JP2015041393A - Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜 - Google Patents

Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜 Download PDF

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小見山 昌三
Shozo Komiyama
昌三 小見山
理恵 森
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Abstract

【課題】異常放電の発生を抑制し、安定して成膜を行うことができるとともに、高温高湿下で保存した場合であっても膜表面の表面粗さが大きく変化しないAg合金反射膜を形成可能なAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜を提供する。
【解決手段】Gaを0.5mass%以上4.0mass%以下、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上を0.1mass%以上1.5mass%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有し、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとの金属間化合物相が分散しており、マトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、光記録媒体等の光反射層として好適なAg合金反射膜を形成するためのAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜に関するものである。
一般に、CD,DVD,BD等の光記録媒体においては、記録層と、この記録層に積層された光反射層と、を備えた構造とされている。この光記録媒体においては、レーザー光を照射して記録層の一部を加熱して変質させることにより情報の書き込みが実施される。また、記録層・反射層で反射されたレーザー光を光センサによって解析することによって、書き込まれた情報の読み取りが実施される。最近では、ブルーレイディスク等の情報記録密度が高密度化された光記録媒体が提供されており、その記録速度も高速化されている。高速記録を実施するためには、高出力のレーザー光を用いて短時間で記録層を加熱する必要がある。
ここで、上述の光反射層においては、レーザー光を効率的に反射するためにレーザー光波長において高い反射率が求められる。また、照射されたレーザー光による熱を効率良く放散するために高い熱伝導性を有することが好ましい。
従来、上述の光反射層として、反射率が高く熱伝導性に優れたAgからなるAg反射膜が広く使用されている。
しかし、純AgからなるAg反射膜は、反射率に優れているものの、耐熱性、耐腐食性が不十分であり、使用環境下において反射率が低下することがあった。このように、純AgからなるAg反射膜は、長時間使用時の信頼性に問題を有していた。
そこで、例えば特許文献1−3に示すように、各種元素を添加したAg合金からなるAg合金反射膜が提案されている。
特開2006−127594号公報 再公表WO2005/056848号公報 再公表WO2005/056850号公報
ところで、上述のAg合金においては、添加する元素によっては、マトリックス相以外の第2相が発生することがある。スパッタリングターゲットにおいて第2相のサイズが大きい場合や第2相が局所的に存在している場合には、成膜時に異常放電が発生しやすくなり、高品質なAg合金反射膜を安定して形成することができないおそれがあった。
また、最近では、光記録媒体の製造コスト削減の観点から、Ag合金反射膜の薄膜化が求められている。ここで、Agは凝集し易い元素であり、特に膜厚が薄くなるとその傾向が顕著となる。このため、従来のAg合金反射膜においては、保管時にAgが凝集して膜表面に凹凸が生じ、高い反射率を維持することができないおそれがあった。このため、高温高湿の加速試験条件下でも膜の表面粗さが大きく変化しないAg合金反射膜が求められている。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、異常放電の発生を抑制し、安定して成膜を行うことができるとともに、高温高湿下で保存した場合であっても膜表面の表面粗さが大きく変化しないAg合金反射膜を形成可能なAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットは、Gaを0.5mass%以上4.0mass%以下、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上を0.1mass%以上1.5mass%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有し、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとの金属間化合物相が分散しており、マトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下であることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットにおいては、Gaの含有量が0.5mass%以上とされているので、Agのマトリックス相に固溶したGaにより、形成されたAg合金反射膜の再結晶化を抑制することが可能となる。よって、高温高湿下で保存した場合であっても、Agの凝集や腐食による膜表面の平滑性の低下を抑制でき、高い反射率を維持することができる。また、Gaの含有量が4.0mass%以下とされているので、Ag合金反射膜の熱伝導率を確保でき、高出力のレーザー光によって高速記録した場合であっても効率的に放熱することができる。
