JP2015030803A - 防曇膜形成材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法 - Google Patents

防曇膜形成材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法 Download PDF

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千晴 瀧本
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敏裕 平野
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希 大西
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Abstract

【課題】防曇性、耐熱性、及び、耐摩耗性に優れる防曇膜形成材料などを提供する。
【解決手段】一般式[1]で表される防曇膜形成材料。
Figure 2015030803

(R、R及びRは、水素基又は特定のアルキル基、Xは、−C(=O)−NR[Rは炭素数が1〜4のアルキル基]、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はアミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基、Yは、メチロール基及び−(R−C(=O)−NH−CH−OR[ここで、Rは、特定の脂肪族炭化水素基、又は、エステル基、エーテル基、及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基から構成される2価の有機基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基])
【選択図】なし

Description

本発明は、車両用、建築用等の防曇窓ガラスや防曇鏡、レンズ、ディスプレー等の防曇性物品において、優れた、防曇性、耐熱性、及び、耐摩耗性を併せ持つ防曇膜を形成するための防曇膜形成材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法に関する。
ガラスやプラスチック等の透明基材は、基材を挟んで内面と外面の温湿度の差により、一方の表面が露点以下になった場合、又は、基材に対して急激な温湿度変化が起こった場合(例えば、沸騰水蒸気が基材に接触した場合や、低温部から高温多湿の環境に移った場合等)に雰囲気中の水分が水滴として付着し、基材表面は結露する。その結果、結露した水滴により光の散乱が起こる、いわゆる「曇り」が発生することで、視界が妨げられる。このような「曇り」により、一般的な窓ガラス、ショーケース用ガラス、自動車や航空機のフロントガラス、反射鏡、眼鏡、サングラス等では、安全性や視認性が著しく損なわれる。
これらの基材に防曇性を付与する方法として、特許文献1には、単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体、単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体、単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体から形成される共重合体を含有する防曇塗料組成物であって、前記単量体(C)の含有量が単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部であると共に、共重合体の重量平均分子量が100,000〜1,000,000であることを特徴とする防曇塗料組成物が開示されており、該防曇塗料組成物を塗布、乾燥、硬化させることにより防曇膜が得られることが開示されている。
特開2009−013329号公報
防曇性物品は、曇りを生じさせるような環境においても視認性を確保できるような優れた防曇性と、実使用に耐えうる程度の耐熱性と表面強度(耐摩耗性)を併せ持つことが望まれている。しかし、防曇性能を高めた防曇膜は、該十分な防曇性と耐摩耗性を併せ持たせることが極めて難しい。特許文献1に記載の防曇塗料組成物を塗布、乾燥、硬化させることにより得られる防曇膜は、防曇性及び耐熱性を有するものの、耐摩耗性が不十分な場合があり、改善の余地があった。
そこで、本発明は、防曇性、耐熱性、及び、耐摩耗性に優れる防曇性物品を得るための防曇膜形成材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法を提供することを課題とする。
本発明は、下記の一般式[1]で表される防曇膜形成材料である。
Figure 2015030803
(式[1]で、R及びRは、水素基及びメチル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは、水素基及び炭素数が1〜5のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Xは、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はアミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Yは、メチロール基及び−(R−C(=O)−NH−CH−OR(ここで、Rは、炭素数が5以下の2価の脂肪族炭化水素基であるか、又は、エステル基、エーテル基、及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基から構成される炭素数が5以下の2価の有機基である。Rは炭素数が1〜4のアルキル基、cは0又は1である。)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。aとbはa:b=0.7〜2.5:1.0である数である。なお、式[1]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量は、5,000〜1,000,000であることが好ましい。
