以下、図面を参照して、本発明にかかる撮像ユニットの実装構造および製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる実装構造を備えた撮像ユニットの一構成例を示す模式図である。図2は、図1に示す撮像ユニットのA−A線断面模式図である。図1,2に示すように、この実施の形態1にかかる撮像ユニット1は、被写体の画像を撮像する固体撮像素子2と、固体撮像素子2をフリップチップ実装するプリント配線基板3と、固体撮像素子2とプリント配線基板3とを固定する接着剤4と、この固体撮像素子2に対して被写体からの光の透過する孔付透光性部材5と、孔付透光性部材5とプリント配線基板3とを固定する接着剤6と、孔付透光性部材5に形成された貫通孔5aを閉塞する封止剤7とを備える。
固体撮像素子2は、CCDまたはCMOSイメージセンサ等に例示されるベアチップ状の半導体素子であり、被写体からの光を受光して被写体の画像を撮像する撮像機能を有する。具体的には、固体撮像素子2は、サブストレート等のチップ基板上に、被写体からの光を受光する受光部2aと、撮像動作を実行するための駆動回路が形成された駆動回路部2bと、駆動回路部2bと電気的に接続された複数の突起電極2cとを備える。
受光部2aは、格子形状等の所定の形状に配置される画素群およびマイクロレンズ等を用いて実現される。受光部2aは、固体撮像素子2のチップ基板上の所定位置に形成され、駆動回路部2bは、この受光部2aの周辺に形成される。
複数の突起電極2cの各々は、固体撮像素子2のチップ基板に形成された配線(図示せず)を介して駆動回路部2bと電気的に接続された複数の電極パッドの各々に形成される。これら複数の電極パッド(図示せず)は、例えばチップ基板の対向する2辺または4辺等、駆動回路部2bの周辺に形成される。
上述したような構成を有する固体撮像素子2は、プリント配線基板3上にフリップチップ実装される。具体的には、図2に示すように、固体撮像素子2は、プリント配線基板3の実装面に塗布された接着剤4を介し、プリント配線基板3の開口部3aと受光部2aとを対向させてプリント配線基板3上にフリップチップ実装される。なお、このプリント配線基板3の実装面は、上述した固体撮像素子2の突起電極2cと電気的に接続される複数の電極パッドが形成された基板面である。
このようにプリント配線基板3に対して固体撮像素子2をフリップチップ実装することによって、固体撮像素子2は、プリント配線基板3に対して固定されるとともに、複数の突起電極2cは、プリント配線基板3の回路配線と電気的に接続される。このようなフリップチップ実装後の固体撮像素子2において、受光部2aは、後述する孔付透光性部材5等を介して被写体からの光を受光し、この受光した光を光電変換処理する。駆動回路部2bは、受光部2aによって光電変換処理された信号をもとに被写体の画像信号を生成し、この生成した画像信号を複数の突起電極2cを介してプリント配線基板3側に出力する。
プリント配線基板3は、上述した固体撮像素子2の撮像機能を実現するための回路および配線がパターン形成された単層構造または多層構造の回路基板である。また、プリント配線基板3には、図2に示すように、固体撮像素子2の受光部2aに対応して開口部3aが形成され、開口部3aの周辺には、このパターン形成された配線を介して回路と電気的に接続された複数の電極パッド(図示せず)が形成される。
開口部3aは、固体撮像素子2の受光部2aに対応して設計された開口寸法、すなわち、受光部2aの大きさに対して所定以上に大きい開口寸法を有し、この受光部2aに対する被写体からの光の入射を可能にする。なお、このような開口部3aを有するプリント配線基板3の実装面には、上述したように、受光部2aと開口部3aとを対向させた態様で固体撮像素子2がフリップチップ実装される。
なお、プリント配線基板3は、外力の印加によって容易に変形可能である柔軟なフレキシブル回路基板であってもよいし、フレキシブル回路基板に比して変形し難いリジッド回路基板であってもよい。また、プリント配線基板3の材質は、ガラス繊維強化エポキシまたはポリイミド等の樹脂であってもよいし、セラミックまたは金属であってもよい。
接着剤4は、上述した固体撮像素子2とプリント配線基板3とを確実に固定するためのものであり、例えば、エポキシ系、フェノール系、シリコン系、ウレタン系またはアクリル系等の絶縁性接着剤である。
