JP2015039369A - 油脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存後においても色相が良好な油脂組成物を製造する方法を提供する。
【解決手段】アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を0.005質量%以上及びレシチン(B)を含有する油脂組成物の製造方法であって、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の接触を15〜70℃の温度範囲で行う、製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、油脂組成物の製造方法に関する。
液体の食用油脂は二重結合を有する油脂を含むため、酸化防止剤を含有させて保存中の劣化を防止することが行われている。特に、フライ油や炒め油といった加熱調理油は高温に加熱して使用されることから品質劣化が進みやすく、より安定性が重視される。
また、近年は健康への関心が高まり、高度不飽和酸であるエイコサペンタエン酸(C20:5、EPA)、ドコサヘキサエン酸(C22:6、DHA)の生理機能に注目が集まっている。これらは魚油に多く含まれるものであるが、不飽和結合を多く有しているために、安定性への要望は高い。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸脂肪酸エステルやレシチンが広く用いられている。例えば、特許文献1には、キャノーラ油、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、レシチン、及びその他の原料を含有するフライ用油脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、トコフェロール及びL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、更にレシチン混合物を添加することによる多価不飽和脂肪酸の戻り臭抑制の方法が開示されている。
アスコルビン酸脂肪酸エステルは、油への分散性・溶解性を考慮し、高温加熱して配合するのが一般的である(特許文献1)。
特開2012−139175号公報 特開平5−140584号公報
しかしながら、アスコルビン酸脂肪酸エステルとレシチンを添加した油脂組成物において、色相が経時的に悪化する現象が見出された。
したがって、本発明の課題は、保存後においても色相が良好な油脂組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、油脂にアスコルビン酸脂肪酸エステルとレシチンを添加する条件について検討を行った。その結果、アスコルビン酸脂肪酸エステルとレシチンを特定の温度範囲内で接触させることで、経時的な色相の悪化を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を0.005質量%以上及びレシチン(B)を含有する油脂組成物の製造方法であって、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の接触を15〜70℃の温度範囲で行う、製造方法を提供するものである。
本発明によれば、保存後も色相が良好なアスコルビン酸脂肪酸エステルとレシチンを含む油脂組成物を製造することができる。
本発明のアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を0.005質量%以上及びレシチン(B)を含有する油脂組成物の製造方法では、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の接触を15〜70℃の温度範囲で行う。
本発明で用いられるアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)は、その構成脂肪酸が炭素数12〜18のものであることが好ましい。なかでも、油脂への溶解性の点から、炭素数14〜18の飽和脂肪酸であることが好ましく、更にパルミチン酸、ステアリン酸であることが好ましく、更にパルミチン酸であることが好ましい。アスコルビン酸脂肪酸エステルは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
油脂組成物中、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の含有量は、酸化安定性の点から0.005質量%(以下、単に「%」とする)以上であるが、同様の点から、0.01%以上、更に0.015%以上が好ましい。また、油脂組成物の溶解性の点から、0.125%以下であるのが好ましく、更に0.1%以下、更に0.075%以下が好ましい。油脂組成物中のアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の含有量は、0.005〜0.125%が好ましく、更に0.01〜0.1%、更に0.015〜0.075%が好ましい。
本発明で用いられるレシチン(B)は、狭義にはホスファチジルコリンを意味することがあるが、本発明ではグリセロリン脂質の混合物を総称してレシチンとよぶ。
レシチン(B)としては、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、菜種レシチン、コーンレシチン、牛脳レシチン、牛肝臓レシチン等が挙げられる。
油脂組成物中、レシチン(B)の含有量は、酸化安定性の点から、0.012%以上が好ましく、更に0.03%以上、更に0.045%以上が好ましい。また、調理時の泡立ちの点から、0.3%以下が好ましく、更に0.24%以下、更に0.18%以下が好ましい。油脂組成物中のレシチン(B)の含有量は、0.012〜0.3%、更に0.03〜0.24%、更に0.045〜0.18%が好ましい。
