JP2015026681A - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みが厚く、基板に対する密着性に優れる導電部を有すると共に、積層された導電部間の導通にも優れる多層配線基板の製造方法を提供する。【解決手段】基板上に第1塗布層を形成する工程と、第1塗布層の少なくとも一部の領域に対して第1光を照射して第1導電部を形成する工程と、第1塗布層上に第2塗布層を形成する工程と、第2塗布層の上面から第1導電部の少なくとも一部に向けて第2光を照射して、金属を含有し、第1導電部と導通する第2導電部を形成する工程とを少なくとも有し、塗布層の厚みと、照射される光に対する塗布層の吸収係数が所定の関係を満たす、多層配線基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、多層配線基板の製造方法に関する。
近年、基板上に金属膜を形成する方法として、金属粒子や金属酸化物粒子に加熱処理または光照射処理を施して焼結させることによって多層配線基板における配線等の電気的導通部位を形成する技術が知られている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線作製法に比べて、簡便・省エネ・省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
例えば、特許文献1においては、金属粒子を含むペーストを用いた、緻密、かつ、基板への密着性の良い焼結層の製造方法が開示されている。より具体的には、導電ペーストの厚さが厚いと導電ペーストの表層部分のみで焼結反応が進行することを防止するために、所定の厚みの第1焼結層と第2焼結層を設ける手順が開示されている。
特開2011−192947号公報
一方、近年、多層配線基板などの配線部の導電性をより高めるために、より厚膜の導電層を簡易に形成する方法が望まれている。また、より厚膜の導電層を作製した場合でも、多層配線基板中の各導電層間が十分に導通していることが求められる。
一方、特許文献1の方法では、得られる焼結層の厚みは1μm程度と薄いため、より厚膜の導電膜を形成するためには、所定の工程を複数回実施しなければならず、生産性に劣る。
また、特許文献1の方法では、金属粒子を使用するため焼結層全域に渡って導通し、所定のパターン状の領域のみ導電するという配線構造を形成することができない。
本発明は、上記実情に鑑みて、厚みが厚く、基板に対する密着性に優れる導電部を有すると共に、積層された導電部間の導通にも優れる多層配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、所定のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布層に対して所定の関係を満たす光を照射することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 基板上に、1eV以上のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布液を塗布して、厚みT1(μm)が5μm以上の第1塗布層を形成する工程と、
第1塗布層の少なくとも一部の領域に対して第1光を照射して、照射領域における第1塗布層中の金属酸化物粒子を還元して金属を含有する第1導電部を形成する工程と、
第1塗布層上に、1eV以上のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布液を塗布して、厚みT2(μm)が5μm以上の第2塗布層を形成する工程と、
第2塗布層の上面から第1導電部の少なくとも一部に向けて第2光を照射して、照射領域における第2塗布層中の金属酸化物粒子を還元して、金属を含有し、第1導電部と導通する第2導電部を形成する工程とを少なくとも有し、
第1塗布層の厚みT1(μm)と、第1光に対する第1塗布層の吸収係数α1(cm−1)とが式(1)の関係を満たし、
第2塗布層の厚みT2(μm)と、第2光に対する第2塗布層の吸収係数α2(cm−1)が式(2)の関係を満たす、多層配線基板の製造方法。
式(1):T1<(4000/α1)
式(2):T2<(4000/α2)
(2) 第2光の照射エネルギー密度が第1光の照射エネルギー密度よりも大きい、(1)に記載の多層配線基板の製造方法。
(3) 第1光および第2光がレーザ光である、(1)または(2)に記載の多層配線基板の製造方法。
(4) 金属酸化物粒子に含まれる金属原子が、銅原子、ニッケル原子、および、スズ原子からなる群から選択される少なくとも一つを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
(5) 第1光および第2光の波長が3μm以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法。
本発明によれば、厚みが厚く、基板に対する密着性に優れる導電部を有すると共に、積層された導電部間の導通にも優れる多層配線基板の製造方法を提供することができる。
本発明の多層配線基板の製造方法の各工程を示す斜視図である。 実施例に対して実施した接触抵抗評価に使用されるサンプル(試料)の断面図である。 接触抵抗評価において接触抵抗(Rc)を求める際に使用されるグラフの一例である。
