JP2015015226A - 燃料電池用ガス拡散電極基材およびその製造方法 - Google Patents

燃料電池用ガス拡散電極基材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐フラッディング性、耐ドライアップ性に優れ、低温から高温の広い温度範囲にわたって高い発電性能を発現可能であり、さらには、機械特性、導電性、熱伝導性が優れる燃料電池用ガス拡散電極基材を提供する。
【解決手段】 多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層を配置させたガス拡散電極基材であって、前記マイクロポーラス層には、その厚み方向に貫通する空孔を有し、前記空孔が電極基材においてマイクロポーラス層が配置されている面と反対の面に連結している、燃料電池用ガス拡散電極基材およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池に好適に用いられるガス拡散電極基材およびその製造方法に関する。より詳しくは、高温での耐ドライアップ性を持ちながら、低温かつ高加湿条件においてもガスの拡散性と耐フラッディング性に優れ、機械特性、導電性、熱伝導性を維持したまま、低温から高温の広い温度範囲にわたって高い発電性能を発現可能なガス拡散電極基材およびその製造方法に関する。
水素を含む燃料ガスをアノードに供給し、酸素を含む酸化ガスをカソードに供給して、両極で起こる電気化学反応によって起電力を得る固体高分子型燃料電池は、一般的に、セパレータ、ガス拡散電極基材、触媒層、電解質膜、触媒層、ガス拡散電極基材、セパレータを順に積層して構成される。ガス拡散電極基材にはセパレータから供給されるガスを触媒へと拡散するための高いガス拡散性、電気化学反応に伴って生成する液水をセパレータへ排出するための高い排水性、発生した電流を取り出すための高い導電性が必要であり、炭素繊維などからなるガス拡散電極基材が広く用いられている。
しかしながら、(1)固体高分子型燃料電池を70℃未満の比較的低い温度かつ高電流密度領域において作動させる場合、大量に生成する液水により電極基材が閉塞し、燃料ガスの供給が不足する結果、発電性能が低下する問題(以下、フラッディングと記載)、(2)80℃以上の比較的高い温度で作動させる場合、水蒸気拡散により電解質膜が乾燥し、プロトン伝導性が低下する結果、発電性能が低下する問題(以下、ドライアップと記載)が知られており、これら(1)、(2)の問題を解決するために多くの取り組みがなされている。この基本的な解決方法としては、ガス拡散電極基材の表面にマイクロポーラス層を形成し、そのマイクロポーラス層内に空孔を形成して、ガスの拡散性と排水性を向上させる方法がとられている。
特許文献1では、カーボン多孔体を含浸させた電極基材の上に、電極基材生分解性高分子等、焼結工程にて消失する材料(以下、消失材とよぶ)を混合したマイクロポーラス層前駆体を塗布し焼結することにより、マイクロポーラス層内部に空孔を形成したガス拡散電極基材が提案されている。このガス拡散電極基材を用いた燃料電池によれば、マイクロポーラス層中に空孔構造を形成でき、ある程度の性能向上が期待されるが、未だ十分な性能、特に排水性を得ることができず、発電性能の向上も不十分なものであった。
特許文献2では、マイクロポーラス層内の空孔形成に用いる消失材として5μm程度のポリメタクリル酸メチルを用いているが、特許文献1の技術と同様に十分な発電性能を得るにはいたっていない。
これに対し特許文献3では、ポリメタクリル酸メチルなどの消失材を大量に添加することにより、極度に空孔率を大きくし、空孔を連結させる技術を開示している。この技術ではガス拡散性は向上するものの、マイクロポーラス層の機械強度を保つ作用を有するカーボンブラックに対して、消失材を数百パーセントと過剰に添加するために空孔率が大きくなりすぎて、マイクロポーラス層自体の機械強度が大きく低下してしまい、このため、ガス拡散電極基材を触媒層に熱圧着した際にマイクロポーラス層が圧縮されて空孔が潰れるのでガスの拡散および水の排水に十分寄与することができないという問題が生じる。また、空孔が大きすぎることにより、導電性や熱伝導性が大きく低下してしまい結果的に発電性能を十分に向上できないという問題も生じる。
これらのような多くの取り組みがなされているが、耐フラッディング性に優れ、なおかつ耐ドライアップ性に優れたガス拡散電極基材として満足できるものはまだ見出されていない。
特開2006−294559号公報 特開2007−250496号公報 特開2007−317435号公報
本発明の目的は、高温での耐ドライアップ性を持ちながら、低温かつ高加湿条件においてもガスの拡散性と耐フラッディング性に優れ、機械特性、導電性、熱伝導性を大きく損なうことなく、低温から高温の広い温度範囲にわたって高い発電性能を発現可能なガス拡散電極基材を提供することである。
本発明のガス拡散電極基材は、かかる課題を解決するために、次のいずれかの手段を採用するものである。
(1)多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層を配置させたガス拡散電極基材であって、前記マイクロポーラス層には、その厚み方向に貫通する空孔を有し、前記空孔が電極基材においてマイクロポーラス層が配置されている面と反対の面に連結している、燃料電池用ガス拡散電極基材。
(2)前記貫通する空孔は、その最大幅がマイクロポーラス層の厚みよりも大きく、マイクロポーラス層の厚みの3倍以下である、前記(1)記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
(3)前記貫通する空孔は、マイクロポーラス層の表面側の開口幅が、貫通する空孔の最大幅よりも小さい、前記(1)または(2)記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
(4)マイクロポーラス層に、アスペクト比が30〜5000の範囲内であり、直径が1〜500nmの範囲内である繊維状カーボンを含む、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
(5)前記貫通する空孔は、マイクロポーラス層において、表面側の開口幅より電極基材側の開口幅のほうが大きい、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
(6)前記貫通する空孔がマイクロポーラス層の面内に1000個/cm以上の密度で形成されている、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
また、本発明のガス拡散電極基材の製造方法は、前記した課題を解決するために、次のいずれかの手段を採用するものである。
(7)多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層の厚みよりも大きい直径または長辺を有する消失材を含むマイクロポーラス層前駆体を形成せしめ、その後、焼結して、前記消失材を消失または縮小させて、前記したガス拡散電極基材を得る、燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
(8)多孔体である電極基材の片面に、消失材を配置し、その上からカーボン塗液を塗布し、乾燥してマイクロポーラス層前駆体を形成せしめ、その後、焼結して、前記消失材を消失または縮小させて、前記したガス拡散電極基材を得る、燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
(9)マイクロポーラス層前駆体には、アスペクト比が30〜5000の範囲内である繊維状カーボンを含む、前記(7)または(8)に記載の燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
(10)前記消失材が大気中にて380℃で10分保管において炭化収率が20%未満であり、かつ直径または長辺が30μm以上である有機粒子である、前記(7)〜(9)のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
(11)前記有機粒子にはメタクリル酸エステル重合体を含む、前記(10)に記載の燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
