JP2015033164A - 自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリが過大な電力で充電されると共にドライバの違和感を抑制する。【解決手段】アクセルがオフされた場合、バッテリの充電が制限されており且つ車速Vが所定車速Vref以上であるときには、エンジンにおける燃料噴射や点火制御を停止して、シフト位置SPがDレンジまたはSレンジであるときには(ステップS100)、要求トルクTr*の絶対値から所定トルクTαを減じたトルクに値−1を乗じたものをエンブレ保証トルクTebとして設定し(ステップS120)、エンブレ保証トルクTeb以上の回生トルクをモータから駆動軸に出力しながら走行するようモータを制御する。これにより、バッテリが過大な電力で充電されることを抑制すると共に、ドライバが違和感を覚えることを抑制することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車に関し、詳しくは、車軸に連結された駆動軸に回生トルクを出力可能なモータと、このモータと電力をやりとりするバッテリと、を備える自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、バッテリからの電力供給を受けて回転するモータが搭載されたものにおいて、減速時には、モータの回転数が第1回転数以上第2回転数以下であるときには値0から徐々に減少する(絶対値としては大きくなり)回生トルクが出力され、第2回転数を超えると一定値となる回生トルクがモータから出力されるようモータを制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、バッテリの電圧が一定の値以上であってモータの回転数が第2回転数より高い第3回転数以上であるときには、モータの回転数が高くなるにつれて低くなる回生トルクがモータから出力されるようモータを制御することにより、バッテリが過充電になることを抑制している。
特開2002−34106号公報
しかしながら、上述の自動車では、モータの回転数が第3回転数以上であるときにおいて、バッテリの電圧が一定の値以上であるときとバッテリの電圧が一定の値未満であるときとで、モータの回転数に対する回生トルクの変化が異なるため、ドライバが違和感を覚える場合がある。
本発明の自動車は、アクセルオフされたときにバッテリが過大な電力で充電されることを抑制すると共にドライバが違和感を覚えることを抑制することを主目的とする。
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動車は、
車軸に連結された駆動軸に回生トルクを出力可能なモータと、前記モータと電力をやりとりするバッテリと、を備える自動車であって、
アクセルがオフされた場合において、前記バッテリの充電が制限されており且つ車速が所定の低車速以上であるときには、要求回生トルク下限値以上の回生トルクを前記駆動軸に出力しながら走行するよう前記モータを制御する制御手段
を備え、
前記制御手段は、アクセルオフされた場合であって前記バッテリの充電が制限されていないときの要求回生トルクから所定量減じたトルクを前記要求回生トルク下限値とする手段である
ことを要旨とする。
この本発明の自動車では、アクセルがオフされた場合において、バッテリの充電が制限されており且つ車速が所定の低車速以上であるときには、要求回生トルク下限値以上の回生トルクを駆動軸に出力しながら走行するようモータを制御し、アクセルオフされた場合であってバッテリの充電が制限されていないときの要求回生トルクから所定量を減じたトルクを要求回生トルク下限値とする。これにより、バッテリの充電が制限されているときでもバッテリの充電が制限されていないときと近い減速感を演出することができ、バッテリが過大な電力で充電されることを抑制すると共にドライバが違和感を覚えることを抑制することができる。ここで、「要求回生トルク」とは、モータに要求される回生トルクであるものとする。
こうした本発明の自動車において、前記制御手段は、要求回生トルク下限値が値0より小さいときには、値0を前記要求回生トルク下限値とする手段であるものとすることもできる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 HVECU70のCPU72により実行されるエンブレ保証トルクを設定するためのエンブレ保証トルク設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 アクセルオフ時にシフト位置SPがDレンジ、Bレンジにあるときの要求トルクTr*とエンブレ保証トルクTebと車速Vとの関係の一例を示す説明図である。 アクセルオフ時にシフト位置がDレンジにあるときにバッテリ50の充電が制限されておらず要求トルクTr*がそのままトルク指令Tm2に設定された場合の比較例と本実施例とにおける駆動軸36に出力されるトルクとバッテリ50を充放電するパワー(バッテリ50を充電するときには負の値)の時間変化の一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪34a,34bにデファレンシャルギヤ32を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、図示しない複数のスイッチング素子のスイッチングによってモータMG1,MG2を駆動するインバータ41,42と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。
HVECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフト位置センサ82からのシフト位置SP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号などエンジン22の運転制御に必要な信号,モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの信号などモータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧などバッテリ50を管理するのに必要な信号などが入力ポートを介して入力されている。また、HVECU70からは、エンジン22の運転制御をするための運転制御信号やインバータ41,42へのスイッチング制御信号などが出力されている。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、シフトレバー81のシフト位置SPとして、駐車時に用いる駐車レンジ(Pレンジ)、後進走行用のリバースレンジ(Rレンジ)、中立のニュートラルレンジ(Nレンジ)、前進走行用の通常のドライブレンジ(Dレンジ)の他に、アクセルオン時の駆動力の設定等はDレンジと同一であるが走行中のアクセルオフ時に車両に作用させる制動力がDレンジより大きく設定されるブレーキレンジ(Bレンジ)、アップシフト指示レンジおよびダウンシフト指示レンジを有するシーケンシャルシフトレンジ(Sレンジ)が用意されている。ここで、Sレンジは、アクセルオン時の駆動力や走行中のアクセルオフ時の制動力を例えば6段階(S1〜S6)に変更するレンジであり、アップシフト指示レンジを操作してアップシフトする毎にアクセルオン時の駆動力と走行中のアクセルオフ時の制動力は小さくなり、ダウンシフト指示レンジを操作してダウンシフトする毎にアクセルオン時の駆動力と走行中のアクセルオフ時の制動力は大きくなる。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとシフト位置SPとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2との運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようエンジン22とモータMG1とモータMG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、HVECU70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとシフト位置SPとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*(シフト位置SPが前進走行用のレンジである場合、制動力であるときには負の値)を設定し、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrv*を計算すると共に計算した走行用パワーPdrv*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定する。そして、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定しエンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によってモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定する。そして、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、モータMG1,MG2が設定したトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとシフト位置SPとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する。そして、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
こうしたエンジン運転モードやモータ運転モードによりエンジン22とモータMG1,MG2が制御される状態でアクセルペダル83がオフされたときには、HVECU70のCPU72は、基本的には、車速センサ88からの車速Vと、シフト位置SPと、車速Vとシフト位置SPとアクセルオフ時の要求トルクTr*との関係を定めたアクセルオフ時要求トルク設定用マップとに基づいて、駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を設定する。アクセルオフ時要求トルク設定用マップでは、シフトレンジが前進走行用のDレンジ,Bレンジ、Sレンジのときには、車速Vが所定車速Vref(例えば、20km/時)以上で要求トルクTr*を値0以下であるものとした。また、シフト位置SPがBレンジのときには、Dレンジのときよりも要求トルクTr*が小さくなる(制動力として大きくなる)と共に、シフト位置SPがSレンジのときにはS6からS1へ段数が小さくなるほど小さくなる(制動力として大きくなる)ものとした。さらに、シフトレンジが後進走行用のRレンジであるときには、車速Vが所定車速Vref以上で要求トルクTr*を値0以上であるものとした。
続いて、入力した車速Vとシフト位置SPとに基づいて燃料噴射を停止した(燃料カットした)エンジン22をモータリングにより強制的に回転させる際のその回転数の目標値である目標回転数Netagを設定し、エンジン22の回転数Neを目標回転数Netagにするための回転数フィードバック制御によってモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定する。
