JP2015040483A - 負圧ポンプ及びシリンダヘッドカバー - Google Patents

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伸司 山▲崎▼
Shinji Yamazaki
伸司 山▲崎▼
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Abstract

【課題】負圧ポンプにおいて、製造コストの上昇を抑制すると共に低温下における駆動抵抗の上昇を抑制すること。
【解決手段】負圧ポンプ10が、樹脂で構成され、室内に潤滑油が供給されると共に内壁面が断面円形状とされたポンプ室30と、ポンプ室30内に配置され、動力源から動力が伝達されて回転し、回転中心Cがポンプ室30の中心に対して偏心した位置にある回転軸40と、回転軸40に該回転軸40と直交する方向に往復動自在に支持され、回転軸40と一体回転すると共に端部50Bがポンプ室30の内壁面(内周面26B)上を摺動し、ポンプ室30を複数の空間に区画して負圧を生成するベーン50と、を有すること。
【選択図】図3

Description

本発明は、負圧ポンプ及びシリンダヘッドカバーに関する。
特許文献1には、エンジンからの動力によって負圧を生成する負圧ポンプが開示されている。この負圧ポンプは、アルミ製のハウジング内に形成されたポンプ室と、このポンプ室内を回転しながら該ポンプ室内を複数の空間に区画するベーンとを備えており、このベーンとハウジングを熱膨張率(線膨張係数)が同じ素材で形成している(特許文献1参照)。
特許4600654号
しかし、ハウジングをアルミや鉄等の金属材料で形成する場合、ポンプ室の成形に機械加工が必要となり、製造コストが高くなるという問題がある。
さらに、アルミや鉄等の金属材料で形成されたハウジングは、熱伝導率が高いため、低温下において負圧ポンプを作動させた場合に、ポンプ室内の潤滑油が温まり難く、潤滑油のせん断抵抗によって負圧ポンプの駆動抵抗が高くなるという問題がある。
本発明の課題は、製造コストの上昇を抑制すると共に低温下における駆動抵抗の上昇を抑制する負圧ポンプ及びシリンダヘッドカバーを提供することである。
本発明の請求項1に係る負圧ポンプは、樹脂で構成され、室内に潤滑油が供給されると共に内壁面が断面円形状とされたポンプ室と、前記ポンプ室内に配置され、動力源から動力が伝達されて回転し、回転中心が前記ポンプ室の中心に対して偏心した位置にある回転軸と、前記回転軸に該回転軸と直交する方向に往復動自在に支持され、前記回転軸と一体回転すると共に端部が前記ポンプ室の内壁面上を摺動し、前記ポンプ室を複数の空間に区画して負圧を生成するベーンと、を有している。
なお、ここでいう「断面円形状」とは、断面形状が正円及び断面形状が長円のものを含む。
請求項1に係る負圧ポンプでは、動力源から動力が伝達されて駆動軸が回転すると、ベーンも駆動軸と一体回転する。この回転により、ベーンは、遠心力を受けて回転軸と直交する方向(回転軸の直径方向)に移動すると共に端部がポンプ室の内壁面上を摺動する。また、回転軸の回転中心がポンプ室の中心に対して偏心した位置にあるため、回転軸とベーンが一体回転することで、ベーンによって区画された複数の空間の容積が増減する。このように、ベーンによって容積が増減する空間において気体を吸入、圧縮、及び吐出することで、負圧が生成される。
上記負圧ポンプでは、ポンプ室を樹脂で構成していることから、例えば、ポンプ室を金属(アルミ等)で構成するものと比べて、製造コストの上昇が抑制される。
また、上記負圧ポンプでは、ポンプ室を樹脂で構成していることから、例えば、ポンプ室を金属(アルミ等)で形成したものと比べて、熱伝導率を低くできるため、低温下においてポンプ室内の熱が室外へ逃げるのが抑制され、潤滑油が温まり易くなる。これにより、低温下においても潤滑油が早期に温まり、せん断抵抗が低下するため、ベーンを介して回転軸に作用する負荷が軽減され、負圧ポンプの駆動抵抗が低下する。すなわち、低温下における負圧ポンプの駆動抵抗の上昇が抑制される。
