JP2015037774A - インク材のパージ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パージされるインク材が周辺へ無用に飛散するリスクをゼロにし、常に汚れのない状態に維持するとともに、パージ処理の時間短縮を実現可能にする。【解決手段】インク材を噴射するインクジェット方式のヘッド2を備える機器類に搭載し、ヘッド2からインク材をパージしてパージ回収部3に回収する際、パージ回収部3の内部に配し、パージ処理時にヘッド2の周囲の一部又は全部を囲むことにより、ヘッド2からパージされるインク材が所定のエリアから外方へ飛散するのを阻止する内部フェンス4を設ける。【選択図】図1
Description
本発明は、インク材を噴射するインクジェット方式のヘッドを備える機器類に搭載して少なくともパージ処理を行うためのインク材のパージ装置に関する。
従来、インク(インク材)を噴射するインクジェット方式のヘッドを搭載する代表的な機器類としてプリンタが知られているが、一般に、この種のプリンタには、少なくともインク材のパージ処理を行うパージ装置を備えている。パージ処理は、ヘッドをパージ処理エリアに設けたパージタンク(パージ回収部)の上方へ移動させ、インク材をパージ回収部内へ吐出させてヘッドの目詰まりを防止する処理である。なお、通常、この種のパージ装置には、パージ処理によりヘッドの表面に付着残留したインク材をワイパーにより払拭するワイピング機能も付属する。
ところで、この種のパージ装置は、パージ処理を行う主機能とワイピング機能の二つの独立した機能を備えるとともに、それぞれヘッド(キャリッジ)によるプリンティング動作を妨げないように、ヘッドの走査範囲外に確保した専用のパージ処理エリアに配設しているため、装置全体の大型化及び高コスト化を招くとともに、ヘッドの移動距離が長くなり印刷等の本来の処理時間が長くなる難点がある。
そこで、本出願人はかかる難点を解消するためのヘッドクリーニング装置(パージ装置)を既に特許文献1により提案した。このヘッドクリーニング装置は、装置全体の小型化及び低コスト化に貢献するとともに、印刷時間の短縮化に寄与することを目的としたものであり、具体的には、インクジェット方式のヘッドをパージ回収部まで移動させてパージ処理を行うパージ処理機構と、ヘッドをワイパーによりワイピング処理するワイピング処理機構を備えるヘッドクリーニング装置を構成するに際して、ワイパーを、ヘッドに接触する使用位置又はヘッドから離間する格納位置へ選択的に移動させるワイパー移動機構部を設けたものである。
しかし、上述した従来のヘッドクリーニング装置(パージ装置)は、次のような解決すべき課題も存在した。
即ち、通常のプリンティング動作中におけるパージ処理については、特許文献1に開示されるヘッドクリーニング装置でも特に問題なく対応できるが、例えば、任意のヘッドを特定のインク材に対する専用のヘッドではなく、汎用的に使用したい場合、使用途中で異なる他の種類のインク材に入れ替える工程が必要となる。したがって、残留するインク材を全てパージ(排出)するには、相応の時間がかかり、特に、インク材の残留量が多い場合には、通常のプリンティング動作中に行うパージ処理よりもかなりの時間がかかるとともに、排出されるインク材が周辺へ無用に飛散するリスクも高くなる。
一方、必要によりパージ処理時間の短縮を図るために、インク材の噴射速度を速める制御を行うことも考えられるが、飛散するリスクがより高くなる点を考慮すれば、採用することはできない。結局、従来のヘッドクリーニング装置によっては、排出されるインク材が周辺へ無用に飛散するリスクが避けられないとともに、パージ処理に対する時間の短縮化を図るにも限界があった。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したインク材のパージ装置の提供を目的とするものである。
