JP2012026500A - 軸受保持器の動的応力解析方法および解析システム - Google Patents

軸受保持器の動的応力解析方法および解析システム Download PDF

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Abstract

【課題】 応力計算の高精度化と効率化とを両立させ、運転中の保持器応力の高精度かつ効率的な計算を可能とする。
【解決手段】 転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する。この過程で導入される弾性変形の自由度と、軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、保持器の変形履歴を算出し、保持器応力を算出する。保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器の柱の中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での両端2点、または両端2点とその中央との合計3点とする。かつ、保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点とする。
【選択図】 図4

Description

この発明は、円すいころ軸受等の転がり軸受における保持器の応力解析方法および応力解析システムに関し、運転中の転がり軸受の保持器に生じる応力を、動力学解析により数値計算する技術に関する。
転がり軸受の保持器の設計には、保持器の動的な挙動や応力履歴の把握が重要であり、その解明には動力学解析が有効である。従来、保持器が剛体のままでの動力学解析が存在し、保持器に作用する力を数値計算で求める技術が実用に供されている(たとえば非特許文献1参照)。前記数値計算で求めた保持器への干渉力をFEM(有限要素法)解析に導入し、保持器にかかる応力を計算することが考えられる。軸受全部品をFEMソフト上に導入し、その中で動力学計算をすることも考えられる(たとえば非特許文献2参照)。
上記非特許文献1に係る技術では、剛体のままで動力学解析するため、保持器の応力を計算することができない。また、前記数値計算で求めた保持器への干渉力に基づいて、保持器にかかる応力を計算する技術では、静的な場合は境界条件の設定が難しく、動的な場合は導入した干渉力自体に動的な変形の影響が含まれていないので、変形剛性の低い保持器では接触した瞬間の値からが大きくなり、これによる応力計算値も過大となる。そのため、解析精度の良い計算は難しい。
非特許文献2に係る技術は、軸受全部品をFEMソフト上に導入し、その中で動力学計算をするが、計算の自由度は要素数に比例して増加するため、計算時間を減らすための軸受解析仮定の簡易化が求められ、結果として高精度な保持器応力計算は難しい。
これらの課題を解決するものとして、保持器の弾性変形を考慮した動力学解析方法が提案されている(特許文献1)。保持器の応力計算は、モード合成法を用いている。
特開2008−116040号公報
(社)日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集,2004-11 ,円すいころ軸受保持器の3次元動力学解析第2報計算結果) (社)日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集,2001-11 ,FEM による玉軸受の動解析保持器の応力解析(第1報)
上記従来の技術では、いずれも、運転中の転がり軸受の保持器の応力を精度良くかつ効率的に予測することは難しかった。
特許文献1に開示の方法は、保持器の応力計算にモード合成法を用いていて、計算速度では優れるものの、予測精度はあまり高くない。特に、ポケットのころと接触する面上の様々な点に、ころからの接触荷重が負荷した場合、発生応力の計算精度が低下することがある。
同特許文献1の〔0031〕段落には、保持器の柱に少なくとも1つのモード合成法の自由度を設置することで、保持器の応力の計算精度を向上させることが記載されている。この技術の中では、柱の1次の変形のみで、実際上の柱の変形を再現できる場合を考えており、その場合、柱の変形が最も大きくなる長手方向の中間付近に自由度を設けることを提案している。
動力学解析の計算量は、自由度の数に大きく依存し、無用な自由度の設定は避けなければならないが、上記1点の自由度だけでは、精度の良い保持器応力を求めることができない。
なお、同段落において、柱の長手方向の端部のいずれかの少なくとも一方に自由度を設けることにつき、一応は触れられているが、その効果は記載されていない。また、柱の長手方向の端部との記載はあるが、その端部とは、具体的にどの部位を示すかにつき明記がない。また、保持器の柱にモード合成法の自由度を設定する場合、柱の保持器外径面、内径面、肉厚中心などのどの部位に自由度を設定するかにつき、転動体から保持器への荷重の作用の形態によっても異なるが、荷重作用形態に対する適切な自由度の設定箇所についは、考察されていない。
この発明の目的は、応力計算の高精度化と効率化とを両立させ、運転中の保持器応力の高精度かつ効率的な計算が可能になる軸受保持器の動的応力解析方法および解析システムを提供することである。
この発明の軸受保持器の動的応力解析方法は、ころ軸受からなる転がり軸受の保持器の応力を解析する過程として、軸受構成部品を剛体とみなした転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する過程と、前記過程で導入される弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する過程と、この過程で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する過程とを含む転がり軸受保持器の動的応力解析方法において、 前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、
これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とすることを特徴とする。
この構成によると、特許文献1に記載の方法と同様に、動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性(すなわち超要素法により求めた固有変形モードとその周波数)をモード合成法に基づき導入し、弾性変形の自由度と、予め定める軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分する。これによって、変形の動特性を含む保持器の変形履歴が得られる。この変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を得る。また上記動力学解析モデルにおいて、保持器の他の構成部品は、剛体とみなす。したがって、他の従来技術と比べて、運転中の保持器応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる。
固有変形モードの導入において、保持器の柱の変形を再現することが重要であるが、この考慮には非常に高次までの固有変形モードを導入する必要があり、動力学解析の数値積分が長時間化する。この発明の構成によると、特許文献1の発明と同様に、保持器の各柱に超要素法の自由度を設定することで、柱の変形モードが必ず拘束変形モードに出力されるようになり、かつそれ以外の固有変形モードの残留モード数を減少させることで、効率的かつ妥当な保持器応力値を得ることができる。換言すれば、前述の非常に高次までの固有変形モードを導入する手法に比べて、動力学解析に要する時間短縮を図ることができる。あるいは確実に柱の変形モード導入することで解の精度が高い水準で維持できる。
特に、この発明の構成では、特許文献1の発明と異なり、上記の動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性をモード合成法に基づき導入する際に、保持器の柱の軸方向の中心断面上に複数の自由度を設置する。こうすることで、ころからポケット面への荷重が応力集中する隅部へ近づいてきても、比較的精度良く、隅部の応力を予測することができる。
複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、柱の、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点としたが、自由度の設置箇所や個数を種々変えて検討した結果、上記2点が、上記モード合成法で計算する場合に、保持器に作用する応力が最も精度良く現ることが判明した。そのため、複数箇所の自由度の設置箇所において、上記2点を含めることで、より精度良く保持器応力を計算することができる。
また、自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点とするため、さらに精度良く保持器応力を計算することができる。
この発明において、前記保持器の柱の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱両端の2点のみとするのが良い。
