JP2015024368A - 有機性廃水処理方法及び有機性廃水処理装置 - Google Patents
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Abstract
米ぬか加工廃水等の、難分解性有機物を含有する高COD濃度及び/又は低pHの有機性廃水であっても、安定して廃水処理性能を維持することができる有機性廃水の処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】
有機性廃水処理方法は、有機性廃水のCOD濃度及びpHを調整する調整工程と、前記調整廃工程を経た前記廃水にオゾンマイクロバブルを供給し、前記調整廃水中の難分解性有機物を低分子化する前処理工程と、リン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌のうち少なくとも一方の存在下で、前記前処理工程を経た廃水に、嫌気処理、好気処理及び無酸素処理を含む微生物処理を行い、前記前処理廃水に含まれる窒素とリンを除去する微生物処理工程と、前記微生物処理工程におけるMLSS濃度を計測するMLSS計測工程とを備え、前記調整工程において、MLSS計測工程でのMLSS濃度計測値に基づいて前記有機性廃水のCOD濃度及びpHを調整する。
【選択図】 図2
Description
さらに、米ぬか加工廃水において、食用油の精製プロセスでは、徹底して不純物を除くために大量のリン酸液を油脂に添加する結果、水質汚濁でも問題視されるリン酸が高濃度に含まれる。このため、その除去は一般の活性汚泥法のみでは除去できず、リン除去型廃水処理方法の付加が必要となる。
この方法では、有機性廃水にオゾンマイクロバブルを接触しオゾンによる有機物低分子化を前処理として行うことで、処理効率低下の原因となる難分解性有機物を分解して低分子化する。その結果、窒素・リン除去型廃水処理プロセスの有機物、窒素、リン除去性能が、オゾンマイクロバブルによる前処理をしない場合に比べ向上する。
また、AOA法(微生物処理)において、廃水処理装置の運転立上げ時ならびに一度MLSS濃度が低下して処理不能に陥った場合の活性汚泥に対して、米ぬか加工廃水等の高濃度のCODを含有する、処理負荷が高い廃水を直接通水してもMLSS濃度は低下したまま回復しない。
MLSSは、廃水を処理するために消費されるが、被処理水のCOD濃度が過度に高くなければ、処理が進むにつれて回復する性質を持っている。しかしながら、その回復速度を超えてMLSS濃度が低下すれば、それ以上の廃水処理は不可能となる。
したがって、被処理有機性廃水が低pHであれば、MLSS濃度が低下し、有機物ならびにリン等の除去プロセス性能の不安定さをもたらす要因となる。また、廃水処理装置の運転立ち上げ時やMLSS濃度が処理不能な状態まで低下した状態で高COD濃度の被処理水を通水すれば、MLSS濃度は低下したまま回復しない。
有機性廃水のCOD濃度及びpHを調整して調整廃水を得る調整工程と、
前記調整廃水にオゾンマイクロバブルを供給し、前記調整廃水中の難分解性有機物を低分子化して前処理廃水を得る前処理工程と、
リン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌のうち少なくとも一方の存在下で、前記前処理廃水に、嫌気処理、好気処理及び無酸素処理を含む微生物処理を行い、前記前処理廃水に含まれる窒素とリンを除去する微生物処理工程と、
前記微生物処理工程におけるMLSS濃度を計測するMLSS計測工程と、を備え、
前記調整工程において、MLSS計測工程でのMLSS濃度計測値が閾値以下であれば、少なくともMLSS濃度計測値が前記閾値に増加するまでの期間、前記有機性廃水のCOD濃度が2000mg/L以下となるように前記有機性廃水のCOD濃度を調整し、その後、得られる前記調整廃水のpHが5.0以上8.0以下となるように前記有機性廃水のpHを調整する。