本発明に係るインク材のパージ装置1は、上述した課題を解決するため、インク材Lを噴射するインクジェット方式のヘッド2を備える機器類Mに搭載することにより少なくともヘッド2からインク材Lをパージしてパージ回収部3に回収するパージ処理を行うインク材のパージ装置を構成するに際して、パージ回収部3の内部に配し、パージ処理時にヘッド2の周囲の一部又は全部を囲むことにより、ヘッド2からパージされるインク材Lが所定のエリアから外方へ飛散するのを阻止する内部フェンス4を設けてなることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、内部フェンス4を昇降可能に配設するとともに、少なくともパージ処理時に内部フェンス4を上昇させて使用位置Xuにセットするフェンス昇降機構11を設けることができる。なお、内部フェンス4には、少なくとも上端に開口部4uを有する筒状に構成するとともに、上端辺に沿った弾性部材によるシールパッキン12を設けることができる。一方、パージ回収部3の上方を開閉する回収部カバー13を設けるとともに、フェンス昇降機構11の昇降移動を回収部カバー13の開閉移動に連動させるフェンス連動機構14を設けることができる。また、回収部カバー13の開閉移動に連動して昇降移動するとともに、ヘッド2をワイピング処理するワイパー15を有するワイピング連動機構16を設けることができる。さらに、ワイピング処理時には、内部フェンス4を少なくとも所定高さとなるリリース位置Xrまで下降させることが望ましい。なお、機器類Mには、少なくとも、インクジェット方式を採用する、プリンタ又は多次元造型機Mmを含ませることができる。
このような構成を有する本発明に係るインク材のパージ装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) パージ回収部3の内部に配し、パージ処理時にヘッド2の周囲の一部又は全部を囲むことにより、ヘッド2からパージされるインク材Lが所定のエリアから外方へ飛散するのを阻止する内部フェンス4を設けたため、パージされるインク材Lが周辺へ無用に飛散するリスクをゼロにすることができ、当該周辺を常に汚れのない状態に維持することができる。しかも、必要によりパージ処理時におけるインク材Lの噴射速度を速め、パージ処理の時間短縮化も実現可能になるなど、性能向上や商品性向上にも貢献できる。
(2) 好適な態様により、内部フェンス4を昇降可能に配設するとともに、少なくともパージ処理時に内部フェンス4を上昇させて使用位置Xuにセットするフェンス昇降機構11を設ければ、ヘッド2を昇降させることなく、内部フェンス4を上昇させることにより使用位置Xuにセットできるため、構成の簡易化及び低コスト化に寄与できる。
(3) 好適な態様により、内部フェンス4を、少なくとも上端に開口部4uを有する筒状に構成するとともに、上端辺に沿った弾性部材によるシールパッキン12を設ければ、ヘッド2から噴射されるインク材Lに対する飛散経路(飛散空間)を完全に遮蔽できるため、インク材Lの無用な飛散を確実に阻止できるとともに、インク材Lをパージ回収部3内に確実に導くことができる。
(4) 好適な態様により、パージ回収部3の上方を開閉する回収部カバー13を設けるとともに、フェンス昇降機構11の昇降移動を回収部カバー13の開閉移動に連動させるフェンス連動機構14を設ければ、フェンス昇降機構11の駆動部を回収部カバー13側の駆動部と共用できるため、内部フェンス4を昇降させるための駆動部を省略可能となり、パージ装置1全体の小型軽量化及びコストダウンに寄与できる。
(5) 好適な態様により、回収部カバー13の開閉移動に連動して昇降移動するとともに、ヘッド2をワイピング処理するワイパー15を有するワイピング連動機構16を設ければ、本発明に従って内部フェンス4を追加する場合であっても、ワイピング連動機構16の存在には何ら影響を及ぼさないため、回収部カバー13の開閉移動に連動してワイパー15を昇降させるワイピング連動機構16をそのまま従来通りに実施できる。
(6) 好適な態様により、ワイピング処理時に、内部フェンス4を少なくとも所定高さとなるリリース位置Xrまで下降させるようにすれば、内部フェンス4をヘッド2側に当接(又は圧接)させた場合であっても、ワイピング処理に対する内部フェンス4の干渉を防止し、確実にワイピング処理を実行させることができる。
