JP2015028227A - 乾式紡糸装置、不織布製造装置、および紡糸方法 - Google Patents

乾式紡糸装置、不織布製造装置、および紡糸方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015028227A
JP2015028227A JP2013218288A JP2013218288A JP2015028227A JP 2015028227 A JP2015028227 A JP 2015028227A JP 2013218288 A JP2013218288 A JP 2013218288A JP 2013218288 A JP2013218288 A JP 2013218288A JP 2015028227 A JP2015028227 A JP 2015028227A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spinning
nozzle
substrate
yarn
air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013218288A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5535389B1 (ja
Inventor
佐藤 仁
Hitoshi Sato
仁 佐藤
茂夫 藤井
Shigeo Fujii
茂夫 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
REMEDIO CORP
Original Assignee
REMEDIO CORP
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by REMEDIO CORP filed Critical REMEDIO CORP
Priority to JP2013218288A priority Critical patent/JP5535389B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5535389B1 publication Critical patent/JP5535389B1/ja
Publication of JP2015028227A publication Critical patent/JP2015028227A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】長時間連続的に紡糸可能な乾式紡糸装置、上記乾式紡糸装置による紡糸から長時間連続的に不織布を製造可能な不織布製造装置および紡糸方法を提供する。【解決手段】ブロア10と、紡糸ノズル31、面内に複数のエアノズル40が区画形成された分流基板9、およびブロア10から吹き出された上記加圧ガスをエアノズル40に導く給気路11aが設けられた吐出部本体と、糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構(赤外線ヒーター15)と、を備え、紡糸ノズル31は、ノズル本体43と、ノズル本体43の内部に形成されて紡糸原液を流通させる原液流通孔42aと、を有し、複数のエアノズル40に対して一または複数の紡糸ノズル31がそれぞれ対応して配置されており、ノズル本体43の先端はエアノズル40を突き出ていないよう乾式紡糸装置1を構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、紡糸原液をノズルから気相に吐出し、糸前駆体を乾燥して紡糸する乾式紡糸装置、上記乾式紡糸装置を用いる不織布製造装置、および紡糸方法に関する。
乾式紡糸装置は、紡糸原液の一部または全部を溶媒に溶解させて吐出孔より吐出して糸前駆体を形成し、該糸前駆体中に含有される溶媒を乾燥させて紡糸する装置として知られる。紡糸原液は、吐出孔より吐出されるとともに、加圧ガス流の気流によって糸条に延伸されることが一般的である。
たとえば特許文献1には、原液パイプから供給した紡糸原液をノズルから吐出し、不活性ガスが流れる紡糸筒内で上記紡糸原液と不活性ガスとを接触させて紡糸する乾式紡糸装置の発明(以下、「従来技術1」ともいう)が提案されている。より具体的には、以下のとおりである。即ち、従来技術1として、2以上のノズル端部が、不活性ガスが流れ込む均圧室から突出した状態で隣接している。そして該ノズル端部から吐出された紡糸原液と、均圧室から通気溝を通過して紡糸筒内に流れ込む高温の不活性ガスとが、該紡糸筒内で接触する構成が開示されている(特許文献1図1など)。
従来技術1は、上記高温の不活性ガスの影響を避け、ノズルから吐出される前の紡糸原液の温度を適温に保つために、ノズルに原液を送るための原液パイプの周囲を冷却管内に収納する構成が採用されている。
また特許文献2には、可食性で水溶性高分子のプルランを用いて不織布を製造する技術が開示されている。そして、不織布を製造する中間段階として、含水プルラン繊維流を形成する技術(以下、「従来技術2」ともいう)が示されている。従来技術2には、プルラン水溶液あるいはプルラン溶融液を紡糸ノズルから吐出すると同時に紡糸ノズル廻りに設けられたエアノズルからブロアで供給された高圧の空気が下向きに吹き付けられて、含水プルラン繊維流が形成されることが記載されている。そして、含水プルラン繊維流は、これに平行して設けられた赤外線ヒーターにより加熱され、繊維中の水分が蒸発除去されることが開示されている。
特許文献2図1には、紡糸ノズル先端が、エアノズル内部に位置する態様が示されている。また同図2(a)には、複数の紡糸ノズルが直線的に配列されており、各紡糸ノズルが、複数の独立したエアノズル内にそれぞれ位置する態様(以下、「独立エアノズル態様」ともいう)が示されている。また同図2(b)には、複数の紡糸ノズルが直線的に配列されており、該複数の紡糸ノズルは、一の横長のエアノズル内に位置する態様(以下「単一エアノズル態様」ともいう)が示されている。
尚、乾式紡糸装置により紡糸された糸を用いて、連続的に不織布製造する技術が知られている(例えば特許文献2)。
特開平7−189014号公報 特開昭61−75861号公報
本発明者らは、長時間連続的に紡糸することを観点に乾式紡糸装置について検討を行った。その結果、一バッチ処理の場合には問題がない紡糸装置において、長時間連続的に運転した場合に、スムーズな紡糸が困難である場合があることがわかった。
具体的な問題の例としては、以下のことが挙げられる。
即ち、従来技術1のごとく、ノズルおよび不活性ガスが吹き出す通気溝を含む装置の吐出部本体の外面側に該ノズルが突出する場合、ノズルより吐き出された糸前駆体が縒れて糸切れし、切れた糸前駆体がノズル先端に付着し易いという問題があった。ノズル先端の汚染は、その後のスムーズな紡糸の妨げとなる。また、糸切れしないまでもノズル先端から吐出された直後に糸前駆体が上流方向に跳ね返り、ノズル先端またはその周囲に付着する場合があった。
また、従来技術2の一つの態様として示される単一エアノズル態様のごとき、単一のエアノズルを備え、該エアノズル内に複数の紡糸ノズルが並列する態様には以下のような問題がある。即ち、並列する複数の紡糸ノズルから吐出された糸前駆体(含水プルラン繊維流)が、エアノズル内を通過する高圧の気流の僅かな乱れにより縒りやすい。その結果、隣り合う糸前駆体同士が付着し、整然とした紡糸が妨げられる場合があることがわかった。また紡糸ノズルより吐出された糸前駆体の糸切れ、糸前駆体同士の縒りなどが観察される場合もあった。また従来技術2においても、紡糸ノズルから吐出された糸前駆体は、糸切れしないまでもノズル先端から吐出された直後に糸前駆体が上流方向に跳ね返り、ノズル先端またはその周囲に付着する虞があった。
一方、従来技術2の態様として示される独立エアノズル態様のごとき、各紡糸ノズルが、複数の独立したエアノズル内にそれぞれ位置する態様では、エアノズル内において隣り合う糸前駆体同士の付着は発生しない。しかしながら上記独立エアノズル態様においても、長時間連続運転を行うと、紡糸ノズルより吐出された糸前駆体の糸切れ、エアノズル外での糸前駆体同士の縒りなどが観察され、スムーズな紡糸が妨げられる場合があることがわかった。
また長時間連続運転により発生する上記問題は、従来技術1および従来技術2における単一エアノズル態様においても同様に問題となる。
また、乾式紡糸装置による紡糸から連続的に不織布を製造する技術の確立が求められている。該不織布製造装置に関しても、上記紡糸装置の課題に連動し、長時間連続して不織布を製造困難な場合があった。したがって、長時間連続して不織布を製造することが可能な不織布製造装置の提供が期待される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、長時間連続的に紡糸可能な乾式紡糸装置を提供することを目的とする。また上記乾式紡糸装置による紡糸から長時間連続的に不織布を製造することを可能とする不織布製造装置を提供するものである。本発明は上記課題に鑑み、長時間連続的に紡糸可能な紡糸方法を提供することを目的とする。
本発明の乾式紡糸装置は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および上記ブロアから吹き出された上記加圧ガスを上記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、上記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、上記紡糸ノズルは、ノズル本体と、上記ノズル本体の内部に形成されて上記紡糸原液を流通させる原液流通孔と、を有し、複数の上記エアノズルに対して一または複数の上記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置されており、上記ノズル本体の先端は上記エアノズルを突き出ていないことを特徴とする。
また、本発明の不織布製造装置は、本発明の乾式紡糸装置と、上記乾式紡糸装置により紡糸された糸を捕集する可動式捕集面とを備えることを特徴とする。
また、本発明の紡糸方法は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および上記ブロアから吹き出された上記加圧ガスを上記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、上記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、複数の上記エアノズルに対して一または複数の上記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置された乾式紡糸装置を用い、上記紡糸ノズルのノズル本体の内部に設けられた原液流通孔に上記紡糸原液を流通させるとともに、上記エアノズルの下流側の開口より手間で上記ノズル本体の先端から上記紡糸原液を吐出させて上記糸前駆体を形成し、形成された上記糸前駆体を、上記エアノズルを流通する上記加圧ガスの風圧により下流方向に導いて上記エアノズルの上記開口より排出させ、次いで、上記エアノズルの上記開口より排出した上記糸前駆体を上記加熱機構により加熱することによって糸を紡糸することを特徴とする。
本発明の乾式紡糸装置よび紡糸方法によれば、ブロアのブロア圧に変動があった場合においても、加圧ガスは、整流が促される。これにより長時間連続的な運転により紡糸が可能となる。
本発明の乾式紡糸装置および紡糸方法によれば、ブロアのブロア圧に変動があった場合においても、紡糸ノズルから吐出形成された糸前駆体が紡糸途中において切断されることを防止する。これにより長時間連続的な運転により紡糸が可能となる。
また、本発明の不織布製造装置は、長時間連続的に不織布を製造することが可能となる。
本発明の乾式紡糸装置を備える不織布製造装置を説明する模式図である。 本発明の乾式紡糸装置における紡糸原液吐出部分の一実施態様を示す分解斜視図である。 本発明の乾式紡糸装置の一実施態様における部分拡大概略断面図である。 本発明の乾式紡糸装置の一実施態様における紡糸ノズル上流側を説明する説明図である。 本発明の不織布製造装置における可動式捕集面の態様を説明するための説明図である。 本発明の乾式紡糸装置に用いられる紡糸ノズルの一態様を示す拡大断面図である。 本発明の第二実施態様における乾式紡糸装置を説明する模式図である。 本発明の第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置の紡糸原液吐出部分を示す分解斜視図である。 図8において矢印A方向から観察したときのノズル基板の側面図である。 本発明の第三実施態様における乾式紡糸装置を説明する模式図である。 図11Aは、本発明の乾式紡糸装置の第三実施態様に用いられる紡糸ノズル基板の斜視図であり、図11Bは、図11Aに示す紡糸ノズル基板を矢印B方向から観察した側面図である。 本発明の第三実施態様において設けられる送風部から送風される風の風向を説明する説明図である。 本発明の第四実施態様にかかる乾式紡糸装置の一の例を説明する模式図である。 図14Aは、本発明の第五実施態様にかかる三層構造の積層体の例を示す斜視図であり、図14Bは、本発明の第五実施態様にかかる五層構造の積層体の例を示す斜視図である。 図14Aに示す積層体の分解斜視図である。 本発明の第四実施態様にかかる乾式紡糸装置の他の例を説明する部分斜視図である。 本発明の乾式紡糸装置の第一実施態様の変形例における部分拡大概略断面図である。 本発明の乾式紡糸装置に用いられる紡糸ノズルの一態様を示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施態様を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
また本明細書において説明する種々の実施態様において示される各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜、互いに組み合わせ可能である。つまり本明細書において任意の一の実施態様において示される任意の構成は、他の実施態様に適宜用いることができる。
また以下に示す図面は、図示容易化あるいは説明容易化のために、実際の寸法比率を適宜変更する場合がある。したがって、図面示される各構成の寸法比率は、本発明を限定するものではない。
はじめに、本実施態様の乾式紡糸装置1の概要について説明する。
本実施態様の乾式紡糸装置1は、糸前駆体12を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロア10と、吐出部本体と、加熱機構とを備える。上記吐出部本体は、紡糸原液を吐出して糸前駆体12とする紡糸ノズル31、面内に複数のエアノズル40が区画形成された分流基板9、ブロア10から吹き出された加圧ガスをエアノズル40に導く給気路11a、および給気路11aの途中に設けられた貯留部44が内部に形成されている。上記加熱機構は、糸前駆体12に含有された溶媒を加熱除去するためのものである。
紡糸ノズル31は、ノズル本体43と、ノズル本体43の内部に形成されて紡糸原液を流通させる原液流通孔42と、を有し、複数のエアノズル40に対して一または複数の紡糸ノズル31がそれぞれ対応して配置されている。
ノズル本体43の先端はエアノズル40を突き出ず、かつノズル本体43の周側面の少なくとも一部が貯留部44の内部に露出している。そして貯留部44に導入された加圧ガスがノズル本体43の周側面で整流されエアノズル40により分流されて糸前駆体12を延伸することを特徴とする。ノズル本体43の先端が、エアノズル40を突き出でないとは、エアノズル40の下流側の開口よりも、外側にノズル本体43の先端が位置しないことを意味する。ノズル本体43の先端は、エアノズル40の下流側の開口と略同位置あるいはさらに上流側に位置する。具体的には、ノズル本体43の先端は、エアノズル40の下流側の開口と略同位置、エアノズル43を備える分流基板9の厚み内、エアノズル40の上流側の開口と略同位置、またはエアノズル40の上流側の開口よりさらに上流側のいずれかに位置することができる。
本発明者らは、従来の乾式紡糸装置において、紡糸を数時間以上あるいは十数時間以上、連続的に運転することを試みた場合に、バッチでの紡糸では観察されなかった不具合が発生し、望ましく連続運転ができないことを観察した。より具体的には長時間連続的に乾式紡糸装置を運転すると、紡糸ノズルより吐出された糸前駆体の糸縒れ、あるいは、延伸性の低下、糸前駆体の糸切れなどが観察された。また特に、紡糸原液の粘度が高い場合は、紡糸原液中に粒子が含有されている場合などには、糸切れした際に、糸前駆体の端部が上方向に跳ね上がり、紡糸装置の外側面に付着してしまう場合があった。また糸切れしないまでも、吐出された直後の糸前駆体が上流側に跳ね返り、紡糸装置の外側面に付着してしまう場合も危惧される。付着の箇所によっては、ノズルから紡糸原液の吐出しや、糸前駆体の延伸に不都合を与え、運転を中止してメンテナンスを強いられる場合があった。
本発明者らは、かかる問題を以下のとおり推察した。即ち、乾式紡糸装置に設けられたブロアは、通常、一定のブロー圧で作動するよう設定されてはいるが、長時間連続的に装置を運転した場合に、ブロアのブロー圧が僅かに変動し、これにより、加圧ガスの気流の乱れが引き起こされる。上記気流の乱れは、鮮鋭に紡糸原液の延伸に影響し、紡糸が妨げられる。
そこで本発明者らは、複数のエアノズルに対して一または複数の紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置するとともにノズル本体の先端がエアノズルを突き出ない位置に配置させる構成を採用した。これにより、紡糸ノズルから吐出された直後の紡糸原液の乱れが抑制される。
また本発明者らは、複数のエアノズルを備える分流基板の上流側であって給気路の途中に、流路面積が拡大する貯留部を設け、該貯留部に加圧ガスを吹き込むこと、あるいは通過させることによって、長時間連続的に加圧ガスを整流するという技術思想に至った。特に、複数のエアノズルを備える分流基板の上流側であって給気路の途中に、紡糸ノズルの少なくとも一部の周側面が露出する貯留部を設け、該貯留部に加圧ガスを吹き込むことによって、長時間連続的に加圧ガスを整流するという技術思想に至った。
尚、本発明において述べる整流とは、加圧ガスの流れを所望の方向に整えることをいう。即ち、紡糸ノズルから吐出される紡糸原液が所望の方向に送りだされるよう、加圧ガスの気流を整えることを意味する。上記加圧ガスを整流することにより、紡糸ノズルから吐出されて形成される糸前駆体を良好に、かつ、安定して延伸させることを促進する、あるいは補助する趣旨である。
以下に、本発明の実施態様を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する場合がある。本実施態様では上下方向を規定して説明する場合があるが、この上下方向は構成要素の相対関係を便宜的に説明するためのものであり、重力方向の上下を必ずしも意味しない。
また、本発明は以下に説明する実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
[第一実施態様]
図1は、本発明の乾式紡糸装置1および、これを備える不織布製造装置21を示す説明図である。図2は、乾式紡糸装置1における紡糸原液吐出部分の一実施態様を示す分解斜視図であり、図3は、本発明の紡糸装置の一実施態様における部分拡大概略断面図である。以下において、まず、本発明の乾式紡糸装置の実施態様について説明し、その後、本発明の不織布製造装置について説明する。
図1に示す乾式紡糸装置1は、紡糸原液を投入するためのホッパー2と、ホッパー2に投入された紡糸原液をヘッド4内に導く給液管3、ヘッド4内に設けられ給液管3に連続する給液路3aを備える。給液路3aの下流側には原液室5が設けられており、紡糸ノズル31を備えるノズル基板6へと紡糸原液の流路が続く。ノズル基板6の面内に設けられる紡糸ノズル31より紡糸原液が吐出されて、糸前駆体12が形成される。
また乾式紡糸装置1は、加圧ガスを吹き出すためのブロア10と、ブロア10より吹き出された加圧ガスをヘッド4内に導く給気管11、ヘッド4内に設けられ給気管11に連続する給気路11aを備える。給気路11aの下流側には、加圧ガスが流通するための経路として、ノズル基板6に形成された図示省略される給気孔、スペーサ7、絞り板8が設けられており、さらに分流基板9に設けられた複数の図示省略されたエアノズルを通って下流側に吹き出される。
上述する乾式紡糸装置1は、ヘッド4、ノズル基板6、スペーサ7、絞り板8、分流基板9を備えて吐出部本体が構成されており、図1において図示省略される貯留部は、上記吐出部本体内部であって給気路11aの下流側に設けられる。
乾式紡糸装置1では、複数の紡糸ノズル31が、一方方向に整列しており、一つのラインをなしている(図2)。これを紡糸ノズルライン400と称する。
尚、ノズル基板6、スペーサ7、絞り板8、および分流基板9については、図2を用いて後述する。また貯留部については、図3を用いて後述する。
ヘッド4は、給液路3a、給気路11a、および原液室5を含む筐体である。ただし、形状は矩形状であることに限定されるものではない。ヘッド4を構成する上記筐体を形成する材料は特に限定されないが、アルミ材を選択することにより、軽量性、熱伝導性などの観点で有利である。
ヘッド4は、任意で冷却機構が設けられていてもよい。上記冷却機構は、ヘッド4の内部の空気雰囲気の温度を適切な温度範囲まで冷却するためのものである。本発明の乾式紡糸装置1は、上述のとおりブロア10より吹き出された加圧ガスが、給気路11aを通じてヘッド4の内部を通過する。ここで、乾式紡糸装置1の長時間連続運転の検討により、乾式紡糸装置1は長時間連続運転するにつれてブロア10から吹き出される加圧ガスの温度が上昇する傾向にあることがわかった。これによりヘッド4の内部の温度も上昇し、給液路3aを流れる紡糸原液あるいは原液室5に流入した紡糸原液の温度も上昇する。上記温度の上昇は、たとえば70℃前後に至る場合もある。この結果、加圧ガスの温度上昇が、紡糸ノズル31の詰まりの原因となる得ることがわかった。したがって、ヘッド4の内部の空気温度を適切な温度範囲に調整して紡糸原液の温度上昇を防止するため、ヘッド4の内部に冷却機構を設けることは望ましい。また、同趣旨により、ヘッド4の外側に冷却機構を設け、これによってヘッド4の内部の空気温度を適切な温度範囲に調整してもよい。上記適切な温度範囲は、紡糸材料に使用される溶媒の種類などによって異なり特に限定されないが、たとえば、50℃を超えない範囲、特には45℃を超えない範囲、さらには40℃を超えない範囲と認識することができる。上記温度範囲の下限は、紡糸原液が凍結しない範囲において特に限定されない。たとえば一般的に常温として認識される温度であればよく、具体的には、10℃以上、さらには15℃以上、特には20℃以上であってよい。
ヘッド4の内部に設けられる冷却機構は、空気温度を適切な温度範囲に調整可能な構成であれば特に限定されない。
たとえば、図1に、冷却機構の一つの態様として、ヘッド4の内部を図面手前側から奥行側まで貫通する4本の冷却管110が設けられる例を示した。冷却管110は、図示省略する冷却媒体排出装置から、冷却媒体が流入される。冷却媒体は、水などの液体あるいは空気などの気体が挙げられるが特に限定されない。ヘッド4内を通過した上記冷却媒体は、ヘッド4の外部に排水または排気されてよい。あるいは冷却媒体を、冷却媒体排出装置に還流させ熱交換し、再度、冷却媒体として使用されてもよい。また図1では冷却管110を紡糸ノズル31の並び方向に沿って4本設ける態様を示したが、ヘッド4内に貫通される冷却管110の本数、および設けられる位置は特に限定されない。
また上記冷却機構の別の態様としては、ヘッド4の内部に空気などの気体である冷却媒体を流入する流入口と、ヘッド4内の空気あるいは流入された気体を排出するための排出口を設けてもよい。これによってヘッド4の内部の空気雰囲気を適切な温度範囲に調整してもよい。
いずれの冷却機構においても、ヘッド4の内部に温度センサを設け、ヘッド4の内部の空気温度が適切な温度範囲を超えたとき、自動で冷却媒体の移動が開始するよう構成してもよい。あるいは、ヘッド4の内部の空気温度を観察するための温度計をヘッド4の内部またはヘッド4の外側に視認可能に設け、温度変化に対応してマニュアルで冷却媒体の流通を開始させるよう構成してもよい。
尚、図3では、冷却管110は、図示省略している。
本発明の乾式紡糸装置1に供与される紡糸原液は、その性状、あるいは調製方法について特に限定されない。したがって、溶融物である紡糸原液を用いる場合には、本発明の乾式紡糸装置1は上記メルトブロー法(溶融紡糸方法)に用いられる紡糸装置と認識されてよい。乾式紡糸装置1がメルトブロー法に用いられる場合、紡糸材料としては熱可塑性樹脂が好適であるが、これに限定されない。
あるいは、紡糸材料を溶媒に懸濁または溶解させて調製された紡糸原液が用いられてもよい。また紡糸原液は、一部の紡糸材料が溶媒に溶解されるとともに、さらに異なる紡糸材料が懸濁されたものであってもよい。これらの紡糸原液を用いる場合、本発明の乾式紡糸装置1は溶液紡糸法に用いられる紡糸装置と認識されてよい。
特に、上記溶液紡糸法に用いられるために調整された紡糸原液は、スラリー状であることが一般的である。特にスラリー状の紡糸原液を用いる場合、本発明の乾式紡糸装置1はスラリーブロー法に用いられる紡糸装置と認識されてよい。100℃以上、特には200℃以上の高温で加熱された場合に構造が変化する紡糸材料を使用する場合には、乾式紡糸装置1が上記スラリーブロー法として用いられることが好適である。より具体的には、たとえば、ヒドロキシアパタイトを紡糸材料として用いたとき、水酸基を保持したままアパタイト繊維を紡糸することができる。即ち、上記スラリーブロー法は、ヒドロキシアパタイトの紡糸に好適である。また同様にプルランを紡糸材料とした場合にも上記スラリーブロー法は好適である。ただし乾式紡糸装置1は、プルランを紡糸材料として用い、メルトブロー法により紡糸するために用いられることを除外されるものではない。
ノズル基板6に備えられた紡糸ノズル31より気相に吐出された糸前駆体12は、断熱層13の図示省略される開口部を通過し、筐体14内をさらに通過し、紡糸される。筐体14内には、筐体14内を通過する糸前駆体の伸長方向に沿って赤外線ヒーター15が設けられており、本発明の加熱機構が構成される。糸前駆体は、内部に含有される溶媒を加熱除去されることによって紡糸され、糸17として筐体14外へと伸長する。
糸前駆体12の糸径は、紡糸ノズル31の吐出孔の口径や加圧ガスの気流速度などによって調整することができる。たとえば糸前駆体12の繊維径をより小さくしたい場合には、加圧ガスの気流速度を速くするよう調整すればよい。加圧ガスの気流速度は、ブロアの性能や調整により適宜決定することができ、特に限定されるものではない。たとえば、加圧ガスの速度は、用いられるブロアの機能にもよるが、20m/sから1000m/sの範囲で適宜決定してもよい。
たとえば、水溶性多糖類水を溶媒に溶解させてなる紡糸原液を用いた場合には、紡糸ノズル31の吐出孔の口径を100μm以上1mm以下、好ましくは200μm以上900μm以下、より好ましくは250μm以上750μm以下とすることができる。ここでいう吐出孔の口径とは、紡糸ノズル31の内部に設けられた孔の吐出側の開口径を含む。このように細径の紡糸ノズル31から吐出された糸前駆体12は、紡糸ノズル31の口径と同等あるいはそれ以下の繊維径を示し得る。紡糸原液を100質量%としたとき、紡糸原液中における溶質(即ち、多糖類原料)の量を10質量%以上30質量%以下に調整することが可能である。このような濃度の紡糸原液を用いて形成された糸前駆体12が、加熱機構(赤外線ヒーター15)において溶媒を除去されると、糸前駆体12の繊維径よりも小さい繊維径の糸17が形成される。
