JP2015031026A - 流体管路における横断管への通線方法、及びその一部に作業体が取り付けられた作業用通線の通線方法、並びに該方法に使用される装置 - Google Patents

流体管路における横断管への通線方法、及びその一部に作業体が取り付けられた作業用通線の通線方法、並びに該方法に使用される装置 Download PDF

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Abstract

【目的】 下水道管路の伏越し部の横断管に管口を損傷することなく通線を配し、該通線を介して横断管内の付着物の計測、清掃等の作業を確実になすこと。
【構成】 下端に曲がり部からなる管口保護部を有し、長手方向に通線の誘導路が形成されたレール材を、該管口保護部を横断管の管口に臨ませるとともに相対する立孔の壁面に沿って立設し、このレール材に沿って通線(ワイヤー)を配する。その後、地上部のウインチにより通線に所要の張力を導入し、作業体とともに移動させて作業を行う。
【選択図】 図1

Description

この発明は、流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、立孔間の横断管内に高さ及び張力の調整された通線を配する方法、更には、その一部に作業体が取り付けられた作業用通線を立孔間の横断管内に高さ及び張力を調整して配する方法、並びにそれらの方法に使用される装置に関する。本発明は特には、下水道管路におけるいわゆる伏越し部の横断管に通線を配する方法に関する。なお、「直線状の横断管」は水平に限定されず、傾斜をなすものも含む。
下水道管路における伏越し部の人孔、更にはその横断管に溜まる土砂は下水道の流通に障害となり、その除去のため種々の工法が提案されている。
しかし、堆積土砂の除去に先立って、当該横断管内の堆積の状況を把握するための計測が重要であることは論を俟たないが、従来より伏越し部の横断管内の計測に係る技術はその過酷な状況から全く手が付けられておらず、計測から除去・清掃作業の一貫して行われる技術は未だ確立していない。
なお、上記の除去工法の一公知例として特開平10−131278のものは、通線ワイヤーに大型の球状体を取り付け、該球状体を横断管内を逆流移動させて横断管内の堆積物を除去するものであるが、これによれば、通線に大きな荷重負担が掛かり、管口に設置される滑車に負荷を与え、管口の損傷は避けられない。さらには、当該滑車を管口にどのように設置するのか何ら具体的な対策も採られていない。
なお、このような問題・状況は下水道管路に留まらず、その他の管路(上水管、パイプライン)においても同様である。
特開平10−131278号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、流体管路中の対向する立孔間の横断管内における付着物(堆積物)の固着状況の計測作業、その後の付着物の除去作業を一貫性をもって実施のできる施工方法を確立することを目的とする。
本発明はこのため、立孔から横断管にわたって架設される通線を介し、かつ該通線はウインチにより強い牽引力を受けるものであり、管口の保護を十全になすことにより、この課題を達成できるとの知見に基づいてなされたものである。
本発明の流体管路における横断管への通線方法、及びその一部に作業体が取り付けられた作業用通線の通線方法、並びに該方法に使用される装置は具体的には以下の構成を採る。
(第1発明)
本発明の第1は、流体管路における横断管への通線方法に係り、請求項1に記載のとおり、
上流から下流への流体の流れをなす流体管路であって、
該流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、
下端に所定の曲率の曲がり部よりなる管口保護部を有し、その長手方向に通線の誘導路が形成されたレール材を、該管口保護部を前記横断管の管口に臨ませるとともに、相対する立孔のそれぞれの壁面に沿って立設し、
該両立孔の上位に配された各ウインチにより通線を該レール材の誘導路に沿って誘導し、
立孔間の前記横断管内に高さ及び張力の調整された通線を配する、
ことを特徴とする。
本第1発明は、以下の実施形態でより一層具体的に示され、かつはその実施形態より抽出される発明概念である。
上記において、
1)「流体管路」は上下水道、パイプラインを含む。
2)本通線の作業において、流体管路の流体は流通(通水)状態にあるが、非流通(非通水)状態を除外しない。
3)横断管の「直線状」は、水平に限定されず、傾斜状態を除外するものではない
4)「曲がり部」は曲がり部及び/又は曲がり部に連設される「水平部」を含む。
5)「所定の曲率の曲がり部よりなる管口保護部」は、以下の実施形態で具体的に示されるが、当該形態に限定されるものではなく、同等の機能をなすものを含む。すなわち、曲率が真円をなす以外に、放物曲率、楕円曲率を除外するものではない。
6)「通線の誘導路」は以下の実施形態ではC型チャンネルと示されるが、
これに限定されるものではなく、その機能が同等であるものを含む。
また、上記構成において、
1)レール材の誘導路は外方に開く溝であること、
2)レール材はC型チャンネル材であること、
3)レール材の曲がり部に該曲がり部の曲率と同一の曲率を有する平板材(R材)が添設されること、
4)レール材の曲がり部に管口の管頂からの距離を調整するレベル調整材が介装されること、
は適宜採択される選択的事項である。
なお、上記1)〜4)は適宜組合せ可能である。
(作用)
本発明方法の実施において、通線の曲がり管路への配設は、レール材の立孔への建込みに先立ってなされることも、該レール材の立孔への建込みとともになされることも、あるいは該レール材の立孔への建込みの後でもなされる。
ウインチによる通線への張力の導入において、管口はレール材の管口保護部により保護され、管口の損傷はない。
ウインチによる通線への張力の導入において、通線は曲がり部に沿って配されるので当該曲がり部において応力集中がなく、張力の均等な伝達がなされる。
レール材の管口保護部を管口に臨んで配されることにより、通線は横断管内において高さの調整された配置を採ることになる。
(第2発明)
本発明の第2は、流体管路における横断管への作業用通線の通線方法に係り、請求項2に記載のとおり、
上流から下流への流体の流れをなす流体管路であって、
該流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、
下端に所定の曲率の曲がり部よりなる管口保護部を有し、その長手方向に通線の誘導路が形成されたレール材を、該管口保護部を前記横断管の管口に臨ませるとともに、相対する立孔のそれぞれの壁面に沿って立設し、
該両立孔の上位に配された各ウインチによりその一部に作業体が取り付けられた作業用通線を該レール材の誘導路に沿って所定の張力をもって誘導し、
立孔間の横断管内に高さ及び張力の調整された作業用通線を配する、
ことを特徴とする。
上記において、
