JP2015030034A - 環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法、環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置 - Google Patents
環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法、環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
摩擦攪拌接合を行うための大きなスペースを必要とすることなく配管などのように環状接合部を有する管状部材などを摩擦攪拌接合することが可能な接合方法と、その接合方法を用いた環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置を提供する
【解決手段】
管状部材などの環状接合部を摩擦攪拌接合する際に、例えば、接合ツールを、その回転軸が管状部材などの軸線に対して実質的に平行となるように配置し、接合ツールの回転により接合ツールの側面と環状接合部の壁面を摺動させて、管状部材などの環状接合部を摩擦攪拌接合する。
【選択図】 図1
摩擦攪拌接合を行うための大きなスペースを必要とすることなく配管などのように環状接合部を有する管状部材などを摩擦攪拌接合することが可能な接合方法と、その接合方法を用いた環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置を提供する
【解決手段】
管状部材などの環状接合部を摩擦攪拌接合する際に、例えば、接合ツールを、その回転軸が管状部材などの軸線に対して実質的に平行となるように配置し、接合ツールの回転により接合ツールの側面と環状接合部の壁面を摺動させて、管状部材などの環状接合部を摩擦攪拌接合する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、摩擦攪拌プロセス技術を利用した環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法、環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置に関する。
摩擦攪拌プロセス技術(FSPT:Friction Stir Processing Technology)、または、摩擦攪拌接合技術(FSW:Friction Stir Welding)は、先端に突起(ピンまたはプローブ)を有する円筒状の接合ツールを所定の回転数で回転させながら二つの材料間の接合部に押付け、接合ツールの突起と材料との間に発生する摩擦熱により材料を軟化させて、接合ツールの突起を材料中に圧入させ、接合ツールの回転力によって接合ツールの突起周辺の材料を塑性流動させて練り混ぜることで二つの材料間の接合部を一体化させる接合技術である。
FSPTでは、接合部は金属の融点に達することなく、金属の軟化温度付近での金属原子の攪拌によって金属接合できる。接合する金属は同種でも異種金属でも接合できる。さらに、FSPTは、金属の軟化温度付近における攪拌接合であるために、接合歪が小さいほかに、高速で接合できる。すなわち、FSPTによる接合においては、接合界面は摩擦熱による金属の軟化現象と、接合ツールの回転の動的エネルギーによって瞬時に接合されるが、同時に瞬間的な攪拌接合であることから、金属の融点までの温度上昇〜凝固、冷却の過程(溶融凝固過程)を経ない。このために、接合界面は結晶の粗大化がなく、金属間化合物を生ずることなく、接合界面に微細な金属組織が得られる。
FSPTには、例えば、二つの金属板の突合せ面(接合線)に沿って接合ツールを移動させて接合を行う接合方法の他に、接合ツールを移動させることなくスポット接合する方法もある。
FSPTは、接合ツールのみで接合でき、また接合部が溶接等に比べ高温とならないために、熱歪応力が生じないことから、最近では、自動車部品の接合を含めて金属継ぎ手の接合に多く用いられており、本発明が対象とする配管や容器の接合にも用いられている。
配管・容器は、社会インフラ、発電所、工場などの大規模な施設から、注射針などの医療部品といった超小型・微細なものにまで普及しており、その高精度化、耐久性向上、小型・軽量化、低コスト化が社会に果たす功績は巨大なものとなる。
例えば、自動車にも多くの配管部品が採用されており、中でも横滑り防止ブレーキ制御、燃料噴射圧力制御用などは、すでに数十MPaを超える耐圧性が要求され、さらなる高圧化が進んでいる。また、運転性・快適性の向上の面からも、トランスミッション、パワーステアリング、サスペンション、カーエアコンなどの高精度・高機能化が進められており、その制御には配管のみでなく、管路を伴うセンサやアクチュエータが必要となる。また将来、燃料電池自動車が普及すると、水素と空気の圧力配管や貯蔵容器、その制御に用いられるセンサなどが数多く採用されると予測されている。燃料電池自動車の普及は、自動車自体のみならず、水素ステーションなどの社会インフラも急激に拡大する。その高圧配管・容器やその制御装置には一層の高信頼性が要求される。
従来、配管や容器の摩擦攪拌接合においては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のように、突起を有する接合ツールを回転させながら中空円筒状部材の外周から接合部に圧入し、環状の接合線に沿って移動させて接合を行っている。これらの中空円筒状部材の摩擦攪拌接合では、摩擦攪拌接合時に接合ツールを接合部に強く押し付けることによって中空円筒状部材が変形しないように様々な工夫が施されている。
また、特許文献3には、外周側からアーク溶接された流体配管の接合部における応力腐食割れの発生を防止するために、流体配管の内側に接続部が被覆されるようにスリーブを配置し、スリーブ端部と流体配管内面とを摩擦攪拌接合する方法が提案されている。スリーブ端部と流体配管内面とが摩擦攪拌接合されているため、この接続部における応力腐食割れの発生も防止できる。
特許文献1〜3を含めて、従来、配管や容器の摩擦攪拌接合においては、接合ツールの突起を回転させながら接合部に圧入し、接合界面(接合線)に沿って、すなわち、配管壁面に沿って周方向に接合ツールを移動させて接合を行っている。
また、配管などの主たる接合に摩擦攪拌接合を用いる場合、特許文献1や2に記載のように、中空円筒状部材の外周から摩擦攪拌接合を行っている。また、特許文献3のように、主たる配管の接合にアーク溶接などを用いる場合にも外周から溶接作業を行っている。このため、従来、配管等の周囲には接合ツールや溶接トーチを周方向に移動させるための大きな作業スペースが必要となる。
また、特許文献3では、配管の主たる接合ではないが、アーク溶接による接合部を高温高圧流体から遮断するスリーブを配管内面に接合するため、配管内部において摩擦攪拌接合を行っている。しかし、配管内部において摩擦攪拌接合を行うためには、配管外部に設置の回転源から配管内の回転工具(接合ツール)へ配管軸方向から90°曲げて回転伝達するような複雑な装置が必要となるか、適用対象が、摩擦攪拌接合装置そのものが配管内に設けられるような大きな内径の配管に限られる。
本発明の目的は、摩擦攪拌接合を行うための大きなスペースを必要とすることなく配管などのように環状接合部を有する管状部材または容器部材を摩擦攪拌接合することが可能な接合方法と、その接合方法を用いた環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、環状接合部を有する管状部材や容器部材を内側から摩擦攪拌接合する際に、複雑な伝達機構の摩擦攪拌接合装置を必要としない、または、内径の小さな環状接合部を有する管状部材または容器部材にも適用可能な環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法と、その接合方法を用いた環状接合部を有する管状部品または容器及び環状接合部を有する電子部品搭載装置を提供することにある。
本発明は、接合ツールを、その軸が環状接合部を有する管状部材または容器部材の軸線に実質的に平行となるように配置し、接合ツールまたは管状部材若しくは容器部材の回転により接合ツールの側面と環状接合部の壁面とを摺動させて、環状接合部を摩擦攪拌接合することを特徴とする。
