JP2014210853A - 二軸配向ポリエステルフィルム、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い生産性を維持しながら密着性、耐湿熱密着性を良好にすることができる二軸配向ポリエステルフィルム、およびその製造方法を提供すること。【解決手段】120℃、100%RHにて36時間処理した後の長手方向、幅方向のうち少なくとも1方向の破断伸度保持率が30%以上100%以下であり、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、ポリエステル樹脂組成物全体に対して酸化チタンを3.0重量%以上20.0重量%以下含有し、前記ポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.57dl/g以上0.65dl/g以下であり、末端カルボキシル基量が36.0eq/t以上50.0eq/t以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、高い生産性を維持しながら密着性、および、耐湿熱密着性を有する二軸配向ポリエステルフィルム、およびその製造方法に関し、特に、太陽電池裏面封止用フィルムとして好適に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、優れた機械特性、熱特性、電気特性、表面特性および耐熱性などの性質を利用して、磁気記録媒体用、電気絶縁用、太陽電池用、コンデンサー用、包装用および各種工業用材料など種々の用途に用いられている。これらの用途の高品質化の中で、近年、半永久的で無公害の次世代のエネルギー源である太陽電池の需要が伸びている。太陽電池を高寿命化させることを目的として、太陽電池裏面封止用フィルムの耐久性(耐加水分解性)を向上させる要求が高まっている。また、次世代冷媒を使用した電動カーエアコンの電気絶縁用フィルムにおいても耐加水分解性の向上が求められている。
太陽電池裏面封止用フィルムは、「太陽電池用バックシート」とも称される部材であって、太陽電池裏側の太陽電池モジュールの保護が重要な役目であり、該シート自身の劣化を防ぐ必要があるのと同時に、太陽電池モジュールが最も嫌う、外部からの水蒸気の進入を遮断する働きを有する重要な部材である。
太陽電池裏面封止用フィルムの耐加水分解性を向上させるために、種々の検討が行われている。例えば、触媒由来の金属元素含有量を規定することで、末端カルボキシル基量を制御し、耐加水分解性を良好にする技術が提案されている(特許文献1)。また、結晶化を抑制することで耐加水分解性を向上させる技術が提案されている(特許文献2)。
太陽電池裏面封止用フィルムは、太陽電池モジュールの保護の他に、太陽光の電換効率を向上させることも要求される。白色顔料(例えば酸化チタン粒子など)をポリエステル中に添加することでフィルムの光線反射効率を向上させる技術が、従来知られている。酸化チタン粒子を添加する方法では、この粒子の特徴である高い屈折率を活かして、少量の添加で光線反射効率を向上させることが可能であるため、使用が広く検討されている。
特許文献1、2に記載の従来の技術では、耐加水分解性を向上させるために末端カルボキシル基量を低下させているため、他の機能層と貼り合わせた時の密着性が悪化し、太陽電池裏面封止材にした時に劈開が発生するという課題があった。また、ポリエステルフィルムの固有粘度を上げる方法を用いているため、溶融押出時の濾過性に劣る等、生産性の問題もあった。
また、フィルムの光線反射効率を向上させるために酸化チタンを添加すると、酸化チタンが分解触媒として機能するため、製膜工程時に受ける熱負荷により分解が進行し、ポリエステルの粘度低下が発生しやすいという課題を有する。また、該フィルムを太陽電池裏面封止用フィルムとして長時間使用した場合には、フィルムの劣化によりフィルムのごく表面が凝集破壊を起こし、他の機能層との剥離等を起こしてしまうという問題点があった。
密着性向上のために末端カルボキシル基量を増加させようとすると、酸化チタンを含有するフィルムでは耐加水分解性の悪化が顕著に発生し、高い生産性を維持しながら耐加水分解性と密着性を両立させることができなかった。また、耐湿熱処理後の密着性(耐湿熱密着性)を良好にすることはできなかった。
そこで、本発明は、密着性、耐湿熱密着性が良好で、さらに生産性にも優れた二軸配向ポリエステルフィルム、およびその製造方法を提供せんとするものである。
上記課題を解決するため本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは主として次の構成を有する。すなわち、
(i)120℃、100%RHにて36時間処理した後の長手方向、幅方向のうち少なくとも1方向の破断伸度保持率が30%以上100%以下であり、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、ポリエステル樹脂組成物全体に対して酸化チタンを3.0重量%以上20.0重量%以下含有し、前記ポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.57dl/g以上0.65dl/g以下、末端カルボキシル基量が36.0eq/t以上50.0eq/t以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
(ii)太陽電池裏面封止用に用いられることを特徴とする(i)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(iii)(i)または(ii)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、下記(1)〜(3)を満たすポリエステル樹脂組成物Aを、ポリエステル原料全体に対して5重量%以上50重量%以下含有するポリエステル原料を用いることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g以上、末端カルボキシル基量が70eq/t以下であること。
(2)ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物A全体に対して酸化チタンを40重量%以上60重量%以下含有すること。
(3)前記ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練して得られ、前記ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上1.00dl/g以下、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であること。
(iv)前記ポリエステル樹脂組成物Aを含有するポリエステル原料を押出機で溶融混練し、溶融ポリマーを、口金から吐出した後冷却固化させて未延伸シートを得る工程を含む二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、押出機から口金までにおけるポリマー平均滞留時間が180秒以下、溶融ポリマーの温度が285℃以下であることを特徴とする(iii)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(i)120℃、100%RHにて36時間処理した後の長手方向、幅方向のうち少なくとも1方向の破断伸度保持率が30%以上100%以下であり、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、ポリエステル樹脂組成物全体に対して酸化チタンを3.0重量%以上20.0重量%以下含有し、前記ポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.57dl/g以上0.65dl/g以下、末端カルボキシル基量が36.0eq/t以上50.0eq/t以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