1)「流体管路」は上下水道、パイプラインを含む。
2)本通線の作業において、流体管路の流体は流通(通水)状態にあるが、非流通(非通水)状態を除外しない。
3)横断管の「直線状」は、水平に限定されず、傾斜状態を除外するものではない
4)「曲がり部」は曲がり部及び/又は曲がり部に連設される「水平部」を含む。
5)「所定の曲率の曲がり部よりなる管口保護部」は、以下の実施形態で具体的に示されるが、当該形態に限定されるものではなく、同等の機能をなすものを含む。すなわち、曲率が真円をなす以外に、放物曲率、楕円曲率を除外するものではない。
6)「通線の誘導路」は以下の実施形態ではC型チャンネルと示されるが、これに限定されるものではなく、その機能が同等であるものを含む。
7)「作業体」は、管口への導入の際、管口に衝突しない高さ(径)・長さとされ、かつその重量も通線に過大なたわみを与えることのない数値に規制される。
また、上記構成において、
1)レール材の誘導路は外方に開く溝であること、
2)レール材はC型チャンネル材であること、
3)レール材の曲がり部に該曲がり部の曲率と同一の曲率を有する平板材(R材)が添設されること、
4)レール材の曲がり部に管口の管頂からの距離を調整するレベル調整材が介装されること、
は適宜採択される選択的事項である。
なお、上記1)〜4)は適宜組合せ可能である。
(作用)
本発明方法の実施において、通線の曲がり管路への配設は、レール材の立孔への建込みに先立ってなされることも、該レール材の立孔への建込みとともになされることも、あるいは該レール材の立孔への建込みの後でもなされる。
ウインチによる通線への張力の導入において、管口はレール材の管口保護部により保護され、管口の損傷はない。
ウインチによる通線への張力の導入において、通線は曲がり部に沿って配されるので当該曲がり部において応力集中がなく、張力の均等な伝達がなされる。
レール材の管口保護部を管口に臨んで配されることにより、通線は横断管内において高さの調整された配置を採ることになる。
作業体は通線を基準としての移動となり、その移動にぶれはなく、円滑な作業が実施される。
また、レール材により作業体が立孔から横断管内に進入する際、作業体は所定の高さ・長さに規制されたものであり、管口には衝突することなく進入する。
更に、横断管内での作業体の移動は通線の所期のたるみ・傾斜を見込んでの移動となり、予測性のある移動となる。
(第3発明)
本発明の第3は、曲がり管路における横断管への通線方法に使用されるレール材に係り、請求項3に記載のとおり、
上流から下流への流体の流れをなす流体管路であって、該流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、前記立孔間の横断管内に高さ及び張力の調整された通線を配する通線方法に使用されるレール材であって、
長尺の鉛直部と、
該鉛直部の下端に連設する所定の曲率半径の曲がり部と、
該曲がり部に水平に連設する短尺の水平部と、
からなり、
その外面にかつ長手方向に沿って通線の誘導路が形成されてなる、
ことを特徴とする。
上記において、
1)通線は、その一部に作業体が取り付けられた作業用通線を含む。
2)曲がり部と水平部とにより「管口保護部」が構成される。
3)「所定の曲率半径」は以下の実施形態では四分円の半径を採るが、これに限定されるものではなく、放物線軌跡、その他機能が同等であるものを含む。
4)「通線の誘導路」は以下の実施形態ではC型チャンネルの溝として示されるが、これに限定されるものではなく、その機能が同等であるものを含む。
また、上記構成において、
1)レール材の誘導路は外方に開く溝であること、
2)レール材はC型チャンネル材であること、
3)レール材の曲がり部の背面に該曲がり部の曲率と同一の曲率を有し所定の厚みを有する平板材(R材)が添設されること、
4)レール材の曲がり部に管口の管頂からの距離を調整するレベル調整材が介装されること、
5)レール材の鉛直部は複数の分割体に分割されること、
は適宜採択される選択的事項である。
なお、上記1)〜5)は適宜組合せ可能である。
(作用)
本発明のレール材の使用において、その管口保護部を前記横断管の管口に臨ませるとともに、相対する立孔のそれぞれの壁面に沿って立設し、曲がり管路に予め配設された通線、あるいは該レール材の立孔への建込みとともに配設された通線、あるいは更に該レール材の立孔への建込みの後で配設された通線、を該レール材の誘導路に沿って誘導し、立孔間の前記横断管内に高さ及び張力の調整された通線を配するものである。
また、曲がり部の背面に四分円状の平板が曲率を揃えて固設された態様においては、当該四分円状の平板がその鉛直面で立孔の壁面に当接し、レール材と立孔の壁面との間隔を決めるとともに、通線の引張り力による曲げモーメントに対して立孔の壁面との当接部位で抵抗モーメントを与え、大きな曲げ抵抗を与える。
本発明の流体管路における横断管への通線方法、及び作業体が取り付けられた作業用通線の通線方法によれば、以下の効果を有する。
1)通線作業中における通線による管口への負荷は、レール材の管口保護部によって保護され、管口への損傷を防止することができる。
あるいは又、管口への工作(例えば管口への滑車の固定工作)が一切なく、管口への損傷を防止することができる。
2)管口保護部を構成する曲がり部によって, 通線への張力の導入が円滑になされ、更には通線の移動において応力集中が生じることがなく、器具あるいは設備の操作を円滑になすことができる。
3)レール材の管口保護部による管口での高さを調整することにより、横断管内での通線の高さを随意に決めることができる。
4)通線が横断管内に所定の高さ及び張力が調整されて配されるので、該通線を手がかりとして各種の作業(特には横断管内の計測作業と堆積物の除去作業の一貫作業)の基盤となり、かつ安定した作業が実施できる。
本発明の作業体が取り付けられた作業用通線の通線方法(請求項2)によれば、上記1)〜4)に加え、以下の効果を有する。
5)作業体は通線を基準としての移動となり、その移動にぶれはなく、円滑に作業を実施することができる。
6)横断管内での作業体の移動は通線の所期のたるみ・傾斜を見込んでの移動となり、予測性のある移動となり、
作業への自動制御(あるいは一部自動制御)化が容易である。
本発明の適用される下水道管路の伏越し部の概略構成図。 公知技術の説明図面。 レール材の全体側面図。 レール材の部分図であって、(a)は図3の4−4線断面図、(b)は(a)の4方向矢視図。 レール材の分割態様を示す図。 レール材の下端部を示し、(a)はその側面図、(b)は(a)の6方向矢視図。 作業装置の一部断面側面図。 作業装置の平面図。 作業体Aにおける取付け台車のレール材への組付け図。 取付け台車の詳細構造を示す一部断面側面図(図11の10方向矢視図)。 取付け台車の正面図(図10の11方向矢視図)。 作業体Aの構成を示す縦断面図(図13の12−12線断面図)。 作業体Aの一部を省略した横断面図(図12の13−13線断面図)。 測長ウイングの基部の構造を示す詳細図。 作業体Aに係る信号処理構成を示すブロック図。 作業体Aによる作業工程を示すフローチャート。 作業体Aによる作業工程を示すフローチャート。 作業体Bの一部断面側面図(図19の18方向矢視図)。 作業体Bの正面図(図18の19方向矢視図)。 障害物予備調査の実施要領図。 パイプラインにおける実施の態様を示す一部断面全体側面図。
