JP2015042096A - 発電機の制御装置 - Google Patents

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Hiroki Inada
弘樹 稲田
浩紀 志賀
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浩紀 志賀
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Abstract

【課題】この発明は、バッテリの状態に関わらず、確実に抑制制御を実行することができる発電機の制御装置を提供することを目的とする。【解決手段】この発明は、内燃機関の駆動力により発電を行う発電機と、内燃機関の振動を抑制するように発電機を制御する抑制制御部と、抑制制御により生じた電力を蓄電する第1のバッテリと、抑制制御中の前記第1バッテリの空き容量を増加させる容量変更部とを備えたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

この発明は発電機の制御装置に係り、特に、内燃機関の駆動力により発電を行う発電機によって内燃機関の振動を抑制させる発電機の制御装置に関する。
一般的に発電機は、内燃機関のクランクシャフトから動力を得て、発電を行うものが知られている。このような発電機において、例えば下記の特許文献1は、内燃機関の回転変動によって生じる回転子の慣性トルクを低減させるように発電トルクを発生させるべく、回転子に流す励磁電流を制御する発電機の制御装置が開示されている。具体的には、内燃機関の回転数が高くなる期間に発電トルクが発生するように、励磁電流を制御するものである。
この特許文献1に開示される制御装置によれば、回転子の慣性トルクを低減するように発電トルクを発生させるため、内燃機関は回転変動が低下し振動を抑制することができると共に、内燃機関と発電機とに巻きかけられた伝達ベルトの張力変動を低減することができるとしている。
特開2003−174797号公報
しかしながら、上記特許文献1のような内燃機関の振動を抑制する制御(以下、「抑制制御」という。)においては、抑制制御中に生じた電力がバッテリに充電されるように構成される。従って、抑制制御が実行される際にバッテリが満充電に近い状態であると、過充電を回避するために十分な発電ができないか、あるいは充電が不可能な状態が生じる場合がある。
よって、このような状態が発生する場合は、所望の発電トルクが得られず、内燃機関の回転変動を低減することができない恐れがある。
そこで、この発明は、上記の問題に鑑みて成されたものであり、バッテリの状態に関わらず、確実に抑制制御を実行することができる発電機の制御装置を提供することを目的とする。
この発明は、内燃機関の駆動力により発電を行う発電機と、前記内燃機関の振動を抑制するように前記発電機を制御する抑制制御部と、前記抑制制御により生じた電力を蓄電する第1のバッテリと、前記抑制制御中の前記第1バッテリの空き容量を増加させる容量変更部とを備えたことを特徴とする。
この発明は、抑制制御が実行される際、容量変更部が第1バッテリの空き容量を増加させるため、抑制制御部は第1バッテリが満充電に近い場合であっても発電機に十分な発電を行わせることができる。従って、この発明は、第1バッテリの状態に関わらず確実な抑制制御を実行することができ、内燃機関の振動を抑制させることができる。
図1は発電機の制御装置のメインフローチャートである。(実施例1) 図2は発電機の制御装置の抑制制御のフローチャートである。(実施例1) 図3は発電機の制御装置の抑制制御のタイミングチャートである。(実施例1) 図4は発電機の制御装置のシステム構成図である。(実施例1) 図5は第1バッテリの状態を示す図である。(実施例1) 図6は発電機の制御装置のメインフローチャートである。(実施例2) 図7は発電機の制御装置の第1容量変更制御のフローチャートである。(実施例2) 図8は発電機の制御装置の第2容量変更制御のフローチャートである。(実施例2) 図6は発電機の制御装置のシステム構成図である。(実施例2) 図10は第1バッテリの状態を示す図である。(実施例2)
