、目標値との偏差が50−30=+20μsとなり、放電遅れ時間が10μsの場合には、偏差は10−30μs=−20μsとなる。これに比例ゲインを乗じて比例制御をした場合、サーボモータ2,3を駆動する速度指令値は、常に加工の進行方向ではなく、逆行方向にも指令されることになり、安定した送り制御が実現出来ない。
また、先にも記載したとおり、放電遅れ時間と極間間隙に相関はあるものの、実際の放電遅れ時間は、相関関係から得られる値を中心として、大きく変動する。特に荒加工や2回加工など、1回分の加工量が多く、極間に多くのスラッジが介在する場合には、放電が安定している状態であっても、電圧印加後放電しない場合や、電圧印加後、スラッジを介して即座に放電する場合がある。このため、電圧印加毎に放電遅れ時間を算出してサーボを制御すると、指令値は大きく変動するため、制御系によっては発振してしまう可能性があり、加工の結果、一定の加工溝幅を得るのが非常に困難となる。
次に、特許文献2や特許文献3のように、所定の期間毎に放電遅れ時間を積算して求めた場合について考察する。図2のように、所定の測定期間である放電遅れ時間測定期間を350μsとして、放電遅れ時間の積算値を測定した場合、図2の放電遅れ時間の積算値は(TDsum=TD(1)+TD(2)+TD(3)+TD(4)+TD(5))(50+25+50+20+10)=155μsとなる。一方、休止時間を半分に変更した図3の場合、測定期間の積算値は(TDsum=TD(1)+TD(2)+TD(3)+TD(4)+TD(5)+TD(6))(50+25+50+20+10+50)=205μsとなる。
図2と図3の放電遅れ時間は全く同じであるにも関わらず、休止時間が変化した結果、放電遅れ時間の積算値は、155μsから205μs(+32%)に変化した。ここで、正確な放電遅れ時間の計算方法は、所定の測定期間において、放電遅れ時間の積算値を電圧印加回数で除することである。図2の場合、155μs÷5回=31μs、図3の場合、205μs÷6回≒34μs(+10%)となる。実際には、図2と図3の放電遅れ時間には、大きな差が無いことがわかる。一方、特許文献2や特許文献3の方法では、上記の通り、図2に対する図3の平均放電遅れ時間の変化割合は、理論値+10%に対して+32%であるので、+22%の誤差を生じており、休止時間の変化の影響を受け易いことが判明した。
しかしながら、実際のワイヤ放電加工においては、休止時間を変化させることが多々ある。例えば、極間電圧が低く、極間が短絡しかかっていると判別した場合には、休止時間を大きく延ばして、放電が短時間に集中して発生することで断線するのを防止する。コーナー部や切込み開始部にて、加工量が急激に変化した場合、放電頻度を減らして加工を安定化させるため、休止時間を大きく伸ばすことがある。このように、放電遅れ時間測定期間が一定という条件の元で、電圧印加回数を考慮しない場合、休止時間の変化により放電遅れ時間の積算値が変化してしまうため、これを一定値に制御しようとすると、加工後の溝幅は一定にならない。
また、特許文献4は、所定期間毎に放電回数を検出し、この期間を検出した放電回数で除することで放電1回当たりの平均電圧印加時間を求め、その結果から、予め定められた通電時間と休止時間を減算することで、無負荷時間を算出するものである。この方式は、通電時間と休止時間を固定としているが、実際の加工制御においては、極間状態が短絡に近い場合には、断線防止のため、通電時間を短くしたり、休止時間を伸ばしたりすることで加工エネルギーを小さく調整したり、コーナー部における加工量の急激な変化に対応するため、意図的に休止時間を大きくするといったように、様々な制御により、通電時間や休止時間がダイナミックに変更されながら加工が進んでいく。よって、通電時間や休止時間を固定とする前提では、放電遅れ時間は正しく算出されない。
また、特許文献4では、放電回数を検出して、測定期間を放電回数で除することで平均電圧印加時間を求めているが、これは毎回放電することを前提としており、放電しないまま電圧印加を打ち切られる場合を想定していない。その結果、図2の場合、放電遅れ時間測定期間は350μs、放電回数は3回、通電時間は10μs、休止時間は50μsであるから、この期間の無負荷時間は、350μs÷3回−(10μs+50μs)=約57μsとなる。
一方、図3の場合、図2と同様に放電回数は3回であり、無負荷時間は、350μs÷3回−(10μs+25μs)=約82μsとなる。上記で述べた通り、図2と図3の放電遅れ時間を正確に求めた場合には、図2に対する図3の変化量は+103%であった。一方、本手法の場合、無負荷時間は、57μsから82μs(+44%)に大きく変化した。理論値と比較すると、(44−10)=+34%となる。このように、測定期間一定の元で、放電回数のみを考慮した場合、休止時間の変化により無負荷時間が変化してしまうため、これを一定値に制御しようとすると、加工後の溝幅は一定にならない。
また、特許文献4では、印加周波数が1MHz程度の仕上げ加工になると、無負荷時間が短くなることから、検出することが困難であると結論付けている。現在、ワイヤ放電加工機でも、検出頻度となるクロック周波数は数十メガHz〜数百メガHzで検出することが可能であるので、1MHzにおける無負荷時間の測定は、全く問題無い。逆に、特許文献4のように、周波数が数kHz〜数メガHzである高周波仕上げ加工において、アナログ回路によって、正確に「放電」と「短絡」を区別して、放電回数を検出することは、非常に困難である。
次に、特許文献5では、従来技術による休止時間を含んだ極間平均電圧を測定し、この極間平均電圧値と設定した休止時間から、休止時間を除いた補正後の極間平均電圧を求めるための補正値を、予めテーブルとして用意しておき、このテーブルから求まる補正後の極間平均電圧を用いて、休止時間を含まない極間平均電圧を求める方法が記載されている。
しかしながら、放電遅れ時間に相当する極間電圧を求めるには、休止時間だけでなく、印加回数の情報も必要である。例えば、一定周期毎に極間平均電圧をアナログ回路にて測定した場合、前述した理由により休止時間が変更されると、単位時間当たりの印加回数も変化するため、印加回数を考慮しなければ、放電遅れ時間に応じた極間電圧を求めることは不可能である。