また、本発明は、接合ツールを、その軸が環状接合部を有する管状部材または容器部材の軸線に実質的に平行となるように管状部材または容器部材の内側に配置し、接合ツールまたは管状部材若しくは容器部材の回転により接合ツールの外周側面と環状接合部の内壁面とを摺動させて、環状接合部を内壁面側から摩擦攪拌接合することを特徴とする。
本発明によれば、摩擦攪拌接合を行うための大きなスペースを必要とすることなく配管などのように環状接合部を有する管状部材または容器部材を摩擦攪拌接合することが可能となる。
また、本発明によれば、環状接合部を有する管状部材や容器部材を内側から摩擦攪拌接合する際に、複雑な伝達機構の摩擦攪拌接合装置を必要とすることなく摩擦攪拌接合を行うことができ、または、内径の小さな環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合にも摩擦攪拌接合を適用できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
本発明は様々な技術思想を内包している。先ず、本発明の個々の実施例を詳細に説明する前に、本発明の様々な技術思想の概要を管状部材の一例である配管(中空管)の接続を例として説明する。
本発明のベースとなった技術思想は、主に配管などの管路内壁の突き合せ部(環状接合部)を摩擦攪拌により接合するものである。管路内壁の接合は、例えば回転運動可能な接合ツール(摩擦攪拌ツール)を配管の片側開口端から管路内に挿入し、接合ツールを回転させながら突き合せ部を含む接合長さ加圧挿入していくことで管路内壁の摩擦攪拌接合が行われる。この摩擦攪拌接合では、接合ツールは、その回転軸が配管の軸線(若しくは内壁面)に実質的に平行となるように配管の内側に配置されており、接合ツールの回転により接合ツールの外周側面と配管の突合せ部(環状接合部)の内壁面とが回転摺動し、突き合せ部を内壁面側から摩擦攪拌接合するようにしている。すなわち、接合ツールの外周側面と突き合せ部の内壁との回転摺動により摩擦熱を発生させ、そして、摩擦熱により軟化した突き合せ部の材料が接合ツールにより攪拌され、管路内壁の摩擦撹拌接合が可能となる。
この本発明のベースとなった技術思想に基づく接合方法によれば、他の接合方法と比較して次のような効果が得られる。
(1)配管の接合を行うための配管外周側スペースが不要となる。また、配管は特殊な形状を要せず、配管材料以外の付加材を使用する必要がない。
(1)配管の接合を行うための配管外周側スペースが不要となる。また、配管は特殊な形状を要せず、配管材料以外の付加材を使用する必要がない。
配管・容器などの接合方法としては、従来、フランジ接続、ジョイント接続、ネジ接続、溶接などが良く用いられている。フランジ接続やジョイント接続は、接合部の周囲にスペースが必要となること、接合のためのフランジやソケット、ボルト・ナットなどの別部材が必要となるなど、コスト高に成り得る。ネジ接続は、ネジ部の強度を考慮した配管肉厚が必要となること、耐リーク性に優れる管用テーパネジを採用しても一般的にはリーク防止のためシールテープや液状シール材などが必要となるなどの制限がある。また、回転方向の位置合わせが困難である。また、接合時には配管周囲に十分な作業スペースが必要となる。溶接による配管の接合の場合、接合のための別部材を必要とせず、接続部外周方向の突出しも無くせる、高強度で耐リーク性にも優れるなど長所は多いが、接続には特殊な装置が必要になること、溶接法によっては作業スペースや特殊環境が必要になることなどが課題となる。
本発明の場合、配管外周方向へ突き出す部材は不要であり、配管外周からの作業は無く、接合のための追加部品もいらない。接合を行うための配管外周側スペースが不要となるため、配管群や配管周囲に干渉する部材が存在する条件での配管接合も可能となる。また、接合ツールに回転運動を伝達する装置以外の特殊装置は不要で、大気環境での作業が可能である。更には、管路外壁も外周のわずかなツール挿入スペースで、同様に摩擦攪拌による接合が可能であり、装置内部の円周面の接合あるいは装置への配管の接合などにも適用できる。さらに二つの配管に同軸の摩擦撹拌ツールを挿入するため、位置合わせが不要である。すなわち接合ツールの挿入のみによって二つの配管同士の精密位置合わせが行え、その位置合わせ精度で接合が完結する。
また、特許文献1〜3に記載の摩擦攪拌接合と比較した場合においても、本発明では、配管外周部のスペース、配管内壁の形状安定化や接合部の隙間、接合のための特殊装置を必要としないなどの点において優れている。すなわち、特許文献1〜3に記載の摩擦攪拌接合を含めて従来の摩擦攪拌を用いた接合においては、主たる配管接合は、外部からの接合であり、また、接合ツールを配管の外周を周方向移動させて接合を行っている。このため配管の外周にスペースが必要となる。また、外部からの摩擦攪拌接合では、突き合せ部の配管内壁まで摩擦攪拌接合されない可能性があり、その場合、流体と接する側の配管内壁の接合部に隙間が生じることなり、応力集中などの課題が生ずる。また、主たる配管接合ではないが、特許文献3では、管路内側から摩擦攪拌接合する際に、複雑な伝達機構の摩擦攪拌接合装置を必要とし、内径の小さな管路には適用が難しい。本発明の場合、接合ツールの突起を接合線に沿って移動させるという、これまでの摩擦攪拌接合とは異なり、接合ツールの外周側面と配管の突き合せ部の接合線を含む内壁とを回転摺動させて摩擦攪拌接合を行うようにしているので、これらの課題を解決できる。
なお、本出願人は、先に、摩擦攪拌プロセス技術により金属板多層体を接合する方法を提案している(特開2011−173163号)。この方法では、積層した金属板の全層を貫通する穴を形成した後に、貫通穴に摩擦攪拌接合用ツールの挿入ピンを挿入して多層板を穴の内面側から摩擦攪拌接合している。しかし、この方法は、基本的には、多層板をスポット接合するという技術である。配管や容器の接合では、従来、例えば、特許文献1〜3に記載のように、接合線に沿って接合ツールの突起を移動させることを前提としている。従って、スポット接合の技術と、配管や容器の接合の技術とは、根本的に相容れないものである。
(2)管路内壁形状・寸法が安定し、内壁接合面に隙間を生じない。また、配管の長さや外径の接合前からの変化がほとんどなく、管路内径はツール外径で規定されるため、寸法精度に優れる。
(2)管路内壁形状・寸法が安定し、内壁接合面に隙間を生じない。また、配管の長さや外径の接合前からの変化がほとんどなく、管路内径はツール外径で規定されるため、寸法精度に優れる。
例えば、溶接による配管の接合の場合、外周からの接合となるため、管路内壁の寸法や状態の管理が困難である。例えば、配管内部まで溶接できない場合もあり、その場合、配管内壁の突き合せ部に微細な隙間が生じる。また、例えば、摩擦溶接による配管の接合の場合、突合せ面全面での溶接となるため、内壁部も確実に溶接可能であるが、溶融物が内外壁周囲で固着するため、形状を整えるには追加工が必要となり、また、溶融・凝固による長さ変化があるので配管長さの高精度管理も課題になる。本発明の場合、管路内壁の突き合せ部(環状接合部)は接合ツールの外径と略同じ円管となるので、管路内壁形状・寸法は安定し、管路内壁の接合面(突き合せ部(環状接合部間))に隙間を生じることもない。また、管路内径は接合ツールの外径で規定されるため、寸法精度に優れる。また、溶融・凝固の過程を経ないので、配管の長さなどの変化も殆ど生じない。
(3)配管の接合部に金属間化合物を生成することや機械的ストレスを残さない。また、配管材料とほぼ等価な機械的性質、耐腐食性を維持でき、信頼性に優れた接合が得られる。
(3)配管の接合部に金属間化合物を生成することや機械的ストレスを残さない。また、配管材料とほぼ等価な機械的性質、耐腐食性を維持でき、信頼性に優れた接合が得られる。