(ii)太陽電池裏面封止用に用いられることを特徴とする(i)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(iii)(i)または(ii)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、下記(1)〜(3)を満たすポリエステル樹脂組成物Aを、ポリエステル原料全体に対して5重量%以上50重量%以下含有するポリエステル原料を用いることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g以上、末端カルボキシル基量が70eq/t以下であること。
(2)ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物A全体に対して酸化チタンを40重量%以上60重量%以下含有すること。
(3)前記ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練して得られ、前記ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上1.00dl/g以下、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であること。
(iv)前記ポリエステル樹脂組成物Aを含有するポリエステル原料を押出機で溶融混練し、溶融ポリマーを、口金から吐出した後冷却固化させて未延伸シートを得る工程を含む二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、押出機から口金までにおけるポリマー平均滞留時間が180秒以下、溶融ポリマーの温度が285℃以下であることを特徴とする(iii)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明は以上の構成とすることにより、高い生産性を維持しながら密着性、耐湿熱密着性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下に、本発明を、好ましい形態とともに詳細に説明する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、ジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されるものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸および4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも、テレフタル酸、フタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンナフタレートが好ましく用いられるが、生産性ならびに製造コストの観点からポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、本発明において、「二軸配向」とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば、後述する製造方法において、未延伸状態のポリエステルフィルムを長手方向および幅方向に各々延伸し、その後、熱処理を施すことにより得ることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、120℃、100%RHにて36時間処理した後の長手方向、幅方向のうち少なくとも1方向の破断伸度保持率が30%以上100%以下であることが必要である。破断伸度保持率を30%以上とすることによって、湿熱処理後のフィルムの脆化を防止し、フィルムごく表面の凝集破壊による剥離等の発生を防止することができ、結果として耐湿熱密着性を向上させることができる。つまり、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを長期使用時における太陽電池モジュールの裏面封止用フィルムとして用いた場合には、他の層との密着力の耐久性(耐湿熱密着性)を高めることができる。破断伸度保持率のより好ましい範囲は35%以上、さらに好ましい範囲は40%以上である。また、太陽電池モジュールの裏面封止用フィルムとして長期間使用した際には、太陽電池機能層との剥離等を生じさせたり、フィルムの機械的強度が低下し、外部から何らかの衝撃が太陽電池モジュールに加わったときに、フィルムが破断する場合がある。一方、破断伸度保持率が100%より大きいと、ポリエステルフィルムが配向緩和し易いことを表すため、加工時における機械強度が低く、取り扱いが困難となる。120℃、100%RHにて36時間処理した後の長手方向、幅方向のうち少なくとも1方向の破断伸度保持率が30%以上100%以下とするためには、特定の性質を有する酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を含有するポリエステル原料を用いてフィルムを製造することにより達成することができる。詳細は後述する。
太陽電池裏面用封止用フィルムは、太陽電池モジュールの劣化を防ぎ、太陽光の電換効率を目的として、高隠蔽性と、高い光線反射率を有することが好ましく、本発明は、フィルム中に酸化チタンを含有することを必要とする。本発明に用いられる酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。用いるポリエステルとの屈折率の差を大きくすることで、フィルム表面からの反射率を高くすることができるため、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。さらに、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いると、酸化チタンを含有したポリエステルの劣化を少なくできるため、特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、純度97%以上の酸化チタンのことであり、好ましくは、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないことをあらわす。酸化チタンの製造方法には塩素法と硫酸法があるが、塩素法による酸化チタンは重金属の除去、精製が高度に行われるため残存量が圧倒的に少ない。そのため、塩素法により製造することが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、ポリエステル樹脂組成物全体に対して、酸化チタンを3.0重量%以上20.0重量%以下含有することが必要である。好ましくは5.0重量%以上18.0重量%以下、さらに好ましくは7.0重量%以上16.0重量%以下である。酸化チタンの含有量が3.0重量%未満であると、隠蔽性と光線反射率が十分ではなく太陽光の電換効率が低下する。さらに、耐紫外線性が低くなるため、屋外に長期間にわたって置いたときに機械強度が経時に低下する傾向がある。他方、酸化チタンの含有量が20.0重量%を超えると、隠蔽性と光線反射率が高く、太陽光の電換効率が向上し、好ましい態様とはなるが、酸化チタンを触媒とした加水分解が顕著に進行してフィルムが劣化するため、耐湿熱密着性が悪化する傾向となる。また、粒子を多量に添加するため、延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなって、生産性が低下する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度は、耐加水分解性と生産性を良好に保持するために0.57dl/g以上0.65dl/g以下の範囲であることが必要である。好ましくは0.57dl/g以上0.63dl/g以下であり、より好ましくは0.57dl/g以上0.62dl/g以下であり、さらに好ましくは0.57dl/g以上0.61dl/g以下である。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.57dl/g未満であると、フィルムを構成するポリエステル中の樹脂分子鎖が短く、一度加水分解が起こると加速度的に加水分解が進むため、耐加水分解性が悪化し、耐湿熱密着性を低下させる。