本発明により、ガス拡散電極基材での液水の排出を促進することにより、フラッディングを抑制し、さらには、水蒸気拡散を抑制することにより、ドライアップを抑制することができる。このため、本発明のガス拡散電極基材を燃料電池に用いると、低温から高温の広い温度範囲にわたって高い発電性能を発現可能である。また、本発明のガス拡散電極基材は機械強度、導電性、熱伝導性も良好である。
消失材による空孔内について貫通孔形成を電子顕微鏡により確認する方法を説明する断面図 消失材による不定形の空孔内について貫通孔形成を電子顕微鏡により確認する方法を説明する図
本発明者等は、多量の消失材またはアスペクト比の大きなカーボンブラックを用いて高空孔率のマイクロポーラス層を形成したガス拡散電極基材において、電極基材のガス拡散性、排水性が改善されるためフラッディングが改善されることが期待されるが、フラッディングの抑制はまだ不十分のままであるし、ドライアップが抑制できないという前記した問題が生じる原因について、消失材から形成された空孔により高空孔率を有するだけでは、マイクロポーラス層内またはガス拡散電極基材内に孤立した大きな空隙に水が充填され溜まるだけで電極基材側には排水されておらず、触媒層近傍のマイクロポーラス層全体に均一に水が溜まり、ガスの拡散ができないために発電性能が向上しないと考えた。
この問題に対して鋭意検討した結果、次の手段によりこれらの問題を一挙に解決し、低温から高温の広い範囲にわたって高い発電性能を発現できることを見出した。すなわち、排水とガス拡散を両立させるためには、マイクロポーラス層において、排水性とガス拡散性とを分離して機能する部分を形成する必要があると考え、ガス拡散性を向上させる部分とは別に、排水性を向上させる部分としてマイクロポーラス層を貫通する大きな空孔(以下、貫通孔と呼ぶ)を新たに形成することが重要であることを見出し、本発明に至ったのである。
本発明の燃料電池用ガス拡散電極基材は、多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層を配置させたガス拡散電極基材であって、前記マイクロポーラス層には、その厚み方向に貫通する空孔を有し、前記空孔が電極基材においてマイクロポーラス層が配置されている面と反対の面に連結していることが必要である。
以下、各要素について説明する。
本発明における電極基材は、セパレータから供給されるガスを触媒へと拡散するための高いガス拡散性、電気化学反応に伴って生成する液水をセパレータへ排出するための高い排水性、発生した電流を取り出すための高い導電性が必要である。
このため、電極基材として、導電性の多孔体、具体的には、炭素繊維織物、炭素繊維不織布、炭素繊維抄紙体などの炭素繊維を含む多孔体や、発砲焼結金属、金属メッシュ、エキスパンドメタルなどの金属多孔体が用いられ、中でも、耐腐食性が優れることから、炭素繊維を含む多孔体を用いることが好ましく、さらには、機械強度に優れることから、炭素繊維抄紙体を炭化物で結着してなる基材、すなわち「カーボンペーパー」を用いることが好ましい。本発明において、炭素繊維抄紙体を炭化物で結着してなる基材は、通常、後述するように、炭素繊維の抄紙体に樹脂を含浸し炭素化することにより得られる。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が挙げられる。中でも、機械強度に優れることから、PAN系、ピッチ系炭素繊維が本発明において好ましく用いられる。
本発明において、電極基材の厚みが50〜300μmの範囲内であることが好ましく、60〜200μmの範囲内であることがより好ましく、70〜150μmの範囲内であることがさらに好ましい。電極基材の厚みが50μm以上であると、面内方向のガス拡散が十分となり、セパレータのリブ下にある触媒へもガスの供給ができるため、低温、高温のいずれにおいても発電性能が向上する。また、電極基材の機械強度が向上し、電解質膜、触媒層を十分に支えることができる。一方、電極基材の厚みが150μm以下であると、排水のパスが短くなるため、排水性が向上し、フラッディングを抑制できるとともに、導電のパスが短くなり、導電性が向上し、高温、低温のいずれにおいても発電性能が向上する。
ここで、電極基材の厚みは、面圧0.15MPaで加圧した状態で、マイクロメーターを用いて求めることができる。
本発明において、ガス拡散電極基材の厚みは70〜400μmであることが好ましく、80〜300μmであることがより好ましく、90〜250μmであることがさらに好ましい。ガス拡散電極基材の厚みが70μm以上であると、面内方向のガス拡散が十分となり、セパレータのリブ下にある触媒へもガスを供給ができるため、低温、高温のいずれにおいても発電性能が向上する。一方、ガス拡散電極基材の厚みが250μm以下であると、排水性が向上し、フラッディングを抑制できるとともに、導電のためのパスが短くなり、導電性が向上し、高温、低温のいずれにおいても発電性能が向上する。かかる厚みを有するガス拡散電極基材は、電極基材の厚みとマイクロポーラス層の厚みを制御することにより得られる。
ここで、ガス拡散電極基材の厚みは、面圧0.15MPaで加圧した状態で、マイクロメーターを用いて求めることができる。
本発明における炭素繊維は、単繊維の平均直径が3〜20μmの範囲内であることが好ましく、5〜10μmの範囲内であることがより好ましい。平均直径が3μm以上であると、細孔径が大きくなり排水性が向上し、フラッディングをより抑制することができる。一方、平均直径が20μm以下であると、水蒸気拡散性が小さくなり、ドライアップをより抑制することができる。また、異なる平均直径を有する2種類以上の炭素繊維を用いると、電極基材の表面平滑性を向上できるために好ましい。
ここで、炭素繊維における単繊維の平均直径は、走査型電子顕微鏡などの顕微鏡で、炭素繊維を1000倍以上に拡大して写真撮影を行い、無作為に異なる30本の単繊維を選び、その直径を計測し、その平均値を求めたものである。走査型電子顕微鏡としては、(株)日立製作所製S−4800、あるいはその同等品を用いることができる。
本発明における炭素繊維は、単繊維の平均長さが3〜20mmの範囲内にあることが好ましく、5〜15mmの範囲内にあることがより好ましい。平均長さが3mm以上であると、電極基材が機械強度、導電性、熱伝導性が優れたものとなり好ましい。一方、平均長さが20mm以下であると、抄紙の際の炭素繊維の分散性が優れ、均質な電極基材が得られるために好ましい。かかる平均長さを有する炭素繊維は、連続した炭素繊維を所望の長さにカットする方法などにより得られる。
ここで、炭素繊維の平均長さは、走査型電子顕微鏡などの顕微鏡で、炭素繊維を50倍以上に拡大して写真撮影を行い、無作為に異なる30本の単繊維を選び、その長さを計測し、その平均値を求めたものである。走査型電子顕微鏡としては、(株)日立製作所製S−4800、あるいはその同等品を用いることができる。なお、炭素繊維における単繊維の平均直径や平均長さは、通常、原料となる炭素繊維についてその炭素繊維を直接観察して測定されるが、電極基材を観察して測定しても良い。
本発明において、電極基材の密度が0.2〜0.4g/cmの範囲内であることが好ましく、0.22〜0.35g/cmの範囲内であることがより好ましく、さらには0.24〜0.3g/cmの範囲内であることが好ましい。密度が0.2g/cm以上であると、水蒸気拡散性が小さく、ドライアップをより抑制することができる。また、電極基材の機械特性が向上し、電解質膜、触媒層を十分に支えることができる。加えて、導電性が高く、高温、低温のいずれにおいても発電性能が向上する。一方、密度が0.4g/cm以下であると、排水性が向上し、フラッディングをより抑制することができる。
本発明において、電極基材の片面にマイクロポーラス層が配置されていることが必要である。マイクロポーラス層は、セパレータから供給されるガスを触媒へと拡散するための高いガス拡散性、電気化学反応に伴って生成する液水をセパレータへ排出するための高い排水性、発生した電流を取り出すための高い導電性が必要である。さらには、電解質膜への水分の逆拡散を促進し、電解質膜を湿潤する機能も有する。
本発明において、マイクロポーラス層の目付は5〜35g/mの範囲内であることが好ましく、10〜30g/mの範囲内であることがより好ましく、16〜25g/mの範囲内であることがさらに好ましい。マイクロポーラス層の目付が5g/m以上であると、電極基材表面を覆うことができ、逆拡散が促進され、ドライアップを抑制できる。また、マイクロポーラス層の目付が35g/m以下であると、排水性が向上し、フラッディングを抑制できる。
