JP2017226764A - コーティング膜、コーティング膜の製造方法、及びコーティング組成物 - Google Patents

コーティング膜、コーティング膜の製造方法、及びコーティング組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な反射防止性を有し、更に良好な砂塵付着防止性とテープ付着防止性を両立させる反射防止コーティング膜を提供する。【解決手段】膜内部に空孔を有し、かつ、膜表面に凹凸構造を有するコーティング膜であって、空孔率が20%以上50%未満であり、AFM測定により観測される前記膜表面の2μmの線上における高低差10nm〜100nmの凹凸の数が、1〜15個である、コーティング膜。【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング膜、コーティング膜の製造方法、及びコーティング組成物に関する。
近年、世界的な温暖化現象により環境に対する意識が高まり、炭酸ガス等の温暖化ガスを発生しない新しいエネルギーシステムが関心を集めている。中でも、安全性や扱いやすさに優れることから、特に太陽電池が注目を浴びている。
太陽電池の出力を増加させるため、太陽電池カバーガラス表面に反射防止膜を形成させ、透過率を増加させる方法が知られている。
また、太陽電池は屋外で長期間使用するため、汚染物質の堆積により出力が低下する問題がある。この問題を解決するために、太陽電池カバーガラス表面に防汚膜を形成させる方法が知られている。
例えば、特許文献1には、数珠状シリカを用いることで空孔を形成させる、防汚性に優れた反射防止膜が開示されている。
また、特許文献2には、塗膜中の有機成分を焼失させることで空孔を形成させる、防汚性に優れた反射防止膜が開示されている。
国際公開第2013/111783号 特開2015−108061号公報
一般に防汚性を有する反射防止膜は、コーティング膜内部に空孔を形成すると共に、膜表面に微細な凹凸構造を形成させることが多い。表面微細凹凸構造を有する親水性膜は、雨水による洗浄機能を有し、かつ砂塵等の汚染物質の接触面積が低減されるため、乾燥下においても粉塵付着防止機能による防汚性を発揮できる。
一方、太陽電池モジュールの製造工程において、カバーガラス表面にテープを付着させた状態でラミネートする場合がある。しかしながら、上述の表面微細凹凸構造を有するコーティング膜にテープ粘着成分が付着すると、膜表面の微細孔内部に粘着成分が浸透し、テープ付着跡が容易に除去できなくなる問題がある。
テープ付着不良は膜表面の微細凹凸構造によるアンカー効果によるものと推測され、膜表面を平滑にすることでテープ付着跡を容易に除去できるようになるが、平滑膜では砂塵等の汚染物質の接触面積が大きくなるため、砂塵付着防止機能が低下する問題がある。即ち、テープ付着の防止と砂塵付着防止を両立することはこれまでの技術では難しいものであった。
そこで、本発明においては、良好な反射防止性を有し、更に良好な砂塵付着防止性とテープ付着防止性を両立させる反射防止コーティング膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、膜内部に空孔を有し、空孔率が20%以上50%未満であり、膜表面に凹凸構造を有し、膜表面の2μmの線上における高低差10nm〜100nmの凹凸の数が、1〜15個であるコーティング膜が、良好な反射防止性能、砂塵付着防止性、及びテープ付着防止性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
膜内部に空孔を有し、かつ、膜表面に凹凸構造を有するコーティング膜であって、
空孔率が20%以上50%未満であり、
AFM測定により観測される前記膜表面の2μmの線上における高低差10nm〜100nmの凹凸の数が、1〜15個である、コーティング膜。
[2]
25℃における水に対する静的接触角が25°未満である、[1]に記載のコーティング膜。
[3]
金属酸化物粒子(A)を含む、[1]又は[2]に記載のコーティング膜。
[4]
太陽電池用カバーガラス表面に形成された、[1]〜[3]のいずれかに記載のコーティング膜。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載のコーティング膜の製造方法であって、
金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)と、加水分解性珪素化合物(C)と、を含むコーティング組成物を基材に塗布する工程を含む、コーティング膜の製造方法。
[6]
前記塗布する工程の後、前記コーティング組成物を500℃以上の温度で焼結する工程をさらに含む、[5]に記載のコーティング膜の製造方法。
[7]
[1]〜[4]のいずれかに記載のコーティング膜用のコーティング組成物であって、
金属酸化物粒子(A)、重合体粒子(B)及び加水分解性珪素化合物(C)を含み、
前記金属酸化物粒子(A)の数平均粒子径が、1.0nm〜100nmであり、前記重合体粒子(B)の数平均粒子径が、10nm〜100nmであり、金属酸化物粒子(A)の数平均粒子径と重合体粒子(B)の数平均粒子径の和が50nm〜150nmである、コーティング組成物。
[8]
前記重合体粒子(B)に対する前記金属酸化物粒子(A)の質量比(A)/(B)が、0.05/1以上1/1以下である、[7]に記載のコーティング組成物。
[9]
前記重合体粒子(B)に対する前記加水分解性珪素化合物(C)の質量比(C)/(B)が、0.1/1以上1/1以下である、[7]又は[8]に記載のコーティング組成物。
[10]
前記重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体と、を重合して得られる重合体粒子を含む、[7]〜[9]のいずれかに記載のコーティング組成物。
[11]
前記重合体粒子(B)に含まれる加水分解性珪素化合物(b1)が加水分解性官能基を4個以上含む加水分解性珪素化合物(b3)であり、前記重合体粒子(B)中の該加水分解性珪素化合物(b3)の加水分解縮合物の質量比が、20%以上50%以下である、[10]に記載のコーティング組成物。
本発明によれば、良好な反射防止性能、砂塵付着防止性、及びテープ付着防止性を基材に付与し得るコーティング膜が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートの両方を意味する。また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸の両方を意味する。
〔コーティング膜〕