保持器応力の解析結果の検討のため、自由度の設置箇所や個数を種々変えて計算し、その結果を有限要素法による計算結果と比較したところ、自由度の設置箇所を上記2点とした場合は、自由度の設置箇所を、例えば10箇所程度に多数設置した場合と比べても、有限要素法による計算結果と同程度に近い値が得られた。有限要素法は、計算量が多くて計算時間が長くなるが、実際の応力値であると推定できる精度の高い解析方法である。また自由度の設置箇所は、少なくするほど、計算量が少なくて済み、効率良く計算できる。したがって、有限要素法による解析結果と近い結果が得られる上記2点を自由度の設置箇所とすることが、保持器応力の計算の高精度化と効率化との両立の点で最も優れている。
なお、自由度の設置箇所を上記2点とすることは、後述の補正を併用する場合に、より一層、保持器応力の計算の高精度化と効率化との両立の点で優れたものとなる。
この発明において、前記保持器の柱の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱両端の2点と、これら2点の間の中心部との3点としても良い。
自由度の設置箇所を上記3点とした場合は、上記2点とした場合に比べて、有限要素法による解析結果が、僅かではあるが、近い結果が得られる。3点としても、計算の効率は満足できる範囲であり、したがって上記3点とした場合も、保持器応力の計算の高精度化と効率化との両立の点で優れたものとなる。なお、後述の補正を行わない場合は、上記3点とすることが、保持器応力の計算の高精度化の面で好ましい。
この発明において、前記動力学解析モデルは、3次元のモデルであるのが良い。解析対象を2次元とする場合に比べて、3次元とすると、ころや保持器の軸方向の変位や傾きを考慮できるため、そのような挙動が想定される運転時の保持器応力を高精度に計算することが可能となる。例えば、ころと保持器との軸方向の接触による応力を考慮することができる。
この発明方法において、予備調査を行い、補正係数を求めて補正する方法を採っても良い。予備調査による補正には、次の2種類が採用できる。
予備調査による補正の一つは、有限要素長に係る補正係数による方法であり、予備調査として、所定部つまり、前記自由度の設置箇所となる各点につき、前記動力学解析モデルに用いられる有限要素長と、この有限要素長よりも短い有限要素長とをそれぞれ用いて有限要素法によって同一荷重条件下の応力を求め、両応力の比を求めておき、この比を、有限要素長による補正係数とし、前記の変形履歴を応力分布に変換することで算出する過程で得られた保持器応力を、前記有限要素長に係る補正係数の乗算により補正する方法である。
この場合、動力学解析に用いた前記所定部の有限要素長に対して、その長さを必要十分な長さまで短くした場合の前記所定部の応力を求める。この求めた応力と、前記動力学解析に用いた有限要素長における応力との比を、補正係数として得ることで、応力推定精度を向上させる。このように、予備調査として一旦、補正係数を得た後は、前記所定部の有限要素長を都度短くすることなく、保持器応力の出力の工程で出力された保持器応力に単に補正係数を乗算するだけで、応力推定精度を向上させることができる。これにより、演算手段の処理負荷の軽減を図ることができるうえ、保持器寿命をより正確にかつ簡単に求めることが可能となる。
予備調査による補正の他の一つは、モード合成法に係る補正係数による方法であり、予備調査として、前記弾性変形特性の導入の過程、前記変形履歴の算出の過程、および前記保持器応力の算出の過程を用いた動力学計算により保持器応力を求めると共に、有限要素法により前記保持器の応力を求め、この有限要素法により求められた応力と、前記動力学計算により求められた応力の比を求めておき、この比を、モード合成法に係る補正係数とし、解析対象の保持器の応力解析過程における、前記変形履歴を応力分布に変換することで算出する過程で得られた保持器応力を、前記モード合成法に係る補正係数の乗算により補正する。
上記動力学計算上では、モード合成法により保持器変形を再現しているが、その応力値は、有限要素法による解析つまりFEM解析と比較すると小さくなることが、計算を実施していくことで判明した。理想的には、超要素法での固有変形モードの残留モード数の増加や拘束変形モードの自由度の数を増加させて、目的とする位置の応力値がFEM解析とモード合成法とで同等にするべきであるが、保持器の形状が変化すると超要素法の最適な解析条件が変化するため、都度検討する必要がある。それ故、有限要素法により求められた応力と、動力学計算により求められた問題となる部位の応力の比を、補正係数として得ることで、応力推定精度を向上させる。このように、予備調査として一旦、補正係数を得た後は、モード合成法による応力値に、前記補正係数を乗算するだけで、応力推定精度を向上させることができる。これにより、演算手段の処理負荷の軽減を図ることができるうえ、保持器寿命をより正確にかつ簡単に求めることが可能となる。
この有限要素長に係る補正係数と、モード合成法に係る補正係数とは、併用することができる。例えば、有限要素長に係る補正係数とモード合成法に係る補正係数とを乗算して得られた補正係数を用いても良い。
この発明において、上記いずれの補正係数も用いない場合は、自由度の設置箇所を次の3点とするのが良い。すなわち、この発明において、前記保持器の柱の中心断面上の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱の両端の2点と、これら2点の間の中心部との3点とし、前記変形履歴を応力分布に変換することで算出する過程で得られた保持器応力を、解析結果として出力する保持器応力とする。上記補正係数を用いない場合は、自由度の設置箇所を上記3点とする方が、上記2点とする場合よりも、精度の高い応力計算結果が得易い。
このように、上記いずれの補正係数も用いず、かつ自由度の設置箇所を上記3点とするのは、ころ、軌道輪、および保持器の剛体モードの運動の自由度、並びに保持器の弾性変形の自由度を2次元上に限定する場合に適用するのが良い。2次元上での計算とすると、3次元上での計算に比べて精度や求められる応力の種類については劣るが、計算量が少なく、効率的に計算できる。この場合に、自由度の設置箇所を上記3点とすることで、自由度の設置箇所が少なく計算量の少ない演算でありながら、できるだけ高い精度で保持器応力を求めることができる。
この場合に、ころ、軌道輪、および保持器の剛体モードの運動の自由度、並びに保持器の弾性変形の自由度を2次元上に限定し,
かつ前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、
これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの1点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向端部となる1点とするのが良い。
前記保持器の柱の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱端の1点と柱の長手方向の中心点の2点のみとしても良い。
この発明において、前記転がり軸受が円すいころ軸受であって、前記保持器が、軸方向の両端の一対の円環部と、これら円環部間に設けられた複数の柱とでなる円すい状の窓形であり、大径側の円環部が外径側へ突出するフランジ状であって良い。
このような保持器形状、軸受種類の場合に、自由度の設置箇所を上記2点または3点とすることによる、応力計算の高精度化と効率化とを両立させ、運転中の保持器応力の高精度かつ効率的な計算が可能になるという効果が良好に得られる。
この発明の軸受保持器の動的応力解析システムは、ころ軸受からなる転がり軸受の保持器の応力を解析する軸受保持器の動的応力解析装置であって、入力手段2(図3)と演算手段3と出力手段4とを備える。
前記演算手段3は、保持器を除く軸受構成部品を剛体とみなし、保持器には弾性変形の自由度を与えることを可能とした転がり軸受の動力学解析モデルを定めた解析モデル設定部3aと、
前記転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する処理と、この導入した弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する処理、およびこの処理で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する処理を行う応力演算部3bと、 この応力演算部で得られた保持器応力を前記出力手段へ出力する出力処理部3cと、
を有する。
前記応力演算部3bは、前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、かつ
これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とする。
この構成のシステムによると、この発明の動的応力解析方法で説明したと同様に、応力計算の高精度化と効率化とを両立させ、運転中の保持器応力の高精度かつ効率的な計算が可能になるという効果が得られる。
