JP2015039843A - フッ素樹脂製熱収縮チューブ、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線、ケーブルの表面上に小さな凹凸や段差がある場合でも、これらに密着し、隙間を生じないように電線、ケーブルを被覆することができ、かつ絶縁性や耐熱性に優れ、薬品等に対して充分な保護機能を有する絶縁被覆を形成できる熱収縮チューブおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブ、および、発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤含有フッ素樹脂とをそれぞれ溶融後、発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、発泡剤含有フッ素樹脂を内層として押出をする2層押出し工程と、チューブを発泡温度に加熱して内層を発泡させる発泡工程と、チューブに電離性放射線を照射してフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、チューブを拡径する拡径工程とが設けられているフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブ、および、発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤含有フッ素樹脂とをそれぞれ溶融後、発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、発泡剤含有フッ素樹脂を内層として押出をする2層押出し工程と、チューブを発泡温度に加熱して内層を発泡させる発泡工程と、チューブに電離性放射線を照射してフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、チューブを拡径する拡径工程とが設けられているフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、フッ素樹脂の発泡体からなる層を有するフッ素樹脂製熱収縮チューブ、及びその製造方法に関する。
樹脂製熱収縮チューブは、電線やケーブルの絶縁被覆、特にそれらの接続部の絶縁被覆の形成等に広く用いられている。耐熱性や耐薬品性に優れているフッ素樹脂よりなる熱収縮チューブは、自動車のエンジンルームのハーネス等の高い耐熱性や耐油性が望まれる電線、ケーブルの絶縁被覆の形成に好適に用いられ、例えば、特許文献1等で開示されている。
自動車のエンジンルームのハーネス等の電線、ケーブルの表面には、傷等により生じる凹凸を有する場合がある。又、電線、ケーブルの一部を下層の被覆で覆う場合があり、その被覆部と非被覆部間に小さな段差が生じる場合もある。そこで、このような凹凸や段差がある場合でも、これらに密着し、隙間を生じないように電線、ケーブルを絶縁被覆できる熱収縮チューブ、特にフッ素樹脂製熱収縮チューブが望まれていた。
本発明は、電線、ケーブルの表面上に小さな凹凸や段差がある場合でも、これらに密着し、隙間を生じないように電線、ケーブルを被覆することができ、かつ絶縁性や耐熱性に優れ、薬品等に対して充分な保護機能を有する絶縁被覆を形成できるフッ素樹脂製熱収縮チューブおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブを提供する。
本発明は、又、フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法であって、
発泡剤を含有しない発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤を含有する発泡剤含有フッ素樹脂とを、それぞれ溶融後、前記発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、前記発泡剤含有フッ素樹脂を内層として2層押出しを行い、2層チューブを形成する2層押出し工程と、
前記2層チューブを前記発泡剤の発泡温度以上に加熱する発泡工程と、
前記発泡工程後、前記2層チューブに電離性放射線を照射して前記2層チューブを構成するフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、
架橋後、前記チューブを拡径する拡径工程と
を有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法を提供する。
発泡剤を含有しない発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤を含有する発泡剤含有フッ素樹脂とを、それぞれ溶融後、前記発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、前記発泡剤含有フッ素樹脂を内層として2層押出しを行い、2層チューブを形成する2層押出し工程と、
