JP2015026487A - 切替制御回路および測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】信号切替器を構成するスイッチ素子に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮する。【解決手段】電源部5と複数の抵抗11(11a〜11c)との間に配設されて、スイッチ素子21〜23がオン・オフ制御されることによって複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11を電源部5に接続して測定用電流Iを供給可能に構成された信号切替器4におけるスイッチ素子21〜23に対するオン・オフ制御を実行する処理部33と、電源部5から信号切替器4に出力されている測定用電流Iを検出する検出部32とを備え、処理部33は、測定用電流Iの出力を停止させる制御が電源部5に対して実行された後の検出部32によって検出される測定用電流Iの電流値I1と電流しきい値Ithとを比較して、測定用電流Iの電流値I1が電流しきい値以下になったことを検出したときに、スイッチ素子21〜23に対するオン・オフ制御を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば1つの電源部からの電流を複数の測定対象に切り替えて供給する信号切替器を構成する複数のスイッチ素子のオン・オフを制御する切替制御回路、およびこの切替制御回路を備えた測定装置に関するものである。
この種の切替制御回路として、下記特許文献1に開示された信号切替器としての第1切り替え部を制御する制御部が知られている。この第1切り替え部は、リレーやアナログスイッチなどのスイッチ素子で構成されて、複数の測定対象に接続される複数のプローブユニットと、測定用の電流を生成する電源部に接続されている導線とに接続されている。制御部は、第1切り替え部に対する制御を実行して第1切り替え部を構成するスイッチ素子をオン状態またはオフ状態に移行させることにより、複数のプローブユニットの1つ1つに電源部からの測定用の電流を切り替えながら供給する。
上記の特許文献では、明記されてはいないが、第1切り替え部を構成する各スイッチ素子にとっては、測定用の電流が流れている状態(通電状態)で、オン状態からオフ状態、またはオフ状態からオン状態に制御される所謂ホットスイッチングは好ましくない。このため、制御部は、電源部に対して測定用の電流を停止させたときに発生する続流がほぼゼロになるのに要する期間の経過を待って、オン状態のスイッチ素子をオフ状態に制御すると共に、オフ状態の他のスイッチ素子をオン状態に制御している。なお、この続流がほぼゼロになる期間は、測定用の電流が流れる電流経路のインダクタンス、キャパシタンスおよび純抵抗などの影響を受けて変化する。このため、第1切り替え部を構成する各スイッチ素子に対するオン・オフ制御を実行するときには、通常は、これらの期間のうちの最大のものをシミュレーションや実験などで予め求めておき、電源部に対して測定用の電流を停止させた時点から、この最大の期間よりも長い一定の期間が経過するのを待ってスイッチ素子を制御することで、ホットスイッチングを回避している。
特開2008−46060号公報(第5−7頁、第1−2図)
ところが、上記した従来の切替制御回路には、以下の改善すべき課題が存在している。すなわち、この切替制御回路では、信号切替器を構成するスイッチ素子を制御する都度、電源部に対して測定用の電流を停止させた時点から、上記の一定の期間が経過するのを待ってスイッチ素子を制御する必要がある。このため、信号切替器を構成するスイッチ素子に対する制御を複数回実行するときの時間が長時間化するという改善すべき課題が存在している。
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、信号切替器を構成するスイッチ素子に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮し得る切替制御回路およびこの切替制御回路を備えた測定装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の切替制御回路は、複数のスイッチ素子で構成されると共に、測定用電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記測定用電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、前記電源部から前記信号切替器に出力されている前記測定用電流を検出する検出部を備え、前記処理部は、前記測定用電流の出力を停止させる制御が前記電源部に対して実行された後の前記検出部によって検出される前記測定用電流の電流値と予め規定された電流しきい値とを比較して、当該測定用電流の電流値が当該電流しきい値以下になったことを検出したときに、前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する。
