JP2015018864A - 電子機器の熱管理構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】主面に電子部品が搭載されて回路を形成した基板と、基板の主面に間隔をあけて配された放熱部材とを備える電子機器において、基板に形成された回路の要冷却部の放熱効率の低下や、別の熱源による要冷却部の加熱を防ぐことができ、さらに、電子機器の軽量化及び熱管理構造の汎用性向上も図れるようにする。【解決手段】基板1の主面1a,1bから放熱部材2,3まで延びる筒状の樹脂充填ケース4,5と、樹脂充填ケースに充填された放熱樹脂6と、樹脂充填ケースの外側を囲むように設けられると共に基板の主面から放熱部材まで延びる筒状の断熱部材7,8と、を備え、樹脂充填ケースが基板に形成された要冷却部9,10を囲むように配され、放熱樹脂が、放熱部材側に位置する樹脂充填ケースの第一端部21,31において隙間なく充填され、かつ、基板側に位置する樹脂充填ケースの第二端部22,32において要冷却部に接触する熱管理構造を提供する。【選択図】図1

Description

この発明は、電子機器の熱管理構造に関する。
従来、通電により発熱する電子部品や電気部品(発熱部品)を基板に電気接続する構成の電子機器では、発熱部品をヒートシンク(放熱部材)に固定し、基板をヒートシンク上方に間隔をあけた位置に配する熱管理構造が多く採用されている。
ところで、このような熱管理構造を備える電子機器では、基板上に形成された回路(電子部品・配線等によって構成される回路)中にも、冷却を要する部分(要冷却部)が存在する。なお、要冷却部には、通電により発熱する熱源部分の他、前述したヒートシンク上の発熱部品や基板上の熱源部分によって加熱されることが好ましくない部分も含まれる。従来では、ヒートシンクと基板との隙間を放熱樹脂(熱伝導性に優れた材質の樹脂)で埋めることにより、基板上に形成された要冷却部の加熱を防ぐことが考えられている。
また、従来の電子機器には、例えば特許文献1のように、発熱部品や他の電子部品が搭載された基板を収容するケースに、ケース内空間を仕切る仕切り板を設けておき、発熱部品を分割された1つの空間に配した上で、この分割空間を放熱樹脂で充填したものもある。この構成では、発熱部品が放熱樹脂に埋設されることで、発熱部品の熱を放熱樹脂からケースに逃がすことが可能である。また、分割空間のみに樹脂が充填されることで、樹脂の充填量を減らし、電子機器の軽量化が図られている。
特開2003−249780号公報
しかしながら、ヒートシンクと基板との隙間全体を放熱樹脂で埋めると、放熱樹脂の使用量が不必要に多くなるため、電子機器の重量が重くなる、という問題がある。特に、車載用の電子機器である場合には、車両全体の重量が重くなり、好ましくない。
特許文献1のように仕切り板を設けることで放熱樹脂の使用量を抑制できるものの、仕切り板は基板を収容するケースに一体に設けられるため、基板における発熱部品の配置に応じた形状のケースを製造する必要があり、汎用性が低い、という問題がある。
さらに、要冷却部の近傍に別の熱源(例えば発熱部品)が設けられる場合、この熱源の熱が放熱樹脂に伝わることで、要冷却部の放熱効率が低下したり、要冷却部が別の熱源によって加熱されてしまう、という問題もある。
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、要冷却部の放熱効率の低下や別の熱源による要冷却部の加熱を防ぐことができ、さらに、軽量化を図りながら汎用性も高い電子機器の熱管理構造を提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明の電子機器の熱管理構造は、少なくとも一方の主面に電子部品が搭載されて回路を形成した基板と、該基板の主面に間隔をあけた位置に配された放熱部材と、前記基板の主面から前記放熱部材まで延びる筒状の樹脂充填ケースと、該樹脂充填ケースに充填された放熱樹脂と、前記樹脂充填ケースの外側を囲むように設けられると共に前記基板の主面から前記放熱部材まで延びる筒状の断熱部材と、を備え、前記樹脂充填ケースが、前記回路のうち冷却を要する要冷却部を囲むように配され、前記放熱樹脂が、前記放熱部材側に位置する樹脂充填ケースの第一端部において隙間なく充填され、かつ、前記基板側に位置する樹脂充填ケースの第二端部において少なくとも前記要冷却部に接触することを特徴とする。
本発明によれば、要冷却部の熱を放熱樹脂から(また、樹脂充填ケースも通じて)放熱部材に効率よく逃がすことができる。さらに、樹脂充填ケースの外側に断熱部材が配されることで、要冷却部の放熱効率が低下したり、要冷却部が別の熱源によって加熱されることを防止できる。また、放熱樹脂の使用量が樹脂充填ケースによって制限されて減少するため、電子機器の軽量化を図ることができる。さらに、要冷却部の大きさや、基板と放熱部材との隙間に合わせたサイズの樹脂充填ケース及び断熱部材を用意すればよいため、熱管理構造の汎用性向上も図ることができる。
本発明の第一実施形態に係る電子機器の熱管理構造を示す側断面図である。 図1の熱管理構造に備える樹脂充填ケースを示す概略斜視図である。 図2の樹脂充填ケースを折り曲げ加工により製造する場合に用いる金属平板を示す平面図である。 図1の熱管理構造に備える断熱部材を示す概略斜視図である。 図1の熱管理構造において、第一放熱部材の上面における第一発熱部品の設置領域、並びに、第一樹脂充填ケース及び第一断熱部材の配置領域を示す上面図である。 図1の第一樹脂充填ケース及び第一断熱部材を基板の上面側から見た状態を示す上面図である。 本発明の第二実施形態に係る電子機器の熱管理構造を示す側断面図である。 図7の第一樹脂充填ケース及び第一断熱部材を基板の上面側から見た状態を示す上面図である。 図1,7に示す熱管理構造の変形例を示す側断面図である。 図1,7に示す熱管理構造の変形例を示す側断面図である。