一方、本発明の場合、放電遅れ時間測定期間内の電圧印加回数を考慮しているため、休止時間が変化しても影響を非常に小さく抑えることが出来る。上述したように、本発明は、所定の測定期間である放電遅れ時間測定期間にて、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間と、前記放電遅れ時間測定期間の電圧印加回数を測定する。前記放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、放電遅れ時間測定期間毎の平均放電遅れ時間を求めるようにしたものである。放電遅れ時間積算時間をTDsum、電圧印加回数をNとすると、平均放電遅れ時間TDは、下記(数1式)のように表される。
TD[μs]=TDsum[μs]÷N[回]・・・(数1式)
これは正に、前述の正確な平均放電遅れ時間の計算式そのものである。
上記(数1式)より、図2の場合は、TD=155μs÷5回=31μs、図3の場合は、TD=205μs÷6回≒約34μsとなる。本発明を用いた正確な平均放電遅れ時間の測定方法では、正確な放電遅れ時間の計算結果と同じ結果になるので、正しい測定が可能である。
なお本発明では、測定期間を所定の期間としており、測定開始と測定終了時での、放電遅れ時間の測定と放電回数の検出が、電圧印加の途中で行われる可能性があるため、測定誤差要因となる可能性がある。この測定開始と終了時の誤差は、測定期間を長くすることで解決できる。
本発明より得られる平均放電遅れ時間、又は平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値を用いて、ワークをワイヤ電極間の間隙量をソフトウェアを介して制御する場合、一般的な制御周期は数ミリ秒必要となる。仮に制御周期を2msとし、放電遅れ測定期間を2msとすれば、電圧印加時間が長い荒加工の例であっても、数十回の電圧印加が含まれるため、測定期間の開始と終了時の合計2回分の誤差は、平均処理によって、影響が無いレベルになる。
一方、特許文献2や特許文献3のように、所定の期間毎に放電遅れ時間を積算した値を用いた場合では、測定時間を延ばしても、図2と図3から求めた割合で、誤差が残るのみである。同様に、特許文献4の方式では、測定時間を延ばしても、放電が発生しない場合の印加回数が同じ割合で含まれるので、図2と図3から求めた誤差が埋まることは無い。
これに対して、本発明は正確な放電遅れ時間の計算方法を採用しているので、従来技術に比べ、正確な放電遅れ時間を求めることが出来るし、更に、測定期間を1ミリ秒程度とすることで、測定開始と終了時の誤差要因も、平均化処理により、影響が無い程度に抑えることが出来る。特に、周波数が高くなるほど、平均化処理により影響は、より軽微なものとなるので、問題無い。
本発明では、所定の測定期間の間、放電遅れ時間の積算値と電圧印加回数を測定し、平均の放電遅れ時間を求める。その結果、測定期間に含まれる休止時間の割合が変化しても、電圧印加回数に応じた放電遅れ時間の平均値を正確に測定することが出来る。
また、本発明により求まる平均放電遅れ時間を使って極間電圧を求め、これが一定になるようにワークとワイヤ電極間の相対距離を制御すると、休止時間の影響を受けない。よって、上記のように、コーナー部で大きな休止時間を挿入したとしても、送り速度は低下しないため、休止時間の挿入により放電頻度を低下させて加工量を抑えたまま、加工速度を低下させずに加工することが出来る。
<請求項2に対応する実施形態>
次に、請求項2の実施形態について説明する。
本実施形態では、請求項1に対応する実施形態の前記測定手段と前記計数手段により、前記所定の測定期間における放電遅れ積算時間と電圧印加回数を、極間電圧が正の場合と負の場合とで各々両方、若しくは片方の極性のみについて求め、前記平均放電遅れ算出手段により、前記所定の測定期間毎に、極性に対する平均放電遅れ時間を求めることを特徴とする。
放電加工においては、正極性側又は逆極性側のどちらか一方の放電確率を増やす為や、ワークの電気防食などの目的で、一方の極性の印加電圧を、片方の極性の印加電圧より高くする場合がある。このような波形の場合、正極性と逆極性で、同じ電圧を印加し、極間間隙に対応する放電遅れ時間の中心値が常に等しいことを前提とした、特許文献1、特許文献2、特許文献3の場合には、この前提が成り立たなくなるため、加工後の溝幅は一定にならない。
一方、本発明によれば、正印加と逆印加の両方、若しくはいずれか片側の平均放電遅れ時間を測定することで、このような印加方法においても、正確に極間状態に応じた放電遅れ時間を得る事が出来る。
図4は、正極性と逆極性で、極間印加電圧が異なる極間電圧波形を全波整流した波形の例である。正極性の電圧印加1回目と、逆極性の電圧印加2回目と、正極性の電圧印加3回目は放電していない。なお、放電が発生しない場合に、正極性の場合は25μs(正極性電圧印加1回目参照)で電圧印加を打ち切り、逆極性の場合は、50μs(逆極性電圧印加2回目参照)で電圧印加を打ち切っており、電圧印加打ち切り時間が異なる。これは、正極性と逆極性で印加する電圧値が異なる為、全く放電が発生しない場合の極間平均電圧がゼロになるように、印加時間を意図的に変えているためである。
正極性と逆極性で印加電圧が異なる為、極間間隙量と放電遅れ時間の相関は、正極性と逆極性で異なる。このため、図4の波形を、正極性と逆極性の電圧が同じ場合と同じ方法で平均放電遅れ時間を求めると、正確な値は求められない。対策として、極間波形を半波整流することで、正極性または逆極性のみの波形を取り出し、正極性又は逆極性毎に、平均放電遅れ時間を求めれば良い。
図5は、正極性と逆極性で、極間印加電圧が異なる極間波形の、正極性側のみを半波整流した波形の例であり、図6は、正極性と逆極性で、極間印加電圧が異なる極間波形の、逆極性側のみを半波整流した波形の例である。
正極性の放電遅れ時間積算時間をTDsum_p、電圧印加回数をNpとすると、平均放電遅れ時間TDpは、下記(数2式)のように表される。
TDp=TDsum_p÷Np・・・(数2式)
図5より、TDp=(TDp(1)+TDp(2)+TDp(3))÷3
=(25+20+5)÷3=約16μs となる。
一方、逆極性の放電遅れ時間積算時間をTDsum_n、電圧印加回数をNnとすると、平均放電遅れ時間TDnは、下記(数3式)のように表される。
