JP2015041585A - X線源、x線装置、及び構造物の製造方法 - Google Patents

X線源、x線装置、及び構造物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィラメント交換に伴う電子線のアライメント作業を不要にすることができるX線源およびX線装置を提供する。【解決手段】電子を放出するフィラメント13と、電子を集束してターゲット14に導く電子光学系と、フィラメント13を収容し、電子の経路を囲む収容チャンバと、収容チャンバの内部を少なくとも排気するポンプとを備え、収容チャンバには、フィラメントの近傍部でかつ電子の進行方向に対して側方に内部空間と外部空間とを接続状態または遮蔽状態にする開閉部25が形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、X線源、X線装置、及び構造物の製造方法に関するものである。
物体の内部の情報を非破壊で取得する装置として、物体にX線を照射するX線源を有し、その物体を透過した透過X線を検出する検出装置を備えるX線装置が知られている。このようなX線装置に用いられるX線源として、例えば、下記特許文献1に開示されたものが知られている。
米国特許第6885728号明細書
X線源は、電子を放出するフィラメントが消耗品であるため、交換する必要がある。X線を発生させる為には、フィラメントから放出された電子をX線ターゲット上に集束させるコイル等の電子光学系を有する。フィラメントの交換時には、フィラメントを収容するフィラメント収容部に対して、コイル(電子光学系)を収容するコイル収容部を取り外し、該フィラメントの交換を行う。しかしながら、フィラメント交換後にコイル収容部を元の位置に戻しても、電子線の光軸がずれることがあり、電子線のアライメント(光軸調整)をやり直す必要が生じる場合があった。
本発明の態様は、フィラメント交換に伴う電子線のアライメント作業を不要にすることができるX線源、X線装置、及び構造物の製造方法を提供すること目的としている。
本発明の第1の態様に従えば、電子を放出するフィラメントと、前記フィラメントから放出された前記電子を集束してターゲットに導く電子光学系と、前記フィラメントを収容し、前記電子が前記フィラメントから前記ターゲットに入射するまでの経路を囲む収容チャンバと、前記収容チャンバの内部を少なくとも排気するポンプと、を備え、前記収容チャンバには、前記フィラメントの近傍部でかつ前記電子の進行方向に対して側方に前記収容チャンバの内部空間と外部空間とを接続状態または遮蔽状態にする開閉部が形成されているX線源が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様に係るX線源と、前記X線源で発生したX線を物体に照射して前記物体を通過した透過X線を検出する検出部と、を備えるX線装置が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、構造物の形状に関する設計情報を作成する設計工程と、前記設計情報に基づいて前記構造物を作成する成形工程と、作成された前記構造物の形状を第2の態様に係るX線装置を用いて計測する測定工程と、前記測定工程で取得した形状情報と前記設計情報とを比較する検査工程と、を含むことを特徴とする構造物の製造方法が提供される。
本発明によれば、フィラメント交換に伴う電子線のアライメント作業を不要にすることができる。
第1実施形態に係るX線装置の一例を示す概略構成図。 第1実施形態に係るX線源の概略断面構成を示す図。 第1実施形態に係るフィラメント部の周辺構成を示す拡大断面図。 第1実施形態に係るX線源における全体の外観構成を示す斜視図。 第1実施形態に係るX線源における要部構成を示す拡大断面図。 第1実施形態に係るX線源においてフィラメント部の取り外しに用いる治具の一例に係る構成を示す図。 第2実施形態に係る構造物製造システムの一例を示すブロック構成図。 第2実施形態に係る構造物製造システムにおける処理の流れを示したフローチャート。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。
また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、各実施形態及び変形例で引用したX線源及び検出装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。X軸とY軸とZ軸とは垂直に交わる。X軸と平行な方向をX軸方向とし、Y軸と平行な方向をY軸方向とし、Z軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。
本実施形態において、X線装置は、測定物にX線を照射して、その測定物を透過した透過X線を検出する。X線は、例えば波長1pm〜30nm程度の電磁波である。
本実施形態において、X線装置は、測定物にX線を照射して、その測定物を透過した透過X線を検出して、その測定物の内部の情報(例えば、内部構造)を非破壊で取得するX線CT検査装置を含む。本実施形態において、測定物は、例えば機械部品、電子部品その他の産業用部品を含む。X線CT検査装置は、産業用部品にX線を照射して、その産業用部品を検査する産業用X線CT検査装置を含む。
図1は、本実施形態に係るX線装置1の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、X線装置1は、X線を射出するX線源2と、X線源2からのX線が照射される測定物Sを保持して移動可能なステージ装置3と、X線源2から射出され、ステージ装置3に保持された測定物Sを通過したX線(透過X線)の少なくとも一部を検出する検出装置4と、X線装置1全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。