本実施形態のコーティング膜は、膜内部に空孔を有し、かつ、膜表面に凹凸構造を有するコーティング膜であって、空孔率が20%以上50%未満であり、原子間力顕微鏡(AFM)測定により観測される前記膜表面の2μmの線上における高低差10nm〜100nmの凹凸の数が、1〜15個である。このように構成されているため、本実施形態のコーティング膜は、良好な反射防止性能、砂塵付着防止性、及びテープ付着防止性を基材に付与することができる。上記の空孔率と膜表面の凹凸の両方を満足する塗膜は、後述のとおり、コーティング組成物の原料の選択やコーティング組成物の製造方法の工夫により得ることができる。
本実施形態のコーティング膜は、塗膜表面凹凸構造の調整、及び塗膜表面親水性の観点から、後述する金属酸化物粒子(A)を含むものであることが好ましい。
本実施形態のコーティング膜を形成する基材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス、樹脂、ミラー、建材等が挙げられる。
(コーティング膜の空孔)
本実施形態のコーティング膜の空孔率は、20%以上50%未満であり、25%以上50%未満が好ましく、30%以上50%未満がより好ましい。
空孔率が20%以上であることにより、本実施形態のコーティング膜において優れた反射防止性能が得られ、空孔率が50%未満であることにより、吹き付けられた砂塵等や、付着した汚れを布でふき取った場合においても、傷及びクラックの発生が抑制される。
空孔率を上述した範囲とするためには、後述するコーティング組成物に用いる原料のサイズや量を調整することが好ましい。例えば、原料として金属酸化物粒子(A)、重合体粒子(B)及び加水分解性珪素化合物(C)を用いる場合があるが、それらのサイズや量については後述する。
本実施形態のコーティング膜の空孔率は、窒素吸着法、電子顕微鏡で直接観察することにより求めることもできるが、本明細書では、以下のとおり、コーティング膜の屈折率を測定することにより得られる空孔率について説明する。
コーティング膜を形成する基材について、反射分光膜厚計(大塚電子製 型式:FE−3000)を用い、230〜800nmの波長ごとの反射率を測定する。
次に、コーティング膜側の230〜800nmの波長ごとのガラス基材などの基材とコーティング膜による干渉している反射した光の強度を測定し、最小二乗法により測定値のフィッティングを行い、コーティング膜の屈折率及び膜厚(nm)を求める。
さらに、コーティング膜を形成する素材の屈折率と空気の屈折率から空孔率を求める。例えば、コーティング膜がシリカ(屈折率1.46)から形成されている場合は、以下の式から空孔率を求める。
(空孔率)=(1.46−(コーティング膜の屈折率))/0.46×100
なお、空孔は、その全部又は一部に空気が充填されているため、その屈折率は1に極めて近い。
(コーティング膜表面の凹凸構造)
本実施形態のコーティング膜は、AFM測定により観測される膜表面の2μmの線上における高低差10nm〜100nmの凹凸の数が、1〜15個であり、2〜12個が好ましく、3〜10個がより好ましい。
上記高低差を有する凹凸の数が1個以上であることにより、汚染物質とコーティング膜との接触面積が小さくなり、汚染物質が落ちやすくなる。
また、上記高低差を有する凹凸の数が15個以下であることにより、テープの粘着成分等が凹凸の間に入り込みにくく、除去が容易になる。
上記高低差を有する凹凸の数を上記範囲にするためには、後述する金属酸化物粒子(A)の平均粒子径や量、重合体粒子(B)の平均粒子径や量を調整すればよい。
コーティング膜表面の2μmの線上における凹凸の高低差、及び凹凸の数は、コーティング膜の任意の箇所のAFM測定像から算出できる。AFM測定の具体的な方法としては以下が挙げられる。
コーティング膜表面の任意の箇所を、2μm×2μmの視野で、原子間力顕微鏡(AFM;Bruker社製のDimension Icon等)にて以下の条件で観測する。得られた表面像に対し、2μm長のラインプロファイルを0.2μm間隔で平行に10箇所抽出し、高低差10〜100nmの凹凸の数をカウントし、平均化する。
<AFM観測条件>
観察モード:Tappingモード
カンチレバー:長さ125μmのSi製矩形型カンチレバー(探針先端の汚染及び摩耗が無いもの;Nano World社製AR−10Tなど)
ばね定数:40N/m程度
上記の空孔率と膜表面の凹凸の両方を満足する塗膜は、例えば、コーティング組成物の原料の選択の他、後述するとおりコーティング組成物の製造における諸条件を工夫することによって得ることができる。
(コーティング膜表面の水接触角)
コーティング膜表面の25℃における水に対する静的接触角が30°未満であることが好ましく、25°未満がより好ましく、15°未満がさらに好ましい。
上記範囲の水接触角であることにより、雨水等による汚染物質の除去が容易になる傾向にある。
コーティング膜表面の水接触角は、後述する実施例に記載の方法により測定することができ、例えば、後述する金属酸化物粒子(A)の量や、コーティング膜の製造時における焼結温度等によって調整することができる。
(コーティング膜の膜厚)
本実施形態のコーティング膜の膜厚は、十分な反射防止性能と透明性を生じさせる観点から、50nm以上1000nm以下であることが好ましく、80nm以上200nm以下であることがより好ましく、80nm以上150nm以下であることがさらに好ましい。
膜厚が50nm以上であることにより、コーティング膜の強度が十分に保たれる傾向にあり、膜厚が1000nm以下であることで、反射防止性能が均一なコーティング膜が得られる傾向にある。
膜厚が上記のような範囲にあるコーティング膜を得るためには、コーティング膜を形成するためのコーティング組成物の固形分の濃度を調整すればよく、固形分濃度は0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜7質量%であり、さらに好ましくは1〜6質量%である。
また、塗装機側の塗装速度を調整することでコーティング膜の膜厚を調整することも可能である。
コーティング膜の膜厚は、断面を電子顕微鏡で測定したり、光学エリプソメーターや反射分光膜厚計により薄膜の干渉による反射光を測定して、当該測定値を用いて計算により求めることが可能である。
〔コーティング膜の製造方法〕
本実施形態のコーティング膜の製造方法は、特に限定されないが、安定的な塗膜形成の観点から、金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)と、加水分解性珪素化合物(C)と、を含むコーティング組成物を基材に塗布する工程を含むことが好ましい。
上記コーティング組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
さらに、本実施形態のコーティング膜は、金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)と、加水分解性珪素化合物(C)と、を含むコーティング組成物を基材に塗布する工程の後、当該コーティング組成物を500℃以上の温度で焼結する工程を含むことが好ましい。