さらに、本発明のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットにおいては、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が0.1mass%以上とされているので、結晶粒界等にAgとEu、Pr、Ceとからなる金属間化合物相(第2相)が分散することになり、熱伝導性を低下させることなく、膜の耐凝集性を向上させることができる。また、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が1.5mass%以下とされているので、スパッタリングターゲットの製造時に割れや欠けが発生することを抑制できる。
また、マトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下とされているので、スパッタリングターゲットに高い電力を投入してスパッタを実施しても、異常放電の発生を抑制することができる。よって、Ag合金反射膜を効率良く安定して成膜することが可能となる。
なお、異常放電を確実に抑制するためには、AgとEu、Pr、Ceとからなる金属間化合物相(第2相)が、粒径20μm以下の粒状もしくは幅20μm以下の線状で微細に分散していることが好ましい。
本発明のAg合金反射膜は、上述のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットを用いて成膜されたことを特徴としている。
このような構成とされた本発明のAg合金反射膜においては、耐腐食性、耐凝集性に優れ、高温高湿下で保存した場合であっても膜表面の平滑性が劣化せず、使用環境下においても反射率が大きく変化しない。このため、保存安定性に優れた光記録媒体を提供することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、異常放電の発生を抑制し、安定して成膜を行うことができるとともに、高温高湿下で保存した場合であっても膜表面の表面粗さが大きく変化しないAg合金反射膜を形成可能なAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜を提供することができる。
本発明の一実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法の工程例を示すフローチャートである。 本発明例のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットのスパッタ面の組織写真である。
以下に、本発明の一実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲット、および、Ag合金反射膜について説明する。
本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットは、例えば、CD,DVD,BD等の光記録媒体の光反射層として使用されるAg合金反射膜を形成するために用いられる。
<Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲット>
本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットは、Gaを0.5mass%以上4.0mass%以下、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上を0.1mass%以上1.5mass%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有するAg合金からなる。
また、本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットは、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとの金属間化合物相が分散しており、マトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下とされた結晶組織を有する。
以下に、本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットの組成及び結晶組織を上述のように規定した理由について説明する。
(Ga:0.5mass%以上4.0mass%以下)
Gaは、Agに固溶し、Ag合金反射膜の結晶粒を微細化して膜の再結晶化を抑制するとともに、Agの腐食を抑制する作用を有する元素である。これらの作用により、成膜されたAg合金反射膜を高温高湿下で保存しても、Agの凝集や腐食による膜の表面粗さの増大を抑制し、膜表面の平滑性を維持することが可能となる。
ここで、Gaの含有量が0.5mass%未満の場合には、上述した作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Gaの含有量が4.0mass%を超えた場合には、成膜されたAg合金反射膜の熱伝導率が低下し、光記録媒体の高速記録に対応できなくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Gaの含有量を、0.5mass%以上4.0mass%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Gaの含有量を、1.0mass%以上2.0mass%以下の範囲内とすることが好ましい。
(Eu、Pr、Ce:0.1mass%以上1.5mass%以下)
Eu、Ce、Prといった元素は、Agと金属間化合物を形成する元素である。この金属間化合物相が結晶粒界に分散することにより、膜の熱伝導率を大きく低下することなく、Agの凝集を抑制することが可能となる。よって、成膜されたAg合金反射膜を高温高湿下で保存しても、膜表面の平滑性を維持することが可能となる。
ここで、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が0.1mass%未満である場合には、金属間化合物相が十分に形成されず、上述した作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が1.5mass%を超える場合には、加工性が低下し、スパッタリングターゲットの製造時に割れや欠けが発生するおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量を、0.1mass%以上1.5mass%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量を、0.3mass%以上0.8mass%以下の範囲内とすることが好ましい。