このような接着剤4は、図2に示すように、固体撮像素子2の実装面(すなわち突起電極2cが形成された基板面)とプリント配線基板3の実装面との間に介在し、この固体撮像素子2の周囲に沿って裾野形状を形成した状態で硬化される。この結果、接着剤4は、固体撮像素子2とプリント配線基板3とを接着して、固体撮像素子2とプリント配線基板3との実装強度、すなわち、固体撮像素子2の各突起電極2cとプリント配線基板3の各電極パッドとの接合強度を所定の規定強度以上にする。また、接着剤4は、このような固体撮像素子2とプリント配線基板3との間隙を閉塞することによって、この間隙を介しての受光部2aへの異物混入および不要光の入射を防止する。
なお、接着剤4は、上述した絶縁性接着剤に限定されず、異方導電性接着剤であってもよい。この場合、接着剤4は、上述した固体撮像素子2のフリップチップ実装において、固体撮像素子2とプリント配線基板3とを接着するとともに、このフリップチップ実装された固体撮像素子2の各突起電極2cとプリント配線基板3の各電極パッドとを各々電気的に接続する。
孔付透光性部材5は、所定の位置に貫通孔5aが形成された透光性部材であり、被写体からの光に対して透明なガラス、アクリル等の樹脂、ローパスフィルタ、IRカットフィルタ、レンズまたはプリズム等の光学部材を用いて実現される。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる撮像ユニットの孔付透光性部材の一構成例を示す模式図である。なお、図3には、図2の方向Bから見た孔付透光性部材5が模式的に示されている。図2,3に示すように、孔付透光性部材5は、接着剤6を介してプリント配線基板3に接着する接着領域C1と、プリント配線基板3に接着された状態において開口部3aと対向する透光領域C2とを有する。接着領域C1は、プリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する際に接着剤6を行き渡らせる領域である。一方、透光領域C2は、プリント配線基板3にフリップチップ実装された状態の固体撮像素子2の受光部2aに向けて被写体からの光を透過する領域である。
また、孔付透光性部材5には、上述したように貫通孔5aが形成される。貫通孔5aは、図2,3に示すように、孔付透光性部材5の接着領域C1によって囲まれる領域の内側であって、透光領域C2の外側に形成される。より具体的には、貫通孔5aは、この接着領域C1と透光領域C2とによって挟まれた矩形の狭間領域の隅部に形成される。
このような貫通孔5aは、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する際、図2に示す撮像ユニット1の内部空間10と撮像ユニット1の外部空間とを連通する連通孔として機能する。ここで、内部空間10は、図2に示すように、フリップチップ実装後の固体撮像素子2(具体的には固体撮像素子2および接着剤4)と、プリント配線基板3と、孔付透光性部材5と、接着剤6とによって囲まれる中空空間である。すなわち、貫通孔5aは、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する際に、この内部空間10に連通して内部空間10の圧力の上昇を抑制する。
なお、このような貫通孔5aを有する孔付透光性部材5は、接着剤6を介してプリント配線基板3に接着することによって、固体撮像素子2の受光部2aへの光透過性を損なうことなく、プリント配線基板3の開口部3aを閉じる。
接着剤6は、プリント配線基板3に孔付透光性部材5を固定するためのものである。具体的には、接着剤6は、上述したプリント配線基板3における固体撮像素子2の実装面とは反対側の基板面に、開口部3aを囲むように塗布される。このように塗布された接着剤6は、この基板面と孔付透光性部材5の接着領域C1との間に介在し、この孔付透光性部材5によって押圧される。この結果、基板面上の接着剤6は、接着領域C1の全てに行き渡り、最終的に、孔付透光性部材5の外周部分に裾野形状を形成しつつ無端状になって、開口部3aを包囲する。その後、この無端状の接着剤6は、紫外線照射処理等によって硬化され、この結果、プリント配線基板3の基板面と孔付透光性部材5の接着領域C1とを接着、固定する。
封止剤7は、孔付透光性部材5の貫通孔5aを少なくとも液密に閉塞する閉塞部材として機能する。具体的には、封止剤7は、図1に示すように、貫通孔5aの内部に充填され、その後、所定の硬化処理によって硬化される。このように硬化された封止剤7は、気密且つ液密に貫通孔5aを閉塞し、この結果、撮像ユニット1の内部空間10(図2参照)は、撮像ユニット1の外部空間に対して気密且つ液密に密閉される。このような封止剤7は、貫通孔5aを介しての内部空間10(具体的には受光部2a)への異物混入および液体浸入を防止する。