なお、本発明においてレシチン(B)の量はアセトン不溶分であるグリセロリン脂質換算の量を指し、該グリセロリン脂質換算量は日本油脂科学会編「基準油脂分析試験法 5.3.3.186 リン脂質リン組成」に記載の方法により測定することができる。例えば、大豆レシチンにはトリアシルグリセロール等のアセトン可溶分も含まれるので、このような成分を除く趣旨である。
本発明において、油脂組成物中のアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の含有量に対する、レシチン(B)の含有量の質量比[(B)/(A)]は、油脂組成物の溶解性の点から、1.2以上が好ましく、更に1.5以上が好ましく、更に1.8以上が好ましい。また、風味の点から、6以下が好ましく、更に5以下、更に4以下が好ましい。油脂組成物中のアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の含有量に対する、レシチン(B)の含有量の質量比[(B)/(A)]は、1.2〜6、更に1.5〜5、更に1.8〜4が好ましい。
本発明の油脂組成物の製造に用いる油脂は、植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよい。例えば、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、米油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂、藻油等の植物性油脂;魚油、ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類を挙げることができる。これらの油は、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは適宜混合して用いてもよい。なかでも、本発明の効果が有効に発揮される点から、不飽和脂肪酸の含有量の高い油脂が好ましい。不飽和脂肪酸の含有量の高い油脂は、油脂を構成する脂肪酸中に不飽和脂肪酸の含有量が70〜98%、更に75〜96%、更に80〜94%であるのが好ましい。かかる油脂としては、大豆油、ナタネ油、米糠油、サフラワー油、コーン油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、シソ油、アマニ油、藻油、魚油が更に好ましい。また、色相及び風味の点から、脱臭処理を施したものを用いるのが好ましい。
また、油脂を構成する不飽和脂肪酸としては、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸が生理機能上好ましい。
油脂を構成するエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の油脂組成物中の合計含有量は、0.05〜15%が好ましく、更に0.1%以上、更に0.3%以上、更に1%以上、更に1.5%以上であるのが生理効果の点から好ましい。また、12%以下、更に9%以下、更に5%以下であるのが、酸化安定性の点から好ましい。エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の、油脂組成物中の合計含有量は、生理効果と酸化安定性の両方の点から、0.1〜15%、更に0.3〜12%、更に1〜9%、更に1.5〜5%であるのが好ましい。なお、本明細書における脂肪酸量は遊離脂肪酸換算量である。
本発明において、油脂組成物中の油脂を構成する物質にはトリアシルグリセロールのみならずモノアシルグリセロールやジアシルグリセロールも含まれる。すなわち本発明において油脂は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものである。
油脂中、トリアシルグリセロールの含有量は、15%以上が好ましく、更に50%以上、更に75%以上、更に78%以上、更に88%以上、更に90%以上、更に92%以上が好ましく、また、100%以下が好ましく、更に99.5%以下、更に99%以下が油脂の工業的生産性の点から好ましい。
また、油脂中、ジアシルグリセロールの含有量は、0%でもよいが、0.1%以上が好ましく、更に0.2%以上が好ましく、また、85%以下が好ましく、更に50%以下、更に25%以下、更に19%以下、更に9%以下、更に7%以下、更に5%以下であるのが風味を良好とする点から好ましい。
また、油脂中、モノアシルグリセロールの含有量は、風味を良好とする点から、3%以下が好ましく、更に0〜2%が好ましい。
また、本発明の油脂組成物中に含まれる遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、5%以下が好ましく、更に0〜2%、更に0〜1%であるのが風味、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明において、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の接触温度は15℃〜70℃である。斯かる温度範囲で両者を接触させることにより経時的な色相の劣化を抑制することができる。
接触温度は、経時的な色相の劣化を抑制する点から、70℃以下が好ましく、更に60℃以下、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。接触温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
本発明において、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)を油脂に含有させる方法としては、例えば次の方法が挙げられ、工業的生産性の点から(i)の方法が好ましい。
(i)油脂にアスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解させた後、レシチンを溶解させる。
(ii)油脂にレシチンを溶解させた後、アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解させる。
