JP2015108046A - 防曇膜形成用塗布液材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法 - Google Patents

防曇膜形成用塗布液材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法 Download PDF

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Chiharu Takimoto
千晴 瀧本
敏裕 平野
Toshihiro Hirano
敏裕 平野
拓史 野村
Takushi Nomura
拓史 野村
希 大西
Nozomi Onishi
希 大西
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Abstract

【課題】優れた防曇性と表面硬度が両立した防曇性物品を得るための防曇膜形成用塗布液材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法を提供する。
【解決手段】−C(=O)−NR(Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又は、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であるX基と、
カルボキシル基、又は、−R−C(=O)−OHで表される基であり、該Rは、2価の脂肪族炭化水素基、又は、エステル基、エーテル基、アミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された2価の有機基であるY基と
を有する共重合体と、
エポキシ基含有シラン化合物とを、
架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られる防曇膜形成用塗布液材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、車両用、建築用等の防曇窓ガラスや防曇鏡、レンズ、ディスプレー等の防曇性物品において、優れた、防曇性と表面硬度を併せ持つ防曇膜を形成するための防曇膜形成用塗布液材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法に関する。
ガラスやプラスチック等の透明基材は、基材を挟んで内面と外面の温湿度の差により、一方の表面が露点以下になった場合、又は、基材に対して急激な温湿度変化が起こった場合(例えば、沸騰水蒸気が基材に接触した場合や、低温部から高温多湿の環境に移った場合等)に雰囲気中の水分が水滴として付着し、基材表面は結露する。その結果、結露した水滴により光の散乱が起こる、いわゆる「曇り」が発生することで、視界が妨げられる。このような「曇り」により、一般的な窓ガラス、ショーケース用ガラス、自動車や航空機のフロントガラス、反射鏡、眼鏡、サングラス等では、安全性や視認性が著しく損なわれる。
これらの基材に防曇性を付与する方法として、特許文献1には、バインダー成分、及び、ポリアクリル酸類を含有する耐熱性防曇膜形成用塗布剤であって、耐熱性防曇膜を形成した際にポリアクリル酸類由来の成分が吸水することにより防曇性が発現することを特徴とする耐熱性防曇膜形成用塗布剤を用いて基材上に耐熱性防曇膜を形成することが開示されている。
また、特許文献2には、基材と、バインダー成分とポリアクリル酸類の共重合体を含有する被膜と、該基材と被膜との間にプライマー層を有することを特徴とする、防曇性、基材と被膜との密着性、及び耐熱性に優れる防曇性物品が開示されている。
また、特許文献3には、基材と該基材に密着した被膜とを具備した防曇性物品において、該被膜がバインダー成分とポリアクリル酸類の共重合体とを含有する複合膜であって、該被膜は吸水性を呈する被膜であり、該被膜の吸水飽和時の単位体積の吸水量が0.05〜3mg/mmであり、該被膜は100℃以下の熱に対して耐熱性を有することを特徴とする、耐熱性及び防曇性に優れる防曇性物品が開示されている。
特開2011−153164号公報 特開2012−017220号公報 特開2012−017394号公報
防曇性物品は、曇りを生じさせるような環境においても視認性を確保できるような優れた防曇性と、実使用に耐えうる程度の表面硬度を持つことが望まれている。しかし、防曇性能を高めた防曇膜は、該十分な防曇性と表面硬度を併せ持たせることが極めて難しい。特許文献1〜3に記載の防曇膜は、優れた防曇性を有するものの、表面硬度が不十分な場合があり、改善の余地があった。
そこで、本発明は、優れた防曇性と表面硬度が両立した防曇性物品を得るための防曇膜形成用塗布液材料、防曇膜形成用塗布液、防曇性物品、及びそれらの製法を提供することを課題とする。
本発明は、
下記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
下記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを、
架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られる防曇膜形成用塗布液材料であり、
重量平均分子量が2,000〜5,000,000であることを特徴とする、防曇膜形成用塗布液材料である。
Figure 2015108046
(式[1]で、R及びRは、水素基又はメチル基であり、Rは、水素基又は炭素数が1〜5のアルキル基であり、Xは、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又は、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Yは、カルボキシル基、又は、−R−C(=O)−OHで表される基であり、該Rは、2価の脂肪族炭化水素基、又は、エステル基、エーテル基、アミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された2価の有機基である。aとbはa:b=0.7〜2.5:1.0である数である。なお、式[1]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
[R(CHO)(CHSi(R(Z4−e−f [2]
(式[2]で、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、及びエポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはアルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。c及びdはそれぞれ0〜3であり、eは1又は2であり、fは0又は1である。)
また、本発明の防曇膜形成用塗布液材料においては、上記の一般式[1]で表される共重合体が、下記一般式[3]で表される共重合体であることが好ましい。
Figure 2015108046
(式[3]で、X、a及びbは式[1]と同様であり、mは0〜2、nは0〜3、sは1〜4、tは1〜4の数である。なお、式[3]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
また、本発明の防曇膜形成用塗布液材料においては、上記一般式[1]で表される共重合体の重量平均分子量が、1,000〜500,000であることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液材料においては、上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物であることが好ましい。
(CHSi(CH(OR3−h [4]
(Rはグリシドキシ基、又は、エポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。gは2又は3であり、hは0又は1である。)
また、本発明の防曇膜形成用塗布液材料においては、上記一般式[4]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液材料においては、上記一般式[1]で表される共重合体のYがカルボキシル基を含む場合、
カルボキシル基1モル量に対し、
上記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が0.2〜3モル量となるように架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものであることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液材料においては、四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で、
上記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを
架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものであることが好ましい。
また、本発明は、原料として、
下記一般式[1]で表される共重合体と、下記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物とを用い、該一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
該一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを、
架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られる防曇膜形成用塗布液材料であり、重量平均分子量が2,000〜5,000,000である、防曇膜形成用塗布液材料と、