以下に、本発明の多層配線基板の製造方法の好適態様について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の一つの特徴点は、塗布層の厚みを制御すると共に、塗布層の吸収係数が所定値となる光を照射している点が挙げられる。本発明者らは、金属酸化物粒子を含む厚い塗布層に対して光を照射して、照射部の金属酸化物粒子を還元して導電部を形成する際に、塗布層の厚みと塗布層の照射される光に対する塗布層の吸収係数が後述する式(1)(または式(2))を満たすことにより、塗布層の内部に渡って光が侵入し、結果として塗布層の膜厚方向に貫通する導電部が形成されることを見出している。
式(1):T1<(4000/α1)(式(2):T2<(4000/α2))
言い換えると、式(1)の関係は、照射する第1光に対する第1塗布層の吸収係数α1が4000/T1未満となる第1光を照射することにより、第1塗布層を貫通する導電部を形成することができる。式(2)の関係も、式(1)の関係と同じである。つまり、本発明では、使用される塗布層の材料に応じて、所定の塗布層の吸収係数を満たす光を選択し、その光を照射することにより、塗布層を貫通する導電部を形成することができる。
また、上記条件を満たす光を照射すると、塗布層を貫通する導電部が形成されるため、多層配線基板を作製する際に、下層である第1塗布層中の第1導電部と上層である第2塗布層中の第2導電部との導通がより向上する。
さらに、本発明では、所定のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を使用している。該粒子は、通常、絶縁体として機能する。そのため、例えば、塗布層に対して離間した2つの領域に光を照射すると、光の照射領域では導電部が形成されるが、光の未照射領域では金属酸化物粒子がそのまま存在する。つまり、導電部間は電気的に絶縁された状態となり、離間した配線として使用することができる。
以下、図1を参照しながら、具体的に本発明の多層配線基板の製造方法(以後、単に本発明の製造方法とも称する)について詳述する。
本発明の製造方法は、第1塗布層を形成する工程(A)と、第1塗布層の少なくとも一部の領域に対して第1光を照射して、第1導電部を形成する工程(B)と、第1塗布層上に第2塗布層を形成する工程(C)と、第2塗布層に第2光を照射して、第1導電部と導通する第2導電部を形成する工程(D)とを備える。
以下では、工程毎に使用される材料・部材、および、工程の手順について詳述する。
<工程(A):第1塗布層形成工程>
工程(A)は、基板上に、1eV以上のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布液を塗布して、厚みT1(μm)が5μm以上の第1塗布層を形成する工程である。本工程を実施することにより、後述する工程(B)での光焼成処理が施される第1塗布層が形成される。
より具体的には、図1(A)に示すように、本工程を実施することにより、基板10上に第1塗布層12が配置される。
まず、本工程で使用される部材・材料について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
(基板)
基板は、後述する第1塗布層や第2塗布層を支持する支持体である。
基板の種類は特に制限されず、公知の基板が使用される。例えば、樹脂基板、ガラス基板、半導体基板などが挙げられる。なかでも、取扱い性に優れる点で、樹脂基板(特に、絶縁樹脂基板)を使用することが好ましい。これらの中でも、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ポリエーテルイミド基板、紙基板、ガラス基板が好ましく使用される。
(金属酸化物粒子)
本工程で使用される金属酸化物粒子は、1eV以上のバンドギャップを有する。金属酸化物粒子が上記範囲のバンドギャップを有していれば、電気的には絶縁体として機能する。そのため、後述する導電部間を絶縁する絶縁体として機能する。なかでも、絶縁性がより優れる点で、金属酸化物粒子のバンドギャップは1.5eV以上が好ましく、2.0eV以上がより好ましい。バンドギャップの上限は特に制限されないが、効率よく金属への還元が進行する点で、10eV以下が好ましく、5eV以下がより好ましい。
上記バンドギャップは、300Kにおけるバンドギャップ値である。
また、バンドギャップの値は、一般的に用いられるTaucプロットによって求める。例えば、金属酸化物粒子が直接許容遷移の場合は、αを吸光度、Eを光子エネルギー、Egを光学的バンドギャップとした時に吸光度と光子エネルギーの関係は、
α=A(E−Eg)1/2/E(Aは定数)
と表される。(αE)=A(E−Eg)と書き換えることができ、(αE)をEに対してプロットすると横軸の切片がEgを与える。
金属酸化物粒子に含まれる金属原子の種類は、金属酸化物粒子が上記バンドギャップを満たしてれば特に制限されないが、例えば、銅原子、ニッケル原子、および、スズ原子などが好ましく挙げられる。なかでも、金属への還元が進行しやすい点で、銅原子などがより好ましい。これら原子を含む金属酸化物粒子としては、具体的には、酸化銅粒子などが挙げられる。
