JP2015017421A - オンサイト地震情報を利用した建物の設計方法 - Google Patents

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Hisamitsu Kajikawa
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Abstract

【課題】地震計の設置率を向上させることによって、より詳細な地盤の情報を取得でき、これに基づいて、耐震性の高い建物を設計することができる、オンサイト地震情報を利用した建物の設計方法を提供することを目的とする。【解決手段】震源近くに設けられた地震計の情報に基づいて警報を発するとともに、震度や被災状況に応じた地震対応を行うためのオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法であって、住宅等の建物を所定の地域に新築または建て替えする際に、予め基礎に地震計を取り付けてから当該建物を建築し、建物の建築後、地震計によって計測された情報に基づいて分析された地域の地盤情報を蓄積しておき、地域に対して新たに建物を新築または建て替えする際に、蓄積された地盤情報に基づいて当該新たな建物を設計する。【選択図】図4

Description

本発明は、オンサイト地震情報を利用した建物の設計方法に関する。
気象庁が発表する緊急地震速報は、地震が発生した際に、震源に近い地震計で捉えた初期微動(P波:伝播速度 約7km/s)の観測データを解析し、震源や地震の規模(マグニチュード)を推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し、大きな揺れ(主要動)(S波:伝播速度 約4km/s)が到達する前に、可能な限り素早く知らせる情報である。また、緊急地震速報用の地震計は、各地に点在する地震計のうち震源地に最も近いものを用いる。
ところで、この種の緊急地震速報は、2007年10月から気象庁が一般向け緊急地震速報(警報)として提供を開始したもので、一般向け緊急地震速報は、「2点以上の地震観測点で観測され、最大震度が5弱以上と推定された場合」に震度4以上が予想される地域に出される。
緊急地震速報を有効に活用するには、まず地震の発生を一秒でも早く伝えることが必要であるが、地震計が設置された場所(観測地点)は日本全国に亘って配置されてはいるが、例えば東京であれば、東京23区に5ヶ所、多摩東部多摩西部に5ヶ所等地方単位での設置であり、また、気象庁で震源や地震規模等を推定する処理を行って配信するまでに時間がかかるため、より震源に近い地域に対しては十分とは言えず、現状よりもより早く情報を伝達したいという要望があった。
そこで、近年、例えば特許文献1に記載のような、より震源に近い地域に設置された現地地震計の情報に基づいて警報を発するオンサイト警報に係る技術の開発が行われている。例えば、特許文献1に記載の地震早期警報システムによれば、直下型地震など既存の緊急地震速報では猶予時間がなく、有効な対処が困難なケースについても、より速やかに警報を発し、地震被害を最小限に抑えることができる。
そして、このようなオンサイト警報に係る技術を利用することにより、震源に近い地域のそれぞれの建物に対して、緊急地震速報に比してより早く警報を発したり、それぞれの建物に設置された地震計をネットワーク化して、住宅メーカーや例えば消防等の行政機関に震度や被災状況等の地震情報を伝送し、各建物の被災状況や震度に応じた迅速な対応を行ったりすることが可能となる。
一方、本出願人は、住宅のオンサイト警報について研究を進めるとともに正確な地震情報を得ることができるとともに地震発生後の建物の被災情報をも正確に判定可能な被災度判定付地震計の開発に成功した。これは例えば特許文献2にその詳細が記載されている。
すなわち、これは住宅の布基礎に地震センサー(加速度センサー)を配置し、この地震センサーからの情報を住宅内に配置した本体表示部に震度、地震の発生日時等として表示させるもので、本体には構造計算手段によって記憶された建物情報があらかじめ記憶されており、地震発生時に検出された加速度やその他の地震情報から建物の変位角が計算され、この変位角に対応した建物の被害情報が地震発生後表示部に表示されるものである。
また、本出願人はこれらの技術を用いてオンサイトの地震情報の蓄積を始めている。
特開2009−32141号公報 特開2012−37436号公報
ところで、住宅等の建物は、建築基準法に基づいて建築される。また、建物には揺れやすい固有の周期があり、地震動に含まれる周期成分の中でも特に固有周期近傍の成分が、建物の地震応答(地震によって建物が振動する現象を言う)を大きく左右している。
例えば建物の固有の周期と、地震動に含まれる周期成分のうち当該建物の固有周期近傍の成分とが同期(共鳴・共振)してしまうと、建築基準法に則って建築された建物であっても、非常に大型の地震の場合には、想定以上に地震による被害が大きくなってしまうおそれがある。すなわち、建物が建築される地盤の情報も重要であると言え、建築基準法だけではなく、オンサイトの地盤の情報も加味して建物の設計を行いたいという要望があった。
また、地盤の情報を得るために、気象庁の地震計よりも広い範囲で数多く設置されるオンサイト警報の地震計を利用することが考えられている。そして、より詳細な地盤情報収集のために、地震計の設置率を高めていきたいという要望がある。ところが、既存の建物に地震計を設置するには配線等を始めとする各種工事が必要となり、手間とコストがかかるため、地震計の設置率の向上は容易ではないという問題があった。
本発明の課題は、地震計の設置率を向上させることによって、より詳細な地盤の情報を取得でき、これに基づいて、耐震性の高い建物を設計することができる、オンサイト地震情報を利用した建物の設計方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図22等に示すように、震源近くに設けられた地震計2の情報に基づいて警報を発するとともに、震度や被災状況に応じた地震対応を行うためのオンサイト地震情報を利用した建物1の設計方法であって、
住宅等の建物1を所定の地域(例えば住宅地40,40A)に新築または建て替えする際に、予め基礎6に前記地震計2を取り付けてから当該建物1を建築し、
前記建物1の建築後、前記地震計2によって計測された情報に基づいて分析された前記地域の地盤情報を蓄積しておき、
前記地域に対して新たに建物1を新築または建て替えする際に、前記蓄積された地盤情報に基づいて当該新たな建物1を設計することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、地震計2は、建物1の基礎6に取り付けられるので、新築時または建て替え時に取り付け工事を行えば、既存の建物に対して地震計2を取り付ける場合に比して手間やコストを減らすことができる。
また、所定の地域(例えば住宅地40,40A)に対して新たに建物1を新築または建て替えをする際に、当該建物1の基礎6に地震計2を取り付けていけば、地域における地震計2の設置率を徐々に、かつ容易に向上させることができる。このように地震計2の設置率が向上されれば、地震計2から取得できる情報もより詳細なものとなる。
そして、所定の地域に対して新たに建物1を新築または建て替えする際に、蓄積された地盤情報に基づいて当該新たな建物1を設計するので、地域の地盤情報(地盤の性質)も加味して設計を行うことができる。すなわち、新たな建物1を建築基準法に則って設計するのはもちろんこと、地域の地盤情報も加味して設計することになるので、耐震性の高い建物1を建築することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、例えば図4,図5に示すように、請求項1に記載のオンサイト地震情報を利用した建物1の設計方法において、
前記蓄積された地盤情報より得られた地震時における前記地域の地盤の揺れの周期と、前記新たな建物1の固有周期とが共振しないように、前記新たな建物1の設計を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、蓄積された地盤情報より得られた地震時における地域の地盤の揺れの周期と、新たな建物1の固有周期とが共振しないように、新たな建物1の設計を行うので、当該新たな建物1の地震応答を小さくでき、耐震性の高い建物1を確実に建築することができる。
請求項3に記載の発明は、例えば図4,図5に示すように、請求項1または2に記載のオンサイト地震情報を利用した建物1の設計方法において、
前記蓄積された地盤情報より得られた地震時における前記地域の地盤の揺れの周期と、前記新たな建物1の固有周期とが共振しないように、前記新たな建物1が建築される敷地の地盤改良を行うことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、蓄積された地盤情報より得られた地震時における地域の地盤の揺れの周期と、新たな建物1の固有周期とが共振しないように、新たな建物1が建築される敷地の地盤改良を行うので、地盤の性質を改良でき、敷地に建築される新たな建物1に伝わる地震の揺れを抑制でき、建物1の耐震性向上に寄与できる。
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図22等に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法において、
前記地域は、少なくとも住宅等の建物を始めとする住居施設を複数備えた一定範囲の住宅地40(40A)であり、
前記住宅地40(40A)に、当該住宅地40(40A)に建築される複数の前記建物1の前記地震計2からの情報を集約するための通信ネットワークN1を構築することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、住宅地40(40A)に、当該住宅地40(40A)に建築される複数の建物1の地震計2からの情報を集約するための通信ネットワークN1を構築するので、当該通信ネットワークN1を利用して、住宅地40(40A)内の複数箇所の地盤情報を取得できる。地震計2の設置率が向上されれば、住宅地40(40A)のより広い範囲の地盤情報を得ることが可能となるので、地域地盤の性質を加味した耐震性の高い建物1を新築または建て替えしやすくなる。
請求項5に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項4に記載のオンサイト地震情報を利用した建物1の設計方法において、
前記住宅地40(40A)に元々建築されている既存の建物を、前記蓄積された地盤情報に基づいてリフォームすることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記住宅地40(40A)に元々建築されている既存の建物を、前記蓄積された地盤情報に基づいてリフォームするので、地域地盤の性質を加味したリフォーム工事を既存の建物に対して行うことができる。
