JP2015023242A - 希土類磁石、電動機、及び電動機を備える装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】150℃を超える高温暴露後においても最大エネルギー積を維持でき、昇温と降温を繰り返す温度サイクル特性に優れた希土類磁石、該希土類磁石を備えた電動機、及び該電動機を備えた装置を提供すること。
【解決手段】正方晶R14B化合物(ここで、Rは希土類元素であり、Tは鉄族元素であり、Bはホウ素である。)を主相とする結晶粒子1を含むR−T−B系希土類磁石において、少なくとも結晶粒子1内部に、金属ナノワイヤ2が分散された希土類磁石。
【選択図】図1

Description

本発明は、希土類磁石、電動機、及び電動機を備える装置に関する。
正方晶R14B化合物を主相とするR−T−B系希土類磁石(Rは希土類元素、TはFe又は一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素)は優れた磁気特性を有することが知られており、1984年の発明を嚆矢とする(特許文献1)。以来改良が重ねられてきたR−T−B系希土類磁石のうちネオジム磁石は、100℃程度の使用温度であれば、エネルギー積が最大の高性能永久磁石である。
希土類元素RとしてNd、Pr、Dy、Ho、Tbの少なくとも一種を含むR−T−B系希土類磁石は、異方性の起源を結晶磁気異方性に依存している割合が高く、キュリー温度が300℃程度である。そのため、高温環境での使用に制約があり、R−T−B系希土類磁石を特殊な用途に用いるには、希土類金属の中でも重希土類であって希少な元素であるDy等を含有させざるを得ない(特許文献2)。このような状況に対して、Dy等の使用量を減少させる試みが積極的になされている(特許文献3)。
特開昭59−46008号公報 特開2012−151442号公報 特開2012−15169号公報
しかしながら、資源問題を抱えたDy等の重希土類の使用量を低減し、さらにはDy等の重希土類を一切使用しない場合には、高温で安定した磁気特性を有する希土類磁石を実現することは現状では困難である。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、輸送機器や産業機器などの分野において、とりわけエネルギー消費の面で電動機の効率アップへの貢献を可能にする、Dy等の重希土類を使用しないR−T−B系希土類磁石の提供を目的とする。
具体的には、150℃を超える高温暴露後においても最大エネルギー積を維持でき、昇温と降温を繰り返す温度サイクル特性に優れたR−T−B系希土類磁石、該希土類磁石を備える電動機、及び該電動機を備える装置を提供することを目的とする。
そこで本発明は、正方晶R14B化合物(ここで、Rは希土類元素であり、Tは鉄族元素であり、Bはホウ素である。)を主相とする結晶粒子を含むR−T−B系希土類磁石において、少なくとも結晶粒子内部に、金属ナノワイヤが分散された希土類磁石を提供する。
本発明に係るR−T−B系希土類磁石においては、金属ナノワイヤが、少なくとも、正方晶R14B化合物を主相とする結晶粒子内部に分散された状態で含まれる。上記金属ナノワイヤは、結晶粒子内部に束縛されているため、Dy等の重希土類を添加しなくても、150℃を超える高温暴露後において最大エネルギー積を維持でき、昇温と降温を繰り返す温度サイクル特性に優れたR−T−B系希土類磁石が得られる。