〔第一実施形態〕
以下、図1〜6を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態に係る電子機器の熱管理構造は、基板1と、二つの放熱部材2,3と、二つの樹脂充填ケース4,5と、放熱樹脂6と、二つの断熱部材7,8とを備えている。
基板1には配線パターン(不図示)が形成されており、この配線パターンに電子部品9〜12が電気接続されることで回路が形成されている。本実施形態では、基板1の両主面(上面1a及び下面1b)に電子部品9,10,12が搭載されている。また、本実施形態では、第一放熱部材2に搭載された電子部品11(以下、第一発熱部品(発熱部)11と呼ぶ。)が基板1に電気接続されている。
基板1に搭載される二つの電子部品9,10は、通電により発熱するもの、あるいは、耐熱性の低いものであり、冷却を要する要冷却部である。本実施形態では、第一電子部品9が第一放熱部材2に対向する基板1の下面1bに搭載されている。また、第二電子部品10が第二放熱部材3に対向する基板1の上面1aに搭載されている。なお、図示例の第一電子部品9や第二電子部品10は、基板1に表面実装されるチップ部品であるが、例えば基板1にスルーホール実装されるリード部品であってもよい。
基板1に搭載される残り一つの電子部品12(以下、第二発熱部品(発熱部)12と呼ぶ)は、例えばパワートランジスタをはじめとするパワーデバイス等のように通電により発熱するものである。第二発熱部品12は、本体部12Aと、本体部12Aから突出する電気接続用の外部端子12Bとを有して構成されている。
本体部12Aは、例えば通電により発熱する半導体素子(不図示)を樹脂内に埋設して構成されている。この本体部12Aは、ネジ止めやはんだ付け等によって基板1の上面1aに固定されている。一方、外部端子12Bの先端部は、はんだ(不図示)により基板1に接合されている。これにより、第二発熱部品12が基板1の配線パターンに電気接続されている。なお、図示例の第二発熱部品12は、外部端子12Bの先端部を基板1の上面1aに配した上ではんだにより接合する表面実装型の半導体装置であるが、例えば外部端子12Bを基板1に挿通させて接合するスルーホール実装型の半導体装置であってもよい。この第二発熱部品12は、第二電子部品10の近くに配されている。
第一放熱部材2は、アルミニウム等のように熱伝導性に優れた導電性材料を、例えば板状に形成して構成されている。この第一放熱部材2は、基板1の下面1bに間隔をあけた位置に配されている。これら基板1及び第一放熱部材2は、例えばネジ止め等によって相互に固定されている。本実施形態では、基板1の下面1bに対向する第一放熱部材2の上面(対向面)2aに、前述した第一発熱部品11が搭載されている。
本実施形態の第一発熱部品11は、前述した第二発熱部品12と同様に、例えばパワーデバイス等のように通電により発熱するものであり、本体部11Aと、本体部11Aから突出する電気接続用の外部端子11Bとを有して構成されている。
本体部11Aは、例えば通電により発熱する半導体素子(不図示)を樹脂内に埋設して構成されている。この本体部11Aは、ネジやばね等を利用して第一放熱部材2の上面2aに固定されている。一方、外部端子11Bは、本体部11Aから基板1に向けて突出している。この外部端子11Bの先端部は、基板1の厚さ方向に貫通するスルーホール13に挿通された上で、基板1の上面1aにおいてはんだ14で基板1に接合されている。これにより、第一発熱部品11が基板1の配線パターンに電気接続されている。この第一発熱部品11は、第一電子部品9の近くに配されている。
第二放熱部材3は、第一放熱部材2と同様に、例えば銅、アルミニウム等のように熱伝導性に優れた導電性材料からなり、基板1の上面1aに間隔をあけた位置に配されている。本実施形態の第二放熱部材3は、第一放熱部材2の上面2aや基板1を覆うカバーであり、例えばネジ止め等により第一放熱部材2に固定されている。
各樹脂充填ケース4,5は、図1,2に示すように、筒状に形成され、基板1から各放熱部材2,3まで延びるように配されている。
本実施形態では、各放熱部材2,3側に位置する各樹脂充填ケース4,5の軸方向の一端(第一端部21,31)に、樹脂充填ケース4,5の径方向に延在する平板部23,33が形成されている。平板部23,33は、各放熱部材2,3に面接触可能となっている。本実施形態では、平板部23,33が径方向内側に延在している。すなわち、本実施形態の各樹脂充填ケース4,5は有底筒状に形成され、平板部23,33は各樹脂充填ケース4,5の底壁板部23,33となっている。底壁板部23,33には、その厚さ方向に貫通する貫通孔24,34が形成されている。
第二樹脂充填ケース5の底壁板部33は、ネジ42を螺着できるように構成されている。本実施形態では、第二樹脂充填ケース5の底壁板部33に形成された貫通孔34自体がネジ孔となっている。また、貫通孔34は、ネジ42を確実に螺着できるように、円筒状のリブ37によって底壁板部33の厚さよりも長く形成されている。リブ37は、底壁板部33のうち貫通孔34の周縁から第二樹脂充填ケース5の軸方向の他端(第二端部32)側に向けて突出している。このリブ37は、例えばバーリング加工やナット圧入により形成することが可能である。
また、本実施形態では、基板1側に位置する各樹脂充填ケース4,5の第二端部22,32に、樹脂充填ケース4,5の軸方向に突出する接続突起25,35が形成されている。接続突起25,35は、各樹脂充填ケース4,5を基板1に取り付ける際に基板1に挿通される部分である。接続突起25,35は、樹脂充填ケース4,5の周方向に間隔をあけて複数配されている。