(7) 好適な態様により、機器類Mには、少なくとも、インクジェット方式を採用する、プリンタ又は多次元造型機Mmを含まることができるなど、インクジェット方式を採用する各種機器類Mに適用(利用)可能であり、汎用性及び発展性に優れる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るパージ装置1の構成について、図1〜図6を参照して具体的に説明する。
最初に、本発明の理解を容易にするため、本実施形態に係るパージ装置1を備える多次元造型機Mm(機器類M)の概要について、図3及び図6を参照して説明する。
図3に示すインクジェット方式による多次元造型機Mm(2次元造型機又は3次元造型機)は、全体を直方体状に形成したキャビネット81を備える。また、キャビネット81の上面部には、ヘッド2(図5)を底面に臨ませたヘッドユニット82を配するとともに、このヘッドユニット82(ヘッド2)をX方向に移動させるX方向移動機構部83x及びY方向に移動させるY方向移動機構部83yからなるヘッド移動機構83を配設する。なお、91はパージ処理エリア、92は造型エリアとなる。
ヘッド2は、インクジェット式ヘッドであり、例示の場合、主に合成樹脂,塗料等の液体(インク材L)を正確な位置へ噴射することができ、色や素材の異なる四つのインク材L…を吐出する四つのヘッド体2a,2b,2c,2d(図6参照)を備えている。また、X方向移動機構部83xは、X方向に長いフレーム部85を備え、このフレーム部85に、例えば、両端にそれぞれ配したX方向駆動プーリとX方向被動プーリ間に無端のタイミングベルトを架け渡し、このタイミングベルトの所定位置に固定したキャリッジにヘッドユニット82を固定して構成できる。この場合、X方向駆動プーリはステッピングモータ等を用いたX方向ヘッドモータ86(図6)により回転駆動される。Y方向移動機構部83yは、Y方向に長い左右一対のフレーム部88p,88qを備え、このフレーム部88p,88qに、例えば、両端にそれぞれ配したY方向駆動プーリとY方向被動プーリ間に無端のタイミングベルトを架け渡し、このタイミングベルトの所定位置間に上述したフレーム部85の両端を固定して構成できる。この場合、Y方向駆動プーリはステッピングモータ等を用いたY方向ヘッドモータ89(図6)により回転駆動される。これにより、X方向ヘッドモータ86を駆動制御すれば、ヘッド2をX方向へ移動させることができるとともに、Y方向ヘッドモータ89を駆動制御すれば、ヘッド2をY方向へ移動させることができる。
一方、キャビネット81のX方向一方側となるパージ処理エリア91には、本実施形態に係るパージ装置1を配設する。パージ装置1は図1に示すように、全体をユニットとして構成し、キャビネット81に対して着脱することができる。これにより、必要なメンテナンスやクリーニングを行うことができる。また、パージ装置1は、Y方向に移動することにより、上面における開放部を開閉する回収部カバー13を備える。なお、回収部カバー13の開時に開放される上面部位を除いて上面を閉塞する上面カバー81cが付設されており、この上面カバー81cはキャビネット81の一部を構成する。
次に、本実施形態に係るパージ装置1における機械系の構成について、図1〜図5を参照して具体的に説明する。
パージ装置1は、図1に示すフレームユニット21を備え、このフレームユニット21のY方向の一方側半部をパージ回収部3として構成する。パージ回収部3は、上面部位のほぼ全面を開放状態に形成するとともに、下面部位は所定位置に配した排出口(ドレン口)3eとパージされたインク材Lを排出口3eに導く傾斜底面部3dにより形成する。また、フレームユニット21のY方向の他方側半部には、駆動室22とこの駆動室22の上面部位からY方向の他方側へ所定長さ延出した左右一対のガイドレール部23p,23q(図2)を設ける。このガイドレール部23p,23qにより、前述した回収部カバー13がY方向へスライド自在に支持される。