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1〜図5は、この発明の実施例1を示すものである。図4において、車両などに搭載される内燃機関1は、複数の気筒♯を有し、駆動力を出力するクランクシャフト2を備えている。クランクシャフト2の端部には、クランクプーリ3を取り付けている。内燃機関1は、クランクシャフト2により駆動される補機として、ウォータポンプ4と発電機5(例えば、オルタネータ)と備えている。ウォータポンプ4は、ポンププーリ6を備えている。発電機5は、発電機プーリ7を備えている。クランクプーリ3とポンププーリ6と発電機プーリ7とには、アイドラプーリ8を介して伝達ベルト9を捲掛けている。
内燃機関1の駆動力は、クランクシャフト2から伝達ベルト9を介してウォータポンプ4と発電機5とに伝達される。ウォータポンプ4は、内燃機関1の駆動力によりラジエータとの間で冷却水を循環させ、内燃機関1の冷却を行う。発電機5は、内燃機関1の駆動力により発電を行う。
前記発電機5は、第1出力線10により第1のバッテリ11の正極端子に接続している。第1バッテリ11は、第1接地線12により負極端子を車両の車体に接地している。第1バッテリ11は、リチウムイオン電池であり、発電機5の発電した電力を蓄電する。また、第1バッテリ11は、第1出力線10に接続された電装部品などの電気負荷13に電力を供給する。
前記発電機5は、制御装置14により発電量を制御される。制御装置14には、クランクシャフト2の回転角を検出するクランク角センサ15と、カムシャフトの回転角を検出するカム角センサ16と、第1接地線12に設けられ第1バッテリ11の電圧・電流などのバッテリ状態を検出する第1バッテリセンサ17と、変速機の変速制御及びロックアップ制御を行う変速制御装置18とを接続している。制御装置14は、これらセンサ15〜17及び変速制御装置18から入力するクランク角、カム角、バッテリ電圧、バッテリ電流、変速レンジ、ロックアップなどの情報に基づいて、発電機5の駆動を制御する。
発電機5の制御装置14は、抑制制御部19と容量変更部20と記憶部21とを備えている。抑制制御部19は、内燃機関1の振動を抑制するように発電機5の駆動を制御する。抑制制御部19の抑制制御により発電機5が駆動されて生じた電力は、第1バッテリ11に蓄電される。容量変更部20は、抑制制御部19が実行する抑制制御中の第1バッテリ11の空き容量を増加させる。記憶部21は、制御のデータを記憶する。
第1バッテリ11は、図5に示すように、充電可能な電気容量を充電容量とすると、使用可能な電力が残存容量であり、充電容量と残存容量との差が空き容量である。制御装置14は、第1バッテリ11の充電容量、残存容量、空き容量を第1バッテリ電圧によって管理している。
制御装置14は、第1バッテリ電圧によって、第1バッテリ11の残存容量の枯渇おそれを判定する設定値VBlow、充電容量の上限電圧を設定する設定値VB1及び設定値VB2を設定している。設定値VBlowと設定値VB1と設定値VB2とは、VBlow<VB1<VB2の関係になっている。容量変更部20は、充電容量の設定値VB1を設定値VB2に変更することで充電容量を増加させ、この結果として空き容量を増加させる。
前記発電機5の制御装置14は、通常は第1バッテリ11の第1バッテリ電圧が設定値VBlow未満になると、発電機5により発電を行い、発生した電力を第1バッテリ11に蓄電する(通常制御)。制御装置14は、変速機がロックアップ状態、且つ第1バッテリ電圧が設定値VBlow超えの条件が成立すると、抑制制御部19により内燃機関1の振動を抑制するように発電機5の駆動を制御する(抑制制御)。
制御装置14は、通常制御に対して、抑制制御時に抑制制御部19によりクランク角を基準として発電機5の制御を行う。抑制制御部19は、変速機のロックアップ時において、内燃機関1の振動原因であるクランク角速度変動を抑制するために、クランク角速度が速くなるタイミングに合わせて発電機5の回転子に励磁電流を流し、発電負荷を増やす。抑制制御部19によって増加された発電負荷は、伝達ベルト9を通じてクランクシャフト2に伝達されることで、図3に破線で示すように、クランクシャフト2の角速度(a)を適度に調整する。
図3の(a)は、クランクシャフト2の角速度を示している。内燃機関1が低速度の回転速度で運転すると、クランクシャフト2の角速度(a)は実線のように変動する。このとき、変速機がロックアップ状態になると、このクランクシャフト2の回転変動が車体に伝わり易くなる。そこで、制御装置14は、ロックアップ中に内燃機関1の回転変動を抑制するために、各気筒♯のクランク角(C)が0度から180度までの間で所定の期間(各気筒♯の燃焼期間)において発電機5を駆動制御して発電トルク(b)を発生させる。