例えば、溶接による配管の接合の場合、溶接部は高温での溶融・再凝固であるため、化合物発生による機械的性質や腐食性、溶接部周囲の熱影響にも注意が必要であり、特に異種材料の接合においては、材料がかなり限定される。特に、高圧配管や腐食性媒体の管路では、接合部内壁面の隙間や溶接などで生じる化合物による、強度低下や耐腐食性悪化が課題となる。管路内壁にくぼみ、隙間などが残ると、配管内に高圧がかかった場合、応力集中によるクラックの進展、破断などを生じかねない。また、例えば、摩擦溶接による配管の接合でも、溶接部の金属間化合物発生や溶接部周囲の熱影響にも注意が必要である。本発明の場合、摩擦撹拌接合であるので、溶接のように接合部に金属間化合物を生成することもなく、管路内壁に隙間が生じないので、管路配管材料とほぼ等価な機械的性質、耐腐食性を維持できる。
(4)電子機器や微細加工部分などを有する装置の管路の接合に適用した場合、電子機器や微細加工部分などへ歪変形や熱などの影響を殆ど与えることなく接合できる。
(4)電子機器や微細加工部分などを有する装置の管路の接合に適用した場合、電子機器や微細加工部分などへ歪変形や熱などの影響を殆ど与えることなく接合できる。
例えば、摩擦溶接による配管接合の場合、大きな加圧力を管路にかける必要があるので、電子機器や微細加工部分などを有する装置の管路においては、歪発生などによる電子機器や微細加工部分などへの影響が課題となる。また、溶接(摩擦溶接を含む)による配管接合の場合、電子機器や微細加工部分などへの熱影響が課題となる。本発明の場合、接合ツール側面と配管内壁との間の回転摺動による摩擦撹拌接合であるので、大きな加圧力を管路にかける必要が無く、材料の融点以上に加熱されることもないので、電子機器や微細加工部分などへ歪変形や熱などの影響を殆ど与えることなく配管接合することができる。
次に本発明の実施例を詳細に説明する。
図1を用いて本発明の基本的な実施形態である実施例1を以下に説明する。
図1(a)〜(d)は、管状部材(管路構成部材)である配管を突き合せ、接合ツール(FSPTツール)を配管内に挿入し、配管の突合せ部(環状接合部)内壁面を摩擦撹拌する工程を示している。また、図2(a)は、摩擦撹拌が終わり、接合ツールを接合部から引き離し配管から抜き取る時点を示したものであり、図2(b)は、その接合部拡大図である。
図1(a)に示すように、配管1と配管2を突き合せる。本実施例では管路の軸心をより高精度に合わせるため、差込式に突き合せた例を示す。配管1及び配管2は、配管内壁の突き合せ部(環状接合部)3の管路径が他部分の管路径より若干小さくなっており、これにより必要な箇所にのみ摩擦攪拌を行うことができ、接合ツールの損耗を防止することができる。
図1(b)は、接合ツール挿入時の状態を示す。片方の配管(配管1)は回転しないように固定及び支持され、もう片方の配管(配管2)は回転しないように固定されている。配管2の突き合せ部(環状接合部)の反対側の開口端から、接合ツール4を挿入する。接合ツール4の摺動部外径は、配管内壁突き合せ部の管路径より若干(100〜1000μm程度、材料などにより適正値が異なる)大きく、開口端から突き合せ部までの管路径の最小径よりも小さくしておく。接合ツール4が接合面(付近)に達したら、ツールを回転する。なお、接合ツールは、開口端挿入開始前から回転させても、挿入行程中で回転開始しても良い。
図1(c)は、摩擦撹拌中の状態を示し、図1(d)は、摩擦撹拌の終端付近の状態を示している。接合ツール4を接合長さ分加圧挿入する。接合ツールの挿入力により配管1の突き合せ面には配管2の突き合せ面への加圧力が加わりながら、接合ツールの回転運動により、ツール外周と配管内壁接合面が摺動し、摩擦撹拌が行われる。そして、接合長さだけ接合ツールが軸方向に回転しながら移動したら、接合ツール4を引き抜く。接合ツールの挿入速度は、材料や形状に応じて最適な挿入速度を選定できる。また接合ツールの回転数は、接合材料や、攪拌層の内壁面からの深度などを考慮して適宜設定される。例えば、アルミニウム配管の場合、深度を50〜150μm程度とした場合、2000rpm程度の回転で摩擦攪拌を行う。
図2(a)は接合ツールを引き抜く時点を示すもので、突き合せ部3を含む内壁接合面はすでに摩擦撹拌された状態である。図2(b)に示すように、接合部断面は、内壁付近に摩擦撹拌層5が形成され、内壁全周が摩擦撹拌面6となる。摩擦撹拌層5は、突き合せ部3の内部にわたって形成される。この時の接合層の深さは、接合ツールの挿入速度、回転速度によって制御可能となる。
これにより、管路内壁につなぎ目隙間がない配管接合が実現できる。また、この配管接合は、短時間で、かつ大規模な装置も用いることなく、大気中で行うことができる。さらに、接合位置合わせ精度に優れ、また金属間化合物の生成や、圧力や熱応力による変形が生じない接合が可能となる。
なお、上述の実施例では、二つの配管の内壁を回転ツールの挿入により接合する方法について記述したが、配管側を回転しても同じ効果が得られる。すなわち、配管内壁と接合ツールの側面との間に回転摺動を相対的に生じさせれば良いので、接合ツールが回転しないように固定し、配管1と配管2を一体にして回転させるようにしても良い。また、接合ツールと配管側の双方を回転させ、接合ツールの回転方向と、配管側の回転方向を逆にするようにして配管内壁と接合ツールの側面との間に回転摺動が生じるようにしても良い。
また、上述の実施例では、二つの配管の接続について記述したが、二つ配管のみでなく、例えば同径、近似径の3つ以上の配管の同軸接合にも適用できる。
図3及び図4に、本発明を配管群の接合へ適用した実施例を示す。
本実施例では、配管1は多数の配管2が固定される板状の配管部品として示す。板状の配管部品は、接合される配管2の本数に応じた環状接合部を有する。本実施例は、配管部品(配管1)の片面に複数本(図3では3本)、反対面にも同数の配管2を接合した例である。図4に示すように、配管部品の両面に配管2を固定し、その配管2の片側開口端から、接合ツール4を挿入し、実施例1と同様に摩擦撹拌接合するものである。
本実施例によれば、このように配管が密接した配管群など、配管外周にスペースがない場合でも、配管の接合が可能となる。もちろん、図3のように板状の配管部品を用いずに、配管2同士を突き合せて接合することも可能である(この場合は、一方の配管が実施例1における配管1となる。)。本実施例は、配管の接合部の外周周囲にスペースがない場合においても、本発明により配管接合が可能であることを示す一例である。
次に、図5〜図7を用いて、管路を伴う装置への配管の接合に本発明を適用した実施例について説明する。
本実施例は、配管部品をFSPTによる管路内壁接合に先立って、各管路構成部材やそれに接続されている部品や装置の回転方向や高さ(長さ)、角度などの位置合せを実施して、外周方向よりレーザ溶接などの非接触溶接により接合するようにしたものである。その後、管路内壁をFSPTにより接合することで、位置精度に優れた接合を得られるとともに、FSPT接合時のツールの回転による配管部品の回転や高さ(長さ)のずれや傾きを防止するようにしたものである。
本実施例では、図6(a)に示すように、配管1は電子回路7(回路の詳細は省略している)を有する装置8に形成される管路とする。この装置8には、少なくとも電子回路7と、電子回路7を内装するケース壁面外周に沿って管路(配管1)が形成されており、その管路と外部配管を接続するためのポート状の配管2が接合されている。このような管路を伴う装置8の形状は複雑なものに成り得るが、ここでは単純なブロック体として示している。
配管2の接合行程としては、まず、配管1を有する装置8を固定し、配管2を配管1と突き合せて固定する(図7(a))。そして、配管1と配管2の管路外径の突き合せ部3を、全周レーザ溶接9により溶接接合する(図7(b))。通常レーザ溶接は深度(溶接深さ)が制限されるので、両配管の内壁突き合せ部は未接合の隙間を残す。その後、実施例1と同様に、配管2の突き合せ部の反対側の開口端から、接合ツール4を挿入し、接合ツール4が接合面(付近)に達したら、接合ツールを回転して(実施例1と同様に接合ツール4は、開口端挿入開始前から回転させても、挿入行程中で回転開始しても良い)、接合ツール4を接合長さ分加圧挿入することで、接合ツール外周と配管内壁接合面が摺動し、摩擦撹拌が行われる(図7(c))。接合長さだけ接合ツールが軸方向移動した後、接合ツールを引き抜けば、図6(b)に示すように、配管の外壁に形成されたレーザ溶接層10と、内壁に形成された摩擦撹拌層5により、外壁と内壁の両方が接合された配管接合が可能となる。