なお、本発明における「酸化銅」とは、酸化されていない銅を実質的に含まない化合物であり、具体的には、X線回折による結晶解析において、酸化銅由来のピークが検出され、かつ金属由来のピークが検出されない化合物のことを指す。銅を実質的に含まないとは、限定的ではないが、銅の含有量が酸化銅粒子に対して1質量%以下であることをいう。
酸化銅としては、酸化銅(I)または酸化銅(II)が好ましく、安価に入手可能であること、空気中での安定性に優れることから酸化銅(II)であることが更に好ましい。
金属酸化物粒子の平均粒子径は特に制限されないが、500nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。下限も特に制限されないが、1nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。
平均粒子径が1nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、塗布液中で分散が容易となり、取扱い性、保存性に優れるため好ましい。また、500nm以下であれば、金属酸化物粒子を含む組成物をインクジェット用インク組成物として用い、印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となり、金属への還元が十分となり、得られる導電部の導電性が良好であるため好ましい。
なお、本発明における平均粒子径は、平均一次粒径のことを指す。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも50個以上の金属酸化物粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察図中、酸化銅粒子の形状が真円状でない場合、長径を直径として測定する。
酸化銅粒子としては、例えば、関東化学社製のCuOナノ粒子、シグマアルドリッチ社製のCuOナノ粒子等を好ましく使用することができる。
(その他の成分)
塗布液に、上述した金属酸化物粒子以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、塗布液には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は特に制限されないが、例えば、水や、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル)、エステル類(例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル)などの有機溶媒などを使用することができる。
塗布液中における溶媒の含有量は特に制限されないが、塗布液の塗布性に優れる点で、金属酸化物粒子100質量部に対して、30〜50質量部であることが好ましい。
また、塗布液には、樹脂バインダーが含まれていてもよい。樹脂バインダーは基板との密着性の向上に寄与する。
樹脂バインダーの種類は特に制限されず、上記金属酸化物粒子を分散させることができる公知の樹脂を使用することができる。例えば、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
より具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)が挙げられる。なかでも、後述する還元工程の際に、優れた還元剤としても機能する点から、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコールがより好ましい。
また、塗布液には、還元剤が含まれていてもよい。還元剤は、後述する光焼成工程の際に、塗布層に含まれる金属酸化物粒子を還元する機能を有する。
還元剤は、後述する光照射処理の際に、金属酸化物を還元し得るものであれば特に制限はなく、例えば、光照射により炭素や水素を発生して分解する素材を好ましく用いることができる。なかでも、金属酸化物粒子に対して実質的に常温では還元性を有さないが光照射処理により還元性を発揮する還元剤(潜在性還元剤)であることが好ましい。
還元剤の好適態様の一つとしては、金属酸化物粒子の還元がより効率的に進行する点から、有機ポリマーが挙げられ、特に、重量平均分子量10000以上の有機ポリマーが好ましい。なお、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、取扱い性の点から、250000以下が好ましい。
有機ポリマーの種類としては、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
還元剤の他の好適態様としては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセリンなど炭素数20以下の多価アルコール化合物などが挙げられる。
(工程の手順)
上記塗布液を基板上に付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法などの塗布法が挙げられる。
塗布の形状は特に制限されず、基板全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