クランク角速度が速くなる期間(クランク角)は、予め制御装置14内の記憶部21に期間設定マップデータとして記録させておく。抑制制御部19は、クランク角センサ15の検出値より算出されたクランク角を基準とし、エンジン回転数およびエンジン負荷と記憶手段21に記憶した前述期間設定マップとにより発電機5の励磁電流を流す出力期間(タイミング及び長さ)を決定する。
抑制制御部19は、図3に示すように、発電機5の発電トルクが予備トルク、抑制トルクの2段階で増加するように発電機5に励磁電流を2段階に増加させて流すことで、急激なトルク変動による伝達ベルト9の滑りを防止する。励磁電流は、デューティ比により設定される。励磁電流のデューティ比は、記憶部21にデューティ比マップデータとして記録させておく。容量変更部20は、充電容量の設定値VB1から設定値VB2に変更することで充電容量を増加させ、この結果として空き容量を増加させる。
また、発電機5の制御装置14は、抑制制御の機会を増やすために、以下のように第1バッテリ11の状態管理を行う。
制御装置14は、抑制制御を実行しない通常制御時の第1バッテリ11の充電容量を、設定値VB1(例えば、12V)に設定する。制御装置14は、変速制御装置18からロックアップ制御信号を受信し、その他の条件も満たすと、第1バッテリ11の充電容量を、設定値VB2(例えば、14V)に変更して抑制制御を開始する。
制御装置14は、ロックアップ制御信号を受信したときに、第1バッテリ11の残存容量が設定値VBlow(例えば、11V)以下の場合、第1バッテリ11の優先充電のために抑制制御を禁止し、通常の充電制御を行う。また、制御装置14は、抑制制御中に第1バッテリ11のバッテリ電圧が設定値VBlowを下回った場合、抑制制御を中止し、通常の充電制御を行う。
なお、抑制制御時には、発電機5に励磁電流を流し、発電することによりクランクシャフト2の軸出力は下がる。そこで、抑制制御実行と判定された場合は、内燃機関1の補正トルクを目標トルクに反映する。
次に作用を説明する。
図1において、発電機5の制御装置14は、発電制御のプログラムがスタートすると、各センサ15〜17及び変速制御装置18から出力される信号を取得する(S1)。具体的には、クランク角センサ15、カム角センサ16、第1バッテリセンサ17の出力値を取得し、変速制御装装置18からロックアップの状態情報を取得する。
制御装置14は、変速制御装置18からの情報に基づき、変速機がロックアップ中であるか否かを判断する(S2)。
判断(S2)がYESの場合は、第1バッテリセンサ17からの出力値に基づき、第1バッテリ電圧(残存容量)が設定値VBlow超えであるか否かを判断する(S3)。
制御装置14は、第1バッテリ電圧がVBlowより高く、判断(S3)がYESの場合、第1バッテリ11の残存容量が枯渇する心配が無いので、第1バッテリ11の上限電圧(充電容量)を設定値VB2に設定し(S4)、抑制制御を実行し(S5)、信号の取得(S1)にリターンする。
設定値VB2は、抑制制御が停止中である場合に設定される上限電圧の設定値VB1よりも、高い値である。上限電圧が設定値VB2に設定されると、第1バッテリ11は第1バッテリ電圧が設定値VB2に達するまで充電を実行される。
すなわち、制御装置14は、上限電圧を設定値VB1から設定値VB2へ引き上げることで、第1バッテリ11の最大充電容量を増加させる。このように、抑制制御を実行するにあたり、第1バッテリ11の最大充電容量を増加させることで、第1バッテリ11が満充電状態となり、抑制制御が実行不能となることを防止できる。
一方、前記判断(S2)がNO(変速機がロックアップ中でない)の場合、また、前記判断(S3)がNO(第1バッテリ電圧がVBlow以下)の場合、制御装置14は、抑制制御が実行中であれば抑制制御を停止し(S6)、変速制御装置18へ回転数を上昇させるように要求信号を出力し(S7)、第1バッテリ11の上限電圧を設定値VB1に設定し(S8)、信号の取得(S1)にリターンする。なお、要求信号を受信した変速制御装置18は、変速比を制御して回転数を上昇させる。
前記抑制制御(S5)においては、図2に示すように、抑制制御のプログラムがスタートすると、制御装置14は内燃機関1の各気筒♯の工程を算出する(S51)。具体的には、カム角センサ16の出力値に基づき、各気筒♯がどの工程中にあるのかを判定する。