これによれば、本実施例のように配管が同軸ではないなど、位置合せが困難な接合の場合でも、外周側からレーザ溶接にて位置や高さ(本実施例では当てはまらないが、更には両者の回転方向角度)を固定しておき、配管2に回転防止のための加圧固定を行わずとも、高精度に内壁の摩擦撹拌接合が行え、外壁と内壁が別手段で接合された、高強度で高信頼の配管接合が可能となる。さらには、敏感な電子回路などへ、接合のための印加荷重による歪変形や熱影響を与えずに、配管を接合することが可能となる。
次に、図8〜図12を用いて、接合部内壁に凹凸を形成した実施例について説明する。
本実施例は、配管部品の接合部管路内壁付近に凹凸を形成しておき、FSPTによりその凹凸を平滑化して摩擦攪拌接合を行うようにしたものである。凹凸の状態により、FSPTでの摺動条件、接合状態を適合できる。また、接合ツールの外周と配管管路内壁との摺動摩擦力を軽減し、接合ツールの回転阻害を防止することができる。また、摩擦撹拌により削り取られた材料を凹部に収容することも可能で、削られた材料の内壁面堆積の防止やバリの発生低減が可能となる。さらに、凹部の深さの選定により摩擦撹拌層の内壁面からの深度(接合深さ)の調節や、全周での摩擦撹拌層の深度や接合状態の不均一性を軽減することも可能となる。さらに、接合ツールの回転挿入時に配管部品に加わる加圧力を調整できる。
図8では、配管1、配管2共に、内壁突き合せ部がテーパ状になっており、突き合せた時に、図8(a)に示すように、内壁にV字状の溝11が形成される形状となっている。図8(b)は、摩擦撹拌した後の状態を示している。ここでは図示していないが、接合ツールと配管1、2が回転摺動により摩擦撹拌される。これにより、図8(b)に示すように、接合後の配管内壁接合部は、V字状の溝11が摩擦撹拌物質14により埋められて、内壁面が平滑(平坦)化された状態となって接合される。
図9に接合部管路内壁に形成する凹凸の他の形態を示す。図9において符号12は内壁面を荒らしたものを示す。配管製造後に機械加工により荒らすことや、配管をプレス成型する時に、微小な凹凸を転写することなどで形成できる。
図10に接合部管路内壁に形成する凹凸の他の形態を示す。図10では、内壁に軸方向と垂直な溝13が連続して形成されている。この溝の容易な形成法の一例として、図11(a)に示すように、配管1(2)の突き合せ面方向から、各々の配管にタップを立ててネジ山15(例えばM20×1.0)を設けることが考えられる。ネジ山15を形成した配管1,2を、図11(b)に示すように、ネジ山15の形成端で突き合せ、摩擦撹拌接合する。
図12に接合部管路内壁に形成する凹凸の他の形態を示す。図12では、管路の軸方向と平行な溝16を形成したものである。配管製造後のローレット加工や、配管プレス成型時の転造により形成できる。これらの配管の接合方法は、上述の実施例と同じであるので、説明は省略する。
次に、図13を用いて、本発明を配管の外壁側の接合に適用した実施例について説明する。
FSPTによる配管壁面と接合ツール側面の回転摺動による円周面配管の接合は、配管の外壁においても可能である。この場合、接合ツールには少なくとも片側が開口した円管部が形成されており、その円管部の内周(内側面)と配管の接合部(突き合せ部)外壁周囲とが接合ツールの回転運動により摺動し、突き合せ部の配管外壁が摩擦撹拌されて接合する。
図13に示すように、接合ツール4には少なくとも片側が開口した円管部17が形成されている。このキャップ状の接合ツール4を、配管の少なくとも一方(本実施例では配管2)の端部から配管を覆うように被せる。配管2の端部から突き合せ部外周壁部付近までの区間の外径が、摩擦攪拌される突き合せ部外周壁部を含む区間の外径よりも小さく形成されており、これにより必要な箇所にのみ摩擦攪拌を行うことができ、接合ツールの損耗を防止することができる。
接合ツール4の円管部が接合面(付近)に達したら、接合ツールを回転して接合ツール4の円管部を接合長さ分加圧して被せる。なお、実施例1と同様に接合ツール4は、端部付近から回転させても、円管部を被せる行程中で回転開始しても良い。円管部の内周(内側面)と配管の接合部(突き合せ部)外壁周囲18とが接合ツールの回転運動により摺動し、摩擦撹拌されて接合する。接合長さだけ接合ツールが軸方向移動した後、接合ツールを引き抜けば、図13(b)に示すような、接合後の配管1,2の突き合せ部の形状が得られる。
従来の多くの配管外壁接合技術は、配管接合部の外壁周囲に、フランジなどの突出部品が必要であったり、ツールや装置の一部を設置・固定するためのスペースや、ツールや人などが配管周囲を移動するための作業スペースが必要であったりするなど、空間を大きく確保する必要がある。本実施例では、配管外周に要求されるスペースは、接合ツールの外周径の径方向の大きさと接合ツールが配管の軸方向に移動する長さに、範囲が限定され、従来と比べて僅かなスペースがあれば良い。さらに、配管外周の形状変化がほとんど無しに配管外周で配管接合できる。
なお、本実施例においても、実施例1と同様に、配管側を回転しても同じ効果が得られる。この場合、キャップ状の接合ツールではなく、貫通構造の接合ツールとし、この接合ツールが回転しないように固定するとともに、配管1、配管2を上下から同期して回転させるようにして、接合ツールの内側面と配管の接合部外壁周囲との間に回転摺動が生じるようにする。また、接合ツールと配管側の双方を回転させ、接合ツールの回転方向と、配管側の回転方向を逆にするようにしても良い。
次に、図14を用いて、本発明を配管の内壁側と外壁側の双方を摩擦攪拌接合する場合の実施例について説明する。
本実施例は、実施例5の構成に円筒状の突起19を設けて、突起19により内壁面側からも摩擦攪拌するようにした構成と言える。すなわち、接合ツールの円管部の内部に、円管と同軸の円筒状の突起を設けておくことで、その円筒状突起の外周(外側面)と、配管内壁接合部(突き合せ部)3を、外周と同じ作業行程中に摩擦撹拌し、接合するものである。
本実施例では、図14(a)に示すように、配管の内外周の接合面(突き合せ部)を同一断面に位置するようにし、接合ツールも基本的な形状として、内周と外周を同時に接合するように構成されている。また、本実施例では、配管の少なくとも一方(配管2)の開口端部から突き合せ部までの区間の外径が、摩擦攪拌される突き合せ部を含む区間の外径よりも小さく形成されており、かつ、同端部から突き合せ部までの区間の内径が、摩擦攪拌される突き合せ部を含む区間の内径よりも大きく形成されている。これにより必要な箇所を摩擦攪拌することができ、接合ツールの損耗を抑制することができる。
また、接合ツールの円管部の最小径部と配管外壁の開口端部側からの外周径拡大部の位置などの形状と、接合ツールの円筒状突起の最大径部と配管内壁の開口端部側からの内径縮小部の位置などの形状を設定することにより、配管の外壁と内壁の摩擦撹拌をほぼ同時に行うことも、作業工程内で若干時間差を置いて摩擦撹拌することもできる。
次に、図15を用いて、接合ツールが挿入される管路径よりも大きな内径部分を摩擦撹拌接合する実施例について説明する。
配管材料などによっては、接合ツールの全周が配管内壁と摺動することによる摩擦力などの増大で生じる回転力不足や、全周を摩擦撹拌しながら接合ツールを軸方向に押し進めて行く加圧力不足という課題が生じることもある。また、接合行程中、常に摩擦され続けることによる摩擦熱過剰上昇が、接合部や周囲の部分に悪影響を与えたり、接合ツールの動力低下を生じたりすることもある。
本実施例は、配管部材の管内面と摺動し摩擦撹拌するための接合ツール4を、その摩擦撹拌対象の管路の内壁径より小径とし、その接合ツール4の中心を軸とする回転運動に加えて、その中心軸が円を描いて偏心回転運動させるようにしたものである。
図15に示すように、配管部材の管内面と摺動し摩擦撹拌するための接合ツール4を、管内面と接触して管内壁を摩擦撹拌するヘッド部20と、そのヘッド部の外径よりも細い支持軸部21を有する形状とする。そして、接合ツールが支持軸中心を回転軸とする回転運動22と共に、その中心軸が円を描いて偏心回転運動23させる。これにより、接合ツールが挿入される管路径よりも大きな内径部分の摩擦撹拌接合が可能となる。すなわち、接合ツールのヘッド部の外径、及び、支持軸部の径(あるいは角柱形状などではその幅)と偏心回転運動する円周径の合計よりも、開口面から接合部までの管路最小径を大きくしておけば、ほぼ接合ツールのヘッド部の外径と偏心回転運動する円周径の合計の管路内径部分を摩擦撹拌接合することができる。つまり、接合ツールのヘッド部と支持軸部の径の違いの分だけ、開口面から接合部までの最小径より径の大きな管内壁の摩擦撹拌接合が可能となる。