TDn=TDsum_n÷Nn・・・(数3式)
図6より、TDn=(TDn(1)+TDn(2)+TDn(3))÷3
=(25+50+10)÷3=約28μs となる。
このようにして、正極性と逆極性で、印加電圧が異なる場合でも、それぞれ極性毎に平均放電遅れ時間を求めることで、極間間隙量に応じた正確な平均放電遅れ時間を求める事が出来る。なお、両極性の平均放電遅れ時間を同時に求めても良いし、片方だけを求めるようにしても良い。
なお、図2〜図6は荒加工を想定した波形例であり、放電検出後、メイン電流を流す通電時間と休止時間を設けているが、本発明は、仕上げ加工にも適用することが可能である。
高周波仕上げ回路では、周波数を高めて単位時間当たりの加工量を増やす為、休止時間を設けずに正弦波状の電圧を極間に印加して加工するのが一般的であるが、このような加工方法では、放電が発生しなくても電圧が時間と共に変化する上、放電が発生しても、直ぐに極間が充電されて電圧が上がってしまうので、放電を検出するのが非常に困難である。
これに対して、例えば、特許文献8で示されているように、極間への電圧印加の度に、必ず休止時間を挿入するような仕上げ加工方法の場合には、本発明で示した手法を適用することが出来るので、仕上げ加工においても、極間間隙に応じた放電遅れ時間を正確に測定しながら、極間間隙が一定になるように加工することが出来る。
<請求項3に対応する実施形態>
次に、請求項3の実施形態について説明する。
本実施形態は、請求項1または2における前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の基準電圧値以上である時間の積算値であることを特徴とする。この積算値を、放電遅れ時間測定期間内の電圧印加回数で除することで、平均放電遅れ時間を求める事が出来る。
正極性と逆極性で、極間に印加する電圧が同じ場合は、極間平均電圧の全波整流波形が望ましいが、いずれか片方の極性の半波整流波形を用いても良い。また、正極性と逆極性で、極間電圧が等しくない場合には、いずれか片方の極性の半波整流波形を用いて、所定の基準電圧と比較する。基準電圧は、任意に設定出来るようにしても良いし、電源電圧に対する割合をパラメータとして持ち、設定された加工電圧に応じて自動的に設定するようにしても良い。
図7に、測定例を示す。内部クロックの立ち上がりエッジをトリガーとし、その時点における極間電圧と判定電圧(基準電圧)を比較した比較器の出力結果を積算する。所定の測定期間である放電遅れ時間測定期間内の積算値をカウンタ回路で求め、制御装置(数値制御装置14、図1参照)にその結果を送信する。実際の加工では、電圧印加後、放電はしないものの、スラッジを介してリーク電流が流れ、電圧が一瞬低下する場合がある。
図7が、その極間電圧波形であり、電圧印加中、2回電圧がドロップしている。1回目の電圧ドロップは、判定電圧を下回っているので、比較器の出力は0となり、放電遅れ積算時間は増加しない。一方、2回目の電圧ドロップは、判定電圧を上回っているので、放電遅れ積算時間としてカウントされる。なお、電圧印加開始点から、実際に電圧が上昇し、しきい値を超えるには時間遅れがある。
このため、図8に示す通り、電圧印加開始をトリガーとして動作するタイマーを設けて、タイマー終了後に比較器の結果を積算するようにしても良い。また、タイマー期間における判定結果の全部または一部を、放電遅れ積算時間に加えるように補正しても良い。
なお、図7と図8では、説明上、実際の極間電圧波形に比べて、周波数の遅いクロック波形を用いて説明しているが、実際には、数十〜数百MHzのクロックを用いて判別可能であり、判定周期は数十〜数百ns程度にできるため、より極間状態を正確に反映した、細かな測定が可能である。
<請求項4に対応する実施形態>
次に、請求項4の実施形態について述べる。
請求項4は、個々の電圧印加における放電遅れ時間の測定方法について説明している。請求項1、2に対応する実施形態において、前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の第一基準電圧値以上となる時点から、所定の第二基準電圧値以下になる時点までの時間の積算値であることを特徴とする。
図9に、測定例を示す。極間波形の全波整流波形と、2つの基準電圧とを比較した結果が示されている。第1基準電圧と第2基準電圧との間に差を設けることで、ヒステリシス特性を持たせることが出来る。また、実際に極間の電圧が充分高くなってから(=第1基準電圧を超えてから)放電遅れ時間を測定するので、より正確な放電遅れ時間を測定可能である。
第1基準電圧との比較結果(同期)が0→1に変化するエッジからセットパルスを作り、第2基準電圧との比較結果(同期)が1→0に変化するエッジからリセットパルスを作り、同期型フリップフロップに入力することで、第1基準電圧を上回り、第2基準電圧を下回るまでのパルス列が出来る。このパルス例をカウントすることで、放電遅れ時間の積算値を得ることが出来る。ヒステリシスを持たせることで、図7や図8のように、リーク電流による電圧降下の影響を受けることが無い利点がある。なお、ヒステリシス特性は無くなるが、第1基準電圧と第2基準電圧を同じ値とすると、1つの基準電圧と1つの比較器で、より簡単な回路で構成することが可能となる。
<請求項5に対応する実施形態>
次に、請求項5の実施形態について説明する。
請求項1〜4に対応する実施形態において、前記平均放電遅れ時間が、目標値に一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御するものである。
従来の方式では、極間電圧をアナログ回路により直流電圧に変換した極間平均電圧が一定になるようにサーボを制御したり、特許文献2や特許文献3に記載のように、ある一定期間中の無負荷電圧印加時間を計測して、これが一定になるようにサーボを制御していた。これまでの説明により明らかであるように、これらの方式は、断線防止などのために強制的に挿入された休止時間や電圧印加回数の変化の影響を受ける。
これに対して、本発明により求まる極間電圧は、これらの影響を受けることなく、実際の極間の間隙を反映した平均放電遅れ時間を、正確に求めることができる。これが一定になるように制御することで、正確に極間の間隙が一定になるように加工できるので、加工後の溝幅が一定となる。