また、X線装置1は、X線源2から射出されるX線が進行する内部空間SPを形成するキャビネット部6を備えている。本実施形態において、X線源2、ステージ装置3、及び検出装置4は、内部空間SPに配置される。
キャビネット部6は、支持面FR上に配置される。支持面FRは、工場等の床面を含む。キャビネット部6は、複数の脚部6Sに支持される。キャビネット部6は、脚部6Sを介して、支持面FR上に配置される。脚部6Sにより、キャビネット部6の下面と、支持面FRとは離れる。すなわち、キャビネット部6の下面と支持面FRとの間に空間が形成される。なお、キャビネット部6の下面の少なくとも一部と支持面FRとが接触してもよい。
本実施形態において、キャビネット部6は、鉛を含む。キャビネット部6は、内部空間SPを伝搬するX線が、キャビネット部6の外部空間RPに漏出することを抑制する。
X線源2は、測定物SにX線を照射する。X線源2は、X線を射出する射出部7を有する。射出部7の近傍には、電子の衝突又は電子の透過によりX線を発生するターゲット14が設けられている。
X線源2は、点X線源を形成する。本実施形態において、射出部7は、点X線源を含む。X線源2は、測定物Sに円錐状のX線(所謂、コーンビーム)を照射する。コーンビームの中心を伝搬するX線がZ軸方向と平行な方向となるように、射出部7が配置されている。X線源2は、射出するX線の強度を調整可能である。測定物SのX線吸収特性に基づいて、X線源2から射出されるX線の強度が調整されてもよい。なお、X線源2から射出されるX線が拡がる形状は、円錐状に限らず、例えば扇状のX線(所謂、ファンビーム)でもよい。なお、X線源2から射出されるX線が、射出される方向(Z軸方向)において一定の線状のX線(所謂、ペンシルビーム)でもよい。
本実施形態において、X線源2からのX線の少なくとも一部は、内部空間SPにおいてZ軸方向に進行する。射出部7は、+Z方向を向いている。射出部7から射出されたX線の少なくとも一部は、内部空間SPにおいて、+Z方向に進行する。すなわち、本実施形態において、X線の照射方向は、Z軸方向である。
本実施形態において、X線源2とステージ装置3と検出装置4とは、Z軸方向に配置される。ステージ装置3は、X線源2の+Z側に配置される。検出装置4は、ステージ装置3の+Z側に配置される。
本実施形態において、X線装置1は、X線源2、ステージ装置3、及び検出装置4を支持するベース部8を備えている。ベース部8は、キャビネット部6の内部空間SPに配置される。ベース部8は、内部空間SPの底面6Tに配置される。ベース部8の位置は、内部空間SPにおいて、実質的に固定される。なお、ベース部8の配置場所は、底面6Tのみに限定されることは無く、内部空間SPにおける側面に配置しても良いし、内部空間SPの上面に配置しても良い。
本実施形態において、ベース部8は、1つの部材で構成される。なお、ベース部8が、複数の部材の組み合わせでもよい。複数の部材から構成される場合において、ベース部8の各部材を内部空間SPの底面6T以外の場所(上面、側面)に配置しても良い。
本実施形態において、ベース部8は、第1支持部材50を介してステージ装置3及びX線源2を支持する。また、ベース部8は、第2支持部材55を介して検出装置4を支持する。
第1支持部材50は、全体形状が略門柱状から構成される。第1支持部材50は、ステージ装置3及びX線源2を保持する保持台51と、保持台51を支持してベース部8に固定する支持脚部52と、保持台51及び支持脚部52間に設けられる防振部材53と、を有する。
本実施形態において、X線源2は、射出部7(すなわち、ターゲット14)を鉛直方向上方(+Z方向)に向けつつ下端部がベース部8から離間した状態となるように保持台51に固定されている。防振部材53は、保持台51に宙づり状態で保持されるX線源2に床からの振動が伝わることを抑制する。
ステージ装置3は、内部空間SPにおいて移動可能である。ステージ装置3は、内部空間SPのうち、射出部7よりも+Z側の空間で移動可能である。ステージ装置3は、保持台51上において移動可能である。本実施形態において、ステージ装置3は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。ステージ装置3は、駆動システム9の作動により移動可能である。駆動システム9の動作は、制御装置5により制御される。駆動システム9の作動により、ステージ装置3に保持された測定物Sは、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。駆動システム9は、例えばリニアモータ、ボイスコイルモータなどのローレンツ力により作動するモータを含む。なお、駆動システム9が、ピエゾ素子を含んでもよい。例えば、駆動システム9は、ピエゾ素子を用いて、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの少なくとも一つの方向にステージ装置3(測定物S)を移動させてもよい。
このような構成に基づいて、ステージ装置3は、内部空間SPのうち、X線源2と検出装置4との間の空間を移動可能である。
ステージ装置3は、測定物Sを載置する載置部3aを有する。載置部3aは、例えば、X線を透過させる部材から構成される。なお、載置部3aとしてX線を透過させない部材にX線を透過させる開口を形成しても良い。
ステージ装置3は、射出部7から射出されたX線が検出装置4に向けて通過する経路上に、ステージ装置3に配置された測定物Sを位置決めすることができる。ステージ装置3は、例えば、載置部3aに載置した測定物Sを、射出部7と対向する位置に配置可能である。
検出装置4は、内部空間SPにおいて、X線源2及びステージ装置3よりも+Z側に配置される。検出装置4は、第2支持部材55によりベース部8に固定される。第2支持部材55は、全体形状が略門柱状から構成される。第2支持部材55は、検出装置4を保持する保持板56と、保持板56を支持して保持台51に固定する支持脚部57と、を有する。保持台51は、防振部材53を介してベース部8に支持される。そのため、検出装置4は、振動による影響が抑制され、良好な検出結果を得ることができる。