本発明において、マイクロポーラス層に形成された貫通する空孔は図1(a)に示すようにマイクロポーラス層1の厚み方向においてその表面と電極基材側の面とを空孔が通じている空孔2である。この空孔(以下、貫通孔ともいう)は、後記詳述するように、電極基材の片面に高温で消失する粒子(以下、消失材)を含有したマイクロポーラス層前駆体を形成し、それを焼結して消失材を熱分解や溶融揮発や昇華させることで消失させて形成することができる。 マイクロポーラス層に形成された貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口幅5、貫通孔の最大幅6、マイクロポーラス層の電極基材側の開口幅7はイオンミリング装置やミクロトームなどの断面切削装置を用いてガス拡散電極基材を面直方向に切断した断面を作成し、断面方向から光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することにより貫通孔形状を計測できる。貫通孔の最大幅6はマイクロポーラス層内においてその表面と水平な方向で貫通孔が最大の幅を持つ部分の幅長さとする。
次に好ましい貫通孔の形状について述べる。一般的に液体は通過する撥水処理された管径が大きいほど通過しやすくなる。また、通常マイクロポーラス層は電極基材よりも細孔径が小さいため液体の水が通過しにくい。このため、マイクロポーラス層には屈曲の少ない、適度な幅を持った貫通孔により水の排水パスが形成されることが良い。よって、好ましい貫通孔の形態は貫通孔の最大幅6がマイクロポーラス層の厚みよりも大きく、3倍以下であることとなる。これは貫通孔の最大幅6がマイクロポーラス層の厚みより大きいことにより、触媒層との界面に滞留した液体の水を排出がより容易になる。一方、マイクロポーラス層は触媒層への給電の役目を持っており、貫通孔の幅が大きすぎると貫通孔に接する触媒層に十分な給電を行うことができないことがある。このため、貫通孔の最大幅6はマイクロポーラス層の厚みの3倍以下であることが好ましい。更に好ましい形態としてはマイクロポーラス層において、貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口幅5よりも、マイクロポーラス層内の貫通孔の最大幅6が大きいことである。これにより、マイクロポーラス層は触媒層との密着を保つことができるため、より効率的な水の排出を行うことができる。
更に好ましい貫通孔の形態としては、マイクロポーラス層において、表面側より電極基材側の開口幅を大きくすることである。すなわち、図1(b)に示すように貫通孔2のマイクロポーラス層1の表面側の開口幅5よりも電極基材側の開口幅7を大きくする。このような形態とすることにより、撥水材料で構成された管状の貫通孔では開口幅の小さなところから大きなところに液が自発的に排出されるようになるからである。このためマイクロポーラス層の表面から貫通孔を電極基材まで液滴が通過し、格段に効率のよい排水性を得ることができる。
なお、触媒層から貫通孔内に排水するために、マイクロポーラス層表面の開口の大きさは一定以上あることが望ましく、その開口幅が5μm以上あることが好ましい。また、マイクロポーラス層の表面側より大きな開口幅を電極基材側にもつ貫通孔は全体の貫通孔の四分の一以上あることが効率的に排水する点から望ましい。
貫通孔はマイクロポーラス層の表面から観察して、1000個/cm以上の密度であることが望ましい。これは排水機能を持つ貫通孔が一定以上の密度で存在することで触媒層で発生した水をガス拡散電極基材を通してセパレーター側に効率的に排出することができるからである。なお、マイクロポーラス層側表面より電極基材側に大きく開口している貫通孔であれば、上記のとおり水の排出効果が高いため更に個数が少なくとも効果を発揮することができる。一方、貫通孔が多く存在すると、表面での接触面積が低減し、十分な電導性を得ることができなくなるため、30000個/cm以下の密度であることが好ましい。
単位面積当たりの貫通孔の密度は、次のようにして測定することができる。まず、マイクロポーラス層の表面上の1mm角のエリアを走査型電子顕微鏡で観察し、画像の平均明るさの半分以下となる部分で、かつ200μm以上の面積を持つ部分を空孔個数として面積当たりの個数を計算する。走査型電子顕微鏡としては、(株)日立製作所製S−4800、あるいはその同等品を用いることができる。なお、消失材痕の孔がマイクロポーラス層の両面を貫通しているかどうかの判断は空孔を電子顕微鏡により更に拡大して内部を観察することにより行う。具体的には上記の空孔を無作為に30個選び空孔の内部を観察して、電極基材内の5μm以上の開口した長辺9を持つ空隙が空孔内部に観察されればこの空孔が貫通孔であると判断する。この時、図2に示すように電極基材として炭素繊維3を含む多孔体を用いた場合、炭素繊維3によって形成される空隙に接続しているマイクロポーラス層1の貫通孔2の電極基材側の底は黒い部分4として観察される。つまり(a)のようにマイクロポーラス層の表面から観察された消失材の空孔の電極基材側底部に一般的には黒く観察される電極基材の空隙4を観察する。この電極基材の空隙は(b)に示すように電極基材の炭素繊維により形成される空隙であり、消失材により形成される貫通孔2の底部で長辺9が5μm以上あることが観察されれば、貫通孔としての機能を果たすことができる。このようにして観察された空孔30個のうち貫通孔となっている個数を調べ、空孔個数に対して貫通孔の比率を算出する。さらに先ほどの単位面積当たりの空孔個数に対し貫通孔の比率を掛け合わせ、単位面積当たりの貫通孔密度と定義する。
本発明で用いられる電極基材は通常炭素繊維の集合体であり、その内部に形成されている空隙は連続している。このためマイクロポーラス層の貫通孔を上記の方法で観察した場合に貫通孔と認められた場合は、その貫通孔は電極基材内部の空隙を通じて、マイクロポーラス層が形成された面(触媒層側)と反対の電極基材の面(セパレーター側)に連結しているといえる。
導電性と排水性を向上するという観点から、マイクロポーラス層には導電性フィラーと撥水材を含む多孔体を用いることが好ましい。導電性フィラーとしては、通常カーボンブラックなどの炭素系フィラーが用いられる。
本発明において、マイクロポーラス層には、炭素系フィラーとして、アスペクト比が30〜5000である繊維状カーボンを用いることが望ましい。かかる繊維状カーボンの使用により、マイクロポーラス層の前駆体であるカーボン塗液の電極基材へのしみ込みを適度に抑制し、また貫通孔ではない部分に多数の空孔を形成できるためガス拡散性を向上することができる。これにより、貫通孔で排水を行い、その他の部分でガス拡散を行うという機能分離が行われ、効果的なガス拡散電極基材を得られる。さらには、電極基材表層に十分な厚みを有するマイクロポーラス層が形成され、逆拡散が促進されるため、ドライアップも抑制できる。繊維状カーボンのアスペクト比が30未満であると、カーボン塗液中の炭素系フィラーの絡まりあいが少なくなり、カーボン塗液の粘度が低下し、カーボン塗液の裏抜けを抑制することができない。一方、繊維状カーボンのアスペクト比が5000より大きいと、カーボン塗液中の繊維状カーボンの絡まりあいが過剰となり、カーボン塗液で固形分の凝集、沈降が起こるという問題がある。本発明において、繊維状カーボンのアスペクト比が35〜3000の範囲内であることがより好ましく、40〜1000の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、繊維状カーボンのアスペクト比は次のように求めた。アスペクト比は、平均長さ(μm)/平均直径(μm)を意味する。平均長さは、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などの顕微鏡で、1000倍以上に拡大して写真撮影を行い、無作為に異なる10個の繊維状カーボンを選び、その長さを計測し、平均値を求めたものであり、平均直径は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などの顕微鏡で、10000倍以上に拡大して写真撮影を行い、無作為に異なる10個の繊維状カーボンを選び、その直径を計測し、平均値を求めたものである。走査型電子顕微鏡としては、(株)日立製作所製S−4800、あるいはその同等品を用いることができる。
