JP2015021551A - すべり軸受装置およびこれを備えたポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】大気中において線膨張係数及び摩擦係数を低く抑えるとともに、成形性が良好なすべり軸受装置及びこれを備えたポンプを提供する。【解決手段】すべり軸受1を備えたすべり軸受装置であって、すべり軸受1は、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、すべり軸受1のすべり面において、前記フッ素樹脂は2%以上10%以下の面積率を有し、前記炭素繊維は4%以上17%以下の面積率を有し、前記グラファイトは5%以上15%以下の面積率を有し、前記芳香族ポリエーテルケトンおよび前記不可避不純物は残りの面積を占める。【選択図】図2

Description

本発明は、ポンプ等の回転機械のラジアル軸受として好適に使用されるすべり軸受装置およびこれを備えたポンプに関し、特に、すべり面がドライな状態であっても良好な摩擦特性及び耐摩耗性を有し、また、異物の混入している水中であっても良好な耐摩耗性を有する軸受装置およびこれを備えたポンプに関する。
従来、ターボ機械等の回転機械や事務機械に用いられるすべり軸受装置の軸受部分の材料として、樹脂材料が広く使用されている。樹脂材料は良好な潤滑性能を有するので、樹脂材料がすべり軸受装置の軸受部分の材料として用いられることで、軸受部分の摩擦特性及び耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、排水機場で用いられるポンプ等は、水中で運転されるだけでなく、先行待機運転の場合には、大気中での運転と水中での運転が繰り返される。大気中での運転の場合には、すべり軸受装置の軸受すべり面(軸又は軸の外周に設けられたスリーブと接触するすべり軸受の面)が、ドライ条件で低摩擦であることが求められる。この要求に鑑みて、軸受に樹脂材料が用いられた場合、いくつかの考慮すべき点がある。
第一の点は、樹脂材料は熱伝導率が小さく、線膨張係数が大きいことである。ポンプが駆動すると、軸受のすべり面に摩擦熱が発生する。すべり軸受が水中に没しているときは、水によってすべり面が冷却されるのですべり面の温度が低く保たれるが、空気中で運転するドライ運転時では、すべり軸受の熱伝導率が小さいのですべり面の摩擦熱が拡散せず、すべり軸受の温度が上昇する。これに加えて、すべり軸受の線膨張係数が大きいので、すべり軸受の温度の上昇に伴ってすべり軸受が膨張したときに、すべり軸受と軸との隙間が小さくなり、摩擦によりすべり面が焼付く虞がある。
第二の点は、現在使用されている樹脂材料が、フッ素系樹脂ベース又はPEEK(芳香族ポリエーテルケトン)ベースの樹脂材料に、強度を大きくするための炭素繊維を混入させたものが多いことである。炭素繊維の混入割合を多くして、樹脂材料の強度を大きくすると、異物が混入した水中における耐摩耗性が低下するとともに、成形困難となる。
第三の点は、すべり軸受に使用されている樹脂材料は、フッ素樹脂及びグラファイトを含む場合があることである。この場合、軸受表面の摩擦係数は低減されるが、これらの混入割合が多くなるとすべり軸受の強度が低下するとともに、成形困難となる。また、フッ素樹脂の混入割合が多くなると、すべり軸受の線膨張係数が上昇する傾向がある。
以上で説明したように、すべり軸受に用いられるこれらの材料の混合割合によっては、各々の材料の添加による摩擦係数、強度、線膨張係数などの物性が、互いにトレードオフの関係となる場合があるので、それら物性が適切となる樹脂材料等の混合割合を予想することは困難である。
また、排水機場で用いられるポンプが取り扱う水には土砂が含まれる。この土砂の主成分であるSiOは樹脂材料と比較して非常に硬いので、ポンプのすべり軸受に樹脂材料が用いられる場合には、軸受すべり面が水中に没した状態なので、すべり面に侵入した土砂によってすべり軸受は切削・摩耗される。このため、樹脂材料で形成されるすべり軸受の寿命が短くなるという問題があり、摩耗対策が求められる。
特許第3678490号 特開2006−233786号公報