この発明の軸受保持器の動的応力解析方法は、ころ軸受からなる転がり軸受の保持器の応力を解析する過程として、軸受構成部品を剛体とみなした転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する過程と、前記過程で導入される弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する過程と、この過程で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する過程とを含む転がり軸受保持器の動的応力解析方法において、前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とするため、応力計算の高精度化と効率化とを両立させ、運転中の保持器応力の高精度かつ効率的な計算が可能となる。
この発明の軸受保持器の動的応力解析システムは、ころ軸受からなる転がり軸受の保持器の応力を解析する軸受保持器の動的応力解析装置であって、入力手段と演算手段と出力手段とを備え、前記演算手段は、保持器を除く軸受構成部品を剛体とみなし、保持器には弾性変形の自由度を与えることを可能とした転がり軸受の動力学解析モデルを定めた解析モデル設定部と、前記転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する処理、この導入した弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する処理、およびこの処理で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する処理を行う応力演算部と、この応力演算部で得られた保持器応力を前記出力手段へ出力する出力処理部とを有し、前記応力演算部は、前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、かつこれら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とするため、応力計算の高精度化と効率化とを両立させ、運転中の保持器応力の高精度かつ効率的な計算が可能となる。
(A)はこの発明の第1の実施形態に係る動的応力解析方法で用いる軸受の動力学解析モデルを表す斜視図、(B)は同転がり軸受の保持器の動力学解析モデルを、同図(A)とは逆方向に見た斜視図である。 同実施形態に係る応力解析方法を表すフローチャートである。 (A)は同実施形態に係る応力解析システムの電気的構成を表すブロック図、(B)は同応力解析システムの概念構成を示すブロック図である。 同保持器の動力学解析モデルの各柱に自由度を設定する箇所の例を示す部分拡大斜視図である。 運転中の軸受の保持器への干渉力、および保持器応力の計算結果例を表す図である。 保持器寿命の測定値と、保持器の最大Mises 応力の計算値との関係を表す図である。 (a)はこの発明の第2の実施形態に係る応力解析システムにおいて、2次元自由度に限定する拘束条件並びに自由度の設定方法を説明する保持器の説明図、(b)は同保持器の一部の拡大斜視図である。 第2の実施形態における転がり軸受の動力学解析モデルにつき、軸受中心のラジアル平面で切断した斜視図である。 第2の実施形態に係る運転中の軸受の保持器への干渉力、および保持器応力の計算結果例を表す説明図である。 ポケット隅部の有限要素長とその応力との関係を表す図である。 有限要素解析により求めた保持器応力と、モード合成法による動力学解析により求めた保持器応力との関係を表す図である。 保持器寿命の測定値と、補正係数を見込んだ保持器の最大Mises 応力の計算値との関係を表す図である。 保持器の柱中央部における応力発生箇所を表す斜視図である。 自由度設置場所が外径側で、荷重作用点が外径側の場合の、保持器のポケット大径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 自由度設置場所が外径側で、荷重作用点が外径側の場合の、保持器のポケット小径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 自由度設置場所が外径側で、荷重作用点が内径側の場合の、保持器のポケット大径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 自由度設置場所が外径側で、荷重作用点が内径意の場合の、保持器のポケット小径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 ポケット隅部でのモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比に影響を及ぼす荷重作用位置毎の影響の変化率を示すグラフである。 自由度設置場所が内径側で、荷重作用点が外径側の場合の、保持器のポケット大径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 自由度設置場所が内径側で、荷重作用点が外径側の場合の、保持器のポケット小径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 自由度設置場所が内径側で、荷重作用点が内径側の場合の、保持器のポケット大径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 自由度設置場所が内径側で、荷重作用点が内径意の場合の、保持器のポケット小径側隅部におけるモード合成法に対する有限要素法による最大応力の比を示すグラフである。 保持器の柱の変形前後の状態を示す斜視図である。 保持器の柱の変形前後の状態を示す断面図である。 解析対象となる円すいころ軸受の一例の部分破断側面図である。 解析対象となる円すいころ軸受の一例の部分破断正面図である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
本発明の第1の実施形態に係る応力解析システムは、たとえば、円すいころ軸受の保持器に適用される。ただし円すいころ軸受用の保持器だけに必ずしも限定されるものではなく、種々の転がり軸受の保持器の応力解析に適用される。以下の説明は、3次元での円すいころ軸受の動力学解析における保持器の応力解析方法についての説明をも含む。
図1の動力学解析モデルで表現される円すいころ軸受を図25,図26に示す。この円すいころ軸受は、内輪11と外輪12との対向する軌道面間に、保持器13に保持された転動体である複数のころ14を介在させたものである。内輪11および外輪12は、対向する軌道面が円すい面であり、ころ14は円すいころからなる。内輪11は、軌道面の両側に、大端の鍔11aと小端の鍔11bとを有する両鍔付きであり、外輪12は鍔無しである。
保持器13は、軸方向の両端の一対の円環部13a,13bと、これら円環部13a,13b間に設けられた複数の柱13cとでなる円すい状の窓形であって、隣合う柱13cの間が、ころ14を保持するポケットとなる。大径側の円環部13aは外径側へ突出するフランジ状とされ、小径側の円環部13bは内径側へ突出するフランジ状とされている。保持器13は、例えば鋼板のプレス加工品である。
転がり軸受の動力学解析モデルについて説明する。図1は、転がり軸受の動力学解析モデルおよび座標系を表す図であり、同図(A)は転がり軸受の全体のモデルを、同図(B)は同軸受の保持器のモデルを示す。なお、同図(A)と(B)とは、互いに表裏逆に図示してある。すなわち、図面(A)は、ころの大径側から軸受を俯瞰した図であって、ころの小径側から大径側に向かう方向がz+となっており、(B)は、保持器の小径側から保持器を俯瞰した図であって、保持器の小径側から大径側に向かう方向がz+となっている。座標系は、互いに直交する三軸方向の矢符x,y,zで表記する。xおよびy方向は、互いに直交するラジアル方向を表し、z方向は、アキシアル方向を表す。保持器は、同図(B)に示すように、荷重を負荷するポケットから離れた3点(P1,P2,P3)を変位拘束することで、空間に固定した。具体的には、YZ平面と交差する円環部の端部2か所(P1,P2)の3並進変位と、−X方向の端点(P3)のZ変位を拘束した。
解析対象の円すいころ軸受(図25,図26)は、主要寸法(内径×外径×幅)が、たとえばφ75mm×φ160mm×40mm、ころ本数が14、保持器13は転動体案内形式である。保持器については、柱の板厚が、それぞれB1,B2(B1=3.5mm, B2=5.0mm)と互いに異なる2種類の軸受について検討した。潤滑剤はグリースを適用した。内輪の回転速度は1000rpmであり、内外輪間の軸方向変位は固定とし、1000Nのラジアル荷重が作用した場合で、代表温度は60℃に設定した。ただし、これらの条件に必ずしも限定されるものではない。
3次元動力学解析の仮定条件を以下の通り規定した。前提として、保持器を除く軸受構成部品を剛体とみなす。
(i )ころおよび保持器に6自由度を与える。
(ii)外輪は空間に固定する。
(iii )内輪には、一定の軸方向変位と一定速度の自転角変位とを強制的に与え、ラジアル方向の2並進変位の自由度を与える(自由度は2)。
(iv)遠心力等の見かけの力を全て含む。
(v )水平軸回りの軸受姿勢とし、重力を考慮する。
(vi)ころ転動面の干渉力分布は、スライス法で評価する。
(vii )流体潤滑下のトラクション係数μhdは、村木らの簡易理論式{村木 正芳,木村 好次;潤滑油のトラクション特性に関する研究(第2報),潤滑,28,10(1983)753−760}で与えるが、等温条件とする。
(viii)境界潤滑下の摩擦係数μbdは、Kragelskiiのモデル{Kragelskii,I,V.,;Friction and Wear,Butterworths,London(1965)178-184 }を修正した式(1)で与える。
