JP2015020927A - 高耐熱性ガラス接合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホウ素成分およびアルカリ成分を含有せず、且つ、1000℃以上の耐熱性を有するガラス接合材を提供する。【解決手段】ホウ素成分およびアルカリ成分を実質的に含まず、その組成の95%以上が、酸化物換算の質量%で、以下の成分;BaO:25〜50質量%、MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種:1〜10質量%、SiO2:35〜60質量%、A12O3:5〜15質量%、Bi2O3:0〜15質量%、で構成されている。好適な一態様では、ガラス接合材の30℃から500℃までの線熱膨張係数が、6?10−6K−1〜8?10−6K−1であり、1000℃以上の高温下においてもアルミナ系セラミック部材の接合に用いられるガラス接合材。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性ガラス接合材に関する。詳しくは、アルミナ系セラミック部材の接合に用いることができるガラス接合材に関する。
セラミック部材は、例えば自動車、化学プラント、製鉄所、ガラス製造所等において、1000℃以上(典型的には1000℃〜1500℃、例えば1000℃〜1200℃)の高温に曝され得る部位に広く用いられている。なかでも、アルミナ系セラミック部材は耐熱性や機械的強度に優れ、且つ低コストなことから好ましく利用されている。
このようなセラミック部材と他部材と(例えば、セラミック部材間や、セラミック部材−金属部材間)を接合する接合材には、上記被接合材と同程度かそれより若干低い熱膨張係数が求められる。また、1000℃以上(例えば1000℃〜1200℃)の高温に長期間曝されても接合状態を維持し得る、高い耐熱性や耐久性が求められる。従来は、このような接合材(例えばロウ材やガラス接合材)が無かったため、高温に曝され得る部位から離れたところに、あるいは冷却媒を用いて冷却することによって温度を下げたところに接合部を配置するよう設計を行っていた。
しかしながら、近年、軽量化、高性能化、低コスト化等の観点から、高温環境に曝される部位に接合部を配置したい要望が高まっている。これに関する従来技術として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、アルミナ硼珪酸系のガラス接合材でアルミナ管とセラミックスとを接合した接合体が開示されている。
特開平05−085844号公報
発明者の知見によれば、熱膨張係数がセラミック部材に近く、且つ接合性の良好なガラス接合材は幾つか市販されているが、1000℃以上(例えば1000℃〜1200℃)の高温に長期間曝されても耐久できるものは殆どない。あるいは、特許文献1に代表されるように、比較的耐熱性の高いガラス接合材は、一般に、ガラスの熱膨張係数を調節するためのホウ素成分および/またはアルカリ成分を含んでいる。しかしながら、ホウ素成分は高温環境下で飛散が生じ易く、これによって熱膨張係数が変化したり、機械的強度が低下したりすることがあり得るため、長期耐久性(特には長期高温耐久性)には課題がある。また、アルカリ成分(例えばナトリウム成分)は、ガラス接合材の安定性の低下を引き起こす原因となり得る。このような事情から、ホウ素成分およびアルカリ成分を含まず、且つ、上記のような特徴を有する(例えば、被接合部材との接合性が良好で、且つ、当該被接合部材と同程度かそれより若干低い熱膨張係数を有する)ガラス接合材が求められている。
本発明は、上述したような従来の問題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、ホウ素成分およびアルカリ成分を含有せず、且つ、1000℃以上の高温に曝された場合であってもセラミック部材と他部材との接合状態を保持することのできる耐熱性や耐久性に優れたガラス接合材を提供することである。
ここに開示される耐熱性ガラス接合材は、一のアルミナ系セラミック部材と一の他部材とを接合するためのガラス接合材である。そして、かかるガラス接合材は、以下のこと:
(A)ホウ素成分およびアルカリ成分を実質的に含まないこと;
(B)その組成の95%以上が、酸化物換算の質量%で、BaO:25〜50質量%、MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種(以下、「MO」と略称することがある。):1〜10質量%、SiO:35〜60質量%、A1:5〜15質量%、Bi:0〜15質量%、から構成されること;を特徴としている。