本発明によれば、地域における地震計の設置率を徐々に、かつ容易に向上させることができる。そして、このように地震計の設置率を向上させることによって、より詳細な地盤の情報を取得できるので、この詳細な地盤情報に基づいて、耐震性の高い建物を設計することが可能となる。
複数の建物が建築された住宅地を示す鳥瞰図である。 地盤改良された住宅地と地震計との位置関係を示す図である。 改良された地盤と建物との位置関係を示す図である。 住宅地における地震情報を示す表である。 地震の周期と地震計の変位との関係を示すグラフである。 緊急地震速報用地震計と高い位置にある建物との位置関係を示す図である。 地震表示計を含む地震計のブロック図である。 地震表示計を含む地震計の取付構造の一例を示すもので、その側断面図である。 図8とは別の取付構造を示す側断面図である。 地震表示計を含む地震計の取付構造の一例を示す斜視図である。 地震表示計を含む地震計の取付構造の一例を示す平面図である。 地震表示計の表示部の表示画面を示す図である。 地震表示計の一例を示す斜視図である。 被災度判定表を示す図である。 地域被災度判定手段である地震管理装置を示す図である。 オンサイト警報のネットワークシステムの概略を示す図である。 オンサイト警報と、気象庁の緊急地震速報用地震計との位置関係、および気象庁の緊急地震速報の概要を示す図である。 中央管理システムの概要を示す図である。 中央管理システムに収集された情報に基づく被災度分布を示す表である。 中央管理システムに収集された情報に基づく震度分布を示す表である。 建物単位でのオンサイト警報のネットワークシステムの概略を示す図である。 警報と建物内設備の制御とを連動させる例を示す概略図である。 端末情報サービスが提供される端末の一例を示す図である。 端末情報サービスが提供される端末の別の例を示す図である。 端末情報サービスが提供される端末の別の例を示す図である。 各種非常用電源と地震計との接続状態の概略を示す図である。 非常用電源が接続された地震表示計を含む地震計のブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<目次>
[住宅地の詳細および建物の設計方法]
[オンサイト警報のネットワークシステムの概略]
[地震計(地震表示計を含む)の詳細]
[地震計(地震表示計を含む)の他の例]
[第一通信ネットワークの詳細]
[第二通信ネットワークの詳細]
[第三通信ネットワークの説明]
[パワーコントロールデバイス]
[端末情報サービス]
[地震計の電力供給システム]
[地震計の停電時通信システム]
[住宅地の詳細および建物の設計方法]
図1〜図14等に示すように、震源に近い一定範囲の住宅地40(40A)内には住宅等の建物1が複数建築され、当該複数の建物1の基礎6(布基礎6)には、警報機能および被災度判定機能を有する地震計2(地震表示計3を含む)がそれぞれ設置されている。
また、前記住宅地40(40A)には、図16,図17に示すように、前記複数の建物1に設置された前記地震計2からの情報を集約するための第一通信ネットワークN1が構築されている。さらに、当該第一通信ネットワークN1と、各地の住宅地40(40A)
の地震情報が集約される中央情報処理センターCとの間には、前記住宅地40(40A)の地震情報を伝送するための第二通信ネットワークN2が構築されている。
なお、このように震源に近い地域に設置された現地(オンサイト)の地震計2の情報に基づいて警報を発する技術をオンサイト警報と称し、オンサイトの地震計2によって得られる地震情報をオンサイト地震情報と称する。また、複数の建物1が建築された住宅地40(40A)と中央情報処理センターCとの間には、第一通信ネットワークN1と第二通信ネットワークN2を含むオンサイト警報のネットワークシステムが確立されている。
前記一定範囲の住宅地40(40A)は、本実施の形態では分譲地とする。この分譲地である住宅地40(40A)は、少なくとも前記住宅等の建物1を始めとする住居施設を複数備えた土地である。より詳細には、いくつかの区画に分割して売られる一団の土地を指しており、当該分割して区画された一つ一つの土地には住宅等の建物1がそれぞれ建築される。
なお、本実施の形態においては前記一定範囲の住宅地40(40A)を分譲地としたが、これに限られるものではなく、適宜変更可能である。すなわち、例えば、町の区域を画するときに設定される「丁目」や「番地(街区符号)」等の住居表示に基づいて定められた地域のような、少なくとも住居施設を複数備えた地域であってもよい。また、住居施設だけでなく、例えば学校等の教育文化施設や商店・公園といった日常的に利用される生活環境施設を含んだ土地または地域であってもよい。さらには、少なくとも住宅等の建物1を始めとする住居施設を複数備えた土地または地域のうち、距離(例えば100m四方の区画や、1km四方の区画等)に基づいて設定された区域であってもよいものとする。また、後述するような、住宅地40(40A)の外部の土地または地域に建築された個々の建物1を含むものとしてもよい。
前記住居施設は、住宅等の建物1や、宿泊施設、介護施設等のように、人の居住が可能な建物(施設)を指している。換言すれば、人が住生活を営むことができる場として建築された建物(施設)を指しているものとする。
本実施の形態の住居施設である前記複数の建物1は、前記住宅地40(40A)が分譲地であることから、図10に示すように、戸建住宅とされている。当該建物1は、地盤に設けられた布基礎6の立上り部6a上に建築されている。
前記地震計2は、図7に示すように、地震の揺れによって生じる加速度を検出する加速度センサ2aと、震度算出部2bと、変形量算出部2cと、制御部2dと、これらを収容するケース5とを備えている。
また、この地震計2は、接続線10によって接続される地震表示計3を含んで構成されるものとする。地震表示計3は、地震計2の加速度センサ2aによって検出された加速度とその方向およびこの加速度に基づいて算出された震度、被災度ランク、損傷度予測、地震の発生日時、時刻、履歴等の地震情報を表示するものであり、建物の内壁1cに取り付けられている。なお、接続線10は、その一端部が前記加速度センサ2aに接続され、他端部が地震表示計3に接続されている。
分譲地である前記住宅地40(40A)は、建物1を建築可能とするために、例えば起伏を均一化する工事や、沼・田・小規模河川の埋め立て工事、また上下水道や電気等のライフラインの整備工事等が行われることによって造成されてなる土地(住宅造成地)である。また、地盤沈下や地盤の崩落を防ぐために必要な土地改良工事も行われる。
また、この例の住宅地40には、図1に示すように、複数の街路41a〜41gが形成されており、当該複数の街路41a〜41gによって前記住宅地40が複数の街区42a〜42eおよび緑地43を備えるように区画されている。
各街区42a〜42eは、さらに細かい区画となるように分割されており、当該分割さ
れた一つ一つの土地に建物1が建築されている。また、この住宅地40に建築される複数の建物1に前記地震計2および前記地震表示計3を適用でき、この住宅地40には前記第一通信ネットワークN1が構築される。
図2,図3は、住宅地40の地盤の状態について説明している。
このような住宅地40の地盤の状態は、当該住宅地40内の複数の建物1に設置された複数の地震計2のデータに基づいて判明させることができる。すなわち、複数の地震計2のデータは、前記第一通信ネットワークN1や前記第二通信ネットワークN2を通じて、後述する地震管理装置15や後述する蓄積サーバー16a等に蓄積されており、蓄積されたデータを解析することによって住宅地40の地盤の状態を判明させることができる。
図2に示す住宅地40は、斜面を切り崩して均した切土地盤44aと、斜面に土を盛って平らに整地した盛土地盤44bとからなる土地であり、これら切土地盤44aの地面と、盛土地盤44bの地面は面一となるように均されている。なお、切土地盤44aと盛土地盤44bとの境界は切盛境界44cとされている。
このような住宅地40は、盛土地盤44bおよび切盛境界44cに地震力(加速度)が作用しやすくなる性質を持っている。切土地盤44aは、盛土地盤44bおよび切盛境界44cに比して地盤が固く、地震力は作用しにくい。
また、図1,図2に示す住宅地40においては、切土地盤44aが、造成前の状態よりも最大で30m程度地盤を切り崩して造成されたものであり、盛土地盤44bが、造成前の状態よりも最大で30m程度盛土されて造成されたものとなっている。
なお、新たに地震計2を当該住宅地40に建築された複数の建物1に設置する場合は、例えば切土地盤44a、盛土地盤44b、切盛境界44cに建築された建物1のそれぞれに地震計2を設置すると、地震情報の質を高める上でより好適となる。
また、住宅地40内の複数の建物1に設置された各地震計2には、図2に示すようにナンバーを付与し、データ収集の際にどの地震計2からの情報であるかを判明しやすくしておく。また、これら各地震計2には、当該地震計2が設置された建物1の基本情報(建物1の所有者や住所等)を記憶させておくようにする。
さらに、図2では住宅地40を、縦方向を[1][2][3]のエリアに分け、横方向を[A][B][C][D][E]のエリアに分けている。これによって、地震計2がどこのエリアに属するかを容易に判明させることができる、例えばNo.1の地震計2は[1−A]のエリアに属している。このような情報も、前記基本情報として前記地震計2に記憶させておく。
図6に示す例は、山や丘等の高台(高さの高い位置)にある住宅地40Aである。このような住宅地40Aは、性質として比較的地盤は強固であるものの、地震時に高台全体が揺れる場合がある。したがって、このような高台にある住宅地40Aに建築された建物1も同様に揺れる場合がある。
また、図示はしないが、この例の住宅地40Aには、図1に示す例と同様に、複数の街路や複数の街区が形成され、当該街区が分割されて細かい区画となった一つ一つの土地に建物1が建築されている。また、この住宅地40Aに建築される複数の建物1に前記地震計2および前記地震表示計3を適用でき、この住宅地40Aには第一通信ネットワークN1が構築される。
なお、高台にある住宅地40Aの場合、切り崩す範囲が限られる場合があるため、多くの建物1が建築される分譲地に限らず、最小限の数(本実施の形態では例えば2戸)の建物1が建築される土地としてもよい。
なお、本実施の形態の住宅地として、前記住宅地40,40Aの例を挙げたが、これに限られるものではない。すなわち、地形や地質は多様であるため、このような土地・地盤
を整備造成してなる住宅地の性質も同じく多様であり、したがって、住宅地として、前記住宅地40,40A以外にも様々な例が挙げられることは言うまでもない。