本発明の流体管路における横断管への通線方法、及び作業体が取り付けられた作業用通線の通線方法、並びに該方法に使用される装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図14は本発明の一実施形態である下水道管路の伏越し部への適用を示す。
図1は一般的な下水道管路の伏越し部を示す。図において、1は人孔(1Aは上流側人孔、1Bは下流側人孔)、2は人孔1A,1B間の横断管路(伏越し管路)、3Aは上流側管路、3Bは下流側管路、を示す。上流側管路3A、上流側人孔1A、横断管2、下流側人孔1B、下流側管路3Bにより曲がり管路を構成する。また、Hは地表の路盤、Iは伏越し人孔部内の土砂等の付着物である。
しかして、この伏越し部において、人孔1内にレール材5が立て込まれ、該レール材5に案内されて通線6が誘導される。地上には人孔1の開口部1aに臨んで作業装置Sが配され、該作業装置Sに搭載されたウインチ7(7Aは上流側ウインチ、7Bは下流側ウインチ)により、通線6の両端を巻き取り・巻き戻して、通線6を移動させ、かつ該通線6に所要の張力を導入する。
以下、通線6の設置を手順に従って説明する。
(1) 通線6の導通
通線6を上流側地上より上流側人孔1A、伏越し横断管路2、下流側人孔1B、そして下流側地上に導通する。
通線6の伏越し横断管路2内への導通については、本実施形態では従来より使用されている噴射ノズルを用いるが、他の態様を除外しない。当該噴射ノズルは出願人らの特許第2791502号(特許公報では下水道管用洗浄装置)により公知である。
図2は当該特許公報の一図面(第5図)を示し、ここに、Sは下水道管用洗浄装置(噴射ノズル)、Hはこの装置Sに接続される高圧ホース、Iは圧縮空気ホース、Jはリール、高圧ポンプ、圧縮部を含む駆動部である。
(1a) 地上において、噴射ノズル、高圧水ポンプ、ホースが準備される。
通線(ワイヤー)6の端部を噴射ノズルに結合し、該噴射ノズルとともに上流側人孔1Aに落し込み、該噴射ノズルを上流側人孔1Aの管口に臨ませる。そして、噴射ノズルをそのジェット(噴射流)推進により伏越し横断管2内を下流側に向けて進行させる。
噴射ノズルが下流側人孔1Bに到達したとき、下流側人孔1Bで噴射ノズルの通線を引き上げる。
(1b)上流側及び下流側地上部で通線6を作業装置Sの電動ウインチ7に取り付ける。この状態では通線6は弛んだ状態であるが、ウインチ7の駆動により通線6に必要に応じて速やかに張力が導入される。
(2) レール材5の設置(図3〜図6参照)
上流側人孔1A、下流側人孔1Bに管口保護器付きレール材5を設置する。
該レール材5には管口部位においてレベル調整材10が適宜付加される。
図3〜図6に該管口保護器付きレール材5の詳細構造を示す。
レール材5は、長尺の鋼(特にはステンレス鋼)製の型材いわゆるC型チャンネルよりなり、上位より鉛直部5A、曲がり部5B、水平部5Cの各部位よりなる。
該型材(C型チャンネル材)の断面構成につき、背面部12(寸法A)、両側面部13(寸法B)、前面部14(寸法C)よりなり、前面部14間に溝15、更に該チャンネル材の内部に溝空間16が形成される。本実施形態として、A12cm、B6cm、C2cm、厚さt3.2mmを採る。
(鉛直部5A)(図3〜図5参照)
鉛直部5Aは、長尺をもって本レール材5の上位部位を占め、その長さは人孔深さを目途として決められる。
更に、鉛直部5Aは、分割体100をもって構成され、各分割体100を継ぎ足して長尺とされる。このため、各分割体100は本体101の上下端にフランジ102(上フランジ102a、下フランジ102b)が形成され、各フランジに開設された穴に締具103のボルト104を挿通し、ナット105を締め込んで接合される。分割体100の長さは1mを標準とし、人力による扱いが容易とされる。
なお、該鉛直部5Aの下端は後記する曲がり部5B及び水平部5Cと一体とされる。
本レール材5の定位置で、レール材5の上端すなわち鉛直部5Aの上端は、地上部に突出し、該地上部で固定把持される。
(曲がり部5B)(図3、図6参照)
曲がり部5Bは、所定の曲率(曲率半径)Rをもって鉛直部5Aに連設される。該Rは本レール材5の人孔1の壁面との距離(間隔)を決め、本実施形態では例えばRは30cmを採る。
本曲がり部5Bにおいて、レール材5の背面部12の背面の中心線上に四分円形状の平板すなわちR(アール)材18が固設される。18aはその水平辺部、18bはその垂直辺部である。該R材18は所定の厚みを有し、間隔保持とともに補剛の機能を果す。
なお、曲がり部5Bにおいて、その背面部12に溝空間16に臨んで複数の円筒状転がり軸受(コロ軸受)を相並べて配する態様を採ることができる。この態様によれば、レール材5内に配される通線6の移動が円滑になされる。
(水平部5C)(図3、図6参照)
水平部5Cは、曲がり部5Bに連設され、定位置において管口の頂部に当接する。該水平部5Cの長さは本レール材5の人孔開口部1aからの挿入に支障のない長さで決められ、本実施形態では開口部が60cmを採るとき15cm程度を相当とする。
しかして、レール材5が所要の引上げ力を受けるとき、該水平部5Cの管口部位では最大の曲げモーメントを受けるものとなる。このため、当該部位ではR材18が補強を担い、更には図3、図6に示すレベル調整材10とともに使用されて補剛を高める。
水平部5Cの先端は、通線6の移動(特には該通線6に移動体が取り付けられる態様において)の便宜に備えて広口部20が形成される。該広口部20はいわゆるラッパ状をなし、20aはその側方へ広がる部位(側方拡開部)であり、20bはその上方へ広がる部位(上方拡開部)である。上方拡開部20bはレベル調整材10を使用するもとで形成されるものであり、レベル調整材10が使用されない場合には不要である。
レベル調整材10(図3、図6参照)
レベル調整材10は、上記した曲がり部5B、水平部5Cの上面に当接して配される。10aはその上面、10bはその側面、10cはその下面である。該レベル調整材10のR部には溝が成形され、R材18を受け入れる。
該レベル調整材10は、後記するように、多段にして使用され得る。第1段はレール材5における曲がり部5B、水平部5Cの曲げ補強としても機能する。
レール材5の人孔1への設置は次のようにしてなされる。
(2a)
レール材5の下端部すなわち鉛直部5Aの最下端部、曲がり部5B、水平部5Cの一体ものを人孔1の開口部1aより人孔1内へ挿入し、一旦その上端を地上部で把持し、次いで、その上に鉛直部5Aの分割体100をそのフランジ102を介して継ぎ足し、再び人孔1内へ挿入する。レール材5の下端には適宜レベル調整材10が取り付けられている。
