JP2015015965A - 個食用米飯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】米飯の改良された製造方法を提供する。
【解決手段】
開口部を有する容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程であって、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う殺菌工程、前記容体内にて、当該殺菌済浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置くことにより吸水させる吸水工程;及び吸水済容体の1又は複数個を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;を含む、個食用米飯の製造方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の1又は複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1分間に6〜15回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、製造方法。
【選択図】図8
【解決手段】
開口部を有する容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程であって、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う殺菌工程、前記容体内にて、当該殺菌済浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置くことにより吸水させる吸水工程;及び吸水済容体の1又は複数個を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;を含む、個食用米飯の製造方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の1又は複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1分間に6〜15回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、製造方法。
【選択図】図8
Description
本発明は米飯の製造方法に関する。本発明の方法は、特別な条件の炊飯工程を含む。本発明は、個食用米飯、特に、無菌包装米飯の炊飯に適している。
炊飯は、一般に、米に水を吸水させる吸水工程、加水した鍋内の吸水米を昇温加熱して沸騰状態に至らせる立上加熱工程、鍋内で沸騰状態を保って米を炊き続ける沸騰維持工程、加熱終了後に水飯米を蒸らす、蒸らし工程によるものが一般的である。
例えば、特許文献1には、圧力式炊飯器を用いた炊飯方法が記載されている。詳細には、圧力式炊飯方法であって、(a)鍋に被炊飯物を収容し米の糊化温度以下の温度に保持し米の含水率が30.5% 以下となるように米に水を吸水させる吸水工程と、(b)被炊飯物が沸騰するように昇温加熱する立上加熱工程と、(c)被炊飯物を沸騰状態に維持して前記鍋内の圧力を1.10〜2.20気圧に維持するとともに、沸騰状態維持中に前記開機構により前記圧力弁を少なくとも1回開作動して前記鍋内の圧力を大気圧近傍となるように一気に低下させて突沸現象を起こさせる操作を行う沸騰維持工程とを順次実行することを特徴とする、圧力式炊飯方法が記載されている。これによると、鍋内の圧力が高い時に圧力弁を開作動させるので、突沸現象を発生させたときに米が移動しやすく激しく撹拌させることができ、そして、撹拌により米粒が一部位に定置した状態とならず中央側にあった米粒が鍋内の側方にも移動し、結果として米粒全体に十分な熱が加わり均一の加熱がなされるとともに、御飯の上面が平坦面となるとしている。
一方、炊飯された米飯が無菌包装された米飯は、温めるだけで喫食できるという利便性から、近年需要が伸びている。
特許文献2は、クリーンルームにおいて、炊飯容体に浸漬米と水とを収納し、この炊飯容体の多数個を同時に炊飯できる炊飯機に導入し、スチームの導入を間欠的に行って炊飯し、この炊飯状態のままで炊飯機から導出し、同クリーンルーム内の密封包装部に移送し、炊飯容体中の空気を可及的に制菌ガスと置換し、炊飯容体に制菌ガスを導入した状態で炊飯容体の開口部を密封包装することを特徴とする無菌パック米飯の製造法を提案する。この方法によると、従来例に比して詰替えの際雑菌のつくことが防止され、確実に雑菌に侵されることを防ぐことができるから長持ちする製品が得られ、またスチームの間欠導入に伴って炊飯に高低の温度差による炊飯刺戟を与えることになり、これを繰り返す炊飯方式によりおいしいご飯が炊き上げられるとしている。
特許文献2は、クリーンルームにおいて、炊飯容体に浸漬米と水とを収納し、この炊飯容体の多数個を同時に炊飯できる炊飯機に導入し、スチームの導入を間欠的に行って炊飯し、この炊飯状態のままで炊飯機から導出し、同クリーンルーム内の密封包装部に移送し、炊飯容体中の空気を可及的に制菌ガスと置換し、炊飯容体に制菌ガスを導入した状態で炊飯容体の開口部を密封包装することを特徴とする無菌パック米飯の製造法を提案する。この方法によると、従来例に比して詰替えの際雑菌のつくことが防止され、確実に雑菌に侵されることを防ぐことができるから長持ちする製品が得られ、またスチームの間欠導入に伴って炊飯に高低の温度差による炊飯刺戟を与えることになり、これを繰り返す炊飯方式によりおいしいご飯が炊き上げられるとしている。
また、特許文献3には、無菌パック米飯の製造方法として、洗米浸漬した米を個食トレーに定量充填し、密封チャンバにて個食トレーに定量充填された米に対して高温高圧飽和蒸気を間欠的にフラッシュすることにより密封処理すると同時に米をアルファ化し、次いで炊き水を注水して炊飯した後、個食トレーに蓋材を被着して密封シールすることを特徴とする無菌パック米飯の製造方法が記載されている。この方法によれば、トレーに充填した洗米に対して、炊き水を加える前の低水分状態において高圧高温条件下での滅菌処理を施すことにより、一般生菌だけでなく、米に付着している可能性のある耐熱生菌を完全に死滅させることができるため、真の意味における完全無菌パック米飯を提供することができるほか、従来のレトルト処理による場合とは異なり、食味を損なわずに完全無菌パック米飯を製造することができるとしている。
さらに、特許文献4には、容器入り原料ごと温度140〜145℃で合計24〜64分間加熱する殺菌工程と、その容器入り原料に所定量の調味料を入れ、温度100〜105℃で調理が完了するまで加熱する加熱工程を有する容器入り食品の製造方法が記載されている。この方法によると、加熱調理工程に先立って、無加水状態の容器入り原料を高温(140〜145℃)で所定短時間(合計24〜64秒間)だけ加熱・殺菌し、その殺菌済み容器入り原料に加水した後、通常の調理温度(100〜105℃)で加熱調理するようにしているので、レトルト処理(調理後の高温殺菌処理)することなく常温流通に耐え得る無菌状態(いわゆる商業的無菌状態)を確保した容器入り食品を製造することが可能なばかりか、レトルト処理をしないので、食品素材のもつ香味を損なうことがなく、食味の良好な容器入り食品を提供できるとしている。
無菌包装米飯は、密封した容器内で加圧・加熱処理(殺菌兼炊飯)を行うレトルト米飯と、水に浸漬した米を、加圧・加熱殺菌後、炊飯し、そして無菌条件下で包装する無菌化包装米飯とに大別されるが、いずれにしろ、実際に工業的に製造されている場合には、炊飯条件に制約があるために、風味やテクスチャーの点では炊飯器で炊飯した米飯ほどには満足できるものではないのが現状であった。
本発明者らは、無菌包装米飯、特に、無菌条件下で包装する無菌化包装米飯について、検討してきた。その結果、チャンバ内で加圧条件を利用することにより、個食用容器のためのトレー内の内容物を複数個同時に沸騰させることができ、また従来より複雑に温度を調節することができることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、以下を提供する:
1) 開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置くことにより吸水させる吸水工程;及び
吸水済容体の1又は複数個(好ましくは複数個)を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;
を含む、個食用米飯の製造方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の1又は複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、製造方法。
2) 炊飯工程が、沸騰工程の前に、容体内を沸騰可能な温度にまで昇温させる昇温工程を含み、昇温工程が、7分以内(好ましくは6分以内、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは3分以内)に終了する、1)に記載の製造方法。
3) 沸騰工程が、該サイクルを1分間に2回以上(好ましくは4〜15回、より好ましくは6〜12回)行うことを含む、1)又は2)に記載の製造方法。
4) 吸水工程が、浸漬米100gあたり、52〜77g(好ましくは58〜73g、より好ましくは64〜70g)の水を吸収させるものである、1)〜3)のいずれか一に記載の製造方法。
5) 殺菌工程(好ましくは、吸水工程の前に、容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程)、及び炊飯済容体の開口部をシール材で密封包装する密封工程を含む、1)〜4)のいずれか一に記載の製造方法。
6) 1)〜5)のいずれか一に記載の製造方法であって、吸水工程の前に、容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程を含み、殺菌済浸漬米を容体内のまま吸水工程に供するものであり、
殺菌工程が、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う、製造方法。
7) 殺菌工程が、密閉された殺菌チャンバ内に水蒸気を導入し、かつ殺菌チャンバ内から水蒸気を排出することにより、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う工程である、6)に記載の製造方法。
8) 開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水適量の水とともに置いて吸水上有効な温度及び時間で吸水させる吸水工程;
吸水済容体の1又は複数個を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;及び
炊飯済容体の開口部をシール材で密封包装する密封工程
を含む、無菌包装米飯の食感の改良方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、方法。
9) 浸漬米が、加工用ブレンド米である、8)に記載の方法。
1) 開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置くことにより吸水させる吸水工程;及び
吸水済容体の1又は複数個(好ましくは複数個)を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;
を含む、個食用米飯の製造方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の1又は複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、製造方法。
2) 炊飯工程が、沸騰工程の前に、容体内を沸騰可能な温度にまで昇温させる昇温工程を含み、昇温工程が、7分以内(好ましくは6分以内、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは3分以内)に終了する、1)に記載の製造方法。
3) 沸騰工程が、該サイクルを1分間に2回以上(好ましくは4〜15回、より好ましくは6〜12回)行うことを含む、1)又は2)に記載の製造方法。
4) 吸水工程が、浸漬米100gあたり、52〜77g(好ましくは58〜73g、より好ましくは64〜70g)の水を吸収させるものである、1)〜3)のいずれか一に記載の製造方法。
5) 殺菌工程(好ましくは、吸水工程の前に、容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程)、及び炊飯済容体の開口部をシール材で密封包装する密封工程を含む、1)〜4)のいずれか一に記載の製造方法。
6) 1)〜5)のいずれか一に記載の製造方法であって、吸水工程の前に、容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程を含み、殺菌済浸漬米を容体内のまま吸水工程に供するものであり、
殺菌工程が、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う、製造方法。
7) 殺菌工程が、密閉された殺菌チャンバ内に水蒸気を導入し、かつ殺菌チャンバ内から水蒸気を排出することにより、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う工程である、6)に記載の製造方法。
8) 開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水適量の水とともに置いて吸水上有効な温度及び時間で吸水させる吸水工程;
吸水済容体の1又は複数個を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;及び
炊飯済容体の開口部をシール材で密封包装する密封工程
を含む、無菌包装米飯の食感の改良方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、方法。
9) 浸漬米が、加工用ブレンド米である、8)に記載の方法。
本発明の製造方法により、個食ごとに、比較的省スペースで、連続的かつ効率的に米飯を製造することができる。
本発明により、個食用米飯においても、用途(すし飯用、にぎり飯用、炒飯用、カレー用、雑炊用、等)や好みに応じ、米粒感、ふっくら感、粘り、硬さを様々とした米飯の炊き分けが可能となる。
本発明により、個食用米飯においても、用途(すし飯用、にぎり飯用、炒飯用、カレー用、雑炊用、等)や好みに応じ、米粒感、ふっくら感、粘り、硬さを様々とした米飯の炊き分けが可能となる。
1 チャンバ
12 水蒸気管
120 水蒸気弁
14 排気管
140 排気弁
16 熱電対挿入口
18 扉
19 ガイドレール
2 容器搭載器
20 容器搭載部
21 開口部
3 ボイラー
5 熱電対
7 多孔板
8 容器
9 炊飯前の状態の米
12 水蒸気管
120 水蒸気弁
14 排気管
140 排気弁
16 熱電対挿入口
18 扉
19 ガイドレール
2 容器搭載器
20 容器搭載部
21 開口部
3 ボイラー
5 熱電対
7 多孔板
8 容器
9 炊飯前の状態の米
本発明は、個食用米飯の製造方法を提供する。本発明の方法は、特に、無菌包装米飯の製造方法として優れている。本明細書においては、個食用米飯に関し、無菌包装米飯を例に説明することがあるが、特に記載した場合を除き、その説明は無菌包装していない個食用米飯にも当てはまる。
本発明の個食用米飯の製造方法は、少なくとも、1)吸水工程、2)炊飯工程を含み、好ましくは、3)密封工程を含む。
本発明の個食用米飯の製造方法は、少なくとも、1)吸水工程、2)炊飯工程を含み、好ましくは、3)密封工程を含む。
1)吸水工程
本工程では、開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置く。
本工程では、開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置く。
