以下、図面を用いて、本発明に係るワーク成形方法の具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例であるワーク成形方法を適用したワーク成形装置10により成形されたワーク12が搭載されるモータ装置14の要部断面図を示す。また、図2は、本実施例のワーク成形装置10により成形されたワーク12を含む構造体16の斜視図を示す。尚、図2には、構造体16の一部がカットされた状態を示す。
本実施例のワーク成形装置10は、薄肉円盤状の鋼板製のブランクを形状変化(変形)させることによりそのブランクから成形後部材であるワーク12を成形・製造する装置である。ワーク12は、例えばいわゆる1モータ用方式のハイブリッド車両用駆動装置に用いられるモータ装置14に搭載される部材である。
ワーク12は、構造体16としてのロータシャフト(ロータハブ)を構成し、モータロータ18を径方向内側から支持するロータ支持部材である。モータロータ18は、径方向で所定の隙間20を空けてモータステータ22に対向している。ワーク12は、薄肉円環状のスポーク部24と、内周面の軸方向中途でスポーク部24の径方向外側端に接続し、軸方向に向けて延設される円筒状のドラム部26と、ドラム部26の軸方向端から径方向外側に向けて延設されるフランジ部28と、を有する形状に形成される。
スポーク部24は、軸方向に所定厚さを有しており、ドラム部26の内周面の軸方向中央近傍から径方向内側に延設するように薄肉円環状に形成されている。スポーク部24がドラム部26の内周面に接続される軸方向位置とフランジ部28がドラム部26の外周面に接続される軸方向位置とは、オフセットしている。ドラム部26は、径方向外側でモータロータ18を保持する。モータロータ18は、ドラム部26の径方向外側において軸方向でフランジ部28に支持されながらカシメ固定される。スポーク部24とドラム部26とフランジ部28とは、一体的に形成されている。
構造体16は、上記のワーク12と、支持円筒部30と、からなる。支持円筒部30は、外周面の軸方向途中でワーク12のスポーク部24の径方向内側端に接続されており、そのスポーク部24の径方向内側端に対して軸方向両側に向けて延設するように円筒状に形成されている。すなわち、ワーク12のスポーク部24は、また、支持円筒部30の外周面の軸方向中央近傍から径方向外側に向けて延設されるように形成されている。ワーク12と支持円筒部30とは、別体で形成されており、それぞれの成形後に取り付け固定されることで構造体16をなす。
支持円筒部30の径方向内側には、軸受32を介して筒状突出部34が挿入されている。筒状突出部34は、モータ装置14の各部品を収容するケース36と一体的に形成された、軸方向に向けて突出する円筒状の部材である。構造体16は、ケース36や筒状突出部34に対して軸受け32を介して軸回りに回転可能に支持されており、モータロータ18を保持しつつ軸回りに回転する。
次に、図3〜図8を参照して、本実施例のワーク成形装置10を用いてワーク12を成形する手法を説明する。
図3は、本実施例のワーク成形装置10により薄肉円盤状のブランク40からワーク12を成形する工程を表した図を示す。図4は、本実施例のワーク成形装置10の構成図を示す。図5は、本実施例のワーク成形装置10が備えるV字型ローラの構造を表した図を示す。また、図6は、本実施例のワーク成形装置10が備えるドラム成形用ローラの構造を表した図を示す。尚、図6(A)には2種類のドラム成形用ローラを備えるワーク成形装置10の全体構成図を、また、図6(B)には2種類のドラム成形用ローラの形状を比較した図を、それぞれ示す。
本実施例のワーク12は、ワーク成形装置10により、薄肉円盤状に形成された鋼板製のブランク40が塑性変形されることにより成形・製造される。成形開始前のブランク40は、成形完了後のワーク12の外径よりも大きな外径を有している。また、ブランク40の軸中心には、ワーク成形装置10による成形中にワーク成形装置10にブランク40を支持させるための貫通穴42が設けられている。
ワーク成形装置10は、ブランク40を把持するクランプ44を備えている。クランプ44は、成形中に薄肉円盤状のブランク40をその軸方向両側から挟持することにより軸方向で把持するマンドレル部材であって、それぞれ円柱状に形成される2つのマンドレル46,48を有している。2つのマンドレル46,48は、それぞれの円形面46a,48aが互いに軸方向で対向するように配置されている。円形面46a,48aは、互いに略同じ外径を有している。
円形面46a,48aは、ブランク40の軸方向に向いた軸方向両端面に接触し得る把持面である。ブランク40は、マンドレル46,48にそれらの円形面46a,48aと接触しながら挟持されることにより軸方向で把持される。クランプ44のマンドレル46,48は、成形開始前、外周面からブランク40の外端部を径方向外側へ向けて突出させた状態でそのブランク40を軸方向両側で把持する。以下、一方(図4における左側)のマンドレル46を主軸側マンドレル46と、また、他方(図4における右側)のマンドレル48を心押し側マンドレル48と、それぞれ称す。
主軸側マンドレル46の円形面46aには、軸方向に向けて突出する突起50が設けられている。また、心押し側マンドレル48の円形面48aには、軸方向に向けて凹んだ凹み穴52が設けられている。突起50は、ブランク40の貫通穴42の径に合致しかつ心押し側マンドレル48の凹み穴52の内径に合致した外径を有しており、その貫通穴42及びその凹み穴52に挿入可能である。ブランク40は、成形開始前にその貫通穴42に主軸側マンドレル46の突起50が挿入されるようにセットされる。
主軸側マンドレル46及び心押し側マンドレル48は、軸方向に相対移動(スライド)することが可能である。具体的には、成形開始前にブランク40がセットされる主軸側マンドレル46は、原則として(詳細には、後述のサブクランプを除いて)、固定設置されている。一方、心押し側マンドレル48は、メインスライド装置54に取り付けられており、そのメインスライド装置54により主軸側マンドレル46に対して軸方向に移動することが可能である。
以下、主軸側マンドレル46と心押し側マンドレル48とがブランク40を把持するときの心押し側マンドレル48の軸方向位置を把持位置と、また、主軸側マンドレル46と心押し側マンドレル48とがブランク40を把持しないときに心押し側マンドレル48が待機する軸方向位置を待機位置と、それぞれ称す。
メインスライド装置54は、コントローラ56からの指令に従って、心押し側マンドレル48を主軸側マンドレル46に対して移動させて待機位置と把持位置との間で変位させることが可能である。心押し側マンドレル48は、メインスライド装置54により待機位置と把持位置との間で変位することが可能である。
主軸側マンドレル46は、内径側と外径側とで2分割されており、内径側に位置する円柱状のメインクランプ(主軸側メインクランプ)60と、外径側に位置する円筒状・円環状のサブクランプ(主軸側サブクランプ)62と、を有している。主軸側サブクランプ62は、主軸側メインクランプ60の径方向外側にその主軸側メインクランプ60の外周面を囲うように配置されている。主軸側メインクランプ60は、予め定められた外径を有するように円柱状に形成されており、固定設置された不動の部材である。また、主軸側サブクランプ62は、主軸側メインクランプ60の外径よりも僅かに大きな内径を有しかつ予め定められた径方向厚さを有するように円筒状・円環状に形成されている。