したがって、X方向移動機構部83x及びY方向移動機構部83yを駆動制御し、ヘッドユニット82をパージ回収部3の上方(真上)に位置させるとともに、回収部カバー13を開き、この状態でパージ処理を行えば、ヘッド2からパージされたインク材Lが下方に落下し、パージ回収部3により回収される基本的機能が担保される。
また、駆動室22には、ステッピングモータ等を用いたカバーモータ25を配設する。一方、上述した回収部カバー13の下面には、平行に離間した左右一対のラック26p,26qをY方向に沿ってそれぞれ設ける。さらに、このラック26p,26qに噛合する左右一対の伝達ギア27p,27qを配設する。この場合、各伝達ギア27pと27qはシャフト27sにより連結し、一体回転可能となるように取付ける。そして、カバーモータ25の駆動シャフト25sに取付けた駆動ギア28と一方の伝達ギア27p間に中間伝達ギア29を配設する。これにより、駆動ギア28,中間伝達ギア29,伝達ギア27p(27q),ラック26p(26q)が順次噛合する。
他方、中間伝達ギア29に隣接させて減速ギア30を配設するとともに、この減速ギア30に隣接させてワイパー用カム駆動ギア31を配設する。減速ギア30は入力ギア部30fと出力ギア部30tを一体に備え、入力ギア部30fを中間伝達ギア29に噛合させるとともに、出力ギア部30tをワイパー用カム駆動ギア31に噛合させる。また、減速ギア30及びワイパー用カム駆動ギア31の近傍には、ワイパーユニット32を配設する。ワイパーユニット32は、前述したパージ回収部3の内部へ延出させたワイパーアーム32aを備え、このワイパーアーム32aの一端を減速ギア30を支持する支持シャフト30sに回動自在に取付けるとともに、ワイパーアーム32aの他端(先端)にゴム製のワイパー15を取付けて構成する。さらに、ワイパーアーム32aの中間位置には従動ローラ33を回動自在に取付ける。また、ワイパー用カム駆動ギア31を支持する支持シャフト31sにはワイパー駆動カム34を取付固定し、このワイパー駆動カム34を従動ローラ33に係合させる。
これにより、カバーモータ25を駆動制御すれば、カバーモータ25の回転は、駆動ギア28,中間伝達ギア29,伝達ギア27p(27q)の順に伝達され、ラック26p(26q)がY方向移動、即ち、回収部カバー13がY方向に開閉移動するとともに、同時に、中間伝達ギア29,減速ギア30,ワイパー用カム駆動ギア31の順に伝達され、ワイパー駆動カム34が回転するため、この回転位置に応じて従動ローラ33が昇降、即ち、ワイパーアーム32aが昇降変位(旋回変位)するワイピング連動機構16が構成される。この場合、ワイパー15は最上昇位置となるワイピング位置Xwと最下降位置となる格納位置Xdに選択的に変位する。したがって、このようなワイピング連動機構16は、後述する内部フェンス4を追加する場合であっても、特に影響を受けることはない。即ち、回収部カバー13の開閉移動に連動してワイパー15を昇降させるワイピング連動機構16をそのまま従来通りに実施できる。
そして、以上の基本構成に加えて、本発明の要部を構成する内部フェンス4を設ける。内部フェンス4は、図4及び図5に示すように、上側に配したフェンス本体部41と下側に配したフェンス支持部42を備え、全体をユニットとして構成し、パージ回収部3の内部に対して着脱することができる。この際、フェンス本体部41とフェンス支持部42間には左右前後の計四つのスプリング35…を介在させる。これにより、フェンス本体部41はフェンス支持部42により弾性支持される。この内部フェンス4は、基本機能として、パージ処理時にヘッド2の周囲の一部又は全部(例示は全部)を囲むことにより、ヘッド2からパージされるインク材Lが所定のエリアから外方へ飛散するのを阻止する機能を備えている。
