JP2015038041A - 高血圧症の予知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体中のs(P)RRを測定すること、及び/又は、妊娠高血圧を予測する方法を提供すること。【解決手段】カイコ由来の高純度組換ヒト(P)RRを抗原として用いてマウスモノクローナル抗体を構築することにより、生体中のs(P)RRの測定を可能とした。また、該抗体を用いたELISAシステムは、これまで測定不可能であった生体中のs(P)RRの測定を初めて可能とするものであり、s(P)RRと疾患との関係を解明する重要な測定手段を提供する。また、本測定システムを用いた妊娠初期のs(P)RR濃度を測定することを含む、妊娠中期と妊娠後期の妊娠高血圧症の予測方法に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、天然型可溶性(プロ)レニン受容体と結合するモノクローナル抗体、該抗体を用いた可溶性(プロ)レニン受容体(以下、「s(P)RR」という)測定方法及び測定キット、並びに、妊娠高血圧症の予測方法に関する。
レニン及びプロレニンの受容体である(プロ)レニン受容体(以下、「(P)RR」という)は、2002年に同定された受容体であり、一つの膜貫通領域を有する350アミノ酸からなるタンパク質である(非特許文献1)。(P)RRは、組織のレニン−アンジオテンシンシステム(RAS)を調整することや(非特許文献2)、血管のH+−ATPaseの機能(非特許文献3)への関与が報告されている。(P)RRを過剰発現させた動物モデルでは、緩徐進行性の腎障害や高血圧などと関連し、組織におけるレニン−アンジオテンシンシステムが活性化することが報告されている(非特許文献4〜6)。集団ベースの研究では、可溶性(P)RRの発現レベルと腎障害又は血圧との関係について示唆されている(非特許文献7及び8)。
(P)RRは3つの異なる分子形態で存在する:1)完全長の膜貫通(TM)タンパク質、2)s(P)RR、3)膜貫通及び細胞質ドメインからなる短縮型形態(非特許文献9)。s(P)RRは、(P)RRがフリン(furin)によって切断されて生じることが報告されている。s(P)RRは28kDaの親水性ペプチドで、細胞外領域に分泌され、最終的に血清中や尿中で検出されることが報告されている(非特許文献9及び10)。
しかし、s(P)RRの機能については不明な点も多く、疾患等の病態とs(P)RRとの関係を解明するためにも、生体サンプル中のs(P)RRの測定が望まれていた。
妊娠高血圧症候群は、妊娠8ヶ月以降の後期に約1割程度の妊婦が発症する疾患で、重症になると母子の命に関わることが知られている。通常の妊婦であれば、血圧は妊娠期間に応じて変化する。最も低い血圧は、通常妊娠24から26週で観察され、その後血圧は妊娠の終了まで上がり続ける(非特許文献12)。活性化RASが妊娠期の高血圧の発症に関与することは知られていたものの(非特許文献13及び14)、組織RASと妊娠期の生理的な血圧変化との直接的な関係は知られていなかった。
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(P)RRの3つの形態のうち、全長の(P)RRとs(P)RRはレニン又はプロレニンと結合することができ、(P)RR結合プロレニンとなってRASを活性化させることができる(Yoshikawa Aら、Hypertens Res 2011;34:599−605.)。全長及び短縮型(P)RRがV−ATPaseの機能の生成に影響しうる(Cruciat CMら、Science 2010;327:459−63.)ことから、s(P)RRのみがV−ATPaseとは独立して組織RAS状態を反映させるバイオマーカーであると考えられた。また、s(P)RRは全長の(P)RRと同様にプロレニンに結合して細胞培養液中でプロレニンの活性化を仲介することが見出され(Biswas KBら、 Hypertension Res 2011;34:735−9)、循環しているs(P)RRがRASの活性化を制御する可能性について検討を行った。
合成オリゴペプチドに対するウサギのポリクローナル抗体2種を組み合わせたサンドイッチELISAシステムが構築された(Biswas KBら、 Hypertension Res 2011;34:735−9)。しかし、このELISAシステムは、HUVEC細胞上清中のs(P)RRを定量的に測定するために使用できるにもかかわらず、ヒト検体のs(P)RRを検出することができなかった。本発明者らも、独自に合成オリゴペプチドに対するウサギのポリクローナル抗体を作製し、サンドイッチELISAシステムを構築したが、同様に細胞上清中のs(P)RRは測定できたものの、ヒト検体のs(P)RRを検出することはできなかった。本発明者らはこれらの抗体が、ウェスタンブロット解析ではs(P)RRを検出するのに対し、天然型の(P)RRタンパク質への反応性が低いことを見出し、これがヒト検体のs(P)RRを検出することができない理由であることを発見した。そこで、本発明者らは、カイコ由来の高純度組換ヒト(P)RRを抗原として用いてマウスモノクローナル抗体を構築することにより、天然型のタンパク質への反応性に優れる抗体の取得に成功した。本発明者らは、本抗体とウサギのポリクローナル抗体を組み合わせた本ELISAシステムがヒト血漿、血清及び尿中のs(P)RRを測定することが可能であることを見出した。本発明のELISAシステムは、125〜8000pg/mL(R2=0.99)の範囲のs(P)RR又は(P)RRを測定することができ、最低検出濃度限界は24pg/mLであった。本発明のELISAキットは、ウサギのポリクローナル抗体を組み合わせて作製したキットの100倍以上であり、ヒト検体の検出に十分な感度を持ち合わせていた。
また、本発明者らは、本発明のキットを用いて妊婦の血中のs(P)RRの濃度を測定することにより、妊娠期間と血中のs(P)RR濃度及び血圧との関係について検討した結果、通常の妊娠期間において血漿中のs(P)RR濃度が血圧と相関することを見出した。特に、妊娠初期(妊娠16週と0日以前)における血漿中のs(P)RR濃度は、妊娠中期及び妊娠後期における全ての血圧値(収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧)の上昇を予測可能であることを見出した。
即ち、本発明は、生体中のs(P)RRを測定すること、及び/又は、妊娠高血圧を予測する方法を提供することを課題とする。本発明は、カイコ由来の高純度組換ヒト(P)RRを抗原として用いてマウスモノクローナル抗体を構築することにより、生体中のs(P)RRの測定を可能とした。また、本発明の抗体を用いたELISAシステムは、これまで測定不可能であった生体中のs(P)RRの測定を初めて可能とするものであり、s(P)RRと疾患との関係を解明する重要な測定手段を提供することを可能とするものである。本発明者らは具体的に現在予測の困難な妊娠高血圧症について、本ELISAシステムを用いてs(P)RR濃度と血圧との相関について検討した結果、妊娠初期のs(P)RR濃度が妊娠中期と妊娠後期の血圧予測に有用であることを見出した。
具体的には、一態様において本発明は、以下の(1)〜(15)に記載の発明に関する。
(1) 天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体。
(2) 天然型s(P)RRと免疫沈降させることができる、(1)に記載の抗体。
(3) カイコ由来の組換ヒト(プロ)レニン受容体を抗原として用いて得られたことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の抗体。
(4) 受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体である、(1)に記載の抗体。
(5) (1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗体を含有する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤。
(6) (1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗体を含有する天然型s(P)RR測定キット。
(7) ヒト体液中のs(P)RRを測定するための(5)に記載のキット、あるいは、ヒト体液中のs(P)RRを測定することが可能な(5)に記載のキット。
(8) 125〜8000pg/mL(R2=0.99)の範囲のs(P)RR又は(P)RRを測定するための(5)又は(6)に記載のキット。
(9) 更に、最低検出濃度限界が24pg/mLである、(5)〜(7)のいずれか1項に記載のキット。
(10) 被験者由来のヒト体液を(1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗体と接触させるステップ;及び、
該抗体と結合した天然型s(P)RRを検出又は定量するステップ、
を備える、天然型s(P)RRの測定方法。
(11) 妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法、又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中のs(P)RRを検出又は定量すること;及び、
(b)測定されたs(P)RRの存在又はレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをすることを含む方法。
(12) s(P)RRのレベルが高い場合、該患者が妊娠中期及び/又は後期に妊娠高血圧症を発症する可能性が高いことを示す、(11)に記載の方法。
(13) 妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症(a)該患者由来の試料を調整するステップ;
(b)少なくとも1つのs(P)RRに特異的に結合する抗体に該試料を接触させるステップ、
(c)該タンパク質の該抗体への結合を検出して試料中のs(P)RRのを検出又は定量するステップ;
(d)s(P)RRのレベルから妊娠高血圧症の発症を予測するステップ、ここで、s(P)RRレベルが高いことが、被検患者が妊娠高血圧症を発症しやすいことを示す。
(14) 患者由来の体液が、血液、血漿、血清、又は尿である、(11)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(15) (6)〜(9)のいずれか1項に記載のキットを用いてs(P)RRを定量することを特徴とする、(11)〜(14)のいずれか1項に記載の方法。
(1) 天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体。
(2) 天然型s(P)RRと免疫沈降させることができる、(1)に記載の抗体。
(3) カイコ由来の組換ヒト(プロ)レニン受容体を抗原として用いて得られたことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の抗体。
(4) 受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体である、(1)に記載の抗体。
(5) (1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗体を含有する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤。
(6) (1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗体を含有する天然型s(P)RR測定キット。
(7) ヒト体液中のs(P)RRを測定するための(5)に記載のキット、あるいは、ヒト体液中のs(P)RRを測定することが可能な(5)に記載のキット。
(8) 125〜8000pg/mL(R2=0.99)の範囲のs(P)RR又は(P)RRを測定するための(5)又は(6)に記載のキット。
(9) 更に、最低検出濃度限界が24pg/mLである、(5)〜(7)のいずれか1項に記載のキット。
(10) 被験者由来のヒト体液を(1)〜(4)のいずれか1項に記載の抗体と接触させるステップ;及び、
該抗体と結合した天然型s(P)RRを検出又は定量するステップ、
を備える、天然型s(P)RRの測定方法。
(11) 妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法、又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中のs(P)RRを検出又は定量すること;及び、
(b)測定されたs(P)RRの存在又はレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをすることを含む方法。
(12) s(P)RRのレベルが高い場合、該患者が妊娠中期及び/又は後期に妊娠高血圧症を発症する可能性が高いことを示す、(11)に記載の方法。
(13) 妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症(a)該患者由来の試料を調整するステップ;
(b)少なくとも1つのs(P)RRに特異的に結合する抗体に該試料を接触させるステップ、
(c)該タンパク質の該抗体への結合を検出して試料中のs(P)RRのを検出又は定量するステップ;
(d)s(P)RRのレベルから妊娠高血圧症の発症を予測するステップ、ここで、s(P)RRレベルが高いことが、被検患者が妊娠高血圧症を発症しやすいことを示す。
(14) 患者由来の体液が、血液、血漿、血清、又は尿である、(11)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(15) (6)〜(9)のいずれか1項に記載のキットを用いてs(P)RRを定量することを特徴とする、(11)〜(14)のいずれか1項に記載の方法。
上述の通り、本発明は、天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体に関する。本発明において、「天然型s(P)RR」とは、遺伝子組み換えにより大腸菌に発現させたs(P)RRではなく、動物細胞に発現させたs(P)RRのことである。s(P)RRはヒト以外の哺乳動物でも存在し、配列の保存性は高いと考えられていることから、s(P)RRは哺乳動物由来であれば特に限定されないが、マウス、ラット、ヒト由来等を用いることができる。本発明のモノクローナル抗体が結合するs(P)RRは、天然で分泌されるものであってもよいし、遺伝子導入により強制発現させたものであってもよい。また、本発明のモノクローナル抗体が結合するs(P)RRが遺伝子導入により強制発現させたものである場合、同種細胞で発現させたものであってもよいし、異種細胞で発現させたものであってもよい。好ましくは、本発明のモノクローナル抗体が結合するs(P)RRは、ヒト血液中(血清中、血漿中)又は尿中に天然で存在するs(P)RRである。