本工程においては、必要に応じて、塗布液を基板へ塗布した後に乾燥処理を行い、溶媒を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する工程(B)において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、導電部の導電性および導電部と基板との密着性の点で好ましい。
乾燥処理の方法としては、例えば、温風乾燥機などを用いることができ、温度としては、40℃〜200℃で加熱処理を行うことが好ましく、70℃〜120℃で加熱処理を行うことがさらに好ましい。また、酸化を抑制するような条件が好ましく、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下がより好ましく、水素等の還元性ガス雰囲気下で乾燥することがさらに好ましい。
上記手順により形成された第1塗布層には、金属酸化物粒子が含まれる。
金属酸化物粒子の第1塗布層中における含有量は、第1塗布層全質量に対して、85質量%以上が好ましく、89質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、第1塗布層の成膜性の観点から、99.5質量%以下が好ましい。
第1塗布層の厚みT1は、5μm以上である。なかでも、より厚膜の導電部を形成できる点で、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上限は特に制限されず、形成される第1導電部の厚みに合わせて適宜調整できるが、良好な導電性を確保する上で、50μm以下が好ましい。
厚みT1は平均厚みであり、その測定方法としては、触針式段差計(Veeco社製 Dektak3)により第1塗布層の任意の3箇所における厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
<工程(B):第1光焼成工程>
工程(B)は、工程(A)で得られた第1塗布層の少なくとも一部の領域に対して、第1光を照射して、照射領域における第1塗布層中の金属酸化物粒子を還元して金属を含有する第1導電部を形成する工程である。本工程を実施することにより、導電性に優れる第1導電部が形成される。例えば、金属酸化物粒子として酸化銅粒子が使用される場合、金属銅を含む第1導電部が形成される。
より具体的には、図1(B)に示すように、図1(A)の塗布層12の中心領域に第1光を照射することにより、第1塗布層12中に導電部14が形成される。
第1導電部が形成されるメカニズムとしては、第1光を第1塗布層に照射することにより、第1塗布層中の金属酸化物粒子が金属粒子に還元され、生成した金属粒子同士が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して第1導電部を形成する。言い換えると、金属酸化物粒子が金属粒子に還元焼結され、第1導電部が形成される。このように、第1光の照射領域において、光焼成が進行し、第1導電部が形成される。
なお、図1(B)において、導電部14は矩形状に形成されているが、この態様には限定されず、所定のパターン状に形成できる。
なお、上述したように、第1塗布層の厚みT1(μm)と第1光に対する第1塗布層の吸収係数α1(cm−1)とは式(1)の関係を満たす。
式(1):T1<(4000/α1)
言い換えれば、上記式(1)の関係を満たすような第1光を選択して、第1塗布層に照射する。
なお、第1塗布層の吸収係数α1の測定方法としては、まず、ポリプロピレンフィルム(積水化学製、厚み:200μm)上に上記塗布液を塗布して、厚み約1μm程度の厚みの第1塗布層を形成する。次に、第1塗布層に対して、所定の波長の光を照射して、塗布層およびポリプロピレンフィルムを透過する光のエネルギー量A(単位:J(ジュール))をOphir社製L50(150)Aセンサを用いて測定する。一方、ブランクとして、ポリプロピレンフィルムのみに対して、第1塗布層に照射した光を照射して、ポリプロピレンフィルムを透過する光のエネルギー量B(単位:J(ジュール))をOphir社製L50(150)Aセンサを用いて測定する。次に、エネルギー量Aとエネルギー量Bとの差を測定し、塗布層によるエネルギー損失C(単位:J(ジュール))を求める。
第1塗布膜の吸収係数α1は、
t:塗布膜厚(cm)
in:塗布膜に入射する光エネルギー(J)
out:塗布膜から出てくる光エネルギー(J)とした時
α1=−1/t・ln(Iout/Iin) (cm−1
で表される。
この場合、照射した光のエネルギーがIin、Iout=Iin−Cとなる。
次に、塗布層の任意の3箇所の膜厚を触針式段差計(Veeco社製 Dektak3)を用いて測定し、それらを算術平均して平均厚みを算出し、これをtとして代入し吸収係数α1を求める。
第1塗布層に対して第1光を照射する照射領域の範囲は特に制限されず、第1塗布層の一部であってもよいし、全面であってもよい。
また、所定のパターン状(例えば、円状、ストライプ状など)に第1光を照射してもよい。
上記第1光の波長範囲は、第1塗布層に対して式(1)の関係を満たすような吸収係数をとり得る光であれば特に制限されず、紫外光から赤外光まで任意のものを選択できる。なかでも、第1塗布層に対する透過性がより優れる点で、第1光の波長は3.0μm以上が好ましく、5.0μm以上がより好ましく、9.0μm以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、装置の性能の点から、通常、30μm以下が好ましい。