このような構成に基づき、検出装置4の位置は、内部空間SPにおいて、実質的に固定される。なお、検出装置4が移動可能な構成を採用してもよい。
検出装置4は、測定物Sを透過した透過X線を含むX線源2からのX線が入射する入射面10を有するシンチレータ部11と、シンチレータ部11において発生した光を受光する受光部12とを有する。検出装置4の入射面10は、ステージ装置3に保持された測定物Sと対向可能である。検出装置4は複数の画素からなり、各画素は図中X軸方向とY軸方向に所定のピッチで配列されている。したがって、検出装置4では測定物Sを透過した透過X線像を取得することができる。
シンチレータ部11は、X線が当たることによって、そのX線とは異なる波長の光を発生させるシンチレーション物質を含む。受光部12は、光電子倍増管を含む。光電子倍増管は、光電効果により光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を含む。受光部12は、シンチレータ部11において発生した光を増幅し、電気信号に変換して出力する。
シンチレータ部11は画素毎に独立した構造を有している。シンチレータ部11は、XY平面内において複数配置される。シンチレータ部11は、アレイ状に配置される。受光部12は、複数のシンチレータ部11のそれぞれに接続されるように、複数配置される。なお、検出装置4は、入射するX線を、光に変換せずに、直接電気信号に変換してもよい。
図2は、本実施形態に係るX線源2の概略断面構成を示す図であり、図3はフィラメント部の周辺構成を示す拡大断面図であり、図4は、X線源2における全体の外観構成を示す斜視図である。
図1、2に示すように、X線源2は、フィラメント部13と、電子の衝突又は電子の透過によりX線を発生するターゲット14と、電子をターゲット14に導く複数の導電子部材(電子光学系)15と、フィラメント部13を収容する収容チャンバ16と、外装本体17と、を備えている。
フィラメント部13は、図3に示すように、電子を放出する電子源であるフィラメント13aと、フィラメント13aを中心に環状の導電性材料で形成されたウェネルト電極13bと、台座部13cと、コネクタ部13dと、を含み、これらがユニット化された構成からなる。フィラメント部13は、フィラメント保持部18の先端側に着脱可能とされる。フィラメント保持部18は、フィラメント部13のコネクタ部13dに接続されるフィラメント用端子18aと、ウェネルト電極13bと同電位となるリング状部材18bと、ラッチ部18cと、を含む。なお、2本のフィラメント用端子18aが図示されているが、それらは僅かながら電位差を有した状態で図示していない高電圧電源に接続されている。フィラメント保持部18にフィラメント部13を接続するとヒータ13eの間に僅かながら電流が流れ、ヒータ13eが加熱する。また、フィラメント13aはヒータ13eに導通しているため、ターゲットに対して大きな電位差を有するように高電圧が印加することができる。
フィラメント13aは、例えば六ホウ化ランタンを含む。フィラメント13aは、ターゲット14に向かって先鋭化した形状の円錐形状を有している。フィラメント13aに電流が流れ、その電流によってフィラメント13aが加熱されると、フィラメント13aから電子(熱電子)が放出される。フィラメント13aの先端は、尖っている。フィラメント13aの尖った部分から電子が放出される。なお、フィラメント13aは、タングステン線をヘアピン状に曲げたものでもよく、ターゲット14に向かって折れ曲がったタングステン線の間隔が狭まるように屈曲された形状であることが好ましい。
フィラメント部13は、ウェネルト電極13bの下端部にラッチ部18cに係合する凸部19を有する。凸部19は、下方から上方に向かって外径が大きくなるテーパー面19aと、下方から上方に向かって外径が小さくなる逆テーパー面19bと、テーパー面19a及び逆テーパー面19b間を接続する平坦面19cと、を含む。
ラッチ部18cは、凸部19の表面(テーパー面19a、逆テーパー面19b、及び平坦面19c)に当接するローラー部材を含み、凸部19を係合可能なように内側に付勢された状態となっている。フィラメント部13は、コネクタ部13dとフィラメント用端子18aとを位置合わせした状態で下方に押し込まれることでフィラメント保持部18に装着される。ラッチ部18cは、フィラメント部13が押し込まれるとテーパー面19aに沿って外側に移動し、やがて平坦面19cに当接する。さらにフィラメント部13が押し込まれると、ラッチ部18cは、付勢力によって逆テーパー面19bに沿って内側に移動する。コネクタ部13d及びフィラメント用端子18aが完全に接続された状態において、ラッチ部18cは、凸部19に係合状態となる。
これにより、ラッチ部18cは、フィラメント部13のフィラメント保持部18に対する装着状態を保持する。なお、フィラメント部13は、フィラメント保持部18に保持された状態でフィラメント13aの中心軸が電子経路21の中心軸に一致する。すなわち、フィラメント部13がフィラメント保持部18に装着されると、電子線のアライメントが完了する。
ターゲット14は、例えばタングステンを含み、電子の衝突又は電子の進行方向の変化によりX線を発生する。本実施形態において、X線源2は、所謂、透過型である。本実施形態において、ターゲット14は、電子の通過により、X線を発生する。
アノード電極20とフィラメント13aの間は、所定の電位差を有している。例えば、160KeVや225KeVに相当する電位差が付与される。アノード電極20とフィラメント13aとの間に電圧が加えられると、フィラメント13aから飛び出した熱電子が、ターゲット14に向かって加速し、ターゲット14に照射される。これにより、ターゲット14からX線が発生する。本実施形態においては、ターゲット14に照射される熱電子のうち99%は熱に変換し、1%がX線に変換される。