また、本発明は、防曇膜形成材料として上記の防曇膜形成材料を含み、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒を含み、酸を含む、防曇膜形成用塗布液である。
なお、実質的に、上記の防曇膜形成材料と、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒と、酸のみからなる防曇膜形成用塗布液であると、得られる防曇膜が水以外の汚染物質を吸収したとしても容易に除去できるため好ましい。
また、本発明は、防曇膜形成材料として上記の防曇膜形成材料を含み、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒を含み、酸を含み、充填材を含む、防曇膜形成用塗布液である。
なお、実質的に、上記の防曇膜形成材料と、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒と、酸と、充填材のみからなる防曇膜形成用塗布液であると、得られる防曇膜が水以外の汚染物質を吸収したとしても容易に除去できるため好ましい。
また、本発明は、基材とその表面に形成されたプライマー層、及び該プライマー層表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であり、該防曇膜が上記の防曇膜形成用塗布液を塗布し硬化して得られるものであることを特徴とする、防曇性物品である。
また、前記防曇性物品は、防曇性物品の防曇膜表面に対するJIS R 3212に準拠した耐摩耗性試験前後において、防曇性物品の該試験実施箇所のヘーズ値を測定し、それぞれのヘーズ値の差が4.0以下であることが好ましい。
また、前記防曇性物品は、100℃の熱に1000時間晒した後の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量をBとし、晒す前の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量をAとしたときに、(A−B)×100/Aで表される値である防曇性低下率が40%以下であることが好ましい。
また、前記防曇性物品は、前記吸水量Aが0.2〜5mg/cmであることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも以下の工程を経て作製することを特徴とする、上記の防曇性物品の作製方法である。
基材表面にシランカップリング剤によってプライマー層を形成する、プライマー層形成工程、
前記防曇膜形成用塗布液を前記プライマー層上に塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、
前記塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程。
また、前記硬化工程は、80℃以下で加熱することにより前記塗布工程後の塗膜を硬化することであることが好ましい。
本発明により、防曇性、耐熱性、及び、耐摩耗性に優れる防曇性物品を得るための防曇膜形成材料、防曇膜形成用塗布液、前記防曇性物品、及びそれらの製法を提供することができる。その結果、従来得ることが困難であった、防曇性、耐熱性、及び、耐摩耗性に優れる防曇性物品を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.防曇膜形成材料
(1)一般式[1]で表される化合物について
一般式[1]で表される化合物は、Xで表される基を有する繰り返し構造単位と、Yで表される基を有する繰り返し構造単位とからなる共重合体である(以降、一般式[1]で表される化合物を単に「共重合体」と記載する場合がある)。該共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、交互共重合体であってもよい。
前記の共重合体は、共重合可能な基を有するモノマー同士を共重合させて得られるものであってもよいし、共重合可能な基を有するオリゴマー同士を共重合させて得られるものであってもよいし、前記のモノマーとオリゴマーを共重合させて得られるものであってもよい。Xで表される基を有する繰り返し構造単位を形成するモノマーとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソ−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、1−(メタ)アクリロイルピペリジン−2−オン、1−ビニル−2−ピロリドン、3−アクリロイル−2−オキサゾリジノン、N−アリルカルバミン酸t−ブチル、N−(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。また、Yで表される基を有する繰り返し構造単位を形成するモノマーとしては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、共重合可能な基を有するオリゴマーを用いて前記共重合体を得る場合、該オリゴマーは前記の共重合可能な基を有するモノマーから作製されたものが好ましい。共重合体の合成は一般的な重合によって行われる。