(ix)ころと軌道面間の接線力は、潤滑領域の変化を考慮し、式(2)で与える。また弾性流体潤滑(略称EHL)状態下では転がり粘性抵抗{R.S.Zhou,M.R.Hoeprich;Trans.ASME,J.Trb,113,7(1991)590.}を考慮する。
(x )ころ大端面と内輪大つば面との干渉力は、最大近接点に全て作用するものと仮定する。接線力係数は式(2)で与えられる。
(xi)ころと保持器間の接線力係数は、境界潤滑下のみを仮定する。
(xii )ころ端面に対する小つば面とポケット面の接触は、最大めり込み点に全ての接触力と接線力が作用する。
Figure 2012026500
ここで、「s」は、すべり率である。
Figure 2012026500
ここで、「μr」は、接線力係数であり、「Λ」は、油膜パラメータである。
図2は、第1の実施形態に係る応力解析方法を段階的に表すフローチャートである。まず、ステップs1で、実際の保持器を模擬した有限要素モデルを作成する。FEM解析を実行するためのソフトウェア(たとえばI-DEASやNastran 等)を用いて後述する超要素法による解析を実行することで、保持器の動特性情報を得る。この動特性情報の結果を、複数のモードシェイプを重ね合わせ妥当な弾性変形を作るいわゆるモード合成法に基づき、前述の動力学解析モデルに導入する。
次にステップs2に移行し、軸受構成部品の運動の自由度と、ステップs1で導入される保持器の弾性変形の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する。このステップs2では、同ステップs2の処理を行う手段に組み込まれている計算ルーチンである、保持器と、軸受構成部品である「ころ」との干渉力の計算ルーチンに基づいて該干渉力を計算する。ここでは、導入された保持器ポケット面の節点(有限要素の頂点)が、ころとの幾何学的な干渉が生じた場合に干渉力を作用させるようにした。
具体的には、ポケット面上の節点位置ところ上のある基準点、ならびにその傾きを示すオイラー角を慣性座標系で取得し、該節点をころに固定した座標系へ変換後に、ころの輪郭情報から該節点ところとの干渉量を求めた。干渉が生じている場合には、接触力ならびに本干渉点でのすべり速度から摩擦力を求め、それらの合力を干渉力として取り扱えばよい。本手法では、保持器の挙動や弾性変形が全て考慮された状態でのころとの干渉力を計算することが可能になる。以上の数値計算において、運動方程式の数値積分時の時々刻々の履歴を記録することで、保持器の挙動や各変形モードの変形履歴が得られる。その後ステップs3に移行し、算出された変形履歴を、ひずみおよび応力分布に変換し、出力する。その後、同図の流れ図で示す処理を終了する。
図3(A)は、この実施形態に係る応力解析システムの電気的構成を表すブロック図、同図(B)は同応力解析システムの概念構成のブロック図である。この応力解析システム1は、主に、入力手段2と、演算手段3と、出力手段4とを有する。演算手段3は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータと、これに実行される解析プログラム(図示せず)とで構成される。入力手段2は、例えはキーボードやポインティングデバイス、または記録媒体を読み込む手段や、通信回線と接続する手段などによって実現される。
図3(B)において、演算手段3は、解析モデル設定部3aと、応力演算部3bと、出力処理部3cとからなる。解析モデル設定部3aは、前述の動力学解析モデルを設定し、この動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性(固有変形モードおよびその周波数)を、モード合成法に基づき入力可能としたものである。
解析モデル設定部3aは、図2の流れ図のステップs1の処理を行う手段であり、応力演算部3bは、s2の処理と、ステップs3の処理のうちの、変形履歴を保持器応力に変換する処理を行う手段である。
応力演算部3bは、解析モデル設定部3aで導入される弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品(例えば、ころ)の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する変形履歴算出部3baと、該算出される変形履歴を応力分布に変換する応力分布変換部3bbとを有する。出力処理部3cは、応力分布変換部3bbで変換した応力分布を出力手段4へ出力する。なお、応力演算部3bには、後に説明する補正演算部3bcを設けても良い。
演算手段3は、たとえば、中央演算処理装置5(CPU )、メモリ6,7(リードオンリーメモリ6(ROM )、ランダムアクセスメモリ7(RAM ))、バス8、入出力インターフェース9、および出力手段4を駆動するための駆動回路10とを有する。
入出力インターフェース9には、バス8を介して中央演算処理装置5、メモリ6,7がそれぞれ接続されている。入出力インターフェース9に、入力手段2が電気的に接続されるうえ、駆動回路10を介して出力手段4が電気的に接続されている。出力手段4は、例えば表示出力可能なディスプレイやプリンタなどによって実現される。例えば、メモリ6またはメモリ7に、前述の変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出し、該算出される変形履歴を応力分布に変換するための解析プログラムが格納される。メモリ7には、入力値、算出される値などが一時的に記憶される。
図4は、円すいころ軸受の保持器の各柱に自由度を設定する箇所を表す斜視図である。保持器13は、円周方向一定間隔おきに複数の柱13cを備え、隣接する柱13c間に転動体としてのころが配設される。各柱13cは、配設されるべきころの軸線方向に略平行に延在する直方体形状に形成される。この保持器の前記動力学解析モデルにおいて、保持器13の各柱13cに超要素法の自由度(略称DOF:Degree Of Freedom ,ここでは3並進とする)を設定する。
自由度DOFの設置箇所は、柱13cの保持器外径面と保持器内径面のうちの、ころからの荷重により柱13cの並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、柱13cの幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とする(なお、図4では、各点(−2,−1,0,+1,+2)を示している。これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、柱13cの、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部でかつ柱の中心断面上となる2点(−2,+2)とする。上記の「柱13cの保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱13cの並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面」は、転がり軸受の各種の条件によって異なるが、図示の例では保持器外径面である。
自由度DOFの設置箇所は、上記のころの軸方向両端部となる2点(−2,+2)のみとすることが好ましいが、前記両端の2点(−2,+2)と、これら2点(−2,+2)の間の中心部(0)との3点とであっても良く、さらに多くの箇所としても良い。例えば、上記両端部となる2点(−2,+2)と中心部(0)との間の中央となる点(−1,+1)を加えても良い。
上記の「柱13cの並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面」が保持器内径面である場合は、自由度DOFの設置箇所は、中心断面上で、保持器内径面上であって、かつころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点(保持器内径側の柱の面上でかつ−2,+2に相当する点)とするのが良く、または、これに保持器内径面上の中心部(保持器内径側の柱の面上でかつ0に相当する点)を加えても良く、さらにその両端部となる2点(保持器内径側の柱の面上でかつ−2,+2に相当する点)と中心部(保持器内径側の柱の面上でかつ0に相当する点)との間の中央となる点(保持器内径側の柱の面上でかつ−1,+1に相当する点)を加えても良い。
自由度DOFの設置箇所を上記のようにすることが好ましい理由については、後に、FEM解析の結果との対比等を行って説明する。
ここで前記超要素法(スーパーエレメント法ともいう)について説明する。この方法は、有限要素法(FEM)による特性行列の定式化からグヤンの静縮小を行って解析する方法である。ある部分構造の質量行列を[M],剛性行列を[K]とし、超要素法の縮小過程で消去される自由度を添字a,残される自由度を添字bで表す。自由度aには外力が作用しないとすれば、不減衰振動の運動方程式は、周波数領域で次のようになる。前記の超要素法の自由度DOFとは、自由度{xb}である。
Figure 2012026500
式(3)において、{x}は変位振幅ベクトル,{fb}は外力ベクトルを表す。式(3)において慣性項を省略し、上半分の関係式から消去される自由度の変位{xa }を残される自由度の変位{xb }で式(4)のように表す。