上記有機性廃水処理方法では、調整工程において、MLSS濃度の計測値に基づいて被処理廃水である有機性廃水のCOD濃度を所定値以下に調整する。例えば、MLSS濃度の計測値が閾値以下である場合、米ぬか加工廃水等のようにCODの濃度が6000mg/L程度と高濃度である場合にはこれを希釈して2000mg/L以下とする。このため、処理対象の有機性廃水のCODが低下し、その後の微生物処理工程における活性汚泥の処理負荷を軽減させることができる。これにより、通常COD濃度が高く処理負荷が高い廃水処理開始時又は一旦MLSS濃度が低下して廃水処理が不能となった場合であっても、その後MLSS濃度(汚泥濃度)を回復させることが可能となる。又は、廃水処理が不能となる手前でMLSS濃度を回復させることが可能となる。そして、少なくともMLSS濃度計測値が前記閾値まで増加するまで希釈した有機性廃水を微生物処理工程で処理することで、MLSS濃度は前記閾値付近の定常域を維持しやすくなる。その結果、MLSS濃度を安定して維持できるため、微生物処理工程における有機物及びリンの除去性能、すなわち廃水処理性能を安定して維持することができる。
また、COD濃度調整、すなわち有機性廃水の希釈は、廃水処理開始時及び廃水処理性能が悪化した際のスタートアップ時のみであり、MLSS濃度が閾値以上の定常状態に達した場合からは、有機性廃水を希釈しなくともその後の処理が可能となる。このため、COD濃度が高い有機性廃水を全く希釈せずに微生物処理を施すことによって廃水処理性能が低下して処理が滞る場合に比べ、有機物除去時間が短縮し、その結果微生物処理における曝気動力を削減することができる。その結果、廃水処理に要する電力コストを削減することが可能となる。
また、上記有機性廃水処理方法では、調整工程において、上述のようにCOD濃度を調整した有機性廃水のpHを5.0以上8.0以下となるように調整する。このため、その後の微生物処理工程においてpHが5.0以上8.0以下に調整された被処理水が通水されるため、微生物処理工程において有機物等の除去を担う活性汚泥中の菌体が受けるダメージが低減される。その結果、MLSS濃度の低下が抑えられるため、微生物処理工程における廃水処理性能の安定した維持につながる。
このように、MLSS濃度の計測値に基づいて被処理廃水である有機性廃水のCOD濃度及びpHを調整する調整工程を設けることで、米ぬか加工廃水等の高濃度のCOD(炭素源)を含み及び/又は低pHの有機性廃水に対し、安定したMLSS濃度(汚泥濃度)を維持することが可能となり、有機物等の除去性能、すなわち廃水処理性能を改善することができる。
この場合、微生物処理工程は嫌気処理、好気処理及び無酸素処理の順に処理を行うAOA法である。幾つかの実施形態で微生物処理工程に用いられる脱窒性リン蓄積細菌は、AOA法で運転されている汚泥に大抵含まれているため、この汚泥を有効に活用することで被処理廃水から窒素及びリンを効率よく除去することが可能となる。
有機性廃水処理に含まれる有機物とリンを除去する有機性廃水処理装置であって、
有機性廃水のCOD濃度を調整するCOD濃度調整手段と、
前記有機性廃水のpHを調製するpH調整手段と、
マイクロバブルにオゾンを溶解させてオゾンマイクロバブルを生成するオゾンマイクロバブル生成手段と、
前記有機性廃水に、前記オゾンマイクロバブル生成手段で生成したオゾンマイクロバブルを供給して前記有機性廃水中の難分解性有機物を低分子化して前記処理廃水を得る前処理手段と、
前記前処理手段の後段に接続され、リン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌のうち少なくとも一方の存在下で、前記前処理廃水に、嫌気処理、好気処理及び無酸素処理を含む微生物処理を行い前記前処理排水に含まれる窒素とリンを除去する微生物処理手段と、
前記微生物処理手段におけるMLSS濃度を計測するMLSS計測手段と、
前記MLSS計測工程でのMLSS濃度の計測値に基づいて、前記COD濃度調整手段により調整される後の前記有機性廃水のCOD濃度である目標COD濃度を決定し、前記有機性廃水のCOD濃度が前記目標COD濃度となるように前記COD濃度調整手段を制御する制御手段と、を備える。
制御手段によりCOD調整手段を制御することにより処理対象の有機性廃水のCOD濃度を調整し、これにより、その後の微生物処理工程における活性汚泥の処理負荷を軽減させることができる。したがって、廃水処理開始時又は一旦MLSS濃度が低下して廃水処理が不能となった場合であっても、その後MLSS濃度(汚泥濃度)を回復させることが可能となる。又は、廃水処理が不能となる手前でMLSS濃度を回復させることが可能となる。その結果、MLSS濃度を安定して維持できるため、微生物処理工程における有機物及びリンの除去性能、すなわち廃水処理性能を安定して維持することができる。