前記共重合体において、Xで表される基は、防曇膜を形成した際に該膜に吸水性を付与する基であり、防曇性発現に寄与する基である。耐熱性の観点から、Xで表される基は、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)である基が好ましい。また、前記共重合体において、Yで表される基は、縮合し架橋を形成する基であり、防曇膜を形成した際に該膜に優れた耐熱性や耐摩耗性を付与する基である。相溶性と反応性の観点から、Yで表される基は、メチロール基が好ましい。
前記共重合体において、Xで表される基(−C(=O)−NR、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はアミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基)を有する繰り返し構造単位と、Yで表される基(メチロール基及び−(R−C(=O)−NH−CH−ORで表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基)を有する繰り返し構造単位の存在比率である、前記一般式[1]中のaとbは、a:b=0.7〜2.5:1.0である数である。すなわち、前記のaとbは、Xで表される基を有する繰り返し構造単位とYで表される基を有する繰り返し構造単位の存在比率であり、Xで表される基を有する原料とYで表される基を有する原料とのモノマー換算でのモル比によって算出することができる。bに対しaが0.7倍未満(すなわちa/b<0.7)の場合、十分な防曇性を有する膜や熱に対して十分な防曇性を維持できる膜が得られず、bに対しaが2.5倍超(すなわち2.5<a/b)の場合、架橋が少なくなるため、防曇膜を形成した際に耐摩耗性が低くなる。実用的な防曇性、耐熱性、及び、耐摩耗性を両立させるため、a:b=1.0〜2.0:1.0がより好ましい。
前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量は、5,000〜1,000,000が好ましい。該重量平均分子量が、5,000未満であると、耐摩耗性が弱くなる傾向があり好ましくない。また該重量平均分子量が、1,000,000超であると、防曇膜形成用塗布液の粘度が高くなり塗布作業等の作業性が悪くなる傾向があり好ましくない。また、溶媒に完全には溶解させることができなくなり均一な防曇膜形成用塗布液を得ることができない場合もある。前記重量平均分子量が30,000〜300,000であるとより好ましい。
(2)防曇膜形成材料の作製について
本発明の防曇膜の形成材料である前記一般式[1]で表される化合物は、上記のXで表される基を有する繰り返し構造単位を形成するモノマー及び/又はオリゴマーと、上記のYで表される基を有する繰り返し構造単位を形成するモノマー及び/又はオリゴマーとをラジカル重合、カチオン開環重合、アニオンリビング重合、カチオンリビング重合等の従来公知の各種の重合方法で反応させること(以降、「防曇膜形成材料作製工程」と記載する場合がある)によって得られる。特に工業的な生産性の容易さからラジカル重合により合成することが好ましい。この場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、従来公知のパーオキシド、アゾ化合物が挙げられ、通常の塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法を行うことができるが、安全性の面から、溶液重合法が好ましい。なお、前記のモノマーやオリゴマーとして複数種類のものを組み合わせて用いてもよい。
防曇膜形成材料作製工程は、通常、溶媒中で行われる。このとき用いる溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、シクロヘキサノール、等が挙げられる。相溶性、安全性の観点からエチルアルコールが好ましい。また、複数の溶媒を用いて混合溶媒としてもよい。
上述の防曇膜形成材料作製工程の反応条件は特に限定されないが、該反応は50℃以上、溶媒の沸点以下で行われることが好ましく、密閉容器内で行う場合は、加圧状態となってもよく、その場合の反応温度の上限は溶媒の沸点+20℃であってもよい。また、上記重合反応を安定的に進行させやすく、得られる防曇膜形成材料の重量平均分子量を制御しやすいことから、還流下で反応させることが好ましい。
2.防曇膜形成用塗布液
本発明の防曇膜形成用塗布液を得る際は、前記防曇膜形成材料作製工程で得られた防曇膜形成材料を含む溶液を濃縮することにより固形分濃度及び粘度を調整する操作、該溶液に溶媒を添加することにより固形分濃度及び粘度を調整する操作、及び、充填材を添加する操作からなる群から選ばれる少なくとも1つの操作を行う、塗布液の調製工程(以降、単に「調液工程」と記載する場合がある)を経る。なお、この調液工程の前後あるいはその最中に酸が添加される。