なお、封止剤7は、エポキシ系、フェノール系、シリコン系、ウレタン系またはアクリル系等の熱硬化型の封止剤であってもよいし、紫外線硬化型の封止剤であってもよいが、いずれの場合であっても、貫通孔5aから内部空間10側へ液垂れしない程度に高い粘性を有することが望ましい。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる撮像ユニット1の製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる撮像ユニットの製造方法の一例を示すフローチャートである。図5は、プリント配線基板に固体撮像素子をフリップチップ実装する状態を示す模式図である。図6は、プリント配線基板に孔付透光性部材を接着する状態を示す模式図である。図7は、プリント配線基板に接着した後の孔付透光性部材の貫通孔部分を示す断面模式図である。図8は、孔付透光性部材の貫通孔に封止剤を充填する状態を示す模式図である。
本発明の実施の形態1にかかる撮像ユニット1を製造する場合、図4に示すように、まず、固体撮像素子2の突起電極2cを形成する(ステップS101)。このステップS101において、固体撮像素子2のチップ基板に形成された各電極パッドに、ワイヤボンディング方式、めっき方式、または印刷方式等の所定の形成方式によって、突起電極2cを形成する。
なお、突起電極2cは、ワイヤボンディング方式によって形成された金または銅等のスタッドバンプであってもよいし、めっき方式によって形成された金、銀、銅、インジウムまたは半田等の金属バンプであってもよい。また、突起電極2cは、金属ボールまたは表面に金属めっきを施した樹脂ボールであってもよいし、印刷等によってパターン形成された導電性接着剤であってもよい。
つぎに、上述したように突起電極2cが形成された固体撮像素子2をプリント配線基板3に実装する(ステップS102)。このステップS102において、接着剤4を介してプリント配線基板3の実装面に固体撮像素子2をフリップチップ実装する。
具体的には、まず、プリント配線基板3の実装面に、開口部3aを囲むように適量の接着剤4を塗布する。続いて、図5に示すように、プリント配線基板3の開口部3aと固体撮像素子2の受光部2a(図2参照)とを対向させて、プリント配線基板3上の接着剤4に固体撮像素子2を接着する。この場合、接着剤4が塗布されたプリント配線基板3の実装面に固体撮像素子2を押し付けて、プリント配線基板3の各電極パッド(図示せず)に突起電極2cを電気的に接続する。その後、熱圧着処理、超音波処理、または紫外線照射処理等の所定の硬化処理を行って接着剤4を硬化し、これによって、接着剤4を介してプリント配線基板3の実装面と固体撮像素子2とを接着、固定する。
つぎに、上述したように固体撮像素子2を実装した後のプリント配線基板3に、孔付透光性部材5を接着するための接着剤6を塗布する(ステップS103)。このステップS103において、まず、プリント配線基板3の実装面とは反対側の基板面、すなわち、固体撮像素子2が実装されていない側の基板面を上方に向け、この基板面に、開口部3aを囲むように接着剤6を塗布する。これによって、接着剤6は、例えば図6に示すように、開口部3aの周囲に無端状に塗布される。
続いて、この塗布した接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する(ステップS104)。このステップS104において、図6に示すように、プリント配線基板3上の接着剤6に対して孔付透光性部材5の接着領域C1(図3参照)を面的に押圧する。これによって、この接着領域C1の全域に接着剤6を行き渡らせて、プリント配線基板3と孔付透光性部材5とを接着する。この場合、プリント配線基板3と孔付透光性部材5との間に介在する接着剤6は、孔付透光性部材5の外周部分に裾野形状を形成しつつ無端状になって、開口部3aを包囲する。
ここで、上述したようにプリント配線基板3に接着した孔付透光性部材5の貫通孔5aは、図7に示すように、プリント配線基板3の開口部3aと対向しない状態であり、且つ、内部空間10に連通する。なお、この内部空間10は、固体撮像素子2とプリント配線基板3と孔付透光性部材5と接着剤4,6とによって囲まれた中空空間である。
その後、上述したようにプリント配線基板3と孔付透光性部材5との間に介在する接着剤6を硬化する(ステップS105)。このステップS105において、接着剤6は、例えば紫外線照射処理によって硬化する。この結果、プリント配線基板3の基板面と孔付透光性部材5の接着領域C1とは、接着剤6を介して固定される。
