JP2015031574A - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2015031574A
JP2015031574A JP2013160662A JP2013160662A JP2015031574A JP 2015031574 A JP2015031574 A JP 2015031574A JP 2013160662 A JP2013160662 A JP 2013160662A JP 2013160662 A JP2013160662 A JP 2013160662A JP 2015031574 A JP2015031574 A JP 2015031574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
rods
rod
fuel rods
type
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013160662A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6258625B2 (ja
Inventor
宮地 孝政
Takamasa Miyaji
孝政 宮地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nuclear Fuel Industries Ltd
Original Assignee
Nuclear Fuel Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nuclear Fuel Industries Ltd filed Critical Nuclear Fuel Industries Ltd
Priority to JP2013160662A priority Critical patent/JP6258625B2/ja
Publication of JP2015031574A publication Critical patent/JP2015031574A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6258625B2 publication Critical patent/JP6258625B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

【課題】経済性及び原子炉停止余裕を向上させることができ、軸方向上部領域における低温時の反応度及び局所ピーキング係数を低減することが可能なBWR用燃料集合体を提供する。
【解決手段】本発明によるBWR用燃料集合体は、核燃料物質を含む燃料ペレットが被覆管内に充填されてなる燃料棒群が、10行10列以上の正方格子配列に配置され、燃料棒複数本相当の領域に水ロッドを備える。また、燃料棒群は、第1の燃料棒(標準燃料棒)と、軸方向下部の濃縮度が軸方向上部よりも高い第2の燃料棒(濃縮度分割燃料棒)と、燃料有効長が比較的短い第3の燃料棒(部分長燃料棒)を含む。そして、第2の燃料棒は、燃料集合体の最外周及び/又は水ロッドに隣接する位置のみに配置される。
【選択図】図7

Description

本発明は、沸騰水型原子炉用燃料集合体、特に、10行10列以上の正方格子配列を有する燃料集合体に関する。
日本国内の沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor;以下「BWR」と記す)においては、現在、9行9列の正方格子配列を有する燃料集合体(以下「m行n列」を「m×n」のようにも記す)が使用されている。一方、それよりも格子数を増やした10×10正方格子配列を有する燃料集合体の開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
かかる10×10燃料集合体は、燃料集合体当たりの燃料棒本数が9×9燃料集合体よりも20%程度多くなるため、燃料棒の単位長さ当たりの発熱量が減る分、平均線出力密度が低下することにより、最大線出力密度の低減が期待できる。また、10×10燃料集合体では、9×9燃料集合体よりも燃料棒表面積を大きくすることが可能であり、これにより、沸騰遷移に至る限界出力の低減を図ることも可能となる。さらに、燃料集合体あたりの燃料棒本数が増加することにより、濃縮度配置及び可燃性毒物(Burnable Poison;以下「BP」と記す)配置の自由度を高め得るという利点もある。
一般に、燃料棒本数が増えると、流路面積が小さくなり摩擦圧損が増大する傾向にある。このため、燃料棒本数が従来よりも多い燃料集合体と、従来の燃料集合体が、原子炉炉心に同時に装荷されると、燃料棒本数が多くて圧損が高い燃料集合体には、冷却水が配分され難くなる。そのため、除熱が不十分となったり、チャンネル安定性が悪化したりといった不都合を招くおそれがある。よって、かかる不都合を抑止するため、燃料棒本数が増えたとしても、従来の圧損と同等となるように、燃料集合体の設計を行うことが要求される。
この要求に応えるべく、特許文献1には、10×10燃料集合体に部分長燃料棒を採用し、その本数及び配置を最適化することにより、9×9燃料集合体と同等の圧損を実現する手法が開示されている。具体的には、部分長燃料棒を14本配置し、それらの全ての部分長燃料棒を非沸騰水に隣接させる配置により、燃料集合体の軸方向上部側に、部分長燃料棒とともにギャップ水及び太径水ロッドを含む大きな非沸騰領域を形成し、これにより、低温停止状態における反応度を低減することが提案されている。
一方、特許文献2には、BWR用燃料集合体において、軸方向下部の核分裂性物質の濃縮度及びBP含有量を、軸方向上部のそれらよりも高くし、且つ、核分裂性物質の濃縮度の境界とBP含有量の境界を異ならせたものが記載されている。この燃料集合体は、核燃料物質の有効利用を行ういわゆるスペクトルシフト運転に好適な特性を実現することを目的として構成されたものである。具体的には、濃縮度の軸方向分布により、燃焼初期における軸方向下部側の出力ピークを高くして、軸方向上部領域の核分裂性プルトニウムの蓄積を図り、且つ、燃焼末期における炉心平均ボイド率の減少と、蓄積した核分裂性プルトニウムを有効に利用することを企図している。また、そのような濃縮度分布を用いて、低温時に反応度が高くなる燃料集合体の軸方向上部領域の濃縮度を相対的に減じることにより、原子炉停止余裕を増大させる効果も期待できる。