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされてもので、その第一の目的は、大気運転において、線膨張係数及び摩擦係数を低く抑えるとともに、成形性が良好なすべり軸受装置及びこれを備えたポンプを提供することにある。第二の目的は、異物の混入した水中での運転において耐摩耗性の良好なすべり軸受装置及びこれを備えたポンプを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るすべり軸受装置は、すべり軸受を備え、前記すべり軸受は、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、前記すべり軸受のすべり面において、前記フッ素樹脂は2%以上10%以下の面積率を有し、前記炭素繊維は4%以上17%以下の面積率を有し、前記グラファイトは5%以上15%以下の面積率を有し、前記芳香族ポリエーテルケトンおよび前記不可避不純物は残りの面積を占める。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記すべり軸受の線膨張係数が40×10−6/℃以下である。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記すべり軸受のすべり面が大気と接触した状態で運転可能に構成されている。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記フッ素樹脂がPTFE、PFAまたはFEPである。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記芳香族ポリエーテルケトンが、PEK、PEEK、PEKKまたはPEEKKである。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記炭素繊維が、直径が5μm以上15μm以下である。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記フッ素樹脂が、直径が2μm以上30μm以下である。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るすべり軸受装置は、すべり軸受を備え、前記すべり軸受は、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、前記すべり軸受のすべり面の硬さが、タイプDデュロメータ硬さで63以上86以下である。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記すべり軸受のすべり面が、土砂が混入した水と接触した状態で運転可能に構成されている。
本発明の別の形態に係るすべり軸受装置は、前記すべり軸受のすべり面において、前記フッ素樹脂が2%以上10%以下の面積率を有し、前記炭素繊維が4%以上17%以下の面積率を有し、前記グラファイトが5%以上15%以下の面積率を有し、前記芳香族ポリ
エーテルケトンおよび前記不可避不純物が残りの面積を占める。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るポンプは、前記すべり軸受装置のいずれかを備える。
本発明によれば、線膨張係数及び摩擦係数を低く抑えるとともに、成形性が良好なすべり軸受装置及びこれを備えたポンプを提供することができる。また、本発明によれば、耐摩耗性の良好なすべり軸受装置及びこれを備えたポンプを提供することができる。
本願発明の一実施形態に係る立形斜流ポンプを示す断面図である。 本願発明の一実施形態に係るすべり軸受装置の拡大図である。 本願発明の一実施形態に係るすべり軸受を示す斜視図である。 実施例2の評価試験における摩耗速度と摩擦係数の評価結果を示す図である。 実施例3で評価したタイプDデュロメータ硬さ毎に、軸受の摩耗速度をプロットしたグラフである。
以下、本発明に係るすべり軸受装置及びこれを備えたポンプの一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るすべり軸受装置を備えた、排水機場で用いられるポンプの例である立形斜流ポンプを示す断面図である。