また、pH調整手段により、処理対象の有機性廃水のpHを所定範囲内に調製することにより、微生物処理工程において有機物等の除去を担う活性汚泥中の菌体が受けるダメージを低減することができる。その結果、MLSS濃度の低下が抑えられるため、微生物処理工程における廃水処理性能の安定した維持につながる。
このように、上記装置では、MLSS濃度の計測値に基づいて被処理廃水である有機性廃水のCOD濃度及びpHを調整するCOD調整手段及びpH調整手段を設けられる。このため、COD調整手段及びpH調整手段の後に被処理水が通水される微生物処理手段において、米ぬか加工廃水等の高濃度のCOD(炭素源)を含み及び/又は低pHの有機性廃水に対し、安定したMLSS濃度(汚泥濃度)を維持することが可能となる。したがって、有機物等の除去性能、すなわち廃水処理性能を改善することができる。
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る有機性廃水処理方法の基本フローを説明する。
本実施形態に係る米ぬか加工廃水の処理方法は、主に、調整工程1と、前処理工程2と、嫌気処理工程3、好気処理工程4、無酸素処理工程5を含む微生物処理工程6と、MLSS計測工程7とを備える。この処理方法は、微生物処理工程6の後、微生物処理工程で得られる処理水と余剰汚泥を分離する固液分離工程8をさらに備えてもよい。
一実施形態においては、COD濃度が2000mg/L以下となるように有機性廃水を水で希釈する。COD濃度が2000mg/L程度以下であると、MLSS濃度が低下して微生物工程6における廃水処理性能が低下しても、COD濃度が抑制されていることにより汚泥の処理負荷が少なくとも一時的に低下する。このため、低下したMLSS濃度を回復(増加)させることが可能となる。
一実施形態において、MLSS濃度の上記閾値は、6500mg/Lである。他の実施形態においてはMLSS濃度の上記閾値は、5000mg/L〜7000mg/Lの範囲で調整される。
また、他の実施形態においては、上記のMLSS濃度計測値に基づいたCOD濃度調整に加え、有機性廃水処理の開始時にCOD濃度を調整してもよい。廃水処理開始時は、微生物工程6における汚泥の処理負荷が大きいため、有機性廃水を希釈してCOD濃度を低下させることによってMLSS濃度が回復しやすくなり、微生物処理工程6における廃水処理性能が維持されやすくなる。
他の実施形態において、COD濃度調整後のCOD濃度は、1500mg/L以下である。
他の実施形態では、pHが6.0以上7.0以下となるように調節する。
マイクロバブルとは、大きさ(径)が10〜数10μm程度の微細な気泡であり、好適には気泡が発生した時の大きさが50μmより小さい気泡である。調整廃水にオゾンマイクロバブルを供給することで、調整廃水中の難分解性有機物の低分子化を行い、嫌気性処理でリン蓄積細菌類、脱窒素リン蓄積細菌類による有機物の取り込みを容易にさせる。
なお、前処理工程の前段にて、処理対象の廃水中の夾雑物を除去したり、廃水の温度調整を行うなどの予備処理を施しておくことが好ましい。
他の実施形態においては、脱窒性リン蓄積細菌に代えてリン蓄積細菌の存在下、又はリン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌の存在下で微生物処理を行ってもよい。
また、他の実施形態においては、微生物処理は嫌気処理、好気処理及び無酸素処理を任意の順に含む。
好適には、嫌気処理工程には、リン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌の少なくとも一方を含む汚泥(活性汚泥)若しくはこれらの少なくとも一方が固定化された生物膜が用いられる。
無酸素処理工程4の終了後は、余剰汚泥と処理水とを分離する固液分離工程8が行われる。固液分離工程8は、例えば、沈殿、膜分離等の公知の方法が用いられ、凝集剤を投入して汚泥を凝集沈殿させてもよい。
本実施形態によれば、前処理工程2及び微生物処理工程6の前に調整工程1を設けたことにより、微生物処理工程における廃水処理性能が維持されることで、リンの除去性能が向上することが期待できる。これにより、微生物処理工程に用いられる汚泥中のリン濃度が高くなり、汚泥からリンを回収する従来手法を採用した場合に、リン回収率の向上が期待できる。
MLSS濃度の計測には、一般に用いられるMLSS計を使用することができる。