高温暴露後の最大エネルギー積の維持に必要な、B−H曲線の第二象限の形状維持に寄与する、保磁力維持のメカニズムについて、本発明者らは以下のように推察する。結晶粒子内部に分散された金属ナノワイヤは、すなわち、結晶粒子内部に束縛さている。金属ナノワイヤ自身は、ナノテクノロジーの特異現象というべく、温度上昇により、その本体が極めて大きな伸び率で伸長する。本発明において、金属ナノワイヤの周囲には、金属ナノワイヤほど大きな伸び率を有さないR−T−B系希土類磁石の主相を構成する成分が存在しているため、本発明に係る希土類磁石中の金属ナノワイヤの伸び幅は、周囲にR−T−B系希土類磁石の主相を構成する成分が存在していない金属ナノワイヤ単体での伸び幅の半分以下、場合によっては10分の1まで抑制される。金属ナノワイヤは、その本体の伸長を抑制されることによって歪エネルギーを発生する。発生する歪エネルギーは、磁壁移動(具体的には、結晶粒子の内部や粒界相等に存在する磁壁の移動)に対してエネルギー障壁を高めることとなり、保磁力の低下を抑制できる。また、R−T−B系希土類磁石の主相を構成する原子の移動に対しピンニングする作用も生じるため、不可逆減磁を低減でき、優れた温度サイクル特性が得られるものと考えられる。
本発明によれば、希少な金属資源であるDy等の重希土類の使用量が低減され、また、一切添加されなくとも、供述のような効果を奏するR−T−B系希土類磁石を提供することができる。
本発明においては、金属ナノワイヤの融点が、希土類磁石の金属ナノワイヤ以外の部分の融点より高いとよい。このような条件により、金属ナノワイヤを、安定した状態で希土類磁石の結晶粒子内部に分散することができる。
また本発明においては、金属ナノワイヤが、Ti,Zr,Cr,W,Nb,Hf,Rhからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を主成分として含むとよい。上記金属元素は、その融点が、金属ナノワイヤを除くR−T−B系希土類磁石の融点よりも十分に高く、かつ、R−T−B系希土類磁石に対する相溶性が良好な元素であるため、金属ナノワイヤの主成分として好適に用いられる。
さらに、本発明は、上記希土類磁石を磁極として備える電動機を提供する。本発明に係る電動機は上記希土類磁石を磁極として備えるため、高温環境下で使用しても実動時の効率低下が少なく、また、停機時に磁気特性が回復する作用を備えるために着磁に至るまでのサイクル数を増やすことができる。
さらにまた本発明は、上記電動機を備える装置を提供する。本発明に係る装置は上記電動機を備えるため、高温環境下における実用性を維持することができる。
本発明によれば、150℃を超える高温暴露後においても、最大エネルギー積を維持でき、昇温と降温を繰り返す温度サイクル特性に優れたR−T−B系希土類磁石、該希土類磁石を備える電動機、及び該電動機を備える装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るR−T−B系希土類磁石を模式的に示した拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係るR−T−B系希土類磁石を模式的に示した拡大断面図である。R−T−B系希土類磁石は、複数の結晶粒子1から構成される。結晶粒子1は、正方晶R14B化合物(ここで、Rは希土類元素であり、Tは鉄族元素であり、Bはホウ素である。)を主相とする。複数の結晶粒子1の間には、粒界相3が存在する。結晶粒子1の内部には、金属ナノワイヤ2が配向することなくランダムに分散されている。金属ナノワイヤ2は粒界相3に存在していてもよく、また、結晶粒子1の内部と粒界相3にまたがって存在していてもよい。
結晶粒子1の主相を構成するR14B化合物について、Rは希土類元素であり、軽希土類元素、重希土類元素、又はこれらの組み合わせである。RはNd、Pr等が挙げられるが、材料コストの観点からNdが好ましい。Tは鉄族元素であり、Fe又はFeとCoとの組み合わせが好ましい。ただし、R,Tは、これらの具体例に限定されない。また、Bはホウ素である。本実施形態の希土類磁石において、全質量に対する各元素の含有量は、それぞれ以下の通りであることが好ましい。
Rの含有量は、希土類磁石全量を100質量%として、20〜45質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることがより好ましく、29.5〜33質量%であることが特に好ましい。
Bの含有量は、希土類磁石全量を100質量%として、0.1〜2.5質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましく、0.7〜0.95質量%であることが特に好ましい。