フェンス本体部41(内部フェンス4)は、上端部位に開口部4uを有する角形筒状に構成する。また、上端辺には弾性部材によるシールパッキン12を全周に沿って設ける。この開口部4uは、ヘッドユニット82の下面に圧接した際に、ヘッド2の周囲を囲むことができる形状及び大きさを考慮する。さらに、フェンス本体部41の下端側は、ガイド面部36として構成する。このように、フェンス本体部41は、内部側にパージされたインク材Lが、周りに飛散及び漏出するのを阻止する機能を有するとともに、パージされたインク材Lをフェンス支持部42の下端部位まで導く機能を有している。なお、ガイド面部36の下端開口位置には、網材により形成したフィルタ36nを設ける。
また、フェンス支持部42は上面部位及び下面部位が開放された角形筒状に構成し、内部におけるY方向一側には、従動ローラ38を支持シャフト37sにより回動自在に取付けるとともに、Y方向他側には、二つの係合シャフト39fs,39rsを取付ける。そして、支持シャフト37sの左右両端には、それぞれ係合ローラ37…を回動自在に取付けるとともに、係合シャフト39fs,39rsの左右両端にはそれぞれ回動自在となる係合ローラ39f…,39r…を取付ける。これにより、内部フェンス4を、パージ回収部3の内部に装着した際には、図1に示すように、パージ回収部3の後側左右に配設した一対のガイドレール部43…に係合ローラ37…がそれぞれ装填されるとともに、パージ回収部3の前側左右に配設した一対のガイドレール部44…に係合ローラ39f…,39r…が装填され、フェンス支持部42(内部フェンス4)は、各ガイドレール部43…,44…により上下方向へ平行移動自在(昇降自在)に支持される。
このように、内部フェンス4を、少なくとも上端に開口部4uを有する筒状に構成するとともに、上端辺に沿った弾性部材によるシールパッキン12を設ければ、ヘッド2から噴射されるインク材Lに対する飛散経路(飛散空間)を完全に遮蔽できるため、インク材Lの無用な飛散を確実に阻止できるとともに、インク材Lをパージ回収部3内に確実に導くことができる利点がある。
さらに、少なくともパージ処理時に、内部フェンス4を上昇させて使用位置Xuにセットするフェンス昇降機構11を設ける。この場合、パージ回収部3に、X方向の支持シャフト45sを配設するとともに、この支持シャフト45sの中間位置にフェンス駆動カム45を取付け、このフェンス駆動カム45を従動ローラ38に当接させて構成する。一方、パージ回収部3の外部側に位置する支持シャフト45sの一端にはフェンス用カム駆動プーリ46を取付ける。また、駆動室22には支持シャフト47sを配設し、この支持シャフト47sの中間位置に取付けた伝達ギア47をワイパー用カム駆動ギア31に噛合させるとともに、駆動室22の外部側に位置する支持シャフト47sの一端に伝達プーリ48を取付け、この伝達プーリ48とフェンス用カム駆動プーリ46間に無端タイミングベルト49を架け渡す。なお、50は無端タイミングベルト49に当接させたテンション付加用ローラを示す。これにより、ワイパー用カム駆動ギア31の回転は、ワイパー駆動カム34を回転させると同時に伝達ギア47を回転させるとともに、伝達ギア47の回転は、伝達プーリ48,無端タイミングベルト49,フェンス用カム駆動プーリ46の経路で伝達され、フェンス駆動カム45を回転させるフェンス連動機構14が構成される。
このように、パージ回収部3の上方を開閉する回収部カバー13を設けるとともに、フェンス昇降機構11の昇降移動を回収部カバー13の開閉移動に連動させるフェンス連動機構14を設ければ、フェンス昇降機構11の駆動部を回収部カバー13側の駆動部と共用できるため、内部フェンス4を昇降させるための駆動部を省略可能となり、パージ装置1全体の小型軽量化及びコストダウンに寄与できる利点がある。
次に、本実施形態に係るパージ装置1の制御系の構成について、図6を参照して具体的に説明する。
図6は、制御系の要部、特に、本実施形態に係るパージ装置1に関係する制御系を示し、それ以外の制御系は省略した。61は制御部であり、CPU,内部メモリ62m等のハードウェアを含むコンピュータ本体部(コントローラ本体)62を備える。この場合、内部メモリ62mは、各種演算処理及び各種制御処理(シーケンス制御)を実行するための各種プログラム(ソフトウェア)を格納したプログラムエリア62mpを有するとともに、造型データを含む各種データ類(データベース)を書込可能なデータエリア62mdを有しており、プログラムには、本実施形態に係るパージ装置1によるパージ処理(パージモード)を実行するための制御プログラムが含まれる。さらに、コンピュータ本体部62にはディスプレイ63が付属する。ディスプレイ63は、例えば、タッチパネルタイプとして構成できる。したがって、この場合、ディスプレイ63には、表示機能としてのディスプレイ部63dと入力機能,選択機能,設定機能等を有する操作部63iが含まれる。