防曇膜形成用塗布液に含まれる溶媒は、前記防曇膜形成材料作製工程において用いた溶媒をそのまま用いたものであってもよいし、固形分濃度及び粘度を調整するために、さらに添加した溶媒であってもよい。該溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、シクロヘキサノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
前記調液工程で、固形分濃度及び粘度が調整された防曇膜形成用塗布液が得られる。防曇膜形成用塗布液の固形分濃度は20〜60質量%であることが好ましい。該固形分濃度範囲内であると、防曇膜を形成した際に、該防曇膜の膜厚を制御しやすい。また、防曇膜形成用塗布液の粘度は、例えばJIS Z 8803に準拠した測定方法において、25℃での粘度が20〜200mPa・sであることが好ましい。該粘度範囲内であると、後述する防曇膜形成用塗布液塗布工程の際に、塗膜のレベリング性が良好で、その結果、成膜性が良好である。なお、前記調液工程で行われることのある濃縮としては、加熱濃縮、脱気濃縮等の公知の方法が挙げられる。
前記の酸は、メチロール基が縮合し架橋を形成することを促進し、後述する硬化工程で塗膜の硬化を促進するものであり、触媒として作用するものであってもよいし、それ自身も防曇膜の一部となるものであってもよい。該酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸等の酸が挙げられる。また、複数の酸を添加してもよい。前記酸の中でも、前記縮合反応の促進効果が良好な、メタンスルホン酸が好ましい。
前記酸は、前記一般式[1]で表される化合物のメチロール基又は−(R−C(=O)−NH−CH−ORで表される基の数を100モル%としたときに、1〜5モル%となる量添加することが好ましい。前記添加量が1モル%未満の場合、前記反応促進効果が小さい傾向があり、得られる防曇膜の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、前記添加量が5モル%を超えても反応促進効果はあまり変化せず、コストの面から好ましくない。なお、前記一般式[1]で表される化合物のメチロール基又は−(R−C(=O)−NH−CH−ORで表される基の数は、例えば13C NMRで定量できる。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、公知の界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤、レベリング剤等の成分が含有されていてもよい。前記レベリング剤を含有することにより、防曇膜形成用塗布液を塗布した際のレベリング性を向上することができ、レベリングに要する時間を短縮できる。レベリング剤としては、例えばビックケミージャパン製の「BYK−300」、「BYK−301」、「BYK−302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−313」、「BYK−315」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−345」、「BYK−346」、「BYK−347」、「BYK−348」、「BYK−349」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−377」、「BYK−378」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−340」、「BYK−3550」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」、「BYK−DYNWET800」、共栄社化学製の「ポリフローNo.3」、「ポリフローNo.50HF」、「ポリフローNo.54」、「ポリフローNo.64HF」、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.85HF」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.ATF−2」、「グラノール100」、「グラノール115」、「グラノール400」、「グラノール410」、「グラノール420」、「グラノール440」、「グラノール450」、「グラノールB-1484」等が挙げられる。また、酸化物微粒子などの無機微粒子、多孔質粒子、中空粒子、有機物微粒子等の充填材が含有されていてもよい。該微粒子を含有することにより得られる防曇膜に防汚性、耐キズつき性等を付与することができる。酸化物微粒子としては、例えば日産化学社製の「メタノールシリカゾル」、「MA−ST−MS」、「IPA−ST」、「IPA−ST−MS」、「IP
