JP2015021270A - 鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発目地構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長手方向に延びる複数の主鉄筋を有する鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発構造であって、
コンクリート製の梁材の長手方向と直交する一つの仮想断面Sと梁体4の表面とが交差する箇所の少なくとも一部に外部目地10Oを形成し、
上記仮想断面の中心部に、長手方向と直交しかつ分離可能に重なり合う2枚の板材12を埋設してなる内部目地10Iを形成し、
外部目地と内部目地との間の中間領域に複数の主鉄筋6を挿通させることで、2枚の板材12の重ね面を境目として、ひび割れが誘発されるように構成した。
【選択図】図1
Description
本発明の第2の目的は、鉄筋コンクリート製梁の中央部に内部目地に形成することにより、梁部材の目地深さ(外部目地の深さ)相当部分の増厚を低減できるようにすることである。
長手方向に延びる複数の主鉄筋を有する鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発構造であって、
コンクリート製の梁材の長手方向と直交する一つの仮想断面と梁材の表面とが交差する箇所の少なくとも一部に外部目地を形成し、
上記仮想断面の中心部に、長手方向と直交しかつ分離可能に重なり合う2枚の板材を埋設してなる内部目地を形成し、
外部目地と内部目地との間の中間領域に複数の主鉄筋を挿通させることで、2枚の板材12の重ね面を境目としてひび割れが誘発されるように構成した。
上記梁材の長手方向と直交する梁材の縦断面を、横方向に平行な一対の第1辺及び縦方向に平行な一対の第2辺を有する長方形状とし、それら第2辺の一方又は双方にのみ外部目地を形成している。
上記梁材の長手方向と直交する梁材の縦断面を、横方向に平行な一対の第1辺及び縦方向に平行な一対の第2辺を有する長方形状とし、かつ上記2枚の板材を、側方及び長手方向と直交する方向に波形が繰り返す波形コッターに形成した。
第2の手段に係る発明によれば、梁部材の第2辺にのみ外部目地を設けたから、外部目地による増厚を低減できる。
第3の手段に係る発明によれば、内部目地10Iを形成する板材12を波形に形成したから、せん断力に対する抵抗が大である。
[試験体の説明]
RC梁2の試験体として、外部目地のみを有する1種類の試験体(B−13)と、内部目地及び外部目地を有する3種類の試験体(図6に示すS−25、図5に示すS−40、図7に示すW−40)を使用した。B−13は、他の試験体の構造から内部目地形成用の板材を省略した形態であるので、作図を省略する。試験体の一覧を表2に、試験体の属性(材料試験結果など)を表3に記載する。
試験体の断面は、幅150mm×高さ650mmであり、せん断スパン比は2.8とする。外部目地は全試験体に共通とし、内部目地の有無と内部目地の種類と欠損率(外部目地深さと内部目地深さとの和を梁幅で除した値)を変数とした。外部目地は、梁の両側に深さの台形状の欠け込みとし、欠損率は13%である。内部目地は、スレート波板2枚重ね合わせたもの(図5及び図6)と波形鋼板(図7)との2種類とし、欠損率を25%(図6)と40%(図5、図7)とした。欠損率に関しては、20%程度以下ではひび割れ集中効果が小さく、40%以上ではひび割れ集中性能に変化がなくなることが知られている。
なお、図5(A)中、b(=70mm)、c(=40mm)、d(=10mm)、e(=430mm)、f(=70mm)、g(=40mm)は、各試験体共通である。他方、図5でのa1及び図7のa3はともに40mm、図6のa2は17.5mmである。
積載履歴は、ひび割れ荷重の測定および提案目地のひび割れ集中性能の把握のための引張載荷、および、ひび割れ後の梁の構造性能の把握のためのせん断力載荷の2段階で実施した。
(1)引張載荷試験
各試験体Eの下部を土台Bに固定するとともに、試験体の上部を図示しない加力鉄骨と一体化して、加力鉄骨をジャッキで押し上げることで試験体に引張加重を加えた。この試験での力の制御は、実大で目地部に残留ひび割れ幅0.3mmのひび割れを再現することを目標とした。引張荷重は、次のいずれかまで与えることにした。
(a)目地部にひび割れが生ずる場合、目地部延長鉛直伸び変位δmを測定するために取り付けた3箇所の変位計の測定値の平均が0.3mm
(b)目地部にひび割れが発生しない場合、試験体の全長鉛直変位δaを計背側するために取り付けた2箇所の変位計の測定値の平均が0.6mm
(2)せん断力載荷試験
各試験体の下部を固定するとともに、試験体の上部に水平力を加えた。長周期地震動を模擬した多数回繰り返し載荷を設定した。±1.0、±2.0、±3.3、±5.0、(±2.0)、±7.5、±10、(±5.0)、±20、±30、±40、±50×10−3rad.をそれぞれ基本的に2回ずつ繰り返す。但し、2.0×10−3rad.及び5.0×10−3rad.[()内は小サイクル]の部材角では繰り返し回数を各10回とした。