(マトリックス相の平均結晶粒径:400μm以下)
上述のように、本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットにおいては、Gaを0.5mass%以上4.0mass%以下を含有しており、マトリックス相は、Ag中にGaが固溶したAg−Ga合金とされている。
このマトリックス相の平均結晶粒径を400μm以下にすることにより、高い電力を投入してスパッタを実施した場合であっても、異常放電の発生を抑制することができる。これにより、Ag合金反射膜を安定して成膜することが可能となる。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、マトリックス相の平均結晶粒径を、250μm以下とすることが好ましい。
(金属間化合物相)
上述のように、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の元素はAgとともに金属間化合物相を形成するため、スパッタリングターゲットにおいても、上述の金属間化合物相が分散されていることになる。具体的には、マトリックス相の粒界に線状の金属間化合物相が観察される。また、マトリックス相の内部には粒状の金属間化合物相が観察される。
ここで、上述の異常放電の発生を確実に抑制するためには、この金属間化合物相が微細に分散していることが好ましい。具体的には、線状の金属間化合物相の場合は幅が20μm以下であることが好ましく、粒状の金属間化合物相の場合は粒径20μm以下であることが好ましい。
次に、本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法の一例について、図1のフロー図を参照して説明する。
(溶解・鋳造工程S01)
まず、Ag原料、Ga原料、Eu原料、Pr原料、Ce原料を準備し、これらを上述した範囲内の組成となるように秤量する。ここで、Ag原料としては純度99.99mass%以上の高純度Agを用いることが好ましい。また、Ga原料としては純度99.9mass%以上のものを用いることが好ましい。さらに、Eu原料、Pr原料、Ce原料としてはそれぞれ純度99mass%以上のものを用いることが好ましい。
秤量された各種原料を高周波溶解炉の坩堝内に装入し、不活性雰囲気で溶解する。得られた溶湯を鋳型へ注湯して、所定の形状、サイズのインゴットを製造する。このとき、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとの金属間化合物相が晶出することになる。
(熱間加工工程S02)
次に、得られたインゴットを再加熱して熱間加工を行う。本実施形態では、加熱温度を550℃以上700℃以下の範囲内とし、最終圧延パス後の材料温度が150℃以上となるように熱間圧延を行う。また、熱間圧延は1パスあたりの圧下率を5%以上15%以下の範囲内とし、総圧下率を60%以上80%以下の範囲内とするのが好ましい。
ここで、熱間圧延時の加熱温度が550℃未満あるいは700℃を超える場合や、最終圧延パス後の材料温度が150℃未満である場合には、熱間圧延割れが発生するおそれがある。また、総圧下率が60%未満の場合には、上述の金属間化合物相が十分に分散しないおそれがある。一方、総圧下率が80%を超える場合には、最終圧延パス近くの圧延パスにおいて加工硬化が蓄積し、材料温度が150℃付近まで低下することにより圧延の変形抵抗が増大し、圧延荷重が過大となるため、熱間圧延割れが発生するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、熱間加工工程S02の各種条件を上述のように設定している。
(熱処理工程S03)
次に、圧延組織を再結晶化するために熱処理を実施する。本実施形態では、熱処理温度を600℃以上750℃以下の範囲内、熱処理時間を1時間以上2時間以下の範囲内に設定している。
ここで、熱処理温度が600℃未満の場合には、金属間化合物相を十分に分散させることができなくなるおそれがある。一方、熱処理温度が750℃を超える場合には、マトリックス相の結晶粒径が400μmを超えてしまうおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、熱処理工程S03の各種条件を上述のように設定している。
(機械加工工程S04)
熱処理工程S03によって再結晶化した後、所定の形状、サイズになるように機械加工を行う。
これにより、本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットが製造される。
次に、本実施形態であるAg合金反射膜について説明する。
<Ag合金反射膜>
本実施形態であるAg合金反射膜は、上述のように、光記録媒体の光反射層として使用される。これらの用途においては、特定の波長の光に対する反射率が高いことが要求される。また、レーザー光を照射することによって情報の書き込み及び読み込みを実施するため、高い熱伝導率を有することが好ましい。
ここで、本実施形態であるAg合金反射膜は、上述のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットを用いて成膜されたものであり、Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットと同等の組成とされている。
以上のような構成とされた本実施形態であるAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットによれば、Gaの含有量が0.5mass%以上4.0mass%以下の範囲内とされているので、Agのマトリックス相に固溶したGaによって、形成されたAg合金反射膜の再結晶化を抑制することができるとともに、Ag合金反射膜の熱伝導率を確保でき、高出力のレーザー光によって高速記録した場合であっても効率的に放熱することができる。