(iii)アスコルビン酸脂肪酸エステルとレシチンを予め混合してから油脂に溶解させる。
(iv)油脂にアスコルビン酸を溶解させ、別途の油脂にレシチンを溶解させた後、夫々を溶解させた油脂を混合する。
前記(i)においては、次の工程(1)、(2)及び(3):
(1)油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を70℃超に加熱し、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を油脂に溶解させる工程、
(2)工程(1)で得られた油脂を70℃以下に冷却する工程、
(3)冷却した油脂に、15〜70℃の温度範囲でレシチン(B)を溶解させる工程、
を含む方法により油脂組成物を製造するのが好ましい。
工程(1)において、油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の加熱温度は、アスコルビン酸脂肪酸エステルの溶解性の点から、80℃以上が好ましく、更に85℃以上、更に90℃以上が好ましい。また、アスコルビン酸脂肪酸エステルの熱分解を抑制する点から、110℃以下が好ましく、更に105℃以下、更に100℃以下が好ましい。油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の加熱温度は、80〜110℃、更に85〜105℃、更に90〜100℃が好ましい。
加熱時の圧力は、酸素との接触による酸化を抑制する点から、減圧下であることが好ましい。また、酸素との接触を避けるためにガスを用いてもよく、用いられるガスとしては、例えば、不活性ガス、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
加熱時の時間は、設定温度に達してから5分以上、更に10分以上、更に15分以上であることが、溶解性の点から好ましい。また、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の分解を抑制する点から、120分以内、更に105分以内、更に90分以内であることが好ましい。
工程(2)における油脂の冷却温度は70℃以下であるが、工業的生産性の点から、60℃以下が好ましく、更に次工程(3)において油脂にレシチン(B)を溶解させる温度が好ましい。
冷却操作は、ジャケット冷却や熱交換器等により行うことができる。
工程(3)において、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)が溶解した冷却後の油脂にレシチン(B)を溶解させる温度範囲は、経時的な色相の劣化を抑制する点から70℃以下であるが、同様の点から、60℃以下が好ましく、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。油脂にレシチン(B)を溶解させる温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
工程(3)における圧力は、加熱時の圧力は、酸素との接触による酸化を抑制する点から、減圧下であることが好ましい。また、溶解時間は、設定温度に達してから5分以上、更に10分以上、更に15分以上であることが、溶解性の点から好ましい。また、工業的生産性の点から、60分以内、更に50分以内、更に40分以内であることが好ましい。
前記(ii)においては、次の工程(4)及び(5):
(4)レシチン(B)を油脂に溶解させる工程、
(5)工程(1)で得られた油脂に、15〜70℃の温度範囲でアスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解させる工程、
を含む方法により油脂組成物を製造するのが好ましい。
工程(4)では、油脂組成物に含有させるレシチン(B)の全部を溶解させてもよいが、一部を溶解させ、工程(5)の後に残りを15〜70℃の温度範囲で溶解させてもよい。
工程(4)において、油脂にレシチン(B)を溶解させる温度は、特に制限されないが、レシチン(B)の変色を抑制する点から、70℃以下が好ましく、更に60℃以下が好ましく、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。油脂にレシチン(B)を溶解させる温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
また、工程(5)において、レシチン(B)が溶解した油脂にアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を溶解させる温度範囲は、経時的な色相の劣化を抑制する点から70℃以下であるが、同様の点から、60℃以下が好ましく、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。レシチン(B)が溶解した油脂にアスコルビン酸エステル(A)を溶解させる温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
前記(iii)においては、15〜70℃の温度範囲でアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)を予め混合してから、油脂に、15〜70℃の温度範囲で溶解させる。アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の混合温度、及び油脂にアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)を溶解させる温度の範囲は、経時的な色相の劣化を抑制する点から70℃以下であるが、同様の点から、60℃以下が好ましく、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の混合温度、及び油脂にアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)を溶解させる温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