焼結する温度は、500℃以上800℃以下がより好ましく、600℃以上750℃以下がさらに好ましい。さらに、高圧水銀灯等の紫外線照射等の処理を同時又は直列に行うことで焼結してもよい。
上記温度で焼結することにより、重合体粒子(B)の有機物が分解することで、コーティング膜の水接触角が低下する傾向にあり、防汚性がより向上する傾向にある。
また、上記温度で焼結することにより、金属酸化物粒子(A)が部分溶融し、重合体粒子(B)の有機物が分解する傾向にあり、結果として膜内部に空孔が生成しやすくなり、低屈折率化によって反射防止性能がより向上する傾向にある。
さらに、焼結の際に、重合体粒子(B)の周囲の金属酸化物粒子(A)や加水分解性珪素化合物(C)の縮合が急激に進み、コーティング膜全体が収縮する際、重合体粒子(B)がコーティング膜の収縮を緩和することで、空孔が押しつぶされて基材と接触してしまうことや、コーティング膜表面に空孔が露出することを抑制すると推測される。このため基材との密着性や、外部からの水浸透によるコーティング膜の劣化を防止する耐久性を向上することができる。
〔コーティング組成物〕
コーティング組成物は、金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)と、加水分解性珪素化合物(C)と、を含むことが好ましい。更に、金属酸化物粒子(A)の数平均粒子径が、1.0nm〜100nmであり、前記重合体粒子(B)の数平均粒子径が、10nm〜100nmであり、金属酸化物粒子(A)の数平均粒子径と重合体粒子(B)の数平均粒子径の和が50nm〜150nmであることが好ましい。ここで、金属酸化物粒子(A)及び重合体粒子(B)の数平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、これらの数平均粒子径は、例えば、原料や乳化剤の濃度等により上記範囲に制御することができる。
上記範囲の金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)を組み合わせることにより、コーティング膜表面の凹凸の高低差を本実施形態の所望の範囲に調整することができる。
本実施形態において、前記重合体粒子(B)に対する前記金属酸化物粒子(A)の質量比(A)/(B)が、0.05/1以上1/1以下であることが好ましく、より好ましくは0.05/1以上0.5/1以下であり、さらに好ましくは0.1/1以上0.5/1以下である。
上記範囲の金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)を組み合わせることにより、コーティング膜表面の凹凸の数を本実施形態の所望の範囲に調整することができる。
本実施形態において、前記重合体粒子(B)に対する前記加水分解性珪素化合物(C)の質量比(C)/(B)が、0.1/1以上1/1以下であることが好ましく、より好ましくは0.2/1以上0.8/1以下であり、さらに好ましくは0.3/1以上0.7/1以下である。
上記範囲の重合体粒子(B)と、加水分解性珪素化合物(C)を組み合わせることにより、コーティング膜の機械的強度を改善することができる。
なお、加水分解性珪素化合物(C)の質量とは、加水分解性珪素化合物(C)が加水分解、縮合した後のSiO2換算での質量であるものとする。
<金属酸化物粒子(A)>
金属酸化物粒子(A)としては、特に限定されないが、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、モリブデンなどの酸化物が挙げられる。光学特性、耐久性の点から、特にケイ素酸化物が好ましい。
ケイ素酸化物粒子の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、日産化学工業株式会社製の「スノーテックス−OXS(登録商標)」、同社製「スノーテックス−O(登録商標)」同社製「スノーテックス−OL(登録商標)」及び同社製「スノーテックス−OYL(登録商標)」等が挙げられる。
<重合体粒子(B)>
重合体粒子(B)を構成する重合体として、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリ(メタ)アクリレート−シリコーン系共重合体、ポリビニルアセテート系、ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物から構成される重合体が挙げられる。
重合体粒子(B)は、本実施形態のコーティング膜の強度の観点から、加水分解性珪素化合物(b1)と2級及び/又は3級アミド基を有するビニル化合物(以下、単に「ビニル化合物」、「ビニル化合物(b2)」ともいう)とを重合して得られるものであることが好ましい。
また、重合体粒子(B)は、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル化合物(b2)を含むビニル化合物とを重合して得られるものであることがより好ましい。
重合体粒子(B)は、前記加水分解性珪素化合物(b1)と前記ビニル化合物(b2)とが重合した共重合体、前記加水分解性珪素化合物(b1)と前記ビニル化合物(b2)がそれぞれ重合した単独重合体の混合物、又は複合物のいずれであってもよく、これらの併用であってもよい。
重合体粒子(B)を構成する加水分解性珪素化合物(b1)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類が挙げられる。
上述した加水分解性珪素化合物(b1)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記重合体粒子(B)の中に含まれる、加水分解性珪素化合物(b1)の内、加水分解性官能基を4個以上含む加水分解性珪素化合物(b3;以下、単に「テトラアルコキシシラン類」ともいう。)の加水分解縮合物の質量比が、重合体粒子(B)全体の固形分に対し20%以上50%以下であることが好ましく、25%以上40%以下がより好ましい。
さらに、前記テトラアルコキシシラン類の加水分解縮合物は、前記重合体粒子(B)の最外層に存在することがより好ましい。最外層に加水分解縮合物が存在することで、重合体粒子(B)がより強固な粒子となる。
上記重合体粒子(B)を用いることにより、500℃以上の温度で焼結した際の粒子形状の変形が抑制される傾向にあり、コーティング膜表面の凹凸の高低差、及び凹凸の数を本実施形態の所望の範囲に制御することが可能となる。
また、上記加水分解性珪素化合物(b1)の中で、フェニル基を有する珪素アルコキシドである、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等と併用すると、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に優れるため、好ましい。
