JP2015015206A - 導電性熱可塑性樹脂組成物、及び、ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保しながら、優れた耐金属剥離特性を確保することができる導電性熱可塑性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルを提供すること。【解決手段】酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む導電性熱可塑性樹脂組成物であって、炭素材料の比表面積が600m2/g以上であり、且つ、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が120m2/g以上であり、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率が3質量%以上であり、導電性熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が11〜83質量%である導電性熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性熱可塑性樹脂組成物、及び、ケーブルに関する。
電力ケーブルや急速充電器のリードケーブルなどのケーブルにおいては、シースの内側に半導電層などの導電層が設けられ、その導電層に接触するように編組線などの金属導体が設けられることがある。
このような導電層の材料として、例えば下記引用文献1には、エチレン系共重合体に、1000m/g以上の比表面積を有するカーボンブラックを配合してなる電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物が開示されている。
特開平9−298012号公報
ところで、ケーブルの導電層には、優れた耐加熱変形特性を有することが求められる。これは以下の理由によるものである。すなわち、ケーブルの導電層の耐加熱変形特性が不十分であると、ケーブルに含まれる導電層が荷重を受けた際に潰れ、このことがケーブル特性に悪影響を与えるおそれがあるためである。特にケーブルが高温の地域に敷設される場合や、電気自動車の急速充電器に接続されるリードケーブルである場合には、ケーブルの導電層が優れた耐加熱変形特性を有することが望ましい。
また、ケーブルの導電層には、優れた低温脆化特性を有することが求められる。これは以下の理由によるものである。すなわち、ケーブルは低温環境下で使用される場合もあり、そのような環境下においても、ケーブルの導電層としての機能を維持する必要があるからである。特に繰り返し屈曲や捻回を受ける可動性のケーブル(キャブタイヤ、急速充電器用、風力発電用)では寒冷地での使用も想定されるため低温脆化特性が重要になる。
さらに、ケーブルの導電層には、優れた耐金属剥離特性を有することが求められる。これは以下の理由によるものである。すなわち、ケーブルの導電層が耐金属剥離特性の点で劣っていると、ケーブルが屈曲されたり、捻回されたりした際にケーブルにおいて、導電層が金属導体から剥離する結果、しわの発生等の外観不良が生じるおそれがあるためである。特にケーブルが電気自動車の急速充電器に接続されるリードケーブルやキャブタイヤケーブルなどの可動ケーブルである場合には、ケーブルが繰り返し屈曲されたり、捻回されたりするため、ケーブルの導電層には優れた耐金属剥離特性を有することが求められる。
しかし、上記特許文献1に記載の半導電層用樹脂組成物を用いて形成した導電層を有するケーブルの導電層は、優れた耐加熱変形特性、優れた低温脆化特性、及び、優れた耐金属剥離特性を同時に有しない場合があり、さらなる改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保しながら、優れた耐金属剥離特性を確保することができる導電性熱可塑性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、熱可塑性樹脂と炭素材料とを含む導電性熱可塑性樹脂組成物について、熱可塑性樹脂の種類及び含有率並びに炭素材料の比表面積及び含有率に着目して鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者は、導電性熱可塑性樹脂組成物が酸変性ポリオレフィン樹脂を含み、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率が特定の範囲であり、導電性熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が特定の範囲であり、また、炭素材料が特定の範囲の比表面積を有し、炭素材料の比表面積と導電性熱可塑性樹脂組成物中の炭素材料の含有率に基づいて求められるパラメータが特定の範囲の値である場合に、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む導電性熱可塑性樹脂組成物であって、前記炭素材料の比表面積が600m/g以上であり、且つ、前記導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が120m/g以上であり、前記酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率が3質量%以上であり、前記導電性熱可塑性樹脂組成物中の前記酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が11〜83質量%である導電性熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保しながら、優れた耐金属剥離特性を確保することができる。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物が優れた耐加熱変形特性を確保することができる理由について、本発明者は以下のように推察している。
すなわち、炭素材料は凝集して凝集構造(ストラクチャー)を形成している。そして、本発明において、炭素材料の比表面積が大きいのは、このストラクチャーが大きい、即ち発達しているからである。そして、このように、導電性熱可塑性樹脂組成物に含まれる炭素材料が十分に大きいストラクチャーを有するため、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が十分に大きくなる場合、導電性熱可塑性樹脂組成物中で、酸変性ポリオレフィン樹脂は炭素材料により擬似的に架橋された状態となる。この作用により、導電性熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐加熱変形特性を確保することができるのではないか、と本発明者は推察している。