以後、レール材5の鉛直部5Aをその分割体100により順次継ぎ足し、長尺のレール材5を得る。
レール材5の下端が管口に臨む位置になるとき、水平部5Cの上面を管口の頂部より一定の間隔を保持しつつ押し込み、しかる後、レール材5を引き上げ、水平部5Cの上面、もしくはレベル調整材10の上面を管口の頂部に当接させる。
(2b)
レール材5の鉛直部5Aはその下端のR材18により人孔1の内壁と所定の間隔をもって配される。すなわち、本実施形態では人孔1の内壁より30cmの間隔を保って配されることになる。
地上部においては、レール材5の上端が固定される(本実施形態では後記する吊下げ装置120が使用される)。
(3) 通線の定置
作業装置Sの上流側ウインチ7A、下流側ウインチ7Bを駆動し、緩み状態にある通線6を管口保護器付きレール材5の鉛直部5A及び曲がり部5Bの溝15より溝空間16内に導き、該溝空間16内に沿わせて下流側ウインチ7Bに巻き取る。
ここに、通線は鋼線(ワイヤー)が使用され、径φ12mmを規格とし、単位長さ質量w0.53kg/mを採る。また、ウインチ7は上下流側とも1.3トンを規格として使用される。
上記の作業並びに以下の作業において、作業装置Sの諸機能が利用される。
図7、図8は当該作業装置Sの詳細を示す。
本作業装置Sはフレーム22を基体とし、前後の車輪23(前輪23A、後輪23B)によって移動可能とされるが、前部のアウトリガー24を前方へ引き出して地表に定置することにより固定状態となる(すなわち反力を受け止める)。フレーム22は四角箱状をなし、上部フレーム22A、下部フレーム22B、及びこれらの上部フレーム22Aと下部フレーム22Bとを繋ぐ4周の柱材22Cよりなり、更にはこれらのフレーム材(22A、22B、22C)に取り付けられる他の剛性材を含む。車輪23の前輪23A及び後輪23Bはキャスター型式となっており、横移動も可能である。アウトリガー24は、その水平部(水平材)24aが上部フレーム22A内に収納、引き出し可能となっており、水平部24aの端部には鉛直部(鉛直材)24bが配される。
フレーム22の上部の後方にはウインチ7が設置され、通線6はその巻胴7aに捲回され、駆動部(電動モータ)7bをもって回転駆動される。駆動部7bには変位量センサー25が配され、ウインチ7の回転量を計り、通線6の巻取り量・巻戻し量、すなわち通線6の変位量を計測する。
フレーム22の上部フレーム22Aの中央部に剛接状に横架された梁材(フレーム材)22A’に、ピン結合をもって棒状の滑車支持体27が上下回転自在に取り付けられ、該滑車支持体27の先端には滑車28が回転自在に取り付けられる。滑車支持体27の下面とフレーム22の前部の上部フレーム22A(他の上部フレーム22Aよりも低くされている)の上面との間には荷重センサー29が介装設置され、該荷重センサー29に負荷される荷重、ひいては通線6に懸かる張力を計測する。
アウトリガー24につき、鉛直部(鉛直材)24bの下端には高さ調整機能付き定置板24cが配される。該高さ調整機能付き定置板24cの操作をもって地表面へ均等な押圧がなされ、本作業装置Sのぐらつきのない確実な固定がなされる。
(吊下げ装置120)
作業装置Sは上記構成に加え、レール材5を吊り下げる吊下げ装置120を備え、該吊下げ装置120を介してレール材5の保持(不動状態)がなされる。
吊下げ装置120は作業装置Sのフレーム22(上部フレーム22A)上に滑車支持体27を跨いで立設された2つの柱材121、該柱材121の上端部に載置固定される梁材122、該梁材122より水平状に前方に突設されるブラケット材123、を基台とし、該梁材122の上に配されたウインチ124、該ブラケット123の前端に配された滑車125、が配され、ウインチ124より繰り出されたワイヤー126は、滑車125を介してレール材5の上端に固定されてなる。
ウインチ124の巻き込みによりレール材5を吊り上げ、該レール材5の下端の水平部5Cを横断管2の管口頂部に係合させて固定し、ワイヤー126に所定の張力を付与してレール材5を固定(不動状態)する。
なお、レール材5の吊り下げ保持はこの態様に限らず、レール材5の上端を地上部で固定把持することによってもなされる。
通線6の定置は以下のようにしてなされる。
(3a)
上流側人孔1Aにある通線6、下流側人孔1Bにある通線6の各下端を適当な治具(例えば、下端に懸け金具を装着した長棒)を使用して人孔1の中心部もしくはレール材5の前面付近に保持し、下流側ウインチ7Bを駆動して、通線6を弛ませることなく張設する。
上流側人孔1Aにある通線6、下流側人孔1Bにある通線6の鉛直部をレール材5の溝15に誘導し、溝空間16内に嵌入させる。
(3b)
下流側ウインチ7Bを更に駆動して、横断管2内部の水平通線6をレール材5の下端部(曲がり部5B、水平部5C)の溝15、溝空間16内に誘導する。
以上により、通線6はレール材5の対応位置で該レール材5の溝空間16内に挿入され、通線6の定置作業は完了する。
(4) 通線への張力の導入
通線6に上流側ウインチ7A、下流側ウインチ7Bにより所定の張力を導入する。すなわち、本規格の通線6(径φ12mm、単位長さ質量w0.53kg/m)に、同じく規格のウインチ7(1.3トン)により所要の張力を導入し、横断管路2(20mとする。)内の通線6をほぼ水平状態すなわち所期の懸垂曲線状態とする。そして、この通線に所期の集中荷重が作用して重ね合わせによる所期の曲線状態(たわみ、傾斜)を採る。これにより、本発明における通線システムが構築される。
すなわち、本通線6は横断管2内への配設後、該横断管2内での機器の移動に供されるものであり、機器すなわち移動体が水流抵抗を受ける際、破断あるいは大きな撓みを受けることのない力学的状況(強度)を保持することが要請され、本規格は当該力学的要請に基づくものである。
本通線6が所期の張力を受けるとき、通線6の横断管2(20m)の中央での撓みは2.7cmであり、また通線6に固定される移動体の荷重が18.0kgを採るとき通線6の中央での撓みは11.7cmであり、本通線6に取り付けられてなされる横断管2内での作業に支障にはならない。また、管口での所期の張力による曲げモーメントは本レール材5の断面の抵抗モーメントで対抗されるものである。
(5) 作業体Aの設置(図9〜図11参照)
次に、前記した通線6に取り付けられる作業体を介してなされる作業方法について述べる。
以下、作業体Aが断面計測装置である設置の手順について述べる。
上流側の地上部で通線6に作業体Aを取り付ける。
作業体Aは通線6に介装された取付け台車32を介して取り付けられる。
図9〜図11に取付け台車32の詳細構成を示す。