前記2層チューブを前記発泡剤の発泡温度以上に加熱する発泡工程と、
前記発泡工程後、前記2層チューブに電離性放射線を照射して前記2層チューブを構成するフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、
架橋後、前記チューブを拡径する拡径工程と
を有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法を提供する。
本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブを用いて、電線、ケーブルを絶縁被覆することにより、絶縁性や耐熱性に優れ、薬品等に対して充分な保護機能を有する絶縁被覆を形成できるとともに、電線、ケーブルの表面に小さな凹凸や段差がある場合でも、これらに密着し、隙間を生じないように電線、ケーブルを被覆することができる。又、本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、その一部が発泡体であるので、体積当たりの樹脂の使用量が低減されている。このため、高価なフッ素樹脂の使用量が削減され、コスト低下を図ることができるとともに、熱収縮チューブを軽量化することができる。
本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法により製造することができる。
前記の本発明の課題を解決するため、本発明者は、鋭意検討の結果、熱収縮チューブを2層とし、その内層をフッ素樹脂の発泡体から構成し外層を発泡していないフッ素樹脂から構成することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の第一の態様は、フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブである。
樹脂を発泡させることにより、弾性変形がしやすくなる。本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、その内側部分(内層)を弾性変形しやすい樹脂の発泡体で構成しているので、表面に小さな凹凸や段差を有する電線やケーブルの絶縁被覆に用いたときでも、その小さな凹凸や段差に充分に追随して密着しやすく、絶縁被覆と電線やケーブル間の隙間の発生を抑制することができる。
本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、内層、外層とも、フッ素樹脂により形成されている。フッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性等に優れる樹脂であるが、発泡樹脂とした場合には液体等を通しやすくなるため、薬品等に対する電線やケーブルの保護機能が充分とは言えなくなる。又、絶縁性も低下する。しかし、本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、外側部分(外層)を非発泡体であるフッ素樹脂で構成しているので、液体等の透過および絶縁性の低下が防止されている。
このように、熱収縮チューブをフッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とで構成することにより、電線、ケーブルの表面上に小さな凹凸や段差がある場合でも、これらに密着し隙間を生じないように電線、ケーブルを被覆することができ、かつ絶縁性や耐熱性に優れ、薬品等に対して充分な保護機能を有する絶縁被覆を形成することができる。なお、特開平4−331130号公報には、内層が非発泡層であり外層が発泡層であるフッ素樹脂製熱収縮チューブが開示されているが、内層が弾性変形しにくい層であるため電線、ケーブルの表面にある小さな凹凸や段差には追随しにくく、隙間を生じないように電線、ケーブルを絶縁被覆することはできない。
本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、前記の内層及び外層の他に、本発明の趣旨を損ねない範囲で、他の層を有していてもよい。
前記外層の厚さ(後述の拡径後の厚さ)としては、0.05mm以上が好ましく、より好ましくは0.1mm以上である。そこで、前記本発明の第一の態様であって、外層の厚さが0.05mm以上のフッ素樹脂製熱収縮チューブも提供する。
外層の厚さが小さ過ぎる場合には、充分な保護機能、絶縁性が得られない可能性がある。一方、外層の厚さを0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上にすることにより、充分な保護機能、絶縁性を備える熱収縮チューブを確実に得ることができる。