本発明の請求項2に係る負圧ポンプは、請求項1に記載の負圧ポンプにおいて、前記ポンプ室は、円筒状の筐体と、該筐体の開口部を閉塞する蓋体とで構成され、前記ポンプ室の内壁面としての前記筐体の内周面は、前記開口部に向かって外側へ傾斜している。
なお、ここでいう「円筒状」とは、正円筒状及び長円筒状を含む。
請求項2に係る負圧ポンプでは、ポンプ室を円筒状の筐体と該筐体の開口部を閉塞する蓋体とで構成し、さらに、ポンプ室の内壁面としての筐体の内周面を開口部に向かって外側へ傾斜させていることから、筐体の製造時(射出成形時)において、筐体の内周面を形成する金型を筐体内から上記開口部を通して抜き出しやすくなる。
本発明の請求項3に係る負圧ポンプは、請求項2に記載の負圧ポンプにおいて、前記ポンプ室が減圧されるにつれて、前記筐体の内周面と前記ベーンの端部との間の隙間が縮小する。
請求項3に係る負圧ポンプでは、ポンプ室内が減圧されるにつれて、ポンプ室内外の圧力差により筐体の周壁が弾性変形し、筐体の内周面(ポンプ室の内壁面)とベーンの端部との間の隙間が縮小される。これにより、上記隙間を気体が通り抜けるのが抑制され、負圧ポンプの負圧生成効率(駆動効率)が向上する。
本発明の請求項4に係る負圧ポンプは、請求項3に記載の負圧ポンプにおいて、前記筐体を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂である。
請求項4に係る負圧ポンプでは、筐体を構成する樹脂を熱可塑性樹脂とすることから、ポンプ室内の温度上昇(例えば、筐体の内周面とベーンの端部の摺動(摩擦)による温度上昇)により、筐体の柔軟性が増すため、筐体の内周面とベーンの端部との間の隙間をより縮小することができる。
本発明の請求項5に係る負圧ポンプは、請求項3又は請求項4に記載の負圧ポンプにおいて、前記筐体を構成する樹脂は、ポリアミド系樹脂であり、前記筐体の周壁の厚みをT、前記ベーンの幅をHとしたときに、T≦0.22Hの関係を満たす。
請求項5に係る負圧ポンプでは、筐体を構成する樹脂をポリアミド系樹脂とし、筐体の周壁の厚みTとベーンの幅HがT≦0.22Hの関係を満たすため、筐体の内周面とベーンの端部との間の隙間を確実に縮小することができる。
本発明の請求項6に係るシリンダヘッドカバーは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の前記負圧ポンプを備え、一部が前記筐体を構成し、他の部分が動力源としてのエンジンのシリンダヘッドをカバーするシリンダヘッドカバー。
請求項6に係るシリンダヘッドカバーでは、シリンダヘッドカバーの一部が筐体を構成することから、例えば、シリンダヘッドカバーと負圧ポンプの筐体が別体とされるものと比べて、製造コストを減らすことができる。また、シリンダヘッドカバーは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の負圧ポンプを備えるため、この負圧ポンプで得られる作用効果を奏する。特に、上記負圧ポンプでは、低温下における駆動抵抗を低減することができるため、エンジンのエネルギーロスを減らすことができる。
本発明の負圧ポンプ及びシリンダヘッドカバーによれば、製造コストの上昇を抑制すると共に低温下における駆動抵抗の上昇を抑制することができる。
本発明の第1実施形態の負圧ポンプの斜視図である。 図1の負圧ポンプの分解斜視図である。 作動状態の図1の負圧ポンプの筐体を軸直方向に沿って切断した断面図である。 図3の負圧ポンプの4X−4X線断面図である。 停止状態の図4の負圧ポンプの矢印5X部の拡大図である。 作動状態の第2実施形態のシリンダヘッドカバーの負圧ポンプ筐体部を軸方向に沿って切断した断面図である。 図6の負圧ポンプの筐体を軸直方向に沿って切断した断面図である。 負圧生成時に筐体の周壁が受ける圧力を説明するための説明図である。 筐体の周壁の厚みTとベーンの幅Hとの関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の負圧ポンプについて図1〜図5に従って説明する。