図1に示すように、立形斜流ポンプは、ポンプ設置床に設置固定される吐出エルボ30と、この吐出エルボ30の下端に接続される吊り下げ管29と、吊り下げ管29の下端に接続され、後述するインペラ22を内部に格納する吐出ボウル28と、吐出ボウル28の下端に接続され、水を吸い込むための吸い込みベル27と、を備えている。
立形斜流ポンプの、吊り下げ管29、吐出ボウル28及び吸い込みベル27の径方向略中心部には、軸継手26によって互いに接続された軸25、25´が配置されている。軸25、25´は、上部軸受32及び下部軸受33によって支持されている。軸25、25´の一端側(吸い込みベル27側)は、水をポンプ内に吸い込むためのインペラ22が接続されている。軸25、25´の他端側は、吐出エルボ30に設けられた孔から立形斜流ポンプの外部へ通じ、インペラ22を回転させる図示しない駆動用モータへ接続される。
軸25、25´と吐出エルボ30に設けられた孔との間にはフローティングシール34が設けられており、これにより立形斜流ポンプが扱う水が立形斜流ポンプの外部に流出することが防止される。
駆動用モータは、保守点検を容易に行うことができるように陸上に設けられ、駆動用モータの回転は軸25、25´に伝達され、インペラ22を回転させることができる。インペラ22の回転によって水は吸込みベル27から吸い込まれ、吐出ボウル28、吊下げ管29を通過して吐出エルボ30から吐出される。
図1に示す立形斜流ポンプは、ポンプ起動時にはポンプ内部に流体が無い状態、即ちドライ条件で運転される。また、起動後の定常運転時においては、ポンプ内部に異物が混入した水が存在する状態で運転される。
図2は、本実施形態に係る軸受32、33のすべり軸受装置の拡大図である。図示のように、軸25(25´)の外周には、ステンレス鋼等から成る金属製のスリーブ11が設
けられている。スリーブ11の外周には、すべり軸受1が設けられており、スリーブ11の外周面は、すべり軸受1の内周面(すべり面)と摺動するように構成されている。すべり軸受1は、金属から成る軸受ケース12によりつば部12aを介してポンプのケーシング13に固定されている。
スリーブ材11はビッカース硬さが200以上2500以下の金属で形成されており、ステンレス鋼のほか、セラミックス、超硬合金、サーメットのいずれかであることが好ましい。
図3は、図2におけるすべり軸受1を示す斜視図である。
図示のように、本実施形態に係るすべり軸受装置のすべり軸受1は中空の円筒形状を成している。
ところで、図2及び図3で示したすべり軸受1の軸受材料としては、一般に、PEEK(ポリ・エーテル・エーテル・ケトン)樹脂が基材として用いられている。上述したように、このような樹脂材料は熱伝導率が小さく、線膨張係数が大きい。軸受材料の線膨張係数が大きいとドライ運転時の摺動摩擦熱により温度が上昇して軸受材料が大きく膨張し、すべり軸受1のすべり面とスリーブ11(軸25、25´)との隙間が小さくなって、摩擦によりすべり軸受1のすべり面が焼付く虞がある。
これに対して、PEEK樹脂のような芳香族ポリエーテルケトンベースの樹脂材料に対する炭素繊維(カーボン繊維)の混入は、軸受材料の強度を向上させ、線膨張係数を低く抑える効果をもたらす。
すべり軸受1のすべり面とスリーブ11との隙間は、通常は0.1mmオーダー以下であり、すべり軸受1に用いられる樹脂材料の使用上限温度が120℃程度であること、及びドライ運転時に想定される軸受の温度上昇を考慮すると、すべり面とスリーブ11との隙間が維持され、すべり面が焼き付かないようにするには、すべり軸受1の線膨張係数が40×10−6/℃以下となるように、炭素繊維の混入量を調節することが必要である。
ただし、炭素繊維の混入割合が多くなると、軸受材料の強度が上昇して硬くなるので、耐摩耗性が低下するとともに、成形困難となる虞がある。
一方、芳香族ポリエーテルケトンベースの樹脂材料に対するフッ素樹脂及びグラファイトの混入は、樹脂材料の摩擦係数を低減する効果をもたらす。ただし、上述したように、フッ素樹脂及びグラファイトの混入量が多くなると、樹脂材料の強度が低下して、成形困難となる虞がある。また、フッ素樹脂の混入割合が多くなると、樹脂材料の線膨張係数が上昇する傾向がある。