主軸側サブクランプ62は、主軸側サブスライド装置64に取り付けられており、その主軸側サブスライド装置64により主軸側メインクランプ60に対してその主軸側メインクランプ60の外周面に沿って軸方向に移動することが可能である。以下、主軸側サブクランプ62がブランク40を把持するときに位置する軸方向位置を作動位置と、また、主軸側サブクランプ62がブランク40を把持しないときに位置する軸方向位置を退避位置と、それぞれ称す。
主軸側サブスライド装置64は、コントローラ56からの指令に従って、主軸側サブクランプ62を主軸側メインクランプ60に対して移動させて退避位置と作動位置との間で変位させることが可能であって、例えば油圧制御により主軸側サブクランプ62を変位させる。主軸側サブクランプ62は、主軸側サブスライド装置64により退避位置と作動位置との間で変位することが可能である。
また、心押し側マンドレル48は、主軸側マンドレル46と同様に、内径側と外径側とで2分割されており、内径側に位置する円柱状のメインクランプ(心押し側メインクランプ)70と、外径側に位置する円筒状・円環状のサブクランプ(心押し側サブクランプ)72と、を有している。心押し側サブクランプ72は、心押し側メインクランプ70の径方向外側にその心押し側メインクランプ70の外周面を囲うように配置されている。心押し側メインクランプ70は、主軸側メインクランプ60の外径と略同じ外径を有するように円柱状に形成されている。また、心押し側サブクランプ72は、心押し側メインクランプ70の外径よりも僅かに大きな内径を有しかつ主軸側サブクランプ62の径方向厚さと略同じ径方向厚さを有するように円筒状・円環状に形成されている。
心押し側サブクランプ72は、心押し側サブスライド装置74に取り付けられており、その心押し側サブスライド装置74により心押し側メインクランプ70に対してその心押し側メインクランプ70の外周面に沿って軸方向に移動することが可能である。以下、心押し側サブクランプ72がブランク40を把持するときに位置する軸方向位置を作動位置と、また、心押し側サブクランプ72がブランク40を把持しないときに位置する軸方向位置を退避位置と、それぞれ称す。
心押し側サブスライド装置74は、コントローラ56からの指令に従って、心押し側サブクランプ72を心押し側メインクランプ70に対して移動させて退避位置と作動位置との間で変位させることが可能であって、例えば油圧制御により主軸側サブクランプ62を変位させる。心押し側サブクランプ72は、心押し側サブスライド装置74により退避位置と作動位置との間で変位することが可能である。
コントローラ56は、主軸側サブスライド装置64と心押し側サブスライド装置74とを同期させて作動させることにより、主軸側サブクランプ62と心押し側サブクランプ72とを同期させてそれぞれ退避位置と作動位置との間で変位させる。このため、主軸側サブクランプ62と心押し側サブクランプ72とは、同期して退避位置と作動位置との間で変位する。すなわち、主軸側サブクランプ62が退避位置にあるときは心押し側サブクランプ72も退避位置にあり、また、主軸側サブクランプ62が作動位置にあるときは心押し側サブクランプ72も作動位置にある。
また、ワーク成形装置10は、クランプ44により把持されているブランク40を塑性変形させるためのローラ78を備えている。ローラ78は、クランプ44の径方向外側(より具体的には、クランプ44により把持されるブランク40の径方向外側)に配置されている。ローラ78は、成形開始前のブランク40からワーク12を成形する工程に合わせて複数種類設けられている。複数種類のローラ78は、クランプ44の径方向外側にクランプ44の軸中心回りに環状に配置されている。
各ローラ78はそれぞれ、径方向に移動可能であると共に、自己の軸回りに回転(自転)可能であり、また、クランプ44の軸回りに回転(公転)可能である。各ローラ78には、上記のコントローラ56が電気的に接続されている。各ローラ78はそれぞれ、コントローラ56からの指令に従って、成形工程に合わせて径方向内側(中心軸側)に向けて移動されると共に、その径方向内側に移動したローラ78を含めてすべてのローラ78がクランプ44の軸を中心にして公転することで、ブランク40を塑性変形させてブランク40の成形加工を行う。
薄肉円盤状のブランク40からスポーク部24とドラム部26とフランジ部28とを有するワーク12への成形加工は、(1)ブランク40の外端部を増肉させる増肉工程と、(2)増肉工程にて増肉したブランク40の増肉部位を軸方向に2分割させるスプリット工程と、(3)スプリット工程にて2分割された両分割部位それぞれを軸方向外側に倒しながら引き延ばして(但し、軸方向一方側の分割部位については、端部まで引き延ばさずに中途でその引き延ばしを終了する。)、ドラム部26を仮形状に成形させる仮成形工程と、(4)仮成形工程にて成形されたドラム部26の軸方向一方側の端部に残っている肉片を軸方向外側(軸方向一方側)から軸方向内側(軸方向他方側)に向けて押圧して径方向外側へ立たせて、フランジ部28を成形するフランジ成形工程と、(5)フランジ成形工程にて成形したフランジ部28の軸方向他方側の根元部からドラム部26の軸方向他方側端部までを軸方向他方側に向けて引き延ばして、ドラム部26を本形状に成形させるドラム成形工程と、からなる。
上記した複数種類のローラ78は、上記(1)〜(5)の各工程に合わせたものであって、具体的には、増肉工程にて用いる増肉ローラ78a及び支持ローラ78bと、スプリット工程及び仮成形工程にて用いるV字型ローラ78cと、フランジ成形工程にて用いるフランジ成形用ローラ78dと、主にドラム成形工程にて用いるドラム成形用ローラ78eと、を含む。
増肉ローラ78aと支持ローラ78bとはそれぞれ、クランプ44の径方向外側において互いに軸中心を挟んで対向する位置に配置されている。増肉ローラ78aは、クランプ44の軸に平行に延びる軸を有するように略円柱状に形成されたローラである。増肉ローラ78aは、自己の軸回りの外周面の軸方向略中央に環状に設けられた、表面が凹む溝80を有しており、軸に直交する方向から見て或いは断面的に凹形状に形成されている。増肉ローラ78aの溝80は、ブランク40の外端部に形成すべき所望増肉量に対応して、所定の深さ及び容量に形成されており、例えば底面が丸みを帯びた断面U字型に形成されている。
増肉ローラ78aは、薄肉円盤状のブランク40の外端部を増肉させる第1の増肉ローラ78a−1と、その第1の増肉ローラ78a−1とは別体で構成された、その第1の増肉ローラ78a−1を用いて増肉したブランク40の外端部を更に増肉させる第2の増肉ローラ78a−2と、の2種類からなる。第1の増肉ローラ78a−1と第2の増肉ローラ78a−2とは、周方向に並んで配置されている。
第1の増肉ローラ78a−1は、その溝80−1の深さ又は容量が比較的小さく、ブランク40の外端を第1の所定径位置まで押圧してその外端部の増肉量を第1の所定量とするうえで用いられるローラである。また、第2の増肉ローラ78a−2は、その溝80−2の深さ又は容量が比較的大きく、ブランク40の外端を上記した第1の所定径位置よりも内径側の第2の所定径位置まで押圧してその外端部の増肉量を第2の所定量(最終的な所望増肉量)とするうえで用いられるローラである。