本発明において、繊維状カーボンとしては、気相成長炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カップ積層型カーボンナノチューブ、竹状カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバーが挙げられる。中でも、アスペクト比を大きくでき、導電性、機械特性が優れることから、気相成長炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブが、本発明において用いるに好適な繊維状カーボンとして挙げられる。気相成長炭素繊維とは気相中の炭素を触媒により成長させたものであり、平均直径が5〜200nm、平均繊維長が1〜20μmの範囲のものが好ましい。
本発明において、特定アスペクト比の繊維状カーボンを用いる場合、その平均長さが0.1〜30μmの範囲内であることが好ましく、1〜20μmの範囲内であることがより好ましく、2〜15μmの範囲内であることがさらに好ましい。かかる繊維状カーボンにおいて、その平均長さが0.1μm以上であると、カーボン塗液の粘度が高くなり、裏抜けが抑制され、電極基材のガス拡散性、排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。本発明において、特定アスペクト比の繊維状カーボンを用いる場合、その直径が1〜500μmの範囲内であるものを用いるのが良い。
本発明において、マイクロポーラス層には、特定アスペクト比の繊維状カーボンを含むことが好ましいが、かかる繊維状カーボン以外の各種炭素系フィラーを含むことも好ましい。炭素系フィラーとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックや、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、薄片グラファイトなどのグラファイトや、CNTなどの繊維状カーボンであってアスペクト比が30〜5000の範囲内にはないものが挙げられるが、それらの中でもカーボンブラックを用いるのがより好ましく、アセチレンブラックを用いるのが最も好ましい。特定アスペクト比の繊維状カーボンを用いる場合、それに対するカーボンブラックなどの、特定アスペクト比の繊維状カーボン以外の炭素系フィラーの混合質量比が1〜20の範囲内であることが好ましく、1.5〜19の範囲内であることがより好ましく、2〜10の範囲内であることがさらに好ましい。かかる混合質量比が1以上であると、特定アスペクト比の繊維状カーボンとそれ以外の炭素系フィラーを含むマイクロポーラス層の空孔率が適度な大きさとなるため、水蒸気拡散性が小さく、ドライアップを抑制することができる。かかる混合質量比が20以下であると、特定アスペクト比の繊維状カーボンの配合の効果でマイクロポーラス層の前駆体であるカーボン塗液の電極基材へのしみ込みを適度に抑制し、ガス拡散性、排水性が改善されるため、フラッディングを抑制でき、さらには、電極基材表層に十分な厚みを有するマイクロポーラス層が形成され、逆拡散が促進されるため、ドライアップを抑制できる。
本発明において、液水の排水を促進するとの観点から、マイクロポーラス層には炭素系フィラーと組み合わせて撥水材を含むことが好ましい。中でも、耐腐食性が優れることから、撥水材としてはフッ素系のポリマーを用いることが好ましい。フッ素系のポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
本発明において、液水の排出を促進する、水蒸気拡散を抑制するとの観点から、マイクロポーラス層には炭素系フィラーと組み合わせて各種材料を用いることができる。
本発明において、マイクロポーラス層の空孔率は60〜92%の範囲内であることが好ましく、65〜87%の範囲内であることがより好ましい。ここでいう空孔には貫通孔も含んでいる。マイクロポーラス層の空孔率が60%以上であると、排水性が向上し、フラッディングを抑制することができる。マイクロポーラス層の空孔率が92%以下であると、水蒸気拡散性が小さく、ドライアップを抑制することができる。加えて、導電性が高く、高温、低温のいずれにおいても発電性能が向上する。かかる空孔率を有するマイクロポーラス層は、後述する製法において、マイクロポーラス層の目付、撥水材、その他材料に対する炭素系フィラーの配合量、炭素系フィラーの種類、および、マイクロポーラス層の厚みを制御することにより得られる。中でも、撥水材、その他材料に対する炭素系フィラーの配合量、炭素系フィラーの種類を制御することが有効である。ここで、撥水材、消失材を含むその他材料に対する炭素系フィラーの配合量を大きくすることにより高空孔率のマイクロポーラス層が得られ、撥水材、消失材を含むその他材料に対する炭素系フィラーの配合量を小さくすることにより低空孔率のマイクロポーラス層が得られる。また、マイクロポーラス層の空孔率を高めるために小さな独立孔による空孔を形成する方法を用いる場合はそのマイクロポーラス層の厚みよりも小さな直径または長辺を有する消失材を利用することもできる。一方、貫通孔を形成することと同時に空孔率を高めるためには、マイクロポーラス層の厚みより大きな直径または長辺を有する消失材が用いられる。
ここで、マイクロポーラス層の空孔率は、イオンビーム断面加工装置を用いた断面観察用サンプルを用い、走査型電子顕微鏡などの顕微鏡で、断面を1000倍以上に拡大して写真撮影を行い、空孔部分の面積を計測し、観察面積に対する空孔部分の面積の比を求めたものである。走査型電子顕微鏡としては、(株)日立製作所製S−4800、あるいはその同等品を用いることができる。
本発明において、電極基材の片面にマイクロポーラス層が配置されていることが必要であるが、セパレータとガス拡散電極基材間の電気抵抗を低減することができるとの観点から、マイクロポーラス層の一部が電極基材に含浸していることが好ましい。
なお、本発明において、電極基材の片面に前記したようなマイクロポーラス層が配置されていることが必要であるが、電極基材において、前記したマイクロポーラス層が配置されている面(電極基材の触媒側)と反対の面(電極基材のセパレーター側)に全面に別のマイクロポーラス層を配置することは貫通孔が連結しがたくなるため避けた方が良い。ただし、貫通孔を有するマイクロポーラス層の反対側の電極基材面に部分的にマイクロポーラス層を配置することは貫通孔を有するマイクロポーラス層における貫通孔が電極基材の反対面に連結できるので問題がない。その場合、部分的なマイクロポーラス層は、その面積的な比率(被覆率)が30%以下であることが好ましい。
次に、本発明のガス拡散電極基材を得るためのガス拡散電極基材の製造方法について説明する。
本発明のガス拡散電極基材は、多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層の厚みよりも大きい直径または長辺を有する消失材を含むマイクロポーラス層前駆体を形成せしめ、その後、焼結して、前記消失材を消失または縮小させることで製造することができる。また、マイクロポーラス層側表面より電極基材側に大きく開口している貫通孔を得るに際しては、例えば、多孔体である電極基材の片面に、消失材を配置し、その上からカーボン塗液を塗布し、乾燥してマイクロポーラス層前駆体を形成せしめ、その後、焼結して、前記消失材を消失または縮小させることで製造するのが好適である。
次に、本発明のガス拡散電極基材を得るに好適な方法について工程ごとに具体的に説明する。
<抄紙体、および抄紙体の製造方法>
本発明において、炭素繊維を含む抄紙体を得るためには、炭素繊維を液中に分散させて製造する湿式抄紙法や、空気中に分散させて製造する乾式抄糸法などが用いられる。中でも、生産性が優れることから、湿式抄紙法が好ましく用いられる。
本発明において、電極基材の排水性、ガス拡散性を向上する目的で、炭素繊維に有機繊維を混合して抄紙することができる。有機繊維としては、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維、ポリアセタール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維などを用いることができる。