一方、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.65dl/gを超えると、樹脂組成物の固有粘度を高くしてポリエステルフィルムを得る場合は、溶融状態で粘度が高くフィルム製造時の押出機に負担がかかり、安定した吐出が困難となり生産性が悪くなる。また、延伸による配向がつきにくく延伸倍率を高める必要が出てくるため、フィルム破れが多く製膜安定性に劣り、生産性が悪化する傾向にある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、36.0eq/t以上50.0eq/t以下であることが必要である。好ましくは38.0eq/t以上50.0eq/t以下、より好ましくは40.0eq/tを超えて48.0eq/t以下である。末端カルボキシル基はプロトンを解離し、加水分解を促進する作用があるため、末端カルボキシル基量が50.0eq/tより大きいと、耐加水分解性が悪化し、耐湿熱密着性が悪化する。一方、末端カルボキシル基量が36.0eq/tより小さいと密着性が悪化するため、太陽電池裏面封止材にした時に劈開が発生し問題となる。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、下記(1)〜(3)を満たす、固有粘度や末端カルボキシル基量を特定の範囲とした酸化チタンを含有するポリエステル樹脂組成物Aを、ポリエステル原料全体に対して5重量%以上50重量%以下含有するポリエステル原料を用いて製造することにより達成することができる。ポリエステル原料全体に対するポリエステル樹脂組成物Aの特に好ましい含有量としては、12重量%以上40重量%以下である。ポリエステル樹脂組成物Aの含有量が5重量%未満である場合、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中の酸化チタンの含有量を多くすることが困難となり、二軸配向ポリエステルフィルムの隠蔽性と光線反射率が十分とならず、太陽電池裏面封止用として用いた場合に、太陽光の電換効率が低下する。さらに、耐紫外線性が低くなるため、屋外に長期間にわたって置いたときに機械強度が経時に低下する傾向がある。他方、ポリエステル樹脂組成物Aの含有量が50重量%を超えると、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中の酸化チタンの含有量が過剰となり、生産性を阻害するばかりか、酸化チタンがポリエステルフィルムの劣化を促進させる場合があり、耐湿熱密着性を悪化させる傾向となる。また、ポリエステル樹脂組成物Aを用いずに、ポリエステル原料として、ポリエステル樹脂と酸化チタンの粒子を用いて、本発明のポリエステルフィルムを得ようとすると、フィルム中に酸化チタンが均一に分散することが困難となる場合がある。また、ポリエステル樹脂中に酸化チタンを分散させるために、強い剪断をかけて混練を行う必要があり、強い剪断による剪断熱の発生により樹脂の熱分解が進行する場合があるため好ましくない。
ポリエステル樹脂組成物Aは、下記(1)〜(3)にかかるものである。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aのポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g以上、末端カルボキシル基量が70eq/t以下であること。
(2)ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物A全体に対して酸化チタンを40重量%以上60重量%以下含有すること。
(3)前記ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練して得られ、前記ポリエステル樹脂組成物Bのポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上1.00dl/g以下、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であること。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aのポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g以上、末端カルボキシル基量が70eq/t以下であること。
(2)ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物A全体に対して酸化チタンを40重量%以上60重量%以下含有すること。
(3)前記ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練して得られ、前記ポリエステル樹脂組成物Bのポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上1.00dl/g以下、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であること。
酸化チタンはポリエステル樹脂の劣化を促進する作用があり、劣化を防ぐためには、ポリエステル原料に対する酸化チタンを含有したポリエステル樹脂組成物Aの配合量は少ない方がよい。そのため、ポリエステル樹脂組成物Aに含まれる酸化チタンを高濃度に含有することが好ましい。ポリエステル樹脂組成物Aに含まれる酸化チタンの含有量は、ポリエステル樹脂組成物A全体に対して40重量%以上60重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることで、ポリエステルフィルム中での酸化チタンの分散性が良好となり、上述した隠蔽性と光線反射率が十分なポリエステルフィルムを得ることが可能となる。ポリエステル樹脂組成物Aに含まれる酸化チタンの含有量が40重量%未満である場合は、含有量が少ないため、分散性が阻害される結果となり好ましくない。また、ポリエステル樹脂組成物Aに含まれる酸化チタン含有量が60重量%を超える場合はポリエステル樹脂組成物Aにおける酸化チタンの分散性が悪化し、樹脂組成物Aの中で酸化チタンの凝集を発生させる可能性がある。ポリエステルフィルムのポリエステル原料としてこのような凝集した酸化チタンを含むポリエステル樹脂組成物Aを添加すると、樹脂組成物A中の酸化チタンの凝集がそのままフィルム中に混在することとなり、凝集突起を引き起こし、機能層との密着性を低下させる傾向となる。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物Aのポリエステル樹脂の固有粘度は、0.45dl/g以上であることが好ましい。より好ましくは、0.50dl/g以上0.65dl/g以下である。この範囲であることで、耐湿熱密着性が得られやすくなるため好ましい。ポリエステル樹脂組成物Aのポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g未満であると、樹脂の分子鎖が短く、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が悪化し、耐湿熱密着性を阻害する傾向となるため好ましくない。本発明のフィルムに含有する酸化チタンは、ポリエステルの分解触媒として機能するため、ポリエステルフィルムに酸化チタンを含有させると、ポリエステル樹脂の劣化を促進させる。したがって、ポリエステル樹脂組成物Aのポリエステル樹脂の固有粘度を管理することによって、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度を達成することが可能となる。ポリエステル樹脂組成物Aを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.65dl/gを越える場合は、酸化チタンの分散性が悪化し、上述した凝集物の発生を引き起こすことがあり、機能層との密着性を阻害する場合がある。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物Aのポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、70.0eq/t以下が好ましく、さらに好ましくは60.0eq/t以下である。ポリエステル樹脂組成物Aを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が低いほど、酸化チタン周辺のポリエステル樹脂の加水分解の促進を抑制する事が可能となるため、耐加水分解性に優れたフィルムが得られ、本発明が目的とする耐湿熱密着性を達成しやすくなる。末端カルボキシル基量が70.0eq/tを超えると、耐加水分解性が悪化する場合がある。