特許第4078062号公報 特開平4−220595号公報
これらの特許文献1及び2に記載された技術を組み合わせること、すなわち、核分裂性物質の濃縮度の軸方向分布により燃焼初期における軸方向下部側の出力ピークを高くしつつ、部分長燃料棒を採用することにより、更なる優位な効果を奏する10×10燃料集合体の実現が期待される。すなわち、そのような構成により、炉心平均ボイド率が減少する燃焼末期でも、その軸方向上部側の出力ピークが、核分裂性物質の濃縮度の軸方向分布を有しない従来燃料よりも顕著になってしまうことを防止する効果が期待される。その結果、スペクトルシフト運転における特性が更に改善され、経済性及び原子炉停止余裕を更に一層向上させ得ると考えられる。
しかし、燃料集合体の軸方向下部側における核分裂性物質の濃縮度を過度に高めると、その軸方向下部領域の反応度が過大となってしまい、最大線出力密度が不都合な程度に増大してしまうといった悪影響が懸念される。
他方、原子炉起動時における制御棒の落下事故を想定すると、落下制御棒に隣接する燃料棒の出力上昇が比較的大きくなる。その燃料棒を含む燃料集合体では、局所ピーキング係数(燃料集合体のその断面における最大燃料棒出力と平均燃料棒出力との比)が大きい場合、燃料エンタルピの増加が大きく事象が厳しくなる。また、上述したスペクトルシフト運転を行った場合、ボイドが発生しなくなった低温時に、燃料集合体の軸方向上部領域における反応度が過度に高まる可能性もある。このようにして、局所ピーキング係数、及び燃料集合体の軸方向上部領域の反応度が、ともに大きくなればなるほど、制御棒落下時の事象進展が許容範囲に対して厳しくなり、運転制御及び安全上の懸念が高まってしまう。
これに対し、燃料集合体の軸方向下部側の核分裂性物質の濃縮度を軸方向上部側よりも高め、且つ、部分長燃料棒を組み合わせた構成では、軸方向上部領域に、核分裂性物質の濃縮度が互いに異なる燃料棒と、燃料棒が存在しない領域が混在することになる。よって、このような構成においては、上述した原子炉起動時における運転制御及び安全上の懸念を排除又は軽減するために、燃料集合体における各燃料棒の濃縮度の配置を工夫して、軸方向上部領域における低温時の反応度、及び局所ピーキング係数を低減する必要がある。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、スペクトルシフト運転の特性を更に改善して経済性及び原子炉停止余裕を従来に比して更に向上させることができるとともに、軸方向上部領域における低温時の反応度、及び局所ピーキング係数を低減することが可能なBWR用燃料集合体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるBWR用燃料集合体は、まず、核燃料物質を含む燃料ペレットが被覆管内に充填されてなる燃料棒群が、10行10列(10×10)以上の正方格子配列に配置され、且つ、その正方格子配列における燃料棒複数本相当の領域に水ロッドを備えるものである。また、燃料棒群は、軸方向における核燃料物質の濃縮度が一様又は略一様である第1の燃料棒と、軸方向下部における核燃料物質の濃縮度が軸方向上部における核燃料物質の濃縮度よりも高い第2の燃料棒と、燃料有効長が第1の燃料棒及び第2の燃料棒よりも短い第3の燃料棒とを含んでいる。そして、第2の燃料棒は、当該BWR用燃料集合体の最外周及び/又は水ロッドに隣接する位置のみに配置され(すなわち、第2の燃料棒は、それらの位置以外には配置されない)、また、第2の燃料棒の本数が、第1の燃料棒の本数の1/2未満(半数未満)とされる。
このように構成されたBWR燃料集合体では、軸方向における核燃料棒物質の濃縮度分布を有しない第1の燃料棒を「標準燃料棒」とすれば、上述の如く構成された第2の燃料棒は「特定の濃縮度分布を有する燃料棒」に相当する。また、「標準燃料棒」としての第1の燃料棒よりも有効長が短い第3の燃料棒が、上述した「部分長燃料棒」に相当する。なお、第2の燃料棒における核燃料物質の濃縮度分布は、相対的に、軸方向上部<軸方向下部(ただし、上下端部を除くことが好ましい)の条件を満たす限り特に制限されず、連続的に変化していても断続的に変化していてもよい。また、軸方向における「上部」と「下部」の境界位置も特に限定されない。さらに、水ロッドの具体例としては、例えば角管形状(断面矩形)のいわゆるウォータチャンネル構造を有するもの、丸管形状(断面円形)のもの等が挙げられる。なお、その「断面」とは、燃料棒又は燃料集合体の管軸(長手軸、延在軸)に垂直な平面における断面を示す。
かかる構成を有する本発明によるBWR燃料集合体においては、軸方向下部における核燃料物質の濃縮度が軸方向上部における前記核燃料物質の濃縮度よりも高い第2の燃料棒と、部分長燃料棒としての第3の燃料棒の双方を含むので、スペクトルシフト運転を助長して経済性を向上させることができるとともに、原子炉停止余裕を増大させることができる。それに加え、第2の燃料棒を燃料集合体の最外周及び/又は水ロッドに隣接する位置のみに配置すること、及び、第2の燃料棒の本数を所定の範囲に制限することにより、軸方向上部領域における低温時の反応度(指標として中性子無限増倍率)を低減し、且つ、同領域における局所ピーキング係数の増大を有効に抑止し得ることが確認された。
また、第3の燃料棒が、当該BWR用燃料集合体の最外周、及び水ロッドに隣接する位置の双方のみに配置される(すなわち、第3の燃料棒は、それらの位置以外には配置されない)構成を採用しても好適である。さらに、水ロッドに隣接する位置に配置される燃料棒の全てが、第2の燃料棒又は第3の燃料棒であっても好ましい。これらの構成を用いることにより、軸方向上部領域における低温時の反応度(指標として無限増倍率)を更に低減し、且つ、局所ピーキング係数の増大を更に一層抑止することが可能となる。
本発明によれば、標準的な燃料棒である第1の燃料棒に、核燃料物質の特定の濃縮度分布を有する第2の燃料棒及び部分長燃料棒である第3の燃料棒を混在させつつ、第2の燃料棒の配置を燃料集合体の最外周及び/又は水ロッドに隣接する位置に限定し、且つ、その本数をも限定することにより、軸方向上部領域における低温時の反応度、及び、同領域の局所ピーキング係数を低減することが可能となる。これにより、そのBWR用燃料集合体が装荷された原子炉における運転制御性、経済性、及び更なる安全性の向上に資することができる。