本実施例によれば、管路内壁は全周同時ではなく部分的に順次円周方向に場所を移動しながら摩擦撹拌されるので、接合ツールの回転力や加圧力が軽減され、摩擦熱も発生しない間隔を持てる。したがって、接合ツールの全周が配管内壁と摺動することによる摩擦力などの増大で生じる回転力不足や、全周を摩擦撹拌しながら接合ツールを軸方向に押し進めて行く加圧力不足という課題を解決することができる。また、摩擦攪拌接合では、壁面材料の量に変化がないので、管路内径よりも接合ツール外径が大きい場合、摩擦攪拌された壁面材料の逃げ部分を効果的に設けることにより、仕上がりが綺麗な摩擦攪拌接合が得られる。本実施例では、管路内径の方が大きいので、摩擦攪拌された材料の逃げ部分を特に設けることなく、仕上がりが綺麗な摩擦攪拌接合となる。
図16に本実施例の変形例を示す。図16では、接合ツールの支持軸部21の中心軸が屈曲しながら、その中心軸を回転軸としてヘッド部20が回転運動している。接合ツールのヘッド部20が首ふり運動しながらヘッド部20の外周部がその回転運動により管路内壁と摺動するため、接合ツールが挿入される管路の最小径と同じかそれよりも大きな内径部分の摩擦撹拌接合が可能となる。なお、本実施例では、管路内径を接合部に縮小部を設けておらず、管路全体を同径としている。接合ツールの支持軸部21を屈曲させる手段としては、ヘッド部20を回転軸に対して重心をずらす、例えばある方向に重りを加えるなどにより、その回転で生じる慣性力により支持軸部21を撓ませることや、支持軸部21にユニバーサルジョイントを介在させるなどの方法がある。この実施例においても、摩擦力などの増大で生じる回転力不足や、全周を摩擦撹拌しながら接合ツールを軸方向に押し進めて行く加圧力不足、さらに摩擦熱過剰上昇などを対策することができる。また、接合ツールが挿入される管路径よりも大きな内径部分の摩擦撹拌接合が可能となる。
次に、図17を用いて、配管を構成する部材の少なくともひとつに回転運動を加え、その部材と他の部材との摺動面で摩擦攪拌接合を行う実施例について説明する。本実施例は、言い換えれば、接合ツールを、配管壁面と摺動接触する環状の接合ピースと、この接合ピースを回転運動させる手段とで構成し、これらを分離可能とし、摩擦攪拌接合の作業終了後、接合ツールの一部として用いた接合ピースを配管内に残置するようにしたものである。接合ピースは、接合後も配管内に残置されるので配管構成部材でもある。
図17に示すように、配管1,配管2とは別に、リング状の接合ピース30を用いる。接合ピース30には、回転運動を受けるための多角形の穴31(図18)や歯車状の溝付き穴32など回転を伝達するための形状33(図19)が形成されている。従って、この時に用いられるツールは、その外周が配管内壁と摺動する接合ツールではなく、接合ピースに回転運動を伝達するドライバーやレンチと同じ機能の回転ツールとなる。但し、ここでは、接合ピースまでを含めたものを、摩擦攪拌を行うための接合ツールとする。
接合ピース30は、その回転伝達形状33に合わせた回転ツール(駆動軸)4のヘッドに取り付けられて接合部に移動され、接合ピースを接合長さだけ配管1及び配管2の接合部管路内壁面3に加圧挿入される(図17(a))。そして、接合ピース30の外周部と配管1及び配管2の接合部管路内壁面3の間に回転摺動を発生させ、摩擦撹拌接合を行う。接合後、接合ピース30はその接合部に残し(一体化され)て、回転ツール(駆動軸)4は引き抜かれる(図17(b))。
本実施例よれば、回転ツール4の回転運動は接合ピース30に伝達され、接合ピース30と配管1,2の接合部内壁面3との間に回転摺動が生じて、摩擦撹拌による接合が行われるので、回転ツールは配管部材に回転力あるいは回転力と挿入力を伝達すれば、ツールの外周自体が配管部品と摺動する必要はない。従って、ツールの摩耗劣化や、付着物の堆積による摺動条件の変化などがほとんど無くなり、繰り返し作業での接合の安定性、ツールの寿命、ツールへの付着物除去などの作業性、ツールの共有化(配管材料、形状、内径などによりそれぞれ適切なツールを用意しなくても良い)などの大幅な改善が可能となる。
なお、本実施例においても、実施例1と同様に、配管側を回転しても同じ効果が得られる。また、回転ツールと配管側の双方を回転させ、回転ツールの回転方向と、配管側の回転方向を逆にするようにしても良い。
次に、図20及び図21を用いて、接合ピース30を予め配管1,2に挟持しておくなどで仮固定しておき摩擦攪拌接合する実施例について説明する。本実施例は実施例8の変形例である。
図20(a)示すように接合ピース30を予め配管1,2に挟持する。さらに、本実施例では、図20及び図21に示すように、本実施例では、摩擦撹拌接合する面である接合ピース30の外周と、配管1と配管2の管路内壁接合面に、互いに勘合する凹凸を形成し位置固定をしやすくすると共に、全周撹拌を確実にするようにしている。本実施例では、互いに勘合する凹凸形状として、ギア形状34を形成しているがネジ形状などでも良い。また、接合ピース30の回転伝達形状33には、本実施例では、円形に2カ所直線部を設けた変形楕円形としている。
図20(b)に示すように、接合ピース30を予め挟持した配管1,2に、回転ツール4を開口面から挿入する。そして、図20(c)に示すように、回転ツール4を接合ピース(回転部材)の回転伝達形状と組み合わせてから回転させ、摩擦撹拌接合する。
なお、接合ピースと配管内壁接合部との回転摺動は、接合ピースを回転しないように固定し、配管1,2を回転させるようにしても良い。配管1,2の回転する方法は、管路内壁に回転ツールの回転を伝達するための形状を形成しておき、回転ツールを開口面から挿入して回転伝達形状と組み合わせてから回転させる方法、配管の外壁に回転ツールの回転を伝達するための形状を形成しておき、回転ツールを配管外壁の回転伝達形状と組み合わせてから回転させる方法がある。
本実施例よれば、回転ツールにより接合ピースを回転して摩擦撹拌しながら挿入方向に加圧して押し込まずとも済むので、挿入方向の加圧力を殆どかけずに接合することが可能となる。
なお、本実施例においても、回転ツールと配管側の双方を回転させ、回転ツールの回転方向と、配管側の回転方向を逆にするようにしても良い。
図22〜図23に球体容器を形成する際の接続に本発明を適用した実施例を示す。本実施例は実施例9を、球体容器を形成に応用したものと言える。
本実施例では、他の実施例で示した配管1及び配管2に相当する部品は、半球状の半容器41と42となる。その半球状容器41,42の少なくとも一方は、配管が接続される穴43が形成されている。接合ピース30は、半球状容器41、42に挟み込まれて仮固定される(図22(a))。接合ピース30は、半球状容器41,42の内壁直径より大きな外周直径のリング部とそのリングの中心点を通る梁体部37を有する(図22(b))。この接合ピース30を、半球状容器42の穴43から挿入される回転ツール4により回転運動させ、接合ピース30の外周と半球状容器41,42の内壁接合面を回転摺動させて摩擦撹拌し接合する(図22(c))。これにより、球状容器が形成される。
なお、本実施例では、リング部外周に雄ネジ36を形成し、半球状容器41,42の接合面に雌ネジ35を形成し、それぞれがネジ込まれることで一体に固定される。接合ピースを半球状容器41,42に固定した後、接合ピース30を強制回転し、ネジ山形状を破壊して摩擦撹拌接合する。また、回転ツール4から接合ピース30への回転伝達手段としては、本実施例では、図22(b)及び図23に示すように、接合ピース30の梁体部37を挟み込む溝を形成した回転ツール4を用いている。
なお、図22には図示していないが、半球状容器41、42は外周方向から溶接などの別手段で接合することにより、強度アップを図るようにしても良い。
なお、本実施例においても、実施例1などと同様に、半球状容器側を回転しても同じ効果が得られる。また、回転ツールと半球状容器側の双方を回転させ、回転ツールの回転方向と、半球状容器側の回転方向を逆にするようにしても良い。