赤外線ヒーター15は、本発明の乾式紡糸装置における加熱機構に含まれる加熱装置の一例である。即ち、本発明における加熱機構は、紡糸ノズル31より吐出されて延伸された糸前駆体12の伸長方向に沿って設置された赤外線ヒーター15を含む。赤外線ヒーター15は、糸前駆体12に対する直接、および/または輻射で赤外線を照射することによって、糸前駆体12に含有される溶媒を加熱除去する態様を包含する。たとえば上記加熱機構には赤外線ヒーター15とともに輻射板16を備えている。これにより赤外線ヒーター15からの赤外線(遠赤外線を含む)を糸前駆体12に照射して、糸前駆体12を輻射乾燥させることができる。
加熱機構として上記赤外線ヒーター15を利用する態様では、糸前駆体12に含有される溶媒の種類によって赤外線の波長を調整してよい。例えば、加熱除去が予定される溶媒が水である場合には、赤外線ヒーター15の放射プロファイルが3μmおよび6μmの2つの極大値を持つことが好ましい。このような赤外線を糸前駆体12に照射して加熱することによって、効率良く糸前駆体12中の水溶媒を加熱除去することができる。また赤外線ヒーター15の温度は、適宜決定してよく、特に限定されない。たとえば、赤外線ヒーター15の温度を約200℃から500℃の範囲に設定するとともに、これにより加熱される糸前駆体12の温度が適温の範囲となるよう、調整することができる。また赤外線ヒーター15の温度に加え、紡糸経路の長さを調整することによっても糸前駆体12の温度を調整することができる。さらには、加熱機構に送風設備を設け、赤外線ヒーター15で加熱するとともに、糸前駆体12が適温の範囲となるよう送風により冷却してもよい。上記適温の範囲は、紡糸原液に含まれる材料の種類を勘案し適宜決定してよい。一般的には、糸前駆体12に含有されるたんぱく質の変性が起きない程度の温度範囲とすることが好ましい。より具体的には、40℃から60℃の範囲などが挙げられるが、これに限定されない。
ただし、本発明の加熱機構は、赤外線ヒーター15を利用する態様に限定されない。例えば、上記加熱機構は、筐体14内に赤外線ヒーター15以外の加熱装置が設置される態様であってよい。あるいは、上記加熱機構は、加熱装置を主たる熱源として使用せずに糸前駆体12を延伸するための加圧ガスを高温に調整して、延伸とともに加熱除去も行う態様などであってもよい。高温の加圧ガスを使用する態様では、貯留部に吹き込まれた高温の加圧ガスが、該貯留部内部に周側面を露出する紡糸ノズル内を流れる紡糸原液を乾燥させてしまうことを避けるよう留意することが望ましい。
断熱層13は、本発明において任意の構成である。特に図1に示す乾式紡糸装置1のように、加熱機構として赤外線ヒーター15などの加熱装置を用いて糸前駆体12に含有される溶媒を加熱除去する場合に、断熱層13を備えることが望ましい。
即ち、分流基板9と赤外線ヒーター15などの加熱装置との間に、紡糸ノズル31に対する赤外線ヒーター15からの熱伝導を低減する断熱層13が設けられる構成が採用されてよい。
断熱層13は、熱伝導性が小さく断熱性能が認められる部材、例えば発泡樹脂や石膏などで形成された断熱板であってよい。あるいは、冷却媒体を流路管に流通させて加熱装置と分流基板9との間の空気雰囲気を冷却し、実質的に加熱装置からの熱伝導を回避する断熱層であってもよい。
尚、上記「熱伝導を低減する」という表現には、熱伝導を低減した結果、実質的に熱伝導がゼロとなる状態を包含する。
上記加熱装置は、紡糸ノズル31から吐出された糸前駆体12に対して加熱を施すため、主として糸前駆体12に対し熱伝導が及ぶ。しかしながら、本発明者らの検討によれば、長時間連続的に乾式紡糸装置1を運転する場合には、加熱装置から紡糸ノズル31に向けて熱が伝導され、これが紡糸原液中の溶媒を乾燥させる場合があることがわかった。この結果、紡糸原液の濃度が不要に高くなり、紡糸ノズル31の詰まりや、スムーズな糸前駆体12の吐出しが困難になる場合がある。したがって、このような問題を回避するために、断熱層13を設けることは望ましい。
また断熱層13の効果をより一層高めるために、以下の構成が採用されてよい。即ち、断熱層13として、分流基板9と赤外線ヒーター15との間に固定された断熱板を備えてもよい。分流基板9と断熱板との間、および/または断熱板と赤外線ヒーター15との間に、外気との換気可能な空気層22が設けられてもよい。ここで、空気層22が外気と換気可能であるとは、この空気層22が、エアノズル40と異なる連通路で乾式紡糸装置1の雰囲気空気と連通していることをいう。
上記空気層22は、もっぱら一部または全部が外気に開放された層であることが望ましい。このような空気層22を設けることにより、分流基板9と断熱板との間、あるいは断熱板と赤外線ヒーター15との間に空気の流れが生じるため、熱が籠らず、所期の熱伝導の低減がより効果的に図られる。図1、図3に断熱板と分流基板9との間、および断熱板と赤外線ヒーター15を内包する筐体14との間に、隙間を設けることによって空気層22を形成した態様を示した。図3中、点線矢印は、空気層として設けられた隙間において空気が流動するイメージを示す。
断熱板は、分流基板9側の任意の構成に支持固定してもよいし、あるいは、加熱装置側の任意の構成に支持固定してもよいし、あるいは、適当な位置に断熱板を固定するための固定スタンドなどを利用してもよい。
次に、図1に示されるノズル基板6、スペーサ7、絞り板8、および分流基板9について詳説する。図2にこれらの分解斜視図を示す。
まず図2を用いて、ノズル基板6および分流基板9について説明する。
上述するとおりノズル基板6は、吐出部本体の一部を構成している。ノズル基板6は、基板本体30と、基板本体30の一方の面に設けられた複数の紡糸ノズル31とを備える。基板本体30の上記一方の面と分流基板9とは対面しており、貯留部44(図3参照)が、ノズル基板6と分流基板9との間に設けられている。
即ち、給気路11aは、加圧ガスの流路方向における単位距離当たりの容積が増大する貯留部44を有している。
本実施態様における貯留部44は、給気路11aにおいてヘッド4に連通する給気管11から直接に連続する管状の給気路111(11a)と、略直方体であって中央に紡糸ノズル31が貫通する小室の貯留部44と、が連続して設けられている。管状の給気路111(11a)と小室の貯留部44とは、不連続な段差を境界として連続している。貯留部44の流路方向(紙面左右方向)における単位距離当たりの容積は、管状の給気路111(11a)の流路方向(紙面上下方向)における単位距離当たりの容積より大きい。
管状の給気路111(11a)から貯留部44に吹き込まれた加圧ガスは放射方向あるいは流路方向以外の所定方向に拡散可能である。尚、図3において給気路11aから貯留部44に亘り示す矢印は、加圧ガスの主たる流路方向を示している。ここで流路方向とは、ブロア10からエアノズル40までの給気路11aの道のりを示す直接の伸長方向を意味する。本実施態様において貯留部44は、管状の給気路111(11a)に連続する加圧ガスの拡散空間である。
給気路11aにおいて貯留部44を備えることにより、エアノズル40に流入する前に加圧ガスのガス圧を平均化することができる。
本実施態様は、給気路11aにおいて貯留部44を設けることにより、相対的に容積の小さい領域から大きい領域に加圧ガスを流通させている。この結果、加圧ガスは貯留部44において乱流となり、速やかに貯留部44を通過せずに、一時的に貯留された状態となり得る。貯留部44に貯留された加圧ガスは、混流し、ブロア圧が乱れた場合であっても、ガス圧が平均化され得る。貯留部44の存在により、加圧ガスは、エアノズル40に流入する前にそのガス圧が平均化されるとともに整流が促される。
貯留部44は、管状の給気路111(11a)から分流基板9の手前側まで連続しており、分流基板9における複数のエアノズル40によって加圧ガスは分流される。
図2に示される基板本体30には、紡糸原液を通過させるための2以上の孔101を面内に備えており、紡糸ノズル31は、孔101に連続し孔101と紡糸原液の流れを同じくする位置に設けられている。
ただし、基板本体30における紡糸原液を通過させるための孔は、図2に示されるように、1つの孔101と1つの紡糸ノズル31とが対応する態様に限定されない。たとえば、図示省略するが、基板本体30に設けられた紡糸原液を通過させるための1つの孔に2以上の紡糸ノズルが対応していてもよい。この場合には、紡糸原液は、基板本体30に設けられた孔を通過後、あるいは、通過中に、該孔に対応する複数の紡糸ノズルによって分流される。
ノズル基板6は、本発明において、内部に紡糸原液を流通させる原液流通孔42(図3参照)とノズル本体43(図3参照)とを有する複数の紡糸ノズル31を備えるための一つの望ましい態様として理解される。ノズル基板6は、吐出部本体における紡糸ノズル31の設置を容易とし、また分流基板9面と基板本体30面とを利用し貯留部44を容易に構成可能とする等の有利な点を備える。ただし、上記吐出部本体内に紡糸ノズル31を設置する手段は、ノズル基板6に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜決定されてよい。
ノズル基板6には、基板本体30において加圧ガスの給気孔32が形成されている(図2)。給気孔32は、図1に示す給気路11aに直接または間接に通じており、貯留部44に加圧ガスを吹き込ませるための孔である。本発明において、給気孔32は、基板本体30以外の場所、例えばスペーサ7の側面等に設けられてもよい。
また給気孔32は、形成数や形成位置は特に限定されないが、貯留部44内において加圧ガスが紡糸ノズル31の周側面を利用して整流され易いよう配慮されることが望ましい。この観点から、ノズル基板6には、直列する紡糸ノズル31と並列方向に伸長する2本の給気孔32が設けられている。上記2本の給気孔32は、同一形状のスリット孔として形成されている。紡糸ノズル31およびこれに対応するエアノズル40に対して給気孔32の配置が左右均等となるよう配慮されている。
また図示省略する他の態様では、紡糸ノズル31を介して両側に均等に配置される2つの給気孔32は、それぞれの開口形状を異なるものとしてもよい。たとえば給気孔32がスリット孔の形状であるとき、2つの給気孔32は長さ方向のサイズが略同一であり、スリット幅が異なっていてもよい。上記態様は、貯留部44に吹き込まれる加圧ガスの種類が2以上である場合に特に有効である。各加圧ガスの種類に応じた異なる形状の給気孔32を設け、貯留部44内に吹き込まれる種類の異なる加圧ガスの混合状態を調整することができるからである。ここで種類の異なる加圧ガスとは、たとえば空気と、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスとの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
尚、紡糸ノズル31は、基板本体30において、一方方向に5つ整列している。ただし紡糸ノズル31の配置はこれに限定されず、数、配列構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において自由に設計されてよい。もちろん、紡糸ノズル31の数、配列構成とエアノズル40の数、配列構成とは、互いが対応するよう考慮された上、決定される。
一方、分流基板9は、面内に区画形成された複数のエアノズル40を有し、この複数のエアノズル40により加圧ガスを分流するための部材である。複数のエアノズル40を区画形成することによって、一つのエアノズル40に対し、一つまたは複数の紡糸ノズルを対応させることが可能となる。図2にて分解斜視図として示される各部材を積層させた場合に、図示される5つの紡糸ノズル31は、それぞれ、分流基板9に設けられた5つのエアノズル40と対応するよう構成されている。
尚、1つのエアノズル40に対し、2以上の紡糸ノズル31が対応する場合には、対応する紡糸ノズル31の数は特に限定されない。エアノズル40に分流される加圧ガスの気流や隣り合う紡糸ノズルの先端から吐出される糸前駆体が互いに付着しないよう配慮し、数個程度であることが望ましいく、2個から6個程度であることがより望ましい。また、エアノズル40で加圧ガスを分流することによる該加圧ガスの整流性を最大に供与する等の観点では、エアノズル40と紡糸ノズル31との対応は、1対1の関係が最も望ましい。
次に、スペーサ7について説明する。スペーサ7は、ノズル基板6と分流基板9との間に、貯留部44を設けるための部材である。
図2に示すスペーサ7は枠状体であって、基板本体30および分流基板9を直接または間接の上面および下面とし、スペーサ7の枠状体内面を側面として貯留部44が形成される。上記枠状体の開口面積および高さは、以下の2点に配慮した上、適宜決定されてよい。即ち、第一点目は、該枠状体を用いて構成される貯留部44内に、紡糸ノズル31が、その周側面の少なくとも一部を露出するよう内包されることである。第二点目は、エアノズルの加圧ガス流入側口が内包されることである。
独立した部材であるスペーサ7を用いる本態様によれば、スペーサ7を交換するだけで、貯留部44の容積を容易に変更することができる。加圧ガスの流量やガス圧に合わせて貯留部44の容積を調整するなど、乾式紡糸装置1のデザイン変更を容易に実施することができることはスペーサ7の有利な点といえる。
尚、基板本体30および分流基板9を直接または間接の上面および下面として貯留部44を構成する場合、スペーサ7は枠状体に限定されない。即ち、スペーサ7は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、貯留部44を形成する側面部を提供可能な形状の部材であればよい。
また、本発明は、基板本体30および分流基板9を直接または間接の上面および下面として貯留部44を構成する場合、独立した部材であるスペーサ7を用いることに限定されない。即ち、基板本体30面または分流基板9面の外縁付近を一周する側面部を、基板本体30面または分流基板9面から起立させて形成してもよい。
次に図2を用い、絞り板8について説明する。絞り板8は、分流基板9の貯留部44の側に、貯留部44の側からエアノズル40の先端側に向かって開口幅が小さくなる縮径部を設けられる一態様を実施するために用いられる。本態様では、上記縮径部は、後述する絞り孔36に相当し、絞り板8と分流基板9との組み合わせにより、本発明における分流基板が構成される。ただし、下記において、便宜的に分流基板9と絞り板8とは個別に説明する場合がある。
上記開口幅が小さくなるとは、給気路を加圧ガスの流路方向に向かって垂直に切断したときの当該給気路の断面積が小さくなることを意味する。
即ち、本実施態様の乾式紡糸装置1は、給気路11aが、紡糸ノズル31の側面に沿ってエアノズル40の先端位置に向かって開口幅が小さくなる縮径部を備える。
本発明において給気路11aが、紡糸ノズル31の側面に沿うとは、給気路11aが紡糸ノズル31の側面に平行に延在する場合、および紡糸ノズル31の側面のラインの延長線と交差する方向に延在する場合を含む。本実施態様では、紡糸ノズル31の側面のラインの延長線と交差する方向に延在している。
本実施態様において縮径部は、少なくとも紡糸ノズル31の中段位置から縮径が開始されており、エアノズル40の先端位置に向かって縮径している。
絞り板8は、分流基板9に積層することによって、分流基板9に上記縮径部を設けるために、中央に絞り孔36が設けられている。即ち、絞り孔36は、貯留部44の側からエアノズル40の先端側に向かって開口幅が小さくなるよう形成されている。そして、絞り板8を分流基板9上に積層したとき、絞り孔36は、全てのエアノズル40が形成されているエアノズル形成領域61を包含する大きさに形成されている。したがって絞り板8を分流基板9上に積層したとき、エアノズル形成領域61と絞り板8の上面とは高低差を有する関係にある。
縮径部である絞り孔36の存在により、貯留部44に吹き込まれた加圧ガスは、絞り孔36を介してエアノズル形成領域61に吹き込ませることができ、その後に、複数のエアノズル40から分流させることができる。したがって貯留部44に拡散していた加圧ガスを、直接にエアノズル40により分流させる場合に比べて、絞り孔36を通過させることによって、該加圧ガスの気流の整流性を促進させることが可能である。絞り孔36を介して、より効果的に加圧ガスを整流させるためには、絞り孔36の内壁37を、上面開口面積が底面開口面積より大きいテーパー状に形成しておくことが好ましい。ただし、本発明における縮径部は、テーパー形状に限定されず、1または2以上の段差を設けることによって開口幅が小さくなるよう形成されてもよい。
尚、図示省略するが、本発明は、上記縮径部が、分流基板9に直接に設けられた態様を包含する。即ち、分流基板9の貯留部44側を上側として観察したとき、分流基板9の貯留部44側において、分流基板9を貫通しない縮径部を設けてもよい。このとき、該縮径部の開口最小径の範囲内に示される領域が、複数のエアノズル40を含むエアノズル形成領域61となるよう構成する。この結果、貯留部44からエアノズル40に流れる気流を縮径部によって絞り込むことができ、上述する絞り板8を用いた態様と同様の効果を分流基板9のみで発揮させることが可能である。
尚、本発明において絞り板8は任意の構成であって、例えばスペーサ7と両面略平坦な分流基板9とを直接に積層させることを除外するものではない。加圧ガスの整流については後述するが、本発明は、貯留部44内部に露出する紡糸ノズル周側面によって貯留部44内に吹き込まれた加圧ガスを整流してエアノズルにより分流させることができる。
図2に分解斜視図として示されるノズル基板6、スペーサ7、絞り板8、および分流基板9(以下、これら4つの部材を「4つの積層部材」ともいう)は、ヘッド4に対して支持固定される。このとき、紡糸ノズル31と、これに対応するエアノズル40とは紡糸の際の糸切れなどの問題を発生させないために正確に位置合わせされることが望ましい。上記4つの積層部材のヘッド4への支持固定および紡糸ノズル31とエアノズル40との位置合わせの手段は特に限定されない。たとえば、以下の手段が1つの望ましい態様として挙げられる。
即ち、ヘッド4は、ブロア10から吹き出される加圧ガスをエアノズル40へと導く給気路11a、および紡糸原液を紡糸ノズル31へと導く給液路3aを格納している。そして、基板本体30には、位置合わせピン用孔33が2以上設けられており、かつ、ヘッド4の底板53(図3参照)には、位置合わせピン用孔33それぞれに対応する位置合わせピン用留穴55(図3参照)が設けられている。位置合わせピン用孔33および位置合わせピン用留穴55に位置合わせピン54(図3参照)を挿入することによってノズル基板6をヘッド4に対し所定の位置に位置合わせ可能である。
さらに、基板本体30および分流基板9には、互いに積層された状態で連通するボルト挿通孔41が複数設けられている。分流基板9に設けられたボルト挿通孔41の孔径が基板本体30に設けられたボルト挿通孔34の孔径より小さく形成されている。ヘッド4の底板53には、ボルト挿通孔34、41に対応する図示省略されるネジ切りされたボルト用留穴が設けられている。ボルト挿通孔34、41およびボルト用留穴にボルトを挿入することによって、ピンが挿入されたノズル基板6およびボルトが挿入された分流基板9を、ピンを使用せずボルトのみで位置合わせをする場合に比べて、高い位置精度でヘッド4に対して位置合わせ可能である。
尚、本発明における位置合わせピンは、ヘッドに対するノズル基板の位置を合わせるためのものである。したがって上記趣旨から、上記位置合わせピンは棒状体を広く包含し、具体的には、周面がフラットな、所謂ピンであってよく、あるいは位置合わせに用いられるボルトを含む。そして本発明において言う位置合わせピン用孔とは、所謂ピンまたは位置合わせ用のボルトが挿入され貫通するための孔であり、また、位置合わせピン用留穴とは、所謂ピンまたは位置合わせ用のボルトが挿入されるための留穴(止穴)である。
図3に示すとおり、本実施態様にかかる乾式紡糸装置における給気路11aは、加圧ガスの流路に対して交差する方向に起立して設けられた障壁部(第一邪魔板112、第二邪魔板114)を有する。
上記障壁部を備えることにより、給気路11aの流路面積が局所的に縮小し、加圧ガスの流速を低減させることができる。
障壁部は、加圧ガスの流路において一か所または二か所以上に設けることができる。
本実施態様は、紡糸ノズル31を介して対向する2本の給気路11aが設けられている。このように給気路11aが紡糸ノズル31に複数設けられている場合には、障壁部は、各給気路11aのそれぞれに設けることができる。本実施態様では、紡糸ノズル31を介して対向する略同形状の障壁部が対となって設けられており、複数方向から紡糸ノズル31に向けて流通する加圧ガスの流れを紡糸ノズル31の周辺においてバランスさせている。
より具体的には、本実施態様における障壁部は、加圧ガスの流れ方向を変更させる複数の邪魔板である。複数の邪魔板は、第一邪魔板112および第二邪魔板114を含む。第一邪魔板112および第二邪魔板114は、基端部から起立方向に向かうベクトルの向きが異なっている。
第一邪魔板112は、給気路11aの第一内壁面(紙面において貯留部44の上面)から第一内壁面と対向する給気路11aの第二内壁面(紙面において貯留部44の下面)に向かって延在している。
第二邪魔板114は、第一邪魔板112より下流側であって、第二内壁面から第一内壁面に向かって延在している。
第一邪魔板112と第二内壁面との間を通過する加圧ガスの第一流路面積よりも、第二邪魔板114と第一内壁面との間を通過する加圧ガスの第二流路面積の方が小さい。第一流路面積は、第一邪魔板112の起立先端から第二内壁面までの距離aに貯留部44の幅寸法(紙面奥行方向における貯留部44の寸法)を乗じることによって算出される。第二流路面積は、第二邪魔板114の起立先端から第一内壁面までの距離bに貯留部44の幅寸法(紙面奥行方向における貯留部44の寸法)を乗じることによって算出される。
障壁部として、第一邪魔板112および第二邪魔板114が設けられることによって、加圧ガスの流れを蛇行させるとともに流路面積の局所的な縮小が下流方向に向かって段階的に小さくなるため、加圧ガスの流速を減速するとともに、規定方向に整流を促進させることが可能である。
本実施態様にかかる乾式紡糸装置1は、上述のとおり、第一流路面積よりも第二流路面積の方が小さい。さらに、第二流路面積よりも、分流基板9における距離cを直径とするエアノズル40の断面積の総和が小さくなっている。図3に示すエアノズル40は、上流方向から下流方向において距離cは一定である。たとえば、図17に示す分流基板350に例示されるように、上流方向から下流方向においてエアノズル352が縮径部を構成している場合には、距離cは以下のように決定する。つまり、エアノズル352の最も上流側の直径(即ち上流側の開口における直径)を距離cとして、エアノズル352の断面積の総和を算出し、第二流路面積との大小を比較する。
本実施態様において、障壁部である第一邪魔板112、第二邪魔板114は、給気路11aに設けられた貯留部44の内部に設置されている。
第一邪魔板112は、断面略L字形状の板状体であって、流路を介して対向する貯留部44の内壁面間に亘って、紙面奥行方向に延在している。邪魔板112のL字形状の長辺が、貯留部44の上面側に沿って固定されており、L字形状の短辺が加圧ガスの流路に対して交差する方向に起立して設けられた障壁部本体となっている。
第二邪魔板114は、断面略L字状である板状体であって、流路を介して対向する貯留部44の内壁面間に亘って、紙面奥行方向に延在している点で邪魔板112と同様である。ただし、第二邪魔板114は、起立するL字短辺である障壁部本体の下流側に向く側面が、紡糸ノズル31の外側側面に沿って傾斜する傾斜面116を有する点で、邪魔板112とは異なっている。傾斜面116は、絞り板8の縮径部と連続して連続傾斜面を構成している。換言すると最も下流側に設けられた障壁部(邪魔板)の下流側に向く側面が紡糸ノズル31の外側面に沿って傾斜しており、絞り板8における縮径部と略連続して一連の傾斜面である連続傾斜面を構成している。
上記連続傾斜面が構成されることによって、加圧ガスは紡糸ノズル31に沿って流れる流路が長くなる。即ち、上記連続傾斜面によって、実質的に加圧ガスの流路方向における縮径部の距離が増大している。これにより紡糸ノズル31の先端方向に向かって加圧ガスが良好に整流され、縮径部の整流効果が増大しうる。
尚、図1あるいは図2に示されるとおり、乾式紡糸装置1は、ノズル基板6と分流基板9との間には、さらにスペーサ7および絞り板8を備えている。このようにノズル基板6と分流基板9との間に任意の他の部材が設けられ、ノズル基板6と分流基板9とともに積層され、ヘッド4に対し支持固定される場合には、これらの任意の他の部材にもボルト挿通孔35、38が設けられる。上記任意の他の部材に設けられるボルト挿通孔の孔径に比較し、分流基板9に設けられたボルト挿通孔41の孔径は小さく形成される。
即ち、分流基板9に設けられたボルト挿通孔41の孔径は他のボルト挿通孔34、35、38の孔径より小さく形成されている。一方、ヘッド4の底板53には、連通するボルト挿通孔34、35、38、41に対応する図示省略されるネジ切りされたボルト用留穴が設けられている。連通するボルト挿通孔34、35、38、41およびボルト用留穴にボルト留めすることによって、4つの積層部材をヘッド4に対し支持固定することができる。
上述する4つの積層部材のヘッド4への支持固定および位置合わせの態様は、以下の優れた点を備える。
第一に、ノズル基板6が2以上の位置合わせピン54でヘッド4に正確に位置合わせされる。
第二に、4つの積層部材それぞれに設けられるボルト挿通孔34、35、38、41のうち、分流基板9におけるボルト挿通孔41の孔径が他の孔径より小さく形成されている。そのため、ボルト留の際の位置ずれを回避し分流基板9をヘッド4に正確に位置合わせ可能とする。これに加え、分流基板9以外の他の積層部材のボルト留作業の容易化が図られる。
第三に、ノズル基板6および分流基板9がそれぞれヘッド4に対し正確に位置合わせされることから、間接的にノズル基板6および分流基板9同士も正確に位置合わせされる。
図3は、本発明の一実施態様である乾式紡糸装置1の部分拡大概略断面図である。ヘッド4の下面に、ノズル基板6、スペーサ7、絞り板8、分流基板9が順に積層され支持固定されており、これらを含む吐出部本体内に貯留部44が形成されている。ノズル基板6に設けられた位置合わせピン用孔33およびヘッド4に設けられた位置合わせピン用留穴55に位置合わせピン54が挿入されており、図示しないもう1本の位置合わせ用ピンとともにノズル基板6がヘッド4に対して位置合わせされている。
図1には示されなかった構成として、分流基板9の底面、および断熱層13の底面には、付着防止層57が設けられている。また、給液路3aから紡糸原液が流入する原液室5には、その内部に分流補助部材51が装備されている。
図3中、上記吐出部本体内における加圧ガスの気流のイメージを実線矢印で示した。即ち、図示しないブロアから吹き出された加圧ガスは、給気管11を介して給気路11aに吹き込まれる。給気路11a端部側には貯留部44が形成されており、加圧ガスは、貯留部44に吹き込まれる。貯留部44は一定の容積を示す空間であって、ここに吹き込まれた加圧ガスは、気流が緩和されガス圧が平均化される。したがって、乾式紡糸装置1の運転時にブロアのブロー圧が変動し、加圧ガスの気流の乱れが引き起こされた場合であっても、紡糸原液の延伸に影響を及ぼす前に、上記気流の乱れを解消することができる。
尚、図示省略する本発明の別の態様において、貯留部44内に、加圧ガスの気流方向に対して対向する邪魔板(バッフル)を設けてもよい。邪魔板を設けることによって、貯留部44における加圧ガスの減速および混合を容易にし、加圧ガスの圧力の時間変化を緩和してガス圧を平均化することが可能である。特に邪魔板が貯留部の内側面の対面する二つの面から互い違いに突出して設けられていてもよい。この場合には、ガス圧の平均化がより好適に図られるとともに、加圧ガスの静圧を増大させることができる。
また、貯留部44内部において、紡糸ノズル31は、その周側面の一部が露出している。そして紡糸ノズル31の先端は、絞り板8を通過し、分流基板9に設けられた一つのエアノズル40内に位置している。