収容チャンバ16は、フィラメント13a(フィラメント部13)を収容し、電子がフィラメント13aから導電子部材15の近傍を通過してターゲットに入射するまでの電子経路21を囲む。本実施形態において、収容チャンバ16は、フィラメント側チャンバ26と、チューブ状チャンバ27とを含む。この収容チャンバ16は、電子がターゲット14まで到達できるように、その内部の真空度を高いレベルで保つような構造を有している。
フィラメント側チャンバ26は、フィラメント13aの周囲を外部空間(キャビネット部6の内部空間SP)に対して遮蔽する。本実施形態において、フィラメント側チャンバ26は、フィラメント保持部18の先端部(フィラメント部13の取付部分)を内部空間に収容している。
チューブ状チャンバ27は、フィラメント側チャンバ26の上方を覆う底板部27aと、該底板部27a上に延出する円環状の円環部27bと、を含む。底板部27aには、フィラメント13aから放出された電子を通過させるための貫通孔28が形成されている。
チューブ状チャンバ27は、上記電子経路21をキャビネット部6の内部空間SPに対して遮蔽する。チューブ状チャンバ27は、底板部27aの内面側にアノード電極20が設けられている。アノード電極20には、フィラメント13aから放出された電子を通過させるための貫通孔20aが形成されている。アノード電極20は、フィラメント保持部18に保持されたフィラメント部13に対するクリアランスが例えば20mmとなるように配置される。
導電子部材15は、フィラメント13aとターゲット14との間において、フィラメント13aからの電子の通路の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、複数の導電子部材15がチューブ状チャンバ27の周囲に配置され、フィラメント13aからの電子を所定の位置に集束する。
導電子部材15は、例えば集束レンズ及び対物レンズ等の電磁レンズ、若しくは偏光器を含む。また、導電子部材15は、ターゲット14での収差を低減する部材でもよい。導電子部材15は、例えば、光軸上の非点収差を補正するスティグメータでもよい。導電子部材15は、フィラメント13aからの電子を集束させてターゲット14に導く。導電子部材15は、ターゲット14の一部の領域(X線焦点)に電子を衝突させる。本実施形態において、ターゲット14において電子が衝突する領域である射出部7は、実質的に点X線源を構成する。また、この導電子部材15と同じZ位置で、電子の通路上にアパーチャーを設け、電子束の中心から離れた位置を通る電子を遮蔽し、電子束の中心近傍の電子のみを通過させるようにしても良い。これにより、電子線のターゲット14上でのスポットの大きさを非常に小さくすることができる。例えば、図2であれば、ターゲット14側から数えて、2番目の導電子部材15がおかれたZ位置に配置することが好ましい。なお、この2番目の導電子部材15と3番目の導電子部材15はどちらも電磁レンズであり、電子を収束するような磁場を形成している。
外装本体17は、チューブ状チャンバ27を覆うものであり、底板部27aに固定される。外装本体17は、上記複数の導電子部材15を支持する支持部材として機能する。また、外装本体17は、+Z軸方向における先端側において、ターゲット14を保持する保持部材として機能する。
フィラメント側チャンバ26の内部空間は、真空装置30と接続されている。真空装置30は、内部空間の空気を外に排出するためのポンプ30aを含む。
本実施形態において、フィラメント側チャンバ26及びチューブ状チャンバ27は、電子経路21を介して互いに連通している。そのため、上記真空装置30によりフィラメント側チャンバ26及びチューブ状チャンバ27の内部空間は、実質的に真空に保たれている。
本実施形態においては、X線源2は、フィラメント部13に対して電力を供給する電源部22を備える。電源部22は、フィラメント保持部18と一体に形成され、フィラメント側チャンバ26の下方に配置される。
X線源2は、外装本体17の温度を一定に保つための冷却装置23を含む。冷却装置23により、特に、ターゲット14、導電子部材15から生ずる発熱量を効率よく吸収するので、外装本体17の温度上昇が抑えられる。なお、外装本体17の温度を一定に保つための冷却装置とターゲット14の温度を一定に保つための冷却装置とは別の装置でもよい。
X線源2は、図4に示すように、フィラメント側チャンバ26に開閉部25が形成されている。なお、図4は、開閉部25がフィラメント側チャンバ26に対して開いた状態を図示したものである。
開閉部25は、フィラメント側チャンバ26に対して開閉する扉部25aからなる。開閉部25(扉部25a)は、フィラメント部13の近傍部でかつ電子の進行方向(Z方向)に対して側方(X方向の側面)に設置しており、開閉部25の開閉操作により、フィラメント側チャンバ26の内部空間と外部空間(キャビネット部6の内部空間SP)とを接続状態または遮蔽状態にすることができる。
図5は、X線源2における要部構成を示す拡大断面図である。
扉部25aは、図5に示すように、フィラメント側チャンバ26の側壁の一部を構成する開閉可能な遮蔽板(可動遮蔽板)31と、該遮蔽板31をフィラメント側チャンバ26の側面に対して開閉可能に支持するヒンジ部32と、を含む。
フィラメント側チャンバ26は、側面に開口26aが形成されている。開口26aは、扉部25aの遮蔽板31が閉じることで、フィラメント側チャンバ26の内部空間と外部空間とが遮蔽状態となる。本実施形態において、開口26aの大きさは、フィラメント側チャンバ26の内部空間に設置されたフィラメント部13の大きさよりも大きい。
