JP5910095B2 - 耐候性組成物及びそれを用いた耐候性膜並びに耐候性基材 - Google Patents
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Description
このような耐候性を有する被膜を形成するための耐候性組成物としては、無機系の紫外線遮蔽粒子を用いた紫外線遮蔽剤や、特定のラジカル重合性の不飽和二重結合を有する有機化合物に、ベンゾフェノン系等の有機系紫外線吸収剤やヒンダードアミン系の光安定剤を加えた被覆剤組成物が提案されている(特許文献1)。
一方、無機系の紫外線遮蔽粒子を用いた紫外線遮蔽剤では、透明性及び紫外線遮蔽性が不十分であり、また、粒子の光活性の抑制も不十分であることから、長期の耐候性が得られないという問題点があった。
前記有機系紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが好ましい。
前記紫外線遮蔽粒子は、表面に形成された表面処理層を含み、前記表面処理層は、水酸化アルミニウムからなることが好ましい。
前記第1の被覆層と前記第2の被覆層との間には、金属化合物からなる第3の被覆層が形成されていることが好ましい。
なお、以下の実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
これにより、耐候性粒子による光の散乱効果と有機系紫外線吸収剤による光の吸収効果との相乗効果により、これら耐候性粒子及び有機系紫外線吸収剤がそれぞれ単独で得られる紫外線遮蔽性効果より優れた紫外線遮蔽性効果が得られる。
[耐候性粒子]
図1は、本発明の一実施形態の耐候性組成物に用いられる耐候性粒子の一例を示す断面図であり、この耐候性粒子1は、平均一次粒子径が5nm以上かつ100nm以下の紫外線遮蔽粒子2の表面に、この紫外線遮蔽粒子2に対して5体積%以上かつ60体積%以下の酸化ケイ素からなる第1の被覆層3が形成されている。
ここで、耐候性粒子1の平均粒子径について、上記の範囲が好ましいとした理由は、平均粒子径が6nm未満では、粒子径が小さくなるにしたがって表面活性が大きくなり、その結果、凝集し易くなり、分散性が悪化する虞があり、また、工程上では、製造が難しく、また取扱いが困難であるので、好ましくないからであり、一方、平均粒子径が200nmを超えると、この耐候性粒子1を用いて膜を形成した場合に、得られた膜の透明性が悪化する虞があるので、好ましくないからである。
(紫外線遮蔽粒子)
紫外線遮蔽粒子2としては、紫外線領域の光を遮蔽することのできる金属酸化物粒子であればよく、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等の群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
第1の被覆層3は、紫外線遮蔽粒子2の表面に形成されたもので、酸化ケイ素からなる被覆層である。
この酸化ケイ素の被覆量は、適宜調整すればよいが、上記の紫外線遮蔽粒子2に対して5体積%以上かつ60体積%以下が好ましく、より好ましくは10体積%以上かつ50体積%以下、さらに好ましくは30体積%以上かつ40体積%以下である。
この第1の被覆層3は、紫外線遮蔽粒子2の表面に対して均一に被覆されているのが好ましいが、所望の耐候性が得られる程度に部分被覆されていてもよい。
この耐候性粒子は、紫外線遮蔽粒子とテトラアルコキシシランとを、水存在下の溶媒中にて反応させて、紫外線遮蔽粒子の溶媒への分散処理と、紫外線遮蔽粒子の表面への酸化ケイ素からなる第1の被覆層の形成を同時に行うことにより、作製することができる。
このテトラアルコキシシランの加水分解速度を早くして生産効率を上げるために、紫外線遮蔽粒子及びテトラアルコキシシランを含む溶液に、アンモニア、水酸化ナトリウム、硫酸、塩酸、硝酸等を適量添加してもよい。また、上記の溶液に有機溶媒を必要に応じて混合させてもよい。
この耐候性粒子11における第2の被覆層12、すなわちシリコン樹脂の被覆量は、上記の紫外線遮蔽粒子2の体積量に対して15体積%以上かつ300体積%以下が好ましく、より好ましくは40体積%以上かつ250体積%以下、さらに好ましくは100体積%以上かつ220体積%以下である。
なお、第1の被覆層3が形成された紫外線遮蔽粒子2の一次粒子径が20nmの場合、この第1の被覆層3の表面に、15体積%以上かつ300体積%以下のシリコン樹脂からなる第2の被覆層12が形成された場合、この第2の被覆層12の厚みは、理論上0.5nm〜11nm程度である。この第2の被覆層12は、粒子に対して均一に被覆されているのが好ましいが、所望の耐候性が得られる程度に部分被覆されていてもよい。
また、アルコキシ基としては、反応性に富む点でメトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
このシランカップリング剤としては、シリコーンレジンの場合と同様に、アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、このアルコキシ基は、反応性に富む点でメトキシ基またはエトキシ基であることがより好ましい。
アルコキシ基を含有するシリコーンレジンは、アルコキシ基の加水分解による共有結合により粒子表面、すなわち紫外線遮蔽粒子の表面に形成された第1の被覆層の表面に被覆される。さらに、第1の被覆層の表面に被覆されたレジン同士も反応して骨格を形成するので、第1の被覆層の表面がより強固にシリコーンにより被覆される。