かかる構成によれば、貯留部44内部に吹き込まれた加圧ガスは、上述のとおりガス圧が平均化されるとともに、上記周側面を沿ってエアノズル40方向に流れることによって、整流される。そして整流された状態の加圧ガスが、分流基板9に区画形成されたエアノズル40により分流される。このような一連の流れにより、分流基板9内において紡糸ノズル31の先端から吐出形成される糸前駆体12を良好に、かつ、安定して延伸することができる。したがって乾式紡糸装置1は、長時間連続的に運転した場合であっても、安定した紡糸の提供を可能とする。
また、紡糸ノズル31の先端がエアノズル40を付き出ていないことによれば、かりに糸前駆体が紡糸の途中で切れてしまい、上端側に跳ね上がった場合でも、紡糸ノズル31先端へ付着し難いという効果を奏する。紡糸ノズル31の先端が糸前駆体12で汚染されると、たちまちに安定した紡糸原液の吐出が妨げられる。これに対し、紡糸ノズル31の先端を、エアノズル40の吐出側開口より上流側に位置させることで、上記汚染の問題が回避され、乾式紡糸装置1の長時間連続的な紡糸に貢献する。
尚、図3では、紡糸ノズル31の先端がエアノズル40内部に位置する態様を示した。即ち、紡糸ノズル31の先端が、エアノズル40を備える分流基板9の厚み内に位置する態様を示した。かかる態様によれば、吐出された直後の糸前駆体と加圧ガスとがエアノズル40の内部において接触し、加圧ガスで周囲を覆われた状態で、糸前駆体がエアノズル40の下流側開口より外側に延伸させることができる。そのため、吐出直後の状態の不安定な糸前駆体に安定性を付加することができ、糸切れや上流側への跳ね返りを良好に防止しうる。本発明は、ノズル本体の先端がエアノズルを突き出ず、かつ該ノズル本体の周側面の少なくとも一部が貯留部の内部に露出する範囲において、上記態様に限定されない。たとえば、異なる態様として、紡糸ノズル31の先端が、エアノズル40内に入り込まず、縮径部である絞り板8の厚み内にあるか、あるいは貯留部44内に位置する態様も包含する。これらの態様であっても、貯留部44内においてガス圧が平均化された加圧ガスは、紡糸ノズル31の周側面に沿って流れることによりエアノズル40方向に向けて整流され、エアノズル40により分流される。この結果、上記異なる態様においても、良好、かつ、安定した糸前駆体の延伸が実現可能であり、長時間連続的な紡糸が可能である。
ところで図3に示すとおり、紡糸ノズル31は、ノズル本体43と、内部に形成され紡糸原液を流通させる原液流通孔42を備えて構成されている。紡糸ノズル31の頭部には、オネジ102が形成されている。一方、ノズル基板6には、紡糸原液を通過させるための孔101が備えられており、孔101は、オネジ102に対応するメネジ103が切られている。
したがって、紡糸ノズル31は、基板本体30に着脱可能に取り付けられている。
尚、図2から理解されるとおり、紡糸ノズル31は、基板本体30に対し複数設けられており、すべての紡糸ノズル31を着脱可能に取り付けてもよいし、あるいは特定の紡糸ノズル31だけを着脱可能に取り付けてもよい。
また図3では紡糸ノズル31を基板本体30に対し着脱可能とする手段として、ネジ構造を利用する態様を示したが、上記着脱可能な手段は、これに限定されない。たとえば、紡糸ノズル31の頭部と孔101とを嵌合可能に形成してもよい。紡糸ノズル31が基板本体30に対し着脱可能とすることによって、紡糸ノズル31が目詰まりを起こした場合に問題の紡糸ノズル31のみを交換することができる。あるいは、糸前駆体の繊維径を変更したい場合にノズル基板6自体を変更せずに紡糸ノズル31の一部または全部だけを交換をすることができる。
ただし、本発明は、紡糸ノズル31の基板本体に対する着脱を予定せず、紡糸ノズル31を基板本体30に一体的に形成する態様を包含する。
また、図2に示す原液流通孔42は、断面積が略一定の直筒型の形状をなしており、紡糸原液のスムーズな流通に配慮されている。ただし、原液流通孔42の形状はこれに限定されない。
本発明の乾式紡糸装置は、紡糸される糸の繊維径に関し限定されず、原液流通孔42の吐出側の孔径を調整することにより、紡糸される糸の繊維径を調整することができる。具体的には、例えば1μmから200μm程度の繊維径の糸を紡糸することができる。
ただし、紡糸原液の粘性や任意に含有される成分、形成される糸の繊維径などによっては、紡糸ノズルの目詰まりが生じ易い場合がある。かかる場合には、紡糸ノズルの紡糸原液流入側の孔径を、吐出側の孔径より大きくしノズルの細状部分を少なくした態様であってもよい。上記態様の例として、図6に示す原液流通孔42aの形状が有効である。
即ち、原液流通孔42aは、紡糸ノズル31の紡糸原液流入側の孔径(図中、両端矢印a)が、紡糸原液吐出側の孔径(図中、両端矢印b)より大きく形成される。加えて紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔104と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔105とが、段差を介して連続する形状としてよい。
ここでいう段差とは、紡糸原液流入側の孔径と紡糸原液吐出側の孔径との差異をいう。上記段差は、図6に示されるように、不連続な段差であってよい。あるいは図示省略するが、上記段差は、紡糸原液流入側の孔と紡糸原液吐出側の孔とが、連続的な傾斜によって繋がっており、この結果、両者における孔径の大小の関係が生じる態様であってもよい。
糸の繊維径を支配する紡糸ノズルの吐出側の孔径を小さくし、一方、紡糸原液流入側の孔径は大きくするという趣旨からは、本発明は、図6に示す態様に限定されない。例えば、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔104に代えて、当該部分をテーパー形状とする態様であってよい。あるいは、原液流通孔42a全体をテーパーとする態様であってもよい。
ただし、上述のとおり、紡糸される糸の繊維径が非常に小さいため、紡糸ノズル31の製造には精密さが要求される。この点を勘案すると、原液流通孔を、図6に示す、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔104と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔105とが、不連続な段差を介して連続する形状とする態様が好ましい。紡糸ノズル31の加工性が高くなり、紡糸ノズル31の製造安定性に優れるためである。
図6に示されるとおり原液流通孔42aは、紡糸ノズル31の紡糸原液流入側の孔径dが、紡糸原液吐出側の孔径eより大きく、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔とが、段差を介して連続している。
かかる構成によれば、紡糸ノズル31に流入する紡糸原液の流速を紡糸ノズル31の内部において減速させるとともに、所望の細径の糸を良好に紡糸することが可能である。
紡糸原液流入側の孔径dの寸法を相対的に大きく設計することによって、スラリー状の紡糸原液など粘性のある紡糸原液の流入をスムーズにする。
また相対的に孔径eを細くする態様によれば、紡糸ノズル31の内部における細径の距離を小さく設計することができるため、紡糸ノズル31の内部における紡糸原液の目詰まりの虞を軽減可能である。
図6に示す紡糸ノズル31は、孔径dを含む部分と孔径eを含むとが一体的に形成されている。しかし紡糸ノズル31の構成はこれに限定されず2以上の要素を組み合わせて形成されてもよい。たとえば、図示省略するが、太径である孔径dを含む上流側構成部と、細径である孔径eを含む下流側構成部とから紡糸ノズル31を構成することもできる。上記上流側構成部と、上記下流側構成部とは、互いの孔が連通するよう位置合わせして互いに固定される。固定方法は特に限定されないが、上記下流側構成部を直管状のパイプとして形成し、当該パイプの外径と、上記上流側構成分に設けられる太径である孔径dの内径とを嵌合させて互いを固定させてもよい。固定状態を安定させるために、上記上流側構成分と上記下流側構成分とを嵌合させた状態で、外側面にめっき加工を行ってもよい。
紡糸ノズル31を構成する材料は特に限定されない。たとえば、金属材料または樹脂材料から適宜選択して紡糸ノズル31を成形することができる。金属材料として、ステンレス、真鍮などを選択することにより、加工性、熱耐性の観点に優れる。また金属材料としてチタン系材料を選択することにより、紡糸ノズル31に対する糸前駆体または紡糸原液の付着を防止または低減することができるため好ましい。紡糸ノズル31を複数の要素から構成する場合には、紡糸ノズルの下流側(例えば上記下流側構成分)に位置する要素をチタン系材料で構成することが好ましい。
大径部である孔径dは小径部である孔径eに対し、1倍を超えて設計されている。孔径eに対する孔径dの寸法倍率の上限は、特に限定されないが、例えば、5倍以下とすることができる。5倍以下とすることによって孔径dと孔径eとの段差箇所における紡糸原液の乱流を充分に低減することができる。乱流を低減するという観点からは、上記寸法倍率の上限は、4倍以下であることがより望ましい。
本実施形態における好ましい紡糸ノズル31の一例として、原液流通孔42aのアスペクト比は、1:5から1:200までの範囲に含まれる比率であり、1:10から1:150までの範囲に含まれることがより好ましい。上記アスペクト比は、紡糸ノズル31の内部を伸長する原液流通孔42aの孔径に対する紡糸原液流入側の開口から紡糸原液流出側の開口までの距離(図6に示す距離L)の比率として求められる。原液流通孔42aの孔径が一律ではない場合には、最も細い孔径(最少孔径)に対する上記距離(距離L)との比率から上記アスペクト比が求められる。図6における最少孔径は、孔105における孔径eである。
例えば、図6に示す態様の紡糸ノズル31の上記アスペクト比は、小径部である孔径eに対する距離Lの比率として求められる。例えば、孔径eを(Y×100)μmに設計し、上述する孔径eに対し距離Lを510倍から200倍の範囲で設計することができる(Yは、1桁の整数である)。
上記範囲からアスペクト比が決定されてなる紡糸ノズル31は、原液流通孔42aの内部においてスムーズに紡糸原液を流通させることができるとともに、ノズル先端の目詰まりを低減させることが可能である。
また原液流通孔42aは、上流側に大径部(孔径d)を有するとともに、下流側に小径部(孔径e)を有する。大径部(孔径d)の距離(L1)を小径部(孔径e)の距離(L2)より大きく設計することが好ましい。L1とL2との比率は特に限定されないが、例えば、距離L2:距離L1=1:1.1〜1:5の範囲において決定することができる。より好ましくは距離L2:距離L=1:2〜1:4の範囲において決定することができる。かかる構成により、たとえば粘度の高いスラリー状の紡糸原液を用いた場合であっても、紡糸ノズル31の内部において紡糸原液の目詰まりを低減し、細径(例えば数百mm程度)の糸前駆体を紡糸ノズル31から吐出させることができる。上記スラリー状の紡糸原液は、メルトブローにおける紡糸原液よりも高粘度であってもよい。尚、スラリー状の紡糸原液を用いて形成された糸前駆体は、加熱機構における加熱によって溶媒が除去されることにより、たとえば最終的に100nm以上100μm以下の糸を紡糸することが可能である。
本発明に用いることのできる紡糸ノズル31の変形例を図18に示す。図18は、本発明の乾式紡糸装置1に用いられる紡糸ノズル31の一態様を示す拡大断面図である。
図18に示す紡糸ノズル31における原液流通孔42aは、下流側開口を含む先端領域において、内径が下流側に向かって拡径する孔106を有する。孔106は、細径である孔105に連続している。即ち、原液流通孔42aは、直管状であって太径である孔104、直管状であって孔104とは相対的に細径である孔105、下流側に向かって拡径する孔106が、連続している。
紡糸ノズル31の外径は、オネジ102の領域を除き、下流方向先端に向けて縮径している。これにより、紡糸ノズル31の外側面は、先細形状となっている。即ち、紡糸ノズル31の外側面は、紡糸ノズル31の先端方向に向かって傾斜している。傾斜の角度は、図18に示すように、孔104および孔105の周囲において一定であり、孔106の周囲において、42a側に僅かに屈曲している。したがって、紡糸ノズル31の外側面に沿って下流方向に流れる加圧ガスは、紡糸ノズル31の先端付近において、下流側開口に向かって吹き込むよう流路が調整されている。当該加圧ガスの流路を矢印sにより模式的に示している。
一方、細径である孔105を流通することによって下流方向に向かい直線的に流れが整えられた紡糸原液は、拡径する孔106を流通することによって、流路方向の中心より離間する方向に広がりながら吐出される。
紡糸ノズル31の下流側開口の直近において、広がりながら吐出された紡糸原液は、下流側開口に向かって吹き込む加圧ガスによって、当該広がりを抑え込まれ流路方向の中心に集束されるとともに、下流方向に向けて良好に引張される。このため、加圧ガスによって下流方向に延伸される糸前駆体の流れが良好になる。かかる構成によれば、紡糸ノズル31から吐出されてなる糸前駆体が、紡糸ノズル31の先端付近で、上流側に向けて跳ね返る現象が防止または低減され得る。尚、図18において、紡糸原液の流れ方向を矢印tにより模式的に示している。
図18に示される紡糸ノズル31において、孔105の距離(L2−L3)は、孔106の距離(L3)より大きい。孔106の距離(L3)に対する孔105の距離(L2−L3)の比率は、1倍以上2倍以下の範囲であることが好ましい。孔105の距離と孔106の距離の和である距離L2に対する、孔104の距離L1の比率は特に限定されない。例えば、距離L2:距離L1=1:1.1〜1:5の範囲において決定することができる。より好ましくは距離L2:距離L=1:2〜1:4の範囲において決定することができる。
かかる好ましい範囲において、孔105の長さおよび孔106の長さが決定されることによって、紡糸原液は、下流方向に向かって良好に流れが整えられるとともに、適度な広がりをもって上記下流側開口より吐出されやすい。
図18に示されるように、孔106の下流側開口は、紡糸ノズル31の下流側開口を構成している。孔106の下流側開口の孔径fは、孔105の孔径eよりも大きく、かつ孔104の孔径dよりも小さい。原液流通孔42aは、紡糸ノズル31に紡糸原液が流入しやすいように上流側の孔径dが最大となっている。
原液流通孔42aの下流側開口の孔径fが、原液流通孔42aの中間領域における孔径eよりも大きく設計されていることによって、紡糸ノズル31の先端における紡糸原液の目詰まりを良好に紡糸または低減することが可能である。尚、本明細書において「孔径」とは、孔の端部における開口域における口径を含む場合がある。
次に付着防止層57aについて説明する。図3に示される本発明の態様では、分流基板9の下面および断熱層13の下面に付着防止層57aが設けられている。ただし本発明における付着防止層は、図3に示される態様に限定されず、紡糸ノズル31先端より装置の設置面側にあって、かつ、装置の設置面に対面する領域に糸前駆体12の付着防止層57aを設けてよい。
乾式紡糸装置を運転すると、時折、糸前駆体の糸切れが発生する場合があることは上述のとおりである。特に紡糸原液の粘性が高い場合、あるいは紡糸原液に粉体などの任意の材料が含有されている場合、糸切れした糸前駆体は、上方向に跳ね上がる傾向にある。すると、紡糸ノズル先端より装置の設置面側にあって、かつ、装置の設置面に対面する領域に対する付着の傾向が大きい。上記付着が進行すると、糸前駆体の延伸性に望ましくない影響が生じ、あるいは、糸前駆体の伸長路を狭めるといった問題が発生する。そしてその結果、乾式紡糸装置の長時間連続的な運転が妨げられる場合がある。これに対し、紡糸ノズル31の先端より乾式紡糸装置1の設置面側にあって、かつ、該設置面に対面する領域に糸前駆体12の付着防止層57aが設けられてよい。このように糸前駆体12が付着し易い領域にあらかじめ付着防止層57を設けることによって、上記問題を防止、あるいは低減することができ、乾式紡糸装置1の長時間連続的な運転の実現に貢献する。
付着防止層57aを形成するための基材面を構成する素地よりも、付着防止層57aは、糸前駆体12との接着性、親和性の低い層であればよい。例えば、糸前駆体12との接着性、親和性の低い材料を含有する層であってよく、上記付着防止層57aを構成する材料は、用いられる紡糸原液の種類によって適宜選択して決定されてよい。一般的には、上記材料としては、チタン系材料、クロム系材料などの弁金属もしくは該弁金属の酸化物、またはテフロン(登録商標)などで知られるフッ素樹脂系材料などが有効であり、多くの種類の紡糸原液に対し、付着防止効果が期待される。付着防止層57aの形成方法は特に限定されないが、上記望ましい材料を含む原料を所望の領域にコーティングして層を形成してもよい。
また、上記付着防止層57aの趣旨から、付着防止層57aが設けられることが望ましい領域を含む部材自体を、鏡面仕上げされた金属材料もしくは樹脂材料、弁金属もしくはその酸化物、またはフッ素樹脂系材料などの糸前駆体12が付着し難い素材で形成してもよい。このとき、紡糸ノズル31先端より乾式紡糸装置1の設置面側にあって、かつ、乾式紡糸装置1の設置面に対面する領域が付着防止面となっている場合に、該付着防止面は、本発明における付着防止層57aに包含される。
尚、上記付着防止層57aに加え、糸前駆体12の付着を防止するためのその他の層あるいは面を、糸前駆体12が伸長する経路であって糸前駆体12に対面する任意の面、あるいは、紡糸ノズル31の少なくとも先端部に設けてもよい。
たとえば図3に示す乾式紡糸装置1には、断熱層13において糸前駆体12が通過するために開口した孔の内側面に付着防止層57bが設けられている。このように糸前駆体12の伸長方向に沿う面に付着防止層57bを設けることによって、糸前駆体12の流れが乱れたときにも該面に容易に糸前駆体12が付着し難くなり好ましい。
また、図3に示す乾式紡糸装置1には、断熱層13の上記孔の上端開口周囲にも付着防止層57cが設けられている。断熱層13の上面は、紡糸ノズル31の先端との距離が小さいため、付着防止層57cを設け、糸前駆体12の付着を防止することは好ましい。特に、断熱層13において糸前駆体12が通過するために開口した孔の上端開口周囲に付着防止層57cを設けることによって、糸前駆体12の付着による上記孔の開口の狭まりを回避することができる。尚、付着防止層57b、および付着防止層57cは、上述する付着防止層57aを構成する材料と同様の材料の中から適宜選択してよい。
図3に示す付着防止層57a、57b、57cは、互いに一続きの層として形成されている。
次に分流補助部材51について説明する。図3には、原液室5に装備された分流補助部材51であって、紡糸原液流入口52に最も近い部分の断面が示されている。分流補助部材51を説明するために、さらに図4を示す。
図4は、原液室5およびノズル基板6を含む、本発明の乾式紡糸装置1の部分拡大概略断面図である。原液室5の内部には、断面略円形であって、中央が太状であり、両端側にかけて径が小さく形成された分流補助部材51が、原液室5の長軸方向両側内面に支持固定されて設置されている。分流補助部材51の設置方法は、特に限定されないが、例えば、原液室の長軸方向の一方の側面部を開閉可能に構成し、該側面部より分流補助部材51の出し入れを可能とする態様であってよい。
分流補助部材51は、図3において図示されない紡糸原液のホッパーと紡糸ノズル31との間に備わる原液室5に設置される。原液室5は、紡糸原液が流入する紡糸原液流入口52と紡糸原液を紡糸ノズル31に供給する紡糸原液排出口60とを有している。そして、原液室5は、ホッパーより供給される紡糸原液を貯留し、次いで複数の紡糸ノズル31へと該紡糸原液を分流する。
分流補助部材51は、紡糸原液流入口52の付近が最も太状であり、紡糸原液流入口52からの距離が大きくなるほど細状となっている。これにより分流補助部材51と原液室5とのクリアランスは紡糸原液流入口52の付近が極小であって、紡糸原液流入口52から離れるほど大きくなっている。
乾式紡糸装置1は、区画された複数のエアノズル40とこれに対応する複数の紡糸ノズル31とを備えている。したがって、給液路3aを通って、直接または間接に紡糸原液が複数の紡糸ノズル31に分流される必要がある。紡糸原液は、水などに比べて一般的に粘性が高いため、原液室5に流入する紡糸原液の分流量が、紡糸原液流入口25に近い紡糸ノズル31と、遠い紡糸ノズル31とで、不均等となる場合がある。したがって上記不均等が懸念される場合には、原液室5に分流補助部材51を設置することにより、紡糸原液を多数の紡糸ノズル31それぞれに均等に供給することが可能となる。したがって、分流補助部材51の使用は、安定した紡糸の提供に貢献する。
本実施形態にかかる乾式紡糸装置1は、糸前駆体を介して対向する一対の電極と、電極に電流を流す電流装置と、を備える。電流装置により電極に電流が流されたとき電極間に電場が発生し、糸前駆体を帯電させることができる。
上記電極の例を図1に示す。図1に示す乾式紡糸装置1には、糸前駆体に介して対向する電極801A、801A、電極801B、801B、電極801C、801Cを備える。
即ち、3組の対となる電極が設けられている。各電極は、棒状体であって、図1において紙面手前側から奥方向に伸長している。対となる電極同士は、図示省略する電流装置により電気的に接続可能である。電極装置により電流を流すことによって、各電極対の間に電場が発生する。
本実施形態において、対となる電極は1組設けられる態様を包含するが、図1に示すように2組以上の電極対を設けることにより糸前駆体の帯電付加効果を増大させることができる。
対となる電極間を流れる糸前駆体に対し、一方の電極から正の電荷を付加させるとともに他方の電極からおよび負の電荷を付加させることによれば、正の電荷を帯びた糸前駆体と負の電荷を帯びた糸前駆体が混在させることができる。かかる場合には、正の電荷を帯びた糸前駆体と負の電荷を帯びた糸前駆体とが互いに電気的に引き合い集束する。そのため、糸前駆体の散乱が紡糸され、良好に捕集可能である。
また糸前駆体に対し、正の電荷または負の電荷のいずれかに帯電させる場合には、例えば、捕集ドラム18などの捕集手段に、糸前駆体の帯びる電荷とは異なる電荷を付加させておくとよい。これによって、正または負の電荷を帯びた捕集手段に、これとは逆の電荷を帯びた糸前駆体を電気的に引き寄せることができるため、効率よく捕集することができる。
2組以上の電極対は、糸前駆体を介して、当該糸前駆体の流れ方向において並び方向に配置されることが好ましい。
特に、電極が、加熱機構(赤外線ヒーター15)を糸前駆体が通過する加熱領域930の、糸前駆体の流れ方向における中間位置を挟んで上流側と下流側とに、それぞれ設けられることが好ましい。図1では上記中間位置を挟み上流側に電極801A、801Aが対となって設けられているとともに、下流側に電極801B、801Bが対となって設けられている。また上記中間位置に相当する位置には、電極801C、801Cが対となって設けられている。かかる配置構成によれば、上記上流側において、溶媒を多く含む糸前駆体に対し帯電させることができるとともに、相対的に溶媒含有量が減少した糸前駆体(または糸)に対し、帯電させることができる。
最後に本発明の不織布製造装置の実施の態様について、図1に示される不織布製造装置21を例に説明する。
不織布製造装置21は、上述で説明した乾式紡糸装置1と、乾式紡糸装置1により紡糸された糸17を捕集する可動式捕集面とを備える。
本発明の不織布製造装置21は、乾式紡糸装置1において発揮される効果を享受し、長時間連続的に安定した不織布製造を提供することができる。即ち、乾式紡糸装置1において形成された糸前駆体12は、赤外線ヒーター15により溶媒が加熱除去されて、糸17となる。乾式紡糸装置1により長時間連続的に安定して供給可能な糸17は、互いに内向きに回転する、可動式捕集面を備える捕集ドラム18、18間に巻き込まれて適度な圧力がかけられる。これにより糸17間が互いに交絡され不織布19が製造される。また、必要に応じて、不織布19をさらに加熱焼成して、不織布19内の水分含量を調整し、所望の不織布を製造してもよい。たとえば、不織布19を500℃から1300℃、好ましくは600℃から1200℃、より好ましくは650℃から1100℃の範囲の温度で加熱焼成することができる。これにより、不織布19内に残存する水分を消失させるとともに、バインダとして用いられたプルランなどを消失させることができる。
捕集ドラム18、18は、それぞれが円筒状の回転ロールであって、その表面が紡糸された糸17を捕集する可動式捕集面となる。捕集ドラム18の表面は、糸を捕集し、捕集された糸同士の交絡を可能とする範囲で、実質的に隙間のない面であってもよいし、網目構造になっていてもよく、またこれに限定されない。可動式捕集面を構成する部分領域は、所定の時間間隔ごとに間欠的に紡糸ノズル31に対向する。これにより、可動式捕集面に対して紡糸ノズル31から連続的に糸17を吐出することで、可動式捕集面に糸17が多層に積層される。
不織布製造装置21における可動式捕集面の異なる態様の例を図5に示す。図5(a)におけるドラムロール58は、1つの回転ロールから構成されている。円筒形の回転ロールであるドラムロール58は、回転軸を糸17の伸長方向と略垂直となるよう設置され、円筒形側面において糸17を捕集し、回転しながら一方向へと糸の束を送りだし不織布を製造する。糸17同士の交絡は、糸の束に面方向に圧力をかけるか、あるいは糸の束を適度に加熱することなどによって実施することができるが、これに限定されない。
図5(b)における回転テーブル59は、円板から構成されている。回転テーブル59は、円の一方側の面が捕集面となり、上方から伸長する糸17を捕集する。また回転テーブル59の中心は回転可能に軸支されている。円板を回転させることによって、糸17の捕集面が可動であるため、円板が一回転すると、捕集された複数の糸17が回転テーブル59上でドーナツ形状となる。つまり、可動式捕集面を構成する部分領域は、所定の時間間隔ごとに間欠的に紡糸ノズル31に対向する。これにより、可動式捕集面に対して紡糸ノズル31から連続的に糸17を吐出することで、可動式捕集面に糸17が多層に積層される。連続して糸17を捕集しながら回転テーブル59を回転させることによって、厚みのあるドーナツ形状の多層の不織布が製造される。この場合も、糸17同士の交絡を十分なものとするために、上記ドーナツ形状の不織布を適度に加熱し、あるいは圧力をかけるなどの任意の手段をさらに実施してもよい。
尚、本発明の乾式紡糸装置1により紡糸される糸の組成は特に限定されず、一般的な乾式紡糸装置に適用可能ないずれの紡糸原液を用いてもよい。
たとえば、セルロースアセテート繊維、エチレン/テトラフルオロエチレン繊維、アルミナ繊維などの合成繊維、プルラン繊維などの水溶性多糖類を用いてなる繊維などが例示される。いずれも、適当な溶剤に溶解可能であることが好ましい。もちろん、糸の物性に影響を与えなければ、一部または全部の材料が溶融した紡糸原液を用いてもよい。
また溶媒に、任意の粒子材料が混合された紡糸原液を用いて紡糸することもできる。たとえばアパタイトは、骨再生用の骨補填材として医療分野における利用が期待されている。粒子状のアパタイトを溶媒に混合させ、これを本発明の乾式紡糸装置、あるいは不織布製造装置に用いることにより、優れたアパタイト繊維、あるいはアパタイト不織布を長時間連続的に製造することが可能である。尚、アパタイト粒子を用いて紡糸原液を調製する場合には、バインダとして水溶性の繊維状高分子化合物を用いるとよい。たとえば、マルトトリオースがα−1,6−グルコキシド結合により反復結合した直鎖状グルカンであるプルラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、コラーゲン、キサンタンガム、ガーガムなどを挙げることができる。医療用材料としてアパタイト繊維、あるいはアパタイト不織布の使用を予定する場合には、無害性、十分な水溶性などの観点から、上記バインダとしては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、およびプルランが好ましく、中でもプルランのごとき多糖類であって可食性のものがより好ましい。