また、本発明の天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体において、モノクローナル抗体と天然型s(P)RRとの結合は、ウェスタンブロッティング、免疫沈降、免疫組織化学染色、及びELISAのいずれの方法により確認されるものであってもよいが、好ましくは、免疫沈降又はELISAであり、最も好ましくはELISAである。よって、本発明の天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体として、好ましくは、免疫沈降又はELISAにより天然型s(P)RRを検出可能な抗体である。より、好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、ヒト体液(好ましくは血液、血漿、血清又は尿中の天然型s(P)RRを免疫沈降又はELISAにより検出可能な抗体である。
モノクローナル抗体と天然型s(P)RRが結合するか否かをウェスタンブロッティン
グにより確認する場合、組換ヒト(P)RR、(P)RRのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液を、2% SDS、10% グリセロール、50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM ジチオスレイトール溶液中に溶解し、煮沸して抗His抗体及び被検抗体によりウェスタンブロット分析を行うことにより確認することができる。
グにより確認する場合、組換ヒト(P)RR、(P)RRのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液を、2% SDS、10% グリセロール、50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM ジチオスレイトール溶液中に溶解し、煮沸して抗His抗体及び被検抗体によりウェスタンブロット分析を行うことにより確認することができる。
モノクローナル抗体と天然型s(P)RRが結合するか否かを免疫沈降により確認する場合(免疫沈降により天然型s(P)RRを検出可能であるか否かを確認する場合を含む)、免疫沈降ウェスタンブロッティング分析により確認することができる。具体的には、(P)RRトランスフェクタントの上清を被検抗体と共にインキュベートし、共にプロテインG セファロース(GEヘルスケアジャパン)を添加する、更にインキュベートした後、遠心分離を行い、得られたペレットを三回洗浄した。次いでペレットを溶解し、抗s(P)RR抗体を用いてウェスタンブロット分析を行うことにより、確認することができる。
モノクローナル抗体と天然型s(P)RRが結合するか否かを免疫組織化学染色により確認する場合、血管を含む組織を4%パラホルムアルデヒド中で3〜5日間固定化し、パラフィンに包埋し、常法に従ってミクロトーム上で5μm厚に切断した。組織切片からパラフィンを除去し、水和させ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、ギ酸で短時間処理する。内因性の過酸化を防ぐため、3%過酸化水素含有メタノール中で静置後、10%正常ヤギ血清含有PBSで切片をブロックし、被検抗体と共に4℃で一晩静置する。その後、ビオチン化第二抗体と共に室温で30分間静置した。免疫反応性は、ABC Eliteキット(Vector Laboratories社)などを用いて製造者のプロトコルに従って可視化する。3,3’−ジアミノベンジジンを色原体として使用し、切片はヘマトキシリンで対比染色することにより確認することができる。
モノクローナル抗体と天然型s(P)RRが結合するか否かをELISAにより確認する場合(ELISAにより天然型s(P)RRを検出可能であるか否かを確認する場合を含む)、被検モノクローナル抗体を用いて後述のELISA系を構築し、後述のELISA法を実施して、天然型s(P)RRを検出できるか否かを測定することにより行うことができる。
よって、好ましくは、本発明の天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体は、天然型s(P)RRと免疫沈降させることができる。ここで、天然型s(P)RRは、前述のモノクローナル抗体が結合するs(P)RRと同意義であり、免疫沈降させることができるか否かは、前述のモノクローナル抗体と天然型s(P)RRが結合するか否かを免疫沈降により確認する方法と同様の方法により確認することができる。
更に好ましくは、本発明の天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体は、カイコ由来の組換ヒト(P)RRを抗原として用いて生成された抗体である。ここで、カイコ由来の組換ヒト(P)RRを抗原として用いて生成されたとは、当該モノクローナル抗体が直接的にカイコ由来の組換ヒト(P)RRを抗原として用いて生成された場合のみならず、当該抗体の配列がカイコ由来の組換ヒト(P)RRを抗原として用いたことにより得られた場合も含む。よって、抗体の製造におけるカイコ由来の組換ヒト(P)RRの使用の有無を問うものではなく、その抗体(配列)の取得過程においてカイコ由来の組換ヒト(P)RRを用いている限り、全ての抗体を含むものである。カイコ由来の組換ヒト(P)RRを抗原として用いた抗体の生成方法は後述する。
本明細書において、「モノクローナル抗体」の語は、単一クローンに由来することを意味し、完全抗体の他、抗原との結合活性を保持する限り抗体断片をも含む。完全抗体としては、マウス抗体、ウサギ抗体、ヒト抗体等の哺乳動物の抗体の他、キメラ抗体、ヒト化抗体などの異種に由来する配列が融合した抗体をも含む。また、抗体断片には、F(ab’)2、Fab’、Fab、一本鎖Fv、ジスルフィド結合Fv若しくはこれらの重合体、二量体化V領域を含む。また、天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体は、好ましくは、s(P)RRと特異的に結合する。ここで、s(P)RRと特異的に結合するとは、天然型s(P)RR及び組換えs(P)RRの両方に結合することができるが、他のタンパク質とは結合しないか又は結合が弱いことを意味する。ここで、結合が弱いとは、被検抗体の天然型s(P)RR及び組換えs(P)RRへの結合に比較して、他のタンパク質への結合が十分区別可能な場合を含む。本段落において説明された事項は、以下に説明する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤及び本発明の抗体を含有するs(P)RR測定キットが含有する抗体についても同様である。
好ましくは、本発明の天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体は、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に寄託されたハイブリドーマHuman pRR Hybridoma 93A1B(寄託微生物の受領日2011年11月17日、受領番号はFERM AP−22200)が産生するモノクローナル抗体である。例えば、本発明の抗体は、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ抗体の抗原への作用(例えば、結合作用)を保持するポリペプチド又は抗体、9受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体の可変領域とヒト由来の抗体の定常領域を有するキメラ抗体(以下、「93A1Bキメラ抗体」という)、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のH鎖とL鎖の相補認識領域(CDR)を有する抗体であってもよい(このような抗体のうち、特に、CDR配列以外のアミノ酸配列がヒト抗体のアミノ酸配列に由来する抗体を以下、「93A1Bヒト化抗体」という)(以下、これらの抗体を総称して、「93A1Bモノクローナル抗体に基づいて作製される抗体」という)。受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のH鎖とL鎖の相補認識領域(CDR)を有する抗体としては、例えば、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のH鎖のCDR1(以下、「CDRH1」という)、CDR2(以下、「CDRH2」という)及び/又はCDR3(以下、「CDRH3」という)、並びに/あるいは、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のL鎖のCDR1(以下、「CDRL1」という)、CDR2(以下、「CDRL2」という)及び/又はCDR3(以下、「CDRL3」という)を(好ましくは、CDRとして)有するモノクローナル抗体(好ましくは、ヒト化抗体)であり、好ましくは、CDRが受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のCDRH1、CDRH2及びCDRH3、並びに、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のCDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する又はからなるモノクローナル抗体(好ましくは、ヒト化抗体)であり、最も好ましくは、抗体のCDRL1、CDRL2及びCDRL3、並びにCDRH1、CDRH2及びCDRH3が、それぞれ、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のCDRH1、CDRH2及びCDRH3、並びに、CDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する又はからなるモノクローナル抗体(好ましくは、ヒト化抗体)である。また、本発明の抗体は、前述の受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体又はこれに基づいて作製される抗体の断片(F(ab’)2、Fab’、Fab、scFv、dsFv若しくはこれらの重合体、Diabody、またはCDRを含むペプチド等)であってもよい。実施例及び図面の説明を除き、本願明細書及び請求項全体において、「93A1Bモノクローナル抗体」とは、特に限定されない限り、前述の受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマHuman pRR Hybridoma 93A1Bにより産生される抗体の他、当該モノクローナル抗体の断片、並びに、受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体に基づいて作製される抗体及び当該抗体の断片を意味する。以下に説明する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤及び本発明の抗体を含有するs(P)RR測定キットが含有する抗体についても同様である。
また、別の態様において、本発明は、天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体を含有する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤に関する。本薬剤に含まれる抗体は、目的のタンパク質と結合する限りその構造、大きさ、イムノグロブリンクラス、由来等を問わない。また、本薬剤が包含する抗体又はその断片は、モノクローナルであってもよいし、ポリクローナルであってもよいが、少なくとも1つはモノクローナル抗体又はその断片を含む。本発明の薬剤が含有する抗体又は抗体の断片は、適宜標識されていてもよい。本発明の薬剤は、天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体に代えて、当該抗体又はその断片のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、当該核酸を包含するベクター、当該ベクターを保有する細胞を包含していてもよい。本発明の薬剤が備える抗体又はその断片として、好ましくは、93A1Bモノクローナル抗体である。
更に、別の態様において、本発明は、本発明の抗体を含有するs(P)RR測定キットに関する。本発明のキットは、好ましくは、ヒト体液中のs(P)RRを測定可能なキットである。また、本発明のキットが測定可能な範囲は、5〜10,000pg/mLとすることができ、好ましくは、24〜8000pg/mLであり、より好ましくは、125〜8000pg/mLである。本発明のキットの、最低検出濃度限界は、好ましくは、24pg/mLである。
一の態様において、本発明のキットは、目的のタンパク質(s(P)RR)と結合する抗体又はその断片を備える。当該抗体は、目的のタンパク質と結合する限りその構造、大きさ、イムノグロブリンクラス、由来等を問わない。また、本発明のキットが包含する抗体又はその断片は、モノクローナルであってもよいし、ポリクローナルであってもよいが、少なくとも1つはモノクローナル抗体又はその断片を含む。また、本発明のキットが含有する抗体又は抗体の断片は、適宜標識されていてもよい。また、本発明のキットは、天然型s(P)RRと結合するモノクローナル抗体に代えて、当該抗体又はその断片のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、当該核酸を包含するベクター、当該ベクターを保有する細胞も包含していてもよい。本発明のキットが備える抗体又はその断片として、好ましくは、93A1Bモノクローナル抗体である。
本発明のキットは、好ましくは、固相、ハプテン、及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含む。本発明の測定キットは、抗体分子を用いた公知の方法に基づくことができる。このような方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法等を挙げることができる。本発明のキットが、所望の測定を実施することが可能であるか否かは、当該サンプル又は当該濃度のサンプルを用いて、各測定法を当業者周知の方法により実施することにより、検出可能であるか否かを測定することにより確認することができる。
例えば、本発明のキットは、(i)ヒトs(P)RRと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相又はハプテン、及び(ii)ヒトs(P)RRと特異的に結合する標識化された第二抗体を含む免疫化学測定のキットとすることができる。また、本発明のキットがハプテンを含む場合、更にハプテンと特異的に結合する物質が固定化した固相をさらに含んでいてもよい。好ましくは、前記第一抗体と前記第二抗体はヒトs(P)RRの異なる部位を認識する。
または、本発明のキットは、(i)ヒトs(P)RRと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び、(ii)ヒトs(P)RRと特異的に結合する第二抗体が固定化したハプテンを含む免疫化学測定のキットとすることができる。また、当該キットは更に、ハプテンと特異的に結合する、標識された物質を含んでいてもよい。