(1)引張載荷試験の結果
加力終了時のひび割れ図を図8に示す。内部目地を有しない試験体B−13では、ひび割れが目地部では発生せず、目地部以外(一般部と称す)で発生した。一方、内部目地を設けた試験体では、ひび割れが目地部で発生した後に一般部で発生した。ひび割れが発生した荷重は、内部目地の種類を波形鋼板とした試験体W−40の値が最小であった。
(2)せん断力載荷試験の結果
加力時のせん断力−部材角関係を図9に、部材角R=5/1000rad.時のひび割れ状況を図10に示す。全試験体において部材角R=0.4/1000rad.で曲げひび割れが発生した。その後、数本の曲げひび割れがあばら筋位置に発生し、梁成中央に向かって斜めに進展した。部材角R=±7.5/1000rad.サイクル時に、主筋とあばら筋に貼り付けたひずみゲージの値が降伏ひずみに達した。部材角R=8〜10/1000rad.で梁端部に圧壊の兆候が見られた。部材角R=8〜10/1000rad.以降のサイクルで最大耐力をむかえたが、その後のサイクルでも大きな耐力低下は見られなかった。部材角R=30/1000rad.で試験体が面外に倒れ込む様子が確認された。なお、本願明細書において“部材角が○○rad.サイクル時であるときにある事象が生じた。”とは、そのサイクルの中のどこかで当該事象が生じたことをいい、また“部材角が○○rad.(時)であるときにある事象を生じたとは、その部材角になったときに当該事象が生じたことをいう。
(1)試験1に関して
引張ひび割れ荷重における計算値と実験値との比較を表4に示す。ここで引張ひび割れ荷重の計算値は、次の式1から算定されるコンクリート引張強度に断面欠損を考慮した断面積を乗じて計算した。
[式1]ft=0.33×(√fc)(N/mm2)
内部目地を設置した試験体S−25、S−40、W−40の目地部において、実験値/計算値が0.84、0.63、0.36であることから、外部目地によるひび割れ集中性能以上に内部目地の効果が発揮されたことが確認できる。なお、目地部に加え一般部においても実験値が計算値を大きく下回った主因は、載荷前に乾燥収縮及び主筋による内部拘束により、コンクリート内部に引張応力が生じたことによると考えられる。
断面欠損率とひび割れ荷重低減係数ηの関係を図11に示す。目地部ひび割れ荷重低減係数ηとは、目地部のひび割れ荷重の実験値を一般部ひび割れ荷重計算値(コンクリート引張強度に、一般部断面積を乗じた値)で除した値と定義する。断面積欠損率が13%程度では目地部にひび割れを生じない。断面積欠損率が22パーセントを超えると目地部でひび割れが発生し、断面積欠損率が大きくなるほど目地部のひび割れ荷重低減係数ηが小さくなり、一般部に先駆けて目地部でひび割れが発生する確率が高まる傾向が認められる。
最大耐力実験値と終局曲げ耐力のせん断力計算値の比較を表5に示す。実験値は計算値(日本建築学会による終局曲げ耐力をせん断力に換算した値)1.09〜1.21を上回まった。試験体間に大きな相違はなかった。
破壊経過、荷重−部材角関係、ひび割れ状況、鉄筋の歪みおよび変位計測値において、内部目地を設けない試験体B−13と提案する目地工法を有するその他の試験体との間に大きな相違は見られなかったことから、内部目地による構造性能への影響は殆どないと考えられる。
10…ひび割れ誘発目地構造 10I…内部目地 10O…外部目地
12…板材
A1…被り代 A2…あき B…土台 E…試験体
M…主鉄筋近傍領域 S…仮想断面
Claims (3)
- 長手方向に延びる複数の主鉄筋を有する鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発構造であって、
コンクリート製の梁材の長手方向と直交する一つの仮想断面と梁材の表面とが交差する箇所の少なくとも一部に外部目地を形成し、
上記仮想断面の中心部に、長手方向と直交しかつ分離可能に重なり合う2枚の板材を埋設してなる内部目地を形成し、
外部目地と内部目地との間の中間領域に複数の主鉄筋を挿通させることで、2枚の板材12の重ね面を境目として、ひび割れが誘発されるように構成したことを特徴とする、鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発目地構造。 - 上記梁材の長手方向と直交する梁材の縦断面を、横方向に平行な一対の第1辺及び縦方向に平行な一対の第2辺を有する長方形状とし、それら第2辺の一方又は双方にのみ外部目地を形成したことを特徴とする、請求項1記載の鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発目地構造。
- 上記梁材の長手方向と直交する梁材の縦断面を、横方向に平行な一対の第1辺及び縦方向に平行な一対の第2辺を有する長方形状とし、かつ上記2枚の板材を、側方及び長手方向と直交する方向に波形が繰り返す波形コッターに形成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の鉄筋コンクリート製梁のひび割れ誘発目地構造。
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