A−ST−L」、「IPA−ST−ZL」、「IPA−ST−UP」、「EG−ST」、「NPC−ST−30」、「MEK−ST」、「MEK−ST−MS」、「MIBK−ST」、「XBA−ST」、「PMA−ST」、「DMAC−ST」、「ST−20」、「ST−30」、「ST−40」、「ST−C」、「ST−N」、「ST−O」、「ST−S」、「ST−50」、「ST−20L」、「ST−OL」、「ST−XS」、「ST−XL」、「ST−YL」、「ST−ZL」、「QAS−40」、「LSS−35」、「LSS−45」、「ST−UP」、「ST−OUP」、「ST−AK」、ADEKA社製の「AT−20」、「AT−30」、「AT−40」、「AT−50」、「AT−20N」、「AT−20A」、「AT−30A」、「AT−20Q」、「AT−300」、「AT−300S」、扶桑化学工業製の「PL−1」、「PL−3」、「PL−70」、「PL−20」、「PL−1−PA」、「PL−1−MA」等が挙げられ、多孔質微粒子としては、例えば日産化学社製の「ライトスター」等が挙げられ、中空粒子としては、例えば日揮触媒化成製の「スルーリア」、日鉄鉱業社製の「シリナックス」、グランテックス社製の「ナノバルーン」等が挙げられ、有機物微粒子としては、例えばハリマ化成工業製のアクリル樹脂系分散剤等が挙げられる。前記微粒子の添加量は固形分濃度で5〜50質量%となる量が好ましい。また、被膜中の架橋を補い耐摩耗性を向上する成分として、多官能のエポキシ化合物が含有されてもよい。ただし、該多官能のエポキシ化合物が多量に添加されると、得られる防曇膜が水以外の汚染物質を吸収した際に、該汚染物質を除去しにくい場合がある。
上記の成分は、一般式[1]で表される化合物の原料に添加されてもよいし、防曇膜形成材料作製工程において添加されてもよいし、調液工程の前後あるいはその最中において添加されてもよいが、反応に影響を及ぼさないように調液工程の前後あるいはその最中において添加されることが好ましい。
3.防曇性物品
本発明の防曇性物品は、基材とその表面に形成されたプライマー層、及び該プライマー層表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であり、少なくとも、基材表面にシランカップリング剤によってプライマー層を形成する、プライマー層形成工程、前記防曇膜形成用塗布液を前記プライマー層上に塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、前記塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程を経て得られたものである。
前記基材としては、光透過性、光反射性又は光沢性を有し、曇りにより著しく視認性、外観、意匠性が損なわれるものが挙げられる。
光透過性を有する代表的な基材としてはガラスが挙げられる。該ガラスは自動車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス等が挙げられる。また、上記板ガラス以外に、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂板等を挙げることもできる。
また、光反射性を有する代表的な基材としては、鏡、金属、金属メッキされた物品等が挙げられる。
また、光沢性を有する代表的な基材としては、金属、金属メッキされた物品、セラミックス等が挙げられる。
上記の基材には、平板、曲げ板等各種の成形体を使用できる。板厚は特に制限されないが、1.0mm以上10mm以下が好ましく、例えば車両用の窓材としては1.0mm以上5.0mm以下が好ましい。
前記プライマー層を形成する化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。更にプライマー層と防曇膜との密着性を向上させることにより防曇膜の耐摩耗性を向上させるために、ポリアクリル酸などの、上記のシランカップリング剤及び前記一般式[1]で表される化合物の両方と反応性が良好な化合物を、前記シランカップリング剤と併用してもよい。
前記防曇膜形成用塗布液塗布工程で、前記プライマー層上に前記防曇膜形成用塗布液を塗布する方法としては、ディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、ノズルコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、手塗り法、インクジェット法等の公知の方法が挙げられる。
前記硬化工程で塗膜を硬化する方法としては、熱硬化、光硬化等が挙げられる。熱硬化の場合、加熱温度は50〜200℃が好ましい。50℃未満では硬化速度が遅く、硬化に時間が掛かる傾向があるため好ましくない。一方、200℃超では前記防曇膜を形成する材料自体が劣化する場合があるため好ましくない。また、熱硬化の場合は、基材の耐熱温度未満の温度で硬化を行う必要がある。光硬化させる場合は、一般的なラジカル重合開始剤、もしくはカチオン性重合開始剤を前記塗布液に添加して用い、光照射の方法はとくに限定されず、高圧水銀灯やキセノンランプ等を用いることができる。
前記硬化工程で加熱により塗膜を硬化する場合、50〜80℃で加熱することが更に好ましい。基材として車両用等の合わせガラスを用いる場合であっても、80℃以下であれば、該合わせガラスの中間膜が熱により変形や収縮することがない。
本発明の防曇性物品の防曇膜の厚さは5〜100μmであることが好ましい。5μm未満であると、前記防曇膜に十分な吸水性能が付与されない傾向があり、好ましくない。一方、100μmを超えると、防曇膜に光学的な歪が生じ易くなることや、生産性が低下することがあるため、好ましくない。
本発明の防曇性物品の防曇膜表面に対するJIS R 3212に準拠した耐摩耗性試験前後において、防曇性物品の該試験実施箇所のヘーズ値を測定した際の、それぞれのヘーズ値の差は4.0以下であることが好ましい。該ヘーズ値の差が4.0以下であると防曇性物品の外観や視認性が確保できるため、防曇膜が実使用に耐えうる耐摩耗性を有しているといえる。より好ましくは該ヘーズ値の差が3.5以下である。