あるいは、本発明のキットは、(i)ヒトs(P)RRと特異的に結合する第一抗体が固定化した不溶性担体、及び、(ii)ヒトs(P)RRと特異的に結合する第二抗体が固定化した不溶性担体を含む免疫化学測定のキットとすることができる。上記のいずれのキットの例においても、第一抗体をモノクローナル抗体(好ましくは、93A1Bモノクローナル抗体)とし、第二抗体をポリクローナル抗体としてもよいし、第一抗体をポリクローナル抗体とし、第二抗体をモノクローナル抗体(好ましくは、93A1Bモノクローナル抗体)としてもよいし、あるいは、第一及び第二の両方の抗体をモノクローナル抗体としてもよい。本発明のキットにおいては、好ましくは、第一又は第二のいずれかの抗体が93A1Bモノクローナル抗体であり、もう一方の抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。
本発明のキットにおいて、固相は免疫化学測定に使用できる固相であれば特に限定されないが、例えば、ニトロセルロース、セファロース、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート、ポリビニリデンジフルオリド、シリコンラバー、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素加工樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリマーアロイ、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス、ゼラチン、ポリアミノ酸及び/又は磁気感応性素材等を含有する、プレート、チューブ、チップ(例えば、プロテインチップ、ラボチップ等)、ビーズ、膜、吸収体及び/又は粒子等を挙げることができ、好ましくは、プレート及び磁気ビーズである。本明細書において不溶性担体とは、ビーズ等の懸濁可能な不溶性の固相を意味し、例えば、ラテックスビーズや磁気ビーズを挙げることができる。
本発明の薬剤又はキットが標識化された抗体を含む場合、当該標識としては、放射能標識、酵素、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識金属等の検出可能な標識を用いることができる。このような標識としては、これに限定されるものではないが例として、32P、3H、125I、14C等の放射能標識;βガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ等の酵素;FAD、FMN、ATP、ビオチン、ヘム等の補酵素又は補欠分子族;フルオレセイン誘導体(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フルオレセインチオフルバミル等)、ローダミン誘導体(テトラメチルローダミン、トリメチルローダミン(RITC)、テキサスレッド、ローダミン110等)、Cy色素(Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7)、Cy−クロム、スペクトラムグリーン、スペクトラムオレンジ、プロピジウムイオダイド、アロフィコシアニン(APC)、R−フィコエリスリン(R−PE)等の蛍光標識;ルシフェラーゼ等の生物発光標識;あるいは、ルミノール、イソルミノール、N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノースエステル等のルミノール誘導体、N−メチルアクリジニウムエステル、N−メチルアクリジニウムアシルスルホンアミドエステル等のアクリジニウム誘導体、ルシゲニン、アダマンチルジオキセタン、インドキシル誘導体、ルテニウム錯体等の化学発光標識;金コロイド等の金属等の検出可能な標識を挙げることができる。
本発明のキットは、必要に応じて、発色試薬、反応停止用試薬、標準抗原試薬、サンプル前処理用試薬、ブロッキング試薬等を含んでいてもよい。また、本発明のキットが標識化された抗体を含む場合、更に標識と反応する基質を含んでいてもよい。
本発明の薬剤又はキットに用いる検体としては、例えば、生検として被験者から採取した組織試料または液体を使用することができる。使用される生検は、本発明の免疫学的測定の対象となるものであれば特に限定はなく、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、漿液、髄液、関節液、眼房水、涙液、唾液またはそれらの分画物若しくは処理物を挙げることができる。本発明のキットによる分析は、定性的、定量的または半定量的に行うことができる。
また、本発明によれば妊婦(特に妊娠初期)の体液中(血液中)のs(P)RR濃度は妊娠中期又は妊娠後期の妊娠高血圧症の予測に利用できることから、本発明のキットは、妊娠高血圧症の予測のためのキットとすることができる。
本発明のモノクローナル抗体、当該抗体を含有する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤、及び当該抗体を用いた測定キットは、生体中のs(P)RRの測定が可能であることから、s(P)RRと疾患との関係を解明する重要な測定手段を提供するものである。また、本発明の妊娠高血圧症予測方法は、妊娠初期のs(P)RR濃度から、妊娠中期と妊娠後期の血圧を予測できることから、妊婦の健康管理等に有用である。
(抗体)
本発明の抗体は、以下の方法により得ることができる。まず、本発明の抗体の作製に使用する免疫原は、(P)RRタンパク質の全部、又はその一部を有するポリペプチド(例えば、配列番号3又は4に記載のペプチド)をコードするDNAを含む発現ベクター(例えば、pGEX(大腸菌用)、pcDNA3.1(動物細胞発現用)等)を大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等(好ましくは、カイコ細胞)に形質転換し、形質転換した大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を適切な培地(例えば、LB培地等)で培養して発現させることにより得ることができる。また、当該配列を有するペプチドを化学合成したものを用いることも可能である。
本発明の抗体は、以下の方法により得ることができる。まず、本発明の抗体の作製に使用する免疫原は、(P)RRタンパク質の全部、又はその一部を有するポリペプチド(例えば、配列番号3又は4に記載のペプチド)をコードするDNAを含む発現ベクター(例えば、pGEX(大腸菌用)、pcDNA3.1(動物細胞発現用)等)を大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等(好ましくは、カイコ細胞)に形質転換し、形質転換した大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を適切な培地(例えば、LB培地等)で培養して発現させることにより得ることができる。また、当該配列を有するペプチドを化学合成したものを用いることも可能である。
上記抗原を用いた動物の免疫は、上記抗原をリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)に溶解し、必要に応じて免疫賦活剤(例えば、鉱油若しくはアルミニウム沈殿物と加熱死菌若しくはリポ多糖体、フロインドの完全アジュバント、又は、フロインドの不完全アジュバント等)と共に、非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス等)又は鳥類に免疫することにより行われる。動物への免疫原の投与は、例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射又は足蹠注射により行うことができる。使用する免疫原の量は、抗体を産生できる量であれば特に限定は無いが、好ましくは、0.1〜1000μgであり、より好ましくは、1〜500μgであり、より更に好ましくは、10〜100μgである。免疫は、1回又は適当な間隔をあけて数回行うことができる。好ましくは、1〜5週間に1回の免疫を複数回(好ましくは、合計2〜5回)行うことができる。ポリクローナル抗体は、十分な抗体価を示す動物の血清から精製することにより得ることができる。
モノクローナル抗体の作製は、上記方法により免疫した免疫感作動物の脾臓等から得た抗体産生細胞と、骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)を融合することにより得られるハイブリドーマを培養することにより得ることができる。当該融合方法としては、例えば、ミルステインらの方法(Galfre,G.& Milstein,C.,Methods Enzymol.73:3−46,1981)を挙げることができる。または、本発明の抗体を産生するハイブリドーマは、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に寄託されたハイブリドーマHuman pRR Hybridoma 93A1B(寄託微生物の受領日2011年11月17日、受領番号はFERM AP−22200)から入手することができる。抗体は、ハイブリドーマをin vitroで培養し、培養液を精製することによって得ることができる。
(ヒト型キメラ抗体作製)
本発明の抗体がヒト型キメラ抗体の場合、s(P)RRと結合する非ヒト動物モノクローナル抗体(例えば、93A1Bモノクローナル抗体)のVH及びVLをコードするDNAを調製し、これをヒト免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(Morrison,S.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,6851−6855,1984)。
本発明の抗体がヒト型キメラ抗体の場合、s(P)RRと結合する非ヒト動物モノクローナル抗体(例えば、93A1Bモノクローナル抗体)のVH及びVLをコードするDNAを調製し、これをヒト免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(Morrison,S.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,6851−6855,1984)。
(受領番号FERM AP−22200のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のH鎖とL鎖の相補認識領域(CDR)を有する抗体(ヒト化抗体)の作製)
本発明の抗体がヒト化抗体の場合は、s(P)RRと結合する非ヒト動物モノクローナル抗体(例えば、93A1Bモノクローナル抗体)のVH及びVLのCDRをコードするアミノ酸配列をヒト抗体のVH及びVLのFRに移植したV領域をコードするDNAを構築し、構築したDNAをヒト由来免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(L.Rieohmannら,Nature,332,323,1988:Kettleborough,C.A.ら,Protein Eng.,4,773−783,1991;Clark M.,Immunol.Today.,21,397−402,2000参照)。非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRは、上述の方法によって得られた非ヒト動物モノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNA配列から予測されるアミノ酸配列と、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列とを比較して得ることができる。既知の抗体のアミノ酸配列は、例えば、プロテイン・データ・バンク等のデータベースに登録されている抗体のアミノ酸配列より得ることができる。また、ヒト化抗体のFRとしては、移植後の抗体が本発明の効果を奏するものであれば特に限定は無いが、好ましくは、ヒト化抗体の可変領域(以下、「V領域」という)がCDRが由来する非ヒト動物モノクローナル抗体のV領域と類似の立体構造となるヒト抗体のFR、又は、使用する非ヒト動物モノクローナル抗体のFRのアミノ酸配列と相同性が高いヒト抗体FRである。使用するヒト化抗体のV領域をコードするDNA配列は、非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRのアミノ酸配列とヒト抗体のFRのアミノ酸配列を結合したアミノ酸配列に対応するDNA配列として設計する。ヒト化抗体のV領域をコードするDNAは、設計したDNA配列を基に、当業者周知の方法によって作製することができる。
本発明の抗体がヒト化抗体の場合は、s(P)RRと結合する非ヒト動物モノクローナル抗体(例えば、93A1Bモノクローナル抗体)のVH及びVLのCDRをコードするアミノ酸配列をヒト抗体のVH及びVLのFRに移植したV領域をコードするDNAを構築し、構築したDNAをヒト由来免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(L.Rieohmannら,Nature,332,323,1988:Kettleborough,C.A.ら,Protein Eng.,4,773−783,1991;Clark M.,Immunol.Today.,21,397−402,2000参照)。非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRは、上述の方法によって得られた非ヒト動物モノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNA配列から予測されるアミノ酸配列と、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列とを比較して得ることができる。既知の抗体のアミノ酸配列は、例えば、プロテイン・データ・バンク等のデータベースに登録されている抗体のアミノ酸配列より得ることができる。また、ヒト化抗体のFRとしては、移植後の抗体が本発明の効果を奏するものであれば特に限定は無いが、好ましくは、ヒト化抗体の可変領域(以下、「V領域」という)がCDRが由来する非ヒト動物モノクローナル抗体のV領域と類似の立体構造となるヒト抗体のFR、又は、使用する非ヒト動物モノクローナル抗体のFRのアミノ酸配列と相同性が高いヒト抗体FRである。使用するヒト化抗体のV領域をコードするDNA配列は、非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRのアミノ酸配列とヒト抗体のFRのアミノ酸配列を結合したアミノ酸配列に対応するDNA配列として設計する。ヒト化抗体のV領域をコードするDNAは、設計したDNA配列を基に、当業者周知の方法によって作製することができる。
(ヒト抗体)
ヒト抗体は、例えば、ヒト抗体ファージライブラリー又はヒト抗体産生トランスジェニックマウスを利用することにより得ることができる(富塚ら,Nature Genet.,15,146−156(1997))。ヒト抗体ファージライブラリーを利用する場合、例えば、S(P)RR又は本発明の抗体が認識するエピトープ配列を有するペプチドを固相に固定化し、ファージ抗体ライブラリーを反応させて、非結合のファージを洗浄除去した後、結合したファージを回収することにより、所望のクローンを得ることができる(パンニング)。また、得られたファージを増幅させ、増幅させたライブラリーについて更にパニングを繰り返し行うことにより、得られたクローンの精度を上げることができる。得られたクローンのVH遺伝子及びVL遺伝子を解析することにより、これらの遺伝子配列を有する完全なヒト抗体を作製することもできる。