Figure 2012026500
式(4)の関係を用いて元の質量行列と剛性行列とを{xb }の自由度に等しい行列に縮小する。縮小後の質量行列は式(5)のように表される。
Figure 2012026500
剛性行列は式(6)のように表される。
Figure 2012026500
これら式(5)、式(6)の行列の表現される分系モデルを超要素とよぶ。超要素による分系の特性行列を構造物の結合状態のように重ね合わせ、全系の縮小された運動方程式を作成して解く。
ところで、変形モードの導入において、保持器の柱の変形を再現することが重要であるが、この考慮には非常に高次までの固有変形モードを導入する必要があり、動力学解析の数値積分が長時間化していた。本実施形態において、保持器の各柱に、前述の超要素法の自由度を設定することで、柱の変形モードが必ず動特性に含まれるようになり、かつそれ以外の固有変形モードの残留モード数を減少させることで、最終的に効率的かつ妥当な保持器応力値を得ることができる。保持器の各柱に超要素法の自由度を設定する場合、高次の固有変形モードを導入する手法に比べて、動力学解析に要する時間短縮を図ることができる。
本発明で記しているモード合成法とは、具体的には、超要素法による拘束変形モードと固有値解析による固有変形モードとの線形和により、保持器の弾性変形を模擬することを意味する。動力学解析への導入には、以下に示すモード変形を考慮したラグランジェの運動方程式を利用することで実現している。
次に、軸受構成部品の運動の自由度と、保持器の動的な弾性変形の自由度とを同時に数値積分する態様を、運動方程式に基づいて説明する。以下のラグランジェの運動方程式で、一般化座標やラグランジアンLに弾性変形の自由度も導入され解かれる。
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Figure 2012026500
ここでx、y、zは並進変位、ψ、θ、φは角変位、qi は、各変形モードのモーダル座標である。
以下、ラグランジアンLの定義について説明する。
L=T−V
ここでTは運動エネルギである。弾性体の運動エネルギは微小要素dVの運動エネルギの積分により次式のように表される。
Figure 2012026500
ここで、式(10)のvは速度、ρは密度、mpは有限要素の微小要素ノードpの質量、vpはノードpの速度、GωBpはその角速度、Ipはその慣性モーメントのテンソルである。速度vpの算出は下式に基づく。
Figure 2012026500
ここで、GABは物体に固定した座標系から、慣性座標系への変換行列である。spはノードpの弾性変形が無い場合の位置ベクトルで、upはその弾性変形ベクトルである。
変換行列の変化量については、下式の変換が可能である。
Figure 2012026500
ここで、記号の上に付くチルダ(〜)はスキュー演算子であり、行列の積で外積演算を表すことができる。
また、一般化座標上の角変位の時間微分を慣性座標系に変換すれば角速度がえられるため、
Figure 2012026500
の関係も成立する。ここで、Bは慣性から物体の基準点への座標変換行列である。
よって、速度は下式となる。
Figure 2012026500
式(10)に対して、vやωを置き換えて簡単化すると、一般化質量行列と一般化座標上では、下式が導かれる。
Figure 2012026500
上式の質量行列は、その内容を明確化すると、式(12)のように区分けされる。下付き添字のt、rおよびmはそれぞれ、並進、回転およびモードの変位を表す。
Figure 2012026500
式(12)の9つのM行列は下式で表現される。
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Figure 2012026500
Vはポテェンシャルエネルギであり、次式のように表される。
Figure 2012026500
式(20)での剛性行列Kは,式(21)となる。
Figure 2012026500
ここで、Kmmは、モード座標系での一般化剛性行列で、物体のモード行列をΦ、剛性行列をKとすると、
Kmm=ΦT KΦ
となる。
Vgは重力による位置エネルギである。
Figure 2012026500
ここで、gは重力加速度ベクトルである。ラグランジェの運動方程式に入る一般化された重力による力は下式となる。
Figure 2012026500
Fは散逸エネルギであり、レイリーの散逸関数より次式のように表される。ここで、Dはモーダル減衰行列である。
Figure 2012026500
上記の式をラグランジェの運動方程式に導入すると、最終的に、弾性変形部の一般化座標系における運動方程式は次式となる。
Figure 2012026500
Figure 2012026500
図5は、運転中の軸受の保持器への干渉力、および保持器応力の計算結果例を表す図である。本図において、保持器のカラーコンタはMises 応力であり、内輪、外輪、およびころは非表示状態である。図5に示すように、保持器の柱から半径方向外方側でかつ略接線方向に向けて、ころからの干渉力ベクトル12が作用している。本実施形態に係る応力解析においては、水平軸回りに配設される当該保持器の頂上付近部の複数の柱に、この頂上付近部以外の周方向他部に存する柱よりも、大きい干渉力が作用していることが明らかになっている。しかも前記頂上付近部の複数の柱には、半径方向外方側でかつ前記略接線方向とは異なる方向に向けて、ころからの干渉力ベクトル12が作用していることが明らかになっている。保持器の上半部では、該保持器の内周に沿って応力が付与され、内周から柱、および外周にわたって応力が付与されている。
以上説明した保持器の応力解析方法および応力解析システムによれば、軸受構成部品を剛体とみなした転がり軸受の3次元の動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性(固有変形モードおよびその周波数)をモード合成法に基づき導入し、弾性変形の自由度と、軸受構成部品であるころの運動の自由度とを同時に数値積分する。これによって、変形の動特性を含む保持器の変形履歴が得られる。このような変形履歴に基づいて保持器応力を得ることができる。また、上記動力学解析モデルにおいて、保持器の他の構成部品は、剛体とみなす。
したがって、前記非特許文献1,2等の従来技術と比べて、運転中の保持器応力を高精度にかつ効率的に計算することが可能となる。それ故、たとえば保持器の柱の断面積を小さくしたり柱中心のピッチ円径を変更することで軸受サイズを大きくすることなく転動体の数を増加させ、負荷容量を増大させるような設計変更を、高精度にかつ効率的に計算することができる。これにより、たとえば高負荷時の接触面圧を低減させ、過酷な潤滑条件下や異物混入潤滑条件下での寿命向上を図るとともに高剛性化も同時に実現し得るような転がり軸受の保持器を、短時間で求めることが可能となる。それ故、軸受製作のコストを低減することが可能となる。本応力解析方法および応力解析システムによって、実験代替技術を確立することが可能となる。
また、保持器11の各柱11aに、超要素法の自由度を設定するので、柱11aの変形モードが必ず動特性に含まれるようになり、かつそれ以外の固有変形モードの残留モード数を減少させることで、効率的かつ妥当な保持器応力値を得ることができる。換言すれば、従来の非常に高次までの変形モードを導入する手法に比べて、動力学解析に要する時間短縮を図ることができる。
特に、この実施形態では、上記の動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性をモード合成法に基づき導入する際に、保持器の柱の軸方向の中心断面上に複数の自由度を設置する。こうすることで、ころからポケット面への荷重が応力集中する隅部へ近づいてきても、比較的精度良く、隅部の応力を予測することができる。
複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、柱の、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とし、あるいはこの2点のみとしたため、自由度の設置箇所をできるだけ少なくして計算量を減らしながら、精度良く保持器応力を計算することができる。また、自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点とするため、さらに精度良く保持器応力を計算することができる。
次に、上記実施形態において、補正により、保持器応力の計算精度を向上させる方法(1)、(2)について説明する。
(1)有限要素長による応力補正について
図10は、保持器のポケット隅部の有限要素長とその応力との関係を表す図である。同図は、動力学解析に用いた所定部としてのポケット隅部の有限要素長、例えば0.7mmに対して、その長さを必要十分に短くした場合、例えば0.35mm以下にした場合のポケット隅部の応力を、有限要素法上で計算したものである。
すなわち、予備調査として、応力集中部となるポケット隅部につき、動力学解析モデルに用いられる有限要素長(図10の丸点線参照)と、この有限要素長よりも短い有限要素長(同図、矢符参照)とをそれぞれ用いて有限要素法によって応力を求める。