ここで、前記建物1は、建築基準法に基づいて建築される。また、当該建物1を始めとする構造物には揺れやすい固有の周期があり、地震動に含まれる周期成分の中でも特に固有周期近傍の成分が、建物の地震応答(地震によって建物が振動する現象を言う)を大きく左右している。例えば建物の固有の周期と、地震動に含まれる周期成分のうち当該建物の固有周期近傍の成分とが同期(共鳴)してしまうと、建築基準法に則って建築された建物であっても、地震による被害が大きくなってしまう場合がある。
図4に示すグラフでは、地震が発生してから0.5秒までの間に、建物1に0.5cmの変位が生じることが表されている。したがって、例えば地震の揺れの周期が、このグラフの波形と同様の形状となってしまうと、地震による被害が大きくなってしまう場合がある。
また、図5に示す表では、各地震の起きた日付や時刻と、それに対応する地震情報が表されている。ここでの地震情報として、気象庁地震計による計測震度である「震度」、「震度階」、X軸・Y軸・Z軸の「最大加速度」が表されている。なお、震度とは地震の加速度が重力加速度の何倍であるかの値を指し、震度階とは人の体感や被害状況に合わせて地震の大きさを表した階級を指す。
図5の表では、震度(計測震度)と震度階との間に差がある場合がある。すなわち、計測値と実際の被害状況とが乖離する場合がある。このような状況は、前記住宅地40,40Aが造成される地盤の性質等によって生じる場合がある。このため、震度と震度階との間に差が生じやすい土地では、前記住宅地40,40Aの適切な地盤改良や建物1の固有周期の変更等の対策が行われることが望ましい。
このため、前記住宅地40,40Aに、新築または建て替えで建築される建物1(新たな建物1)は、建築基準法だけではなく、地盤の情報も加味して設計が行われることが望まれている。
本実施の形態の建物1の設計方法は、上述の、震源近くに設けられた地震計2の情報に基づいて警報を発するとともに、震度や被災状況に応じた地震対応を行うためのオンサイト地震情報(オンサイト警報)を利用したものである。
まず、前提条件として、建物1を前記住宅地40,40Aに新築または建て替えする際に、予め前記基礎6に前記地震計2を取り付けてから当該建物1を建築する。
続いて、前記建物1の建築後、前記地震計2によって計測された情報に基づいて分析された前記住宅地40,40Aの地盤情報を蓄積しておくようにする。
なお、前記地震計2によって計測された情報の分析や、前記住宅地40,40Aの地盤情報の蓄積は、前記地震計2で行われるものとしてもよいし、後述する地震管理装置15で行われるものとしてもよい。
そして、前記住宅地40,40Aに対して新たに建物1を新築または建て替えする際に、前記蓄積された地盤情報に基づいて当該新たな建物1を設計する。
すなわち、前記蓄積された地盤情報より得られた地震時における前記地域の地盤の揺れの周期と、前記新たな建物1の固有周期とが共振しないように、前記新たな建物1の設計を行う。より具体的には、壁量を増やしたり、間取りを変更したり、または制振技術等を適用することによって建物1の固有周期を変更することができる。
これによって、新たな建物1の地震応答を小さくでき、耐震性の高い建物1を確実に建築することができる。
また、前記蓄積された地盤情報より得られた地震時における前記地域の地盤の揺れの周
期と、前記新たな建物1の固有周期とが共振しないようにするために、前記新たな建物1が建築される敷地の地盤改良を行うようにしてもよい。
具体的には、表層の軟弱地盤を下部の良好地盤と一体化させて支持地盤を作ったり、地盤中にセメントミルクからなる柱状体を作ったり、鋼管杭を打ち込んだりする等、地盤に応じて様々な工法が採られる。
これによって、地盤の性質を改良でき、敷地に建築される新たな建物1に伝わる地震の揺れを抑制でき、建物1の耐震性向上に寄与できる。
また、前記住宅地40,40Aに構築された前記第一通信ネットワークN1によって、前記住宅地40,40Aに建築(新築または建て替え)される複数の建物1の前記地震計2からの情報を集約するようにしてもよい。
前記第一通信ネットワークN1を利用すれば、前記住宅地40,40A内の複数箇所の地盤情報を取得できる。また、地震計2の設置率が向上されれば、住宅地40,40Aのより広い範囲の地盤情報を得ることが可能となるので、地域地盤の性質を加味した耐震性の高い建物1を新築または建て替えしやすくなる。
また、前記住宅地40,40Aに新築または建て替えされる建物1は、前記地盤情報に基づいて設計されるため、耐震性の高いものとなるが、前記住宅地40,40Aに元々建築されている既存の建物は、何も手段を講じなければ、建て替え工事まで固有周期の変更等の対策が行われないことになる。そこで、当該既存の建物については、前記蓄積された地盤情報に基づいてリフォームを行ってもよいものとする。
特に、前記住宅地40,40A内により多くの地震計2が設置され、前記住宅地40,40A全体における地盤情報の精度が高まれば、既存の建物のリフォームの精度も高まるので好ましい。
これによって、地域地盤の性質を加味したリフォーム工事を行うことができる。
本実施の形態のオンサイト地震情報を利用した建物1の設計方法によれば、前記地震計2は、前記建物1の前記基礎6に取り付けられるので、新築時または建て替え時に取り付け工事を行えば、既存の建物に対して前記地震計2を取り付ける場合に比して手間やコストを減らすことができる。
また、前記住宅地40,40Aに対して新たに建物1を新築または建て替えをする際に、当該建物1の前記基礎6に前記地震計2を取り付けていけば、前記住宅地40,40Aにおける前記地震計2の設置率を徐々に、かつ容易に向上させることができる。このように地震計2の設置率が向上されれば、前記地震計2から取得できる情報もより詳細なものとなる。
そして、前記住宅地40,40Aに対して新たに建物1を新築または建て替えする際に、蓄積された地盤情報に基づいて当該新たな建物1を設計するので、地域の地盤情報(地盤の性質)も加味して設計を行うことができる。すなわち、前記新たな建物1を建築基準法に則って設計するのはもちろんこと、前記住宅地40,40Aの地盤情報も加味して設計することになるので、耐震性の高い建物1を建築することが可能となる。
[オンサイト警報のネットワークシステムの概略]
前記オンサイト警報のネットワークシステムは、図1〜図21等に示すように、震源近くに設けられた地震計2の情報に基づいて警報を発するとともに、震度や被災状況に応じた地震対応を行うためのものである。
図17に示すように、日本の全国各地には気象庁が設置した地震計Kが設置されている。気象庁は、各地の地震計Kから収集した観測データに基づいて緊急地震速報を配信している。
緊急地震速報とは、地震が発生した際に、震源に近い地震計Kで捉えた初期微動(P波
:伝播速度 約7km/s)の観測データを解析し、震源や地震の規模(マグニチュード)を推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を推定し、大きな揺れ(主要動)(S波:伝播速度 約4km/s)が到達する前に、可能な限り素早く知らせる情報である。また、緊急地震速報用の地震計Kは、全国各地に点在する地震計Kのうち震源地に最も近いものを用いる。
このように全国の各地に点在する気象庁の地震計Kに対し、前記オンサイト警報のネットワークシステムにおける地震計2は、住宅地40(40A)内の複数の建物1の基礎6に設置されている。
すなわち、震源が、気象庁の地震計Kよりも住宅地40(40A)の方が近い場合、気象庁の緊急地震速報が住宅地40(40A)に知らされるまでにタイムラグが生じる場合がある。ところが、本実施の形態においては、住宅地40(40A)の複数箇所に地震計2が設けられたことになるので、緊急地震速報用の地震計KがP波を捉えるよりも先に、住宅地40(40A)の地震計2がP波を捉え、いち早く警報を発することができる。
なお、図17に示すように、震源に近いものの、地震計2が設置されていない建物1Aに対しては、緊急地震速報が配信されるまで何ら警報が発せられないため、被害が大きくなる場合がある。
前記第一通信ネットワークN1は住宅地40(40A)に構築されている。
前記住宅地40(40A)内には、図16に示すように、前記複数の建物1に設置された前記地震計2からの情報を集約して被災度等を分析処理する地域被災度判定手段(地震管理装置15)が設けられており、当該地域被災度判定手段と前記複数の建物1の各地震計2とは無線(または有線)接続されている。すなわち、この第一通信ネットワークN1は、前記複数の建物1に設置された前記地震計2と、地域被災度判定手段とを通信可能に接続することによって構成されている。
前記第二通信ネットワークN2は、前記第一通信ネットワークN1と中央情報処理センターCとの間に構築されている。
中央情報処理センターCには、各地の住宅地40(40A)の地震情報を集約して被災度等を分析処理する全国被災度判定手段が設けられており、当該全国被災度判定手段と全国各地の住宅地40(40A)とは無線(または有線)接続されている。すなわち、この第二通信ネットワークN2は、前記各地の住宅地40(40A)と、前記中央情報処理センターCの全国被災度判定手段とを通信可能に接続することによって構成されている。
[地震計(地震表示計を含む)の詳細]
地震計2は、上述のように、地震の揺れによって生じる加速度を検出する加速度センサ2aと、震度算出部2bと、変形量算出部2cと、制御部2dと、これらを収容するケース5とを備えている。
加速度センサ2aは、地震の発生により後述する建物の布基礎6が横揺れしたときに、水平方向の加速度が加わると、その加速度に比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。例えば、建物1の平面視において直角に配置された一の外壁と他の外壁のうちの一の外壁と平行な方向をX方向とし、他の外壁と平行な方向がY方向とすると、建物に作用した加速度をX方向とY方向に分離し、この分離したX方向とY方向における加速度にそれぞれ比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。
また、加速度センサ2aは、地震の発生により建物の布基礎6が縦揺れしたときに鉛直方向の加速度が加わると、その加速度に比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。例えば、鉛直方向をZ方向すると、建物に作用したZ方向における加速度に比例した電圧レベルで地震検出信号を出力するようになっている。このような加速度センサ2aはケース5に収容されている。
なお、当該加速度センサ2aでは、地震が発生した際の初期微動(P波:伝播速度 約
7km/s)を検知だけでなく、主要動(S波:伝播速度 約4km/s)も検知できる。
震度算出部2bは、CPU(中央演算処理装置)、メモリまたはハードディスク装置等に記憶されている震度算出プログラム等によって構成されており、地震計2の加速度センサ2aからの地震検出信号が制御部2dを介して入力され、この地震検出信号に基づいて震度を算出するようになっている。
