JP2015028007A - ジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グリチルレチン酸を有効成分とするジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
【選択図】なし
Description
また、グリチルレチン酸の抗炎症効果については、リポポリサッカライド(LPS)誘導マクロファージを用いた研究から、NF−κB及びイノシトール3リン酸(PI3K)p110δ及びp110γアイソフォームの活性を抑制し、次いで、LPS誘導型腫瘍壊死因子α(TNF−α)等の生成を減少させることが知られている(非特許文献1)。
[1] グリチルレチン酸を有効成分とするジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
[2] ジヒドロテストステロン誘導型インターロイキンが、インターロイキン−1α、インターロイキン−2、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−8、インターロイキン−10、インターロイキン−13及
びインターロイキン−15からなる群より選択される少なくとも1つである[1]に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
[3] グリチルレチン酸を含有する油相と、水相と、を含む水中油型乳化組成物である[1]又は[2]に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
[4] 水中油型乳化組成物が、油相中に更にN−ラウロイルサルコシンイソプロピルを含有する[3]に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
[5] 水中油型乳化組成物が、油相中に更にレシチンを含有する[3]又は[4]に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
[6] ジヒドロテストステロン誘導型インターロイキンが、インターロイキン−6である請[1]〜[5]のいずれか1つに記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
グリチルレチン酸は、グリチルリチン酸を加水分解することで得られる、オレアナン系の5環性トリテルペン化合物の一つである。グリチルレチン酸は、化粧品分野では抗炎症作用、抗酸化作用、抗老化作用等を期待して、アンチエイジングケア等を目的とする化粧品又は医薬部外品などに配合することが可能である。
また、グリチルレチン酸は急性又は慢性の皮膚炎に対し著しい効果があるといわれ、抗炎症効果、抗アレルギー作用、細菌(黄色ブドウ菌、ジフテリア菌、サルモネラ菌等)発育阻止などの効果を有することが知られている。また、グリチルレチン酸は、皮膚の炎症緩和、皮脂の分泌抑制等の効果に優れており、多くの皮膚ケア製品又は口紅に用いられる。グリチルレチン酸は、その他、フケ又はかゆみ抑制等の効果も有するため、頭皮ケア製品にも多く使用されている。
グリチルレチン酸は、各製品を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明が適用される水中油型乳化組成物に使用可能なレシチンとしては、大豆由来レシチン、卵黄由来レシチンをはじめ、動植物由来のレシチン等を挙げることができる。本発明が適用される水中油型乳化組成物で用いることのできるこれらのレシチンは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
また、レシチンとしては、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、SLP−ホワイト(辻製油株式会社製)、エメルメティック900(ルーカスマイヤー製)、フォスフォリポン50(リポイド製)、レシオンP(理研ビタミン株式会社製)などが挙げられる。
本発明におけるDHT(17beta−Hydroxy−5alpha−androstan−3−one)とは、アンドロゲンに属するステロイドホルモンの一種の物質を意味する。DHTは、テストステロンの5α−リダクターゼによる代謝を受けて、肝臓、精巣、卵巣、大腸、小腸、脾臓等の各臓器によって生成される。J.Invest.Dermatol.,2012,Vol.132,pp.43−49にて、毛乳頭細胞に対してインターロイキンを産生するように誘導する機能をDHTが有していることが報告された。
ステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキエチレンステロール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;レシチン等のリン脂質;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸マグネシウム、アスコルビン酸硫酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸パルミテート等のアスコルビン酸化合物;dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等のトコフェロール化合物;炭酸マグネシウム、二酸化チタン;ラクトース、マンニトール及びその他の糖類;タルク;ゼラチン;デンプン;セルロース及びセルロース誘導体;動物油及び植物油;ポリエチレングリコール;水;一価又は多価アルコールなどを挙げることができる。選択可能な形態としては、例えばカプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、シロップ剤、トローチ剤、散剤、顆粒剤、輸液剤及び注射剤等が挙げられる。中でも、摂取容易性の観点から、添加成分としては、好ましくはカプセル剤、錠剤、顆粒剤又は散剤がある。
DHT誘導型インターロイキン産生抑制剤の投与量は、剤型等によって異なるが、有効成分としてのグリチルレチン酸として、一般に、1日1回として、体重1kgあたり、0.001mg〜2mg、好ましくは0.01mg〜1mgとすることができる。DHT誘導型インターロイキン産生抑制剤を含む組成物を調製し、局所投与する場合には、有効成分であるグリチルレチン酸の組成物における含有量は、組成物全質量の0.0001質量%〜0.5質量%とすることができ、0.001質量%〜0.3質量%が好ましく、0.005質量%〜0.2質量%がより好ましい。