本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブを構成するフッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を挙げることができる。PVDFおよびPFAは、比較的容易に溶融できる樹脂であり、押出加工性に優れるとともに容易に発泡するので好ましい。
そこで、本発明の第一の態様であって、内層もしくは外層又は内層及び外層を構成するフッ素樹脂が、PVDF及びPFAからなる群より選ばれるフッ素樹脂製熱収縮チューブを提供する。PVDF、PFAを用いることにより、より容易に所望の径および厚さを有するチューブを製造することができ、又所望の発泡倍率が得られやすい。
本発明はその第2の態様として、前記のフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法を提供する。すなわち、フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法であって、
発泡剤を含有しない発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤を含有する発泡剤含有フッ素樹脂とを、それぞれ溶融後、前記発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、前記発泡剤含有フッ素樹脂を内層として2層押出しを行い2層チューブを形成する2層押出し工程と、
前記2層チューブを前記発泡剤の発泡温度以上に加熱する発泡工程と、
前記発泡工程後、前記2層チューブに電離性放射線を照射して前記2層チューブを構成するフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、
架橋後、前記チューブを拡径する拡径工程と
を有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法である。
発泡剤を含有しない発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤を含有する発泡剤含有フッ素樹脂とを、それぞれ溶融後、前記発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、前記発泡剤含有フッ素樹脂を内層として2層押出しを行い2層チューブを形成する2層押出し工程と、
前記2層チューブを前記発泡剤の発泡温度以上に加熱する発泡工程と、
前記発泡工程後、前記2層チューブに電離性放射線を照射して前記2層チューブを構成するフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、
架橋後、前記チューブを拡径する拡径工程と
を有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法である。
この製造方法では、チューブへの成形は、発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、発泡剤含有フッ素樹脂を内層とし、それぞれ溶融して同時に押出す2層押出しにより行われる(2層押出し工程)。2層押出しによりチューブを成形することにより、チューブへの成形を効率良く行えるとともに、外層と内層の双方が溶融した状態で一体化されるため、両者間がより強固に密着したチューブが得られる。
フッ素樹脂の発泡体からなる内層は、2層押出し工程と同時に又は2層押出し工程後、発泡剤含有フッ素樹脂を発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡する(発泡工程)ことにより形成される。フッ素樹脂の架橋後に発泡をすると発泡が不十分になりやすく発泡しない場合もある。そこで、発泡工程は、フッ素樹脂の架橋(架橋工程)前に行われる。架橋前に発泡させることに充分な発泡が可能になる。又、全ての発泡剤を充分発泡(完全発泡)させることにより、所定の発泡倍率(発泡による体積の増大率)を安定的に得ることができるため、設計通りの気孔率及び径のチューブが得られやすくなる。
フッ素樹脂の架橋は、発泡後にするので、その条件の選択には発泡の阻害を考慮する必要はない。従って充分に高い架橋度を得ることができる。その結果、耐熱性に優れる熱収縮チューブが得られる。又、高い架橋度を得ることにより拡径も容易になり、充分な熱収縮機能を有する熱収縮チューブが得られる。
2層押出しと同時に内層のフッ素樹脂を発泡させる場合は、2層押出し時にフッ素樹脂を発泡温度に加熱する。発泡温度は高温であるのでその加熱、発泡には時間がかかる。2層押出し時にはフッ素樹脂は溶融するために加熱がされているので、押出しと発泡を同時に行うこと(同時発泡)により効率良く熱収縮チューブを製造できる。