また、震度算出部2bは、加速度センサ2aからの地震検出信号に基づいて、X方向、Y方向、Z方向におけるそれぞれの最大加速度を算出するようになっている。X方向とY方向は水平面内で直交する方向であり、例えば、図10に示すように、建物1の平面視において直角に配置された一の外壁1aと平行な方向をX方向、一の外壁1aと直角に配置された他の外壁1bと平行な方向をY方向とする。また、Z方向は鉛直方向とする。
さらに、震度算出部2bは時計機能を有しており、加速度センサ2aからの地震検出信号が入力されたとき、つまり地震が生じたときの時刻、日付を取得できるようになっている。
変形量算出部2cは、後述するデータ記憶部3cに記憶されている建物情報と加速度センサ2aによって計測された加速度から前記建物1の変形角を計算するものである。建物の変形角は、建物1に地震によって水平に力が作用した際に生じる層間変形角(tanθ)で示される。
制御部2dは、震度算出部2b、変形量算出部2cのそれぞれの制御を行うもので、主にCPU(中央演算処理装置)によって構成されている。
地震計2のケース5は、図8に示すように、矩形箱状に形成されており、その底面に平坦な取付面5aが形成されている。そして、この取付面5aが布基礎6の立上り部6aの側面の上端部に当接されている。
また、ケース5の底板部にはフランジ部5b,5bが形成されており、このフランジ部5b,5bに形成された貫通孔に、コンクリートビス等の取付具7,7が挿通され、前記立上り部6aにねじ込まれている。
また、ケース5のフランジ部5b,5bの表面とその近傍の立上り部6aの表面には、フランジ部5b,5bの表面を覆うようにしてモルタル等の固着剤8が塗布されている。
このように、地震計2のケース5は、取付具7,7および固着剤8によって立上り部6aに一体的に固定されている。
このようにして、地震計2は布基礎6の立上り部6aの側面の上端部に取り付けられている。
なお、地震計2は布基礎6の立上り部6aの側面に直接取り付けるものに限らず、例えば図9に示すように、布基礎6の立上り部6aの側面の上端部に取付金具9を介して取り付けてもよい。取付金具9は断面L型のアングル材9aを補強板9bによって補強してなるものであり、アングル材9aがコンクリートビス等によって布基礎6の立上り部6aの上端部に固定されている。そして、アングル材9aの上面に前記ケース5の取付面5aがねじ止め等の手段によって取付固定されている。
地震計2は、上記のようにして布基礎6の立上り部6aの側面の上端部に取り付けられているが、本実施の形態では、布基礎6のうち、外周の布基礎6には取り付けられず、平面視において建物1の内側に位置する布基礎6に取り付けられている。
すなわち、図10に示すように、建物1の平面視において直角に配置された一の外壁1aと他の外壁1bのうちの一の外壁1aと直角に配置され、かつ平面視において建物1の内側に位置して、当該建物1の内側の壁1cが設置される布基礎6の立上り部6aに、前記地震計2が取り付けられている。つまり、外周の布基礎6と直角に交わって配置された
内側の布基礎6の立上り部6aに地震計2が取り付けられている。
さらに、前記地震計2は、平面視において建物1の中央部に位置する布基礎6の立上り部6aに取り付けられている。
すなわち、例えば図11(a),(b)に示すように、平面視において、正方形リング状または角部に凹所を有する略正方形リング状に設けられ、建物1の外周部の外壁が設置された外周の布基礎6の中央部に内側の布基礎6が設けられている場合、外周の布基礎6の一辺を4等分するとともに、この一辺に直角に交わる他辺を4等分すると、中央部に位置する一辺の2分の1の長さの部分と、中央部に位置する他辺の2分の1の長さの部分とが交差する、中央部分(斜線で示す部分)6cの領域に位置する立上り部6aの所望の位置に地震計2が取り付けられている。
最も望ましくは、平面視における布基礎6の重心位置またはこの重心位置の近傍に位置する布基礎6の立上り部6aに、地震計2が取り付けられている。
このような位置に地震計2を取り付けることによって、当該地震計2を外側の風雨から保護できるとともに、地震の際の布基礎6の各部位の平均的な揺れを、地震計2によって計測することができる。
なお、本実施の形態では、平面視において建物1の内側に位置する布基礎6の側面に地震計2を取り付けたが、これに代えて、外周側に位置する布基礎6の側面に地震計2を取り付けてもよい。この場合、地震計2を風雨等から保護するために、当該布基礎6の両側面にうち、建物1の内側を向く側面に地震計2を取り付けるのが望ましい。
前記地震表示計3は、地震計2の加速度センサ2aによって検出された加速度とその方向およびこの加速度に基づいて算出された震度、被災度ランク、損傷度、行動指針コメント、地震の発生日時、時刻、履歴等の地震情報を表示するものであり、例えば図10に示すように、建物の居住部また廊下等の内壁1cに取り付けられている。
地震計2の加速度センサ2aには、図8〜図10に示すように、接続線10の一端部が接続されており、この接続線10の他端部は地震表示計3に接続されている。接続線10は地震計2から上方に延び、建物の床11を構成する床パネルを上下に貫通し、さらに、建物の内壁1cを構成する壁パネルの下端部から壁パネル内に挿入され、さらに、上方に引き延ばされて、壁パネルの表面に取り付けられた地震表示計3に接続されている。
なお、図示は省略するが、電源コードは地震計2から上方に延び、建物の床11を構成する床パネルを上下に貫通し、さらに、建物の内壁1cを構成する壁パネルの下端部から壁パネル内に挿入され、さらに、上方に引き延ばされて、壁パネルの内部に設けられたコンセントに接続されている。
前記地震表示計3は、図7に示すように、制御部3a、データ記憶部3c、表示部3eを備えており、データ記憶部3c、表示部3eはそれぞれ制御部3aに接続されている。このような地震表示計3は、CPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM等のメモリや必要に応じてハードディスク装置等の記憶部を備えており、これらは矩形箱状のケース3fに内蔵されている。つまり、ケース3fに前記制御部3a、データ記憶部3c、表示部3e等が内蔵されている。
制御部3aは、データ記憶部3c、表示部3eのそれぞれの制御を行うもので、主にCPU(中央演算処理装置)によって構成されている。
そして、地震計2の加速度センサ2aによって検出された加速度、震度算出部2bによって算出された震度、X方向、Y方向、Z方向におけるそれぞれの最大加速度、取得された時刻、日付等の地震情報は、制御部3aによってデータ記憶部3cに記憶されるとともに表示部3eに表示される。さらに、このデータ記憶部3cには、複数の地震情報が履歴として記憶されるようになっている。
また、このデータ記憶部3cには、建物の構成部材および構造に係る建物情報が記憶されている。建物の構成部材とは、例えば柱、梁、壁、屋根等の構造部材や、筋かい、外装材等の部材であり、これらがその種類、大きさ(柱や梁の太さ、長さ等)、強度、配置位置、壁量等とともにデータ記憶部3cに予め記憶されている。建物の構造とは、例えば、在来の軸組構造、パネル工法による構造、ツーバイフォー工法による構造、軽量鉄骨で形成された建物ユニットを組み合わせてなるユニット式建物による構造等が挙げられ、その建物の階数等とともにデータ記憶部3cに予め記憶されている。
また、データ記憶部3cには、建物1の被災度ランクとしてランク1〜ランク5までが建物の変形角に対応付けられて記憶され、地盤の被災度ランクとして、ランク1とランク2とが震度に対応付けられて記憶されている。
また、データ記憶部3cには、建物1の損傷度の予測として、「なし」、「小」、「中」、「大」が被災度ランクと対応付けられて記憶されている。なお、データ記憶部3cは、前記メモリやハードディスク装置等によって構成されている。
さらに、データ記憶部3cには、前記地震計2が初期微動(P波)を検知した際に即座に警報(本実施の形態ではサイレン等の警報音)を発するための警報発生プログラムが記憶されている。また、この警報発生プログラムは、前記地震計2が主要動(S波)を検知した際にも即座に警報音を発するように設定されている。なお、初期微動と主要動とで発せられる警報音が異なっていてもよい。
すなわち、地震表示計3は、前記制御部3aと、前記警報発生プログラムと、後述するスピーカー38等の出力部とからなる警報発生手段を備えるものとする。
また、データ記憶部3cには、地震計2が設置された基本情報(建物1の所有者や住所、エリア等)が記憶されている。このような基本情報は、最終的に中央情報処理センターCへと送られる地震情報に付与される。
さらに、データ記憶部3cには、建物1の被災内容に対する行動指針コメントとして、「専門業者へ連絡下さい」、「直ちに避難し専門業者へ連絡下さい」が建物の変形角に対応付けられて記憶されている。
表示部3eは、例えば液晶表示装置等によって構成されており、加速度センサ2aによって検出された加速度、震度算出部2bによって算出された震度、X方向、Y方向、Z方向におけるそれぞれの最大加速度、取得された時刻、日付等の地震情報や、データ記憶部3cに記憶されている過去の履歴の地震情報は、制御部3aによって読み出されて表示部3eに表示されるようになっている。
ケース3fには、各種操作ボタンが設けられており、この操作ボタンをユーザーが操作することによって、制御部3aに指示を出して、この制御部3aが表示部3eに、指定された日付、時刻の地震情報や地震情報の履歴等を表示するようになっている。
そして、地震が発生すると、地震計2の変形量算出部2cによって、地震表示計3のデータ記憶部3cに記憶されている建物情報と地震計2の加速度センサ2aから得られる加速度とに基づいて建物1の変形角が計算される。
次に、この計算された変形角を、データ記憶部3cに記憶されている変形角と参照して、計算された変形角に対応する変形角に対応付けられている建物1の被災度ランクを呼び出して、表示部3eに建物の被災度ランクとして、図12に示すように、表示する。図12では、例えば、建物1の被災度ランク3の場合を示している。
同様に、地震表示計3では、震度算出部2bで算出された震度を、データ記憶部3cに記憶されている震度と参照し、算出された震度に対応する震度に対応付けられている地盤の被災度ランクをデータ記憶部3cから呼び出して、表示部3eに地盤の被災度ランクとして表示する。図12では、例えば、地盤の被災度ランク1の場合を示している。なお、震度は各震度の数値に対して強弱の二つがある。例えば震度6の場合、震度6強と震度6
弱の二つがある。図12では、例えば、震度6強の場合を示している。