アパタイト粒子を用いて紡糸原液を調製する場合には、さらに適当な分散剤を用いることが好ましい。分散剤を用いた場合には、アパタイト粒子含有のスラリー状の紡糸原液を調製することが可能である。上記アパタイト粒子の分散剤は、たとえば、セラミックス用分散剤として使用可能な材料から適宜選択されてよい。上記セラミックス用分散剤のより具体的な例としては、アニオン性界面活性剤やクエン酸系分散剤などが挙げられる。また上記アパタイト粒子の分散剤として好適に使用される市販の分散剤は、たとえば、SNディスパーサント2060(サンノプコ製)などが存在する。上記市販品を含む、ポリリン酸アミノアルコール中和品などに代表される微粒子分散剤も、上記アパタイト粒子の分散剤として好適である。ただし、上記アパタイト粒子の分散剤は、本段落の記載に何ら限定されるものではない。
また本発明の乾式紡糸装置は、プルランを主原料としてプルラン繊維を紡糸することにも適する。即ち、本発明の乾式紡糸装置は、アパタイト、プルランなどの多糖類を主原料として好適に紡糸することができる。上記プルラン繊維には、本発明の乾式紡糸装置により製造された糸形状体、上記糸形状体が集合してなる集合物および不織布を含む。また本発明の乾式紡糸装置により形成された糸形状体、上記糸形状体が集合してなる集合物および不織布などを中間物として得た単繊維あるいは粉末も上記プルラン繊維に含む。
本発明により上記プルラン繊維を得るために、たとえばプルランを溶質の主体として含有する紡糸原液を用いることができ、たとえば溶質として実質的にプルランのみを含む紡糸原液を用いることもできる。上記プルラン繊維は、例えば、紡糸原液において溶質として含まれる材料を100質量%としたときに、上記材料にプルランが80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましく95質量%以上の高純度で含有された紡糸原液を用いて製造することができる。また本発明の乾式紡糸装置または紡糸方法により、実質的にプルラン100%であるプルラン繊維を提供することができる。ここで実質的に、とは、若干の保存剤や可塑剤などの一般的な充填剤を含んでよいことを意味する。
上述するプルランは多糖類の一例であって、適宜、プルラン以外の多糖類に置き換えることが可能である。たとえば、紡糸原液に含有させたときに、他の樹脂材料よりも高い粘性を示しうる多糖類、あるいは紡糸工程における加熱により変性しやすい多糖類などであっても、本発明の乾式紡糸装置によって紡糸することが可能である。
アパタイト粒子などの微粒子含有の紡糸原液は、粘度が高くなる傾向がある上、紡糸の際に糸切れがし易く、また糸切れしたときに上方向に跳ね上がる傾向にある。したがって、長時間連続的な紡糸を試みたとき、上述する課題が顕著である。しかし本発明の乾式紡糸装置および不織布製造装置であれば、以上のとおり長時間連続的に安定した紡糸が可能である。したがって本発明の実施にアパタイト粒子含有の紡糸原液を用い、アパタイト繊維あるいはアパタイト不織布を製造することによれば、本発明の効果がより顕著に示される。
[第一実施態様の変形例]
図17を用いて本発明の第一実施態様の変形例について説明する。
図17は、第一実施態様にかかる乾式紡糸装置1の変形例における部分拡大概略断面図である。図17に示すヘッド4aは、原液室5の下流開口から紡糸ノズル31まで連続する第二給液管912が設けられている。第二給液管912は、直管状の給液路であって、原液室5から各紡糸ノズル31に紡糸原液を分流するために、対応して紡糸ノズル31に設けられている。第二給液管912の下流側端部には、紡糸ノズル31を着脱可能に固定する固定部914が設けられている。図17に示す固定部914は、紡糸ノズル31の上端に設けられたオネジ102(図6参照)をねじ止めするためのメネジが第二給液管912の下流側端部における内壁面に設けられてなる。ただし固定部914はこれに限定されず、嵌合構造や係止構造など、紡糸ノズル31の上端を着脱可能に固定できる機構であれば適宜採用することができる。
ヘッド4aの内部において第二給液管912の周囲には、冷却機構916が設けられている。冷却機構916は原液室5と紡糸ノズル31との間に設けられている。冷却機構916により、ヘッド4aの内部の空気雰囲気の温度を適切な温度範囲に調整することができる。また紡糸ノズル31の温度調整を図るために、冷却機構916が、原液室5と紡糸ノズル31との間であって紡糸ノズル31寄りに設けられてもよい。たとえば、原液室5の下流側端部から、紡糸ノズル31の上流側端部までの距離の中間位置より紡糸ノズル31の上流側端部に近い位置に冷却機構916が配置することができる。紡糸ノズル31は、加熱機構からの熱を受けて予定しない加温を受ける場合があり、原液流通孔42に流通する紡糸原液が乾燥して目詰まりを起こす可能性がある。これに対し、冷却機構916を設けることによって、直接または間接に紡糸ノズル31を適温に維持し、上記目詰まりの発生を抑制することが可能である。
図17に示す冷却機構916は、紙面手前側と奥方向とに亘る冷却管あるいは冷却パイプに冷水を流通させて構成されている。冷却媒体は冷水に限定されず、例えば適温に冷やされた気体を冷却媒体として用いてもよい。たとえば、冷却機構916は、上記冷却管または上記冷却パイプをヘッドAの外部に引き出し、外部に設置された熱交換器に接続して循環路を構築し、上記循環路内に冷却溶媒を循環させることができる。尚、冷却機構916は、上述する冷却管110の態様を適宜適用することができる。
ヘッド4a内に設けられた紡糸ノズル31には、給気管11に連結された給気路11aから加圧ガスが吹き込まれる点で、上述するヘッド4と同様である。ただし、ヘッド4aにおける給気路11aは、貯留部の構成の点でヘッド4とは相違する。
即ち、図17に示されるヘッド4aにおいて、管状の給気路11a(111)は、ヘッド4aの壁部において給気管11に連結されて一方方向(紙面左右方向)に伸長する。管状の給気路11a(111)の下流方向端部は、貯留部である給気路11a(918)に接続されている。給気路11a(918)と、管状の給気路11a(111)とは、屈曲して連続している。給気路11a(918)は、管状の給気路11a(111)の伸長方向とは異なる方向(紙面上下方向)に伸長しており、両者の境界は、屈曲している。たとえば上記屈曲の角度は略90°である。
貯留部である給気路11a(918)は、複数の紡糸ノズル31が一方方向に並んでなるノズルラインの伸長方向と略同方向に流路面積が拡張した幅広の管をなしている(図示省略)。貯留部である給気路11a(918)を流路方向に対して垂直に切断した切断面は、ノズルラインの伸長方向に延在する長穴形状である。かかる給気路11aは、管状の給気路11a(111)に対し、給気路11a(918)の加圧ガスの流路方向における単位距離当たりの容積が増大している。その結果、給気路11a(918)において貯留部が構成されている。給気路11a(918)における貯留部としての作用効果は、上述する貯留部44と同様である。
給気路11a(918)は、上記ノズルラインに略平行する幅広の管形状を確保しつつ、流路方向の少なくとも中間位置から下流側端部まで、紡糸ノズル31の先端側に向けて傾斜している。したがって、加圧ガスは、給気路11a(918)に吹き込まれ、拡張した流路において混流しつつ、再度、紡糸ノズル31に向かって整流され得る。
給気路11a(918)は紡糸ノズル31まで連続している。給気路11aを流通する加圧ガスは、分流基板350におけるエアノズル352において紡糸ノズル31毎に分流される。
分流基板350に設けられたエアノズル352は、紡糸ノズル31の外側面に沿って縮径した縮径部をなしている。紡糸ノズル31の先端は、エアノズル352を下流方向に付き出ず、352の流路方向の中間位置に位置している。エアノズル352が縮径部をなすために、ヘッド4aでは、絞り板8を省略することが可能である。紡糸ノズル31の先端はエアノズル352を備える分流基板350の厚み内に位置する。
分流基板350と給気路11aとの間には、スペースを埋めるための補填板920が設けられている。補填板920は、分流基板350の上面側に位置し、給気路11aに沿った傾斜面を有している。補填板920により給気路11aが安定に支持されるともに、外気温度が直接に給気路11aの内部を通過する気体に影響することを回避することができる。
エアノズル352の上流側開口には、加圧ガスの流路に対して交差する方向に起立して設けられた障壁部である開口凸部910が設けられている。開口凸部910は、エアノズル352のそれぞれにおいて上流開口に設けられたOリング状の凸部である。開口凸部910の内側面は、縮径部をなすエアノズル352の傾斜と連続する傾斜面をなすことによって縮径部を拡大させている。縮径部が、エアノズル352と開口凸部910の内側面とから構成されることにより、縮径部が拡大され、加圧ガスの整流効果が増大する。
加圧ガスは、給気路11a(918)からエアノズル352に分流される際に、その一部が開口凸部910に衝突し、流速が減速される。流速が減速された加圧ガスは、紡糸ノズル31とエアノズル352との間を流通する際に、整流され、紡糸ノズル31から吐出する糸前駆体を下流方向にスムーズに導くことが可能である。しかも紡糸ノズル31の先端がエアノズル352から突き出ていないので、吐出直後の糸前駆体は、整流された加圧ガスに包囲されて、下流方向に望ましく延伸しうる。
本発明の乾式紡糸装置1は、上述したとおり、断熱層13を有していてもよい。断熱層13は、例えば図17に示すように、流路方向の中間位置に気体が流通可能な流通路922を有していてもよい。流通路922より、糸前駆体に向かって空気などの気体を吹き込ませることによって、加熱機構から紡糸ノズル31側に熱が伝達されることを防止可能である。
図17に示されるように、流通路922は、糸前駆体側の端部領域が下流方向に屈曲している。当該屈曲により、流通路922から糸前駆体側に吹き込まれる気体を下流方向に向かって流通させることができる。この結果、糸前駆体を下流方向に望ましい姿勢で延伸させることが可能である。
流通路922は、断熱層13の内部に設けられた気体の流通路であって、糸前駆体に面する側面と、上記糸前駆体に面する側面以外の任意の面とを貫通する孔である。
以上に説明する本発明の紡糸装置によれば、本発明の紡糸方法を好適に実現することができる。
即ち、本発明の紡糸方法に用いられる乾式紡糸装置は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロア10と、紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル31、面内に複数のエアノズル40が区画形成された分流基板9、およびブロア10から吹き出された上記加圧ガスをエアノズル40に導く給気路11aが設けられた吐出部本体を備える。加えて、当該乾式紡糸装置は、糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構(赤外線ヒーター15)と、を備え、複数のエアノズル40に対して一または複数の紡糸ノズル31がそれぞれ対応して配置されている。
上記紡糸装置を使用する本発明の紡糸方法は、紡糸ノズル31のノズル本体43の内部に設けられた原液流通孔42aに紡糸原液を流通させるとともに、エアノズル40の下流側の開口より手間でノズル本体43の先端から紡糸原液を吐出させて糸前駆体を形成する糸前駆体形成工程を有する。
上記糸前駆体形成工程を実施後、形成された糸前駆体を、エアノズル40を流通する加圧ガスの風圧により下流方向に導いてエアノズル40の開口より排出させる。
次いで、エアノズル40の開口より排出した糸前駆体を加熱機構(赤外線ヒーター15)により加熱する。以上により、本発明の糸紡糸方法は、糸を紡糸することができる。
[第二実施態様]
次に、図7から図9を用いて本発明の第二実施態様について説明する。図7は、第二実施態様にかかる乾式紡糸装置201を説明する模式図である。図7は、乾式紡糸装置201の下流域において、さらに捕集ドラム18を備えて構成される不織布製造装置221を併せて示す。
乾式紡糸装置201は、糸前駆体12を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロア10と、繊維原液を吐出して糸前駆体12とする紡糸ノズル31が設けられた吐出部本体と、糸前駆体12に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構(赤外線ヒーター15)を備える。
乾式紡糸装置201は、複数個の紡糸ノズル31が一方方向に並ぶノズルライン400(図2参照)が2列、並列して設けられている。本実施態様はノズルライン400が3列以上並列する態様を包含する。
乾式紡糸装置201は、一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と、これに隣り合う他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12とが接触可能に寄せられるよう構成される。
図7においては、上記装置の構成により二方向から吐出された糸前駆体12が互いに接触して、見かけ上、繊維径の太い糸前駆体12にとなった状態を模擬的に示している。
ここで「接触可能に寄せられる」とは、乾式紡糸装置201における紡糸可能な運転条件の範囲において、乾式紡糸装置201自体の機能により一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と、これに隣り合う他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12とが接触するか、接触可能な程度に近接することをいう。
乾式紡糸装置201によれば、紡糸ノズル31より吐出形成された糸前駆体12が互いに寄り集まり見かけ上、糸前駆体12を太くすることができる。寄り集まった糸前駆体12同士は、部分的に接着する場合もある。これにより、糸前駆体12が糸となる前に切断され、あるいは所望の紡糸方向以外の方向に浮遊するなどの不具合を防止することができる。
これにより、特に、10μm未満である極細の繊維径である糸前駆体12を紡糸ノズル31から吐出する場合に、望ましくない切断や周囲への浮遊を良好に防止することが可能である。尚、望ましくない切断とは、糸前駆体12が切断されることを予定しない紡糸領域において糸切れすることを意味する。
しかも乾式紡糸装置201は、複数のノズルライン400を有し、一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12とを寄せるよう構成されるため、糸前駆体12同士が寄り集まり易い。
尚、一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12とを、同じ組成の紡糸原液から構成することができる。
このとき、一のノズルライン400に導かれる紡糸原液と、他のノズルライン400に導かれる紡糸原液の粘度は、実質的に同じにしてよい。これにより、いずれのノズルライン400からも略均等な繊維径の糸前駆体12を吐出することができ、繊維径の近似する糸の交絡体を得ることが可能である。
あるいは一のノズルライン400に導かれる紡糸原液と、他のノズルライン400に導かれる紡糸原液の粘度と、が異なっていてもよい。これにより、相対的に粘度の高い紡糸原液がノズルライン400から吐出されてなる糸前駆体12の繊維径を、相対的に粘度の低い紡糸原液がノズルライン400から吐出されてなる糸前駆体12の繊維径よりも太くすることが可能である。相対的に粘度の高い紡糸原液からなる糸前駆体12の方が、コシが強く、繊維径が大きくなる太径の糸前駆体12となる傾向にある。相対的に粘度の低い紡糸原液からなる細径の糸前駆体12を上記太径の糸前駆体12に絡ませて、繊維径が異なる糸の交絡体を得ることも可能である。また、糸前駆体12の側面方向からの送風を抑えることにより、繊維径が異なるからなる棒状の繊維を製造することが可能である。ここで棒状の繊維とは、複数のノズルから吐出された糸前駆体12が寄り集まってなる一本または数本の繊維体であり、極太径の繊維を含む。
即ち、本明細書に開示する本発明の種々の態様の乾式紡糸装置において、紡糸ノズルを2以上有する場合、各紡糸ノズルに送られる紡糸原液の粘度を統一して糸を製造することもできる。あるいは別の態様として、上述のとおり紡糸ノズルを2以上有する場合、2以上の紡糸ノズルのうちのいずれかまたは全てに送られる紡糸原液の粘度を異ならしめて糸を製造することもできる。
乾式紡糸装置201は、上述する乾式紡糸装置1に示される吐出部本体部分を2セット備えること以外は乾式紡糸装置1と同様に構成される。したがって乾式紡糸装置201に関し、乾式紡糸装置1に共通する構成についてはここでは説明は割愛する。尚、第二実施態様において吐出部本体は、少なくとも紡糸ノズル31を要し、その他の構成は適宜省略可能である点でも乾式紡糸装置1とは相違する。
尚、図7では、吐出部本体ごとに、ホッパー2およびブロア10を設けた例を示した。本実施態様における変形例として、複数の吐出部本体部分におけるそれぞれの給気管11を任意の箇所でつなぎ合わせ1つのブロア10に通じるよう構成することもできる。換言すると、複数の吐出部本体部分に共有される1つのブロア10から加圧ガスを送り、これをそれぞれの吐出部本体へと給気してもよい。また、複数の吐出部本体部分におけるそれぞれの給液管3を任意の箇所でつなぎ合わせ1つのホッパー2に通じるよう構成することもできる。換言すると、複数の吐出部本体部分に共有される1つのホッパー2から紡糸原液を送り、これをそれぞれの吐出部本体へと送ることもできる。
図7に示すように、乾式紡糸装置201は、一のノズルライン400における各紡糸ノズル31の先端と、これに隣り合う他のノズルライン400における各紡糸ノズル31の先端と、が向き合うよう配置されている。
これにより、乾式紡糸装置201は、一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と、これに隣り合う他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12とが接触可能に寄せられるよう構成することができる。
ここで「紡糸ノズル31の先端が向き合う」とは、一のノズルライン400における紡糸ノズル31の先端と他のノズルライン400における紡糸ノズル31の先端とが対面している態様を含む。またこれに加え、紡糸ノズル31が、隣り合うノズルライン400同士の並び方向の中央側に向かって互いに傾斜することにより、紡糸ノズル31の先端が向き合うよう配置される態様であってもよい。
例えば、本実施態様にかかる乾式紡糸装置201は、吐出部本体において、複数のノズル基板6を備えることができる。より具体的には、例えば図7を用いて上述するように、一つのノズル基板6を備える吐出部本体を2セット設けることによって、ノズル基板6を2つ備えることができる。
あるいは、図示省略するが、1つの吐出部本体の中に、2つのノズル基板6を設けることもできる。
乾式紡糸装置201に用いられるノズル基板6は、乾式紡糸装置1に用いられるノズル基板6と同様である。即ち、ノズル基板6は、基板本体30と、基板本体30の一方の面に設けられた一または複数のノズルライン400とを備える(図2、図3参照)。ノズル基板6は、複数のノズルライン400における各紡糸ノズル31のノズル中心軸線が基板本体30に対し略法線方向に向いている。
一のノズル基板6の紡糸ノズル31が設けられた面と、他のノズル基板6の紡糸ノズル31が設けられた面との交差角度(即ち、2つの面の内角)が180°未満となるよう、ノズル基板6の設置角度を調整する。これにより各ノズル基板6に設けられた紡糸ノズル31の先端を向い合わせることが可能である。
ノズル基板6を所望の設置角度で設置するために、たとえば、図7に示すように一つのノズル基板6を備える2セットの吐出部本体同士の設置角度を調整することができる。
あるいは、図示省略するが、1つの吐出部本体において2つのノズル基板6を備え、当該吐出部本体内部において2つのノズル基板6自体の設置角度を調整してもよい。即ち、1つの吐出部本体において、上記面の交差角度を180°未満とする2つのノズル基板6が設けられてもよい。かかる場合には、ノズル基板6に付随する他の構成(ノズル基板6に積層される任意の積層体)も、ノズル基板6と合わせて設置角度が調整される。
本実施態様にかかる乾式紡糸装置201によれば、基板本体30に対する紡糸ノズル31の取り付け角度は固定しておくことができる。したがって、紡糸ノズル31自体の角度調整を行わずに、紡糸ノズル31の角度が固定されたノズル基板6の角度を調整することによって、各ノズル基板6に設けられた紡糸ノズル31の先端を向かい合わせることができる。即ち、複数の紡糸ノズル31からなるノズルライン400を、基板本体30に対してユニット化することができ、これを用いて、容易に各ノズル基板6に設けられた紡糸ノズル31の先端を向い合わせることが可能である。
具体的には、ノズル基板6あるいはこれを備える吐出部本体の設置角度を調整して、紡糸ノズル31の先端が向き合うよう構成する態様では、ノズル基板6あるいはこれを備える吐出部本体自体は、第一実施態様に用いられたノズル基板6を用いることができる。そのため、紡糸ノズル31が向き合う所望の角度毎に、ノズル基板6あるいはこれを備える吐出部本体を設計変更して製造する必要がない。
また、ノズル基板6あるいはこれを備える吐出部本体を乾式紡糸装置201に設置した状態で、設置角度を調整可能な角度調整機構を備えることもできる。
次に第二実施態様の変形例を図8および図9を用いて説明する。図8は第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置に用いられる紡糸原液吐出部分の分解斜視図である。図9は、図8において矢印A方向から観察したときのノズル基板310の側面図である。
第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置の一例は、上述する乾式紡糸装置1においてノズル基板6の替わりに、ノズル基板310を用いたこと以外は同様に構成することができる。ここでは第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置の全体構成図は割愛し、ノズル基板310について図8および図9に示す。上記第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置に関しては、乾式紡糸装置1と同様の構成については説明を割愛し、ノズル基板310について主として説明する。
即ち、第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置は、吐出部本体においてノズル基板310を備える。図8に示すように、ノズル基板310は、基板本体30と、基板本体30の一方の面に設けられた複数のノズルライン311とを備える。一のノズルライン311における複数の紡糸ノズル31のノズル中心軸線が基板本体30に対し同方向に傾斜する。同様に、他のノズルライン311における複数の紡糸ノズル31のノズル中心軸線が基板本体30に対し同方向に傾斜する。
これにより図9に示すように、一のノズルライン311における紡糸ノズル31の先端と、他のノズルライン311における紡糸ノズル31の先端と、が向き合う。
ノズル基板310は、紡糸ノズル31が一方方向に整然配列してなるノズルライン311が平行に2列設けられている。ノズル基板310における紡糸ノズル31は、2列のノズルライン311の並び方向の中央側に向かって傾斜しており、各ノズルライン311において互いに対向する紡糸ノズル31同士の先端が向いあっている。各ノズルライン311における紡糸ノズル31は、同数であっても異なる数であってもよい。例えば各紡糸ノズル31が同数であって、それぞれ互いに向き合う対となる紡糸ノズル31が存在するとよい。
ノズルライン311を複数備える上記変形例である乾式紡糸装置は、搭載されるノズル基板310において、予め対となる紡糸ノズル31同士の先端が向い合うよう構成されている。したがって、上記変形例である乾式紡糸装置は、ノズル基板310を乾式紡糸装置に搭載するときに、当該装置に対するノズル基板310の設置角度の調整することを要しない。そのため、装置組み立ての際に、紡糸ノズル31の先端を向き合せるという細かな位置合わせの調整を省略することができる。
尚、本実施態様において、基板本体30に対する紡糸ノズル31の傾斜角度は、装置組み立て前に予め決定することができる。紡糸ノズル31は、基板本体30に対する取り付け角度が固定されていてもよいし、取り付け角度が調整可能であってもよい。
尚、第二実施態様の変形例である乾式紡糸装置における紡糸原液吐出部分は、少なくともノズル基板310を有し、さらに任意で図8に示すように、スペーサ7、絞り板380、分流基板390を備えることができる。
絞り板380は、乾式紡糸装置1における絞り板8に対し、複数の並列するノズルライン311が適切な位置まで挿入可能に絞り孔36が拡張されている。
また、分流基板390は、複数の並列するノズルライン311における各紡糸ノズル31の先端に対応するよう、乾式紡糸装置1における分流基板9に対し、エアノズル40の位置および数を変更している。
ノズル基板310における紡糸ノズル31は、基板本体30に直接に取り付けられていてもよい。例えば、図3に示す紡糸ノズル31と同様に、ネジ構造により、紡糸ノズル31を基板本体30に取り付けることができる。
あるいは、図示省略するが、基板本体30と紡糸ノズル31とを連結する連結部を介して紡糸ノズル31が基板本体30に取り付けられていてもよい。上記連結部は、例えば、基板本体30に取り付けたとき、基板本体30との接合面(I)が基板本体に対し略水平であり、一方、紡糸ノズル31との接合面(II)が紡糸ノズル31の基端部面に対して略水平である。加えて上記連結部は、接合面(I)および接合面(II)が非水平となるよう構成することができる。
また異なる連結部としては、上記接合面(I)および上記接合面(II)は水平であり、上記接合面(II)に対し取り付けられる紡糸ノズル31のノズル中心軸線を傾斜させてもよい。
上記連結部は、一つの紡糸ノズル31に対し一つの連結部が設けられてもよい。上記連結部は、複数の紡糸ノズル31を一方方向に配列させる台座であってもよい。上記台座に一のノズルライン400を構成する複数の紡糸ノズル31を取り付け、ノズルライン400をユニット化し、当該台座を基板本体30に取り付けることもできる。
上記連結部を介することによって、紡糸ノズル31の中心軸線を基板本体30の面に対し傾斜させることができる。
乾式紡糸装置201は、一のノズルライン400における複数の紡糸ノズル31のノズル中心軸線を含む第一面と、これに隣り合う他のノズルライン400における複数の紡糸ノズル31のノズル中軸線を含む第二面と、が交差する。
換言すると、一のノズルライン400には複数の紡糸ノズル31が設けられており、これらの紡糸ノズル31は同方向に同角度で傾斜している。したがって、一のノズルライン400における複数の紡糸ノズル31のノズル中心軸線は一の面(第一面)に含まれる。また他のノズルライン400においても同様であり、他のノズルライン400における複数の紡糸ノズル31のノズル中心軸線は他の面(第二面)に含まれる。
2セットの吐出部本体を適切に位置合わせすることによって、乾式紡糸装置201は第一面と第二面とが交差する。
図7では、断熱層13の下方であって加熱機構を備える筐体14の上方において、上記第一面と上記第二面とが交差している。ただし第一面と第二面とは仮想面であるため図7に具体的に図示されるものではない。吐出部本体におけるそれぞれの紡糸ノズル31のノズル中心軸線が交差する位置Sが、第一面と第二面との交差位置である。