ここに開示されるガラス接合材は、ホウ素成分およびアルカリ成分をいずれも含有しないため、上述のような不具合の発生が未然に防止されている。また、上記組成比をとることで、ホウ素成分およびアルカリ成分を含有せずとも、被接合部材(例えばアルミナ系セラミック部材)と同程度の熱膨張係数を実現することができる。このため、1000℃以上の高温に曝された場合であっても接合部を好適に保持することができ、優れた耐熱性を実現することができる。したがって、ここに開示されるガラス接合材によれば、高温環境下においてもアルミナ系セラミック部材と他部材との接合部(例えばアルミナ系セラミック部材間の接合部)を高い気密性で維持可能な、耐熱性や耐久性に優れた接合部を実現することができる。
なお、本明細書において「アルミナ系セラミック部材」とは、アルミナを主体とするセラミック部材をいう。具体的には、セラミック部材全体を100質量%としたときに、50質量%以上(典型的には70質量%以上、例えば90質量%以上、好ましくは99質量%以上)がアルミナで構成されるセラミック部材をいう。また、本明細書において「実質的に含まない」とは、少なくとも積極的には当該成分を添加しないことをいう。換言すれば、不可避的な不純物として当該成分が混入することは許容され得る。
ここに開示されるガラス接合材の好適な一態様では、30℃から500℃までの線熱膨張係数が、6×10−6−1〜8×10−6−1の範囲にある。かかる構成によると、例えば線熱膨張係数が6×10−6−1〜8×10−6−1の範囲にあるアルミナ系セラミック部材の接合を好適に行うことができる。
なお、本明細書において「線熱膨張係数」とは、30℃から500℃までの温度領域において熱機械分析装置(Thermomechanical Analysis:TMA)を用いて測定した平均線膨張係数であり、試料の初期長さに対する試料長さの変化量を温度差で割った値をいう。線熱膨張係数の測定は、JIS R 3102(1995)に準じて行うことができる。
ここに開示されるガラス接合材の好適な一態様では、1000℃以上の高温環境下においても、上記一のアルミナ系セラミック部材と上記一の他部材との接合部を気密に維持するよう構成されている。かかる構成によると、当該接合部を長期に渡り高い気密性で維持することができる。したがって、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
ここに開示されるガラス接合材の好適な一態様では、酸化物換算の質量%で、BaO:30〜50質量%、CaO:2〜8質量%、SiO:35〜60質量%、A1:8〜12質量%、Bi:0〜12質量%、の成分を含む。かかる構成によると、高温環境下における接合部の物理的安定性を一層向上させることができ、本願発明の効果を更に高いレベルで安定的に発揮することができる。
本発明は、他の側面として、セラミック接合体を提供する。かかるセラミック接合体は、一のアルミナ系セラミック部材と、一の他部材と、両部材間を接合する接合部とを備える。そして、上記一のアルミナ系セラミック部材は、線熱膨張係数が6×10−6−1〜8×10−6−1の範囲にあるセラミック材料で構成されており、上記接合部は、ここに開示されるガラス接合材により構成されていることを特徴とする。
被接合材であるアルミナ系セラミック部材の熱膨張係数は、ガラス接合材と同程度か、それより若干高いことが望ましい。アルミナ系セラミック部材が上記熱膨張係数を有するセラミック材料で構成されることにより、気密で良好な接合を実現することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、ガラス接合材の組成や物性等の特徴)以外の事項であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、ガラス接合材を調製するための原料、方法および加工方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪耐熱性ガラス接合材≫
ここに開示される耐熱性ガラス接合材は、一のアルミナ系セラミック部材と一の他部材とを接合するために用いることのできるガラス接合材である。かかるガラス接合材は、ホウ素成分およびアルカリ成分を実質的に含まない。また、その組成の95%以上が、酸化物換算の質量%で、以下の成分;
BaO :25〜50質量%(好ましくは30〜50質量%)、
MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種: 1〜10質量%(好ましくは2〜8質量%)、
SiO :35〜60質量%(好ましくは36〜59質量%)、
A1 : 5〜15質量%(好ましくは8〜12質量%)、
Bi : 0〜15質量%(好ましくは0〜12質量%)、