次に、制御装置14は、工程判別の結果に基づき、発電機5に励磁電流を出力する期間を設定する(S52)。具体的には、図3に示すように、工程判別(S51)によって算出された燃焼工程の期間であって、かつ期間設定マップを参照して求められたクランク角の期間を励磁電流の出力期間として設定する。なお、期間設定マップは、予め実験などによって、内燃機関1のエンジン回転数およびエンジン負荷に応じたクランク角の期間を求め、これらの情報を記憶部21に保存したものである。
さらに、制御装置14は、発電機5の励磁電流のテューティ比を設定する(S53)。このテューティ比は、デューティマップを参照して決定される。このデューティマップは、予め実験などによって、内燃機関1のエンジン回転数およびエンジン負荷とに応じた適切なデューティ比を求め、これらの情報を記憶部21に保存したものである。
制御装置14は、クランク角が設定された出力期間であるとき、所定のデューティ比で励磁電流を発電機5に出力し(S54)、図1のメインフローチャートにリターンする。
このように、発電機5の制御装置14は、抑制制御が実行される際、容量変更部20が第1バッテリ11の空き容量を増加させるため、抑制制御部19は第1バッテリ11が満充電に近い場合であっても発電機5に十分な発電を行わせることができる。
従って、この発電機5の制御装置14は、第1バッテリ11の状態に関わらず確実な抑制制御を実行することができ、図3に破線で示すようにクランクシャフト2の角速度を低減させ、内燃機関1の振動を抑制させることができる。
また、発電機5の制御装置14は、第1バッテリ11をリチウムイオン電池とすることで、充放電の効率が高いため、抑制制御により生じる電力を取り込んだ後、電気負荷17への供給が円滑に行われる。従って、第1バッテリ11の空き容量が、大きい状態に維持しやすくなる。
なお、発電機5は、オルタネータの代わりに、モータジェネレータを使用することもできる。制御装置14は、燃焼工程においては通常のオルタネータと同様に発電負荷を発生させることで、クランクシャフト2の角速度の上昇を低減し、圧縮工程においてはモータとして作動させることで、圧縮工程におけるクランクシャフト2の角速度の低下を減少させる。これにより、内燃機関12の振動をさらに抑制することができる。
図6〜図10は、この発明の実施例2を示すものである。図9において、車両などに搭載される内燃機関101は、複数の気筒♯を有し、駆動力を出力するクランクシャフト102を備えている。クランクシャフト102の端部には、クランクプーリ103を取り付けている。内燃機関101は、クランクシャフト102により駆動される補機として、ウォータポンプ104と発電機105(オルタネータ)と備えている。ウォータポンプ104は、ポンププーリ106を備えている。発電機105は、発電機プーリ107を備えている。クランクプーリ103とポンププーリ106と発電機プーリ107とには、アイドラプーリ108を介して伝達ベルト109を捲掛けている。
内燃機関101の駆動力は、クランクシャフト102から伝達ベルト109を介してウォータポンプ104と発電機105とに伝達される。ウォータポンプ104は、内燃機関101の駆動力によりラジエータとの間で冷却水を循環させ、内燃機関101の冷却を行う。発電機105は、内燃機関101の駆動力により発電を行う。
前記発電機105は、第1出力線110により第1のバッテリ111の正極端子に接続している。第1バッテリ111は、第1接地線112により負極端子を車両の車体に接地している。第1バッテリ111は、リチウムイオン電池であり、発電機105の発電した電力を蓄電する。また、発電機105は、第1出力線110に接続された第2出力線113により第2のバッテリ114の正極端子に接続している。第2バッテリ114は、第2接地線115により負極端子を車両の車体に接地している。第2バッテリ114は、リチウムイオン電池であり、発電機105の発電した電力を蓄電する。
第2バッテリ114は、第2出力線113に接続された電装部品などの電気負荷116に電力を供給する。前記第1バッテリ111の正極端子と第2バッテリ114の正極端子とは、連絡線117を介してDC−DCコンバータ118により接続している。DC−DCコンバータ118は、第1バッテリ111のバッテリ電圧を昇圧して第2バッテリ114に供給する。
