JP2015021085A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 結晶核剤を含有する、加熱収縮率の低い、優れた特性を有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、例えば、太陽電池の裏面を保護する材料の基材として好適に利用することができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】 ポリエステル樹脂からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、ポリエステル樹脂に対し、有機系窒素化合物からなる結晶核剤を0.2重量%以上含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、結晶核剤を有する、加熱収縮率の低い二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、液晶ディスプレイ用フィルム、太陽電池裏面保護フィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
一般にこれらの部材は、ポリエステルフィルム単独で用いられることはなく、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、アルミニウム箔などの、ポリエステル以外の組成からなるフィルムと貼りあわせたり、インキを塗布したりする加工工程を経ることにより得られる。
ポリエステルフィルムの加熱収縮率が高い場合、加工後の部材ポリエステルフィルムの加熱収縮率由来の残留応力が働きやすい。その結果、貼りあわせ後の部材の端部から、デラミネーションのような不具合が起きたり、部材の寸法変化が起きたりする。その不具合を軽減するため、ポリエステルフィルムの加熱収縮率を低下させることが望まれている。
特許文献1には、ポリエステルフィルム製膜後にオフラインアニールを行うことで加熱収縮率を下げることで加熱収縮率を低減化することが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、コスト上好ましくなく、加工工程が一つ増えるため歩留りも低下する。特許文献2には、ポリエステルフィルム二軸延伸時に弛緩ゾーンを設けることで、ポリエステルフィルムの加熱収縮率を下げる発明が記載されている。この方法によれば、コストを上げることなく、加熱収縮率を下げることが可能であるが、ポリエステルフィルムにしわやたるみが生じやすく、外観上好ましくないという欠点がある。
特開2011−155110号公報 特開2012−094699号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、結晶核剤を有する、加熱収縮率の低い二軸配向ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル樹脂からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、ポリエステル樹脂に対し、有機系窒素化合物からなる結晶核剤を0.2重量%以上含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、結晶化度を維持したまま、加熱収縮率の低い二軸配向ポリエステルフィルムを提供できる。例えば、当該二軸配向ポリエステルフィルムは、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムにも適用でき、その工業的価値は高い。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
いずれにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
特に好ましく使用されるポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。本発明の結晶核剤はポリエステル樹脂の加水分解性を引き起こしやすいため、使用原料のポリエステル樹脂の極限粘度[dl/g]は、0.60以上が好ましく、0.65以上がさらに好ましく、0.70以上が特に好ましく、0.75以上が最も好ましい。上限については特に設けないが、生産性の観点から1.0以下が現実的である。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂に有機系窒素化合物からなる結晶核剤を添加したものである。ポリエステル樹脂としては、前述のような各種ポリエステル樹脂を用いることができる。
本発明における有機系窒素化合物からなる結晶核剤としては、スルホンアミド化合物金属塩またはスルホンイミド化合物金属塩からなることが好ましい。
スルホンアミド骨格またはスルホンイミド骨格を有する化合物としては、例えば、スルホンアミド、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、トルエン−4−スルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、4−アミノベンゼンスルホンアミド、N−ブチル−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニルーメチルーベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−ピリジン−2−イルベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(5−メチル−チアゾール−2−イル)−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(5−メチル−イソキサゾール−3−イル)−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(2,6−ジメトキシ−ピリミジン−4−イル)−ベンゼンスルホンアミド、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン1,1−ジオキシド、4−アミノ−6−クロロ−ベンゼン−1,3−ジスルホン酸ジアミド、6−エトキシ−ベンゾチアゾール−2−スルホン酸アミド、5−ジメチルアミノ−ナフタレン−1−スルホン酸アミド、4−ナトリウムオキシ−ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド等が挙げられ、本発明においては、ベンゼンスルホンアミド、トルエン−4−スルホンアミド、N−フェニル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニル−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン1,1−ジオキシドの金属塩であるものが好ましく用いられる。
上記スルホンアミド化合物またはスルホンイミド化合物の金属塩における金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、珪素、ジルコニウム、イットリウムまたはバリウムから選択される金属が挙げられ、それらの中でも、カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウムは、ポリエステル樹脂の結晶化促進効果に優れているので好ましく、ナトリウムが、特に好ましい。
ポリエステルフィルム中の結晶核剤の含有量は、0.2重量%以上であり、0.4重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましい。ポリエステルフィルム中の結晶核剤の含有量が0.2重量%未満だと、結晶核剤の効果が得られず、ポリエステルフィルムの加熱収縮率は低下しにくい。上限については特に設けないが、当該結晶核剤はポリエステル樹脂の加水分解を引き起こしやすいため、得られるポリエステルフィルムの極限粘度の低下を誘引し、その結果、ポリエステルフィルムの引き裂き強度が低下しやすくなることがあるので、1.8重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がさらに好ましく、1.0重量%以下が特に好ましい。