で構成されていることを特徴としている。かかる構成のガラス接合材によれば、高い耐熱性や耐久性を備えた接合部を実現することができる。例えば、1000℃以上の高温環境下においても、熱膨張係数を6×10−6−1〜8×10−6−1の範囲で長期間維持可能な接合部を好適に実現することができる。
以下、かかるガラス接合材に含まれる各成分について順に説明する。なお、本発明のガラス接合材においては、実質的に上記に例示した主要構成成分のみからなるものであってもよく、あるいは上記主要構成成分以外の副次的な成分を5質量%未満(好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下)の割合で含むものであってもよく、不可避的な不純物等による微量な元素の混入が許容されることは言うまでもない。
バリウム成分(酸化バリウム(BaO))は、ガラス接合材の熱膨張係数を調整し、ガラス接合材全体の熱的安定性を向上させることができる成分である。また、ガラス接合材中に析出し得るバリウムシリケート結晶(BaSi16)を構成する成分である。このような観点から、ガラス接合材全体に占めるBaOの割合は、凡そ25質量%以上(典型的には26質量%以上、例えば28質量%以上、好ましくは30質量%以上)であって、50質量%以下(典型的には49質量%以下、例えば48質量%以下)とするとよい。これにより、ガラス接合材の熱膨張係数を好適な範囲に調整することができる。さらには、好適な量のバリウムシリケート結晶をガラス接合材中に析出させることができ、より高い高温耐久性を実現することができる。
アルカリ土類金属成分(MO:具体的には、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および酸化ストロンチウム(SrO)のうちの少なくとも1種)は、熱膨張係数の増大に寄与する成分であり、網目修飾酸化物(ネットワークモディファイア)として機能する。また、ガラス接合材全体の物理的安定性や熱的安定性を向上し得る成分でもある。このような観点から、ガラス接合材全体に占めるMOの割合は、凡そ1質量%以上(典型的には2質量%以上、例えば2.5質量%以上)であって、10質量%以下(典型的には9質量%以下、例えば8質量%以下、好ましくは7.5質量%以下)とするとよい。なかでもカルシウム成分(典型的にはCaO)は、ガラス接合材の硬度を上げて化学的耐久性や耐摩耗性を向上し得る成分である。このため、好適な一態様では、アルカリ土類金属成分として少なくとも酸化カルシウム(CaO)を含んでいる。ガラス接合材全体に占めるCaOの割合は、凡そ1質量%以上(典型的には2質量%以上、例えば2.5質量%以上)であって、10質量%以下(典型的には9質量%以下、例えば8質量%以下、好ましくは7.5質量%以下)とするとよい。
ケイ素成分(酸化ケイ素(SiO))は、ガラスの骨格を構成する成分(ガラスネットワークフォーマー)である。また、ガラス溶融時の粘度を低減させる機能を有する。さらには、ガラス接合材中に析出し得るバリウムシリケート結晶および/またはクリストバライト結晶(SiO)を構成する成分でもある。このような観点から、ガラス接合材全体に占めるSiOの割合は、凡そ35質量%以上(典型的には36質量%以上、例えば38質量%以上、好ましくは39質量%以上)であって、60質量%以下(典型的には59質量%以下、例えば58質量%以下、好ましくは57質量%以下)とするとよい。これにより、ガラスの取扱い性や作業性を向上することができ、また、耐薬品性および/または耐熱衝撃性を一層向上させることができる。さらには、好適な量のバリウムシリケート結晶および/またはクリストバライト結晶をガラス接合材中に析出させることができ、より高い高温耐久性を実現することができる。
アルミニウム成分(酸化アルミニウム(Al))は、ガラス溶融時の流動性を制御して付着安定性に関与する成分である。また、ガラス接合材を安定させ、化学的耐久性を向上させる成分でもある。このような観点から、ガラス接合材全体に占めるAlの割合は、凡そ5質量%以上(典型的には6質量%以上、例えば7質量%以上、好ましくは8質量%以上)であって、15質量%以下(典型的には14質量%以下、例えば13質量%以下、好ましくは12質量%以下)とするとよい。これにより、被接合材間を安定的に(均質に)接合することができる。また、耐薬品性を向上させることができる。
ビスマス成分(酸化ビスマス(Bi))は任意の添加成分であって、熱膨張係数を調整する成分である。また、ガラス接合材が多成分系で構成されることで、物理的安定性を向上することもできる。ガラス接合材全体に占めるBiの割合は、例えば1質量%以上(典型的には2質量%以上、例えば5質量%以上、好ましくは6質量%以上)であって、15質量%以下(典型的には14質量%以下、例えば13質量%以下、好ましくは12質量%以下)とすることができる。