また、前述した、X方向ヘッドモータ86は、モータドライブ(サーボ回路)65を介してコンピュータ本体部62の制御出力ポートに接続するとともに、Y方向ヘッドモータ89は、モータドライブ(サーボ回路)66を介してコンピュータ本体部62の制御出力ポートに接続する。さらに、カバーモータ25は、モータドライブ(サーボ回路)67を介してコンピュータ本体部62の制御出力ポートに接続する。なお、図6中、68a,68b,68c,68dは、各ヘッド体2a,2b,2c,2dからのインク材L…の噴射を制御する第一噴射制御部,第二噴射制御部,第三噴射制御部,第四噴射制御部をそれぞれ示す。
次に、以上の構成からなる本実施形態に係るパージ装置1の動作(パージモード)について、各図、特に図8を参照しつつ図7のフローチャートに従って説明する。
今、ヘッド体2aで使用していたインク材Lに対して、これとは異なる材質のインク材Lに変更する場合を想定する。この場合、ヘッド体2aで使用していたインク材Lを全て排出(パージ)し、この後、材質の異なる新しいインク材Lを供給するパージモードに基づく切換処理が行われる。以下、パージ動作について具体的に説明する。
パージモードでは、まず、ヘッド移動機構83(X方向移動機構部83x及びY方向移動機構部83y)が制御され、ヘッドユニット82(ヘッド2)は、図3に示すパージ処理エリア91に移動する。なお、この時点では、図8(a)に示すように、回収部カバー13はパージ回収部3の上面における開放部を覆う閉位置Xcに停止している。また、内部フェンス4は最下降位置となる非使用位置Xnに下降しているとともに、ワイパー15も最下降位置となる格納位置Xdに下降している。
一方、ヘッドユニット82がパージ処理エリア91に移動したなら、最初に、パージ主処理工程が実行される。この場合、まず、カバーモータ25が作動して正方向に回転する(ステップS1)。これにより、カバーモータ25の回転は、駆動ギア28,中間伝達ギア29,伝達ギア27p(27q)の順に伝達され、ラック26p(26q)がY方向前方(Fo方向)へ移動するため、一体の回収部カバー13は開方向に移動する(ステップS2)。また、中間伝達ギア29の回転は、同時に、減速ギア30,ワイパー用カム駆動ギア31の順に伝達され、ワイパー駆動カム34が矢印Fw方向に回転するとともに、ワイパー用カム駆動ギア31の回転は、伝達ギア47,伝達プーリ48,無端タイミングベルト49,フェンス用カム駆動プーリ46の順に伝達され、フェンス駆動カム45が矢印Ff方向に回転する。
そして、回収部カバー13がパージ設定位置の手前の所定位置まで移動したなら、内部フェンス4はフェンス駆動カム45のカム形状に従って上昇を開始する(ステップS3)。この後、回収部カバー13が図8(b)に示すパージ設定位置に達すれば、カバーモータ25は停止する(ステップS4,S5)。この場合、回収部カバー13は、パージ主処理を実行可能となる半開位置Xohで停止する(ステップS6)。また、内部フェンス4は、最上昇位置となる使用位置Xuまで上昇する(ステップS7)。なお、パージ位置設定では、ワイパー15の位置はそのままの状態、即ち、格納位置Xdを維持する。
使用位置Xuにおける内部フェンス4は、図4に示すように、シールパッキン12がヘッドユニット82の底面に接触した後、さらに、高さHsだけ余分に上昇した位置となる。この際、シールパッキン12はヘッドユニット82により上方変位が規制されるため、フェンス支持部42がスプリング35…の弾性に抗してほぼ高さHsだけ上昇変位することになり、シールパッキン12はヘッドユニット82の底面に圧接する。