ヒト抗体は、例えば、ヒト抗体ファージライブラリー又はヒト抗体産生トランスジェニックマウスを利用することにより得ることができる(富塚ら,Nature Genet.,15,146−156(1997))。ヒト抗体ファージライブラリーを利用する場合、例えば、S(P)RR又は本発明の抗体が認識するエピトープ配列を有するペプチドを固相に固定化し、ファージ抗体ライブラリーを反応させて、非結合のファージを洗浄除去した後、結合したファージを回収することにより、所望のクローンを得ることができる(パンニング)。また、得られたファージを増幅させ、増幅させたライブラリーについて更にパニングを繰り返し行うことにより、得られたクローンの精度を上げることができる。得られたクローンのVH遺伝子及びVL遺伝子を解析することにより、これらの遺伝子配列を有する完全なヒト抗体を作製することもできる。
ヒト抗体産生トランスジェニックマウスは、内因性免疫グロブリン(Ig)遺伝子をノックアウトしたマウスにヒト抗体のIg遺伝子を導入したマウスである。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスは、例えば、以下の方法により得ることができる。ヒト−マウスハイブリッド細胞を48時間コルセミド(紡錘糸形成阻害剤)処理することにより、1から数本の染色体が核膜に包まれた構造体である、ミクロセルを形成する。サイトカラシンB存在下で単離されたミクロセルを染色体受容細胞(マウスES細胞)とポリエチレングリコールにより融合し、ミクロセルハイブリッドES細胞を作製し、マウス胚へ注入する。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスを免疫動物として、上述の抗S(P)RR抗体作製方法に準じて抗原(好ましくは、本発明の抗体が認識するエピトープ配列を有するペプチド)を免疫することにより、抗s(P)RRヒト抗体を得ることができる。
(抗体断片の作製)
F(ab’)2断片(分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片)は、本発明のIgG抗体(例えば、93A1Bモノクローナル抗体)をペプシンで処理することにより、H鎖の234番目のアミノ酸残基で切断して得ることができる。Fab’断片は、上述の方法により得られたF(ab’)2をジチオスレイトール処理して得ることができる。また、本発明のFab’断片は、本発明の抗体のFab’をコードするDNAから得ることができる。Fab断片(H鎖のN末端側の約半分の領域とL鎖の全領域がジスルフィド結合により結合された分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片)は、本発明の抗体をパパインで処理することにより、H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断して得ることができる。また、本発明のFab断片は、本発明の抗体のFabをコードするDNAから得ることができる。scFvは、本発明の抗体のVH及びVLをコードするcDNAの間にリンカー配列をコードするDNAを挿入して、scFvをコードするDNAを構築することにより得ることができる。リンカーの長さは、VHとVLが会合することができる長さであれば特に限定は無いが、好ましくは10〜20残基であり、より好ましくは15残基である。また、リンカーの配列は、VHとVLの二つのドメインのポリペプチド鎖の折りたたみを阻害しないものであれば特に限定は無いが、好ましくは、グリシン及び/又はセリンからなるリンカーであり、より好ましくは、GGGGS(G:グリシン、S:セリン)又はその繰り返し配列である。dsFvは、VH及びVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換し、当該システイン残基間をジスルフィド結合により結合させることにより得ることができる。Diabodyは、上述のscFvをコードするDNAにおいて、リンカーのアミノ酸配列が8残基以下(好ましくは5残基)となるように構築することにより得ることができる。バイスペシフィックなDiabodyは、異なる2種類のscFvのVH及びVLのDNAを組み合わせてscFvを作製することにより得ることができる。本発明のCDRを含むペプチドは、本発明の抗体のVH又はVLのCDRのアミノ酸配列を有するペプチドとして設計することにより得ることができる。
F(ab’)2断片(分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片)は、本発明のIgG抗体(例えば、93A1Bモノクローナル抗体)をペプシンで処理することにより、H鎖の234番目のアミノ酸残基で切断して得ることができる。Fab’断片は、上述の方法により得られたF(ab’)2をジチオスレイトール処理して得ることができる。また、本発明のFab’断片は、本発明の抗体のFab’をコードするDNAから得ることができる。Fab断片(H鎖のN末端側の約半分の領域とL鎖の全領域がジスルフィド結合により結合された分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片)は、本発明の抗体をパパインで処理することにより、H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断して得ることができる。また、本発明のFab断片は、本発明の抗体のFabをコードするDNAから得ることができる。scFvは、本発明の抗体のVH及びVLをコードするcDNAの間にリンカー配列をコードするDNAを挿入して、scFvをコードするDNAを構築することにより得ることができる。リンカーの長さは、VHとVLが会合することができる長さであれば特に限定は無いが、好ましくは10〜20残基であり、より好ましくは15残基である。また、リンカーの配列は、VHとVLの二つのドメインのポリペプチド鎖の折りたたみを阻害しないものであれば特に限定は無いが、好ましくは、グリシン及び/又はセリンからなるリンカーであり、より好ましくは、GGGGS(G:グリシン、S:セリン)又はその繰り返し配列である。dsFvは、VH及びVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換し、当該システイン残基間をジスルフィド結合により結合させることにより得ることができる。Diabodyは、上述のscFvをコードするDNAにおいて、リンカーのアミノ酸配列が8残基以下(好ましくは5残基)となるように構築することにより得ることができる。バイスペシフィックなDiabodyは、異なる2種類のscFvのVH及びVLのDNAを組み合わせてscFvを作製することにより得ることができる。本発明のCDRを含むペプチドは、本発明の抗体のVH又はVLのCDRのアミノ酸配列を有するペプチドとして設計することにより得ることができる。
(標識)
抗体又はその断片への標識の結合は当分野において一般的な方法により行うことができる。例えば、タンパク質又はペプチドを蛍光標識する場合、タンパク質又はペプチドをリン酸緩衝液で洗浄した後、DMSO、緩衝液等で調整した色素を加え、混合した後室温で10分間静置することにより結合させることができる。また、市販の標識キットとして、ビオチン標識キット(Biotin Labeling Kit−NH2、Biotin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、アルカリフォスファターゼ標識用キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−NH2、Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、ペルオキシダーゼ標識キット(Peroxidase Labering Kit−NH2、Peroxidase Labering Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、フィコビリプロテイン標識キット(Allophycocyanin Labeling Kit−NH2、Allophycocyanin Labeling Kit−SH、B−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、B−Phycoerythrin Labeling Kit−SH、R−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、R−Phycoerythrin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、蛍光標識キット(Fluorescein Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 555 Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 647 Labeling Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、DyLight547、DyLight647(テクノケミカル株式会社)、Zenon(登録商標)Alexa Fluor(登録商標)抗体標識キット、Qdot(登録商標)抗体標識キット(インビトロゲン社)、EZ−Label Protein Labeling Kit(フナコシ株式会社)等を用いて標識することもできる。また、標識した抗体又はその断片の検出は、適宜標識に適した機器を使用することにより行うことができる。
抗体又はその断片への標識の結合は当分野において一般的な方法により行うことができる。例えば、タンパク質又はペプチドを蛍光標識する場合、タンパク質又はペプチドをリン酸緩衝液で洗浄した後、DMSO、緩衝液等で調整した色素を加え、混合した後室温で10分間静置することにより結合させることができる。また、市販の標識キットとして、ビオチン標識キット(Biotin Labeling Kit−NH2、Biotin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、アルカリフォスファターゼ標識用キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−NH2、Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、ペルオキシダーゼ標識キット(Peroxidase Labering Kit−NH2、Peroxidase Labering Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、フィコビリプロテイン標識キット(Allophycocyanin Labeling Kit−NH2、Allophycocyanin Labeling Kit−SH、B−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、B−Phycoerythrin Labeling Kit−SH、R−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、R−Phycoerythrin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、蛍光標識キット(Fluorescein Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 555 Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 647 Labeling Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、DyLight547、DyLight647(テクノケミカル株式会社)、Zenon(登録商標)Alexa Fluor(登録商標)抗体標識キット、Qdot(登録商標)抗体標識キット(インビトロゲン社)、EZ−Label Protein Labeling Kit(フナコシ株式会社)等を用いて標識することもできる。また、標識した抗体又はその断片の検出は、適宜標識に適した機器を使用することにより行うことができる。
(キット)
また、本発明は、s(P)RRと特異的に結合する抗体を含有するs(P)RR測定キットに関する。具体的には、本発明は、s(P)RRと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする免疫化学測定のキットに関する。本発明のキットは、上述の方法に従って作製した抗体(又は標識化した抗体)を用いて、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法用のキットとして当業者に慣用の技術を用いて製造することができる。
また、本発明は、s(P)RRと特異的に結合する抗体を含有するs(P)RR測定キットに関する。具体的には、本発明は、s(P)RRと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする免疫化学測定のキットに関する。本発明のキットは、上述の方法に従って作製した抗体(又は標識化した抗体)を用いて、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法用のキットとして当業者に慣用の技術を用いて製造することができる。
例えば、本発明のキットは、抗s(P)RRモノクローナル抗体固相化プレート、ビオチン標識抗s(P)RRポリクローナル抗体溶液、ストレプトアビジンPOD溶液、洗浄液、TMB試薬、2M HCl、標準物質(s(P)RRペプチド)を備えるキットとして製造することができる。また、別の例として、本発明のキットは、抗s(P)RRモノクローナル抗体、抗s(P)RRモノクローナル抗体結合金コロイド、ウサギ免疫グロブリン結合金コロイド、及び、テストプレートを備えるキットとして製造することができる。当該キットにおいて、テストプレートは、検体を挿入する検体採取部、抗s(P)RRモノクローナル抗体結合金コロイドを含む感作金コロイド塗布部、抗s(P)RRモノクローナル抗体を含む判定部(テストライン)、抗ウサギ免疫グロブリンポリクローナル抗体を含む判定部(リファレンスライン)、吸収剤、及び、メンブレンフィルターを備えていてもよい。
(妊娠高血圧症発症予測方法)
一の態様において、本発明は、妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中のs(P)RRを検出又は定量するステップ;及び、
(b)測定されたs(P)RRの存在又はレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをするステップを含む方法に関する。本明細書の全体に亘って、「妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法」は、「妊娠高血圧症の発症を予測する方法」と読み替えてもよい。