また、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物が優れた低温脆化特性を確保することができる理由について、本発明者は以下のように推察している。
すなわち、導電性熱可塑性樹脂組成物は酸変性ポリオレフィン樹脂を含む。ここで、酸変性ポリオレフィン樹脂の分子鎖には、極性を有する酸性基をオレフィン系モノマー単位に導入してなる極性モノマー単位と、極性を有する酸性基をオレフィン系モノマー単位に導入していない非極性モノマー単位とが混在している。このため、酸変性ポリオレフィン樹脂の分子鎖同士間の分子間力は過度に強固なものにはならない。したがって、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は優れた低温脆化特性を確保できるのではないか、と本発明者は推察している。
また、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物が優れた耐金属剥離特性を有することになる理由について、本発明者は以下のように推察している。
すなわち、ケーブルの導電層は、ケーブル中の金属導体と接触するように設けられる。ここで、上述したように、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、極性モノマー単位を有する酸変性ポリオレフィン樹脂を含んでおり、この極性モノマー単位は、極性を有する酸性基を有するため、金属導体との接着性に優れる。このため、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物を用いて製造された導電層の金属導体に対する接着性が良好なものになり、ケーブルが屈曲されたり、捻回されたりした場合でも、導電層の金属導体からの剥離が十分に抑制される。その結果、金属導体に対する導電層の剥離によるシースの外観不良が十分に抑制される。こうして、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐金属剥離特性を有するものになるのではないか、と本発明者は推察している。
上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、さらにポリ塩化ビニル樹脂を含むことが好ましい。
この場合、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐加熱変形性を有するものになる。
上記導電性熱可塑性樹脂組成物においては、前記ポリ塩化ビニル樹脂と前記酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における前記酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が35質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
この場合、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた低温脆化特性を確保することができる。
また、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、さらに可塑剤を含むことが好ましい。
この場合、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた低温脆化特性を確保することができる。
また、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含み、且つ前記導電性熱可塑性樹脂組成物中の前記可塑剤の含有率が34〜38質量%であることが好ましい。
可塑剤の含有率が34質量%〜38質量%である場合、含有率が34質量%未満である場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物はさらに優れた低温脆化特性を確保することができる。また含有率が38質量%を超える場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた耐加熱変形性を確保することができ、且つ可塑剤がよりブリードしにくくなる。
また、本発明は、少なくとも1本の電線と、前記少なくとも1本の電線を包囲するように設けられる導電層と、前記導電層と接触するように設けられる金属導体と、前記導電層及び前記金属導体を包囲し前記導電層又は前記金属導体と接触するように設けられるシースとを備え、前記導電層が上記の導電性熱可塑性樹脂組成物からなるケーブルである。
本発明のケーブルは、導電層が上記の導電性熱可塑性樹脂組成物からなるため、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保できる。また、本発明のケーブルによれば、金属導体に対する導電層の密着性が優れるため、金属導体に対する導電層の剥離による外観不良を十分に抑制することもできる。
なお、本発明において、炭素材料の比表面積はBET法により測定されるものである。
また、本発明において、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積とは、以下の式によって定義されるものである。
[導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積(m/g)]
=[炭素材料の比表面積(m/g)]×[導電性熱可塑性樹脂組成物中の炭素材料の含有率(質量%)]×(1/100)
さらに、本発明において、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率とは、樹脂中における極性モノマー単位の含有率を質量%で表した値であり、FT−IR(フーリエ変換赤外分光装置 Nicolet 6700 FT-IR/(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、高分子分析ハンドブック[日本分析化学会編、朝倉書店発行、(2008年)、第152頁〜第154頁、2.1.6 IR法による定量]に記載された方法により測定された値を言う。
本発明によれば、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保しながら、優れた耐金属剥離特性を確保することができる導電性熱可塑性樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルが提供される。