本実施形態の負圧ポンプ10(図1参照)は、エンジン(図示省略)を動力源として負圧を生成する装置であり、車両の負圧式ブレーキ倍力装置(図示省略)に用いられる。なお、本発明は上記構成に限定されず、負圧ポンプの動力源としてモータ等を用いてもよい。また、本発明の負圧ポンプは、負圧を利用する装置であれば、負圧式ブレーキ倍力装置以外に用いてもよい。
図2及ぶ図3に示すように、負圧ポンプ10は、樹脂で構成された筐体20と、筐体20の内部に形成されたポンプ室30と、ポンプ室30内に配置される回転軸40と、ポンプ室30内に配置されると共に回転軸40に支持されるベーン50と、を有している。
筐体20は、軸方向の一端部22A(図4では右側の端部)を含む円筒部24と、その他の部分を形成すると共に軸方向の他端部22Bを含み、円筒部24よりも大径とされた長円筒部26とで構成された略円筒状とされている。
図4に示すように、円筒部24の内周面24B(周壁24Aの内面)は、断面形状が正円とされている。また、円筒部24には、回転軸40が挿入配置される。
図3及び図4に示すように、長円筒部26は、周壁26Aの厚みが略一定とされている。長円筒部26の内周面26B(周壁26Aの内面)は、断面形状が長円とされている。また、長円筒部26の中心に対して円筒部24の中心が偏心した位置にある。また、図5に示すように、長円筒部26の内周面26Bは、他端部22Bに向かって外側へ傾斜している。具体的には、内周面26Bは、長円筒部26の軸直方向(軸方向と直交する方向)の外側(中心軸(軸心)から離れる側)に向かって傾斜している。なお、本実施形態では、長円筒部26の内周面26Bの傾斜角(軸方向に対する傾斜角)θを0.5〜1.0度の範囲内に設定している。
図2及び図3に示すように、長円筒部26の周壁26Aには、ポンプ室30内に流体を吸入するための吸入口27が設けられている。この吸入口27には、逆止機能を有するチェックバルブ15が接続されている。吸入口27は、チェックバルブ15を介して負圧式ブレーキ倍力装置(図示省略)に接続されている。このチェックバルブ15は、負圧式ブレーキ倍力装置から吸入口27に向かう流体(ここでは、空気)の流れを許容し、吸入口27から負圧式ブレーキ倍力装置に向かう流体(ここでは、空気及び潤滑油)の流れを止めるように構成されている。
図4に示すように、筐体20には、円筒部24と長円筒部26との間に円筒部24と長円筒部26の径差によって段差部25が形成されている。この段差部25には、ポンプ室30内の流体(ここでは、空気及び潤滑油)を吐出するための吐出口28(図3参照)が設けられている。この吐出口28は、段差部25の外面25Bにねじ17でねじ止めされた可撓性を有する吐出弁16(図2参照)により、閉塞されている。この吐出弁16は、ポンプ室30内から外側への流体(ここでは、空気及び潤滑油)の流れを許容し、外側からポンプ室30内への流体(ここでは、空気及び潤滑油)の流れを止めるように構成されている。
図2及び図4に示すように、長円筒部26の他端部22Bには、板状の蓋体34が着脱自在に装着されている(図1参照)。具体的には、蓋体34は、筐体20にボルト35を用いて固定されている。これにより、筐体20の開口部としての長円筒部26の他端部22B側の開口部が蓋体34によって閉塞されている。
また、蓋体34の閉塞面34Aと長円筒部26の他端部22Bとの間には、パッキン19(図2参照)が配設されている。このパッキン19により、ポンプ室30内に供給される潤滑油が蓋体34と他端部22Bとの間から漏れ出すのが防止されている。なお、図4及び図5においては、パッキン19の図示を省略している。
図4に示すように、本実施形態のポンプ室30は、筐体20の長円筒部26と蓋体34とで構成されている。具体的には、ポンプ室30は、長円筒部26の内周面26B、段差部25の内面25A、及び蓋体34の閉塞面34Aによって構成されており、内壁面(内周面26Bと同義)が断面円形状とされている。