前記発電機105は、制御装置119により発電量を制御される。制御装置119には、クランクシャフト102の回転角を検出するクランク角センサ120と、カムシャフトの回転角を検出するカム角センサ121と、第1接地線112に設けられ第1バッテリ111の電圧・電流などのバッテリ状態を検出する第1バッテリセンサ122と、第2接地線115に設けられ第2バッテリ114の電圧・電流などのバッテリ状態を検出する第2バッテリセンサ123と、変速機の変速制御及びロックアップ制御を行う変速制御装置124と、前記DC−DCコンバータ118と、第1出力線110を開閉する第1リレー125と、第2出力線113を開閉する第2リレー126とを接続している。
制御装置119は、これらセンサ120〜123及び変速制御装置124から入力するクランク角、カム角、バッテリ電圧、バッテリ電流、変速レンジ、ロックアップなどの情報に基づいて、発電機5の駆動を制御するとともに、DC−DCコンバータ118、第1リレー125、第2リレー126の駆動を駆動する。
発電機105の制御装置119は、抑制制御部127と容量変更部128と記憶部129とを備えている。抑制制御部127は、内燃機関101の振動を抑制するように発電機105の駆動を制御する。抑制制御部127の抑制制御により発電機105が駆動されて生じた電力は、第1バッテリ111あるいは第2バッテリ114に蓄電される。容量変更部128は、抑制制御部127が実行する抑制制御中に、第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給する。また、容量変更部128は、抑制制御の実行前に、第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給する。このように、容量変更部128は、第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給することで、第1バッテリ111の空き容量を増加させる。記憶部129は、制御のデータを記憶する。
第1バッテリ111は、図10に示すように、充電可能な電気容量を充電容量とすると、使用可能な電力が残存容量であり、充電容量と残存容量との差が空き容量である。制御装置119は、第1バッテリ111及び第2バッテリ114の充電容量、残存容量、空き容量をバッテリ電圧によって管理している。
制御装置119は、第2バッテリ電圧によって、第2バッテリ114の残存容量の枯渇おそれを判定する設定値VBlow、第1バッテリ111の充電容量の上限電圧を設定する設定値VBonを設定している。容量変更部127は、残存容量が設定値VBlowを超えると第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給し、第1バッテリ111の空き容量を増加させる。
前記発電機105の制御装置119は、通常は第1バッテリ111の第1バッテリ電圧が設定値VBlow未満になると、発電機5により発電を行い、発生した電力を第1バッテリ111に蓄電する(通常制御)。制御装置119は、変速機がロックアップ状態、且つ第1バッテリ電圧が設定値VBlow超えの条件が成立すると、抑制制御部127により内燃機関101の振動を抑制するように発電機105の駆動を制御する(抑制制御)。
制御装置119は、通常制御に対して、抑制制御時に抑制制御部127によりクランク角を基準として発電機105の制御を行う。抑制制御部127は、変速機のロックアップ時において、内燃機関101の振動原因であるクランク角速度変動を抑制するために、クランク角速度が速くなるタイミングに合わせて発電機105の回転子に励磁電流を流し、発電負荷を増やす。抑制制御部127によって増加された発電負荷は、伝達ベルト109を通じてクランクシャフト102に伝達されることで、図3に破線で示すように、クランクシャフト2の角速度(a)を適度に調整する。
図3の(a)は、クランクシャフト102の角速度を示している。内燃機関101が低速度の回転速度で運転すると、クランクシャフト102の角速度(a)は実線のように変動する。このとき、変速機がロックアップ状態になると、このクランクシャフト102の回転変動が車体に伝わり易くなる。そこで、制御装置119は、ロックアップ中に内燃機関101の回転変動を抑制するために、各気筒♯のクランク角(C)が0度から180度までの間で所定の期間(各気筒♯の燃焼期間)において発電機105を駆動制御して発電トルク(b)を発生させる。