本発明のケーブルの第1実施形態を示す断面図である。 本発明のケーブルの第2実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず本発明のケーブルの第1実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明のケーブルの第1実施形態としての電力ケーブルの断面図である。
図1に示すように、ケーブル100は、1本の電線4と、電線4を包囲するように設けられる外部半導電層(導電層)5と、外部半導電層5を包囲し外部半導電層5と接触するように設けられる絶縁性のシース6と、外部半導電層5の内側であって電線4の外側に外部半導電層5と接触するように設けられる金属導体7とを備えている。電線4は、導線1と、導線1を包囲する内部半導電層2と、内部半導電層2を包囲する絶縁層3とを有する。
また内部半導電層2及び外部半導電層5はそれぞれ導電性熱可塑性樹脂組成物からなり、この導電性熱可塑性樹脂組成物は、酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む。そして、炭素材料の比表面積が600m/g以上であり、且つ、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が120m/g以上である。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率は3質量%以上であり、導電性熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率は11〜83質量%である。
この場合、内部半導電層2及び外部半導電層5は、上記導電性熱可塑性樹脂組成物からなるため、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保することができる。このため、ケーブル100が荷重を受けた際に、内部半導電層2及び外部半導電層5が潰れにくくなり、ケーブル100の特性に悪影響が生じることを十分に抑制できる。また、ケーブル100が低温環境下に設置された場合でも、内部半導電層2及び外部半導電層5の機能の低下を十分に抑制することができる。さらに、ケーブル100においては、外部半導電層5が上記導電性熱可塑性樹脂組成物からなるため、金属導体7に対して優れた密着性を有する。このため、ケーブル100が屈曲されたり、捻回されたりした場合でも、金属導体7に対する外部半導電層5の剥離が十分に抑制され、シース6において、しわの発生等の外観不良を十分に抑制できる。すなわち、ケーブル100は、優れた耐金属剥離特性を確保することができる。
次に、上述したケーブル100の製造方法について説明する。
<導線>
まず導線1を準備する。導線1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導線1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
<内部半導電層及び外部半導電層>
次に、内部半導電層2及び外部半導電層5を形成するための導電性熱可塑性樹脂組成物を準備する。この導電性熱可塑性樹脂組成物は、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む。
(酸変性ポリオレフィン樹脂)
酸変性ポリオレフィン樹脂は、極性モノマー単位と、非極性モノマー単位とを含む。極性モノマー単位は、酸性官能基と二重結合とを有するモノマーに対応するものであれば特に限定されるものではなく、このようなモノマーとしては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、メタクリル酸及びアクリル酸などが挙げられる。酸変性ポリオレフィン樹脂に含まれる極性モノマー単位は互いに同じであってもよいが、互いに異なっていてもよい。また、非極性モノマー単位は、オレフィン系モノマーに対応するものであり、このようなオレフィン系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンなどが挙げられる。酸変性ポリオレフィン樹脂に含まれる非極性モノマー単位は互いに同じであってもよいが、互いに異なっていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率は3質量%以上である。酸変性率が3質量%未満である場合、ケーブル100の外部半導電層5は、優れた耐金属剥離特性を有することができない。酸変性率は4質量%以上であることが好ましい。
但し、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率は14質量%以下であることが好ましい。この場合、酸変性率が14質量%を超える場合に比べて、酸変性ポリオレフィン樹脂を安価に入手でき、導電性熱可塑性樹脂組成物の製造コストを下げることができる。
上述したように、上記導電性熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率は11〜83質量%である。酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が11質量%未満である場合、導電性熱可塑性樹脂組成物は優れた低温脆化特性を確保することができない。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が83質量%より大きい場合、導電性熱可塑性樹脂組成物は優れた耐加熱変形特性を確保することができない。
上記導電性熱可塑性樹脂組成物中の酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率は11〜41質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
(ポリ塩化ビニル樹脂)
上記導電性熱可塑性樹脂組成物には、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がさらに含まれていてもよい。酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上が組み合わされた状態で含まれていてもよい。これらの中でも、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。この場合、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂以外のものである場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物において、可塑剤の保持性がより向上する。すなわち、可塑剤のブリードがより十分に抑制される。また、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂であると、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂以外のものである場合に比べて、より優れた耐加熱変形特性を有することが可能となる。