このように上記第一面と上記第二面とが交差することによって、一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と、これに隣り合う他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12とが接触し易くなるため好ましい。
特に、図7に示すように、上記第一面と上記第二面とが加熱機構(赤外線ヒーター15)で加熱される領域の上流側で交差することは好ましい。糸前駆体12は、加熱機構の上流側に位置するとき、溶媒を多く含んだ状態であって、切断しやすい状態にある。加熱機構による加熱を受ける前の溶媒を多く含有した糸前駆体12同士を接触させることによって、互いに接着し、あるいは交絡した状態とさせやすい。したがって、加熱機構の上流側で糸前駆体12が接触して見かけ上の太さを増大させることが可能であり、糸前駆体12の切断または拡散を良好に防止することがでる。
ここで「加熱機構で加熱される領域」とは、糸前駆体12の伸長方向の側方に加熱機構(赤外線ヒーター15)が設置されている領域をいう。特に本実施態様でいえば、筐体14により、赤外線ヒーター15の設置されている設置領域と設置外領域とが区画されており、少なくとも筐体14より上流側は加熱機構で加熱される領域の上流側である。
上述する乾式紡糸装置201であれば本発明の紡糸方法を実施するのに好適である。
即ち、本発明の紡糸方法は、ノズル部において複数の紡糸ノズル31より紡糸原液を吐出して糸前駆体12を形成する吐出工程を実施する。たとえば、上記ノズル部は、ブロア10より糸前駆体12を延伸するための加圧ガスを吹き出すとともに、複数個の紡糸ノズル31が一方方向に並ぶノズルライン400が2以上並列して設けられたものである。
そして上記吐出工程を実施した後、一のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と、これに隣り合う他のノズルライン400から吐出された糸前駆体12と、を接触可能に寄せる、寄せ工程を実施する。
そして上記寄せ工程を実施した後、加熱機構(赤外線ヒーター15)により糸前駆体12に含有された溶媒を加熱除去する、加熱工程を実施する。
尚、上記加熱除去工程において除去される溶媒とは、上記紡糸原液において含まれる溶媒を含む。
本発明の紡糸方法によれば、紡糸ノズル31より吐出された一の糸前駆体12が充分に溶媒を含んだ状態で、他の糸前駆体12に接触可能に寄せられる。これにより、糸前駆体12の見かけ上の太さを太くすることができ、紡糸途中における糸切れや拡散などの問題を防止することができる。したがって、望ましい糸を生成することができるとともに、長時間安定して紡糸することを可能とする。
特に、上記寄せ工程において、一のノズルライン400における複数の紡糸ノズル31の上記ノズル中心軸線を含む第一面と、これに隣り合う他のノズルライン400における複数の紡糸ノズル31の上記ノズル中軸線を含む第二面と、を交差させることができる。
上記第一面と上記第二面との交差については、乾式紡糸装置201に関し説明した内容と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
本発明の紡糸方法は、乾式紡糸装置201で実施することに限定されず上記吐出工程、上記寄せ工程、および上記加熱工程を含む、紡糸方法を広く包含する。
本発明の紡糸方法は、加熱工程を実施した後に得られた糸を、本発明の紡糸方法の最終製造物とすることができる。また加熱工程を実施した後に得られた糸(糸前駆体)を、さらに単繊維化、または粒子化などの任意の長さあるいは形状に加工する加工工程、あるいは任意の物品上に集積して糸集合体を製造する集積工程、あるいは不織布製造工程をさらに含むことができる。
尚、本発明の乾式紡糸装置および不織布製造装置に関して説明する事項において、紡糸に関連する事項は適宜、本発明の紡糸方法にも適用される。
[第三実施態様]
次に本発明の第三実施態様について図10から図12を用いて説明する。図10は本発明の第三実施態様にかかる乾式紡糸装置401を説明する模式図である。図10には、乾式紡糸装置401にさらに捕集ドラム18を備えて構成される不織布製造装置421を併せて示す。図11Aは、本発明の乾式紡糸装置の第三実施態様に用いられるノズル基板406の斜視図である。図11Bは、図11Aに示すノズル基板406を矢印B方向から観察した側面図である。図12は、本発明の乾式紡糸装置の第三実施態様において設けられる送風部(第一送風部430、第二送風部440)から送風される風の風向を説明する説明図である。
第三実施態様にかかる乾式紡糸装置401は、第一実施態様にかかる乾式紡糸装置1に対しノズル基板6をノズル基板406に変更したこと、および送風部を設けたこと以外は同様に構成することができる。
尚、乾式紡糸装置401において任意でさらに、スペーサ7、絞り板380および分流基板390を設けることができる。これらの任意の構成については適宜、図8を参照することができる。
即ち、乾式紡糸装置401は、複数個の紡糸ノズル31が一方方向に並ぶノズルライン402(図11)が2以上並列して設けられている。乾式紡糸装置401は、各紡糸ノズル31から吐出されて延伸する糸前駆体12の側方から糸前駆体12に風を吹きつける送風部を備える。上記送風部は、糸前駆体12を介して対向する第一送風部430と第二送風部440とを有する。
第一送風部430および第二送風部440から送風される風の風向きは、いずれも糸前駆体12の下流方向を向く。
たとえば複数のノズルライン402の並列方向に準じた位置に第一送風部430と第二送風部440を設けることによって、第一送風部430と第二送風部440とが糸前駆体12を介して対向させることができる。
尚、図10に示す輻射板16は、隣り合う輻射板16の間に気流の流路が設けられている。したがって、赤外線ヒーター15の外側に第一送風部430および第二送風部440を設けたとき、これらから送風された風を輻射板16間を通して糸前駆体12に到達させることができる。
乾式紡糸装置401において、第一送風部430および第二送風部440を設けることによれば一のノズルライン402から延伸する糸前駆体12と他のノズルライン402から延伸する糸前駆体12とを寄せて交絡させることが可能である。しかも上記送風部からの風は糸前駆体12の紡糸方向において下流方向に向くため、紡糸方向に糸前駆体12の伸長を促すことができる。
上記送風部は、適切な位置にたとえばファンなどの送風装置を設置することにより構成することができる。乾式紡糸装置401における紡糸ノズル31の先端から加熱機構までの間において、送風部を設ける位置は、特に限定されない。例えば、図10に示すとおり、加熱機構において加熱する領域に送風部を設けることができる。即ち、赤外線ヒーター15の外側に第一送風部430および第二送風部440を設けることによって、加熱される糸前駆体12を適度に冷やすことが可能であり、紡糸工程上望ましい。特に本実施態様によりプルランなどの多糖類を主原料として糸を紡糸する場合には、加熱機構により加熱する領域において糸前駆体12を送風により冷却することは好ましい。上記送風により、加熱による多糖類の変質を防止することができる。
また加熱機構において加熱する領域に送風部を設けることによれば、当該加熱により気化した水分子を加熱領域周辺から排除することが可能である。特に筐体14などの仕切られた空間内に加熱機構を設ける場合には、当該空間が上記水分子により飽和状態となることを防止する観点からも、当該空間内に送風部を設けることが好ましい。
尚、図10に示す矢印は、送風部から送風される風の風向きを模擬的に示している。
乾式紡糸装置401において、ノズル基板406は、複数のノズルライン402における紡糸ノズル31がそれぞれ向き合わず、各紡糸ノズル31のノズル中心軸線は基板本体30の面に対し、略法線方向に向いている(図11Aおよび図11B)。
したがって、複数のノズルライン402から延伸する複数列の糸前駆体12は、図10に示すとおり、まず略平行な位置関係で下流方向に伸長する。もちろん、実際には糸前駆体12はランダムな方向に僅かに揺れながら下流方向に伸長する場合もあるため、上記略平行な位置関係とは概ね平行であって、積極的に寄りあうよう位置関係にないことを意味する。
略平行に伸長する上記複数列の糸前駆体12は、第一送風部430と第二送風部440とが対向する間にさしかかることで、側方より風を受け、互いに寄り集まり交絡する。複数のノズルライン402から伸長する糸前駆体12を互いに交絡させることによって、たとえば、目付の小さい不織布を良好に製造することが可能である。
特に、第一送風部430および第二送風部440から送風される風の風向きを、糸前駆体12の下流方向であるとともに紡糸ノズル31の並び方向に対して互いに逆向きとする。これにより、複数列の糸前駆体12を充分に交絡させ、糸集合体あるいは目付の小さい不織布等を製造することが可能である。
第一送風部430および第二送風部440から送風される風の風向きを、互いに逆向きにするには、例えば乾式紡糸装置401の上下方向あるいは糸前駆体12の伸長方向に対し、一方の風を右方向に送風し他方の風を左方向に送風すればよい。より具体的には、図10において第一送風部430から送風する風を紙面下方向であって手前方向に送風するとともに、第二送風部440から送風する風を紙面下方向であって奥方向に送風すればよい。
乾式紡糸装置401は、第一送風部430および第二送風部440は、送風部から送風される風の風向きを調整するための風向き調整機構を備えることができる。
風向き調整機構の例としては、第一送風部430および第二送風部440にフラップを設ける態様を挙げることができる。フラップは、送風方向において一または二以上設けることができる。
風向き調整機構として、フラップ以外の構成を採用することもできる。図示省略するが、例えば送風部自体を送風ノズルとして構成し、当該送風ノズルの角度を調整することによって、糸前駆体12に対する風向を適宜調整することもできる。
送風部において風向き調整機構を備えることにより、糸前駆体12に対する送風方向を適切に調整することができる。風向き調整機構は、自動または手動で風向きを変更できるタイプであってもよいし、設計により決定された一定方向の風向きに促すタイプのものであってもよい。
風向き調整機構としてフラップを設けることによれば、簡易な構造で所望の風向きを実現することができるため好ましい。上記フラップは、気流の流れを調整する部材をいう。上記フラップは、可動式であってもよく、この場合、手動または自動でフラップの角度を変えることにより、気流の流れを調整可能な部材を含む。また上記フラップは、非可動のものであってもよく、予め決められた固定の方向に気流を整流する整流板を含む。例えば空調機における風向き調整に用いられるフラップを適宜転用することができる。例えば、フラップの形状は、扁平な板状態とすることができる。ただし、本実施態様に用いられるフラップは上述に限定されるものではない。
図12を用いて、第一送風部430および第二送風部440に設けられたフラップと、これによる風向について説明する。尚、図12に示す矢印は、送風部から送風される風の風向きを模擬的に示している。また、図12では、送風部と糸前駆体12との間に存在する赤外線ヒーター15および輻射板16を図示省略している。
図12Aは、糸前駆体12を介して対向する第一送風部430と第二送風部440の内側であって糸前駆体12の伸長方向に沿って整列する複数のフラップを設けた態様を示す。上記風向き調整機構の一例として、第一送風部430と糸前駆体12との間において糸前駆体12の伸長方向に沿って整列する複数のフラップ431を設けることができる。同様に、第二送風部440と糸前駆体12との間において糸前駆体12の伸長方向に沿って整列する複数のフラップ441を設けることができる。
フラップ431およびフラップ441は、いずれも下流方向に傾斜しており、背面側に備わる第一送風部430および第二送風部440から送風された風の風向を下流方向へと調節する。フラップ431およびフラップ441の傾斜角度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図示省略するが、フラップ431およびフラップ441をさらに糸前駆体12に対し左右方向に傾斜させてもよい。
図12Bは、フラップ431およびフラップ441に加え、さらに内側にフラップを設けた例を示す。フラップ431と糸前駆体12との間には、フラップ431の列に沿って複数のフラップ435を設けることができる。また同様に、フラップ441と糸前駆体12との間にはフラップ441の例に沿って複数のフラップ445を設けることができる。フラップ431およびフラップ435、ならびにフラップ441およびフラップ445は、それぞれ、第一送風部430および第二送風部440からの送風方向において設けられている。これによって、第一送風部430からの風の風向を、フラップ431およびフラップ435によって調整することができ、第二送風部440からの風の風向を、フラップ441およびフラップ445によって調整することができる。
たとえば、フラップ431およびフラップ441の傾斜角度は、風を下流方向に導くための下向き成分を有する。加えて送風方向においてこれらと連続するフラップ435およびフラップ445の傾斜角度は、紡糸ノズル31の並び方向に対し逆向きであって左右方向成分を有する。このように送風方向において連続するフラップに異なる方向成分を付与することによって、送風部より送風された風を所望の方向に導きやすい。
尚、第三実施態様において示した送風部は、紡糸ノズル31の本数、あるいはノズルラインの列数に関わらず、本発明の他の実施態様においても適宜適応される。例えば、第一実施態様または第四実施態様として示すノズルラインが1列である乾式紡糸装置1において、上述する送風部を設けることができる。
本発明の乾式紡糸装置あるいは本発明の紡糸方法は、紡糸材料を溶媒に溶解または懸濁させてなるスラリー状の紡糸原液を用いることができる。かかる紡糸原液を用いて本発明の乾式紡糸装置あるいは紡糸方法により形成された糸前駆体は、水分含有率が高い。当該糸前駆体は、加熱機構により加熱されて溶媒が除去されることによって糸の断面径が数分の1から10分の1程度に細くなるため、細径化が図れる反面、重量が小さいために紡糸方向とは異なる方向に散乱する虞があった。散乱した糸前駆体の一部は、加熱機構に含まれる加熱装置などに付着し、製造工程に望ましくない影響を与える可能性がある。そこで、上記送風部を設け、糸前駆体を紡糸方向(下流方向)に流れるよう促進することによって、上記望ましくない影響を低減することができる。
特に、加熱機構において加熱装置側より糸に向けて送風することは、散乱する糸前駆体が加熱装置に付着することを良好に防止するため望ましい。
以上に説明する本発明の各実施態様は、本発明を限定するものではなく、本発明の目的が達成される限りにおいて種々の変形、改良等の態様も含む。
また、本発明の乾式紡糸装置の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
上述する第一実施態様から第三実施態様までにおいて示される各構成は、互いの実施態様に適宜適用することができる。
例えば、第三実施態様において示される第一送風部及び第二送風部を、第二実施態様において説明する乾式紡糸装置201に設けることができる。第二実施態様において並列するノズルラインから吐出された糸前駆体を接触可能に寄せるとともに、さらに第一送風部および第二送風部によって各ノズルラインから吐出された糸前駆体を互いに交絡させることができる。
また、第二実施態様において説明する、「複数の紡糸ノズルを有し、任意の一の紡糸ノズルの先端と、他の紡糸ノズルの先端とが向き合うよう配置させる」構成あるいはこれに関連する種々の態様は、適宜、第一実施態様に取り込むことができる。
また、いずれの実施態様における乾式紡糸装置も、最終製造物が不織布である場合を包含するが、特に本発明の乾式紡糸装置を用いて好ましく不織布を製造することができる態様の一例として、紡糸された糸を捕集する可動式捕集面を設けることができる。上記可動式捕集面の例としては図5で示すドラムロール58または回転テーブル59などを挙げることができる。上記可動式捕集面を本発明の第二実施態様あるいは第三実施態様に設け、不織布製造装置として提供することもできる。
本発明の乾式紡糸装置、不織布製造装置および紡糸方法は、一本または複数本の独立の糸形状体を製造する態様、独立した糸形状体の集合体を製造する態様を包含する。換言すると、本発明により製造される糸は、一本または複数本の糸形状体に限定されず、糸形状体が集合してなる集合体を含む。上記集合体は、例えば糸の交絡物を含む。また上記集合体は、交差する糸が部分的に融着しているものであってもよい。また上記集合体には、所謂不織布、あるいは不織布とまではいえない糸形状体の集合物、および任意の物品の面上に集積された糸形状体の集合物を含む。したがって、本発明は、最終製造物が独立した糸形状である場合に限定されない。たとえば本発明の乾式紡糸装置を備える任意の装置において製造される最終製造物が不織布である場合も、当該任意の装置は本発明の乾式紡糸装置に包含される。
即ち、本発明の乾式紡糸装置は、不織布を製造する態様を包含する。特に、前述にて詳細に説明する本発明の不織布製造装置は、本発明の乾式紡糸装置において、不織布を製造するための一つの好ましい態様を示すものである。同様に、本発明の紡糸方法は、糸集合体あるいは不織布を形成する工程を含むことができる。当該工程は、たとえば本発明の紡糸方法における加熱工程の後に実施することができる。
また本発明は、紡糸された糸(糸形状体、不織布、糸形状体の集合体を含む)を中間物として、異なる形態に加工する機能または工程を有していてもよい。上記異なる形態として、例えば、中間物としての糸を切断して単繊維化または粉末化された形態を含むが、これに限定されない。尚、上記単繊維化とは、紡糸された糸形状体から、繊維として一般的に理解される長繊維および単繊維としての概念における単繊維を加工することに限定する趣旨ではない。上記単繊維化は、糸として理解される連続的な形態に比して短い単位に加工することを広く含む。
[第四実施態様]
次に本発明の第四実施態様について図13および図16を用いて説明する。図13は、本発明の第四実施態様にかかる乾式紡糸装置500の一の例を説明する模式図である。
乾式紡糸装置500は、可動式捕集面501と、基板送り込み部510と、を有すること以外の基本的構成は、上述する本発明の乾式紡糸装置1と同様に構成されている。したがって、乾式紡糸装置500について、主として乾式紡糸装置1と異なる構成に関して説明し、乾式紡糸装置1と共通の構成についての説明は適宜割愛する。
乾式紡糸装置500は、糸前駆体12を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロア10と、紡糸原液を吐出して糸前駆体12とする紡糸ノズル31と、糸前駆体12に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構(赤外線ヒーター15)と、を備える。また乾式紡糸装置500は、紡糸ノズル31より吐出された糸前駆体12が伸長する流れ方向を下流方向としたとき、上記下流方向に伸長する糸17を面上で捕集する可動式捕集面501と、可動式捕集面501に基板70を送り込むための基板送り込み部510と、を有する。
可動式捕集面501は、糸17が可動式捕集面501に到達して捕集が開始された捕集開始点を連続的に移動させるとともに、捕集された糸17をさらに下流方向に送り出す方向に動作する。
基板送り込み部510は、上記捕集開始点より手前側において基板70を可動式捕集面501に送り込むことによって、基板70の上に糸17を積層させる。
尚、本実施態様にかかる乾式紡糸装置500では、可動式捕集面501に糸前駆体12から形成された糸17を捕集する例を示すが、本実施態様は、糸17となる前の糸前駆体12を可動式捕集面501で捕集する態様を含む。糸前駆体12の状態ではまだ内部に溶媒が含有されているため、基板70に積層した後に乾燥または加熱を実施し、基板70に積層された状態で糸前駆体12から糸17を形成してもよい。
乾式紡糸装置500において捕集開始点とは、可動式捕集面501の面上であって、基板70の面上に紡糸ノズル31から吐出された糸17が接触して積層を開始した地点である。可動式捕集面501自体が連続的に可動することによって、可動式捕集面501上に送り出された基板70も、連続的に移動する。具体的には、基板70の面上に紡糸ノズル31から吐出された糸17が接触した地点が下流側に順次移動するよう、基板70自体を移動させることができる。かかる移動の動作により、糸17が基板70の一定箇所に集中して積層されることを回避可能である。
本実施態様によれば、基板70に積層された糸17を得ることができる。
換言すると、乾式紡糸装置500を用いて紡糸することにより、基板70と糸17とからなる積層体を容易に製造することができる。
しかも、可動式捕集面501は、糸17が可動式捕集面501に到達して捕集が開始される捕集開始点を連続的に移動させるよう動作する。これにより、当該捕集開始点において糸17が積み重なって繊維集合体あるいは繊維交絡体をなすことを回避することが可能である。加えて、可動式捕集面501は、捕集された糸17をさらに下流方向に送り出す方向に動作するため、基板70において糸17を下流方向に伸長させることがきる。
即ち乾式紡糸装置500によれば、基板70において糸17が密に交絡させた状態で積層されることを回避することが可能である。特には、乾式紡糸装置500によれば、基板70の所定の領域を埋め尽くすほどに糸17が積層する態様を回避することが可能である。
図13に示すとおり、本実施態様にかかる乾式紡糸装置500において、可動式捕集面501は、互いに内向きに回転する一対の回転式捕集ドラム505の外側面である。
上記一対の回転式捕集ドラム505間の距離が最短になるより手前側に上記捕集開始点を有する。基板送り込み部510は、少なくとも一対の回転式捕集ドラム505のいずれか一方の上記外側面上であって上記捕集開始点より手前側に基板70を送り込む。
図13に示すとおり乾式紡糸装置500では、紡糸ノズル31より下方に向けて糸前駆体12が吐出される。糸前駆体12は、赤外線ヒーター15の側方を通過することにより内部の溶媒が除去されて糸17となる。
一対の回転式捕集ドラム505は赤外線ヒーター15よりも下流側に設けられている。
複数の紡糸ノズル31から吐出形成された糸前駆体12または糸前駆体12から形成された糸17は、一対の回転式捕集ドラム505同士が最接近する領域よりも上方において、捕集が開始される。上記上方とは、上記捕集開始点より手前側(即ち、回転式捕集ドラム505の回転方向上流側)に相当する。
本実施態様にかかる乾式紡糸装置500は、基板送り込み部510により、上記捕集開始点より手前側において一対の回転式捕集ドラム505のそれぞれに可動式捕集面501の上に基板70を送り込んでいる。
一対の回転式捕集ドラム505の間の距離が最短になる領域において、糸17を介して対向する二枚の基板70が外側面からプレスされている。即ち、乾式紡糸装置500は、一対の回転式捕集ドラム505の間を通過する、糸17が積層された基板70を外側面から加圧しながら下流方向に送りだすことができる。
一対の回転式捕集ドラム505の間を基板70とともに通過した糸17は、基板70とともに積層体80を構成する。積層体80は、適宜、巻き取りローラー520などにより収集される。積層体80は、所望の寸法に裁断されて、枚葉状の積層体80をなしてもよい。
かかる構成の採用された乾式紡糸装置500によれば、紡糸された糸17を2枚の基板70の間に挟持された状態で得ることができる。基板70の間に糸17が挟持されてなる積層体80は、糸17をスペーサとして、基板70が対向している。そのため2枚の基板70の間の距離は、糸17の繊維径の寸法または、糸17が重なりあった交点における重なり方向の寸法と同等である。
尚、図13では、糸17を介して対向する2枚の基板70を送り込むため、基板送り込み部510を2か所備える例を示したが、本実施態様はこれに限定されない。たとえば、一方側の基板送り込み部510を省略し、他方側の基板送り込み部510より一枚の基板70を送り込み、基板70の一方の面に糸17を積層させることにより、一枚の基板70とこれに積層された糸17とを備える積層体80を形成することもできる。
このように一方の面に糸17が積層された一枚の基板70を得た後、糸17を介して上記一枚の基板70と任意の他の基板とを対向させた状態で貼りあわせることにより、積層体80を形成することもできる。
たとえば乾式紡糸装置500において、可動式捕集面501が上記捕集開始点を連続的に変化させる際の可動速度は、紡糸ノズル31より吐出される糸前駆体12の吐出速度の0.3倍以上であるとよい。
これにより、複数の紡糸ノズル31から吐出された糸前駆体12あるいはこれより形成される糸17を可動式捕集面501において密な状態に交絡させることなく捕集することが可能である。
また別の観点では、可動式捕集面501が、上記捕集開始点を連続的に変化させる際の可動速度は、紡糸ノズル31より吐出される糸前駆体12の吐出速度以上であるとよい。
これにより、紡糸ノズル31から可動式捕集面501まで連続する糸前駆体12および、これより形成される糸17は、可動式捕集面501に捕集された糸前駆体12または糸17により下流方向に引っ張られて張力が与えられる。この結果、可動式捕集面501において捕集される際に糸前駆体12または糸17の撓みが実質的に無くなり、糸前駆体12または糸17が単繊維として捕集されやすい。
次に、第四実施態様のその他の例として、図16に乾式紡糸装置700を示す。図16は、本発明の第四実施態様にかかる乾式紡糸装置700を説明する部分斜視図である。乾式紡糸装置700は、乾式紡糸装置500における加熱機構(赤外線ヒーター15)を含む上流側と同様の構成を有する。そのため、加熱機構(赤外線ヒーター15)より上流側については図示省略し、また説明を割愛する。
乾式紡糸装置700は、下流方向に伸長する糸17を面上で捕集する可動式捕集面530と、可動式捕集面530に基板70Aを送り込むための基板送り込み部600と、を有する。基板送り込み部600は、下端に基板70Aを送り出すスリット610が設けられている。
可動式捕集面530は、一方方向に連続的に動作するベルトコンベア535の搬送面である。可動式捕集面530は、糸17が可動式捕集面530に到達して捕集が開始された捕集開始点を連続的に移動させるとともに、捕集された糸17をさらに下流方向に送り出す方向に動作する。基板送り込み部600が、上記捕集開始点より手前側(即ち、ベルトコンベア535の移動方向の上流側)において基板70Aを可動式捕集面530に送り込むことによって、基板70Aの上に糸17を積層させる。
基板送り込み部600は、例えば予め形成されたロール状の基板70Aを図示省略するロール設置部に設置し、当該ロールから機械的に所望の方向に基板70Aを送り出すことができる。あるいは、基板送り込み部600は、基板70Aの製造ラインと直結していてもよい。具体的には、基板70Aが有機樹脂フィルムである場合に、図示省略する有機樹脂フィルム製造部を基板送り出し部600の上流部に設けてよい。上記有機樹脂フィルム製造部において、溶融押出し法、メルトキャスティング法、あるいは溶液流涎法といったフィルム製造方法によりフィルムを製造してもよい。このとき、上記有機樹脂フィルム製造部における有機樹脂フィルム(または有機樹脂フィルム材料)掃出し口であるダイあるいはリップをスリット610と兼用してもよい。ダイまたはリップと兼用されるスリット610から吐き出される有機樹脂フィルム(または有機樹脂フィルム材料)を、ベルトコンベア535面で受けてもよい。
以上の構成を備える乾式紡糸装置700は、基板70Aの一方の面に積層する糸17を得ることができる。
乾式紡糸装置700は、さらに糸17を積層した基板70Aを巻き取る、巻き取り部550を備えるとともに、巻き取り方向に沿って可動する対向搬送面540を備えてもよい。対向搬送面540は、基板70Bを一方方向に搬送可能なベルトコンベア536の搬送面である。ベルトコンベア536は、下部搬送装置537により可動する。