つぎに、プリント配線基板3上の孔付透光性部材5の貫通孔5aを閉塞する(ステップS106)。このステップS106において、図8に示すように、孔付透光性部材5の貫通孔5aの位置にディスペンサ11の吐出口を合わせて、貫通孔5a内部に閉塞部材として機能する封止剤7を充填する。この場合、貫通孔5aから内部空間10に封止剤7が溢れ出ないようにディスペンサ11を操作して、封止剤7の充填量(吐出量)を適量に調整する。その後、加熱処理または紫外線照射処理等を行って、貫通孔5a内の封止剤7を硬化する。この結果、封止剤7は、気密且つ液密に貫通孔5aを閉塞する。
上述したステップS101〜S106の各製造工程を順次行うことによって、図1,2に示した実装構造を有する撮像ユニット1を製造することができる。このように製造された撮像ユニット1は、デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラを始め、被検体の臓器内部を観察するための内視鏡、撮像機能を備えた携帯電話機等、各種態様の電子撮像装置に内蔵することができる。
ここで、上述したステップS104においてプリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する際の貫通孔5aの作用について説明する。図9は、孔付透光性部材の貫通孔の作用を説明するための断面模式図である。なお、図9の破線矢印は、気体の流れを示す。
ステップS104においてプリント配線基板3に接着する孔付透光性部材5には、図3に示したように接着領域C1によって囲まれる領域内に貫通孔5aが形成されている。このような貫通孔5aは、図9に示すように、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着すると同時に内部空間10から気体を外部に排出し、これによって、内部空間10の圧力上昇を抑制する。このような貫通孔5aによる圧力抑制作用によって、プリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する際に過度な気体圧力が接着剤6に印加されることを防止でき、これによって、接着剤6に気泡が発生することを防止できる。
この結果、接着剤6内の気泡によるプリント配線基板3と孔付透光性部材5との接着強度の劣化を防止でき、これによって、撮像ユニット1の製造工程におけるプリント配線基板3と孔付透光性部材5との接着強度を規定の必要強度に維持でき、さらには、接着剤6内の気泡から派生した貫通孔からの異物混入の防止および撮像ユニット1の製造不良率の低減(歩留まり向上)を図ることができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、固体撮像素子の受光部と対向するように形成されたプリント配線基板の開口部を囲む接着剤を介して、このプリント配線基板における固体撮像素子の実装面の反対側の基板面に、予め貫通孔を形成した孔付透光性部材を接着するようにし、且つ、このプリント配線基板の開口部を通して固体撮像素子の受光部と孔付透光性部材の透光領域とを対向させるとともに、この貫通孔を包囲する孔付透光性部材の接着領域に、このプリント配線基板上の接着剤が無端状に行き渡るように構成した。
このため、接着剤を介してプリント配線基板と孔付透光性部材とを接着してプリント配線基板の開口部を閉じる際、固体撮像素子とプリント配線基板と孔付透光性部材と接着剤とによって囲まれる中空の内部空間と外部空間とを、この孔付透光性部材の貫通孔を介して連通させることができる。これによって、この貫通孔を通してこの内部空間から気体を排出して内部空間の圧力上昇を抑制しつつ、接着剤を介してプリント配線基板に孔付透光性部材を接着することができる。
これによって、プリント配線基板と孔付透光性部材との間の接着剤に過度な気体圧力が印加されることを防止して、この接着剤内部に気泡(ボイド)が発生することを防止できる。この結果、接着剤を介して容易にプリント配線基板と孔付透光性部材とを接着できるとともに、接着剤内の気泡から派生した貫通孔からの異物混入の防止と、撮像ユニットの製造工程におけるプリント配線基板と孔付透光性部材との接着強度の劣化とを防止でき、さらには、撮像ユニットの歩留まり向上を図ることができる。
また、本発明の実施の形態1では、孔付透光性部材において、接着領域の内側であって透光領域の外側に貫通孔を形成するように構成した。このため、この貫通孔を閉塞する封止材等の閉塞部材が孔付透光性部材の透光領域内に位置することがなく、この結果、貫通孔内部の閉塞部材に起因して、透光領域を通した固体撮像素子の受光部への光の入射が阻害されることを防止でき、固体撮像素子の撮像機能の阻害を防止できる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、孔付透光性部材5に単一の貫通孔5aが形成されていたが、この実施の形態2では、孔付透光性部材に複数の貫通孔が形成され、これら複数の貫通孔を通して撮像ユニットの内部空間の気体を置換するようにしている。