そして、この使用位置Xuにおいてパージ主処理が行われる(ステップS8)。このパージ主処理は残留しているインク材Lが全て無くなるまで繰り返し行われる(ステップS8,S9)。パージ主処理時には、第一噴射制御部68aが制御される。パージ主処理時には、ヘッド2(ヘッド体2a…)の周囲が内部フェンス4により完全に遮蔽されているため、噴射されたインク材Lが内部フェンス4から外方へ飛散(漏出)することはない。図5は、パージ主処理が行われている状態を示している。このように、噴射されたインク材Lは内部フェンス4により一旦予備的に回収され、下端開口に設けたフィルタ36nを通して下方へ排出、即ち、パージ回収部3の内部に回収される。
このように、本実施形態に係るパージ装置1によれば、パージ回収部3の内部に配し、パージ処理時にヘッド2の周囲の一部又は全部を囲むことにより、ヘッド2からパージされるインク材Lが所定のエリアから外方へ飛散するのを阻止する内部フェンス4を設けたため、パージされるインク材Lが周辺へ無用に飛散するリスクをゼロにすることができ、当該周辺を常に汚れのない状態に維持することができる。しかも、必要によりパージ処理時におけるインク材Lの噴射速度を速め、パージ処理の時間短縮化も実現可能になるなど、性能向上や商品性向上にも貢献できる。特に、内部フェンス4を昇降可能に配設するとともに、少なくともパージ処理時に内部フェンス4を上昇させて使用位置Xuにセットするフェンス昇降機構11を設けたため、ヘッド2を昇降させることなく、内部フェンス4を上昇させることにより使用位置Xuにセットできるため、構成の簡易化及び低コスト化に寄与できる利点がある。
他方、パージ処理工程が終了したなら、ワイピング処理工程が実行される。この場合、カバーモータ25が再作動し、同方向(正方向)に回転する(ステップS10)。これにより、回収部カバー13は再び開方向に移動する(ステップS11)。また、同時に内部フェンス4は、フェンス駆動カム45のカム形状に従って、図8(c)に示したリリース位置Xrまで下降する(ステップS12)。このように、ワイピング処理時に、内部フェンス4を少なくとも所定高さとなるリリース位置Xrまで下降させるようにすれば、内部フェンス4をヘッド2側に当接(又は圧接)させた場合であっても、ワイピング処理に対する内部フェンス4の干渉を防止し、ワイピング処理を確実に実行できる利点がある。一方、ワイパー15は、ワイパー駆動カム34のカム形状に従って上昇変位する(ステップS13)。この後、ワイパー15がワイピング設定位置に達すれば、カバーモータ25は停止する(ステップS14,S15)。この場合、回収部カバー13は全開位置Xoaで停止する(ステップS16)。また、ワイパー15は最上昇位置となるワイピング位置Xwに位置する(ステップS17)。
そして、ワイピング処理が行われる(ステップS18)。ワイピング処理時には、Y方向移動機構部83yが駆動制御され、ヘッドユニット82がY方向へ移動する。これにより、ヘッド部2(ヘッド体2a)の先端に付着したインク材Lがワイパー15により払拭される。なお、ヘッドユニット82のY方向への移動は、一回でもよいし二回以上であってもよい。ワイピング処理の終了により、カバーモータ25は逆方向(負方向)に駆動制御される(ステップS19,S20)。これにより、回収部カバー13は閉方向(矢印Fn方向)に移動する。この移動は、全閉状態になるまで継続し、全閉したならカバーモータ25は停止する(ステップS20,S21,S22)。回収部カバー13が閉方向に移動すれば、ワイパー15及び内部フェンス4は、それぞれワイパー駆動カム34及びフェンス駆動カム45の各カム形状に従い、ホームポジションとなる格納位置Xd及び非使用位置Xnにそれぞれ下降変位する。以上により、パージモードに基づく処理工程が終了するため、新しいインク材Lを所定の収容部に収容する。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、内部フェンス4を昇降可能に配設する場合を示したが、内部フェンス4を固定し、ヘッドユニット82を昇降(Z方向移動)させる実施形態を排除するものではない。