ベルトコンベア535は巻き取り部550において搬送方向が変更されるとともに、変更後の搬送方向と同方向に可動するベルトコンベア536と対向している。
糸17が積層された基板70Aは、巻き取り部550により巻き取られて移動方向が変更されるとともに、ベルトコンベア536に搬送される基板70Bと対向する。可動式捕集面530と対向搬送面540との距離を調整することによって、糸17を介して、基板70Bが基板70Aに積層されて、積層体80を形成することができる。
次に、積層体80の詳細について説明する。
基板70は、糸17とともに積層体80を構成するために適切な強度を有する基材であればよく、フィルム状、シート状、膜状などの薄膜の基材を基板70として用いることができる。
基板70として、たとえば有機樹脂フィルムを用いることができる。有機樹脂フィルムは、乾式紡糸装置500に用いるに足る充分な強度を発揮することが可能であり好ましい。有機樹脂フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ナイロン系フィルムなどを挙げることができるが、これに限定されない。尚、上記フィルムは、シート、膜などのその他の膜状の基材を包含する。
また基板70として、導電性を示す金属箔を用いることもできる。たとえば、銅箔、アルミニウム箔に代表される導電性部材として使用可能な金属箔を基板70として用いることもできる。
基板70の厚みは特に限定されないが、例えば5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上40μm以下、より好ましくは15μm以上30μm以下の範囲とすることができる。積層体80を構成可能な範囲で基板70の膜厚を小さくすることにより積層体80の薄膜化が図られ好ましい。
二枚の基板70間に挟持される糸17は、本発明の乾式紡糸装置において紡糸可能な糸体であれば特に限定されない。
たとえばプルランなど水溶性多糖類は、水系溶媒に溶解させることができるため、適度な濃度に紡糸原液を調整し、水分を含んだ状態の糸前駆体12を紡糸ノズル31より吐出することができる。水分を含んだ糸前駆体12は、適度な繊維径を有しながら、下流方向に延伸するため、途中で繊維が切断し、あるいは空中に散布されることが抑制または防止される。そして、加熱機構によって水系溶媒が除去されることによって、吐出後の糸前駆体12に比べて繊維径の細い糸17を容易に形成することができる。即ち、有機樹脂系の繊維を成形するに適したメルトブロー法に比べて、糸前駆体12と糸17との繊維径の差を大きくすることができる点で、本実施態様において水溶性多糖類を用いて紡糸することは有利である。つまり、本実施態様において、加熱機構(赤外線ヒーター15)を通過する前の糸前駆体12の繊維径よりも糸17の繊維径を細くすることができる。
上記水溶性多糖類の中でも、プルランを選択することにより、糸17に加食性が付加され、積層体80の用途範囲を広げることができる。
より具体的には、プルランなどの水溶性多糖類を水系溶媒に溶解してなる紡糸原液を用いて形成されたプルラン繊維などの水溶性多糖類繊維の場合には、積層体80において以下の優れた点を有する。
即ち、水溶性多糖類を含有する上記紡糸原液をスラリー状に調整して本発明の紡糸装置に用いた場合、適宜調整の上、5μm以上50μm以下、特には5μm以上30μm以下、特には5μm以上15μm以下の細径の糸前駆体12を形成することができる。上記細径の糸前駆体12は、赤外線ヒーター15などの加熱機構において加熱されることにより含有する水系溶媒を除去することができる。
例えば、紡糸原液100質量%に対し、プルラン繊維が10質量%以上30質量%以下となる濃度でスラリー状である紡糸原液を調整することができる。この場合、上記加熱機構において水溶媒が除去され、プルラン繊維などの糸17の繊維径は糸前駆体12の繊維径に比べて約3分の1から約10分の1程度にまで収縮可能である。
本発明の乾式紡糸装置において、紡糸ノズル31の孔径にもよるが、プルラン繊維などの水溶性多糖類繊維であれば、0.5μm以上5μm以下の繊維径である糸17を得ることができる。
このような細径の糸17を基板70間に実質的に単繊維の状態で挟持させることにより、基板70間の距離を0.5μm以上5μm以下とすることが可能である。ここで実質的に単繊維とは、複数の紡糸ノズル31から吐出された糸前駆体12あるいは糸前駆体12から成形される糸17が密に交絡することなく、基板70の上に積層された状態をいう。より好ましくは、複数の糸17が、複数の紡糸ノズル31に対応する列として確認される程度に粗に基板70に積層される。
[第五実施態様]
以下に本発明の積層体の実施態様である第五実施態様について説明する。図14Aは、本発明の第五実施態様にかかる三層構造の積層体81の斜視図であり、図14Bは、本発明の第五実施態様にかかる五層構造の積層体82の斜視図である。図15は、図14Aに示す積層体81の分解斜視図である。
図14Aに示すとおり、積層体81は、第一基板70と、第一基板70に対向する第二基板70と、を有している。積層体81は、第一基板70と第二基板70との間にプルラン繊維である糸17および非水溶媒99を含む中間層72を有して構成されている。
積層体81における第一基板70、第二基板70、およびプルラン繊維である糸17は、上述にて説明する積層体80における基板70および糸17であって特にプルラン繊維と同様であるため、ここでの説明は割愛する。
非水溶媒99は、水溶性のプルランを溶解しない溶媒として選択されるものである。たとえば、有機溶媒、オイルなどを、非水溶媒99として用いることができる。
中間層72は、第一基板70と第二基板70との間において糸17が、二枚の基板間のスペースを確保するスペーサとなっている。スペーサである糸17の周囲には、非水溶媒99が充填されており、これによって中間層72が構成されている。
非水溶媒99と第一基板70および第二基板70との組み合わせにより積層体81は、種々の用途に用いることができる。
たとえば、第一基板70および第二基板70を有機樹脂フィルムなどの絶縁性の部材で構成するとともに、非水溶媒99として液晶溶媒を用いることにより、積層体81を液晶セルとして用いることができる。有機樹脂フィルムについては、第四実施態様において説明する有機樹脂フィルムと同様のものを用いることができるため、詳細な説明は割愛する。
プルラン繊維は、光透過度が高く、特に繊維径を3μm以下、より好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1μm以下とすることで、液晶セル内における視認性が無視できる程度に光透過度を高くすることができる。
上記プルラン繊維の繊維径は、顕微鏡観察により、任意に選択された5本から10本のプルラン繊維の任意の箇所における繊維幅を計測し、その平均値を求めることによって示される。プルラン繊維以外の糸17の繊維径についても同様の方法で測定することができる。
また、非水溶媒99が絶縁油であり中間層72を絶縁層として構成することもできる。このとき、第一基板70および第二基板70を、導電性部材を含む導電層として構成することにより、積層体81をコンデンサとして構成することができる。
上記絶縁油とは、液状の絶縁体材料であって、第一基板70および第二基板70の間に充填したとき、導電層である第一基板70と、第二基板70と、を電気的に絶縁可能な材料である。より具体的には、例えば、日本工業規格にてJIS C 2320として規格化された電気絶縁油を上記絶縁油として用いることができる。
第一基板70および第二基板70は、導電性部材を含む導電層であって、絶縁材料中に炭素、銅、あるいは銀などからなる導電性粒子が含有されることによって導電性層を構成可能な部材より構成することができる。あるいは、第一基板70および第二基板70は、導電性部材を含む導電層であって、導電性を示す金属箔などの実質的に絶縁性部材のみからなる部材で構成することができる。また、導電性樹脂よりなるフィルムを導電層として、第一基板70および第二基板70に用いることもできる。
上記金属箔としては、第四実施態様において説明する金属箔と同様のものを用いることができるため、詳細な説明は割愛する。
上述のとおり、プルラン繊維は、細径の繊維として形成することが可能であり、第一基板70および第二基板70の距離を小さくすることが可能である。したがって本実施態様にかかる積層体81は、薄膜化が図られ、且つ、静電容量の大きいコンデンサを提供することが可能である。
特に本実施態様にかかる積層体81において、上記プルラン繊維である糸17は、第一基板70と第二基板70との間において、単繊維の列をなすことが好ましい。
図15に、第二基板70を、第一基板70および糸17から離間した状態の積層体81の分解斜視図を示す。図15において非水溶媒99は図示省略する。
図15に示すように第一基板70の上において積層される糸17が、単繊維をなしていることにより、第一基板70と第二基板70との間の距離をプルラン繊維である糸17の繊維径と同等の寸法とすることができる。ここで糸17が単繊維の列をなすとは、図15に示すとおり複数の糸17が互いに交差せずに左右に依れながら概ね同方向に伸長している状態、および複数の糸17が互いに交差する箇所を有するとともに、概ね同方向に伸長している状態を含む。本実施態様において、糸17が単繊維の列をなすとは、各糸17の伸長方向が確認できない程度に、複数の糸17が交絡した状態を除外する。
本実施態様の変形例として、図14Bに五層構造の積層体82の斜視図を示す。積層体82は、プルラン繊維である糸17と非水溶媒99とを有してなる中間層72を介して、第一基板70と第二基板70とが対向し、さらにその外側に第三基板85と第四基板85とを備える。
尚、第一基板70と第二基板70とは実質的に同じ部材で構成することもできるし、異なる部材で構成することもできる。また同様に、第三基板85と第四基板85とは実質的に同じ部材で構成することもできるし、異なる部材で構成することもできる。
たとえば、絶縁性フィルムである第一基板70および第二基板70で積層体81を構成し、さらにその外側に導電性材料からなる第三基板85と第四基板85を設けることができる。これによって、第一基板70および第二基板70と、中間層72とにより絶縁層を構成するとともに、その両面に導電層を有するコンデンサを構成することができる。
上述する積層体81の製造方法は特に限定されないが、たとえば、本発明の第四実施態様の示される乾式紡糸装置により製造される積層体80を用いて、積層体81を製造することができる。
即ち、乾式紡糸装置500あるいは乾式紡糸装置700を用いて、プルラン繊維である糸17を備える積層体80を形成する。上のとおりプルラン繊維を細径にて形成することにより基板70と基板70との距離を小さくすることができる。より具体的には、上記距離をたとえば1μm以上10μm以下の範囲とすることができる。このように2枚の基板70間の距離を小さくすることにより、基板70間に形成される空間において毛細管現象を生じさせることが可能である。
具体的には、積層体80の任意の縁部を非水溶媒99に浸漬させることによって、毛細管現象により、非水溶媒99を基板70間に浸透させることができる。これによって基板70と基板70との間(即ち、第一基板70と第二基板70との間)に非水溶媒99とプルラン繊維である糸17とを有してなる中間層72を備える積層体81を製造することができる。
また積層体82を製造後、さらに両方の外側面に、それぞれ第三基板85と第四基板85を積層させることによって、積層体82を製造することができる。
あるいは、予め、第一基板70と第三基板85とを積層した積層基板および、第二基板70と第四基板85とを積層した積層基板を準備し、これを乾式紡糸装置500あるいは乾式紡糸装置700において用いられる基板として用いることもできる。この場合には、糸17を介して、一方側に第一基板70と第三基板85とを有し、他方側に第二基板70と第四基板85とを有する積層体が製造され、当該積層体の縁部を非水溶媒99に浸漬させることによって五層構造の積層体82を製造するこができる。
上記実施態様は、以下の技術思想を包含するものである。
(C1)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
前記紡糸ノズルは、ノズル本体と、前記ノズル本体の内部に形成されて前記紡糸原液を流通させる原液流通孔と、を有し、
複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置されており、
前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ていないことを特徴とする乾式紡糸装置。
(C2)前記給気路が、前記紡糸ノズルの側面に沿うとともに前記エアノズルの先端位置に向かって開口幅が小さくなる縮径部を備える上記(C1)に記載の乾式紡糸装置。
(C3)前記給気路は、前記加圧ガスの流路に対して交差する方向に起立して設けられた障壁部を有する上記(C1)または(C2)に記載の乾式紡糸装置。
(C4)前記障壁部が、前記加圧ガスの流れ方向を変更させる複数の邪魔板であり、
複数の前記邪魔板は、隣り合う第一邪魔板および第二邪魔板を含み、
前記第一邪魔板は、前記給気路の第一内壁面から前記第一内壁面と対向する前記給気路の第二内壁面に向かって延在しており、
前記第二邪魔板は、前記第一邪魔板より下流側であって、前記第二内壁面から前記第一内壁面に向かって延在しており、
前記第一邪魔板と前記第二内壁面との間を通過する加圧ガスの第一流路面積よりも、前記第二邪魔板と前記第一内壁面との間を通過する加圧ガスの第二流路面積の方が小さい上記(C3)に記載の乾式紡糸装置。
(C5)前記給気路は、前記加圧ガスの流路方向における単位距離当たりの容積が増大する貯留部を有する上記(C1)から(C4)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C6)前記吐出部本体は、ノズル基板を備えており、
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方の面に設けられた複数の前記紡糸ノズルとを備え、
前記基板本体の前記一方の面と前記分流基板とは対面しており、
前記貯留部が、前記ノズル基板と前記分流基板との間に設けられていることを特徴とする上記(C5)に記載の乾式紡糸装置。
(C7)前記貯留部が前記給気路の前記ブロアとは反対側の端部領域に設けられており、
前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ず、かつ前記ノズル本体の周側面の少なくとも一部が前記貯留部の内部に露出しており、前記貯留部に導入された前記加圧ガスが前記ノズル本体の側面で整流され前記エアノズルにより分流されて前記糸前駆体を延伸する上記(C5)または(C6)に記載の乾式紡糸装置。
(C8)延伸する前記糸前駆体の側方から前記糸前駆体に風を吹きつける送風部であって前記糸前駆体を介して対向する第一送風部と第二送風部とを有し、
前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、いずれも前記糸前駆体の下流方向を向く上記(C1)から(C7)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C9)前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、前記糸前駆体の下流方向であるとともに前記紡糸ノズルの並び方向に対して互いに逆向きである上記(C9)に記載の乾式紡糸装置。
(C10)前記第一送風部および前記第二送風部は、前記送風部から送風される前記風の風向きを調整するための風向き調整機構有する上記(C8)または(C9)に記載の乾式紡糸装置。
(C11)前記風向き調整機構が、前記第一送風部および前記第二送風部に設けられたフラップであり、
前記フラップは、送風方向において一または二以上設けられている上記(C8)から(C10)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C12)2以上の前記紡糸ノズルが、前記基板本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする上記(C1)から(C11)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C13)前記分流基板の前記ブロア側には、前記ノズル基板の側から前記エアノズルの先端側に向かって開口幅が小さくなる縮径部が設けられている上記(C1)から(C12)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C14)前記加熱機構が、前記紡糸ノズルより吐出されて延伸された前記糸前駆体の伸長方向に沿って設置された赤外線ヒーターを含み、
前記赤外線ヒーターは、前記糸前駆体に対し、直接および/または輻射で赤外線を照射することによって、前記糸前駆体に含有される溶媒を加熱除去することを特徴とする上記(C1)から(C13)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C15)前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に、前記紡糸ノズルに対する前記赤外線ヒーターからの熱伝導を低減する断熱層が設けられていることを特徴とする上記(C14)に記載の乾式紡糸装置。
(C16)前記断熱層として、前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に固定された断熱板を備え、
前記分流基板と前記断熱板との間、および/または前記断熱板と前記赤外線ヒーターとの間に、外気との喚起可能な空気層が設けられていることを特徴とする上記(C15)に記載の乾式紡糸装置。
(C17)前記紡糸ノズルの先端より前記乾式紡糸装置の設置面の側にあって、かつ且つ、前記設置面に対面する領域に前記糸前駆体の付着防止層が設けられていることを特徴とする上記(C1)から(C16)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C18)前記ブロアから吹き出される加圧ガスを前記エアノズルへと導く前記給気路、および紡糸原液を前記紡糸ノズルへと導く給液路を格納するヘッドを有し、
前記基板本体には、位置合わせピン用孔が2以上設けられており、かつ前記ヘッドの底板には、前記位置合わせピン用孔それぞれに対応する位置合わせピン用留穴が設けられており、前記位置合わせピン用孔および前記位置合わせピン用留穴にピンを挿入することによって前記ノズル基板を前記ヘッドに対し所定の位置に位置合わせ可能であり、
前記基板本体および前記分流基板には、互いに積層された状態で連通するボルト挿通孔が複数設けられており、前記分流基板に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径が前記基板本体に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径より小さく、
前記ヘッドの底板には、前記ボルト挿通孔それぞれと対応するネジ切りされたボルト用留穴が設けられており、前記ボルト挿通孔および前記ボルト用留穴にボルトを挿入することによって、前記ピンが挿入された前記ノズル基板および前記ボルトが挿入された前記分流基板を前記ヘッドに対して位置合わせ可能である上記(C4)に記載の乾式紡糸装置。
(C19)前記原液流通孔は、前記紡糸ノズルの紡糸原液流入側の孔径が、紡糸原液吐出側の孔径より大きく、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔とが、段差を介して連続していることを特徴とする上記(C1)から(C18)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C20)前記原液流通孔のアスペクト比が、1:10から1:100までの範囲に含まれる比率である上記(C1)から(C19)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C21)紡糸原液のホッパーと前記紡糸ノズルとの間に、前記紡糸原液が流入する紡糸原液流入口と前記紡糸原液を前記紡糸ノズルに供給する紡糸原液排出口とを有し、前記ホッパーより供給される紡糸原液を貯留し、次いで複数の前記紡糸ノズルへと分流するための原液室を備え、
前記原液室には、分流補助部材が設置されており、
前記分流補助部材は、前記紡糸原液流入口の付近が最も太状であり、前記紡糸原液流入口からの距離が大きくなるほど細状となっており、
前記分流補助部材と前記原液室とのクリアランスが、前記紡糸原液流入口の付近が極小であって、前記紡糸原液流入口から離れるほど大きいことを特徴とする上記(C1)から(C20)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C22)前記糸前駆体を介して対向する一対の電極と、
前記電極に電流を流す電流装置と、を備え、
前記電流装置により前記電極に電流が流されたとき前記電極間に電場が発生し、前記糸前駆体を帯電可能である上記(C1)から(C21)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C23)前記電極が、前記加熱機構を前記糸前駆体が通過する加熱領域の、前記糸前駆体の流れ方向における中間位置を挟んで上流側と下流側とに、それぞれ設けられている上記(C22)に記載の乾式紡糸装置。
(C24)複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶノズルラインが2以上並列して設けられている上記(C1)から(C23)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C25)上記(C1)から(C24)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置と、前記乾式紡糸装置により紡糸された糸を捕集する可動式捕集面とを備えることを特徴とする不織布製造装置。
(C26)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置された乾式紡糸装置を用い、
前記紡糸ノズルのノズル本体の内部に設けられた原液流通孔に前記紡糸原液を流通させるとともに、
前記エアノズルの下流側の開口より手間で前記ノズル本体の先端から前記紡糸原液を吐出させて前記糸前駆体を形成し、
形成された前記糸前駆体を、前記エアノズルを流通する前記加圧ガスの風圧により下流方向に導いて前記エアノズルの前記開口より排出させ、
次いで、前記エアノズルの前記開口より排出した前記糸前駆体を前記加熱機構により加熱することによって糸を紡糸することを特徴とする紡糸方法。
またさらに、上記実施態様は、以下の技術思想を包含する。
(1)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路、および前記給気路の途中に設けられた貯留部が設けられた吐出部本体と、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
前記紡糸ノズルは、ノズル本体と、前記ノズル本体の内部に形成されて前記紡糸原液を流通させる原液流通孔と、を有し、
複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置されており、
前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ず、かつ前記ノズル本体の周側面の少なくとも一部が前記貯留部の内部に露出しており、前記貯留部に導入された前記加圧ガスが前記ノズル本体の周側面で整流され前記エアノズルにより分流されて前記糸前駆体を延伸することを特徴とする乾式紡糸装置。
(2)前記吐出部本体は、ノズル基板を備えており、
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方の面に設けられた複数の前記紡糸ノズルとを備え、
前記基板本体の前記一方の面と前記分流基板とは対面しており、
前記貯留部が、前記ノズル基板と前記分流基板との間に設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の乾式紡糸装置。
(3)前記ノズル基板と前記分流基板との間に、前記貯留部を設けるためのスペーサを備えることを特徴とする上記(2)に記載の乾式紡糸装置。
(4)2以上の前記紡糸ノズルが、前記基板本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の乾式紡糸装置。
(5)前記分流基板の前記貯留部の側には、前記貯留部の側から前記エアノズルの先端側に向かって開口幅が小さくなる縮径部が設けられている上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の乾式紡糸装置。
(6)前記加熱機構が、前記紡糸ノズルより吐出されて延伸された前記糸前駆体の伸長方向に沿って設置された赤外線ヒーターを含み、
前記赤外線ヒーターは、前記糸前駆体に対し、直接および/または輻射で赤外線を照射することによって、前記糸前駆体に含有される溶媒を加熱除去することを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の乾式紡糸装置。
(7)前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に、前記紡糸ノズルに対する前記赤外線ヒーターからの熱伝導を低減する断熱層が設けられていることを特徴とする上記(6)に記載の乾式紡糸装置。
(8)前記断熱層として、前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に固定された断熱板を備え、
前記分流基板と前記断熱板との間、および/または前記断熱板と前記赤外線ヒーターとの間に、外気との喚起可能な空気層が設けられていることを特徴とする上記(7)に記載の乾式紡糸装置。
(9)前記紡糸ノズルの先端より前記乾式紡糸装置の設置面の側にあって、かつ且つ、前記設置面に対面する領域に前記糸前駆体の付着防止層が設けられていることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれか一つに記載の乾式紡糸装置。
(10)前記ブロアから吹き出される加圧ガスを前記エアノズルへと導く前記給気路、および紡糸原液を前記紡糸ノズルへと導く給液路を格納するヘッドを有し、
前記基板本体には、位置合わせピン用孔が2以上設けられており、かつ前記ヘッドの底板には、前記位置合わせピン用孔それぞれに対応する位置合わせピン用留穴が設けられており、前記位置合わせピン用孔および前記位置合わせピン用留穴にピンを挿入することによって前記ノズル基板を前記ヘッドに対し所定の位置に位置合わせ可能であり、
前記基板本体および前記分流基板には、互いに積層された状態で連通するボルト挿通孔が複数設けられており、前記分流基板に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径が前記基板本体に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径より小さく、
前記ヘッドの底板には、前記ボルト挿通孔それぞれと対応するネジ切りされたボルト用留穴が設けられており、前記ボルト挿通孔および前記ボルト用留穴にボルトを挿入することによって、前記ピンが挿入された前記ノズル基板および前記ボルトが挿入された前記分流基板を前記ヘッドに対して位置合わせ可能である上記(2)から(4)のいずれか一つに記載の乾式紡糸装置。
(11)前記原液流通孔は、前記紡糸ノズルの紡糸原液流入側の孔径が、紡糸原液吐出側の孔径より大きく、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔とが、段差を介して連続していることを特徴とする上記(1)から(10)のいずれか一つに記載の乾式紡糸装置。