図10は、本発明の実施の形態2にかかる実装構造を備えた撮像ユニットの一構成例を示す模式図である。図11は、図10に示す撮像ユニットのA−A線断面模式図である。図10,11に示すように、この実施の形態2にかかる撮像ユニット21は、上述した実施の形態1にかかる撮像ユニット1の孔付透光性部材5に代えて、予め複数の貫通孔5a〜5dが形成された孔付透光性部材25を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
孔付透光性部材25は、予め複数(例えば4つ)の貫通孔5a〜5dが形成された透光性部材であり、これら4つの貫通孔5a〜5dが形成されたこと以外、上述した実施の形態1における孔付透光性部材5と同様である。
図12は、本発明の実施の形態2にかかる撮像ユニットの孔付透光性部材の一構成例を示す模式図である。なお、図12には、図11の方向Bから見た孔付透光性部材25が模式的に示されている。図11,12に示すように、孔付透光性部材25は、実施の形態1における孔付透光性部材5と同様に接着領域C1および透光領域C2を有する。
また、孔付透光性部材25には、上述したように4つの貫通孔5a〜5dが形成される。4つの貫通孔5a〜5dの各々は、図12に示すように、孔付透光性部材25の接着領域C1によって囲まれる領域内であって、透光領域C2の外側に形成される。より具体的には、貫通孔5a〜5dの各々は、この接着領域C1と透光領域C2とによって挟まれた矩形の狭間領域の隅部に形成される。
これら4つの貫通孔5a〜5dは、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材25を接着する際、上述した実施の形態1における貫通孔5aの場合と同様に、図11に示す撮像ユニット21の内部空間10と撮像ユニット21の外部空間とを連通する連通孔として機能する。すなわち、貫通孔5a〜5dは、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材25を接着する際に、この内部空間10に連通して内部空間10の圧力の上昇を抑制する。
さらに、これら4つの貫通孔5a〜5dは、撮像ユニット21の内部空間10の気体置換処理を可能にする通気口として各々機能する。具体的には、貫通孔5a〜5dのうちの一つ、例えば貫通孔5aは、例えば不活性ガス等の所定の気体を内部空間10に注入するための注入口であり、残りの貫通孔5b,5c,5dは、この内部空間10から気体を排出する排気口である。
なお、これら4つの貫通孔5a〜5dにおける注入口と排気口との関係は、上述したものに限定されない。すなわち、貫通孔5b,5c,5dのうちのいずれかを注入口にし、貫通孔5aを含む残りの貫通孔を排気口にしてもよい。
このような4つの貫通孔5a〜5dを有する孔付透光性部材25は、実施の形態1の場合と同様に接着剤6を介してプリント配線基板3に接着することによって、固体撮像素子2の受光部2aへの光透過性を損なうことなく、プリント配線基板3の開口部3aを閉じる。
なお、この実施の形態2において、封止剤7は、上述した孔付透光性部材25の貫通孔5a〜5dを少なくとも液密に閉塞する閉塞部材として機能する。具体的には、封止剤7は、図10に示すように、貫通孔5a〜5dの各内部に充填され、その後、所定の硬化処理によって硬化される。
このように硬化された封止剤7は、気密且つ液密に貫通孔5a〜5dの各々を閉塞し、この結果、撮像ユニット21の内部空間10(図11参照)は、撮像ユニット21の外部空間に対して気密且つ液密に密閉される。このような封止剤7は、貫通孔5a〜5dを介しての内部空間10(具体的には受光部2a)への異物混入および液体浸入を防止する。
つぎに、本発明の実施の形態2にかかる撮像ユニット21の製造方法について説明する。図13は、本発明の実施の形態2にかかる撮像ユニットの製造方法の一例を示すフローチャートである。図14は、プリント配線基板に孔付透光性部材を接着した状態を示す断面模式図である。図15は、撮像ユニットの内部空間の気体を置換する状態を示す模式図である。図16は、撮像ユニットの内部空間の気体置換処理における気体の流れの一例を示す断面模式図である。