クランク角速度が速くなる期間(クランク角)は、予め制御装置119内の記憶部129に期間設定マップデータとして記録させておく。抑制制御部127は、クランク角センサ120の検出値より算出されたクランク角を基準とし、エンジン回転数およびエンジン負荷と記憶部129に記憶した前述期間設定マップとにより発電機105の励磁電流を流す出力期間(タイミング及び長さ)を決定する。
抑制制御部127は、図3に示すように、発電機105の発電トルクが予備トルク、抑制トルクの2段階で増加するように発電機105に励磁電流を2段階に増加させて流すことで、急激なトルク変動による伝達ベルト109の滑りを防止する。励磁電流は、デューティ比により設定される。励磁電流のデューティ比は、記憶部129にデューティ比マップデータとして記録させておく。容量変更部128は、第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給することで、第1バッテリ111の空き容量を増加させる。
発電機105の制御装置119は、常に安定した抑制制御を行うために、クランク角速度変動の抑制制御で発生する電荷を溜める専用で高効率の第1バッテリ111を備えている。
制御装置119は、変速機からのロックアップ制御信号を受信したときに、その他の条件も満たすと、第2バッテリ114の第2バッテリ電圧が設定値VBlow(例えば11V)超えの場合、第1リレー125をON、第2リレー126をOFFし、抑制制御を開始する。抑制制御にて発電機105により発電された電荷は、第1バッテリ111側に充電される。
制御装置119は、第1バッテリ111の第1バッテリ電圧がDC−DCコンバータ118の作動条件電圧である設定値VBon(例えば、8V)以上になった時に、DC−DCコンバータ118に作動ON信号を送信する。DC−DCコンバータ118は、第1バッテリ電圧を目標電圧である設定値VB3(例えば、13V)に昇圧し、第2バッテリ114に給電して充電する。
この時の第1リレー125・第2リレー126のON−OFF条件は、
・通常の抑制制御時:第1リレー125はON、第2リレー126はOFFとなる。
・抑制制御なしで、第2バッテリ電圧が最低目標電圧の設定値VBlow(例えば、11V)超えの場合:第1リレー125および第2リレー126はOFFとなる。
・同じく抑制制御なしで、第2バッテリ電圧が最低目標電圧の設定値VBlow以下の場合:第1リレー125はOFF、第2リレー126はONとなる。(通常充電と同じリレー状態)
第2バッテリ電圧が最低目標電圧の設定値VBlow(例えば、11V)以下の場合、第1リレー125はOFF、第2リレー126はONとなる。制御装置119は、第2バッテリ電圧が最低目標電圧の設定値VBlowよりも大きくならないと、変速制御装置124からのロックアップ信号を受信しても、抑制制御を開始しない。この時、制御装置119は、変速制御装置124側にロックアップ回転数の変更信号が出される。変速制御装置124は、変更信号を受信すると、ロックアップ回転数を高回転側に変更してNVH(Nois、Vibration、Harshness)悪化を抑制する。
なお、減速時充電の時には、高充電効率の第2バッテリ124側に充電される。このとき、第1リレー125はON、第2リレー126はOFFとなる。
また、抑制制御時には、発電機105に励磁電流を流し、発電することによりクランクシャフト102の軸出力は下がる。そこで、抑制制御実行と判定された場合は、内燃機関101の補正トルクを目標トルクに反映する。
次に作用を説明する。
図6おいて、発電機105の制御装置119は、発電制御のプログラムがスタートすると、各センサ120〜123及び変速制御装置124から出力される信号を取得する(S100)。具体的には、クランク角センサ120、カム角センサ121、第1バッテリセンサ122、第1バッテリセンサ123の出力値を取得し、変速制御装装置124からロックアップの状態情報を取得する。
制御装置119は、変速制御装置124からの情報に基づき、変速機がロックアップ中であるか否かを判断する(S200)。
判断(S200)がYESの場合は、第2バッテリセンサ123からの出力値に基づき、第2バッテリ電圧(残存容量)が設定値VBlow超えであるか否かを判断する(S300)。
