JP2015023755A - 三相インバータの電流検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電流検出部34は、PWM制御される三相インバータ2の各相の下アーム側スイッチング素子SW2,SW4,SW6と直列に接続される電流検出抵抗素子R1〜R3の電圧降下に基づいて、各相の電流値を検出する。このとき、電流検出判定部37は、各相の電流値の総和の絶対値が第一の判定値以下であれば検出した各相の電流値を相電流として採用する。一方、第一の判定値より大きい場合は、下アーム側スイッチング素子がONしない、またはON時間が短いため精度よく電流検出できない相があると判断して、その相を特定し、電流検出できた相の電流値を用いて電流検出できない相の電流値を補間する。
【選択図】図1
Description
図1は、本実施の形態1に係る三相インバータの電流検出装置を、三相ブラシレスモータに適用した場合の構成例を示す。図1に示す三相モータ装置は、三相ブラシレスモータ1、三相インバータ2、およびコントローラ3で構成される。本実施の形態1に係る三相インバータ2の電流検出装置は、コントローラ3の電流検出部34に相当する。
モータ制御部31のフィードバック制御部32は、三相ブラシレスモータ1に装着された位置センサ(不図示)から入力される回転角信号と、電流検出部34から入力される電流信号と、外部から入力されるかコントローラ3内部で設定するトルク指令信号および磁束指令信号とに基づき、フィードバック制御を行い、各相の駆動電流が所望の電流になるよう三相インバータ2の上アーム側スイッチング素子SW1,SW3,SW5と下アーム側スイッチング素子SW2,SW4,SW6をPWM制御する。
なお、三相インバータ2の各構成および制御方式自体はすでに周知であるため、詳細な説明は省略する。
A/D変換器36は、電流制御の演算周期と同じか、もしくはそれよりも短い周期の所定のタイミングで、アナログ電流検出回路35から出力されるアナログ電流値をA/D変換して各相のデジタル電流値をサンプリングする。A/D変換器36の電流取得タイミングはマイクロコンピュータ30が管理する。
この実施の形態1では、コントローラ3が5kHzのキャリア周波数でPWM制御を行っており、PWM周期は200μsecになる。各相の電流は、搬送波である三角波の負の頂点でサンプリングされる。スイッチング素子SW1〜SW6は、ゲート電圧がHighでONし、LowでOFFする。また、この例では上アーム側スイッチング素子SW1,SW3,SW5と下アーム側スイッチング素子SW2,SW4,SW6の貫通電流を防止するためデッドタイムを10μsec設けている。デッドタイムは、上アーム側スイッチング素子SW1,SW3,SW5のON/OFFの切り換わりのタイミングを基準にして設定されている。
先ずは、各相の電流を正確に検出できたか否か(以下、電流検出の可否と称す)の判定方法を説明する。
電流取得タイミングになると、A/D変換器36が、各相の電流検出抵抗素子R1〜R3の電圧降下をデジタル電流値としてサンプリングし(ステップST1)、電流検出判定部37が三相のデジタル電流値の総和の絶対値を算出する(ステップST2)。続いて電流検出判定部37は、三相デジタル電流値の総和の絶対値が第一の判定値以下かどうか調べる(ステップST3)。第一の判定値以下になる場合は(ステップST3“YES”)、各相の電流を正しく検出できたと判断して、三相のデジタル電流値をフィードバック制御に用いる電流値として採用し、フィードバック制御部32へ出力する(ステップST4)。
三相のデジタル電流値の総和の絶対値が第一の判定値より大きく、電流を正確に検出できなかった相があると判定した場合(ステップST3“NO”)、電流検出判定部37は、第二の判定値を用いて電流検出不能の相を調べる(ステップST5)。
ステップST5にて電流検出判定部37がU相、V相、W相のうちのいずれか一相の電流が検出不能と判定した場合、ステップST6において、検出不能な相の電流値を推定する。例えば下式(1)のように、検出できた二相のデジタル電流値の和の反転値を、検出不能な一相の電流値として用いる。このように、三相に流れる電流の総和=0という関係を用い、一相のみ電流検出できない場合に残り二相の電流を用いて精度よく補間することができる。
ここで、Iu,Iwは検出できたU相とW相のデジタル電流値であり、Ivは電流検出が不能なV相の補間電流値である。
図5は、図2に示したP2点近傍における各相の電圧指令と搬送波に基づいて生成されるゲート電圧UP,UN,VP,VN,WP,WNおよび電流取得タイミングを示す波形である。図5の電流取得タイミングでは、ゲート電圧VNがHighにならないので、V相の下アーム側スイッチング素子SW4がONしない。このとき、電流検出判定部37は、V相の電流検出が不能になると判定して、U相およびW相のデジタル電流値の和の反転値をV相の電流値として採用する。