図5に示すように、フィラメント側チャンバ26の側面と遮蔽板31との間には、シール部材(例えば、Oリング)41が開口26aの周囲を囲むように設置されており、フィラメント側チャンバ26の内部空間を実質的に真空に保持する。また、チューブ状チャンバ27の底板部27aとフィラメント側チャンバ26との間には、シール部材(例えば、Oリング)42がフィラメント側チャンバ26の側壁上部の全周に亘って設置されており、フィラメント側チャンバ26の内部空間を実質的に真空に保持する。また、フィラメント側チャンバ26と電源部22との間には、シール部材(例えば、Oリング)43がフィラメント側チャンバ26の側壁下部の全周に亘って設置されており、フィラメント側チャンバ26の内部空間を実質的に真空に保持する。
本実施形態において、真空装置30のポンプ30aは、遮蔽板31に配置されている。例えば、ポンプ30aは、遮蔽板31に対して螺子部材31aを介して固定されている。図5に示すように、遮蔽板31とポンプ30aの内面(吸入ポート30bが形成された側の面)との間には、シール部材(例えば、Oリング)40が設けられており、ポンプ30aにより排気されたフィラメント側チャンバ26の内部空間を実質的に真空に保持する。
ここで、フィラメント側チャンバ26の内部空間を所望の真空度(例えば、1.0×10−5Pa)にするため、フィラメント部13の近傍空間からポンプ30aへのコンダクタンスを大きくする必要がある。すなわち、ポンプ30aとしては、吸入ポート30bの径が比較的大きなものを用いるのが望ましい。
これに対し、本実施形態では、扉部25aの遮蔽板31の大きさをポンプ30aの吸入ポート30bの径に応じて設定した。すなわち、遮蔽板31は、ポンプ30aの吸入ポート30bの径よりも広い面積を有する。このように本実施形態においては、比較的大型の遮蔽板31によりポンプ30aを確実に保持している。また、遮蔽板31として比較的大型のものを用いることで大きな開口26aであっても確実に遮蔽することができる。このように開口26aが大型化することで該開口26aを介したフィラメント部13へのアクセスが容易となり、フィラメント部13の交換作業を効率良く行う事が可能となる。
本実施形態によれば、ポンプ30aを取り付けるために必須となる開口26aを遮蔽する遮蔽板31を開閉可能な構成とし、且つ該遮蔽板31にポンプ30aを配置している。そのため、フィラメント側チャンバ26の側面に内部空間に配置されるフィラメント部13にアクセスするための開口及び該開口を遮蔽するための扉部を別途設ける構成に比べ、X線源自体が大型化するのを抑制できる。よって、X線源の小型化を図ることで結果的に該X線源を備えたX線装置1における支持面FRに対する接地面積(フットプリント)を小さくすることができる。
本実施形態においては、X線の照射方向をZ軸方向に設定するようにX線源2を設置する場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、X線の照射方向をX軸又はY軸方向に設定するようにX線源2を設置してもよい。この場合において、ヒンジ部32の回転軸をZ軸方向に沿って設置すれば、X線源2が設置された状態で扉部25aが左右方向に可動可能とすることができる。
また、例えば、X線の照射方向をZ軸方向に傾斜するようにX線源2を設置してもよい。この場合において、ヒンジ部32の回転軸をZ軸方向に沿って設置すれば、X線源2が設置された状態で、扉部25aが左右方向に可動可能とすることができる。
また、本実施形態では、X線源2が設置された状態で、扉部25aが左右方向に可動可能な場合を例に挙げたが、設置状態において扉部25aが上下方向に可動可能な構成としてもよい。
また、冷却装置23は、ターゲット14の温度が所定温度を超えないように、そのターゲット14の温度調整をしてもよい。なお、本実施形態においては、X線源2が冷却装置23を備えているが、X線源2が冷却装置23を備えていなくてもよい。例えば、キャビネット部6が冷却装置を備えてもよい。また、例えば、X線装置1が冷却装置を備えていなくてもよい。X線装置1とは別の装置が冷却装置を備えてもよい。
また、本記実施形態においては、ポンプ30aが遮蔽板31に対して螺子部材31aを介して固定される場合を例に挙げたが、ポンプ30aの遮蔽板31に対する固定方法はこれに限定されない。例えば、遮蔽板31に形成した開口に雌ねじを形成し、ポンプ30aの内面側に雄ねじを形成することで、ポンプ30aの開口に螺合させることで固定しても良い。
次に、本実施形態に係るX線装置1の動作の一例について説明する。検出において、ステージ装置3の載置部3aに測定物Sが載置される。制御装置5は、ステージ装置3を制御して、載置部3aに載置される測定物SをX線源2と検出装置4との間に配置する。
制御装置5は、真空装置30のポンプ30aを駆動する。ポンプ30aは、フィラメント側チャンバ26の内部空間(電子経路21)を排気する。こにより、フィラメント部13が収容される空間が実質的に真空に保持される。内部空間を真空にした後、制御装置5は、X線源2からX線を射出するために、フィラメント13aに電流を流す。これにより、フィラメント13aが加熱され、フィラメント13aから電子が放出される。フィラメント13aから放出された電子は、アノード電極20によって加速され、電子経路21を経てターゲット14に照射される。これにより、ターゲット14からX線が発生する。
X線源2から発生したX線の少なくとも一部は、載置部3aを介して測定物Sに照射される。測定物SにX線源2からのX線が照射されると、その測定物Sに照射されたX線の少なくとも一部は、測定物Sを透過する。測定物Sを透過した透過X線は、検出装置4の入射面10に入射する。検出装置4は、測定物Sを透過した透過X線を検出する。検出装置4は、測定物Sを透過した透過X線に基づいて得られた測定物Sの像を検出する。検出装置4の検出結果は、制御装置5に出力される。
本実施形態において、制御装置5は、測定物SにおけるX線源2からのX線の照射領域を変えるために、測定物Sの位置を変えながら、その測定物SにX線源2からのX線を照射する。すなわち、制御装置5は、複数の測定物Sの位置ごとで、測定物SにX線源2からのX線を照射し、その測定物Sを透過した透過X線を、検出装置4で検出する。
