JP2015032097A - 転がり軸受の動力学解析方法および解析装置 - Google Patents

転がり軸受の動力学解析方法および解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 流体の中で運動する転がり軸受において、転動体および保持器の運動および接触部のすべり状態、保持器に作用する力、およびこれにより生じる保持器の応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる動力学解析方法および装置を提供する。
【解決手段】 転がり軸受の動力学解析モデルを設定する。このモデルは、転動体と保持器2次元上または3次元上の運動の自由度と、必要に応じて軌道輪の運動の自由度を考慮する。前記転がり軸受の各構成部品は剛体と仮定し、これらの構成部品間の接触部の垂直力と摩擦力およびこれら垂直力と摩擦力によるモーメントを考慮する。この転がり軸受の動力学解析モデルに、軸受内部に存在する流体から転動体および保持器に作用する力とモーメントを導入する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、保持器に作用する力やこれにより生じる応力および保持器や転動体の挙動の解析方法および解析装置に関し、動力学解析により数値計算する技術に関する。
転がり軸受の保持器の設計には、保持器の動的な挙動や応力履歴の把握が重要であり、その解明には動力学解析が有効である。これまでに、保持器が剛体のままでの動力学解析が存在し、保持器に作用する力を数値計算で求める技術が実用に供されている(たとえば非特許文献1参照)。前記数値計算で求めた保持器への干渉力をFEM解析に導入し、保持器に生じる応力を計算することが考えられる。軸受全部品をFEMソフト上に導入し,その中で動力学計算をすることも考えられる(たとえば非特許文献2参照)。
上記のFEM解析による保持器応力の計算では、多大な計算時間が必要となるため、より短時間で計算可能なモード合成法を用いた保持器の応力解析方法が行われている(特許文献1)。
一方、転がり軸受が潤滑油やエアオイルあるいは空気を含む冷却用流体の中で高速に回転すると、転動体や保持器に流体からの力が作用し、高速回転下においてはスキッディングと呼ばれる転動面および軌道面の表面損傷が生じる。この対策には、転動体の個数を減らすこと(特許文献2)や、外輪の軌道を非真円形にすることなどが行われている。(特許文献3)
スキッディングは、転動体に作用する抵抗力が軌道面から転動体に作用する駆動力よりも大きくなると発生すると考えられるが、スキッディングの発生条件の予測は容易でない。理論解析(非特許文献3)によるスキッディングの予測も行われているものの、簡易的であり、実験や実績などの経験に基づく対策が行われている。(特許文献2)
また、(非特許文献4)では、流体から転動体に作用する抵抗力および転動体および保持器の円筒形状部の表面に作用する抵抗モーメントの簡易計算式が示され、これを考慮した転がり軸受の動力学の解析が行われている。
特開2012−26500号公報 特開2001−27246号公報 特開平7−27134号公報 特許5111048号公報
(社)日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集,2004-11,円すいころ軸受 保持器の3次元動力学解析 第2報 計算結果) (社)日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集,2001-11,FEMによる玉軸受の動解析 保持器の応力解析(第1報) 転がり軸受運動摩擦解析プログラムパッケージ"Brain"NSK Technical Journal No.663 (1997) Advanced Dynamics of Rolling Elements, Gupta, 1984 T. Sakaguchi & K. Harada: ASME J. Tribol., 128(2006)604-611
前記従来技術では、次のような問題がある。
(1)特許文献1では、保持器の応力を計算できるが、高速回転下で問題となるスキッディングのような現象を予測することは、流体から転動体や保持器に作用する力を考慮していないため、困難である。
(2)非特許文献3に係る技術では、流体から転動体に作用する抵抗力は考慮されているものの、転動体の自転に対する抵抗モーメントおよび保持器に作用する抵抗力が考慮されていなく、かつ、この抵抗力の具体的な計算式は不明である。よって、例えば、流体の種類が変わった場合のスキッディングの予測計算はできない。
(3)非特許文献4に係る技術では、流体から玉に作用する自転に対する抵抗モーメントの計算式が示されていない。また、保持器には必須のポケット部において生じる流体からの抵抗モーメントも示されていない。そのため、精度のよい検討はできない。
この発明の目的は、流体の中で運動する転がり軸受において、転動体および保持器の運動および接触部のすべり状態、保持器に作用する力、およびこれにより生じる保持器の応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる転がり軸受の動力学解析方法および解析装置を提供することである。
この発明の転がり軸受の動力学解析方法は、転がり軸受の転動体から保持器への干渉力、保持器の挙動、および転動体の挙動のいずれかを少なくとも求める動力学解析方法であって、前記転動体と保持器の2次元上または3次元上の運動の自由度を考慮し、またはさらに軌道輪の運動の自由度を考慮し、前記転がり軸受の各構成部品である内輪、外輪、および転動体は剛体と仮定し、これらの構成部品間の接触部の垂直力と摩擦力およびこれら垂直力と摩擦力によるモーメントを考慮した、転がり軸受の動力学解析モデルに、軸受内部に存在する流体から転動体および保持器に作用する力とモーメントを導入したことを特徴とする。
この解析方法によると、流体の中で運動する転がり軸受において、転動体および保持器の運動および接触部のすべり状態、保持器に作用する力、およびこれにより生じる保持器の応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる。この解析方法を用いれば、例えば前述のスキッディング損傷の発生を事前に精度よく予測することが可能になる。また、保持器に作用する力およびこれにより生じる保持器の応力を精度よく予測でき、信頼性の高い保持器の設計に有効である。
この発明の解析方法において、前記転がり軸受が玉軸受であり、玉に作用するモーメントの向きは転動体の自転方向の逆向きとしても良い(第2の解析方法の特徴)。これにより、計算の効率化と十分な計算精度を両立できる。
この発明の解析方法において、CFD解析(CFD;Computational Fluid Dynamics)で、流体から転動体および保持器に作用する力とモーメントを求め、これらのモーメントを代表する数式を導入しても良い(第3の解析方法の特徴)。CFD解析は流体解析とも呼ばれる。
流体から転動体および保持器に作用する抵抗力および抵抗モーメントは、CFD解析から得ることで、流体の種類や流れ状態が変化しても、精度よく流体からの力学的な作用を計算することができ、結果として、動力学解析の精度も向上する。また、CFD解析は転がり軸受の動力学解析に先立って行うのみであり、2つの解析を同時に連成して流す必要がなく、効率的な計算が可能となる。
この発明の解析方法において、保持器のポケットの中央に対し、回転方向の前後方向に対称な少なくとも2点に流体から保持器に作用する力を分割して負荷しても良い(第4の解析方法の特徴)。
前記流体から転動体および保持器に作用する抵抗力およびモーメントを動力学解析に導入する数式において、ポケット内の転動体の位置による影響を考慮した数式であっても良い(第5の解析方法の特徴)。