支持ローラ78bは、クランプ44の軸に平行に延びる軸を有するように略円柱状に形成されたローラである。支持ローラ78bは、自己の軸回りの外周面の軸方向略中心に環状に設けられた溝82を有しており、軸に直交する方向から見て或いは断面的に凹形状に形成されている。支持ローラ78bは、増肉ローラ78aがブランク40の外端を径方向内側の軸中心に向けて押圧してその外端部を増肉させる際に、その増肉ローラ78aと軸中心を挟んで対向する反対側位置でそのブランク40を把持するクランプ44を支持してそのクランプ44の径方向への折れを防止する部材である。支持ローラ78bの溝82は、クランプ44に挟持された成形開始前の薄肉円盤状のブランク40からワーク12を成形するまでにそのブランク40に接触しない所定の深さ及び容量に形成されており、断面U字型に形成されている。
支持ローラ78bは、第1の増肉ローラ78a−1に対応した第1の支持ローラ78b−1と、その第1の支持ローラ78b−1とは別体で構成された、第2の増肉ローラ78a−2に対応した第2の支持ローラ78b−2と、の2種類からなる。第1の支持ローラ78b−1と第2の支持ローラ78b−2とは、周方向に並んで配置されている。尚、第1の支持ローラ78b−1の溝82−1と第2の支持ローラ78b−2の溝82−2とは、ブランク40が接触しなければ、略同じ深さ又は容量に形成されていてもよく、また、互いに異なる深さ又は容量に形成されていてもよい。
V字型ローラ78cは、クランプ44の径方向外側において互いに軸中心を挟んで対向するように二つ設けられている。V字型ローラ78cは、クランプ44の軸に平行に延びる軸を有するように円盤状に形成されたローラである。V字型ローラ78cは、自己の軸回りの外周面に環状に設けられた、自己の軸中心から径方向外側にかけてすなわちクランプ44及びブランク40の径方向内側に向けて表面がV字型に尖る尖り部84を有しており、軸に直交する方向から見て或いは断面的にV字状に形成されている。クランプ44の軸中心を挟んで対向する2つのV字型ローラ78cは、互いに略同じ形状に形成されている。
V字型ローラ78cは、増肉工程にて増肉したブランク40の増肉部位を軸方向に略等分で2分割するスプリット工程に用いると共に、そのスプリット工程にて2分割された両分割部位それぞれを軸方向外側に倒しながら引き延ばして(但し、軸方向一方側の分割部位については、端部まで引き延ばさずに中途でその引き延ばしを終了する。)、ワーク12のドラム部26を仮成形する仮成形工程にも用いる。すなわち、V字型ローラ78cは、ブランク40の増肉部位を軸方向に2分割させる部材であると共に、両分割部位を径方向内側に向けて押圧しつつ軸方向外側に向けて引き延ばしてワーク12のドラム部26を仮形状に成形する部材である。
V字型ローラ78cの尖り部84は、軸方向左右の面86,88が軸に対してなす角度が所定角度となるように形成されている。尚、以下、尖り部84の、ブランク40からワーク12のフランジ部28を形成すべき軸方向一方側に向く面86を尖り部84の一方面86と、尖り部84の軸方向他方側に向く面88を尖り部84の他方面88と、それぞれ称す。
尖り部84は、一方面86が軸に対してなす角度と他方面88が軸に対してなす角度とが略一致するように形成されている。以下、面86,88が軸に対してなす角度をローラ迎角αと称す。このローラ迎角αは、30°〜60°程度に設定されており、例えば45°近傍に設定されていることが好ましい。また、尖り部84の一方面86と他方面88とがなす角度θは、60°〜120°程度に設定されており、例えば90°近傍に設定されていることが好ましい。
フランジ成形用ローラ78dは、クランプ44の径方向外側において唯一つ設けられている。尚、二つ以上設けられていてもよい。フランジ成形用ローラ78dは、クランプ44の軸に直交する方向(すなわち、クランプ44の径方向)に平行に延びる軸を有するように円柱状に形成されるローラである。フランジ成形用ローラ78dは、軸方向他方側の端部(外面)がクランプ44の軸に直交する方向すなわち自ローラ78dの円柱軸に平行に延びる方向に略直線状に延びるように形成されている。フランジ成形用ローラ78dは、その外面を仮成形工程にて成形されたドラム部26の軸方向一方側の端部に残っている肉片に接触させつつ、その肉片をその肉片の軸方向一方側から軸方向他方側に向けて押圧して径方向外側へ立たせることで、フランジ部28を成形する部材である。
また、ドラム成形用ローラ78eは、クランプ44の径方向外側において互いに軸中心を挟んで対向するように二つ設けられている。ドラム成形用ローラ78eは、クランプ44の軸に平行に延びる軸を有するように形成されるローラである。ドラム成形用ローラ78eは、軸方向一方側の端面が略平面状に形成され、かつ、自己の軸に対する径方向外側の端面(すなわち、径方向外側の先端面)が軸方向一方側から軸方向他方側にかけて丸みを帯びつつ自己の軸に対する外径が軸方向一方側から軸方向他方側にかけて徐々に小さくなるように(すなわち、軸方向一方側寄りにクランプ44の軸中心に向けて径方向に延びる凸部を有するように)、クランプ44の軸に直交する方向から見て或いは断面的に台形型・円錐型に形成されている。
ドラム成形用ローラ78eは、その外面をフランジ成形工程にて成形されたフランジ部28の軸方向他方側の根元部に接触させてから、V字型ローラ78cにより軸方向外側に引き延ばされて仮成形されたドラム部26を更に径方向内側に向けて押圧しつつ軸方向外側(軸方向他方側)に向けて引き延ばすことで、ドラム部26を所望の外径を有する形状に成形する部材である。ドラム成形用ローラ78eは、軸方向一方側の端面と自己の軸に対する径方向外側の端面との接続部位(角部)近傍の尖り度が異なる2種類のドラム成形用ローラ78e−1,78e−2からなる。
第1ドラム成形用ローラ78e−1と第2ドラム成形用ローラ78e−2とは、クランプ44の径方向外側において互いに軸中心を挟んで対向する位置に配置されている。V字型ローラ78cにより仮成形されたドラム部26は、第1ドラム成形用ローラ78e−1→第2ドラム成形用ローラ78e−2の順で外周面側から軸中心側に向けて押圧されることで本成形される。
第2ドラム成形用ローラ78e−2は、図6に示す如く、第1ドラム成形用ローラ78e−1に比べて、軸方向一方側の端面と径方向外側の端面との接続部位近傍の尖り度が大きくなるように形成されている。例えば、第1ドラム成形用ローラ78e−1の上記接続部位は、丸みを帯びた形状に形成されており、半径5mm〜半径15mm程度(好ましくは、R10)でR面加工されていると共に、第2ドラム成形用ローラ78e−2の上記接続部位は、丸みを帯びた形状に形成されており、半径1mm〜半径3mm程度(好ましくは、R2)でR面加工されている。
また、第2ドラム成形用ローラ78e−2は、第1ドラム成形用ローラ78e−1に比べて、最大外径が僅か(最大外径の偏差Δr;例えば1mm〜3mm)に大きくなるように形成され、上記接続部位における軸方向位置が僅か(Δa;例えば1mm〜3mm)にフランジ成形側の軸方向一方側に寄るように形成されていると共に、最大外径部位における軸方向位置が所定距離(Δb;例えば5mm〜15mm)ずれるように形成されている。
