JP2015015206A - 導電性熱可塑性樹脂組成物、及び、ケーブル - Google Patents
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Abstract
Description
[導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積(m2/g)]
=[炭素材料の比表面積(m2/g)]×[導電性熱可塑性樹脂組成物中の炭素材料の含有率(質量%)]×(1/100)
まず本発明のケーブルの第1実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明のケーブルの第1実施形態としての電力ケーブルの断面図である。
まず導線1を準備する。導線1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導線1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
次に、内部半導電層2及び外部半導電層5を形成するための導電性熱可塑性樹脂組成物を準備する。この導電性熱可塑性樹脂組成物は、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、極性モノマー単位と、非極性モノマー単位とを含む。極性モノマー単位は、酸性官能基と二重結合とを有するモノマーに対応するものであれば特に限定されるものではなく、このようなモノマーとしては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、メタクリル酸及びアクリル酸などが挙げられる。酸変性ポリオレフィン樹脂に含まれる極性モノマー単位は互いに同じであってもよいが、互いに異なっていてもよい。また、非極性モノマー単位は、オレフィン系モノマーに対応するものであり、このようなオレフィン系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンなどが挙げられる。酸変性ポリオレフィン樹脂に含まれる非極性モノマー単位は互いに同じであってもよいが、互いに異なっていてもよい。
上記導電性熱可塑性樹脂組成物には、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がさらに含まれていてもよい。酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上が組み合わされた状態で含まれていてもよい。これらの中でも、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。この場合、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂以外のものである場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物において、可塑剤の保持性がより向上する。すなわち、可塑剤のブリードがより十分に抑制される。また、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂であると、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂以外のものである場合に比べて、より優れた耐加熱変形特性を有することが可能となる。
上記導電性熱可塑性樹脂組成物に含まれる炭素材料は、上記導電性熱可塑性樹脂組成物に十分な導電性を付与するものであればよく、特に限定されるものではない。炭素材料としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではカーボンブラックが特に好ましい。
導電性熱可塑性樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む場合には、可塑剤をさらに含むことが好ましい。この場合、導電性熱可塑性樹脂組成物はより優れた低温脆化特性を確保することができる。可塑剤としては、例えばフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ系可塑剤、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは1種類単独で含まれていても又は2種以上が組み合わされた状態で含まれていてもよい。
次に、絶縁層3及びシース6を形成するための絶縁材料を用意する。この絶縁材料は絶縁性を示すものであればよい。このような絶縁材料としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−ブタジエン−ジエンゴム(EPDM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン樹脂(CPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、クロロプレンゴム(CR)、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)及び天然ゴム(NR)などを用いることができる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることが可能である。
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のケーブルの第2実施形態としての電気自動車の急速充電器に接続されるケーブルの断面図である。
導電性熱可塑性樹脂組成物の原料としては、以下のものを使用した。
(1)ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)
PVC−1:平均重合度1000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1000」)
PVC−2:平均重合度1350(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1400」)
PVC−3:平均重合度2000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2000」)
PVC−4:平均重合度2800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2800」)
PVC−5:平均重合度4500(大洋塩ビ社製、商品名「TU−400」)
PVC−6:平均重合度800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−800」)
酸変性PO−1:無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、酸変性率4質量%(三井化学社製、商品名「タフマーMA8510」)
酸変性PO−2:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率9質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN0903HC」)
酸変性PO−3:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率12質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN1207C」)
酸変性PO−4:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率2質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN0200H」)
酸変性PO−5:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率15質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN1525」)