本取付け台車32は(左右前後、上下は図面におけるもの)、細長の箱状をなすフレーム体33と、該フレーム体33の前後において該フレーム体33に回転自在に軸支される回転軸34a、該回転軸34aの両端に装着されるローラ34と、フレーム体33の下面に突出して固設される取付け板35と、フレーム体33の前後部に固設される取付け環36と、からなる。取付け板35には作業体Aとの取付けに供される取付け穴35aが開設される。取付け板35の高さhは3〜4cmとされる。
該取付け台車32はレール材5の溝空間16内に嵌装され、そのローラ34をレール材5の背面部12、前面部14の内面に沿わせて移動自在とされる。フレーム体33の幅はレール材5の溝15の幅よりもわずかに小さいものとされ、該取付け台車32をぶれなく移動を案内する。
一方、本作業体Aは、本体の上部に取付け板38が固設され、取付け台車32の取付け板35の取付け穴35aに対応する取付け穴38aが開設される。
作業体Aと取付け台車32との取付けは、取付け板35,38相互を重ね、かつ取付け穴35a,38aを一致させ、それらの取付け穴35a,38aに挿通した固定具(ボルト・ナット)39を締め込んでなされる。
図12〜図14に本作業体Aの詳細構成を示す。
本作業体Aは、前記した取付け板38と該取付け板38に固設される装置本体40とからなり、該装置本体40は、フレーム体42と、該フレーム体42に回転支軸を固定され、所定長さを有するとともに放射状に開き、放射状に配される所定間隔の複数の測長ウイング43と、該測長ウイングの開き角度を検知する角度センサー44と、当該装置本体の姿勢を重力的に検知する加速度センサー45と、該装置本体40内部での信号の授受及び機器制御をなす制御基板46と、外部との連絡をなす信号コード47と、を備えてなる。
もっと詳しくは、装置本体40のフレーム体42は、円錐状をなす前部(頭部)フレーム50と、三角筒状をなす中間部(首部)フレーム51と、直円筒状をなす後部(胴部)フレーム52とから構成される。前部フレーム50は泥水中の本作業体Aの進行の泥除けとなる。中間部フレーム51はその各辺部に測長ウイング43が取り付けられる部位であり、具体的には測長ウイング43の回転支軸の保持をなす。後部フレーム52は前部の円板体52aに円筒側板52bが固設され、後部は開放される。後部フレーム52の径は収縮状態の測長ウイング43を水平に受け入れる径とされ、またその側面に上下に2つの連結板38,38’が取り付けられる。後部フレーム52の後部の解放空間は測長ウイング43の止着機構(後述)を搭載する。
測長ウイング43は、中間部フレーム51の辺部に固設された支軸保持体53にその回転支軸54が枢支されるとともに、該回転支軸54より剛結をもって突設する突起杆54aにばね材55が係止されてなる。ばね材55は突起杆54aと支軸保持体53とに介装され、突起杆54aを開放方向に常時付勢する(図12の状態)。測長ウイング43の測長杆43aは前記回転支軸54の突起杆54aに固設され、更にその先端にパドル部43bが固設される。パドル部43bは泥状の付着物との当接をなす。回転支軸54の中心からパドル部43bの先端までは所定の距離に保持される。
測長ウイング43の測長杆43aの先端には更に内方に突出する鉤部43cが配される。この鉤部43cは後部フレーム52の後部の止着機構57に連動する。
止着機構57は、後部フレーム52の後端に取り付けられている取付け板58、該取付け板58に取り付けられた電磁弁59、からなる。電磁弁59は電気信号(後述)を受けて駆動され、駆動軸59aの軸移動をもって測長ウイング43の鉤部43cとの止着をなす。取付け板58はまた、後部フレーム52の後部において密封空間(水密空間)Jを形成する。
(角度センサー44)
角度センサー44は前記した支軸保持体53に枢支される測長ウイング43の回転支軸54を共有して、測長ウイング43の取付け部位とは反対の側に取り付けられ、該回転支軸54の回転量を計測する。
すなわち、測長ウイング43が収納位置にあるとき0°を採り、測長ウイング43が開くにつれその開き角度を検出する。
(姿勢センサー45)
姿勢センサー45は、いわゆる加速度センサーが使用され(ジャイロセンサーの併用を除外しない)、前記した後部フレーム52の後部の密封空間J内の固定位置に配され、本作業体Aの姿勢(傾き)を検出する。本姿勢センサー45は本作業体Aの基本的位置(0(ゼロ)点)に関連付けて設置されるが、本実施形態では当該基本的位置は本作業体Aの中心軸線と測長ウイング43の3つの回転支軸54の作る平面との交点が選ばれる。
(制御基板46)
制御基板46は、同じく後部フレーム52の後部の密封空間J内の固定位置に配され、装置本体40内部での信号の授受及び機器制御をなす。すなわち、角度センサー44及び姿勢センサー45からの信号を受けて外部に送るとともに、外部からの信号を受けて前記した止着機構57の電磁弁59へ指示信号を送る。姿勢センサー45からの信号についてはゼロ点での姿勢信号に補正される。
(通信コード47)
通信コード47は、作業体Aに接続され、通線6とは別に地上部から送り込まれる。該通信コード47は、本装置本体40内の制御基板46に接続され、制御基板46の信号を地上部に送信するとともに、地上部からの指示信号を制御基板46に伝達する。
なお、本作業体Aは所定の重量及び大きさ(幅・高さ、長さ)に規制されている。すなわち、一例として、本計測装置Kの重量Pは18kg、作業体Aの直径φは25cm、長さLは60cm、更に取付け板38の高さhは3〜4cmを採るものである。したがって、作業体Aの下底はレール材5の中心位置より35cmに収められる。
(5a)作業体Aの取付け
上流側地上部において、通線6に取付け台車32を介装設置する。すなわち、該取付け台車32の両端の取付け環36を介して通線6に取り付ける。
この状態で、取付け台車32の取付け板35と作業体Aの取付け板38とを重合し、それらの取付け穴35a,38aに固定具(ボルト・ナット)39を挿通し、該固定具39を締め込んで作業体Aの取付けがなされる。作業体Aには通信コード47が接続される。
計測装置Kをレール材5の上位に配し、取付け台車32をレール材5の溝空間16内に嵌め込む。
(5b)作業体Aの下降/沈設
上流側ウインチ7Aの巻き出しと下流側ウインチ7Bの巻き取りとを同調させて、作業体Aの重量に抗して該作業体Aを上流側人孔1A内に下降・沈設する。
(5c)計測装置Kの管口への配置
作業体Aがレール材5の曲がり部5Bに至ると、作業体Aは円弧軌跡を描いて横断管2の管口に近づく。このとき、作業体Aは所定の大きさに制限されているので、管口壁面に衝突することなく、作業体Aは所定の姿勢で横断管2の管口に臨む。
(6) 作業体Aの動作
上流側ウインチ7A、下流側ウインチ7Bにより所定の張力をもって作業体Aを上流側管口から当該横断管2内を進行させ、下流側管口まで移動させる。
(6a)作業体Aによる計測
作業体Aの進行の開始において、測長ウイング43の止着機構57が開放され、測長ウイング43はばね材55の付勢力により外方へ開く。
通線6の移動に伴う作業体Aの進行につれ、測長ウイング43はその先端のパドル部43bが横断管2の壁面の付着物の表面をなぞり、各位置で一定の開き角度を保持し、回転支軸54を回動させ、角度センサー44によりその開き角度が検出される。