すなわち、第1及び第2ドラム成形用ローラ78e−1,78e−2は、断面において最大外径部位における頂点同士を結んだ線がクランプ44の軸方向に対してなす角度βが例えば5°〜15°程度となるように形成されている。但し、第1及び第2ドラム成形用ローラ78e−1,78e−2の形成は、第2ドラム成形用ローラ78e−2の径方向外側表面がその最大外径部位における頂点同士を結んだ線に対して径方向外側に位置しないように行われる。このため、ブランク40の成形加工時、第2ドラム成形用ローラ78e−2は、第1ドラム成形用ローラ78e−1に比べて、ブランク40に接する表面である径方向外側の端面がクランプ44の中心軸側に寄り、かつ、上記接続部位が軸方向一方側に寄るものとなる。
図7及び図8はそれぞれ、本実施例のワーク成形装置10により薄肉円盤状のブランク40からワーク12を成形する工程を表した図を示す。尚、図7にはワーク成形装置10の全体断面図を、また、図8にはワーク成形装置10の要部斜視図及び要部断面図を、それぞれ示す。
本実施例のワーク成形装置10において、薄肉円盤状のブランク40からスポーク部24とドラム部26とフランジ部28とを有するワーク12を成形するうえでは、まず、クランプ44の心押し側マンドレル48が待機位置に位置する状態で、薄肉円盤状のブランク40が、その貫通穴42にクランプ44の主軸側マンドレル46の突起50が挿入されるようにセットされる(図7(A)及び図8(A))。
上記したブランク40のセット後、心押し側マンドレル48がメインスライド装置54により待機位置から主軸側マンドレル46に対して軸方向に近づくように移動される。そして、心押し側マンドレル48が把持位置に達すると、ブランク40が両マンドレル46,48の円形面46a,48aに接触して挟持されてクランプ44に把持される(図3(A)及び図7(B))。この際、両マンドレル46,48は共に、サブクランプ62,72が作動位置にあり、メインクランプ60,70の径方向外側にサブクランプ62,72が挿入されて隣接する状態となるので、円形面46a,48aの外径が比較的大きくなるように設定される。
薄肉円盤状のブランク40が上記の如くクランプ44に把持されると、次に、全ローラ78のうち第1の増肉ローラ78a−1及び第1の支持ローラ78b−1がクランプ44に対して径方向内側に向けて移動される。この場合には、第1の支持ローラ78b−1がクランプ44のマンドレル46,48の側壁面(具体的には、サブクランプ62,72の外周面)に接触直前まで移動されると共に、第1の増肉ローラ78a−1の溝80−1の底面がブランク40の外端に接触される(図7(C)及び図8(B))。
かかる状態で、ローラ78がクランプ44の軸回りに回転しながら、第1の支持ローラ78b−1がマンドレル46,48を径方向外側から軸中心に向けて支持しつつ、かつ、第1の増肉ローラ78a−1が更にクランプ44に対して径方向内側に向けて移動されて、溝80−1の底面でブランク40の外端を軸中心に向けて第1の所定径位置まで押圧する。尚、第1の増肉ローラ78a−1が、その外周面がクランプ44のマンドレル46,48のサブクランプ62,72の外周面に接触する直前までクランプ44に対して径方向内側に向けて移動されると、ブランク40の外端が第1の所定径位置まで押圧されてその外端部の増肉量が第1の所定量となる(図3(B)、図7(D)及び図8(C))。
ブランク40の外端が上記の如く第1の所定径位置まで押圧されると、次に、主軸側マンドレル46の主軸側サブクランプ62が主軸側サブスライド装置64により作動位置から退避位置へ変位されてブランク40の把持を解除すると共に、心押し側マンドレル48の心押し側サブクランプ72が心押し側サブスライド装置74により作動位置から退避位置へ変位されてブランク40の把持を解除する。
尚、この際にも、主軸側マンドレル46の主軸側メインクランプ60及び心押し側マンドレル48の心押し側メインクランプ70は、ブランク40の把持を継続する。このため、両マンドレル46,48のサブクランプ62,72が退避位置に退避すると、メインクランプ60,70の径方向外側からサブクランプ62,72が軸方向外側に引き抜かれてメインクランプ60,70の径方向外側にサブクランプ62,72が隣接しない状態となるので、それらマンドレル46,48の円形面46a,48aの外径が共に比較的小さくなる。
また、上記したサブクランプ62,72の退避位置への退避と同時に或いはその直後、ローラ78のジョブチェンジが実施される。具体的には、第1の増肉ローラ78a−1及び第1の支持ローラ78b−1がクランプ44に対して径方向外側に移動されると共に、第2の増肉ローラ78a−2及び第2の支持ローラ78b−2がクランプ44に対して径方向内側に移動される。この場合には、第2の支持ローラ78b−2がクランプ44のマンドレル46,48の側壁面(具体的には、メインクランプ60,70の外周面)に接触直前まで移動されると共に、第2の増肉ローラ78a−2の溝80−2の底面がブランク40の外端に接触される。
かかる状態で、ローラ78がクランプ44の軸回りに回転しながら、第2の支持ローラ78b−2がマンドレル46,48を径方向外側から軸中心に向けて支持しつつ、かつ、第2の増肉ローラ78a−2が更にクランプ44に対して径方向内側に向けて移動されて、溝80−2の底面でブランク40の外端を軸中心に向けて第2の所定径位置まで押圧する。尚、第2の増肉ローラ78a−2が、その外周面がクランプ44のマンドレル46,48のメインクランプ60,70の外周面に接触する直前までクランプ44に対して径方向内側に向けて移動されると、ブランク40の外端が第2の所定径位置まで押圧されてその外端部の増肉量が第2の所定量(所望増肉量)となる(図3(C)、図7(E)、及び図8(D))。
従って、上記の如くワーク成形装置10での増肉ローラ78a及び支持ローラ78bの切り替えを行うことにより、薄肉円盤状のブランク40の外端部を所望増肉量まで増肉させる増肉工程を実現することができる。
上記の如く増肉工程にて薄肉円盤状のブランク40の外端が第2の所定径位置まで押圧されてブランク40の外端部が増肉されると、次に、ローラ78のジョブチェンジが実施される。具体的には、第2の増肉ローラ78a−2及び第2の支持ローラ78b−2がクランプ44に対して径方向外側に移動されると共に、V字型ローラ78cがクランプ44に対して径方向内側に移動される(図3(D)及び図7(F))。
そして、V字型ローラ78cが、その尖り部84でブランク40の外端(具体的には、増肉部位の軸方向略中央)と接触した後、更にクランプ44に対して径方向内側に移動されることで、そのブランク40の外端部の増肉された増肉部位を尖り部84で軸中心に向けて所定位置まで押圧する。かかる押圧がなされると、ブランク40の上記増肉部位が塑性変形されて軸方向にY字形状に略等分で2分割される(図3(E)、図7(G)、及び図8(E))。これにより、上記したスプリット工程が実現される。
上記の如くスプリット工程にてV字型ローラ78cを用いてブランク40の外端部の増肉部位が軸方向に2分割されると、次に、そのV字型ローラ78cが、径方向位置を維持したまま、まず、軸方向一方側(各図3、図7、及び図8などにおいて左方側)に向けて移動されて、そのV字型ローラ78cの尖り部84の先端でブランク40の増肉部位が2分割された軸方向一方側の分割部位を軸方向一方側に倒して引き延ばし、中途(予め定められた軸方向位置)で移動停止されてその引き延ばしを終了する(図3(F)、図7(H)、及び図8(F))。