第1光としては、導電部がより効率よく形成される点で、レーザ光が好ましく、連続発振レーザ光がより好ましい。
代表的なレーザとしては、AlGaAs、InGaAsP、GaN系等の半導体レーザ、Nd:YAGレーザ、ArF、KrF、XeCl等のエキシマレーザ、色素レーザ、ルビーレーザ等の固体レーザ、He-Ne、He-Xe、He-Cd、CO2、Ar等の気体レーザ、自由電子レーザなどが挙げられる。なかでも、CO2レーザ(炭酸ガスレーザ)が好ましい。
本工程において、第1塗布層中において金属酸化物から金属への還元がより効率よく進行すると共に、導電部の密着性がより優れる点で、第1光の照射領域における照射エネルギー密度は10J/cm2以上が好ましく、15J/cm2以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、第1塗布層の材料の分解などがより抑制される点で、750J/cm2以下が好ましく、500J/cm2以下がより好ましい。
本工程において、第1光としてレーザ光を使用した場合、第1塗布層中において金属酸化物から金属への還元がより効率よく進行すると共に、導電部の密着性がより優れる点で、レーザ光のレーザパワーは0.6W以上が好ましく、1.0W以上がより好ましく、1.4W以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、材料自体の蒸発をより抑制できる点で、1kW以下が好ましく、500W以下がより好ましく、100W以下がさらに好ましく、20.0W以下が特に好ましい。
本工程において、第1光としてレーザ光を使用した場合、第1塗布層の一地点あたりの照射時間は、第1塗布層中において金属酸化物から金属への還元がより効率よく進行すると共に、導電部の密着性がより優れる点で、10μs以上が好ましく、30μs以上がより好ましく、50μs以上がさらに好ましく、80μs以上が特に好ましい。また、上限は特に制限されないが、5000μs以下が好ましく、3000μs以下がより好ましく、1000μs以下がさらに好ましい。長すぎると、制御が難しく、材料自体が蒸発などをしてしまう場合がある。
ここで、照射時間は、レーザ光が照射される第1塗布層表面上の任意の一地点におけるレーザ光が照射される時間を意味する。
上記光照射処理を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性雰囲気下、または還元性雰囲気下などが挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
上記処理を実施することにより、第1光照射領域において基板とは反対側の表面から基板まで貫通する第1導電部が形成される。第1導電部が基板表面まで形成されることにより、第1導電部を含む第1塗布層の基板に対する密着性が向上する。
第1導電部の厚みは、第1塗布層の厚みと略同じである。
なお、図1(B)に示すように、第1光が照射されなかった未照射領域においては、金属酸化物粒子の還元は進行せず、絶縁層として存在する。
<工程(C):第2塗布層形成工程>
工程(C)は、第1塗布層上に、1eV以上のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布液を塗布して、厚みT2(μm)が5μm以上の第2塗布層を形成する工程である。本工程を実施することにより、後述する工程(D)での光焼成処理が施される第2塗布層が形成される。
より具体的には、図1(C)に示すように、本工程を実施することにより、第1塗布層12上に第2塗布層16が配置される。
本工程で使用される塗布液は、上述した工程(A)で使用される塗布液と同じである。
また、第2塗布層の形成の手順も、上述した工程(A)での第1塗布層の形成の手順と同じである。
また、形成される第2塗布層中における金属酸化物粒子の含有量の範囲も、上記第1塗布層中における金属酸化物粒子の含有量の範囲と同じである。
第2塗布層の厚みT2は、5μm以上である。なかでも、より厚膜の導電部を形成できる点で、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。上限は特に制限されず、形成される第2導電部の厚みに合わせて適宜調整できるが、良好な導電性を確保する上で、50μm以下が好ましい。
厚みT2は平均厚みであり、その測定方法としては、触針式段差計(Veeco社製 Dektak3)により第2塗布層の任意の3箇所における厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
<工程(D):第2光焼成工程>
工程(D)は、第2塗布層の上面から第1導電部の少なくとも一部に向けて第2光を照射して、照射領域における第2塗布層中の金属酸化物粒子を還元して、金属を含有し、第1導電部と導通する第2導電部を形成する工程である。本工程を実施することにより、下層である第1塗布層中の第1導電部と導通する、第2導電部が第2塗布層中に形成される。
より具体的には、図1(D)に示すように、図1(C)の第2塗布層16の中心領域に第2光を照射することにより、第2塗布層16中に第1導電部14と導通する第2導電部18が形成され、多層配線基板100が得られる。