一の態様において、本発明は、妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中のs(P)RRを検出又は定量するステップ;及び、
(b)測定されたs(P)RRの存在又はレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをするステップを含む方法に関する。本明細書の全体に亘って、「妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法」は、「妊娠高血圧症の発症を予測する方法」と読み替えてもよい。
本明細書において、「妊娠高血圧症の発症」とは、妊娠中期及び/又は後期に妊娠高血圧症と診断される症状を示すことを意味する。具体的には、妊娠20週以降に血圧が上昇(高血圧)、あるいは高血圧の症状と共に尿中にタンパク質(蛋白尿)が検出されることを意味する。「妊娠高血圧症」には、妊娠高血圧(高血圧のみ)、妊娠高血圧腎症(高血圧+蛋白尿)、加重型妊娠高血圧腎症(妊娠前からの高血圧+妊娠後蛋白尿)、子癇(高血圧+けいれん)を含む。
本明細書において、「妊娠初期」とは、妊娠1カ月〜4カ月を意味し、「妊娠中期」とは、妊娠5カ月〜7カ月を意味し、「妊娠後期」とは、妊娠8カ月〜10カ月を意味する。
本発明の方法において、「患者由来の体液中のs(P)RRの検出又は定量」は、抗体分子を用いた公知の方法に基づき行うことができる。このような方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法等を挙げることができる。
よって、より具体的には、本発明の妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法は、例えば、以下のステップにより行うことができる:
(a)該患者由来の試料を調整するステップ;
(b)少なくとも1つのs(P)RRに特異的に結合する抗体に該試料を接触させるステップ、
(c)該タンパク質の該抗体への結合を検出して試料中のs(P)RRのを検出又は定量するステップ;
(d)s(P)RRのレベルから妊娠高血圧症の発症を予測するステップ、ここで、s(P)RRレベルが高いことが、被検患者が妊娠高血圧症を発症しやすいことを示す。
(a)該患者由来の試料を調整するステップ;
(b)少なくとも1つのs(P)RRに特異的に結合する抗体に該試料を接触させるステップ、
(c)該タンパク質の該抗体への結合を検出して試料中のs(P)RRのを検出又は定量するステップ;
(d)s(P)RRのレベルから妊娠高血圧症の発症を予測するステップ、ここで、s(P)RRレベルが高いことが、被検患者が妊娠高血圧症を発症しやすいことを示す。
本明細書において、「少なくとも1つのs(P)RRに特異的に結合する抗体に該試料を接触させるステップ」及び「該タンパク質の該抗体への結合を検出して試料中のs(P)RRのを検出又は定量するステップ」は、例えば、サンドイッチELISAにより実施する場合には、固相に固定化されたs(P)RRに特異的に結合する抗体に被験試料を接触させ、洗浄後、s(P)RRに特異的に結合する標識抗体を添加して非結合抗体を洗浄により除去した後、当該抗体の標識を検出又は定量することにより行うことができる。また、イムノクロマトにより行う場合には、固定化されていないs(P)RRに特異的に結合する標識抗体に被験試料を接触させた後、当該混合物をs(P)RRに特異的に結合する別の抗体が特定部位に固定化された担体と接触させ、当該部位における標識抗体の集積を検出又は定量することにより行うことができる。
これらの方法においては、予め適宜既知の濃度に段階希釈されたs(P)RR標準物質を用いて検量線を作成し、検体中の測定値から当該検量線を基にs(P)RRの濃度を計算して求めてもよい。また、必要に応じて、被験者由来の体液に加えて、妊娠していない対象由来の体液、あるいは妊娠高血圧症を発症しなかった患者由来の体液又は発症しないと信じられている患者由来の体液をネガティブコントロールとして、同様にs(P)RRの濃度を測定してもよいし、かつ/あるいは、妊娠高血圧症を発症した患者又は発症することが知られている患者由来の体液をポジティブコントロールとして、同様にs(P)RRの濃度を測定してもよい。検出又は定量は、妊娠高血圧症発症との関連付けがそれぞれs(P)RRの存在により行われるのか又はレベルにより行われるのかに応じて決定してもよい。例えば、妊娠高血圧症発症との関連付けがs(P)RRの存在/不存在に依存する場合には、存在/不存在を検出することが望ましい。また、妊娠高血圧症発症との関連付けがs(P)RRのレベルに依存する場合には、s(P)RRのレベルを定量することが望ましい。また、妊娠高血圧症発症との関連付けが発症指標としてのs(P)RRの閾値レベルを超えるか否かに依存する場合には、閾値レベルを超えるs(P)RR濃度を検出してもよいし、s(P)RRのレベルを定量した上で閾値レベルを超えるか否かを判定してもよい。なお、本明細書において、レベルとは、数値化される指標を意味し、例えば、濃度あるいはその代わりとして用いることができる指標を意味する。よって、レベルは蛍光等の測定値そのものであってもよいし、濃度に換算された値であってもよい。
本明細書において、妊娠高血圧症の発症を予測するために、測定されたs(P)RRの発現レベルと患者の発症と関係において用いられる「関連付けをする」という用語は、被験者におけるs(P)RRの存在又はレベルを、妊娠高血圧症を発症した患者又は発症することが知られている患者(ポジティブコントロール)、あるいは、妊娠高血圧症を発症しなかった患者又は発症しないと信じられている患者(ネガティブコントロール)におけるs(P)RRのレベルと比較することを意味する。比較対象となる患者におけるs(P)RRのレベルは、例えば、本発明の開示により、又は、既に発症の有無が判明している患者由来の妊娠初期の試料におけるs(P)RRのレベルを測定することにより、あるいは、他の指標による評価と組み合わせて評価することにより知ることができる。本発明のs(P)RRのレベルを利用して、患者が妊娠中期及び/又は後期に妊娠高血圧症を発症する可能性を予測することができる。発症因子と発症との関連付けは、統計的分析により行うことができる。統計学的有意性は、2以上の集団を比較し、信頼区間及び/又はp値を決定することにより決定される(Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiely & Sons, NewYord, 1983)。本発明の信頼区間は、例えば、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%又は99.99%であってもよい。また、本発明のp値は、例えば、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0002又は0.0001であってもよい。
例えば、本発明の方法により検出されたs(P)RRは、その存在/不存在により患者の妊娠高血圧症の発症と関連付けることができる。また、別の例として、本発明のs(P)RRについて発症指標としての閾値レベルを設定し、患者由来の試料におけるs(P)RRのレベルを、閾値レベルと比較することにより関連付けてもよい。このような閾値レベルは、例えば、感度が、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は、98%以上となるように設定することができる。また、閾値レベルは、特異度が、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は、98%以上となるように設定することができる。
あるいは、関連付けは、妊娠高血圧症の発症の可能性の高さに関するいくつかのグループ群(クラス)を設定し、患者由来の試料におけるs(P)RRのレベルから、当該クラスのうち一つのクラスに分類し、分類されたクラスに属する患者に特異的な妊娠高血圧症に関する既知の性質(妊娠高血圧症の発症率等)から当該患者の妊娠高血圧症の発症の可能性を予測することにより関連付けてもよい。
よって、より具体的には、本発明は以下の方法を含む:妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中のs(P)RRを定量すること;及び、
(b)測定されたs(P)RRのレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをすることを含む方法、
ここで、前記関連付けは、以下の方法を含む:
(c)定量されたs(P)RRのレベルから、妊娠高血圧症の発症クラスのうち一つのクラスに分類すること、ここで、当該分類結果は定量されたs(P)RRのレベルに依存している;及び
(d)分類された当該一つの反応クラスに属する妊娠高血圧症の発症に特異的な既知の性質から当該患者の妊娠高血圧症の発症を予測すること。
本明細書において、「妊娠高血圧症の発症クラスのうち一つのクラスに分類する」とは、被験患者由来の試料におけるs(P)RRのレベルに応じて当該被験患者をグループ分けすることを意味する。当該グループ分けは、絶対的又は相対的な指標により振り分けることができる。例えば、対象患者のs(P)RRの定量値から、当該患者を予め決められたs(P)RRの定量値を示すグループに振り分けることにより行ってもよいし、又は、対象患者を含む不特定の患者群におけるs(P)RRのレベルを定量した上で、相対的な定量レベルの差から、患者を2以上のグループに分けてもよい。また、クラス分けは、妊娠していない対象におけるs(P)RRのレベルとの差の大小を指標として行ってもよい。好ましくは、比較した場合にs(P)RRの定量値が多い(レベルが高い)ほど妊娠高血圧症の発症の可能性が高いクラスに分類される。
よって、より具体的には、本発明は以下の方法を含む:妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中のs(P)RRを定量すること;及び、
(b)測定されたs(P)RRのレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをすることを含む方法、
ここで、前記関連付けは、以下の方法を含む:
(c)定量されたs(P)RRのレベルから、妊娠高血圧症の発症クラスのうち一つのクラスに分類すること、ここで、当該分類結果は定量されたs(P)RRのレベルに依存している;及び
(d)分類された当該一つの反応クラスに属する妊娠高血圧症の発症に特異的な既知の性質から当該患者の妊娠高血圧症の発症を予測すること。
本明細書において、「妊娠高血圧症の発症クラスのうち一つのクラスに分類する」とは、被験患者由来の試料におけるs(P)RRのレベルに応じて当該被験患者をグループ分けすることを意味する。当該グループ分けは、絶対的又は相対的な指標により振り分けることができる。例えば、対象患者のs(P)RRの定量値から、当該患者を予め決められたs(P)RRの定量値を示すグループに振り分けることにより行ってもよいし、又は、対象患者を含む不特定の患者群におけるs(P)RRのレベルを定量した上で、相対的な定量レベルの差から、患者を2以上のグループに分けてもよい。また、クラス分けは、妊娠していない対象におけるs(P)RRのレベルとの差の大小を指標として行ってもよい。好ましくは、比較した場合にs(P)RRの定量値が多い(レベルが高い)ほど妊娠高血圧症の発症の可能性が高いクラスに分類される。
発症予測の判定は、それにより患者の状態の経過又は転帰を予測する方法を意味し、状態の経過又は転帰を100%の正確さで予測可能であることを意味するものではない。発症予測の判定は、ある経過又は転帰が起こる可能性が増大しているか否かを意味するものであり、当該経過又は転帰が起こらない場合を基準として起こりやすいことを意味するものではない。即ち、発症予測の判定結果は、本発明のs(P)RRレベルが上昇又は減少している患者において、そのような特徴を示さない患者に比較して、ある特定の経過又は転帰がより生じやすいということを意味する。
本発明の方法は、妊娠高血圧症の発症を予測するものであり、発症の予測は妊娠高血圧に罹患するする危険性を判断するものである。本発明において使用する患者由来の試料としては、s(P)RRを検出することができる体液を使用することができ、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、漿液、髄液、関節液、眼房水、涙液、唾液またはそれらの分画物若しくは処理物を挙げることができる。本発明の予測方法における分析は、定性的、定量的または半定量的に行うことができる。
また、s(P)RRは、患者の妊娠高血圧症発症の指標となることから、妊娠高血圧症治療薬のスクリーニングにおいて、患者の発症の改善の指標として用いることができる。例えば、被験者に被験薬を投与し、又は、高血圧モデル動物に被験薬を投与し、一定時間後のs(P)RRレベルを測定することにより、当該治療薬が妊娠高血圧症の発症を改善するものであるか否かを判定することができる。より具体的には、添加又は投与により、s(P)RRレベルが減少する被験薬を、妊娠高血圧症を改善又は発祥を抑制する治療薬として選別することができる。
以下、本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。また、以下の実施例に記載するプロスペクティブコホート研究は、東京女子医科大学の倫理委員会の承認を受けて行った。
(実施例1)ヒト血中s(P)RR測定法の確立
(1)組換ヒト(P)RRの調製
抗原として大量の組換ヒト(P)RRを取得するため、該タンパク質をバキュロ−ウイルス−カイコ発現系(シスメックス社、兵庫、日本)を用いて発現させた。手順の詳細は既に報告された通りである(Kiyono Mら、FEBS Lett 583,1127−1131(2009))。簡単に説明すると、(P)RR移入ベクターpM03(シスメックス社)を構築した。(P)RRをコードするcDNAは以前報告されたプラスミドベクターであるpCAGGS−hProRenRc(Kaneshiro Yら、J Am Soc Nephrol 18,1789−95(2007))から得た。この移入ベクターをBmNPV(CPd strain、シスメックス社)と共にBombyx mori培養細胞(BmN細胞)にコトランスフェクトした。BmN細胞中の(P)RR−Hisタグ遺伝子を含む組換バキュロウイルスを増幅させた後、蚕の蛹に感染させた。注入の6日後、蛹を52mLの均質化緩衝液(20mM Tris−HCl、pH8.0、0.15M NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、10% グリセロール、1mM DTT、1mM フェニルメチルスルホニルフッ化物、10mM ベンズアミド)中でホモジナイズし、4℃、100,000×gで1時間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを、1%のトリトンX−100を含む52mLの溶解緩衝液(20mM Tris−HCl、pH8.0、150mM NaCl)に再懸濁させた。4℃で1時間攪拌後、上清を4℃、100,000×gで1時間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを1%のN−ラウロイルサルコシンを含む溶解緩衝液52mLに再懸濁させた。懸濁液を上述と同じ手順で再度、攪拌、遠心分離して上清を回収した。回収した上清をNi−アガロースカラムに添加し、該カラムを洗浄緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.3M NaCl、0.2% N−ラウロイルサルコシン)で洗浄した。(P)RR−Hisタグタンパク質は溶出緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.3M NaCl、0.2% N−ラウロイルサルコシン)で溶出させた。溶出液は濃縮し、20mM NaP,150mM NaCl,0.2% N−ラウロイルサルコシン、pH7.5で置換した。