また、請求項2記載の切替制御回路は、複数のスイッチ素子で構成されると共に、測定用電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記測定用電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、前記電源部から前記信号切替器に印加されている印加電圧を検出する検出部を備え、前記処理部は、前記測定用電流の出力を停止させる制御が前記電源部に対して実行された後の前記検出部によって検出される前記印加電圧の電圧値と予め規定された電圧しきい値とを比較して、当該印加電圧の電圧値が当該電圧しきい値以下になったことを検出したときに、前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する。
また、請求項3記載の測定装置は、請求項1または2記載の切替制御回路、前記測定用電流を出力する前記電源部、前記信号切替器、および前記1つの測定対象に発生する電圧を測定する電圧測定部を備え、前記処理部は、前記信号切替器を構成する前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行して前記複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記測定用電流を供給させると共に、当該測定用電流の供給状態において前記電圧測定部によって測定される前記1つの測定対象に発生する電圧の電圧値と当該測定用電流の当該電流値とに基づいて、当該1つの測定対象の抵抗を測定する。
請求項1記載の切替制御回路および請求項3記載の測定装置では、 処理部が、測定用電流の出力を停止させる制御が電源部に対して実行された後の検出部によって検出される測定用電流の電流値と電流しきい値とを比較して、電流値が電流しきい値以下になったことを検出したときに、信号切替器を構成する複数のスイッチ素子に対するオン・オフ制御を実行する。
したがって、この切替制御回路およびこの測定装置によれば、信号切替器を介して電源部に接続されている測定対象毎に、電源部に対して測定用電流の出力を停止させた後の測定用電流の減少の度合いがまちまちである状況において、信号切替器を構成する各スイッチ素子がホットスイッチングするという事態の発生を確実に防止しつつ、信号切替器を構成する各スイッチ素子に対するオン・オフ制御をより短時間に実行することができる。
請求項2記載の切替制御回路および請求項3記載の測定装置では、処理部が、電源部の一対の出力端子間の電圧の電圧値を検出しつつ、この電圧値が電圧しきい値以下になったことを検出したときに、信号切替器に対する切替処理を実行する。したがって、この切替制御回路およびこの測定装置においても、信号切替器を介して電源部に接続されている測定対象毎に、電源部に対して測定用電流の出力を停止させた後の電圧の低下の度合いがまちまちである状況において、信号切替器を構成する各スイッチ素子がホットスイッチングするという事態の発生を確実に防止しつつ、信号切替器を構成する各スイッチ素子に対するオン・オフ制御をより短時間に実行することができる。
信号切替器4に対してオン・オフ制御を実行する切替制御回路7を有する測定装置1の構成を示す構成図である。 切替制御回路7の動作を説明するためのタイミングチャートである。 信号切替器4に対してオン・オフ制御を実行する他の切替制御回路7Aを有する測定装置1Aの構成を示す構成図である。
以下、切替制御回路およびこの切替制御回路を有する測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、測定装置1の構成について説明する。なお、測定装置1の一例として、測定対象の抵抗を測定する抵抗計を例に挙げて説明する。
図1に示す測定装置1は、複数の電流供給プローブ2、電流供給プローブ2と同数の電圧検出プローブ3、信号切替器4、電源部5、電圧測定部6、切替制御回路7および出力部8を備え、測定対象としての複数の抵抗11(本例では一例として、3つの抵抗11a,11b,11c(以下、特に区別しないときには「抵抗11」ともいう))の抵抗値Ra,Rb,Rc((以下、特に区別しないときには「抵抗値R」ともいう)を測定可能に構成されている。本例では一例として、測定装置1は、各抵抗値Rを4端子法で測定する構成のため、各抵抗11の各端子には、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3がそれぞれ接触させられている。
信号切替器4は、複数のスイッチ素子(本例では一例として、3つの抵抗11の抵抗値Rを4端子法で測定する構成のため、12個のスイッチ素子21a,21b,21c,21d,22a,22b,22c,22d,23a,23b,23c,23d)で構成されている。また、信号切替器4は、電源部5および電圧測定部6で構成される測定回路側と、複数の電流供給プローブ2および複数の電圧検出プローブ3で構成されるプローブ側(すなわち、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3が接触させられる測定対象としての抵抗11側)との間に配設されている。