すなわち、粒子の表面が強固に被覆されることで、この表面が被覆された粒子を用いて後述する樹脂組成物を作製する場合に、この樹脂組成物中での粒子の分散性が向上するとともに、耐候性を向上させることができると推定される。
金属化合物としては、特に限定はされないが、酸化チタンの光活性により分解され難い物質が好ましく、例えば、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム等の酸化物、水酸化物、水和物等の群から選択される1種または2種以上が好ましい。
第3の被覆層が上記範囲で第1の被覆層3を被覆することにより、紫外線遮蔽粒子2の光活性がさらに抑制され、透明性にも悪影響を及ぼさない。
金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムテトラプロポキシド等のアルミニウム系アルコキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド等のジルコニウム系アルコキシド等が挙げられる。
これにより、紫外線遮蔽粒子2の表面に、第1の被覆層3、第3の被覆層及び第2の被覆層12が順次形成された耐候性粒子が得られる。
ここで、表面処理層22の被覆量(体積量)が紫外線遮蔽粒子2の1体積%未満では、紫外線遮蔽粒子2の光活性を抑制させる効果が不十分であるから好ましくなく、さらには、この表面処理紫外線遮蔽粒子23を溶媒や樹脂に分散させた分散液や樹脂組成物では、表面処理紫外線遮蔽粒子23の分散性が悪化し、透明性も劣ることとなり、場合によっては失透する虞があるので、好ましくない。一方、表面処理層22の被覆量(体積量)が紫外線遮蔽粒子2の35体積%を超えると、紫外線遮蔽粒子2自体の光活性の抑制効果が飽和してしまい、さらなる光活性の抑制効果が期待できず、水酸化アルミニウムも無駄になってしまい、さらには、所定の紫外線遮蔽性を得るためには相対的に、この表面処理紫外線遮蔽粒子23の添加量が増大し、透明性に悪影響を及ぼす虞があるので好ましくない。
水酸化アルミニウムは、親水性物質である酸化ケイ素を吸着し易いので、紫外線遮蔽粒子2の表面に水酸化アルミニウムからなる表面処理層22を形成することにより、この表面処理層22上に第1の被覆層3を構成する親水性の酸化ケイ素がより吸着し易くなる。このように、表面処理層22の表面に親水性の酸化ケイ素が効率的に吸着されることで紫外線遮蔽粒子2同士の凝集が抑制され、その結果、この表面処理紫外線遮蔽粒子23を溶媒中に分散させた分散液や樹脂中に分散させた樹脂組成物では、この表面処理紫外線遮蔽粒子23の分散が進行し易くなり、透明性が向上すると考えられる。
ここで、酸化ケイ素の被覆量が5体積%未満では、表面処理紫外線遮蔽粒子23の光活性等を抑制する効果が不十分な場合があるから好ましくなく、一方、被覆量が60体積%を超えると、これ以上被覆量を増加させても表面処理紫外線遮蔽粒子23の光活性抑制効果が飽和してしまい、被覆量が増加した分だけ酸化ケイ素が無駄になり、さらには、所定の紫外線遮蔽性を得るために相対的に粒子の添加量が増加し、その結果、透明性が低下する等の悪影響を及ぼすので好ましくない。
第2の被覆層12については、既に説明したとおりである。
この耐候性粒子31においても、耐候性粒子21と同様に、紫外線遮蔽粒子2の光活性をより抑制させるために、第1の被覆層3と第2の被覆層12との間に、金属化合物からなる第3の被覆層を1層、または2層以上形成することとしてもよい。
有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されず、250nm〜400nmに最大吸収波長を有する有機系紫外線吸収剤を用途に応じて適宜選択して用いればよい。
このような有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、これらの群から選択される1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
樹脂としては、特に限定されず、耐候性組成物の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、耐摩耗性に優れる点では紫外線硬化樹脂が好ましく、この紫外線硬化樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリベンゾシクロブテン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリシクロヘキサン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の1種のみを単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
これらの樹脂の中でも、透明性が高い点でアクリル樹脂が好ましい。
このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの中でも、水及び上述の樹脂との相溶性に優れている点で、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールが好ましい。
この耐候性組成物では、特性を失わない範囲において、分散剤、消泡剤、レベリング剤、滑剤、酸化防止剤、光開始剤、重合禁止剤等を適宜添加してもよい。