本発明において、前記ポリエステル樹脂組成物Aは、ポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上1.00dl/g以下、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であるポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練して得られることが好ましい態様である。ポリエステル樹脂組成物Aを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g以上であったとしても、ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上でないと、製膜中に酸化チタンを触媒とした加水分解が進行してフィルムを劣化させる場合がある。ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が1.00dl/gより高いと、ポリエステル樹脂組成物Aを作製する際に、混練による発熱量が大きくなり、ポリエステル樹脂組成物Aの固有粘度が低下し、フィルムの耐加水分解性が悪化し、耐湿熱密着性が低下する傾向がある。
また、本発明において、ポリエステル樹脂組成物Aの作製に用いるポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、30.0eq/t以下であることが好ましい。チタンは分解触媒としてポリエステル樹脂の劣化を促進するため、ポリエステル樹脂組成物Aの作製に用いるポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が高いと、酸化チタンと溶融混練した時に加水分解が加速度的に進み、耐加水分解性に非常に劣り、耐湿熱密着性が低下する傾向がある。ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度と末端カルボキシル基量を上記範囲とすることでフィルムの劣化を抑制できる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測している。すなわち、ポリエステル樹脂組成物Aと他のポリエステル樹脂組成物を溶融押出してフィルムを得る際に、分解触媒として機能する酸化チタンの周辺に、ポリエステル樹脂組成物Bが被膜のように存在することで、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物全体の劣化を抑制することができると推測される。
前記ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度と末端カルボキシル基量を上記好ましい範囲にするためには、ポリエステル樹脂組成物Bの重合時に固相重合法などを適用し、樹脂を高分子量化し、末端カルボキシル基量を低減する方法などが挙げられる。固相重合の加熱処理時間が長いほど固有粘度は高くなる。また、カルボキシル基末端封鎖剤などの添加剤を含有することによって、末端カルボキシル基量をさらに低減することもできる。また、ポリエステル樹脂組成物Bと、酸化チタンを混練する際には、ポリエステル樹脂組成物Bに含まれる含水量は少なくすることが好ましい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量および固有粘度を目的の範囲とするため、ポリエステル樹脂組成物Aを含有するポリエステル原料の押出工程における押出機から口金までのポリマー平均滞留時間は、180秒以下であることが好ましい。押出機から口金までにポリマーは、ポリマーが持つ融点以上の熱をかけて押し出されるため、180秒以下であると、ポリマーの熱分解が抑制されるためである。180秒より長いと、熱分解が進み末端カルボキシル基量の増大および固有粘度の低下が起こり、耐加水分解性が悪化し、フィルムの耐湿熱密着性を低下させる場合がある。ここで、ポリマー平均滞留時間は、押出機から口金までのポリマー通過体積をV(cm3)、口金からの吐出量をQ(cm3/秒)とし、下記式により求める。
ポリマー平均滞留時間(秒)=V/Q
また、押出機から口金までの溶融ポリマーの温度は、ポリマーの融点(Tm(℃))+5℃以上285℃以下であることが好ましい。この範囲であることで、溶融ポリマーの温度による熱分解を抑制し、フィルムの耐湿熱密着性が向上する。好ましくは、280℃以下、さらに好ましくは275℃以下である。なお、ここで溶融ポリマーの温度とは、口金先端の中央部を通過するポリマーの温度を直接熱電対で測定した温度である。
また、押出機から口金までの溶融ポリマーの温度は、ポリマーの融点(Tm(℃))+5℃以上285℃以下であることが好ましい。この範囲であることで、溶融ポリマーの温度による熱分解を抑制し、フィルムの耐湿熱密着性が向上する。好ましくは、280℃以下、さらに好ましくは275℃以下である。なお、ここで溶融ポリマーの温度とは、口金先端の中央部を通過するポリマーの温度を直接熱電対で測定した温度である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の示差走査熱量分析(DSC)により求められる微少吸熱ピーク温度Tmeta(℃)が220℃以下であると耐加水分解性が向上し、フィルムの耐湿熱密着性が良好となるため好ましい。さらに好ましくは215℃以下である。下限は特に限定されるものではないが、150℃未満では著しく熱収縮率が高くなるため、150℃以上とすることが好ましい。より好ましくは160℃以上である。
微少吸熱ピーク温度を上記好ましい範囲にするためには、製膜時の熱処理温度を変更することによって達成できる。製膜時のフィルムの厚みや製膜速度によって異なるが、熱処理温度を235℃以下とすることが好ましい。なお、本発明のフィルムの製膜方法および熱処理工程の詳細は後述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの層構成は、単層であっても複合であってもよく、複合である場合には、層構成が異なるA/B構成、A/B/A構成があげられ、本発明を阻害しない範囲で、他層を積層してもよい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、基材として使用する場合は、剛性を付与すべく厚みの厚いものを用いるのが好ましく、35μm以上500μm以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に、自己回収したペレットやフィルムを原料として使用してもよい。自己回収原料は、ポリエステルフィルムの製造工程において、ポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練してポリエステル樹脂組成物Aを作製する段階で添加してもよく、ポリエステル樹脂組成物Aを含むポリエステル原料中に添加しても良い。その場合、耐加水分解性の悪化を防ぐため、該自己回収原料を固相重合して使用することが好ましい。さらに好ましくは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に含有する自己回収原料の含有量を、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.1重量%以上50.0重量%以下の範囲とすることである。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの具体的な製造方法について記載する。