この発明の解析方法において、前記保持器を弾性体と仮定として、保持器の弾性変形および発生応力を求めるようにしても良い(第6の解析方法の特徴)。上記の解析では、例えば有限要素法により保持器の弾性変形を考慮し、また、この弾性変形の履歴から保持器に生じる応力を算出可能とする。
保持器の弾性変形を同時に考慮する場合は、保持器の挙動および転動体や軌道輪から保持器に作用する力の計算精度が向上し、また、これにより生じる保持器の応力が算出可能となり、保持器の詳細な強度検討が可能となる。
前記第6の解析方法の特徴を備える解析方法において、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モード(拘束変形モード)と固有変形モードをモード合成法に基づき導入する工程と、前記工程で導入される弾性変形の自由度と、予め定める軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する工程と、前記工程で算出される変形履歴を応力分布に変換し、該変換された保持器応力を出力する工程とを含み、保持器の各柱に超要素法の自由度を設定しても良い。このように保持器の弾性変形を考慮し、また、この弾性変形の履歴から保持器に生じる応力を算出可能としても良い(第7の解析方法の特徴)。
この方法によると、動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性(超要素法により求めた固有変形モードとその周波数ならびに拘束変形モードとその周波数)をモード合成法に基づき導入し、弾性変形の自由度と、予め定める軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分する。これによって、変形の動特性を含む保持器の変形履歴が得られる。演算手段はこの変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を得る。また、上記動力学解析モデルにおいて、保持器の他の構成部品は、剛体とみなす。したがって、運転中の保持器応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる。
この発明の解析方法において、前記転がり軸受が、流体中または流体の流れによる潤滑で使用される転がり軸受であっても良い(第8の解析方法の特徴)。ここで、「流体中または流体の流れによる潤滑で使用される」とは、オイルミスト、油浴、およびジェットのいずれかによる潤滑形式で用いられる場合を含む。また,ロケットのターボポンプ用軸受のように、軸受の冷却を目的に軸受内を多量の液体推進剤が流れる場合であってもよい。
この発明の転がり軸受の動力学解析装置は、入力手段32と演算手段33と出力手段34とを含み、転がり軸受の転動体から保持器への干渉力、保持器の挙動、および転動体の挙動のいずれかを少なくとも求める転がり軸受の動力学解析装置であって、
前記演算手段33は、軸受内部を流れる流体から玉および保持器に作用する力とモーメントを求めるCFD解析部33eと、
前記転動体と保持器の2次元上または3次元上の運動の自由度を考慮し、またはさらに軌道輪の運動の自由度を考慮し、前記転がり軸受の各構成部品である内輪、外輪、および転動体は剛体と仮定し、これらの構成部品間の接触部の垂直力と摩擦力およびこれら垂直力と摩擦力によるモーメントを考慮し、かつ、前記の流体から玉および保持器に作用する力とモーメントを考慮した、転がり軸受の動力学解析モデルを設定した動力学解析モデル設定部33aと、前記動力学解析モデルに、内外輪の荷重および回転速度などの運転条件に応じて軌道から転動体および保持器への干渉力、転動体から保持器への干渉力、保持器の挙動、および転動体の挙動を求める動力学解析部33bと、この動力学解析部33bで求めた結果を前記出力手段34へ出力する出力処理部33cと、を有することを特徴とする。
この構成の動力学解析装置によると、この発明の動力学解析方法につき説明したと同様に、流体の中で運動する転がり軸受において、転動体および保持器の運動および接触部のすべり状態、保持器に作用する力、およびこれにより生じる保持器の応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる。この解析方法を用いれば、例えば前述のスキッディング損傷の発生を事前に精度よく予測することが可能になる。また、保持器に作用する力およびこれにより生じる保持器の応力を精度よく予測でき、信頼性の高い保持器の設計に有効である。
この発明の転がり軸受の動力学解析方法および解析装置によると、動力学解析モデルに、流体から転動体および保持器に作用する抵抗力および抵抗モーメントを簡易的に導入することで、精度よく、転動体や保持器の挙動および保持器に作用する力を計算できる。
また、保持器の弾性変形を同時に考慮する場合は、保持器の挙動および転動体や軌道輪から保持器に作用する力の計算精度が向上し、また、これにより生じる保持器の応力が算出可能となり、保持器の詳細な強度検討が可能となる。
この発明の第1の実施形態における転がり軸受の動力学解析方法の解析対象となるアンギュラ玉軸受の一例を示す断面図である。 同解析方法における解析モデルの周期境界条件を用いた玉1つ分の解析対象となる領域の説明図である。 同解析方法における解析モデルの助走区間を含めた解析領域の説明図である。 同解析方法における解析モデルの架空の壁であるバッフルの説明図である。 同解析方法における解析モデルの回転速度の影響を示す説明図である。 同解析方法における玉に作用する流体力のグラフである。 同解析方法における玉に作用するモーメントのグラフである。 同解析方法における保持器に作用する流体力のグラフである。 同解析方法におけるポケット内での玉の位置を変えた場合の流体力のグラフである。 同解析方法における回転速度と流体力の関係を示すグラフである。 同解析方法における回転速度と流体力の関係を示す他のグラフである。 同解析方法で考慮した玉に作用する力の模式図である。 同解析方法において接触楕円を長径方向に分割し,トラクションとこれによるモーメントをスライスごとに考慮する説明図である。 同解析方法における流体から受ける力が作用する2点の説明図である。 同解析方法における保持器中心のラジアル面内の軌跡のグラフである。 同解析方法における玉と保持器ポケット間の干渉力の説明図である。 同解析方法における保持器と外輪間の干渉力の大きさを示すグラフである。 同解析方法におけるモード合成法により求めた保持器に生じる最大の主応力の説明図である。 図18のコンターをグレー化した図である。 この発明の第1の実施形態に用いる転がり軸受の動力学解析装置の電気的構成および概念構成を示すブロック図である。 他の実施形態の前提となる転がり軸受の動力学解析モデルおよび座標系を表す図である。 同実施形態に係る応力解析方法を段階的に表すフローチャートである。 同解析方法に用いる応力解析装置の電気的構成および概念構成を表すブロック図である。 同解析方法に用いる円すいころ軸受の保持器の各柱に自由度を設定する一例を表す斜視図である。 同解析方法に運転中の軸受の保持器への干渉力、および保持器応力の計算結果例を表す図である。 保持器寿命の測定値と、保持器の最大Mises応力の計算値との関係を表す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る応力解析装置において、2次元自由度に限定する拘束条件ならびに自由度の設定方法を説明するための図であり、図27(a)は保持器の斜視図、図27(b)は保持器要部の斜視図である。 さらに他の実施形態に係り、軸受中心のラジアル平面で切断した動力学解析上の軸受モデルの斜視図である。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