図2に示すように、有機性廃水処理装置110は、主に、COD濃度調整手段50と、pH調整手段60と、オゾンマイクロバブル生成手段11と、前処理槽10を含む前処理手段と、微生物処理槽35を含む微生物処理手段と、MLSS計56を含むMLSS計測手段と、コントローラ100を含む制御手段と、を備える。微生物処理槽35は、嫌気性処理工程、好気性処理工程、無酸素処理工程をそれぞれ別個に行う槽を複数設け、これらを直列に接続してもよいし、同図に示すように槽内の条件を変化させて嫌気性処理工程、好気性処理工程、無酸素処理工程を単一槽で行うようにしてもよいが、装置の設置面積の削減及び装置の小型化ができることから、特に単一槽であることが好ましい。
処理対象の有機性廃水は、ポンプ20により一旦貯水タンク21に貯留される。貯水タンク21には、有機性廃水のpHや温度を測定するセンサ22が設置されている。
貯水タンク21の米加工廃水は、廃水供給ライン23を介してポンプ24により前処理槽10に送給される。廃水供給ライン23上にはバルブ25が設けられており、このバルブ25により前処理槽10へ供給する廃水処理量が調整される。また、廃水供給ライン23から分岐した廃水の一部を貯水タンク21へ返送する返送ライン26を設けてもよく、廃水返送量はバルブ27により調整される。
また、前処理槽10には、槽内を撹拌する撹拌機19と、前処理槽10内の廃水中のオゾン濃度を測定するオゾンモニタ28と、有機性廃水のpHや温度を測定するセンサ29が設置されている。
微生物処理槽35には、循環ライン37(37a、37b)を介してマイクロバブル発生装置36が接続されている。マイクロバブル発生装置36は、廃水中に空気のマイクロバブルを供給して微生物処理槽35内を好気条件にするための装置である。空気の供給量(曝気量)はバルブ38(38a、38b)により調整される。
さらにまた、微生物処理槽35には、槽内を撹拌する撹拌機44と、微生物処理槽内の廃水のpHや温度を測定するセンサ45が設置されている。
この微生物処理槽35で、嫌気性処理工程、好気性処理工程、無酸素処理工程からなる一連の処理工程が終了したら、排出ライン70より処理水を排出し、後段の固液分離装置(図示略)に送給する。
他の実施形態では、希釈水タンク21及び希釈水流量制御弁54を含むCOD濃度調整手段50は前処理槽10に接続され、前処理槽10に送給された処理対象の廃水を希釈するように構成されてもよい。
なお、pH調整ポンプ64としては、例えば電磁定量ポンプを使用することができる。また、pH調整剤としては、アルカリ性の被処理廃水にたいしては酸性の水溶液を、酸性の被処理廃水に対しては塩基性の水溶液を用いることができる。一実施形態においては、pHが低い米ぬか加工排水(有機性廃水)のpHを増加させるため、40質量%の水酸化ナトリウム水溶液をpH調整剤として用いる。
例えば、コントローラ100が取得したMLSS測定値が予め設定された閾値以下である場合に、貯水タンク21内の被処理廃水のCOD濃度が一定値(例えば2000mg/L)以下となるような量の希釈水を、希釈水タンク52から貯水タンク21に送出するように、希釈水流量制御弁を制御する。そして、MLSS計測値が一定値(例えば7000mg/L)となるまでの期間、上記のように被処理廃水が希釈されるように制御する。
また、例えば、前処理槽10に設置されたセンサ29からコントローラ100に送信されたpHが一定範囲(例えば5.0以上8.0以下)外である場合には、pHが前記範囲内となるのに必要な量だけ、pH調整剤タンク62内に貯留されたpH調整剤を前処理槽10内に送出するように、pH調整ポンプ64を制御する。
前処理槽10には、オゾンマイクロバブル生成手段11からオゾンマイクロバブルが供給される。
オゾンマイクロバブル生成手段11は、空気を吸気して高濃度の酸素を生成する酸素濃縮機12と、酸素からオゾンを生成するオゾン発生装置13と、マイクロバブルにオゾンを溶解したオゾンマイクロバブルを生成するマイクロバブル発生装置16とを含む。なお、オゾンマイクロバブル生成手段11は、同図では一例として気液混合ポンプ型を示したが、これに限定されず、旋回流ノズル型等の他の型式であってもよいし、空気からオゾンを生成する手段であってもよい。
前処理槽10とマイクロバブル発生装置16とは循環ライン17(17a,17b)で接続されており、循環ライン17(17a,17b)上で循環する米ぬか加工廃水は、マイクロバブル発生装置16でオゾンマイクロバブルの供給を受け、廃水中の難分解性有機物が低分子化される。