(A)は、従来のBWR用燃料集合体の代表的な一形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。 (A)は、参考例(比較例)としてのBWR用燃料集合体の他の一形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。 本発明によるBWR用燃料集合体の好適な第1実施形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 本発明によるBWR用燃料集合体の好適な第2実施形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 各燃料集合体の軸方向上部領域における低温時の中性子無限増倍率の評価結果を示すグラフである。 各燃料集合体の軸方向上部領域における低温時の局所ピーキング係数の評価結果を示すグラフである。 (A)は、実施例1に係る燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。 (A)は、実施例2に係る燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。 (A)は、実施例3に係る燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。またさらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
(従来例の燃料集合体)
図1(A)は、従来のBWR用燃料集合体の代表的な一形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。燃料集合体100は、核燃料物質として酸化ウランを含む燃料ペレットが被覆管内に充填されてなる複数の燃料棒1が、10×10の正方格子配列に配置され、且つ、3×3の燃料棒9本分を占める中央領域に水ロッドWが設けられたものである。この燃料集合体100の燃料棒群は、後述する低濃縮度のウランブランケット部を除く部位の核燃料物質の濃縮度が軸方向に一様又は略一様な「b」である標準燃料棒(第1の燃料棒に相当;以下「タイプ1燃料棒」という)と、その燃料棒よりも燃料有効長が短く且つ濃縮度が同じく「b」である部分長燃料棒(第3の燃料棒に相当;以下「タイプP1燃料棒」という)から構成されている。
タイプ1燃料棒は、断面円形をなす丸管形状を有し、水ロッドWは、例えば断面矩形をなす角管形状を有するが、図示においては、それらの詳細な実際の形状の記載を省略した。かかる表記については、後出の他図(図2(A)、図3、図4、図7(A)、図8(A)、及び図9(A))においても同様とする。また、図示においては、10×10の正方格子配列を10行(第m1行〜第m10行)10列(第n1列〜第n10列)の桝目で示し、以下の説明において、10×10正方格子配列における各燃料棒及び水ロッド等の位置を、行列座標の要素(mi,nj)(ただし、添え字i及びjは1〜10の整数を示す)で表す場合がある。
また、図1(B)は、燃料集合体100に備わる燃料棒(タイプ1燃料棒及びタイプP1燃料棒)を模式的に示す側面図であり、同図中、高さ(長さ)の目安として、タイプ1燃料棒の全長を24分割したノード目盛りZを併せて示す。同図に示す如く、タイプ1燃料棒は、下端1ノード(ノード1)及び上端2ノード(ノード23及び24)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられており、また、部分長燃料棒であるタイプP1燃料棒は、下端の1ノード(ノード1)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられている。
またさらに、タイプ1燃料棒及びタイプP1燃料棒の中央に記載した「b」は、上述したそれぞれの核燃料物質の濃縮度であり、符号直下の括弧内の数字は、燃料集合体100に装荷されたタイプ1燃料棒及びタイプP1燃料棒のそれぞれの数量(本数)を示す。以上の図1(B)の表記は、後出する他図(図2(B)、図7(B)、図8(B)、及び図9(B)において同様とする。
(参考例の燃料集合体)
図2(A)は、参考例(比較例)としてのBWR用燃料集合体の他の一形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。燃料集合体200は、タイプ1燃料棒及びタイプP1燃料棒に加え、軸方向において核燃料物質の濃縮度分布を有する燃料棒(第2の燃料棒に相当;以下「タイプ2燃料棒」という)を備える。なお、図示においては、各燃料棒を弁別し易いように、タイプ2燃料棒を、丸数字の「2」で示す。
また、図2(B)は、燃料集合体200に備わる燃料棒(タイプ1燃料棒、タイプ2燃料棒、及びタイプP1燃料棒)を模式的に示す側面図である。同図に示す如く、タイプ2燃料棒は、部分長燃料棒であるタイプP1燃料棒の燃料有効長の上端(ノード14とノード15の間)を境界として軸方向に2分割されており、軸方向下部側の核燃料物質の濃縮度が「a」であり、且つ、軸方向上部側の核燃料物質の濃縮度が「c」である。このように、タイプ2燃料棒は、核燃料物質の濃縮度が、軸方向上部と軸方向下部に分割されて互いに異なることから「濃縮度分割燃料棒」ということもできる。
燃料集合体200に備わるこれらの燃料棒に採用されている核燃料物質の濃縮度の大小関係は、「a」>「b」>「c」とされており、各燃料棒の配置本数を適宜設定することにより、燃料集合体200における核燃料物質の低濃縮度のウランブランケット部を除く平均濃縮度が、図1(A)及び(B)に示す燃料集合体100と同様に「b」となるように調整されている。具体的には、図2(A)に示す如く、タイプ2燃料棒が、燃料集合体200の最外周から2層目に間隔をおいて且つ周状に8本配置されている。タイプ2燃料棒のそれらの位置を行列座標で示すと、(m2,n2)、(m2,n6)、(m2,n9)、(m6,n9)、(m9,n9)、(m9,n6)、(m9,n2)、及び(m6,n2)となる。このように、燃料集合体200は、図1(A)及び(B)に示す燃料集合体100におけるタイプ1燃料棒がそれらの8本のタイプ2燃料棒で置換された構成を有しており、各燃料棒の数量は、図2(B)に示すとおりである。
(第1実施形態)