(12)紡糸原液のホッパーと前記紡糸ノズルとの間に、前記紡糸原液が流入する紡糸原液流入口と前記紡糸原液を前記紡糸ノズルに供給する紡糸原液排出口とを有し、前記ホッパーより供給される紡糸原液を貯留し、次いで複数の前記紡糸ノズルへと分流するための原液室を備え、
前記原液室には、分流補助部材が設置されており、
前記分流補助部材は、前記紡糸原液流入口の付近が最も太状であり、前記紡糸原液流入口からの距離が大きくなるほど細状となっており、
前記分流補助部材と前記原液室とのクリアランスが、前記紡糸原液流入口の付近が極小であって、前記紡糸原液流入口から離れるほど大きいことを特徴とする上記(1)から(11)のいずれか一つに記載の乾式紡糸装置。
(13)複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶノズルラインが2以上並列して設けられており、
延伸する前記糸前駆体の側方から前記糸前駆体に風を吹きつける送風部であって前記糸前駆体を介して対向する第一送風部と第二送風部とを有し、
前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、いずれも前記糸前駆体の下流方向を向く上記(1)から(12)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(14)前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、前記糸前駆体の下流方向であるとともに前記紡糸ノズルの並び方向に対して互いに逆向きである上記(13)に記載の乾式紡糸装置。
(15)前記第一送風部および前記第二送風部は、前記送風部から送風される前記風の風向きを調整するための風向き調整機構を有する上記(13)または(14)に記載の乾式紡糸装置。
(16)前記風向き調整機構が、前記第一送風部および前記第二送風部に設けられたフラップであり、
前記フラップは、送風方向において一または二以上設けられている上記(13)から(15)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(17)上記(1)から(16)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置と、前記乾式紡糸装置により紡糸された糸を捕集する可動式捕集面とを備えることを特徴とする不織布製造装置。
(18)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して糸前駆体とする紡糸ノズルが設けられた吐出部本体と、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶノズルラインが2以上並列して設けられており、一の前記ノズルラインから吐出された糸前駆体と、これに隣り合う他の前記ノズルラインから吐出された糸前駆体とを接触可能に寄せることを特徴とする乾式紡糸装置。
(19)一の前記ノズルラインにおける各前記紡糸ノズルの先端と、これに隣り合う他の前記ノズルラインにおける各前記紡糸ノズルの先端と、が向き合うよう配置されている上記(18)に記載の乾式紡糸装置。
(20)前記吐出部本体は、複数のノズル基板を備えており、
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方面に設けられた一または複数の前記ノズルラインとを備え、
前記複数の前記ノズルラインにおける各前記紡糸ノズルのノズル中心軸線が前記基板本体に対し略法線方向に向いており、
一前記ノズル基板の前記紡糸ノズルが設けられた面と、他の前記ノズル基板の前記紡糸ノズルが設けられた面との交差角度が180°未満である上記(18)または(19)に記載の乾式紡糸装置。
(21)前記吐出部本体は、ノズル基板を備えており
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方面に設けられた複数の前記ノズルラインとを備え、
一の前記ノズルラインにおける複数の前記紡糸ノズルの前記ノズル中心軸線が前記基板本体に対し同方向に傾斜しており、他の前記ノズルラインにおける複数の前記紡糸ノズルの前記ノズル中心軸線が前記基板本体に対し同方向に傾斜している上記(18)または(19)に記載の乾式紡糸装置。
(22)一の前記ノズルラインにおける複数の前記紡糸ノズルの前記ノズル中心軸線を含む第一面と、これに隣り合う他の前記ノズルラインにおける複数の前記紡糸ノズルの前記ノズル中軸線を含む第二面と、が交差する上記(18)から(21)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(23)前記第一面と前記第二面とが加熱機構で加熱される領域の上流側で交差する上記(22)に記載の乾式紡糸装置。
(24)延伸する前記糸前駆体の側方から前記糸前駆体に風を吹きつける送風部であって前記糸前駆体を介して対向する第一送風部と第二送風部とを有し、
前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、いずれも前記糸前駆体の下流方向を向く上記(18)から(23)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(25)前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、前記糸前駆体の下流方向であるとともに前記紡糸ノズルの並び方向に対して互いに逆向きである上記(24)に記載の乾式紡糸装置。
(26)前記第一送風部および前記第二送風部は、前記送風部から送風される前記風の風向きを調整するための風向き調整機構を有する上記(24)または(25)に記載の乾式紡糸装置。
(27)前記風向き調整機構が、前記第一送風部および前記第二送風部に設けられたフラップであり、
前記フラップは、送風方向において一または二以上設けられている上記(26)に記載の乾式紡糸装置。
(28)ブロアより糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すとともに、複数個の紡糸ノズルが一方方向に並ぶノズルラインが2以上並列して設けられたノズル部において複数の前記紡糸ノズルより紡糸原液を吐出して糸前駆体を形成する吐出工程と、
一の前記ノズルラインから吐出された糸前駆体と、これに隣り合う他の前記ノズルラインから吐出された糸前駆体と、を接触可能に寄せる、前記吐出工程後に実施される寄せ工程と、
加熱機構により前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去する、前記寄せ工程後に実施される加熱工程と、
を備えることを特徴とする紡糸方法。
(29)前記寄せ工程において、一の前記ノズルラインにおける複数の前記紡糸ノズルの前記ノズル中心軸線を含む第一面と、これに隣り合う他の前記ノズルラインにおける複数の前記紡糸ノズルの前記ノズル中軸線を含む第二面と、を交差させる上記(28)に記載の乾式紡糸装置。
(30)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズルと、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備える乾式紡糸装置であって、
前記紡糸ノズルより吐出された前記糸前駆体が伸長する流れ方向を下流方向としたとき、
前記下流方向に伸長する前記糸前駆体または前記糸前駆体よりなる糸を面上で捕集する可動式捕集面と、
前記可動式捕集面に基板を送り込む基板送り込み部と、を有し、
前記可動式捕集面が、前記糸前駆体または前記糸が前記可動式捕集面に到達して捕集が開始される捕集開始点を連続的に変化させるとともに、捕集された前記糸前駆体または前記糸をさらに下流方向に送り出す方向に動作するとともに、
前記基板送り込み部が、前記捕集開始点より手前側において前記基板を前記可動式捕集面に送り込むことによって、
前記基板の上に前記糸前駆体または前記糸を積層させることを特徴とする乾式紡糸装置。
(31)前記可動式捕集面が、前記捕集開始点を連続的に変化させる際の可動速度は、前記紡糸ノズルより吐出される前記糸前駆体の吐出速度の0.3倍以上である上記(30)に記載の乾式紡糸装置。
(32)前記可動式捕集面が、前記捕集開始点を連続的に変化させる際の可動速度は、前記紡糸ノズルより吐出される前記糸前駆体の吐出速度以上である上記(30)または(31)に記載の乾式紡糸装置。
(33)前記可動式捕集面が、互いに内向きに回転する一対の回転式捕集ドラムの外側面であり、
前記一対の回転式捕集ドラム間の距離が最短になるより手前側に前記捕集開始点を有するとともに、
前記基板送り込み部が、少なくとも前記一対の回転式捕集ドラムのいずれか一方の前記外側面上であって前記捕集開始点より手前側に前記基板を送り込む上記(30)から(32)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(34)前記基板送り込み部が、前記捕集開始点より手前側において前記一対の回転式捕集ドラムのそれぞれに前記基板を送り込むとともに、
前記一対の回転式捕集ドラム間の距離が最短になる領域において、前記糸前駆体または前記糸を介して対向する二枚の前記基板を外側面からプレスする上記(33)に記載の乾式紡糸装置。
(35)第一基板と、前記第一基板に対向する第二基板と、を有し、
前記第一基板と前記第二基板との間にプルラン繊維および非水溶媒を含む中間層を有してなることを特徴とする積層体。
(36)前記プルラン繊維は、前記第一基板と前記第二基板との間において、単繊維の列をなす上記(35)に記載の積層体。
(37)前記非水溶媒が絶縁油であり前記中間層が絶縁層であるとともに、
前記第一基板および前記第二基板が導電性部材を含む導電層であることによって、
コンデンサを構成する、上記(35)または(36)に記載の積層体。
尚、本発明はさらに以下の技術思想を包含する。
(A−1)複数の前記紡糸ノズルを有し、任意の一の前記紡糸ノズルの先端と、他の前記紡糸ノズルの先端とが向き合うよう配置されている上記(1)から(12)に記載の乾式紡糸装置。
(A−2)前記吐出部本体は、複数のノズル基板を備えており、
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方の面に設けられた複数の前記紡糸ノズルと、を備え、
複数の前記紡糸ノズルの各ノズル中心軸線が前記基板本体に対し略法線方向に向いており、
一のノズル基板の前記紡糸ノズルが設けられた前記面と、他のノズル基板の前記紡糸ノズルが設けられた前記面との交差角度が180°未満である上記(A−1)に記載の乾式紡糸装置。
(A−3)前記吐出部本体は、ノズル基板を備えており、
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方の面に設けられた複数の前記紡糸ノズルと、を備え、
複数の前記紡糸ノズルの各ノズル中心軸線が前記基板本体に対し傾斜している上記(A−1)に記載の乾式紡糸装置。
(A−4)任意の一の前記紡糸ノズルの前記ノズル中心軸線と、他の前記紡糸ノズルの前記ノズル中心軸線とが、前記加熱機構で加熱される領域の上流側で交差する上記(A−1)から(A−3)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
また、本発明はさらに以下の技術思想を包含する。
(B−1)スラリー状の紡糸原液を調整し、複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶ第一のノズルラインと、前記第一のノズルラインと平行する、複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶ第二のノズルラインと、から前記紡糸原液を吐出して糸前駆体を形成する糸前駆体吐出工程と、
前記糸前駆体を介して対向する第一送風部と第二送風部とから、前記糸前駆体の側方に対し風を吹きつける送風工程と、を有し、
前記糸前駆体吐出工程において、前記第一のノズルラインに送られる前記紡糸原液の粘度を、前記第二のノズルラインに送られる前記紡糸原液の粘度よりも大きく調整することを特徴とする繊維製造方法。
(B−2)前記送風工程において、前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きを、前記糸前駆体の下流方向であるとともに前記紡糸ノズルの並び方向に対して互いに逆向きに調整する上記(B−1)に記載の繊維製造方法。
(B−3)前記糸前駆体、前記送風工程、いずれかまたは組み合わせにおいて、前記第一のノズルラインから吐出された前記糸前駆体と、前記第二のノズルラインから吐出された前記糸前駆体とを、接触可能に寄せる上記(B−1)または(B−2)のいずれかに記載の繊維製造方法。
1 乾式紡糸装置
2 ホッパー
3 給液管
3a 給液路
4、4a ヘッド
5 原液室
6 ノズル基板
7 スペーサ
8 絞り板
9 分流基板
10 ブロア
11 給気管
11a給気路
12 糸前駆体
13 断熱層
14 筐体
15 赤外線ヒーター
16 輻射板
17 糸
18 捕集ドラム
19 不織布
21 不織布製造装置
22 空気層
30 基板本体
31 紡糸ノズル
32 給気孔
33 位置合わせピン用孔
34、35、38、41 ボルト挿通孔
36 絞り孔
37 絞り孔内壁
40 エアノズル
42、42a 原液流通孔
43 ノズル本体
44 貯留部
51 分流補助部材
52 紡糸原液流入口
53 底板
54 位置合わせピン
55 位置合わせピン用留穴
57a、57b、57c 付着防止層
58 ドラムロール
59 回転テーブル
60 紡糸原液排出口
61 エアノズル形成領域
70 基板、第一基板、第二基板
70A 基板
70B 基板
72 中間層
80 積層体
81 積層体
82 積層体
85 第三基板、第四基板
99 非水溶媒
101 孔
102 オネジ
103 メネジ
104、105、106 孔
110 冷却管
111 管状の給気路
112 第一邪魔板
114 第二邪魔板
116 傾斜面
201 乾式紡糸装置
221 不織布製造装置
310 ノズル基板
311 ノズルライン
350 分流基板
352 エアノズル
380 絞り板
390 分流基板
400 ノズルライン
401 乾式紡糸装置
402 ノズルライン
406 ノズル基板
421 不織布製造装置
430 第一送風部
431 フラップ
435 フラップ
440 第二送風部
441 フラップ
445 フラップ
500 乾式紡糸装置
501 可動式捕集面
505 回転式捕集ドラム
510 基板送り込み部
520 巻き取りローラー
530 可動式捕集面
535 ベルトコンベア
536 ベルトコンベア
537 下部搬送装置
540 対向搬送面
550 巻き取り部
600 基板送り込み部
610 スリット
700 乾式紡糸装置
801A、801B、801C 電極
910 開口凸部
912 第2給液管
914 固定部
916 冷却機構
918 貯留部である給気路
920 補填板
922 流通路
930 加熱領域
a、b、c、L、L1、L2、L3 距離
d、e、f 孔径
s、t 矢印
本発明の乾式紡糸装置は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル、上記紡糸ノズルを備えるノズル基板、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および上記ブロアから吹き出された上記加圧ガスを上記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、上記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、上記ノズル基板は、基板本体と、上記基板本体の一方の面に設けられた複数の上記紡糸ノズルとを備え、2以上の上記紡糸ノズルが、上記基板本体に着脱可能に取り付けられており、上記紡糸ノズルは、ノズル本体と、上記ノズル本体の内部に形成されて上記紡糸原液を流通させる原液流通孔と、を有し、複数の上記エアノズルに対して一または複数の上記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置されており、上記ノズル本体の先端は上記エアノズルを突き出ていないことを特徴とする。
また、本発明の紡糸方法は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル、上記紡糸ノズルを備えるノズル基板、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および上記ブロアから吹き出された上記加圧ガスを上記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、上記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、上記ノズル基板は、基板本体と、上記基板本体の一方の面に設けられた複数の上記紡糸ノズルとを備え、2以上の上記紡糸ノズルが、上記基板本体に着脱可能に取り付けられており、複数の上記エアノズルに対して一または複数の上記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置された乾式紡糸装置を用い、上記紡糸ノズルのノズル本体の内部に設けられた原液流通孔に上記紡糸原液を流通させるとともに、上記エアノズルの下流側の開口より手間で上記ノズル本体の先端から上記紡糸原液を吐出させて上記糸前駆体を形成し、形成された上記糸前駆体を、上記エアノズルを流通する上記加圧ガスの風圧により下流方向に導いて上記エアノズルの上記開口より排出させ、次いで、上記エアノズルの上記開口より排出した上記糸前駆体を上記加熱機構により加熱することによって糸を紡糸することを特徴とする。
また、本発明の紡糸方法は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル、上記紡糸ノズルを備えるノズル基板、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および上記ブロアから吹き出された上記加圧ガスを上記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、上記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、上記ノズル基板は、基板本体と、上記基板本体の一方の面に設けられた複数の上記紡糸ノズルとを備え、2以上の上記紡糸ノズルが、上記基板本体に着脱可能に取り付けられており、複数の上記エアノズルに対して一または複数の上記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置された乾式紡糸装置を用い、上記紡糸ノズルのノズル本体の内部に設けられた原液流通孔に上記紡糸原液を流通させるとともに、上記エアノズルの下流側の開口より手前で上記ノズル本体の先端から上記紡糸原液を吐出させて上記糸前駆体を形成し、形成された上記糸前駆体を、上記エアノズルを流通する上記加圧ガスの風圧により下流方向に導いて上記エアノズルの上記開口より排出させ、次いで、上記エアノズルの上記開口より排出した上記糸前駆体を上記加熱機構により加熱することによって糸を紡糸することを特徴とする。
以上に説明する本発明の紡糸装置によれば、本発明の紡糸方法を好適に実現することができる。
即ち、本発明の紡糸方法に用いられる乾式紡糸装置は、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロア10と、紡糸原液を吐出して上記糸前駆体とする紡糸ノズル31、面内に複数のエアノズル40が区画形成された分流基板9、およびブロア10から吹き出された上記加圧ガスをエアノズル40に導く給気路11aが設けられた吐出部本体を備える。加えて、当該乾式紡糸装置は、糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構(赤外線ヒーター15)と、を備え、複数のエアノズル40に対して一または複数の紡糸ノズル31がそれぞれ対応して配置されている。
上記紡糸装置を使用する本発明の紡糸方法は、紡糸ノズル31のノズル本体43の内部に設けられた原液流通孔42aに紡糸原液を流通させるとともに、エアノズル40の下流側の開口より手前でノズル本体43の先端から紡糸原液を吐出させて糸前駆体を形成する糸前駆体形成工程を有する。
上記糸前駆体形成工程を実施後、形成された糸前駆体を、エアノズル40を流通する加圧ガスの風圧により下流方向に導いてエアノズル40の開口より排出させる。
次いで、エアノズル40の開口より排出した糸前駆体を加熱機構(赤外線ヒーター15)により加熱する。以上により、本発明の糸紡糸方法は、糸を紡糸することができる。
上記実施態様は、以下の技術思想を包含するものである。
(C1)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
前記紡糸ノズルは、ノズル本体と、前記ノズル本体の内部に形成されて前記紡糸原液を流通させる原液流通孔と、を有し、
複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置されており、
前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ていないことを特徴とする乾式紡糸装置。
(C2)前記給気路が、前記紡糸ノズルの側面に沿うとともに前記エアノズルの先端位置に向かって開口幅が小さくなる縮径部を備える上記(C1)に記載の乾式紡糸装置。
(C3)前記給気路は、前記加圧ガスの流路に対して交差する方向に起立して設けられた障壁部を有する上記(C1)または(C2)に記載の乾式紡糸装置。
(C4)前記障壁部が、前記加圧ガスの流れ方向を変更させる複数の邪魔板であり、
複数の前記邪魔板は、隣り合う第一邪魔板および第二邪魔板を含み、
前記第一邪魔板は、前記給気路の第一内壁面から前記第一内壁面と対向する前記給気路の第二内壁面に向かって延在しており、
前記第二邪魔板は、前記第一邪魔板より下流側であって、前記第二内壁面から前記第一内壁面に向かって延在しており、
前記第一邪魔板と前記第二内壁面との間を通過する加圧ガスの第一流路面積よりも、前記第二邪魔板と前記第一内壁面との間を通過する加圧ガスの第二流路面積の方が小さい上記(C3)に記載の乾式紡糸装置。
(C5)前記給気路は、前記加圧ガスの流路方向における単位距離当たりの容積が増大する貯留部を有する上記(C1)から(C4)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C6)前記吐出部本体は、ノズル基板を備えており、
前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方の面に設けられた複数の前記紡糸ノズルとを備え、
前記基板本体の前記一方の面と前記分流基板とは対面しており、
前記貯留部が、前記ノズル基板と前記分流基板との間に設けられていることを特徴とする上記(C5)に記載の乾式紡糸装置。
(C7)前記貯留部が前記給気路の前記ブロアとは反対側の端部領域に設けられており、
前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ず、かつ前記ノズル本体の周側面の少なくとも一部が前記貯留部の内部に露出しており、前記貯留部に導入された前記加圧ガスが前記ノズル本体の側面で整流され前記エアノズルにより分流されて前記糸前駆体を延伸する上記(C5)または(C6)に記載の乾式紡糸装置。
(C8)延伸する前記糸前駆体の側方から前記糸前駆体に風を吹きつける送風部であって前記糸前駆体を介して対向する第一送風部と第二送風部とを有し、
前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、いずれも前記糸前駆体の下流方向を向く上記(C1)から(C7)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C9)前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、前記糸前駆体の下流方向であるとともに前記紡糸ノズルの並び方向に対して互いに逆向きである上記(C9)に記載の乾式紡糸装置。
(C10)前記第一送風部および前記第二送風部は、前記送風部から送風される前記風の風向きを調整するための風向き調整機構有する上記(C8)または(C9)に記載の乾式紡糸装置。
(C11)前記風向き調整機構が、前記第一送風部および前記第二送風部に設けられたフラップであり、
前記フラップは、送風方向において一または二以上設けられている上記(C8)から(C10)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C12)2以上の前記紡糸ノズルが、前記基板本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする上記(C1)から(C11)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C13)前記分流基板の前記ブロア側には、前記ノズル基板の側から前記エアノズルの先端側に向かって開口幅が小さくなる縮径部が設けられている上記(C1)から(C12)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C14)前記加熱機構が、前記紡糸ノズルより吐出されて延伸された前記糸前駆体の伸長方向に沿って設置された赤外線ヒーターを含み、
前記赤外線ヒーターは、前記糸前駆体に対し、直接および/または輻射で赤外線を照射することによって、前記糸前駆体に含有される溶媒を加熱除去することを特徴とする上記(C1)から(C13)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C15)前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に、前記紡糸ノズルに対する前記赤外線ヒーターからの熱伝導を低減する断熱層が設けられていることを特徴とする上記(C14)に記載の乾式紡糸装置。
(C16)前記断熱層として、前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に固定された断熱板を備え、
前記分流基板と前記断熱板との間、および/または前記断熱板と前記赤外線ヒーターとの間に、外気との喚起可能な空気層が設けられていることを特徴とする上記(C15)に記載の乾式紡糸装置。
(C17)前記紡糸ノズルの先端より前記乾式紡糸装置の設置面の側にあって、かつ且つ、前記設置面に対面する領域に前記糸前駆体の付着防止層が設けられていることを特徴とする上記(C1)から(C16)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C18)前記ブロアから吹き出される加圧ガスを前記エアノズルへと導く前記給気路、および紡糸原液を前記紡糸ノズルへと導く給液路を格納するヘッドを有し、
前記基板本体には、位置合わせピン用孔が2以上設けられており、かつ前記ヘッドの底板には、前記位置合わせピン用孔それぞれに対応する位置合わせピン用留穴が設けられており、前記位置合わせピン用孔および前記位置合わせピン用留穴にピンを挿入することによって前記ノズル基板を前記ヘッドに対し所定の位置に位置合わせ可能であり、
前記基板本体および前記分流基板には、互いに積層された状態で連通するボルト挿通孔が複数設けられており、前記分流基板に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径が前記基板本体に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径より小さく、