下記一般式[5]で表される化合物及び下記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つと、
酸又は塩基と、
溶媒とを含んでなる防曇膜形成用塗布液である。
Figure 2015108046
(式[1]で、R及びRは、水素基又はメチル基であり、Rは、水素基又は炭素数が1〜5のアルキル基であり、Xは、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又は、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Yは、カルボキシル基、又は、−R−C(=O)−OHで表される基であり、該Rは、2価の脂肪族炭化水素基、又は、エステル基、エーテル基、アミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された2価の有機基である。aとbはa:b=0.7〜2.5:1.0である数である。なお、式[1]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
[R(CHO)(CHSi(R(Z4−e−f [2]
(式[2]で、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、及びエポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはアルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。c及びdはそれぞれ0〜3であり、eは1又は2であり、fは0又は1である。)
(R10M(Zj−i [5]
(式[5]中、R10は1価の有機基、Zはそれぞれ独立にアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜3の整数であり、jは3又は4であり、j−iは1〜4の整数である。)
(R11M(Zp−k [6]
(式[6]中、R11はアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、kは0〜4の整数であり、pは3又は4であり、p−kは0〜4の整数である。)
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、上記の一般式[1]で表される共重合体が、下記一般式[3]で表される共重合体であることが好ましい。
Figure 2015108046
(式[3]で、X、a及びbは式[1]と同様であり、mは0〜2、nは0〜3、sは1〜4、tは1〜4の数である。なお、式[3]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、上記一般式[1]で表される共重合体の重量平均分子量が、1,000〜500,000であることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物であることが好ましい。
(CHSi(CH(OR3−h [4]
(Rはグリシドキシ基、又は、エポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。gは2又は3であり、hは0又は1である。)
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、上記一般式[4]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、上記一般式[1]で表される共重合体のYがカルボキシル基を含む場合、
上記防曇膜形成用塗布液材料が、
カルボキシル基1モル量に対し、
上記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が0.2〜3モル量となるように架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものであることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、上記防曇膜形成用塗布液材料が、
四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で、
上記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを
架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものであることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、原料として、さらに、硬化剤が含まれることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、原料として、さらに、微粒子が含まれることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液においては、原料として、さらに、レベリング剤が含まれることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも以下の工程を経て作製する上記の防曇膜形成用塗布液の調製方法である。
溶媒中で、上記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを架橋反応させてエステル結合を形成する、防曇膜形成用塗布液材料作製工程、
得られた防曇膜形成用塗布液材料を含む溶液に、少なくとも、上記一般式[5]で表される化合物及び上記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つと、酸又は塩基を混合し溶解させる、混合工程。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液の調製方法においては、上記防曇膜形成用塗布液材料作製工程において、溶媒中で、上記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを、四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で架橋反応させることが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液の調製方法においては、上記混合工程中の溶液又は混合工程後に得られた溶液に対して、
濃縮すること、又は、さらに溶媒を添加することにより固形分濃度及び粘度を調整する操作、
さらに硬化剤を添加する操作、
さらに微粒子を添加する操作、及び、
さらにレベリング剤を添加する操作
からなる群から選ばれる少なくとも1つの操作を行うことが好ましい。
また、本発明は、上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物と架橋反応させることによって上記の防曇膜形成用塗布液材料を作製するための、上記一般式[1]で表される共重合体である。
また、本発明は、基材と、該基材の表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であり、該防曇膜が上記の防曇膜形成用塗布液を塗布し硬化して得られるものである防曇性物品である。
また、本発明の防曇性物品においては、防曇膜表面におけるJIS K 5600に基づく鉛筆硬度が3H以上であることが好ましい。
また、本発明の防曇性物品においては、防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量が0.1〜5mg/cmであることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも以下の工程を経て作製する上記の防曇性物品の作製方法である。
上述の防曇膜形成用塗布液の調製方法によって防曇膜形成用塗布液を準備する、防曇膜形成用塗布液準備工程、
基材表面に上記防曇膜形成用塗布液を塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、
上記防曇膜形成用塗布液塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程。
また、本発明の防曇性物品の作製方法においては、上記硬化工程が、250℃以下で加熱することにより上記防曇膜形成用塗布液塗布工程後の塗膜を硬化することであることが好ましい。
本発明により、防曇性及び表面硬度に優れる防曇性物品を得るための防曇膜形成用塗布液材料、防曇膜形成用塗布液、上記防曇性物品、及びそれらの製法を提供することができる。その結果、従来得ることが困難であった、実使用に耐えうる程度の表面硬度を有する防曇性物品を得ることができる。
1.防曇膜形成用塗布液材料
(1)一般式[1]で表される共重合体について
一般式[1]で表される共重合体は、Xで表される基を有する繰り返し構造単位と、Yで表される基を有する繰り返し構造単位とからなる共重合体である(以降、一般式[1]で表される共重合体を単に「共重合体」と記載する場合がある)。該共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、交互共重合体であってもよい。