2級アミド基及び/又は3級アミド基を有するビニル化合物(b2)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミドが挙げられる。
ビニル化合物(b2)が有するアミド基は、2級アミド基及び/又は3級アミド基であるが、3級アミド基を有するビニル化合物であると、得られる重合体粒子(B)中のシリカ粒子との間の水素結合性が強まる傾向にあるため、好ましい。
その3級アミドを有するビニル化合物(b2)の中でも、N,N−ジエチルアクリルアミドは、水及び乳化剤の存在下における重合安定性に優れるとともに、加水分解性珪素化合物の重合生成物の水酸基及びシリカ粒子の水酸基と強固な水素結合を形成することが可能となる傾向にあるため、より好ましい。
加水分解性珪素化合物(b1)の重合生成物と、2級アミド基及び/又は3級アミド基を有するビニル化合物(b2)の重合生成物とは、水素結合及び化学結合により複合化していてもよい。
なお、加水分解性珪素化合物(b1)及び2級アミド基及び/又は3級アミド基を有するビニル化合物(b2)は、水素結合及び化学結合等の各種結合によって複合化されていることが好ましいが、その結合の形態及び状態について、何らかの限定を行うものではない。さらに、重合体粒子(B)中の一部分のみにおいて、上記したような複合化が行われていてもよい。
その他のビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物;カルボキシル基含有ビニル化合物、水酸基含有ビニル化合物、エポキシ基含有ビニル化合物、カルボニル基含有ビニル化合物のような官能基を含有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニル化合物及び/又は水酸基含有ビニル化合物を用いると、金属酸化物粒子(A)とその他のビニル化合物との水素結合力を制御することが容易となるとともに、重合体粒子(B)の水分散安定性を向上させることが可能となる傾向にあるため、好ましい。
重合体粒子(B)の合成の際には、乳化剤を使用してもよい。
乳化剤として、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤が挙げられる。
これらの乳化剤の中で、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤は、重合体粒子(B)の水分散安定性がより一層良好になるとともに、耐水性、耐薬品性、光学特性、強度等に優れたコーティング膜を形成することができる傾向にあるため、好ましい。
ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤としては、以下に限定されないが、例えば、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル化合物、硫酸エステル基を有するビニル化合物、それらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル化合物;4級アンモニウム塩を有するビニル化合物が挙げられる。
スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル化合物の塩としては、以下に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、且つスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6又は10のアリール基及びコハク酸基からなる群から選ばれる置換基を有する化合物;スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物が挙げられる。
反応性乳化剤としての、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アリルスルホコハク酸塩が挙げられる。また、市販品としては、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成(株)製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名)(花王(株)製)が挙げられる。
反応性乳化剤としての、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、アクアロンHS−10又はKH−1025(商品名)(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(商品名)(旭電化工業(株)製)が挙げられる。
反応性乳化剤としてのノニオン基を有するビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)が挙げられる。
上述した乳化剤の配合量は、重合体粒子(B)全量(100質量部)に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
重合体粒子(B)は、加水分解性珪素化合物(b1)、ビニル化合物(b2)、及びその他のビニル化合物の重合を、重合触媒の存在下で行うことにより合成することが好ましい。
加水分解性珪素化合物の重合触媒としては、重合に用いる成分等に応じて適宜選択でき、以下に限定されるものではないが、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類;硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類;酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物が挙げられる。
これらの中で、重合触媒のみならず乳化剤としての作用を有する観点から、酸性乳化剤類が好ましく、炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸がより好ましい。
ビニル化合物(b2)及びその他のビニル化合物の重合触媒としては、熱又は還元性物質等によってラジカル分解してビニル化合物の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好ましい。
このような重合触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物が挙げられる。
より具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
重合速度の促進、又は70℃以下での低温の重合をより望むときには、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いることが好ましい。