すなわち、紫外線遮蔽粒子の表面に酸化ケイ素からなる第1の被覆層を形成することにより、紫外線遮蔽粒子を第1の被覆層の内部に閉じ込めることができ、後述する塗膜等の表面に紫外線遮蔽粒子が浮いてくる現象を防止することができる。
したがって、紫外線遮蔽粒子の光活性をより抑制させることができ、その結果、より長期の耐候性が得られると考えられる。
一方、有機系紫外線吸収剤が紫外線を吸収することから、この耐候性組成物に含まれる耐候性粒子の光活性がさらに抑制される。
すなわち、有機系紫外線吸収剤と耐候性粒子が相互に紫外線を遮蔽することにより、それぞれの劣化等を抑制し、長期の耐候性が得られると推定される。
この効果は、紫外線遮蔽粒子の表面を、シリコン樹脂や金属化合物層で覆うことにより、より効果的に得ることができる。
本実施形態の耐候性組成物は、上述した耐候性粒子と、有機系紫外線吸収剤と、樹脂と、必要に応じて溶媒等とを混合することにより得ることができる。
この工程にて用いられる装置としては、公知の混合装置または分散装置等を用いることができる。これらの装置としては、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波装置、ピンミル、遊星ボールミル、ジェットミル、振動ミル、パールミル、ダイノミル、ウルトラビスコミル、アトライター、アニューラミル等を挙げることができる。
本実施形態の耐候性膜は、本実施形態の耐候性粒子含有樹脂組成物により形成される膜である。
この耐候性膜の膜厚は、用途に応じて適宜調整すればよいが、通常、1μm以上かつ15μm以下が好ましく、5μ以上かつ10μm以下がより好ましい。
ここで、膜厚が1μm未満の場合には、紫外線遮蔽性が十分でない場合があるので、好ましくなく、一方、膜厚が15μmを超えると、場合によっては透明性が低下する等の不具合を招く虞があるので好ましくない。
この耐候性粒子含有樹脂組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、バーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法、吸上げ塗工法等、通常のウェットコート法を用いることができる。
本実施形態の耐候性基材は、本実施形態の耐候性膜を備えている。
この耐候性基材は、本実施形態の耐候性粒子含有樹脂組成物を含む塗料を、公知の塗布法を用いて基材上に塗布し、硬化させることにより得ることができる。
また、上記の基材の群から選択される1種を単独で用いてもよく、または2種以上を積層して用いてもよい。
この耐候性粒子が、紫外線遮蔽粒子の表面に水酸化アルミニウムを主成分とする表面処理層を有する場合には、より透明性に優れたものとすることができる。
この耐候性粒子が、第1の被覆層と第2の被覆層との間に金属化合物からなる第3の被覆層を有する場合には、紫外線遮蔽粒子2あるいは表面処理紫外線遮蔽粒子23の表面に、第1の被覆層、第3の被覆層及び第2の被覆層が順次積層されているので、さらに長期の耐候性に優れたものとすることができる。
この耐候性組成物が光安定剤を含有している場合には、より長期の耐候性に優れる耐候性組成物を得ることができる。
「耐候性粒子の作製」
表面処理酸化チタン粒子(水酸化アルミニウムからなる表面処理層を有する酸化チタン粒子)(一次粒子径:10〜30nm、石原産業社製)10質量部、2−プロパノール84質量部、テトラメトキシシシラン5.0質量部、水1.0質量部をボールミルで4時間分散させた。
次いで、2−プロパノールを添加して表面処理酸化チタン粒子の濃度を5質量%に調整し、表面処理酸化チタン粒子の表面を第1の被覆層(シリカ層)にて被覆した、透明性が高い耐候性粒子を含む実施例1の耐候性粒子含有分散液を得た。
この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の被覆量は表面処理酸化チタン粒子に対して31体積%(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)であった。
また、この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の厚みは2nm(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)であった。
上記の耐候性粒子含有分散液15.0質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(最大吸収波長:345nm)1.5質量部、ウレタン−アクリレート樹脂27.0質量部、アルキルフェノン系光重合光開始剤2.0質量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.6質量部、メチルイソブチルケトン53.9質量部を混合し、実施例1の耐候性組成物を得た。この耐候性組成物における表面処理酸化チタン粒子と有機系紫外線吸収剤との質量比は1:2であった。
上記の耐候性組成物を、バーコートを用いて、ポリカーボネート基材(縦100×横100×厚み1mm)の表面に乾燥膜厚が5μmとなるように塗膜を形成した。
次いで、この塗膜付き基材を、熱風乾燥炉を用いて80℃にて3分間乾燥させた。次いで、この塗膜付き基材に、高圧水銀灯の紫外線照射装置を用いて700mJ/cm2の紫外線を照射し、ポリカーボネート基材の表面に耐候性膜を形成し、実施例1の耐候性基材を作製した。