加速度センサー45は、その各位置での作業体Aの装置本体40の姿勢(傾斜)を検知する。そして、これらの検出値は制御基板46を介して地上部の処理装置へ送られ、モニターに表示される。
図15は作業体Aの内部構成及び地上部でのモニター表示の構成を示す。
図示されるように、作業体Aには角度センサー44、加速度センサー45、電磁弁59、該センサー44、加速度センサー44、電磁弁59と信号のやり取りを行う制御基板46、の主要機器が装備される。作業体Aは信号コード47を介して地上部の処理装置(通常にはパソコン)62と信号のやり取りを行う。該処理装置62には通線6の変位量を検知する変位量センサー63(ウインチ7に内蔵)からの信号も受け入れる。処理装置62には、入力手段62a、画像処理部62b、補正計算部62cが付置もしくは内蔵され、これらの信号をモニター64に表示する。
処理装置62は変位量センサー63からの情報信号も受け入れて、計算処理を行い、作業体Aの進行につれ、横断管2の内面状況を刻々画像処理を行う。
入力手段62aからは当該横断管2の内径、長さ等の情報が入力される。モニター64では、画像処理された情報が必要に応じて(通常には刻々)表示される。
このようにして、作業体Aの横断管2内での進行につれ、横断管2の内面状況を刻々モニター64で表示される。
(6b)下流側管口部の作業体A
作業体Aが横断管2の下流側管口に至ると、モニターの作動は終了し、かつ通線6の取付け台車32がレール材5の端部の広口部20に臨み、円滑にレール材5の溝空間16内に入り込む。
(6c)作業体Aの引き上げ
ウインチ7A,7Bの駆動により、作業体Aはレール材5の曲がり部5Bを経由して、レール材5の鉛直部5Aを上昇し、人孔1の開口部1aから地上部に引き上げられる。
その後、作業体Aは取付け台車32から外され、該取付け台車32は通線6とともにウインチ7A,7Bの逆操作により逆行され、再び上流側地上へ引き戻され次の作業に備える。
(7) 2回目の計測
前記(6c)に引き続き、作業体Aをその中心軸回りに180°回転させ、その取付け板38’を通線6の取付け板35に連結する。これにより、本作業体Aはその測長ウイング43の放射角度がY配置を採る。したがって、第1回目の逆Y配置とこのY配置とにより測長ウイング43の放射角度が60°間隔となる。
この作業体Aを前記(5a)、(5b)、(5c)、(6a)、(6b)、(6c)の工程に準じて計測作業を実施する。
この計測において、横断管2の断面状況は管頂から60°間隔にその付着状況が計測されることになる。なお、当該2回目の計測は適宜省略することができる。
(8) 計測作業の完了
以上の(1) 〜(7) の工程をもって計測作業は終了する。
図16、図17はプログラム化された作業体Aの自動運転過程(一部手動運転を含む)を示す。具体的には、該自動運転過程は処理装置62に内蔵されたメモリー(ROM)に格納されたプログラムにより実行される。
自動運転に入る前に、通線6が所期どおりに定置され、作業体Aが通線6に設置され、各機器の接続がなされた後、作業体Aが横断管2の上流側管口にまで手動操作により誘導される。
開始により、ステップS1でキーボード、タッチパネル等の入力手段62aを介して所定の計測条件(横断管の径、長さ、ウインチ速度、1回又は2回計測など)を設定し、ステップS2でその入力値を所定の表示器(プリント出力手段62b、モニター64)に出力する。なお、作業体Aの諸元情報(重量、直径、長さ)は既定条件として入力されている。
ステップS3で上記した計測条件(ウインチ速度)に基づいてウインチ7が始動される。
ステップS4で荷重センサー29の検出値を受けて通線6に導入される張力の張力計測がなされる。
ステップS5で該張力が適正かどうかの判定がなされ、張力が適正値より下回る場合にはステップS6でウインチ7の巻上げ速度を増加させ(下流側ウインチ7Bの増速、もしくは上流側ウインチ7Aの減速)、張力が適正値より上回る場合にはステップS7でウインチ7の巻上げ速度を減少させる。これらの処理がなされると再びステップS5に戻る。張力が適正値であれば、ステップS8に進む。
次いで、ステップS8で計測位置の判定がなされる。作業体Aの計測位置はウインチ7の変位センサー25の検出値に基づいて算出され、作業体Aが所定の計測位置であればステップS9に進む。所定の計測位置でなければ、再び上記ステップS4からステップS8を繰り返す。この計測位置は本実施形態では連続値を採るが、非連続値(例えば1m間隔毎)を採ることを除外しない。
作業体Aが所定の計測位置であれば、ステップS9で姿勢センサー(加速度センサー)45の検出値に基づいて作業体Aの通線6との取付け姿勢すなわち作業体Aの姿勢が判断され、作業体Aの測定基準位置を特定する。
次いで、ステップS10で汚泥計測がなされる。すなわち、加速度センサー45による作業体Aの姿勢検出、及び角度センサー44による作業体Aの測長ウイング43の開き角度の検出をもって横断管2内の測長ウイング43の先端の位置(すなわち汚泥表面の位置)が特定される。
ステップS11で計測データ記録の経過表示を所定の表示器(プリント出力手段62b、モニター64)に出力する。
ステップS12で作業体A移動の全位置終了判定がなされる。作業体Aが所定の終了位置(通常は下流側管口)に達していなければステップS4に戻り、上記したステップS4からステップS12を繰り返す。
作業体Aが終了位置に達した場合、ステップS13に進み、ウインチ7を停止する。なお、ウインチ7の停止の後、手動操作でウインチ7を巻き上げて作業体Aを地上部に引き上げる。
しかる後、ステップS14で所定の情報分析(横断管2の断面位置表示処理、図形表示処理など)がなされる。
次いで、ステップS15で1回目の計測か、2回目の計測かが判定され、1回目であればステップS3に戻りウインチ7を再始動し、ステップS3からステップS14を繰り返す(この間、作業体Aの付替え、更には通線6の巻戻しがなされる)。2回目であればステップS16に進む。
ステップS16で上記の情報分析の結果を表示器62b,64に適宜に出力する。
以上で終了する。
(実施形態の効果)
実施形態の作業体Aによれば、通線6は所定の張力を受け、当該作業体A(主にその重量)の吊下げ位置で所定のたわみ量かつたわみ角をもって移動するので、当該作業体Aに内蔵した加速度センサーにより該作業体Aの姿勢を検知することにより、該作業体Aの基準点(ゼロ点)の位置特定が正確かつ容易になされる。したがって、角度センサーからの情報に基づいて該作業体Aの基準点の位置における横断管内面の断面状況が正確かつ容易になされる。
第1回の計測の後、位相をずらせて第2回の計測を実施し、これらの結果を合わせて60°の放射間隔の横断管2内面の断面状況が把握され、本計測方法の精確さが増大する。
この断面状況はモニターに表示され、視覚的に確認される。
(他の態様1)