フッ素樹脂の架橋(架橋工程)は、2層押出し工程と発泡工程により得られた2層チューブに電離性放射線を照射して行われる。電離性放射線としては、電子線、その他の粒子線、γ線等が挙げられるが、装置が比較的安価であり制御も容易な点で電子線が好ましく用いられる。
フッ素樹脂の架橋(架橋工程)の後、加熱下においてチューブ内部に圧縮空気を送り込むなどの方法で拡径(径方向に膨張)し(拡径工程)、その後冷却して拡径した形状を固定する。このようにして得られたチューブは、加熱により、拡径前の状態になるように径方向に収縮する熱収縮チューブとなる。拡径の程度としては、1.2〜3倍の範囲が好ましい。チューブの内径を1.2〜3倍に拡大することにより、内層及び外層の厚さは0.3〜0.8倍になる。従って、(拡径後の)厚さ0.05mm以上の外層(前記の好ましい態様)を得るために、2層押出し時の外層の厚さ(すなわち拡径前の厚さ)は、0.1mm以上が好ましく、厚さ0.1mm以上の外層(前記のより好ましい態様)を得るためには、2層押出し時の外層の厚さは、0.2mm以上が好ましい。
1.熱収縮チューブの構成
次に、本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブの実施形態のより具体的な1例を、図を参照しながら説明する。図1は本実施の形態のフッ素樹脂製熱収縮チューブの構成を模式的に示す斜視図である。熱収縮チューブ1は、フッ素樹脂製であり発泡体からなる内層11と非発泡体からなる外層12により構成されている。
次に、本発明のフッ素樹脂製熱収縮チューブの実施形態のより具体的な1例を、図を参照しながら説明する。図1は本実施の形態のフッ素樹脂製熱収縮チューブの構成を模式的に示す斜視図である。熱収縮チューブ1は、フッ素樹脂製であり発泡体からなる内層11と非発泡体からなる外層12により構成されている。
内層11、外層12を構成する発泡体のベースとなるフッ素樹脂としては、結晶性ポリマー又は結晶性ポリマーをブレンドしたフッ素ゴムが好ましい。熱収縮チューブは、樹脂をチューブ状に押出し成形し、架橋した後拡径し、冷却して拡径した形状を固定する方法により製造することができるが、非結晶のポリマーであるフッ素ゴムを単独で用いた場合には、拡径(膨張)した形状を保持しにくく、すぐに元の形状に収縮しやすい。一方、結晶性ポリマー又は結晶性ポリマーをブレンドしたフッ素ゴムの場合は、拡径した形状が保持されるので好ましい。
結晶性ポリマーの中でも、前記のように押出加工性に優れるPVDF、PFAが特に好適である。又内層11と外層12が、異なる組成のフッ素樹脂により形成されてもよいが、同じ組成のフッ素樹脂を用いた場合は内層11と外層12がより強固に密着するため好ましい。
(1)内層11
内層11を構成する発泡体の形態は、特に限定されず、独立気泡、連続気泡のいずれであってもよい。又、内層の厚さが小さい場合や発泡が充分でない場合には充分な弾性変形が得られず、被覆対象との間の隙間の発生を充分防げない場合がある。このため、内層の厚さや発泡倍率は、被覆対象の凹凸や段差の大きさ等を考慮し、適宜適切な大きさに設定される。隙間の発生を確実に防止するためには、厚さは0.1mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましい。又、発泡倍率は1.5〜10倍が好ましく、2〜8倍がより好ましい。
内層11を構成する発泡体の形態は、特に限定されず、独立気泡、連続気泡のいずれであってもよい。又、内層の厚さが小さい場合や発泡が充分でない場合には充分な弾性変形が得られず、被覆対象との間の隙間の発生を充分防げない場合がある。このため、内層の厚さや発泡倍率は、被覆対象の凹凸や段差の大きさ等を考慮し、適宜適切な大きさに設定される。隙間の発生を確実に防止するためには、厚さは0.1mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましい。又、発泡倍率は1.5〜10倍が好ましく、2〜8倍がより好ましい。
又、気泡が小さい場合は隙間を生じないように電線、ケーブルを絶縁被覆することができない。一方、大きい場合には膨張加工ができない。このため、気泡の大きさ(平均気孔径)は、10μm〜1000μmが好ましく、30〜500μmがより好ましい。
発泡剤には、公知のものを適用することができる。具体的には、無機炭酸塩等の無機発泡剤や有機化合物の発泡剤を用いることができ、発泡剤の分解温度、フッ素樹脂の融点等を考慮して適当なものが用いられる。有機化合物の発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジッド、4・4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等のスルホニルヒドラジッド化合物等を挙げることができる。又、発泡を効率良く行うため、例えば、尿素化合物、亜鉛華、三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の発泡助剤を併用することもできる。