この発明の第1の実施形態に係る動力学解析方法を説明する。この解析方法は、たとえば、玉軸受に適用される。ただし玉軸受だけに必ずしも限定されるものではなく、種々の転がり軸受に適用される。以下の説明は、3次元での玉軸受の動力学解析の場合である。
ここでは、ロケットのターボポンプ用の玉軸受を例に、解析方法を説明する。まずは、流体から玉に作用する力とモーメントの計算方法について記す。
この実施例の解析では、図1に示すアンギュラ玉軸受を解析対象とする。このアンギュラ玉軸受は、内輪1と外輪2の軌道面間に、複数の転動体である玉5を介在させ、各玉5を、環状の保持器3の各ポケット4内に保持したものである。軸受諸元を表1に、解析条件を表2に示す。
流体は液体水素と液体酸素の2条件で解析した。流体は図1の左から右に流れる。
解析コードはSTARCCM+{http://www.cd-adapco.co.jp/products/star_ccm_plus/}を用い、流体は非圧縮と仮定している。軸受発熱および流体の相変化は無視した。軸受内の玉5は、玉5-内輪1間および玉5-外輪2間のすきまが同じになる様に配置した。
軸受内部の構造が円周方向に周期性を有すため、図2に示すように周期境界条件を用いて玉5の1つ分の領域のみを解析対象とし、計算格子数を約200万に抑えた。図2において、3fは保持器表面、5fは玉表面、aは回転方向、Fは流体流れ、Gはポケット中心を通る軸方向断面上に形成した計算格子をそれぞれ示す。流体の入口・出口の境界条件の影響を除くため、図3に示すように軸受の前後100 mmを助走区間Lとして解析領域に含めた。図3において、b、cは、流体の流入および流出をそれぞれ示す。
解析モデルの座標系を図3に示す。座標系は直交座標とし、軸受の軸方向にZ軸、保持器3のポケット中心を通る半径方向外向きにY軸をとる。玉5に作用する流体力をFbx、FbyおよびFbz、玉5に作用するモーメントをMbx、MbyおよびMbz、保持器3に作用する流体力をFcx、FcyおよびFczで表す。下付添え字のx、yおよびzは座標系X、YおよびZ軸方向成分を表す。玉5に作用するモーメントの中心は、玉中心を通るそれぞれX、YおよびZ軸方向の軸とする。玉5に作用するモーメントは解析ツールで算出し、定義は以下とした。
Sは玉5の表面積、τは玉表面5fが流体から受けるせん断応力ベクトル、rはモーメント中心点からdSまでの位置ベクトル表し、下付添え字x、yおよびzは各軸方向成分を表す。
実際の軸受の玉5は軌道面とヘルツ接触するが、CFD解析では接触しながら相対運動するモデルを取扱えないため、わずかなすきまを与える。ただし、現実の玉5と軌道面間の接触部を流体が通過することは不自然であるため、この接触部に相当する玉5と軌道間の微小なすきま部には、流体の流れを止められる架空の壁(以降バッフルと称す)Bを、図4のように設けた。矢印Vは流体流れベクトルを示す。
検討する解析条件を表3に示す。
回転速度の影響は、図5(a)のNormalに示すように保持器3のZ方向中心は玉の中心と一致させつつ、玉5はポケットの公転方向aの中央として検討した。
軸受内部には、玉5-保持器3間に狭いすきま部があり、これが変化すると、流体の流れFが、ひいては玉5および保持器3に作用する流体力が変化すると考えられる。そのため、図5(b)および(c)に示すように、図5(a)のNormalに対しZ軸まわりに保持器3をわずかに前方または後方に回転させた条件も検討した。図5 (b)および(c)でのポケットと玉5の狭い方のすきまは、図5(a)でのすきまの8%である。この解析での内輪1の回転速度は100 000 min-1とした。なお、図5において、1fは内輪表面、eはシフト方向を示す。
玉5に作用する流体力を図6に示す。力の大きさを比較するとFbxが最も小さい。回転速度の増加に伴ってFbyは負側に増加し、Fbzは正側に増加する。
負側のFbyは玉5に作用する向心方向の力である。軸受内で旋回する流体の遠心力により、玉5と内輪1および外輪2の間の圧力に差が発生するため、回転速度の増加によりFbyの絶対値も増加する。
玉5に作用するFbzは下流側から上流側に向かう力である。Fbzの大きさが回転速度とともに増加する理由は、ポケット部近傍において、遠心力による流体の流れに起因する。このことは、ポケット内での玉5の位置に応じて、流体からの力が変化することも示唆する。
玉5に作用するモーメントを図7に示す。Mbx、MbyおよびMbzはおおむね回転数の2乗に比例して増加する。本図において、玉5に作用するモーメントのベクトルの向きと玉5の自転軸の角度差は0.6°と小さく、玉5に作用するモーメントは玉5の自転に対する抵抗成分であることがわかった。
つぎに、保持器3に作用する流体力を図8に示す。力の大きさの比較では、Fcxが最も小さい。Fcyの大きさは40 N以上と比較的大きく、回転速度の増加に対しわずかに増加する。
負側のFcyは、保持器3に作用する向心方向の力である。Fcyの発生理由は、保持器3の内外径の表面積と圧力の積の差によるものである。回転速度とともにFcyの絶対値が増加するのは、遠心力により保持器外径側の圧力が上昇するためである。
Z軸まわりに保持器3を回転させた場合、すなわち、ポケット内での玉5の位置を変えた場合の流体力を図9に示す。なお、玉5に作用するモーメントについては、差が小さかったためここでは割愛する。図9を見ると玉5および保持器3に作用するX軸方向の流体力の変化が比較的大きい。保持器3が回転後方に偏っている条件(図9中のBackward)では、保持器3は+X方向、玉5は?X方向に流体力が作用している。一方、保持器3が回転前方に偏っている条件(図9中のForward)では、保持器3はほぼ0、玉5は+X方向に流体力が作用している。
このように、ポケット内での玉5の位置の変化により、流体から玉5および保持器3に作用する力が変化することがわかる。
液体水素および液体酸素の2条件について、回転数毎の流体力および玉5に作用するモーメントを比較した。回転数は一般的な液体酸素ターボポンプ用軸受のdn値を参考に40 000 min-1までとした。玉5に加わる流体力の結果を図10に、保持器3に加わる流体力の結果を図11にそれぞれ示す。玉5に作用するモーメントは40 000 min-1でのみの比較を行った。
図10、図11から、Fby、FcyおよびFczが液体水素中に比べて、液体酸素中では大きく増加する。液体酸素は液体水素に比べて比重が17倍程大きく、遠心力の影響も大きいためである。Fczは前述の様に、遠心力によって生じた保持器上流側と下流側との圧力差に起因しているため、FbyおよびFcyと同様に増加する。
玉5に加わるモーメントを玉5の自転軸回りに換算した値で比較すると、LH2の場合で7.59E-05 Nm、液体酸素の場合で1.39E-03 Nmであった。液体水素に対する液体酸素のモーメントの比は18.3で、両者の密度比17.1に近い。
以下の解析方法に基づいて,玉5と保持器3の6自由度の運動および保持器3の弾性変形を市販の機構解析ソフトMD Adams(商標)上で解析した.解析で考慮した玉5に作用する力の模式図を図12に示す。ここで、FNoは外輪軌道から玉に作用する垂直力、FNiは内輪軌道から玉に作用する垂直力、FToは外輪軌道から玉に作用するトラクション、FTiは内輪軌道から玉に作用するトラクション、FNcfは保持器の前方のポケット面から玉に作用する垂直力、FNcrは保持器の後方のポケット面から玉に作用する垂直力、FScfは保持器の前方のポケット面から玉に作用する摩擦力、FScrは保持器の後方のポケット面から玉に作用する摩擦力、FFbは流体から玉に作用する力、MFbは流体から玉に作用するモーメントである。
この解析の仮定条件および計算方法を以下に記す。
(1)玉5と軌道面の接触部はヘルツ接触でモデル化する.