上記の実施形態では測長ウイング43が3枚である態様であるが、測長ウイングを等間隔の6枚とする態様を採ることにより60°間隔の計測ができ、1回の計測で済む。この態様では、フレーム体42の中間部(首部)フレーム51は六角形状を採り、各辺部に測長ウイングが取り付けられる。
(他の態様2)
フレーム体42の首部フレーム51で、3枚の測長ウイング(120°間隔)を前後に位相を60°ずらせて配する態様を採ること。この態様でも1回の計測で済む。
(9) 作業体Bの設置及びその作業(図18、図19参照)
次いで、作業体Bによる作業が実施される。
以下、作業体Bが泥掻き取り装置である設置の手順について述べる。
作業体Bは通線6に介装された前記した取付け台車32を介して取り付けられる。
図18、図19に本作業体Bの詳細構成を示す。図において、進行方向を前方(前部)とする。
本作業体Bは(左右前後、上下は図面におけるもの)、幅広の箱状をなすフレーム体70と、該フレーム体70の上面中央に突設される取付け板71と、該フレーム体71の前後にそれぞれ固設される掻き取り板72と、からなる。
フレーム体70は管軸方向(長手方向)に長く、横幅は管口部において管口に衝突することのない幅(目安として20cm程度)に確保される。すなわち、当該幅はレール材5を管口の頂部に直に配する態様(すなわちレベル調整材10がない状態)で、該フレーム体70が可及的大きな幅で管口に入り込む幅とする。
取付け板71には取付け台車32との接合を図る取付け穴71aが相並んで開設される。取付け台車32とはその取付け穴32aと本取付け板71の取付け穴71aとを一致させ、これらに前記した締具(ボルト・ナット)38を装着して固定をなす。
掻き取り板72は、前部掻き取り板72Aと後部掻き取り板72Bとからなり、フレーム体70の前後板に締具(ボルト・ナット)74をもって固定される。掻き取り板72の幅は、実質的にフレーム体70の幅に等しく、縦断面形状が上方部で屈曲し、下方に向って一定の傾斜角(本実施形態では30°)で傾斜する。該掻き取り板72の下端は円弧形状をなすが、直線状であってもよい。締具74により掻き取り板72は適宜交換される。
更に、本実施形態では前部掻き取り板72Aと後部掻き取り板72Bとは丈高が異なり、後部掻き取り板72Bの高さが前部掻き取り板72AよりΔhだけ長くなっている。これにより、掻き取り効率を高める。しかし、両掻き取り板72A、72Bは同一高さでもよい。
更に、掻き取り板72の幅は、図例で2点鎖線で示すように下方部分で適宜拡幅されてもよい。
(9a)作業体Bの取付け、下降/沈設、管口への配置
作業体Bの取付け、下降/沈設、管口への配置については、前記した作業体Aの取付け、下降/沈設、管口への配置で述べた手順((5a)(5b)(5c))に準じる。
なお、本作業体Bの管口への当初の配置については、レール材5へのレベル調整材10がないものとされ、作業体Bは管口部で最も頂点に近い状態となる。このとき、作業体Bの幅広のフレーム体70は管壁に可及的近づく状態ともなる。
(9b)作業体Bの作業
上流側ウインチ7A、下流側ウインチ7Bにより通線6を介して所定の張力をもって作業体Bを上流側管口から当該横断管2内を進行させ、下流側管口まで移動させる。
作業体Bは当初、上流側管口の上位部分に位置し、当該作業体Bの進行とともに通線6のたるみにより次第に下方へ下がり、中央で最下点に至る。そして、その後また次第に上り、下流側管口で最上位となる。したがって、掻き取り板71の堆積物の掻き取り作用は横断管2の中程からなされることになる。
第1工程の往動作が終了すれば作業体Bは逆移動され、横断管2の開始点まで引き戻される。
第2工程として、レール材5を若干量下降させ、横断管2内の通線6の高さを引き下げる。しかる後、再び上流側ウインチ7A、下流側ウインチ7Bにより通線6を介して所定の張力をもって作業体Bを上流側管口から当該横断管2内を進行させ、下流側管口まで移動させる。作業体Bの掻き取り板71は第1工程より低い位置にあり、次の堆積物を掻き取ってゆく。
以後、上記の工程を繰り返し、横断管2内の堆積物を除去し、掻き取り作業を完了させる。
横断管2の径が大きい場合には(例えば1mを超える場合)、レール材5を引き上げ、レール材5にR材8を超える高さのレベル調整材10を装着し、再びレール材5を人孔1に沈設し、その水平部5Cを管口内に臨ませ、レール材5を固定状態に設置する。これにより、通線6は所定の高さに設置される。
上記した作業体Bの横断管2内を進行には、作業体Bの下端は下に凸となる軌跡を描くことになるが、管口で通線6を緩めて掻き取り板71の下端を下方へ移動させ、作業体Bの進行とともに漸次持ち上げ、中央部で最大の張力を加え、その後は通線6を再び緩めて掻き取り板71の下端を下方へ下げてゆくことにより作業体Bの掻き取り板71の下端を水平移動させることができる。
(10)作業体Aの再作業
以後、必要に応じて横断管2内の堆積状況を再計測し、更には堆積物の掻き取り作業をなす。
すなわち、再び作業体Bから作業体Aに切り換え、横断管2の内面の状況をモニターで再確認する。そしてまた、堆積物の除去状況が十分でなければ、作業体Bをもって堆積物の掻き取り作業をなす。
なお、本(8) の工程は任意の作業である。
(11)作業の完了
以上の(1) 〜(8) の工程をもって作業は終了する。
(実施形態の効果)
(レール材5の設置)
レール材5の下端の曲がり部5B、水平部5Cからなる管口保護部は所定の状態で横断管の管口に当接されるので、レール材5内に配される通線6に大きな張力が掛かった場合にも管口は保護され、当該通線6による損傷を受けない。
本実施形態ではレール材5は分割された態様を採るので、機械力に頼ることなく、人手での作業が可能となる。
レール材5の曲がり部5Bの背面に添設されるR材18は、レール材5の人孔1内への設置の間隔保持をなすとともにレール材5の補剛となり、多機能を発揮する。
レベル調整材10を適宜数介装することにより横断管2内の通線6の高さが自由に設定することができる。
(通線6の定置、張力の導入)
本実施形態の作業装置Sは、移動自在である上、アウトリガー24により固定されるので、位置決めが容易かつ確実となり、作業に便利である。更にウインチ7の関連機器が搭載されるので、それらの機器をその都度配することなく、設置の手間が省ける。また、通線6を導く滑車28をレール材5の真上に配することにより、レール材5に不測の負荷を掛けず、通線6に直接的に張力を付与できる。
また、本作業装置Sに通線6の移動量センサー25及び張力センサー29が配され、当該通線6の移動量、張力の測定が容易である。
通線6には所期の張力が導入されて横断管路2内の通線6は所期の懸垂曲線状態となり、かつこの通線6に所期の集中荷重が作用し、重ね合わせによる所期の曲線状態(たわみ、傾斜)を採る。したがって、この通線6に基づいて実施される作業(計測、清掃など)は精確な位置設定が可能となる。
(作業体Aの設置及びその作業)
取付け台車32は前後2軸4輪であるので、走行が安定し作業体Aへのぶれがなく、またレール材5の管口保護部(曲がり部5B,5C)を安定して通過することができる。