まず、ポリエステル樹脂組成物を必要に応じて窒素雰囲気もしくは真空雰囲気で乾燥する。そして、乾燥せしめたポリエステル樹脂組成物を単軸もしくは二軸押出機に供給して溶融押出し、口金より冷却ドラム上にシート状に吐出し、冷却固化され、未延伸シートを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、燒結金属、多孔性セラミック、サンドおよび金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。さらに、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力により冷却ドラムに密着させ、急冷固化させることが好ましい。
次いで、この未延伸フィルムを長手方向(Machine Direction;MD)に延伸した後、幅方向(Transverse Direction;TD)に延伸する、あるいは、TDに延伸した後、MDに延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムのMD、TDをほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行う。また、2軸延伸後に、さらにMDおよび/またはTDに再延伸を行ってもよい。
MD延伸倍率は、1.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは2.0〜5.0倍である。延伸倍率が1.5倍未満であると、MDへの分子配向が不十分であり、強度や耐加水分解性が不足する場合がある。一方、延伸倍率が6.0倍を超えると、フィルム破れが発生しやすく、製膜安定性に劣る場合がある。TD延伸倍率も、同様の理由から、1.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは2.0〜5.0倍である。
延伸の後、フィルムの熱処理を行う。熱処理はテンターや加熱オーブンの中や、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は一般にポリエステルの融点以下の温度で行われるが、熱処理温度を235℃以下とすると、得られるポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂のTmeta(℃)を220℃以下とでき、耐加水分解性を良好とすることができるため好ましい。より好ましくは230℃以下であり、さらに好ましくは225℃以下である。また、熱処理工程は、該温度範囲であればよく、単一の工程であっても複数の工程であってもよい。
さらに、熱処理は、フィルムをMDおよび/またはTDに弛緩させながら行ってもよい。そして、このように熱処理を行ったフィルムを巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る。
[特性の評価方法]
(1)破断伸度保持率
破断伸度は、JIS−C2151に基づいて、サンプルをMDおよびTDに沿って1cm×20cmの大きさにそれぞれ切り出し、チャック間10cm、引っ張り速度200mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。測定は、各方向それぞれ5サンプルずつについて測定を実施し、そのそれぞれの平均値でもってMDの破断伸度をE0(MD)、TDの破断伸度をE0(TD)とした。
[特性の評価方法]
(1)破断伸度保持率
破断伸度は、JIS−C2151に基づいて、サンプルをMDおよびTDに沿って1cm×20cmの大きさにそれぞれ切り出し、チャック間10cm、引っ張り速度200mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。測定は、各方向それぞれ5サンプルずつについて測定を実施し、そのそれぞれの平均値でもってMDの破断伸度をE0(MD)、TDの破断伸度をE0(TD)とした。
また、サンプルをMDおよびTDに沿って測定片の形状(1cm×20cm)にそれぞれ切り出した後、エスペック(株)製ハストチャンバーEHS−221にて、温度120℃、湿度100%RHの条件下で36時間処理を行った後、処理後のサンプルの破断伸度をJIS−C2151に基づいて、チャック間10cm、引っ張り速度200mm/minで引っ張ったときの破断伸度を測定した。測定は、各方向それぞれ5サンプルについて測定を実施し、そのそれぞれの平均値でもってMDの破断伸度をE1(MD)、TDの破断伸度をE1(TD)とした。
得られた破断伸度E0とE1を用いて、下記式により破断伸度保持率を算出した。
MD破断伸度保持率(%)=E1(MD)/E0(MD)×100
TD破断伸度保持率(%)=E1(TD)/E0(TD)×100
なお、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、野村商事社製のSST−4000型を用いてフィルム面内で超音波パルスの縦波を通過させ、その伝播速度を測定し、伝播速度が最大となる方向を長手方向、それに直交する方向を幅方向とみなす。
得られた破断伸度E0とE1を用いて、下記式により破断伸度保持率を算出した。
MD破断伸度保持率(%)=E1(MD)/E0(MD)×100
TD破断伸度保持率(%)=E1(TD)/E0(TD)×100
なお、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、野村商事社製のSST−4000型を用いてフィルム面内で超音波パルスの縦波を通過させ、その伝播速度を測定し、伝播速度が最大となる方向を長手方向、それに直交する方向を幅方向とみなす。
(2)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃の温度で測定した溶液粘度から、下式に基づいて計算した。
オルトクロロフェノール中、25℃の温度で測定した溶液粘度から、下式に基づいて計算した。
ηsp/C=[η]+K[η]2×C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)であり、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度と溶媒粘度は、オストワルド粘度計を用いて測定した。
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)であり、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度と溶媒粘度は、オストワルド粘度計を用いて測定した。
なお、無機粒子などの不溶物がある場合は、濾過して重量測定を行い、その重量を測定試料重量から差し引いて測定試料重量の補正を実施した。これを3回繰り返し、その平均を固有粘度とした。
(3)末端カルボキシル基量
測定試料0.5±0.002gをo−クレゾール/水(体積比50/3)10mlに100℃×30分で溶解し、冷却後ジクロロメタン3mlを添加した後、N/20−KOHメタノール溶液を用いて電位差滴定して測定し、末端カルボキシル基量を求めた。
測定試料0.5±0.002gをo−クレゾール/水(体積比50/3)10mlに100℃×30分で溶解し、冷却後ジクロロメタン3mlを添加した後、N/20−KOHメタノール溶液を用いて電位差滴定して測定し、末端カルボキシル基量を求めた。
なお、無機粒子などの不溶物がある場合は、濾過して重量測定を行い、その重量を測定試料重量から差し引いて測定試料重量の補正を実施した。これを3回繰り返し、その平均を末端カルボキシル基量とした。
(4)密着性
ウレタン二液硬化型接着剤(東洋モートン社製 AD503/CAT10)をAD503(20重量部)/CAT10(1重量部)/酢酸エチル(20重量部)の配合量で混合し、メタリングバー#12を使用し乾燥後塗布量3.5g/m2となるように本発明のポリエステルフィルムの表面に塗布した。その後、乾燥温度80℃にて45秒熱風乾燥し、塗布層が積層されたシートを得た。
次いで、該塗布層と厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製ZK93k)とを下記の条件でロール圧着することにより、貼り合せした。
ロール圧着条件:
線圧15N/cm
ロール速度:1m/分