本実施形態において、制御装置5は、測定物Sを保持したステージ装置3(ステージ装置3のうち、測定物Sを保持する保持部)を回転して、X線源2に対する測定物Sの位置を変えることによって、測定物SにおけるX線源2からのX線の照射領域を変える。
すなわち、本実施形態において、X線が測定物Sに照射される期間の少なくとも一部において、ステージ装置3は、載置部3a上の測定物SをθY方向に移動(回転)させる。制御装置5は、測定物Sを保持したステージ装置3(測定物Sを載置する載置部3a)を回転させながら、その測定物SにX線を照射する。ステージ装置3の各位置(各回転角度)において測定物Sを通過した透過X線(X線透過データ)は、検出装置4に検出される。検出装置4は、各位置における測定物Sの像を取得する。
制御装置5は、検出装置4の検出結果から、測定物Sの内部構造を算出する。本実施形態において、制御装置5は、測定物Sの各位置(各回転角度)のそれぞれにおいて測定物Sを通過した透過X線(X線透過データ)に基づく測定物Sの像を取得する。すなわち、制御装置5は、測定物Sの像を複数取得する。
制御装置5は、測定物Sを回転させつつその測定物SにX線を照射することにより得られた複数のX線透過データ(像)に基づいて演算を行って、測定物Sの断層画像を再構成して、測定物Sの内部構造の三次元データ(三次元構造)を取得する。これにより、測定物Sの内部構造が算出される。測定物の断層画像の再構成方法としては、例えば、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、及び逐次近似法が挙げられる。逆投影法及びフィルタ補正逆投影法に関しては、例えば、米国特許出願公開第2002/0154728号に記載されている。また、逐次近似法に関しては、例えば、米国特許出願公開第2010/0220908号に記載されている。
ところで、フィラメント13aは消耗品であるため、所定のタイミングで交換する必要がある。本実施形態において、フィラメント13aを含むフィラメント部13がフィラメント保持部18に対して着脱可能とされている。よって、フィラメント部13をフィラメント保持部18から取り外して新しいフィラメント部13に交換することで良好にX線を発生させることが可能となる。
フィラメント部13をフィラメント保持部18から取り外す場合、まず、制御装置5は、ポンプ30aの駆動を停止する。そして、制御装置5は、例えば、不図示の大気解放バルブを開くことで、収容チャンバ16における内部空間を大気圧に戻す。これにより、開閉部25の開閉動作が可能となる。
大気解放後、フィラメント交換を行う作業者は、開閉部の扉部25aを開くことで開口26a内にフィラメント部13を臨ませる。本実施形態において、扉部25aは、X線源2が設置された状態において、フィラメント側チャンバ26の側方に対して左右方向に可動可能な構成のため、例えば、開閉途中に扉部25aが自重によって閉まるといった不具合の発生が抑制され、作業者は、開閉作業を安全に実行することができる。
作業者は、開口26aを介してフィラメント部13にアクセスし、該フィラメント部13をフィラメント保持部18から取り外す。フィラメント部13を取り外す際、フィラメント部13におけるウェネルト電極13bと、フィラメント保持部18におけるリング状部材18bとの隙間Tに取り外し用治具を挿入する。
図6は、取り外し用治具の一例の構成を示す図である。図6に示すように、取り外し用治具60は、例えば、2つの腕部61が連結された平面視略U字形状からなるものである。取り外し用治具60には、作業者が把持するための把持部60aが形成されている。各腕部61は、先端61aから基部61b側に向かって漸次厚みが大きくなる構成を有する。
作業者は、フィラメント部13を取り外す際、把持部60aを把持して取り外し用治具60の腕部61の先端61a側を上記隙間Tに挿入する。取り外し用治具60は、腕部61が押し込まれるに従って、フィラメント部13を上方へと持ち上げる。フィラメント部13は、上方に持ち上がるに従って、ラッチ部18cに対する凸部19の当接位置が変化する。具体的に、ラッチ部18cは、フィラメント部13が持ち上がるに従って、逆テーパー面19bに沿って外側に押しひろげられて、やがて平坦面19cに当接する。
さらに腕部61が押し込まれてフィラメント部13が持ち上がると、ラッチ部18cは付勢力によってテーパー面19aに沿って内側に移動していく。ラッチ部18cは、付勢力によってテーパー面19aを内側に押し込むことでフィラメント部13を上方へと押し出す。これにより、ラッチ部18cによるフィラメント部13の凸部19に対する係合状態が解除される。
本実施形態において、フィラメント保持部18との係合状態が解除されたフィラメント部13におけるアノード電極20に対するクリアランスは、例えば10mmに設定されている。
また、本実施形態においては、吸入ポート30bの径が大きいポンプ30aを確実に保持する比較的大型の遮蔽板31によって開口26aを遮蔽するため、開口26a自体を大型化している。よって、開口26aの大きさがフィラメント部13の大きさよりも大きいため、作業者はフィラメント部13をアノード電極20に接触させることなく、開口26aを介して外部に容易に取り出すことができる。
一方、作業者は、フィラメント部13をフィラメント保持部18に装着する場合、開口26aから内部空間に新しいフィラメント部13を搬入する。そして、フィラメント部13とフィラメント保持部18とを位置合わせする。フィラメント部13は、例えば、コネクタ部13dとフィラメント用端子18aとを位置合わせした状態で下方に押し込まれることで、ラッチ部18cが凸部19に係合する。これにより、フィラメント部13は、フィラメント保持部18に確実に装着される。