上記の共重合体は、共重合可能な基を有するモノマー同士を共重合させて得られるものであってもよいし、共重合可能な基を有するオリゴマー同士を共重合させて得られるものであってもよいし、上記のモノマーとオリゴマーを共重合させて得られるものであってもよい。Xで表される基を有する繰り返し構造単位を形成するモノマーとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソ−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、1−(メタ)アクリロイルピペリジン−2−オン、1−ビニル−2−ピロリドン、3−アクリロイル−2−オキサゾリジノン、N−アリルカルバミン酸t−ブチル、N−(2−ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。また、Yで表される基を有する繰り返し構造単位を形成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、trans−3−ペンテン酸、trans−2−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、trans−3−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、3−ヘプテン酸、5−ヘプテン酸、6−ヘプテン酸、2−オクテン酸、trans−2−オクテン酸、7−オクテン酸、3−オクテン酸、3−アリルオキシプロピオン酸、N−チグロイルグリシン等が挙げられる。なお、共重合可能な基を有するオリゴマーを用いて上記共重合体を得る場合、該オリゴマーは上記の共重合可能な基を有するモノマーから作製されたものが好ましい。共重合体の合成は一般的な重合によって行われる。
上記共重合体において、Xで表される基は、防曇膜を形成した際に該膜に吸水性を付与する基であり、防曇性発現に寄与する基である。耐熱性の観点から、Xで表される基は、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)である基が好ましい。また、上記共重合体において、Yで表される基は、上記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基との間で架橋を形成する基であり、防曇膜を形成した際に該膜に優れた表面硬度、耐熱性、耐薬品性や耐摩耗性を付与する基である。相溶性と反応性の観点から、Yで表される基は、[-C(=O)-O-C2s-{O-C(=O)-C2t-}-C(=O)-OH(ここで、mは0〜2、nは0〜3、sは1〜4、tは1〜4の数)で表される基が好ましく、中でも、-C(=O)-OH、-C(=O)OCC(=O)-OH、-C(=O)OCOC(=O)CC(=O)-OHが好ましく、特に耐薬品性の観点から-C(=O)-OHが好ましい。
上記共重合体において、Xで表される基を有する繰り返し構造単位と、Yで表される基を有する繰り返し構造単位の存在比率である、上記一般式[1]中のaとbは、a:b=0.7〜2.5:1.0である数である。bに対しaが0.7倍未満(すなわちa/b<0.7)の場合、十分な防曇性を有する膜が得られず、bに対しaが2.5倍超(すなわち2.5<a/b)の場合、架橋が少なくなるため、防曇膜を形成した際に表面硬度が低くなる。実用的な防曇性と表面硬度を両立させるため、a:b=1.0〜2.0:1.0がより好ましい。
上記一般式[1]で表される共重合体の重量平均分子量は、10,000〜500,000が好ましい。該重量平均分子量が、10,000未満であると、耐薬品性が弱くなる傾向があり好ましくない。また該重量平均分子量が、500,000超であると、防曇膜形成用塗布液の粘度が高くなり塗布作業等の作業性が悪くなる傾向があり好ましくない。上記重量平均分子量が30,000〜200,000であるとより好ましい。
(2)エポキシ基含有シラン化合物について
エポキシ基含有シラン化合物は、下記一般式[2]で表される化合物である。
[R(CHO)(CHSi(R(Z4−e−f [2]
(式[2]で、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、及びエポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはアルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。c及びdはそれぞれ0〜3であり、eは1又は2であり、fは0又は1である。)
該エポキシ基含有シラン化合物中のエポキシ基は、上記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基との間で架橋を形成する基であり、該エポキシ基含有シラン化合物は、防曇膜を形成した際に該膜に優れた表面硬度、耐熱性、耐薬品性や耐摩耗性を付与する成分である。また、該エポキシ基含有シラン化合物中のZで表される基は、縮合反応によりシロキサン結合やその他のメタロキサン結合を形成する基であり、防曇膜を形成した際に該膜に優れた表面硬度、耐汚染性や密着性を付与する。なお、耐汚染性とは膜表面に汚染物を付着させ、一定時間放置後、拭き取った際、汚染物による変色、しみ、膨潤が発生し難いことを意味する。
エポキシ基含有シラン化合物は、下記一般式[4]で表される化合物であると、上記一般式[1]で表される共重合体との反応性や、上記一般式[5]で表される化合物及び上記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つとの反応性が良好であり、また、加水分解した際の脱離基が膜へ与える影響が少ないためより好ましい。
(CHSi(CH(OR3−h [4]
(Rはグリシドキシ基、又は、エポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。gは2又は3であり、hは0又は1である。)
上記エポキシ基含有シラン化合物としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、それらの中でも、防曇膜を形成した際に表面硬度や基板との密着性が良好となる、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
上記のエポキシ基含有シラン化合物とともに、多官能エポキシシランカップリング剤を用いて、上記一般式[1]で表される共重合体と架橋反応させてもよい。すなわち、本発明の防曇膜形成用塗布液材料は、上記一般式[1]で表される共重合体と、上記エポキシ基含有シラン化合物及び多官能エポキシシランカップリング剤とを架橋反応させることによって得られるものであってもよい。該多官能エポキシシランカップリング剤は、分子中に複数のエポキシ基やトリアルコキシシリル基が含有された化合物であり、例えば、信越シリコーン製の商品名「X−12−981」、「X−12−984」、ダウコーニングコーポレーション製の商品名「XIAMETER OFS−6040Silane」等が挙げられる。
(3)防曇膜形成用塗布液材料の作製について
本発明の防曇膜形成用塗布液材料は、上記の一般式[1]で表される共重合体と、上記の一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物とを、架橋反応させること(防曇膜形成用塗布液材料作製工程)によって得られる。該防曇膜形成用塗布液材料作製工程において、一般式[1]で表される共重合体と、エポキシ基含有シラン化合物との架橋反応は、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、シクロヘキサノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。相溶性、安全性の観点からエチルアルコールが好ましい。また、複数の溶媒を用いて混合溶媒としてもよい。
また、上記防曇膜形成用塗布液材料作製工程において、一般式[1]で表される共重合体と、エポキシ基含有シラン化合物との架橋反応は、四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で行ってもよい。該四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩は、上記の一般式[1]で表される共重合体のカルボキシル基と、上記のエポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基との架橋反応を促進させるものであり、それ自身も防曇膜形成用塗布液材料の一部となるものであってもよい。
四級アンモニウム塩としては、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチルセチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、四級ホスホニウム塩としては、テトラブチルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラパラメチルフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、及びテトラブチルホスホニウムデカン酸塩等が挙げられる。それらの中でも、耐熱性、上記架橋反応促進効果が良好な、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド等が好ましい。
上記四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩は、上記エポキシ基含有シラン化合物1モル量に対して0.1〜10モル量添加することが好ましい。該添加量が0.1モル量未満の場合、上記架橋反応促進効果が小さい傾向があり、得られる防曇膜の表面硬度、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性が低くなる場合がある。一方、該添加量が10モル量を超えても架橋反応促進効果はあまり変化せず、コストの面から好ましくない。
上記防曇膜形成用塗布液材料は、上記一般式[1]で表される共重合体のYがカルボキシル基を含む場合、カルボキシル基1モル量に対し、上記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が0.2〜3モル量となるように架橋反応して得られたものであることが好ましい。上記カルボキシル基1モル量に対し、上記エポキシ基が0.2モル量未満であると、得られる防曇膜中に未反応のカルボキシル基が残存し、防曇膜の耐アルカリ性が低下する傾向があり好ましくない。また、上記カルボキシル基1モル量に対し、上記エポキシ基が3モル量超であると、エポキシ基同士の反応により形成された結合部位が多くなり得られる防曇膜の耐酸性が低下する傾向があり好ましくない。より好ましい防曇膜形成用塗布液材料は、上記カルボキシル基1モル量に対し、上記エポキシ基が0.5〜2モル量となるように架橋反応して得られたものである。