酸変性ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂である場合、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は、特に限定されるものではないが、900〜5000であることが好ましい。ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が900以上である場合、平均重合度が900未満である場合に比べ、導電性熱可塑性樹脂組成物はより優れた耐加熱変形特性を確保することができる。また、平均重合度が5000以下である場合、平均重合度が5000を超える場合に比べ、ポリ塩化ビニル樹脂の溶融粘度が低くなり、溶融混練が容易になる。したがってこの場合、導電性熱可塑性樹脂組成物の製造効率が優れたものになる。
ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は1000〜4000であることがより好ましく、1100〜3000であることがさらに好ましい。
なお、「平均重合度」とは、JIS K6720−2に準拠して測定したポリ塩化ビニル樹脂の比粘度をJIS K6720−1に準拠して推定換算した平均重合度を言う。
また、導電性熱可塑性樹脂組成物に平均重合度の異なる2種以上のポリ塩化ビニル樹脂が含まれる場合、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は、それぞれのポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度の加重平均により算出される。
上記導電性熱可塑性樹脂組成物においては、ポリ塩化ビニル樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が35質量%以上100質量%未満であることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が35質量%以上である場合、含有率が35質量%未満である場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた低温脆化特性を確保することができる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が100質量%未満である場合、含有率が100質量%である場合に比べて、導電性熱可塑性樹脂組成物が可塑剤を安定に樹脂内に保持でき、可塑剤の飛散や外部への移行を防止できる。ポリ塩化ビニル樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率は40〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることがさらに好ましい。
(炭素材料)
上記導電性熱可塑性樹脂組成物に含まれる炭素材料は、上記導電性熱可塑性樹脂組成物に十分な導電性を付与するものであればよく、特に限定されるものではない。炭素材料としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではカーボンブラックが特に好ましい。
上述したように、炭素材料の比表面積は600m/g以上である。炭素材料の比表面積が600m/g未満である場合、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐加熱変形特性と優れた低温脆化特性とを両立させることが困難になる。
炭素材料の比表面積は700m/g以上であることが好ましく、1000m/g以上であることがより好ましい。
但し、炭素材料の比表面積は1350m/g以下であることが好ましい。この場合、比表面積が1350m/gを超える場合に比べて、導電性熱可塑性樹脂組成物の加工性がより向上する。
また、上述したように、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積は120m/g以上である。導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が120m/g未満である場合、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は優れた耐加熱変形特性を確保することができない。
導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積は130m/g以上であることが好ましく、140m/g以上であることがより好ましい。
但し、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積は265m/g以下であることが好ましい。この場合、導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が265m/gを超える場合に比べて、導電性熱可塑性樹脂組成物の加工性がより向上する。
(可塑剤)
導電性熱可塑性樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む場合には、可塑剤をさらに含むことが好ましい。この場合、導電性熱可塑性樹脂組成物はより優れた低温脆化特性を確保することができる。可塑剤としては、例えばフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ系可塑剤、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは1種類単独で含まれていても又は2種以上が組み合わされた状態で含まれていてもよい。
導電性熱可塑性樹脂組成物中の可塑剤の含有率は34〜38質量%であることが好ましい。可塑剤の含有率が34〜38質量%である場合、含有率が34質量%未満である場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物がより優れた低温脆化特性を確保することができる。また含有率が38質量%を超える場合に比べて、上記導電性熱可塑性樹脂組成物は、より優れた耐加熱変形性を確保することができ、且つ可塑剤がよりブリードしにくくなる。