(2)接触楕円を長径方向に分割し,トラクションとこれによるモーメントをスライスごとに考慮する。(図13)
(3)トラクション係数は次式に示すすべり率の関数とし,最大で0.12とする.なお、油膜を考慮する場合は、非特許文献5(T. Sakaguchi & K. Harada: ASME J. Tribol., 128(2006)604-611)の方法に準じ、トラクションを求める。また、そこで生じる転がり粘性抵抗力および転がり方向の油膜力を考慮する。
(4)保持器3の弾性変形はモード合成法でモデル化し,考慮したモードの変位から保持器3の応力分布を求める。(特許文献1)
(5)保持器3に作用する摩擦力は,摩擦係数を0.05と仮定し,求める.
(6)流体から受ける力は,玉5に対してはその中心に,また,保持器3に対してはポケット面上の玉5の前方と後方の2点(図14)に作用する。
(7)流体から玉5に作用するモーメントは玉5の中心に作用し,その向きは玉5の自転の逆方向とする。
流体からの力は,玉5および保持器3に対し図14のi, j, kの3方向の成分でモデル化した.ここで,i, j, k軸はポケットの中心に固定した座標系である.玉5のi方向の位置を変えると玉5および保持器3のi方向に作用する力が変化することがわかったため,流体からの力は,回転速度だけでなく,玉5のi方向位置を考慮した近似式でモデル化した.玉5および玉1個分の保持器3の分割領域に作用する力のベクトルFb,Fcならびに玉5に作用する抵抗モーメントMbを式からにそれぞれ示す。
ここで,rは流体の密度,Vbは玉5の公転速度,Abは玉5の断面積,Lbはポケット内での玉5の無次元位置(-1~+1),Dbは玉5の直径である。
なお,前述のCFD解析の結果より,流体から保持器3に作用する力は図14の破線矢印の向きに作用する。
動力学解析では,玉軸受1個のみを対象とし,外輪2は空間に固定,内輪1は一定速度で回転し並進自由度を有する設定とした.内輪1には,980 Nのアキシアル予圧および回転軸の遠心力を模擬した43 Nのラジアル方向への回転荷重を負荷した.なお,重力は考慮していない。
解析結果の一例を示す。
液体水素の影響を考慮した時の玉5の公転および自転速度は,未考慮の場合よりも最大で2%低下した.そこで、以下では,最も高速な100 000min-1で回転させた場合の保持器3の運動や干渉力に及ぼす液体水素の影響について述べる。
保持器中心のラジアル面内の軌跡を図15に示す.保持器中心は,軸の回転にともない,初期条件として与えた軸受中心位置から移動し,外輪2の案内すきまの範囲内でふれ回る.ふれ回りの周期は玉5の公転周期にほぼ一致した.液体水素の影響を考慮した場合,円状軌跡の振れ幅が増す.後述する玉5からポケット部に作用する力が変動するためである.
玉5と保持器ポケット間の干渉力は,図16に示すように、液体水素を無視した場合は間欠的に生じるが,液体水素の影響を考慮した場合は1 N程度の変動があるものの平均で4.5 Nの力が連続的に生じた.液体水素の影響を考慮した場合のポケットの干渉力の平均値は,液体水素から保持器3に作用するiとk方向の力の合力にほぼ等しくなる。このように流体から保持器3に作用する力を考慮すれば、高速回転下で保持器3と転動体の接触荷重の大きさを精度よく予測することができる。これは、保持器3の耐久性を検討する上で、実験条件を左右する重要な情報である。
保持器3と外輪2間の干渉力の大きさは,図17に示すように、液体水素を無視した場合は平均4.5 Nであるが,液体水素の影響を考慮すると2~7 Nの間で周期的に変動した。保持器3と外輪2間の干渉力の平均値は,保持器自体のふれ回りによる遠心力にほぼ等しい。また,液体水素を考慮した場合の干渉力の変動は,ポケットの干渉力の変動と同期しており,玉5の公転速度の変動により生じる。このように、流体からの力を考慮することで、保持器3と外輪2間の干渉力の大きさが大きく変動することがわかり、保持器3の耐久性を検討する上で重要な情報となる。
モード合成法により求めた保持器3に生じる最大の主応力について,図18に示す。液体水素を考慮した場合の保持器3に生じる最大の主応力は,液体水素を無視した場合に比べ13%低減した。液体水素を無視した場合の保持器3の最大の主応力は遠心膨張により生じたものであり,液体水素の影響を考慮した場合,保持器全周にわたって圧縮力が生じ応力が低下する。このように、保持器3の強度を検討する上で、流体からの力を考慮すれば、より正確な発生応力を求めることができる。
上記の説明では、3次元上の運動の自由度を有する玉軸受を対象にしたが、ころ軸受であっても同様に適用できる。また、2次元上の運動の自由度に限定した動力学解析に対しても有効であり、この場合は計算速度の大幅な向上が期待できる。
上記は流体から玉5に作用するモーメントを、自転方向の逆向きとした。3軸方向のモーメントを全て考慮してもよいが、上記の解析のように玉5の自転と逆向きの成分のみに限定すると計算モデルの作成が効率的になる上、得られる結果の精度も良好である。
流体から玉5に作用する力やモーメントを、経験的な予測式などで求めてもよいが、上記のようにCFD解析により求めれば、種々の運転条件における力とモーメントの予測値が正確になり、好ましい。これを動力学解析に導入する際は、回転速度や流体の密度の関数として与えると、動力学解析のモデル化が効率的になり、かつ、種々の運転条件に適用できる汎用性を動力学解析モデルに対し付与できる。
また、上記のCFD解析の効率化には、1つの転動体と保持器3を1ポケット分のみを対象にしてCFD解析することが好ましい。この結果は、転動体に対してはその中心に、保持器3に対しては、保持器3のポケットの中央に対し、回転方向の前後方向に対称な少なくとも2点に、流体から保持器3に作用する力を分割して負荷するとよい。
流体から転動体および保持器3に作用する力やモーメントの一部は、ポケット内の転動体の位置による影響を考慮した数式で表すと、より正確な結果が得られる。
上記の例では保持器3の弾性変形を考慮した形での動力学解析方法であるが、保持器3を剛体仮定とした転がり軸受の動力学解析の場合でも、流体からの力とモーメントを考慮すれば、保持器3と転動体や軌道輪との接触荷重がより精度よく求めることができる。これは、保持器3の耐久性や信頼性を確保するための試験条件の決定には重要な情報である。
この解析方法は、転がり軸受の内部に流体が存在する場合に有効である。よって、油浴潤滑やジェット潤滑される軸受、液体燃料が冷却用流体として軸受内を流れるターボポンプで特に有効である。また、工作機械用などでは、オイルミスト潤滑されるが、オイルミストと圧縮空気の平均密度はオイルミストにより上昇すること、また、工作機は非常に高速で運転されることから、流体から転動体や保持器3に作用する力とモーメントの大きさは比較的大きくなり、これらを考慮した上で保持器設計を行うべきである。よって、これらの軸受に対しては、この解析方法の適用が特に望まれる。