二軸延伸を行う前の未延伸ポリエステルシート中に結晶核剤を含有させる方法としては特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。予めポリエステル樹脂と結晶核剤とを押出機に共に供給して溶融混合して得られたマスターバッチを、ポリエステルフィルム製造時に、結晶核剤を含有しないポリエステル樹脂と共に押出機に供給して、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得ても良い。また、ポリエステルフィルム製造時に、結晶核剤を含有しないポリエステル樹脂と、結晶核剤とを押出機に供して溶融混合することでダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法でも良い。
マスターバッチを製造するための押出機、およびポリエステルシートを溶融押出しするための押出機は、ベント付二軸押出機であることが好ましい。結晶核剤が水分を含有しやすいため、脱気効率の優れたベント付二軸押出機を用いることで、ポリエステル樹脂の加水分解が軽減し、ポリエステルフィルムの極限粘度の低下抑制となる。
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
使用する粒子の平均粒径は0.1〜5μmを満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となることがあり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において不具合を生じることがある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、押出機を用いて、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法がよい。その際、前述のように、押出機は脱気効率の高いベント付二軸押出機が好ましい。
ベント付二軸押出機の脱気効率は、一定の押出量に対しスクリュー回転数の高い方が良好であると言える。すなわち、一定の押出量に対し、スクリュー回転数を増大させるとスクリュー表面に存在するポリエステルの表面を強制的に更新することができ、その分、溶融ポリエステルからの脱気効率が増大することになる。そして、その結果、ポリエステルの極限粘度の保持率が改善される。
ベント付二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/h r)とスクリュー回転数N(rpm)とが次の式(I)、好ましくは次の(II)式、さらに好ましくは次の(III)式を満足する条件下に溶融押出しを行う。このような条件を満足することにより、スクリューの剪断作用による過度の発熱を抑制しつつ脱気効率を高め、ポリエステルの極限粘度低下を防止することができる。
Figure 2015021085
Figure 2015021085
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次の(IV)式に示す条件では、回転数が押出量に対して高すぎるため、スクリューの剪断による発熱が過多となり極限粘度保持率が悪化する傾向がある。また、次の(V)式に示す条件では、回転数が押出量に対して低すぎるため、減圧下での溶融樹脂表面の更新度が低下して十分な脱気が行えずに極限粘度IV保持率が悪化する傾向がある。
Figure 2015021085
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実質的に未乾燥のポリエステルを使用した場合、当該ポリエステルの内部の水分は、ベント孔からの減圧作用によって脱気される。水分の脱気効率を高めるため、ベント孔の減圧度は、通常40mmHg以下、好ましくは30mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下とされる。
ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して得られた未延伸シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。
その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、同時二軸延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸法としては前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で縦方向(あるいは機械方向)および横方向(あるいは幅方向)に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。「スクリュー方式」はスクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。「パンタグラフ方式」はパンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。「リニアモーター方式」はリニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することができる利点を有する。
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
本発明のポリエステルフィルムは、塗布層を設けても構わない。すなわち、上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施しても構わない。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を1台用いて1種1層の単層フィルムとすることができる。また、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、ポリエステル原料Aとポリエステル原料Bとを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにポリエステル原料Cを用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、通常、20〜350μm、好ましくは30〜300μmの範囲がよい。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)極限粘度[dl/g]
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度:IV[dl/g]を求めた。なお、Huggins定数を0.33と仮定した。
(2)加熱収縮率[%]
無張力状態で150℃雰囲気中30分間、熱処理しその前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて計算した。評価は、長手方向(MD)に対して検討した。
加熱収縮率(%)=(L1−L0)/L0×100
(上記式中、L1は熱処理前のサンプル長(mm)、L0は熱処理後のサンプル長(mm)である)
結晶核剤を含有しないポリエステルフィルムの加熱収縮率をコントロール値、結晶核剤を含有するポリエステルフィルムの加熱収縮率をターゲット値として、下記基準にてランク付けする。
SS:ターゲット値÷コントロール値×100≦80
S:80<ターゲット値÷コントロール値×100≦90
A:90<ターゲット値÷コントロール値×100≦94
B:94<ターゲット値÷コントロール値×100≦97
C:97<ターゲット値÷コントロール値×100≦100
(3)結晶化度[%]
得られたフィルムの中央より重量が6gとなるようにサンプルを採取し、島津製作所製アキュピック1330を用いて、密度:d(g/cm3)を求める。得られた密度:d(g/cm3)から、下記式により、結晶化度:χc(%)を求める。
Figure 2015021085
Figure 2015021085
