JP2015034198A - 遮熱組成物、遮熱部材、及び遮熱塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕
コロイダルシリカ(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、
前記重合体粒子(B)は、赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を有する、
遮熱組成物。
〔2〕
前記赤外線吸収材(b1)が、錫をドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、及びこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前項〔1〕に記載の遮熱組成物。
〔3〕
加水分解性珪素化合物(C)をさらに含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の遮熱組成物。
〔4〕
前記重合体(b2)が、加水分解性珪素化合物(b3)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b4)と、の重合体を含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の遮熱組成物。
〔5〕
前記重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、前記赤外線吸収材(b1)と、加水分解性珪素化合物(b3)と、2級及び/又は3級アミド基を有する前記ビニル単量体(b4)と、を重合して得られる重合体粒子を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の遮熱組成物。
〔6〕
基材と、該基材上に前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の遮熱組成物を塗布し、乾燥させて形成された遮熱塗膜と、を備える、遮熱部材。
〔7〕
太陽電池の保護部材である、前項〔6〕に記載の遮熱部材。
〔8〕
赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を含む重合体粒子(B)と、
該重合体粒子(B)表面のシラノール基及び/又はアミド基と共有結合及び/又は水素結合により結合したコロイダルシリカ(A)と、を有する、遮熱塗膜。
本実施形態に係る遮熱組成物は、
コロイダルシリカ(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、
前記重合体粒子(B)は、赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を有する。
コロイダルシリカ(A)は、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水又は水溶性溶媒の分散体である。コロイダルシリカ(A)の数平均粒子径は、好ましくは1nm〜400nmであり、より好ましくは1nm〜200nmであり、さらに好ましくは1nm〜100nmであり、よりさらに好ましくは5nm〜30nmである。数平均粒子径が1nm以上であることにより、遮熱組成物の貯蔵安定性がより良好となる傾向にある。また、数平均粒子径が100nm以下であることにより、遮熱組成物から得られる遮熱塗膜の透明性がより良好となる傾向にある。コロイダルシリカ(A)は、水又は水溶性溶媒の分散体の状態で、酸性及び塩基性のいずれであってもよい。なお、遮熱組成物に含まれる(B)成分の水性分散体が安定に存在しうるpH領域に応じて、コロイダルシリカ(A)のpHを適宜選択することができる。
重合体粒子(B)は、赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を有する。
赤外線吸収材(b1)が重合体粒子(B)のコアとして含まれることにより、赤外線吸収材(b1)同士の凝集を抑制することができ、遮熱組成物中における赤外線吸収材の配合安定性がより向上する。
重合体粒子(B)のシェルを構成する重合体(b2)としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体、ポリビニルアセテート系重合体、ポリブタジエン系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、塩素化ポリプロピレン系重合体、ポリエチレン系重合体、ポリスチレン系重合体、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂などのポリカルボニル化合物などから構成される重合体等が挙げられる。
重合体粒子(B)を製造するのに用いる加水分解性珪素化合物(b3)としては、特に限定されないが、例えば、後述する加水分解性珪素化合物(C)で例示するものが挙げられる。
重合体粒子(B)を製造するのに用いる2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b4)としては、特に限定されないが、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド等を例示することができる。具体的には、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド等を挙げることができる。
赤外線吸収材(b1)をコアとした重合体粒子(B)を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、予め水相中にエマルジョン粒子を存在させて重合させるシード重合法が好ましい。シード重合法としては、特に限定されないが、例えば、赤外線吸収材(b1)のエマルジョン粒子を分散させた反応容器に、加水分解性珪素化合物(b3)及びビニル単量体(b4)をそのまま又は乳化した状態で、一括若しくは分割して、又は連続的に滴下し、重合触媒の存在下、重合させる方法が挙げられる。反応圧力は、大気圧から10MPaが好ましい。また、反応温度は、30〜150℃が好ましい。なお、必要に応じて、圧力や反応温度を変更してもよい。