これら両応力の比を求めておく。本実施形態では、動力学解析に用いた有限要素長、例えば0.7mmのポケット隅部の応力は6×10−3KPaであり、この有限要素長を必要十分に短くした場合、例えば0.07mmのポケット隅部の応力は1×10−2KPaである。この1×10−2KPaを6×10−3KPaで除した両応力の比は「1.66」となる。この比を補正係数αとして、保持器応力の計算の過程で出力された保持器応力を、前記補正係数αの乗算により補正する。前記補正係数αは、図3に示す演算手段3におけるRAM7等に書換え可能に記憶され、演算に供される。この保持器応力の補正は、図3の応力演算部3bで行う。例えば、応力演算部3bに補正演算部3bcを設け、応力分布変換部3bbで出力される保持器応力を、補正演算部3bcで補正し、その補正結果を出力処理部3cから出力する。なお、補正係数αは、「1.66」に限定されるものではない。
このように、予備調査として一旦、前記補正係数αを得た後は、前記ポケット隅部の有限要素長を都度短くすることなく、保持器応力の出力の工程で出力された保持器応力に単に補正係数αを乗算するだけで、応力推定精度を向上させることができる。これにより、演算手段3の処理負荷の軽減を図ることができるうえ、保持器寿命をより正確にかつ簡単に求めることが可能となる。本例では、応力集中部として、ポケット隅部の例を説明したが、応力集中部はポケット隅部だけに限定されるものではない。例えば、柱の中央部に応力が集中しやすい形状がある場合(図13)には、その部分の応力に対する有限要素長の影響を上記のごとく解析すればよい。図13において、丸点線で囲まれた箇所Hcが、柱の中央部での応力発生箇所である。
(2)モード合成法による応力補正について
図11は、有限要素解析により求めた保持器応力と、モード合成法による動力学解析により求めた保持器応力との関係を表す図である。動力学解析上では、上記動力学解析モデルに、保持器の動的な弾性変形の特性をモード合成法に基づき導入して、保持器変形を再現している。このモード合成法による動力学解析におけるポケット隅部の応力値は、有限要素法による解析つまりFEM解析と比較すると小さくなることが、計算を実施していくことで判明した。理想的には、超要素法での固有変形モードの残留モード数の増加や拘束変形モードの自由度の数を増加させて、目的とする位置の応力値がFEM解析とモード合成法とで同等にするべきであるが、保持器の形状が変化すると超要素法の最適な解析条件が変化するため、都度検討する必要がある。それ故、有限要素法により求められたポケット隅部などの問題となる部位の応力と、動力学計算により求められた同部の応力の比を、補正係数βとして得ることで、応力推定精度を向上させる。
本実施形態では、保持器の板厚が主に異なる2種類の軸受B1,B2にて検討した。図11において、前記軸受B1の応力計算結果は一点鎖線で表記され、前記軸受B2の応力計算結果は長点線で表記される。動力学計算による応力値に対して、FEM解析による応力値は、軸受B1で1.6倍、軸受B2で1.2倍となった。すなわち、予備調査として、軸受B1における補正係数β「1.6」、軸受B2における補正係数β「1.2」を得ることができる。この補正係数βは、図3に示す演算手段3におけるRAM7等に書換え可能に記憶され、演算に供される。この保持器応力の補正は、補正演算部3bcにより行われる。なお、補正係数βは、「1.6」、「1.2」に限定されるものではない。
したがって、予備調査として一旦、補正係数βを得た後は、モード合成法による応力値に、前記補正係数βを乗算するだけで、応力推定精度を向上させることができる。これにより、演算手段3の処理負荷の軽減を図ることができるうえ、保持器寿命をより正確にかつ簡単に求めることが可能となる。
なお、図3の補正演算部3bcは、上記有限要素長による応力補正を行うものであっても、またモード合成法による応力補正を行うものであっても良く、さらに両方の応力補正を行うものであっても良い。補正演算部3bcが上記両方の補正を行うものである場合、保持器応力の算出の過程で出力された保持器応力に対して、例えば、前記補正係数αおよび補正係数βの両方の乗算により補正するようにする。この両方の補正を行うことが、応力推定精度をより向上させる点で好ましい。この場合、保持器寿命をさらに正確に求めることが可能となる。
次に、実際の補正による計算例と保持器寿命試験との比較例を以下に示す。保持器寿命試験では、運転中の一対の軸受にラジアル方向振動を強制的に与えて、保持器破損時間を測定した。前記保持器破損時間は、保持器寿命と同義である。試験対象の円すいころ軸受は、主要寸法(内径×外径×幅)が、例えばφ75mm×φ160mm×40mmであり、ころ本数が14、保持器の板厚(B1,B2) が異なる(B1=3.5mm, B2=5.0mm)2種類の軸受について実施した。軸受アキシアル隙間は0.2mmであり、潤滑剤はグリースを適用した。内輪の回転速度は1000rpmであり、周波数100Hz、196m/s2の加振を与えた。軸受1個あたり1000Nのラジアル荷重を水平方向に負荷した。
図12は、保持器寿命の測定値と、補正係数を見込んだ保持器の最大Mises 応力の計算値との関係を表す図である。これら二種類の軸受B1,B2では、二種類の補正係数αおよび補正係数βを共に乗算した最大Mises 応力の計算値が表されている。保持器が破損した軸受の保持器応力SB1は、点線で示す材料疲労限界FLを超えている。逆に言えば、保持器が破損していない軸受の保持器応力SB2は、材料疲労限界FLを超えていない。したがって本実施形態に係る保持器の応力解析の妥当性を、この保持器寿命試験によって確認できる。保持器破損は、ポケットの小径側の隅を起点に生じているが、応力解析でも同様の位置で高応力が発生している。高応力は、ころが保持器を上方へ加速させる場合に生じている。
本実施形態では、保持器応力に補正係数αおよびβを乗算して補正したため、保持器応力が材料疲労限界FLを超えるか超えないかの判定を、より正確に行うことができる。本結果では、補正係数βを考慮して初めて、実験結果との整合性を見出すことができたが、補正係数がなくても保持器応力の水準を推定することが可能で強度設計において役立つ情報となる。また保持器の形状が不変であれば、保持器応力に及ぼす運転条件の影響などを検討する場合には、補正係数αやβは不要となる。
次に、自由度の設置箇所の位置や個数の違いによる保持器応力の計算精度を比較検討した結果を説明する。
図1(B)の保持器に対して、図4の5点(−2,−1,0.+1,+2)となる各箇所に、次の表1の組み合わせパターンで自由度を設置し、かつ各々においてポケット面上の10箇所の点にころ荷重を模擬した荷重を順次負荷し、ポケット隅部の最大主応力を、有限要素法と実施形態のモード合成法(ただし自由度の設置箇所は実施形態に含まれない場合を含む)とで計算した。
Figure 2012026500
モード合成法に対する有限要素法の応力の比を、図14〜図17に示す。横軸は、荷重負荷点を表し、それぞれ一点のみに負荷している。ただし、ALLは、10点の全てに荷重を負荷した場合である。
これらの図からわかるように、荷重作用点が柱の中央である0Uや0Lであれば、自由度を1つ設けたパターン1でも、応力比は比較的小さい。しかしながら、−2や+2と、長手方向の端に偏ると、応力比は大きくなる。自由度を2点としたパターン2B,2C場合、荷重点の偏りに伴う応力比の増加幅は、パターン1と比べ減少する。図14や図15からわかるように、自由度を両端にしたパターン2Cでは、荷重点が両端の場合の応力比はパターン2Bよりも小さいが、−1から+1の間に荷重が作用する場合には、自由度の間隔が短いパターン2Bの方が応力比が小さくなる。自由度を3点としてパターン3Eは、いずれの位置に荷重が作用しても,比較的小さな応力比となる。
自由度を5点全てに設定したパターン5では、全域において最も低い応力比となった。したがって、ポケットの接触面上でのいずれの接触位置でも、有限要素法に近い応力値を算出するためには、より多くの自由度を持つパターン5が好ましい。しかしながら、動力学解析での計算コストは最も大きく、かつ、パターン3Eとの差異は小さい。よって、計算効率と精度を考慮すると、両端2点と中央1点との合計3点としたパターン3Eが好ましい。
応力補正係数を用いて、ポケット隅部の応力を推定する場合は、上記応力比に及ぼす荷重作用位置の影響が小さいことが望ましい。そこで、荷重作用位置を変えた場合の応力比の最小値に対する最大値の比を図18に示す。この比が小さければ、荷重作用位置が変わってもモード合成法で出てきた応力値に補正係数を乗じることで、比較的精度良く、有限要素法、すなわち実際の応力値が推定できる。図18より、最も良いのはパターン5である。次に小さい(良好な)のはパターン2Cであり、パターン5との差異は非常に小さい。パターン2Cの計算コストは、パターン5に比べ自由度が6割も減少するため、効率的な計算を行える。
上記は、モード合成法の自由度を保持器の柱の外径面側に設置した。しかし、実際に自由度の設置場所は、柱の内径面側とすることも可能である。そこで、自由度の設置場所を内径面側の−2と+2となる位置とした場合の応力補正比を求めたところ、図19〜図22となった。図にはパターン1と2Cの結果を比較用に掲載しておいた。内側に設置したものは2CIと記載したものである。応力比は、パターン2Cの場合よりも大きい。自由度は変形による変位の大きな部位に設置することが適切である.今回の保持器の柱の変形は、図23,図24のように、荷重による変形が斜め左上方向への並進成分と反時計回りのねじり成分からなり、内径側(I点)よりも外径側(O点)がより大きな変位となる。よって、自由度の設置における内径側か外径側かの選択は、ころからの荷重により並進的に変形する方向とねじれによる変形する方向とが一致し、変位が増加する側とすべきである。