そしてその後、そのV字型ローラ78cが、径方向位置を維持したまま、移動方向が反転されて軸方向他方側(各図3、図7、図8などにおいて右方側)に向けて移動されて、そのV字型ローラ78cの尖り部84の先端でブランク40の増肉部位が2分割された軸方向他方側の分割部位を軸方向他方側に倒して端部まで引き延ばす(図3(G)、図7(I)、及び図8(G))。この場合には、ブランク40の外端部の増肉部位が2分割された両分割部位が塑性変形されることで、ワーク12のドラム部26が所望形状よりも肉厚の仮形状まで成形される(仮成形)。これにより、ドラム部26を仮成形する仮成形工程が実現される。
上記の如く仮成形工程にてドラム部26が仮成形されると、次に、ローラ78のジョブチェンジが実施される。具体的には、V字型ローラ78cがクランプ44に対して径方向外側に移動されると共に、まず、ドラム成形用ローラ78eがクランプ44に対して径方向内側に移動される(図3(H)、図7(J)、及び図8(H))。
尚、この際、ドラム成形用ローラ78eがクランプ44に対して径方向内側に移動される軸方向位置は、ブランク40の軸方向一方側の端部に残っている肉片(後にフランジ部28の全部又は一部となる部位)に対して軸方向他方側の位置であって、ブランク40の円筒状に形成された部位の軸方向一方側の端の位置である。また、この際に使用されるドラム成形用ローラ78eは、第1及び第2ドラム成形用ローラ78e−1,78e−2のうちの何れか一であればよく、また、両者であってもよい。
ドラム成形用ローラ78eの上記した径方向内側への移動は、そのドラム成形用ローラ78eの径方向外側先端がブランク40の上記肉片に対する軸方向他方側の根元近傍の径方向外側表面に接触された後、その表面にフランジ部28を成形させるうえで基点となる凹み部90が形成されるように行われる。この凹み部90の形成は、ブランク40の上記肉片に対する軸方向他方側の根元近傍の径方向厚さを薄肉にすることで、後に行われるフランジ部28の成形を容易にするためのものである。
上記した凹み部90の形成の際、ブランク40の表面のうちドラム成形用ローラ78eの径方向外側先端を接触させる位置は、上記肉片の軸方向他方側の位置かつスポーク部24の軸方向位置よりも軸方向一方側の位置であって、フランジ部28を所望形成に成形させるうえで必要な位置である。また、その凹み部90の深さは、その凹み部90が形成された部位の径方向厚さがドラム部26の本成形後の所望の径方向厚さと略一致するように形成される。
そして、上記の如く凹み部90が形成されると、次に、ローラ78のジョブチェンジが実施される。具体的には、ドラム成形用ローラ78eがクランプ44に対して径方向外側に移動されると共に、フランジ成形用ローラ78dがクランプ44に対して径方向内側に移動される(図3(I)及び図8(I))。尚、この際、フランジ成形用ローラ78dがクランプ44に対して径方向内側に移動される軸方向位置は、ブランク40の軸方向一方側の端部に残っている肉片に対して軸方向一方側の位置である。
フランジ成形用ローラ78dが、その先端がクランプ44の表面に接する程度まで径方向内側に移動された後、軸方向他方側に移動されて、ブランク40の軸方向一方側の端部に残っている肉片を軸方向一方側から軸方向他方側に向けて押圧してその肉片を径方向外側へ立たせる(図3(J)、図7(K)、及び図8(J))。この場合には、ブランク40の軸方向一方側の分割部位が塑性変形されることで、その分割部位の軸方向一方側端面が軸方向に向くフランジ部28が成形される。これにより、上記したフランジ成形工程が実現される。
上記の如くフランジ成形工程にてドラム成形用ローラ78eとフランジ成形用ローラ78dとを用いてブランク40(すなわち、ワーク12)のフランジ部28が成形されると、次に、フランジ成形用ローラ78dがクランプ44に対して径方向外側に移動されると共に、ドラム成形用ローラ78eがクランプ44に対して径方向内側に移動される(図3(K)、図7(L)、及び図8(K))。
尚、この際、ドラム成形用ローラ78eがクランプ44に対して径方向内側に移動される軸方向位置は、ブランク40の軸方向一方側に形成されたフランジ部28に対して軸方向他方側の位置であって、ブランク40の円筒状に形成された部位(すなわち、仮成形されているドラム部26)の軸方向一方側の端の位置である。
そして、ドラム成形用ローラ78eが、径方向への移動に伴ってブランク40の円筒部位に接触した後、その円筒部位を、更に薄肉になるように軸中心に向けて所定位置まで押圧した状態で軸方向他方側に移動されて、その円筒部位を更に軸方向他方側に引き延ばす(図3(L)、図7(M)、及び図8(L))。尚、第1及び第2ドラム成形用ローラ78e−1,78e−2は、互いに同期して移動される。この場合、ブランク40が塑性変形されることで、所望の外径を有するドラム部26が成形される。これにより、ドラム部26を所望形状に本成形する上記したドラム成形工程が実現される。
そして、上記の如くドラム成形工程にてドラム部26が所望形状に成形されると、次に、ドラム成形用ローラ78eがクランプ44に対して径方向外側に移動されると共に、その移動後、クランプ44の心押し側マンドレル48がメインスライド装置54により把持位置から待機位置へ変位することで両マンドレル46,48(具体的には、メインクランプ60,70)によるワーク12の把持が解除される。
ここで、ブランク40の成形が完了し両マンドレル46,48のメインクランプ60,70による把持が解除されても、図7(N)に示す如く、そのブランク40のドラム部26の内周側にメインクランプ60,70(特に、ドラム部26の大半が占める心押し側メインクランプ70)が挿入された状態、すなわち、そのドラム部26がメインクランプ760,70の外周面に嵌った状態に維持されることがある。
これに対して、本実施例においては、上記の如く両マンドレル46,48のメインクランプ60,70によるブランク40の把持が解除された後、サブクランプ62,72(特に、心押し側サブクランプ72)が、サブスライド装置64,74により退避位置→作動位置→退避位置の順で軸方向に一往復移動される。この場合には、メインクランプ60,70の径方向外側にサブクランプ62,72が挿入されて隣接する状態が形成される。かかる状態が形成されると、ブランク40のドラム部26の内周側にメインクランプ60,70が挿入されていても、サブクランプ62,72が軸方向へ移動する力によってそのドラム部26の軸方向他方側の端面がメインクランプ60,70に対して軸方向一方側へ押圧される(図7(O))。これにより、メインクランプ60,70からブランク40が払い出される払出工程が実現される。
このように、本実施例によれば、ワーク成形装置10を用いて、増肉工程、スプリット工程、仮成形工程、フランジ成形工程、及びドラム成形工程を順に実施することにより、薄肉円盤状のブランク40から、スポーク部24とドラム部26とフランジ部28とを有するワーク12を成形することができる。尚、モータ装置14に搭載されるワーク12は、上記の払出工程にて払い出されたブランク40が所望の内径を有するようにその貫通穴42の周囲でカットされることにより所望形状に形成される。
本実施例において、ワーク12を成形するうえで必要な工程である薄肉円盤状のブランク40の外端部を増肉させる増肉工程は、クランプ44の外径を2段階で可変させつつ実施される。