図20は、この発明の実施形態に係る応力解析装置の電気的構成および概念構成を表すブロック図である。応力解析システム31は、主に、入力手段32と、演算手段33と、出力手段34とを有する。入力手段32は、たとえばキーボードやポインティングデバイスなどによって実現される。演算手段33は、CFD解析モデル設定部33dと、CFD解析部33eと、動力学解析モデル設定部33aと、動力学解析部33bと、出力処理部33cとからなる。動力学解析モデル設定部33aは、前述の動力学解析モデルを設定したものである。
演算手段33内のCFD解析モデル設定部33dは、流体の入出力条件、玉、保持器、軌道輪の形状およびその運転条件を入力する部分であり、CFD解析部33eにおいて、このモデルの解析を行い玉および保持器に作用する力とモーメントを計算する。
動力学解析モデル設定部33aは、玉、保持器、軌道輪およびその他周辺部品の運動の自由度および接触部での垂直力と摩擦力およびこれによる力とモーメントの計算条件、ならびに、前記CFD解析部33eで求めた玉と保持器に作用する力とモーメントを設定する部分であり、動力学解析部33bでは、これらの動力学解析を行う。出力処理部33cは、動力学解析部33bで演算した結果を出力手段34へ出力する。
演算手段33は、たとえば、中央演算処理装置35(略称CPU:CentralProcessing Unit)、リードオンリーメモリ36(略称ROM: Read Only Memory)、およびランダムアクセスメモリ37(略称RAM: Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータと、バス38と、入出力インターフェース39と、出力手段34を駆動するための駆動回路40とを有する。
入出力インターフェース39には、バス38を介してCPU35,ROM36,RAM37がそれぞれ電気的に接続されている。入出力インターフェース39に、入力手段32が電気的に接続されるうえ、駆動回路40を介して出力手段34が電気的に接続されている。出力手段34は、たとえば表示出力可能なディスプレイやプリンタなどによって実現される。たとえばROM36に、前述の変形の動特性を含む保持器3の変形履歴を算出し、該算出される変形履歴を応力分布に変換するためのプログラムが格納される。RAM37には、入力値、算出される値などが一時的に記憶される。CPU35を制御主体として、演算が実行される。
つぎに、前記保持器3を弾性体と仮定として、保持器3の弾性変形および発生応力を求める場合の解析方法を説明する。この方法は、前記、CFD解析の後、以下のように演算して発生応力等を求める。
転がり軸受の動力学解析モデルについて説明する。図21は、転がり軸受の動力学解析モデルおよび座標系を表す図である。座標系は、互いに直交する三軸方向の矢符x,y,zで表記する。xおよびy方向は、それぞれラジアル方向を表し、z方向は、アキシアル方向を表す。解析対象の円すいころ軸受は、主要寸法(内径×外径×幅)がたとえばφ75mm×φ160mm×40mmであり、ころ本数が14、保持器は転動体案内形式、保持器の板厚(B1,B2)が異なる(B1=3.5mm,B2=5.0mm)二種類の軸受について検討した。潤滑剤はグリースを適用した。内輪1の回転速度は1000rpmであり、内外輪間の軸方向変位は固定とし、1000Nのラジアル荷重が作用した場合で、代表温度は60℃に設定した。ただし、これらの条件に必ずしも限定されるものではない。
3次元動力学解析の仮定条件を以下の通り規定した。前提として、保持器を除く軸受構成部品を剛体とみなす。
(i)ころおよび保持器に6自由度を与える。
(ii)外輪2は空間に固定する。
(iii)内輪1には、一定の軸方向変位と一定速度の自転角変位とを強制的に与え、ラジア
ル方向の2並進変位の自由度を与える(自由度は2)。
(iv)遠心力等の見かけの力を全て含む。
(v)水平軸回りの軸受姿勢とし、重力を考慮する。
(vi)ころ転動面の干渉力分布は、スライス法で評価する。
(vii)流体潤滑下のトラクション係数μhdは、村木らの簡易理論式{村木 正芳,
木村 好次;潤滑油のトラクション特性に関する研究(第2報),潤滑,28,10(1983)753−760}で与えるが、等温条件とする。
(viii)境界潤滑下の摩擦係数μbdは、Kragelskiiのモデル{Kragelskii,I,V.,;Friction and Wear,Butterworths,London(1965)178-184}を修正した式(8)で与える。
(ix)ころと軌道面間の接線力は、潤滑領域の変化を考慮し、式(9)で与える。また弾性流体潤滑(略称EHL)状態下では転がり粘性抵抗{R.S.Zhou,M.R.Hoeprich;Trans.ASME,J.Trb,113,7(1991)590.}を考慮する。
(x)ころ大端面と内輪大つば面との干渉力は、最大近接点に全て作用するものと仮定
する。接線力係数は式(9)で与えられる。
(xi)ころと保持器間の接線力係数は、境界潤滑下のみを仮定する。
(xii)ころ端面に対する小つば面とポケット面の接触は、最大めり込み点に全ての接触
力と接線力が作用する。
ここで、「s」は、すべり率である。
ここで、「μ」は、接線力係数であり、「Λ」は、油膜パラメータである。
図22は、この発明の実施形態に係る応力解析方法を段階的に表すフローチャートである。本処理開始後、ステップs1に移行し、実際の保持器を模擬した有限要素モデルを作成し、FEM解析を実行するためのソフトウェア(たとえばI-DEASやNastran等)を用いて後述する超要素法による解析を実行することで、保持器の動特性情報を得る。この動特性情報の結果を、複数のモードシェイプを重ね合わせ妥当な弾性変形を作るいわゆるモード合成法に基づき、前述の動力学解析モデルに導入する。
次にステップs2に移行し、軸受構成部品の運動の自由度と、ステップs1で導入される保持器の弾性変形の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する。このステップs2では、予め組み込まれる、保持器と、軸受構成部品である「ころ」との干渉力の計算ルーチンに基づいて該干渉力を計算する。ここでは、導入された保持器ポケット面の節点(有限要素の頂点)が、ころとの幾何学的な干渉が生じた場合に干渉力を作用させるようにした。
具体的には、ポケット面上の節点位置ところのとある基準点ならびにその傾きを示すオイラー角を慣性座標系で取得し、該節点をころに固定した座標系へ変換後に、ころの輪郭情報から該節点ところとの干渉量を求めた。干渉が生じている場合には、接触力ならびに本干渉点でのすべり速度から摩擦力を求め、それらの合力を干渉力として取り扱えばよい。本手法では、保持器の挙動や弾性変形が全て考慮された状態でのころとの干渉力を計算することが可能になる。以上の数値計算において、運動方程式の数値積分時の時々刻々の履歴を記録することで、保持器の挙動や各変形モードの変形履歴が得られる。その後ステップs3に移行し、算出された変形履歴を、ひずみおよび応力分布に変換し、出力する。その後本処理を終了する。