以上のように構成される本実施形態の樹脂充填ケース4,5は、図示例のように平面視矩形の筒状に形成されてもよいが、例えば円筒状など任意の筒状に形成されてもよい。
また、樹脂充填ケース4,5は、例えば、金属製でもよいし樹脂製あってもよいが、放熱樹脂6よりも熱伝導率の高い材料によって形成されていることがより好ましい。また、樹脂充填ケース4,5は、導電性を有していることが好ましい。
樹脂充填ケース4,5が金属製である場合、樹脂充填ケース4,5は、例えば金属板に深絞り加工や折り曲げ加工を施すことで製造することが可能である。
例えば、図2に示す平面視矩形の有底筒状に形成された金属製の樹脂充填ケース4,5を折り曲げ加工により製造する場合には、例えば図3に示すように、打ち抜き加工等により底壁板部23,33の各辺に側壁部26,36を接続した金属平板を形成した後、底壁板部23,33と側壁部26,36との境界線において折り曲げればよい。なお、折り曲げ後の状態において隣り合う側壁部26,36の間に隙間がある場合には、樹脂充填ケース4,5内に充填される放熱樹脂6がこの隙間から外部に漏れ出さないように、溶接等によって隙間を埋めればよい。
一方、例えば深絞り加工により金属製の樹脂充填ケース4,5を製造する場合には、前述したような隙間が生じないため、折り曲げ加工の場合と比較して、製造工程数が少ない、という利点がある。また、放熱樹脂6が外部に漏れ出すことを容易かつ確実に防止できるという利点もある。
樹脂充填ケース4,5が樹脂製である場合には、樹脂成形等により容易に製造することが可能である。なお、樹脂製の樹脂充填ケース4,5を図1のようにはんだ15で基板1に固定する場合には、金属製の接続突起25,35をインサート成形すればよい、あるいは、樹脂製の接続突起25,35にスズメッキを施してもよい。
以上のように構成される各樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31は、各放熱部材2,3に固定され、また、第二端部22,32が基板1に固定されている。以下、放熱部材2,3や基板1に対する各樹脂充填ケース4,5の具体的な固定について説明する。
第一樹脂充填ケース4の第一端部21は、第一放熱部材2に固定されている。本実施形態では、ネジ41の軸部を第一樹脂充填ケース4の貫通孔24に挿通させた上で、第一放熱部材2の上面2aに形成されたネジ孔16に螺着させている。これにより、第一樹脂充填ケース4の底壁板部23がネジ41の頭と第一放熱部材2の上面2aとの間に挟み込まれ、第一樹脂充填ケース4が第一放熱部材2に固定される。
また、本実施形態では、第一樹脂充填ケース4の第一端部21(底壁板部23)と第一放熱部材2の上面2aとの間に、放熱シート43あるいは放熱グリス44が挟み込まれている。これら放熱シート43や放熱グリス44は、第一樹脂充填ケース4や第一放熱部材2よりも柔らかく変形可能であるため、寸法公差等によって第一樹脂充填ケース4の第一端部21と第一放熱部材2との間に生じた隙間を埋めることができる。
また、第一樹脂充填ケース4の第二端部22は、基板1の下面1bに固定されている。これにより、第一樹脂充填ケース4が基板1の下面1bに搭載された第一電子部品9を囲んでいる。
本実施形態では、第一樹脂充填ケース4の接続突起25が、基板1の厚さ方向に貫通するスルーホール17に挿通された上で、基板1の上面1aにおいてはんだ15により接合されている。なお、接続突起25が接合された状態において、基板1の下面1bと第一樹脂充填ケース4の第二端部22との間に隙間が生じている場合には、この隙間が樹脂等からなる接着剤18によって埋められる。
以上のように第一放熱部材2及び基板1に固定された第一樹脂充填ケース4の内部空間は、図6に示すように、基板1に形成された樹脂注入孔19を介して外部に連通している。樹脂注入孔19は、第一電子部品9に隣り合う位置において、基板1の厚さ方向に貫通して形成されている。
一方、図1に示すように、第二樹脂充填ケース5の第一端部31は、第二放熱部材3に固定されている。本実施形態では、第二放熱部材3にその厚さ方向に貫通するネジ挿通孔(樹脂注入孔)20にネジ42の軸部を挿通させた上で、第二樹脂充填ケース5の貫通孔34に螺着されている。これにより、第二放熱部材3がネジ42の頭と第二樹脂充填ケース5の底壁板部33との間に挟み込まれ、第二樹脂充填ケース5が第二放熱部材3に固定されている。
また、本実施形態では、第一樹脂充填ケース4の場合と同様に、第二樹脂充填ケース5の第一端部31(底壁板部33)と第二放熱部材3との間に放熱シート43あるいは放熱グリス44が挟み込まれているため、第二樹脂充填ケース5の第一端部31と第二放熱部材3との間に生じる隙間を埋めることができる。
また、第二樹脂充填ケース5の第二端部32は、基板1の上面1aに固定されている。これにより、第二樹脂充填ケース5が基板1の上面1aに搭載された第二電子部品10を囲んでいる。
本実施形態では、第二樹脂充填ケース5の接続突起35が、基板1の厚さ方向に貫通するスルーホール17に挿通された上で、基板1の下面1bにおいてはんだ15により接合されている。なお、接続突起35が接合された状態において、基板1の上面1aと第二樹脂充填ケース5の第二端部32との間に隙間が生じている場合には、この隙間が接着剤18によって埋められる。
なお、各樹脂充填ケース4,5が導電性を有している場合には、上述のように基板1及び各樹脂充填ケース4,5に固定された状態において、基板1の接地配線(不図示)が各樹脂充填ケース4,5を介して各放熱部材2,3に電気接続されているとよい。本実施形態では、はんだ15によって基板1の接地配線と各樹脂充填ケース4,5とを電気接続することが可能である。また、ネジ41,42によって各樹脂充填ケース4,5と各放熱部材2,3とを電気接続することが可能である。