以上説明したように、本実施形態によれば、ポンプ30aを保持する開閉部(扉部25a)を開閉することでフィラメント側チャンバ26の側方に開口26aを生じさせるようにしたので、該開口26aを介して内部空間に配置されたフィラメント部13に容易にアクセスすることができる。したがって、フィラメント部13の交換時に、電子経路21とフィラメント保持部18との相対位置が変化しないため、電子線のアライメント調整作業を不要にできる。よって、フィラメント交換に伴う電子線アライメント作業に要する時間を抑制することで、生産性の高いX線装置1を提供できる。
また、X線源2の先端側は、X線の放射に伴って温度上昇する。そのため、X線源2の先端側は、熱により膨張するおそれがある。ここで、ベース部8にX線源2の下部側(電源部22側)が固定された場合、先端部側が熱膨張した場合、ベース部8に対して移動し、射出部7と測定物Sとの距離が変化してしまう。この場合、X線測定における測定倍率が変化してしまい良好な測定結果が得られなくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、X線源2の先端側を保持台51に固定している。保持台51は、ベース部8に固定される。すなわち、本実施形態において、X線源2は、先端側においてベース部8に固定されている。
これによれば、X線源2はX線の放射によって熱が生じた場合であっても、保持台51に先端側が固定されるため、測定物Sに対する射出部7の位置が変化することが抑制される。よって、X線測定における測定倍率が変化することが抑制され、良好な測定結果を継続的に得ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
本実施形態においては、上述したX線装置(1など)を備えた構造物製造システムについて説明する。
図7は、本実施形態に係る構造物製造システム200の一例を示すブロック構成図である。構造物製造システム200は、上述の各実施形態で説明したX線装置(検査装置)1と、設計装置110と、成形装置120と、制御システム130と、リペア装置140とを備える。本実施形態において、X線装置1は、構造物の形状に関する座標を測定する形状測定装置として機能する。制御システム130は、座標記憶部131及び検査部132を有する。
本実施形態においては、構造物製造システム200は、自動車のドア部分、エンジン部品、ギア部品、及び回路基板を備える電子部品等の成形品を作成する。
本実施形態においては、構造物製造システム200において、構造物の形状に関する設計情報が作成される設計工程と、設計情報に基づいて構造物が作成される成形工程と、作成された構造物の形状がX線装置により計測される測定工程と、測定工程で取得された形状情報と設計情報とが比較される検査工程とが行われる。
また、本実施形態においては、構造物製造システム200において、検査工程の比較結果に基づいて、構造物の再加工が実施されるリペア工程が行われる。
設計工程において、設計装置110は、構造物の形状に関する設計情報を作成する。設計装置110は、作成した設計情報を、成形装置120に送信する。設計情報は、成形装置120に入力される。また、設計装置110は、作成した設計情報を、制御システム130に送信する。設計情報は、制御システム130の座標記憶部131に記憶される。
設計情報とは、構造物の各位置の座標を示す情報である。
成形工程において、成形装置120は、構造物を作成する。成形装置120は、設計装置110からの設計情報に基づいて、構造物を作成する。成形工程において、鋳造、鍛造、及び切削の少なくとも一つが行われてもよい。
測定工程において、X線装置1は、作成された構造物の形状を測定する。X線装置1は、測定した座標を示す情報を制御システム130へ送信する。
検査工程において、検査部132は、測定工程で取得された形状情報と、設計工程で作成された設計情報とを比較する。制御システム130の座標記憶部131には、設計装置110から送信された設計情報が記憶されている。検査部132は、座標記憶部131から設計情報を読み出す。
検査部132は、X線装置1から送信された座標を示す情報から、作成された構造物を示す情報(形状情報)を作成する。検査部132は、X線装置1から送信された座標を示す情報(形状情報)と、座標記憶部131から読み出した設計情報とを比較する。検査部132は、比較結果に基づいて、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。
換言すれば、検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。
検査部132は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合、修復可能であるか否か判定する。修復できる場合、検査部132は、比較結果に基づいて、不良部位と修復量とを算出する。検査部132は、不良部位を示す情報と修復量を示す情報とをリペア装置140に送信する。
リペア工程において、リペア装置140は、制御システム130から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づいて、構造物の不良部位を加工する。リペア工程において、構造物の再加工が実施される。リペア工程において、成形工程が再実行される。
図8は、構造物製造システム200における処理の流れを示したフローチャートである。
設計装置110は、構造物の形状に関する設計情報を作製する(ステップS101)。
次に、成形装置120は、設計情報に基づいて構造物を作成する(ステップS102)。
次に、X線装置1は、構造物の形状に関する座標を計測する(ステップS103)。
次に,制御システム130の検査部132は、X線装置1によって作成された構造物の形状情報と、設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作成された否かを検査する(ステップS104)。
次に、制御システム130の検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS105)。
作成された構造物が良品である場合(ステップS105においてYESと判断された場合)、構造物製造システム200は、その処理を終了する。