本発明の実施の形態2にかかる撮像ユニット21を製造する場合、図13に示すように、まず、実施の形態1におけるステップS101と同様に固体撮像素子2の突起電極2cを形成し(ステップS201)、次いで、実施の形態1におけるステップS102と同様にプリント配線基板3に固体撮像素子2を実装する(ステップS202)。
つぎに、実施の形態1におけるステップS103と同様にプリント配線基板3に接着剤6を塗布し(ステップS203)、次いで、実施の形態1におけるステップS104と同様に、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材25を接着する(ステップS204)。
このステップS204において、孔付透光性部材25における4つの貫通孔5a〜5dは、図14に示すように、プリント配線基板3の開口部3aと対向しない状態であり、且つ、内部空間10に連通する。なお、この内部空間10は、固体撮像素子2とプリント配線基板3と孔付透光性部材25と接着剤4,6とによって囲まれた中空空間である。
その後、実施の形態1におけるステップS105と同様に、プリント配線基板3と孔付透光性部材25との間に介在する接着剤6を硬化し(ステップS205)、次いで、固体撮像素子2とプリント配線基板3と孔付透光性部材25と接着剤4,6とによって囲まれた内部空間10の気体を所定の気体に置換する(ステップS206)。
具体的には、このステップS206において、図15に示すように、注入口としての貫通孔5aから不活性ガスを注入するとともに、排気口としての貫通孔5b,5c,5dから内部空間10の気体を排出して、この内部空間10の気体置換処理を行う。
ここで、この気体置換処理において、貫通孔5aから注入された不活性ガスは、図16に示すように、接着剤4,6の内壁面および固体撮像素子2の受光部2aの表面等、開口部3aを介して内部空間10の全域に隈なく行き渡り、最終的に、内部空間10に充満する。一方、最初に内部空間10を充満していた空気等の気体は、この貫通孔5aからの不活性ガスによって押し流されて、貫通孔5b,5c,5dを介して内部空間10から排出される。
このような貫通孔5aからの不活性ガスの注入処理および貫通孔5b,5c,5dからの排気処理を十分行うことによって、内部空間10の気体は、不活性ガスに置換される。これと同時に、内部空間10に存在していた異物は、受光部2aの表面等から吹き飛ばされ、最終的に、貫通孔5b,5c,5dを介して内部空間10から排出される。
その後、実施の形態1におけるステップS106と同様に、プリント配線基板3上の孔付透光性部材25における全ての貫通孔5a〜5dを閉塞する(ステップS207)。このステップS207において、図8に示したディスペンサ11等の所定の装置を用い、実施の形態1の場合と同様の手法によって、孔付透光性部材25の貫通孔5a〜5dの各内部に封止剤7を充填し、充填後の封止剤7を硬化する。この結果、封止剤7は、気密且つ液密に貫通孔5a〜5dを閉塞する。
上述したステップS201〜S207の各製造工程を順次行うことによって、図10,11に示した実装構造を有する撮像ユニット21を製造することができる。このように製造された撮像ユニット21は、デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラを始め、被検体の臓器内部を観察するための内視鏡、撮像機能を備えた携帯電話機等、各種態様の電子撮像装置に内蔵することができる。
ここで、ステップS204においてプリント配線基板3に接着する孔付透光性部材25には、図12に示したように接着領域C1によって囲まれる領域内に貫通孔5a〜5dが形成されている。これらの貫通孔5a〜5dは、上述した実施の形態1の場合と同様に、接着剤6を介してプリント配線基板3に孔付透光性部材25を接着すると同時に内部空間10から気体を外部に排出し、これによって、内部空間10の圧力上昇を抑制する。この結果、実施の形態1の場合と同様に、プリント配線基板3に孔付透光性部材5を接着する際に過度な気体圧力が接着剤6に印加されることを防止でき、これによって、接着剤6に気泡が発生することを防止できる。
また、これらの貫通孔5a〜5dは、図16に示したように、内部空間10への不活性ガスの注入処理および内部空間10の排気処理を可能にし、これによって、内部空間10の当初の気体を不活性ガスに置換することができる。この結果、排気しつつ内部空間10から異物を除去できるとともに、内部空間10の湿度および酸素濃度を低減することができ、これによって、受光部2a等の酸化または結露に起因する固体撮像素子2の機能劣化を防止することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、固体撮像素子の受光部と対向するように形成されたプリント配線基板の開口部を囲む接着剤を介して、このプリント配線基板における固体撮像素子の実装面の反対側の基板面に、予め複数の貫通孔を形成した孔付透光性部材を接着するようにし、且つ、これら複数の貫通孔を包囲する孔付透光性部材の接着領域に、このプリント配線基板上の接着剤が無端状に行き渡るようにし、その他を実施の形態1と同様に構成した。