金属ナノワイヤの含有量は、希土類磁石全量を100質量%として、0.1〜4.5質量%であることが好ましく、0.8〜3.5質量%であることがより好ましく、1.3〜2.5質量%であることが特に好ましい。
Tは、実質的に、上記R、B、及び、金属ナノワイヤを除いた残部である。
金属ナノワイヤ2は、国際規格ISO/TS27687に記載されているナノ物質の一形態であるナノワイヤであって、構成成分は、金属ナノワイヤ2が結晶粒子1の内部に分散されるために最適な融点を有する金属材料から選択するとよい。このような金属材料としては、融点が希土類磁石の金属ナノワイヤ2以外の部分の融点より高い金属材料が適する。金属ナノワイヤ2の融点、及び、希土類磁石の金属ナノワイヤ2以外の部分の融点は、金属ナノワイヤ2(後述する原料1)と、希土類磁石の金属ナノワイヤ2以外の部分(後述する原料2)を、通常用いられる方法にて、それぞれ独立に測定した値である。融点の測定方法としては、示差熱分析(DTA)法、示差走査熱量測定(DSC)法等が挙げられる。金属ナノワイヤ2の結晶状態は、単結晶,多結晶、非晶質のいずれであってもよい。金属ナノワイヤ2は、R−T−B系希土類磁石に対する相溶性を考慮すると、Ti,Zr,Cr,W,Nb,Hf,Rhからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を主成分として含むとよい。ここで、主成分とは、金属ナノワイヤ全量を基準として、50at%より多く含まれる成分を意味する。
本実施形態に係る希土類磁石は、金属ナノワイヤ2の量子サイズ効果を必要としない。また、サイズの分布は特に限定されず、粒度分布が複数のピークを有していてもよい。金属ナノワイヤ2の平均直径は10〜200nmであることが好ましく、15〜180nmであることがより好ましく、20nm〜150nmであることが特に好ましい。平均長さは0.2μm〜4.0μmであることが好ましく、0.5μm〜3.0μmであることが好ましく、1.0μm〜2.5μmであることが特に好ましい。
高温暴露後の最大エネルギー積を維持でき、優れた温度サイクル特性の得られる効果は、以下の作用によるものと考えられる。金属ナノワイヤ2本体は、温度上昇に伴って、その本体が極めて大きな伸び率で伸張するが、金属ナノワイヤ2の周囲には、金属ナノワイヤほど大きな伸び率を有さないR−T−B系希土類磁石の主相を構成する成分が存在しているため、金属ナノワイヤ2の伸び幅は、周囲にR−T−B系希土類磁石の主相を構成する成分が存在していない金属ナノワイヤ単体の伸び幅の半分以下、場合によっては10分の1まで抑制される。金属ナノワイヤ2本体の伸長が抑制されることによって発生する歪エネルギーは、磁壁移動(具体的には、結晶粒子1の内部や粒界相3等に存在する磁壁の移動)に対してエネルギー障壁を高めることとなり、保磁力の低下を抑制できる。また、R−T−B系希土類磁石の主相を構成する原子の移動に対しピンニングする作用も生じるため不可逆減磁を低減でき、優れた温度サイクル特性が得られるものと考えられる。
次に、本発明に係るR−T−B系希土類磁石を磁極として備える電動機(たとえばモータ)の好適な実施形態について説明する。本実施形態に係る電動機は、電気自動車用のモータ(永久磁石型同期モータ)として用いることができる。具体的には、本実施形態に係る電動機は、ロータ部のコアに沿って、本実施形態に係るR−T−B系希土類磁石を配置することにより得ることができる。より具体的には、円筒状のロータとこのロータの内側に配置されるステータとを備える。ロータは円筒状のコアと円筒状のコアの内周面に沿ってN極とS極が交互になるように設けられた複数のR−T−B系希土類磁石と、を有する。ステータは、外周面に沿って設けられた複数のコイルを有する。このコイルとR−T−B系希土類磁石とは互いに対向するように配置される。
