JP2015034081A - 非常止め装置及びエレベータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した制動性能を発揮し得る非常止め装置及びエレベータ装置を提案する。【解決手段】ガイドレールに案内されて昇降する昇降体の下部に設置され、ガイドレールと摺動する摺動面を備えた制動子と、制動子に押付力を付与して制動子の摺動面をガイドレールに押し付ける弾性体とを備えた非常止め装置において、制動子の摺動面は、ガイドレールと摺動を開始する摺動初期から昇降体が停止するまでの間、ガイドレールと摺動する初期摺動部材と、初期摺動部材が一定量摩耗した後の摺動後期から昇降体が停止するまでの間、ガイドレールと摺動する後期摺動部材とから形成されることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、非常止め装置及びエレベータ装置に関する。
一般に、エレベータ装置においては、規定速度を超えて乗りかごが下降した場合、乗りかごを安全に停止させるための安全装置の一つとして、乗りかご下部に非常止め装置が設置される。非常止め装置は、主として制動子及び弾性体を備えて構成される。
制動子はくさび形状を有し、乗りかごが規定速度を超えて下降した場合、乗りかご上昇方向に変位してガイドレールと摺動する。一方弾性体は、制動子に押付力を付与して制動子をガイドレールに押し付ける。制動子は、弾性体によってガイドレールに押し付けられながら摺動することになるため、ガイドレールとの間で一定の摩擦力が発生し、制動力を発揮する。
特許文献1には、ガイドレールと摺動する摺動面を備えた制動子において、摺動面から突出するように複数のブレーキ片を埋設した構造が開示されている。ブレーキ片は、円柱状又は角を丸めた多角柱状であり、少なくとも1種のセラミックス粒子を分散した複合材料からなるとしている。
特開平10-182031号公報
ここで、一般に制動子の摺動面を単一材とした場合、制動子とガイドレールとが摺動している間の制動子の速度(摺動速度)が低下すると、摺動面の摩擦係数が増加し、制動力が増加する。特許文献1に記載の制動子の摺動面は、セラミックスのみの単一材であることから、上述したように摺動速度の低下に伴って制動子の制動力が増加する。この結果、高加速度が発生し、すなわち急停止し、制動性能が安定しないという課題がある。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、安定した制動性能を発揮し得る非常止め装置及びエレベータ装置を提案するものである。
前記課題を解決するために、本発明における非常止め装置は、ガイドレールに案内されて昇降する昇降体の下部に設置され、ガイドレールと摺動する摺動面を備えた制動子と、制動子に押付力を付与して制動子の摺動面をガイドレールに押し付ける弾性体とを備え、制動子の摺動面は、ガイドレールと摺動を開始する摺動初期から昇降体が停止するまでの間、ガイドレールと摺動する初期摺動部材と、初期摺動部材が一定量摩耗した後の摺動後期から昇降体が停止するまでの間、ガイドレールと摺動する後期摺動部材とから形成されることを特徴とする。
また前記課題を解決するために、本発明におけるエレベータ装置は、昇降体を案内するガイドレールと摺動する摺動面を備えた制動子と、制動子に押付力を付与して制動子の摺動面をガイドレールに押し付ける弾性体とを備えた非常止め装置が昇降体の下部に設置され、制動子の摺動面は、ガイドレールと摺動を開始する摺動初期から昇降体が停止するまでの間、ガイドレールと摺動する初期摺動部材と、初期摺動部材が一定量摩耗した後の摺動後期から昇降体が停止するまでの間、ガイドレールと摺動する後期摺動部材とから形成されることを特徴とする。
本発明によれば、安定した制動性能を発揮することができる。
エレベータ装置の全体構成図である。 非常止め装置の全体構成図である。 摺動初期の制動子の全体構成図である。 摺動後期の制動子の全体構成図である。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