図2及び図4に示すように、回転軸40は、円筒部42と、円筒部42の軸方向の他端側(図4では左側)に形成され、円筒部42よりも大径とされた円筒部44と、円筒部42よりも軸方向の一端側(図4では右側)に形成される突出部46とで構成されている。なお、円筒部42と円筒部44は、同軸とされている。
回転軸40の円筒部42は、円筒部24内に挿入されると共に円筒部24の内周面24Bによって回転自在に支持されている。また、円筒部42は、軸方向一方側の端部(図4では、右側の端部)が閉塞されている。なお、円筒部42には、図示省略するが、潤滑油をポンプ室30内に供給するための潤滑油供給通路が形成されている。
図2及び図4に示すように、円筒部44は、長円筒部26(ポンプ室30)内に配置されている。この円筒部44には、回転軸40の軸方向と直交する方向、すなわち、回転軸40の直径方向に沿って延びる溝44Aが形成されている。この溝44Aにより、円筒部44は、半分に分割されている。なお、本実施形態では、円筒部44の外周面が長円筒部26の内周面26Bに接しているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
突出部46は、筐体20の外部に配置されている。また、突出部46の先端部には、ねじ孔46Aが形成されている。この突出部46は、カップリング12に形成された凹部に嵌め込まれ、その状態でねじ孔46Aにねじ13が捩じ込まれてカップリング12と連結している。このカップリング12を介してエンジン(図示省略)からの動力で回転駆動する駆動軸と回転軸40が連結される。
なお、回転軸40は、図3に示すように、筐体20の円筒部24の内周面24Bによって回転自在に支持されており、回転中心Cがポンプ室30(長円筒部26)の中心に対して偏心した位置に配置されている。
図2及び図3に示すように、円筒部44の溝44A内には、板状のベーン50が挿入配置されている。このベーン50は、溝44Aの溝壁44Bにより、両板面50Aが回転軸40と直交する方向(回転軸40の直径方向)に往復動自在に支持されている。これにより、ベーン50は、回転軸40と一体回転するようになっている。
また、ベーン50は、回転軸40と一体回転することで、遠心力により回転軸40の直径方向に往復動して両端部50Bがポンプ室30の内壁面(内周面26B)に押し付けられながら、内周面26B上をそれぞれ摺動する。また、ポンプ室30は、ベーン50によって、複数の空間に区画されている。この区画された空間は、回転軸40とベーン50の一体回転にともない吸入口27側から吐出口28側に向かって徐々に容積が小さくなるように構成されている。このようにベーン50によって区画された空間が容積変化することで、ポンプ室30で負圧が生成される。すなわち、回転軸40とベーン50が一体回転することで、ポンプ室30で負圧が生成される。
また、筐体20を構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のどちらを用いても構わない。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
なお、本実施形態では、筐体20を構成する樹脂を、強靭性や柔軟性の観点からポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン)としている。
また、ポンプ室30が減圧されるにつれて、筐体20の内周面26Bとベーン50の端部50Bとの隙間が縮小するように筐体20の周壁26Aの厚みTが設定されている。具体的には、ベーン50の幅Hに対する周壁26Aの厚みTがT≦0.22Hの関係を満たすように設定されている。なお、T≦0.22Hの関係については、筐体20の周壁26Aの厚み(ベーン摺接部肉厚)Tとベーン50の幅(ベーン幅)Hとの関係を示す図9から求めている。