このため、上述した実施の形態1の場合と同様の作用効果を享受するとともに、固体撮像素子とプリント配線基板と孔付透光性部材と接着剤とによって囲まれる中空の内部空間と外部空間とを、この孔付透光性部材における複数の貫通孔を介して連通させることができ、これによって、この内部空間の気体を、不活性ガス等の当初の内部気体に比して低湿度且つ低酸素濃度の気体に置換できる。これによって、実施の形態1の場合と同様にプリント配線基板と孔付透光性部材との間の接着剤内部に気泡が発生することを防止できるとともに、この内部空間の湿度および酸素濃度を低減でき、この結果、受光部の酸化または結露等による固体撮像素子の機能劣化を防止できる。
また、本発明の実施の形態2では、孔付透光性部材において、接着領域の内側であり且つ透光領域の外側である矩形の狭間領域の四隅に貫通孔を形成しているので、不活性ガスの注入口としての貫通孔と排気口としての貫通孔との離間距離を可能な限り大きくすることができる。これによって、撮像ユニットの内部空間に不活性ガスを隅々まで行き渡らせることができ、この結果、この内部空間に不活性ガスを容易に充満させて、この内部空間の湿度および酸素濃度を容易に低減できる。
なお、上述した実施の形態1,2では、孔付透光性部材において、接着領域C1と透光領域C2とに挟まれた矩形の狭間領域の隅部分に貫通孔が形成されていたが、これに限らず、孔付透光性部材の貫通孔は、接着領域C1によって囲まれる内側の領域に形成されればよく、例えば、透光領域C2内に形成されてもよい。この場合、透光領域C2内の貫通孔は、孔付透光性部材と同様の光学特性(屈折率等)を有する閉塞部材によって閉塞すればよい。
また、上述した実施の形態1では、孔付透光性部材5において、接着領域C1と透光領域C2とに挟まれた矩形の狭間領域の隅部分に貫通孔5aが形成されていたが、これに限らず、貫通孔5aは、例えば図17に示すように、この狭間領域の辺部分に形成されてもよい。
さらには、孔付透光性部材5における接着領域C1と透光領域C2との狭間領域は、上述した矩形の領域に限らず、環形状等の所望の形状の領域であってもよい。また、孔付透光性部材5には、複数の貫通孔が形成されてもよい。
一方、上述した実施の形態2では、孔付透光性部材25において、接着領域C1と透光領域C2とに挟まれた矩形の狭間領域の隅部分に貫通孔5a〜5dが形成されていたが、これに限らず、複数の貫通孔が孔付透光性部材に形成されていればよい。例えば図18に示すように、孔付透光性部材25における接着領域C1と透光領域C2との狭間領域の隅部分に、2つの貫通孔5a,5bが形成されてもよい。この場合、気体の注入口としての貫通孔5aと排気口としての貫通孔5bとの離間距離Dは、可能な限り大きいことが望ましい。何故ならば、離間距離Dが大きいほど、上述した内部空間10の気体を容易且つ確実に置換できるからである。
さらには、孔付透光性部材25における接着領域C1と透光領域C2との狭間領域は、上述した矩形の領域に限らず、環形状等の所望の形状の領域であってもよい。また、孔付透光性部材25に形成される貫通孔の数量は、複数に限らず、単一であってもよい。この場合、孔付透光性部材25における単一の貫通孔を介して、上述した内部空間10の気体を吸引し、内部空間10を十分に減圧状態(例えば真空状態)にし、その後、この単一の貫通孔を介して内部空間10に不活性ガス等の所定の気体を注入すれば、上述した実施の形態2の場合と同様の気体置換処理を達成できる。
また、上述した実施の形態2では、撮像ユニット21の内部空間10の気体を不活性ガスに置換していたが、これに限らず、ハロゲンガス、ドライエアー、窒素ガス等の少なくとも空気に比して低湿度の気体であればよい。あるいは、上述したステップS206において内部空間10の気体を吸引し、内部空間10を減圧状態(例えば真空状態)にしてもよい。
さらに、上述した実施の形態1,2では、孔付透光性部材の貫通孔に樹脂等の封止剤を充填して、液密且つ気密に貫通孔を閉塞していたが、これに限らず、充填タイプ以外の閉塞部材によって孔付透光性部材の貫通孔を閉塞してもよい。