本発明の防曇性物品を100℃の熱に1000時間晒した後の防曇性低下率は40%以下であることが好ましい。防曇性低下率とは、防曇性物品を100℃の熱に晒す前の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量をAとし、100℃の熱に1000時間晒した後の防曇性物品の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量をBとしたときに、(A−B)×100/Aで表される値(%)である。該防曇性低下率が40%超であると、防曇膜中の吸水性に寄与する部位の分解、又は未反応の親水性活性基の反応により、熱に晒す前と比べて防曇膜の構造が変化した可能性があり、防曇膜の品質を長期維持することが難しくなる。より好ましくは該防曇性低下率が20%以下である。
本発明の防曇性物品の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量(前記吸水量A)は0.2〜5mg/cmであることが好ましい。該吸水量が上記範囲内であると、防曇膜が十分な吸水性能を有するため、該防曇膜を有する防曇性物品が十分な防曇性を発揮しやすい。また、防曇膜が良好な耐摩耗性を有しやすい。より好ましくは該吸水量が0.2〜3mg/cmである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例及び比較例で得られた防曇性物品(以下、「サンプル」と記載する場合がある)は、以下に示す方法により品質評価を行った。
[防曇膜の膜厚]
触針式表面粗さ計(小坂研究所製、サーフコーダーET−4000A)を用いて、基材上に形成した防曇膜の膜厚を測定した。
[耐摩耗性]
JIS R 3212に準じて、防曇膜面を上面として防曇性物品を回転台にのせ、摩耗輪に4.9Nの荷重をかけ、一定速度で100回転させる試験を行った後、試験を行った箇所のヘーズ値と試験を行う前の該箇所のヘーズ値との差を算出した。前記のヘーズ値の差が4.0以下であれば、防曇膜の実使用上の耐摩耗性の観点から良好であり、該ヘーズ値の差が小さいほど耐摩耗性がより優れているといえる。
[35℃水蒸気防曇性]
35℃飽和水蒸気で満たされた槽の上部に、防曇膜面を前記槽に向けてサンプルを設置し、曇りが生じるまでの時間を測定した。該試験において、曇りが生じるまでの時間が30秒以上であれば、サンプルの防曇膜の防曇性は良好であり、該時間が長いほど防曇性がより優れているといえる。
[耐熱性]
100℃で保持された恒温槽で1000時間サンプルを保持し、外観の不具合の有無を目視で確認し、不具合がなかったものを外観上合格とし(表中で○と表記)、不具合があったものを外観上不合格とした(表中で×と表記)。なお、外観上の不具合とは黄変や膜表面にブツブツなどの凹凸が発生することである。また、前記の防曇性低下率を算出した。該防曇性低下率が40%以下であれば、熱に対して防曇膜の品質を長期維持しやすいため好ましく、該防曇性低下率が小さいほど耐熱性がより優れているといえる。
[防曇膜の吸水飽和時の単位面積吸水量]
温度80℃の乾燥炉で2時間保持した後の防曇性物品の質量(a)を測定し、防曇膜に35℃飽和水蒸気を60分間接触させ、蒸気が暴露する全面に曇りを生じさせ、防曇膜を吸水飽和させた。その後、防曇膜表面の水滴を払拭した後に防曇性物品の質量(b)を測定した。「(b−a)/蒸気暴露面積」の計算式で得られた値を防曇膜の吸水飽和時の単位面積吸水量とした。尚、ここでの(a)値は、防曇膜が吸水していない状態のものに相当する。該単位面積の吸水量が0.2〜5mg/cmであれば、防曇性物品が十分な防曇性を発揮しやすく、防曇膜が良好な耐摩耗性を有しやすい。
[実施例1]
(基材の準備)
基材として、厚さ3mm、100mm四方のフロートガラスを使用した。該基材表面をセリア微粒子で研磨し、ブラッシング洗浄を行い乾燥した。
(プライマー層の形成)
プライマー層を形成するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以降、「GPTMS」と記載する場合がある)を0.3g、エタノール(以降、「EtOH」と記載することがある)を29.4g混合した液に1.0N硝酸を0.3g加えて、40℃で4時間加熱し、プライマー液を調製した。該液をスピンコーティングにより前記基材表面に塗布し、80℃で20分焼成することで基材上にプライマー層を形成した。
(防曇膜形成材料作製工程〜調液工程)
まず、前記一般式[1]で表される化合物を合成した。N,N−ジメチルアクリルアミド(以降、「DMAA」と記載する場合がある)とN−メチロールアクリルアミド(以降、「N−MAN」と記載する場合がある)を原料として用い、メタノール(以降、「MeOH」と記載することがある)中で、モル比でDMAA/N−MAN=1.3/1.0の割合で反応させ、重量平均分子量が100,000の共重合体(前記一般式[1]で表される化合物)を得た。本実施例の前記共重合体において、前記一般式[1]のXで表される基は−C(=O)N(CH基に相当し、Yで表される基はメチロール基に相当する。前記一般式[1]中のaとbは、a:b=1.3:1.0である。次いで、前記の共重合体3.0gを含む溶液に、溶媒としてMeOHを追加し13gとし、酸としてメタンスルホン酸を0.15g(メチロール基の数を100モル%としたときに5モル%となる量)加え、レベリング剤(BYK341、ビックケミージャパン社製)を0.05g加えて、室温で撹拌し、防曇膜形成用塗布液を調液した。得られた防曇膜形成用塗布液の25℃での粘度は、JIS Z 8803に準拠した測定方法において、20mPa・sであった。