変性PO:エチレン−ブテン共重合体、酸変性率0%(三井化学社製、商品名「タフマーA−1085S」)
炭素材料−1:アセチレンブラック、比表面積68m2/g、吸油量(DBP吸油量)125mL/100g(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック」)
炭素材料−2:カーボンブラック、比表面積254m2/g、吸油量(DBP吸油量)174mL/100g(キャボット社製、商品名「バルカンXC−72」)
炭素材料−3:ケッチェンブラック、比表面積800m2/g、吸油量(DBP吸油量)360mL/100g(ライオン社製、商品名「EC300J」)
炭素材料−4:ケッチェンブラック、比表面積1300m2/g、吸油量(DBP吸油量)495mL/100g(ライオン社製、商品名「EC600JD」)
炭酸カルシウム:比表面積1.4m2/g、平均粒子径1.7μm、吸油量(DBP吸油量)30ml/100g(日東粉化社製、商品名「NCC−P」)
可塑剤−1:フタル酸ジイソノニル(ジェイ・プラス社製、商品名「DINP」)
可塑剤−2:フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製、商品名「DOP」)
Ca/Zn系安定剤(水澤化学工業社製、商品名「スタビネックスNL221−5」、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイトなど、多種を配合したもの)
上記のポリ塩化ビニル樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、炭素材料、充填剤、可塑剤及び安定剤を表1〜28に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて180℃で15分間混練することにより、実施例1〜247及び比較例1〜63の導電性熱可塑性樹脂組成物を得た。表1〜28において、ポリ塩化ビニル樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、炭素材料、充填剤、可塑剤及び安定剤の配合量の単位は質量%である。また、表1〜28において「酸変性PO含有率」とは、ポリ塩化ビニル樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率のことを示す。
(耐加熱変形特性)
上記実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、35mm×35mm×2mmの試験片を作製した。そして、この試験片について、JIS K 6723 6.5に記載の加熱変形試験(120℃、9.8N荷重、60分)を行った。そして試験前の試験片の厚さ(試験前厚さ)と試験後の試験片の厚さ(試験後厚さ)から、下記式により加熱変形率(%)を算出した。
加熱変形率(%)
=[(試験前厚さ)−(試験後厚さ)]/(試験前厚さ)×100(%)
結果を表1〜28に示す。耐加熱変形特性については、加熱変形率が1%以下の場合を合格とし、加熱変形率が1%を超える場合を不合格とした。
上記実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、38mm×6mm×2mmの試験片を作製した。そして、この試験片について、JIS K 7216に準拠した脆化試験を行い、脆化温度(℃)を測定した。結果を表1〜28に示す。なお、表1〜28において、脆化温度が−60℃未満である場合は、「−60↓」と記載した。低温脆化特性については、脆化温度が−50℃以下である場合を合格とし、脆化温度が−50℃を超える場合を不合格とした。
上記実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、100mm×100mm×1mmの試験片を作製した。そして、これらの試験片について、体積抵抗率ρ(Ω・cm)を測定した。なお、体積抵抗率の測定は、体積抵抗率が1×109Ω・cm以下である場合は、ホイートストンブリッジにより行い、体積抵抗率が1×109Ω・cmより大きい場合は、超絶縁計(R−503、川口電機製作所社製、500V、1min値)により行った。体積抵抗率の測定は30℃で行った。結果を表1〜28に示す。なお、表1〜28において、体積抵抗率は、ρの常用対数logρで表示した。
実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、150mm×25mm×2mmの寸法の導電シートを作製した。一方、150mm×25mm×0.2mmの寸法のアルミテープを用意した。そして上記導電シートの表面における100mm×25mmの部分と上記アルミテープの表面における100mm×25mmの部分とを重ね合せ、この重ね合せた部分を180℃、150MPaで2分間圧着させ、剥離力測定用の試験片を作製した。次に、上記試験片について、一般工作用接着剤の規格であるJIS S6040の4種Aに準拠した剥離試験を行い、剥離力(N/(1/2in))を測定した。この剥離力を耐金属剥離特性の指標とした。結果を表1〜28に示す。表1〜28において、剥離力が100(N/(1/2in))以上である場合には、導電性熱可塑性樹脂組成物を用いて作製した導電層を有するケーブルが耐金属剥離特性に優れるとして合格とし、剥離力が100(N/(1/2in))未満の場合には、導電性熱可塑性樹脂組成物を用いて作製した導電層を有するケーブルが耐金属剥離特性に劣るとして不合格とした。なお、剥離力の単位において、「in」は「inch」を意味する。
4…電線
5,205…外部半導電層(導電層)
6,206…シース
7,207…金属導体
100,200…ケーブル
204…集合電線
240…パワー線(電線)
250,260…信号線(電線)
Claims (6)
- 酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む導電性熱可塑性樹脂組成物であって、
前記炭素材料の比表面積が600m2/g以上であり、
且つ、前記導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が120m2/g以上であり、
前記酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率が3質量%以上であり、
前記導電性熱可塑性樹脂組成物中の前記酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が11〜83質量%である導電性熱可塑性樹脂組成物。 - さらにポリ塩化ビニル樹脂を含む請求項1に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ポリ塩化ビニル樹脂と前記酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における前記酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が35質量%以上100質量%未満である、請求項2に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- さらに可塑剤を含む、請求項2又は3に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記導電性熱可塑性樹脂組成物中の前記可塑剤の含有率が34〜38質量%である、請求項4に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 少なくとも1本の電線と、
前記少なくとも1本の電線を包囲するように設けられる導電層と、
前記導電層と接触するように設けられる金属導体と、
前記導電層及び前記金属導体を包囲し前記導電層又は前記金属導体と接触するように設けられるシースとを備え、
前記導電層が請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物からなるケーブル。
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