(2)外層
前記のように、外層12の厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上に設定される。
前記のように、外層12の厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上に設定される。
なお、内層11、外層12には、必要に応じて、タルク、クレー、シリカ、アルミナ等の充填剤、フェノール系、アミン系の酸化防止剤、トリアリルイソシアヌレート等の架橋助剤等を配合することもできる。
2.熱収縮チューブの製造
次に、2層押出しと発泡を同時に行う場合を例に採り上げ、熱収縮チューブの製造方法について説明する。
次に、2層押出しと発泡を同時に行う場合を例に採り上げ、熱収縮チューブの製造方法について説明する。
まず、発泡剤を含有しないフッ素樹脂と、発泡剤を所定の比率で含有するフッ素樹脂とをそれぞれフッ素樹脂の融点以上、発泡剤の発泡温度未満の温度に加熱して溶融させる。その後、2層押出し機を用いて発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、発泡剤含有フッ素樹脂を内層としてチューブ状に押出す。このとき、内層の押出し温度を発泡剤の発泡温度以上の所定の温度即ち発泡温度に設定し、押出しと同時に発泡を行う。押出し後、冷却することにより、発泡体の内層と非発泡体の外層からなる2層のフッ素樹脂製チューブが得られる。
図2は、2層押出しと発泡を同時に行う場合の、2層押出し工程及び発泡工程の一例の様子を模式的に示す断面図である。図中、2は2層押出し機を、21は発泡剤非含有フッ素樹脂を、22は発泡剤含有フッ素樹脂を表す。図に示すように、2層押出し機2より、発泡剤非含有フッ素樹脂21と発泡剤含有フッ素樹脂22が同時に押出され、両者が接着してそれぞれチューブの外層12、内層11が形成される(図中のaの部分)。このとき、発泡剤含有フッ素樹脂(内層11)は、発泡剤の発泡温度以上に加熱されているので、押出しと同時に発泡が行われ(図中のbの部分)、その後放冷等により冷却されて、発泡した内層11と外層12を有する2層のフッ素樹脂製チューブ23が形成される(図中のcの部分)。
発泡剤の含有比率は、発泡倍率等を考慮して適宜適切な比率に設定されるが、通常フッ素樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部が適当である。又、発泡温度は、所望の発泡倍率、気孔径が得られるよう適宜適切な温度に設定されるが、所望の発泡倍率、気孔径を安定的に得るために、発泡剤が完全に発泡する条件(完全発泡)を選択することが好ましい。
前記のようにして得られた2層のフッ素樹脂製チューブに電子線、γ線等の電離性放射線を照射してフッ素樹脂を架橋する。照射線量は、充分な架橋度が得られ、かつ過度にならないよう適宜適当な線量に設定されるが、電子線の場合、通常30〜500kGyが好ましい。
架橋後に行われる拡径は、熱収縮チューブの製造に用いられている公知の方法により行うことができる。熱収縮チューブの製造に通常使用されている連続膨張、例えば特開平11−80387号公報(段落0050)に記載されている方法により拡径を行うこともできる。又、架橋したチューブを所定の内径を有する金属パイプに挿入し、所定の温度に加熱しながら内側に圧縮空気を送り込むことにより行うこともできる。この場合は、チューブを拡径させた後、金属パイプごと冷却する。冷却により拡径時の形状が固定され、内側が発泡体、外側が非発泡体からなる2層構造のフッ素樹脂製熱収縮チューブが得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
1.フッ素樹脂製熱収縮チューブの作製
(フッ素樹脂、発泡剤)
内層、外層共に、フッ素樹脂には、PVDFを用いた。又、発泡剤には大塚化学社製のユニファインP3(有機酸塩)を用いた。
(フッ素樹脂、発泡剤)
内層、外層共に、フッ素樹脂には、PVDFを用いた。又、発泡剤には大塚化学社製のユニファインP3(有機酸塩)を用いた。
(発泡剤含有フッ素樹脂の調製)
PVDF100質量部に対してユニファインPを35質量部を添加し、二軸混合機に投入して混合した後、得られた混合物を、フィーダールーダーを用いてペレット化した。
PVDF100質量部に対してユニファインPを35質量部を添加し、二軸混合機に投入して混合した後、得られた混合物を、フィーダールーダーを用いてペレット化した。
(2層押出し)