本実施形態に係る電動機は、本発明に係るR−T−B系希土類磁石をロータに備えることにより、磁極におけるDy等の重希土類の含有量が低減され、又は、一切含有されなくとも、高温環境下での使用において、実動時の効率低下を抑制でき、また、停機時に磁気特性が回復するため着磁に至るまでのサイクル数を増やすことができる。そのため、コンプレッサ、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の装置に用いることができる。
以下、本発明に係るR−T−B系希土類磁石の製造方法について好適な実施形態を説明する。
R−T−B系希土類磁石の製造方法としては、焼結法等が挙げられ、その原料合金の製造方法としてはストリップキャスト法等が挙げられる。ここで、好適な製法の一例として、原料合金をストリップキャスト法で製造する場合について以下に説明する。
本実施形態に係るR−T−B系希土類磁石の製造方法は、(a)原料作製工程、(b)金属ナノワイヤ分散工程、(c)粉砕工程、(d)成形工程、(e)焼成工程、(f)熱処理工程を含む。
(a)原料作製工程
原料作製工程は、原料1作製工程と、原料2作製工程と、を含む。原料1作製工程は、金属ナノワイヤ(原料1)を準備する工程である。製法としては電気化学的な手法である還元法、プラズマガス中蒸発法、ガスアトマイズ法、レーザーアブレーション法、スパッタリング法などから適宜選択すればよい。
原料2作製工程は、金属ナノワイヤを除くR−T−B系希土類磁石の原料(原料2)を、その溶解温度以上に加熱することにより、Nd,Fe,Bを主として含む溶湯を準備する工程である。
(b)金属ナノワイヤ分散工程
金属ナノワイヤ分散工程は、原料1及び原料2を用いて、金属ナノワイヤを、少なくとも正方晶R14B化合物を主相とする結晶粒子の内部に分散する工程である。
本工程においては、原料2の溶湯又は、原料1及び原料2が混合した溶湯を冷却ロール表面に供給し、原料2の溶湯又は、原料1及び原料2が混合した溶湯が冷却され、薄帯が形成される過程において、冷却ロールの面上の温度を、金属ナノワイヤ(原料1)の融点より低い温度で、かつ、原料2が溶融状態にある温度に設定するとよい。
具体的には、金属ナノワイヤ(原料1)を含む水蒸気ジェットを、上記溶融状態にある原料2に吹き付ける方法が挙げられる。また、原料1及び原料2を混合した溶湯において、金属ナノワイヤが、ナノ粒子のまま孤立して安定化している条件範囲において、原料1及び原料2が混合された溶湯を冷却ロール面に供給する方法等が挙げられる。
(c)粉砕工程
本工程において、上記(b)工程によって得られた薄帯を粉砕する。具体的には、上記(b)工程によって得られた薄帯を、不活性ガス雰囲気や必要に応じて水素雰囲気中、酸化の進行を抑制しながら粉砕する、又は、水素を吸蔵させ(水素脆化処理)その後粉砕することにより微粉末(以下、「原料微粉末」という)を得る。本工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とが含まれる。粗粉砕工程の後、微粉砕工程を行う2段階が好ましいが、1段階としてもよい。粗粉砕工程は、例えばスタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いて行うことができる。粗粉砕工程においては、原料合金を、平均粒子径が数百μmから数mm程度となるまで粉砕を行う。
微粉砕工程は、粗粉砕工程で得られた粗粉末を微粉砕して、平均粒径が数μm程度の原料微粉末を作製する。原料微粉末の平均粒子径は、焼結後の結晶粒の成長度合を勘案して設定すればよい。微粉砕は、例えば、ジェットミルを用いて行うことができる。
(d)成形工程
本工程は、上記(c)工程によって得られた原料微粉末を磁場中で成形して成形体を作製する工程である。具体的には、原料微粉末を電磁石中に配置された金型内に充填した後、電磁石により磁場を印加して原料微粉末の結晶軸を配向させながら、原料微粉末を加圧することにより成形を行う。この磁場中の成形は、例えば、1000〜1600kA/mの磁場中、30〜300MPa程度の圧力で行えばよい。
(e)焼成工程