図8に示すように、筐体20の周壁26Aに圧力P(ポンプ室30内外の圧力差によって生じる圧力)が作用したときの周壁26Aの変形量ζ及び変形角αは以下の式(1)及び式(2)で求められる。そして、変形角αが周壁26Aの傾斜角θ(本実施形態では、0.5度)となるように設定したときの周壁26Aの厚みTとベーン50の幅Hの関係が図9のグラフで示されている。なお、このときの圧力Pを0.01kg/mmに設定している。
ζ=ωH/8EI・・・・式(1)
α=tan−1ζ/H・・・・式(2)
式(1)のωは受圧幅を示している。この受圧幅ωを10mmとしたとき、周壁26Aが受ける圧力は0.1kg/mmである。
また、式(1)のEはヤング率を示している。筐体20を構成する樹脂のヤング率Eは162kg/mm(150℃ RH50 TD)である。
式(1)のIは断面2次モーメントを示している。長円筒部26(周壁26A)の断面2次モーメントIは、10×t/12で求められる。
なお、図9で示す周壁26Aの厚みTとベーン50の幅Hの関係は、筐体20をポリアミド系樹脂で構成した場合のものであり、筐体20を構成する樹脂が異なる場合は、式(1)及び式(2)によって別途周壁26Aの厚みTとベーン50の幅Hの関係を求めればよい。
(作用)
次に、本実施形態に係る負圧ポンプ10の作用効果について説明する。
負圧ポンプ10では、ポンプ室30を構成する筐体20を樹脂で構成していることから、製造コストの上昇を抑制することができる。また、筐体20を樹脂で構成することで、熱伝導率を低くできるため、低温下においてポンプ室30内の熱が室外(筐体20の外部)へ逃げるのが抑制され、潤滑油が温まり易くなる。これにより、低温下において潤滑油が早期に温まり、潤滑油のせん断抵抗が低下するため、ベーン50を介して回転軸40に作用する負荷が軽減され、負圧ポンプ10の駆動抵抗が低下する。すなわち、低温下における負圧ポンプ10の駆動抵抗の上昇を抑制することができる。これにより、動力源としてのエンジンのエネルギーロスを減らすことができる。
また、負圧ポンプ10では、筐体20の内周面26Bを他端部22Bに向かって外側に傾斜させていることから、筐体20の製造時(射出成形時)において、筐体20の内周面26Bを形成する金型を筐体20内から上記他端部22B側の開口部を通して抜き出しやすくなる。
さらに、負圧ポンプ10では、ポンプ室30内が減圧されるにつれて、ポンプ室30の室内及び室外の圧力差により筐体20の周壁26Aが弾性変形し、筐体20の内周面26Bとベーン50の端部50Bとの間の隙間が縮小される(図5(負圧ポンプ停止状態)及び図4(負圧ポンプ作動状態)参照)。これにより、筐体20の内周面26Bとベーン50の端部50Bとの間の隙間を気体が通り抜けるのが抑制される。具体的には、回転軸40と一体回転するベーン50により容積が減少する空間から容積が増大する空間へ圧力差により気体が上記隙間を通って移動するのが抑制される。結果、負圧ポンプ10の負圧生成効率(駆動効率)が向上する。
またさらに、負圧ポンプ10では、筐体20を構成する樹脂を熱可塑性樹脂としていることから、ポンプ室30内の温度上昇(例えば、筐体20の内周面26Bとベーン50の端部50Bの摺動(摩擦)による温度上昇)により、筐体20の柔軟性が増すため、筐体20の内周面26Bとベーン50の端部50Bとの間の隙間をより縮小することができる。
そして、負圧ポンプ10では、筐体20の周壁26Aの厚みTとベーン50の幅HがT≦0.22Hの関係を満たすため、筐体20の内周面26Bとベーン50の端部50Bとの間の隙間を確実に縮小することができる。
また、負圧ポンプ10が停止した場合に、ポンプ室30内の負圧によって潤滑油がポンプ室30内に引き込まれ、室内下方に溜まることがある。このような状態において、負圧ポンプ10が再作動しても、作動直後ではポンプ室30が十分に減圧されていないため、筐体20の周壁26Aの弾性変形量が少なく、非圧縮流体である潤滑油がポンプ室30の内周面26Bとベーン50の端部50Bとの間の隙間を容易に通り抜けられるため、ベーン50に過大な負荷が作用するのが抑制される。すなわち、負圧ポンプ10を作動させた直後の駆動抵抗を低減することができる。これにより、エンジンの始動性を改善することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るシリンダヘッドカバー100の一例について図6及び図7に従って説明する。