作業体Aは規定の大きさ・長さ更には重量とされ、横断管2の管口に衝突することなく、また横断管2内を障害なく通過することができる。
作業体Aは所定の曲線状態をなす通線6に固定されて移動するものであるので、作業体A自体の姿勢を姿勢センサーをもって確定することにより作業体Aの移動位置が確定され、その確定位置に基づいて作業体Aによる測定がなされ、横断管2の堆積状況が正確に把握される。
横断管2内の堆積状況は画像化されるので、その状況を容易に把握することができる。
作業体Aによる横断管2内の計測作業は、一部分を除いて自動運転がなされるので、作業者はモニターの監視に専念でき、自動運転の終了と同時に正確な横断管2内の堆積土砂の状況を得ることができる。
(作業体Bの設置及びその作業)
取付け台車32は前後2軸4輪であるので、走行が安定し作業体Bへのぶれがなく、またレール材5の管口保護部(曲がり部5B,5C)を安定して通過することができる。
作業体Bは規定の大きさ・長さ更には重量とされ、横断管2の管口に衝突することなく、また横断管2内を障害なく通過することができる。
作業体Bは所定の曲線状態をなす通線6に固定されて移動するものであるので作業体Bの下端は所定の軌跡を描いて掻き取り動作をなすことができ、安定して作業を実施することができる。更には、通線6の張力を加減することにより、作業体Bの下端を上下動させて水平動、あるいは特定の箇所の掻き取り作業等選択範囲を拡大することができる。
本作業は計測された堆積土砂の画像に基づいてなすことができ、作業を容易に行うことができる。すなわち、横断管2内の各位置での堆積土砂の画像を表示しつつ、その位置での作業体Bの位置決めをなすことにより目視のできない作業を容易に行うことができる。
(他の態様)
叙上の実施形態では通線6に作業体Aを取り付けて直ちに計測作業をなしたが、該計測作業に先立って横断管路2の流通断面が確保されているかどうかの障害物予備調査を実施することが好ましい。
図20はこの障害物予備調査を実施するための予備調査装置140を示す。本予備調査装置140は、中空円筒状の先導筒体141と、該先導筒体141の外側面の頂部に固設される取付け板142とからなる。通線6には前記した取付け台車32が配され、本予備調査装置140はこの台車32に取り付けられて調査が実施される。
詳しくは、取付け板142は作業体A,Bの取付け板38,71に準じ、その取付け穴と台車32の取付け穴35aとを対応させ、それらの穴に装着した固定具を締め込んで装置140の固定がなされる。
先導筒体141は、所定の重量、直径φ及び長さmを有する。すなわち、重量は可及的軽量が好ましいが、浮き上がらないこと、水流に妄動しないことの要件を満たすものとする。直径φについては前記した作業体Aの装置本体40の差し渡し最大長と同等とされ、長さmについては作業体Aの装置本体40の最大長と同等とされる。
障害物予備調査の実施において、通線6の取付け台車32に取り付けた本予備調査装置140を、前記した作業体Aの操作に準じ、立孔1より管口を介して横断管2内に挿入してゆく。本予備調査装置140が支障なく、立孔1、横断管2内を通過することが確認されれば、作業体Aによる計測作業を実施する。なお、本予備調査装置140の重量は軽いものであるので、通線6の張力を低減し、そのたるみを利用して先導筒体141を横断管2の中心部に位置させる手法を採ることができる。
本発明は伏越し管渠に限定されず、更に下水道における他の横断管(地中埋設管)、更には水道管、パイプラインへの適用も可能である。
パイプライン(石油、天然ガス)において、管壁への異物の強固な付着が問題となっており、この付着物の調査・除去のため本発明の適用が期待されるものである。
図21において、Pは地上に配されたパイプラインを示す。パイプラインPの適宜の2箇所で穿孔Q用の立孔管200を立設し、かつ、架台部201を設置する。架台部201にはウインチ202、滑車203が設置される。
本発明の実施において、架台部201上で穿孔Qをなし、この穿孔Qを介して通線205を配し、またレール材206を挿入し、ウインチ202により通線205を所期の状態に設置するものである。
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。
S……作業装置、1……立孔(人孔)、1A……上流側立孔(人孔)、1B……下流側立孔(人孔)、2……横断管(伏越し管)、3A……上流側管路、3B……下流側管路、5……レール材、5A……鉛直部、5B……曲がり部、5C……水平部、6……通線、7……ウインチ、7A……上流側ウインチ、7B……下流側ウインチ、10……レベル調整材

Claims (3)

  1. 上流から下流への流体の流れをなす流体管路であって、
    該流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、
    下端に所定の曲率の曲がり部よりなる管口保護部を有し、その長手方向に通線の誘導路が形成されたレール材を、該管口保護部を前記横断管の管口に臨ませるとともに、相対する立孔のそれぞれの壁面に沿って立設し、
    該両立孔の上位に配された各ウインチにより通線を該レール材の誘導路に沿って所定の張力をもって誘導し、
    立孔間の前記横断管内に高さ及び張力の調整された通線を配する、
    ことを特徴とする流体管路における横断管への通線方法。
  2. 上流から下流への流体の流れをなす流体管路であって、
    該流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、
    下端に所定の曲率の曲がり部よりなる管口保護部を有し、その長手方向に通線の誘導路が形成されたレール材を、該管口保護部を前記横断管の管口に臨ませるとともに、相対する立孔のそれぞれの壁面に沿って立設し、
    該両立孔の上位に配された各ウインチによりその一部に作業体が取り付けられた作業用通線を該レール材の誘導路に沿って所定の張力をもって誘導し、
    立孔間の横断管内に高さ及び張力の調整された作業用通線を配する、
    ことを特徴とする流体管路における横断管への作業用通線の通線方法。
  3. 上流から下流への流体の流れをなす流体管路であって、該流体管路中の対向する立孔間を直線状の横断管を介して流通状態に接続される曲がり管路において、
    前記立孔間の横断管内に高さ及び張力の調整された通線を配する通線方法に使用されるレール材であって、
    長尺の鉛直部と、
    該鉛直部の下端に連設する所定の曲率半径の曲がり部と、
    該曲がり部に水平に連設する短尺の水平部と、
    からなり、
    その外面にかつ長手方向に沿って通線の誘導路が形成されてなる、
    ことを特徴とする曲がり管路における横断管への通線方法に使用されるレール材。
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