<請求項6に対応する実施形態>
次に、請求項6の実施形態について説明する。
請求項1〜5に対応する実施形態において、前記平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする。
繰り返しになるが、従来技術によって求められる放電遅れ時間は、休止時間や電圧印加回数の影響を受ける。これに対し、本発明により求められる平均放電遅れ時間は、極間間隙に応じた放電遅れ時間を正確に測定し、極間電圧を算出しているので、極間状態を正確に反映していると言える。
つまり、本発明により求まる平均放電遅れ時間が、予め定められた値を下回った場合には、極間間隙が狭く、短絡状態になりかかっていると判断し、予め定められた期間の間、電圧印加を休止することで、断線防止などに効果的である。なお、極間状態の判別に用いるしきい値を複数用意し、平均放電遅れ時間の低下の割合に応じて、挿入する休止時間の長さを変更するようにしても良いし、しきい値を下回る平均放電遅れ時間が連続した場合に、更に長い休止時間を挿入するようにしても良い。
<請求項7に対応する実施形態>
次に、請求項7の実施形態について説明する。
請求項1〜6に対応する実施形態において、前記平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする。
本発明により求まる平均放電遅れ時間が、予め定められた値を下回った場合、軸送り制御に対して、減速・停止・後退のいずれかを行うようにしたものである。本発明による平均放電遅れ時間は、極間の間隙を正確に反映しているので、これが所定値を下回ったら、極間が短絡しかかっていると判別し、軸送り速度に対して減速・停止・後退のいずれかを行うことで、極間が短絡に陥って加工不能になったり、放電が集中して断線することを防止することが出来る。
減速・停止・後退のどれを選択するかについては、例えば、本発明による平均放電遅れ時間に対して、低下を検出する3つのしきい値を設け、一番大きいしきい値を下回ったら減速、次に大きいしきい値を下回ったら停止、一番小さいしきい値を下回ったら後退、というようにすることで、極間状態を良好に保ちながら加工することが出来る。
なお、平均放電遅れ時間の低下を検出するしきい値は、2つ、又は1つとして、減速・停止・後退のいずれかを選択するようにしても良いし、平均放電遅れ時間の低下の度合いに応じて、減速率を変化させたり、後退速度を変化させたりするようにしても良い。また、平均放電遅れ時間がしきい値を下回る時間を計測し、所定時間以上下回ったら、減速・停止・後退の処理をするようにしても良い。
<請求項8に対応する実施形態>
次に、請求項8の実施形態について説明する。
請求項1〜4に対応する実施形態において、電圧印加開始から、放電が発生しない場合に電圧印加を打ち切るまでの時間、又は、電圧印加開始から、次の電圧印加を開始するまでの時間を、極間電圧残留時間とし、前記平均放電遅れ算出手段から出力される、前記所定の測定期間毎の平均放電遅れ時間から、前記極間電圧残留時間に対する平均放電遅れ時間の割合を求め、これに基準電圧を乗ずることにより、極間電圧値を求めることを特徴とする。
図10は、荒加工時の極間電圧波形の例である。放電は発生していない。区間Aが、電圧印加を開始したものの、所定時間の間、放電が検出されなかったため、電圧印加を打ち切るまでの、電圧印加打ち切り時間である。区間Bは、極間に抵抗を接続するなどして、残留電圧をキャンセルするための電圧キャンセル時間、区間Cは、電圧印加も電圧キャンセルもしない休止時間である。なお区間Bを区間Cまで延長して区間Cを設けないようにしても良い。区間Aの時間を、極間電圧残留時間Tとし、請求項1〜4によって求まる平均放電遅れ時間TDとし、基準電圧Eとすると、放電遅れ時間に基づく極間電圧Vは、下記の式で求まる。
V[V]=E[V]×TD[μs]÷T[μs]・・・(数4式)
なお、A,B,Cは、あくまで電圧印加回路に対する指令時間であり、実際の極間波形から観測される時間と一致しない場合もある。その場合には、実際の極間の電圧印加時間に近づくよう、電圧印加打ち切り時間Aだけでなく、電圧キャンセル時間Bや休止時間Cの全部、または一部を、極間電圧残留時間Tに含めて計算しても良い。
図11、図12は、荒加工のように放電検出を行って加工用の大電流を流すのではなく、極間の浮遊容量やケーブルに容量に充電されたエネルギーのみで加工を行う、仕上げ加工時の極間波形の例である。1MHz以上の高周波加工になると、図11のように、電圧印加の間に毎回電圧キャンセル時間を設けるのではなく、予め定められた回数だけ連絡して電圧印加した後に、平均電圧を下げる目的で、電圧キャンセル時間と休止時間、又は休止時間のみを設ける場合が多い。もしくは、休止時間を設ける必要が無い場合には、一切電圧キャンセル時間も休止時間も設けないようにして、常に連続して電圧を印加する。この場合、上記の極間電圧残留時間Tは、電圧印加打ち切り時間Aとなる。
図12は、請求項18の実施例であり、特許文献8で示されているように、極間への電圧印加の度に、必ず、少なくとも印加時間以上の休止時間を挿入するような仕上げ加工方法の例である。数百kHz以上の仕上げ加工の場合、電圧印加打ち切り時間Aの後に休止時間Cを設けても、放電が発生しなければ、極間電圧はリーク電流により僅かに電圧が下がり続けるが、おおよそ休止時間前の電圧値を保持する。このような場合、極間電圧残留時間Tは、電圧印加打ち切り時間A+放電待ち時間Dとなる。なお、極間のリーク電流が大きく、放電待ち時間Dにおける電圧降下が大きい場合には、極間電圧残留時間T=電圧印加打ち切り時間Aとしても良い。
なお、請求項1にて、放電遅れ時間を「電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間」と定義している。この「電圧印加状態」とは、電圧印加指令が出ている状態だけでなく、電圧印加指令が無くても、極間に充分高い残留電圧が残っている時間も含む。つまり図12の場合、「電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間」は、概略A+Dの時間となる。
ここで、本発明による極間電圧と平均放電遅れ時間の式に、再度着目すると、数1式および数4式より、
V[V]=E[V]×TDsum[μs]÷N[回]÷T[μs]