そして、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸36に出力するトルクとしてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御を停止すると共にモータMG1,MG2が設定したトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、アクセルオフされたときには、バッテリ50の入力制限Winの範囲内でモータMG2から回生トルクを駆動軸36に出力してエンジンブレーキ感を演出することができる。
こうしたハイブリッド自動車20において、バッテリ50の充電が比較的大きく制限されているときにアクセルがオフされたとき、入力制限Winの範囲内でモータMG2から回生トルクを駆動軸36に出力すると、駆動軸36に出力される回生トルクが小さくなり、ドライバが空走感を覚えることがある。これを回避するために、車速Vが所定車速Vref以上であるとき、つまり、アクセルオフ時の要求トルクTr*が制動力であるときには、ドライバが期待するエンジンブレーキ感を演出することができるトルクの下限値としてのエンブレ保証トルクTeb(絶対値が要求回生トルク下限値)を設定し、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸36に出力するトルクとしてモータMG2の仮トルクTm2tmpを設定し、仮トルクTm2tmpとエンブレ保証トルクTebとのうち絶対値の大きいほうのトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御を停止すると共にモータMG1,MG2が設定したトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。なお、エンブレ保証トルクTebの設定については後述する。
ここで、バッテリ50の充電が比較的大きく制限されているときとは、例えば、バッテリ50の温度がバッテリ50への充電を制限する所定の温度(例えば、65℃,70℃,80℃)以上ときやバッテリ50が蓄電可能な全容量に対する蓄電されている容量の割合SOCが所定割合(例えば、70%,75%,80%)以上のときなどバッテリ50の入力制限Winが比較的大きい(絶対値として小さい)ときやモータMG2の温度が高く(例えば、155℃,160℃,165℃以上など)モータMG2の駆動が比較的大きく制限されているときなどである。
こうした制御により、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸36に出力するトルク(仮トルクTm2tmp)の絶対値がエンブレ保証トルクTebの絶対値未満になったときには、エンブレ保証トルクTebがモータMG2のトルク指令Tm2*に設定されることになる。これにより、エンブレ保証トルクTebの絶対値以上の回生トルクをモータMG2から駆動軸36に出力することができ、ドライバが期待するエンジンブレーキ感を演出することができる。
ここで、エンブレ保証トルクTebの設定について説明する。図2は、HVECU70のCPU72により実行されるエンブレ保証トルクを設定するためのエンブレ保証トルク設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、車速Vが所定車速Vref以上となったときに実行される。
エンブレ保証トルク設定処理ルーチンが実行されると、HVECU70のCPU72は、まず、シフト位置SPがDレンジまたはBレンジであるか否か(ステップS100)やシフト位置SPがRレンジであるか否かを調べる処理を実行する(ステップS110)。シフトレンジがDレンジまたBレンジのときには、要求トルクTr*の絶対値(要求回生トルク)から所定トルクTαを減じた値に値−1を乗じたものをテンポラリTebtmpに設定し(ステップ120)、テンポラリTebtmpと値0とのうち小さいほうの値をエンジン保証トルクTebに設定し(ステップS130)、本ルーチンを終了する。所定トルクTαは、駆動軸36に出力される回生トルクを要求回生トルクより所定トルクTαだけ小さい値にしても、ドライバが空走感を覚えない程度の値として実験や解析などで求めたものを用いるものとした。
図3は、アクセルオフ時にシフト位置SPがDレンジ、Bレンジにあるときの要求トルクTr*とエンブレ保証トルクTebと車速Vとの関係の一例を示す説明図である。図中、実線はエンブレ保証トルクTebを示しており、破線はアクセルオフ時の要求トルクTr*を示している。このように、エンブレ保証トルクTebは、要求トルクTr*の変化に追従した値になり、モータMG2のトルク指令Tm2*は、こうしたエンブレ保証トルクTebの絶対値以上の回生トルクとして設定されることになる。
シフト位置SPがRレンジであるときには(ステップS100,S110)要求トルクTr*の絶対値(要求回生トルク)から所定トルクTαを減じた値をテンポラリTebtmpに設定し(ステップ140)、テンポラリTebtmpと値0とのうち大きいほうの値をエンジン保証トルクTebに設定し(ステップS150)、本ルーチンを終了する。こうした処理により、エンブレ保証トルクTebを、要求トルクTr*より若干小さい値であって要求トルクTr*の変化に追従した値にすることができる。