上記を踏まえて、最も好ましい計算手法は、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側で、かつポケット間の中心断面上において、ころから荷重が作用する範囲内でのころの軸方向の両端部に、モード合成法の自由度を計2つ設置して、転がり軸受の動力学解析を行い保持器の応力を算出し、加えて予め求めた2種類の応力補正係数を乗じることである。
なお、応力補正係数を用いない場合では,更に柱の荷重が作用する範囲内でころの軸方向の中央部に更に自由度を1つ追加し、転がり軸受の動力学解析にて保持器応力を計算することが、計算精度と計算速度を両立させる上で、好ましい。
次に、運転中の転がり軸受の保持器に生じる応力を、計算時間が短くて済む2次元の動力学解析により数値計算する保持器の応力解析システムについて説明する。本実施形態に係る保持器の応力解析システムは、たとえばニードル軸受や円筒ころ軸受の保持器に適用される。ただし、これらの軸受用の保持器だけに必ずしも限定されるものではなく、種々のころ軸受である転がり軸受の保持器の応力解析に適用される。以下の説明は、2次元でのニードル軸受や円筒ころ軸受の動力学解析における保持器の応力解析方法についての説明をも含む。
前述の3次元での転がり軸受の保持器応力の動力学解析システムは、各種転がり軸受に適用可能である。しかしながら、3次元での動力学解析では、各部品の6自由度ならびに保持器の3次元的な弾性変形の自由度の全てを同時に数値積分するため、計算コストは高い。ところで、ニードル軸受や円筒ころ軸受などでは、ラジアル平面上の物体の挙動のみを取り扱いたい場合がある。この場合に上記の3次元全ての自由度を考慮する動力学解析では効率的でない。また、剛体部品の運動の自由度の拘束は容易にできるが、弾性体として取り扱う保持器の軸方向変位、ならびに自転を除く2軸周りの角変位を拘束するのは難しい。
そこで、本発明の第2の実施形態に係る転がり軸受の保持器応力の動力学解析システムでは、保持器の弾性変形の自由度を2次元上に限定し、かつ転動体や軌道輪の運動の自由度も2次元上に限定することで、数値積分の必要処理量が減少する。これにより、転がり軸受の保持器応力を、3次元解析で行った場合よりも短時間で計算を完了させることができる。第2の実施形態の保持器の応力解析システムは、第1の実施形態と同様に、図3に示すように、入力手段2と演算手段3と出力手段4とを含む。
前記演算手段3は、前記演算手段3は、保持器を除く軸受構成部品を剛体とみなし、保持器には弾性変形の自由度を与えることを可能とした転がり軸受の動力学解析モデルを定めた解析モデル設定部3aと、前記転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する処理と、この導入した弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する処理、およびこの処理で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する処理を行う応力演算部3bと、この応力演算部で得られた保持器応力を前記出力手段へ出力する出力処理部3cとを有する。
ただし、この実施形態では、解析モデル設定部3aに設定する動力学解析モデル、および応力演算部3bは、保持器の弾性変形の自由度を2次元上に限定し、かつ転動体や軌道輪の運動の自由度も2次元上に限定する。この2次元上への限定は、軸心を含む平面、例えば図7におけるyz平面である。
動力学解析の運動の自由度を2次元上に限定した場合の保持器の変形自由度DOFの設置箇所は、図4の3次元モデルを例に説明すると、保持器はその軸方向の中心で切断され図4の右側部のみが残された場合を想定した場合,柱13cの幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所であり、具体的には、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる1点(+2)と、こ中心部(0U)との2点とする。また、柱13cの保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱13cの並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点とする。上記の自由度を設定する各点(0,+2)は、保持器外径面が、ころからの荷重により柱13cの並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面となる場合に設定する点であり、上記 柱13cの並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面が保持器内径面である場合は、内径面上の上記片端1点とその中央の2点(0,+2)とする。
この構成によると、動力学解析モデルに保持器の動的な弾性変形の特性をモード合成法に基づき導入し、弾性変形の自由度と、軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を得ることができる。該変形履歴に基づいて保持器応力を得ることができる。特に、保持器の弾性変形ならびに転動体、軌道輪ならびに保持器の剛体モードの運動の自由度を2次元上に限定する構成により、3次元解析で行った場合よりも短時間で保持器応力の計算結果を得ることが可能となる。
図7に示すように、動力学解析モデルに導入する保持器11Aの動的な弾性変形の特性(固有変形モードとその周波数)を計算する時点で、当該保持器11Aを、その各柱11bの長手方向の中間付近(いわゆる保持器中心)でラジアル方向つまりyz平面に沿って切断し、該切断した一方のみを解析対象とする。図7,8に示すように、ここで互いに直交するx,y,z方向の座標系のうち、x方向は、転がり軸受を基準とするアキシアル方向を表し、yおよびz方向は、それぞれラジアル方向を表す。前記ラジアル平面とは、yz平面と同義である。
一方の保持器11Aの切断面smに、2次元拘束(ラジアル方向の2並進とこれに垂直な軸周りの自転の自由度)を与え、超要素法による解析を実行することで、保持器11Aの動特性情報を得る。この動特性情報の結果を、モード合成法に基づき動力学解析モデルに導入する。次に、軸受構成部品の運動の自由度と、保持器11Aの弾性変形の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器11Aの変形履歴を算出する。
動力学解析上では、ころ、内輪、外輪の各部品も、上記保持器11Aと同様にラジアル平面に沿って切断し、該切断した一方のみを解析対象とする。そしてこれらの部品ならびに超要素法で解析した保持器に対してそれぞれの断面上の1代表点に2次元自由度に限定する拘束条件を動力学解析上で与える。超要素法上ですでに切断面は2次元拘束されており、各柱11bの切断面smは、全てこの切断平面上に拘束されることになり、かつ動力学解析上でも、本断面上の任意の1点に2次元拘束を与えれば、この保持器の剛体的な運動の自由度はラジアル平面上の3自由度のみに限定することができる。また、前述の第1の実施形態と同様に、保持器11Aの各柱11bの前記各自由度設置箇所毎に、2並進自由度を与えれば、保持器11Aの各柱11bの変形モードが必ず出力され、通常の固有モードの残留数を少なくしても、各柱の変形が動力学解析でうまく再現され、かつ数値積分の計算時間も3次元解析で行った場合より短縮できる。したがって保持器設計に要する時間短縮を図ることができ、工数低減を図ることが可能となる。
本実施形態に係る動力学解析では、保持器11Aを各柱11bの長手方向中間付近でyz平面に沿って切断した一方のみを解析対象としている。このため、保持器の質量が実際の保持器質量の半分になることから、ころ、内輪、外輪の各部品も、上記保持器と同様にラジアル平面に沿って切断し、各部品の質量も実際の部品質量の半分としている。したがって、軸受に作用する荷重やモーメントも、実際に作用する荷重やモーメントの半分とする。
特にニードル軸受では、保持器は軌道輪で案内される形式が多く、保持器と軌道輪間の干渉力も評価する必要がある。ニードル軸受において、その保持器が軌道輪で案内される形式のとき、干渉力を本来あるべき干渉力の半分を動力学解析で導入すればよい。こうすることで、運動方程式上では、質量、接触ばね(2物体の干渉量に対する干渉力の大きさの比)および力の成分が、全て本来の半分となり、得られる挙動や弾性変形量は極力正しい値となる。
図9は、第2の実施形態に係り、運転中の軸受の保持器への干渉力、および保持器応力の計算結果例を表す図である。この第2の実施形態では、遊星歯車機構による遊星運動下の転がり軸受の保持器応力を計算した一例を表している。遊星歯車機構は、外歯太陽歯車および内歯歯車に複数(例えば3〜5個)の遊星歯車が噛み合い、各遊星歯車を、キャリアと一体の軸の外周に転がり軸受を介して回転自在に支持したものである。