また、内部フェンス4は、上端に開口部4uを有する筒状に構成する場合を示したが、飛散を防止する方向を選択して部分的に設ける一又は二以上のプレート状フェンスの実施形態を排除するものではない。さらに、フェンス昇降機構11の昇降移動を回収部カバー13の開閉移動に連動させるフェンス連動機構14を設けた場合を示したが、独立した専用の駆動部により昇降移動させてもよいし、同様に、ワイピング連動機構16を設けることなく、ワイパー15の昇降変位を独立した専用の駆動部により行ってもよい。一方、ワイピング処理時には、内部フェンス4を所定高さとなるリリース位置Xrまで下降させる場合を示したが、非使用位置Xnまで下降させてもよい。他方、機器類Mとして多次元造型機Mmを例示したが、その他、インクジェット方式を採用するプリンタ等にも同様に適用することができる。このように、本発明に係るパージ装置1はインクジェット方式を採用する各種機器類Mに適用(利用)できるなど、汎用性及び発展性に優れる利点がある。なお、インク材Lは、本来のインクのみならず、インクに類似する液体であってインク用途以外の各種液体(広義では流体)を含む概念である。
本発明に係るパージ装置1は、インクジェット方式を採用するプリンタや多次元造型機をはじめ、インクジェット方式を採用する各種機器類Mに利用できる。
1:パージ装置,2:ヘッド,3:パージ回収部,4:内部フェンス,4u:開口部,11:フェンス昇降機構,12:シールパッキン,13:回収部カバー,14:フェンス連動機構,15:ワイパー,16:ワイピング機構,L:インク材,M:機器類,Mm:多次元造型機,Xu:使用位置,Xr:リリース位置
Claims (7)
- インク材を噴射するインクジェット方式のヘッドを備える機器類に搭載することにより少なくとも前記ヘッドからインク材をパージしてパージ回収部に回収するパージ処理を行うインク材のパージ装置において、前記パージ回収部の内部に配し、パージ処理時に前記ヘッドの周囲の一部又は全部を囲むことにより、前記ヘッドからパージされるインク材が所定のエリアから外方へ飛散するのを阻止する内部フェンスを設けたことを特徴とするインク材のパージ装置。
- 前記内部フェンスを昇降可能に配設するとともに、少なくともパージ処理時に前記内部フェンスを上昇させて使用位置にセットするフェンス昇降機構を備えることを特徴とする請求項1記載のインク材のパージ装置。
- 前記内部フェンスは、少なくとも上端に開口部を有する筒状に構成するとともに、上端辺に沿って設けた弾性部材によるシールパッキンを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のインク材のパージ装置。
- 前記パージ回収部の上方を開閉する回収部カバーを備えるとともに、前記フェンス昇降機構の昇降移動を前記回収部カバーの開閉移動に連動させるフェンス連動機構を備えることを特徴とする請求項1,2又は3記載のインク材のパージ装置。
- 前記回収部カバーの開閉移動に連動して昇降移動するとともに、前記ヘッドをワイピング処理するワイパーを有するワイピング連動機構を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク材のパージ装置。
- 前記内部フェンスは、ワイピング処理時に少なくとも所定高さまで下降することを特徴とする請求項5記載のインク材のパージ装置。
- 前記機器類には、少なくとも、インクジェット方式を採用する、プリンタ又は多次元造型機を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインク材のパージ装置。
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2013
- 2013-08-19 JP JP2013169852A patent/JP2015037774A/ja active Pending
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