このように米ぬか加工廃水にオゾンマイクロバブルを供給しながら該廃水を循環させることにより、米ぬか加工廃水とオゾンマイクロバブルとの接触効率が向上して、処理時間の短縮化が図れる。
前処理槽10から排出された米ぬか加工廃水は、前処理済みの前処理廃水として後段の微生物処理槽35へ送給される。
実施例1として、米ぬか加工廃水の処理におけるMLSS濃度の経時変化を調べる試験を行った。
図2に示す有機性廃水処理装置を用い、調整工程でのCOD濃度及びpHの調整は行わずに、米ぬか加工廃水原水のまま、下記に示す条件下で前処理工程及び微生物処理工程のうち好気工程を行った。なお、調整前のCOD濃度は、6000mg/L程度であった。
本法では、槽内で、COD濃度及びpHの調整を行う調整工程を加え、上記と同様の条件下で前処理を行った。
前記調整工程においては、微生物処理工程におけるMLSS濃度の測定値が6500mg/L以下である場合に、MLSS濃度計測値が7000mg/Lとなるまで、米ぬか加工廃水の原水をCOD濃度が2000mg/L以下となるように希釈し、COD濃度を調整した。COD濃度の調整後、40質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが6.5となるように調整した。
<前処理工程における条件>
酸素濃縮機12からオゾン発生装置13への酸素流入量:1[L/min](酸素濃度90%以上)
オゾン発生装置13のオゾン発生量:9.66[g/h](161[mg/min])
オゾン濃度:161[g/nm3]
マイクロバブル循環量:24.5[L/min]
前処理槽10における被処理廃水とオゾンマイクロバブルとの反応時間:90分間
pH及びCOD濃度を調整する調整工程を行わずに前処理工程及び微生物処理工程を行う従来の処理方法を行った処理開始時から30日経過までは、初め3400mg/L程度のMLSS濃度が、一時は増加したものの29日で2000mg/Lを下回り、処理不能となりそれ以上回復(増加)しなかった。このことから、COD濃度が6000mg/L程度と高い廃水では、微生物処理工程での汚泥による処理が米ぬか加工廃水の負荷に耐えられず、処理性能が低下し、MLSS濃度(汚泥濃度)の減少にもつながることが分かった。
その後、調整工程を加えた本発明の処理方法に切り替えられると、当初3600mg/L程度のMLSS濃度が、徐々に増加傾向を示し、80日経過時で6300mg/L、117日経過時で7000mg/Lまで増加した。このことから、調整工程を加えた本発明の処理方法を付加することで、MLSS濃度を7000mg/L程度に維持することができ、高濃度COD廃水に対応できる汚泥濃度を維持できることが分かった。
実施例2として、米ぬか加工廃水のCOD濃度の経時変化を調べる試験を行った。
図2に示す有機性廃水処理装置を用い、調整工程及び前処理工程を下記の条件で行った後、嫌気処理を4時間施し、続いて好気処理を施した。好気処理下において、被処理廃水のCOD濃度の経時変化を測定した。上記調整工程においては、希釈後のCOD濃度を変化させて試験を行った。なお、嫌気処理及び好気処理は連続式で行った。
調整工程後のCOD濃度(初期COD濃度):
7440, 6160,
5200, 5120, 3840, 3000, 2260, 1880, 1600, 1250, 1110, 740, 280(mg/L)の13種類
調整工程後のpH:6.5(40質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整)
<前処理工程における条件>
酸素濃縮機12からオゾン発生装置13への酸素流入量:1[L/min](酸素濃度90%以上)
オゾン発生装置13のオゾン発生量:9.66[g/h](161[mg/min])
オゾン濃度:161[g/nm3]
マイクロバブル循環量:24.5[L/min]
前処理槽10における被処理廃水とオゾンマイクロバブルとの反応時間:90分間
図6において、横軸は好気処理開始後からの経過時間(単位:時間)を示し、縦軸はCOD濃度(単位:mg/L)を示す。
調整工程において、COD濃度をそれぞれ280、740、1110、1250、1600、2260(mg/L)に調製した米ぬか加工排水については、好気処理開始から15〜36時間でCOD濃度を90%以上低下させることができた。