(防曇膜形成用塗布液塗布工程〜硬化工程)
前記防曇膜形成用塗布液を、前記基材のプライマー層上にスピンコーティング法により塗布した。前記塗布液が塗布された基材を80℃に保持された電気炉に30分入れ、硬化させることにより防曇膜を形成させて防曇性物品を得た。
防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
Figure 2015030803
Figure 2015030803
[実施例2]
調液工程において、塗布液中にコロイダルシリカ(日産化学工業社製IPA−ST−L、イソプロパノール中に平均粒子径40−50nmのシリカ微粒子が30質量%分散された液)を固形分濃度で5質量%となる量添加した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例3]
前記一般式[1]のa:b=1.1:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例4]
前記一般式[1]のa:b=1.9:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例5]
前記一般式[1]のa:b=0.8:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例6]
前記一般式[1]のa:b=2.4:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例7]
DMAAの代わりにN,N−ジエチルアクリルアミド(以降、「DEAA」と記載する場合がある)を用いる以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例8]
前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量を6,000とした以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例9]
前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量を900,000とした以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例10]
前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量を4,000とした以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例11]
前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量を1,100,000とした以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。なお、本実施例では、防曇膜形成材料の重量平均分子量が大きく、該防曇膜形成材料を溶媒に溶解させるのに長時間を要し、防曇膜形成用塗布液の粘度が高くなり、該塗布液を基材に塗布した際に塗膜をレベリングするのに他の実施例に比べ長時間を要した。
[実施例12]
N−MANの代わりにN−メトキシメチルアクリルアミドを用いる以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例1のプライマー液に、ポリアクリル酸として重量平均分子量が5,000のポリアクリル酸を、該プライマー液総量に対して0.5質量%の濃度となるように添加した液を、プライマー液として用いた以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[比較例1]
前記一般式[1]のa:b=3.0:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。得られた防曇性物品の防曇膜は、耐摩耗性が劣るものであった。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2にそれぞれ示す。
[比較例2]
前記一般式[1]のa:b=0.5:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。得られた防曇性物品の防曇膜は防曇性が不十分であった。また、耐熱性試験における防曇性低下率がやや大きかった。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2にそれぞれ示す。
[比較例3]
酸を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品の作製を試みたが、硬化工程で塗布液が硬化しなかったため防曇膜を形成できなかった。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[比較例4]
酸を添加せず、硬化工程の温度を150℃、時間を12時間とした以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。得られた防曇性物品の防曇膜は、耐摩耗性が劣るものであった。また、防曇性に関する評価(35℃水蒸気防曇性、防曇膜の吸水飽和時の単位面積吸水量、防曇性低下率の評価)において、防曇膜が溶解してしまい当該評価を実施できなかった。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