導電性熱可塑性樹脂組成物は、安定剤、難燃剤、充填材、表面処理剤、ドリップ防止剤、加工助剤、活剤、老化防止剤、架橋剤、架橋助剤、スコーチ防止剤などを必要に応じてさらに含んでもよい。
導電性熱可塑性樹脂組成物は、酸変性ポリオレフィン樹脂、炭素材料および必要に応じて各種熱可塑性樹脂及び各種添加剤を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
(絶縁層及びシース)
次に、絶縁層3及びシース6を形成するための絶縁材料を用意する。この絶縁材料は絶縁性を示すものであればよい。このような絶縁材料としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−ブタジエン−ジエンゴム(EPDM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン樹脂(CPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、クロロプレンゴム(CR)、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)及び天然ゴム(NR)などを用いることができる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることが可能である。
そして、導線1を、内部半導電層2を形成するための導電性熱可塑性樹脂組成物、絶縁層3を形成するための絶縁材料で順次被覆する。こうして電線4が得られる。続いて、この電線4を、金属導体7を形成するための編組線で包囲した後、外部半導電層5を形成するための導電性熱可塑性樹脂組成物、及びシース6を形成するための絶縁材料で順次被覆する。
以上のようにしてケーブル100が得られる。
[第2実施形態]
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のケーブルの第2実施形態としての電気自動車の急速充電器に接続されるケーブルの断面図である。
図2に示すように、ケーブル200は、集合電線204と、集合電線204を包囲するように設けられる導電層205と、導電層205を包囲するように設けられるシース206と、編組線からなり、導電層205の内側に導電層205と接触するように設けられる金属導体207とを備えている。ここで、金属導体207は、図2では、軽量化及び可撓性付与の観点から、導電層205の内側に円弧状に設けられているが、導電層205の内側に環状に設けられていてもよい。すなわち、金属導体207は、集合電線204全体を包囲するように設けられていてもよい。集合電線204は、2本のパワー線(電線)240と、2組の信号線(電線)250、260とを備えている。パワー線240は、導線1と導線1を包囲する絶縁層241とで構成され、信号線250は、導線1及び導線1を包囲する絶縁層251で構成される2本の絶縁電線252と、2本の絶縁電線252を包囲する介材253とを有している。信号線260は、7本の絶縁電線252と、7本の絶縁電線252を包囲する介材263とで構成されている。そして、2本のパワー線240及び2組の信号線250,260は撚り合わされてメッシュテープ(図示せず)などで巻かれている。ここで、絶縁層241及び絶縁層251の材料は、例えば上記絶縁層3と同じ材料で構成される。また介材253,263は例えばジュートなどからなる。
導電層205の材料は、上記導電性熱可塑性樹脂組成物からなる。またシース206の材料は例えば上記シース6と同じ材料で構成される。
上記ケーブル200においては、導電層205が上記導電性熱可塑性樹脂組成物からなるため、上記導電層205は、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保することができる。このため、ケーブル200において導電層205が荷重を受けても潰れにくくなり、電気特性の低下を十分に抑制することができる。また、ケーブル200が低温環境下に設置された場合でも、導電層205の機能の低下を十分に抑制することができる。さらに、ケーブル200によれば、導電層205が上記導電性熱可塑性樹脂組成物からなるため、金属導体207に対して優れた密着性を有する。このため、ケーブル200が屈曲されたり、捻回されたりした場合でも、金属導体207に対する導電層205の剥離が十分に抑制され、シース206において、しわの発生等の外観不良を十分に抑制できる。すなわち、ケーブル200は、優れた耐金属剥離特性を確保することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1実施形態では、ケーブル100の内部半導電層2及び外部半導電層5が本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物で構成されているが、内部半導電層2及び外部半導電層5のうち一方は、本発明の要件を満たさない一般的な半導電性樹脂組成物で構成され、もう一方のみが本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物で構成されていてもよい。
また上記第2実施形態では、集合電線204が、2本のパワー線240と、2組の信号線250、260とを電線として備えているが、電線は、2本のパワー線240と、2組の信号線250、260とに限定されるものではなく、必要に応じて、本数や種類等を適宜変更することが可能である。
さらに上記第1実施形態では、金属導体7が外部半導電層5の内側に配置されているが、金属導体7は外部半導電層5の外側で且つシース6の内側に、外部半導電層5及びシース6に接触するように配置されていてもよい。
また上記第2実施形態では、金属導体207が、導電層205の内側に配置されているが、金属導体207は、導電層205の外側で且つシース206の内側に、導電層205及びシース206に接触するように配置されていてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<導電性熱可塑性樹脂組成物およびケーブルの作製>
導電性熱可塑性樹脂組成物の原料としては、以下のものを使用した。
(1)ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)
PVC−1:平均重合度1000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1000」)