本実施形態のシリンダヘッドカバー100は、樹脂で形成されている。また、シリンダヘッドカバー100は、一部が第1実施形態の負圧ポンプ10の筐体20と同形状の負圧ポンプ筐体部120とされ、他の部分が動力源としてのエンジンのシリンダヘッドをカバーするカバー部110とされている。また、この負圧ポンプ筐体部120には、第1実施形態の負圧ポンプ10と同様に、蓋体34、回転軸40及びベーン50などのポンプ構成部品が取付けられている。これにより、シリンダヘッドカバー100には、第1実施形態の負圧ポンプ10と同様の負圧ポンプ部が構成されている。
次に、本実施形態のシリンダヘッドカバー100の作用効果について説明する。
シリンダヘッドカバー100の一部が負圧ポンプ筐体部120とされることから、例えば、第1実施形態のようにシリンダヘッドカバーと負圧ポンプ10を別体するものと比べて、製造コストを減らすことができる。
また、シリンダヘッドカバー100の負圧ポンプ筐体部120は樹脂で形成されている。このため、シリンダヘッドカバー100で構成される負圧ポンプ部は、第1実施形態の負圧ポンプ10と同様の作用効果を奏する。
また、第1実施形態の負圧ポンプ10では、筐体20の内周面26Bを他端部22Bに向かって外側へ傾斜させる構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかなことである。
10 負圧ポンプ
20 筐体
26B 内周面(筐体の内周面(ポンプ室の内壁面))
30 ポンプ室
34 蓋体
40 回転軸
50 ベーン
50B 端部
100 シリンダヘッドカバー
H 幅(ベーンの幅)
T 厚み

Claims (6)

  1. 樹脂で構成され、室内に潤滑油が供給されると共に内壁面が断面円形状とされたポンプ室と、
    前記ポンプ室内に配置され、動力源から動力が伝達されて回転し、回転中心が前記ポンプ室の中心に対して偏心した位置にある回転軸と、
    前記回転軸に該回転軸と直交する方向に往復動自在に支持され、前記回転軸と一体回転すると共に端部が前記ポンプ室の内壁面上を摺動し、前記ポンプ室を複数の空間に区画して負圧を生成するベーンと、
    を有する負圧ポンプ。
  2. 前記ポンプ室は、円筒状の筐体と、該筐体の開口部を閉塞する蓋体とで構成され、
    前記ポンプ室の内壁面としての前記筐体の内周面は、前記開口部に向かって外側へ傾斜している、請求項1に記載の負圧ポンプ。
  3. 前記ポンプ室が減圧されるにつれて、前記筐体の内周面と前記ベーンの端部との間の隙間が縮小する、請求項2に記載の負圧ポンプ。
  4. 前記筐体を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂である、請求項3に記載の負圧ポンプ。
  5. 前記筐体を構成する樹脂は、ポリアミド系樹脂であり、
    前記筐体の周壁の厚みをT、前記ベーンの幅をHとしたときに、T≦0.22Hの関係を満たす、請求項3又は請求項4に記載の負圧ポンプ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の前記負圧ポンプを備え、一部が前記筐体を構成し、他の部分が動力源としてのエンジンのシリンダヘッドをカバーするシリンダヘッドカバー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109406225A (zh) * 2018-12-12 2019-03-01 青岛海颐天仪器有限公司 用于大气中烟气及颗粒物采集的真空采样泵

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