=E[V]×{TDsum[μs]÷(N[回]×T[μs])}
TDsum:所定期間中の放電遅れ時間積算時間、
N:所定期間中の電圧印加回数、
T:極間電圧残留時間、
TD:平均放電遅れ時間、
E:基準電圧E、
V:放電遅れ時間に基づく極間電圧
図11、図12のような仕上げ加工の場合、先に述べたように、荒加工と異なり、放電が発生しても電圧印加を途中で打ち切ることが無い。よって、(N[回]×T[μs])は、「測定期間中の印加回数」×「極間電圧残留時間」であり、おおよそ、測定期間から極間に充分高い残留電圧が残る時間を除いたものと等しくなり、図10、図11、図12から休止時間Cを除いたものになる。つまり、本発明により、図11、図12のような仕上げ加工の場合には、測定期間から休止時間を除いた時間に対する、放電遅れ積算時間の割合に、基準電圧を乗ずることで、放電遅れ時間に応じた平均電圧を求めることが出来ることが分かる。
<請求項9に対応する実施形態>
次に、請求項9について述べる。
請求項8に対応する実施形態において、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、目標値に一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御することを特徴とする。この極間電圧は、強制的に挿入された休止時間や電圧印加回数の変化の影響を受けることがない、実際の極間の間隙量を反映した平均放電遅れ時間に基づく極間電圧である。
よって、この極間電圧を放電遅れ時間測定期間毎に求め、これが目標値と一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御することで、極間間隙が一定に保たれ、加工後の溝幅が一定となる。
また、極間電圧に換算することで、従来より一般的に使われてきた、アナログ回路による極間平均電圧を用いた様々なサーボ送りに関する制御方法を適用することが出来るので、平均放電遅れ時間を用いて新たな制御方法を構築するよりも、導入が容易であるというメリットがある。
更に、従来技術の場合、前述のように休止時間の影響を受ける為、大きな休止時間が挿入されると、求まる極間平均電圧が大きく低下する。その結果、平均電圧一定送り制御では、送り速度も非常に遅くなり、加工精度が悪くなるだけでなく、加工時間も長くなってしまう。一方、平均放電遅れ時間に基づく極間電圧の場合、休止時間の影響を受けないので、大きな休止時間が挿入されても、加工速度が急激に低下することなく、加工することが出来る。
<請求項10に対応する実施形態>
請求項8または9に対応する実施形態において、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないようにしたものであり、請求項6と同様の効果を得ることが出来る。
<請求項11に対応する実施形態>
請求項8〜9に対応する実施形態において、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うようにしたものであり、請求項7と同様の効果を得ることが出来る。
<請求項12に対応する実施形態>
請求項12は、請求項1〜4の実施形態において、極間の電圧波形を全波整流して平均化すること、又は極性毎に半波整流した電圧波形を平均化して極性毎の平均電圧を求めそれらを合算すること、のいずれかにより、極間平均電圧を求める極間平均電圧測定手段を備えたワイヤ放電加工機である。
<請求項13に対応する実施形態>
請求項13は、請求項12の実施形態において、極間平均電圧測定手段により求まる極間平均電圧を用いて極間平均電圧一定サーボ送り制御を行いつつ、平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないようにしたものである。
ワイヤ電極とワーク間の相対位置制御に、請求項5や請求項9のような本発明で提案する制御(平均放電遅れ時間や、平均放電遅れ時間に基づく極間平均電圧を用いた制御)ではなく、極間平均電圧一定サーボ送り制御のような公知技術を用いつつ、平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間を用いて、極間の間隙量を正確に測定し、所定の基準値より小さい場合には、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないようにすることで安定した加工を行うことが出来る。
この結果、送り制御に関する公知技術をそのまま流用することが出来るので、加工条件や送り制御方式を修正する必要が無く同じ加工精度を得ることが出来る上、請求項6と同等の効果を得ることが出来る。
なお、極間平均電圧を求める手段として、前述のようなアナログ回路を用いても良いし、極間電圧波形を高速にA/D変換し、デジタル処理により平均電圧を求めるようにしても良い。
<請求項14に対応する実施形態>
請求項14は、請求項12の実施形態において、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うようにしたものである。
請求項13と同様、ワイヤ電極とワーク間の相対位置制御に、請求項5や請求項9のような本発明で提案する制御ではなく、極間平均電圧一定サーボ送り制御のような従来技術を用いつつ、平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間を用いて、極間の間隙量を正確に測定し、所定の基準値より小さい場合には、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うようにすることで安定した加工を行うことが出来る。
この結果、送り制御に関する先行技術をそのまま流用することが出来るので、加工条件や送り制御方式を修正する必要が無く同じ加工精度を得ることが出来る上、請求項7と同等の効果を得ることが出来る。
<請求項15に対応する実施形態>
請求項15は、請求項1〜4の実施形態において、極間に印加された電圧波形を、開放・放電・短絡のうちいずれか1つの状態に判別して状態信号を出力する状態信号出力手段を備え、前記平均放電遅れ時間の測定期間において、極間への電圧印加毎に前記状態信号出力手段より出力される状態信号を計数して、前記測定期間中の開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも2つ以上を計数する状態計数手段を備えたワイヤ放電加工機である。