第2導電部が形成されるメカニズムは、上記工程(B)で説明した第1導電部が形成されるメカニズムと同じである。
なお、第2塗布層の厚みT2(μm)と第2光に対する第2塗布層の吸収係数α2(cm−1)とは式(2)の関係を満たす。
式(2):T2<(4000/α2)
言い換えれば、上記式(2)の関係を満たすような第2光を選択して、第2塗布層に照射する。
第2塗布層の吸収係数α2の測定方法は、上記第1塗布層の吸収係数α1の測定方法と同じである。
第2光は、第2塗布層の上面(第1塗布層側とは反対側の表面)から第1導電部の少なくとも一部(一部の領域)に向けて照射される。つまり、第2光を照射する方向から見て、第1導電部が存在する第2塗布層の領域(第1導電部に対応する第2塗布層の領域)の少なくとも一部に向かって、第2光を照射する。上記領域に第2光を照射することにより、第1導電部と厚み方向に沿って導通する第2導電部が形成される。
なお、第2光は、第1導電部の少なくとも1部に向けて照射されればよく、第1導電部の全領域に向かって照射されてもよい。
第2光の波長範囲は、上述した第1光の波長範囲と同じであり、好適態様も同じである。
第2光としては、第2導電部がより効率よく形成される点で、レーザ光が好ましく、連続発振レーザ光がより好ましい。代表的なレーザの種類は、第1光の態様と同じである。
第2光の照射エネルギー密度の好適範囲は、上述した第1光の照射エネルギー密度の好適範囲と同じである。
第2光のレーザパワーの好適範囲は、上述した第1光のレーザパワーの好適範囲と同じである。
第2塗布層の一地点あたりの照射時間の好適範囲は、上述した第1塗布層の一地点あたりの照射時間の好適範囲と同じである。
上記処理を実施することにより、第2光照射領域において第2塗布層の基板側とは反対側の表面から第1導電部まで導通する第2導電部が形成される。第2導電部が第1導電部表面まで形成されることにより、第2導電部を含む第2塗布層と第1導電部を含む第1塗布層との密着性が向上し、結果として第2塗布層の基板に対する密着性も向上する。
第2導電部の厚みは、第2塗布層の厚みと略同じである。
なお、図1(D)に示すように、第2光が照射されなかった未照射領域においては、金属酸化物粒子の還元は進行せず、絶縁層として存在する。
本発明の多層配線基板の好適態様としては、第2光の照射エネルギー密度が第1光の照射エネルギー密度よりも大きい態様が挙げられる。
第2光を照射する際には、第2光は第1導電部に向けて照射される。その際、第1導電部は金属を含むため熱伝導率が大きくなっており、熱が外部に逃げやすい。そのため、第2塗布層に対して照射されたエネルギーの一部が金属酸化物粒子の還元に使用されず、外部に流出してしまう。結果として、第1導電部と第2導電部との導通性が低下してしまう場合がある。
そこで、上述したように、第2光の照射エネルギー密度を、第1光の照射エネルギー密度より大きくすることにより、第1導電部と第2導電部との導通性が向上する。
上記では、工程(A)〜工程(D)を含む態様のみ記載したが、本発明の製造方法はこの態様には限定されず、工程(C)および工程(D)を繰り返し実施して積層数を増やしてもよい。より具体的には、例えば、工程(D)の後、工程(C)と同様の手順に従って、第2塗布層上に第3塗布層を形成し、その後、工程(D)と同様の手順に従って、第2導電部と導通する第3導電部を形成してもよい。
上記方法より得られる多層配線基板は種々の用途に使用することができる。例えば、通信機器、計測機器、コンピューター周辺機器などが挙げられる。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(吸収係数の測定)
第1光または第2光の波長選択のために、Novacentrix社製CuOインクICI−021を塗布液として用いて形成される塗布膜の吸収係数を測定した。
具体的には、ポリプロピレンフィルム上に上記塗布液を塗布し、100℃にて60分間乾燥して吸収係数測定用の塗布層(平均厚み:1.1μm)を形成し、評価用のサンプルを作製した。ポリプロピレンフィルムのみをブランクとし、ブランクおよびサンプル(ポリプロピレンフィルムと塗布層とを含む積層体)に波長9.3μmのレーザ(CO2レーザ。以後、単に9.3μmレーザとも称する。)を照射し、ポリプロピレンフィルム単体およびサンプルを透過してくるエネルギーを測定することで、塗布層のみによるエネルギー損失を求めた。
塗布層の平均厚みとエネルギー損失とを用いて、以下の式から1cm当たりの塗布層の吸収係数を求めた。
α=−1/t・ln(Iout/Iin) (cm−1
ただし、Iout=Iin−塗布膜のみのエネルギー損失である。
結果、波長9.3μmにおける吸収係数は300cm−1であった。
なお、塗布層の平均厚みは、任意の3箇所の塗布層の厚みを触針式段差計(Veeco社製 Dektak3)を用いて測定し、それらを算術平均して平均厚みを算出した。
また、波長9.3μmのレーザの代わりに、波長10.6μmのレーザ(CO2レーザ。以後、単に10.6μmレーザとも称する。)を使用した場合、塗布層の吸収係数は260cm−1であった。