さらに、地震表示計3では、震度算出部2bによって算出されたX方向、Y方向、Z方向におけるそれぞれの最大加速度を表示部3eに表示する。この表示は、例えば、表示部3eに、「X」、「Y」、「Z」の文字と、最大加速度の数値とを表示する領域があり、この領域において、「X」、「Y」、「Z」の文字が例えば3秒毎に自動的に切り替わり、この文字に対応した最大加速度がガル数値で表示される。図12では、例えば、建物1のX方向における最大加速度が1234ガルの場合を示している。
また、図12に示すように、表示部3eには、「X」、「Y」、「Z」の文字を表示する領域に隣接して、「R」の文字を表示する領域がある。この「R」の表示は、加速度センサ2aの測定保証範囲を超えた加速度を計測した場合に点灯するように設定されている。
加えて地震表示計3では、建物1の損傷度を表示部3eに表示する。この表示は、例えば、表示部3eに、損傷度として「なし」、「小」、「中」、「大」の文字を表示する領域があり、この領域において、建物の被災度に対応した損傷度が表示される。図12では、例えば、損傷度「中」の場合を示している。
また、変形量算出部2cによって計算された建物1の変形角を、データ記憶部3cに記憶されている変形角と参照して、計算された変形角に対応する変形角に対応付けられている行動指針コメントを呼び出して、表示部3eに表示する。この表示は、例えば表示部3eに、行動指針コメントとして「専門業者へ連絡下さい」、「直ちに避難し専門業者へ連絡下さい」の文字を表示する領域39aがあり、この領域39aにおいて、建物1の変形角に対応した行動指針コメントが表示される。図12では、例えば、行動指針コメント「専門業者へ連絡下さい」の場合を示している。
なお、前記行動指針コメントについて、より詳細に説明する。
行動指針コメントは、上述のように建物1の変形角に対応付けられて記憶されているので、行動指針コメントと被災度ランクは共通して建物1の変形角に対応付けられている。このため、行動指針コメントは被災度ランクのランク1〜ランク5とも対応した状態となっている。
被災度ランクがランク1の場合は、損傷状況が「なし」でもあるため、行動指針コメントとしては表示部3eに何も表示されない。このような表示部3eの制御は制御部3aによって行われている。
ランク2〜4の場合は、行動指針コメントとして「専門業者へ連絡下さい」の文字が表示部3eに表示される。
ランク5の場合は、行動指針コメントとして「直ちに避難し専門業者へ連絡下さい」の文字が表示部3eに表示される。
つまり、本実施の形態において行動指針コメントは、「表示なし」の場合も含めて少なくとも3パターンに設定されている。そして、行動指針コメントは、地震が発生して冷静さを欠きやすいとき、ユーザー自身が何をすべきか、というアドバイスとしても機能する
前記地震表示計3は、図13に示すように、矩形箱状のケース3fの前面中央部に液晶画面で構成された表示部3eが設けられ、この表示部3eに図12に示すような情報が表示される。
また、地震表示計3の表示部3eの上方には、建物用のLEDランプ31aと地盤用のLEDランプ31bが設けられている。LEDランプ31aは、建物1の被災度がランク1およびランク2の場合、青色で点灯し、ランク3の場合は黄色で点灯し、ランク4の場合は赤色で点灯し、さらにランク5の場合は赤色で点滅する。LEDランプ31bは地盤の被災度がランク1の場合青色で点灯し、ランク2の場合橙色で点灯する。
また、地震表示計3の表示部3eの下方には、押しボタン32a,32b,32bが設
けられており、中央の押しボタン32aによって、画面切り替えを行える。例えば、地震発生に備えた待機画面と、過去の地震履歴を検索する際の検索画面とで画面切り替えを行える。左右両側の押しボタン32b,32bは検索画面で検索日時を選択するとき等に使用する。
さらに、地震表示計3のケース3fの外面のうちの上面には、表示部3eに表示された加速度の方向に対応する方向(X、Y、Z)を表示する方向表示部33が設けられている。この方向表示部33は、ケース3fの上面に、「X−Y軸」と、X軸とY軸との交点(原点)に記載された「◎印」を印刷等によって記載することにより行う。「◎印」は鉛直方向(Z軸方向)を示している。
また、ケース3fの側面には取付部34が形成されており、この取付部34に被災度判定表35が紐等によって取り付けられている。
この被災度判定表35は、図14に示すように、建物1の被災度ランクに対応して、LEDランプ31bの点灯色、被災の際の行動指針コメント、損傷内容が記載されるとともに、地盤の被災度ランクに対応して、LEDランプ31bの点灯色、被災の際のコメントが記載されている。
したがって、ユーザーは、この被災度判定表35を参照することによって、表示部3eに表示されている被災度ランクに対応した建物や地盤の損傷内容を容易に知ることができるとともに、対応策についても容易に検討できる。
また、本実施の形態において、地盤における被災の際のコメントは、「表示なし」、「地盤被害の可能性あり」の2パターンに設定されている。また、この地盤に係わるコメントを表示するための領域39bが、前記領域39aの上方に設けられている。
また、地震表示計3のケース3fの外面には、建物1の修繕に係わる業者(専門業者)の連絡先が記載された記載欄36が設けられている。本実施の形態においては、ケース3fの前面下部に、例えば住宅メーカーの担当者の連絡先と氏名を記載する記載欄36が設けられている。したがって、地震が発生し、表示部3eに行動指針コメントが表示されたら、ユーザーは記載欄36に記載された専門業者の連絡先を確認し、電話等の連絡手段によって専門業者に連絡を行い、被災度ランクや損傷度等を通知する。
また、前記ケース3fの外面には建物1の修繕に係わる業者(専門業者)のホームページへのアクセス情報が記録されたバーコード37が設けられている。本実施の形態においては、前記記載欄36の横にバーコード37が記載されている。バーコード37を図示しないバーコードリーダーによって読み込むことによって、住宅メーカーのホームページを呼び出して、このホームページに掲載されている被災度判定表35を閲覧できる。なお、前記ホームページは、表示部3eに表示できるようにしてもよい。この場合、地震表示計3をインターネットに接続するとともに、当該地震表示計3にバーコードリーダーを接続しておけばよい。また、ホームページは別途パソコン等よって閲覧してもよい。
さらに、ケース3fの側面にはスピーカー38が設けられている。このスピーカー38は、例えば、警報音を出力したり、表示部3eに表示された震度、被災度ランク、損傷度等を音声にて告知したり、緊急地震速報を音声にて告知するようになっている。
なお、地震表示計3は、前記地震計2に基づく地震情報を外部に送信する通信手段(図示せず)を備えるものとする。このような通信手段は、前記制御部3aによって、地震が生じるごとに自動的に地震情報を外部(例えば地域被災度判定手段、全国被災度判定手段)に送信するようになっており、また、操作ボタンを利用者が操作することによって、前記制御部3aに指示を出して、この制御部3aが通信手段を制御して所望の地震情報を外部に送信できるようになっている。
そして、このような通信手段はインターネット等の外部通信網に接続されている。
[地震計(地震表示計を含む)の他の例]
地震計2および地震表示計3は、図7に示す例のものに限られるものではなく、図27に示すような他の構成の地震計2Aおよび地震表示計3Aを採用してもよい。なお、説明の便宜上、上述した図7の例との共通部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図27に示す地震計2Aは、図7に示す地震計2と同様の加速度センサ2aと、この加速度センサ2aを収容するケース5とを備えるものとされている。
図27に示す地震表示計3Aは、制御部3a、震度算出部3b、データ記憶部3c、構造計算部3d、表示部3e、停電時通信用チップ3g(後述する)を備えており、震度算出部3b、データ記憶部3c、構造計算部3d、表示部3eはそれぞれ制御部3aに接続されている。
震度算出部3bは、加速度センサ2aからの地震検出信号に基づいて、X方向、Y方向、Z方向におけるそれぞれの最大加速度を算出するようになっている。すなわち、この震度算出部3bは、図7に示す震度算出部2bと同様の機能を有する。
構造計算部3dは、データ記憶部3cに記憶されている建物情報と地震計2によって計測された加速度から前記建物1の変位角を計算するものである。すなわち、この構造計算部3dは、図7に示す変形量算出部2cと同様の機能を有する。
以上のように、図7に示す地震計2および地震表示計3に対して、図27に示す地震計2Aおよび地震表示計3Aは、地震表示計3Aにより多くの機能を持たせた状態となっている。このような場合は、地震計2Aの機能を、地震が起きた際の加速度の検知に特化させることが可能となっている。
[第一通信ネットワークの詳細]
前記第一通信ネットワークN1は、上述のように、前記複数の建物1に設置された前記地震計2と、地域被災度判定手段とを通信可能に接続することによって構成されている。
地域被災度判定手段は、図16に示すように、前記住宅地40内に設けられている。すなわち、前記住宅地40内の所定の場所には、当該地域被災度判定手段として地震管理装置15が設けられている。そして、この地震管理装置15と、前記住宅地40内に建築された複数の建物1のそれぞれの地震計2とが、インターネット等を介して無線接続されている。このようにして前記第一通信ネットワークN1が概略構成されている。
なお、ここでは、全国各地の住宅地40,40A…のうち前記住宅地40に設けられた第一通信ネットワークN1について説明する。
第一通信ネットワークN1を構成する前記地震管理装置15は、CPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM等のメモリ、ハードディスク装置等の記憶部等を備えている。また、この地震管理装置15には、図15に示すように、各建物1に設置された前記地震計2がインターネットを介して接続されている。
より詳細に説明すると、地震管理装置15は、図15に示すように、制御部15a、地震情報記憶部15b、建物情報記憶部15c、構造計算手段15d、建物被害情報記憶部15e、被害情報抽出手段15f、通信部15gを備えており、地震情報記憶部15b、建物情報記憶部15c、構造計算手段15d、建物被害情報記憶部15e、被害情報抽出手段15f、通信部15gはそれぞれ制御部15aに接続されている。
制御部15aは、地震情報記憶部15b、建物情報記憶部15c、構造計算手段15d、建物被害情報記憶部15e、被害情報抽出手段15f、通信部15gのそれぞれの制御を行うもので、主にCPU(中央演算処理装置)によって構成されている。
通信部15gは、前記地震計2との間でインターネットを介して情報の送受信を行うも
のである。
地震情報記憶部15bは、前記地震計2によって計測された加速度および建物1の震度等の地震情報を記憶するものであり、前記ハードディスク装置によって構成されている。