上述した各樹脂充填ケース4,5内に充填される放熱樹脂6は、熱伝導率の高い樹脂材料であることが好ましく、例えばシリコーン樹脂である。放熱樹脂6は、各放熱部材2,3側に位置する各樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31において隙間なく充填され、各樹脂充填ケース4,5の第二端部22,32において各電子部品9,10に接触している。本実施形態では、放熱樹脂6が各樹脂充填ケース4,5内に隙間なく充填されている。これにより、放熱樹脂6が基板1の上面1a及び下面1bに接触し、各電子部品9,10が放熱樹脂6に埋設されている。
図1,4,6に示すように、各断熱部材7,8は、樹脂充填ケース4,5と同様に、筒状に形成され、基板1から各放熱部材2,3まで延びるように配されている。本実施形態の断熱部材7,8は、図示例のように平面視矩形の筒状に形成されてもよいが、例えば円筒状などの任意の筒状に形成されてもよい。
また、各断熱部材7,8は、樹脂充填ケース4,5の外側を囲むように設けられている。本実施形態では、各断熱部材7,8が樹脂充填ケース4,5の外周面に対して間隔をあけて配されている。そして、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間には、断熱層71,81が形成されている。本実施形態の断熱層71,81は、熱伝導率の低い空気からなる空気層である。
各断熱部材7,8の軸方向の一端には、断熱部材7,8の軸方向に突出する接続突起51,61が形成されている。接続突起51,61は、断熱部材7,8を基板1や第二放熱部材3に取り付ける際に基板1や第二放熱部材3に挿通される部分である。接続突起51,61は、断熱部材7,8の周方向に間隔をあけて複数配されている。
各断熱部材7,8の軸方向の他端には、断熱部材7,8の軸方向に突出する断熱突起部52,62が形成されている。断熱突起部52,62は、各断熱部材7,8の軸方向の他端のうち周方向の一部から突出している。本実施形態の断熱突起部52,62は、図4のように平面視矩形の筒状に形成された断熱部材7,8の一つの辺全体から突出する平板状に形成されてもよいが、これに限ることはない。例えば、断熱突起部52,62が平面視矩形の筒状に形成された断熱部材7,8の角部から突出する場合、断熱突起部52,62は平板を折り曲げた形状に形成されてもよい。また、例えば断熱部材7,8が円筒状に形成される場合には、断熱突起部52,62が湾曲した板状に形成されてもよい。
各断熱部材7,8は、例えば金属製でもよいし樹脂製であってもよいが、熱伝導率の低い材料からなることが好ましい。熱伝導率の低い材料としては、例えばポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料が挙げられる。
各断熱部材7,8は、前述した樹脂充填ケース4,5と同様に製造することが可能である。
図1に示すように、第一断熱部材7は、第一樹脂充填ケース4の外側を囲むように、基板1の下面1bから第一放熱部材2まで延びるように配されている。
第一断熱部材7の軸方向の一端は、基板1の下面1b側に配されている。本実施形態では、第一樹脂充填ケース4の場合と同様に、第一断熱部材7の接続突起51が、基板1の厚さ方向に貫通するスルーホール53に挿通された上で、基板1の上面1aにおいてはんだや樹脂等からなる接着剤59により接合されている。なお、接続突起51が接合された状態で、基板1の下面1bと第一断熱部材7との間に隙間が生じている場合には、例えばこの隙間を接着剤等により埋めてもよい。
第一断熱部材7の軸方向の他端は、第一放熱部材2の上面2a側に配されている。
第一断熱部材7の他端に形成された断熱突起部52は、第一放熱部材2に形成された遮断孔54に挿入されている。遮断孔54は、図1,5に示すように、第一放熱部材2の上面2aにおける第一発熱部品11の設置領域と、第一樹脂充填ケース4の配置領域との間において、第一放熱部材2の上面2aから窪んで形成されている。本実施形態では、遮断孔54が第一放熱部材2の厚さ方向に貫通している。
第一放熱部材2の上面2aから見た遮断孔54の平面視形状は、断熱突起部52の形状や大きさに対応している。本実施形態の遮断孔54は、平板状に形成された断熱突起部52の形状や大きさに対応するように、平面視で直線状に延びている。
また、遮断孔54は、第一放熱部材2の上面2aにおいて、第一発熱部品11の設置領域と第一樹脂充填ケース4の配置領域との間の領域を、これら設置領域及び配置領域の配列方向に交差する方向(図示例では直交する方向)に横断するように形成されている。すなわち、遮断孔54は、上述した設置領域と配置領域とを区画している。
なお、図示例では、遮断孔54に挿入された断熱突起部52と、上述した設置領域及び配置領域の配列方向に対向する遮断孔54の内側面との間に隙間が形成されているが、これに限ることはない。ただし、上述した配置領域側に位置する遮断孔54の内側面と断熱突起部52との間には隙間がある方がより好ましい。
断熱突起部52の形成部分を除く第一断熱部材7の他端は、第一放熱部材2の上面2a側に配されている。本実施形態では、断熱突起部52の形成部分を除く第一断熱部材7の他端が、第一放熱部材2に形成された有底の位置決め溝55に挿入されている。位置決め溝55は、第一放熱部材2の上面2aから窪んで形成されている。位置決め溝55の長手方向の両端は、前述した遮断孔54の長手方向の両端に接続されている。位置決め溝55の平面視形状は、第一断熱部材7の平面視形状に対応している。図示例では、平面視矩形状に形成された第一断熱部材7に対応するように、遮断孔54及び位置決め溝55を合せた平面視形状が矩形状に形成されている。