図24は、本発明を圧力センサの受圧ポート部の接合に適用した実施例である。
図24(a)に示すように、受圧ポート部材51には、相手側配管への取り付けのためのネジ部52、ネジ締めのための六角ナット部53などが形成されている。圧力ゲージ57を上面に搭載した受圧ダイアフラム54を有するステム55が、固定ブロック56を介して受圧ポート部材51に固定されている。受圧ポート部材51の管路開口端は被測定媒体の流れる配管に接続しており、受圧ポート部材51の管路内及びステム55の受圧ダイアフラム54の下面側(圧力ゲージ57搭載面の反対側)が被測定媒体に満たされた容器部となる。被測定媒体の圧力による受圧ダイアフラム54の歪変形を圧力ゲージ57により検出することで、圧力に応じた信号を出力する圧力センサとなっている。
ここでは、ステム55と固定ブロック56の接合に本発明が適用されている。本実施例は、実施例8において、接合ピースも省略し、2つの管状部材の一方を接合ツールの一部として用いるようにしたものである。言い換えれば、本実施例は、接合ツールを、接合する2つの管状部材の一方と、この一方の管状部材を回転運動させる駆動部(回転ツール)とで構成し、これらを分離可能とし、摩擦攪拌接合の作業終了後、接合ツールの一部として用いた一方の管状部材をそのまま装置における管状部材として構成するようにしたものである。また、本実施例においても、ツールは、実施例8と同様に、その外周が配管内壁と摺動する接合ツールではなく、一方の管状部材に回転運動を伝達する回転ツールとなる。但し、ここでは、便宜上、一方の管状部材までを含めたものを、摩擦攪拌を行うための接合ツールとする。
ステム55と固定ブロック56の接合において、両者の接合面は管路軸に対してテーパ状になっている。本実施例では、図24(b)に示すように、固定ブロック56のテーパ面は、若干湾曲した面あるいは3つの若干異なるテーパ角度の面で構成されている。ステム55を固定し、固定ブロック56をテーパ面が接するようにステム55にかぶせ、回転ツールにより固定ブロック56を加圧しながら回転する。すなわち、ここでは、固定ブロック56が一方の管路部材であり、摩擦攪拌接合における接合ツールの一部を構成する。ステム55と固定ブロック56は同軸に配置されている。言い換えれば、両者の管路軸は一致するようになっている。
固定ブロック56をステム55に対して加圧しながら回転摺動させることにより、両者のテーパ角がほぼ等しい強接合面60から摩擦撹拌が始まり、そこから発生する撹拌物が隙間のあるテーパ部61に流出し、徐々に隙間のあるテーパ部61も強接合面60近辺から摩擦撹拌されていく。従って、この接合面には、強く(深く)摩擦撹拌された部分と、弱い(浅い)摩擦撹拌部分と、摩擦撹拌で生じる撹拌物に埋められた部分が存在する。
回転数、時間、加圧力などの回転条件によっては、強接合面61に融点を超える部分、すなわち摩擦溶接部分ができることもあるが、その周囲には摩擦撹拌部ができるので、摩擦溶接部が直接被測定媒体などに曝されることはなく、溶接部に化合物が発生しても腐食性を悪化することはない。
なお、接合されたステム55と固定ブロック56を固定して、受圧ポート部材51を回転させることにより、ステム55と受圧ポート部材51の突き当り面62、あるいは固定ブロック56の外周面と受圧ポート部材51の内面の接触面63を摩擦撹拌接合することも可能である。
このような装置においては、ストレスに敏感な部分に、本実施例では圧力ゲージ57や受圧ダイアフラム54を有するステム55に、回転運動による機械的ストレス、印加圧力による歪や接合時の熱ストレスを与えないよう注意が必要である。本実施例によれば、ステム55は常に固定体とし回転運動させずに接合可能であり、接合時の印加圧力や発生熱も少なくできる。
さらに、摩擦撹拌した時に強く接合する部分から生じる混合金属を収容するポケット部分(テーパ部)を設けているので、撹拌された混合金属が管路内にはみ出したり、接合面の密着性を損ねたりすることを防止できる。また、摩擦溶接による強固な(広面積化可能な)接合部を、摩擦撹拌による化合物の無い接合部で覆うことで、より接合強度が高く、耐腐食性に優れる接合を得ることもできる。
また、摩擦撹拌接合面としては、突き合せ部を含む管路内壁部分とする他、突き合せ面そのもの、つまり管路軸と垂直な面とすることや、管路軸に対し傾きを持つテーパ面とすることもできる。さらに、面内の微妙な接触状態を変えた接触面形状により、強く接合する部分、弱い接合となる部分、ほとんど接合しない部分などを選択的に配置することもできる。このほとんど接合しない部分、あるいは弱い接合部分は、摩擦撹拌した時に強く接合する部分から生じる混合金属を収容するポケット部分とすることもできる。さらには、強く接合する部分は摩擦熱が融点を超えるまでに達して摩擦溶接となり、その周囲が融点を超えない摩擦撹拌接合部分となるような接合構成とすることも可能である。すなわち、溶接による強固な(広面積化可能な)接合部を、摩擦撹拌による化合物の無い接合部で覆うことで、より接合強度が高く、耐腐食性に優れる接合を得ることもできる。
本発明は、管路を伴う装置、特に電子回路や電気接続部、薄肉部や接点などの微細構造を有する装置の配管部分の接合に適する。このような装置は、接合時に発生する熱や機械的ストレスにより、その感度が高い部分に影響を及ぼす心配がある。本発明では、接合時に発生する熱影響は接合部近辺以外にはほとんど及ばず、接合時の荷重による変形・歪や振動などの機械的ストレスもほとんどない。さらに、その装置の管路部と、その装置が取り付けられる配管あるいは管路を有する部材との接合においても、その装置あるいは相手部材が回転可能であれば、本発明は有効である。例えば、配管内を流れる流体の温度や圧力を検出する装置の場合、一般的には取付相手側配管に溶接あるいはネジ式により固定される。溶接の場合は、溶接時の熱が電子回路、電気接続部、薄肉部などに影響を与えることや、溶接時の接合部周囲の作業スペースなどが課題となる。また、ネジ固定の場合、気密性やシールテープを用いた場合はその劣化、ネジ座面の不均一受圧による変形・歪の影響などが課題となる。本発明によれば、これらのように熱や機械的ストレスの影響はほとんどなく、溶接部周囲のスペースもツール挿入スペースで済むため、より信頼性のある接合を相手側配管の形状変更をほとんど要さず、大幅コストアップ無しで達成できる。
図25に、本発明を圧力センサに適用した実施例を示す。
図25に示すように、ダイアフラム71を有する受圧ポート72には、ダイアフラム71の上面に圧力ゲージあるいは圧力ゲージ・電子回路を含む半導体素子73が搭載される。また、その素子73の近辺に電子部品あるいは電気接続部品74が搭載され、素子73と電気的に接続されて、さらに外部機器と電気的に接続するためのコネクタ75と接続、一体化される。この圧力センサの電子部品・電気接続部を一体化した受圧ポート72に、導入ポート76が接合され、受圧管77が形成される。そこに外形が六角ナット状のキャップ78が導入ポート76に接合されて、圧力センサの構造体が完成する。そして、この圧力センサが配管などの構造物に取り付けられ、導入ポート76の反対側開口部が被測定媒体の流れる配管に連結されるので、配管に取り付け後、受圧管77は被測定媒体で充填される。
被測定媒体の圧力は数百MPaに達する高圧の場合もあるし、センサ周囲温度や媒体温度が高温や極低温であることや、媒体はそれ自体が酸やアルカリなどの腐食性物質であったり、腐食成分を含んだりすることもあり得る。従って、受圧管77の耐圧性、耐リーク性、耐熱性、耐腐食性などが重要であり、特に弱点と成り得る接合部79の信頼性が非常に重要である。
そこで、受圧ポート72と導入ポート76の接合に、上述の各実施例に挙げた摩擦撹拌を採用することにより、非常に信頼性の高い圧力センサを低コスト化が図れる接合プロセスを用いて製造することが可能となる。また、素子73、電子部品あるいは電気接続部品74などの保護容器となるキャップ78と導入ポート76も、管摩擦接合により接合することも可能である。
図26は本発明を温度センサに適用した実施例である。図26に示すように、測温抵抗素子、サーミスタあるいは熱電対などの感温素子81と、リード線82が電気的に接続され、封止剤83により、シース部材84に固定される。シース部材84は、先端にキャップ85が接合されており、さらに固定ボルト86やリード保護管87と接合される。