一方、調整工程においてCOD濃度をそれぞれ1880、3000、3840、5120、5200、6160、7440(mg/L)に調製した米ぬか加工排水については、好気処理開始から5時間しても、初期濃度よりもCOD濃度が低下することはなかった。
この結果によれば、調整工程においてCOD濃度を2000mg/L程度以下に調製することで、その後の微生物処理においてCOD濃度が順調に減少し、微生物処理工程における処理性能が維持されることがわかった。
実施例3として、COD濃度を希釈して調整した米ぬか加工廃水の微生物処理後のCOD濃度を確認した。
図2に示す有機性廃水処理装置を用い、調整工程後のCOD濃度を1800〜2500mg/Lに調製した米ぬか加工廃水について、上記実施例2と同様の条件で調整工程(pH調整)及び前処理工程を行った後、下記の条件で微生物処理工程を行った。なお、微生物処理工程は連続式で行った。
<微生物処理の各工程の処理時間>
嫌気処理:4時間
好気処理:26時間
無酸素処理:3時間
2 前処理工程
3 嫌気性処理工程
4 好気性処理工程
5 無酸素処理工程
6 微生物処理工程
7 MLSS計測工程
8 固液分離工程
10 前処理槽
11 オゾンマイクロバブル生成手段
12 酸素濃縮機
13 オゾン発生装置
16 マイクロバブル発生装置
35 微生物処理槽
50 COD濃度調整手段
56 MLSS計
60 pH調整手段
62 pH調整剤タンク
64 pH調整ポンプ
100 コントローラ
110 有機性廃水処理装置
Claims (5)
- 有機性廃水のCOD濃度及びpHを調整して調整廃水を得る調整工程と、
前記調整廃水にオゾンマイクロバブルを供給し、前記調整廃水中の難分解性有機物を低分子化して前処理廃水を得る前処理工程と、
リン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌のうち少なくとも一方の存在下で、前記前処理廃水に、嫌気処理、好気処理及び無酸素処理を含む微生物処理を行い、前記前処理廃水に含まれる窒素とリンを除去する微生物処理工程と、
前記微生物処理工程におけるMLSS濃度を計測するMLSS計測工程と、を備える有機性廃水処理方法であって、
前記調整工程において、MLSS計測工程でのMLSS濃度計測値が閾値以下であれば、少なくともMLSS濃度計測値が前記閾値に増加するまでの期間、前記有機性廃水のCOD濃度が2000mg/L以下となるように前記有機性廃水のCOD濃度を調整し、その後、得られる前記調整廃水のpHが5.0以上8.0以下となるように前記有機性廃水のpHを調整する有機性廃水処理方法。 - 前記微生物処理工程は、嫌気処理、好気処理及び無酸素処理をこの順に含む請求項1に記載の有機性廃水処理方法。
- 前記MLSS濃度計測値の前記閾値が6500mg/Lである請求項1又は2に記載の有機性廃水処理方法。
- 前記有機性廃水が、米加工廃水又は米ぬか加工廃水である請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機性廃水処理方法。
- 有機性廃水処理に含まれる窒素とリンを除去する有機性廃水処理装置であって、
有機性廃水のCOD濃度を調整するCOD濃度調整手段と、
前記有機性廃水のpHを調製するpH調整手段と、
マイクロバブルにオゾンを溶解させてオゾンマイクロバブルを生成するオゾンマイクロバブル生成手段と、
前記有機性廃水に、前記オゾンマイクロバブル生成手段で生成したオゾンマイクロバブルを供給して前記有機性廃水中の難分解性有機物を低分子化して前記処理廃水を得る前処理手段と、
前記前処理手段の後段に接続され、リン蓄積細菌及び脱窒性リン蓄積細菌のうち少なくとも一方の存在下で、前記前処理廃水に、嫌気処理、好気処理及び無酸素処理を含む微生物処理を行い前記前処理排水に含まれる窒素とリンを除去する微生物処理手段と、
前記微生物処理手段におけるMLSS濃度を計測するMLSS計測手段と、
前記MLSS計測工程でのMLSS濃度の計測値に基づいて、前記COD濃度調整手段により調整される後の前記有機性廃水のCOD濃度である目標COD濃度を決定し、前記有機性廃水のCOD濃度が前記目標COD濃度となるように前記COD濃度調整手段を制御する制御手段と、を備える有機性廃水処理装置。
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