図3は、本発明によるBWR用燃料集合体の好適な第1実施形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。燃料集合体10は、タイプ2燃料棒の配置が変更されたこと以外は、図2(A)及び(B)に示す燃料集合体200と同様に構成されたものである。すなわち、図3に示す如く、燃料集合体200の最外周から2層目に配置された8本のタイプ2燃料棒がタイプ1燃料棒で置換され、それに代えて、燃料集合体10の最外周における各辺中央に2本ずつ隣接するようにタイプ2燃料棒が合計8本配置されている。タイプ2燃料棒のそれらの位置を行列座標で示すと、最外周図示上辺の(m1,n5)及び(m1,n6)、同左辺の(m5,n1)及び(m6,n1)、同右辺の(m5,n10)及び(m6,n10)、並びに、同下辺の(m10,n5)及び(m10,n6)となる。なお、燃料集合体10における各燃料棒の濃縮度については、図2(B)に示すものと同等であるので、ここでの図示を省略する。
(第2実施形態)
図4は、本発明によるBWR用燃料集合体の好適な第2実施形態における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。燃料集合体20も、タイプ2燃料棒の配置が変更されたこと以外は、図2(A)及び(B)に示す燃料集合体200と同様に構成されたものである。すなわち、図4に示す如く、燃料集合体200の最外周から2層目に配置された8本のタイプ2燃料棒がタイプ1燃料棒で置換され、それに代えて、燃料集合体20における水ロッドWに隣接する位置に所定の間隔でタイプ2燃料棒が合計8本配置されている。タイプ2燃料棒のそれらの位置を行列座標で示すと、水ロッドWの隣接層における図示上辺の(m4,n5)及び(m4,n7)、同左辺の(m5,n4)及び(m7,n4)、同右辺の(m5,n8)及び(m7,n8)、並びに、同下辺の(m8,n5)及び(m8,n7)となる。なお、燃料集合体20における各燃料棒の濃縮度についても、図2(B)に示すものと同等であるので、ここでの図示を省略する。
なお、「水ロッドに隣接する」とは、水ロッドが占有する行列領域と同じ行又は同じ列において水ロッドに対向して配置された状態を示す。例えば、角管形状を有する水ロッドの場合、その側壁面(矩形断面における縦横辺)に対向して配置された状態を示し、或いは、後述するような丸管形状を有する水ロッドの場合、それを角管形状の水ロッドと仮定したときに、その仮想的な側壁面(矩形断面における縦横辺)に対向して配置された状態を示す。
(反応度及び局所ピーキング係数の評価)
上述した従来例の燃料集合体100、参考例の燃料集合体200、及び、本発明の実施形態の燃料集合体10,20について、軸方向上部領域における低温時の反応度(指標として低温時の中性子無限増倍率)、及び、低温時の局所ピーキング係数を、燃料集合体核特性計算コードにより算出評価した。結果を図5及び図6のグラフに示す。なお、両グラフにおいては、燃料集合体100に対する算出値を基準値として正規化(ノーマライズ)したそれぞれの算出結果を黒塗り四角印(■)でプロットし、目安としてそれらのプロット点を折れ線で結んで示す。
図5より、濃縮度分割燃料棒であるタイプ2燃料棒を備える参考例の燃料集合体200は、タイプ2燃料棒を備えない従来例の燃料集合体100に比して、軸方向上部領域における低温時の中性子無限増倍率が有意に低下し、さらに、タイプ2燃料棒の本数が燃料集合体200と同じではあるが配置が異なる本発明による燃料集合体10,20では、その低温時の中性子無限増倍率が更に一層低下することが確認された。すなわち、燃料集合体100よりも燃料集合体10,20の方が、軸方向上部領域における反応度の低下度合いが有意に大きいことが判明した。
ここで、燃料集合体200,100,10,20が原子炉炉心に装荷された運転状態においては、燃料集合体の最外周や水ロッドWの近傍は、燃料集合体における他の領域に比して、減速材密度が相対的に大きくなり、中性子インポータンスがより高くなる。そして、燃料集合体10,20では、その最外周や水ロッドWに隣接する位置にタイプ2燃料棒が配置されており、その軸方向上部側の核燃料物質の濃縮度が周囲の燃料棒よりも小さいので、中性子無限増倍率を低下させる効果が、燃料集合体100よりも有意に且つ十分に高められたものと推察される。また、燃料集合体10,20の如く、タイプP1燃料棒を燃料集合体の軸方向下部領域に設置し、それに隣接するようにタイプ2燃料棒を配置することにより、中性子無限増倍率の低減効果が更に高められる。このような低温時の中性子無限増倍率の低下は、原子炉停止余裕の増大につながり、この点において、タイプ2燃料棒が、燃料集合体の最外周又は水ロッドWに隣接する位置のみに配置された燃料集合体10,20の優位性が理解される。
また、図6より、濃縮度分割燃料棒であるタイプ2燃料棒を備える参考例の燃料集合体200は、タイプ2燃料棒を備えない従来例の燃料集合体100に比して、局所ピーキング係数が増大することが確認された。これは、核燃料物質の濃縮度が比較的低い領域を有するタイプ2燃料棒が燃料棒群に混在することによって、核燃料物質の濃縮度が比較的高いタイプ1燃料棒の相対出力が高まることに起因するものと推察される。このように低温時の局所ピーキング係数が増大すると、上述の如く、制御棒落下時の事象進展が厳しくなり得るので、本来的には好ましくない。
一方、図6から明らかなとおり、燃料集合体10,20は、燃料集合体200と同数のタイプ2燃料棒を備えているにも拘わらず、燃料集合体100に対する局所ピーキング係数の上昇程度(増大率)が有意に緩和されることが判明した。これは、核燃料物質の濃縮度が比較的低い領域を有するタイプ2燃料棒を、減速材密度が相対的に大きい位置(前出の図5の解説参照)に配設することにより、タイプ1燃料棒に比して低濃縮度燃料棒であるタイプ2燃料棒の相対出力が高められ、その結果、タイプ2燃料棒に比して高濃縮度燃料棒であるタイプ1燃料棒の相対出力を低下させる効果が得られることに起因するものと推察される。
以上のことから、燃料集合体10,20によれば、濃縮度分割燃料棒であるタイプ2燃料棒の採用により、上述の如く(図5参照)低温時の反応度を低下させて原子炉停止余裕を増大させ、また、出力運転時のスペクトルシフト運転を助長することができるという利益を享受しつつ、タイプ2燃料棒の採用によって不可避的に生じ得る局所ピーキング係数の増大を確実に抑制することが可能となる。