そこで発明者らは、本発明に係るすべり軸受装置に用いられる好適なすべり軸受を見出した。即ち、すべり軸受は、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、すべり軸受のすべり面において、フッ素樹脂が2%以上10%以下の面積率を有し、炭素繊維が4%以上17%以下の面積率を有し、グラファイトが5%以上15%以下の面積率を有し、芳香族ポリエーテルケトンおよび不可避不純物が残りの面積を占めるときに、線膨張係数及び摩擦係数が低く、かつ成形性及び耐摩耗性が良好であり、大気中での運転において良好な軸受性能を維持することができることを見出した。
なお、ここで面積率とは、成形した軸受に平滑表面を設け、その表面における数ヶ所を顕微鏡で撮影し、観察部分を画像解析することにより求めた各構成材料が占める面積の割合の平均値である。
本発明に係るすべり軸受材料に用いるフッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)、PFA(テトラフロオロエチエレン・パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体)等を用いることが好ましい。
また、本発明に係るすべり軸受材料に用いる芳香族ポリエーテルケトンとして、PEEKのほか、PEK(ポリエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)、PEEKK(ポリエーテルエーテルケトンケトン)等を用いることが好ましい。
以下、本発明に係るすべり軸受装置のすべり軸受に用いる樹脂材料の実施例を説明する。
本実施例では、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含む樹脂試験片(成形品)を、表1に示す各構成材料の面積率で複数作成し、評価を行った。ここで、面積率は、成形品に平滑表面を設け、その表面における数ヶ所を顕微鏡で撮影し、観察部分(1.4mm×1.0mm)を画像解析することにより求めた各構成材料が占める面積の割合の平均値である。
なお、表1にはフッ素樹脂、グラファイト、炭素繊維の面積率のみが記載されているが、残部の面積は芳香族ポリエーテルケトン及び不可避不純物が占める。
Figure 2015021551
表1に示すように、本実施例における評価項目は、成形性、成形品の線膨張係数、ドライ条件で摺動した場合の摩擦係数とした。
成形性の評価においては、ペレット状の樹脂原料を型に入れた状態で加熱し焼き固める特殊な方法で成形し気孔が発生しないかを評価した。線膨張係数は成形品を20℃から140℃に温度を上昇させたときの熱膨張量に基づいて算出した。また、摩擦係数の評価においては、20×20×5(mm)の樹脂試験片を、超硬合金から成るφ20の円柱試験片に荷重500gで押しつけ、周速度0.5m/sで30分間、超硬合金に対して摺動させた。
評価として、線膨張係数が40×10−6/℃以下であり、かつ摩擦係数が0.2以下であるものを合格とした。なお、摩擦係数が0.2を超えると軸受温度が100℃を超え、摩擦挙動が不安定になる。
表1に示すように、合格評価が得られた成型品表面の各成分の面積率は、フッ素樹脂が2%以上10%以下、グラファイトが5%以上15%以下、炭素繊維が4%以上17%以下であった。
次に、本発明に係るすべり軸受装置の軸受を、ドライ条件で摺動させたときの摩擦係数と摩耗速度に関する評価試験を行った。
表2は、評価試験に使用した軸受を構成する樹脂材料の各成分の面積率(%)を示す表である。表中の本発明の樹脂材料は、実施例1で説明した合格評価が得られた各成分の面積率に含まれる面積率を有する樹脂材料である。樹脂材料1ないし4は、本発明に係るすべり軸受装置のすべり軸受に用いられる樹脂材料に対する比較例である。
Figure 2015021551
本実施例における評価試験では、表2に示した各樹脂材料からなる、軸受内径65mm、軸受幅20mmの軸受を、水膜、油膜等の液体の膜が摺動面にないドライ潤滑条件で、軸受面圧(軸受荷重/(軸受内径×軸受幅))を0.1MPa、すべり速度を4.0m/secとして2時間運転したときの摩耗速度と摩擦係数を測定・評価した。
図4は、本実施例の評価試験における摩耗速度と摩擦係数の評価結果を示す図である。縦軸は、軸受の摩耗速度(μm/h)及び摩擦係数を示す。
図示のように、樹脂材料1では、摩擦係数は本発明の樹脂材料よりも小さいが、摩耗速度が非常に大きい。