<請求項16に対応する実施形態>
請求項16は、請求項15の実施形態において、状態計数手段により求まる開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも1つ以上を用いてサーボ送り速度を求めてサーボ送り制御を行いつつ、前記放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないようにしたものである。
ワイヤ電極とワーク間の相対位置制御に、請求項5や請求項9のような本発明で提案する制御ではなく、特許文献9や10のように、開放回数・放電回数・短絡回数といった、極間状態判別信号からサーボ送り速度を求める従来技術を用いつつ、平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間を用いて、極間の間隙量を正確に測定し、所定の基準値より小さい場合には、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないようにすることで安定した加工を行うことが出来る。
この結果、送り制御に関する先行技術をそのまま流用することが出来るので、加工条件や送り制御方式を修正する必要が無く同じ加工精度を得ることが出来る上、請求項6と同等の効果を得ることが出来る。
<請求項17に対応する実施形態>
請求項17は、請求項15の実施形態において、状態計数手段により求まる開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも1つ以上を用いてサーボ送り速度を求めてサーボ送り制御を行いつつ、前記放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うようにしたものである。
請求項16と同様、ワイヤ電極とワーク間の相対位置制御に、請求項5や請求項9のような本発明で提案する制御ではなく、特許文献9や10のように、開放回数・放電回数・短絡回数といった、極間状態判別信号からサーボ送り速度を求める従来技術を用いつつ、平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間を用いて、極間の間隙量を正確に測定し、所定の基準値より小さい場合には、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うようにすることで安定した加工を行うことが出来る。
請求項16と同様、送り制御に関する先行技術をそのまま流用することが出来るので、加工条件や送り制御方式を修正する必要が無く同じ加工精度を得ることが出来る上、請求項7と同等の効果を得ることが出来る。
<請求項18に対応する実施形態>
請求項1から17の実施形態において、極間への電圧印加の度に、少なくとも印加時間以上の休止時間を設けて電圧を印加することで、電圧波形が台形波状であることを特徴とする仕上げ加工方法であり、例えば、請求項8の実施形態において説明した通り、図12のような極間電圧波形を用いる。休止時間中の極間電圧は、極間の浮遊容量に充電された電荷によって保持されているが、電圧印加はしていないので、放電すると極間電圧が一気に低下し、その後電圧が再上昇しない特徴を持つ。このような休止時間が充分長い台形波状の波形を用いることで、平均放電遅れ時間を正確に測定することが出来るため、極間の間隙量を正確に推定可能となり、高精度で且つ安定した加工が可能となる。
1 ワーク
2,3 サーボモータ
4 ワイヤ電極
5,6 通電子
7,8 スイッチング素子
9 補助電源
10 主電源
11 電圧印加制御回路
12 電圧印加回数計数回路
13 放電遅れ積算時間測定回路
14 数値制御装置
15 サーボ制御装置

TDsum 放電遅れ時間積算時間
N 電圧印加回数
TD 平均放電遅れ時間

TDsum_p 正極性の放電遅れ時間積算時間
Np 正極性の電圧印加回数
TDp 正極性の平均放電遅れ時間

TDsum_n 逆極性の放電遅れ時間積算時間
Nn 逆極性の電圧印加回数
TDn 逆極性の平均放電遅れ時間
本願の請求項1に係る発明は、ワイヤ電極に対するテーブルの相対位置を移動させながら、前記ワイヤ電極と前記テーブル上に配置されたワークとの間である極間に電圧を印加して放電を発生させ、前記ワークを加工するワイヤ放電加工機において、電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間について、所定の測定期間における、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する測定手段と、前記所定の測定期間における、電圧印加回数を計数する計数手段と、前記測定手段と計数手段から求められた放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、前記所定の測定期間の電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する平均放電遅れ時間算出手段、とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工機である。
請求項2に係る発明は、前記測定手段と前記計数手段により、前記所定の測定期間における放電遅れ積算時間と電圧印加回数を、極間電圧が正の場合と負の場合とで各々両方、若しくは片方の極性のみについて求め、前記平均放電遅れ時間算出手段により、前記所定の測定期間毎に、極性に対する平均放電遅れ時間を求めることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤ放電加工機である。
請求項3に係る発明は、前記放電遅れ積算時間は、前記所定の測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の基準電圧値以上である時間の積算値であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のワイヤ放電加工機である。