また、本発明において、抄紙体の形態保持性、ハンドリング性を向上する目的で、バインダーとして有機高分子を含むことができる。ここで、有機高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、セルロースなどを用いることができる。
本発明における抄紙体は、面内の導電性、熱伝導性を等方的に保つという目的で、炭素繊維が二次元平面内にランダムに分散したシート状であることが好ましい。
抄紙体で得られる細孔径分布は、炭素繊維の含有率や分散状態に影響を受けるものの、概ね20〜500μm程度の大きさに形成することができる。
本発明において、抄紙体は、炭素繊維の目付が10〜100g/mの範囲内にあることが好ましく、15〜80g/mの範囲内にあることがより好ましい。炭素繊維の目付が10g/m以上であると、電極基材が機械強度の優れたものとなり好ましい。炭素繊維の目付が100g/m以下であると、電極基材がガス拡散性と排水性の優れたものとなり好ましい。なお、抄紙体を複数枚張り合わせる場合は、張り合わせ後の炭素繊維の目付が上記の範囲内にあることが好ましい。
ここで、電極基材における炭素繊維目付は、10cm四方に切り取った抄紙体を、窒素雰囲気下、温度450℃の電気炉内に15分間保持し、有機物を除去して得た残瑳の重量を、抄紙体の面積(0.1m)で除して求めることができる。
<樹脂組成物の含浸>
本発明において、炭素繊維を含む抄紙体に樹脂組成物を含浸する方法として、樹脂組成物を含む溶液中に抄紙体を浸漬する方法、樹脂組成物を含む溶液を抄紙体に塗布する方法、樹脂組成物からなるフィルムを抄紙体に重ねて転写する方法などが用いられる。中でも、生産性が優れることから、樹脂組成物を含む溶液中に抄紙体を浸漬する方法が好ましく用いられる。
本発明に用いる樹脂組成物は、焼成時に炭化して導電性の炭化物となるものが好ましい。樹脂組成物は、樹脂成分に溶媒などを必要に応じて添加したものをいう。ここで、樹脂成分とは、熱硬化性樹脂などの樹脂を含み、さらに、必要に応じて炭素系フィラー、界面活性剤などの添加物を含むものである。
本発明において、より詳しくは、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の炭化収率が40質量%以上であることが好ましい。炭化収率が40質量%以上であると、電極基材が機械特性、導電性、熱伝導性の優れたものとなり好ましい。
本発明において、樹脂成分を構成する樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。中でも、炭化収率が高いことから、フェノール樹脂が好ましく用いられる。また、樹脂成分に必要に応じて添加する添加物としては、電極基材の機械特性、導電性、熱伝導性を向上する目的で、炭素系フィラーを含むことができる。ここで、炭素系フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭素繊維のミルドファイバー、黒鉛、薄片グラファイトなどを用いることができる。
本発明に用いる樹脂組成物は、前述の構成により得られた樹脂成分をそのまま使用することもできるし、必要に応じて、抄紙体への含浸性を高める目的で、各種溶媒を含むことができる。ここで、溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどを用いることができる。
本発明における樹脂組成物は、25℃、0.1MPaの状態で液状であることが好ましい。液状であると抄紙体への含浸性が優れ、電極基材が機械特性、導電性、熱伝導性に優れたものとなり好ましい。
本発明において、炭素繊維100質量部に対して、樹脂成分を30〜400質量部含浸することが好ましく、50〜300質量部含浸することがより好ましい。樹脂成分の含浸量が30質量部以上であると、電極基材が機械特性、導電性、熱伝導性の優れたものとなり好ましい。一方、樹脂成分の含浸量が400質量部以下であると、電極基材がガス拡散性の優れたものとなり好ましい。
<張り合わせ、熱処理>
本発明においては、炭素繊維を含む抄紙体に樹脂組成物を含浸した予備含浸体を形成した後、炭素化を行うに先立って、予備含浸体の張り合わせや、熱処理を行うことができる。
本発明において、電極基材を所定の厚みにする目的で、予備含浸体の複数枚を張り合わせることができる。この場合、同一の性状を有する予備含浸体の複数枚を張り合わせることもできるし、異なる性状を有する予備含浸体の複数枚を張り合わせることもできる。具体的には、炭素繊維の平均直径、平均長さ、抄紙体の炭素繊維目付、樹脂成分の含浸量などが異なる複数の予備含浸体を張り合わせることもできる。
本発明において、樹脂組成物を増粘、部分的に架橋する目的で、予備含浸体を熱処理することができる。熱処理する方法としては、熱風を吹き付ける方法、プレス装置などの熱板にはさんで加熱する方法、連続ベルトにはさんで加熱する方法などを用いることができる。
<炭素化>
本発明において、炭素繊維を含む抄紙体に樹脂組成物を含浸した後、炭素化するために、不活性雰囲気下で焼成を行う。かかる焼成は、バッチ式の加熱炉を用いることもできるし、連続式の加熱炉を用いることもできる。また、不活性雰囲気は、炉内に窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを流すことにより得ることができる。
本発明において、焼成の最高温度が1300〜3000℃の範囲内であることが好ましく、1700〜3000℃の範囲内であることがより好ましく、1900〜3000℃の範囲内であることがさらに好ましい。最高温度が1300℃以上であると、樹脂成分の炭素化が進み、電極基材が導電性、熱伝導性の優れたものとなり好ましい。一方、最高温度が3000℃以下であると、加熱炉の運転コストが低くなるために好ましい。
本発明において、焼成にあたっては、昇温速度が80〜5000℃/分の範囲内であることが好ましい。昇温速度が80℃以上であると、生産性が優れるために好ましい。一方、5000℃以下であると、樹脂成分の炭素化が緩やかに進み緻密な構造が形成されるため、電極基材が導電性、熱伝導性の優れたものとなり好ましい。
なお、本発明において、炭素繊維を含む抄紙体に樹脂組成物を含浸した後、炭素化したものを、「炭素繊維焼成体」と記載する。
<撥水加工>
本発明において、排水性を向上する目的で、炭素繊維焼成体に撥水加工を施すことが好ましい。撥水加工は、炭素繊維焼成体に撥水材を塗布、熱処理することにより行うことができる。ここで、撥水材としては、耐腐食性が優れることから、フッ素系のポリマーを用いることが好ましい。フッ素系のポリマーとしては、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)などが挙げられる。撥水材の塗布量は、炭素繊維焼成体100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、2〜40質量部であることがより好ましく、さらには3〜30質量部であることが好ましい。撥水材の塗布量が1質量部以上であると、電極基材が排水性に優れたものとなり好ましい。一方、50質量部以下であると、電極基材が導電性の優れたものとなり好ましい。
なお、本発明において、炭素繊維焼成体に、必要に応じて撥水加工を施したものを、「電極基材」と記載する。なお、撥水加工を施さない場合は、炭素繊維焼成体と「電極基材」は同一のものを指す。
<マイクロポーラス層の形成>
マイクロポーラス層は、多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層の厚みよりも大きい直径または長辺を有する消失材を、導電性、熱伝導性を持ったカーボンブラックなどの炭素系フィラー、および撥水性をもつ疎水性樹脂と混合したカーボン塗液に配合し電極基材に塗布してマイクロポーラス層前駆体を配置し、それを焼結することにより形成される。カーボン塗液には、前記した特定アスペクト比を有する炭素系フィラーを混合してマイクロポーラス層前駆体を形成するのが良い。より具体的には次のようにして形成する。
まずカーボン塗液に消失材を含有させ、均一に分散させる。その後にカーボン塗液を電極基材の片面に塗布し、乾燥後に300〜380℃にて5〜20分間加熱して、撥水材を溶融し、炭素系フィラー同士をバインダーにしてマイクロポーラス層を形成する工程である焼結工程において、その消失材が熱分解や溶融揮発や昇華することにより消失させてマイクロポーラス層を形成する。この際消失した部分は粒子の形状を保ち空孔となる。消失材の形状は球状、楕円形、柱状、レンズ状、直方体形、繊維状でもよく不定形であっても良い。