また、上記のエポキシ基含有シラン化合物とともに、上記多官能エポキシシランカップリング剤を用いて、Yがカルボキシル基を含む一般式[1]で表される共重合体と架橋反応させて防曇膜形成用塗布液材料を作製する場合であっても、上記カルボキシル基1モル量に対し、上記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が0.2〜3モル量となることが好ましい。さらには、上記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基及び上記多官能エポキシシランカップリング剤のエポキシ基の総量が、上記カルボキシル基1モル量に対し、0.2〜3モル量となることが好ましい。
本発明の防曇膜形成用塗布液材料の重量平均分子量は、2,000〜5,000,000である。該重量平均分子量が2,000未満の場合、防曇膜の表面硬度が不十分となる。一方、該重量平均分子量が5,000,000超の場合、溶媒に完全には溶解させることができなくなり均一な防曇膜形成用塗布液を得ることができない。上記重量平均分子量が10,000〜2,000,000であるとより好ましい。
上述のように、重量平均分子量が、2,000〜5,000,000の防曇膜形成用塗布液材料が得られるのであれば、上記の一般式[1]で表される共重合体と、上記のエポキシ基含有シラン化合物とを架橋反応させる際(防曇膜形成用塗布液材料作製工程)の反応条件は特に限定されないが、該反応は50℃以上、溶媒の沸点以下で行われることが好ましく、密閉容器内で行う場合は、加圧状態となってもよく、その場合の反応温度の上限は溶媒の沸点+20℃であってもよい。なお上記の溶媒の沸点は、該溶媒が混合溶媒である場合は、混合溶媒の中で含有量が最も多い溶媒の沸点を意味する。また、上記架橋反応を安定的に進行させやすく、得られる防曇膜形成用塗布液材料の重量平均分子量を制御しやすいことから、還流下で反応させることが好ましい。
2.防曇膜形成用塗布液
本発明の防曇膜形成用塗布液は、上記防曇膜形成用塗布液材料作製工程で得られた防曇膜形成用塗布液材料を含む溶液に、少なくとも、下記一般式[5]で表される化合物及び下記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つと、酸又は塩基を混合し溶解させる、混合工程を経て調製される。
(R10M(Zj−i [5]
(式[5]中、R10は1価の有機基、Zはそれぞれ独立にアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜3の整数であり、jは3又は4であり、j−iは1〜4の整数である。)
(R11M(Zp−k [6]
(式[6]中、R11はアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、kは0〜4の整数であり、pは3又は4であり、p−kは0〜4の整数である。)
従って、本発明の防曇膜形成用塗布液は、原料として、
上述した組成の防曇膜形成用塗布液材料と、
上記一般式[5]で表される化合物及び上記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つと、
酸又は塩基と、溶媒とを含む。
上記の、一般式[5]で表される化合物及び一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つは、上記防曇膜形成用塗布液材料と反応し、それ自身も得られる防曇膜の一部となるものであり、該膜に優れた表面硬度、耐汚染性や密着性を付与するものである。
上記一般式[5]において、MがSiである場合、jは4である。iが0の場合の化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられ、iが1の場合の化合物としては、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリクロロシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられ、iが2の場合の化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。これらのなかでは、特に、一般式Si(Zで表わされるアルコキシシランを用いると、被膜の硬度が良好となるので好ましい。
上記一般式[5]において、MがZrである場合、jは3である。iが0の場合の化合物としては、一般式[7]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のジルコニウム酸化物前駆体が挙げられる。
ZrO(Z [7]
(式[7]中、ZはCl、NO 又はCHCOOである。)
一般式[7]で表されるジルコニウム酸化物前駆体としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム等が挙げられる。
上記一般式[6]において、MがZrである場合、pは4であり、kは0〜4である。該酸化物前駆体としては、一般式[8]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のジルコニウム酸化物前駆体が挙げられる。
(R12Zr(Z4−r [8]
(式[8]中、R12はアセチルアセトナート基、Zは炭素数2〜4のアルコキシル基又はハロゲン、rは0〜4の整数である。)
一般式[8]で表されるジルコニウム酸化物前駆体において、rが0の場合の化合物としては、例えば、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム等が挙げられる。これらはいずれも上記一般式[6]のpが4で、kが0の化合物に相当する。また、rが4の化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等が挙げられる。これらはいずれも上記一般式[6]のpが4で、kが4の化合物に相当する。
上記一般式[6]において、MがAlである場合、pは3であり、kは0〜3である。kが0の場合の化合物としては、アルミニウムアルコキシドが挙げられ、具体的には、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシドが挙げられる。kが1の場合の化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムジノルマルブトキシモノエチルアセトアセテート等が挙げられる。kが3の場合の化合物としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等が挙げられる。これらのなかでは、R13Al(Zで表されるアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムジノルマルブトキシモノエチルアセトアセテート等が好ましい。
上記一般式[5]において、MがTiである場合、jは4である。iが0の場合の化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。iが2の場合の化合物としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等が挙げられる。
また、上記で例示した金属酸化物前駆体の加水分解物としてはそれらの一部又は全部が加水分解したものが挙げられる。また、上記で例示した金属酸化物前駆体の縮合物としてはそれらの一部が縮合したものが挙げられる。
上記の酸又は塩基は、一般式[2]、[4]、[5]及び[6]で表される化合物の加水分解、及び重縮合反応を促進させるものであり、それ自身も防曇膜形成用塗布液材料の一部となるものであってもよい。該酸としては、有機酸もしくは無機酸等が挙げられ、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸、マレイン酸等が挙げられ、それらの中でも塩酸、硝酸、酢酸がより好ましい。該塩基としては、アンモニア、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンが挙げられ、それらの中でもアンモニア、ピリジンが好ましい。また、上記酸又は塩基の添加量は、上記の加水分解、及び重縮合反応を促進させるのに有効な量であればよく、特に限定されるものではないが、加水分解性基1モル量に対して0.0001〜10モル量であることが好ましい。添加量が0.0001モル量未満の場合、加水分解、及び重縮合反応が不十分な場合があるため好ましくない。一方、10モル量を超える場合、得られる被膜にクラックが生じる場合や得られる被膜の耐加水分解性が悪い場合があるため好ましくない。上記酸又は塩基の添加量は、加水分解性基1モル量に対して0.001〜5モル量であることがより好ましい。また、酸を用いる場合のほうが塩基を用いる場合よりも、得られる防曇膜の表面硬度がより良好となる傾向があるため、酸を用いることがより好ましい。
上記の溶媒は、防曇膜形成用塗布液材料作製工程で用いたものをそのまま利用してもよい。すなわち、防曇膜形成用塗布液材料作製工程で得られる防曇膜形成用塗布液材料の溶液中に含まれる溶媒をそのまま利用してもよい。また、必要に応じて新たに溶媒を追加してもよい。追加する溶媒としては、防曇膜形成用塗布液材料作製工程で記載した溶媒と同様の溶媒が挙げられ、そのほかの溶媒であってもよい。