重合触媒の配合量は、重合体粒子(B)の重合に用いられる全ビニル化合物全量に対して、0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
加水分解性珪素化合物(b1)と、ビニル化合物(b2)及びその他のビニル化合物との重合は、別々に実施することも可能であるが、同時に実施することにより、両者の間で水素結合等によるミクロな有機及び無機複合化が達成できる傾向にあるため好ましい。
前記重合体粒子(B)の乳化重合方法としては、加水分解性珪素化合物(b2)と、ビニル化合物(b2)と、必要に応じてその他のビニル化合物とを、そのまま又は乳化した状態で、一括、分割、又は連続的に反応容器中に滴下した後、上記の重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaまでの圧力下、及び約30℃以上150℃以下の反応温度の条件下で重合させる方法が挙げられる。
なお、これらの圧力と反応温度は適宜変更してもよい。
乳化重合するにあたり、重合体粒子(B)の数平均粒子径を成長又は制御するために、予め水相中にエマルジョン粒子を存在させて重合させるシード重合法で重合してもよい。これにより数平均粒子径がより均一な重合体粒子(B)を得ることができる傾向にある。当該シード(核)となる物質は、反応条件等に応じて適宜選択することができる。
重合反応における系中のpHは、1.0以上10.0以下が好ましく、1.0以上6.0以下がより好ましい。pHをこのような範囲に制御するためには、燐酸二ナトリウム、ボラックス、炭酸水素ナトリウム、及びアンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節するとよい。
重合体粒子(B)を得る方法としては、重合に必要な水、乳化剤、及び必要に応じて所定の溶剤の存在下で、加水分解性珪素化合物及びビニル化合物を重合した後、重合生成物がエマルジョンとなるまで水を添加する方法も採用してもよい。
重合体粒子(B)は、コア層とシェル層を備えていることが好ましい。
シェル層とは、最も外側の層を示し、シェル層以外の層がコア層である。
また、重合体粒子(B)は、コア層とシェル層とを備え、加水分解性珪素化合物に由来する成分と、2級アミド基及び又は3級アミド基を有するビニル化合物に由来する成分とを含むことが好ましい。
重合体粒子(B)には、その用途及び使用方法等に応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤を配合することができる。
<加水分解性珪素化合物(C)>
本実施形態のコーティング組成物は、重合体粒子(B)の重合に用いられる加水分解性珪素化合物とは区別して、加水分解性珪素化合物(C)をさらに含む。例えば、本実施形態のコーティング組成物を限外濾過に供し、重合体粒子(B)を除いた後に残存する方の加水分解性珪素化合物を(C)成分ということができ、他方を(b1)ということができる。
加水分解性珪素化合物(C)が有するシラノール基と金属酸化物粒子(A)及び/又は重合体粒子(B)の表面に存在する水酸基との間の縮合反応及び/又は水素結合により結合を形成する。
そのため、重合体粒子(B)の表面を加水分解性珪素化合物(C)の縮合物が覆う構造となり、前述の焼結工程において重合体粒子(B)の有機物成分が焼結されてできる空孔がつぶれることを抑制することができる。したがって、高い空孔率と適度な表面の凹凸を維持することができる。
これらにより、上記コーティング組成物から得られる本実施形態のコーティング膜は、機械的強度がより増加する傾向にある。
加水分解性珪素化合物(C)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類が挙げられる。
コーティング組成物の製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水に金属酸化物(A)、重合体粒子(B)、加水分解性珪素化合物(C)を加え、室温で3時間撹拌し、加水分解性珪素化合物を加水分解(C)させた後に、アルコール、添加剤を加えることで製造することができる。
アルコールを先に加えないことは、加水分解性珪素化合物(C)の加水分解を早めることができ、平滑な塗膜を形成させやすくなるため好ましい。また、アルコールを後で加えることは、塗液の安定性が高まるため好ましい。
アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
さらに、コーティング組成物に、成膜性を向上させるための添加剤を加えることが好ましい。添加剤の中で、非プロトン性溶媒を添加することが特に好ましい。非プロトン性溶媒を添加すること加えることで、成膜時の液のハジキを抑制し、塗膜が平滑になる傾向がある。非プロトン性溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
〔用途〕
本実施形態のコーティング膜は、砂塵付着防止性、テープ付着防止性、水洗浄性、耐久性に優れているため、太陽電池、太陽熱発電用ミラー、建材、自動車等、屋外で長期間使用される基材の防汚膜として好適である。さらに反射防止特性、透明性にも優れた機能を付与することができるため、太陽電池用カバーガラスのコーティング膜として特に好適である。すなわち、本実施形態のコーティング膜は、太陽電池用カバーグラス表面に形成されたものであることが好ましい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
後述する合成例、実施例及び比較例における、各種の物性及び評価は下記の方法で測定及び評価した。
(1)コーティング膜表面の凹凸の数の測定
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、コーティング膜表面の凹凸構造の測定を、2μm×2μmの視野で、原子間力顕微鏡(AFM)で行った。
AFMはBruker社製のDimension Iconを使用した。
観察モードはTappingモードとした。
カンチレバーは長さ125μmのSi製矩形型カンチレバーを使用した。
カンチレバーはNano World社からAR−10Tとして市販されているものであり、ばね定数は40N/m程度とした。
使用するカンチレバーは新品で探針先端の汚染及び摩耗が無いものとした。
得られた表面像に対し、2μm長のラインプロファイルを0.2μm間隔で平行に10箇所抽出し、高低差10〜100nmの凹凸の数をカウントし、平均化した。
(2)空孔率及び膜厚の測定
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、反射分光膜厚計(大塚電子製 型式:FE−3000)を用い、230〜800nmの波長ごとの反射率を測定した。