なお、タイプ2燃料棒をより多く配置した場合、燃料集合体の核燃料物質の平均濃縮度を「b」に維持するためには、軸方向下部側の濃縮度を「a」よりも更に高めることが必要となる。そうすると、軸方向下部領域の出力運転時の中性子無限増倍率及び局所ピーキング係数が高まり、最大線出力密度が制限値に対して厳しくなってしまう。その程度は、一般に、燃料集合体の軸方向上部領域よりも軸方向下部領域で顕著な傾向にある。これは、出力運転中においては、ボイド率が燃料集合体の軸方向上部よりも軸方向下部で小さく、よって、減速材密度が軸方向上部よりも軸方向下部で大きいため、出力分布においていわゆる下部歪みが生じ易いことによる。
この観点から、本発明者の知見によれば、タイプ2燃料棒の本数は、タイプ1燃料棒の1/2未満(半数未満)であることが望ましい。図3及び図4に示す燃料集合体10,20は、69本のタイプ1燃料棒に対して8本のタイプ2燃料棒が配設されており、タイプ2燃料棒の本数がタイプ1燃料棒の本数の1/2未満(半数未満)とされているので、出力運転時における中性子無限増倍率及び局所ピーキング係数の増大の程度は極めて小さく、これにより、最大線出力密度が過大となることが防止される。
以下、実施例により本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図7(A)は、実施例1に係る燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、図7(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。なお、図7(A)においては、燃料集合体30が、断面十字型の制御棒Sに隣接し、その制御棒Sによって区画される4つの領域のうちの1つの領域に配置された状態を示す(後述する図8(A)及び図9(A)において同様とする)。
燃料集合体30は、先に述べた燃料集合体と同様に、10×10の正方格子配列を有し、角管形状の水ロッドWが3×3の燃料棒9本分を占める中央領域に設けられたものである。この燃料集合体30の燃料棒群は、核燃料物質の濃縮度が互いに異なる5種類の燃料棒(以下「タイプ1〜5燃料棒」という)、それらの燃料棒よりも燃料有効長が短く且つ核燃料物質の濃縮度が互いに異なる2種類の部分長燃料棒(第3の燃料棒に相当;以下「タイプ6燃料棒」及び「タイプ7燃料棒」という)、並びに、BP入り燃料棒(以下「タイプG1燃料棒」という)から構成されている。何れのタイプの燃料棒も、断面円形をなす丸管形状を有する。
また、図7(B)に示すとおり、タイプ1〜5燃料棒及びタイプG1燃料棒は、下端1ノード(ノード1)及び上端2ノード(ノード23及び24)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられており、部分長燃料棒であるタイプ6,7燃料棒は、下端の1ノード(ノード1)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられている。
これらのうち、タイプ1,3,4,5燃料棒の核燃料物質の濃縮度は、軸方向に一様又は略一様であって、それぞれ「A」、「B」、「C」及び「D」であり、これらの燃料棒が第1の燃料棒に相当する。一方、本実施例におけるタイプ2燃料棒も、先述したタイプ2燃料棒と同様に、部分長燃料棒であるタイプ6,7燃料棒の燃料有効長の上端(ノード14とノード15の間)を境界として軸方向に2分割されており、軸方向下部側の核燃料物質の濃縮度が「A」であり、且つ、軸方向上部側の核燃料物質の濃縮度が「B」である。このように、本実施例のタイプ2燃料棒も、「濃縮度分割燃料棒」に該当する。
また、部分長燃料棒であるタイプ6,7燃料棒における核燃料物質の濃縮度は、それぞれ「B」及び「D」である。さらに、BP入り燃料棒であるタイプG1燃料棒における核燃料物質の濃縮度は「B」であり、そのガドリニア濃度は「α」である。このタイプG1燃料棒も、核燃料物質の濃縮度が軸方向に一様又は略一様である点において、第1の燃料棒に相当する。なお、それらの核燃料物質の濃縮度の大小関係は、「A」>「B」>「C」>「D」とされている。
このように構成された燃料集合体30においては、濃縮度分割燃料棒であるタイプ2燃料棒が、燃料集合体30の最外周及び水ロッドWに隣接する位置のみに配置されており、他の座標位置には配置されていない。かかる構成により、原子炉停止余裕を十分に確保し、且つ、制御棒の落下時の安全性向上を実現した上で、スペクトルシフト運転を助長して燃料経済性を向上させることができる。それに加えて、水ロッドWに隣接する燃料棒の全てが、部分長燃料棒であるタイプ6燃料棒及び濃縮度分割燃料棒であるタイプ2燃料棒の何れかであることから、原子炉停止余裕を更に一層向上させることができる。
さらに、燃料集合体30では、第1の燃料棒に該当するタイプ1,3,4,5燃料棒及びタイプG1燃料棒の合計本数が61本であるのに対し、タイプ2燃料棒の本数が16本とされている。このように、タイプ2燃料棒の本数が第1の燃料棒の本数の1/2未満(半数未満)とされているので、出力運転時における軸方向下部領域の中性子無限増倍率及び局所ピーキング係数の増大を抑えて、最大線出力密度が過大となることを防止することができる。
(実施例2)
図8(A)は、実施例2に係る燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、図8(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。燃料集合体40は、10×10の正方格子配列を有し、丸管形状を有する2本の水ロッドW,Wが、それぞれ2×2の燃料棒4本分を占める中央近傍の2箇所の領域に設けられたものである。より具体的には、これらの水ロッドW,Wは、制御棒Sの挿入位置に対応する(最も近い)特定のコーナ部(m1,n1)の燃料棒とそれに対向するコーナ部(m10,n10)の燃料棒を結ぶ仮想的な対角線上の中点が重心となるように配置されている。
この燃料集合体40の燃料棒群は、核燃料物質の濃縮度が互いに異なる4種類の燃料棒(以下「タイプ11〜14燃料棒」という)、それらの燃料棒よりも燃料有効長が短い1種類の部分長燃料棒(第3の燃料棒に相当;以下「タイプ15燃料棒」という)、及び、BP入り燃料棒(以下「タイプG2燃料棒」という)から構成されている。何れのタイプの燃料棒も、断面円形をなす丸管形状を有する。