図1は、本実施の形態におけるエレベータ装置100の全体構成を示す。エレベータ装置100は、図示しない建築構造物に立設されたガイドレール1と、このガイドレール1に案内されて昇降する乗りかご2と、この乗りかご2に一端を連結された主ロープ3と、この主ロープ3の他端に連結され、ガイドレール1に案内されて昇降する釣り合いおもり4と、建築構造物に固定され、主ロープ3を巻き掛けて駆動する巻上機5と、建築構造物に支持され乗りかご2の昇降速度を検出する調速機6と、この調速機6に巻き掛けられ乗りかご2と同期して移動する調速機ロープ7と、乗りかご2に支持され調速機ロープ7に連結される引き上げ機構8と、引き上げ機構8の端部に連結され、乗りかご2の下部に取り付けられる非常止め装置10とを備えて構成される。
このように構成されたエレベータ装置100において、乗りかご2が何らかの事由により規定速度を超過して下降した場合、非常止め装置10が作動する。
図2は、非常止め装置10の全体構成を示す。非常止め装置10は、ガイドレール1との摺動面に対向するように対となって配置されるとともに、反ガイドレール側に勾配面を有するくさび形状の制動子11と、乗りかご2が規定速度を超過したときにそれぞれの制動子11をガイドレール1に押し付ける弾性体、例えばU字形の板ばね12と、制動子11の反ガイドレール側に沿って配置される一対のローラ14と、ローラ14と板ばね12との間に配置されるとともに、ローラ14側には制動子11の勾配面と平行の勾配面を有する一対のガイド13とを備えて構成される。
乗りかご2が何らかの理由により規定速度を超過して下降していることを調速機6が検知した場合、調速機6に巻き付けられている調速機ロープ7が把持され、制動子11が引き上げ機構8により引き上げられる。引き上げ機構8により引き上げられた制動子11は、摺動面がガイドレール1と接触して摺動する一方で、勾配面はローラ14及びガイド13を介して板ばね12を弾性変位させる。弾性変位した板ばね12は、制動子11をガイドレール1に押し付ける押付力を制動子11に付与する。その結果、板ばね12による押付力と、制動子11の摺動面における摩擦とによって、乗りかご2が停止する。
図3は、摺動初期の制動子11の全体構成を示す。制動子11は、ガイドレール1との摺動面において多層構造を有して構成される。具体的に制動子11の摺動面は、摺動初期から乗りかご2が停止するまでの間、ガイドレール1と摺動する初期摺動部材15と、初期摺動部材15が摺動により摩耗した後の摺動後期から乗りかご2が停止するまでの間、初期摺動部材15とともにガイドレール1と摺動する後期摺動部材16とから構成される。
初期摺動部材15は、金属材料で構成されたガイドレール1との摺動において、高い摩擦係数を発生させることができる金属材料により構成される。一方、後期摺動部材16は、ガイドレール1との摺動において、金属材料と比較して低い摩擦係数を発生させることができ、かつ、耐摩耗性に優れたセラミックスにより構成される。
ここで、非常止め装置10の制動力は、板ばね12の押付力と、摺動面の摩擦係数との積により求められる。高加速度(急停止)を発生させないように制動力を一定量だけ減少させるためには、板ばね12の押付力又は摺動面の摩擦係数を減少させればよい。
本実施の形態においては、初期摺動部材15が摺動を開始する摺動初期から、後期摺動部材16が初期摺動部材15とともに摺動を開始する摺動後期までの間、初期摺動部材15は摺動により摩耗する。摩耗した厚さ分だけ、板ばね12の変位量が減少するため、板ばね12の押付力を減少させることができる。よって制動力を減少させることができる。
図4は、摺動後期以降の制動子11の全体構成を示す。摺動後期以降の制動子11は、初期摺動部材15が摺動により摩耗して、初期摺動部材15と後期摺動部材16とが同一摺動面上に配置して構成される。後期摺動部材16は、セラミックスで構成されているため耐摩耗性が高い。そのため後期摺動部材16が摺動を開始した摺動後期以降の制動子11の摺動面の摩耗は小さい。よって乗りかご2を停止できない程に板ばね12の押付力が減少することはない。