ここに開示される耐熱性ガラス接合材のガラス接合材は、上述した4種あるいは5種の主要構成成分のみから構成されていてもよく、あるいは、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記以外の任意の成分を含むものであってもよい。そのような添加成分としては、酸化物の形態で、例えば、ZnO、TiO、ZrO、V、Nb、FeO、Fe、Fe、CuO、CuO、SnO、SnO、P、La、CeO等が挙げられる。また、必要に応じて従来この種のガラス接合材に一般的に使用されている添加剤をも含むことができる。これら付加的な構成成分や各種添加剤の割合は、ガラス接合材全体の凡そ5質量%未満(典型的には4質量%未満、例えば1質量%未満)とすることが好ましい。
なお、ここに開示される耐熱性ガラス接合材のガラス接合材中には、ホウ素(B)成分およびアルカリ(典型的にはLi,Na,K,Rb,Cs,Fr、特にはLi,Na,K)成分を実質的に含まない。ホウ素成分は、長期耐久性(特には長期高温耐久性)の低下を引き起こす要因となり得るため好ましくない。アルカリ成分は、ガラスの安定性低下を引き起こす原因となり得るため好ましくない。また、好適な一態様では、ホウ素成分およびアルカリ成分に加えて、ヒ素(As)成分や鉛(Pb)成分をも実質的に含まない。ヒ素成分や鉛成分は、人体や環境に対して悪影響となり得るため、環境性や作業性、安全性の観点から好ましくない。
≪耐熱性ガラス接合材の製造方法≫
このようなガラス接合材の製造方法は特に制限されず、従来と同様の手法(代表的には、溶融法、ゾルゲル法等)を用いて製造することができる。例えば、溶融法によって耐熱性ガラス接合材を製造する場合には、下記の手順で行うことができる。
先ず、粉末状の原料化合物(例えば、上記構成成分を含有する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物の形態であり得る。)を上記組成となるように秤量、調合し、必要に応じて添加物等を加えて調製する。次に、このようにして得られたガラス原料粉末を乾燥した後、溶融炉等で適切な温度(例えば1400℃〜1600℃)にまで加熱することで、溶融させる。そして、この溶融物を冷却または急冷させることによってガラス化させ、ここに開示されるガラス接合材を得ることができる。あるいは、これを適当な粒径(典型的には1μm〜10μm)まで粉砕した後、さらに適切な温度(例えば1000℃〜1200℃)で結晶化処理(熱処理)することによって、上記ガラス接合材中に結晶が析出した結晶含有ガラスとすることもできる。
得られたガラス(結晶含有ガラスの形態であり得る。)は、ガラス化したままの板状ないしは小片状の状態で使用してもよく、用途に適した形態に適宜加工することもできる。好適な一態様では、得られたガラスを、粉砕や篩いがけ(分級)によって、ガラスカレットまたはガラスパウダー等の形態に調製する。これにより、一層高気密で高品質な接合部を実現することができる。結晶含有ガラスの平均粒径は、用途にもよるが、例えば0.1μm〜10μm程度とすることが好ましい。粉砕後のガラスカレットまたはガラスパウダーは、例えば、任意の形状に圧縮成形した後、ガラス粒子同士が互いに結着する程度に仮焼してペレットの状態で接合に供することができる。あるいは、有機バインダや有機溶剤等とともに混合してペーストの状態で接合に供してもよい。有機バインダとしては、通常この種のガラスペーストに用いられている各種のバインダを用いることができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系高分子や、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミン系樹脂等を用いることができる。有機溶剤についても同様であって、例えば、ターピネオール、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、各種のグリコール等を用いることができる。ペースト状のガラス接合材は、所望の用途に応じて適切な粘度に調整することによって、塗布または印刷等の形態で被接合部材に付与することが可能である。したがって、複雑な形状を有する被接合部材間の接合、あるいは、複雑な接合形態での接合を、簡便且つ好適に実施することができる。なお、ペーストの分散、混合方法についても特に限定される事項はなく、例えば、従来公知の三本ロールミル等を用いて行うことができる。
≪接合方法≫