そして、地震管理装置15の地震情報記憶部15bには、各建物1に設置された地震計2から送信されてきた地震情報が、制御部15aによって、各建物1に対応付けて記憶されている。また、地震情報記憶部15bに蓄積された各地震計2のデータを解析することにより、当該地震計2のある住宅地40(40A)の地盤の状態を判明させることができる。
建物情報記憶部15cは、建物1の構成部材および構造に係る建物情報を記憶している。建物1の構成部材とは、例えば柱、梁、壁、屋根等の構造部材や、筋かい、外装材等の部材であり、これらがその種類、大きさ(柱や梁の太さ、長さ等)、強度、配置位置、壁量等とともに建物情報記憶部15cに予め記憶されている。建物1の構造とは、例えば、在来の軸組構造、パネル工法による構造、ツーバイフォー工法による構造、軽量鉄骨で形成された建物ユニットを組み合わせてなるユニット式建物による構造等が挙げられ、その建物1の階数等とともに建物情報記憶部15cに予め記憶されている。
構造計算手段15dは、建物情報記憶部15cに記憶されている建物情報と地震計2によって計測された加速度から前記建物1の変位角を計算するものである。建物1の変位角は、建物1に地震によって水平に力が作用した際に生じる層間変位角(tanθ)で示すのが好ましい。
建物被害情報記憶部15eは、地震の際の前記建物1の構成部材の被害情報を、予め地震の際の前記建物1の変位角ごとに対応付けて記憶しているものである。
また、建物被害情報記憶部15eには、各建物1ごとに、地震の際の当該建物1の構成部材の被害情報が記憶されている。このような建物被害情報記憶部15eは前記ハードディスク装置によって構成されている。
本実施の形態では、地震の際に建物に生じる変位角を、建物固有の構造強度、構成部材等に基づいて予め算出しておく。
そして、この変位角に対応させて、「構造体」、「外装材」、「内装材」の被害情報を実験や経験に基づいて具体的に設定し、これを建物被害情報記憶部15eに、各建物1ごとに記憶させておく。
被害情報抽出手段15fは、前記構造計算手段15dで計算された変位角と、建物被害情報記憶部15eに記憶されている変位角とに基づいて、建物被害情報記憶部15eに記憶されている建物1の構成部材の被害情報を抽出するものであり、CPU(中央演算処理装置)、メモリまたはハードディスク装置等に記憶されている抽出プログラム等によって構成されている。
この被害情報抽出手段15fでは、例えば、地震が発生したときに、ある建物1の布基礎6に、ある加速度が作用すると、これを地震計2の加速度センサ2aが検出し、この検出された加速度やその他の地震情報が、前記地震表示計3のデータ記憶部3cに記憶されるとともに、インターネット等を介して、地震管理装置15に自動的に送信され、その地震情報記憶部15bに記憶される。
そして、この地震管理装置15では、構造計算手段15dによって、建物情報記憶部15cに記憶されている建物情報と前記加速度とから建物1の変位角が計算される。次に、この計算された変位角と、前記建物被害情報記憶部15eに記憶されている変位角に基づいて、建物被害情報記憶部15eに記憶されている建物1の構成部材の被害情報を被害情報抽出手段15fが抽出する。すなわち、変位角に対応する「構造体」、「外装材」、「内装材」等の構成部材の被害情報を被害情報抽出手段15fが建物被害情報記憶部15eから抽出し、この被害情報を再び、地震情報記憶部15bに記憶させるとともに、インターネット等を介して、前記地震計2に送信する。
地震計2では、前記被害情報が地震表示計3の制御部3aによって、データ記憶部3cに記憶されるとともに、表示部3eに表示される。
したがって、利用者は地震後の建物の被害情報を知ることができ、この結果、地震後の建物の管理を効果的に行うことができる。
また、データ記憶部3cには、地震ごとに被害情報が記憶されるので、利用者は表示部3eで被害情報の履歴を確認することもできる。
また、地震管理装置15では、地震が発生した場合の各建物1の加速度、震度等を含む地震情報や被害情報が地震情報記憶部15bに記憶されるので、各建物1が配置されている地域の地震情報や被害情報を、地震管理装置15に接続したモニタ等によって確認でき、さらに、このような地震情報や被害情報を、第二通信ネットワークN2を介して中央情報処理センターCに送信できる。
[第二通信ネットワークの詳細]
前記第二通信ネットワークN2は、上述のように、前記各地の住宅地40(40A)と、前記中央情報処理センターCの全国被災度判定手段とを通信可能に接続することによって構成されている。
中央情報処理センターCは、図16,図18に示すように、日本国内の少なくとも一箇所にある。ただし、中央情報処理センターCのある場所が震源となる場合もあるため、そのリスク分散を目的とし、例えば東日本と西日本に一箇所ずつ、というように日本国内に複数箇所あってもよいものとする。この場合、複数箇所の中央情報処理センターCでは同様の情報を収集・分析処理できるようにする。
また、全国被災度判定手段は、中央情報処理センターC内に設けられている。すなわち、前記中央情報処理センターC内の所定の場所には、当該全国被災度判定手段としてセンターサーバー16が設けられている。
全国被災度判定手段である前記センターサーバー16の構成は、前記地域被災度判定手段である地震管理装置15と略同様に構成されている。ただし、全国各地からの地震情報が集約されるため、その処理能力や記憶領域は、前記地震管理装置15よりも格段に高く設定されている。すなわち、大容量データの管理・運用が可能となっている。
そして、このセンターサーバー16と、前記住宅地40(40A)に設けられた前記地震管理装置15とが、インターネット等を介して無線接続されている。このようにして前記第二通信ネットワークN2が概略構成されている。
第二通信ネットワークN2を構成する前記センターサーバー16は、CPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM等のメモリ、ハードディスク装置等の記憶部等を備えている。
また、図15に示すように、前記センターサーバー16は、全国各地の住宅地40(40A)から収集された地震情報を蓄積する蓄積サーバー16aと接続されている。そして、この蓄積サーバー16aに蓄積された各地震計2のデータを解析することにより、全国規模で、当該地震計2のある住宅地40(40A)の地盤の状態を判明させることができる。
センターサーバー16は、図19,図20に示すように、収集した地震情報を適宜ソート(分類して並べ替え)して表示することができる。
図19は、地震情報を「被災度判定」をメインにソートしたものであり、図20は、地震情報を「震度」をメインにソートしたものである。また、例えば「住所」等、その他の項目(「名前」、「担当Dr(ディーラー)」、「加速度(x)(y)(z)」)でもソートできるように構成されている。
そして、このように地震情報をソートできれば、被災度の高かった場所や、震度の大きかった場所、その住所等、必要な情報が容易に判明することになる。
また、センターサーバー16は、各地の住宅地40(40A)から送信される地震情報を収集するだけでなく、津波情報、天気情報、花粉情報等、様々な気象情報を収集している。つまり、様々な情報に基づいて被災地にどのような支援が必要か、どのような物資が必要かを適切に判断することができる。
また、全国各地の地震計2(地震表示計3のデータ記憶部3c)には、当該地震計2が設置された建物1の基本情報(建物1の所有者や住所等)が記憶されている。このため、センターサーバー16に全国各地から地震情報が収集されたとしても、その地震情報が、どこの住宅地40(40A)のものであるか、より詳細には、どこの建物1のものであるかが容易に判明させることができる。
[第三通信ネットワークの説明]
本実施の形態の住宅地40(40A)は分譲地としたが、前記複数の建物1が必ずしも分譲地にあるとは限らない。すなわち、震源近くであって、かつ前記住宅地40(40A)の外部にも複数の建物1が建築される。これを補完するために、図21に示すように、住宅地40(40A)に建築されていない各建物1と、前記中央情報処理センターCとの間には、当該各建物1の個々の地震情報を伝送するための第三通信ネットワークN3が構築されている。
そして、この住宅地40(40A)の外部の各建物1と、前記中央情報処理センターCの前記センターサーバー16とが、インターネット等を介して通信可能に無線接続されている。このようにして前記第三通信ネットワークN3が概略構成されている。
例えばユーザー自身が土地を見つけて購入し、そこに住宅を建築する場合、当該住宅は特に分譲地にあるとは限らない。また、既に建築され、これから建て替えを行ったり、リフォーム工事を行ったりするような住宅についても特に分譲地にあるとは限らない。第三通信ネットワークN3は、このような建物1や、その他の建物・構造物等を対象として地震情報の収集や分析処理を行うために構築される。例えば図16に示す建物1Aは、住宅地40(40A)に建築されていない各建物に該当する。このような建物1Aに対して前記地震計2を設置すれば、当該建物1Aは、第三通信ネットワークN3を構成する建物1として認識することができる。
このような分譲地にない各建物1には、前記住宅地40(40A)に建築された建物1と同様に、基礎6に前記地震計2が設置されるとともに、建物内部の内壁1cに前記地震表示計3が設置される。
このように分譲地にない各建物1と前記中央情報処理センターCとの間に第三通信ネットワークN3を構築できれば、前記中央情報処理センターCとしては、収集できる地震情報の量を増やすことができるので、より詳細かつ正確な地震情報の分析が可能となる。
また、分譲地にない各建物1としても、オンサイト警報を活用できるとともに、適切かつ迅速な支援を受ける可能性を向上できるので好ましい。
以上のような構成のオンサイト警報のネットワークシステムによれば、建物1それぞれの基礎6に、被災度判定機能を有する地震計2が設置されるので、地震が発生した際に、当該地震計2によって警報を発するとともに、各建物1の被災度を判定することができる。また、建物1の基礎6は地盤と一体となって揺れるため、このような基礎6に地震計2が設置されることで、比較的正確な計測を行うことができる。すなわち、正確な地震情報を得ることができるので、適切な地震対応を行うことが可能となる。
また、このように地震計2が設置された建物1が一定範囲の住宅地40(40A)内に複数建築され、さらに住宅地40(40A)に構築された第一通信ネットワークN1を通じて、複数の建物1に設置された地震計2からの情報を集約できるので、住宅地40(40A)全体における被災度を判定するのに必要な地震情報を収集できることになる。
さらに、第一通信ネットワークN1と中央情報処理センターCとの間には、第二通信ネットワークN2が構築されていることから、当該第二通信ネットワークN2を通じて、各地の住宅地40(40A)の地震情報を集約できるので、より広範な地域の被災度を判定するのに必要な地震情報を収集できることになる。