本実施形態に係る遮熱組成物は、加水分解性珪素化合物(C)をさらに含むことができる。加水分解性珪素化合物(C)を含むことにより、加水分解性珪素化合物(C)のシラノール基とコロイダルシリカ(A)の表面に存在する水酸基との間の縮合反応により結合が形成されたり、あるいは、加水分解性珪素化合物(C)とコロイダルシリカ(A)との間に水素結合が形成されることにより、塗膜の機械的強度がより増加する傾向にある。
本実施形態に係る遮熱塗膜は、赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を含む重合体粒子(B)と、該重合体粒子(B)表面のシラノール基及び/又はアミド基と共有結合及び/又は水素結合により結合したコロイダルシリカ(A)と、を有する。本実施形態に係る遮熱塗膜は、例えば本実施形態に係る遮熱組成物を塗布し、乾燥させることで得ることができる。得られた遮熱塗膜は、コロイダルシリカ(A)や、必要に応じて加える加水分解性珪素化合物に起因する表面親水性を有しているので、防汚効果があるものと考えられる。すなわち、遮熱塗膜が表面親水性を有するため、その帯電防止効果によって砂埃等の汚れの付着が低減されると共に、汚れが付着した場合でも雨水により洗い流されると考えられる。ただし、機序はこれによらない。また、この遮熱塗膜は、全光線透過率に優れ、かつ、赤外線遮熱効果を有するため、太陽電池の保護膜として好適に使用することができる。なお、重合体粒子(B)表面のシラノール基及び/又はアミド基と、コロイダルシリカ(A)と、の共有結合及び/又は水素結合は、遮熱塗膜をFTIRで測定することにより確認することができる。
本実施形態に係る遮熱部材は、基材と、該基材上に上記遮熱組成物を塗布し、乾燥させて形成された遮熱塗膜と、を備える。また、遮熱部材は、防汚性を有し、全光線透過率に優れ、かつ、赤外線遮熱効果を有するため、太陽電池の保護部材用として好適に用いることができる。
試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて、試料に含まれるコロイダルシリカ又は重合体粒子の数平均粒子径を測定した。
遮熱塗膜の表面に脱イオン水の水滴を載せ、23℃で1分間放置した後、接触角測定装置(協和界面科学製、CA−X150型接触角計)を用いて、その水滴の接触角を測定した。
濁度計(日本電色工業製、商品名「NDH2000」)を用い、JIS−K7105に準じて、白板ガラスと遮熱塗膜との積層体(遮熱部材)の全光線透過率を測定した。
遮熱組成物を400メッシュでろ過し、残渣の有無を確認した。残渣がほとんど確認されないものを良好とした。また、残渣が確認されたものは凝集沈殿物有りと評価した。
赤外分光光度計(日本分光製「FT/IR4100」を用い、遮熱塗膜の赤外線吸収率を測定した(測定波長1300nm)
定格出力70Wの太陽電池に遮熱組成物を塗布して得られた太陽電池モジュールを、屋外(日本国静岡県富士市)に30度の傾斜角度で曝露し、モジュールの背面に取り付けた熱電対で太陽電池のモジュールの温度を測定した。測定時の天気は晴れ、大気温度は25℃であった。
・重合体粒子(B−1)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1400g、ZnO2・Sb2O5複合粒子(固形分30.5%)200g及びドデシルベンゼンスルホン酸7gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。得られた混合液(1)に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン300gを反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(2)を得た。その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(2)を約1時間撹拌して、混合液(3)を得た。次に、得られた混合液(3)に、アクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gを含む混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gを含む混合液(5)とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で液中の固形分を10.0質量%に調整し、数平均粒子径100nmの重合体粒子(B−1)の水分散体を得た。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応容器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸6gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185gとフェニルトリメトキシシラン117gとの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度を80℃に維持した状態で約1時間撹拌を続行した。次にアクリル酸ブチル86g、フェニルトリメトキシシラン133g及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gを含む混合液と、ジエチルアクリルアミド137g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(旭電化(株)製、商品名「アデカリアソープSR−1025」、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g及びイオン交換水1900gを含む混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応容器中の温度を80℃に維持した状態で約2時間撹拌を続行した後、液を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で液中の固形分を10.0質量%に調整し、(B)成分である数平均粒子径70nmの重合体粒子(B−2)の水分散体を得た。