貼り合せ後、40℃で48時間エージングし、その後、常温にて16時間保管し、幅15mm長さ200mmのサンプルを、長さ方向がMDに一致するように切り出した。
ウレタン二液硬化型接着剤(東洋モートン社製 AD503/CAT10)をAD503(20重量部)/CAT10(1重量部)/酢酸エチル(20重量部)の配合量で混合し、メタリングバー#12を使用し乾燥後塗布量3.5g/m2となるように本発明のポリエステルフィルムの表面に塗布した。その後、乾燥温度80℃にて45秒熱風乾燥し、塗布層が積層されたシートを得た。
次いで、該塗布層と厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製ZK93k)とを下記の条件でロール圧着することにより、貼り合せした。
ロール圧着条件:
線圧15N/cm
ロール速度:1m/分
貼り合せ後、40℃で48時間エージングし、その後、常温にて16時間保管し、幅15mm長さ200mmのサンプルを、長さ方向がMDに一致するように切り出した。
該サンプルを、大栄科学精器製作所製引張試験器にて速度200mm/分、剥離角度90°ホールドの条件で、JIS−K6854に準じ、測定した。得られた剥離長さ(mm)と剥離荷重(N)の測定データから、最適直線法により、最適荷重直線を導き、90°ピール強度を求めた。
ピール強度を下記の基準で判定し、密着性を評価した。
○(密着性に優れる):ピール強度が6N/mm以上
△(密着性にやや劣る):ピール強度が4N/mm以上6N/mm未満
×(密着性に劣る):ピール強度が4N/mm未満
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
ピール強度を下記の基準で判定し、密着性を評価した。
○(密着性に優れる):ピール強度が6N/mm以上
△(密着性にやや劣る):ピール強度が4N/mm以上6N/mm未満
×(密着性に劣る):ピール強度が4N/mm未満
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
(5)耐湿熱密着性
密着性評価と同様の方法で幅15mm長さ200mmのサンプルを得た後、得られたサンプルをエスペック(株)製ハストチャンバーEHS−221にて、温度120℃、湿度100%RHの条件下で36時間処理を行った。処理後のサンプルについて、密着性評価と同様の方法で90°ピール強度を求めた。
湿熱処理後のピール強度を下記の基準で判定し、耐湿熱密着性を評価した。
○(耐湿熱密着性に優れる):ピール強度が4N/mm以上
△(耐湿熱密着性にやや劣る):ピール強度が2N/mm以上4N/mm未満
×(耐湿熱密着性に劣る):ピール強度が2N/mm未満
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
密着性評価と同様の方法で幅15mm長さ200mmのサンプルを得た後、得られたサンプルをエスペック(株)製ハストチャンバーEHS−221にて、温度120℃、湿度100%RHの条件下で36時間処理を行った。処理後のサンプルについて、密着性評価と同様の方法で90°ピール強度を求めた。
湿熱処理後のピール強度を下記の基準で判定し、耐湿熱密着性を評価した。
○(耐湿熱密着性に優れる):ピール強度が4N/mm以上
△(耐湿熱密着性にやや劣る):ピール強度が2N/mm以上4N/mm未満
×(耐湿熱密着性に劣る):ピール強度が2N/mm未満
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
(6)隠蔽性
マクベス社製光学濃度計TR927を用いて光学濃度を測定した。
光学濃度を下記の基準で判定し、隠蔽性を評価した。
○(隠蔽性に優れる):光学濃度が0.80以上
△(隠蔽性にやや劣る):光学濃度が0.70以上0.80未満
×(隠蔽性に劣る):光学濃度が0.70未満
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
マクベス社製光学濃度計TR927を用いて光学濃度を測定した。
光学濃度を下記の基準で判定し、隠蔽性を評価した。
○(隠蔽性に優れる):光学濃度が0.80以上
△(隠蔽性にやや劣る):光学濃度が0.70以上0.80未満
×(隠蔽性に劣る):光学濃度が0.70未満
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
(7)生産性
フィルムの生産性について、下記の基準で評価した。
○:フィルム破れの発生がほとんどなく、安定製膜が可能である。
△:フィルム破れが時々発生し、製膜安定性が若干低い。
×:フィルム破れが多数発生し、製膜安定性が低い。
フィルムの生産性について、下記の基準で評価した。
○:フィルム破れの発生がほとんどなく、安定製膜が可能である。
△:フィルム破れが時々発生し、製膜安定性が若干低い。
×:フィルム破れが多数発生し、製膜安定性が低い。
判定は、○と△を合格とし、×を不合格とした。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ジメチルテレフタレート100重量部(以下単に部という)にエチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸マグネシウムを0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
ジメチルテレフタレート100重量部(以下単に部という)にエチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸マグネシウムを0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
これにリン酸0.08部を添加して徐々に昇温、減圧にして271℃の温度で5時間重合を行った。該ポリマーを長さ4mmのチップ状に切断し、固有粘度0.65dl/g、末端カルボキシル基量38.5eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−1−1とする(表1、参照)。
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で40時間加熱処理し、固有粘度0.92dl/g、末端カルボキシル基量26.2eq/tのポリエステル樹脂組成物Bを得た。これをPET−2とする。
次いで、PET−2を60部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)40部とをポリマー温度280℃にて溶融混練し、酸化チタンを含有するポリエステル樹脂組成物Aを得た。固有粘度は0.55dl/g、末端カルボキシル基量は50.2eq/tであった。これをMP−1とする(表2、参照)。
PET−1−1とMP−1を重量比60:40の割合で配合し、温度160℃、真空度0.5mmHgの条件で、4時間の真空乾燥を行った。次いで、乾燥した原料を280℃に加熱した押出機に供給し、押出機から口金までの平均滞留時間、ポリマー温度が表3となるように溶融押出した。溶融シートを口金から押し出し、20℃に保った冷却ドラムに静電印加密着してキャストし、未延伸シートを得た。
この未延伸シートを逐次二軸延伸法で、温度92℃で長手方向(MD)に3.2倍延伸し、引き続き後続するテンターに供給し、温度130℃で幅方向(TD)に3.6倍延伸した。さらにその後220℃で熱処理し、酸化チタンを16.0重量%含有する厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。この二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度は、0.59dl/g、末端カルボキシル基量は、44.8eq/tであった。このフィルムを評価したところ、密着性、耐湿熱密着性が良好であり、隠蔽性、生産性にも優れていた。評価した結果を表4に示した。
(実施例2)
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で20時間加熱処理し、ポリエステル樹脂の固有粘度が0.82dl/g、末端カルボキシル基量が28.5eq/tのポリエステル樹脂組成物Bを得た。これをPET−3とする。