図23は、この発明の実施形態に係る解析装置の電気的構成を表すブロック図である。この装置は、特に説明する事項の他は、図20と共に前述した解析装置と同様である。この動力学解析装置は、図20と共に前述した解析装置において、その動力学解析部33bbに、次の変形履歴算出部33bbcと応力分布変換部33bbdとを有する。
解析モデル設定部33aは、この実施形態では図21の動力学解析モデルを設定し、この動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性(固有変形モードおよびその周波数)を、モード合成法に基づき入力可能としたものである。
演算処理部33bは、解析モデル設定部33aで入力される弾性変形の自由度と、予め定める軸受構成部品(ころ)の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する変形履歴算出部33bcと、該算出される変形履歴を応力分布に変換する応力分布変換部33bdとを有する。
図24は、円すいころ軸受の保持器の各柱に自由度を設定する一例を表す斜視図である。保持器11は、円周方向一定間隔おきに複数の柱11aを備え、隣接する柱11a間に転動体としてのころが配設される。各柱11aは、配設されるべきころの軸線方向に略平行に延在する直方体形状に形成される。本実施形態において、この保持器11の各柱11aの長手方向中間付近部に超要素法の自由度(略称DOF:Degree Of Freedom,ここでは3並進とする)を設定する。柱の1次の変形のみで、実際上の柱の変形が再現できる場合は、長手方向中間付近部の内径側または外径側の1点にのみ自由度DOFを設定することが、計算効率の点から望ましい。また柱の長手方向軸周りのねじれ変形も考慮したい場合では、柱の長手方向中間付近部の内径側と外径側の2点に自由度DOFを設定することが望ましい。ただし設定し得る自由度DOFは、各柱11aの長手方向中間付近部に限定されるものではない。たとえば各柱11aの長手方向一端部側および長手方向他端部側の少なくともいずれか一方に、自由度DOFを設定することも可能である。
ここで前記超要素法(スーパーエレメント法ともいう)について説明する。この方法は、有限要素法(FEM)による特性行列の定式化からグヤンの静縮小を行って解析する方法である。ある部分構造の質量行列を[M],剛性行列を[K]とし、超要素法の縮小過程で消去される自由度を添字a,残される自由度を添字bで表す。自由度aには外力が作用しないとすれば、不減衰振動の運動方程式は、周波数領域で次のようになる。前記の超要素法の自由度DOFとは、自由度{xb}である。
式(10)において、{x}は変位振幅ベクトル,{fb}は外力ベクトルを表す。式(10)において慣性項を省略し、上半分の関係式から消去される自由度の変位{xa}を残さ
れる自由度の変位{xb}で式(11)のように表す。
式(11)の関係を用いて元の質量行列と剛性行列とを{xb}の自由度に等しい行列に
縮小する。縮小後の質量行列は式(12)のように表される。
剛性行列は式(13)のように表される。
これら式(12)、式(13)の行列の表現される分系モデルを超要素とよぶ。超要素による分系の特性行列を構造物の結合状態のように重ね合わせ、全系の縮小された運動方程式を作成して解く。
ところで、変形モードの導入において、保持器の柱の変形を再現することが重要であるが、この考慮には非常に高次までの固有変形モードを導入する必要があり、動力学解析の数値積分が長時間化していた。本実施形態において、保持器の各柱に、前述の超要素法の自由度を設定することで、柱の変形モードが必ず動特性に含まれるようになり、かつそれ以外の固有変形モードの残留モード数を減少させることで、最終的に効率的かつ妥当な保持器応力値を得ることができる。保持器の各柱に超要素法の自由度を設定する場合、高次の固有変形モードを導入する手法に比べて、動力学解析に要する時間短縮を図ることができる。
この発明で記しているモード合成法とは、具体的には、超要素法による拘束変形モードと固有値解析による固有変形モードとの線形和により、保持器の弾性変形を模擬することを意味する。動力学解析への導入には、以下に示すモード変形を考慮したラグランジェの運動方程式を利用することで実現している。
次に、軸受構成部品の運動の自由度と、保持器の動的な弾性変形の自由度とを同時に数値積分する態様を、運動方程式に基づいて説明する。以下のラグランジェの運動方程式で、一般化座標やラグランジアンLに弾性変形の自由度も導入され解かれる。
ここでx、y、zは並進変位、ψ、θ、φは角変位、qiは、各変形モードのモーダル座標である。
以下、ラグランジアンLの定義について説明する。
L=T−V
ここでTは運動エネルギである。弾性体の運動エネルギは微小要素dVの運動エネルギの積分により次式のように表される。
ここで、式(17)のvは速度、ρは密度、mpは有限要素の微小要素ノードpの質量、vpはノードpの速度、ω はその角速度、Ipはその慣性モーメントのテンソルである。速度vpの算出は下式に基づく。
ここで、は物体に固定した座標系から、慣性座標系への変換行列である。spはノードpの弾性変形が無い場合の位置ベクトルで、upはその弾性変形ベクトルである。
変換行列の変化量については、下式の変換が可能である。
ここで、記号の上に付くチルダ(〜)はスキュー演算子であり、行列の積で外積演算を表すことができる。
また、一般化座標上の角変位の時間微分を慣性座標系に変換すれば角速度がえられるため、
の関係も成立する。ここで、Bは慣性から物体の基準点への座標変換行列である。
よって、速度は下式となる。
式(17)に対して、vやωを置き換えて簡単化すると、一般化質量行列と一般化座標上では、下式が導かれる。
上式の質量行列は、その内容を明確化すると、式(19)のように区分けされる。下付き添字のt、rおよびmはそれぞれ、並進、回転およびモードの変位を表す。
式(19)の9つのM行列は下式で表現される。
Vはポテェンシャルエネルギであり、次式のように表される。
式(27)での剛性行列Kは,式(28)となる。
ここで、Kmmは、モード座標系での一般化剛性行列で、物体のモード行列をΦ、剛性行列をKとすると、
となる。
Vgは重力による位置エネルギである。
ここで、gは重力加速度ベクトルである。ラグランジェの運動方程式に入る一般化された重力による力は下式となる。
Fは散逸エネルギであり、レイリーの散逸関数より次式のように表される。ここで、Dはモーダル減衰行列である。