この信号切替器4は、スイッチ素子21a,21b,21c,21d(以下、特に区別しないときには、「スイッチ素子21」ともいう)のオン・オフ状態が切替制御回路7によって制御されることにより、複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11aを電源部5および電圧測定部6に接続したり、電源部5および電圧測定部6から切り離したりする。また、信号切替器4は、スイッチ素子22a,22b,22c,22d(以下、特に区別しないときには、「スイッチ素子22」ともいう)のオン・オフ状態が切替制御回路7によって制御されることにより、複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11bを電源部5および電圧測定部6に接続したり、電源部5および電圧測定部6から切り離したりする。また、信号切替器4は、スイッチ素子23a,23b,23c,23d(以下、特に区別しないときには、「スイッチ素子23」ともいう)のオン・オフ状態が切替制御回路7によって制御されることにより、複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11cを電源部5および電圧測定部6に接続したり、電源部5および電圧測定部6から切り離したりする。すなわち、信号切替器4は、上記の測定回路側に接続される電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を切り替える切替動作を実行する。
また、各スイッチ素子21,22,23としては、機械的な可動部を有して機械的に接点を開閉させることで、信号や電流・電圧をオン・オフする有接点リレー、機械的な可動部を有さずに半導体素子で信号や電流・電圧をオン・オフする無接点リレー、並びに有接点リレーおよび無線点リレーの各長所を組み合わせたハイブリッドリレーなどの各種のリレーが使用される。
電源部5は、本例では一例として電流源で構成されて、切替制御回路7によって制御されることにより、測定用電流I(本例では直流電流)を一対の出力端子5a,5bから出力したり、その出力を停止したりすることが可能に構成されている。この場合、電源部5は、出力端子5a側が出力端子5b側に対して高電位となる状態で、測定用電流Iを出力する。電圧測定部6は、一対の入力端子6a,6bに入力される電圧Vの電圧値V1を測定して、この電圧値V1を示す電圧データDvを切替制御回路7に出力する。
切替制御回路7は、一例として、電流検出器31、検出部32および処理部33で構成されている。この切替制御回路7では、電流検出器31が電源部5の出力端子5aと信号切替器4との間に配設されて、電源部5から出力される測定用電流Iを検出電圧Viに変換する。本例では一例として、電流検出器31は、検出抵抗で構成されているが、これに限定されるものではなく、電流を電圧に変換する検出回路である限り、他の構成の検出回路を使用することもできる。
検出部32は、例えば、アンプおよびA/D変換器(いずれも図示せす)を備えて構成されて、アンプが検出電圧Viを入力して所定の増幅率で増幅してA/D変換器に出力し、A/D変換器がアンプで増幅された電圧を電流データDi(測定用電流Iの電流値I1を示すデータ)に変換して、処理部33に出力する。
処理部33は、一例としてCPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、切替処理、制御処理、測定処理および出力処理を実行する。この場合、切替処理では、処理部33は、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御を実行することで、測定回路側に接続される電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を切り替える切替動作を信号切替器4に実行させる。また、制御処理では、処理部33は、電源部5に対する制御を実行することにより、電源部5から信号切替器4への測定用電流Iの出力・出力の停止を実行させる。
また、測定処理では、処理部33は、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出(測定)すると共に、電圧測定部6から出力される電圧データDvに基づいて入力端子6a,6bに入力される電圧Vの電圧値V1を算出(測定)して、算出した電流値I1および電圧値V1に基づいて、信号切替器4、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を介して接続されている抵抗11の抵抗値Rを算出する。
また、メモリには、測定用電流Iの電流値I1と比較するための電流しきい値Ithおよび基準電流値Irefが予め記憶されている。この場合、この電流しきい値Ithは、測定用電流Iの電流値I1がこれ以下の状態であれば、信号切替器4に切替動作を実行させたとしても、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に悪影響を与えない(ホットスイッチングとはならない)電流値である。また、この基準電流値Irefは、測定用電流Iの電流値I1がこれ以上の状態であれば、十分な精度で抵抗値Rを算出し得る電流値である。
また、出力処理では、処理部33は、算出(測定)した各抵抗11の抵抗値Rを出力部8に出力する。本例では後述するように、処理部33は、抵抗値Rを出力部8の画面上に表示させる。
出力部8は、例えば、LCDなどの表示装置で構成されて、処理部33から出力された抵抗値Rを画面上に表示させる。なお、出力部8は、表示装置に代えて外部インターフェース回路で構成して、この回路に伝送路を介して接続された外部機器に抵抗値Rを送出したり、またこの回路に接続された外部メモリに抵抗値Rを記憶させたりするようにしてもよいのは勿論である。