なお、図示例の位置決め溝55は、第一断熱部材7の他端よりも幅広に形成されているが、これに限ることはない。また、第一断熱部材7の他端及び断熱突起部52は、それぞれ位置決め溝55及び遮断孔54に挿入された状態で、接着剤によって第一放熱部材2に固定されてもよいが、例えば固定されなくてもよい。さらに、位置決め溝55は例えば形成されなくてもよく、この場合、断熱突起部52の形成部分を除く第一断熱部材7の他端は第一放熱部材2の上面2aに配される。
図1に示すように、第二断熱部材8は、第二樹脂充填ケース5の外側を囲むように、基板1の上面1aから第二放熱部材3まで延びるように配されている。
第二断熱部材8の軸方向の一端は、第二放熱部材3側に配されている。本実施形態では、第二断熱部材8の接続突起61が、第二放熱部材3の厚さ方向に貫通する挿通孔63に挿通されている。なお、挿通孔63に挿通された接続突起61は、例えば接着剤により第二放熱部材3に固定されてもよいが、例えば固定されなくてもよい。
第二断熱部材8の軸方向の他端は、基板1の上面1a側に配されている。
第二断熱部材8の他端に形成された断熱突起部62は、基板1に形成された遮断孔64に挿入されている。遮断孔64は、第一放熱部材2の場合と同様に、基板1の上面1aにおける第二発熱部品12の設置領域と、第二樹脂充填ケース5の配置領域との間において、基板1の上面1aから窪んで形成されている。本実施形態では、遮断孔64が基板1の厚さ方向に貫通している。図示例では、第二断熱部材8の断熱突起部62が遮断孔64に挿通され、基板1の下面1bから突出しているが、例えば第一断熱部材7の断熱突起部52の場合と同様に突出しなくてもよい。
基板1の上面1aからみた遮断孔64の平面視形状は、第一放熱部材2の場合と同様であり、断熱突起部62の形状や大きさに対応している。また、基板1の遮断孔64は、第一放熱部材2の場合と同様に、基板1の上面1aにおいて、第二発熱部品12の設置領域と第二樹脂充填ケース5の配置領域との間の領域を、これら設置領域及び配置領域の配列方向に交差する方向(例えば直交する方向)に横断するように形成されている。すなわち、遮断孔64は、設置領域と配置領域とを区画している。
なお、図示例では、遮断孔64の内側面と遮断孔64に挿入された断熱突起部62との間に隙間が無いが、例えば第一放熱部材2及び第一断熱部材7の場合と同様の隙間があってもよい。
また、断熱突起部62の形成部分を除く第二断熱部材8の他端には、例えば第一断熱部材7と同様の接続突起が形成され、この接続突起を基板1のスルーホールに挿通させてもよい。また、この接続突起をはんだ等により基板1に固定してもよい。
以上のように構成される本実施形態の熱管理構造では、例えば第一電子部品9や第二電子部品10が通電により発熱しても、この熱を放熱樹脂6から各樹脂充填ケース4,5を介して各放熱部材2,3に効率よく逃がすことが可能となる。なお、本実施形態では、各樹脂充填ケース4,5から、ネジ41,42や放熱シート43、放熱グリス44を介して放熱部材2,3に放熱することができる。
また、樹脂充填ケース4,5の外側に断熱部材7,8が配されていることで、電子部品9,10の近傍に発熱部品11,12(別の熱源)が配されていても、これら発熱部品11,12の熱が樹脂充填ケース4,5や放熱樹脂6を介して各放熱部材2,3に到達することを抑制できる。したがって、前述した電子部品9,10の放熱効率の低下を防いだり、電子部品9,10が発熱部品11,12によって加熱されることを防止できる。
さらに、本実施形態の熱管理構造では、放熱樹脂6の使用量が各樹脂充填ケース4,5によって制限されて減少するため、電子機器の軽量化を図ることも可能となる。
また、本実施形態の熱管理構造では、基板1に搭載される電子部品9,10の大きさや、基板1と各放熱部材2,3との隙間に合わせたサイズの樹脂充填ケース4,5及び断熱部材7,8を用意し、電子部品9,10の位置に合わせて樹脂充填ケース4,5及び断熱部材7,8を配すればよいため、汎用性の高い熱管理構造を提供することが可能となる。
また、本実施形態の熱管理構造によれば、断熱部材7,8の断熱突起部52,62が第一放熱部材2や基板1の遮断孔54,64に挿入されているため、これら断熱突起部52,62及び遮断孔54,64によって、発熱部品11,12の設置領域と樹脂充填ケース4,5の配置領域との間の断熱を図ることができる。特に、本実施形態では、遮断孔54,64が第一放熱部材2や基板1の厚さ方向に貫通しているため、発熱部品11,12の設置領域と樹脂充填ケース4,5の配置領域との間の断熱性をさらに向上できる。
これにより、発熱部品11,12からこれを設置した第一放熱部材2や基板1に伝わった熱が、発熱部品11,12の設置領域から樹脂充填ケース4,5の配置領域に伝わることを防止できる。したがって、第一発熱部品11が第一放熱部材2の上面2aに設けられていても、第一電子部品9の熱を効率よく第一放熱部材2における第一樹脂充填ケース4の配置領域に逃がすことができる。また、第二発熱部品12が基板1の上面1aに設けられていても、基板1の上面1aに設けられた第二電子部品10が第二発熱部品12によって加熱されることをより確実に防止できる。
さらに、本実施形態の熱管理構造によれば、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との間に断熱層71,81が形成されているため、また、断熱層71,81が熱伝導率の低い空気層であるため、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との断熱をさらに図ることができる。このため、電子部品9,10の近傍に設けられた発熱部品11,12の熱が、樹脂充填ケース4,5や放熱樹脂6にさらに到達しにくくなる。したがって、前述した電子部品9,10の放熱効率低下や、発熱部品11,12による電子部品9,10の加熱をより確実に防止できる。