樹脂材料2では、摩耗速度は本発明の樹脂材料と略同等であるが、摩擦係数は本発明の樹脂材料よりも大きい。
樹脂材料3では、本発明の樹脂材料に比べ、摩耗速度と摩擦係数が共に大きい。
樹脂材料4では、試験開始後、間もなく摩擦力が急速に上昇し、試験継続が困難となり、測定不可能であった。
本実施例の結果により、本発明の樹脂材料は、摩耗速度、摩擦係数が共に小さい値を示し、非常に良好なドライ潤滑効果を発揮することが分かる。
なお、本実施例における本発明の樹脂材料において添加した炭素繊維の直径は5μm以上15μm以下、フッ素樹脂の直径は2μm以上30μm以下である。ここで、フッ素樹脂の直径とは、フッ素樹脂の粒子の直径をいう。
以上で説明したように、本発明に係るすべり軸受装置によれば、成形性を確保しつつ、摩擦係数及び摩耗速度を小さくすることができ、ひいては大気運転における摩擦摩耗特性を向上させることができる。また、軸受の線膨張係数が40×10−6/℃以下であるので、大気運転における軸受の温度の上昇による膨張量を低減することができ、軸受とスペーサとの隙間が狭くなることによる軸受の焼き付きを防止することができる。
次に、土砂などの異物を含む水中で運転される場合であっても良好な耐摩耗性を有する、本実施形態に係るすべり軸受装置及びこれを備えたポンプについて説明する。
上述したように、土砂の主成分であるSiOは硬度が高く、ポンプのすべり軸受に樹脂材料が用いられる場合には、軸受すべり面に侵入した土砂によって軸受は切削・摩耗される。
そこで発明者らは、異物を含む水中で運転される場合に好適なすべり軸受を見出した。
即ち、すべり軸受が、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、すべり軸受のすべり面の硬さが、タイプDデュロメータ硬さで63以上86以下であるときに、異物を含む水中における運転中であっても、すべり軸受の耐摩耗性が良好であることを見出した。
以下、本発明に係るすべり軸受装置の実施例を説明する。
本実施例では、本発明に係るすべり軸受装置のすべり軸受を、異物、すなわち土砂の主成分であるSiOが混入した水中で摺動させたときの摩耗速度に関する評価試験を行った。
本実施例における評価試験では、芳香族ポリエーテルケトン、フッ素樹脂、炭素繊維、グラファイトの混合割合を変えて複数の軸受を作成し、各軸受のタイプDデュロメータ硬さと、摩耗速度を測定した。
摩耗試験は、軸受内径65mm、軸受幅20mmの軸受を、異物濃度が3000mg/Lの水中に投入し、軸受面圧を0.12MPa、すべり速度を5.0m/secとして、8時間運転した。水中に含まれる異物には、平均粒径約5μmのケイ砂(主成分:Si0)と平均粒径約30μmのケイ砂とが1:1の割合で含まれている。
図5は、本実施例で評価したタイプDデュロメータ硬さ毎に、軸受の摩耗速度(μm/h)をプロットしたグラフである。横軸はタイプDデュロメータ硬さを示し、縦軸は軸受の摩耗速度を示す。
図5に示すように、異物混入水中での軸受の耐摩耗性は、材料の硬度(タイプDデュロメータ硬さ)と相関があることがわかる。即ち、タイプDデュロメータ硬さが86より大きくなると摩耗速度は急激に大きくなるが、86以下であれば摩耗速度は非常に小さく、タイプDデュロメータ硬さが63以上86以下の範囲ではその値が小さいほど摩耗速度が小さい。
以上で説明したように、本発明では、すべり軸受の硬さを、タイプDデュロメータ硬さで63以上86以下とすることにより、異物が混入した水中においても高い耐摩耗性を有し、良好な摺動性能を維持することができる。本発明に係るすべり軸受装置の軸受は、樹脂材料が軸受の構造を維持するのに十分な硬さを有し、かつ、適度な柔らかさを有するので、おそらく、すべり面間に入り込んだ異物が樹脂材料に突き刺さったままにならず、すべり面外に異物が徐々に排出されることで、耐摩耗性が向上しているものと考えられる。
最後に、各構成成分の面積率が、実施例1で説明した評価試験で合格評価が得られた面積率である、フッ素樹脂:2%以上10%以下、炭素繊維:4%以上17%以下、グラファイト:5%以上15%以下、芳香族ポリエーテルケトン及び不可避不純物:残部面積であり、かつタイプDデュロメータ硬さが63以上86以下のすべり軸受を作成し、図1に示した立形斜流ポンプのすべり軸受装置32、33のすべり軸受1に組み込んで、実際の異物、即ち土砂を含む水の排水及びドライ運転を繰り返した。