前記転がり軸受は、軸の外径面および遊星歯車の内径面が、各転動体の転接する軌道面となる。この転がり軸受は、円周方向の複数箇所にポケット13が形成された保持器14を備え、各ポケット13内に転動体15を保持する。転動体15は、針状ころ等のころからなる。遊星歯車機構の各構成部品の自由度につき、ラジアル面内の自由度のみを対象としてモデルを用いる。また、このモデルにおいて、転がり軸受に作用する遊星歯車機構に特有の荷重は、以下の仮定で表現されるものとする。
・動力学解析対象部品の慣性力ならびに遠心力を考慮する。
・転動体、保持器、軸、および遊星歯車の互いの接触力および接線力を考慮する。
・キャリアおよび遊星歯車の自転角速度は、一定または、既知の関数等による既知条件として与える。よって、遊星歯車の公転角速度は動力学解析の自由度とする。
・外歯太陽歯車、内歯歯車、およびキャリアの中心位置は固定とし、互いに一致する。 ・遊星歯車と外歯太陽歯車および内歯歯車との歯面接触部のかみ合い隙間は、遊星歯車を支持する転がり軸受のラジアル内部隙間よりも大きいため、このラジアル内部隙間分の遊星歯車の2並進の自由度を与える。
・内歯歯車および外歯太陽歯車から遊星歯車への干渉力は、遊星歯車の公転方向の並進力と自転モーメントに帰着できる。さらに、定常運転状態下では、この並進力は伝達トルクで決定される。
本図において、保持器のカラーコンタは最大主応力であり、半径方向外方から内方に向けて、外輪からころ15への干渉力ベクトル16が作用し、半径方向内方から外方に向けて、内輪からころ15への干渉力ベクトル17が作用している。上記は遊星運動用であるが、2次元運動仮定で解析したい全ての転がり軸受に適用できる。運転条件としては,遊星運動以外にもクランク運動するコンロッド部や自動車の手動変速機に多用されるアイドラ用の軸受などにも適用できる。
以上説明した第2の実施形態に係る保持器の動力学解析システムおよび動力学解析方法によれば、ころ、内輪、外輪の各部品ならびに超要素法で解析した保持器に対してそれぞれの断面上の3点または2点となる代表点に2次元自由度に限定する拘束条件を動力学解析上で与える。保持器の各柱の両端となる2点、または両端と長手方向中間付近部の3点に、2並進自由度を与えれば、保持器の各柱の変形モードが必ず出力され、通常の固有モードの残留数を少なくしても、各柱の変形が動力学解析でうまく再現され、かつ数値積分の計算時間も3次元解析で行った場合より短縮できる。したがって保持器設計に要する時間短縮を図ることができ、工数低減を図ることが可能となる。特に、ニードル軸受や円筒ころ軸受などでラジアル平面上の物体の挙動のみを取り扱いたい場合に、3次元全ての自由度を不所望に考慮する必要がなくなる。超要素法上で当該保持器のラジアル平面(切断面)は2次元拘束されており、各柱の切断面は、全てこの切断平面上に拘束される。保持器を、その各柱の長手方向中間付近でラジアル平面に沿って切断し、該切断した一方のみを解析対象とするだけで、2次元拘束を簡単に実現できる。
1:動的応力解析システム
2:入力手段
3:演算手段
3a:解析モデル設定部
3ba:変形履歴演算部
3bb:応力分布変換部
3bc:補正演算部
4:出力手段
11:内輪
12:外輪
13:保持器
13a,13b:円環部
13c:柱
14:ころ

Claims (11)

  1. ころ軸受からなる転がり軸受の保持器の応力を解析する過程として、軸受構成部品を剛体とみなした転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する過程と、前記過程で導入される弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する過程と、この過程で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する過程とを含む転がり軸受保持器の動的応力解析方法において、
    前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、
    これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とすることを特徴とする軸受保持器の動的応力解析方法。
  2. 請求項1において、前記保持器の柱の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱両端の2点のみとした軸受保持器の動的応力解析方法。
  3. 請求項1において、前記保持器の柱の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱両端の2点と、これら2点の間の中心部との3点とした軸受保持器の動的応力解析方法。
  4. 請求項2または請求項3において、前記動力学解析モデルが、3次元のモデルである軸受保持器の動的応力解析方法。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項において、予備調査として、前記自由度の設置箇所となる各点につき、前記動力学解析モデルに用いられる有限要素長と、この有限要素長よりも短い有限要素長とをそれぞれ用いて有限要素法によって同一荷重条件下の応力を求め、両応力の比を求めておき、この比を、有限要素長による補正係数とし、変形履歴を応力分布に変換することで算出する過程で得られた保持器応力を、前記有限要素長に係る補正係数の乗算により補正する軸受保持器の動的応力解析方法。
  6. 請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、予備調査として、前記弾性変形特性の導入の過程、前記変形履歴の算出の過程、および前記保持器応力の算出の過程を用いた動力学計算により保持器応力を求めると共に、有限要素法により前記保持器の応力を求め、この有限要素法により求められた応力と、前記動力学計算により求められた応力の比を求めておき、この比を、モード合成法に係る補正係数とし、解析対象の保持器の応力解析過程における、前記変形履歴を応力分布に変換することで算出する過程で得られた保持器応力を、前記モード合成法に係る補正係数の乗算により補正することを特徴とする保持器の応力解析方法。
  7. 請求項1において、前記保持器の柱の中心断面上の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱の両端の2点と、これら2点の間の中心部との3点とし、前記変形履歴を応力分布に変換することで算出する過程で得られた保持器応力を、解析結果として出力する保持器応力とする軸受保持器の動的応力解析方法。
  8. 請求項7において、ころ、軌道輪、および保持器の剛体モードの運動の自由度、並びに保持器の弾性変形の自由度を2次元上に限定し,
    かつ前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、
    これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの1点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向端部となる1点とすることを特徴とする軸受保持器の動的応力解析方法。
  9. 請求項8において、前記保持器の柱の複数箇所に設置する自由度の設置箇所を、前記柱端の1点と柱の長手方向の中心点の2点のみとした軸受保持器の動的応力解析方法。
  10. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記転がり軸受が円すいころ軸受であって、前記保持器が、軸方向の両端の一対の円環部と、これら円環部間に設けられた複数の柱とでなる円すい状の窓形であり、大径側の円環部が外径側へ突出するフランジ状である軸受保持器の動的応力解析方法。
  11. ころ軸受からなる転がり軸受の保持器の応力を解析する軸受保持器の動的応力解析装置であって、入力手段と演算手段と出力手段とを備え、
    前記演算手段は、保持器を除く軸受構成部品を剛体とみなし、保持器には弾性変形の自由度を与えることを可能とした転がり軸受の動力学解析モデルを定めた解析モデル設定部と、
    前記転がり軸受の動力学解析モデルに、超要素法により得られる保持器の動的な弾性変形モードと固有変形モードをモード合成法に基づき導入する処理、この導入した弾性変形の自由度と、定められた軸受構成部品の運動の自由度とを同時に数値積分することで、変形の動特性を含む保持器の変形履歴を算出する処理、およびこの処理で算出される変形履歴を応力分布に変換することで、保持器応力を算出する処理を行う応力演算部と、
    この応力演算部で得られた保持器応力を前記出力手段へ出力する出力処理部と、
    を有し、
    前記応力演算部は、前記モード合成法で保持器に導入する自由度の設置箇所を、保持器のポケット間の柱の保持器外径面と保持器内径面のうち、ころからの荷重により柱の並進とねじれによる変位がより大きくなる側の面上の点であって、かつ保持器のポケット間の柱の幅方向の中心となる中心断面上の複数箇所とし、
    これら複数箇所の自由度の設置箇所のうちの2点は、前記柱の前記中心断面上で、ころから荷重が作用する範囲内での、ころの軸方向両端部となる2点とすることを特徴とする軸受保持器の動的応力解析システム。
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