上記のようにして準備したペレット状またはペースト状のガラス接合材は、従来のガラス接合材と同様に用いることができる。例えば、先ず、上記のようにガラス接合材を調製する。また、被接合部材として、アルミナ系セラミック部材と他部材とを用意する。次に、アルミナ系セラミック部材と他部材とが相互に接触・接続するよう配置し、当該接続部位に上記ペレット状またはペースト状のガラス接合材を付与(配置または塗布)する。そして、この複合体を乾燥後、当該ガラス接合材の軟化点以上の温度域(典型的には600℃以上、例えば1000℃〜1200℃)で焼成する。これによって、被接合部材間に気密性に優れた接合部を形成することができる。
接合対象(被接合部材)としてのセラミック部材には、ここに開示されるガラス接合材と熱膨張係数が比較的近い各種のセラミック材料からなる部材を用いることができる。例えば、熱膨張係数がここに開示されるガラス接合材と同程度か、それよりも若干高いセラミック材料からなる部材を用いることが好適である。かかるセラミック材料の熱膨張係数としては、おおよその目安として、30℃から500℃までの熱膨張係数が6×10−6−1〜8×10−6−1程度であることが例示される。このようなセラミック材料としては、アルミナ(酸化アルミニウム:Al)を主体とするセラミック材料からなるアルミナ系セラミック部材が挙げられる。
また、接合の形態についても特に制限はされず、一のアルミナ系セラミック部材と一の他部材との接合に広く使用することができる。例えば、アルミナ系セラミック部材同士の接合や、アルミナ系セラミック部材と金属部材との接合に好適に採用し得る。一のアルミナ系セラミック部材と一の他部材とは、いずれも熱膨張係数がここに開示されるガラス接合材と同程度か、それよりも若干高いセラミック材料からなることが好ましい。
上述の通り、ここに開示されるガラス接合材によれば、従来のガラス接合材とは異なり、ホウ素成分およびアルカリ成分を含まずとも、以下a,bの特性(好ましくは、これに加えてcの特性をも)を備える接合部を実現することができる。
(a)1000℃以上の高温環境下においても気密に維持することのできる高耐熱性を実現し得る。
(b)優れた長期耐久性(特には長期高温耐久性)を実現し得る。
(c)30℃から500℃までの線熱膨張係数を、6×10−6−1〜8×10−6−1の範囲に維持し得る。
したがって、ここに開示される発明によれば、一のアルミナ系セラミック部材と、一の他部材と、両部材間を接合する接合部とを備えたセラミック接合体が提供される。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<I.MOとして酸化カルシウムを用いる場合>
[ガラス接合材の用意]
本試験においては、下表1に示す計10種類のガラス接合材のサンプル(S1〜S10)を作製した。具体的には、先ず、平均粒径が凡そ1μm〜3μmのガラス原料粉末を表1に示す組成となるように配合して混合し、それぞれ、1400℃〜1600℃で溶融した後、急冷した。これを粉砕して、平均粒径が凡そ1μm〜5μmのガラス接合材(S1〜S10)を作製した。また、比較例として市販のガラス接合材(S11)を準備した。
Figure 2015020927
[線熱膨張係数の測定]
上記作製したガラス接合材(S1〜S10)および比較例(S11)を、それぞれ7mm×7mm×50mmの角柱状にプレス成形し、ガラス接合材ごとに成形体の角が丸くならない程度の温度で仮焼きした。仮焼き後、ダイヤモンドカッターでΦ5mm×10〜20mm程度の円柱状に切り出して、測定用の試験片とした。この試験片の線膨張係数を、熱機械分析装置(株式会社リガク製、TMA8310)を用いて評価した。具体的には、室温(25℃)から500℃まで10℃/分の一定速度で昇温したときの試験片と標準試料の熱膨張量の差から、試験片の熱膨張量を下式(1)で定義される線熱膨張係数βとして算出した。
β=(Lt−Lr)/{Lr×(Tt−Tr)} ・・・(1)
なお、式(1)中、Trは室温(25℃)、Ttは試験温度(500℃)、Lrは室温での試験片の長さ、Ltは試験温度(500℃)での試験片の長さを示す。得られた線熱膨張係数を下記の表2に示す。
Figure 2015020927
[アルミナ基板との接合性評価]
上記作製したガラス接合材(S1〜S10)および比較例(S11)を、それぞれΦ15mm×2.5mmの円盤状にプレス成形し、ペレット(S1〜S11)を作製した。このペレットを、緻密なアルミナ系セラミック基板(線熱膨張係数:6×10−6−1〜8×10−6−1)の上に載せ、大気中、1200℃〜1400℃で1〜5分間焼成することで、ペレットと基板との接合を試みた。
その後、それぞれの積層体(S1〜S11)について、接合が実現されているか否か、接合が実現されている場合には気密な接合部となっているか否かを確認した。具体的には、先ず、ピンセットを用いてペレットが基板から剥がせるかどうかを確認し、機械的に接合されているか否かを評価した。接合が確認できた接合体については、さらに浸透探傷検査を行い、クラックの有無を確認した。結果を、表2に示す。なお、表2において「○」は両者が機械的に接合され、且つ、クラックが確認されなかったことを、「△」は両者が機械的に接合されてはいたが浸透探傷検査において接合部にクラックが認められたことを、「×」は両者が接合しなかったこと(剥離)を表している。