本明細書で「浸漬米」というときは、必要であれば無菌包装米飯製造上有効な条件で殺菌した原料米を、充分な量の水に浸漬し、数分〜数時間浸漬した後、水切りしたものをいう。浸漬するための水の量、浸漬時間は、用いる原料米の新しさ(新米であるか、古米であるか)、乾燥度(水分含量)、精米度、品種等に応じ、当業者であれば適宜設定可能であるが、水量は米と同量〜数倍量(例えば1〜5倍量)、時間は30分〜2時間(例えば、約1時間)が目安となる。水温は4〜環境温度(25℃)程度であれば、充分である。浸漬米の調製は、無菌条件下で行ってもよい。
原料米は、白米(精白米ということもある。)が適するが、玄米、分づき米、これらの混合物であってもよく、また、原料米品種は、ジャポニカ種(日本型、短粒種)、インディカ種(インド型、長粒種)、ジャバニカ種(ジャワ型、大粒種)であってもよく、うるち米であってももち米であってもよい。品種、産地には特に制限はないが、食味に優れたものを好適に用いることができる。このましい品種の例には、コシヒカリ(新潟産)、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまち、キヌヒカリ、きらら、はえぬき、ほしのゆめ、つがるロマンがある。また、ブレンド米(産地を限定したブレンド、品種を限定したブレンド、数種の品種を混合したもの、用途に応じたブレンド)であってもよい。
本発明によれば、その炊飯条件を調整することによって、原料米が安価な、品質が劣る米の場合でも、美味しく感じる食感に炊飯することができる。例えば、冷凍食品や製菓用等に用いられている加工用ブレンド米や、標準流通米、古米、古古米、輸入米等の場合である。
浸漬米の容器への充填量は、当業者であれば、容体のサイズに合わせ、炊飯適量として適宜決定できる。1人前に適した量の無菌包装米飯を製造するためには、80〜150gとすることが好ましい。
本工程でいう「吸水上有効な温度及び時間」は、吸水量を、米を炊飯したときに米粒の中心部まで良好な食感が得られる程度以上であるが、炊飯工程において有効な程度の炊き水を使用することができる程度には抑えた量とするような、温度及び時間をいう。吸水上有効な温度及び時間は、米の品種、状態によっても変動するが、当業者であれば適宜設定可能である。例えば、浸漬米100グラムあたり、52〜77g、好ましくは58〜73g、より好ましくは64〜70g、さらに好ましくは60〜71g吸水させるのに必要な温度及び時間をいう。このような範囲は、新米の新潟産コシヒカリの場合に、特に適している。
これより少ない吸水量であると、炊きあがった米飯全体や、米粒の中心部(芯)が硬すぎることがある。これより多い吸水量である場合は、炊飯工程において充分な炊き水を加えることができず、炊飯時に容体内で上方にある米飯の水分が不足し、炊きあがった米飯がふっくらしない、米飯上部が硬い等の不都合を生じることがある。上述の範囲内であれば、原料米の芯まで充分に吸水させつつ、適量の炊き水を用いることができ、所定の条件下での炊飯時にはいわゆるカニ穴が形成され、米が充分に攪拌され、また米が立つ等の、鍋で炊飯する場合に近い状態を容体内に再現することができる。
吸水は、具体的には、容体内を25〜99℃に保つことにより行うことができる。これは、容体周囲の雰囲気温度を、その温度範囲に保つことにより達成してもよい。時間は、該温度が高いほど短くてよい。より具体的には、雰囲気温度50℃で10分、同70℃で7分、同98℃で5分等を例示できる。なお、本発明において温度をいうときは、特に記載した場合を除き、容体内の温度をいう。容体内温度は、当業者であれば適宜測定することができるが、例えば、容体内の適切な場所に熱伝対を設置することにより測定してもよい。
本発明で「容体」というときは、特に記載した場合を除き、無菌包装米飯のための包装容器の下部となるものをいう。容体の形状は、原料を保持できる形状であれば限定されないが、原料を充填しやすい等の理由から略直方体が好ましい。本発明で用いる容体は、原料を充填するための開口部を有する。開口部は容体の天面部が開放されて形成されることが好ましい。
容体の大きさは、例えば、浸漬米を80〜150g用いる場合は、縦100〜200mm、横160〜220mm、高さ15〜50mmの大きさが好ましい。
容体は110℃以上の耐熱性を有することが好ましい。このような容体の例には、ポリプロピレン等のプラスチック製容体及びステンレス製容体が含まれる。取り扱いの容易さから、本発明で用いる容体はプラスチック製が好ましい。
容体は110℃以上の耐熱性を有することが好ましい。このような容体の例には、ポリプロピレン等のプラスチック製容体及びステンレス製容体が含まれる。取り扱いの容易さから、本発明で用いる容体はプラスチック製が好ましい。
2)炊飯工程
本工程では、吸水済容体の複数個を炊飯機内で同時に加熱し、炊飯する。典型的な本発明の炊飯工程は、昇温工程、沸騰工程、蒸煮工程からなる。
本工程では、吸水済容体の複数個を炊飯機内で同時に加熱し、炊飯する。典型的な本発明の炊飯工程は、昇温工程、沸騰工程、蒸煮工程からなる。
昇温工程:
昇温工程は、容体内温度を沸騰可能な温度にまで昇温させるための工程である。昇温工程は、新米の場合、極短時間で(例えば、雰囲気温度130〜140℃で1〜3分)行うと、硬めの食感に炊飯できる。それより硬くなく、ふっくら感のある食感としたい場合は、より長い時間で(例えば、雰囲気温度102〜110℃で8〜10分、又は雰囲気温度96〜100℃で15〜19分)行うことができる。また加工用ブレンド米のように、通常炊飯した場合には柔らかすぎる米を用いる場合には、比較的短時間で(例えば、雰囲気温度130〜140℃で1〜4分、又は雰囲気温度102〜110℃で8〜10分)行うと、好ましい食感に炊飯できる。
昇温工程は、容体内温度を沸騰可能な温度にまで昇温させるための工程である。昇温工程は、新米の場合、極短時間で(例えば、雰囲気温度130〜140℃で1〜3分)行うと、硬めの食感に炊飯できる。それより硬くなく、ふっくら感のある食感としたい場合は、より長い時間で(例えば、雰囲気温度102〜110℃で8〜10分、又は雰囲気温度96〜100℃で15〜19分)行うことができる。また加工用ブレンド米のように、通常炊飯した場合には柔らかすぎる米を用いる場合には、比較的短時間で(例えば、雰囲気温度130〜140℃で1〜4分、又は雰囲気温度102〜110℃で8〜10分)行うと、好ましい食感に炊飯できる。
種々のタイプの米に適用可能な昇温工程の時間として、7分以内、好ましくは6分以内、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは3分以内が提示できる。短時間での昇温のためには、昇温工程の全部又は一部は、加圧下で行うとよい。
沸騰工程:
本発明の沸騰工程は、吸水済容体の複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にすることにより実施する。
本発明の沸騰工程は、吸水済容体の複数個が収納され、密閉された炊飯チャンバに水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にすることにより実施する。
加圧されているか否かは、容体内温度を測定することにより確認することができる。水分豊富な容体内は、常圧であればほぼ100℃が最高温度となるが、加圧された場合は、100℃を超える温度となる。
このチャンバ内の温度を加圧下は100℃以上に上昇させることにより、その後の放圧により沸騰が起こる。温度は110℃以上にまで上昇させると米飯への衝撃が大きく、黄変、食感の低下等が起こるために好ましくなく、110℃以下の温度に保つことが必要である。
また、この加圧/放圧サイクルは、例えば、チャンバを密閉して0.5〜5秒間、水蒸気を導入し、加圧してチャンバ内温度を105℃から110℃にまで加温する。その後チャンバを所定の時間、例えば1〜60秒、好ましくは2〜30秒、より好ましくは4〜15秒、さらに好ましくは5〜10秒開放することにより実施することができる。
1分間のサイクルの頻度は、より高いほうが物性の均質化、食感の向上のために効果がある。サイクル数としては、一分間に2回以上、好ましくは4〜15回、より好ましくは6〜12回を提示できる。