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(4)ヘーズ[%]
ヘーズメータ(日本電色製 NDH−300A)により、フィルムのヘーズを測定した。
(5)引裂強度[gf]
東洋精機製作所(株)のエルメンドルフ引裂試験装置を使用する。打ち抜き機にて、幅=76mm 長さ=63mm R=43mmのサンプル試験片を作成する。試験条件は下記とし、得られたデータを1枚当たりの引き裂き強度に換算する(試験時に重ねる枚数:10で除する)。評価は、長手方向(MD)に対して検討した。N=3回測定し、その平均値を求めた。
持ち上げ角:70
空振り角:70
引裂係数:2880
枚数:10
次に以下の例で使用したポリエステル原料について説明する。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル原料例は以下のとおりである。
<ポリエステル原料(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体を得た。末端カルボキシル基量は14当量/tであった。
上記ポリエステルチップを出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.82dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル原料(1)のポリエステルチップを得た。
<ポリエステル原料(2)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が3.0重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下でポリエステル(2)のストランドを吐出させ、カッターにて裁断し、ポリエステル原料(2)のポリエステルチップを得た。極限粘度は0.64dl/gであった。
実施例1:
ポリエステル(1)のポリエステルチップ、ポリエステル(2)のポリエステルチップを96.0:4.0の比率で、日本シーム株式会社製、3HAND‘S MIXER KST−900で5分間混合した。当該ポリエステルチップの混合物をポリエステル樹脂Aとする。ポリエステル樹脂Aと1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.5:0.5とした原料をベント付二軸押出機中290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。このときのシリンダー内径Dは44mm、吐出量Qは30kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。得られた単層シートを縦方向に83℃で3.0倍延伸した後、横方向に4.0倍延伸するために、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を105/115/170/220/220/125℃に設定したテンターに導き、フィルム製膜を行い、ポリエステルフィルム(A1)を得た。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例2:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aと1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.7:0.3とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(A2)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例3:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aとベンゼンスルホンアミドナトリウムを99.5:0.5とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(A3)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例4:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aとトルエン−4−スルホンアミドナトリウムを99.5:0.5とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(A4)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例5:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂AとN−フェニル−ベンゼンスルホンアミドナトリウムを99.5:0.5とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(A5)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例6:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aと1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.2:0.8とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(A6)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例7:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aと1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを98.0:2.0とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(A7)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
比較例1:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aのみとすることを除いて、実施例1と同様なポリエステルフィルム(B1)を得た。評価結果を下記表1に示す。
比較例2:
ポリエステルフィルムを製造する原料について、ポリエステル樹脂Aと1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.9:0.1とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルム(B2)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。




Figure 2015021085
結晶核剤の含有量の多いポリエステルフィルムは、結晶核剤の含有量の少ないポリエステルフィルムに対し、極限粘度と引裂強度の低下が確認できるが、結晶化度を維持したまま、加熱収縮率が低下していることが確認できる。
本発明によれば、結晶核剤を有する、加熱収縮率の低い二軸配向ポリエステルフィルムを提供できる。例えば、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムにも適用でき、その工業的価値は高い。

Claims (2)

  1. ポリエステル樹脂からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、ポリエステル樹脂に対し、有機系窒素化合物からなる結晶核剤を0.2重量%以上含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 有機系窒素化合物からなる結晶核剤が、スルホンアミド化合物金属塩またはスルホンイミド化合物塩である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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