具体的には、増肉工程では、当初は、ブランク40の外端部を所望増肉量よりも少ない第1の所定量まで増肉させる。かかる増肉は、両マンドレル46,48のメインクランプ60,70の径方向外側にサブクランプ62,72を挿入して隣接させることでクランプ44の外径を比較的大きくした状態で、両マンドレル46,48の間に薄肉円盤状のブランク40を挟持させつつ、比較的浅めの溝80−1を有する第1の増肉ローラ78a−1を用いてそのブランク40の外端を軸中心に向けて第1の所定径位置まで押圧することにより行われる。
そしてその後、ブランク40の外端部を所望増肉量まで増肉させる。かかる増肉は、メインクランプ60,70の径方向外側からサブクランプ62,72を引き抜いてその径方向外側にサブクランプ62,72を隣接させないことでクランプ44の外径を比較的小さくした状態で、両マンドレル46,48の間に薄肉円盤状のブランク40を挟持させつつ、比較的深めの溝80−2を有する第2の増肉ローラ78a−2を用いてそのブランク40の外端を軸中心に向けて第2の所定径位置まで押圧することにより行われる。
かかる増肉処理においては、増肉開始から増肉完了までの間に、クランプ44の両マンドレル46,48に把持されて外端部が増肉加工されるブランク40の外径に合わせて、そのマンドレル46,48の外径が可変される。具体的には、ブランク40の外径が増肉開始から第1の所定径位置に達するまではマンドレル46,48の外径が比較的大きくされ、一方、ブランク40の外径が第1の所定径位置に達してからその第1の所定径位置よりも内径側の第2の所定径位置に達するまではマンドレル46,48の外径が比較的小さくされる。
この点、増肉工程において、ブランク40の外径が比較的大きい間はそのブランク40を比較的大きな外径のクランプ44で把持する一方、ブランク40の外径が比較的小さくなった後はそのブランクを比較的小さな外径のクランプ44で把持することができる。従って、本実施例のワーク成形装置10によれば、増肉工程においてブランク40を把持するクランプ44の外径を可変させることで、ブランク40の、マンドレル46,48の外周面から径方向外側へ向けて突出する外端部の径方向長さ(突出長)Lを常に短くすることができる。
このため、本実施例によれば、ブランク40の外端部を多量に増肉させるうえで成形開始前の薄肉円盤状のブランク40の外径が比較的大きいときにも、クランプ44により把持されるブランク40の外端が増肉ローラ78aの溝80により軸中心に向けて押圧されることによってそのブランク40の外端部が増肉される増肉工程で、そのブランク40が座屈するのを確実に防止することができる。
尚、ブランク40の座屈を防止するうえでは、成形開始前の薄肉円盤状のブランク40の軸方向の厚さを大きくすることが考えられるが、かかる構造では、ブランク40の重量増が招来する。
これに対して、本実施例においては、成形開始前の薄肉円盤状のブランク40の軸方向の厚さが小さくてもブランク40の座屈を防止することができるので、ブランク40の板厚増による重量増を避けつつその座屈防止を図ることができる。また、成形開始前の薄肉円盤状のブランク40の軸方向の厚さが小さくても、その外径が大きくされれば、その外端部への多量の増肉は可能である。従って、本実施例によれば、成形開始前の薄肉円盤状のブランク40の軸方向の厚さが比較的小さく更にその外径が比較的大きくても、そのブランク40を座屈させることなくその外端部への多量の増肉を実現することができる。
また、本実施例においては、薄肉円盤状のブランク40をクランプ44で把持してその外端部を増肉させてから、スポーク部24とドラム部26とフランジ部28とを有するワーク12を成形して払い出すまで、そのブランク40を一つの同じクランプ44を用いて把持することができる。このため、薄肉円盤状のブランク40からスポーク部24とドラム部26とフランジ部28とを有するワーク12を成形するまで、そのブランク40を把持する部材を交換することは不要である。
従って、本実施例によれば、ブランク40を把持する把持部材の交換に起因した工程数増が生じることは無いので、ワーク製造時間が増加し或いはワーク製造上のコストアップが生じるのを防止することができる。また、ブランク40を把持する把持部材の交換に起因した交換位置の精度低下が生ずることは無いので、ワーク12の成形精度が低下するのを防止することができる。
また、本実施例においては、ブランク40の外端部に形成された増肉部位をV字型ローラ78cを用いて軸方向にY字状に2分割し、その2分割した両分割部位をそれぞれV字型ローラ78cを用いて軸方向外側に倒しながら引き延ばすことでドラム部26を仮成形し、その後、軸方向一方側の分割部位のうち軸方向一方側の端部に残った肉片をフランジ成形用ローラ78dを用いて軸方向一方側から軸方向他方側に向けて押圧して径方向外側へ立たせることでフランジ部28を成形し、そして最後に、仮成形されているドラム部26をドラム成形用ローラ788eを用いて軸方向一方側から軸方向他方側に引き延ばすことでドラム部26を本成形する。
この点、ワーク12のドラム部26及びフランジ部28の双方を成形するうえで、軸方向に大きな幅を有する工具を径方向外側から径方向内側(軸中心)に向けて変位させてブランク40をクランプ44の外周面に押し付けることは不要である。従って、本実施例によれば、ワーク12のフランジ部28の根元近傍(すなわち、ドラム部26との接続部位近傍)に欠肉が生ずるのを抑制することができると共に、また、フランジ部28の成形を低荷重で高精度に行うことができる。このため、ワーク12のドラム部26の径方向外側でモータロータ18をフランジ部28に支持させながらカシメ固定するうえでの軸力を高めることが可能である。
図9は、本実施例のワーク成形装置10が備えるV字型ローラ78cの尖り部84の角度の相違により成形形状の違いが生ずることの要因を説明するための図を示す。図10は、フランジ成形用ローラ78dによるフランジ部28の成形の際に生ずる現象を説明するための図を示す。図11は、本実施例のワーク成形装置10によりフランジ部28を成形する手順を表した図を示す。また、図12は、本実施例においてワーク12の内周面に形成される内歯の構成図を示す。尚、図12(A)にはワーク12を側方から見た図を、また、図12(B)には図12(A)に示すA−A断面図を、それぞれ示す。
ところで、V字型ローラ78cの尖り部84の面86,88(特に、フランジ部28を成形する側である軸方向一方側の一方面86)が軸に対してなす角度(ローラ迎角)αが75°程度に設定されてV字型ローラ78cの尖り部84が比較的鋭角に形成される構造(図9(B)に示す対比構造)では、ブランク40の外端部の増肉部分が軸方向にY字状に2分割されると、その2分割された分割部位が径方向外側に立ち、その分割部位が軸に対してなす角度が大きくなり、Y字の分岐部分があまり大きな角度で広がらない。このため、かかる対比構造では、そのV字型ローラ78cがそのブランク40の分岐部分を基点として軸方向左右に移動した際にそのブランク40の分割部位(具体的には、フランジ部28を成形する側である軸方向一方側の分割部位)が軸方向に大きく引っ張られるので、フランジ部28の根元近傍に欠肉が生じ易くなる。
これに対して、本実施例において、上記のローラ迎角は、30°〜60°程度であり、例えば45°近傍に設定されて、V字型ローラ78cの尖り部84が比較的鈍角に形成される。このため、V字型ローラ78cがドラム成形工程でブランク40の分岐部分を基点として軸方向左右に移動した際に、そのブランク40の2分割された分割部位が軸方向に大きく引っ張られることは無いので、フランジ部28の根元近傍に欠肉が生じるのは抑制される。