また、図8(B)に示すとおり、タイプ11〜14燃料棒及びタイプG2燃料棒は、下端1ノード(ノード1)及び上端1ノード(ノード24)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられている。
これらのうち、タイプ11,14燃料棒の核燃料物質の濃縮度は、軸方向に一様又は略一様であって、それぞれ「E」及び「H」であり、これらの燃料棒が第1の燃料棒に相当する。一方、本実施例におけるタイプ12,13燃料棒は、部分長燃料棒であるタイプ15燃料棒の燃料有効長の上端(ノード12とノード13の間)を境界として軸方向に2分割されている。そして、タイプ12燃料棒では、軸方向下部側及び軸方向上部側の核燃料物質の濃縮度がそれぞれ「E」及び「F」であり、タイプ13燃料棒では、軸方向下部側及び軸方向上部側の核燃料物質の濃縮度がそれぞれ「F」及び「G」である。このように、本実施例のタイプ12,13燃料棒も、「濃縮度分割燃料棒」に該当する。
また、部分長燃料棒であるタイプ15燃料棒における核燃料物質の濃縮度は、「F」である。なお、本実施例におけるタイプ15燃料棒の下端部は、他の燃料棒と異なり、低濃縮度のウランブランケットは設けられておらず、ここではプレナム領域を想定した。さらに、BP入り燃料棒であるタイプG2燃料棒における核燃料物質の濃縮度も「F」であり、そのガドリニア濃度は「β」である。このタイプG2燃料棒も、核燃料物質の濃縮度が軸方向に一様又は略一様である点において、第1の燃料棒に相当する。なお、それらの核燃料物質の濃縮度の大小関係は、「E」>「F」>「G」>「H」とされている。
このように構成された燃料集合体40においても、濃縮度分割燃料棒であるタイプ12,13燃料棒が、燃料集合体40の最外周及び水ロッドW,Wに隣接する位置のみに配置されており、他の座標位置には配置されていない。よって、かかる構成によっても、原子炉停止余裕を十分に確保し、且つ、制御棒の落下時の安全性向上を実現した上で、スペクトルシフト運転を助長して燃料経済性を向上させることができる。
また、燃料集合体40では、第1の燃料棒に該当するタイプ11,14燃料棒及びタイプG2燃料棒の合計本数が58本であるのに対し、タイプ12,13燃料棒の合計本数が20本とされている。このように、タイプ12,13燃料棒の合計本数が第1の燃料棒の本数の1/2未満(半数未満)とされているので、出力運転時における軸方向下部領域の中性子無限増倍率及び局所ピーキング係数の増大を抑えて、最大線出力密度が過大となることを防止することができる。
(実施例3)
図9(A)は、実施例3に係る燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、図9(B)は、その燃料集合体に備わる燃料棒を模式的に示す側面図である。燃料集合体50は、実施例2の燃料集合体40と同様に、10×10の正方格子配列を有し、丸管形状を有する2本の水ロッドW,Wが、それぞれ2×2の燃料棒4本分を占める中央近傍の2箇所の領域に設けられたものである。
この燃料集合体50の燃料棒群は、核燃料物質の濃縮度が互いに異なる4種類の燃料棒(以下「タイプ21〜24燃料棒」という)、それらの燃料棒よりも燃料有効長が短い2種類の部分長燃料棒(第3の燃料棒に相当;以下「タイプ25,26燃料棒」という)、及び、BP入り燃料棒(以下「タイプG3燃料棒」という)から構成されている。何れのタイプの燃料棒も、断面円形をなす丸管形状を有する。
また、図9(B)に示すとおり、タイプ21〜24燃料棒及びタイプG3燃料棒は、下端1ノード(ノード1)及び上端1ノード(ノード24)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられており、部分長燃料棒であるタイプ25,26燃料棒は、下端の1ノード(ノード1)に、低濃縮度のウランブランケットが設けられている。
これらのうち、タイプ21,23,24燃料棒の核燃料物質の濃縮度は、軸方向に一様又は略一様であって、それぞれ「J」、「L」及び「M」であり、これらの燃料棒が第1の燃料棒に相当する。一方、本実施例におけるタイプ22燃料棒は、部分長燃料棒であるタイプ25燃料棒の燃料有効長の上端(ノード16とノード17の間)を境界として軸方向に2分割されている。そして、タイプ22燃料棒では、軸方向下部側及び軸方向上部側の核燃料物質の濃縮度がそれぞれ「J」及び「K」である。このように、本実施例のタイプ22燃料棒も、「濃縮度分割燃料棒」に該当する。
また、部分長燃料棒であるタイプ25,26燃料棒における核燃料物質の濃縮度は、ともに「J」である。さらに、BP入り燃料棒であるタイプG3燃料棒における核燃料物質の濃縮度も「J」であり、そのガドリニア濃度は「γ」である。このタイプG3燃料棒も、核燃料物質の濃縮度が軸方向に一様又は略一様である点において、第1の燃料棒に相当する。なお、それらの核燃料物質の濃縮度の大小関係は、「J」>「K」>「L」>「M」とされている。
このように構成された燃料集合体50においても、濃縮度分割燃料棒であるタイプ22燃料棒が、燃料集合体50の最外周及び水ロッドW,Wに隣接する位置のみに配置されており、他の座標位置には配置されていない。よって、かかる構成によっても、原子炉停止余裕を十分に確保し、且つ、制御棒の落下時の安全性向上を実現した上で、スペクトルシフト運転を助長して燃料経済性を向上させることができる。それに加えて、水ロッドW,Wに隣接する燃料棒の全てが、部分長燃料棒であるタイプ26燃料棒及び濃縮度分割燃料棒であるタイプ22燃料棒の何れかであることから、原子炉停止余裕を更に一層向上させることができる。
さらに、燃料集合体50では、第1の燃料棒に該当するタイプ21,23,24及びタイプG3燃料棒の合計本数が54本であるのに対し、タイプ22燃料棒の本数が24本とされている。このように、タイプ22燃料棒の本数が第1の燃料棒の本数の1/2未満(半数未満)とされているので、出力運転時における軸方向下部領域の中性子無限増倍率及び局所ピーキング係数の増大を抑えて、最大線出力密度が過大となることを防止することができる。
なお、上述したとおり、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、燃料集合体の正方格子配列の格子数は10×10以上であれば特に制限されず、例えば、11×11、12×12等であってもよい。また、水ロッドWの配置は、図示の配置が望ましいものの、それらに限定されない。さらに、燃料棒としては、濃縮ウラン及び/又は再濃縮ウランに加えて、天然ウラン、劣化ウラン、回収ウラン(減損ウラン)を含むものでも構わず、或いはMOX燃料であってもよい。また、本発明に関して適宜推定して上述した作用機序は、それらに限定されるものではない。