本発明の防曇膜形成用塗布液は、原料として、さらに、硬化剤を含んでもよい。該硬化剤は、エポキシ基の反応を促進し、後述する硬化工程で塗膜の硬化を促進するものであり、それ自身も防曇膜の一部となるものであってもよい。該硬化剤を用いることにより、得られる被膜の表面硬度が向上される場合がある。上記硬化剤としては、アミン化合物、イミダゾール化合物、有機金属化合物などが挙げられる。また、複数の硬化剤を添加してもよい。上記硬化剤の中でも、エポキシ基の反応性促進効果、硬化後の防曇膜の耐熱性、表面硬度が良好となる、ポリオキシアルキレントリアミン(例えば、三井化学ファイン株式会社製の商品名「T403」等)、ポリオキシアルキレンジアミン(例えば、三井化学ファイン株式会社製の商品名「D230」等)や、硬化工程で塗膜の硬化を良好に促進する、ジブチルスズジアセテート、ビス(アセトキシジブチルスズ)オキサイド、ジブチルスズビス(アセチルアセトナート)、ジブチルスズビス(マレイン酸モノブチルエステル)、ジオクチルスズビス(マレイン酸モノブチルエステル)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、チタンテトラ(アセチルアセトナート)、ジオクタノキシチタンジオクタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等が好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液は、原料として、さらに、微粒子を含んでもよい。無機微粒子や有機物微粒子等の微粒子成分を含有させると、得られる防曇膜中に該微粒子成分が存在することにより、仮に、防曇膜表面の一部に付着した液体の汚染物質が、該膜中に吸収されて取り込まれた状態となったとしても、汚染物質が付着した部分の膜膨張が抑制されるため、付着しなかった部分との間で膜厚差が大きくなりにくいので、結果として視覚的なひずみを生じにくくなるため好ましい。また、該微粒子を用いることにより、得られる被膜の表面硬度が向上される場合がある。上記微粒子は、液中に均一分散されたコロイド状のものが好ましく、例えば、日産化学社製の「メタノールシリカゾル」、「MA−ST−MS」、「IPA−ST」、「IPA−ST−MS」、「IPA−ST−L」、「IPA−ST−ZL」、「IPA−ST−UP」、「EG−ST」、「NPC−ST−30」、「MEK−ST」、「MEK−ST−MS」、「MIBK−ST」、「XBA−ST」、「PMA−ST」、「DMAC−ST」、「ST−20」、「ST−30」、「ST−40」、「ST−C」、「ST−N」、「ST−O」、「ST−S」、「ST−50」、「ST−20L」、「ST−OL」、「ST−XS」、「ST−XL」、「ST−YL」、「ST−ZL」、「QAS−40」、「LSS−35」、「LSS−45」、「ST−UP」、「ST−OUP」、「ST−AK」、ADEKA社製の「AT−20」、「AT−30」、「AT−40」、「AT−50」、「AT−20N」、「AT−20A」、「AT−30A」、「AT−20Q」、「AT−300」、「AT−300S」、扶桑化学工業製の「PL−1」、「PL−3」、「PL−70」、「PL−20」、「PL−1−PA」、「PL−1−MA」等が挙げられる。上記微粒子はBET法により、粒子径を測定することで得られる平均粒径が、5〜100nmであることが好ましい。5nm未満では膜膨張の低減効果が小さくなる傾向があるため好ましくない。100nm超では光の散乱中心として働き、膜のヘイズが増大する傾向があるため好ましくない。より好ましくは10〜80nmである。また、防曇膜中に含有させる微粒子は、防曇膜の固形分100質量部に対して固形分で50質量部以下となるように含有させることが好ましい。50質量部超であると得られる防曇膜の吸水量が低下する傾向があるため好ましくない。微粒子のより好ましい含有量は、防曇膜の固形分100質量部に対して固形分で3〜30質量部である。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液は、原料として、さらに、レベリング剤を含んでもよい。レベリング剤を含有させると、防曇膜形成用塗布液を基材に塗布した際に塗膜の表面平滑性が向上するため、その結果得られる被膜の表面も平滑なものとしやすい。このように、表面が平滑な被膜であると、表面硬度を評価する際に膜表面に引っ掛かりが少ないため、より優れた表面硬度を達成できる場合がある。上記レベリング剤としては、シリコン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤等が挙げられるが、例えば、ビックケミー・ジャパン製のBYK306,BYK307,BYK333,BYK337,BYK345,BYK346,BYK347等が挙げられ、それらの中でもBYK306,BYK307,BYK333等のシリコン系表面調整剤が好ましい。
上記の混合工程の条件は特に限定されないが、混合液の液温は0℃以上、溶媒の沸点以下で行われることが好ましく、密閉容器内で行う場合は、加圧状態となってもよく、その場合の液温の上限は溶媒の沸点+20℃であってもよい。なお上記の溶媒の沸点は、該溶媒が混合溶媒である場合は、混合溶媒の中で含有量が最も多い溶媒の沸点を意味する。上記の混合時間は特に限定されないが、1分間〜24時間程度行うのが好ましい。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液は、上記混合工程中の溶液又は混合工程後に得られた溶液に対して、
濃縮すること、又は、さらに溶媒を添加することにより固形分濃度及び粘度を調整する操作、
さらに硬化剤を添加する操作、
さらに微粒子を添加する操作、及び、
さらにレベリング剤を添加する操作
からなる群から選ばれる少なくとも1つの操作を行って得られたものであってもよい。
上記の固形分濃度及び粘度を調整するために、さらに添加することのある溶媒は、上記の防曇膜形成用塗布液材料作製工程で記載したものと同様のものであってもよい。上記のように添加することのある硬化剤や微粒子やレベリング剤は、前述のものと同様である。
上記の混合工程後の操作で、固形分濃度及び粘度が調整された防曇膜形成用塗布液が得られる。防曇膜形成用塗布液の固形分濃度は10〜60質量%であることが好ましい。該固形分濃度範囲内であると、防曇膜を形成した際に、該防曇膜の膜厚を制御しやすい。また、防曇膜形成用塗布液の粘度は、例えばJIS Z 8803に準拠した測定方法において、25℃での粘度が20〜200mPa・sであることが好ましい。該粘度範囲内であると、後述する防曇膜形成用塗布液塗布工程の際に、塗膜のレベリング性が良好で、その結果、成膜性が良好である。なお、上記の混合工程後の操作で行われることのある濃縮としては、加熱濃縮、脱気濃縮等の公知の方法が挙げられる。なお、上記の混合工程で、上述のような固形分濃度及び粘度の防曇膜形成用塗布液が得られる場合は、その後の、濃縮すること、又は、さらに溶媒を添加することにより固形分濃度及び粘度を調整する操作を省略しても構わない。
また、本発明の防曇膜形成用塗布液には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、公知の界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤、酸化物微粒子などの無機微粒子、有機物微粒子等の成分が含有されていてもよい。上記の成分は、元々、原料である、一般式[1]で表される共重合体や、エポキシ基含有シラン化合物や、一般式[5]で表される化合物及び一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つに含まれるものであってもよいし、防曇膜形成用塗布液材料作製工程において添加されたものであってもよいし、混合工程やその後の操作において添加されたものであってもよいが、反応に影響を及ぼさないように混合工程やその後の操作において添加されたものであることが好ましい。
3.防曇性物品
本発明の防曇性物品は、基材と、該基材の表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であり、少なくとも、基材表面に上記防曇膜形成用塗布液を塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、上記防曇膜形成用塗布液塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程を経て得られたものである。本発明の防曇膜は基材との密着性が良好であるため、予め基材にプライマー層を設ける必要は無いため、構成を簡略化できるという利点がある。ただし、上記の防曇性物品は、基材とその表面に形成されたプライマー層、及び該プライマー層表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であってもよく、少なくとも、基材表面にシランカップリング剤からなるプライマー層を形成する、プライマー層形成工程、上記防曇膜形成用塗布液を上記プライマー層上に塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、上記防曇膜形成用塗布液塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程を経て得られたものであってもよい。
上記基材としては、光透過性、光反射性又は光沢性を有し、曇りにより著しく視認性、外観、意匠性が損なわれるものが挙げられる。
光透過性を有する代表的な基材としてはガラスが挙げられる。該ガラスは自動車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス等が挙げられる。また、上記板ガラス以外に、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂板等を挙げることもできる。
また、光反射性を有する代表的な基材としては、鏡、金属、金属メッキされた物品等が挙げられる。
また、光沢性を有する代表的な基材としては、金属、金属メッキされた物品、セラミックス等が挙げられる。