本工程は、上記(d)工程によって得られた成形体を焼成して焼結体を得る工程である。磁場中での成形後、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼成し、焼結体を得ることができる。焼成条件は、成形体の組成、原料微粉末の粉砕方法、粒度等の条件に応じて適宜設定することが好ましいが、例えば、1000℃〜1100℃で1〜10時間程度行えばよい。
(f)熱処理工程
本工程は、上記(e)工程によって得られた焼結体を時効処理する工程である。本工程を経ることにより、隣接する結晶粒子間に形成される粒界相の幅およびその組成が決定される。しかしながら、これらの微細構造はこの工程のみで制御されるのではなく、上記(e)焼結工程の諸条件及び、原料微粉末の状態との兼ね合いで決定される。従って、本工程における熱処理温度、時間等の条件は、上記(e)工程によって得られた焼結体の微細構造の状態を勘案しながら設定すればよい。熱処理は、通常450℃〜900℃の温度範囲で行えばよいが、700〜900℃、好ましくは750〜850℃での熱処理を行った後、450〜650℃、好ましくは500〜600℃での熱処理を行うというふうに2段階に分けて行ってもよい。
上記(e)工程によって得られたR−T−B系希土類磁石は、用途に応じて、加工、表面処理、着磁の工程を経ることにより製品化が完了する。
以上、本発明を上記実施形態に基づき説明したが、実施形態は例示であり、様々な変形および変更が可能である。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<R−T−B系希土類磁石の作製>
(a)原料作製工程及び(b)金属ナノワイヤ分散工程
原料1:下記表1に示す平均直径と長さを有する金属ナノワイヤからなる原料と、原料2:Nd、Fe及びBを含む合金と、をそれぞれ所定量秤量した。原料1は、Ti,Zr,Cr,W,Nb,Hf,Rhからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素が主成分であって、これら1種以上が添加された金属ナノワイヤであり、ガスアトマイズ法によって準備した。原料1及び原料2を、高周波溶解炉で、1200〜1220℃に加熱溶解して得た合金溶湯を、タンデイッシュを経て、冷却ロール面に沿って供給した。該合金溶湯が冷却ロール面に沿って送られる間に結晶化が進行し、合金薄帯が形成された。得られた合金薄帯には、ナノワイヤが分散されていた。
(c)粉砕工程
(粗粉砕工程)
次に、得られた合金薄帯に水素を吸蔵させる水素脆化処理を行い、Ar雰囲気で600℃、1時間放置した後、粉砕処理を行った。その後、得られた粉砕物をAr雰囲気下で室温まで冷却した。
(微粉砕工程)
得られた粉砕物に粉砕助剤としてオレイン酸アミドを添加し、混合後、ジェットミルを用いて微粉砕を行い、平均粒子径が約2〜3μmである原料微粉末を得た。
(d)成形工程
得られた原料微粉末を、低酸素雰囲気下において、配向磁場1200kA/m、成形圧力120MPaの条件で成形を行って、成形体を得た。
(e)焼成工程
得られた成形体を、真空中で1030〜1050℃、3時間焼成した後、急冷して焼結体を得た。
(f)熱処理工程
得られた焼結体に対し、800℃と500℃との2段階の熱処理を行った。一段目の800℃での熱処理(時効1)については一時間、一定温度を保持し、その後500℃まで放熱後、二段目の500℃での熱処理(時効2)については3時間、一定温度を保持して加熱した。
上記(a)〜(f)工程を経て得られたR−T−B系希土類磁石から、厚さ1mm×長さ36mm×幅4mmの小片を切り出し下記の方法によって、最大エネルギー積(MOe)及び160℃におけるサイクル減磁性率(%)を測定した。なお、160℃におけるサイクル減磁性率については、減磁率が8%に達するサイクル数にて比較した。
<R−T−B系希土類磁石の特性評価>
R−T−B系希土類磁石の最大エネルギー積及びサイクル減磁率の評価方法について説明する。
(最大エネルギー積の測定)