そして、以上のように地震計2から発せられる警報によって住人への初期対応を促しつつ、各建物1および住宅地40(40A)全体の被災度を判定するのに必要な情報を収集して中央情報処理センターCで即座に情報を分析処理できるので、震源に近い地域や被害の大きい地域または建物1への迅速な地震対応が可能となる。
また、前記第一通信ネットワークN1は、前記地震計2と前記地域被災度判定手段とを通信可能に接続することによって構成されており、前記複数の建物1に設置された前記地震計2から前記地域被災度判定手段に集約された地震情報を、当該地域被災度判定手段によって被災度等を分析処理できるので、前記住宅地40(40A)内で、いち早く警報を発したり、被災状況や震度に応じて迅速な対応を行ったりすることができる。すなわち、地震発生前に行われるべき初期対応を、各住宅地40(40A)内で速やかに行うことができる。延いては、適切な地震対応を行うことが可能となる。
また、前記第二通信ネットワークN2は、前記各地の住宅地40(40A)と前記全国被災度判定手段とを通信可能に接続することによって構成されており、前記各地の住宅地40(40A)から前記全国被災度判定手段に集約された地震情報を、当該全国被災度判定手段によって被災度等を分析処理できるので、前記各地の住宅地40(40A)の被災度に応じた迅速な対応を行うことが可能となる。
また、前記地震表示計3は、警報を発するための警報発生手段と、地震情報を表示するための表示手段と、を有するので、建物1の住人は警報が耳に入りやすくなるとともに、地震情報を視認することが可能となる。これによって、住人に対し、早急に適切な地震対応(初期対応)を行うことを促進できる。
また、前記住宅地40(40A)の外部に建築された前記複数の建物1の基礎6に前記地震計2がそれぞれ設置されているので、地震が発生した際に、当該地震計2によって警報を発するとともに、当該住宅地40(40A)の外部の各建物1の被災度を個別に判定することができる。すなわち、前記住宅地40(40A)の外部に建築された建物1であっても、地震発生前に行われるべき初期対応を速やかに行うことができる。延いては、適切な地震対応を行うことが可能となる。
さらに、前記住宅地40(40A)の外部の各建物1と前記中央情報処理センターCとの間には、当該住宅地40(40A)の外部の各建物1に設置された前記地震計2からの情報を集約するための第三通信ネットワークN3が構築されているので、当該第三通信ネットワークN3を通じて、前記住宅地40(40A)の外部からの地震情報も前記中央情報処理センターCに集約できる。これによって、当該第三通信ネットワークN3からの地震情報を、前記第一通信ネットワークおよび前記第二通信ネットワークからの地震情報に対して補助的に組み合わせることができるので、より一層広範な地域の被災度を判定するのに必要な地震情報を収集できることになる。
[パワーコントロールデバイス]
続いて、前記地震計2および前記地震表示計3に付加される機能であるパワーコントロールデバイスについて説明する。
このパワーコントロールデバイスは、前記地震計2および前記地震表示計3と、建物1内に設けられた家電製品とを連動させることができる。すなわち、このパワーコントロールデバイスの機能は、図22に示すように、前記地震計2によって初期微動(P波)を検知した時に、例えば電気やガス等の熱源(例えばヒーター等の暖房装置50やガスコンロ
51等)の遮断を行うとともに、非常用照明52やラジオ・テレビ53等の情報源を起動させることができる。
前記地震計2と、前記家電製品とは情報通信可能に接続されている。すなわち、前記地震計2と前記家電製品は、前記地震表示計3と同様に接続線10(または無線)によって接続されている。そして、前記地震計2が初期微動(P波)を検知した時に警報音が発せられるのと同時に、前記制御部2d(または制御部3a)から前記家電製品を制御する信号が伝達される。これによって、前記地震計2および前記地震表示計3と、前記家電製品とを連動させることができる。
このようなパワーコントロールデバイスの機能によれば、前記地震計2がP波を検知した時に、熱源となる前記家電製品の遮断を行うことで地震後の火災の発生を抑制できる。また、非常用照明52を点灯させて夜間であっても周囲の状況を確認できるようにし、ラジオやテレビ53を起動させて地震についての情報を得られるようにすることができる。
[端末情報サービス]
続いて、各種端末に対して提供されるサービスである端末情報サービスについて説明する。すなわち、この端末情報サービスは、前記地震表示計3や前記地震管理装置15、前記センターサーバー16から各種端末へと情報を送信することができるサービスである。
なお、このような端末情報サービスは、各種端末に対して専用のアプリケーションとして提供することができる。
各種端末としては、例えば図23に示すような表示部55aを備えたスマートフォン55や、所謂フィーチャーフォン等の携帯電話、ラップトップ型やデスクトップ型のパソコン(PC:Personal computer)、所謂タブレット型のPC等を始めとする各種情報端末が挙げられる。
その他にも、図24に示すような、自動車や自動二輪車等に搭載または後付けされるとともに表示部56aを備えた所謂カーナビゲーション機器56や、図25に示すような、表示部57aを備えた飲料等の自動販売機57等を挙げることができる。
すなわち、各種端末として利用できるものは、通信機能および表示部、警報音を発することのできる前記スピーカー38等の出力部を備えるものが挙げられる。換言すれば、これらの機能を備えていれば、図23〜図25に示す例に限られず、その他の端末を利用することができる。
この端末情報サービスは、まず、前記地震表示計3や前記地震管理装置15、前記センターサーバー16から送信された警報音の出力指示情報を、前記各種端末55,56,57が受信する。そして、当該指示情報に基づいて前記各種端末55,56,57から警報音を発したり、表示部55a,56a,57aに各種情報を表示したりすることによって、前記スマートフォン55や前記カーナビゲーション機器56のユーザーや、前記自動販売機57の周囲の人に地震情報を知らせることができる。
また、例えば図23に示すように、スマートフォン55の表示部55aには、自宅の場所や家族が普段いる場所の被災度等の情報を表示することができる。これによって、外出先であっても、自宅や家族が普段いる場所の状況を判断することができる。
図23において表示部55aに表示された画面では、自宅の震度および被災度と、子供Aが普段いる場所の震度および被災度と、子供Bが普段いる場所の震度および被災度、父親が普段いる場所の震度および被災度が表示されている。なお、家族情報や、家族が普段いる場所の情報は、スマートフォン55にインストールされたアプリケーションに対して予め設定しておくものとする。
[地震計の電力供給システム]
続いて、地震計2の電力供給システムについて説明する。
通常時、住宅等の建物1に導入される地震計2および地震表示計3は、系統電源(家庭用電源)からの電力に基づいて動作する。ところが、特に大きな地震が発生した場合には、停電になる可能性が高い。したがって、地震発生時に停電が生じると、系統電源から地震計2および地震表示計3への電力供給がストップしてしまう。これら地震計2および地震表示計3に電気が供給されないと、大きな地震の本震後に起こる余震の初期微動(P波)を検知したり、警報音を発したり、必要な情報を表示部に表示することができない場合がある。
このような場合を想定して、前記建物1は、図26および図27に示すように、前記地震計2および前記地震表示計3に対して電気を供給できる電力供給システムを備えているものとする。
本実施の形態の地震計2の電力供給システムは、以下のように構成されている。
すなわち、前記建物1は、停電時に、前記地震計2および前記地震表示計3に対して電力を供給するための複数の電源60,61,62を備えている。換言すれば、これら複数の電源60,61,62は、前記地震計2および前記地震表示計3のための非常用電源である。
そして、前記地震計2および前記地震表示計3と前記複数の電源60,61,62は、停電時に、当該地震計2および地震表示計3が少なくとも一つの電源60(61,62)から電力供給を受けられるように接続されている。
より詳細に説明すると、本実施の形態の電源(非常用電源)60,61,62としては、建物1内や周囲に設置される蓄電池60や、建物1の屋根面に設置された複数の太陽電池パネル61によって発電する太陽光発電装置、電気自動車62(EV:Electric Vehicleや、PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)等が採用されている。その他にも、例えば風力発電装置や燃料電池等のような各種自家発電設備を採用することができる。
さらに、前記地震計2は、前記複数の電源60,61,62からの電力供給が遮断されたときに、当該複数の電源60,61,62に代わって電力供給を行う予備電源(図示せず)を備える。なお、この予備電源としては電池が採用されている。
また、図26に示すように、前記蓄電池60および太陽光発電装置は、接続線を介して前記地震計2とそれぞれ直接的に接続されている。また、電気自動車62も、当該電気自動車62の充電を行うための充電スタンド62aおよび接続線63を介して前記地震計2と直接的に接続されている。すなわち、複数の電源である前記蓄電池60、前記太陽光発電装置(太陽電池パネル61)、前記電気自動車62は、前記地震計2に対して個別に接続されている。
前記地震表示計3への電力供給は、前記地震計2を介して行われるものとするが、直接行われるようにしてもよい。
前記地震計2の制御部2dは、上述のように震度算出部2bおよび変形量算出部2cの制御を行うものであるが、それに追加して、前記複数の電源60,61,62のうち、前記地震計2が電力供給を受ける電源を判定するような制御も行うことができる。
例えば昼間は、前記太陽光発電装置からの電力供給によって前記地震計2を稼働させ、夜間は、前記蓄電池60からの電力供給によって前記地震計2を稼働させるなどの制御を行うことができる。電気自動車62からの電力供給も適宜選択できる。
これによって、前記制御部2dによって、前記地震計2に対して電力を供給する電源を適宜切り替えることができるので、停電時であっても常に前記地震計2が電力供給を受けられるようにすることが可能となる。
また、例えば、前記複数の電源60,61,62からの電力供給が遮断されたと判断さ
れた場合には、前記予備電源からの電力供給を受けるように制御することもできる。この点を鑑みれば、前記予備電源も、前記地震計2に対して電力を供給する一つの電源として機能することになる。
なお、本実施の形態では、前記複数の電源60,61,62が前記地震計2に対してそれぞれ個別に接続されるとしたが、これに限られるものではない。例えば、以下のような電力供給システムの実施例1,2を挙げることができる。