上記の基材には、平板、曲げ板等各種の成形体を使用できる。板厚は特に制限されないが、1.0mm以上10mm以下が好ましく、例えば車両用の窓材としては1.0mm以上5.0mm以下が好ましい。また、上記の基材は予め洗浄し、乾燥することにより表面を清浄な状態にしたものが好ましい。
上記プライマー層を形成する化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
上記防曇膜形成用塗布液塗布工程で、上記基材上に上記防曇膜形成用塗布液を塗布する方法としては、ディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、ノズルコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、手塗り法、インクジェット法等の公知の方法が挙げられる。
上記硬化工程で塗膜を硬化する方法としては、熱硬化、湿気硬化、光硬化等が挙げられる。熱硬化の場合、加熱温度は50〜250℃が好ましい。50℃未満では硬化速度が遅く、硬化に時間が掛かる傾向があるため好ましくない。一方、250℃超では上記防曇膜を形成する材料自体が劣化する場合があるため好ましくない。加熱方法は特に限定されず、公知の加熱方法を採用でき、例えば、赤外線ヒーター、熱風循環炉、電気炉、マイクロ波加熱、オーブンや過熱蒸気を用いる方法等が挙げられる。また、熱硬化の場合は、基材の耐熱温度未満の温度で硬化を行う必要がある。光硬化させる場合は、一般的なラジカル重合開始剤、もしくはカチオン性重合開始剤を上記塗布液に添加して用い、光照射の方法は特に限定されず、高圧水銀灯やキセノンランプ等を用いることができる。
上記硬化工程で加熱により塗膜を硬化する場合、250℃以下で加熱することが好ましい。250℃を超える温度では、被膜を構成する成分の熱分解が生じる場合があり好ましくない。より好ましくは50〜200℃である。
本発明の防曇性物品の防曇膜の厚さは5〜100μmであることが好ましい。5μm未満であると、上記防曇膜に十分な吸水性能が付与されない傾向があり、好ましくない。一方、100μmを超えると、防曇膜に光学的な歪が生じ易くなることや、生産性が低下することがあるため、好ましくない。
本発明の防曇膜表面におけるJIS K 5600に基づく鉛筆硬度が3H以上であることが好ましい。3H以上であると防曇膜が実使用に耐えうる表面硬度を有しているといえる。より好ましくは4H以上である。
本発明の防曇性物品の防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量が0.1〜5mg/cmであることが好ましい。該吸水量が上記範囲内であると、防曇膜が十分な吸水性能を有するため、該防曇膜を有する防曇性物品が十分な防曇性を発揮しやすい。また、防曇膜が良好な表面硬度を有しやすい。より好ましくは該吸水量が0.1〜3mg/cmである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例および比較例で得られた防曇性物品(以下、「サンプル」と記載する場合がある)は、以下に示す方法により品質評価を行った。
[防曇膜の膜厚]
触針式表面粗さ計(小坂研究所製、サーフコーダーET−4000A)を用いて、基材上に形成した防曇膜の膜厚を測定した。
[鉛筆硬度]
JIS K 5600に準じて、防曇膜の鉛筆硬度を測定した。なお、鉛筆硬度は、最も軟らかい(低硬度)「6B」から、「6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、・・・」という順番でより硬い(より高硬度)のレベルが設定されており、該鉛筆硬度がより高いほど(より高硬度であるほど)表面硬度がより優れているといえる。特に、防曇膜の鉛筆硬度が3H以上であると、実使用に耐えうる表面硬度を有しているといえる。
[35℃水蒸気防曇性]
35℃飽和水蒸気で満たされた槽の上部に、防曇膜面を前記槽に向けてサンプルを設置し、曇りが生じるまでの時間を測定した。防曇膜の防曇性と表面硬度をバランスよく両立する観点から、該試験において、曇りが生じるまでの時間が10〜40秒間であることが好ましい。
[防曇膜の吸水飽和時の単位面積吸水量]
温度80℃の乾燥炉で2時間保持した後の防曇性物品の質量(a)を測定し、防曇膜に35℃飽和水蒸気を60分間接触させ、蒸気が暴露する全面に曇りを生じさせ、防曇膜を吸水飽和させた。その後、防曇膜表面の水滴を払拭した後に防曇性物品の質量(b)を測定した。「(b−a)/蒸気暴露面積」の計算式で得られた値を防曇膜の吸水飽和時の単位面積吸水量とした。尚、ここでの(a)値は、防曇膜が吸水していない状態のものに相当する。該単位面積の吸水量が0.1〜5mg/cmであれば、防曇性物品が十分な防曇性を発揮しやすく、防曇膜が良好な表面硬度を有しやすい。
[実施例1]
(基材の準備)
基材として、厚さ3mm、100mm四方のフロートガラスを使用した。該基材表面をセリア微粒子で研磨し、ブラッシング洗浄を行い乾燥した。
(防曇膜形成用塗布液材料の作製工程)
まず、上記一般式[1]で表される共重合体を合成した。N,N−ジエチルアクリルアミド(以降、「DEAA」と記載する場合がある)とアクリル酸(以降、「AA」と記載する場合がある)を原料として用い、モル比でDEAA/AA=1.4/1.0の割合で反応させ、重量平均分子量が90,000の共重合体(上記一般式[1]で表される共重合体)を得た。該共重合体において、一般式[1]のXで表される基は−C(=O)N(C基に相当し、Yで表される基はカルボキシル基に相当する。一般式[1]中のaとbは、−C(=O)N(C基を有する繰り返し構造単位とカルボキシル基を有する繰り返し構造単位の存在比率であり、原料として用いた−C(=O)N(C基を有するDEAAとカルボキシル基を有するAAのモル比によって算出することができ、a:b=1.4:1.0である。また、上記の反応によってエステル結合が形成されていることを13C NMRで確認した(同様に、後述の実施例2〜15、比較例2、5、6、及び7で得られる共重合体においてもエステル結合が形成されていることを確認した)。次いで、上記の共重合体1.50gに対し、上記一般式[2]で表される化合物として3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(以降、「GPTMS」と記載することがある)を1.70g、四級ホスホニウム塩としてブチルトリフェニルホスホニウムブロミド(以降、「BTPPB」と記載することがある)を0.02g加え、溶媒としてメタノール(以降、「MeOH」と記載することがある)を4.30g加えて、密閉容器内で4時間リフラックス攪拌し、重量平均分子量が130,000の防曇膜形成用塗布液材料を作製した。なお、上記エポキシ基含有シラン化合物は、上記共重合体のカルボキシル基1モル量に対し、該エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が1.7モル量となるように添加された。
(防曇膜形成用塗布液の調製)
上記で作製した防曇膜形成用塗布液材料を含むメタノール溶液に、1N HNOを0.21g、上記一般式[5]で表される化合物としてテトラエトキシシラン(以降、「TEOS」と記載することがある)を1.04g加えて、密閉容器内において、40℃で4時間撹拌した(混合工程)。さらに溶媒としてメタノールを加えて希釈し、レベリング剤としてBYK333を0.08g加え、防曇膜形成用塗布液を調液した。得られた防曇膜形成用塗布液の固形分濃度は23質量%であり、25℃での粘度は、JIS Z 8803に準拠した測定方法において、100mPa・sであった。
(防曇膜形成用塗布液塗布工程〜硬化工程)
上記で調製した防曇膜形成用塗布液を、上記基材上にスピンコーティング法により塗布した。該基材を150℃に保持された電気炉に30分入れ、塗膜を硬化させることにより防曇膜を形成させて防曇性物品を得た。
各実施例及び比較例について、防曇膜形成用塗布液と防曇性物品の作製条件を表1に、得られた防曇性物品の品質評価結果を表2に示す。
Figure 2015108046
Figure 2015108046
[実施例2〜12]
実施例1で、防曇膜形成用塗布液材料の作製に用いた一般式[1]で表される共重合体(該共重合体のX基、Y基、a:b比、重量平均分子量)、一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物、及びカルボキシル基1モル量に対するエポキシ基のモル量、防曇膜形成用塗布液の調製に用いた金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つ、酸又は塩基、溶媒、及び、防曇膜の硬化工程の温度を変更し、それ以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品を作製し評価を行った。
なお、表中で、X基が「−C(=O)N(CH」で表される繰り返し構造は原料としてN,N−ジメチルアクリルアミドを用いて形成された構造であり、Y基が「−C(=O)OCO(C=O)CC(=O)OH」で表される繰り返し構造は原料としてこはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)を用いて形成された構造であり、「(ECH)ETMS」は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを意味し、「MTES」はメチルトリエトキシシランを意味し、「IPA」はイソプロピルアルコールを意味する。
[実施例13]
実施例1の(防曇膜形成用塗布液材料の作製工程)で四級ホスホニウム塩を用いなかったこと、及び、(防曇膜形成用塗布液の調製)で混合工程後に希釈とレベリング剤の添加を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作で防曇性物品を作製し評価を行った。なお、得られた防曇膜形成用塗布液の固形分濃度は33質量%であり、25℃での粘度は、JIS Z 8803に準拠した測定方法において、150mPa・sであった。