なお、従来のレトルト殺菌機等の圧力釜は、その構造上、短時間に多数回の加圧/放圧を行うことができないが、本発明の炊飯装置では加圧弁、排気弁等を操作することにより、装置内の圧力を調整することが可能であり、短時間に多数回の、より精緻な条件での加圧/放圧が可能になる。このような観点からも本発明は優れている。
沸騰工程の時間は、当業者であれば適宜設計できるが、例えば容体内の炊き水がほぼなくなって沸騰といえる状態が継続不能になるまでの時間とすることができる。沸騰工程は、典型的には、1〜20分、好ましくは5〜15分を提示できる。
沸騰工程において、加圧下で100℃を超えていた容体内は、チャンバが開放され、水蒸気が排出されると常圧となり、沸騰が起こる。沸騰により、米が充分に攪拌され、米が立ち、またいわゆるカニ穴が形成される等の、鍋で炊飯する場合に近い状態を容体内に再現することができる。
蒸煮工程:
沸騰工程の後に、容体内温度を、一定時間100℃に近い高温(例えば、95〜100℃)に、一定時間(例えば、5〜20分間)保つ、蒸煮工程を含んでもよい。沸騰工程を経た容体内には、水といえるものはほとんどなくなっているので、蒸煮工程においては、主に水蒸気によって加熱が進む。
蒸煮工程は、従来技術の蒸し庫等を利用し、実施することができる。
蒸煮時間は、当業者であれば適宜設計できるが、典型的には、1〜20分、好ましくは3〜15分を提示できる。
沸騰工程の後に、容体内温度を、一定時間100℃に近い高温(例えば、95〜100℃)に、一定時間(例えば、5〜20分間)保つ、蒸煮工程を含んでもよい。沸騰工程を経た容体内には、水といえるものはほとんどなくなっているので、蒸煮工程においては、主に水蒸気によって加熱が進む。
蒸煮工程は、従来技術の蒸し庫等を利用し、実施することができる。
蒸煮時間は、当業者であれば適宜設計できるが、典型的には、1〜20分、好ましくは3〜15分を提示できる。
炊飯装置:
本発明の昇温工程、及び炊飯工程は、従来の加圧加熱器を、必要に応じて改良して、用いることができるが、以下で述べる装置を用いて好適に実施することができる。
本発明の昇温工程、及び炊飯工程は、従来の加圧加熱器を、必要に応じて改良して、用いることができるが、以下で述べる装置を用いて好適に実施することができる。
図1は、本発明で用いることのできる炊飯装置の一例を示す。図1において、1はチャンバ、12はチャンバと連通している水蒸気管、14はチャンバと連通している排気管であり、3は水蒸気管12と連通しているボイラーである。120は水蒸気管12に備えられた水蒸気弁、140は排気管14に備えられた排気弁である。8は容体であり、2は容体8を搭載するための容体搭載器、20及び21は容体搭載器2に設けられた容体搭載部及び開口部である。9は浸漬米(炊飯の前の状態の米)である。16は熱電対を挿入するための挿入口である。図1においては、図の簡略化のために、容体搭載器2が一つの容体8を搭載する態様を示すが、実際には、容体搭載器2には複数の容体8が搭載される。図1においてチャンバ1の両端に設けられた開閉可能な扉の図示は省略してある。
図2は、本発明で用いることのできる装置の正面図である。図2中、7は多孔板であり、容体8に充填された本発明で用いる食品原料の飛散を防止する。18はチャンバ1の両端に設けられた開閉可能な扉である。他の符号は図1と同様に定義される。
図3は、本発明で用いることのできる装置の側面図である。図3中、19は容体搭載器2を支持するガイドレール、5は熱電対である。他の符号は図1と同様に定義される。
また、チャンバの前後に1個、又は複数の温度調製可能な保温庫を設置し、その中を移動させることのより、より詳細な温度設定が可能となり、結果としてより良好の加工米飯の製造が可能となる。以下のチャンバとこれらの装置をより連続的に操作することによって本発明で示すような最適な炊飯方法による米飯の大量生産が可能になる。
また、チャンバの前後に1個、又は複数の温度調製可能な保温庫を設置し、その中を移動させることのより、より詳細な温度設定が可能となり、結果としてより良好の加工米飯の製造が可能となる。以下のチャンバとこれらの装置をより連続的に操作することによって本発明で示すような最適な炊飯方法による米飯の大量生産が可能になる。
以下必要に応じて図面を参照して説明する。
本発明で用いるチャンバ1は、前記食品原料9が充填された容体8を格納できればよいが、容体8を1個あるいは複数個格納、好ましくは1〜100個格納できることが好ましい。また、チャンバ1は、容体8に占有されない空間(「非占領空間」ともいう)を、容体8の容量の1〜3倍程度含むことが好ましい。非占領空間が容体8の容量の1倍未満であると、チャンバ1内の保温性が低下する場合がある。また、非占有空間が容体8の容量の3倍を超えると、装置が嵩高くなりコストが増加する場合がある。以上から、本発明で用いるチャンバ1の容量は、容体容積の2〜60倍であることが好ましい。例えば、前述の無菌包装米飯を製造する場合、チャンバ1の容量は3〜6000リットル程度が好ましい。なお、本装置はこの大きさに限定されるものではなく、工場のスペース、蒸気の供給量等が許すのであれば、さらに多数を収納できるトレーを使用すること、あるいはトレーを立体的に多段重ねることを排除するものではない。
本発明で用いるチャンバ1は、前記食品原料9が充填された容体8を格納できればよいが、容体8を1個あるいは複数個格納、好ましくは1〜100個格納できることが好ましい。また、チャンバ1は、容体8に占有されない空間(「非占領空間」ともいう)を、容体8の容量の1〜3倍程度含むことが好ましい。非占領空間が容体8の容量の1倍未満であると、チャンバ1内の保温性が低下する場合がある。また、非占有空間が容体8の容量の3倍を超えると、装置が嵩高くなりコストが増加する場合がある。以上から、本発明で用いるチャンバ1の容量は、容体容積の2〜60倍であることが好ましい。例えば、前述の無菌包装米飯を製造する場合、チャンバ1の容量は3〜6000リットル程度が好ましい。なお、本装置はこの大きさに限定されるものではなく、工場のスペース、蒸気の供給量等が許すのであれば、さらに多数を収納できるトレーを使用すること、あるいはトレーを立体的に多段重ねることを排除するものではない。
本発明において、粒状又は麺状食品原料9が充填された容体8は、図1、図3及び図4に示すように容体搭載器2を用いてチャンバ1内に格納されることが好ましい。具体的には、容体8が搭載された容体搭載器2をガイドレール19で支持することにより、チャンバ1内に容体8を格納する。図4は、容体搭載器2の概要を示す正面図である。図4中、20は容体搭載部、21は開口部である。開口部21は、チャンバ1内の気体を流動しやすくさせる。
本発明における加熱の方法は特に限定されない。例えば、チャンバ1の回りに、ヒータ等の加熱手段(図示なし)を設置することで加熱できる。しかしながら、本発明においては、チャンバ1に水蒸気管12を設けて、チャンバ1内に水蒸気を導入することによって、容体8及び当該容体に充填された前記食品原料9を加熱することが好ましい。水蒸気は熱伝導率が高いため、効率よく加熱できる。また、水蒸気はチャンバに導入管を形成することで容易に導入できるので、装置を簡素化できる。導入される水蒸気は、高圧水蒸気であることが好ましく、その圧力は3〜4kgf/cm2がより好ましい。
チャンバ1内には、空気又は水蒸気等の気体が存在するので、この気体を流動させることで、熱が容体8及び当該容体に充填された前記食品原料9に伝わり易くなる。気流を発生する方法は限定されない。例えば、チャンバ1内設置されたファンにより気流を発生できる。
さらに、水蒸気管12と排気管14は、チャンバ1の天面に設置されていることが好ましい。このように水蒸気管12と排気管14を設置すると、前記食品原料9等の鉛直上方で気流が発生するので、容体8及び当該容体に充填された前記食品原料9の鉛直上に多量に存在する空気の層をより効果的に除去できる。さらに、水蒸気管12と排気管14はチャンバ1の長手方向に交互に複数設置されることが好ましい。水蒸気管12と排気管14の内径は適宜調整できるが、1〜20cmが好ましい。