さらに、本実施形態の熱管理構造によれば、各樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31と各放熱部材2,3との間に生じる隙間が放熱シート43や放熱グリス44によって埋められるため、これら放熱シート43や放熱グリス44が無い場合(上記隙間がある場合)と比較して、樹脂充填ケース4,5から放熱部材2,3への放熱を効率よく行うことができる。
また、本実施形態の熱管理構造において、基板1の接地配線が導電性を有する樹脂充填ケース4,5を介して放熱部材2,3に電気接続されていれば、別途部品によって基板1の接地配線を放熱部材2,3に電気接続する必要が無くなり、電子機器の構成部品点数を減らすことが可能となる。
さらに、樹脂充填ケース4,5が接地されるため、基板1に形成された回路の電位を安定させることができる。
また、本実施形態の熱管理構造では、各樹脂充填ケース4,5内に連通する樹脂注入孔19やネジ挿通孔20が基板1や第二放熱部材3に形成されているため、各樹脂充填ケース4,5を基板1や第二放熱部材3に取り付けた後に、樹脂充填ケース4,5内に放熱樹脂6を注入することが可能となる。
例えば、第一樹脂充填ケース4に放熱樹脂6を注入する際には、第一樹脂充填ケース4をはんだ15やネジ41によって基板1と第一放熱部材2との間に取り付ければよい。この取付の際には、第一樹脂充填ケース4の第二端部22と基板1の下面1bとの間に隙間が生じないように、この隙間を接着剤18等により埋めてもよい。これにより、第一樹脂充填ケース4内が樹脂注入孔19のみを介して外部に連通するため、放熱樹脂6を樹脂注入孔19から第一樹脂充填ケース4内に注入することができる。
また、例えば、第二樹脂充填ケースに放熱樹脂6を注入する際には、第二樹脂充填ケース5をはんだ15により基板1に取り付けた上で、第二放熱部材3のネジ挿通孔20が第二樹脂充填ケース5の貫通孔34に重なるように、第二放熱部材3を第二樹脂充填ケース5の第一端部31上に配しておけばよい。また、第二樹脂充填ケース5の第二端部32と基板1の上面1aとの間に隙間が生じないように、この隙間を接着剤18等により埋めてもよい。この状態では、第二樹脂充填ケース5内がネジ挿通孔20のみを介して外部に連通するため、放熱樹脂6をネジ挿通孔20から第二樹脂充填ケース5内に注入することができる。なお、第二樹脂充填ケース5内に放熱樹脂6を充填した後には、第二樹脂充填ケース5の第一端部31をネジ42によって第二放熱部材3に固定すればよい。ただし、この固定は、ネジ42の軸部を第二樹脂充填ケース5の貫通孔34に螺着させる必要があるため、第二樹脂充填ケース5に注入された放熱樹脂6が硬化する前に行われることがより好ましい。
さらに、本実施形態の熱管理構造は、放熱樹脂6を、基板1の下面1bに配された第一樹脂充填ケース4の第二端部22側の開口から第一樹脂充填ケース4内に注入し、また、基板1の上面1aに配された第二樹脂充填ケース5の第一端部31側の開口から第二樹脂充填ケース5内に注入するように構成されている。このため、基板1の向きを変えることなく、二つの樹脂充填ケース4,5内にそれぞれ放熱樹脂6を注入し、同時に硬化させることができる。すなわち、二つの樹脂充填ケース4,5内に放熱樹脂6を充填する工程を一括して短時間で実施することが可能となる。
さらに、本実施形態の熱管理構造では、樹脂充填ケース4,5や断熱部材7,8が、その接続突起25,35,51や断熱突起部62を基板1に差し込むように構成されているため、基板1に対する樹脂充填ケース4,5や断熱部材7,8の位置決めを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、第一放熱部材2に、第一断熱部材7の端部を挿入する遮断孔54、位置決め溝55が形成されているため、第一放熱部材2に対する第一断熱部材7の位置決めも容易に行うことができる。
さらに、本実施形態の熱管理構造では、樹脂充填ケース4,5が有底筒状に形成されているため、樹脂充填ケース4,5に底壁板部23,33が無い場合と比較して、容易かつ確実に樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31を放熱部材2,3に固定することができる。特に、本実施形態では、ネジ41,42を用いて樹脂充填ケース4,5の底壁板部23,33を放熱部材2,3にねじ止めするため、樹脂充填ケース4,5を容易に放熱部材2,3に固定することができる。
また、本実施形態の熱管理構造では、ネジ41,42によって各樹脂充填ケース4,5が各放熱部材2,3に固定されるため、同一の放熱部材2,3に対して様々な形状や大きさの樹脂充填ケース4,5を固定することが可能である。したがって、さらに汎用性の高い熱管理構造を提供できる。
さらに、各樹脂充填ケース4,5の底壁板部23,33が各放熱部材2,3に固定されることで、各樹脂充填ケース4,5から各放熱部材2,3に効率よく熱を逃がすことができる。
〔第二実施形態〕