また、マイクロポーラス層側表面より電極基材側に大きく開口している貫通孔を得るに好適な方法では、カーボン塗液を電極基材に塗布するに先立って、電極基材におけるカーボン塗液の塗布予定面に消失材を配置して消失材層形成せしめ、その上からカーボン塗液を塗布して乾燥させて・焼結を行うことで前記の形状の貫通孔を得ることができる。電極基材にあらかじめ消失材を配置する方法は特に規定されないが水やエチレングリコールなどの溶剤に消失材を混合し電極基材に塗布・ディッピングする方法が挙げられる。この方法を用いるとマイクロポーラス層の表面を平滑にすることができるため、ガス拡散電極基材を触媒層に加熱加圧にて圧着する上で良好な密着を得ることができる。このため触媒層とマイクロポーラス層の界面に隙間が発生しにくくなるため、触媒層で発生した液水をマイクロポーラス層側に更に効率的に移行することができる。
ここで消失材はマイクロポーラス層の厚みよりも大きいことが必要であり、消失材が球形であればその平均の直径が、消失材がアスペクト比が1でない粒子の場合は、粒子の最大の長さ(長辺)が焼結後のマイクロポーラス層の厚みよりも大きいことが必要である。さらに望ましくはマイクロポーラス層の1.5倍以上の直径または長辺がある消失材を用いることが良い。これにより効率的にマイクロポーラス層に貫通孔を形成できる。一般的に燃料電池用のガス拡散電極基材のマイクロポーラス層は10〜100μmの厚みであるので、この厚みより大きな直径または長辺を持つ消失材を選択することが良い。具体的には、粒子の直径または長辺が10μm以上200μm以下であることが望ましく、15μm以上100μm以下であることがさらに望ましい。10μm以上の直径または長辺を持つことにより、単独の粒子で貫通した空孔を形成できる。また、消失材を過剰に添加して複数の粒子の消失痕を連結して貫通孔を作る必要はない。また粒子が大きすぎると塗工時の配管への目詰まりや塗工欠点の元になるために200μm以下が望ましい。特に、マイクロポーラス層側表面より電極基材側に大きく開口している貫通孔を得るに好適な方法で用いる場合、消失材は、粒子の直径または長辺が30μm以上であることが望ましく、それにより、電極基材とマイクロポーラス層の界面において開口径または開口の長辺が30μm以上の空隙孔を形成することができる。なお、消失材の大きさは光学顕微鏡によって計測する。光学顕微鏡は校正が行われている顕微鏡であれば問題がない。マイクロポーラス層前駆体または前駆体塗液に含まれる消失材は適宜分離して観察を行えばよい。消失材の中で、5μm以上の直径または長辺を持つ粒子を無作為に30個選択しその大きさを測定する。粒子が球形であれば、その直径を画像上から計測する。球形ではない粒子についてはその粒子内で辺または対角において最大の長さを持つ距離を長辺として計測する。これら30個の粒子の直径又は長辺を平均した値を求めた。
消失材の材料としては、ガス拡散電極基材の焼結条件で消失または縮小して、マイクロポーラス層内に大きな空孔を形成する材料であれば特に限定されないが、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、でんぷん、ポリ乳酸樹脂、昇華性低分子体、マイクロバルーン等を用いることができる。ここで昇華性低分子体とは通常分子量が1000以下の低分子有機物粉体であり、焼結温度において昇華して消失するものである。昇華性低分子体の一例としてアントラセンやペンタセン、フェナントレンなどがあげられる。また、マイクロバルーンは中空状の粒子で、加熱により大きく膨らみ、周囲に空孔を形成し、最終的には樹脂部が熱分解又は縮小して空孔だけが残るものであり、種々の材料が上市されている。その例としては松本油脂製薬(株)製の“マツモトスフィア”(登録商標)や日本フィライト(株)製の“Expancel”(登録商標)などが挙げられる。マイクロバルーンのように加熱により膨張する消失材の場合、本発明においては、加熱時の膨張最大径を粒子の長辺とする。
これらのうちでも焼結で消失材が空孔を形成しやすく、さらに好ましくは一般的な焼結条件である380℃における炭化収率が20%以下である材料が良く、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)があげられる。これは炭化収率が20%より大きな消失材を用いると、焼結後に消失材の炭化物が親水性となっており、空孔そのものに水を溜め込み排出を阻害するためである。炭化収率は例えばSII社EXTRA TGA6200のようなTGA装置を用いて測定することができる。具体的には大気中にて50℃〜380℃を2℃/minの昇温速度で温度上昇させ380℃にて10min保持した。この後380℃にて保持された後の重量を初期重量で除して100をかけたものを炭化収率とした。
カーボン塗液やマイクロポーラス層前駆体における消失材の配合量はカーボンブラックの重量に対して10〜500重量%、好ましくは30〜300重量%であるのが望ましい。消失材の配合量が少ないと十分な貫通孔密度が得られず、排水が不十分となる。また、消失材の配合量が多いと空孔率が過剰になり、マイクロポーラス層の機械強度や導電率・熱伝導率が低下し、十分な発電性能が得られない。
カーボン塗液は水や有機溶媒などの分散媒を含んでも良いし、界面活性剤などの分散助剤を含んでもよい。分散媒としては水が好ましく、分散助剤にはノニオン性の界面活性剤を用いるのがより好ましい。また、前記したような、カーボンブラック以外の各種炭素系フィラーや撥水材を含有しても良い。
カーボン塗液の電極基材への塗工は、市販されている各種の塗工装置を用いて行うことができる。塗工方式としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、スプレー噴霧、凹版印刷、グラビア印刷、ダイコーター塗工、バー塗工、ブレード塗工などが使用できる。以上例示した塗工方法はあくまでも例示のためであり、必ずしもこれらに限定されるものではない。
電極基材にカーボン塗液を塗工した塗工物を、80〜120℃の温度で乾かすことが好ましい。すなわち、塗工物を、80〜120℃の温度に設定した乾燥器に投入し、5〜30分の範囲で乾燥する。乾燥風量は適宜決めればよいが、急激な乾燥は、表面の微小クラックを誘発する場合があるので望ましくない。乾燥後の塗工物は、マッフル炉や焼成炉または高温型の乾燥機に投入し、例えば300〜380℃にて5〜20分間加熱して焼結し、疎水性樹脂を溶融し、炭素系フィラー同士のバインダーにしてマイクロポーラス層が形成される。
このようにして、カーボン塗液中の固形分(炭素系フィラー、撥水材、界面活性剤など)が乾燥・焼結後に残存し、マイクロポーラス層が形成される。
本発明において、前記したガス拡散電極基材を、両面に触媒層を有する固体高分子電解質膜の少なくとも片面に接合することで膜電極接合体を構成することができる。その際、触媒層側に貫通孔を有するマイクロポーラス層を配置することで、より逆拡散が起こりやすくなるのに加え、触媒層とガス拡散電極基材の接触面積が増大し、接触抵抗を低減することができる。
かかる膜電極接合体の両側にセパレータを有することで燃料電池を構成する。通常、かかる膜電極接合体の両側にガスケットを介してセパレータで挟んだものを複数個積層することによって固体高分子型燃料電池を構成する。触媒層は、固体高分子電解質と触媒担持炭素を含む層からなる。触媒としては、通常、白金が用いられる。アノード側に一酸化炭素を含む改質ガスが供給される燃料電池にあっては、アノード側の触媒としては白金およびルテニウムを用いるのが好ましい。固体高分子電解質は、プロトン伝導性、耐酸化性、耐熱性の高い、パーフルオロスルホン酸系の高分子材料を用いるのが好ましい。かかる燃料電池ユニットや燃料電池の構成自体は、よく知られているところである。
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明する。実施例および比較例で用いた材料、電極基材の作製方法、およびガス拡散電極基材の作製方法、燃料電池の電池性能評価方法を次に示した。
<材料>
A:導電性フィラー(アスペクト比が30〜5000の範囲内である炭素系フィラー)
・気相成長炭素繊維“VGCF”(登録商標)(昭和電工(株)製、平均直径:0.15μm、平均繊維長:8μm、アスペクト比:50、繊維状カーボンの一種)