次に、コーティング膜側の230〜800nmの波長ごとのガラス基材とコーティング膜による干渉している反射した光の強度を測定し、最小二乗法により測定値のフィッティングを行い、コーティング膜の屈折率及び膜厚(nm)を求めた。
さらに空気の屈折率を1、シリカの屈折率を1.46とし、下記式より空孔率を求めた。
(空孔率)=(1.46−(コーティング膜の屈折率))/0.46×100
(3)数平均粒子径の測定
動的光散乱式粒度分布測定装置UPA−UZ152(日機装株式会社製)を用い、コーティング組成物中の重合体粒子の数平均粒子径を評価した。
(4)全光線透過率の測定
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、AOPTEK製分光透過率計ST−100を用いて380〜1100nmの全光線透過率を測定した。
コーティング膜のない試験板(ガラス)の全光線透過率に対し、1.5%以上全光線透過率が高ければ、反射防止性能を有していると判断した。
(5)水接触角の測定
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、コーティング膜表面に脱イオン水の滴(1.0μL)を乗せ、20℃で10秒間放置した後、日本国協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて初期接触角を測定した。塗膜に対する水の接触角が小さいほど、コーティング膜表面の親水性が高いと評価した。
(6)テープ付着防止性の評価
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、コーティング膜表面に日東電工製紙粘着テープ(No.7290)を付着させ、150℃のオーブンで15分間加熱した後に室温まで冷却し、付着させたテープを剥がして、目視により外観を評価した。評価基準は下記のとおりとした。
◎:テープ跡が残らない
○:テープ跡が残るが、アルコール拭きで除去できる
△:アルコール拭き後も薄くテープ跡が残る
×:アルコール拭き後も濃くテープ跡が残る
(7)粉塵付着性の評価
後述する実施例及び比較例で製造した試験板について、カーボンブラック(日本紛体工業製、Class12)をコーティング膜表面に振り掛け、試験板を垂直に立て、カーボンブラックが落ちなくなるまで試験板を叩き、再度カーボンブラックをコーティング膜表面に振り掛けるという操作を計5回繰り返した後に上記(4)と同様に全光線透過率を測定し、試験前後の全光線透過率を比較することにより防汚性を評価した。
試験後の全光線透過率の変化(ΔT)が−2%以内であれば良好な防粉塵付着性を有していると判断した。
(8)水洗浄性の評価
上記(7)粉塵付着性の評価を実施した試験板について、コーティング膜表面を35mL/分の流水で1分間洗浄を実施した後に全光線透過率を測定し、初期(粉塵付着性試験実施前)の全光線透過率に対する、全光線透過率の回復率により水洗浄性を評価した。
試験後の全光線透過率の回復率が80%以上であれば、良好な水洗浄性を有していると判断した。
〔合成例〕
以下、後述する実施例及び比較例において用いた重合体粒子(B)の合成例を記載する。
(合成例1)重合体粒子(B−1)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸7gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層の原料としてジメチルジメトキシシラン130g及びフェニルトリメトキシシラン100gを混合して得られた混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層の原料としてアクリル酸ブチル130g、テトラエトキシシラン200g、フェニルトリメトキシシラン100g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを混合して得られた混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド140g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gを混合して得られた混合液(5)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。その後、混合物(6)にテトラエトキシシラン400gを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約30分かけて滴下して混合液(7)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(7)を約2時間撹拌した。その後、混合物(7)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径90nmの重合体粒子(B−1)の水分散体(固形分10質量%)を得た。
(合成例2)重合体粒子(B−2)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸7gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層の原料としてジメチルジメトキシシラン100g及びフェニルトリメトキシシラン50gを混合して得られた混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。
次に、得られた混合液(3)に、シェル層の原料としてアクリル酸ブチル100g、テトラエトキシシラン200g、フェニルトリメトキシシラン80g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを混合して得られた混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド110g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gを混合して得られた混合液(5)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。その後、混合物(6)にテトラエトキシシラン400gを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約30分かけて滴下して混合液(7)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(7)を約2時間撹拌した。その後、混合物(7)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径35nmの重合体粒子(B−2)の水分散体(固形分10質量%)を得た。