表2に示すように、S8,S9では、アルミナ系セラミック基板とガラス接合材とが接合されていなかった。また、S1では、接合部にクラックが認められた。これに対し、S2〜S7,S10では、当該基板と良好に接合されていた。このことから、被接合部材と同程度の熱膨張係数(6×10−6−1〜8×10−6−1)を有するガラス接合材を用いることで、クラックが無く、気密性の高い接合部を実現できることがわかった。なお、比較例(S11)についてはZnOを含むために耐食性が低く、浸透探傷検査を行うことが困難だった。
[高温耐久性評価]
上記作製した接合体(S1〜S7,S10)を、それぞれ1200℃の高温環境下に1000時間暴露させた後、それぞれの接合体について、接合部の変化を確認した。具体的には、上記と同様の手法で接合部に剥離やクラックがないかを確認した。結果を、表2に示す。なお、表2において「○」は接合部に剥離やクラック等の不具合がなく、当該接合部が緻密に保たれていたことを、「△」は接合部に劣化またはクラックが認められたこと、「×」は基板と接合材とが完全に剥離したことを表している。
表2に示すように、S1では接合部の気密性が不足していた。また、S7では接合部(ガラス接合材)が軟化して流動した。さらに、ホウ素成分を含むS10およびS11ではホウ素が飛散し、接合部の気密性が低下した。これに対し、S2〜S6では、高温耐久試験後も気密な接合部を維持していた。以上のことから、本発明により、ホウ素成分およびアルカリ成分を含まず、6×10−6−1〜8×10−6−1の線熱膨張係数を有し、なおかつ優れた耐熱性や耐久性を備えたガラス接合材を実現可能なことが確認できた。
<II.MOとして酸化マグネシウムまたは酸化ストロンチウムを用いる場合>
次に、表3に示す組成のガラス接合材(S12〜S14)を作製、評価した。具体的には、MOとして、CaOに替えてMgOまたはSrOを用いたこと以外は上記I.と同様にガラス接合材(S12〜S15)を作製して、測定・評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2015020927
Figure 2015020927
表4に示すように、CaOに替えてMgOまたはSrOを用いた場合にも、6×10−6−1〜8×10−6−1の線熱膨張係数を有し、なおかつ優れた耐熱性や耐久性を備えたガラス接合材を実現可能なことが確認できた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (5)

  1. 一のアルミナ系セラミック部材と一の他部材とを接合するためのガラス接合材であって、
    ホウ素成分およびアルカリ成分を実質的に含まず、その組成の95%以上が、酸化物換算の質量%で、
    BaO :25〜50質量%、
    MgO、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種 : 1〜10質量%、
    SiO :35〜60質量%、
    A1 : 5〜15質量%、
    Bi : 0〜15質量%、
    の成分で構成されていることを特徴とする、耐熱性ガラス接合材。
  2. 30℃から500℃までの線熱膨張係数が、6×10−6−1〜8×10−6−1である、請求項1に記載のガラス接合材。
  3. 1000℃以上の高温環境下においても、前記一のアルミナ系セラミック部材と前記一の他部材との接合部を気密に維持するよう構成されている、請求項1または2に記載のガラス接合材。
  4. 前記ガラス接合材は、酸化物換算の質量%で、
    BaO :30〜50質量%、
    CaO : 2〜 8質量%、
    SiO :35〜60質量%、
    A1 : 8〜12質量%、
    Bi : 0〜12質量%、
    の成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス接合材。
  5. セラミック接合体であって、
    一のアルミナ系セラミック部材と、一の他部材と、両部材間を接合する接合部と、を備え、
    前記一のアルミナ系セラミック部材は、線熱膨張係数が6×10−6−1〜8×10−6−1の範囲にあるセラミック材料で構成されており、
    前記接合部は、請求項1〜4のいずれかに記載のガラス接合材により構成されている、セラミック接合体。
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