(1)組換ヒト(P)RRの調製
抗原として大量の組換ヒト(P)RRを取得するため、該タンパク質をバキュロ−ウイルス−カイコ発現系(シスメックス社、兵庫、日本)を用いて発現させた。手順の詳細は既に報告された通りである(Kiyono Mら、FEBS Lett 583,1127−1131(2009))。簡単に説明すると、(P)RR移入ベクターpM03(シスメックス社)を構築した。(P)RRをコードするcDNAは以前報告されたプラスミドベクターであるpCAGGS−hProRenRc(Kaneshiro Yら、J Am Soc Nephrol 18,1789−95(2007))から得た。この移入ベクターをBmNPV(CPd strain、シスメックス社)と共にBombyx mori培養細胞(BmN細胞)にコトランスフェクトした。BmN細胞中の(P)RR−Hisタグ遺伝子を含む組換バキュロウイルスを増幅させた後、蚕の蛹に感染させた。注入の6日後、蛹を52mLの均質化緩衝液(20mM Tris−HCl、pH8.0、0.15M NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、10% グリセロール、1mM DTT、1mM フェニルメチルスルホニルフッ化物、10mM ベンズアミド)中でホモジナイズし、4℃、100,000×gで1時間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを、1%のトリトンX−100を含む52mLの溶解緩衝液(20mM Tris−HCl、pH8.0、150mM NaCl)に再懸濁させた。4℃で1時間攪拌後、上清を4℃、100,000×gで1時間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを1%のN−ラウロイルサルコシンを含む溶解緩衝液52mLに再懸濁させた。懸濁液を上述と同じ手順で再度、攪拌、遠心分離して上清を回収した。回収した上清をNi−アガロースカラムに添加し、該カラムを洗浄緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.3M NaCl、0.2% N−ラウロイルサルコシン)で洗浄した。(P)RR−Hisタグタンパク質は溶出緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.3M NaCl、0.2% N−ラウロイルサルコシン)で溶出させた。溶出液は濃縮し、20mM NaP,150mM NaCl,0.2% N−ラウロイルサルコシン、pH7.5で置換した。
(2)ヒト(P)RR発現CHO細胞の構築
A−549細胞から、illustraTM Quick PrepTM Micro RNA精製キット(GEヘルスケアジャパン、東京、日本)を用いて全RNAを抽出し、first−strand cDNA合成キット(GEヘルスケアジャパン)を用いてcDNAを生成させた。それぞれ、順にEcoRI及びXhoIの制限酵素切断部位を有する、フォワードプライマー:5’−AAGAATCCAGCCTGGACGAGTCCGAGCG−3’(配列番号1)、及びリバースプライマー:5’−AACTCGAGATCCATTCGAATCTTCTGGTTT−3’(配列番号2)を用いて、ヒト(P)RR cDNAをPCRで増幅させた。PCR増幅に続いて、PCR産物はEこRI及びXhoIで消化され、c末にヒスチジンタグを有するpcDNA3.1(+)ベクターに挿入された。続いて、得られたプラスミド構造物をリポフェクトアミン2000(インビトロゲン、カリフォルニア、米国)を用いて、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)にトランスフェクトし、安定発現株を1mg/mL G418(PAAラボラトリーズ、パシング、オーストラリア)で選択した。
A−549細胞から、illustraTM Quick PrepTM Micro RNA精製キット(GEヘルスケアジャパン、東京、日本)を用いて全RNAを抽出し、first−strand cDNA合成キット(GEヘルスケアジャパン)を用いてcDNAを生成させた。それぞれ、順にEcoRI及びXhoIの制限酵素切断部位を有する、フォワードプライマー:5’−AAGAATCCAGCCTGGACGAGTCCGAGCG−3’(配列番号1)、及びリバースプライマー:5’−AACTCGAGATCCATTCGAATCTTCTGGTTT−3’(配列番号2)を用いて、ヒト(P)RR cDNAをPCRで増幅させた。PCR増幅に続いて、PCR産物はEこRI及びXhoIで消化され、c末にヒスチジンタグを有するpcDNA3.1(+)ベクターに挿入された。続いて、得られたプラスミド構造物をリポフェクトアミン2000(インビトロゲン、カリフォルニア、米国)を用いて、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)にトランスフェクトし、安定発現株を1mg/mL G418(PAAラボラトリーズ、パシング、オーストラリア)で選択した。
(3)抗(P)RR抗体の調製
ウサギを人工ペプチドであるSVTLRQLRNRLFQENSVL(配列番号3)、及びIGKRYGEDSEQFRDASKI(配列番号4)とキャリアタンパク質であるウシサイクログロブリンの結合物で免疫した。これらのペプチド配列は、ヒト(P)RRタンパク質のそれぞれ148番目のセリン(S148)から165番目のロイシン(L165)、及び222番目のイソロイシン(I222)から239番目のイソロイシン(I239)に対応する配列である。免疫したウサギの血清から、各抗原を結合させた活性化チオールセファロース4Bビーズカラム(アマシャム バイオサイエンス社)を用いて、これらの配列に対するイムノグロブリン(Ig)Gフラクションを得た。得られた精製IgGはPoAb−148及びPoAb−222と名付けた。続いて、組換ヒト(P)RRをマウスに注射した。免疫マウスから得られた脾細胞をメラノーマ細胞株X63−Ag8.653と融合させた。大腸菌でグルタチオンS−トランスフェラーゼタグ融合蛋白質として発現させたs(P)RRをグルタチオンセファロース4Bビーズ上のクロマトグラフィー(GEヘルスケアジャパン)により精製した。ELISAを用いてハイブリドーマ細胞の上清の抗体を精製GSTタグ化s(P)RRとの反応性でスクリーニングし、幾つかの陽性クローンを限界希釈法により選択した。得られた単一クローン93A1Bを本実験に用いた。このハイブリドーマは、「Human pRR Hybridoma 93A1B」として、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に寄託した。寄託微生物の受領日は2011年11月17日であり、受領番号はFERM AP−22200である。
ウサギを人工ペプチドであるSVTLRQLRNRLFQENSVL(配列番号3)、及びIGKRYGEDSEQFRDASKI(配列番号4)とキャリアタンパク質であるウシサイクログロブリンの結合物で免疫した。これらのペプチド配列は、ヒト(P)RRタンパク質のそれぞれ148番目のセリン(S148)から165番目のロイシン(L165)、及び222番目のイソロイシン(I222)から239番目のイソロイシン(I239)に対応する配列である。免疫したウサギの血清から、各抗原を結合させた活性化チオールセファロース4Bビーズカラム(アマシャム バイオサイエンス社)を用いて、これらの配列に対するイムノグロブリン(Ig)Gフラクションを得た。得られた精製IgGはPoAb−148及びPoAb−222と名付けた。続いて、組換ヒト(P)RRをマウスに注射した。免疫マウスから得られた脾細胞をメラノーマ細胞株X63−Ag8.653と融合させた。大腸菌でグルタチオンS−トランスフェラーゼタグ融合蛋白質として発現させたs(P)RRをグルタチオンセファロース4Bビーズ上のクロマトグラフィー(GEヘルスケアジャパン)により精製した。ELISAを用いてハイブリドーマ細胞の上清の抗体を精製GSTタグ化s(P)RRとの反応性でスクリーニングし、幾つかの陽性クローンを限界希釈法により選択した。得られた単一クローン93A1Bを本実験に用いた。このハイブリドーマは、「Human pRR Hybridoma 93A1B」として、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に寄託した。寄託微生物の受領日は2011年11月17日であり、受領番号はFERM AP−22200である。
(4)ウェスタンブロッティング及び免疫沈降分析
カイコ由来の組換ヒト(P)RRを同定し、(P)RR組換体の発現を確認するため、ウェスタンブロッティングを行った。組換ヒト(P)RR、(P)RRのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液は、2% SDS、10% グリセロール、50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM ジチオスレイトール溶液中に溶解し、煮沸して抗His抗体及びPoAb−222によるウェスタンブロット分析に使用した。
抗体が溶液中の条件下で天然のs(P)RRと反応する能力を有するか否かを確認するため、免疫沈降ウェスタンブロッティング分析を行った。抗体の反応性は免疫沈降ウェスタンブロッティングにより評価した。(P)RRトランスフェクタントの上清をPoAb−148又は93A1Bと共にインキュベートし、共にプロテインG セファロース(GEヘルスケアジャパン)を添加した。更にインキュベートした後、遠心分離を行い、得られたペレットを三回洗浄した。次いでペレットを溶解し、93A1Bを用いてウェスタンブロット分析を行った。
カイコ由来の組換ヒト(P)RRを同定し、(P)RR組換体の発現を確認するため、ウェスタンブロッティングを行った。組換ヒト(P)RR、(P)RRのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液は、2% SDS、10% グリセロール、50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM ジチオスレイトール溶液中に溶解し、煮沸して抗His抗体及びPoAb−222によるウェスタンブロット分析に使用した。
抗体が溶液中の条件下で天然のs(P)RRと反応する能力を有するか否かを確認するため、免疫沈降ウェスタンブロッティング分析を行った。抗体の反応性は免疫沈降ウェスタンブロッティングにより評価した。(P)RRトランスフェクタントの上清をPoAb−148又は93A1Bと共にインキュベートし、共にプロテインG セファロース(GEヘルスケアジャパン)を添加した。更にインキュベートした後、遠心分離を行い、得られたペレットを三回洗浄した。次いでペレットを溶解し、93A1Bを用いてウェスタンブロット分析を行った。
(5)s(P)RRの定量のためのELISAシステムの構築
s(P)RR濃度を測定するため、PoAb−148及び93A1Bを組み合わせたサンドイッチs(P)RR ELISAシステムを構築した。PoAb−148は捕捉抗体として、93A1Bは検出抗体として用いた。
(5−1)標準物質
組換ヒト(P)RRタンパク質の純度は、MultiGauge(富士フィルム、東京、日本)により濃度的に証明され、タンパク質濃度はウシ血清アルブミンを指標とした電気泳動により決定した。更に、s(P)RR cDNAがトランスフェクトされたCHO−K1細胞の培養上清をELISAシステムの標準物質(working standard)として用いた。
s(P)RR濃度を測定するため、PoAb−148及び93A1Bを組み合わせたサンドイッチs(P)RR ELISAシステムを構築した。PoAb−148は捕捉抗体として、93A1Bは検出抗体として用いた。
(5−1)標準物質
組換ヒト(P)RRタンパク質の純度は、MultiGauge(富士フィルム、東京、日本)により濃度的に証明され、タンパク質濃度はウシ血清アルブミンを指標とした電気泳動により決定した。更に、s(P)RR cDNAがトランスフェクトされたCHO−K1細胞の培養上清をELISAシステムの標準物質(working standard)として用いた。
(5−2)サンドイッチELISA
マイクロタイタープレート(96穴)の各穴に、0.5μgの精製PoAb−148を含有する100mMのカーボネート緩衝液(pH9.5)を100μL添加し、4℃で一晩静置して該プレートをコートした。その後、プレートをPBS−Tで洗浄し、200μLの1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)、0.05% NaN3を含むPBSを各穴に加えて、4℃で一晩静置してブロックした。PBS−Tにより二度洗浄後、被験サンプルと標準物質である組換s(P)RRを1%BSAを含有するPBS−Tで段階希釈した溶液100μL/穴を、コートされたマイクロタイタープレートに加え、4℃で一晩静置した。本試験はデュプリケートで行った。PBS−Tで4回洗浄後、100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合93A1BマウスIgG Fab’を各穴に添加し、4℃で1時間静置した。PBS−Tで穴を5回洗浄後、100μLの新たに調製したテトラメチルベンジジン溶液を各穴に基質として添加し、暗室、室温で30分間静置した。100μLの1M H2SO4を添加して反応を停止させた。溶液の450nmにおける吸光度をELISAリーダー(E−Max;モレキュラーデバイス、カリフォルニア、米国)で測定した。
マイクロタイタープレート(96穴)の各穴に、0.5μgの精製PoAb−148を含有する100mMのカーボネート緩衝液(pH9.5)を100μL添加し、4℃で一晩静置して該プレートをコートした。その後、プレートをPBS−Tで洗浄し、200μLの1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)、0.05% NaN3を含むPBSを各穴に加えて、4℃で一晩静置してブロックした。PBS−Tにより二度洗浄後、被験サンプルと標準物質である組換s(P)RRを1%BSAを含有するPBS−Tで段階希釈した溶液100μL/穴を、コートされたマイクロタイタープレートに加え、4℃で一晩静置した。本試験はデュプリケートで行った。PBS−Tで4回洗浄後、100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合93A1BマウスIgG Fab’を各穴に添加し、4℃で1時間静置した。PBS−Tで穴を5回洗浄後、100μLの新たに調製したテトラメチルベンジジン溶液を各穴に基質として添加し、暗室、室温で30分間静置した。100μLの1M H2SO4を添加して反応を停止させた。溶液の450nmにおける吸光度をELISAリーダー(E−Max;モレキュラーデバイス、カリフォルニア、米国)で測定した。