また、この耐候性膜に、アイスーパーUVテスター SUV−W13(岩崎電気社製)を用いて紫外線(波長:300nm−400nm、エネルギー:90mW/cm2)を30時間照射させ、この紫外線照射前後の黄色度の変化値(ΔYI値)を求めたところ、4であった。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(最大吸収波長:345nm)を1.5質量部から0.9質量部に、メチルイソブチルケトンを53.9質量部から54.5質量部に、変更した以外は、実施例1に準じて実施例2の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。この耐候性組成物における表面処理酸化チタン粒子と有機系紫外線吸収剤との質量比は1:1.2であった。
また、この耐候性膜の可視光透過率を実施例1に準じて測定した結果を図5に示す。この図5によれば、この耐候性膜では、350nm付近から紫外線が遮蔽できていることが確認された。
「耐候性粒子の作製」
表面処理酸化チタン粒子(水酸化アルミニウムからなる表面処理層を有する酸化チタン粒子)(一次粒子径:10〜30nm、石原産業社製)10質量部、2−プロパノール84質量部、テトラメトキシシシラン5.0質量部、水1.0質量部をボールミルで4時間分散させた。
次いで、メトキシ基を含有するシリコーンレジン KR−213(信越シリコーン(株)社製)10質量部を添加してさらに混合攪拌した。
この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の被覆量は表面処理酸化チタン粒子に対して31体積%(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)、第2の被覆層(シリコン樹脂層)の被覆量は表面処理酸化チタン粒子の体積に対して213体積%(シリコーンレジン濃度に基づく計算値)であった。
また、この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の厚みは2nm(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)、第2の被覆層(シリコン樹脂層)の厚みは8nm(シリコーンレジン濃度に基づく計算値)であった。
上記の耐候性粒子含有分散液を用い、実施例1に準じて実施例3の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。
この耐候性基材における耐候性膜の全光線透過率、ヘーズ値及び黄色度の変化値(ΔYI値)を、実施例1に準じて測定したところ、全光線透過率は89%、ヘーズ値は0.2%、黄色度の変化値(ΔYI値)は2.5であった。
この耐候性膜では、第1の被覆層(シリカ層)の上に第2の被覆層(シリコン樹脂層)をさらに設けたことにより、長期の耐候性に優れることが確認された。
メトキシ基を含有するシリコーンレジンを10質量部から6質量部に変更した以外は、実施例3に準じて実施例4の耐候性粒子を得た。
この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の被覆量は表面処理酸化チタン粒子に対して31体積%(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)、第2の被覆層(シリコン樹脂層)の被覆量は表面処理酸化チタン粒子の体積に対して128体積%(シリコーンレジン濃度に基づく計算値)であった。
また、この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の厚みは2nm(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)、第2の被覆層(シリコン樹脂層)の厚みは5nm(シリコーンレジン濃度に基づく計算値)であった。
上記の耐候性粒子含有分散液を用い、実施例1に準じて実施例4の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。
この耐候性基材における耐候性膜の全光線透過率、ヘーズ値及び黄色度の変化値(ΔYI値)を、実施例1に準じて測定したところ、全光線透過率は89%、ヘーズ値は0.2%、黄色度の変化値(ΔYI値)は2であった。
「耐候性粒子の作製」
表面処理酸化チタン粒子(水酸化アルミニウムからなる表面処理層を有する酸化チタン粒子)(一次粒子径:10〜30nm、石原産業社製)10質量部、2−プロパノール84質量部、テトラメトキシシシラン5.0質量部、水1.0質量部をボールミルで4時間分散させた。
次いで、アルミナアルコラートASBD(川研ファイン社製)4質量部を加えて混合し、次いで、メトキシ基を含有するシリコーンレジン KR−213(信越シリコーン(株)社製)10質量部を添加してさらに混合攪拌した。
また、この耐候性粒子における第1の被覆層(シリカ層)の厚みは2nm(テトラメトキシシラン濃度に基づく計算値)、第3の被覆層(アルミナ化合物層)の厚みは1nm(アルミナアルコラート濃度に基づく計算値)、第2の被覆層(シリコン樹脂層)の厚みは5nm(シリコーンレジン濃度に基づく計算値)であった。
上記の耐候性粒子含有分散液を用い、実施例1に準じて実施例5の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。