PVC−2:平均重合度1350(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1400」)
PVC−3:平均重合度2000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2000」)
PVC−4:平均重合度2800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2800」)
PVC−5:平均重合度4500(大洋塩ビ社製、商品名「TU−400」)
PVC−6:平均重合度800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−800」)
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂(酸変性PO)
酸変性PO−1:無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、酸変性率4質量%(三井化学社製、商品名「タフマーMA8510」)
酸変性PO−2:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率9質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN0903HC」)
酸変性PO−3:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率12質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN1207C」)
酸変性PO−4:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率2質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN0200H」)
酸変性PO−5:エチレン−メタクリル酸共重合体、酸変性率15質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「ニュクレルN1525」)
(3)変性ポリオレフィン樹脂
変性PO:エチレン−ブテン共重合体、酸変性率0%(三井化学社製、商品名「タフマーA−1085S」)
(4)炭素材料
炭素材料−1:アセチレンブラック、比表面積68m/g、吸油量(DBP吸油量)125mL/100g(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック」)
炭素材料−2:カーボンブラック、比表面積254m/g、吸油量(DBP吸油量)174mL/100g(キャボット社製、商品名「バルカンXC−72」)
炭素材料−3:ケッチェンブラック、比表面積800m/g、吸油量(DBP吸油量)360mL/100g(ライオン社製、商品名「EC300J」)
炭素材料−4:ケッチェンブラック、比表面積1300m/g、吸油量(DBP吸油量)495mL/100g(ライオン社製、商品名「EC600JD」)
(5)充填剤
炭酸カルシウム:比表面積1.4m/g、平均粒子径1.7μm、吸油量(DBP吸油量)30ml/100g(日東粉化社製、商品名「NCC−P」)
(6)可塑剤
可塑剤−1:フタル酸ジイソノニル(ジェイ・プラス社製、商品名「DINP」)
可塑剤−2:フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製、商品名「DOP」)
(7)安定剤
Ca/Zn系安定剤(水澤化学工業社製、商品名「スタビネックスNL221−5」、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイトなど、多種を配合したもの)
(実施例1〜247及び比較例1〜63)
上記のポリ塩化ビニル樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、炭素材料、充填剤、可塑剤及び安定剤を表1〜28に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて180℃で15分間混練することにより、実施例1〜247及び比較例1〜63の導電性熱可塑性樹脂組成物を得た。表1〜28において、ポリ塩化ビニル樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、炭素材料、充填剤、可塑剤及び安定剤の配合量の単位は質量%である。また、表1〜28において「酸変性PO含有率」とは、ポリ塩化ビニル樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率のことを示す。
一方、パワー線2本及び通信線2組を撚り合わせてメッシュテープで巻いてなる集合電線を用意した。ここで、2本のパワー線としてはそれぞれ、外径8.89mm、絶縁厚が1.71mmのものを用い、2組の通信線としては、外径1.1mm、絶縁厚0.57mmの線を2本撚り合わせてジュートで包囲してなる通信線1組と、外径1.1mm、絶縁厚0.57mmの線7本のうち1,6の線を撚り合わせてジュートで包囲してなる通信線1組とを用いた。
そして、この集合電線に錫メッキ編組線をアース線として縦添えした。このとき、錫メッキ編組線としては、武蔵金線社製の「平編錫めっき軟銅線 5.5sq用24/29/0.1」(商品名)を用いた。
そして、得られた導電性熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、上記アース線を縦添えした集合電線上に、厚さ1.09mmとなるように導電層を形成した。その後、上記単軸押出機を用いて、上記導電層上に、厚さ2.95mmとなるようにシースを被覆した。こうして急速充電器用リードケーブルを得た。
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<特性評価>
(耐加熱変形特性)
上記実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、35mm×35mm×2mmの試験片を作製した。そして、この試験片について、JIS K 6723 6.5に記載の加熱変形試験(120℃、9.8N荷重、60分)を行った。そして試験前の試験片の厚さ(試験前厚さ)と試験後の試験片の厚さ(試験後厚さ)から、下記式により加熱変形率(%)を算出した。

加熱変形率(%)
=[(試験前厚さ)−(試験後厚さ)]/(試験前厚さ)×100(%)

結果を表1〜28に示す。耐加熱変形特性については、加熱変形率が1%以下の場合を合格とし、加熱変形率が1%を超える場合を不合格とした。