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で20時間加熱処理し、ポリエステル樹脂の固有粘度が0.82dl/g、末端カルボキシル基量が28.5eq/tのポリエステル樹脂組成物Bを得た。これをPET−3とする。
次いで、PET−3を60部と、実施例1に用いた酸化チタン粒子40部とをポリマー温度280℃にて溶融混練し、酸化チタンを含有するポリエステル樹脂組成物Aを得た。固有粘度は0.45dl/g、末端カルボキシル基量は60.6eq/tであった。これをMP−2とする。
PET−1−1とMP−2を重量比60:40の割合で配合すること以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムを評価したところ、耐湿熱密着性にはやや劣るが、密着性が良好であり、隠蔽性、生産性にも優れていた。評価した結果を表4に示した。
(実施例3〜9)
PET−1−1を出発原料として、固相重合時間を調整することで、表1に示したPET−4および5(ポリエステル樹脂組成物B)を得た。次に、ポリエステル樹脂組成物Bと実施例1に用いた酸化チタン粒子を用い、表2に示す製造条件にて、表2に示す酸化チタン含有量となるように溶融混練することで、MP−3〜6(ポリエステル樹脂組成物A)を得た。酸化チタンを含有するポリエステル樹脂組成物Aの特性を表2に示した。
PET−1−1を出発原料として、固相重合時間を調整することで、表1に示したPET−4および5(ポリエステル樹脂組成物B)を得た。次に、ポリエステル樹脂組成物Bと実施例1に用いた酸化チタン粒子を用い、表2に示す製造条件にて、表2に示す酸化チタン含有量となるように溶融混練することで、MP−3〜6(ポリエステル樹脂組成物A)を得た。酸化チタンを含有するポリエステル樹脂組成物Aの特性を表2に示した。
表3に示した製造方法および配合とした以外は、実施例1と同じ方法で製膜し、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、密着性、耐湿熱密着性、隠蔽性および生産性いずれも合格であった。評価した結果を表4に示した。
(比較例1)
PET−1−1を80部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)20部の割合で配合し、温度160℃、真空度0.5mmHgの条件で、4時間の真空乾燥を行った。次いで、乾燥した原料を280℃に加熱した押出機に供給し、押出機から口金までの平均滞留時間、ポリマー温度が表3となるように溶融押出した。溶融シートを口金から押し出し、20℃に保った冷却ドラムに静電印加密着してキャストし、未延伸シートを得た以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、密着性は良好だったものの、耐湿熱密着性に欠けるものであり、生産性はフィルム破れが時々発生し、製膜安定性が若干低いものであった。
PET−1−1を80部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)20部の割合で配合し、温度160℃、真空度0.5mmHgの条件で、4時間の真空乾燥を行った。次いで、乾燥した原料を280℃に加熱した押出機に供給し、押出機から口金までの平均滞留時間、ポリマー温度が表3となるように溶融押出した。溶融シートを口金から押し出し、20℃に保った冷却ドラムに静電印加密着してキャストし、未延伸シートを得た以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、密着性は良好だったものの、耐湿熱密着性に欠けるものであり、生産性はフィルム破れが時々発生し、製膜安定性が若干低いものであった。
(比較例2)
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で10時間加熱処理し、固有粘度0.78dl/g、末端カルボキシル基量29.8eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−6とする。
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で10時間加熱処理し、固有粘度0.78dl/g、末端カルボキシル基量29.8eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−6とする。
次いで、PET−6を60部と、実施例1に用いた酸化チタン粒子40部とをポリマー温度280℃にて溶融混練し、酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.44dl/g、末端カルボキシル基量は61.5eq/tであった。これをMP−7とする。
PET−1−1とMP−7を重量比60:40の割合で配合すること以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムを評価したところ、表4に示すように、耐湿熱密着性に劣るフィルムであった。
(比較例3)
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で80時間加熱処理し、固有粘度1.02dl/g、末端カルボキシル基量17.5eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−7とする。
PET−1−1を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で80時間加熱処理し、固有粘度1.02dl/g、末端カルボキシル基量17.5eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−7とする。
次いで、PET−7を60部と、実施例1に用いた酸化チタン粒子40部とをポリマー温度280℃にて溶融混練し、酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.62dl/g、末端カルボキシル基量は43.4eq/tであった。これをMP−8とする。
PET−1−1とMP−8を重量比60:40の割合で配合すること以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムを評価したところ、表4に示すように、生産性に劣るフィルムであった。
(比較例4)
ジメチルテレフタレート100部にエチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸マグネシウムを0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
ジメチルテレフタレート100部にエチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸マグネシウムを0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
これにリン酸0.08部を添加して徐々に昇温、減圧にして280℃の温度で5時間重合を行った。該ポリマーを長さ4mmのチップ状に切断し、固有粘度0.65dl/g、末端カルボキシル基量45.0eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−1−2とする。
PET−1−2を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で20時間加熱処理し、固有粘度0.83dl/g、末端カルボキシル基量32.1eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−8とする。
次いで、PET−8を82部と、実施例1に用いた酸化チタン粒子18部とを溶融混練し、酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.46dl/g、末端カルボキシル基量は77.3eq/tであった。これをMP−9とする。