この耐候性基材における耐候性膜の全光線透過率、ヘーズ値及び黄色度の変化値(ΔYI値)を、実施例1に準じて測定したところ、全光線透過率は89%、ヘーズ値は0.2%、黄色度の変化値(ΔYI値)は1であった。
この耐候性膜では、第1の被覆層(シリカ層)と第2の被覆層(シリコン樹脂層)との間に第3の被覆層(アルミナ化合物層)をさらに設けたことにより、長期の耐候性に優れることが確認された。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(最大吸収波長:345nm)を1.5質量部から0.3質量部に、メチルイソブチルケトンを53.9質量部から55.1質量部に、変更した以外は、実施例1に準じて比較例1の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。この耐候性組成物における表面処理酸化チタン粒子と有機系紫外線吸収剤との質量比は1:0.4であった。
また、この耐候性膜の可視光透過率を実施例1に準じて測定した結果を図5に示す。この図5によれば、この耐候性膜では、有機系紫外線吸収剤が少なすぎたことにより、300nm付近からしか紫外線を遮蔽することができず、かつ耐候性も悪化していることが確認された。
耐候性粒子含有分散液を15.0質量部から30質量部に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(最大吸収波長:345nm)を1.5質量部から0質量部に、メチルイソブチルケトンを53.9質量部から40.4質量部に、変更した以外は、実施例1に準じて比較例2の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。この耐候性組成物における表面処理酸化チタン粒子と有機系紫外線吸収剤との質量比は1:0であった。
また、この耐候性膜の可視光透過率を実施例1に準じて測定した結果を図5に示す。この図5によれば、この耐候性膜では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を全く欠いているために、320nm付近からしか紫外線を遮蔽することができず、耐候性も悪化していることが確認された。
耐候性粒子含有分散液を15.0質量部から0質量部に、ウレタン−アクリレート樹脂を27.0質量部から30質量部に、メチルイソブチルケトンを53.9質量部から65.9質量部に、変更した以外は、実施例1に準じて比較例3の耐候性組成物及び耐候性基材を得た。この耐候性組成物における表面処理酸化チタン粒子と有機系紫外線吸収剤との質量比は0:1であった。
また、この耐候性膜の可視光透過率を実施例1に準じて測定した結果を図5に示す。この図5によれば、この耐候性膜では、耐候性粒子を全く欠いているために、300nm付近からしか紫外線を遮蔽することができず、耐候性も悪化していることが確認された。
2 紫外線遮蔽粒子
3 第1の被覆層
11 耐候性粒子
12 第2の被覆層
21 耐候性粒子
22 表面処理層
23 表面処理紫外線遮蔽粒子
31 耐候性粒子
Claims (7)
- 平均粒子径が6nm以上かつ200nm以下の耐候性粒子と、有機系紫外線吸収剤と、樹脂と、を含有する耐候性組成物であって、
前記耐候性粒子は、平均一次粒子径が5nm以上かつ100nm以下の紫外線遮蔽粒子の表面に、前記紫外線遮蔽粒子に対して5体積%以上かつ60体積%以下の酸化ケイ素からなる第1の被覆層が形成されてなり、
前記紫外線遮蔽粒子の質量(Mp)と前記有機系紫外線吸収剤の質量(Mu)との比(Mp:Mu)は1:1〜1:2の範囲内にあり、
前記耐候性粒子は、前記第1の被覆層の外側に、シリコン樹脂からなる第2の被覆層が形成されており、
前記紫外線遮蔽粒子は、酸化チタンを形成材料とし、
前記有機系紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする耐候性組成物。 - 前記有機系紫外線吸収剤は、300nm以上かつ380nm以下の波長帯域に最大吸収波長を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、またはヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤のいずれか一方または両方であることを特徴とする請求項1記載の耐候性組成物。
- 前記有機系紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である請求項2に記載の耐候性組成物。
- 前記紫外線遮蔽粒子は、表面に形成された表面処理層を含み、
前記表面処理層は、水酸化アルミニウムからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の耐候性組成物。 - 前記第1の被覆層と前記第2の被覆層との間には、金属化合物からなる第3の被覆層が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の耐候性組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の耐候性組成物により形成されてなることを特徴とする耐候性膜。
- 請求項6記載の耐候性膜を備えてなることを特徴とする耐候性基材。
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