水蒸気を導入した後、排気弁を開けることにより水蒸気を含む気体を排出して放圧する。その際に、温度が100℃以上の場合には圧力の変化により溶液中の水分が瞬間的に気化するために沸騰する。その後に一定温度に常圧下で放置することを1サイクルとして、このサイクルを繰り返すことができる。このサイクルの繰り返しにより、水分を徐々に放出していき、水分がなくなった時点で沸騰は終了する。
代表的なパターンを示す。Tiで水蒸気を導入し、所定の温度に達した時点で、一気に水蒸気の導入を停止し、同時に排気を行う。その後、所定のサイクルの間(To)、廃気のまま維持し、その間は加熱によって炊飯される。このパターンにおいては、例えばTiは0.5〜5秒程度で100℃から105℃から110℃程度まで上昇させることができる。また、Toは、求める炊飯の物性等によって変化させることができ、5〜60秒、さらにはそれより長く設定することができる。
従来、家庭用の炊飯器で炊飯する場合には、吸水、加圧、沸騰、蒸らし等の各工程を経て炊飯されるが、工業的には、一定温度で蒸すことにより炊飯されることが多かった。本発明により、工業的な炊飯方法においても、吸水、加圧、沸騰、蒸らし等の各工程を経る方法で炊飯できるようになった。
以上の工程のみによっても炊飯することは可能であり、完全な殺菌が不要である常温流通、チルド流通などの給食や中食などに用いる場合には、この工程のみで製造することが可能である。従来の方法では一釜単位での製造であったが、本製法により50g〜300gぐらいの個食ごとの製造が可能である。なお、本発明で「個食用」というときは、1又は数人(好ましくは、1人)が1回の食事において喫食するのに特に適した量や形態を有することをいう。
また、定法により密封工程、殺菌工程などを組み合わせることによって、無菌包装米飯を製造することができる。
3)シール工程
本発明の方法を無菌包装米飯等に用いる場合には、炊飯済容体の開口部を密封包装するシール工程を含む。
本工程では、殺菌済み容体8の開口部をシール材で密封包装する。シール材とは、前記開口部を密封するための部材であり、通常はシート状又はフィルム状の部材である。本発明では、シール材としてプラスチックフィルムを用いることが好ましい。密封は公知の方法で行ってよいが、殺菌処理がなされたプラスチックフィルムを容体の開口部に貼付または熱融着して密封することが好ましい。密封工程により無菌包装米飯が得られる。密封工程は無菌状態で行われることが好ましい。
本発明の方法を無菌包装米飯等に用いる場合には、炊飯済容体の開口部を密封包装するシール工程を含む。
本工程では、殺菌済み容体8の開口部をシール材で密封包装する。シール材とは、前記開口部を密封するための部材であり、通常はシート状又はフィルム状の部材である。本発明では、シール材としてプラスチックフィルムを用いることが好ましい。密封は公知の方法で行ってよいが、殺菌処理がなされたプラスチックフィルムを容体の開口部に貼付または熱融着して密封することが好ましい。密封工程により無菌包装米飯が得られる。密封工程は無菌状態で行われることが好ましい。
4)他の工程
本発明の方法は、他の工程、例えば、殺菌工程、蒸らし工程を含んでもよい。
殺菌工程は、吸水工程の前に行うことができ、また炊飯工程の前に行うこともできる。炊飯工程の前に行うことは、米飯の取り扱い上有利であるが、特にそれに限定されるものではない。
本発明の方法は、他の工程、例えば、殺菌工程、蒸らし工程を含んでもよい。
殺菌工程は、吸水工程の前に行うことができ、また炊飯工程の前に行うこともできる。炊飯工程の前に行うことは、米飯の取り扱い上有利であるが、特にそれに限定されるものではない。
殺菌は、食品の殺菌に用いられる通常の加圧加熱殺菌によることが好ましいが、原料米にダメージを与えなければ、レトルト殺菌や、UV殺菌等さまざまな殺菌方法を使用することができる。殺菌時の加熱の状態によっては、炊飯工程の条件を変更する必要が生じたり、最終的に得られる米飯の食感に影響を与えることがあるので、殺菌工程においては、米が炊飯されてしまうほどには加熱しないことが好ましい。このような観点からは、本発明の方法へは、加圧加熱殺菌を適用することが好ましい。 加圧加熱殺菌工程は、食品製造に際して用いられる通常の加圧加熱殺菌機を用いて実施することができ、また図1に示した装置を転用して用いて実施することもできる。
5)その他
本発明における原材料の「水」としては、米飯製造において通常用いられるものを使用することができるが、軟水が適している。米飯製造において、原料として使用されるあらゆる段階での水、例えば、吸水工程で充填される水には、食品として許容される種々の添加物、例えば、米飯に関しては、酵素類(リゾチーム、アミラーゼ)、pH調節剤、pH低下剤、ビタミン類、ミネラル類、油脂類、酸味料、甘味料、調味料、香料、オリゴ糖混合物等が添加されてもよい。pH低下剤は、米飯のpHを下げ、保存性を向上させるために使用されるものである。pH低下剤としては、例えば、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、これらの混合物を用いることができる。pH添加剤の酸味・酸臭を抑えるために、オリゴ糖混合物を使用してもよい。
本発明における原材料の「水」としては、米飯製造において通常用いられるものを使用することができるが、軟水が適している。米飯製造において、原料として使用されるあらゆる段階での水、例えば、吸水工程で充填される水には、食品として許容される種々の添加物、例えば、米飯に関しては、酵素類(リゾチーム、アミラーゼ)、pH調節剤、pH低下剤、ビタミン類、ミネラル類、油脂類、酸味料、甘味料、調味料、香料、オリゴ糖混合物等が添加されてもよい。pH低下剤は、米飯のpHを下げ、保存性を向上させるために使用されるものである。pH低下剤としては、例えば、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、これらの混合物を用いることができる。pH添加剤の酸味・酸臭を抑えるために、オリゴ糖混合物を使用してもよい。
本発明においては、原材料として、上述したもののほか、米以外の穀類(例えば、麦、あわ、ひえ、きび)、具材(例えば、豆類、野菜、果実、畜肉、魚貝類)、調味料、食品として許容される添加物(例えば、リゾチーム)を適宜使用することができる。
本発明で「米飯食品」というときは、白飯、具飯(米と種々の具材とを混合した食材を炊飯することで製造される米飯)を含む。
本発明で、「無菌包装米飯」というときは、特に記載した場合を除き、狭義の無菌包装米飯、すなわちレトルト殺菌したものを含まず、無菌条件下で包装した無菌化包装米飯をいう。
本発明で、「無菌包装米飯」というときは、特に記載した場合を除き、狭義の無菌包装米飯、すなわちレトルト殺菌したものを含まず、無菌条件下で包装した無菌化包装米飯をいう。
本発明は、無菌包装米飯の食感の改良方法として、利用可能である。このような方法は、開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水適量の水とともに置いて吸水上有効な温度及び時間で吸水させる吸水工程;吸水済容体の複数個を炊飯機内で同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;及び炊飯済容体の開口部を密封包装する密封工程を含み、炊飯工程が、水蒸気により加圧加熱可能な炊飯チャンバ内で、加圧して行われる加圧工程を含み、そして加圧工程が、容体内を沸騰状態に保つ沸騰工程を含む。
本発明の食感の改良方法は、原料米が、加工用ブレンド米や比較的安価なブレンド米である場合にも適している。加工用ブレンド米は、一定の価格になるように配合されたものである。加工用ブレンド米の配合例の一つは京都産夢ごごち 20%、岡山産 あきひかり 20%、高知産 なんごくそだち 60%である。
本発明で米飯に関し、「食感」というときは、特に示した場合を除き、米粒感、ふっくら感、粘り、硬さ、好ましさ、又はこれらの任意の組み合わせをいう。食感は、米飯を実際に試食して評価する官能試験に基づき、評価することができる。官能評価は、米飯を常食している当業者であれば、必要であれば基準米との比較により、評価することができる。また、米飯の水分量、弾性、粘性は米飯の食感と相関があると考えられており、食感に与える影響やが大きいので、水分量を測定することによっても、米飯を評価することができる。より具体的な評価手段は、本明細書の実施例の記載を参考にすることができる。