次に、切替制御回路7による信号切替器4に対する切替動作について、測定装置1の動作と併せて図面を参照して説明する。なお、図1に示すように、各抵抗11の各端子には、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3がそれぞれ接触させられているものとする。
まず、切替制御回路7の処理部33は、図2に示すように、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を停止させ、次いで、信号切替器4に対する切替処理を実行して、各スイッチ素子21をオン状態に移行させると共に、他のスイッチ素子22,23をすべてオフ状態に移行させることで、最初に測定対象とする抵抗11aに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続する。
続いて、処理部33は、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を開始させると共に、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出(測定)しつつ、算出している電流値I1が基準電流値Iref以上の期間において測定処理を実行して、抵抗値Raを算出し、算出した抵抗値Raを抵抗11aに対応させてメモリに記憶する。これにより、抵抗11aについての測定処理が完了する。
処理部33は、最初の抵抗11aに対する測定処理が完了した時点で、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を停止させる。この場合、測定用電流Iの減少の度合いは、電源部5に信号切替器4を介して接続されている電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3の引き回しの具合(配線のインピーダンスや寄生容量の大きさ)や、抵抗11の抵抗値Rに応じて、すなわち、電源部5や電圧測定部6に測定対象として接続されている抵抗11毎にまちまちである。
このため、処理部33は、電源部5に対して測定用電流Iの出力を停止させた直後から、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出しつつ、算出した電流値I1と電流しきい値Ithと比較する処理を実行して、算出した電流値I1が電流しきい値Ith以下になるタイミングを検出する。また、処理部33は、このタイミングを検出したときには、信号切替器4に対する切替処理を実行して、測定対象としていた抵抗11aを電源部5および電圧測定部6から切り離すと共に、次に測定対象とする抵抗11bを、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3と、信号切替器4とを介して電源部5および電圧測定部6に接続する。
このように、この切替制御回路7では、実際に流れている測定用電流Iの電流値I1を検出しつつ、この電流値I1が確実に電流しきい値Ith以下になっているときに、信号切替器4に対する切替処理を実行する。このため、この切替制御回路7、およびこの切替制御回路7を備えた測定装置1では、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23がホットスイッチングするという事態の発生を確実に防止することが可能になっている。
例えば、図2に示すように、電流値I1が電流しきい値Ithまで低下したとき(最初の抵抗11aへの測定用電流Iの出力を停止させた時点から時間t1を経過した時点)に、処理部33は、このタイミングを検出して、信号切替器4に対する切替処理を実行する。この切替処理では、処理部33は、各スイッチ素子22をオン状態に移行させると共に、他のスイッチ素子21,23をすべてオフ状態に移行させることで、最初に測定対象とした抵抗11aに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3に代えて、2番目に測定対象とする抵抗11bに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続する。
続いて、処理部33は、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を開始させると共に、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出(測定)しつつ、算出している電流値I1が基準電流値Iref以上の期間において測定処理を実行して、抵抗値Rbを算出し、算出した抵抗値Rbを抵抗11bに対応させてメモリに記憶する。これにより、抵抗11bについての測定処理が完了する。