このような温度センサは、例えば自動車エンジンの排気ガス温度計測などにも用いられ、その周囲温度や排気ガス温度は超高温になるし、排気ガスには腐食性ガスが含まれており、温度センサには高い信頼性が要求される。
そこで、この温度センサの各部接合に上述の各実施例に挙げた摩擦撹拌を採用することで、信頼性の高い接合構造を有する温度センサを、低コスト化が図れる接合プロセスを用いて製造することが可能となる。
図27を用いて圧力センサの配管取付け部における本発明の実施例による接合の形態(図27(a))と従来例による接合の形態(図27(b))を比較説明する。
従来の圧力センサの配管接合では、圧力センサ91は、被測定媒体92の流れる配管の管壁93に固定される。配管管壁93には配管内部と連通する穴94と、圧力センサ固定用の雌ネジ部95が形成されている。この雌ネジ部95に、圧力センサの導入ポート部に形成された雄ネジ部96をネジ締め固定することで、圧力センサ91が配管管壁93に搭載される。
媒体の圧力が超高圧に達することがあるときは、このネジ締め固定を、導入ポート先端が突き当たる面97や、雌ネジ部95が座屈する程度まで、非常に強いトルクをかけて固定することで、被測定媒体92のリーク防止を図ることもある。
そのような場合、圧力センサ91や配管管壁93自体の強度管理も重要となるし、高温クリープなどによる座屈面の変形による、リーク発生が懸念される。また、圧力センサ91が固定時に機械的ストレスを受けるため、内部の受圧部の変形や電子素子のダメージなども心配となる。
本発明の実施例による圧力センサ91の配管管壁93への接合形態では、圧力センサ91の導入ポート外周98と、配管管壁93の取付穴99が摩擦撹拌により接合されている。これによれば、従来の固定手段のような機械的ストレスも大幅に軽減され、溶接で接合する時のような薄膜状のダイアフラムや電子素子などへの熱影響も受けずに、従来のネジ固定並みのプロセスで固定可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
例えば、上述の各実施例では、金属配管と金属配管を接合する場合について説明したが、摩擦熱による材料の軟化と塑性流動が接合の基本的な条件になるので、樹脂配管と樹脂配管の接合や、樹脂配管と金属配管への適用も可能である。
1,2…配管・容器あるいは管路構成部材、4…接合ツール、7…電子回路、8…管路を伴う装置、17…ツール円管部、19…ツール突起部、20…ツールヘッド部、21…ツール支持軸部、30…接合ピース、41,42…半球状容器、51,72…受圧ポート、53,78…六角ナット部、キャップ、54,71…受圧ダイアフラム、55…ステム、56…固定ブロック、57,73…圧力ゲージ、半導体素子、60…強接合面、61…接合面テーパ部、74,75…電子部品・電気接続部品、コネクタ、76…導入ポート、77…受圧管、81…感温素子、82…リード線、83…封止剤、84…シース部材、85…キャップ、86…固定ボルト、87…リード保護管、91…圧力センサ、93…配管管壁
Claims (29)
- 少なくとも二つの管状部材または容器部材の環状接合部を摩擦攪拌接合する環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法であって、
接合ツールを、その軸が前記管状部材または容器部材の軸線に対して実質的に平行となるように配置し、
前記接合ツールまたは前記管状部材若しくは容器部材の回転により前記接合ツールの側面と前記環状接合部の壁面とを摺動させて、前記管状部材または容器部材の環状接合部を摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項1に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールを、前記管状部材または容器部材の内側に配置し、前記接合ツールの回転により前記接合ツールの外周側面と前記環状接合部の内壁面とを摺動させて、前記管状部材または容器部材の環状接合部を内壁面側から摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項2に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記管状部材または容器部材の少なくとも一方の開口端から前記接合ツールを挿入し、前記接合ツールの回転により前記接合ツールの外周側面と前記環状接合部の内壁面とを摺動させて、前記管状部材または容器部材の環状接合部を内壁面側から摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項1に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールとして円筒状のツールを用い、
前記円筒状の接合ツールの内周面により前記管状部材または容器部材の外壁面を覆うように前記円筒状の接合ツールを前記管状部材または容器部材の少なくとも一方の端部から被せ、
前記接合ツールの回転により前記円筒状の接合ツールの内周側面と前記環状接合部の外壁面とを摺動させて、前記管状部材または容器部材の環状接合部を外壁面側から摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項4に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記円筒状の接合ツールは内部に突起部を有しており、
前記円筒状の接合ツールを前記管状部材または容器部材の端部から被せた際に、前記突起部が前記管状部材または容器部材の内側に位置しており、
前記接合ツールの回転により前記円筒状の接合ツールの内周側面と前記環状接合部の外壁面とを摺動させるとともに前記突起の外周側面と前記環状接合部の内壁面とを摺動させ、前記管状部材または容器部材の環状接合部を外壁面側と内壁面側の両方から摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項1〜5の何れかに記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールと摺動接触する前記環状接合部の壁面に凹凸が形成されており、
前記接合ツールの回転により前記凹凸を平滑化して摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項1〜6の何れかに記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記環状接合部の壁面と摺動接触する前記接合ツールの側面に凹凸が形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項1〜7の何れかに記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールは、前記回転軸が円を描くように動いて偏心回転運動することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項8に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールは、前記環状接合部の壁面と摺動接触して前記環状接合部の壁面を摩擦攪拌するヘッド部と、前記ヘッド部の外径よりも細い外径をするヘッド支持軸を有し、前記ヘッド部が前記ヘッド支持軸中心を前記回転軸として回転運動するとともに、前記ヘッド支持軸が円を描くように動いて偏心回転運動することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項8に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールは、前記環状接合部の壁面と摺動接触して前記環状接合部の壁面を摩擦攪拌するヘッド部と、前記ヘッド部の外径よりも細い外径をするヘッド支持軸を有し、前記ヘッド部が前記ヘッド支持軸中心を前記回転軸として回転運動するとともに、前記ヘッド支持軸の前記ヘッド部側が屈曲しながら回転して偏心回転運動することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項1に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ツールは、前記環状接合部の壁面と摺動接触する環状の接合ピースと、前記接合ピースの中心を回転軸として前記接合ピースを回転運動させるとともに前記接合ピースと分離可能に構成された回転ツールとを有し、