また、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が0.1mass%以上1.5mass%以下の範囲内とされているので、結晶粒界等にAgとEu、Pr、Ceとからなる金属間化合物相が分散することになり、熱伝導性を低下させることなく、膜の耐凝集性を向上させることができるとともに、加工性が確保され、スパッタリングターゲットの製造時に割れや欠けが発生することを抑制できる。
さらに、Ag−Ga合金からなるマトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下とされているので、スパッタリングターゲットに高い電力を投入してスパッタを実施しても、異常放電の発生を抑制することができる。よって、Ag合金反射膜を効率良く安定して成膜することが可能となる。
また、本実施形態では、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとからなる金属間化合物相が分散されており、線状の金属間化合物相の幅が20μm以下、粒状の金属間化合物相の粒径が20μm以下とされているので、異常放電を確実に抑制することができる。
本実施形態であるAg合金反射膜によれば、上述のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットを用いて成膜されたものであり、Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットと同等の組成とされているので、耐腐食性、耐凝集性に優れ、高温高湿下で保存した場合であっても膜表面の平滑性が劣化せず、使用環境下においても反射率が大きく変化しない。このため、保存安定性に優れた光記録媒体を提供することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、熱間加工工程S02の各種条件、および、熱処理工程S03の各種条件を、上述のように規定しているので、マトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下とされるとともに、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとからなる金属間化合物相が十分に分散したAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットを製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法は、本実施形態で例示したものに限定されることはなく、適宜設計変更してもよい。
以下に、本発明に係るAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲット及びAg合金反射膜の作用効果について評価した評価試験の結果について説明する。
<Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットの作製>
溶解原料として、純度99.99mass%以上のAg原料と、純度99.9mass%以上のGa原料と、純度99mass%以上のEu原料、Pr原料、Ce原料と、を準備した。
次に、高周波真空溶解炉を用いてAgを溶解し、得られたAg溶湯にGaを添加し、さらにEu,Pr,Ceを添加して溶解した。その後、鋳型へと注湯して、表1に示す組成の直方体形状のインゴットを製造した。
次いで、得られたインゴットを600℃まで再加熱し、熱間圧延を実施した。このとき、熱間圧延の最終パス後の材料温度が150℃以上となるように、速やかに熱間圧延を実施した。なお、熱間圧延における各圧延パスの圧下率を5〜12%、全圧延パスの総圧下率を77%とした。
次に、再結晶化のために、大気中で650℃×1時間の熱処理を実施した。そして、機械加工を実施することにより、直径152.4mm、厚さ6mm寸法を有する本発明例1〜9の組成のスパッタリングターゲット、及び、比較例1〜4の組成のスパッタリングターゲットを作製した。
さらに、表1の比較例5に示す組成で上記と同様に溶解鋳造と熱間圧延を行った後、大気中で770℃×2時間の熱処理を施し、上記と同一寸法に機械加工することにより、比較例5のスパッタリングターゲットを作製した。
また、従来例として、純Ag(純度99.9mass%以上)からなる上記と同一寸法のスパッタリングターゲットを準備した。
<Ag合金反射膜形成用スパッタリングターゲットの組織観察>
熱処理工程後の板材から組織観察用の試料片を切り出し、以下の手順でミクロ組織観察し、Eu,Ce,Prの1種または2種以上とAgとからなる金属間化合物相の分散状態、および、マトリックス相の平均結晶粒径の測定を行った。測定結果を表1に示す。
まず、試料片のスパッタ面側を#180〜#4000の耐水紙で研磨した後、粒径3μm〜1μmの砥粒でバフ研磨した。
続いて光学顕微鏡で粒界が見える程度にエッチングした。ここで、エッチング液には、過酸化水素水とアンモニア水との混合液を用い、室温で1〜2秒間浸漬し、粒界を現出させた。そして、光学顕微鏡により倍率50倍もしくは100倍で写真を撮影した。
組織写真において、60mmの線分を、井げた状に20mm間隔で縦横に合計4本引き、それぞれの直線で切断されたマトリックス相の結晶粒の数を数えた。線分の端の結晶粒は、0.5個とカウントした。平均切片長さ:L(μm)を、L=60000/(M・N)(ここで、Mは実倍率、Nは切断された結晶粒数の平均値である)で求めた。
求めた平均切片長さ:L(μm)から、試料の平均粒径:d(μm)を、d=(3/2)・Lで算出した。
線状金属間化合物相の線幅は、組織写真においてマトリックス相の粒界に存在する線状金属間化合物相を5箇所選び、それぞれの短手方向の幅を3箇所測定し、全ての測定値の平均値とした。粒状金属間化合物相の径は、マトリックス相の粒内に存在する粒状金属間化合物相を5箇所選び、それぞれの長手方向と短手方向の径を測定し、全ての測定値の平均値とした。
図1に倍率100倍で撮影した本発明例1(Ag−1.6mass%Ga−0.4mass%Eu)の組織写真を示す。マトリックス相11とEuとAgの金属間化合物相12(線状金属間化合物相12a、粒状金属間化合物相12b)が観察される。ここで、線状金属間化合物相12aはマトリックス相11の粒界に存在し、粒状金属間化合物相12bはマトリックス相11の粒内に存在していた。また、マトリックス相11の平均結晶粒径は126μmであった。