本発明の製造方法により製造された個食用米飯、特に無菌包装米飯は、従来のものとは異なり、米飯として特に好ましい食感を有しており、新規なものである。本発明は、また、本発明により製造される米飯(本発明の方法で製造された米飯と、本発明の方法で製造された米飯と同一であるが、他の方法で製造された米飯とを含む。)を提供するものでもある。
[実施例1:炊飯条件の検討]
従来法のうちの炊飯工程のみを所定の条件に変更し、それぞれの効果を検証した。
炊飯装置として、試作した図1の加圧加熱装置を使用した(チャンバサイズ:幅18.5cm×奥行き80.0cm×高さ12cm)。これは、原料が充填されたプラスチックトレイ(29〜40mm×118mm×179mm)4個を同時に入れることができ、密封下、高温の飽和蒸気を加圧可能な装置である。145℃まで迅速に加温することができ、密封又は加圧、除圧を繰り返すことにより、様々な加圧加熱状態を保つことが可能である。
従来法のうちの炊飯工程のみを所定の条件に変更し、それぞれの効果を検証した。
炊飯装置として、試作した図1の加圧加熱装置を使用した(チャンバサイズ:幅18.5cm×奥行き80.0cm×高さ12cm)。これは、原料が充填されたプラスチックトレイ(29〜40mm×118mm×179mm)4個を同時に入れることができ、密封下、高温の飽和蒸気を加圧可能な装置である。145℃まで迅速に加温することができ、密封又は加圧、除圧を繰り返すことにより、様々な加圧加熱状態を保つことが可能である。
本発明により得られた無菌包装米飯は、喫食前に加熱して食するのに適している。加熱方法の例として、包装容器のシール材の一部を剥がして電子レンジ加熱する、包装容器ごと温浴加熱する等が挙げられる。
1.方法
1.1.米飯の製造
試作1(従来法):
下記の従来の製造条件で炊飯した。
1)新潟産コシヒカリ精米(搗精度88.5%)を1000g計量する。
2)洗米(手洗い)後、生米の4倍の水を加えて20℃で1時間浸漬する。
3)浸漬米112gをプラスチックトレイ(商品名:ラミコンカップ、東洋製罐株式会社製、寸法:29mm×118mm×179mm)に充填する。
4)加圧加熱殺菌機(シンワ機械製)を用いて、Fo=5となる条件で加圧加熱殺菌を行う。具体的には、5秒加熱蒸気供給、1秒排気を4回サイクル行う。最高温度は140〜145℃に達する。(殺菌工程)
5)軟水装置(三浦工業株式会社製、Zソフナー)を通した20〜25℃の水80gをプラスチックトレイに充填する。
6)水を充填後、98〜100℃の蒸気庫に30分間置き、炊飯する。
7)炊飯後にプラスチックトレイにシールをして密封する。
8)密封トレー入り米飯を75℃の蒸気庫内で15分間加熱した(蒸らし工程)後、10℃以下の冷水で20分間冷却する。
1.1.米飯の製造
試作1(従来法):
下記の従来の製造条件で炊飯した。
1)新潟産コシヒカリ精米(搗精度88.5%)を1000g計量する。
2)洗米(手洗い)後、生米の4倍の水を加えて20℃で1時間浸漬する。
3)浸漬米112gをプラスチックトレイ(商品名:ラミコンカップ、東洋製罐株式会社製、寸法:29mm×118mm×179mm)に充填する。
4)加圧加熱殺菌機(シンワ機械製)を用いて、Fo=5となる条件で加圧加熱殺菌を行う。具体的には、5秒加熱蒸気供給、1秒排気を4回サイクル行う。最高温度は140〜145℃に達する。(殺菌工程)
5)軟水装置(三浦工業株式会社製、Zソフナー)を通した20〜25℃の水80gをプラスチックトレイに充填する。
6)水を充填後、98〜100℃の蒸気庫に30分間置き、炊飯する。
7)炊飯後にプラスチックトレイにシールをして密封する。
8)密封トレー入り米飯を75℃の蒸気庫内で15分間加熱した(蒸らし工程)後、10℃以下の冷水で20分間冷却する。
試作2:
従来法の工程1)〜5)を経た後、6)の炊飯工程は、次のように変更した:雰囲気温度50℃に5分間置き(吸水工程)、試作した図1の加圧加熱装置を用いて100℃〜105℃で5分間加圧加熱及び放圧を繰り返し(沸騰工程)、100℃設定の蒸し庫に10分間置いた。その後、従来法の工程7)〜8)を経た。なお、沸騰工程においては、5秒ごとに、蒸気を供給して庫内を加圧下105℃まで昇温し、105℃に達温したら瞬間的に放圧(排気弁開放)することを繰り返した。その放圧時に沸騰が発生した。
従来法の工程1)〜5)を経た後、6)の炊飯工程は、次のように変更した:雰囲気温度50℃に5分間置き(吸水工程)、試作した図1の加圧加熱装置を用いて100℃〜105℃で5分間加圧加熱及び放圧を繰り返し(沸騰工程)、100℃設定の蒸し庫に10分間置いた。その後、従来法の工程7)〜8)を経た。なお、沸騰工程においては、5秒ごとに、蒸気を供給して庫内を加圧下105℃まで昇温し、105℃に達温したら瞬間的に放圧(排気弁開放)することを繰り返した。その放圧時に沸騰が発生した。
試作3:
6)の炊飯工程は、試作した図1の加圧加熱殺菌装置を用い、100℃〜105℃の間で15分沸騰工程を経ることに変更したほかは、試作1及び2と同様にした。
6)の炊飯工程は、試作した図1の加圧加熱殺菌装置を用い、100℃〜105℃の間で15分沸騰工程を経ることに変更したほかは、試作1及び2と同様にした。
1.2.官能評価
得られた無菌包装米飯のシール材を一部剥がし、容器ごと家庭用電子レンジにて600W×2分間加熱した後、米飯を主食としており、専ら米飯の製造に従事している7名のパネラーに試食させ、官能評価を行った。評価項目は、米粒感、ふっくら感、粘り、硬さ、好ましさの5項目とした。米粒感とは、米粒それぞれの存在を感じることを指す。ふっくら感とは、米飯塊が適度に空気を抱いていて口の中で米粒がふんわりとほぐれる感じをいう。粘りとは米飯のねばねば感である。硬さとは米飯を咀嚼したときの硬さに関する好ましさである。好ましさとは、米飯として食する場合の総合的なよさをいう。
得られた無菌包装米飯のシール材を一部剥がし、容器ごと家庭用電子レンジにて600W×2分間加熱した後、米飯を主食としており、専ら米飯の製造に従事している7名のパネラーに試食させ、官能評価を行った。評価項目は、米粒感、ふっくら感、粘り、硬さ、好ましさの5項目とした。米粒感とは、米粒それぞれの存在を感じることを指す。ふっくら感とは、米飯塊が適度に空気を抱いていて口の中で米粒がふんわりとほぐれる感じをいう。粘りとは米飯のねばねば感である。硬さとは米飯を咀嚼したときの硬さに関する好ましさである。好ましさとは、米飯として食する場合の総合的なよさをいう。
各項目において標準的な場合を2点とし、1〜5点の5段階で評価した。評価基準は下表のとおりである。この基準に基づいて各パネラーが点数を付け、7名パネラーの評価点の平均値を求めた。
1.3.水分の測定方法
円筒状の金型(直径36mm)を用いて米飯の中央部分をプラスチックトレイの厚み方向にくり抜いた。金型内の米飯の、最上部及び最下部それぞれから10gずつ、採取した。水分計(商品名:FD−600、ケツト科学研究所製)を用いて計り取った米飯を110℃で60分間加熱し、米飯中の水分を測定した。
円筒状の金型(直径36mm)を用いて米飯の中央部分をプラスチックトレイの厚み方向にくり抜いた。金型内の米飯の、最上部及び最下部それぞれから10gずつ、採取した。水分計(商品名:FD−600、ケツト科学研究所製)を用いて計り取った米飯を110℃で60分間加熱し、米飯中の水分を測定した。
1.4.弾性及び粘性の測定方法
米飯の弾性及び粘性は、動的粘弾性測定装置MGレオアナライザー(商品名:MX−1000、有限会社サンズコーポレーション製)を使用して測定した。測定は、直径1.8mmの円形プランジャーを使用し、振幅30μm、周波数3Hzで行った。試料は、電子レンジで2分間加熱して得た米飯から採取した米粒とした。計10粒について測定し、その平均値を物性値とした。
米飯の弾性及び粘性は、動的粘弾性測定装置MGレオアナライザー(商品名:MX−1000、有限会社サンズコーポレーション製)を使用して測定した。測定は、直径1.8mmの円形プランジャーを使用し、振幅30μm、周波数3Hzで行った。試料は、電子レンジで2分間加熱して得た米飯から採取した米粒とした。計10粒について測定し、その平均値を物性値とした。