前記(iv)においては、次の工程(6)、(7)及び(8):
(6)油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を70℃超に加熱し、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を油脂に溶解させる工程、
(7)レシチン(B)を別途の油脂に溶解させる工程、
(8)工程(6)で得られた油脂と工程(7)で得られた油脂を15〜70℃の温度範囲で混合する工程、
を含む方法により油脂組成物を製造するのが好ましい。
工程(6)において、油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の加熱温度は、アスコルビン酸脂肪酸エステルの溶解性の点から、80℃以上が好ましく、更に85℃以上、更に90℃以上が好ましい。また、アスコルビン酸脂肪酸エステルの熱分解を抑制する点から、110℃以下が好ましく、更に105℃以下、更に100℃以下が好ましい。油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の加熱温度は、80〜110℃、更に85〜105℃、更に90〜100℃が好ましい。
工程(7)において、油脂にレシチン(B)を溶解させる温度は、特に制限されないが、レシチン(B)の変色を抑制する点から、70℃以下が好ましく、更に60℃以下が好ましく、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。油脂にレシチン(B)を溶解させる温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
工程(8)において、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の溶解した油脂と、レシチン(B)の溶解した油脂を混合する温度は、経時的な色相の劣化を抑制する点から70℃以下であるが、同様の点から、60℃以下が好ましく、更に50℃以下が好ましい。また、工業的生産における油脂と添加剤の混合効率の点から、15℃以上が好ましく、更に20℃以上、更に25℃以上が好ましい。アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の溶解した油脂とレシチン(B)の溶解した油脂の混合温度は、15〜70℃、更に20〜60℃、更に25〜50℃が好ましい。
本発明の方法により、保存中の経時的な色相の悪化を抑制することができる。例えば、密閉遮光下60℃で3日間保存した場合、実施例記載の方法で測定される10R+Yの値の増加を好ましくは60以下、更に55以下、更に50以下、更に40以下、更に30以下に抑制することができる。
また、調製直後はもとより保存後においても色相が良好な油脂組成物を得ることができる。
本発明の方法により得られる油脂組成物の色相は、保存後、例えば、密閉遮光下60℃で3日間保存した場合、実施例記載の方法で測定される10R+Yの値が105以下、更に100以下であることが好ましい。
油脂組成物には、一般の食用油脂と同様に、保存性及び風味安定性の向上を目的として、アスコルビン酸脂肪酸ステル(A)、レシチン(B)以外の抗酸化剤を添加することができる。このような抗酸化剤としては、天然抗酸化剤、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
更に、本発明の油脂組成物は、酸化安定性の点から、ローズマリー抽出物を含有してもよい。ローズマリー抽出物とは、シソ科マンネンロウ属のローズマリー(和名:マンネンロウ)(Rosmarinus officinalis L.)の抽出物である。
ローズマリー抽出物の含有量は、油脂組成物中0.001〜0.18%が好ましく、0.002%以上、更に0.004%以上、更に0.008%以上、更に0.016%以上、更に0.04%以上であるのが、酸化安定性の点から好ましい。また、0.16%以下、更に0.14%以下、更に0.1%以下であるのが、風味の点から好ましい。ローズマリー抽出物の含有量は、酸化安定性、風味の両方の点から、油脂組成物中0.002〜0.18%、更に0.004〜0.16%、更に0.008〜0.14%、更に0.016〜0.1%、更に0.04〜0.1%であるのが好ましい。
なお、本発明におけるローズマリー抽出物は、純分約100%の形態もあるが、溶媒で抽出・希釈されている形態もある。かかる抽出物の含有量は、溶媒を含まない純分の質量を基準とするものである。
本発明の方法により得られる油脂組成物中、油脂の含有量は90〜99.4%であることが好ましく、更に94〜99%、更に97〜99%であることが使用上の点から好ましい。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。
〔分析方法〕
(1)色
油脂組成物を5.25インチ石英セルにいれ、ロビボンド計(LOVIBOND880)にてRとYを測定した。10R+Yの値を油脂組成物の色とした。
(2)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=320℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
(3)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 50m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:40)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃で5分保持後、1℃/分で170℃まで昇温、1℃/分で200℃まで昇温、20℃/分で220℃まで昇温、5分保持
〔原料〕
油脂1及び油脂2として、表1の組成を持つ油脂を用いた。