次に、図9,10を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の熱管理構造と比較して、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との間に形成される断熱層及びこれに付随する構成のみが異なっており、その他の構成については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図9に示すように、この実施形態の熱管理構造では、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との間の断熱層が、放熱樹脂6よりも熱伝導率の低い樹脂材料からなる断熱樹脂層72,82となっている。断熱樹脂層72,82をなす樹脂材料の具体例としては、エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、図9,10に示すように、基板1や第二放熱部材3には、その厚さ方向に貫通して、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間を外部に連通させる樹脂注入孔57,67が形成されている。樹脂注入孔57,67は、第一樹脂充填ケース4や第一断熱部材7の接続突起25,51を挿通させる基板1のスルーホール17,53、また、第二断熱部材8の接続突起61を挿通させる第二放熱部材3の挿通孔63(図1参照)と干渉しないように、スルーホール17,53や挿通孔63に対して第一樹脂充填ケース4や断熱部材7,8の周方向にずらした位置に形成されている。
本実施形態では、樹脂注入孔57,67が、平面視矩形状に形成された第一樹脂充填ケース4や断熱部材7,8の各辺の中間部分に対応する位置に形成されている。これにより、樹脂注入孔57,67が、第一樹脂充填ケース4や断熱部材7,8の角部に対応する位置に形成されたスルーホール17,53や挿通孔63と干渉することを防いでいる。また、本実施形態では、樹脂注入孔57,67が複数形成されている。複数の樹脂注入孔57,67は、第一樹脂充填ケース4や断熱部材7,8の周方向に間隔をあけて配列されている。
本実施形態の熱管理構造によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の熱管理構造によれば、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間に、放熱樹脂6よりも熱伝導率の低い樹脂材料からなる断熱樹脂層72,82が形成されるため、電子部品9,10の近傍に設けられた発熱部品11,12の熱が、樹脂充填ケース4,5や放熱樹脂6に到達しにくくなる。また、電子部品9,10の熱が放熱樹脂6を介して断熱樹脂層72,82に伝わることも抑制できる。したがって、前述した電子部品9,10の放熱効率低下や、発熱部品11,12による電子部品9,10の加熱を確実に防止できる。
さらに、本実施形態の熱管理構造によれば、基板1や第二放熱部材3には、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間に連通する樹脂注入孔57,67が形成されているため、基板1と放熱部材2,3との間に樹脂充填ケース4,5及び断熱部材7,8を取り付けた後に、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間に溶融樹脂を注入して断熱樹脂層72,82を形成することが可能となる。
樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間に溶融樹脂を注入して断熱樹脂層72,82を形成する場合には、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との隙間が樹脂注入孔57,67以外の部分において外部に連通しないように、予め断熱部材7,8の各端部と基板1や放熱部材2,3との間を接着剤等により埋めておけばよい。例えば、位置決め溝55の内面と位置決め溝55に収容された第一断熱部材7の他端との間を接着剤により埋めればよい。また、例えば図9に示すように、第一樹脂充填ケース4の配置領域側に位置する遮断孔54の内側面と遮断孔54に挿入された断熱突起部52とを接着剤により隙間なく接着すればよい。
なお、上記第二実施形態では、断熱樹脂層用の樹脂注入孔が基板1や第二放熱部材3に形成されていても、樹脂充填ケース4,5と断熱部材7,8との間の断熱層が、例えば第一実施形態と同様の空気層となっていてもよい。
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、放熱樹脂6は、上記実施形態のように第一樹脂充填ケース4内に隙間なく充填されることに限らず、少なくとも基板1に搭載された電子部品9に接触するように充填されればよい。したがって、放熱樹脂6は、例えば図9に示すように、基板1との間に隙間が生じるように充填されてもよい。この構成では、使用する放熱樹脂6の量をさらに減少できるため、電子機器の軽量化をさらに図ることが可能である。
なお、上記のように放熱樹脂6を第一樹脂充填ケース4内に充填する場合には、放熱樹脂6を注入する際に基板1と第一樹脂充填ケース4の第二端部22との隙間から放熱樹脂6が漏れ出すことが無い。したがって、この隙間を接着剤18によって埋める必要が無くなり、電子機器の製造を簡便に行うことができる。
また、上記実施形態では、第二樹脂充填ケース5の底壁板部33に形成された貫通孔34自体がネジ孔となっているが、例えば図10に示すように、ネジ孔を有する筒状部材45が、第二樹脂充填ケース5の貫通孔34に圧入等により嵌め込まれていてもよい。
さらに、上記実施形態では、樹脂充填ケース4,5の外周面と断熱部材7,8との間に断熱層が形成されているが、例えば、断熱部材7,8が樹脂充填ケース4,5の外周面に接触して断熱層が形成されなくてもよい。
さらに、遮断孔54,64は、第一放熱部材2や基板1の厚さ方向に貫通することに限らず、少なくとも第一放熱部材2の上面2aや基板1の上面1aから窪んで形成されていればよい。この場合、第一放熱部材2に形成される遮断孔54は、例えば位置決め溝55と同様であってもよい。また、遮断孔54,64や位置決め溝55は、例えば形成されなくてもよい。