請求項4に係る発明は、前記放電遅れ積算時間は、前記所定の測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の第一基準電圧値以上となる時点から、所定の第二基準電圧値以下になる時点までの時間として測定し、前記放電遅れ時間測定期間における放電遅れ時間の積算値としたことを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のワイヤ放電加工機である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本発明に係る加工制御は、所定の測定期間である放電遅れ時間測定期間にて、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間と、前記放電遅れ時間測定期間の電圧印加回数を測定する。前記放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、前記測定期間毎の平均放電遅れ時間を求めるようにしたものである。
次に、上述したワイヤ放電加工機により実行される本発明に係る加工制御の各実施形態を説明する。
<請求項1に対応する実施形態>
請求項1に対応する実施形態を説明する。
本実施形態のワイヤ放電加工機は、電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間について、所定の測定期間における、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する測定手段と、前記所定の測定期間にわたって電圧印加回数を計数する計数手段と、前記測定手段と計数手段から求められた放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、前記所定の測定期間の電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する平均放電遅れ算出手段、とを備えている。
図2,図3に示される波形を例に、本発明の有効性について、考察を行う。まず、特許文献1のように、放電遅れ時間を測定し、これを一定に制御しようとした場合について考察する。放電遅れ時間を測定するための所定の測定期間は、図2,図3では、350μsである。
次に、特許文献2や特許文献3のように、所定の測定期間毎に放電遅れ時間を積算して求めた場合について考察する。図2のように、所定の測定期間である放電遅れ時間測定期間を350μsとして、放電遅れ時間の積算値を測定した場合、図2の放電遅れ時間の積算値は(TDsum=TD(1)+TD(2)+TD(3)+TD(4)+TD(5))(50+25+50+20+10)=155μsとなる。一方、休止時間を半分に変更した図3の場合、測定期間の積算値は(TDsum=TD(1)+TD(2)+TD(3)+TD(4)+TD(5)+TD(6))(50+25+50+20+10+50)=205μsとなる。
しかしながら、実際のワイヤ放電加工においては、休止時間を変化させることが多々ある。例えば、極間電圧が低く、極間が短絡しかかっていると判別した場合には、休止時間を大きく延ばして、放電が短時間に集中して発生することで断線するのを防止する。コーナー部や切込み開始部にて、加工量が急激に変化した場合、放電頻度を減らして加工を安定化させるため、休止時間を大きく伸ばすことがある。このように、放電遅れ時間を測定するための所定の測定期間が一定という条件の元で、電圧印加回数を考慮しない場合、休止時間の変化により放電遅れ時間の積算値が変化してしまうため、これを一定値に制御しようとすると、加工後の溝幅は一定にならない。
一方、本発明の場合、放電遅れ時間を測定するための所定の測定期間内の電圧印加回数を考慮しているため、休止時間が変化しても影響を非常に小さく抑えることが出来る。上述したように、本発明は、所定の測定期間にて、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間と、前記放電遅れ時間を測定するための所定の測定期間内での電圧印加回数を測定する。そして、前記放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、測定期間毎の平均放電遅れ時間を求めるようにしたものである。放電遅れ時間積算時間をTDsum、電圧印加回数をNとすると、平均放電遅れ時間TDは、下記(数1式)のように表される。
<請求項3に対応する実施形態>
次に、請求項3の実施形態について説明する。
本実施形態は、請求項1または2における前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の基準電圧値以上である時間の積算値であることを特徴とする。この積算値を、放電遅れ時間を測定するための所定の測定時間内の電圧印加回数で除することで、平均放電遅れ時間を求める事が出来る。
図7に、測定例を示す。内部クロックの立ち上がりエッジをトリガーとし、その時点における極間電圧と判定電圧(基準電圧)を比較した比較器の出力結果を積算する。所定の測定期間内の積算値をカウンタ回路で求め、制御装置(数値制御装置14、図1参照)にその結果を送信する。実際の加工では、電圧印加後、放電はしないものの、スラッジを介してリーク電流が流れ、電圧が一瞬低下する場合がある。
なお、請求項1にて、放電遅れ時間を「電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間」と定義している。この「電圧印加状態」とは、電圧印加指令が出ている状態だけでなく、電圧印加指令が無くても、極間に充分高い残留電圧が残っている時間も含む。
つまり図12の場合、「極間に電圧を印加してから放電が発生するまでの無負荷時間(放電遅れ時間)」は、概略A+Dの時間となる。

Claims (18)

  1. ワイヤ電極に対するテーブルの相対位置を移動させながら、前記ワイヤ電極と前記テーブル上に配置されたワークとの間である極間に電圧を印加して放電を発生させ、前記ワークを加工するワイヤ放電加工機において、
    電圧印加状態で、かつ、放電していない状態の継続時間である放電遅れ時間について、所定の測定期間における、前記放電遅れ時間を積算した放電遅れ積算時間を測定する測定手段と、
    前記所定の測定期間における、電圧印加回数を計数する計数手段と、