次に、ペレット化された発泡剤含有フッ素樹脂及び発泡剤を含有しないPVDF(発泡剤非含有フッ素樹脂)のそれぞれを、260℃に加熱して溶融し、発泡剤非含有フッ素樹脂を外層、発泡剤含有フッ素樹脂を内層として、2層押出し機を用いて押出温度260℃で押出した。押出しと同時に内層が発泡し、外層と内層の厚さがそれぞれ0.2mm、0.2mm、外径が6.8mmφ、内径が6mmφの2層構造のチューブを得た。
次に、ペレット化された発泡剤含有フッ素樹脂及び発泡剤を含有しないPVDF(発泡剤非含有フッ素樹脂)のそれぞれを、260℃に加熱して溶融し、発泡剤非含有フッ素樹脂を外層、発泡剤含有フッ素樹脂を内層として、2層押出し機を用いて押出温度260℃で押出した。押出しと同時に内層が発泡し、外層と内層の厚さがそれぞれ0.2mm、0.2mm、外径が6.8mmφ、内径が6mmφの2層構造のチューブを得た。
(架橋)
次に、得られたチューブに加速電圧2MeVの電子線を100kGy照射し、外層及び内層を構成するフッ素樹脂(PVDF)を架橋した。
次に、得られたチューブに加速電圧2MeVの電子線を100kGy照射し、外層及び内層を構成するフッ素樹脂(PVDF)を架橋した。
(拡径)
架橋したチューブの一端を閉じ、他端に圧縮空気の配管を接続した状態で、内径12.4mmφのアルミニウムパイプに挿入し、アルミニウムパイプごと90℃に設定した恒温槽に入れ、3分間余熱した。次に、0.5kg/cm2の圧縮空気を送り込んでチューブがアルミニウムパイプの内壁に張り付くまで拡径させた後、すぐにアルミニウムパイプごと恒温槽から取り出して水冷し、拡径した形状を固定した。
架橋したチューブの一端を閉じ、他端に圧縮空気の配管を接続した状態で、内径12.4mmφのアルミニウムパイプに挿入し、アルミニウムパイプごと90℃に設定した恒温槽に入れ、3分間余熱した。次に、0.5kg/cm2の圧縮空気を送り込んでチューブがアルミニウムパイプの内壁に張り付くまで拡径させた後、すぐにアルミニウムパイプごと恒温槽から取り出して水冷し、拡径した形状を固定した。
上記により、外層と内層の厚さがそれぞれ0.1mm、0.1mm、外径が12.4mmφ、内径が12mmφのPVDF製熱収縮チューブを製造した。又、得られたPVDF製熱収縮チューブの内層の発泡倍率は5倍であり、気孔径は約100μmであった。
2.フッ素樹脂製熱収縮チューブの評価
製造したPVDF製熱収縮チューブについて被覆機能を評価した。具体的には直径が5mmφで表面に高さ0.2mmの突起を複数有する銅線を被覆し、突起の周りに隙間が生じていないか否かを調査した。
製造したPVDF製熱収縮チューブについて被覆機能を評価した。具体的には直径が5mmφで表面に高さ0.2mmの突起を複数有する銅線を被覆し、突起の周りに隙間が生じていないか否かを調査した。
その結果、上記突起の周囲に隙間がなく、突起の周りがPVDFの発泡体で埋められていることが分かった。このように、本実施の形態のフッ素樹脂製熱収縮チューブは、被覆対象物の形状に対して充分に追随し、突起が有る場合でも被覆対象物との間に隙間を生じることなく被覆することができる優れた被覆機能を有していることが確認された。
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1 フッ素樹脂製熱収縮チューブ
2 2層押出し機
11 内層
12 外層
21 発泡剤非含有フッ素樹脂
22 発泡剤含有フッ素樹脂
23 2層のフッ素樹脂製チューブ
2 2層押出し機
11 内層
12 外層
21 発泡剤非含有フッ素樹脂
22 発泡剤含有フッ素樹脂
23 2層のフッ素樹脂製チューブ
Claims (4)
- フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブ。
- 前記外層の厚さが、0.05mm以上である請求項1に記載のフッ素樹脂製熱収縮チューブ。
- 前記フッ素樹脂が、ポリフッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなる群より選ばれる請求項1又は請求項2に記載のフッ素樹脂製熱収縮チューブ。
- フッ素樹脂の発泡体からなる内層と、非発泡体であるフッ素樹脂からなる外層とを有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法であって、
発泡剤を含有しない発泡剤非含有フッ素樹脂と、発泡剤を含有する発泡剤含有フッ素樹脂とを、それぞれ溶融後、前記発泡剤非含有フッ素樹脂を外層とし、前記発泡剤含有フッ素樹脂を内層として2層押出しを行い2層チューブを形成する2層押出し工程と、
前記2層チューブを前記発泡剤の発泡温度以上に加熱する発泡工程と、
前記発泡工程後、前記2層チューブに電離性放射線を照射して前記2層チューブを構成するフッ素樹脂を架橋する架橋工程と、
架橋後、前記チューブを拡径する拡径工程と
を有するフッ素樹脂製熱収縮チューブの製造方法。
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