PET−1−1とMP−9を重量比10:90の割合で配合すること以外は、実施例1と同じ方法で製膜し、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、耐湿熱密着性に劣るフィルムであった。
(比較例5)
PET−1−1とMP−8を重量比80:20の割合で配合すること以外は、比較例2と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、密着性に劣るフィルムであった。
PET−1−1とMP−8を重量比80:20の割合で配合すること以外は、比較例2と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、密着性に劣るフィルムであった。
(比較例6)
PET−8を35部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)65部とを溶融混練した以外は、比較例3と同様の方法で酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.48dl/g、末端カルボキシル基量は83.7eq/tであった。これをMP−10とする。
PET−8を35部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)65部とを溶融混練した以外は、比較例3と同様の方法で酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.48dl/g、末端カルボキシル基量は83.7eq/tであった。これをMP−10とする。
PET−1−1とMP−10を重量比95:5の割合で配合すること以外は、実施例1と同じ方法で製膜し、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、密着性および耐湿熱密着性に劣るフィルムであった。
(比較例7)
ジメチルテレフタレート100部エチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸マグネシウムを0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
ジメチルテレフタレート100部エチレングリコール64部を混合し、さらに触媒として酢酸マグネシウムを0.1部および三酸化アンチモン0.03部を添加し、エチレングリコールの環流温度でエステル交換を実施した。
これにリン酸0.08部を添加して徐々に昇温、減圧にして260℃の温度で5時間重合を行った。該ポリマーを長さ4mmのチップ状に切断し、固有粘度0.65dl/g、末端カルボキシル基量30.0eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−1−3とする。
PET−1−3を、回転型真空重合装置を用いて、0.5mmHgの減圧下、230℃で40時間加熱処理し、固有粘度0.92dl/g、末端カルボキシル基量17.5eq/tのポリエステル樹脂を得た。これをPET−9とする。
次いで、PET−9を70部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)30部とをポリマー温度280℃にて溶融混練し、酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.53dl/g、末端カルボキシル基量は38.9eq/tであった。これをMP−11とする。
PET−1−1とMP−11を重量比93:7の割合で配合すること以外は、実施例1と同じ方法で製膜し、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、密着性および隠蔽性に劣るフィルムであった。
(比較例8)
PET−1−1とMP−9を重量比65:35の割合で配合すること以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、耐湿熱密着性に劣るフィルムであった。
PET−1−1とMP−9を重量比65:35の割合で配合すること以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、耐湿熱密着性に劣るフィルムであった。
(比較例9)
PET−6を60部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)40部とをポリマー温度270℃にて溶融混練し、酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.59dl/g、末端カルボキシル基量は45.0eq/tであった。これをMP−12とする。
PET−6を60部と、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「タイピュアR104」)40部とをポリマー温度270℃にて溶融混練し、酸化チタン含有ポリエステル樹脂組成物を得た。固有粘度は0.59dl/g、末端カルボキシル基量は45.0eq/tであった。これをMP−12とする。
PET−1−1とMP−12を重量比60:40の割合で配合すること以外は、実施例1と同じ方法で製膜し、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムを評価したところ、表4に示すように、耐湿熱密着性に劣るフィルムであった。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、高い生産性を維持しながら密着性、耐湿熱密着性を良好にすることができるという特性を有しているので、太陽電池の裏面封止フィルム用途に好適に使用することができる。
Claims (4)
- 120℃、100%RHにて36時間処理した後の長手方向、幅方向のうち少なくとも1方向の破断伸度保持率が30%以上100%以下であり、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、ポリエステル樹脂組成物全体に対して酸化チタンを3.0重量%以上20.0重量%以下含有し、前記ポリエステル樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.57dl/g以上0.65dl/g以下、末端カルボキシル基量が36.0eq/t以上50.0eq/t以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
- 太陽電池裏面封止用に用いられることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、下記(1)〜(3)を満たすポリエステル樹脂組成物Aを、ポリエステル原料全体に対して5重量%以上50重量%以下含有するポリエステル原料を用いることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.45dl/g以上、末端カルボキシル基量が70eq/t以下であること。
(2)ポリエステル樹脂組成物Aが、ポリエステル樹脂組成物A全体に対して酸化チタンを40重量%以上60重量%以下含有すること。
(3)前記ポリエステル樹脂組成物Aは、ポリエステル樹脂組成物Bと酸化チタンを混練して得られ、前記ポリエステル樹脂組成物Bを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/g以上1.00dl/g以下、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であること。 - 前記ポリエステル樹脂組成物Aを含有するポリエステル原料を押出機で溶融混練し、溶融ポリマーを、口金から吐出した後冷却固化させて未延伸シートを得る工程を含む二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、押出機から口金までにおけるポリマー平均滞留時間が180秒以下、溶融ポリマーの温度が285℃以下であることを特徴とする請求項3に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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