また図3及び図4に示すように、制動子11の摺動面の摩擦係数は、初期摺動部材15のみでの摩擦係数をμとし、初期摺動部材15と後期摺動部材16全体での摩擦係数μ’とした場合、μ>μ’の関係がある。よって摺動後期以降は、摺動面の摩擦係数が減少するため、制動力を減少させることができる。
以上のように本実施の形態によれば、摺動初期から摺動後期までの間においては、初期摺動部材15の摩耗により板ばね12の押付力を減少させ、また摺動後期以降においては、摩擦係数μ’を摩擦係数μよりも低くなるようにして制動力を減少させるようにしたので、高加速度(急停止)を発生させることなく安定した制動性能を発揮することができる。特に摺動速度が低速になる摺動後期以降に発生する高加速度を抑制して、安定した制動性能を発揮することができる。
なお本実施の形態における制動子11の摺動面は、初期摺動部材15及び後期摺動部材16を配置し、後期摺動部材16は、初期の摺動面よりも下層の位置となるように埋設して配置する構成を採用したが、必ずしもこれに限らず、摺動初期には初期摺動部材15のみが摺動するとともに摩耗し、摺動後期以降には初期摺動部材15及び後期摺動部材16の両方が摺動するようにした多層構造であればよい。
また本実施の形態における制動子11は、初期摺動部材15が摩耗した後、初期摺動部材15及び後期摺動部材16の両方が摺動するように構成されていることから、1度使用された場合、基本的には取り替える必要がある。しかし万が一、制動子11の取り替えを忘れた場合であっても、摺動後期以降の制動子11(図4)は、板ばね12による一定の押付力及び摺動面の摩擦係数μ’によって乗りかご2を停止させることができる。
また本実施の形態においては、昇降体である乗りかご2に取り付けられた非常止め装置10について説明してきたがこれに限らず、同様に昇降体である釣り合いおもり4に非常止め装置10を取り付けた場合であっても、同様の制動性能を発揮することができる。
1 ガイドレール
2 乗りかご
3 主ロープ
4 釣り合いおもり
5 巻上機
6 調速機
7 調速機ロープ
8 引き上げ機構
10 非常止め装置
11 制動子
12 板ばね(弾性体)
13 ガイド
14 ローラ
15 初期摺動部材(金属材料)
16 後期摺動部材(セラミックス)

Claims (4)

  1. ガイドレールに案内されて昇降する昇降体の下部に設置され、前記ガイドレールと摺動する摺動面を備えた制動子と、前記制動子に押付力を付与して前記制動子の摺動面を前記ガイドレールに押し付ける弾性体とを備えた非常止め装置において、
    前記制動子の摺動面は、
    前記ガイドレールと摺動を開始する摺動初期から前記昇降体が停止するまでの間、前記ガイドレールと摺動する初期摺動部材と、
    前記初期摺動部材が一定量摩耗した後の摺動後期から前記昇降体が停止するまでの間、前記ガイドレールと摺動する後期摺動部材とから形成される
    ことを特徴とする非常止め装置。
  2. 前記初期摺動部材は、金属材料から構成され、
    前記後期摺動部材は、セラミックスから構成される
    ことを特徴とする非常止め装置。
  3. 前記昇降体は、乗りかご又は釣合おもりである
    ことを特徴とする非常止め装置。
  4. 昇降体を案内するガイドレールと摺動する摺動面を備えた制動子と、前記制動子に押付力を付与して前記制動子の摺動面を前記ガイドレールに押し付ける弾性体とを備えた非常止め装置が前記昇降体の下部に設置されるエレベータ装置において、
    前記制動子の摺動面は、
    前記ガイドレールと摺動を開始する摺動初期から前記昇降体が停止するまでの間、前記ガイドレールと摺動する初期摺動部材と、
    前記初期摺動部材が一定量摩耗した後の摺動後期から前記昇降体が停止するまでの間、前記ガイドレールと摺動する後期摺動部材とから形成される
    ことを特徴とするエレベータ装置。
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