(低温脆化特性)
上記実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、38mm×6mm×2mmの試験片を作製した。そして、この試験片について、JIS K 7216に準拠した脆化試験を行い、脆化温度(℃)を測定した。結果を表1〜28に示す。なお、表1〜28において、脆化温度が−60℃未満である場合は、「−60↓」と記載した。低温脆化特性については、脆化温度が−50℃以下である場合を合格とし、脆化温度が−50℃を超える場合を不合格とした。
(導電性)
上記実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、100mm×100mm×1mmの試験片を作製した。そして、これらの試験片について、体積抵抗率ρ(Ω・cm)を測定した。なお、体積抵抗率の測定は、体積抵抗率が1×109Ω・cm以下である場合は、ホイートストンブリッジにより行い、体積抵抗率が1×10Ω・cmより大きい場合は、超絶縁計(R−503、川口電機製作所社製、500V、1min値)により行った。体積抵抗率の測定は30℃で行った。結果を表1〜28に示す。なお、表1〜28において、体積抵抗率は、ρの常用対数logρで表示した。
(耐金属剥離特性)
実施例1〜247及び比較例1〜63で得られたリードケーブルから導電層を切り出して、150mm×25mm×2mmの寸法の導電シートを作製した。一方、150mm×25mm×0.2mmの寸法のアルミテープを用意した。そして上記導電シートの表面における100mm×25mmの部分と上記アルミテープの表面における100mm×25mmの部分とを重ね合せ、この重ね合せた部分を180℃、150MPaで2分間圧着させ、剥離力測定用の試験片を作製した。次に、上記試験片について、一般工作用接着剤の規格であるJIS S6040の4種Aに準拠した剥離試験を行い、剥離力(N/(1/2in))を測定した。この剥離力を耐金属剥離特性の指標とした。結果を表1〜28に示す。表1〜28において、剥離力が100(N/(1/2in))以上である場合には、導電性熱可塑性樹脂組成物を用いて作製した導電層を有するケーブルが耐金属剥離特性に優れるとして合格とし、剥離力が100(N/(1/2in))未満の場合には、導電性熱可塑性樹脂組成物を用いて作製した導電層を有するケーブルが耐金属剥離特性に劣るとして不合格とした。なお、剥離力の単位において、「in」は「inch」を意味する。
また、上述した剥離力の合否基準とケーブルにおける耐金属剥離特性との関係を調べるため、実施例1〜247の中で剥離力が最も合格基準値に近い実施例80、及び、比較例1〜63の中で剥離力が合格基準値未満で且つ最も合格基準値に近い比較例51で得られたリードケーブルを用いてJIS C3005の4.27.4のa)に準拠したケーブル繰り返し曲げ試験を行い、耐金属剥離特性を評価した。具体的には、実施例80及び比較例51で得られたリードケーブルを1m切り出して試料とし、この試料の一端を、試験装置において、表面が滑らかな金属製の円筒(直径5mm)の内側に通して固定具に固定した。そして、試料の他端に1kgの重りを吊るし、左右にそれぞれ180度ずつ交互に回転させて試料を曲げた。この操作を1回とし、毎分10回の速さで連続して100回行った後、シース表面の外観を目視で観察した。その結果、実施例80のリードケーブルについては外観不良が認められなかった。一方、比較例51のリードケーブルについては、シースの表面にしわが発生する外観不良が認められた。
表1〜28に示すように、実施例1〜247の導電性熱可塑性樹脂組成物は、耐加熱変形特性、低温脆化特性及び耐金属剥離特性の全てについて合格基準に達していた。一方、比較例1〜63の導電性熱可塑性樹脂組成物は、耐加熱変形特性、低温脆化特性及び耐金属剥離特性の少なくとも1つについて合格基準に達していなかった。
以上より、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐加熱変形特性および優れた低温脆化特性を確保しながら、優れた耐金属剥離特性を確保することができることが確認された。
1…導線
4…電線
5,205…外部半導電層(導電層)
6,206…シース
7,207…金属導体
100,200…ケーブル
204…集合電線
240…パワー線(電線)
250,260…信号線(電線)

Claims (6)

  1. 酸変性ポリオレフィン樹脂と、炭素材料とを含む導電性熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記炭素材料の比表面積が600m/g以上であり、
    且つ、前記導電性熱可塑性樹脂組成物単位質量当たりの比表面積が120m/g以上であり、
    前記酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性率が3質量%以上であり、
    前記導電性熱可塑性樹脂組成物中の前記酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が11〜83質量%である導電性熱可塑性樹脂組成物。
  2. さらにポリ塩化ビニル樹脂を含む請求項1に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ポリ塩化ビニル樹脂と前記酸変性ポリオレフィン樹脂の合計100質量%中における前記酸変性ポリオレフィン樹脂の含有率が35質量%以上100質量%未満である、請求項2に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  4. さらに可塑剤を含む、請求項2又は3に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記導電性熱可塑性樹脂組成物中の前記可塑剤の含有率が34〜38質量%である、請求項4に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 少なくとも1本の電線と、
    前記少なくとも1本の電線を包囲するように設けられる導電層と、
    前記導電層と接触するように設けられる金属導体と、
    前記導電層及び前記金属導体を包囲し前記導電層又は前記金属導体と接触するように設けられるシースとを備え、
    前記導電層が請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物からなるケーブル。
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