なお、細胞培養には、特に断らない限り、毛乳頭細胞増殖培地(東洋紡株式会社)に100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを補填した培地を使用した(以下、単に培地ということがある)。
また、細胞培養用6穴シャーレ(日本BD)には、取り扱い説明書に従いコラーゲンコート溶液(東洋紡株式会社)を事前に塗布し、培養に用いた。
<DHT誘導型インターロイキン産生抑制効果>
上記培地にて培養した新生児ヒト由来毛乳頭細胞(HFDPC、東洋紡株式会社)に、DHT(東京化成工業株式会社)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したDHT試料を調製し、10μMの最終濃度となるように培地に添加して、37℃、5%(v/v)CO2の環境下で24時間培養し、DHTによる誘導を行った。
グリチルレチン酸(GA)(和光純薬工業株式会社)を、10mMの最終濃度となるようにDMSOで溶解し、培養培地に添加してGA含有試料液を調製した。調製されたGA含有試料液を、GAの最終濃度が細胞傷害性のない濃度である10μMとなるように、DHT誘導同時に毛乳頭細胞を培養する培地へ添加し、37℃、5%(v/v)CO2の環境下で、培養を行った。比較対照(コントロール:ctr)としては、DMSOのみの試料液(GA:0μM)を用い、同様にこの溶液をDHT誘導後の毛乳頭細胞を含む培地に添加し、培養を行った。
抑制率(%)=[(A)−(B)]/(A)・・・(I)
++++:ILの産生あり、GAによる産生抑制率30%以上
+++:ILの産生あり、GAによる抑制率20%以上30%未満
++:ILの産生あり、GAによる抑制率10%以上20%未満
+:ILの産生あり、GAによる抑制率5%以上10%未満
−:GAにより抑制率が5%未満であり、検出感度以下
<浸透評価>
(1)GA含有試料1の調製
以下のようにして、エタノールを含有するGA含有試料1を調製した。
βグリチルレチン酸(丸善製薬株式会社)5.4g量り取り、100%エタノール500gに完全に溶解した後、精製水で1kgになるように調整した。
これにより、エタノールを含有するGA含有試料1を得た。
以下のようにして、エタノールを含有しない乳化物としてのGA含有試料2を調製した。
βグリチルレチン酸(丸善製薬株式会社)0.54gをラウロイルサルコシンイソプロ
ピル(味の素ヘルシーサプライ株式会社;エルデュウ(登録商標)SL−205)11g、オレイルアルコール(高級アルコール工業株式会社)3.7g、デシルテトラデカノール(高級アルコール工業株式会社)1.8、粉末レシチン(辻製油株式会社;SLPホワイト)2gを混合し、70℃にて撹拌しながら溶解し、これを油性組成物Aとした。
一方、イソステアリン酸ポリグリセリル−10(日光ケミカルズ株式会社;Decaglyn 1−ISV、HLB=12)6.2gを、ミリQ水73gの混合液中に70℃にて溶解させたものを水性組成物Aとした。
上記により調製した水性組成物A及び油性組成物Aを、TKホモミキサー(プライミクス株式会社)で60℃にて、500rpmの回転数で15分間粗乳化した。この粗乳化物を、超高圧分散装置であるスターバーストミニ機(株式会社スギノマシン)で、60℃に保ちながら、圧力200MPaで4回通過させて微細乳化物(水中油型乳化物)を調製した。
これにより、GAを油相に含む水中油型乳化組成物としてのGA含有試料2を得た。
上記で得られたGA含有試料1及びGA含有試料2について、以下のようにして浸透試験を行った。
表皮モデル(Labcyte EPI−MODEL、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)を、内径5mmのフランツセル(キーストンサイエンティフィック株式会社)に挟んだ。30%(v/v)エタノール含有PBS緩衝液をレセプター側に添加し、表皮モデルとの隙間に気泡が入らないように、フランツセルに付属の製品取扱説明書にしたがって設置した、表皮モデル表面が充分に乾燥していることを確認し、角質層側に2.5μlのGA含有試料1又はGA含有試料2を添加し、22時間後に透過した液を回収した。回収した液中のGA量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。HPLCの測定条件は以下のとおりであった。結果を図1に示す。
(HPLC測定条件)
カラム :Imatakt Cadenza CD−C18
流量 :1ml/min
カラム温度:40℃
検出波長 :250nm
展開液 :MeOH/水=90/10(容量比;なお、リン酸0.1容量(体積)%を含む)
Claims (6)
- グリチルレチン酸を有効成分とするジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
- ジヒドロテストステロン誘導型インターロイキンが、インターロイキン−1α、インターロイキン−2、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−8、インターロイキン−10、インターロイキン−13及びインターロイキン−15からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
- グリチルレチン酸を含有する油相と、水相と、を含む水中油型乳化組成物である請求項1又は請求項2に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
- 水中油型乳化組成物が、油相中に更にN−ラウロイルサルコシンイソプロピルを含有する請求項3に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
- 水中油型乳化組成物が、油相中に更にレシチンを含有する請求項3又は請求項4に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
- ジヒドロテストステロン誘導型インターロイキンが、インターロイキン−6である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のジヒドロテストステロン誘導型インターロイキン産生抑制剤。
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