[比較例5]
前記一般式[1]のa:b=20.0:1.0となるように原料の比率を変更した以外は実施例1と同様の方法で防曇膜形成材料を作製し、防曇膜形成用塗布液を調製し、防曇性物品を作製した。得られた防曇性物品の防曇膜は、耐摩耗性が劣るものであった。防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。

Claims (12)

  1. 下記の一般式[1]で表される防曇膜形成材料。
    Figure 2015030803
    (式[1]で、R及びRは、水素基及びメチル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは、水素基及び炭素数が1〜5のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Xは、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はアミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Yは、メチロール基及び−(R−C(=O)−NH−CH−OR(ここで、Rは、炭素数が5以下の2価の脂肪族炭化水素基であるか、又は、エステル基、エーテル基、及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基から構成される炭素数が5以下の2価の有機基である。Rは炭素数が1〜4のアルキル基、cは0又は1である。)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。aとbはa:b=0.7〜2.5:1.0である数である。なお、式[1]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
  2. 前記一般式[1]で表される化合物の重量平均分子量が、5,000〜1,000,000であることを特徴とする、請求項1に記載の防曇膜形成材料。
  3. 防曇膜形成材料として請求項1又は請求項2に記載の防曇膜形成材料を含み、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒を含み、酸を含むことを特徴とする、防曇膜形成用塗布液。
  4. 実質的に、請求項1又は請求項2に記載の防曇膜形成材料と、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒と、酸のみからなる防曇膜形成用塗布液。
  5. 防曇膜形成材料として請求項1又は請求項2に記載の防曇膜形成材料を含み、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒を含み、酸を含み、充填材を含むことを特徴とする、防曇膜形成用塗布液。
  6. 実質的に、請求項1又は請求項2に記載の防曇膜形成材料と、該防曇膜形成材料を溶解する溶媒と、酸と、充填材のみからなる防曇膜形成用塗布液。
  7. 基材とその表面に形成されたプライマー層、及び該プライマー層表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であり、該防曇膜が請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液を塗布し硬化して得られるものであることを特徴とする、防曇性物品。
  8. 防曇性物品の防曇膜表面に対するJIS R 3212に準拠した耐摩耗性試験前後において、防曇性物品の該試験実施箇所のヘーズ値を測定し、それぞれのヘーズ値の差が4.0以下であることを特徴とする、請求項7に記載の防曇性物品。
  9. 100℃の熱に1000時間晒した後の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量をBとし、晒す前の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量をAとしたときに、(A−B)×100/Aで表される値である防曇性低下率が40%以下であることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の防曇性物品。
  10. 前記吸水量Aが0.2〜5mg/cmであることを特徴とする、請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の防曇性物品。
  11. 少なくとも以下の工程を経て作製することを特徴とする、請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の防曇性物品の作製方法。
    基材表面にシランカップリング剤によってプライマー層を形成する、プライマー層形成工程、
    前記防曇膜形成用塗布液を前記プライマー層上に塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、
    前記塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程。
  12. 前記硬化工程が、80℃以下で加熱することにより前記塗布工程後の塗膜を硬化することであることを特徴とする、請求項11に記載の防曇性物品の作製方法。
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