制御装置119は、第2バッテリ114の第2バッテリ電圧が設定値VBlowより高く、判断(S300)がYESの場合、抑制制御を実行しても第2バッテリ114が枯渇することが無い程度の残存容量を備えていると判断し、ステップS400へと進む。
ステップS400において、制御装置119は、第1容量変更制御を実行する。第1容量変更制御(S400)は、第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力の供給を開始する制御である。このように、抑制制御を実行するにあたり、第1バッテリ111の空き容量を増加させることで、第1バッテリ111が満充電状態となり、抑制制御が実行不能となることを防止できる。
制御装置14は、第1容量変更制御を実行(S400)した後、抑制制御を実行し(S500)、信号の取得(S100)にリターンする。
一方、前記判断(S200)がNO(変速機がロックアップ中でない)の場合、また、前記判断(S300)がNO(第2バッテリ電圧がVBlow以下)の場合、制御装置119は、第2バッテリ114が枯渇する可能性があるため、抑制制御が実行中である場合は抑制制御を停止させる(S600)。第2バッテリ114は、電気負荷116が接続されており、残存容量が枯渇した場合、電力供給ができなくなるからである。
制御装置119は、変速制御装置124へ回転数を上昇させるように要求信号を出力する(S700)。なお、要求信号を受信した変速制御装置124は、変速比を制御して回転数を上昇させる。
制御装置119は、変速制御装置124へ要求信号を出力した後、第2容量変更制御を実行し(S800)、信号の取得(S100)にリターンする。第2容量変更制御(S800)は、第2バッテリ電圧が設定値VBlowに達するまで、第2バッテリ114に充電を行い、第2バッテリ電圧が設定値VBlowに達した後は、第1バッテリ111から第2バッテリ114ヘ給電する制御である。
すなわち、第2容量変更制御は、抑制制御の実行前に、第2バッテリ114を充電し、かつ第1バッテリ111から第2バッテリ114ヘ給電することで、第1バッテリ111の空き容量を確保する制御である。
前記第1容量変更制御(S400)においては、図7に示すように、変更制御のプログラムがスタートすると、制御装置119は抑制制御を実行するにあたり、第1リレー125をONし、第2リレーをOFFすることで、第1バッテリ111を発電機105と接続し、第2バッテリ114を遮断する(S401)。
次に、制御装置119は、第1バッテリ電圧が設定値VBon超えであるか否かを判断する(S402)。第1バッテリ電圧が設定値VBonより大きい場合、抑制制御により生じる電力を第1バッテリ111に蓄電できなくなる恐れがある。
このため、制御装置119は、第1バッテリ111の充電量が設定値VBonを超えている場合(S402:YES)、空き容量を確保すべく、第1バッテリ111から第2バッテリ114に給電を開始し(S403)、ステップ500へ移行する。このとき、制御装置119は、DC−DCコンバータ118を作動させ、電圧を設定値VB3へ昇圧させて第2バッテリ114に給電する。
前記判断(S402)がNO(第1バッテリ111の充電量が設定値VBon以下)の場合、制御装置119は、抑制制御に伴い発生した電力を第1バッテリ111ヘ給電し(S404)、ステップ500へ移行する。
前記第2容量変更制御(S800)においては、図8に示すように、変更制御のプログラムがスタートすると、制御装置119は抑制制御が停止した状態で、第1リレー125をOFFし、第2リレーをONすることで、発電機105から第1バッテリ111を遮断し、第2バッテリ114を発電機105に接続する(S801)。
次に、制御装置119は、第2バッテリ電圧が設定値VBlow超えであるか否かを判断する(S802)。
制御装置119は、第2バッテリ電圧が設定値VBlowより大きく、第2バッテリ114の残存容量が高い場合、第2バッテリ114が枯渇する心配が無いため、第1リレー125をONし、第2リレー126をOFFすることで、第1バッテリ111を発電機105に接続し、発電機105から第2バッテリ114を遮断する(S803)。
第1バッテリ111の発電機105への接続(S803)で、制御装置119は、第1バッテリ電圧が設定値VBon超えであるか否かを判断する(S804)。