(合成例3)重合体粒子(B−3)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸22gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層の原料としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン151gを混合して得られた混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。次に、得られた混合液(3)に、シェル層の原料としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン145g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gを混合して得られた混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gを混合して得られた混合液(5)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、製水で濃度を調整して数平均粒子径30nmの重合体粒子(B−3)の水分散体(固形分10質量%)を得た。
(合成例4)重合体粒子(B−4)水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、及びドデシルベンゼンスルホン酸4gを投入した後、撹拌しながら80℃に加温して混合液(1)を得た。
得られた混合液(1)に、コア層の原料としてジメチルジメトキシシラン185g及びフェニルトリメトキシシラン72gを混合して得られた混合液(2)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下して混合液(3)を得た。
その後、反応容器中の温度が80℃の状態で混合液(3)を約1時間撹拌した。次に、得られた混合液(3)に、シェル層の原料としてアクリル酸ブチル150g、テトラエトキシシラン30g、フェニルトリメトキシシラン92g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gを混合して得られた混合液(4)と、ジエチルアクリルアミド165g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化(株)製、固形分25質量%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、及びイオン交換水1900gを混合して得られた混合液(5)を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下して混合物(6)を得た。
さらに熱養生として、反応容器中の温度が80℃の状態で混合物(6)を約2時間撹拌した。その後、混合物(6)を室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過し、精製水で濃度を調整して数平均粒子径140nmの重合体粒子(B−4)の水分散体(固形分10質量%)を得た。
〔実施例1〕
重合体粒子(B)として前記(合成例1)で合成した重合体エマルジョン粒子(B−1)の水分散体を用いた。
球状のシリカ微粒子(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)を用いた。
加水分解性珪素化合物(C)としてテトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製)を用いた。
水にシリカ微粒子(A)、重合体粒子(B)、加水分解性珪素化合物(C)を表1に記載の乾燥後の固形分質量比となるよう加え、室温で3時間撹拌し、加水分解性珪素化合物(C)を加水分解させた。その後、塗液のエタノール濃度が50%となるようにエタノールを加え、さらに塗料全体質量に対して3質量%のジメチルスルホキシドを添加し、撹拌し、固形分3質量%のコーティング組成物を得た。
基材(10cm×10cmの白板エンボスガラス:旭硝子製 Solite 全光線透過率91.7%)の平滑面側に、上記コーティング組成物を、スピンコーターを用いて回転数1000rpmで10sec塗布した後、100℃で1分間乾燥し、コーティング膜(F−1)を有する試験板を得た。さらにコーティング膜(F−1)を有する試験板を電気炉中で700℃、3分間焼結した後に、急冷して平均膜厚100nmのコーティング膜を有する試験板(G−1)を得た。
このときコーティング膜(F−1)中の組成比(コーティング組成物の固形分換算で計算した各成分の質量比率と同様)は、(A)/(B)/(C’)=15/100/60となった。
なお、(A)は、上記乾燥後に得られるシリカ微粒子(A)の質量比率であり、(B)は、上記乾燥後に得られる重合体粒子(B)の質量比率であり、(C’)は、上記乾燥後に得られる加水分解性珪素化合物(C)の加水分解縮合物(C’)の質量比率である。
得られた試験板(G−1)の評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
重合体粒子(B)として、前記(合成例2)で合成した重合体粒子(B−2)の水分散体を用い、球状のシリカ微粒子(A)の原料として平均粒子径65nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOYL」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)を用い、コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−2)を得た。
得られた試験板(G−2)の評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−3)を得た。
得られた試験板(G−3)の評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例2〕と同様にして試験板(G−4)を得た。
得られた試験板(G−4)の評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例2〕と同様にして試験板(G−5)を得た。
得られた試験板(G−5)の評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、焼結温度は500℃とし、その他の条件は〔実施例2〕と同様にして試験板(G−6)を得た。
得られた試験板(G−6)の評価結果を表1に示す。
〔実施例7〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例2〕と同様にして試験板(G−7)を得た。