その結果、すべり軸受1の摩耗速度は、従来のPEEK軸受樹脂を用いたすべり軸受に比べて4分の1まで低下し、その摩擦係数が一定に保たれた状態で安定してポンプを運転することができた。
以上で説明したように、本発明に係るすべり軸受装置を備えたポンプであれば、異物が混入した排水を処理する排水機場において、水中運転と大気中運転とが繰り返されても、軸受の摩耗を抑制し、かつ軸受の低摩擦性(潤滑性)を維持することができる。
本発明は、以上で説明した実施形態に限らず、大気運転において運転するすべり軸受装置や、異物の混入した水中で運転するすべり軸受装置に利用することができる。また、軸受すべり面の異物の混入している水中での運転と、大気中での運転とが繰り返される軸受装置に利用することができる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
1・・・すべり軸受、11・・・スリーブ、12・・・軸受ケース、12a・・・つば部、13・・・ケーシング、22・・・インペラ、25,25´・・・軸、26・・・軸継手、27・・・吸込みベル、28・・・吐出ボウル、29・・・吊り下げ管、30・・・吐出エルボ、32・・・上部軸受、33・・・下部軸受、34・・・フローティングシール。



図1

Claims (11)

  1. すべり軸受を備えたすべり軸受装置であって、
    前記すべり軸受は、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、
    前記すべり軸受のすべり面において、前記フッ素樹脂は2%以上10%以下の面積率を有し、前記炭素繊維は4%以上17%以下の面積率を有し、前記グラファイトは5%以上15%以下の面積率を有し、前記芳香族ポリエーテルケトンおよび前記不可避不純物は残りの面積を占める、すべり軸受装置。
  2. 前記すべり軸受は、線膨張係数が40×10−6/℃以下である、請求項1に記載されたすべり軸受装置。
  3. 前記すべり軸受のすべり面が大気と接触した状態で運転可能に構成されている、請求項1又は2に記載されたすべり軸受装置。
  4. 前記フッ素樹脂はPTFE、PFAまたはFEPである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置。
  5. 前記芳香族ポリエーテルケトンは、PEK、PEEK、PEKKまたはPEEKKである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置。
  6. 前記炭素繊維は、直径が5μm以上15μm以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置。
  7. 前記フッ素樹脂は直径が2μm以上30μm以下である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置。
  8. すべり軸受を備えたすべり軸受装置であって、
    前記すべり軸受は、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維、グラファイトおよび不可避不純物を含み、
    前記すべり軸受のすべり面の硬さが、タイプDデュロメータ硬さで63以上86以下である、すべり軸受装置。
  9. 前記すべり軸受のすべり面が、土砂が混入した水と接触した状態で運転可能に構成されている、請求項8に記載されたすべり軸受装置。
  10. 前記すべり軸受のすべり面において、前記フッ素樹脂は2%以上10%以下の面積率を有し、前記炭素繊維は4%以上17%以下の面積率を有し、前記グラファイトは5%以上15%以下の面積率を有し、前記芳香族ポリエーテルケトンおよび前記不可避不純物は残りの面積を占める、請求項8又は9に記載されたすべり軸受装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置を備えたポンプ。
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