・多層カーボンナノチューブ(チープ チューブス社製、平均直径:0.015μm、平均繊維長:20μm、アスペクト比:1300、繊維状カーボンの一種)
B.その他の導電性フィラー
・“デンカブラック”(登録商標)(アセチレンブラック、電気化学工業(株)製、平均粒子径:0.035μm、アスペクト比:1)
C.消失材
・PMMAビーズ“MBX−50”(登録商標)球状(積水化成工業社製、粒子直径:50μm、アスペクト比:1、380℃で10分保管での炭化収率0.5%以下)
・ADCA“ビニホール”(登録商標)不定形(永和化成工業社製、粒子長辺:30μm、アスペクト比1.5、380℃で10分保管での炭化収率0.5%以下)
・マイクロバルーン“Expansel”(登録商標)球状(日本フィライト社製、粒子直径:10μm、アスペクト比:1、加熱時最大径:50μm、380℃で10分保管での炭化収率0.5%以下)
D.撥水材
・“ポリフロン”(登録商標)D−1E(PTFE樹脂、ダイキン工業株式会社製)
E.界面活性剤
・“TRITON”(登録商標)X−100(ノニオン系界面活性剤、ナカライテスク株式会社製)
<電極基材の作製>
・目付60g/mの電極基材の作製
炭素繊維を平均長さ12mmにカットし、水中に分散させて湿式抄紙法により連続的に抄紙した。さらに、バインダーとしてポリビニルアルコールの10質量%水溶液を塗布、乾燥させ、炭素繊維目付37.5g/mの抄紙体を作製した。ポリビニルアルコールの塗布量は、抄紙体100質量部に対して、22質量部であった。
熱硬化性樹脂としてレゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂の混合物、炭素系フィラーとして鱗片状黒鉛、溶媒としてメタノールを用い、熱硬化性樹脂/炭素系フィラー/溶媒=10質量部/5質量部/85質量部の配合比で混合し、超音波分散装置を用いて1分間撹拌を行い、均一に分散した樹脂組成物を得た。
15cm×12.5cmにカットした抄紙体をアルミバットに満たした樹脂組成物に浸漬し、炭素繊維100質量部に対して、樹脂成分(熱硬化性樹脂+炭素系フィラー)が130質量部となるように含浸させた後、100℃で5分間加熱して乾燥させ、予備含浸体を作製した。次に、平板プレスで加圧しながら、180℃で5分間熱処理を行った。なお、加圧の際に平板プレスにスペーサーを配置して、熱処理後の予備含浸体の厚みを調整した。
予備含浸体を熱処理した基材を、加熱炉において、窒素ガス雰囲気化で焼成を行い炭素化し、炭素繊維焼成体を得た。ここで、焼成条件は以下の通りとした。
a.室温から昇温速度500℃/分で2400℃まで昇温
b.2400℃で5分間保持
c.2400℃から室温まで放冷
炭素繊維焼成体にPTFE樹脂を塗布し、100℃で5分間加熱して乾燥させ、目付60g/m、厚み200μmの電極基材を作製した。
<消失材層へのカーボン塗液塗布によるマイクロポーラス層の形成>
消失材とエチレングリコールを混合した塗液をバーコーターを用いて、電極基材に塗布し、大気中で150℃の温度に5分間曝してエチレングリコールを揮発させ乾燥させて消失材層を形成した後、その上からカーボン塗液を全面に塗布し、大気中で150℃で5分間曝して乾燥し、その後380℃で60分間焼結させて、マイクロポーラス層を形成した。ここで用いた消失材とエチレングリコールを混合した塗液は表3に示す組成比になるようにするとともに、カーボン塗液は、導電性フィラー、撥水材を表3に示す組成比となるようにし、界面活性剤を導電性フィラー100重量部に対して200重量部加え、精製水で調整したものを用いた。界面活性剤及び精製水は加熱により除去されるため、マイクロポーラス層の組成比は表3に示す組成比となる。組成比は重量部で記載した。
<消失材を混合したカーボン塗液塗布によるマイクロポーラス層の形成>
ダイコーターを用いて電極基材の触媒側に消失材を混合したカーボン塗液を面状に塗工後、120℃で10分、380℃で20分加熱し、面状のマイクロポーラス層を形成した。ここで用いた消失材を混合したカーボン塗液は、消失材、導電性フィラー、撥水材を表1、2および4に示す組成比となるようにし、界面活性剤を導電性フィラー100重量部に対して200重量部加え、精製水で調整したものを用いた。界面活性剤及び精製水は加熱により除去されるため、マイクロポーラス層の組成比は表1、2および4に示す組成比となる。組成比は重量部で記載した。
<ガス拡散電極基材の電気抵抗評価>
得られたガス拡散電極基材について導電率測定を行い、面直方向の電気抵抗を次のようにして測定した。40mm×40mmのサイズにガス拡散電極基材を切り取り、上下を金めっきされた平滑な金属の剛体電極で挟み、0.15kPaの平均圧力をかける。この状態で上下の電極に電圧をかけ、単位面積当たりの電気抵抗を測定した。
<粒子の形状測定>
消失材の大きさは光学顕微鏡によって計測した。粉体を150μmのメッシュによりふるいをかけ、ガラス上に散布した。この粉体を光学顕微鏡により100倍の倍率で観察を行った。消失材のうち、5μm以上の大きさを持つ粒子を無作為に30個選択しその大きさを計測した。“MBX−50”、および“Expansel”は球状であり、その直径を測定した。また“ビニホール”は不定形のため個々の粒子の長辺を測定し、それぞれの平均した値を求めた。
<マイクロポーラス層の目付けの計測>
まず電極基材の重量[g]を精密はかりを用いて10cm角の正方形の形状にて測定した。次に、マイクロポーラス層が形成されたガス拡散電極基材の重量[g]を同様に10cm角の正方形の形状にて測定した。ガス拡散電極基材の重量から電極基材の重量を引き、0.01で除した数値をマイクロポーラス層の目付け[g/m]とした。
<貫通孔密度の測定>
マイクロポーラス層の単位面積当たりの貫通孔の密度は、次のようにして測定した。まず、マイクロポーラス層の表面上の1mm角のエリアを(株)日立製作所製電子顕微鏡S−4800を用いて50倍の倍率で観察した。画像処理により画像全体の平均明るさの半分以下となる部分を抽出し、その中で200μm以上の面積を持つ部分を空孔個数として面積当たりの個数を計算した。このうち無作為に選んだ30個の空孔の内部を観察し、電極基材の空隙が長辺で5μm以上確認できる空孔を貫通孔として計測した。観察された空孔30個のうち貫通孔となっている個数を調べ、空孔個数に対して貫通孔の比率を算出し、先ほどの単位面積当たりの孔個数に対し貫通孔の比率を掛け合わせ、単位面積当たりの貫通孔密度を求めた。
<貫通孔形状の測定>
マイクロポーラス層に形成された貫通孔の開口幅および最大幅は次のように測定した。まずガス拡散電極基材を日立ハイテクノロジーズ社製イオンミリング装置E−3500を用いてガス拡散電極基材を面直方向に切断した断面を作成し、断面方向から貫通孔を10個任意に選択し観察した。マイクロポーラス層の表面側の開口幅、電極基材側の開口幅、および貫通孔の最大幅を測定し、それぞれその平均値を求めた。貫通孔の最大幅はその断面を観察してマイクロポーラス層においてその表面に水平な方向で貫通孔が最大の幅を持つ部分の幅長さとした。
<固体高分子型燃料電池の発電性能評価>
白金担持炭素(田中貴金属工業(株)製、白金担持量:50質量%)1.00g、精製水 1.00g、“Nafion”(登録商標)溶液(Aldrich社製 “Nafion”(登録商標)5.0質量%)8.00g、イソプロピルアルコール(ナカライテスク社製)18.00gを順に加えることにより、触媒液を作成した。
次に7cm×7cmにカットした “ナフロン”(登録商標)PTFEテープ“TOMBO”(登録商標)No.9001(ニチアス(株)製)に、触媒液をスプレーで塗布し、室温で乾燥させ、白金量が0.3mg/cmの触媒層付きPTFEシートを作製した。続いて、10cm×10cmにカットした固体高分子電解質膜“Nafion”(登録商標)NRE−211CS(DuPont社製)を2枚の触媒層付きPTFEシートで挟み、平板プレスで5MPaに加圧しながら130℃で5分間プレスし、固体高分子電解質膜に触媒層を転写した。プレス後、PTFEシートを剥がし、触媒層付き固体高分子電解質膜を作製した。
次に、触媒層付き固体高分子電解質膜を、7cm×7cmにカットした2枚のガス拡散電極基材で挟み、平板プレスで3MPaに加圧しながら130℃で5分間プレスし、膜電極接合体を作製した。なお、ガス拡散電極基材は面状のマイクロポーラス層を有する面が触媒層側と接するように配置した。