<結果>
結果を下表に示した。
結果を下表に示した。
従来の工程(試作1)はやわらかい物性であるもの、ふっくら感、粘りは低く、低い評価であった。吸水工程後、短時間の加圧を行った試作2は硬さ、ふっくら感、粘り、全てにおいて試作1より優れており、好ましさも最も好ましいレベルに達していた。
また、加圧工程のみによリ炊飯した試作3はふっくら感、粘りは試作3と同様であるものの、硬さが残ったままの状態であった。ただし、この試作3は他の試作品で見られた上下間の水分の違いが見られなかった。加圧工程が長いため、他の試作よりも沸騰している時間が長く、その結果上下のばらつきがなくなったものと考えられる。
以上より、従来の工程においてはやわらかい米飯しか得られなかったものが、加圧工程を加えることにより、より硬い食感を得ることが可能になった。また、さらにその前に保温する工程を加え、吸水させることによりやわらかくすることができ、吸水工程と加圧工程を調整することにより、米飯の食感を調整できることが示唆された。
参考のため、殺菌工程を経ていない新潟産コシヒカリを三菱電機株式会社製炊飯器MITSUBISHI NJ-G10を用い、標準的な設定(炊飯器にあらかじめ設定されている通常の炊飯条件。約20分の密封加熱と約20分前後の非密封加熱とからなる。)で炊飯して得た米飯を、同様に評価下結果を下記に示す。
[実施例2:吸水工程の温度の検討]
吸水工程温度の影響について検討した。
実施例1の1)〜4)の工程を経た浸漬米入りプラスチックトレイ(ただし、トレーは38×118×179mmサイズのものを用い、浸漬米重量は149gとした。)、軟水107gを充填し、所定の雰囲気温度下に置き、吸水させた。
吸水工程温度の影響について検討した。
実施例1の1)〜4)の工程を経た浸漬米入りプラスチックトレイ(ただし、トレーは38×118×179mmサイズのものを用い、浸漬米重量は149gとした。)、軟水107gを充填し、所定の雰囲気温度下に置き、吸水させた。
各々の条件での吸水量を下表に示した。なお、吸水量は、加圧加熱殺菌前(浸漬米重量)と吸水工程後の重量の差から算出した。
浸漬米149gあたり100g前後の吸水量を確保するための時間として、雰囲気温度50℃では10分、70℃では7分、及び98℃では5分が必要であることが分かった。
これらの中で、吸水量が100g前後であるものを、続く工程に供し、無菌包装米飯を調整した。詳細には、まず品温を100℃に昇温させ、そして品温が100℃〜105℃間に維持されるように5秒ごとに加圧と徐圧とを繰り返し、1分間沸騰させた(加圧工程)。なお、100℃到達までの昇温にかかった時間は1.5分〜3分であり、吸水工程の温度は、大きくは影響しなかった。続いて、庫内温度98℃の蒸気庫で、10分間、蒸煮した(蒸煮工程)。シール密封し、75℃の蒸気庫内で15分間加熱した後、10℃以下の冷水で20分間冷却し、無菌包装米飯を得た。
これらの中で、吸水量が100g前後であるものを、続く工程に供し、無菌包装米飯を調整した。詳細には、まず品温を100℃に昇温させ、そして品温が100℃〜105℃間に維持されるように5秒ごとに加圧と徐圧とを繰り返し、1分間沸騰させた(加圧工程)。なお、100℃到達までの昇温にかかった時間は1.5分〜3分であり、吸水工程の温度は、大きくは影響しなかった。続いて、庫内温度98℃の蒸気庫で、10分間、蒸煮した(蒸煮工程)。シール密封し、75℃の蒸気庫内で15分間加熱した後、10℃以下の冷水で20分間冷却し、無菌包装米飯を得た。
調製条件及び官能評価結果を下表に示した。
水分値については、下部は吸水工程の保持時間が長いものほど高くなる傾向にあったが、上部については大きな変化はなかった。吸水量が一定であれば、吸水工程の温度及び時間は、水分に影響しないように思われた。
官能評価では、吸水工程の保持時間が短いものほど、硬く、ふっくら感及び粘りについて高い評価が得られた。
以上より、吸水工程の温度及び保持時間を調整することにより、米飯の食感を調整することが可能であることが示された。
以上より、吸水工程の温度及び保持時間を調整することにより、米飯の食感を調整することが可能であることが示された。
[実施例3:加工用ブレンド米を用いた検討]
新潟産コシヒカリ及び加工食品用に調製されたブレンド米((株)加ト吉フードレック、京都産夢ごごち 20%、岡山産あきひかり 20%、高知産なんごくそだち 60%)を用いて、実施例1の1)〜4)の工程を経た浸漬米入りプラスチックトレイを準備した。ただし、トレーは38×118×179mmサイズのものを用い、浸漬米重量は149gとした。トレーに、コシヒカリに対しては112g、加工用ブレンド米に対しては107gの軟水を充填し、所定の雰囲気温度下に置き、1時間吸水させた。昇温は、品温が100℃に達するまで所定の雰囲気温度に放置することにより行い、次いで、実施例2と同様、100〜105℃で加圧放圧を繰り返した。蒸煮工程(庫内温度100℃、5分)後にシール材で密封し、蒸らし工程(75℃、15分)を経て、実施例2と同様に冷却し、無菌包装米飯を得た。
新潟産コシヒカリ及び加工食品用に調製されたブレンド米((株)加ト吉フードレック、京都産夢ごごち 20%、岡山産あきひかり 20%、高知産なんごくそだち 60%)を用いて、実施例1の1)〜4)の工程を経た浸漬米入りプラスチックトレイを準備した。ただし、トレーは38×118×179mmサイズのものを用い、浸漬米重量は149gとした。トレーに、コシヒカリに対しては112g、加工用ブレンド米に対しては107gの軟水を充填し、所定の雰囲気温度下に置き、1時間吸水させた。昇温は、品温が100℃に達するまで所定の雰囲気温度に放置することにより行い、次いで、実施例2と同様、100〜105℃で加圧放圧を繰り返した。蒸煮工程(庫内温度100℃、5分)後にシール材で密封し、蒸らし工程(75℃、15分)を経て、実施例2と同様に冷却し、無菌包装米飯を得た。
コシヒカリを使用した無菌包装米飯についての条件及び評価結果を下表にまとめた。
昇温を短時間で済ませた試作7は、硬く、ふっくら感が劣っていたのに対し、それよりも低い雰囲気温度下で昇温した試作8、9の方が、やわらかく、好ましい傾向にあった。
水を減らした以外は同様の条件で調製した加工用ブレンド米使用無菌包装米飯について、下表にまとめた。
水を減らした以外は同様の条件で調製した加工用ブレンド米使用無菌包装米飯について、下表にまとめた。
加工用ブレンド米は、食感が柔らかすぎ、沸騰工程のない炊飯方法では、官能的に好ましくない評価となった(試作No.13)。
ブレンド米を用いた場合はコシヒカリとは異なり、高温、短時間の昇温工程によってのみ、好ましい米飯が得られた。
ブレンド米を用いた場合はコシヒカリとは異なり、高温、短時間の昇温工程によってのみ、好ましい米飯が得られた。
本発明を用いることにより、ブレンド米を無菌包装米飯へ利用することができると考えられた。
試作No.10の、容体内の温度グラフを図9に示した。
試作No.10の、容体内の温度グラフを図9に示した。
[実施例4:沸騰頻度の検討]
沸騰工程において加圧減圧の頻度を変えて米飯の試作を行った。
<方法>
従来法の工程1)〜2)を経た後、3)で浸漬米140gをプラスチックトレイ(商品名:ラミコンカップ、東洋製罐株式会社製、寸法:38mm×118mm×179mm)に充填する。4)を経た後、5)で炊き水112gを充填した。
6)以降は、次のように変更した。
沸騰工程において加圧減圧の頻度を変えて米飯の試作を行った。
<方法>
従来法の工程1)〜2)を経た後、3)で浸漬米140gをプラスチックトレイ(商品名:ラミコンカップ、東洋製罐株式会社製、寸法:38mm×118mm×179mm)に充填する。4)を経た後、5)で炊き水112gを充填した。
6)以降は、次のように変更した。
本発明(試作No.14-18):雰囲気温度50℃に5分間置き(吸水工程)、試作した図1の加圧加熱装置を用いて0.5秒間密閉されたチャンバに蒸気を供給して加圧し、下表に示した時間だけチャンバを開放することにより蒸気を排気する工程を1サイクルとして、5分間繰り返して加熱し(沸騰工程)、100℃設定の蒸し庫に10分間置いた。その後、従来法の工程7)〜8)を経た。