(実施例1)
図27に示す例では、前記複数の電源60,61,62のうち前記蓄電池60以外の電源61,62は、当該蓄電池60を介して前記地震計2と接続されている。
すなわち、地震等によって系統電源が遮断され停電した後に、必ず蓄電池60を介して前記地震計2に電気供給が行われることになる。換言すれば、前記蓄電池60以外の電源61,62から前記蓄電池60に対して充電を行いながら前記地震計2に電気供給が行われることになる。
このような実施例によれば、前記蓄電池60以外の電源61,62が例えば太陽電池であったとしても、前記地震計2に対しては、前記蓄電池60を介した電力供給が行われる。すなわち、前記蓄電池60に対していったん電力がまとめられた状態となるので、前記蓄電池60に充電を行う電源61,62の種類を問わずに、また昼夜も問わずに、前記地震計2に対する電力供給が可能となる。
(実施例2)
図示はしないが、前記地震計2は、前記建物1内に設けられた分電盤を介して前記複数の電源60,61,62と接続されていてもよい。
すなわち、前記複数の電源60,61,62が給電側として前記分電盤に接続され、前記地震計2が受電側として前記分電盤に接続される。
このような実施例によれば、前記地震計2に対して電力供給を行ういずれか一つの電源60(61,62)の判定を前記分電盤の制御で適宜行うことが可能となる。また、前記建物1内にある電気機器への電力供給も行いながら前記地震計2への電力供給を行うことができる。
以上のように、図26,図27を始めとするいずれの例にしても、系統電源が遮断された後に、前記複数の電源60,61,62を使用でき、万が一当該複数の電源60,61,62が遮断された後でも、前記予備電源を使用できる。すなわち、非常用電源が段階的に起動して前記地震計2に対して継続的に電力供給を行うように設定されている。
さらに、前記複数の電源60,61,62も場合によっては(図26の例)段階的に使用できるので、より多段階に非常用電源を起動させることができるので、地震計2に対する電力供給を極めて途切れにくい状態とすることが可能となる。
本実施の形態の地震計2の電力供給システムによれば、前記地震計2と前記複数の電源60,61,62は、停電時に、当該地震計2が少なくとも一つの電源60(61,62)から電力供給を受けられるように接続されているので、前記地震計2といずれか一つの電源60(61,62)とが、停電時においても常に接続されて電力供給が可能な状態となる。これによって、通常時と同様に前記地震計2を使用できるので、例えば地震等により系統電源が遮断されても、前記地震計2を確実に機能させることが可能となる。
また、当該電力供給システムを、前記オンサイト警報のネットワークシステムに適用すれば、前記地震計2に対する電力供給が極めて途切れにくい状態となるため、当該地震計2を情報源とする地震情報の収集の確実性を向上させることが可能となる。
[地震計の停電時通信システム]
続いて、地震計2の停電時通信システムについて説明する。
地震等によって停電になった際は、系統電源から地震計への電力供給がストップしてしまう場合がある。さらに、地震発生時には、LANケーブルの破断やルーター等への電力供給が行われないことにより、インターネット回線も機能しない場合がある。
このような場合を想定して、前記建物1は、停電時でも前記地震計2を通信可能な状態とする停電時通信システムを備えているものとする。
本実施の形態の地震計2の停電時通信システムは、図26,図27に示すように、非停電時に休止(スリープモード)し、停電時に起動する無線通信部3gと、当該無線通信部3gを制御する前記制御部3aと、停電時に、前記地震計2に対して電力を供給する非常用電源としての前記複数の電源60(61,62)と、を備える。
また、前記地震計2は、上述のように、当該地震計2に接続されるとともに前記建物1の内壁1cに取り付けられ、地震情報を表示する地震表示計3(3A)を含んで構成されている。
そして、本実施の形態においては、図27に示すように、前記地震表示計3Aが、前記無線通信部3gと前記制御部3aとを有するものとする。ただし、これに限られるものではなく、図7に示す地震表示計3に備えられてもよいし、図7および図27に示す地震計2に備えられてもよいものとする。
前記無線通信部3gは、無線移動体用の無線通信システムを利用する停電時通信用チップ(LSI等)である。より詳細に説明すると、この停電時通信用チップ3gは、LTE(Long Term Evolution)規格に準拠した無線通信システム用のチップである。すなわち、LTE対応スマーフォン等の携帯情報端末に採用されるようなものであり、例えば旧来の規格(所謂、3G)に準拠させた場合に比して、前記停電時通信用チップ3gの立ち上がり(起動)時間の短縮や、通信速度の短縮を図ることができる。
例えば地震発生等により停電となったときは、上述のように、記地震計2および前記地震表示計3は、非常用電源である前記複数の電源60(61,62)の少なくとも一つから電力供給を受けることになる。
そして、このような停電時において、前記停電時通信用チップ3gは、前記加速度センサ2aが地震発生時の初期微動(P波)を検知した直後に、前記制御部3aから送られてくる制御信号に基づいて起動し、起動時に判明している地震情報をすぐさま前記地域被災度判定手段(地震管理装置15)や直近の中継アンテナ17へと伝送するように設定されている。
すなわち、停電後において、前記停電時通信用チップ3gの起動するタイミングは、前記警報発生手段のタイミングと略同様に設定されている。
また、以上のようにP波を検知した直後に地震情報を伝送し、その後、前記加速度センサ2aによって主要動(S波)を検知した時は、前記停電時通信用チップ3gは、その時の地震情報をすぐさま前記地域被災度判定手段(地震管理装置15)や直近の中継アンテナ17へと伝送する。
そして、主要動の到達後に停電が発生した場合も、この停電時通信用チップ3gは余震の発生に備えて、前記非常用電源60(61,62)や予備電源から、優先的に電気の供給を受けることができるように設定されている。
本実施の形態の地震計2の停電時通信システムによれば、非停電時に休止状態である前記無線通信部3gを、停電時に、前記非常用電源60(61,62)からの電力供給を受けながら、前記制御部3aの制御によって起動させることができる。
これによって、たとえ停電時であっても住宅メーカーや行政機関等に地震情報の伝送を確実に行うことができる。すなわち、例えば、地震によって通常時に使用しているLAN
ケーブルが破断されたり、インターネット用のルーターへの電力供給が不可能となったりした場合であっても、前記無線通信部3gは無線通信が可能であるため、住宅メーカーや行政機関等に地震情報の伝送を確実に行うことができる。
また、前記無線通信部3gは、無線移動体用の無線通信システムを利用する停電時通信用チップであることから、例えばスマートフォン等の無線移動体と同様の環境で無線通信による地震情報の伝送を行うことができる。
さらに、前記無線通信システムは、前記LTE規格に準拠したものであることから、例えば旧来の規格に準拠させた場合に比して、前記停電時通信用チップ3gの立ち上がり(起動)時間の短縮や、通信速度の短縮が可能となる。これによって、地震情報の伝送をいち早く行うことができるので、例えば行政等による迅速な地震対応を行うことが可能となる。
また、前記建物1の内壁1cに取り付けられた前記地震表示計3A(3)が、前記無線通信部3gと前記制御部3aとを有するので、前記無線通信部3gのメンテナンスを行う際に、例えば普段手の届かない場所に設けられる場合に比して作業がしやすい。
また、前記地震計2は、前記非常用電源60(61,62)からの電力供給が遮断されたときに、当該非常用電源60(61,62)に代わって電力供給を行う予備電源を備えるので、たとえ前記複数の電源60,61,62からの電力供給が遮断された場合でも、前記予備電源からの電力供給によって前記地震計2はもちろんのこと、前記無線通信部3gも確実に使用できる。
1 建物
2 地震計
3,3A 地震表示計
6 基礎
40,40A 住宅地(地域)
N1 第一通信ネットワーク

Claims (5)

  1. 震源近くに設けられた地震計の情報に基づいて警報を発するとともに、震度や被災状況に応じた地震対応を行うためのオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法であって、
    住宅等の建物を所定の地域に新築または建て替えする際に、予め基礎に前記地震計を取り付けてから当該建物を建築し、
    前記建物の建築後、前記地震計によって計測された情報に基づいて分析された前記地域の地盤情報を蓄積しておき、
    前記地域に対して新たに建物を新築または建て替えする際に、前記蓄積された地盤情報に基づいて当該新たな建物を設計することを特徴とするオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法。
  2. 請求項1に記載のオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法において、
    前記蓄積された地盤情報より得られた地震時における前記地域の地盤の揺れの周期と、前記新たな建物の固有周期とが共振しないように、前記新たな建物の設計を行うことを特徴とするオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法。
  3. 請求項1または2に記載のオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法において、
    前記蓄積された地盤情報より得られた地震時における前記地域の地盤の揺れの周期と、前記新たな建物の固有周期とが共振しないように、前記新たな建物が建築される敷地の地盤改良を行うことを特徴とするオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法において、
    前記地域は、少なくとも住宅等の建物を始めとする住居施設を複数備えた一定範囲の住宅地であり、
    前記住宅地に、当該住宅地に建築される複数の前記建物の前記地震計からの情報を集約するための通信ネットワークを構築することを特徴とするオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法。
  5. 請求項4に記載のオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法において、
    前記住宅地に元々建築されている既存の建物を、前記蓄積された地盤情報に基づいてリフォームすることを特徴とするオンサイト地震情報を利用した建物の設計方法。
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