(5−3)ELISAの精度・回収率評価
イントラアッセイ(intra assay)及びインターアッセイ(inter assay)でELISAの精度を評価するために、3つの品質管理(QC)を構築して、高、中、低レンジの標準カーブをカバーした。イントラアッセイ精度は、各QCサンプルを一枚のプレートで測定することを24回繰り返して決定し、インターアッセイ精度は、各QCサンプルについて、6つの異なるプレートを用いた5重(穴)測定を行うことにより決定した。更に、血液サンプル中の回収率を評価するため、異なる既知の濃度の組換(P)RRをヒト血漿、血清又は10%ウシ胎仔血清(FCS)含有TIL培地に添加したサンプルを測定し、測定濃度と理論濃度の差から回収率を評価した。キットの感度は米国臨床検査標準委員会評価プロトコル(NCCLS法)で示されたガイドラインに従って決定した。
イントラアッセイ(intra assay)及びインターアッセイ(inter assay)でELISAの精度を評価するために、3つの品質管理(QC)を構築して、高、中、低レンジの標準カーブをカバーした。イントラアッセイ精度は、各QCサンプルを一枚のプレートで測定することを24回繰り返して決定し、インターアッセイ精度は、各QCサンプルについて、6つの異なるプレートを用いた5重(穴)測定を行うことにより決定した。更に、血液サンプル中の回収率を評価するため、異なる既知の濃度の組換(P)RRをヒト血漿、血清又は10%ウシ胎仔血清(FCS)含有TIL培地に添加したサンプルを測定し、測定濃度と理論濃度の差から回収率を評価した。キットの感度は米国臨床検査標準委員会評価プロトコル(NCCLS法)で示されたガイドラインに従って決定した。
(6)培養液中及び健常人の血液サンプル中の(P)RRの検出と定量
ELISAアッセイが天然のs(P)RRに対して定量的であるか否かを決定するため、2つの実験を行った。一つ目はs(P)RR cDNAで形質転換されたCHO細胞の培養培地、及び、形質転換されていないCHO細胞の培養培地におけるs(P)RRを測定した。(P)RR形質転換細胞、及びCHO細胞の各々5×104細胞を、10%FBS(PAAラボラトリーズ)を含むTIL培地(免疫生物研究所、群馬、日本)に播種し、24時間後に無血清のTIL培地と交換した。3日間培養後、各穴の上清を回収し、測定した。
また、ヒトATP6AP2遺伝子に対するsiRNAオリゴヌクレオチド、及びコントロールsiRNAは、それぞれサーモサイエンティフィック社及びアンビオン社から購入した。これらのsiRNAオリゴヌクレオチドの導入はリポフェクトアミンRNAiMAX試薬(インビトロジェン社)を用いて行った。siRNAを形質転換した、又は形質転換していないヒト有足細胞株の培養培地を以下の方法で調整し、同様に測定した。不死化ヒト有足細胞株は温度感受性SV40 T−遺伝子及びテロメラーゼ遺伝子を形質転換することにより構築した(Saleem MAら、J Am Soc Nephrol,13:630−638,2002)。有足細胞は33℃で増殖させ、37℃に変更して14日以上経過後に分化させた。実験のため、6〜10回継代細胞を細胞プレート上に播種し37℃、5%CO2条件下、10%ウシ胎児血清(ギブコ、東京、日本)又は1mg/mLエンドトキシンフリーウシ血清アルブミン、及びインスリン−トランスフェリン亜セレン酸ナトリウム添加剤(シグマ)を含有する標準RPMI1640培地(シグマ、東京、日本)中で少なくとも14日間、細胞が分化し樹状の形態を呈するまで培養した。有足細胞を37℃、5%CO2条件下で14日間培養後、実験に使用した(Sakoda Mら、Am J Hypertens,23:575−580,2010)。
本発明のELISAキットは培地中のFBS由来のs(P)RRをも検出してしまうことから、コントロールとして非培養培地のs(P)RRも測定した。
更に、健常人のEDTA血漿及び血清中のs(P)RR濃度を決定した。血液サンプルは、株式会社ベリタス(東京、日本)より購入した。統計分析は、one−way factorial ANOVAとpost hoc Scheffe’s F testを用いて行った。
ELISAアッセイが天然のs(P)RRに対して定量的であるか否かを決定するため、2つの実験を行った。一つ目はs(P)RR cDNAで形質転換されたCHO細胞の培養培地、及び、形質転換されていないCHO細胞の培養培地におけるs(P)RRを測定した。(P)RR形質転換細胞、及びCHO細胞の各々5×104細胞を、10%FBS(PAAラボラトリーズ)を含むTIL培地(免疫生物研究所、群馬、日本)に播種し、24時間後に無血清のTIL培地と交換した。3日間培養後、各穴の上清を回収し、測定した。
また、ヒトATP6AP2遺伝子に対するsiRNAオリゴヌクレオチド、及びコントロールsiRNAは、それぞれサーモサイエンティフィック社及びアンビオン社から購入した。これらのsiRNAオリゴヌクレオチドの導入はリポフェクトアミンRNAiMAX試薬(インビトロジェン社)を用いて行った。siRNAを形質転換した、又は形質転換していないヒト有足細胞株の培養培地を以下の方法で調整し、同様に測定した。不死化ヒト有足細胞株は温度感受性SV40 T−遺伝子及びテロメラーゼ遺伝子を形質転換することにより構築した(Saleem MAら、J Am Soc Nephrol,13:630−638,2002)。有足細胞は33℃で増殖させ、37℃に変更して14日以上経過後に分化させた。実験のため、6〜10回継代細胞を細胞プレート上に播種し37℃、5%CO2条件下、10%ウシ胎児血清(ギブコ、東京、日本)又は1mg/mLエンドトキシンフリーウシ血清アルブミン、及びインスリン−トランスフェリン亜セレン酸ナトリウム添加剤(シグマ)を含有する標準RPMI1640培地(シグマ、東京、日本)中で少なくとも14日間、細胞が分化し樹状の形態を呈するまで培養した。有足細胞を37℃、5%CO2条件下で14日間培養後、実験に使用した(Sakoda Mら、Am J Hypertens,23:575−580,2010)。
本発明のELISAキットは培地中のFBS由来のs(P)RRをも検出してしまうことから、コントロールとして非培養培地のs(P)RRも測定した。
更に、健常人のEDTA血漿及び血清中のs(P)RR濃度を決定した。血液サンプルは、株式会社ベリタス(東京、日本)より購入した。統計分析は、one−way factorial ANOVAとpost hoc Scheffe’s F testを用いて行った。
(7)結果
(7−1)ウェスタンブロッティング及び免疫沈降分析
組換ヒト(P)RR、(P)RRのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液をウェスタンブロッティングした結果を図1A及びBに示す。(P)RRの分子量は35kDaと見積もられ、その可溶化形態は29kDaと見積もられた。ウェスタンブロットの結果から、これらの見積りに該当するタンパク質を確認することができた。また、免疫沈降ウェスタンブロッティングの結果を図1Cに示す。ELISAに用いたPoAb−148抗体及び93A1B抗体はいずれもs(P)RR形質転換体を培養した培地由来のs(P)RRを免疫沈降させることができた。
(7−1)ウェスタンブロッティング及び免疫沈降分析
組換ヒト(P)RR、(P)RRのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液をウェスタンブロッティングした結果を図1A及びBに示す。(P)RRの分子量は35kDaと見積もられ、その可溶化形態は29kDaと見積もられた。ウェスタンブロットの結果から、これらの見積りに該当するタンパク質を確認することができた。また、免疫沈降ウェスタンブロッティングの結果を図1Cに示す。ELISAに用いたPoAb−148抗体及び93A1B抗体はいずれもs(P)RR形質転換体を培養した培地由来のs(P)RRを免疫沈降させることができた。
(7−2)ELISAの標準曲線と精度・回収率評価
s(P)RR ELISAシステムの標準用量反応曲線は、log/logスケールで125から8000pg/mLの範囲に亘って直線を示し、その直線性は極めて優れていた(R2=0.99)(図2A)。また、3つのQC用サンプル(高濃度(H)、中濃度(M)、低濃度(L))決定した精度の結果を表1及び表2に示す。また、回収率評価の結果を表3に示す。
s(P)RR ELISAシステムの標準用量反応曲線は、log/logスケールで125から8000pg/mLの範囲に亘って直線を示し、その直線性は極めて優れていた(R2=0.99)(図2A)。また、3つのQC用サンプル(高濃度(H)、中濃度(M)、低濃度(L))決定した精度の結果を表1及び表2に示す。また、回収率評価の結果を表3に示す。
表1にも示される通り、イントラアッセイ精度のCVは高濃度サンプルで3.1%、中濃度サンプルで5.4%、低濃度サンプルで5.5%を示した。また、表2に示すインターアッセイの結果では、CVは高濃度サンプルで3.0%、中濃度サンプルで2.4%、低濃度サンプルで7.5%を示した。これらの結果から、本ELISAシステムは精度の観点から十分信頼性のおけるものであることが証明された。
表3にも示す通り、回収率はヒトEDTA血漿サンプルの50回希釈で86.8%以上、ヒト血清サンプルで91.2%以上、10%FCS添加TIL培地ではほぼ100%の回収率であった。アッセイの感度は、NCCLS法により24pg/mLと計算された。
(7−3)培養液中及び健常人の血液サンプル中の(P)RRの検出と定量
s(P)RR形質転換細胞の培養上清中におけるs(P)RRの濃度は126.3ng/mLであり、CHO細胞の培養液における濃度である5.6ng/mLよりは非常に高い値となった(図2B)。
また、siRNAを形質転換した、又は形質転換していないヒト有足細胞株の培養培地についてs(P)RRを測定した結果を図2Cに示す。グラフ中、点々のある範囲は、培地中に含まれるs(P)RRの濃度を示す。各培養培地の測定値から、当該範囲を差し引いた値が実際の各細胞から放出されたs(P)RRの濃度を示すと考えられる。siRNaを形質転換していない有足細胞株の培養上清におけるs(P)RRの濃度は8.4ng/mLであり、これはsiRNAを形質転換した有足細胞の培養上清の結果である0.4ng/mLと比較して非常に高い値となった。
健常人から得られた、ヒトEDTA血漿及び20の血清サンプル(男性10人、女性10人)におけるs(P)RRの濃度を測定した結果を図3に示す。EDTA血漿サンプルは、15.2から35.1ng/mLの範囲であり、平均値は22.3ng/mLであった。一方で、血清サンプルは12.6から33.1ng/mLの範囲であり、平均値は22.3ng/mLであった(図3A)。EDTA血漿と血清の間には相関が認められた(R=0.757)。男性と女性の間で顕著な違いは見られなかった(図3B)。
s(P)RR形質転換細胞の培養上清中におけるs(P)RRの濃度は126.3ng/mLであり、CHO細胞の培養液における濃度である5.6ng/mLよりは非常に高い値となった(図2B)。
また、siRNAを形質転換した、又は形質転換していないヒト有足細胞株の培養培地についてs(P)RRを測定した結果を図2Cに示す。グラフ中、点々のある範囲は、培地中に含まれるs(P)RRの濃度を示す。各培養培地の測定値から、当該範囲を差し引いた値が実際の各細胞から放出されたs(P)RRの濃度を示すと考えられる。siRNaを形質転換していない有足細胞株の培養上清におけるs(P)RRの濃度は8.4ng/mLであり、これはsiRNAを形質転換した有足細胞の培養上清の結果である0.4ng/mLと比較して非常に高い値となった。
健常人から得られた、ヒトEDTA血漿及び20の血清サンプル(男性10人、女性10人)におけるs(P)RRの濃度を測定した結果を図3に示す。EDTA血漿サンプルは、15.2から35.1ng/mLの範囲であり、平均値は22.3ng/mLであった。一方で、血清サンプルは12.6から33.1ng/mLの範囲であり、平均値は22.3ng/mLであった(図3A)。EDTA血漿と血清の間には相関が認められた(R=0.757)。男性と女性の間で顕著な違いは見られなかった(図3B)。
また、同様にヒト尿、マウス血漿、マウス血清、ラット血漿、ラット血清をサンプルとして濃度測定試験及び回収試験を行った結果、同様にs(P)RRの濃度を測定可能であることが示された(結果は非図示)。
(8)結論
これらの結果から、本発明のs(P)RR定量システムは、ヒトを対象として利用可能であることが示された。
これらの結果から、本発明のs(P)RR定量システムは、ヒトを対象として利用可能であることが示された。
(実施例2)妊婦におけるs(P)RR測定
(1)対象とする妊婦とサンプル取得方法
2010年1月から2010年12月までの間に東京女子医大に最初に診察に訪れた妊娠16週と0日の妊婦が本試験に登録された。全ての参加者の出産予定日(EDD)は超音波により確認した。治験対象患者選定基準は正常な血圧(BP)(収縮期血圧<140mmHg、かつ、拡張期血圧<90mmHg)とした。基準を満たした423人の患者が本試験に登録された。6人の患者は早期流産のため、34人の患者は試験への参加を拒否したか他院で出産したため、合計40人の患者が試験から除外された。最後に、383人の患者が本試験で分析された。妊娠中に亘って、出産前の3回の検診において血漿サンプルを得た。最初のサンプルは、妊娠16週と0日よりも前(妊娠初期)に、二番目のサンプルは、妊娠16週と0日から妊娠27週と6日の間(妊娠中期)に、三番目のサンプルは妊娠28週と0日以降(妊娠後期)に得た。各血液サンプリングにおいて、座位の状態で右腕を心臓と同じ高さにして5分間休息の後、自動血圧計(オムロン BP203RVIII オシロメーター;オムロンコーリン株式会社、東京、日本)を用いて血圧を測定した。血漿サンプルを用いて、s(P)RRの濃度を妊娠初期に311人の患者で測定し、妊娠中期に289人の患者で測定し、妊娠後期に313人の患者で測定した。血圧データは、妊娠初期に383人すべての患者で、妊娠中期に382人の患者で、妊娠後期に365人の患者で測定した。試験参加者の臨床特性を表1に示す。
(1)対象とする妊婦とサンプル取得方法