作成された構造物が良品でない場合(ステップS105においてNOと判断された場合)、制御システム130の検査部132は、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS106)。
作成された構造物が修復できる場合(ステップS106においてYESと判断された場合)、リペア装置140は、構造物の再加工を実施し(ステップS107)、ステップS103の処理に戻る。
作成された構造物が修復できない場合(ステップS106においてNOと判断された場合)、構造物製造システム200は、その処理を終了する。
以上で、本フローチャートの処理を終了する。
以上説明したように、X線装置1が構造物の座標を正確に測定できるため、構造物製造システム200は、作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
また、構造物製造システム200は、X線装置1を用いて、構造物の欠陥の検出のみならず、構造物の内部の情報を非破壊で取得する非破壊検査を行うことができる。また、構造物製造システム200は、X線装置1を用いて、構造物の外形の寸法を計測することができる。また、構造物製造システム200は、X線装置1を用いて、リバースエンジニアリングを行うことができる。
なお、上述の各実施形態においては、X線装置がX線源を有することとしたが、X線源がX線装置に対する外部装置でもよい。換言すれば、X線源がX線装置の少なくとも一部を構成しなくてもよい。
また、上述の各実施形態は、例えば米国特許出願公開第2005/0254621号、米国特許第7233644号等に開示されているような、複数のX線源を備えたX線装置にも適用できる。
また、上述の各実施形態は、例えば米国特許出願公開第2007/685985号、米国特許出願公開第2001/802468号等に開示されているような、被検物を回転させる回転軸に沿って、被検物を順次移動させるヘリカル方式のX線装置にも適用できる。
また、上述の各実施形態は、米国特許出願公開第2010/0220834号に開示されているような、被検物中を進む際にX線に生じるわずかな偏向を評価する位相コントラスト方式のX線装置にも適用できる。
また、上述の各実施形態は、例えば米国特許出願公開第2009/0003514号、米国特許出願公開第2007/0230657号等に開示されているような、ベルトコンベアーで手荷物を移動し、X線により手荷物の含有物を明らかにするようなX線装置にも適用することができる。
1…X線装置、2…X線源、3…ステージ装置、4…検出装置、13…フィラメント、14…ターゲット、15,15A…導電子部材、16…アパーチャーユニット、16a…アパーチャー部、17…外装本体、27…ハウジング、28…シール部材(第1封止部材)、30…熱伝導層、30a…樹脂層、30b…熱伝導性粒子、31…ターゲット保持部、32a,32b…シール部材、200…構造物製造システム、S…測定物

Claims (12)

  1. 電子を放出するフィラメントと、
    前記フィラメントから放出された前記電子を集束してターゲットに導く電子光学系と、
    前記フィラメントを収容し、前記電子が前記フィラメントから前記ターゲットに入射するまでの経路を囲む収容チャンバと、
    前記収容チャンバの内部を少なくとも排気するポンプと、を備え、
    前記収容チャンバには、前記フィラメントの近傍部でかつ前記電子の進行方向に対して側方に前記収容チャンバの内部空間と外部空間とを接続状態または遮蔽状態にする開閉部が形成されているX線源。
  2. 前記フィラメントを中心に環状の導電性材料で形成されたウェネルト電極をさらに備える請求項1に記載のX線源。
  3. 前記収容チャンバは、前記フィラメント及び前記ウェネルト電極からなるフィラメント部を着脱可能に保持する保持部を備える請求項2に記載のX線源。
  4. 前記開閉部は、前記収容チャンバの内部空間と前記外部空間とを前記接続状態にしている場合、前記開閉部で形成される開口の大きさが、前記フィラメントの大きさよりも大きい請求項1〜3のいずれか一項に記載のX線源。
  5. 前記開閉部は、扉部からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のX線源。
  6. 前記扉部は、本X線源が設置された状態において、前記電子の進行方向を上下方向とした場合に、左右方向に可動可能である請求項5に記載のX線源。
  7. 前記ポンプは、前記扉部に配置されている請求項5又は6に記載のX線源。
  8. 前記扉部の可動遮蔽板は、前記ポンプの吸入ポートの径より広い面積を有する請求項7に記載のX線源。
  9. 前記ポンプは、前記開閉部に形成される開口に螺合することで前記収容チャンバに装着される請求項1〜8のいずれか一項に記載のX線源。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のX線源と、
    前記X線源で発生したX線を物体に照射して前記物体を通過した透過X線を検出する検出部と、を備えるX線装置。
  11. 構造物の形状に関する設計情報を作成する設計工程と、
    前記設計情報に基づいて前記構造物を作成する成形工程と、
    作成された前記構造物の形状を請求項10に記載のX線装置を用いて計測する測定工程と、
    前記測定工程で取得した形状情報と前記設計情報とを比較する検査工程と、を含むことを特徴とする構造物の製造方法。
  12. 前記検査工程の比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を実施するリペア工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の構造物の製造方法。
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