    前記測定手段と計数手段から求められた放電遅れ積算時間と電圧印加回数から、前記所定の測定期間の電圧印加1回当たりの平均放電遅れ時間を算出する平均放電遅れ時間算出手段、とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工機。
  2. 前記測定手段と前記計数手段により、前記所定の測定期間における放電遅れ積算時間と電圧印加回数を、極間電圧が正の場合と負の場合とで各々両方、若しくは片方の極性のみについて求め、
    前記平均放電遅れ時間算出手段により、前記所定の測定期間毎に、極性に対する平均放電遅れ時間を求めることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  3. 前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の基準電圧値以上である時間の積算値であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のワイヤ放電加工機。
  4. 前記放電遅れ積算時間は、放電遅れ時間測定期間における極間電圧を全波整流した波形、又は正電圧と負電圧のいずれか一方を半波整流した波形が、所定の第一基準電圧値以上となる時点から、所定の第二基準電圧値以下になる時点までの時間の積算値であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のワイヤ放電加工機。
  5. 前記平均放電遅れ時間が、目標値に一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  6. 前記平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  7. 前記平均放電遅れ時間が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  8. 電圧印加開始から、放電が発生しない場合に電圧印加を打ち切るまでの時間、又は、電圧印加開始から、次の電圧印加を開始するまでの時間を、極間電圧残留時間とし、前記平均放電遅れ時間算出手段から出力される、前記所定の測定期間毎の平均放電遅れ時間から、前記極間電圧残留時間に対する平均放電遅れ時間の割合を求め、これに基準電圧を乗ずることにより、前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値を求めることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  9. 前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、目標値に一致するようにワークとワイヤ電極間の相対位置を制御することを特徴とする、請求項8に記載のワイヤ放電加工機。
  10. 前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項8〜9の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  11. 前記平均放電遅れ時間に基づく極間電圧値が、所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項8〜10の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  12. 前記極間の電圧波形を全波整流して平均化すること、又は極性毎に半波整流した電圧波形を平均化して極性毎の平均電圧を求めそれらを合算すること、のいずれかにより、極間平均電圧を求める極間平均電圧測定手段を備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  13. 前記極間平均電圧測定手段により求まる極間平均電圧を用いて極間平均電圧一定サーボ送り制御を行いつつ、前記平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項12に記載のワイヤ放電加工機。
  14. 前記極間平均電圧測定手段により求まる極間平均電圧を用いて極間平均電圧一定サーボ送り制御を行いつつ、前記平均放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項12に記載のワイヤ放電加工機。
  15. 前記極間に印加された電圧波形を、開放・放電・短絡のうちいずれか1つの状態に判別して状態信号を出力する状態信号出力手段を備え、前記平均放電遅れ時間の測定期間において、極間への電圧印加毎に前記状態信号出力手段より出力される状態信号を計数して、前記測定期間中の開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも2つ以上を計数する状態計数手段を備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
  16. 前記状態計数手段により求まる開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも1つ以上を用いてサーボ送り速度を求めてサーボ送り制御を行いつつ、前記放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、所定の時間の間、極間への電圧印加を行わないことを特徴とする、請求項15に記載のワイヤ放電加工機。
  17. 前記状態計数手段により求まる開放回数・放電回数・短絡回数のうち、少なくとも1つ以上を用いてサーボ送り速度を求めてサーボ送り制御を行いつつ、前記放電遅れ時間算出手段により求まる平均放電遅れ時間が所定の基準値より小さい場合、ワークとワイヤ電極間の相対速度に対し、減速・停止・後退のうち、少なくとも1つを行うことを特徴とする、請求項15に記載のワイヤ放電加工機。
  18. 前記極間への個々の電圧印加の間に、少なくとも印加時間以上の休止時間を設けて電圧を印加することで、電圧波形が台形波状であることを特徴とする、請求項1〜17の何れか1つに記載のワイヤ放電加工機。
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