上記の式をラグランジェの運動方程式に導入すると、最終的に、弾性変形部の一般化座標系における運動方程式は次式となる。
図25は、運転中の軸受の保持器への干渉力、および保持器応力の計算結果例を表す図である。本図において、保持器のカラーコンタはMises応力であり、内輪1、外輪2、およびころは非表示状態である。図25に示すように、保持器の柱から半径方向外方側でかつ略接線方向に向けて、ころからの干渉力ベクトル12が作用している。本実施形態に係る応力解析においては、水平軸回りに配設される当該保持器の頂上付近部の複数の柱に、この頂上付近部以外の周方向他部に存する柱よりも、大きい干渉力が作用していることが明らかになっている。しかも前記頂上付近部の複数の柱には、半径方向外方側でかつ前記略接線方向とは異なる方向に向けて、ころからの干渉力ベクトル12が作用していることが明らかになっている。保持器の上半部では、該保持器の内周に沿って応力が付与され、内周から柱、および外周にわたって応力が付与されている。
以上説明した保持器の応力解析方法および応力解析システムによれば、軸受構成部品を剛体とみなした転がり軸受の3次元の動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性(固有変形モードおよびその周波数)をモード合成法に基づき導入し、弾性変形の自由度と、軸受構成部品であるころの運動の自由度とを同時に数値積分する。これによって、変形の動特性を含む保持器の変形履歴が得られる。このような変形履歴に基づいて保持器応力を得ることができる。また、上記動力学解析モデルにおいて、保持器の他の構成部品は、剛体とみなす。
したがって、前記従来技術と比べて、運転中の保持器応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる。それ故、たとえば保持器の柱の断面積を小さくしたり柱中心のピッチ円径を変更することで軸受サイズを大きくすることなく転動体の数を増加させ、負荷容量を増大させるような設計変更を、高精度にかつ効率的に計算することができる。これにより、たとえば高負荷時の接触面圧を低減させ、過酷な潤滑条件下や異物混入潤滑条件下での寿命向上を図るとともに高剛性化も同時に実現し得るような転がり軸受の保持器を、短時間で求めることが可能となる。それ故、軸受製作のコストを低減することが可能となる。本応力解析方法および応力解析システムによって、実験代替技術を確立することが可能となる。
また、保持器11の各柱11aに、超要素法の自由度を設定するので、柱11aの変形モードが必ず動特性に含まれるようになり、かつそれ以外の固有変形モードの残留モード数を減少させることで、効率的かつ妥当な保持器応力値を得ることができる。換言すれば、従来の非常に高次までの変形モードを導入する手法に比べて、動力学解析に要する時間短縮を図ることができる。
次に、運転中の転がり軸受の保持器に生じる応力を、計算時間が短くて済む2次元の動力学解析により数値計算する保持器の応力解析システムについて説明する。本実施形態に係る保持器の応力解析システムは、たとえばニードル軸受や円筒ころ軸受の保持器に適用される。ただしニードル軸受や円筒ころ軸受用の保持器だけに必ずしも限定されるものではなく、種々の転がり軸受の保持器の応力解析に適用される。以下の説明は、2次元でのニードル軸受や円筒ころ軸受の動力学解析における保持器の応力解析方法についての説明をも含む。
前述の3次元での転がり軸受の保持器応力の動力学解析システムは、各種転がり軸受に適用可能である。しかしながら、3次元での動力学解析では、各部品の6自由度ならびに保持器の3次元的な弾性変形の自由度の全てを同時に数値積分するため、計算コストは高い。ところで、ニードル軸受や円筒ころ軸受などでは、ラジアル平面上の物体の挙動のみを取り扱いたい場合がある。この場合に上記の3次元全ての自由度を考慮する動力学解析では効率的でない。また、剛体部品の運動の自由度の拘束は容易にできるが、弾性体として取り扱う保持器の軸方向変位、ならびに自転を除く2軸周りの角変位を拘束するのは難しい。
そこで、この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の保持器応力の動力学解析装置シでは、保持器の弾性変形の自由度を2次元上に限定し、かつ転動体や軌道輪の運動の自由度も2次元上に限定することで、数値積分の必要処理量が減少する。これにより、転がり軸受の保持器応力を、3次元解析で行った場合よりも短時間で計算を完了させることができる。すなわち、この発明の保持器の応力解析システムは、入力手段32と演算手段33と出力手段34とを含む、保持器の応力解析システムであって(図23参照)、前記演算手段33は、軸受構成部品を剛体とみなした転がり軸受の動力学解析モデルが定められ、この動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性をモード合成法に基づき入力可能な解析モデル設定部33aと、前記解析モデル設定部33aで入力される弾性変形の自由度と、予め定める軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出し、該算出される変形履歴を応力分布に変換する演算処理部33bと、前記演算処理部33bで変換された保持器応力を前記出力手段34へ出力する出力処理部33cと、を有し、保持器の弾性変形ならびに転動体、軌道輪ならびに保持器の剛体モードの運動の自由度を2次元上に限定する構成となっている。
この構成によると、動力学解析モデルに保持器の動的な弾性変形の特性をモード合成法に基づき導入し、弾性変形の自由度と、軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を得ることができる。該変形履歴に基づいて保持器応力を得ることができる。特に、保持器の弾性変形ならびに転動体、軌道輪ならびに保持器の剛体モードの運動の自由度を2次元上に限定する構成により、3次元解 析で行った場合よりも短時間で保持器応力の計算結果を得ることが可能となる。
図27に示すように、動力学解析モデルに導入する保持器11Aの動的な弾性変形の特性(固有変形モードとその周波数)を計算する時点で、当該保持器11Aを、その各柱11bの長手方向中間付近(いわゆる保持器中心)でラジアル方向つまりyz平面に沿って切断し、該切断した一方のみを解析対象とする。図27、図28に示すように、ここで互いに直交するx,y,z方向の座標系のうち、x方向は、転がり軸受を基準とするアキシアル方向を表し、yおよびz方向は、それぞれラジアル方向を表す。前記ラジアル平面とは、yz平面と同義である。