制御装置119は、第2バッテリ114が設定値VBlowを超えて充電されており(S802:YES)、かつ第1バッテリ111が設定値VBonを超えて充電されている場合(S804:YES)、次回の抑制制御に備えて第1バッテリ111から第2バッテリ114への給電を実行し(S805)、プログラムをエンドにする。
また、制御装置119は、第2バッテリ114が設定値VBlowを超えて充電されており(S802:YES)、かつ第1バッテリ111が設定値VBon以下に充電されている場合(S804:NO)、なにもせずにプログラムをエンドにする。
一方、前記判断(S802)がNO(第2バッテリ電圧がVBlow以下)の場合、制御装置119は、第2バッテリ114が枯渇する可能性があるため、第1リレー125をOFFし、第2リレー126をONした状態(S801)を維持することで、第2バッテリ114に発電機105に接続した状態を維持し、発電機105から第2バッテリ114に充電を行い(S803)、プログラムをエンドにする。
このように、発電機105の制御装置119は、第1バッテリ111に加えて第2バッテリ114を備え、抑制制御部127による抑制制御中に、容量変更部128により第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給するため、抑制制御に必要な第1バッテリ111の空き容量を常に確保することができる。
従って、発電機105の制御装置119は、第1バッテリ111の状態に関わらず確実な抑制制御を実行することができ、内燃機関1の振動を抑制させることができる。
発電機の制御装置は、第1バッテリのみを備えて抑制制御を行う場合、第1バッテリは抑制制御に伴う発電により満充電に達し、抑制制御が停止することがある。このような状態が継続すると、抑制制御の実行頻度が低下する恐れがある。
そこで、発電機105の制御装置119は、第1バッテリ111に加えて第2バッテリ114を備え、抑制制御部127による抑制制御の実行前に、容量変更部128により第1バッテリ111から第2バッテリ114へ電力を供給することで、抑制制御の実行時には、第1バッテリ111に十分な空き容量を確保することができる。
従って、発電機105の制御装置119は、第1バッテリ111が満充電に達することを防止でき、抑制制御の実行頻度を向上させることができる。
また、発電機105の制御装置119は、第1バッテリ111をリチウムイオン電池とすることで、充放電の効率が高いため、抑制制御により生じる電力を取り込んだ後、電気負荷116への供給が円滑に行われる。従って、第1バッテリ111の空き容量が、大きい状態に維持しやすくなる。
この発明は、バッテリの状態に関わらず、確実に抑制制御を実行することができるものであり、内燃機関の駆動力により発電を行う発電機を搭載した車両、船舶などの産業機器に適用が可能である。
1 内燃機関
2 クランクシャフト
3 クランクプーリ
5 発電機
7 発電機プーリ
9 伝達ベルト
10 第1出力線
11 第1バッテリ
12 第1接地線
13 電気負荷
14 制御装置
15 クランク角センサ
16 カム角センサ
17 第1バッテリセンサ
18 変速制御装置
19 抑制制御部
20 容量変更部
21 記憶部

Claims (5)

  1. 内燃機関の駆動力により発電を行う発電機と、前記内燃機関の振動を抑制するように前記発電機を制御する抑制制御部と、前記抑制制御により生じた電力を蓄電する第1のバッテリと、前記抑制制御中の前記第1バッテリの空き容量を増加させる容量変更部とを備えたことを特徴とする発電機の制御装置。
  2. 前記容量変更部は、前記第1バッテリの充電容量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の発電機の制御装置。
  3. 第2のバッテリを備え、前記容量変更部は、前記抑制制御中に前記第1バッテリから前記第2バッテリへ電力を供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発電機の制御装置。
  4. 第2のバッテリを備え、前記容量変更部は、前記抑制制御の実行前に前記第1バッテリから前記第2バッテリへ電力を供給することを特徴とする請求項1〜3記載の発電機の制御装置。
  5. 前記第1バッテリは、リチウムイオン電池であることを特徴とする請求項3又は4記載の発電機の制御装置。
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