この沸騰工程では、温度は、蒸気供給時に最高105〜110℃になり、蒸気を排気するとすぐに100℃程度まで下がった。
さらに、下記の炊飯法でも実施した。
従来法(試作No.19):98〜100℃の蒸気庫に20分置き、炊飯した。
加圧炊飯(試作No.20):110℃で一定に調整した圧力容器内に20分置き、炊飯する。
さらに、下記の炊飯法でも実施した。
従来法(試作No.19):98〜100℃の蒸気庫に20分置き、炊飯した。
加圧炊飯(試作No.20):110℃で一定に調整した圧力容器内に20分置き、炊飯する。
<結果>
水分及び官能評価(実施例1〜3と同様だが、パネルは5名)、並びに粘性・弾性の結果を下表に示す。
水分及び官能評価(実施例1〜3と同様だが、パネルは5名)、並びに粘性・弾性の結果を下表に示す。
上部の水分値が最も大きいのはサイクル数が1分間に12回(試作No.14)のもので64.3%であった。チャンバを開放することにより圧力が下がり、沸騰する時間が長くなる(60秒に近づく)ほど上部の水分値は小さくなった。加圧炊飯(試作No.20)では62.4%、従来法(試作No.19)では61.4%であった。
下部の水分値は加圧炊飯(試作No.20)が最も小さく、63.5%であった。それ以外の条件では下部の水分は同じ程度で、65.3〜65.7%であった。すなわち、加圧炊飯(試作No.20)は、他の条件より2%程度、水分値が小さい結果となった。
水分値の上下差が小さい(均一に炊飯できている)のは、加圧炊飯(試作No.20)および1分間に12回サイクル操作を行った(試作No.14)で1.2〜1.4%であった。
他の条件での水分値上下差は4.3〜5.0%であった。沸騰時間が長くなる(60秒に近づく)ほど上下の差は大きくなった。
他の条件での水分値上下差は4.3〜5.0%であった。沸騰時間が長くなる(60秒に近づく)ほど上下の差は大きくなった。
沸騰時間が長くなるほど(60秒に近づくほど)ふっくら感の点数は小さくなった。それにともなって、好ましさも低い評価となった。好ましさでは、本発明の方法のもの(試作No.14〜18)は、従来法のもの(試作No.19)より、高い評価が得られ、特に、好ましさで1分間のサイクル数が12回のもの(試作No.14)及び6回のもの(試作No.15)で高い評価(4.1〜4.2点)が得られた。次いで3回のもの(試作No.16)、2回のもの(試作No.17)の評価が高かった(3.8点)。
総じて、官能評価が高いのは1分間のサイクル数が12回のもの(試作No.14)、6回のもの(試作No.15)であった。
一方、加圧炊飯(試作No.20)では、米粒感が低く、粘りのある食感となったが、好ましさは3.1点であり、従来方法の炊飯(試作No.19)とほぼ同じ結果であった。
一方、加圧炊飯(試作No.20)では、米粒感が低く、粘りのある食感となったが、好ましさは3.1点であり、従来方法の炊飯(試作No.19)とほぼ同じ結果であった。
また、粘弾性の測定結果を見てみると、弾性について今までの炊飯(試作No.19)が一番低く、その後に加圧炊飯(試作No.20)、通常の炊飯器(前記、別表参照)であり、今回の測定が一番弾性に富んでおり、粘性については今までの炊飯法、加圧炊飯よりも高く、さらに炊飯器による炊飯よりも若干粘性が高いことが明らかになった。この結果は官能評価の結果と対応するものであった。
Claims (13)
- 開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水上有効な温度及び時間で、吸水適量の水とともに置くことにより吸水させる吸水工程;及び
吸水済容体の1又は複数個を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;
を含む、個食用米飯の製造方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の1又は複数個が収納され、当該吸水済容体の開口部に対向するように設けられた水蒸気管と排気管を備える密閉された炊飯チャンバにおいて、当該水蒸気管から水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて当該排気管を介して炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、製造方法。 - 炊飯工程が、沸騰工程の前に、容体内を沸騰可能な温度にまで昇温させる昇温工程を含み、昇温工程が、7分以内に終了する、請求項1に記載の製造方法。
- 沸騰工程が、該サイクルを1分間に2回以上行うことを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 沸騰工程が、該サイクルを1分間に4〜15回行うことを含む、請求項3に記載の製造方法。
- 沸騰工程が、該サイクルを1分間に6〜12回行うことを含む、請求項4に記載の製造方法。
- 吸水工程が、浸漬米100gあたり、52〜77gの水を吸収させるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 殺菌工程、及び炊飯済容体の開口部をシール材で密封包装する密封工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法であって、吸水工程の前に、容体内に収納された浸漬米を、無菌包装米飯製造上有効な温度及び時間で加圧加熱殺菌する殺菌工程を含み、殺菌済浸漬米を容体内のまま吸水工程に供するものであり、
殺菌工程が、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う、製造方法。 - 殺菌工程が、密閉された殺菌チャンバ内に水蒸気を導入し、かつ殺菌チャンバ内から水蒸気を排出することにより、殺菌チャンバ内で、気流を連続的又は間欠的に生じさせながら行う工程である、請求項8に記載の製造方法。
- 開口部を有する容体内に、浸漬米を、吸水適量の水とともに置いて吸水上有効な温度及び時間で吸水させる吸水工程;
吸水済容体の1又は複数個を同時に加熱することにより炊飯する炊飯工程;及び
炊飯済容体の開口部をシール材で密封包装する密封工程
を含む、無菌包装米飯の食感の改良方法であって:
炊飯工程が、吸水済容体の複数個が収納され、当該吸水済容体の開口部に対向するように設けられた水蒸気管と排気管を備える密閉された炊飯チャンバにおいて、当該水蒸気管から水蒸気を導入してチャンバ内を加圧し、続いて当該排気管を介して炊飯チャンバから水蒸気を排出してチャンバ内の圧を下げるサイクルを、1又は複数回行うことにより、連続的又は間欠的に容体内を沸騰状態にする沸騰工程を含む、方法。 - 浸漬米が、加工用ブレンド米である、請求項10に記載の方法。
- 前記炊飯チャンバが、前記容体を1〜100個格納できる大きさである、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 前記水蒸気管と排気管が、すべての前記吸水済容体開口部と対向するように設けられている、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2949275B2 (ja) * | 1996-07-31 | 1999-09-13 | 株式会社たかの | 無菌パック米飯の製造法 |
JP3414010B2 (ja) * | 1993-11-29 | 2003-06-09 | フジモリプラケミカル株式会社 | パック食品の加熱調理方法及びその装置 |
JP2005124462A (ja) * | 2003-10-23 | 2005-05-19 | Kagome Co Ltd | 容器詰め無菌米飯の製造方法及び容器詰め無菌米飯 |
-
2014
- 2014-10-27 JP JP2014218157A patent/JP2015015965A/ja active Pending
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