また、波長9.3μmのレーザの代わりに、波長0.532μmのレーザ(YVO4SHGレーザ。以後、単に0.532μmレーザとも称する。)を使用した場合、塗布層の吸収係数は50000cm−1であった。
また、波長9.3μmのレーザの代わりに、波長1.064μmのレーザ(YVO4レーザ。以後、単に1.064μmレーザとも称する。)を使用した場合、塗布層の吸収係数は4500cm−1であった。
<実施例1>
ガラエポ基板上にNovacentrix社製CuOインクICI−021をバー塗布し、第1塗布層を形成した。形成された第1塗布層の厚み(平均厚み)は5μmであった。この第1塗布層に第1光として9.3μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)を照射したところ、CuOが還元焼結し、照射した部分のみで金属銅が生成して、図1(B)に示すような第1導電部が形成された。
次に、第1導電部が形成された第1塗布層上に、上記第1塗布層と同様の作製手順に従って、第2塗布層を形成した。形成された第2塗布層の厚み(平均厚み)は5μmであった。
その後、第1塗布層に対する照射条件と同様の条件で、第2光として9.3μmレーザを第2塗布層に対して照射(第2光照射)した。なお、第2塗布層に対するレーザ照射(第2光の照射)は、第2塗布層の上面から第1導電部に向けて実施した。レーザが照射された領域においては、第1塗布層と同様に、CuOが還元焼結し、照射した部分のみで金属銅が生成して、図1(D)に示すような第2導電部が形成され、多層配線基板が製造された。
なお、第2塗布層に対して後述するテープ密着性試験を行っても焼結部分の剥離は見られなかった。
また、第1塗布層の厚み(平均厚み)は、触針式段差計(Veeco社製 Dektak3)により第1塗布層のそれぞれの任意の3箇所における厚みを測定し、それらを算術平均して求めた。第2塗布層の厚み(平均厚み)も同様の方法で求めた。
(テープ密着性試験)
焼結済みの塗布層(光照射後の第2塗布層)に対して、JISH8504:1999記載のテープ試験方法と同様にして行い、還元焼結部分(光照射部分)の剥離を以下の基準に従って評価した。結果は表1に示す。
「A」:剥離なし
「B」:還元焼結部分の一部に剥離あり
「C」:還元焼結部分の全面が剥離
(導通評価試験)
上記で製造した多層配線基板の第2塗布層の一部を除去し、第1導電部の一部を露出させた。その後、SANWA製 CD751を用いて、第1導電部の露出部と、第2導電部の露出部とを接続し、抵抗値を測定して、電気的に接続されているか否かを以下の基準に沿って評価した。結果は表1に示す。
「A」:抵抗値が10Ω未満の場合
「B」:抵抗値が10Ω以上100Ω未満の場合
「C」:抵抗値が100Ω以上の場合
<実施例2>
第1光および第2光として9.3μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)を10.6μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<実施例3>
第1塗布層および第2塗布層の厚み(平均厚み)を5μmから10μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<実施例4>
第1塗布層および第2塗布層の厚み(平均厚み)を5μmから10μmに変更した以外は、実施例2と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<実施例5>
第1塗布層および第2塗布層の厚み(平均厚み)を5μmから15μmに変更した以外は、実施例2と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<実施例6>
第1塗布層に照射するレーザの出力を2W(照射エネルギー密度80J/cm2)から7W(照射エネルギー密度280J/cm2)に変更し、第2塗布層に照射するレーザの出力を2W(照射エネルギー密度80J/cm2)から7W(照射エネルギー密度280J/cm2)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<実施例7>
第1塗布層に照射するレーザの出力を2W(照射エネルギー密度80J/cm2)から7W(照射エネルギー密度280J/cm2)に変更し、第2塗布層に照射するレーザの出力を2W(照射エネルギー密度80J/cm2)から8W(照射エネルギー密度320J/cm2)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<実施例8>
第1塗布層に照射するレーザの出力を2W(照射エネルギー密度80J/cm2)から7W(照射エネルギー密度280J/cm2)に変更し、第2塗布層に照射するレーザの出力を2W(照射エネルギー密度80J/cm2)から9W(照射エネルギー密度360J/cm2)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
(接触抵抗評価)
上記実施例6〜8に関しては、以下で述べるTLM法による接触抵抗評価を実施した。
図2に示すように、第2塗布層16中に、第1導電部14と導通する複数の電極部20が形成されるように、レーザを第2塗布層に照射した。次に、4端子法を用いて、隣接する電極間の抵抗値を測定した。