シフト位置SPがD,B,Rレンジのいずれでもない場合、すなわち、シフト位置SPがSレンジであるときには(ステップS100,S110)、要求トルクTr*をエンジン保証トルクTebに設定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。こうした処理により、エンブレ保証トルクTebを要求トルクTr*と同じ値に設定することができる。
こうしてエンブレ保証トルクが設定されると、モータMG2のトルク指令Tm2*は、エンブレ保証トルクTebの絶対値以上の回生トルクとして設定され、エンブレ保証トルクTebの絶対値以上の回生トルクがモータMG2から駆動軸36に出力されるようモータMG2が制御される。
図4は、アクセルオフ時にシフト位置がDレンジにあるときにバッテリ50の充電が制限されておらず要求トルクTr*がそのままトルク指令Tm2に設定された場合の比較例と本実施例とにおける駆動軸36に出力されるトルクとバッテリ50を充放電するパワー(バッテリ50を充電するときには負の値)の時間変化の一例を示す説明図である。図中、実施例を実線で表し、比較例を破線で表し、入力制限Winを一点鎖線で表すものとした。実施例では、図示するように、駆動軸36に出力される回生トルクが小さくなっており、バッテリ50の充電パワーも小さくなっている。また、実施例と比較例とにおいて、駆動軸36に出力されるトルクは絶対値は異なるものの時間変化に対してほぼ同じ変化をする。つまり、バッテリ50が過大な電力で充電されることを抑制すると共に、バッテリ50の充電が制限されているときでもバッテリ50の充電が制限されていないときと近いエンジンブレーキ感を演出することができ、バッテリ50の充電が制限されているときでもバッテリ50の充電が制限されていないときとでエンジンブレーキ感が異なりドライバが違和感を覚えることを抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルがオフされた場合において、バッテリ50の充電が制限されており且つ車速Vが所定車速Vref以上であるときには、エンジン22における燃料噴射や点火制御を停止して、エンブレ保証トルクTbeの絶対値(要求回生トルク下限値)以上の回生トルクをモータMG2から駆動軸36に出力しながら走行するようモータMG1,MG2を制御する。これにより、バッテリ50が過大な電力で充電されることを抑制すると共に、ドライバが違和感を覚えることを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、所定車速Vrefをアクセルオフ時の要求トルクTr*が値0になる車速としたが、所定車速Vrefはこうした車速に限定されるものではなく、シフト位置SPがDレンジ、Bレンジのときには要求トルクTr*が所定トルクTαだけ大きくなる車速としたり、シフト位置SPがRレンジのときには要求トルクTr*が所定トルクTαだけ小さくなる車速としたり、必要なエンジンブレーキ感に応じて適宜定めることができる。
実施例のハイブリッド自動車20は、2つのモータMG1およびMG2とプラネタリギヤ30とを含むものであるが、本発明が適用される自動車は、エンジンにより駆動される第1モータと、走行用の動力および回生トルクを出力する第2モータとを備えるシリーズ方式のハイブリッド車両であってもよく、エンジンと、少なくとも回生トルクを出力可能なモータを備えるパラレル式(1モータ式)のハイブリッド自動車であってもよく、モータのみを走行用の動力発生源として備える電気自動車であってもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「モータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、アクセルがオフされた場合において、バッテリ50の充電が制限されており且つ車速Vが所定車速Vref以上であるときには、エンジン22における燃料噴射や点火制御を停止して、図2に例示したエンブレ保証トルク設定処理ルーチンにより設定したエンブレ保証トルクTeb(要求回生トルク下限値)以上の回生トルクをモータMG2から駆動軸36に出力しながら走行するようモータMG1,MG2を制御するHVECU70が「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 デファレンシャルギヤ、34a,34b 駆動輪、35a,35b 車輪、36 駆動軸、41,42 インバータ、50 バッテリ、70 HVECU、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフト位置センサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルレンジセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (1)

  1. 車軸に連結された駆動軸に回生トルクを出力可能なモータと、前記モータと電力をやりとりするバッテリと、を備える自動車であって、
    アクセルがオフされた場合において、前記バッテリの充電が制限されており且つ車速が所定の低車速以上であるときには、要求回生トルク下限値以上の回生トルクを前記駆動軸に出力しながら走行するよう前記モータを制御する制御手段
    を備え、
    前記制御手段は、アクセルオフされた場合における前記バッテリの充電が制限されていないときの要求回生トルクから所定量減じたトルクを前記要求回生トルク下限値とする手段である
    自動車。
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