2010年1月から2010年12月までの間に東京女子医大に最初に診察に訪れた妊娠16週と0日の妊婦が本試験に登録された。全ての参加者の出産予定日(EDD)は超音波により確認した。治験対象患者選定基準は正常な血圧(BP)(収縮期血圧<140mmHg、かつ、拡張期血圧<90mmHg)とした。基準を満たした423人の患者が本試験に登録された。6人の患者は早期流産のため、34人の患者は試験への参加を拒否したか他院で出産したため、合計40人の患者が試験から除外された。最後に、383人の患者が本試験で分析された。妊娠中に亘って、出産前の3回の検診において血漿サンプルを得た。最初のサンプルは、妊娠16週と0日よりも前(妊娠初期)に、二番目のサンプルは、妊娠16週と0日から妊娠27週と6日の間(妊娠中期)に、三番目のサンプルは妊娠28週と0日以降(妊娠後期)に得た。各血液サンプリングにおいて、座位の状態で右腕を心臓と同じ高さにして5分間休息の後、自動血圧計(オムロン BP203RVIII オシロメーター;オムロンコーリン株式会社、東京、日本)を用いて血圧を測定した。血漿サンプルを用いて、s(P)RRの濃度を妊娠初期に311人の患者で測定し、妊娠中期に289人の患者で測定し、妊娠後期に313人の患者で測定した。血圧データは、妊娠初期に383人すべての患者で、妊娠中期に382人の患者で、妊娠後期に365人の患者で測定した。試験参加者の臨床特性を表1に示す。
(2)分析方法
連続型変数(妊娠各期間の血圧、血漿中s(P)RR濃度)の比較には、ペアt検定を用いた。多重比較の調整にはボンフェロー二の補正を適用した。s(P)RRの妊娠中の血圧予測能を評価するため、妊娠初期のs(P)RRと、妊娠初期、中期、及び後期の血圧との相関を単変量及び多変数回帰により調べた。同様に、妊娠中期のs(P)RRと、妊娠中期及び後期の血圧、並びに、妊娠後期のs(P)RRと、妊娠後期の血圧との関係についても調べた。全ての分析はSTATAソフトウェア(バージョン11.0;Stata Corporation、College Station,テキサス州)により行った。
連続型変数(妊娠各期間の血圧、血漿中s(P)RR濃度)の比較には、ペアt検定を用いた。多重比較の調整にはボンフェロー二の補正を適用した。s(P)RRの妊娠中の血圧予測能を評価するため、妊娠初期のs(P)RRと、妊娠初期、中期、及び後期の血圧との相関を単変量及び多変数回帰により調べた。同様に、妊娠中期のs(P)RRと、妊娠中期及び後期の血圧、並びに、妊娠後期のs(P)RRと、妊娠後期の血圧との関係についても調べた。全ての分析はSTATAソフトウェア(バージョン11.0;Stata Corporation、College Station,テキサス州)により行った。
(3)結果
(3−1)血圧
図4は妊娠各期における収縮期血圧、拡張期血圧及び平均血圧の経時変化を示す。収縮期血圧の平均値(±SD)は、妊娠初期、中期、及び後期において、それぞれ109±11.5、107±10.5、及び111.2±10.9(mmHg)であった。拡張期血圧の平均値(±SD)は、妊娠初期、中期、及び後期において、それぞれ64.4±8.5、62.5±7.5、及び65.8±8.1(mmHg)であった。平均(±SD)血圧は、妊娠初期、中期、及び後期において、それぞれ79.3±9.0、77.5±7.9、及び80.9±8.4(mmHg)であった。血圧が測定されていた時の妊娠初期、中期、及び後期の平均妊娠期間(±SD)は、それぞれ、11.8±1.5、24.8±1.4、及び35.6±0.9週であった。全ての血圧測定(収縮期、拡張期、及び平均)において、血圧は妊娠中期が妊娠初期又は妊娠後期と比較して有意に低かった。妊娠後期の血圧は妊娠初期の血圧と比較して有意に高かった。
(3−1)血圧
図4は妊娠各期における収縮期血圧、拡張期血圧及び平均血圧の経時変化を示す。収縮期血圧の平均値(±SD)は、妊娠初期、中期、及び後期において、それぞれ109±11.5、107±10.5、及び111.2±10.9(mmHg)であった。拡張期血圧の平均値(±SD)は、妊娠初期、中期、及び後期において、それぞれ64.4±8.5、62.5±7.5、及び65.8±8.1(mmHg)であった。平均(±SD)血圧は、妊娠初期、中期、及び後期において、それぞれ79.3±9.0、77.5±7.9、及び80.9±8.4(mmHg)であった。血圧が測定されていた時の妊娠初期、中期、及び後期の平均妊娠期間(±SD)は、それぞれ、11.8±1.5、24.8±1.4、及び35.6±0.9週であった。全ての血圧測定(収縮期、拡張期、及び平均)において、血圧は妊娠中期が妊娠初期又は妊娠後期と比較して有意に低かった。妊娠後期の血圧は妊娠初期の血圧と比較して有意に高かった。
(3−2)s(P)RR濃度
s(P)RR濃度に対する頻度ヒストグラムを図5に示す。この頻度ヒストグラムから、s(P)RRレベルが、通常、妊娠期の全てに亘って分布していることが示された。s(P)RR濃度は妊娠初期及び中期と比較して、妊娠後期で有意に高い濃度を示した。
s(P)RR濃度に対する頻度ヒストグラムを図5に示す。この頻度ヒストグラムから、s(P)RRレベルが、通常、妊娠期の全てに亘って分布していることが示された。s(P)RR濃度は妊娠初期及び中期と比較して、妊娠後期で有意に高い濃度を示した。
(3−3)s(P)RR濃度と血圧との相関
表5は血漿中の可溶性プロレニン受容体(sPRR)レベルと血圧との関連を単変量及び多変数回帰した結果を示す。非調整モデルでは、妊娠初期の血漿中のs(P)RR濃度が優位に妊娠中期の収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧値と相関した(それぞれ順に、CE 0.16mmHg、95%CI:0.009、0.32;CE 0.15mmHg、95%CI:0.04、0.26;及びCE 0.15mmHg、95%CI:0.04、0.27)。更にs(P)RR濃度は同様に妊娠後期の平均血圧と有意に相関した(CE 0.13mmHg、95%CI:0.009、0.25)が、妊娠初期のどの血圧とも相関しなかった。妊娠中期の血漿中のs(P)RR濃度は妊娠中期及び後期のどの血圧値とも相関しなかった。最後に、妊娠後期のs(P)RR濃度は、妊娠中期の収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧と有意に相関した(それぞれ順に、CE 0.21mmHg、95%CI:0.07、0.34;CE 0.16mmHg、95%CI:0.06、0.26;及びCE 0.18mmHg、95%CI:0.07、0.28)。
表5は血漿中の可溶性プロレニン受容体(sPRR)レベルと血圧との関連を単変量及び多変数回帰した結果を示す。非調整モデルでは、妊娠初期の血漿中のs(P)RR濃度が優位に妊娠中期の収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧値と相関した(それぞれ順に、CE 0.16mmHg、95%CI:0.009、0.32;CE 0.15mmHg、95%CI:0.04、0.26;及びCE 0.15mmHg、95%CI:0.04、0.27)。更にs(P)RR濃度は同様に妊娠後期の平均血圧と有意に相関した(CE 0.13mmHg、95%CI:0.009、0.25)が、妊娠初期のどの血圧とも相関しなかった。妊娠中期の血漿中のs(P)RR濃度は妊娠中期及び後期のどの血圧値とも相関しなかった。最後に、妊娠後期のs(P)RR濃度は、妊娠中期の収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧と有意に相関した(それぞれ順に、CE 0.21mmHg、95%CI:0.07、0.34;CE 0.16mmHg、95%CI:0.06、0.26;及びCE 0.18mmHg、95%CI:0.07、0.28)。
調整モデルでは、妊娠初期の血漿中のs(P)RR濃度は、妊娠中期の収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧を有意に予測可能なものであった(それぞれ順に、CE 0.18mmHg、95%CI:0.05、0.32、p=0.008;CE 0.15mmHg、95%CI:0.04、0.26、p=0.001;及びCE 0.15mmHg、95%CI:0.04、0.27、p=0.001)。妊娠中期の血漿中のs(P)RR濃度は、妊娠中期及び後期のどの血圧とも相関しなかった。妊娠後期の血漿中のs(P)RR濃度は、妊娠後期の収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧と有意に相関した(それぞれ順に、CE 0.18mmHg、95%CI:0.03、0.32、p=0.015;CE0.15mmHg、95%CI:0.04、0.25、p=0.008;及びCE 0.15mmHg、95%CI:0.05、0.26、p=0.001)。
これらの結果から、妊娠初期の血漿中のs(P)RR濃度は、妊娠中期及び後期の全ての血圧値(収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧)の上昇の予測評価に利用可能であることが示された。一方で、妊娠中期のs(P)RR濃度は妊娠後期の血圧とは相関しなかった。また、妊娠後期ではs(P)RR濃度は全ての血圧値(収縮期血圧、拡張期血圧、及び平均血圧)と有意に相関していることが示された。よって、特に、妊娠初期の血漿中のs(P)RRが妊娠中期及び後期の血圧上昇のマーカーとして有用であることが示された。
Claims (15)
- 天然型可溶性(プロ)レニン受容体と結合するモノクローナル抗体。
- 天然型可溶性(プロ)レニン受容体と免疫沈降させることができる、請求項1に記載の抗体。
- カイコ由来の組換ヒト(プロ)レニン受容体を抗原として用いて得られたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の抗体。
- 93A1Bモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗体を含有する妊娠高血圧症の発症を予測するための薬剤。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗体を含有する天然型可溶性(プロ)レニン受容体測定キット。
- ヒト体液中の可溶性(プロ)レニン受容体を測定するための請求項5に記載のキット。
- 125〜8000pg/mL(R2=0.99)の範囲の可溶性(プロ)レニン受容体又は(P)RRを測定するための請求項5又は請求項6に記載のキット。
- 更に、最低検出濃度限界が24pg/mLである、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のキット。
- 被験者由来のヒト体液を請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗体と接触させるステップ;及び、
該抗体と結合した天然型可溶性(プロ)レニン受容体を検出又は定量するステップ、
を備える、天然型可溶性(プロ)レニン受容体の測定方法。 - 妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法、又は妊娠高血圧症の発症を予測する方法であって:
(a)妊娠初期の患者由来の体液中の可溶性(プロ)レニン受容体を検出又は定量すること;及び、
(b)測定された可溶性(プロ)レニン受容体の存在又はレベルと該患者の妊娠中期及び/又は後期における妊娠高血圧症発症との関連付けをすることを含む方法。 - 可溶性(プロ)レニン受容体のレベルが高い場合、該患者が妊娠中期及び/又は後期に妊娠高血圧症を発症する可能性が高いことを示す、請求項11に記載の方法。
- 妊娠高血圧症の発症を予測するための情報を得る方法又は妊娠高血圧症の発症(a)該患者由来の試料を調整するステップ;
(b)少なくとも1つの可溶性(プロ)レニン受容体に特異的に結合する抗体に該試料を接触させるステップ、
(c)該タンパク質の該抗体への結合を検出して試料中の可溶性(プロ)レニン受容体のを検出又は定量するステップ;
(d)可溶性(プロ)レニン受容体のレベルから妊娠高血圧症の発症を予測するステップ、ここで、可溶性(プロ)レニン受容体レベルが高いことが、被検患者が妊娠高血圧症を発症しやすいことを示す。 - 患者由来の体液が、血液、血漿、血清、又は尿である、請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のキットを用いて可溶性(プロ)レニン受容体を定量することを特徴とする、請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011268983A JP2015038041A (ja) | 2011-12-08 | 2011-12-08 | 高血圧症の予知方法 |
PCT/JP2012/007845 WO2013084504A1 (ja) | 2011-12-08 | 2012-12-07 | 高血圧症の予知方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011268983A JP2015038041A (ja) | 2011-12-08 | 2011-12-08 | 高血圧症の予知方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015038041A true JP2015038041A (ja) | 2015-02-26 |
Family
ID=48573891
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011268983A Pending JP2015038041A (ja) | 2011-12-08 | 2011-12-08 | 高血圧症の予知方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015038041A (ja) |
WO (1) | WO2013084504A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023167033A1 (ja) * | 2022-03-03 | 2023-09-07 | 国立大学法人香川大学 | プロレニン受容体ペプチド、コンジュゲート、および医薬組成物 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008182905A (ja) * | 2007-01-26 | 2008-08-14 | National Univ Corp Shizuoka Univ | ヒト由来プロレニン受容体の製造方法、ヒト由来プロレニン受容体阻害剤のスクリーニング方法、プロレニン濃度の測定方法及び抗ヒト由来プロレニン受容体抗体 |
-
2011
- 2011-12-08 JP JP2011268983A patent/JP2015038041A/ja active Pending
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2012
- 2012-12-07 WO PCT/JP2012/007845 patent/WO2013084504A1/ja active Application Filing
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Publication number | Publication date |
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WO2013084504A1 (ja) | 2013-06-13 |
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