[実施例14]
実施例1の(防曇膜形成用塗布液材料の作製工程)で四級ホスホニウム塩を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の操作で防曇性物品を作製し評価を行った。
[実施例15]
実施例1の(防曇膜形成用塗布液の調製)で混合工程後に希釈とレベリング剤の添加を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作で防曇性物品を作製し評価を行った。なお、得られた防曇膜形成用塗布液の固形分濃度は33質量%であり、25℃での粘度は、JIS Z 8803に準拠した測定方法において、150mPa・sであった。
[比較例1]
上記一般式[1]で表される共重合体を用いなかった以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試み、評価を行った。得られた防曇性物品の防曇膜には部分的にクラックが発生していた。また、該防曇膜では、防曇性が確認できなかった。
[比較例2]
上記一般式[1]で表される共重合体として、該化合物のa:bの比が0:1の化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試み、評価を行った。得られた防曇性物品は、防曇性が不十分であった。
[比較例3]
上記一般式[1]で表される共重合体として、該化合物のa:bの比が1:0の化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試み、評価を行った。得られた防曇性物品の防曇膜は、鉛筆硬度が不十分であった。
[比較例4]
上記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物を用いなかった以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試み、評価を行った。得られた防曇性物品の防曇膜は、鉛筆硬度が不十分であった。
[比較例5]
重量平均分子量が700,000である一般式[1]で表される共重合体を原料として用い、重量平均分子量が7,000,000である防曇膜形成用塗布液材料を作製し、該防曇膜形成用塗布液材料を用いた以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試みた。しかし、防曇膜形成用塗布液材料の一部がメタノールに不溶であり、均一な防曇膜形成用塗布液を得ることができず、成膜することができなかった。
[比較例6]
実施例1の(防曇膜形成用塗布液の調製)で、上記一般式[5]で表される化合物を用いなかった以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試み、評価を行った。得られた防曇性物品の防曇膜は、鉛筆硬度が不十分であった。
[比較例7]
実施例1の(防曇膜形成用塗布液の調製)で、酸を用いなかった以外は実施例1と同様の操作で防曇性物品の作製を試みた。しかし、加水分解反応や重縮合反応が不十分であり、原料成分同士の相溶性が得られず、防曇膜形成用塗布液は不均一な液であった。得られた防曇性物品の被膜も白濁しており、品質評価することができなかった。
表1及び表2から明らかなように、上記で説明した組成の防曇膜形成用塗布液を用いた実施例1〜15では、得られる防曇性物品の防曇膜の防曇性及び表面硬度が優れていることがわかった。
また、防曇膜形成用塗布液のうち、酸又は塩基として、塩基(1N NH)を用いた実施例12よりも、酸(1N HNOや1N CHCOOH)を用いた実施例1及び実施例9のほうがより優れた表面硬度を有していることがわかった。
また、防曇膜形成用塗布液材料作製工程において四級ホスホニウム塩を用いず、混合工程後に希釈とレベリング剤の添加を行わなかった、実施例13よりも、それらを採用した実施例1のほうがより優れた表面硬度を有していることがわかった。なお、実施例13では混合工程後に希釈を行っていないため、実施例1よりも固形分濃度が高く、粘度も大きいため、得られる防曇膜の膜厚も厚くなっており(40μm)、その結果より優れた防曇性を示しているように見えるが、実施例1と同じ30μmの膜厚で換算すると、実施例13の防曇性は実施例1の防曇性と同程度である。
また、防曇膜形成用塗布液材料作製工程において四級ホスホニウム塩を用いなかった、実施例14よりも、四級ホスホニウム塩を用いた実施例1のほうがより優れた表面硬度を有していることがわかった。
また、混合工程後に希釈とレベリング剤の添加を行わなかった、実施例15よりも、それらを採用した実施例1のほうがより優れた表面硬度を有していることがわかった。なお、実施例15では混合工程後に希釈を行っていないため、実施例1よりも固形分濃度が高く、粘度も大きいため、得られる防曇膜の膜厚も厚くなっており(40μm)、その結果より優れた防曇性を示しているように見えるが、実施例1と同じ30μmの膜厚で換算すると、実施例15の防曇性は実施例1の防曇性と同程度である。
一方、上記で説明した組成から外れた塗布液を調製し、該塗布液を用いて防曇性物品の作製を試みた比較例1〜7では、得られる被膜の防曇性や表面硬度が不十分であったり、塗布液自体が調製できなかったり、得られる被膜が白濁したものであったりして、劣っていた。

Claims (26)

  1. 下記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
    下記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを、
    架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られる防曇膜形成用塗布液材料であり、
    重量平均分子量が2,000〜5,000,000であることを特徴とする、防曇膜形成用塗布液材料。
    Figure 2015108046
    (式[1]で、R及びRは、水素基又はメチル基であり、Rは、水素基又は炭素数が1〜5のアルキル基であり、Xは、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又は、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Yは、カルボキシル基、又は、−R−C(=O)−OHで表される基であり、該Rは、2価の脂肪族炭化水素基、又は、エステル基、エーテル基、アミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された2価の有機基である。aとbはa:b=0.7〜2.5:1.0である数である。なお、式[1]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
    [R(CHO)(CHSi(R(Z4−e−f [2]
    (式[2]で、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、及びエポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはアルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。c及びdはそれぞれ0〜3であり、eは1又は2であり、fは0又は1である。)
  2. 前記の一般式[1]で表される共重合体が、下記一般式[3]で表される共重合体である請求項1に記載の防曇膜形成用塗布液材料。
    Figure 2015108046
    (式[3]で、X、a及びbは式[1]と同様であり、mは0〜2、nは0〜3、sは1〜4、tは1〜4の数である。なお、式[3]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
  3. 前記一般式[1]で表される共重合体の重量平均分子量が、1,000〜500,000である請求項1又は2に記載の防曇膜形成用塗布液材料。
  4. 前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液材料。
    (CHSi(CH(OR3−h [4]
    (Rはグリシドキシ基、又は、エポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。gは2又は3であり、hは0又は1である。)
  5. 前記一般式[4]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項4に記載の防曇膜形成用塗布液材料。
  6. 前記一般式[1]で表される共重合体のYがカルボキシル基を含む場合、
    カルボキシル基1モル量に対し、
    前記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が0.2〜3モル量となるように架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものである請求項1〜5のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液材料。
  7. 防曇膜形成用塗布液材料が、四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で、
    前記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
    前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを
    架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものである請求項1〜6のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液材料。