前記接合ピースの回転により前記接合ピースの側面と前記環状接合部の壁面とを摺動させて、前記接合ピースの側面と前記環状接合部の壁面とを摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項11に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ピースを、前記二つの管状部材または容器部材の間に挟持して保持し、
その後、前記接合ピースの回転により前記接合ピースの側面と前記環状接合部の壁面とを摺動させて、前記接合ピースの側面と前記環状接合部の壁面とを摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項11または12に記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ピースには、前記回転ツールによる回転運動を受けるための構造が形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項11〜13の何れかに記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ピースの側面と前記環状接合部の壁面には、ギア状の凹凸が形成されており、前記接合ピースの回転により前記凹凸を破壊拡散して摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 請求項11〜13の何れかに記載の環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法において、
前記接合ピースの側面と前記環状接合部の壁面には、ネジ形状の凹凸が形成されており、前記接合ピースの回転により前記凹凸を破壊拡散して摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材または容器部材の接合方法。 - 環状接合部を有する二つの管状部材を摩擦攪拌接合する環状接合部を有する管状部材の接合方法であって、
前記二つの管状部材は同軸に配置され、
前記二つの管状部材の一方を前記二つの管状部材の他方に加圧しながら前記同軸まわりに回転させることにより、前記一方の管状部材の環状接合部と前記他方の管状部材の環状接合部とを摺動させて前記一方の管状部材と前記他方の管状部材とを摩擦攪拌接合することを特徴とする環状接合部を有する管状部材の接合方法。 - 少なくとも二つの管状部材または容器部材の環状接合部を摩擦攪拌接合した環状接合部を有する管状部品または容器であって、
前記摩擦攪拌接合した環状接合部は、接合ツールの側面と前記環状接合部の壁面とを回転摺動させて摩擦攪拌接合したものであることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項17に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記管状部材または容器部材の環状接合部は、内壁面側から摩擦攪拌接合されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項18に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記管状部材または容器部材は、少なくとも一方の開口端から前記環状接合部までの区間の内径が、摩擦攪拌される前記環状接合部を含む区間の内径よりも大きく形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項18または19に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記管状部材または容器部材の環状接合部の外周面が溶接接合されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項17に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記管状部材または容器部材の環状接合部は、外壁面側から摩擦攪拌接合されており、
前記管状部材または容器部材は、前記管状部材または容器部材の少なくとも一方の端部から前記環状接合部までの区間の外径が、摩擦攪拌される前記環状接合部を含む区間の外径よりも小さく形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項17に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記管状部材または容器部材の環状接合部は、内壁面側及び外壁面側から摩擦攪拌接合されており、
前記管状部材または容器部材は、前記管状部材または容器部材の少なくとも一方の端部から前記環状接合部までの区間の外径が、摩擦攪拌される前記環状接合部を含む区間の外径よりも小さく形成されており、かつ、前記端部から前記環状接合部までの区間の内径が、摩擦攪拌される前記環状接合部を含む区間の内径よりも大きく形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 少なくとも二つの管状部材または容器部材の環状接合部を接合した環状接合部を有する管状部品または容器であって、
前記環状接合部の壁面に環状の接合ピースが配置されており、
前記環状接合部の壁面と前記環状の接合ピースの側面は、前記環状接合部の壁面と前記環状の接合ピースの側面の摺動により摩擦攪拌接合されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項23に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記接合ピースは、前記二つの管状部材または容器部材の間に挟持されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 二つの管状部材の環状接合部を接合した環状接合部を有する管状部品であって、
前記二つの管状部材は同軸に配置されており、
前記二つの管状部材の一方の管状部材と前記二つの管状部材の他方の管状部材は、前記一方の管状部材の環状接合部と前記他方の管状部材の環状接合部との摺動により摩擦攪拌接合されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品。 - 請求項17〜25の何れかに記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記環状接合部の壁面の一部に、摩擦撹拌により破壊拡散された材料が溜まるようにしたポケット部が形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項17〜26の何れかに記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記摩擦攪拌接合した環状接合部には、摩擦溶接による接合が混在していることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 請求項27に記載の環状接合部を有する管状部品または容器において、
前記摩擦溶接による接合部の周囲には摩擦撹拌層が形成されていることを特徴とする環状接合部を有する管状部品または容器。 - 環状接合部を有する電子部品搭載装置であって、
前記環状接合部は、請求項17〜28の何れかに記載の環状接合部を有する管状部品により構成されていることを特徴とする環状接合部を有する電子部品搭載装置。
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2013
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