処理部33は、2番目の抵抗11bに対する測定処理が完了した時点で、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を停止させる。この直後から、処理部33は、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出しつつ、算出した電流値I1と電流しきい値Ithと比較する処理を実行して、算出した電流値I1が電流しきい値Ith以下になるタイミングを検出する。また、処理部33は、このタイミングを検出したときには、信号切替器4に対する切替処理を実行して、2番目に測定対象としていた抵抗11bを電源部5および電圧測定部6から切り離すと共に、3番目(本例では最後)に測定対象とする抵抗11cを、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3と、信号切替器4とを介して電源部5および電圧測定部6に接続する。
例えば、図2に示すように、電流値I1が電流しきい値Ithまで低下したとき(2番目の抵抗11bへの測定用電流Iの出力を停止させた時点から時間t2を経過した時点。一例として、t2<t1)に、処理部33は、このタイミングを検出して、信号切替器4に対する切替処理を実行する。この切替処理では、処理部33は、各スイッチ素子23をオン状態に移行させると共に、他のスイッチ素子21,22をすべてオフ状態に移行させることで、2番目に測定対象とした抵抗11bに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3に代えて、3番目に測定対象とする抵抗11cに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続する。
続いて、処理部33は、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を開始させると共に、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出(測定)しつつ、算出している電流値I1が基準電流値Iref以上の期間において測定処理を実行して、抵抗値Rcを算出し、算出した抵抗値Rcを抵抗11cに対応させてメモリに記憶する。これにより、抵抗11cについての測定処理が完了する。
処理部33は、3番目の抵抗11cに対する測定処理が完了した時点で、電源部5に対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を停止させる。この直後から、処理部33は、検出部32から出力される電流データDiに基づいて測定用電流Iの電流値I1を算出しつつ、算出した電流値I1と電流しきい値Ithと比較する処理を実行して、算出した電流値I1が電流しきい値Ith以下になるタイミングを検出する。また、処理部33は、このタイミングを検出したときには、信号切替器4に対する切替処理を実行して、スイッチ素子21,22,23をすべてオフ状態に移行させることで、抵抗11a,11b,11cに接触させられているすべての電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6から切り離す。
例えば、図2に示すように、電流値I1が電流しきい値Ithまで低下したとき(3番目の抵抗11cへの測定用電流Iの出力を停止させた時点から時間t3を経過した時点。一例として、t2<t3<t1)に、処理部33は、このタイミングを検出して、信号切替器4に対する切替処理を実行して、スイッチ素子21,22,23をすべてオフ状態に移行させることで、すべての電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6から切り離す。
最後に、処理部33は、出力処理を実行することにより、測定した抵抗11a,11b,11cの各抵抗値Ra,Rb,Rcをメモリから読み出すと共に出力部8に出力して、出力部8の画面上に各抵抗値R(Ra,Rb,Rc)を表示させる。これにより、すべての抵抗11a,11b,11cについての抵抗測定が完了する。
この切替制御回路7およびこの切替制御回路7を備えた測定装置1では、処理部33が、測定用電流Iの出力を停止させる制御が電源部5に対して実行された後の検出部32によって検出される測定用電流Iの電流値I1(電流データDiから算出される電流値I1)と予め規定された電流しきい値Ithとを比較して、電流値I1が電流しきい値Ith以下になったことを検出したときに、信号切替器4を構成する複数のスイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御(オフ状態からオン状態に切り替える制御、およびオン状態からオフ状態に切り替える制御)を実行する。
したがって、この切替制御回路7およびこの測定装置1によれば、上記したように、信号切替器4を介して電源部5および電圧測定部6に測定対象として接続されている抵抗11毎に、電源部5に対して測定用電流Iの出力を停止させた後の測定用電流Iの減少の度合いがまちまちである状況において、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23がホットスイッチングする(電流しきい値Ithを超える電流値I1の測定用電流Iが流れている状態(通電状態)で、オン・オフ状態が切り替えられる)という事態の発生を確実に防止しつつ、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御をより短時間に実行することができる。