上記の方法によって作製した小片を評価用試料として用い、先ず室温(25℃)においてB−HカーブトレーサーにてB−Hカーブを記録した。最大エネルギー積(BHmax)を算出し、これをBHmax0とした。
(サイクル減磁率の算出及びサイクル数の測定)
次に、評価用試料を160℃で2時間加熱し、室温に戻した。このサイクルを1サイクルとして繰り返した後、評価用試料の温度が室温に戻ったら残留磁束を測定し、測定値をBHmax1とした。160℃におけるサイクル減磁率D160は下記式(1)により算出した。
160=(BHmax1−BHmax0)/BHmax0*100(%)…(1)
上記式(1)によって算出した160℃におけるサイクル減磁率D160が8%に到達するまでのサイクル数を測定した。
(実施例1〜実施例22、比較例1〜3)
金属ナノワイヤ(原料1)と、金属ナノワイヤを除くR−T−B系希土類磁石の構成成分(原料2)を用い、上記製法により、下記表1に表される組成を有するR−T−B系希土類磁石を作製した。なお、表1に示した各元素の含有量について、R(Nd,Dy)、T(Fe)、及び金属ナノワイヤの構成元素(Ti,Zr,Cr,W,Nb,Hf,Rh)は蛍光X線分析法により、BはICP発光分光分析法により測定した。
実施例1〜22及び比較例1〜3について、得られた最大エネルギー積の値(BHmax0)と、160℃におけるサイクル減磁率D160が8%に到達するまでのサイクル数と、を表1に示す。なお、比較例1は原料1を含まない例であり、比較例2、3は原料1に代えてDyを含む例である。
Figure 2015023242
実施例1〜22について、金属ナノワイヤを添加しなかった比較例1に比べ、最大エネルギー積及び160℃でのサイクル減磁率は改善されており、Dyを7%添加した比較例2と同等レベルといえる。なお、粒子サイズの分布は、シングルピークでなければならないという制約はないことがわかる。
<R−T−B系希土類磁石を磁極として備える電動機の評価>
次に、表1で示した実施例5と比較例1、2のR−T−B系希土類磁石を、永久磁石型同期モータに組み込み、モータの10%負荷時の効率の変化を評価した。評価は電気自動車での実使用を想定して、周囲温度120℃で10時間運転、その後2時間停止のサイクルを50サイクル繰り返し、25℃において初期効率との効率比較を行った。その結果、効率の低下は実施例5の希土類磁石を組みこんだ場合7%、比較例1は15.2%、比較例2は8%であった。このように、電動機においても、Dy等の重希土類の使用量を低減、さらには一切使用せずとも、高温環境下での使用における実用性が見込める。
なお、上記実施例1〜22においては、Dyを積極的に用いていないが、Dyを添加した場合にも、同等以上の効果が得られるものと推察される。本発明の効果を発現するメカニズムと、Dyの添加が果たす役割は異なる面もあり、且つ、おおむね独立性があると考えられることから、Dyを添加した系についても、より高性能な磁石を得る観点では有用性は高い。
1…主相結晶粒、2…金属ナノワイヤ、3…粒界相

Claims (5)

  1. 正方晶R14B化合物(ここで、Rは希土類元素であり、Tは鉄族元素であり、Bはホウ素である。)を主相とする結晶粒子を含むR−T−B系希土類磁石において、少なくとも前記結晶粒子内部に、金属ナノワイヤが分散された希土類磁石。
  2. 前記金属ナノワイヤの融点が、前記希土類磁石の前記金属ナノワイヤ以外の部分の融点より高い、請求項1に記載の希土類磁石。
  3. 前記金属ナノワイヤが、Ti,Zr,Cr,W,Nb,Hf,Rhからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を主成分として含む、請求項1又は2に記載の希土類磁石。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の希土類磁石を磁極として備える電動機。
  5. 請求項4に記載の電動機を備える装置。
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