さらに、各断熱部材7,8には、例えば接続突起51,61が形成されなくてもよい。この場合、断熱部材7,8の軸方向の一端は、例えば接着剤により基板1の下面1bや、基板1の上面に対向する第二放熱部材3の対向面に接着されてもよい。
また、上記実施形態では、放熱部材2,3と樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31とが、ネジ41,42及び放熱シート43あるいは放熱グリス44の両方によって接続されているが、例えば、ネジ41,42のみ、あるいは、放熱シート43や放熱グリス44のみによって接続されてもよい。また、放熱部材2,3と樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31とは、例えば接着によって接続されてもよい。
なお、放熱部材2,3と樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31とを放熱シート43や放熱グリス44のみによって接続する場合は、基板1や第二放熱部材3を第一放熱部材2に固定する力を利用して、樹脂充填ケース4,5を各放熱部材2,3に押し付けるようにすればよい。
さらに、第一樹脂充填ケース4の第一端部21を接着によって第一放熱部材2に固定する場合、第一樹脂充填ケース4の底壁板部23には貫通孔24が形成されなくてもよい。
また、樹脂充填ケース4,5を接着によって放熱部材2,3に固定する場合、樹脂充填ケース4,5の第一端部21,31には平板部23,33が形成されていなくてもよい。ただし、樹脂充填ケース4,5が平板部23,33を有していれば、樹脂充填ケース4,5と放熱部材2,3との接着面積が平板部23,33によって拡大するため、容易かつ確実に樹脂充填ケース4,5を放熱部材2,3に固定できる、という利点がある。
さらに、放熱樹脂6には、上記実施形態のように基板1に搭載された電子部品9,10が接触することに限らず、少なくとも基板1に形成される回路のうち冷却を要する要冷却部が接触すればよい。このような要冷却部としては、電子部品9,10の他に、配線パターンのうち通電により発熱する部分(例えば配線パターンのうち大きな電流が流れる主回路の部分)が挙げられる。
また、樹脂充填ケース4,5及び断熱部材7,8は、基板1の両主面(上面1a及び下面1b)に配されることに限らず、少なくとも電子機器の要冷却部を囲むように少なくとも基板1の一方の主面(上面1aあるいは下面1b)に配されていればよい。
さらに、断熱部材7,8の外側に配される発熱部品11,12は、一つに限らず例えば複数であってもよい。また、断熱部材7,8の外側に配される発熱部は、一つあるいは複数の発熱部品11,12によって構成されることに限らず、例えば、基板1に形成されて大きな電流が流れる配線パターンであってもよいし、これら発熱部品11,12及び配線パターンを組み合わせたものであってよい。
1 基板
1a 上面(主面)
1b 下面(主面)
2 第一放熱部材
2a 上面(対向面)
3 第二放熱部材
4 第一樹脂充填ケース
5 第二樹脂充填ケース
6 放熱樹脂
7 第一断熱部材
8 第二断熱部材
9 第一電子部品(要冷却部)
10 第二電子部品(要冷却部)
11 第一発熱部品(発熱部)
12 第二発熱部品(発熱部)
21,31 第一端部
22,32 第二端部
52,62 断熱突起部
54,64 遮断孔
57,67 樹脂注入孔
71,81 断熱層
72,82 断熱樹脂層(断熱層)

Claims (6)

  1. 少なくとも一方の主面に電子部品が搭載されて回路を形成した基板と、該基板の主面に間隔をあけた位置に配された放熱部材と、前記基板の主面から前記放熱部材まで延びる筒状の樹脂充填ケースと、該樹脂充填ケースに充填された放熱樹脂と、前記樹脂充填ケースの外側を囲むように設けられると共に前記基板の主面から前記放熱部材まで延びる筒状の断熱部材と、を備え、
    前記樹脂充填ケースが、前記回路のうち冷却を要する要冷却部を囲むように配され、
    前記放熱樹脂が、前記放熱部材側に位置する樹脂充填ケースの第一端部において隙間なく充填され、かつ、前記基板側に位置する樹脂充填ケースの第二端部において少なくとも前記要冷却部に接触することを特徴とする電子機器の熱管理構造。
  2. 前記基板の主面、及び、該主面に対向する前記放熱部材の対向面のうち、少なくとも一方の面に通電により発熱する発熱部が設けられ、
    前記一方の面における前記発熱部の設置領域と前記樹脂充填ケースの配置領域との間に、前記一方の面から窪んで前記設置領域と前記配置領域とを区画する遮断孔が形成され、
    前記断熱部材が、前記遮断孔に挿入される断熱突起部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器の熱管理構造。
  3. 前記遮断孔が、前記一方の面に直交する前記基板あるいは前記放熱部材の厚さ方向に貫通していることを特徴とする請求項2に記載の電子機器の熱管理構造。
  4. 前記断熱部材が、前記樹脂充填ケースの外周面に対して間隔をあけて配され、
    前記樹脂充填ケースと前記断熱部材との隙間に断熱層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器の熱管理構造。
  5. 前記断熱層が、前記放熱樹脂よりも熱伝導率の低い樹脂材料からなる断熱樹脂層であることを特徴とする請求項4に記載の電子機器の熱管理構造。
  6. 前記放熱部材あるいは前記基板に、前記樹脂充填ケースと前記断熱部材との隙間に連通する樹脂注入孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器の熱管理構造。
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