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「スノーテックス−OS」((A
)成分)を水で希釈して、固形分10質量%の分散液(粒子の数平均粒子径8nm)に調
整した。分散液と、製造例1で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体と、を固形分換算でA/B=100/100(質量比)の割合で配合し、遮熱組成物を得た。得られた遮
熱組成物を膜厚1000nmになるように白板ガラス(厚み2mm、6×6cm角)上にディップコートにて塗布した後、70℃で30分間乾燥させて遮熱塗膜を得た。得られた遮熱組成物の配合安定性は良好であった。得られた遮熱塗膜の物性を表1に示す。
(C)成分としてテトラエトキシシラン(和光純薬製試薬特級)をA/B/C=100/100/40(質量比)の割合で添加したこと以外は実施例1と同様にして実施例2の遮熱組成物及び遮熱塗膜を得た。得られた遮熱組成物の配合安定性は良好であった。得られた遮熱塗膜の物性を表1に示す。
B成分を含まないこと以外は実施例2と同様にして比較例1の遮熱組成物及び遮熱塗膜を得た。得られた遮熱組成物の配合安定性は良好であった。得られた遮熱塗膜の物性を表1に示す。
重合体粒子(B−1)の代わりにb1成分としてZnO2・Sb2O5複合粒子(固形分30.5%)をA/b1/C=100/10/40(質量比)の割合で添加したこと以外は、実施例2と同様にして比較例2の遮熱組成物及び遮熱塗膜を得た。得られた遮熱組成物は凝集沈殿物が確認され、配合安定性は低かった。得られた遮熱塗膜の物性を表1に示す。
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「スノーテックス−OS」((A)成分)を水で希釈して、固形分10質量%の分散液(粒子の数平均粒子径8nm)に調整した。そこに、ZnO2・Sb2O5複合粒子(固形分30.5%)((b1)成分)と製造例2で合成した重合体粒子(B−2)の水分散体とを固形分換算でA/b1/B−2=100/5/100(質量比)の割合で配合し、比較例3の遮熱組成物及び遮熱塗膜を得た。得られた遮熱組成物は凝集沈殿物が確認され、配合安定性は低かった。得られた遮熱塗膜の物性を表1に示す。
電池の温度上昇を抑制することが可能であるため、特に結晶タイプ太陽電池の分野において産業上の利用可能性を有する。
Claims (8)
- コロイダルシリカ(A)と、重合体粒子(B)と、を含み、
前記重合体粒子(B)は、赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を有する、
遮熱組成物。 - 前記赤外線吸収材(b1)が、錫をドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、及びこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の遮熱組成物。
- 加水分解性珪素化合物(C)をさらに含む、請求項1又は2に記載の遮熱組成物。
- 前記重合体(b2)が、加水分解性珪素化合物(b3)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体(b4)と、の重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮熱組成物。
- 前記重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、前記赤外線吸収材(b1)と、加水分解性珪素化合物(b3)と、2級及び/又は3級アミド基を有する前記ビニル単量体(b4)と、を重合して得られる重合体粒子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮熱組成物。
- 基材と、該基材上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の遮熱組成物を塗布し、乾燥させて形成された遮熱塗膜と、を備える、遮熱部材。
- 太陽電池の保護部材である、請求項6に記載の遮熱部材。
- 赤外線吸収材(b1)を含むコアと、該コアを被覆し、重合体(b2)を含むシェルと、を含む重合体粒子(B)と、
該重合体粒子(B)表面のシラノール基及び/又はアミド基と共有結合及び/又は水素結合により結合したコロイダルシリカ(A)と、を有する、遮熱塗膜。
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CN106752818A (zh) * | 2016-12-09 | 2017-05-31 | 苏州蓝锐纳米科技有限公司 | 一种纳米ato透明隔热节能玻璃涂层的制作工艺 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007145285A1 (ja) * | 2006-06-16 | 2007-12-21 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | ポリマー被覆金属酸化物微粒子およびその応用 |
JP2011042759A (ja) * | 2009-08-24 | 2011-03-03 | Nitto Denko Corp | 金属酸化物蛍光体微粒子 |
JP2011181636A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 遮熱組成物、太陽電池用部材及び太陽電池 |
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2013
- 2013-08-07 JP JP2013164356A patent/JP6182013B2/ja active Active
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