  8. 原料として、
    下記一般式[1]で表される共重合体と、下記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物とを用い、該一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
    該一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを、
    架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られる防曇膜形成用塗布液材料であり、重量平均分子量が2,000〜5,000,000である、防曇膜形成用塗布液材料と、
    下記一般式[5]で表される化合物及び下記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つと、
    酸又は塩基と、
    溶媒とを含んでなる防曇膜形成用塗布液。
    Figure 2015108046
    (式[1]で、R及びRは、水素基又はメチル基であり、Rは、水素基又は炭素数が1〜5のアルキル基であり、Xは、−C(=O)−NR(ここで、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又は、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Yは、カルボキシル基、又は、−R−C(=O)−OHで表される基であり、該Rは、2価の脂肪族炭化水素基、又は、エステル基、エーテル基、アミド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基と脂肪族炭化水素基とから構成された2価の有機基である。aとbはa:b=0.7〜2.5:1.0である数である。なお、式[1]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
    [R(CHO)(CHSi(R(Z4−e−f [2]
    (式[2]で、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、及びエポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはアルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。c及びdはそれぞれ0〜3であり、eは1又は2であり、fは0又は1である。)
    (R10M(Zj−i [5]
    (式[5]中、R10は1価の有機基、Zはそれぞれ独立にアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜3の整数であり、jは3又は4であり、j−iは1〜4の整数である。)
    (R11M(Zp−k [6]
    (式[6]中、R11はアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、kは0〜4の整数であり、pは3又は4であり、p−kは0〜4の整数である。)
  9. 前記の一般式[1]で表される共重合体が、下記一般式[3]で表される共重合体である請求項8に記載の防曇膜形成用塗布液。
    Figure 2015108046
    (式[3]で、X、a及びbは式[1]と同様であり、mは0〜2、nは0〜3、sは1〜4、tは1〜4の数である。なお、式[3]中の繰り返し構造単位の順序は特に限定されない。)
  10. 前記一般式[1]で表される共重合体の重量平均分子量が、1,000〜500,000である請求項8又は9に記載の防曇膜形成用塗布液。
  11. 前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物である請求項8〜10のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液。
    (CHSi(CH(OR3−h [4]
    (Rはグリシドキシ基、又は、エポキシ基と脂肪族炭化水素基とから構成された1価の有機基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。gは2又は3であり、hは0又は1である。)
  12. 前記一般式[4]で表されるエポキシ基含有シラン化合物が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項11に記載の防曇膜形成用塗布液。
  13. 前記一般式[1]で表される共重合体のYがカルボキシル基を含む場合、
    前記防曇膜形成用塗布液材料が、
    カルボキシル基1モル量に対し、
    前記エポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基が0.2〜3モル量となるように架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものである請求項8〜12のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液。
  14. 防曇膜形成用塗布液材料が、四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で、
    前記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、
    前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを
    架橋反応させてエステル結合を形成することによって得られたものである請求項8〜13のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液。
  15. 原料として、さらに、硬化剤を含む請求項8〜14のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液。
  16. 原料として、さらに、微粒子を含む請求項8〜15のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液。
  17. 原料として、さらに、レベリング剤を含む請求項8〜16のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液。
  18. 少なくとも以下の工程を経て作製する請求項8〜17のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液の調製方法。
    溶媒中で、前記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを架橋反応させてエステル結合を形成する、防曇膜形成用塗布液材料作製工程、
    得られた防曇膜形成用塗布液材料を含む溶液に、少なくとも、前記一般式[5]で表される化合物及び前記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体、該金属酸化物前駆体の加水分解物、及び該金属酸化物前駆体の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1つと、酸又は塩基を混合し溶解させる、混合工程。
  19. 前記防曇膜形成用塗布液材料作製工程において、溶媒中で、前記一般式[1]で表される共重合体のYで表される基と、前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物のRで表される基とを、四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下で架橋反応させてエステル結合を形成させる請求項18に記載の防曇膜形成用塗布液の調製方法。
  20. 前記混合工程中の溶液又は混合工程後に得られた溶液に対して、
    濃縮すること、又は、さらに溶媒を添加することにより固形分濃度及び粘度を調整する操作、
    さらに硬化剤を添加する操作、
    さらに微粒子を添加する操作、及び、
    さらにレベリング剤を添加する操作
    からなる群から選ばれる少なくとも1つの操作を行う請求項18又は19に記載の防曇膜形成用塗布液の調製方法。
  21. 前記一般式[2]で表されるエポキシ基含有シラン化合物と架橋反応させることによって請求項1に記載の防曇膜形成用塗布液材料を作製するための、前記一般式[1]で表される共重合体。
  22. 基材と、該基材の表面に形成された防曇膜を有する防曇性物品であり、該防曇膜が請求項8〜17のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液を塗布し硬化して得られるものである防曇性物品。
  23. 防曇膜表面におけるJIS K 5600に基づく鉛筆硬度が3H以上である請求項22に記載の防曇性物品。
  24. 防曇膜の吸水飽和時の単位面積の吸水量が0.1〜5mg/cmである請求項22又は23に記載の防曇性物品。
  25. 少なくとも以下の工程を経て作製する請求項22〜24のいずれかに記載の防曇性物品の作製方法。
    請求項18〜20のいずれかに記載の防曇膜形成用塗布液の調製方法によって防曇膜形成用塗布液を準備する、防曇膜形成用塗布液準備工程、
    基材表面に前記防曇膜形成用塗布液を塗布する、防曇膜形成用塗布液塗布工程、
    前記防曇膜形成用塗布液塗布工程後の塗膜を硬化する、硬化工程。
  26. 前記硬化工程が、250℃以下で加熱することにより前記防曇膜形成用塗布液塗布工程後の塗膜を硬化することである請求項25に記載の防曇性物品の作製方法。
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