アスコルビン酸脂肪酸エステルとして、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(DSM)を用いた。
レシチン製剤として、イェルキンTS(ADM、製剤中のレシチン含有量60質量%)を用いた。
ローズマリー抽出物製剤として、ハーバロックス タイプHT−O NS(Kalsec、ローズマリー抽出物濃度40%)を用いた。
Figure 2015039369
実施例1〜3、比較例1
〔油脂組成物の調製〕
表2に示した組成の油脂組成物を調製した。四つ口フラスコに、油脂1とアスコルビン酸脂肪酸エステルを入れ、工程(1)の条件で加熱混合し、アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解した。続いて工程(2)の温度まで油脂を冷却した後、常圧にてレシチン製剤を添加した。更に、工程(3)の条件で混合し、レシチンを溶解して油脂組成物を得た。
〔色の評価〕
油脂組成物の色の評価は、調製直後と、密閉遮光下60℃で3日間保存した後に行った。また、調製直後と保存後の色から、保存による色の増加を求めた。結果を表2に示す。
〔溶解性の評価〕
油脂組成物を密閉遮光下20℃で3日間保存した後、目視にて結晶の析出を確認した。溶解性は下記の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
<溶解性>
3:結晶が析出していない
2:わずかに結晶が析出している
1:結晶が析出している
Figure 2015039369
実施例4〜7、比較例2
〔油脂組成物の調製〕
表3に示した組成の油脂組成物を調製した。四つ口フラスコに、油脂1及び2、アスコルビン酸脂肪酸エステル及びローズマリー抽出物製剤を入れ、工程(1)の条件で加熱混合し、アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解した。続いて工程(2)の温度まで油脂を冷却した後、常圧にてレシチン製剤を添加した。更に、工程(3)の条件で混合し、レシチンを溶解して油脂組成物を得た。
実施例8、比較例3
〔油脂組成物の調製〕
表4に示した組成の油脂組成物を調製した。工程(1)の温度を110℃にした以外は実施例5又は比較例2と同様にして油脂組成物を得た。
実施例9〜22、比較例4
〔油脂組成物の調製〕
表5又は6に示した組成の油脂組成物を調製した。表5又は6に示した比率で油脂1、油脂2、アスコルビン酸脂肪酸エステル、レシチン製剤、ローズマリー抽出物製剤を混合した以外は実施例5又は比較例2と同様にして油脂組成物を得た。
〔色の評価〕及び〔溶解性の評価〕
得られた油脂組成物について、前記と同様の方法で〔色の評価〕と〔溶解性の評価〕を行った。結果を表3〜6に示す。
Figure 2015039369
Figure 2015039369
Figure 2015039369
Figure 2015039369
表2〜6より明らかなように、本発明の方法で調製された油脂組成物は、経時的な着色が抑制されることが確認された。また、実施例1〜8、10〜13、実施例16〜22の油脂組成物は、溶解性にも優れていた。

Claims (8)

  1. アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を0.005質量%以上及びレシチン(B)を含有する油脂組成物の製造方法であって、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)とレシチン(B)の接触を15〜70℃の温度範囲で行う、製造方法。
  2. 次の工程(1)、(2)及び(3):
    (1)油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を70℃超に加熱し、アスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を油脂に溶解させる工程、
    (2)工程(1)で得られた油脂を70℃以下に冷却する工程、
    (3)冷却した油脂に、15〜70℃の温度範囲でレシチン(B)を溶解させる工程、
    を含む請求項1記載の製造方法。
  3. 工程(1)において油脂とアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の加熱温度が80℃〜110℃である請求項2記載の製造方法。
  4. 次の工程(4)及び(5):
    (4)レシチン(B)を油脂に溶解させる工程、
    (5)工程(1)で得られた油脂に、15〜70℃の温度範囲でアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)を溶解させる工程、
    を含む請求項1記載の製造方法。
  5. 油脂組成物中のアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の含有量が0.005〜0.125質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 油脂組成物中のレシチン(B)の含有量が0.012〜0.3質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 油脂組成物中のアスコルビン酸脂肪酸エステル(A)の含有量に対する、レシチン(B)の含有量の質量比[(B)/(A)]が1.2〜6である請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 油脂を構成するエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の油脂組成物中の合計含有量が0.05〜15質量%である、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
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