得られた膜電極接合体を燃料電池評価用単セルに組み込み、電流密度を変化させた際の電圧を測定した。ここで、セパレータとしては、溝幅1.5mm、溝深さ1.0mm、リブ幅1.1mmの一本流路のサーペンタイン型のものを用いた。また、アノード側には210kPaに加圧した水素を、カソード側には140kPaに加圧した空気を供給し、評価を行った。なお、水素、空気はともに70℃に設定した加湿ポットにより加湿を行った。また、水素、空気中の酸素の利用率はそれぞれ80%、67%とした。
まず、運転温度を65℃、加湿温度70℃、電流密度を2.2A/cmにセットした場合の、出力電圧を測定し、耐フラッディング性(低温性能)の指標として用いた。また、運転温度を65℃、加湿温度70℃、電流密度を2.2A/cmにセットし、30分間保持した場合の、出力電圧低下回数をカウントし、耐プラッギング性の指標として用いた。すなわち、30分間に出力電圧が0.2V以下になった回数をカウントし、7回以上のものをC、5〜6回のものをB、3〜4回のものをA、2回以下のものをSとした。次に、加湿温度70℃、電流密度を1.2A/cmにセットし、運転温度を80℃から、5分間保持、5分間かけて2℃上昇を繰り返しながら出力電圧を測定し、発電可能な限界温度を求め、耐ドライアップ性(高温性能)の指標として用いた。
(実施例1〜15)
<電極基材の作製>および<消失材を混合したカーボン塗液塗布によるマイクロポーラス層の形成>に記載した方法に従って、表1、2に示すような、電極基材の触媒側に貫通孔を持つ面状のマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材を得た。このとき貫通孔は立体的に球状の構造を持ち、貫通孔の開口幅の平均を比較すると貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口幅は電極基材側に比べてほぼ同じであるが少し小さい結果となった。また、最大幅は貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口幅より大きくなった。マイクロポーラス層の厚みと最大幅と比較すると実施例1はマイクロポーラス層の厚みに対して最大幅が3倍以上と大きいため、比較例に比べ小幅な性能改善となった。一方、実施例2〜15はマイクロポーラス層の厚みに対して最大幅は1〜3倍の範囲にあり、このガス拡散電極基材を用いて発電性能を評価した結果、表1、2に示すように、耐フラッディング性、耐ドライアップ性ともに比較例より大きく向上した。
(実施例16〜20)
<電極基材の作製>および<消失材層へのカーボン塗液塗布によるマイクロポーラス層の形成>に記載した方法に従って、表3に示すような、電極基材の触媒側に貫通孔を持つ面状のマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材を得た。得られたガス拡散電極基材は、消失材が電極基材の空孔部に入り、その部分はマイクロポーラス層が浸透しなかったため電極基材とマイクロポーラス層の界面において空孔となった。この空孔は電極基材の他の空孔と連続してつながっているため、排水パスとして有効に機能した。実施例16〜20ではこの貫通孔はマイクロポーラス層内では電極基材側に中心を持った立体的な球状の構造を持ち、マイクロポーラス層の厚みに対して最大幅は1〜3倍の範囲にあり、また、貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口幅に比べ、貫通孔のマイクロポーラス層の電極基材側の開口幅が大きい形状となっていた。このガス拡散電極基材を用いて発電性能を評価した結果、表3に示すように、耐フラッディング性、耐ドライアップ性ともに更に大きく向上した。
(比較例1〜4)
<電極基材の作製>および<消失材を混合したカーボン塗液塗布によるマイクロポーラス層の形成>に記載した方法に従って、表4に示す、電極基材の触媒側に面状のマイクロポーラス層を有するガス拡散電極基材を得た。この時このガス拡散電極基材の発電性能を評価した結果、表4に示すように、耐フラッディング性、耐ドライアップ性が不十分であった。
比較例3において、耐フラッディング性、耐ドライアップ性が不十分であった原因は消失材痕が観察されるものの、電子顕微鏡の観察の結果では貫通しておらず、孔は貫通孔ではないために十分な排水機能を果たしていないためである。
また比較例4において、耐フラッディング性、耐ドライアップ性が不十分であった原因は消失材を多量に添加したために、触媒層との接触面積が低下したことによる電気抵抗の上昇により総合的な性能が低下したためと判断される。
1 マイクロポーラス層(カーボンブラック/撥水剤の複合体)
2 貫通孔(消失材痕による空孔)
3 電極基材の炭素繊維
4 底部の電極基材の空隙
5 貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口幅
6 貫通孔の最大幅
7 貫通孔のマイクロポーラス層の電極基材側の開口幅
8 貫通孔のマイクロポーラス層の表面側の開口の長辺
9 貫通孔のマイクロポーラス層の電極基材側の開口の長辺

Claims (11)

  1. 多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層を配置させたガス拡散電極基材であって、前記マイクロポーラス層には、その厚み方向に貫通する空孔を有し、前記空孔が電極基材においてマイクロポーラス層が配置されている面と反対の面に連結している、燃料電池用ガス拡散電極基材。
  2. 前記貫通する空孔は、その最大幅がマイクロポーラス層の厚みよりも大きく、マイクロポーラス層の厚みの3倍以下である、請求項1記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
  3. 前記貫通する空孔は、マイクロポーラス層の表面側の開口幅が、貫通する空孔の最大幅よりも小さい、請求項1または2記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
  4. マイクロポーラス層に、アスペクト比が30〜5000の範囲内であり、直径が1〜500nmの範囲内である繊維状カーボンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
  5. 前記貫通する空孔は、マイクロポーラス層において、表面側の開口幅より電極基材側の開口幅のほうが大きい、請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
  6. 前記貫通する空孔がマイクロポーラス層の面内に1000個/cm以上の密度で形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材。
  7. 多孔体である電極基材の片面に、マイクロポーラス層の厚みよりも大きい直径または長辺を有する消失材を含むマイクロポーラス層前駆体を形成せしめ、その後、焼結して、前記消失材を消失または縮小させて、請求項1~6のいずれかに記載のガス拡散電極基材を得る、燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
  8. 多孔体である電極基材の片面に、消失材を配置し、その上からカーボン塗液を塗布し、乾燥してマイクロポーラス層前駆体を形成せしめ、その後、焼結して、前記消失材を消失または縮小させて、請求項1〜6のいずれかに記載のガス拡散電極基材を得る、燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
  9. マイクロポーラス層前駆体には、アスペクト比が30〜5000の範囲内である繊維状カーボンを含む、請求項7または8に記載の燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
  10. 前記消失材が大気中にて380℃で10分保管において炭化収率が20%未満であり、かつ直径または長辺が30μm以上である有機粒子である、請求項7〜9のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
  11. 前記有機粒子にはメタクリル酸エステル重合体を含む、請求項10に記載の燃料電池用ガス拡散電極基材の製造方法。
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