図19は、孔付透光性部材の貫通孔を閉塞する閉塞部材の変形例1を示す模式図である。図20は、孔付透光性部材の貫通孔を閉塞する閉塞部材の変形例2を示す模式図である。孔付透光性部材5,25の貫通孔(例えば貫通孔5a)は、図19に示すように、蓋タイプの閉塞部材15によって液密且つ気密に閉塞されてもよいし、図20に示すように、通気性および非透水性を有するフィルム状または繊維状の微多孔性部材等の通気非透水性部材16によって液密に閉塞されてもよい。
ここで、図20に示すように通気非透水性部材16によって孔付透光性部材5,25の貫通孔を閉塞した場合、撮像ユニット1,21の内部空間10と外部空間との通気性を維持しつつ、液密に内部空間10を閉塞することができる。このため、内部空間10の気体圧力と外気圧とを常時一定に保つことができ、これによって、撮像ユニット1,21を使用する外部環境の気圧変化に合わせて、内部空間10の気体圧力を容易に変化させることができる。この結果、例えば山頂等の高所に例示される低気圧環境または水中等の高気圧環境であっても、内部空間10の気体圧力と外気圧とを一定に保つことができ、これによって、内部空間10の気体の膨張または収縮に起因する撮像ユニット(具体的には孔付透光性部材、固体撮像素子、プリント配線基板等)の反りを抑制することができる。
また、上述した実施の形態1,2では、孔付透光性部材の貫通孔に樹脂等の封止剤を充填して貫通孔を閉塞していたが、これに限らず、加熱処理等によって貫通孔部分を溶解して貫通孔を閉塞してもよい。図21は、貫通孔部分の溶解処理によって貫通孔を閉塞する状態を示す模式図である。図21に示すように、孔付透光性部材5,25の貫通孔(例えば貫通孔5a)の周囲に加熱溶解可能な突起部17を形成し、加熱装置によって突起部17を溶接して貫通孔を閉塞してもよい。この場合、孔付透光性部材5,25の突起部17の材質は、ケイ酸塩ガラス等の通常のガラスに比して融点が低いプラスチック等の光学部材であることが望ましい。
さらに、上述した実施の形態1,2では、孔付透光性部材の貫通孔を閉塞していたが、これに限らず、孔付透光性部材の貫通孔を閉塞しなくてもよい。この場合、固体撮像素子の受光部への光の入射が可能な窓が形成された筐体等の所定の構造体の内部に、本発明にかかる撮像ユニット自体を少なくとも液密に収納すればよい。
また、上述した実施の形態1,2では、孔付透光性部材の貫通孔の形状が円筒形状であったが、これに限らず、孔付透光性部材の貫通孔の形状は、矩形状または楕円形状等の所望の形状であってもよい。さらに、この貫通孔の断面形状は、図2等に例示したような出入り口の径が同様のものに限らず、テーパ形状であってもよい。例えば図22に示すように、孔付透光性部材5,25の貫通孔(例えば貫通孔5a)の断面形状は、内部空間10側から外側に向けて広口になるテーパ形状であってもよい。これによって、上述した封止剤7等の閉塞部材を貫通孔に充填する場合にディスペンサの吐出口と貫通孔との位置あわせを容易に行えるようになり、貫通孔の閉塞工程を容易に行うことができる。さらには、貫通孔から置換用の気体を内部空間10に容易に注入できるようになる。
一方、孔付透光性部材5,25の貫通孔(例えば貫通孔5a)の断面形状は、図22に示したものとは逆に、外側から内部空間10側に向けて広口になるテーパ形状であってもよい。さらには、孔付透光性部材に複数の貫通孔が形成される場合、これら複数の貫通孔は、断面形状が全て同様のテーパ形状のものであってもよいし、異なる態様のテーパ形状を組み合わせたものであってもよいし、断面がテーパ形状であるものとテーパ形状以外であるものとの組み合わせであってもよい。
なお、断面がテーパ形状の貫通孔を孔付透光性部材に形成する場合、外側が広口のテーパ形状(図22参照)の貫通孔を気体の注入口とし、内部空間10側が広口のテーパ形状の貫通孔を排気口にすることが望ましい。これによって、内部空間10に対する気体の注入および排気が容易になり、この結果、内部空間10の気体を容易に置換することができる。
一方、上述した実施の形態2では、孔付透光性部材25における4つの貫通孔5a〜5dのうちの一つを気体の注入口とし、残りを排気口にしていたが、これに限らず、孔付透光性部材25に形成された複数の貫通孔のうちの1以上の貫通孔を気体の注入口とし、この注入口以外の残りの貫通孔を排気口にしてもよい。
また、上述した実施の形態1,2では、プリント配線基板と孔付透光性部材とを接着する接着剤6が、紫外線照射処理によって硬化する紫外線硬化型の接着剤であったが、これに限らず、上述した接着剤6は、エポキシ系、フェノール系、シリコン系、ウレタン系またはアクリル系等の熱硬化型の接着剤であってもよい。