次に、図3に示すように、電極間距離(L1、L2、L3)を横軸に、隣接する電極間の抵抗値を縦軸にプロットして、近似直線を引き、Y軸との切片での抵抗値を求めた。求めた抵抗値を2で除す(切片での抵抗値/2)ことにより、接触抵抗(Rc)を求めた。
なお、L1、L2、L3は、それぞれ1mm、3mm、8mmであった。
<比較例1>
第1光および第2光として9.3μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)を0.532μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<比較例2>
第1光および第2光として9.3μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)を1.064μmレーザ(出力2W、照射エネルギー密度80J/cm2)に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<比較例3>
第1塗布層および第2塗布層の厚み(平均厚み)を5μmから10μmに変更した以外は、比較例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<比較例4>
第1塗布層および第2塗布層の厚み(平均厚み)を5μmから10μmに変更した以外は、比較例2と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
<比較例5>
第1塗布層および第2塗布層の厚み(平均厚み)を5μmから15μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、多層配線基板を製造し、各種評価を行った。
上記実施例および比較例の結果を、以下表1にまとめて示す。
表1中、「式(1)および式(2)を満たすか」欄は、第1塗布層および第2塗布層での光照射の際に上記式(1)および式(2)の両者の関係を満たすか否かを示す。関係を満たす場合は「A」、満たさない場合は「B」と示す。
なお、上記実施例および比較例においては、いずれも第1塗布層および第2塗布層は同じ厚みを有することから、表1においては両者の厚みをまとめて「塗布膜厚T」と表記する。
また、上記実施例および比較例においては、いずれも第1塗布層および第2塗布層の成分は同じであることから、表1においては両者の吸収係数をまとめて「吸収係数α」と表記する。
表1に示すように、本発明の製造方法より製造された多層配線基板は、式(1)および式(2)の関係を満たし、得られた導電部は優れた密着性を示すとともに、導電部間の導通性にも優れていた。
なかでも、実施例6〜8に示すように、第2光の照射エネルギー密度が第1光の照射エネルギー密度よりも大きい場合、接触抵抗がより低下し、導通性に優れることが確認された。
一方、式(1)および式(2)の関係を満たさない比較例1〜5においては、導電部の密着性および導電部間の導通性に劣っていた。
10 基板
12 第1塗布層
14 第1導電部
16 第2塗布層
18 第2導電部
20 電極部

Claims (5)

  1. 基板上に、1eV以上のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布液を塗布して、厚みT1(μm)が5μm以上の第1塗布層を形成する工程と、
    前記第1塗布層の少なくとも一部の領域に対して第1光を照射して、照射領域における前記第1塗布層中の前記金属酸化物粒子を還元して金属を含有する第1導電部を形成する工程と、
    前記第1塗布層上に、1eV以上のバンドギャップを有する金属酸化物粒子を含む塗布液を塗布して、厚みT2(μm)が5μm以上の第2塗布層を形成する工程と、
    前記第2塗布層の上面から前記第1導電部の少なくとも一部に向けて第2光を照射して、照射領域における前記第2塗布層中の前記金属酸化物粒子を還元して、金属を含有し、前記第1導電部と導通する第2導電部を形成する工程とを少なくとも有し、
    前記第1塗布層の厚みT1(μm)と、前記第1光に対する前記第1塗布層の吸収係数α1(cm−1)とが式(1)の関係を満たし、
    前記第2塗布層の厚みT2(μm)と、前記第2光に対する前記第2塗布層の吸収係数α2(cm−1)が式(2)の関係を満たす、多層配線基板の製造方法。
    式(1):T1<(4000/α1)
    式(2):T2<(4000/α2)
  2. 前記第2光の照射エネルギー密度が前記第1光の照射エネルギー密度よりも大きい、請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
  3. 前記第1光および前記第2光がレーザ光である、請求項1または2に記載の多層配線基板の製造方法。
  4. 前記金属酸化物粒子に含まれる金属原子が、銅原子、ニッケル原子、および、スズ原子からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
  5. 前記第1光および前記第2光の波長が3μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
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