この場合、上記の例では、電源部5に対して測定用電流Iの出力を停止させた後の測定用電流Iの電流値I1が電流しきい値Ithに達する時間t1,t2,t3のうちの最も長い時間がt1であるため、従来のようにして、電源部5に対して測定用電流Iの出力を停止させた後に信号切替器4に対する切替処理を実行するまでの待ち時間を一律にこの時間t1にするという構成であってもホットスイッチングを防止することが可能である。しかしながら、この構成を採用してすべての抵抗11の抵抗値Rを測定したときに要する時間と比べて、本例の切替制御回路7および測定装置1のように、処理部33が、電源部5に測定用電流Iの出力を停止させる制御を実行する都度、測定用電流Iの電流値I1と電流しきい値Ithとを比較して、電流値I1が電流しきい値Ith以下になったことを検出したときに信号切替器4に対する切替処理を実行する構成の方が、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御を実行するまでの待ち時間をより短くすることができ、その結果として、すべての抵抗11の抵抗値Rを算出するまでに要する時間を充分に短縮することができる。
なお、上記の切替制御回路7では、電源部5における高電位側(測定用電流Iの出力側)の出力端子5aに電流検出器31および検出部32を接続することで、検出部32への漏れ電流の影響を受けることなく、信号切替器4を介して測定対象の抵抗11に規定の測定用電流Iを供給し得る好ましい構成を採用しているが、検出部32への漏れ電流が極めて小さい場合など、この漏れ電流の影響を無視できるときには、電源部5における測定用電流Iの低電位側(リターン側)の出力端子5bに電流検出器31および検出部32を接続する構成を採用することもできる。
また、上記の切替制御回路7および測定装置1では、電源部5から出力される測定用電流Iの電流値I1を検出すると共に、この検出した電流値I1と電流しきい値Ithとを比較することで、電源部5に対して測定用電流Iの出力を停止させた後の信号切替器4に対して切替処理の実行を開始するタイミングを検出する構成を採用しているが、電源部5に対して測定用電流Iの出力を停止させた後の電源部5の一対の出力端子5a,5b間の電圧を検出することでも、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23が通電状態にあるか否かを検出することが可能である。
以下、電源部5の一対の出力端子5a,5b間の電圧Vo(信号切替器4に印加される印加電圧)を検出する構成を採用した切替制御回路7A、およびこの切替制御回路7Aを備えた測定装置1Aについて、図3を参照して説明する。なお、切替制御回路7および測定装置1と同一の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
まず、測定装置1Aの構成について、切替制御回路7Aの構成と併せて説明する。
測定装置1Aは、図3に示すように、複数の電流供給プローブ2、電流供給プローブ2と同数の電圧検出プローブ3、信号切替器4、電源部5A、電圧測定部6、切替制御回路7Aおよび出力部8を備え、測定対象としての複数の抵抗11の抵抗値Rを測定し得るように構成されている。
電源部5Aは、本例では一例として定電流源で構成されて、切替制御回路7Aによって制御されることにより、一定の電流値I1(既知)の測定用電流I(直流電流)を一対の出力端子5a,5bから出力したり、その出力を停止したりすることが可能に構成されている。切替制御回路7Aは、一例として、検出部32および処理部33で構成されている。この切替制御回路7Aでは、検出部32は、電源部5Aの一対の出力端子5a,5b間の電圧Voを検出して、その電圧値Vo1を示す電圧データDoを処理部33に出力する。
処理部33のメモリには、電圧Voと比較するための電圧しきい値Vthおよび基準電圧値Vrefが予め記憶されている。この場合、この電圧しきい値Vthは、電圧Voがこれ以下の状態であれば、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に流れている測定用電流Iの電流値I1が、信号切替器4に切替動作を実行させたとしても信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に悪影響を与えない(ホットスイッチングとはならない)電流値であることを示す電圧値である。また、この基準電圧値Vrefは、電圧Voの電圧値が基準電圧値Vref以上の状態であれば、十分な精度で抵抗値Rを算出することができる電流値I1の測定用電流Iが抵抗11に供給されていることを示す電圧値である。
次に、切替制御回路7Aによる信号切替器4の切替動作について、測定装置1Aの動作と併せて図面を参照して説明する。なお、図3に示すように、各抵抗11の各端子には、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3がそれぞれ接触させられているものとする。また、抵抗11aについての抵抗値Raの測定が完了した後に、信号切替器4に対する切替処理を実行して、次の抵抗11bを信号切替器4を介して電源部5Aおよび電圧測定部6に接続する動作についてのみ説明し、その他の動作については説明を省略する。