前記ヘッドの底板には、前記ボルト挿通孔それぞれと対応するネジ切りされたボルト用留穴が設けられており、前記ボルト挿通孔および前記ボルト用留穴にボルトを挿入することによって、前記ピンが挿入された前記ノズル基板および前記ボルトが挿入された前記分流基板を前記ヘッドに対して位置合わせ可能である上記(C4)に記載の乾式紡糸装置。
(C19)前記原液流通孔は、前記紡糸ノズルの紡糸原液流入側の孔径が、紡糸原液吐出側の孔径より大きく、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔とが、段差を介して連続していることを特徴とする上記(C1)から(C18)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C20)前記原液流通孔のアスペクト比が、1:10から1:100までの範囲に含まれる比率である上記(C1)から(C19)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C21)紡糸原液のホッパーと前記紡糸ノズルとの間に、前記紡糸原液が流入する紡糸原液流入口と前記紡糸原液を前記紡糸ノズルに供給する紡糸原液排出口とを有し、前記ホッパーより供給される紡糸原液を貯留し、次いで複数の前記紡糸ノズルへと分流するための原液室を備え、
前記原液室には、分流補助部材が設置されており、
前記分流補助部材は、前記紡糸原液流入口の付近が最も太状であり、前記紡糸原液流入口からの距離が大きくなるほど細状となっており、
前記分流補助部材と前記原液室とのクリアランスが、前記紡糸原液流入口の付近が極小であって、前記紡糸原液流入口から離れるほど大きいことを特徴とする上記(C1)から(C20)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C22)前記糸前駆体を介して対向する一対の電極と、
前記電極に電流を流す電流装置と、を備え、
前記電流装置により前記電極に電流が流されたとき前記電極間に電場が発生し、前記糸前駆体を帯電可能である上記(C1)から(C21)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C23)前記電極が、前記加熱機構を前記糸前駆体が通過する加熱領域の、前記糸前駆体の流れ方向における中間位置を挟んで上流側と下流側とに、それぞれ設けられている上記(C22)に記載の乾式紡糸装置。
(C24)複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶノズルラインが2以上並列して設けられている上記(C1)から(C23)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
(C25)上記(C1)から(C24)のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置と、前記乾式紡糸装置により紡糸された糸を捕集する可動式捕集面とを備えることを特徴とする不織布製造装置。
(C26)糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、
前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置された乾式紡糸装置を用い、
前記紡糸ノズルのノズル本体の内部に設けられた原液流通孔に前記紡糸原液を流通させるとともに、
前記エアノズルの下流側の開口より手前で前記ノズル本体の先端から前記紡糸原液を吐出させて前記糸前駆体を形成し、
形成された前記糸前駆体を、前記エアノズルを流通する前記加圧ガスの風圧により下流方向に導いて前記エアノズルの前記開口より排出させ、
次いで、前記エアノズルの前記開口より排出した前記糸前駆体を前記加熱機構により加熱することによって糸を紡糸することを特徴とする紡糸方法。

Claims (26)

  1. 糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
    紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、
    前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
    前記紡糸ノズルは、ノズル本体と、前記ノズル本体の内部に形成されて前記紡糸原液を流通させる原液流通孔と、を有し、
    複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置されており、
    前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ていないことを特徴とする乾式紡糸装置。
  2. 前記給気路が、前記紡糸ノズルの側面に沿うとともに前記エアノズルの先端位置に向かって開口幅が小さくなる縮径部を備える請求項1に記載の乾式紡糸装置。
  3. 前記給気路は、前記加圧ガスの流路に対して交差する方向に起立して設けられた障壁部を有する請求項1または2に記載の乾式紡糸装置。
  4. 前記障壁部が、前記加圧ガスの流れ方向を変更させる複数の邪魔板であり、
    複数の前記邪魔板は、隣り合う第一邪魔板および第二邪魔板を含み、
    前記第一邪魔板は、前記給気路の第一内壁面から前記第一内壁面と対向する前記給気路の第二内壁面に向かって延在しており、
    前記第二邪魔板は、前記第一邪魔板より下流側であって、前記第二内壁面から前記第一内壁面に向かって延在しており、
    前記第一邪魔板と前記第二内壁面との間を通過する加圧ガスの第一流路面積よりも、前記第二邪魔板と前記第一内壁面との間を通過する加圧ガスの第二流路面積の方が小さい請求項3に記載の乾式紡糸装置。
  5. 前記給気路は、前記加圧ガスの流路方向における単位距離当たりの容積が増大する貯留部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  6. 前記吐出部本体は、ノズル基板を備えており、
    前記ノズル基板は、基板本体と、前記基板本体の一方の面に設けられた複数の前記紡糸ノズルとを備え、
    前記基板本体の前記一方の面と前記分流基板とは対面しており、
    前記貯留部が、前記ノズル基板と前記分流基板との間に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の乾式紡糸装置。
  7. 前記貯留部が前記給気路の前記ブロアとは反対側の端部領域に設けられており、
    前記ノズル本体の先端は前記エアノズルを突き出ず、かつ前記ノズル本体の周側面の少なくとも一部が前記貯留部の内部に露出しており、前記貯留部に導入された前記加圧ガスが前記ノズル本体の側面で整流され前記エアノズルにより分流されて前記糸前駆体を延伸する請求項5または6に記載の乾式紡糸装置。
  8. 延伸する前記糸前駆体の側方から前記糸前駆体に風を吹きつける送風部であって前記糸前駆体を介して対向する第一送風部と第二送風部とを有し、
    前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、いずれも前記糸前駆体の下流方向を向く請求項1から7のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  9. 前記第一送風部および前記第二送風部から送風される前記風の風向きが、前記糸前駆体の下流方向であるとともに前記紡糸ノズルの並び方向に対して互いに逆向きである請求項8に記載の乾式紡糸装置。
  10. 前記第一送風部および前記第二送風部は、前記送風部から送風される前記風の風向きを調整するための風向き調整機構有する請求項8または9に記載の乾式紡糸装置。
  11. 前記風向き調整機構が、前記第一送風部および前記第二送風部に設けられたフラップであり、
    前記フラップは、送風方向において一または二以上設けられている請求項8から10のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  12. 2以上の前記紡糸ノズルが、前記基板本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  13. 前記分流基板の前記ブロア側には、前記ノズル基板の側から前記エアノズルの先端側に向かって開口幅が小さくなる縮径部が設けられている請求項1から12のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  14. 前記加熱機構が、前記紡糸ノズルより吐出されて延伸された前記糸前駆体の伸長方向に沿って設置された赤外線ヒーターを含み、
    前記赤外線ヒーターは、前記糸前駆体に対し、直接および/または輻射で赤外線を照射することによって、前記糸前駆体に含有される溶媒を加熱除去することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  15. 前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に、前記紡糸ノズルに対する前記赤外線ヒーターからの熱伝導を低減する断熱層が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の乾式紡糸装置。
  16. 前記断熱層として、前記分流基板と前記赤外線ヒーターとの間に固定された断熱板を備え、
    前記分流基板と前記断熱板との間、および/または前記断熱板と前記赤外線ヒーターとの間に、外気との喚起可能な空気層が設けられていることを特徴とする請求項15に記載の乾式紡糸装置。
  17. 前記紡糸ノズルの先端より前記乾式紡糸装置の設置面の側にあって、かつ且つ、前記設置面に対面する領域に前記糸前駆体の付着防止層が設けられていることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  18. 前記ブロアから吹き出される加圧ガスを前記エアノズルへと導く前記給気路、および紡糸原液を前記紡糸ノズルへと導く給液路を格納するヘッドを有し、
    前記基板本体には、位置合わせピン用孔が2以上設けられており、かつ前記ヘッドの底板には、前記位置合わせピン用孔それぞれに対応する位置合わせピン用留穴が設けられており、前記位置合わせピン用孔および前記位置合わせピン用留穴にピンを挿入することによって前記ノズル基板を前記ヘッドに対し所定の位置に位置合わせ可能であり、
    前記基板本体および前記分流基板には、互いに積層された状態で連通するボルト挿通孔が複数設けられており、前記分流基板に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径が前記基板本体に設けられた前記ボルト挿通孔の孔径より小さく、
    前記ヘッドの底板には、前記ボルト挿通孔それぞれと対応するネジ切りされたボルト用留穴が設けられており、前記ボルト挿通孔および前記ボルト用留穴にボルトを挿入することによって、前記ピンが挿入された前記ノズル基板および前記ボルトが挿入された前記分流基板を前記ヘッドに対して位置合わせ可能である請求項4に記載の乾式紡糸装置。
  19. 前記原液流通孔は、前記紡糸ノズルの紡糸原液流入側の孔径が、紡糸原液吐出側の孔径より大きく、紡糸原液流入側から伸長する直筒状の孔と、紡糸原液吐出側から伸長する直筒状の孔とが、段差を介して連続していることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  20. 前記原液流通孔のアスペクト比が、1:10から1:100までの範囲に含まれる比率である請求項1から19のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  21. 紡糸原液のホッパーと前記紡糸ノズルとの間に、前記紡糸原液が流入する紡糸原液流入口と前記紡糸原液を前記紡糸ノズルに供給する紡糸原液排出口とを有し、前記ホッパーより供給される紡糸原液を貯留し、次いで複数の前記紡糸ノズルへと分流するための原液室を備え、
    前記原液室には、分流補助部材が設置されており、
    前記分流補助部材は、前記紡糸原液流入口の付近が最も太状であり、前記紡糸原液流入口からの距離が大きくなるほど細状となっており、
    前記分流補助部材と前記原液室とのクリアランスが、前記紡糸原液流入口の付近が極小であって、前記紡糸原液流入口から離れるほど大きいことを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  22. 前記糸前駆体を介して対向する一対の電極と、
    前記電極に電流を流す電流装置と、を備え、
    前記電流装置により前記電極に電流が流されたとき前記電極間に電場が発生し、前記糸前駆体を帯電可能である請求項1から21のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  23. 前記電極が、前記加熱機構を前記糸前駆体が通過する加熱領域の、前記糸前駆体の流れ方向における中間位置を挟んで上流側と下流側とに、それぞれ設けられている請求項22に記載の乾式紡糸装置。
  24. 複数個の前記紡糸ノズルが一方方向に並ぶノズルラインが2以上並列して設けられている請求項1から23のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置。
  25. 請求項1から24のいずれか一項に記載の乾式紡糸装置と、前記乾式紡糸装置により紡糸された糸を捕集する可動式捕集面とを備えることを特徴とする不織布製造装置。
  26. 糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、
    紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とする紡糸ノズル、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板、および前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路が設けられた吐出部本体と、
    前記糸前駆体に含有された溶媒を加熱除去するための加熱機構と、を備え、
    複数の前記エアノズルに対して一または複数の前記紡糸ノズルがそれぞれ対応して配置された乾式紡糸装置を用い、
    前記紡糸ノズルのノズル本体の内部に設けられた原液流通孔に前記紡糸原液を流通させるとともに、
    前記エアノズルの下流側の開口より手間で前記ノズル本体の先端から前記紡糸原液を吐出させて前記糸前駆体を形成し、
    形成された前記糸前駆体を、前記エアノズルを流通する前記加圧ガスの風圧により下流方向に導いて前記エアノズルの前記開口より排出させ、
    次いで、前記エアノズルの前記開口より排出した前記糸前駆体を前記加熱機構により加熱することによって糸を紡糸することを特徴とする紡糸方法。
JP2013218288A 2012-10-22 2013-10-21 乾式紡糸装置、不織布製造装置、および紡糸方法 Active JP5535389B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013218288A JP5535389B1 (ja) 2012-10-22 2013-10-21 乾式紡糸装置、不織布製造装置、および紡糸方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012233201 2012-10-22
JP2012233201 2012-10-22
JP2013134522 2013-06-27
JP2013134522 2013-06-27
JP2013218288A JP5535389B1 (ja) 2012-10-22 2013-10-21 乾式紡糸装置、不織布製造装置、および紡糸方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014087658A Division JP6246055B2 (ja) 2012-10-22 2014-04-21 乾式紡糸装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5535389B1 JP5535389B1 (ja) 2014-07-02
JP2015028227A true JP2015028227A (ja) 2015-02-12

Family

ID=51409372

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013218288A Active JP5535389B1 (ja) 2012-10-22 2013-10-21 乾式紡糸装置、不織布製造装置、および紡糸方法
JP2014087658A Active JP6246055B2 (ja) 2012-10-22 2014-04-21 乾式紡糸装置

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014087658A Active JP6246055B2 (ja) 2012-10-22 2014-04-21 乾式紡糸装置

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP5535389B1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10450675B2 (en) 2015-01-14 2019-10-22 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Ultrafine fiber production method and production device
WO2019202954A1 (ja) * 2018-04-20 2019-10-24 株式会社ダイセル 紡糸装置及び紡糸方法
KR20200059229A (ko) * 2017-10-06 2020-05-28 렌징 악티엔게젤샤프트 필라멘트의 압출 및 스펀본디드 패브릭의 제조를 위한 장치
CN113718353A (zh) * 2021-08-16 2021-11-30 界首市三宝宏达制线有限公司 一种用于纺丝的喷丝装置及喷丝方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6505406B2 (ja) * 2014-09-29 2019-04-24 富田製薬株式会社 リン酸カルシウムの繊維状成型体の製造方法
KR101934380B1 (ko) * 2014-12-04 2019-03-25 정저우 중위안 스판덱스 엔지니어링 테크놀로지 컴퍼니 리미티드 탄성섬유 건식 방사 소자 및 방사 부품
KR101804518B1 (ko) 2015-04-10 2017-12-04 인슐레이션코리아(주) 열기구의 방열용 블랑킷 모듈 고정장치
JP6664199B2 (ja) * 2015-11-24 2020-03-13 花王株式会社 溶融電界紡糸装置及びこれを用いた繊維の製造方法
KR102049678B1 (ko) * 2018-12-19 2019-11-28 주식회사 경동엔지니어링 부직포 제품을 직접 성형하기 위한 섬유토출장치
JP7259384B2 (ja) * 2019-02-14 2023-04-18 東レ株式会社 メルトブロー口金

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61231210A (ja) * 1985-04-01 1986-10-15 Toa Nenryo Kogyo Kk 水溶性樹脂綿状体の製造方法
JPH0551806A (ja) * 1991-01-17 1993-03-02 Mitsubishi Kasei Corp 紡糸ノズル及び該紡糸ノズルを用いた金属化合物の繊維前駆体の製造法ならびに無機酸化物繊維の製造法
JP2009529102A (ja) * 2006-03-08 2009-08-13 ゲルキング,リューダー 割繊細糸製造用スピニング装置
JP2011132654A (ja) * 2009-11-27 2011-07-07 Japan Vilene Co Ltd 紡糸装置、不織布製造装置、不織布の製造方法及び不織布
JP2012154009A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Japan Vilene Co Ltd 不織布製造装置、不織布の製造方法及び不織布

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5167414A (ja) * 1974-12-06 1976-06-11 Teijin Ltd Yojuboshihoho
JPS5837959Y2 (ja) * 1978-10-11 1983-08-27 帝人株式会社 溶融紡糸筒
JP2002105739A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Toray Ind Inc 合成繊維の製造方法及び装置
EP1510603A4 (en) * 2002-06-03 2006-12-13 Toray Industries DEVICE AND METHOD FOR SPINNING THREADS
JP2004060137A (ja) * 2002-06-03 2004-02-26 Toray Ind Inc 糸条の製造方法および装置
JP2006348457A (ja) * 2005-05-20 2006-12-28 Fuji Filter Kogyo Kk 紡糸冷却装置の冷却風整流装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61231210A (ja) * 1985-04-01 1986-10-15 Toa Nenryo Kogyo Kk 水溶性樹脂綿状体の製造方法
JPH0551806A (ja) * 1991-01-17 1993-03-02 Mitsubishi Kasei Corp 紡糸ノズル及び該紡糸ノズルを用いた金属化合物の繊維前駆体の製造法ならびに無機酸化物繊維の製造法
JP2009529102A (ja) * 2006-03-08 2009-08-13 ゲルキング,リューダー 割繊細糸製造用スピニング装置
JP2011132654A (ja) * 2009-11-27 2011-07-07 Japan Vilene Co Ltd 紡糸装置、不織布製造装置、不織布の製造方法及び不織布
JP2012154009A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Japan Vilene Co Ltd 不織布製造装置、不織布の製造方法及び不織布

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10450675B2 (en) 2015-01-14 2019-10-22 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Ultrafine fiber production method and production device
KR20200059229A (ko) * 2017-10-06 2020-05-28 렌징 악티엔게젤샤프트 필라멘트의 압출 및 스펀본디드 패브릭의 제조를 위한 장치
JP2020536180A (ja) * 2017-10-06 2020-12-10 レンチング アクチエンゲゼルシャフト フィラメントを押出およびスパンボンド布の製造のための装置
JP7282083B2 (ja) 2017-10-06 2023-05-26 レンチング アクチエンゲゼルシャフト フィラメントを押出およびスパンボンド布の製造のための装置
KR102649060B1 (ko) * 2017-10-06 2024-03-20 렌징 악티엔게젤샤프트 필라멘트의 압출 및 스펀본디드 패브릭의 제조를 위한 장치
WO2019202954A1 (ja) * 2018-04-20 2019-10-24 株式会社ダイセル 紡糸装置及び紡糸方法
CN113718353A (zh) * 2021-08-16 2021-11-30 界首市三宝宏达制线有限公司 一种用于纺丝的喷丝装置及喷丝方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5535389B1 (ja) 2014-07-02
JP2015028228A (ja) 2015-02-12
JP6246055B2 (ja) 2017-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6246055B2 (ja) 乾式紡糸装置
EP2327817B1 (en) Spinning apparatus and process for manufacturing nonwoven fabric
US7939010B2 (en) Method for forming fibers
US7951313B2 (en) Spinning apparatus, and apparatus and process for manufacturing nonwoven fabric
KR101166675B1 (ko) 방사영역에서의 온도와 습도를 조절할 수 있는 나노섬유제조용 전기방사장치
US20150275399A1 (en) Electrospinning device and nanofiber manufacturing device provided with same
CN103882535B (zh) 一种溶液喷射纺丝模头
US20090258099A1 (en) Array of nozzles for extruding multiple cellulose fibers
US20160083868A1 (en) Electrospinning apparatus
BR112016002711B1 (pt) Aparelho e método para produzir uma nanofibra
CN107142534B (zh) 一种溶液喷射纺丝设备
WO2015171707A1 (en) A non-woven web
JP6569983B2 (ja) 積層不織布および積層不織布の製造方法
JP6315685B2 (ja) 電界紡糸装置及びそれを備えたナノファイバ製造装置
CN110499584A (zh) 一种熔喷滤布及其制备方法、制备装置
JP2017101344A (ja) 積層不織布の製造方法および製造装置
CN101871134A (zh) 一种细旦尼龙66全牵伸纤维纺丝生产工艺
JP6551776B2 (ja) 不織布および炭素繊維不織布
JP5475496B2 (ja) 紡糸装置、不織布製造装置、不織布の製造方法及び不織布
KR101433127B1 (ko) 전기방사용 노즐팩 및 이를 포함하는 전기방사장치
JP2017101347A (ja) 積層不織布の製造装置
CN214060852U (zh) 一种口罩生产用一体化熔喷设备
JP2017125282A (ja) ノズル、乾式紡糸装置、ノズルセット、及び、ノズル取付方法
KR20110079254A (ko) 전기방사용 노즐블럭 및 이를 구비하는 전기방사장치
CN213866505U (zh) 熔喷设备的熔喷模头

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140401

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5535389

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250