得られた試験板(G−7)の評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−8)を得た。
得られた試験板(G−8)の評価結果を表1に示す。
〔実施例9〕
重合体粒子(B)として、前記(合成例2)で合成した重合体粒子(B−2)の水分散体を用い、球状のシリカ微粒子(A)の原料として平均粒子径5nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOXS」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)を用い、コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−9)を得た。
得られた試験板(G−9)の評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
重合体粒子(B)として、前記(合成例1)で合成した重合体粒子(B−1)の水分散体を用い、球状のシリカ微粒子(A)の原料として平均粒子径65nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスOYL」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)を用い、コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−10)を得た。
得られた試験板(G−10)の評価結果を表1に示す。
〔実施例11〕
重合体粒子(B)として、前記(合成例3)で合成した重合体粒子(B−3)の水分散体を用い、コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−11)を得た。
得られた試験板(G−11)の評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
重合体粒子(B)として、前記(合成例4)で合成した重合体粒子(B−4)の水分散体を用い、コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例2〕と同様にして試験板(G−12)を得た。
得られた試験板(G−12)の評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−13)を得た。
得られた試験板(G−13)の評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
重合体粒子(B)を使用せず、コーティング膜中の組成比は表1に示すとおりとし、その他の条件は〔実施例1〕と同様にして試験板(G−14)を得た。
得られた試験板(G−14)の評価結果を表1に示す。
〔比較例4〕
エタノールを先に添加して加水分解性珪素化合物(C)の加水分解を実施し、その他の条件は実施例11と同様にして試験版(G−15)を得た。
得られた試験板(G−15)の評価結果を表1に示す。
〔比較例5〕
ジメチルスルホキシドを添加せず、その他の条件は実施例11と同様にして試験版(G−16)を得た。
得られた試験板(G−16)の評価結果を表1に示す。
Figure 2017226764
表1に示すように、実施例1〜11においては、優れた反射防止性能を有しながら、テープ付着防止性、砂塵付着防止性、水洗浄性といった防汚性を発揮できることが分かった。
一方、比較例1、4、5は、高低差10〜100nmの凹凸の数が多く、テープ付着防止性は低かった。比較例2は、高低差10〜100nmの凹凸の数が少なく、砂塵付着防止性は低かった。比較例3は、空孔率が低く、反射防止性能は低かった。
本発明のコーティング膜は、反射防止性、砂塵付着防止性、テープ付着防止性に優れているため、太陽電池、太陽熱発電用ミラー、建材、自動車等、屋外で長期間使用される基材の防汚膜及び反射防止膜として産業上の利用可能性を有している。

Claims (11)

  1. 膜内部に空孔を有し、かつ、膜表面に凹凸構造を有するコーティング膜であって、
    空孔率が20%以上50%未満であり、
    AFM測定により観測される前記膜表面の2μmの線上における高低差10nm〜100nmの凹凸の数が、1〜15個である、コーティング膜。
  2. 25℃における水に対する静的接触角が25°未満である、請求項1に記載のコーティング膜。
  3. 金属酸化物粒子(A)を含む、請求項1又は2に記載のコーティング膜。
  4. 太陽電池用カバーガラス表面に形成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング膜の製造方法であって、
    金属酸化物粒子(A)と、重合体粒子(B)と、加水分解性珪素化合物(C)と、を含むコーティング組成物を基材に塗布する工程を含む、コーティング膜の製造方法。
  6. 前記塗布する工程の後、前記コーティング組成物を500℃以上の温度で焼結する工程をさらに含む、請求項5に記載のコーティング膜の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング膜用のコーティング組成物であって、
    金属酸化物粒子(A)、重合体粒子(B)及び加水分解性珪素化合物(C)を含み、
    前記金属酸化物粒子(A)の数平均粒子径が、1.0nm〜100nmであり、前記重合体粒子(B)の数平均粒子径が、10nm〜100nmであり、金属酸化物粒子(A)の数平均粒子径と重合体粒子(B)の数平均粒子径の和が50nm〜150nmである、コーティング組成物。
  8. 前記重合体粒子(B)に対する前記金属酸化物粒子(A)の質量比(A)/(B)が、0.05/1以上1/1以下である、請求項7に記載のコーティング組成物。
  9. 前記重合体粒子(B)に対する前記加水分解性珪素化合物(C)の質量比(C)/(B)が、0.1/1以上1/1以下である、請求項7又は8に記載のコーティング組成物。
  10. 前記重合体粒子(B)が、水及び乳化剤の存在下で、加水分解性珪素化合物(b1)と、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体と、を重合して得られる重合体粒子を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  11. 前記重合体粒子(B)に含まれる加水分解性珪素化合物(b1)が加水分解性官能基を4個以上含む加水分解性珪素化合物(b3)であり、前記重合体粒子(B)中の該加水分解性珪素化合物(b3)の加水分解縮合物の質量比が、20%以上50%以下である、請求項10に記載のコーティング組成物。
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