<成膜時の異常放電回>
本発明例1〜9、比較例1〜5、従来例のスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしてターゲット複合体を構成し、これをスパッタ装置に装着し、スパッタ装置内を5×10−5Paまで排気した後、Arガス圧:0.67Pa、投入電力:DC1000W、ターゲット基板間距離:60mmの条件で、20時間スパッタすることによりターゲットを消耗させ、その後の30分間についての異常放電回数を測定した。これら異常放電回数は、MKSインスツルメンツ社製DC電源(型番:RPDG−50A)のアークカウント機能により計測した。測定結果を表1に示す。
<Ag合金反射膜の熱伝導率>
本発明例1〜9、比較例1〜5、従来例のスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしてターゲット複合体を構成し、これをスパッタ装置に装着し、酸化膜付きSiウェーハ基板(縦:30mm、横:30mm、厚さ:0.6mm)との距離:70mm、電力:直流250W、到達真空度:5×10−5Pa、Arガス圧:0.67Paの条件でスパッタリングを実施し、酸化膜付きSiウェーハ基板の表面に、厚さ:100nmを有するAg合金反射膜を形成した。
得られたAg合金反射膜の比抵抗を四探針法により測定し、ウィーデマンフランツの法則に基づく式:κ=2.44×10−8T/ρ(ただし、κ:熱伝導率、T:絶対温度、ρ:比抵抗)により比抵抗値から熱伝導率を計算により求めた。評価結果を表2に示す。
<Ag合金反射膜の表面粗さ>
本発明例1〜9、比較例1〜5、従来例のスパッタリングターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしてターゲット複合体を構成し、これをスパッタ装置に装着し、Siウェーハ基板(縦:30mm、横:30mm、厚さ:0.6mm)との距離:70mm、電力:直流250W、到達真空度:5×10−5Pa、Arガス圧:0.67Paの条件でスパッタリングを実施し、Siウェーハ基板の表面に、厚さ:50nmを有するAg合金反射膜を形成した。
得られたAg合金反射膜の平均面粗さを走査型プローブ顕微鏡により測定した。また、温度:80℃、相対湿度:85%の恒温恒湿槽にて200時間保持したのち、再度同じ条件で表面粗さを測定した。評価結果を表2に示す。
なお、走査型プローブ顕微鏡にはセイコーインスツルメンツ株式会社製SPA−400AFMを用い、1μm×1μmの領域の平均面粗さ(Ra)を測定した。また、平均面粗さはJISB0601で定義される中心線平均粗さを面に対して適用できるように三次元に拡張したものであり、次式で表されるものである。
Ra=1/S∫∫|F(X,Y)−Z|dXdY
F(X,Y):全測定データの示す面
:指定面が理想的にフラットであると仮定したときの面積
:指定面内のZデータの平均値
Gaの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例1においては、成膜されたAg合金反射膜の表面粗さRaが高温高湿試験後に大きく変化した。GaによるAgの腐食抑制効果が不十分であったためと推測される。
Gaの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例2においては、成膜されたAg合金反射膜の熱伝導率が低くなった。
Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例3においては、成膜されたAg合金反射膜の表面粗さRaが高温高湿試験後に大きく変化した。金属間化合物相が十分に形成されず、Agの凝集を抑制できなかったためと推測される。
Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上の含有量が本発明の範囲よりも多い比較例4においては、熱間圧延時に割れが生じた。このため、その後の評価を中止した。
マトリックス相の平均結晶粒径が本発明の範囲よりも大きい比較例5においては、成膜時の異常放電回数が多くなった。
純Agで構成された従来例においては、成膜されたAg反射膜の表面粗さRaが高温高湿試験後に大きく変化した。Agの凝集及び腐食によるものと推測される。
これに対して、本発明例1〜9においては、熱間圧延時に割れが生じることなく、ターゲットを良好に製造することができた。また、異常放電回数が少なく成膜を安定して実施することができた。さらに、成膜されたAg合金反射膜は、熱伝導率に優れ、高温高湿試験後においても表面粗さRaが大きく変化せず安定していた。
以上のことから、本発明例によれば、異常放電の発生を抑制して安定して成膜を行うことができるとともに、高い反射率を有し、かつ、耐熱性、耐環境性等の各種耐性に優れ、高温高湿下で保存した場合であっても高い反射率を維持することができるAg合金反射膜を形成可能なAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットおよびAg合金反射膜を提供できることが確認された。

Claims (2)

  1. Gaを0.5mass%以上4.0mass%以下、Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上を0.1mass%以上1.5mass%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有し、
    Eu、Pr、Ceの中から選択される1種または2種以上とAgとの金属間化合物相が分散しており、
    マトリックス相の平均結晶粒径が400μm以下であることを特徴とするAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲット。
  2. 請求項1に記載のAg合金反射膜形成用スパッタリングターゲットを用いて成膜されたことを特徴とするAg合金反射膜。
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