切替制御回路7Aの処理部33は、検出部32から出力される電圧データDoに基づいて算出している電圧Voの電圧値Vo1が基準電圧値Vref以上になったことを検出したときに最初の抵抗11aに対する測定処理を開始し、その測定処理が完了した時点で、電源部5Aに対する制御処理を実行して、測定用電流Iの出力を停止させる。この場合、測定用電流Iの減少の度合いは、上記したように、電源部5Aや電圧測定部6に測定対象として接続されている抵抗11毎にまちまちであるため、検出部32で検出する電圧Voの電圧値Vo1も測定対象として接続されている抵抗11毎にまちまちである。
このため、処理部33は、電源部5Aに対して測定用電流Iの出力を停止させた直後から、電圧データDoに基づく電圧値Vo1の算出を実行しつつ、算出した電圧値Vo1と電圧しきい値Vthとを比較する処理を実行して、算出した電圧値Vo1が電圧しきい値Vth以下になるタイミングを検出する。また、処理部33は、このタイミングを検出したときには、信号切替器4に対する切替処理を実行して、次に測定対象とする抵抗11bを、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3と、信号切替器4とを介して電源部5Aおよび電圧測定部6に接続する。
このように、この切替制御回路7Aでも、処理部33が、実際に電源部5Aの一対の出力端子5a,5b間の電圧Voの電圧値Vo1を検出しつつ、この電圧値Vo1が確実に電圧しきい値Vth以下になったことを検出したときに、信号切替器4に対する切替処理を実行する。このため、この切替制御回路7A、およびこの切替制御回路7Aを備えた測定装置1Aにおいても、信号切替器4を介して電源部5Aおよび電圧測定部6に測定対象として接続されている抵抗11毎に、電源部5Aに対して測定用電流Iの出力を停止させた後の電圧Voの低下の度合いがまちまちである状況において、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23がホットスイッチングするという事態の発生を確実に防止しつつ、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御をより短時間に実行することができる。
また、上記の例では、4端子法によって抵抗11の抵抗値Rを測定する構成を採用しているが、信号切替器の切替制御回路7,7Aは、2端子法によって抵抗11の抵抗値Rを測定する構成を採用した信号切替器にも適用することができるのは勿論である。また、上記の信号切替器の切替制御回路7,7Aは、測定対象の物理量として抵抗値を測定する測定装置だけでなく、他の物理量(インダクタンスやキャパシタンスなど)を測定する測定装置の信号切替器に対する制御にも適用できるのは勿論である。
1,1A 測定装置
4 信号切替器
5,5A 電源部
7,7A 切替制御回路
11a,11b,11c 抵抗
21,22,23 スイッチ素子
32 検出部
33 処理部
I 測定用電流

Claims (3)

  1. 複数のスイッチ素子で構成されると共に、測定用電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記測定用電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、
    前記電源部から前記信号切替器に出力されている前記測定用電流を検出する検出部を備え、
    前記処理部は、前記測定用電流の出力を停止させる制御が前記電源部に対して実行された後の前記検出部によって検出される前記測定用電流の電流値と予め規定された電流しきい値とを比較して、当該測定用電流の電流値が当該電流しきい値以下になったことを検出したときに、前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する切替制御回路。
  2. 複数のスイッチ素子で構成されると共に、測定用電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記測定用電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、
    前記電源部から前記信号切替器に印加されている印加電圧を検出する検出部を備え、
    前記処理部は、前記測定用電流の出力を停止させる制御が前記電源部に対して実行された後の前記検出部によって検出される前記印加電圧の電圧値と予め規定された電圧しきい値とを比較して、当該印加電圧の電圧値が当該電圧しきい値以下になったことを検出したときに、前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行する切替制御回路。
  3. 請求項1または2記載の切替制御回路、前記測定用電流を出力する前記電源部、前記信号切替器、および前記1つの測定対象に発生する電圧を測定する電圧測定部を備え、
    前記処理部は、前記信号切替器を構成する前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行して前記複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記測定用電流を供給させると共に、当該測定用電流の供給状態において前記電圧測定部によって測定される前記1つの測定対象に発生する電圧の電圧値と当該測定用電流の当該電流値とに基づいて、当該1つの測定対象の抵抗を測定する測定装置。
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