一方の保持器11Aの切断面smに、2次元拘束(ラジアル方向の2並進とこれに垂直な軸周りの自転の自由度)を与え、超要素法による解析を実行することで、保持器11Aの動特性情報を得る。この動特性情報の結果を、モード合成法に基づき動力学解析モデルに導入する。次に、軸受構成部品の運動の自由度と、保持器11Aの弾性変形の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器11Aの変形履歴を算出する。
動力学解析上では、ころ、内輪1、外輪2の各部品も、上記保持器11Aと同様にラジアル平面に沿って切断し、該切断した一方のみを解析対象とする。そしてこれらの部品ならびに超要素法で解析した保持器に対してそれぞれの断面上の1代表点に2次元自由度に限定する拘束条件を動力学解析上で与える。超要素法上ですでに切断面は2次元拘束されており、各柱11bの切断面smは、全てこの切断平面上に拘束されることになり、かつ動力学解析上でも、本断面上の任意の1点に2次元拘束を与えれば、この保持器の剛体的な運動の自由度はラジアル平面上の3自由度のみに限定することができる。また、前述の第1の実施形態と同様に、保持器11Aの各柱11bの長手方向中間付近部の少なくとも1点に、2並進自由度を与えれば、保持器11Aの各柱11bの変形モードが必ず出力され、通常の固有モードの残留数を少なくしても、各柱の変形が動力学解析でうまく再現され、かつ数値積分の計算時間も3次元解析で行った場合より短縮できる。したがって保持器設計に要する時間短縮を図ることができ、工数低減を図ることが可能となる。
この実施形態に係る動力学解析では、保持器11Aを各柱11bの長手方向中間付近でyz平面に沿って切断した一方のみを解析対象としている。このため、保持器の質量が実際の保持器質量の半分になることから、ころ、内輪、外輪の各部品も、上記保持器と同様にラジアル平面に沿って切断し、各部品の質量も実際の部品質量の半分としている。したがって、軸受に作用する荷重やモーメントも、実際に作用する荷重やモーメントの半分とする。
特にニードル軸受では、保持器は軌道輪で案内される形式が多く、保持器と軌道輪間の干渉力も評価する必要がある。ニードル軸受において、その保持器が軌道輪で案内される形式のとき、干渉力を本来あるべき干渉力の半分を動力学解析で導入すればよい。こうすることで、運動方程式上では、質量、接触ばね(2物体の干渉量に対する干渉力の大きさの比)および力の成分が、全て本来の半分となり、得られる挙動や弾性変形量は極力正しい値となる。
1:内輪
2:外輪
3:保持器
5:玉
31:応力解析システム
32:3入力手段
33:演算手段
34:出力手段
33a:解析モデル設定部
33b:演算処理算部
33c:出力処理部

Claims (9)

  1. 転がり軸受の転動体から保持器への干渉力、保持器の挙動、および転動体の挙動のいずれかを少なくとも求める動力学解析方法であって、前記転動体と保持器の2次元上または3次元上の運動の自由度を考慮し、またはさらに軌道輪の運動の自由度を考慮し、前記転がり軸受の各構成部品である内輪、外輪、および転動体は剛体と仮定し、これらの構成部品間の接触部の垂直力と摩擦力およびこれら垂直力と摩擦力によるモーメントを考慮した、転がり軸受の動力学解析モデルに、軸受内部に存在する流体から転動体および保持器に作用する力とモーメントを導入したことを特徴とする転がり軸受の動力学解析方法。
  2. 請求項1に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、前記転がり軸受が玉軸受であり、玉に作用するモーメントの向きは転動体の自転方向の逆向きとした転がり軸受の動力学解析方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、CFD解析で、流体から転動体および保持器に作用する力とモーメントを求め、これらのモーメントを代表する数式を導入した転がり軸受の動力学解析方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、保持器のポケットの中央に対し、回転方向の前後方向に対称な少なくとも2点に流体から保持器に作用する力を分割して負荷した転がり軸受の動力学解析方法。
  5. 請求項3に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、前記数式は、前記保持器のポケット内の転動体の位置による影響を考慮した数式である転がり軸受の動力学解析方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、前記保持器を弾性体と仮定として、保持器の弾性変形および発生応力を求める転がり軸受の動力学解析方法。
  7. 請求項6に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、
    超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する工程と、
    前記工程で導入される弾性変形の自由度と、予め定める軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する工程と、
    前記工程で算出される変形履歴を応力分布に変換し、該変換された保持器応力を出力する工程と、
    を有し、保持器の各柱に超要素法の自由度を設定する、
    転がり軸受の動力学解析方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の転がり軸受の動力学解析方法であって、前記転がり軸受が、流体中または流体の流れによる潤滑で使用される転がり軸受である転がり軸受の動力学解析方法。
  9. 入力手段と演算手段と出力手段とを含み、転がり軸受の転動体から保持器への干渉力、保持器の挙動、および転動体の挙動のいずれかを少なくとも求める転がり軸受の動力学解析装置であって、
    前記演算手段は、軸受内部を流れる流体から玉および保持器に作用する力とモーメントを求めるCFD解析部と、前記転動体と保持器の2次元上または3次元上の運動の自由度を考慮し、またはさらに軌道輪の運動の自由度を考慮し、前記転がり軸受の各構成部品である内輪、外輪、および転動体は剛体と仮定し、これらの構成部品間の接触部の垂直力と摩擦力およびこれら垂直力と摩擦力によるモーメントを考慮し、かつ、前記の流体から玉および保持器に作用する力とモーメントを考慮した、転がり軸受の動力学解析モデルを設定した動力学解析モデル設定部と、前記動力学解析モデルに、内外輪の荷重および回転速度などの運転条件に応じて軌道から転動体および保持器への干渉力、転動体から保持器への干渉力、保持器の挙動、および転動体の挙動を求める動力学解析部と、この動力学解析部で求めた結果を前記出力手段へ出力する出力処理部と、
    を有することを特徴とする転がり軸受の動力学解析装置。
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