ステップST5にて電流検出判定部37がU相、V相、W相のうちのいずれか二相の電流が検出不能と判定した場合、ステップST7において、検出できた一相のデジタル電流値の反転値を所定の割合で分配し、検出不能な二相の電流値として用いる。所定の割合としては、例えば下式(2)のように検出できた一相のデジタル電流値の反転値を均等に分配する。このようにすることで、電流が一相しか検出できない場合においても三相に流れる電流の総和=0という関係性を崩さないように電流値を補間することができる。これにより、実際に流れている電流と補間した電流値に誤差は生じたとしても、電流のフィードバック制御を破綻させることなく制御することができる。
Iv=−(Iw/2)
ここで、Iwは検出できたW相のデジタル電流値であり、Iu,Ivは電流検出が不能なU相とV相の補間電流値である。
なお、各相の電流値を検出する際に生じる誤差としては、スイッチング素子SW1〜SW6のスイッチングノイズに起因した誤差、電流検出抵抗素子R1〜R3の誤差、アナログ電流検出回路35の誤差、A/D変換器36の誤差などがある。
あるいは、所定の時間を直接第二の判定値として用いて、下アーム側スイッチング素子SW2,SW4,SW6のON時間が所定の時間より短い相を電流検出が不能な相に特定してもよい。
なお、所定の時間は、下アームに流れる電流を正しく検出できる程度に長い下アーム側スイッチング素子SW2,SW4,SW6のON時間であり、スイッチング素子のデッドタイム、ゲート電圧波形の鈍り、電流検出に要する処理時間(例えば、A/D変換器36のサンプルホールド)などを考慮して決定する。
Claims (7)
- PWM(Pulse Width Modulation)制御される三相インバータの各相の下アーム側スイッチング素子と直列に接続される電流検出抵抗素子の電圧降下に基づいて前記各相の電流値を検出する三相インバータの電流検出装置において、
前記電流検出抵抗素子の電圧降下に基づいて検出した前記各相の電流値の総和の絶対値が判定値以下である場合、当該検出した前記各相の電流値を採用する電流検出判定部を備えることを特徴とする三相インバータの電流検出装置。 - 前記判定値は、前記各相の電流値を検出する際に生じる誤差以上の値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の三相インバータの電流検出装置。
- 前記電流検出判定部は、前記各相の電流値の総和の絶対値が前記判定値より大きい場合に電流検出が不能な相を特定し、当該電流検出が不能な相が二相ある場合、電流検出が可能な残り一相の電流値の反転値を所定の割合で分配して当該電流検出が不能な二相の電流値として採用することを特徴とする請求項1または請求項2記載の三相インバータの電流検出装置。
- 前記電流検出判定部は、前記各相の電流値の総和の絶対値が前記判定値より大きい場合に一相または二相の電流検出が不能と判断し、前記下アーム側スイッチング素子のON時間が所定の時間より短い一相または二相を当該電流検出が不能な相に特定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の三相インバータの電流検出装置。
- 前記電流検出判定部は、電流検出が不能な相が二相ある場合、電流検出が可能な残り一相の電流値の反転値を均等に分配するか、あるいは当該電流検出が不能な二相の下アーム側スイッチング素子のON時間の比に応じて分配して、当該電流検出が不能な二相の電流値として採用することを特徴とする請求項3記載の三相インバータの電流検出装置。
- 前記電流検出判定部は、前記各相の電流値の総和の絶対値が前記判定値より大きい場合に電流検出が不能な相を特定し、当該電流検出が不能な相が一相ある場合、電流検出が可能な残り二相の電流値の和の反転値を当該電流検出が不能な一相の電流値として採用することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の三相インバータの電流検出装置。
- 前記電流検出判定部は、前記各相の電流値の総和の絶対値が前記判定値より大きい場合、前記下アーム側スイッチング素子のON時間が最小になる一相を電流検出が不能な相のうちの一つとみなして、残り二相の電流値の和の反転値を当該電流検出が不能とみなした一相の電流値として採用することを特徴とする請求項1または請求項2記載の三相インバータの電流検出装置。
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