また、フランジ部28の成形は、ドラム部26が所望形状よりも肉厚に仮成形された後、フランジ成形用ローラ78dがブランク40の軸方向一方側の分割部位のうち軸方向一方側の端部に残った肉片を軸方向一方側から軸方向他方側に向けて押圧して径方向外側へ立たせることにより実現される。ここで、ドラム部26が所望形状よりも肉厚に仮成形された状態で上記の肉片を径方向外側へ適切に立たせるためには、その肉片を軸方向一方側から軸方向他方側に向けて大きな荷重で押圧することが必要である。
この場合は、フランジ部28の成形時に、クランプ44に把持されるブランク40全体に過大な曲げモーメントが生じて(図10(A))、その後のスプリングバックによってブランク40の円筒部分(すなわち、ドラム部26となる部位)が変形するおそれがある(図10(B))。このため、ワーク12を成形する手順として、ドラム部26をドラム成形用ローラ78eを用いて本成形した後にフランジ成形用ローラ78dを用いてフランジ部28を成形するものとすると、ブランク40の円筒部分であるドラム部26が変形してその形状精度が悪化してしまう。
これに対して、本実施例においては、ワーク12を成形する手順として、ドラム部26がドラム成形用ローラ78eを用いて本成形される前に、フランジ部28がフランジ成形用ローラ78dを用いて成形される。すなわち、フランジ部28がフランジ成形用ローラ78dを用いて成形された後に、ドラム部26がドラム成形用ローラ78eを用いて本成形される。
かかるワーク成形手順によれば、フランジ部28の成形後のスプリングバッグによってブランク40の円筒部分に変形が生じたとしても、その後のドラム部28の本成形によって形状を整えることが可能である。従って、本実施例のワーク成形方法によれば、ドラム部26の形状精度が悪化したまま維持されるのを防止することができるので、成形品であるワーク12の成形精度が低下するのを防止して、ワーク12を所望形状に成形することができる。
また、本実施例においては、V字型ローラ78cを用いてドラム部26が仮成形された後、フランジ成形用ローラ78dを用いてフランジ部28が成形される前に、ドラム成形用ローラ78eを用いてブランク40の表面にフランジ部28を成形させるうえで基点となる凹み部90を形成する(図11(A))。そしてその後に、フランジ成形用ローラ78dを用いてフランジ部28を成形する(図11(B))。
上記の凹み部90は、ブランク40の軸方向一方側の端部にある肉片に対する軸方向他方側の根元近傍において他部位よりも径方向厚さを薄肉にしたものである。このため、フランジ成形用ローラ78dが軸方向他方側への移動によってブランク40の肉片を押圧してフランジ部28を成形する際に、そのブランク40の肉片が円筒部分に対して凹み部90で曲がり易くなる。ブランク40の肉片が円筒部分に対して曲がり易くなれば、その肉片を径方向外側へ適切に立たせるうえで軸方向への押圧荷重をあまり大きくする必要はなく、ブランク40全体に過大な曲げモーメントが作用することはなく、ブランク40の円筒部分の変形が抑制される。
従って、本実施例によれば、ブランク40の表面に曲げ基点となる凹み部90を形成した後に、フランジ成形用ローラ78dを用いてその凹み部90を基点として肉片を曲げてフランジ部28を成形することで、ワーク12の成形精度が低下するのを防止して、ワーク12を所望形状に成形することができる。
このようにワーク12を所望形状に成形することができれば、特に、図12に示す如く、ロータハブを構成するワーク12のドラム部26の内周面に軸中心に向けて突出するエンジントルクやモータトルクの動力伝達のための内歯92が形成されるものであっても、その内歯92の形状精度を確保することができる。この点、本実施例によれば、ドラム部26の内周面に内歯92が形成される構造に対して、内歯92の形状精度を低下させることはなく、ドラム成形用ローラ78eを用いてドラム部26を成形する際に内歯92を適切な形状に成形することができ、内歯92の形状転写性を高めることができる。このため、ワーク12のドラム部26の内周面に形成される内歯92とエンジン側やモータ側の外歯94との係合性を高めることができ、動力伝達性を向上させることができる。
また、本実施例において、ドラム成形工程で用いるドラム成形用ローラ78eは、上記の如く、クランプ44の中心軸を挟んで対向配置された、軸方向一方側の端面と径方向外側の端面との接続部位(角部)近傍の尖り度が異なる2種類のドラム成形用ローラ78e−1,78e−2からなる。この角部尖り度は、第2ドラム成形用ローラ78e−2の方が第1ドラム成形用ローラ78e−1の方に比べて大きい。また、ブランク40の成形加工時、第2ドラム成形用ローラ78e−2は、第1ドラム成形用ローラ78e−1に比べて、ブランク40に接する表面である径方向外側の端面がクランプ44の中心軸側に寄り、かつ、上記接続部位が軸方向一方側に寄るものとなる。
このため、本実施例によれば、フランジ成形用ローラ78dによるフランジ部28の成形後、ドラム成形用ローラ78eによるドラム成形時に、V字型ローラ78cにより仮成形されたブランク40のドラム部26を、角部近傍の尖り度が異なる2種類のドラム成形用ローラ78e−1,78e−2によりクランプ44の中心軸方向により大きく押し付けることができるので、フランジ部28の根元近傍への肉片の充填を適切に行うことができ、その根元近傍の欠肉を軽減することができる。
また、ドラム成形用ローラ78eによるドラム成形を2種類のドラム成形用ローラ78e−1,78e−2を用いて段階的に行うことができるので、2種類のドラム成形用ローラ78e−1,78e−2をクランプ44の軸方向に移動させることで、ドラム部26を無理なく軸方向に引き延ばすことができ、ドラム部26を所望の径方向厚さに精度良く薄肉化することができる。
また、本実施例においては、V字型ローラ78cによるブランク40の増肉部位の2分割後、V字型ローラ78cがブランク40の軸方向中央寄りから軸方向両外側に移動されることで、ブランク40の2分割した両分割部位それぞれが軸方向外側に倒されながら引き延ばされる。また、フランジ部28の成形後、ドラム成形用ローラ78eがブランク40のフランジ部28に対する軸方向他方寄りから軸方向他方側に移動されることで、ブランク40の円筒部位が更に軸方向他方側に引き延ばされる。
このため、本実施例によれば、ワーク12が、ドラム部26に対してスポーク部24が接続される軸方向位置とフランジ部28が接続される軸方向位置とのオフセット量が比較的大きい所望形状に成形されるときにも、フランジ部28の根元近傍に欠肉を生じさせることなく、ドラム部26及びフランジ部28の成形を適切に行うことが可能である。
また、本実施例においては、ブランク40の外端部が増肉された後、V字型ローラ78cの尖り部84がそのブランク40の外端部に形成された増肉部位の軸方向略中央に接触されることで、その増肉部位が軸方向に略等分で2分割される。このため、ワーク12において、スポーク部24を挟んで軸方向両側それぞれの部位の容積を略同じにすることが可能である。尚、ワーク12において、スポーク部24を挟んで軸方向両側それぞれの部位の容積の比率を予め定められたものとするうえでは、上記の増肉部位を軸方向に2分割する軸方向位置を、その比率に応じて設定するものとすればよい。