以上説明したとおり、本発明によるBWR用燃料集合体は、標準的な燃料棒である第1の燃料棒に、核燃料物質の特定の濃縮度分布を有する第2の燃料棒及び部分長燃料棒である第3の燃料棒を混在させつつ、第2の燃料棒の配置を燃料集合体の最外周及び/又は水ロッドに隣接する位置に限定し、且つ、その本数をも限定することにより、軸方向上部領域における低温時の反応度、及び同領域の局所ピーキング係数を低減することが可能となる。これにより、そのBWR用燃料集合体が装荷された原子炉の経済性及び更なる安全性の向上に資することができるので、BWR及びそれを備える発電所、並びに、それらが関連する電機及び電力産業等の技術分野に広く且つ有効に利用することが可能である。
1,3,4,5,11,14,21,23,24:標準燃料棒(第1の燃料棒)
2,12,13,22:濃縮度分割燃料棒(第2の燃料棒)
10,20,30,40,50:BWR用燃料集合体(本発明)
100:燃料集合体(従来例)
200:燃料集合体(参考例)
G1,G2,G3:BP入り燃料棒(第1の燃料棒)
P1,6,7,15,25,26:部分長燃料棒(第3の燃料棒)
S:制御棒
W:水ロッド
Z:ノード目盛り
a〜c,A〜H,J〜M:核燃料物質の濃縮度
α〜γ:ガドリニア濃度

Claims (3)

  1. 核燃料物質を含む燃料ペレットが被覆管内に充填されてなる燃料棒群が、10行10列以上の正方格子配列に配置され、且つ、該正方格子配列における燃料棒複数本相当の領域に水ロッドを備える沸騰水型原子炉用燃料集合体であって、
    前記燃料棒群は、軸方向における前記核燃料物質の濃縮度が一様又は略一様である第1の燃料棒と、軸方向下部における前記核燃料物質の濃縮度が軸方向上部における前記核燃料物質の濃縮度よりも高い第2の燃料棒と、燃料有効長が前記第1の燃料棒及び前記第2の燃料棒よりも短い第3の燃料棒とを含み、
    前記第2の燃料棒は、当該沸騰水型原子炉用燃料集合体の最外周及び/又は前記水ロッドに隣接する位置のみに配置され、
    前記第2の燃料棒の本数が、前記第1の燃料棒の本数の1/2未満である、
    沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  2. 前記第3の燃料棒は、当該沸騰水型原子炉用燃料集合体の最外周、及び前記水ロッドに隣接する位置のみに配置される、
    請求項1記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  3. 前記水ロッドに隣接する位置に配置される燃料棒は、全て前記第2の燃料棒又は前記第3の燃料棒である、
    請求項1又は2記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
JP2013160662A 2013-08-01 2013-08-01 沸騰水型原子炉用燃料集合体 Active JP6258625B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013160662A JP6258625B2 (ja) 2013-08-01 2013-08-01 沸騰水型原子炉用燃料集合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013160662A JP6258625B2 (ja) 2013-08-01 2013-08-01 沸騰水型原子炉用燃料集合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015031574A true JP2015031574A (ja) 2015-02-16
JP6258625B2 JP6258625B2 (ja) 2018-01-10

Family

ID=52517011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013160662A Active JP6258625B2 (ja) 2013-08-01 2013-08-01 沸騰水型原子炉用燃料集合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6258625B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529095A (ja) * 2015-08-27 2018-10-04 テラパワー, エルエルシー 複数のスミア密度の燃料を有する燃料要素
CN109830308A (zh) * 2019-01-24 2019-05-31 中广核研究院有限公司 带有分段式燃料棒的燃料组件

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06102384A (ja) * 1992-09-18 1994-04-15 Hitachi Ltd 燃料集合体及び炉心
JPH07151883A (ja) * 1993-11-26 1995-06-16 Toshiba Corp 沸騰水型原子炉用燃料集合体
JPH10115690A (ja) * 1997-10-31 1998-05-06 Hitachi Ltd 燃料集合体
JPH1164558A (ja) * 1997-08-25 1999-03-05 Hitachi Ltd 燃料集合体
JP2000193773A (ja) * 1998-12-28 2000-07-14 Hitachi Ltd 燃料集合体
JP2002357686A (ja) * 2001-03-28 2002-12-13 Nuclear Fuel Ind Ltd 沸騰水型原子炉用燃料集合体
US20030123601A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-03 Hitachi, Ltd Fuel assembly
JP2005134179A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Nuclear Fuel Ind Ltd 沸騰水型原子炉用燃料集合体