更に、本実施例においては、スポーク部24とドラム部26とフランジ部28とを有するワーク12の成形完了後、サブスライド装置64,74を用いてサブクランプ62,72をメインクランプ60,70に対して軸方向移動させることによって、メインクランプ60,70の径方向外側にサブクランプ62,72を挿入して隣接させる状態を形成する。かかる状態が形成されると、成形が完了したワーク12がメインクランプ60,70から払い出される。
従って、本実施例によれば、ワーク12の成形完了時にそのドラム部26がメインクランプ60,70の外周面に嵌ったときにも、そのワーク12の、メインクランプ60,70からの払い出しを自動的に行うことができるので、上記したワーク12の嵌った状態を解消させるのに作業者による作業を不要とすることができ、製造時間や製造コストの低減を図ることができる。
尚、上記の実施例においては、クランプ44が特許請求の範囲に記載した「把持部材」に、増肉ローラ78aが特許請求の範囲に記載した「第1工具」に、溝80が特許請求の範囲に記載した「凹部」に、V字型ローラ78cが特許請求の範囲に記載した「第2工具」に、ドラム成形用ローラ78eが特許請求の範囲に記載した「第3工具」及び「第5工具」に、フランジ成形用ローラ78dが特許請求の範囲に記載した「第4工具」に、それぞれ相当している。
ところで、上記の実施例においては、フランジ部28の成形前にブランク40の表面に形成するそのフランジ部28を成形させるうえで基点となる凹み部90を、ドラム部26を本成形するうえで用いるドラム成形用ローラ78eを用いて形成することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、凹み部90の成形とドラム部26の本成形とを別々のローラを用いて行うこととしてもよい。
また、上記の実施例においては、ブランク40の外径に合わせたクランプ44の外径の可変を、サブスライド装置64,74を用いてメインクランプ60,70の径方向外側にサブクランプ62,72を隣接させるか否かを切り替えて2段階で行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、3段階以上で行うこととしてもよい。
また、上記の実施例においては、フランジ成形用ローラ78dを、クランプ44の軸に直交する方向に平行に延びる軸を有するように円柱状に形成し、軸方向他方側の端部がクランプ44の軸に直交する方向に略直線状に延びるように形成することとし、ワーク12の成形完了後のフランジ部28を、軸方向一方側の面がクランプ44の軸方向に向くように成形することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジ成形用ローラ78dを円錐状に形成し、軸方向他方側の端部がクランプ44の軸に対して斜めに延びるように(具体的には、軸方向他方側の端部がフランジ部28の根元側から先端側にかけてより軸方向一方側或いは逆により軸方向他方側に位置するように、すなわち、自ローラ78dの軸中心からの外径がフランジ部28の根元側から先端側にかけて小さく或いは逆に大きくなるように)形成することとし、ワーク12の成形完了後のフランジ部28を、軸方向一方側の面がクランプ44の軸方向に対して斜めを向くように成形することとしてもよい。
また、フランジ成形用ローラ78dを、自ローラ78dの軸中心からの外径がフランジ部28の根元側から先端側にかけて大きくなる円錐状に形成する場合は、ワーク12の成形中におけるそのワーク12のフランジ部28とフランジ成形用ローラ78dとの接触面内における速度の差を吸収することができるので、その接触面における相対すべりを抑えることができる。
更に、フランジ成形用ローラ78dを、自ローラ78dの軸中心からの外径がフランジ部28の根元側から先端側にかけて大きくなる円錐状に形成する場合において、そのフランジ成形用ローラ78dを、軸方向他方側の端部がクランプ44の軸に直交する方向に略直線状に延びるように形成するためには、すなわち、ワーク12の成形完了後のフランジ部28を軸方向一方側の面がクランプ44の軸方向に向くように成形するためには、そのフランジ成形用ローラ78dを、円錐の軸がクランプ44の軸に対して斜めに交わるように配置することとすればよい。かかる変形例によれば、ワーク成形中におけるワーク12のフランジ部28とフランジ成形用ローラ78dとの接触面における相対すべりを抑えつつ、ワーク成形完了後のフランジ部28を軸方向一方側の面がクランプ44の軸方向に向くように成形することが可能となる。
また、上記の実施例においては、クランプ44の径方向外側に配置されたローラ78をクランプ44の軸回りに公転させることで、ローラ78とクランプ44とをクランプ44の中心軸回りに相対回転させつつその相対回転に従動してローラ78を自転させながら、クランプ44により把持されるブランク40を塑性変形させてワーク12の成形を行うこととしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ78をクランプ44の軸回りに公転させることなくすなわちローラ78のクランプ44軸回りの位置を固定しつつ、ブランク40を把持するクランプ44を軸回りに回転させることで、ローラ78とクランプ44とをクランプ44の中心軸回りに相対回転させつつその相対回転に従動してローラ78を自転させながら、そのブランク40を塑性変形させてワーク12の成形を行うこととしてもよい。
また、上記の実施例においては、クランプ44の主軸側マンドレル46側においてワーク12のフランジ部28を成形し、かつ、心押し側マンドレル48側においてワーク12のドラム部26を成形することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、逆に、クランプ44の主軸側マンドレル46側においてワーク12のドラム部26を成形し、かつ、心押し側マンドレル48側においてワーク12のフランジ部28を成形することとしてもよい。
また、円柱状のマンドレル46,48は、その外側面に径方向外側に向けて突出する突起部が設けられるものではない。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、マンドレル46,48の外側面に径方向外側に向けて突出する突起部を設けるものとしてもよい。この突起部は、マンドレル46,48の外側面の、ブランク40が接触し得る軸方向先端箇所に設けられるものであり、ワーク成形加工中にブランク40に噛み込まれる。尚、この突起部は、両マンドレル46,48の何れか一方にのみ設けられてもよいが、両マンドレル46,48共に設けられてもよい。
かかる変形例によれば、例えば図12に示す如くドラム部26の内周面に内歯92が形成されるワーク12を成形加工するうえでローラ78の径方向内側(軸中心側)への押し付け荷重が大きくなり、クランプ44とブランク40との間に作用するねじり応力が大きくなっても、クランプ44がブランク40を把持する把持力を確保することができるので、成形加工中にブランク40がマンドレル46,48に対して滑るのを防止することができ、ワーク成形精度の悪化を防止することができる。
更に、上記の実施例は、ロータシャフトを構成するワーク12を成形するものに適用するものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロータシャフトを構成するワーク12以外のものに適用することとしてもよく、また、モータ装置14以外のものに適用することとしてもよい。