JP2008045874A (ja) * 2006-08-10 2008-02-28 Hitachi Ltd 沸騰水型軽水炉炉心
JP2008145129A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 燃料集合体
JP2009250894A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体およびそれを用いた炉心
JP2012137378A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 初装荷炉心およびそれに用いる燃料集合体ならびに沸騰水型原子炉の運転方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06102384A (ja) * 1992-09-18 1994-04-15 Hitachi Ltd 燃料集合体及び炉心
JPH07151883A (ja) * 1993-11-26 1995-06-16 Toshiba Corp 沸騰水型原子炉用燃料集合体
JPH1164558A (ja) * 1997-08-25 1999-03-05 Hitachi Ltd 燃料集合体
JPH10115690A (ja) * 1997-10-31 1998-05-06 Hitachi Ltd 燃料集合体
JP2000193773A (ja) * 1998-12-28 2000-07-14 Hitachi Ltd 燃料集合体
JP2002357686A (ja) * 2001-03-28 2002-12-13 Nuclear Fuel Ind Ltd 沸騰水型原子炉用燃料集合体
US20030123601A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-03 Hitachi, Ltd Fuel assembly
JP2005134179A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Nuclear Fuel Ind Ltd 沸騰水型原子炉用燃料集合体
JP2008045874A (ja) * 2006-08-10 2008-02-28 Hitachi Ltd 沸騰水型軽水炉炉心
JP2008145129A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 燃料集合体
JP2009250894A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体およびそれを用いた炉心
JP2012137378A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 初装荷炉心およびそれに用いる燃料集合体ならびに沸騰水型原子炉の運転方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529095A (ja) * 2015-08-27 2018-10-04 テラパワー, エルエルシー 複数のスミア密度の燃料を有する燃料要素
US11990249B2 (en) 2015-08-27 2024-05-21 Terrapower, Llc Fuel element with multi-smear density fuel
CN109830308A (zh) * 2019-01-24 2019-05-31 中广核研究院有限公司 带有分段式燃料棒的燃料组件

Also Published As

Publication number Publication date
JP6258625B2 (ja) 2018-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6445759B1 (en) Fuel assembly and nuclear reactor
US8311180B2 (en) Fuel assembly
JP6258625B2 (ja) 沸騰水型原子炉用燃料集合体
JP4496272B2 (ja) 燃料集合体
JP2011064568A (ja) 沸騰水型原子炉の炉心
JP6345481B2 (ja) 燃料集合体、炉心、及び燃料集合体の作成方法
JP2007093272A (ja) 燃料集合体
JP2006208391A (ja) 燃料集合体および原子炉の炉心
JP7365297B2 (ja) 燃料集合体及び沸騰水型原子炉
JP5502259B2 (ja) 沸騰水型原子炉の炉心および運転方法
JP5986802B2 (ja) 沸騰水型原子炉用の燃料集合体
JPS62194494A (ja) 燃料集合体
JP4351798B2 (ja) 燃料集合体および原子炉
US11398315B2 (en) Fuel element, fuel assembly, and core
JP2014119287A (ja) 沸騰水型原子炉用燃料集合体の組、及び沸騰水型原子炉炉心
JP5612852B2 (ja) 沸騰水型原子炉用の燃料集合体および沸騰水型原子炉の炉心
JP2009250894A (ja) 沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体およびそれを用いた炉心
JP2006329867A (ja) 沸騰水型原子炉用燃料集合体、燃料集合体の組、及び炉心
JP2003262692A (ja) 沸騰水型原子炉用燃料集合体及び該燃料集合体内の燃料棒配置の決定法
JP2006184293A (ja) 2ストリーム炉心
JPH0816711B2 (ja) 燃料集合体
JP2023058274A (ja) 燃料集合体及び原子炉の炉心
JP2001004772A (ja) 燃料集合体
JP2005098924A (ja) Mox燃料集合体
JP3791201B2 (ja) D格子燃料集合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170328

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6258625

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250